(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20221004BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20221004BHJP
H04R 27/00 20060101ALI20221004BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20221004BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20221004BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20221004BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20221004BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20221004BHJP
B66B 25/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
G06Q10/00
H04R27/00 B
F24F11/46
F24F11/74
F24F11/80
F24F11/89
F24F11/63
B66B25/00 B
(21)【出願番号】P 2021121543
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2018553669の分割
【原出願日】2017-09-08
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2016231522
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 秀行
【審査官】安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-213828(JP,A)
【文献】特開2016-051675(JP,A)
【文献】特開2012-227712(JP,A)
【文献】特開2009-238548(JP,A)
【文献】国際公開第2010/013572(WO,A1)
【文献】特開2016-103388(JP,A)
【文献】特開2012-197158(JP,A)
【文献】特開2004-178129(JP,A)
【文献】特開2012-166904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G06Q 10/00
H04R 27/00
F24F 11/46
F24F 11/74
F24F 11/80
F24F 11/89
F24F 11/63
B66B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定し、
それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、通信部を介して送信するように制御する制御部、
を備え、
前記制御部は、
前記特定領域に存在する人物の数が基準値以上であることを条件に、当該特定領域が前記理想的な状況ではないと判定された場合に、当該特定領域に設けられたセンサに対応するアクチュエータに制御信号を送信して当該特定領域を非快適な状況にするように当該アクチュエータを駆動させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、人物は存在するが、当該人物の盛り上がり度が基準値を満たさないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定し;
前記複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域の人物の盛り上がり度が基準値を満たすように当該人物を制御する制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数のセンサは、人流センサであって、
前記アクチュエータは、空調装置であって、
前記制御部は、温度、風量、および湿度の少なくともいずれかを制御して空間の快適さを制御するための所定の制御信号を生成し、前記アクチュエータに送信するよう制御する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な人物の動線の状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定し;
前記複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域における人物の動線を理想的にするための制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記特定領域の外の領域に配設されるアクチュエータに、前記特定領域における人物の動線を理想的にするための制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複数のセンサは、人流センサであって、
前記アクチュエータは、空調装置、スピーカ、またはエスカレータの少なくともいずれかであって、
前記制御部は、空間の快適さ、音声、またはエスカレータの動作方向を制御するための所定の制御信号を生成し、前記アクチュエータに送信するよう制御する、請求項4または5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサが、
所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定することと、
それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、通信部を介して送信するように制御することと、
を含み、
前記制御することは、
前記特定領域に存在する人物の数が基準値以上であることを条件に、当該特定領域が前記理想的な状況ではないと判定された場合に、当該特定領域に設けられたセンサに対応するアクチュエータに制御信号を送信して当該特定領域を非快適な状況にするように当該アクチュエータを駆動させる、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定することと、
それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、通信部を介して送信するように制御することと、
を実行させ、
前記制御することは、
前記特定領域に存在する人物の数が基準値以上であることを条件に、当該特定領域が前記理想的な状況ではないと判定された場合に、当該特定領域に設けられたセンサに対応するアクチュエータに制御信号を送信して当該特定領域を非快適な状況にするように当該アクチュエータを駆動させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商業施設やイベント会場などにおいて、集まった人々に様々なサービスを提供するロボット装置が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、単体であっても複数の異なるサービスを切り替えて実行可能なロボット装置が開示されている。かかるロボット装置は、移動して所定のエリア内に入ったことを検知したり、所定のイベントを観測したりすると、これに応答してサーバに格納されたコンテンツと結合し、対応するサービスを提供することができる。
【0004】
また、下記特許文献2では、自身の行動に対する周囲の人の反応状況から、人の集まり具合および流れ具合が最少/最大となる行動を学習し、提供するサービスに合った適切な行動を行う移動ロボットが開示されている。
【0005】
また、下記特許文献3では、店舗に来店した顧客の身長や顔の高さで大人、小人、幼児などを検出および混雑度合を検出し、顧客に最適な情報をテーブルから選択して表示、音声を発生、ジェスチャーで表現し、さらに移動して説明や案内を効率的に行うロボットが開示されている。
【0006】
また、下記特許文献4では、施設内を自律移動する各ロボットの現在位置する現場の状況や注視状況に基づいて現場の雰囲気スコアを算出し、現場の雰囲気の推定結果に応じて各ロボットの動作を適宜変更することで、ロボットシステムが提供するサービスを向上させることが開示されている。具体的には、例えば現場で雰囲気が沈んでいるときには、ユーザへの呼び掛け動作や、ユーザの興味を引くための動作をロボットに行わせることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-55931号公報
【文献】特開2012-139798号公報
【文献】特開2008-55578号公報
【文献】特開2012-213828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、いずれもロボットが実際に移動した場所周辺の状況にしか対応することができず、会場全体における人の流れや盛り上がりの状況等を把握することは困難であった。
【0009】
そこで、本開示では、複数配設されたセンサにより場の状況を把握し、理想的な状況になるよう、配設されたアクチュエータを制御することが可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定し、それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、通信部を介して送信するように制御する制御部、を備え、前記制御部は、前記特定領域に存在する人物の数が基準値以上であることを条件に、当該特定領域が前記理想的な状況ではないと判定された場合に、当該特定領域に設けられたセンサに対応するアクチュエータに制御信号を送信して当該特定領域を非快適な状況にするように当該アクチュエータを駆動させる、情報処理装置を提案する。
【0011】
本開示によれば、プロセッサが、所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定することと、それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、通信部を介して送信するように制御することと、を含み、前記制御することは、前記特定領域に存在する人物の数が基準値以上であることを条件に、当該特定領域が前記理想的な状況ではないと判定された場合に、当該特定領域に設けられたセンサに対応するアクチュエータに制御信号を送信して当該特定領域を非快適な状況にするように当該アクチュエータを駆動させる、情報処理方法を提案する。
また、本開示によれば、コンピュータに、所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定することと、それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、通信部を介して送信するように制御することと、を実行させ、前記制御することは、前記特定領域に存在する人物の数が基準値以上であることを条件に、当該特定領域が前記理想的な状況ではないと判定された場合に、当該特定領域に設けられたセンサに対応するアクチュエータに制御信号を送信して当該特定領域を非快適な状況にするように当該アクチュエータを駆動させる、ためのプログラムを提案する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本開示によれば、複数配設されたセンサにより場の状況を把握し、理想的な状況になるよう、配設されたアクチュエータを制御することが可能となる。
【0013】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明する図である。
【
図2】本実施形態による情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態によるセンサ端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態によるアクチュエータ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態による制御サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】第1の実施例の概要を説明するための図である。
【
図7】第1の実施例の動作処理を示すシーケンス図である。
【
図8】第2の実施例の概要を説明するための図である。
【
図9】第2の実施例の動作処理を示すシーケンス図である。
【
図10】第3の実施例の概要を説明するための図である。
【
図11】第3の実施例の動作処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要
2.構成
2-1.全体構成
2-2.センサ端末1の構成
2-3.アクチュエータ装置2の構成
2-4.制御サーバ3の構成
3.各実施例
3-1.第1の実施例
3-2.第2の実施例
3-3.第3の実施例
3-4.その他
4.まとめ
【0017】
<<1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要>>
図1は、本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明する図である。
図1に示すように、例えば展示会の会場等に配設された複数のカメラ(センサ端末1-1a、1-1b)により、会場内の人の流れや盛り上がり状況等を把握することが可能となる。また、カメラが配置されている各エリアには、エアーコンディショナー等の空気調整装置(アクチュエータ装置1-2)が設けられている。
【0018】
ここで、例えばエリア5aでこれからイベントが始まるため、特に人が来て欲しい状況であるが、まだ想定した程の人が集まっていないという状況の場合、本実施形態による情報処理システムは、エリア5aに人を集めて理想的な状況にするよう、空気調整装置(アクチュエータ装置1-2)を制御する。
【0019】
具体的には、例えばエリア5aに設置されている空調装置(アクチュエータ装置1-2a)の設定温度および風量を快適な温度および風量に制御することで、周囲の人を呼び込むことが可能である。例えば暑い日であれば温度を下げ、寒い日であれば温度を上げるよう制御することで、快適な空間とすることができる。なお温度や風量に限定されず、湿度制御も可能であれば湿度も快適な状態に制御するようにしてもよい。
【0020】
また、さらに別の場所であるエリア5bに設置されている空調装置(アクチュエータ装置1-2b)の設定温度および風量を非快適な温度および風量に制御することで、
図1に示すように、エリア5bにいる人をより快適なエリア5aに誘導することが可能となる。
【0021】
このように、本実施形態による情報処理システムは、所定の領域に点在するセンサ端末1およびアクチュエータ装置2を用いて、理想的ではない状況を検知したセンサ端末1に対応するアクチュエータ装置2を制御することで、位置情報を把握せずともピンポイントで場の状況を理想的な状況にコントロールすることが可能となる。場の状況としては、例えば人流、動線、人の滞留、盛り上がり等が挙げられ、理想的ではない状況としては、人が思った通りに動いていない、人がいない、盛り上がっていない等の状況が挙げられる。
【0022】
なお、
図1に示す例では、センサ端末1としてカメラを用いているが、本実施形態はこれに限定されず、例えばマイクロホンや人流センサ等、場の状況が検知可能な他のセンサであってもよい。また、センサ端末1は、複数種類のセンサを有するマルチセンサであってもよい。
【0023】
また、
図1に示す例では、アクチュエータ装置2として空調装置を用いているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば扇風機、加湿器、照明装置、スピーカ、振動装置、表示装置等、場の状況をコントロール可能な他のアクチュエータであってもよい。また、アクチュエータ装置2は、各エリアに複数設けられていてもよい。
【0024】
以上、本開示の一実施形態による情報処理システムについて説明した。続いて、本実施形態による情報処理システムの構成について
図2~
図5を参照して説明する。
【0025】
<<2.構成>>
<2-1.全体構成>
図2は、本実施形態による情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態による情報処理システムは、場の状況を検知するため所定の領域に離散的に配設されたセンサ端末1(1a~1c)、および場の状況をコントロールするため所定の領域に離散的に配設されたアクチュエータ装置2(2a~2c)と、制御サーバ3とを含む。センサ端末1、アクチュエータ装置2、および制御サーバ3は、ネットワーク4を介して接続し、データの送受信を行い得る。また、少なくとも一つのセンサ端末1に対して少なくとも一つのアクチュエータ装置2が対応付けて同じエリアに配置されていることを前提とする。制御サーバ3は、複数のセンサ端末1から得たセンサ情報に基づいて場の状況を判定し、理想的な状況でない場合は、対応するアクチュエータ装置2で場の状況が理想的になるよう制御する。
【0026】
このような情報処理システムの各装置の構成について以下具体的に説明する。
【0027】
<2-2.センサ端末1の構成>
図3は、本実施形態によるセンサ端末1の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、センサ端末1は、センサ10、制御部11、および通信部12を有する。
【0028】
センサ10は、場の状況を判定し得るデータを検知する。例えばセンサ10は、カメラ、マイクロホン、人流センサ、または環境センサ等により実現される。また、センサ端末1は、複数のセンサを有していてもよい。人流センサは、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等により周囲の人々が所持する通信端末から発せられる電波を受信し、検知した情報を集計することで、その場に存在する通信端末の数を把握したり、各装置の滞在期間(いわゆる滞留)を求めることが可能となる。また、通信端末から発せられる電波からはIDを得られる場合もあり、この場合はより正確に各人の滞留や人流を把握することが可能となる。
【0029】
制御部11は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってセンサ端末1内の動作全般を制御する。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部11は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0030】
また、本実施形態による制御部11は、センサ10により検知されたセンサデータを、通信部12からネットワーク4を介して制御サーバ3へ継続的に送信するよう制御する。
【0031】
通信部12は、有線または無線によりネットワーク4と接続し、ネットワーク上の制御サーバ3とデータの送受信を行う。具体的には、通信部12は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、またはWi-Fi(登録商標)、携帯通信網(LTE(Long Term Evolution)、3G(第3世代の移動体通信方式))等によりネットワーク4と通信接続し、制御部11の制御に従って、センサデータを送信する。
【0032】
<2-3.アクチュエータ装置2の構成>
図4は、本実施形態によるアクチュエータ装置2の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、アクチュエータ装置2は、アクチュエータ20、制御部21、および通信部22を有する。
【0033】
アクチュエータ20は、場の状況をコントロールするために、その場にいる人の心境や行動に変化をもたらせる出力装置である。例えばアクチュエータ20は、スピーカ(音声、音量を制御)、表示部(表示内容を制御)、照明部(明るさ、色味を制御)、空調制御部(温度、風量、湿度を制御)、または駆動部(例えばエスカレータの方向を制御)等により実現される。
【0034】
制御部21は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってアクチュエータ装置2内の動作全般を制御する。制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部21は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0035】
また、本実施形態による制御部21は、通信部22によりネットワーク4を介して制御サーバ3から受信した制御信号に従って、場の状況をコントロールするようアクチュエータを制御する。例えば、制御部21は、音声、音量の制御、表示内容の制御、明るさ、色味の制御、空調制御、エスカレータの方向制御等を行う。
【0036】
通信部22は、有線または無線によりネットワーク4と接続し、ネットワーク上の制御サーバ3とデータの送受信を行う。具体的には、通信部22は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、またはWi-Fi(登録商標)、携帯通信網(LTE(Long Term Evolution)、3G(第3世代の移動体通信方式))等によりネットワーク4と通信接続し、制御信号を受信する。
【0037】
<2-4.制御サーバ3の構成>
図5は、本実施形態による制御サーバ3の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、制御サーバ3(情報処理装置)は、制御部30、通信部31、および記憶部32を有する。
【0038】
(制御部30)
制御部30は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って制御サーバ3内の動作全般を制御する。制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部30は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0039】
また、本実施形態による制御部30は、状況判定部301および改善制御部302としても機能する。
【0040】
状況判定部301は、センサ端末1から送信されたセンサデータに基づいて、場の状況が理想的な状況であるか否かを判定する。例えば状況判定部301は、特定の領域における人流、動線、人の滞留、または盛り上がり等が理想的な状況であるか否かを判定する。
【0041】
改善制御部302は、状況判定部301により理想的な状況ではないと判定された特定領域の場の状況を理想的な状況にコントロールするための制御信号を生成し、通信部31から対象となる場のアクチュエータ装置2に送信するよう制御する。すなわち、改善制御部302は、理想的な状況ではないと判定された特定領域に設けられているセンサ端末1に対応するアクチュエータ装置2を特定し、当該アクチュエータ装置2に対して、特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、通信部31を介して送信するように制御する。
【0042】
なお、理想的な状況の判定や、理想的な状況ではない場合のアクチュエータ装置2の制御方法は、記憶部32に記憶されたルールベースで行ってもよいし、アクチュエータ装置2をどう制御したら状況がどう変わったかということを学習し、かかる学習結果に基づいて行ってもよい。
【0043】
(通信部31)
通信部31は、有線または無線によりネットワーク4と接続し、ネットワーク4を介してセンサ端末1やアクチュエータ装置2とデータの送受信を行う。通信部31は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、またはWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、LTE(Long Term Evolution)等によりネットワーク4と通信接続する。本実施形態による通信部31は、所定の領域に配設される複数のセンサ端末1から、検出されたセンサデータを受信し、また、それぞれのセンサ端末1周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータ装置2の少なくとも1つ以上に対して制御信号を送信する。
【0044】
(記憶部32)
記憶部32は、制御部30の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAMにより実現される。例えば本実施形態による記憶部32は、場の状況判定パラメータ、および改善制御ルールを記憶する。
【0045】
<<3.各実施例>>
続いて、本実施形態による情報処理システムについて、複数の実施例を用いて具体的に説明する。
【0046】
<3-1.第1の実施例>
まず、第1の実施例について
図6~
図7を参照して説明する。
【0047】
図6は、第1の実施例の概要を説明するための図である。第1の実施例では、ホール等でのパーティー会場を想定する。主催者は参加者全員に楽しんでもらい、盛り上がってもらいたいと思っているが、場所によっては盛り上がっていない状況も発生してしまうため、一部の参加者にとっては評価の悪いパーティーとなってしまう場合もある。そこで、本実施例では、パーティー会場を
図6に示すようにいくつかのエリア(エリアE1~E6)に分け、各エリアにカメラ(センサ端末1-1)とスピーカ(アクチュエータ装置2-2)を設置し、カメラによりエリアごとに盛り上がり(盛り上がり度)を判定する。そして、盛り上がっていないエリアを検知した場合(盛り上がり度が基準値を満たさない場合)には、当該エリアに設置されているスピーカー(アクチュエータ装置2-2)で、場を盛り上がるための音を出力して改善するよう制御する。
【0048】
かかる第1の実施例の動作処理について
図7を参照して説明する。
図7は、第1の実施例の動作処理を示すシーケンス図である。
【0049】
図7に示すように、まず、会場に設置された全てのカメラ(センサ端末1-1A~1-1F)は、エリア内を撮影し(ステップS103)、撮影画像(センサデータ)を制御サーバ3に送信する(ステップS106)。撮影画像の取得および送信は、継続的に行われる。
【0050】
次に、制御サーバ3は、状況判定部301により、各カメラから送信された撮像画像に対して顔認識を行う(ステップS109)。
【0051】
次いで、所定数以上(例えば2名以上)の顔が認識された場合(ステップS112/Yes)、そのエリアには人がいることが認識されるため、さらに状況判定部301は、撮像画像に基づいて、笑顔認識を行う(ステップS115)。なお、顔が認識されない場合、そのエリアには人がいないと認識できるため(例えば
図6のエリアE2)、場を盛り上げるための改善等の必要はない。
【0052】
次に、状況判定部301は、エリア内で笑顔が認識されなかった場合(ステップS115/No)、当該エリアの場の状況が盛り下がっていると判定する(ステップS121)。このように、本実施例では、人は存在する(集まっている)が、盛り上がっていないエリア(例えば、
図6に示すエリアE6)を判定する。なお状況判定部301は、そのエリアにいる人物の笑顔度の平均を算出し、平均値が基準値を下回った場合、盛り下がっていると判定してもよいし、笑顔でない人を少なくとも一人認識した場合に盛り下がっていると判定してもよい。また、本実施例では、盛り上がり度の一例として笑顔度を用い、笑顔度が基準値を満たす場合(平均値が基準値を上回る場合)に、盛り上がっていると判定している。
【0053】
次いで、改善制御部302は、盛り下がっていると判定されたエリアEnのセンサ端末1-1n(カメラ)に対応するアクチュエータ装置2-2n(スピーカ)を特定する(ステップS124)。例えば、エリアE6のセンサ端末1-1F(カメラ)により撮像された撮像画像に基づいて、エリアE6が盛り下がっていると判定された際、対応するアクチュエータ装置2-2F(スピーカ)を特定する。
【0054】
次に、改善制御部302は、特定したアクチュエータ装置2-1nで場を盛り上げるための音を出力するよう制御する制御信号を生成し、当該アクチュエータ装置2-1nに送信する(ステップS127)。
【0055】
そして、アクチュエータ装置2-1nは、制御サーバ3の指示に従って、場を盛り上げるための音を出力する(ステップS130)。場を盛り上げる音は、例えば威勢の良い音楽や、リズム感の良い音楽等であってもよい。このような音楽を流すことで、場が盛り下がっているエリアに居る人達の気持ちを改善することができる。また、音楽の他、そのエリアに居る人達の話題になる情報を提供してもよい。例えば、「このパーティーは今回で3回目ですが、みなさん前回も出席されたのでしょうか?」といった音声を出力し、そこにいる人達の「前回行かれましたか?」「私は全部行っています」等の会話が始まるきっかけとすることもできる。
【0056】
以上、第1の実施例について具体的に説明した。なお、盛り上がっているか否かの判定は、笑顔認識に限定されず、例えばセンサ端末1としてマイクロホンを用いて、マイクによる音声認識により笑い声や歓声の音声認識、また、一定の音量が観測されたか否かに基づいて、盛り上がっているか否かを判定してもよい。また、状況判定部301は、音声信号処理により音源分離を行い、何人の人が話しているかを認識し、例えば二人以上が話している場合には盛り上がっていると判定することも可能である。
【0057】
<3-2.第2の実施例>
次いで、第2の実施例について
図8~
図9を参照して説明する。
【0058】
図8は、第2の実施例の概要を説明するための図である。第2の実施例では、センサ端末1により検知した場の状況に応じて、所定のエリアに人を集める(理想的な移動、人流、滞留を促す)よう、配設されたアクチュエータ装置2を制御する場合について説明する。
【0059】
例えば、
図8に示すように、商業施設や展示会等において、エリア5bでもうすぐイベントが始まるが、想定した程の人数が集まっていない場合に、配設されたアクチュエータ装置2-1(空調装置)を制御してエリア5bに人を呼び込み、理想的な状況を実現することを可能とする。どのエリアにどの程度の人がいるかは、配設されたセンサ端末1-2(人流センサ)により検知され得る。
【0060】
例えば夏の暑い日であれば、エリア5bのアクチュエータ装置2-1b(空調装置)により温度を下げて快適な空間とすることで、周囲の人を呼び込むことが可能である。また、さらに他のエリア(例えばエリア5a)のアクチュエータ装置2-1a(空調装置)も制御して、エリア5aに居る人々をエリア5bに誘導することも可能である。具体的には、例えば夏の暑い日であれば、エリア5aに配設されたアクチュエータ装置2-1b(空調装置)を停止することでエリア5aの温度や湿度を上げて不快な状態にし、エリア5aの人々が、より快適なエリア5bに移動するよう誘導することができる。
【0061】
かかる第2の実施例の動作処理について
図9を参照して説明する。
図9は、第2の実施例の動作処理を示すシーケンス図である。
【0062】
図9に示すように、まず、施設に設置された全ての人流センサ(センサ端末1-2a、1-2b)は、エリア内の人数を検知し(ステップS203)、検知結果(センサデータ)を制御サーバ3に送信する(ステップS206)。かかる人数の検知および送信は、継続的に行われる。
【0063】
次に、制御サーバ3は、状況判定部301により、各人流センサから送信された検知結果に基づいて、各場所の人数を認識する(ステップS209)。
【0064】
次いで、状況判定部301は、各場所の人数が条件を満たすか否かを判定し(ステップS212)、状況を満たさない場合(ステップS212/Yes)、理想的な状況ではないと判定する(ステップS215)。例えば、エリア5bにおけるイベントの予定動員数が300人であるが、現在のエリア5bの人数が300人を下回っている場合、エリア5bは理想的な状況ではないと判定する。また、エリア5aでは特にイベントが開催されないにも関わらず、所定数以上の多くの人が集まっている場合、理想的な状況ではないと判定される。
【0065】
次に、改善制御部302は、制御するアクチュエータ装置2-1を特定する(ステップS218)。具体的には、改善制御部302は、理想的な状況ではないと判定されたエリアのセンサ端末1-2(人流センサ)に対応するアクチュエータ装置2-1(空調装置)を特定する。例えば、エリア5bのセンサ端末1-2b(人流センサ)の検知結果に基づいて、エリア5bが理想的な状況ではない(予定動員数を満たさない)と判定された際、改善制御部302は、対応するアクチュエータ装置2-1b(空調装置)を特定する。さらに、改善制御部302は、所定数以上の人が集まっている、理想的な状況ではないエリア5aのアクチュエータ装置2-1a(空調装置)も特定してもよい。
【0066】
次いで、改善制御部302は、対象の場所(例えばエリア5a、エリア5b)が理想的な状況となるよう、アクチュエータ装置2-1a、2-1bに対して、それぞれ所定の空調制御を指示し(ステップS221)、アクチュエータ装置2-1a、2-1bにおいて所定の空調制御が行われる(ステップS224)。具体的には、改善制御部302は、例えば夏の暑い日であれば、エリア5bのアクチュエータ装置2-1b(空調装置)の設定温度を上げて風量を弱め、一方エリア5aのアクチュエータ装置2-1a(空調装置)の設定温度を下げて風量を強めるよう制御する。これにより、暑さを感じたエリア5aにいる人達が涼を求めてエリア5bの方に移動することが期待できる。なお季節が冬であれば、設定温度の制御を逆にすればよい。
【0067】
以上、第2の実施例について具体的に説明した。なお、各エリアの人数は、人流センサだけでなく、カメラやマイクロホンにより検知することも可能である。また、人の誘導は、スピーカで直接的に案内をすることも可能であるし、涼を感じさせる風鈴サウンド等で呼び寄せることも可能である。
【0068】
また、本実施例では、アクチュエータ装置2-1(空調装置)が両方のエリア5a、5bに設置されて双方を制御しているが、本実施例はこれに限定されず、どちらか一方に設置されたアクチュエータ装置2-1(空調装置)の設定温度や風量を制御して対象のエリアの場の状況を改善することも可能である。例えば、人を集めたい特定領域以外の他の特定領域に設置されているアクチュエータ装置2-1(空調装置)を制御して、当該他の特定領域を非快適な状況とすることで、相対的に快適な状況となる特定領域に人を誘導することが可能となる。
【0069】
<3-3.第3の実施例>
次に、第2の実施例について
図10~
図11を参照して説明する。
【0070】
図10は、第3の実施例の概要を説明するための図である。第3の実施例では、センサ端末1により検知した場の状況に応じて、所望の動線で人を動かすよう、配設されたアクチュエータ装置2を制御する場合について説明する。
【0071】
例えば、
図10に示すように、展示会等において、扉Aの入口から入って扉Bの出口から出るまでの想定したルートがあるが、人がその通りに動いてくれない場合がある。
図10に示すルートでは、主催者は、まず扉Aから入って1階を矢印の通りに進みながら展示を見た後に、エスカレータ(アクチュエータ装置2-3a)により2階に上がって2階の展示を見て、その後反対側のエスカレータ(アクチュエータ装置2-3b)で1階に下りて扉Bから出て欲しいと考えている。しかし、人によっては通路Aを曲がってしまって一部の展示を見逃すルートを通ってしまうことがあったり、出口の扉Bから人が入ってきてしまい、ルートが分からずに滞留してしまったり、正規のルートで扉Bから出ようとする人とぶつかってしまう恐れもある。
【0072】
そこで、本実施例では、このような展示会等における人流を会場に配設された複数の人流センサ(センサ端末1-2a~1-2h)により検知し、理想的な人流(動線)となるよう、会場に配設された複数の各種アクチュエータ装置2-1(空調装置)、2-2(スピーカ)、2-3(エスカレータ)を制御する。
【0073】
かかる第3の実施例の動作処理について
図11を参照して説明する。
図11は、第3の実施例の動作処理を示すシーケンス図である。
【0074】
図11に示すように、まず、会場に設置された全ての人流センサ(センサ端末1-2a~1-2h)は、エリア内の人数を検知し(ステップS303)、検知結果(センサデータ)を制御サーバ3に送信する(ステップS306)。かかる人数の検知および送信は、継続的に行われる。
【0075】
次に、制御サーバ3は、状況判定部301により、各人流センサから送信された検知結果に基づいて、会場内の人流(動線)と、各場所の滞留を認識する(ステップS309)。
【0076】
次いで、状況判定部301は、各場所の人流または滞留が、各場所にそれぞれ対応する所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS312)。
【0077】
次に、人流または滞留が所定の条件を満たさない場合(ステップS312/Yes)、状況判定部301は、理想的な状況ではないと判定する(ステップS315)。例えば、
図10に示すように、扉Aから入って、センサ端末1-2a、1-2b、1-2c、1-2dの順に人が流れることが理想的であるところ、人々が通路Aを曲がってしまい、センサ端末1-2aから1-2dに人が流れてしまっている場合、理想的な状況ではないと判定する。また、状況判定部301は、例えば通路Aを曲がっていく人の流れが、センサ端末1-2bの方向へ移動する人の流れよりも多い場合に、理想的な人流ではないと判定してもよい。
【0078】
次に、改善制御部302は、制御するアクチュエータ装置2(2-1a~2-1d、2-2a~2-2b、2-3a~2-3b)を特定し(ステップS318)、特定したアクチュエータ装置2に対して、理想的な人流となるよう、所定の制御信号を生成して送信する(ステップS321、S327、S333)。すなわち、改善制御部302は、理想的な人物の動線の状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサ端末1を特定し、さらに当該センサ端末1に対応するアクチュエータ装置2を特定し、当該アクチュエータ装置2に対して、前記特定領域における人物の動線を理想的にするための制御信号を生成し、送信する。
【0079】
そして、各アクチュエータ装置2(2-1a~2-1d、2-2a~2-2b、2-3a~2-3b)は、受信した制御信号に従って、所定の制御(空調制御、音声出力制御、またはエスカレータの駆動制御)を行う(ステップS324、S330、S336)。
【0080】
改善制御の具体例としては、例えば
図10に示す通路Aを曲がってしまう人流が多くなってしまっている場合、夏の暑い日であれば、アクチュエータ装置2-2aのスピーカから風鈴の音を出してセンサ端末1-2bの方へ人を誘導したり、アクチュエータ装置2-1bの空調装置の温度設定を下げてセンサ端末1-2bの方に人が流れやすくする制御を行ってもよい。
【0081】
なお、状況を改善したい特定領域外の領域に配設されるアクチュエータ装置2に、当該特定領域における人物の動線を理想的にするための制御信号を生成して送信してもよい。例えば、特定領域外の領域を非快適な状況とすることで、相対的に特定領域を快適な状況とし、人物の移動を誘導することが可能となる。
【0082】
また、扉Bから人が入ってきて滞留してしまっていることがセンサ端末1-2fの人流センサで検知された場合、改善制御部302は、例えば夏の暑い日であれば、アクチュエータ装置2-1dの空調装置を弱めて温度を上げて扉Bから入りたいと思う気持ちを無くすようにすることができる。さらに、改善制御部302は、扉A付近のアクチュエータ2-1aの空調装置を強めて涼しくし、扉Aから入りたいと思う人を増やして理想的な人流に近付けることが可能となる。
【0083】
また、扉Bから入って滞留する人数があまりにも多い場合、制御サーバ3は、理想的な人流を現状に応じて変化させてもよい。例えば、一時的にエスカレータ2-3bと、エスカレータ2-3aの動きを逆にして、まず扉Bから入った人々をエスカレータ2-3bで2階へ送り、2階の展示を見てからエスカレータ2-3aで降りるように誘導する。これにより、扉B付近での滞留を解消することが可能となる。
【0084】
なお、人流の検知は、人流センサに限定されず、複数のカメラを用いて行うことも可能である。例えば状況判定部301は、カメラにより展示会の通路を撮影した撮影画像に基づいて、顔が多く認識された場合は当該カメラに向かって人が流れていると判定することが可能である。
【0085】
<3-4.その他>
上述した各実施例では、理想的な状況に制御するために、空調装置、スピーカ、エスカレータといったアクチュエータ装置2を用いているが、本開示はこれに限定されず、例えば照明装置、サイネージ装置(表示装置)等を用いてもよい。
【0086】
照明装置の制御の場合、例えば人を集めたい場合は明るくし、人を減らしたい場合は暗くする。また、人を集めたい場合は暖色にし、人を減らしたい場合は寒色にする制御を行ってもよい。
【0087】
また、サイネージ装置の場合、例えば人を集めたい場合はコンテンツを更新し、人を減らしたい場合はコンテンツを終了するよう制御する。また、人を集めたい場合はコンテンツを目立つものにし、人を減らしたい場合はコンテンツを目立たないものにするよう制御してもよい。
【0088】
また、本実施形態は、屋内での場の状況改善制御に限定されず、屋外の場の状況改善制御も同様に行うことが可能である。より具体的には、例えば国際公開第2014/129042号で開示されているような、提示されたコース情報を参照して、映画やドラマ、アニメーション等のコンテンツの舞台になった場所を実際に巡る際に、本実施形態による場の状況改善制御を適用することが可能である。これにより、理想的なコースでの舞台巡りをアシストすることができる。なお、国際公開第2014/129042号は、その全ての内容について、本参照により本明細書に組み込まれる。(The entire contents of WO 2014/129042 are hereby incorporated by reference.)
【0089】
屋外での場の状況改善制御を行うためのアクチュエータ装置2としては、上述したスピーカや表示装置の他、例えば巨大扇風機、モスキート音の発声装置、冷気出力装置、ミスト出力装置、噴水装置等も挙げられる。
【0090】
<<4.まとめ>>
上述したように、本開示の実施形態による情報処理システムでは、複数配設されたセンサにより場の状況を把握し、理想的な状況になるよう、配設されたアクチュエータを制御することが可能となる。
【0091】
具体的には、センサ端末群とアクチュエータ装置群をエリアに点在させることで、想定した場の状況と異なることをセンサ端末群で検知し、アクチュエータ装置群を利用して間接的に人の動きを制御し、理想の場の状況に近づけることを可能とする。また、センサ端末、およびアクチュエータ装置を定点に設置することで、位置情報を取得しなくても場の状況が理解できるようになり、それに対応した制御を可能とする。
【0092】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0093】
例えば、上述したセンサ端末1、アクチュエータ装置2、または制御サーバ3に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、センサ端末1、アクチュエータ装置2、または制御サーバ3の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【0094】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0095】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータを受信し、それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータに対して制御信号を送信可能な通信部と、
前記複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定し;
前記複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する制御部と、
を備える、情報処理装置。
(2)
前記制御部は、
前記複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、人物は存在するが、当該人物の盛り上がり度が基準値を満たさないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定し;
前記複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域の人物の盛り上がり度が基準値を満たすように当該人物を制御する制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記複数のセンサは、カメラまたはマイクロホンの少なくともいずれかであって、
前記アクチュエータは、スピーカであって、
前記制御部は、前記特定領域の人物を盛り上げるための所定の音声信号を生成し、前記特定領域に設置されているアクチュエータに送信するよう制御する、前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記制御部は、
所定の基準値以上の数の人物が存在してほしい特定領域を認識しており;
当該特定領域に設けられたセンサにより検出されたセンサデータに基づき、当該特定領域に存在する人物の数が前記基準値を満たしていないことを検出すると;
前記複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域に存在する人物の数が基準値を満たすように人物の移動を制御するための制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(5)
前記制御部は、
前記特定領域のセンサに対応するアクチュエータと、当該特定領域以外に設けられたアクチュエータとに制御信号を送信し、当該特定領域以外の領域よりも当該特定領域を快適な状況にすることにより、当該特定領域以外の領域から当該特定領域に人物を誘導する、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記制御部は、
前記特定領域以外である他の特定領域に設けられたセンサにより検出されたセンサデータに基づき、当該他の特定領域に存在する人物の数が一定値以上存在すると検出すると;
前記特定領域のセンサに対応するアクチュエータと、当該他の特定領域に設けられたアクチュエータとに制御信号を送信することによって、当該他の特定領域よりも当該特定領域が相対的に快適な状況にすることにより、当該他の特定領域から当該特定領域に人物を誘導する、前記(5)に記載の情報処理装置。
(7)
前記複数のセンサは、人流センサであって、
前記アクチュエータは、空調装置であって、
前記制御部は、温度、風量、および湿度の少なくともいずれかを制御して空間の快適さを制御するための所定の制御信号を生成し、前記アクチュエータに送信するよう制御する、前記(4)~(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(8)
前記制御部は、
前記複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な人物の動線の状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定し;
前記複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域における人物の動線を理想的にするための制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(9)
前記制御部は、
前記特定領域外の領域に配設されるアクチュエータに、前記特定領域における人物の動線を理想的にするための制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御する、前記(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記複数のセンサは、人流センサであって、
前記アクチュエータは、空調装置、スピーカ、またはエスカレータの少なくともいずれかであって、
前記制御部は、空間の快適さ、音声、またはエスカレータの動作方向を制御するための所定の制御信号を生成し、前記アクチュエータに送信するよう制御する、前記(8)または(9)に記載の情報処理装置。
(11)
プロセッサが、
所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータを受信し、また、それぞれのセンサ周辺に少なくとも一つずつ対応付けて配設される複数のアクチュエータに対して制御信号を送信することが可能な通信部により、所定の領域に配設される複数のセンサから検出されたセンサデータを受信することと、
前記複数のセンサから検出されたセンサデータに基づき、理想的な状況ではないと判定される特定領域に設けられるセンサを特定することと、
前記複数のアクチュエータから当該センサに対応するアクチュエータを特定し、当該アクチュエータに対して、前記特定領域を理想的な状況にするための制御信号を生成し、前記通信部を介して送信するように制御することと、
を含む、情報処理方法。
【符号の説明】
【0096】
1(1-1、1-2) センサ端末
2(2-1~2-3) アクチュエータ装置
3 制御サーバ
4 ネットワーク
5a、5b エリア
10 センサ
11 制御部
12 通信部
20 アクチュエータ
21 制御部
22 通信部
30 制御部
31 通信部
32 記憶部
301 状況判定部
302 改善制御部