(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】同軸コネクタ装置及びコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
H01R 24/40 20110101AFI20221004BHJP
【FI】
H01R24/40
(21)【出願番号】P 2021507146
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2020008183
(87)【国際公開番号】W WO2020189221
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2019050505
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】山内 貴生
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伊知朗
(72)【発明者】
【氏名】林 立堯
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-043939(JP,A)
【文献】特開2016-195087(JP,A)
【文献】特開平09-120870(JP,A)
【文献】特開2018-116908(JP,A)
【文献】登録実用新案第3191979(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
13/56-13/72
24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの中心導体との接続がなされる中心導体接続部、及び、回路基板に装着された相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続される接触接続部を有し、上記中心導体
及び上記相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部
を含む一連の通電経路を構成するシグナルコンタクト部材と、
相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される環状嵌合部、及び、該環状嵌合部から屈曲可能に伸びて上記中心導体接続部に接続された中心導体を有した同軸ケーブルの外側導体との接続がなされるシェル部を有し、グラウンド電位が与えられるグラウンドコンタクト部材と、
上記シグナルコンタクト部材及び上記グラウンドコンタクト部材を相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材と、
を備えて構成され、
上記グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部に、上記同軸ケーブルの中心導体が接続される上記シグナルコンタクト部材の中心導体接続部もしくは上記シグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続される上記同軸ケーブルの中心導体を配するための開口部が設けられたもとで、上記グラウンドコンタクト部材のシェル部もしくは上記絶縁ハウジング部材に、グラウンド電位が与えられるとともに、上記相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に上記環状嵌合部が嵌合する方向から見て、上記通電経路を覆い、上記環状嵌合部に設けられた上記開口部を部分的に塞ぎ、上記環状嵌合部が上記相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続された状態において、上記相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に接触する導電部材が設けられ
、
上記導電部材が、上記グラウンドコンタクト部材のシェル部とは別体に設けられ、上記絶縁ハウジング部材に固定されていることを特徴とする同軸コネクタ装置。
【請求項2】
導電性のシグナルコンタクト部材と、導電性のグラウンドコンタクト部材と、上記シグナルコンタクト部材を保持して上記グラウンドコンタクト部材の内部に収容される絶縁性のハウジング部材と、を備え、
上記シグナルコンタクト部材は、
同軸ケーブルの中心導体に接続される接続部と、
相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触する接触部と、を有し、
上記中心導体
及び上記相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部
を含む一連の通電経路を構成し、
上記グラウンドコンタクト部材は、
上記接触部を収容して上記相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合する環状嵌合部と、
上記環状嵌合部の外において、上記ハウジング部材の端部と上記同軸ケーブルの端部との少なくとも一部を収容するシェル部と、
少なくとも上記ハウジング部材の端部を上記シェル部内に保持する締付部と、
上記環状嵌合部の内部と上記シェル部の内部とを連通させるように上記環状嵌合部に設けられた開口部と、
上記開口部の少なくとも一部を塞ぎ、上記環状嵌合部と共に上記接触部を囲み、上記環状嵌合部が上記相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合した状態において、上記相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に接触する第1導電部と、
上記相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に上記環状嵌合部が嵌合する方向から見て、上記通電経路を、上記締付部と上記第1導電部との間の全長に亘って覆い、上記第1導電部と上記締付部との間を経て、上記第1導電部と上記締付部とを電気的に接続する第2導電部と、を有する同軸コネクタ装置。
【請求項3】
上記第2導電部が上記締付部に固定され、上記第1導電部が上記第2導電部に固定されている、請求項
2記載の同軸コネクタ装置。
【請求項4】
上記第1導電部及び上記第2導電部が上記ハウジング部材に固定され、上記第2導電部が締付部に接触する、請求項
2記載の同軸コネクタ装置。
【請求項5】
上記第1導電部及び上記第2導電部が上記環状嵌合部に固定され、上記第2導電部が上記締付部に接触する、請求項
2記載の同軸コネクタ装置。
【請求項6】
上記第1導電部が上記環状嵌合部に固定され、
上記第2導電部が上記ハウジング部材に固定され、上記第1導電部と上記締付部とに接触する、請求項
2記載の同軸コネクタ装置。
【請求項7】
上記第1導電部が上記環状嵌合部に固定され、
上記第2導電部が上記締付部に固定され、上記第1導電部に接触する、請求項
2記載の同軸コネクタ装置。
【請求項8】
請求項
2~
7のいずれか一項記載の同軸コネクタ装置と、
上記相手方コネクタ装置と、を備えるコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、中心導体とそれを内部絶縁体を介して包囲する外側導体とが外部絶縁体により被覆されて成る同軸ケーブルの中心導体及び外側導体が夫々接続される、互いに絶縁されたシグナルコンタクト部材及びグラウンドコンタクト部材を備えて成り、他のコネクタ装置である相手方コネクタ装置に連結される同軸コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気部品,電気装置あるいは電子機器間等における高周波信号の伝送には、外部ノイズの影響を受け難い信号伝送路を形成する、中心導体とそれを内部絶縁体を介して包囲する外部導体とが外部絶縁体により被覆されて成る同軸ケーブルが用いられることが多い。例えば、同軸ケーブルが高周波信号を扱う回路基板に接続されて、当該回路基板からその外部への同軸ケーブルを通じた高周波信号の伝送、あるいは、当該回路基板への外部からの高周波信号の同軸ケーブルを通じた伝送が行われる。
【0003】
同軸ケーブルが回路基板に接続される際には、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材と同軸ケーブルの外部導体が接続されるグラウンドコンタクト部材とを備えた同軸コネクタ装置が同軸ケーブルの一端に装着され、その同軸コネクタ装置が、例えば、回路基板において扱われる高周波信号が供給されるシグナルコンタクト部とシグナルコンタクト部を包囲して配されてグラウンド電位が与えられる環状グラウンドコンタクト部を備えて回路基板に取り付けられた相手方コネクタ装置に機械的かつ電気的に連結される。このような同軸コネクタ装置が相手方コネクタ装置に機械的かつ電気的に連結される状態は、例えば、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材が相手方コネクタ装置の環状グラウンドコンタクト部に嵌合接続されるもとで、同軸コネクタ装置のシグナルコンタクト部材が相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続されることによりとられる。
【0004】
斯かる同軸コネクタ装置の相手方コネクタ装置との連結が行われるにあたっては、回路基板に取り付けられた相手方コネクタ装置が、例えば、それにおけるシグナルコンタクト部と環状グラウンドコンタクト部とを回路基板における部品等搭載面の上方に向かわせるものとされ、その相手方コネクタ装置に対して、同軸ケーブルの一端に装着された同軸コネクタ装置が、回路基板における部品等搭載面の上方からその部品等搭載面に向かう方向をもって係合せしめられて、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材が相手方コネクタ装置の環状グラウンドコンタクト部に嵌合接続されるとともに、同軸コネクタ装置のシグナルコンタクト部材が相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続される。従って、相手方コネクタ装置が取り付けられた回路基板上において、同軸コネクタ装置は、回路基板における部品等搭載面から突出するものとなる。
【0005】
上述のようにして、同軸ケーブルの一端に装着されて、回路基板に取り付けられた相手方コネクタ装置に連結される同軸コネクタ装置として、従来、例えば、特許文献1に示されるようなものが提案されている。
【0006】
特許文献1に開示されている同軸コネクタ装置(同軸コネクタ(10)) は、同軸ケーブル(ケーブル(C))の中心導体(芯線(C1)) が接続される中心導体接続部(結線部(24))を有したシグナルコンタクト部材(端子(13)) と同軸ケーブルの外側導体(シールド線(C2)) との接続がなされるグラウンドコンタクト部材(外部導体(11)) とが、絶縁ハウジング部材(誘電体(12)) によって相互絶縁状態をもって保持されて構成されたものとされている。そして、斯かる同軸コネクタ装置が連結される相手方コネクタ装置(相手コネクタ(60)) は、回路基板における信号端子部に接続されたシグナルコンタクト部(中心導体(62)) とシグナルコンタクト部の接触接続部(接触部(62A))を包囲するグラウンドコンタクト部(外部導体(61))とが、絶縁ハウジング部材(誘電体(63)) によって相互絶縁状態をもって保持されて構成されたものとされる。
【0007】
そして、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材における環状嵌合部(嵌合筒状部(14))は、金属板が湾曲せしめられて環状を成すものとして形成されていて、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材の中心導体接続部を配するための開口部を形成すべく対向配置された一対の開放部(14A) を有している。そして、一対の開放部(14A) からは、同軸ケーブルの中心導体を挟んで相互対向する一対の腕部(15)が夫々伸びている。
【0008】
また、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材は、環状嵌合部の一端から屈曲して伸びるシェル部(蓋部(16)) を有していて、シェル部には、中心導体がシグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続された同軸ケーブルに対する締付けを行う第1の締付部(囲繞部(17)) 及び第2の締付部(保持部(20))が設けられており、そのうちの第1の締付部は、一対の腕部(15)をそれらの外側から包むようにして同軸ケーブルに対する締付けを行っている。それにより、中心導体がシグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続された同軸ケーブルが同軸コネクタ装置に固定される。
【0009】
さらに、同軸コネクタ装置の絶縁ハウジング部材は、グラウンドコンタクト部材における環状嵌合部の内側に配される本体部(21)を有しており、本体部(21)の中央部には透孔(孔部(21A))が形成されていて、その透孔内には、シグナルコンタクト部材における接触接続部(接触部(25))が配されている。
【0010】
斯かるもとで、同軸コネクタ装置が相手方コネクタ装置に連結される際には、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材における環状嵌合部が相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続されるとともに、同軸コネクタ装置のシグナルコンタクト部材における接触接続部が相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続される。そして、同軸コネクタ装置のグラウンドコンタクト部材及び相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部の夫々は、グラウンド電位が与えられた状態におかれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の従来提案されている同軸コネクタ装置においては、それが相手方コネクタ装置に連結されたもとにおいて、グラウンドコンタクト部材における環状嵌合部が相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続された状態におかれたとき、中央部に形成された透孔内にシグナルコンタクト部材における接触接続部が配された絶縁ハウジング部材の本体部が、グラウンドコンタクト部材における環状嵌合部に形成された開口部及びその開口部とグラウンドコンタクト部材のシェル部に設けられた第1の締付部との間の隙間を透して、グラウンド電位が与えられた導電部材を介することなく、同軸コネクタ装置の外部に臨んでいる。そのため、従来提案されている同軸コネクタ装置は、環状嵌合部に形成された開口部及びその開口部とグラウンドコンタクト部材のシェル部に設けられた第1の締付部との間の隙間を通じて、絶縁ハウジング部材の本体部の内部に配されたシグナルコンタクト部材における接触接続部を通じる高周波信号が、同軸コネクタ装置の外部へと漏洩し、他の電子部品や電子機器等に対するノイズ妨害を生じることになるという不都合を伴っていることになる。
【0013】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材と、同軸ケーブルの外側導体が接続されるグラウンドコンタクト部材と、シグナルコンタクト部材とグラウンドコンタクト部材とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材と、を備えて構成されて相手方コネクタ装置に連結されるものとされ、グラウンドコンタクト部材が、相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される環状嵌合部を有し、その環状嵌合部に、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材の中心導体接続部もしくはシグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続される同軸ケーブルの中心導体を配するための開口部が設けられたもとにあっても、シグナルコンタクト部材を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部に設けられた開口部を通じての外部への漏洩を効果的に軽減することができる同軸コネクタ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の特許請求の範囲における請求項のいずれかに記載された発明に係る同軸コネクタ装置(以下、本願発明に係る同軸コネクタ装置という。)は、同軸ケーブルの中心導体との接続がなされる中心導体接続部、及び、回路基板に装着された相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続される接触接続部を有したシグナルコンタクト部材と、相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される環状嵌合部、及び、環状嵌合部から屈曲可能に伸びて、中心導体接続部に接続された中心導体を有した同軸ケーブルの外側導体との接続がなされるシェル部を有し、グラウンド電位が与えられるグラウンドコンタクト部材と、シグナルコンタクト部材及びグラウンドコンタクト部材を相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材とを備えて構成され、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部に、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材の中心導体接続部もしくはシグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続される同軸ケーブルの中心導体を配するための開口部が設けられたもとで、グラウンドコンタクト部材のシェル部もしくは絶縁ハウジング部材に、グラウンド電位が与えられるとともに環状嵌合部に設けられた開口部を部分的に塞ぐ導電部材が設けられたことを特徴とするものとされる。
【0015】
このような本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、グラウンド電位が与えられるグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部に設けられた、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材の中心導体接続部もしくはシグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続される同軸ケーブルの中心導体を配するための開口部を、部分的に塞ぐものとされた導電部材が、グラウンドコンタクト部材のシェル部もしくは絶縁ハウジング部材に設けられて、グラウンド電位が与えられた状態におかれる。それにより、本願発明に係る同軸コネクタ装置が回路基板に装着された相手方コネクタ装置に連結されて、シグナルコンタクト部材の接触接続部が、回路基板に装着された相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続されるとともに、グラウンドコンタクト部材の環状嵌合部が、回路基板に装着された相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続されたもとにおいて、グラウンド電位が与えられた導電部材が、環状嵌合部に設けられた開口部を部分的に塞ぐものとされることになる。
【0016】
斯かる導電部材は、例えば、グラウンドコンタクト部材のシェル部が、シグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続された中心導体を有した同軸ケーブルに対する締め付けを行う締付部が設けられたものとされたもとで、当該締付部に一体的に形成されたもの、もしくは、グラウンドコンタクト部材のシェル部とは別体に設けられて、絶縁ハウジング部材に固定されたものとされる。
【発明の効果】
【0017】
上述のような本願発明に係る同軸コネクタ装置にあっては、回路基板に装着された相手方コネクタ装置に連結されて、シグナルコンタクト部材の接触接続部が、回路基板に装着された相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続されるとともに、グラウンド電位が与えられるグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部が、回路基板に装着された相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続されたもとにおいて、グラウンド電位が与えられた導電部材が、環状嵌合部に設けられた開口部を部分的に塞ぐものとされるので、斯かる本願発明に係る同軸コネクタ装置によれば、シグナルコンタクト部材を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部に設けられた開口部を通じての外部への漏洩を効果的に軽減することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例を示す斜視図である。
【
図2】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
【
図3】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。
【
図4】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図である。
【
図5】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す平面図である。
【
図6】
図5におけるVI-VI線断面を示す断面図である。
【
図7】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例が連結される相手方コネクタ装置の一例を、それが取り付けられた回路基板と共に示す斜視図である。
【
図8】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例が、同軸ケーブルの一端部に装着されたもとで、回路基板に取り付けられた相手方コネクタ装置の一例に機械的かつ電気的に連結された状態を示す平面図である。
【
図9】
図8におけるIX-IX線断面を示す断面図である。
【
図10】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例を示す斜視図である。
【
図11】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が備える絶縁ハウジング及び導電部材を示す斜視図である。
【
図12】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が備える導電部材を示す下方側から見た斜視図である。
【
図13】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が備える導電部材を示す上方側から見た斜視図である。
【
図14】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
【
図15】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。
【
図16】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図である。
【
図17】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す平面図である。
【
図18】
図17における XVIII-XVIII 線断面を示す断面図である。
【
図19】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例が、同軸ケーブルの一端部に装着されたもとで、回路基板に取り付けられた相手方コネクタ装置の一例に連結された状態を示す平面図である。
【
図20】
図19におけるXX-XX線断面を示す断面図である。
【
図21】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第3の例を示す斜視図である。
【
図22】
図21における絶縁ハウジングを省略した斜視図である。
【
図23】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第3の例が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
【
図24】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第3の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。
【
図25】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第3の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図である。
【
図26】
図25における締付部の締付前の状態を示す斜視図である。
【
図27】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第3の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す平面図である。
【
図28】
図27におけるXXVIII-XXVIII線断面を示す断面図である。
【
図29】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第3の例が、同軸ケーブルの一端部に装着されたもとで、回路基板に取り付けられた相手方コネクタ装置の一例に機械的かつ電気的に連結された状態を示す平面図である。
【
図30】
図29におけるXXX-XXX線断面を示す断面図である。
【
図31】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第4の例を示す斜視図である。
【
図32】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第4の例が同軸ケーブルの一端部に装着される過程を示す斜視図である。
【
図33】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第4の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図である。
【
図34】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第4の例が同軸ケーブルの一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図である。
【
図35】
図33におけるXXXV-XXXV線断面を示す断面図である。
【
図36】ハウジングを下方側から見た斜視図である。
【
図38】本願発明に係る同軸コネクタ装置の第4の例が、同軸ケーブルの一端部に装着されたもとで、回路基板に取り付けられた相手方コネクタ装置の一例に機械的かつ電気的に連結された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4をもって説明される。
〔実施例1〕
【0020】
図1は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の第1の例を成す同軸コネクタ装置11を示す。
図1に示される同軸コネクタ装置11は、同軸ケーブルの一端部に装着されて用いられるものとされている。同軸コネクタ装置11が一端部に装着される同軸ケーブルは、後述される
図2に同軸ケーブル12として示されており、中心導体13と、中心導体13を密着包囲する内部絶縁体14と、内部絶縁体14を密着包囲する外側導体15と、外側導体15を密着包囲する表皮絶縁体16とを有している。斯かる同軸ケーブル12における同軸コネクタ装置11が装着される一端部は、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともに、その外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれる。
【0021】
斯かるもとで、同軸コネクタ装置11は、主要構成要素として、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の中心導体13との電気的接続がなされるものとされたシグナルコンタクト部材20と、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の外側導体15との電気的接続がなされるものとされたグラウンドコンタクト部材21と、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、シグナルコンタクト部材20とグラウンドコンタクト部材21とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材22とを備えている。
【0022】
絶縁ハウジング部材22は、シグナルコンタクト部材20を保持した筒状部23、及び、筒状部23から伸びて、シグナルコンタクト部材20に接続される同軸ケーブル12の中心導体13をシグナルコンタクト部材20を介して支持する中心導体支持部24が設けられたものとされている。
【0023】
グラウンドコンタクト部材21は、絶縁ハウジング部材22の筒状部23を部分的に包囲する環状嵌合部25を有している。環状嵌合部25には、それにおける一対の相互対向する端部25aによって挟まれた開口部OP1が形成されており、一対の端部25aからは、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24に沿って伸びる一対の腕部26が夫々伸びていて、一対の腕部26は、中心導体支持部24を挟んで相互対向するものとされている。このような絶縁ハウジング部材22の筒状部23とそれを部分的に包囲するグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25とは、同軸コネクタ装置11における嵌合連結部を構成しており、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置11は、斯かる嵌合連結部をもって、他のコネクタ装置である相手方コネクタ装置に嵌合連結される。その際、環状嵌合部25は、相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される。
【0024】
また、グラウンドコンタクト部材21は、環状嵌合部25に加えて、環状嵌合部25の一端から折曲可能に伸び、折り曲げられるとき、中心導体13がシグナルコンタクト部材20に接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされることになるシェル部27を有している。グラウンドコンタクト部材21のシェル部27は、環状嵌合部25に対して折り曲げられていない直立位置と環状嵌合部25に対して折り曲げられた屈曲位置とを選択的にとるものとされていて、
図1においては、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が直立位置をとるものとされており、後述される
図3~
図5においては、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が屈曲位置をとるものとされている。以下、シェル部27が屈曲位置にある場合について説明を継続する。シェル部27は、環状嵌合部25の外(環状嵌合部25の外周に沿う仮想円の外)に位置し、絶縁ハウジング部材22の端部(中心導体支持部24の端部)と同軸ケーブル12の端部の少なくとも一部を収容する。環状嵌合部25の上記開口部OP1(一対の端部25aによって挟まれた開口部)は、環状嵌合部25の内部とシェル部27の内部とを連通させる。シェル部27は、環状嵌合部25の外に張り出したベース板27aと、ベース板27aに対して起立した一対の側板27bとを有する。一対の側板27bの端部には、折り曲げられて絶縁ハウジング部材22の端部と同軸ケーブル12の端部とをシェル部27内に保持する一対の締付部27cが設けられている。例えば締付部27cは、ベース板27aと協働して、絶縁ハウジング部材22の端部と同軸ケーブル12の端部とを保持する。具体的に、締付部27cは、絶縁ハウジング部材22の端部と同軸ケーブル12の端部とをベース板27aとの間に挟む。各締付部27cは、環状嵌合部25から離れる方向に順に並ぶ第1の締付部28及び第2の締付部29を有する。締付部28は、中心導体支持部24と、同軸ケーブル12の端部において露出した外側導体15に対する締め付けを行う。特に
図6に示されるように、締付部29は、同軸ケーブル12の端部において露出した外側導体15に対する締め付けを行う。これらにより、グラウンドコンタクト部材21が外側導体15に接続される。
【0025】
グラウンドコンタクト部材21のシェル部27に設けられた一対の第1の締付部28には、各々の一端部から屈曲して伸びるものとされた一対の導電部材30が、第1の締付部28に一体的に形成されたものとして設けられている。これら一対の導電部材30は、一対の第1の締付部28の各々が折り曲げられて同軸ケーブル12に対する締め付けを行う状態におかれるとき、相互近接して配されるものとされる(後述される
図4に示される。)。
【0026】
同軸コネクタ装置11におけるシグナルコンタクト部材20は、後述される
図6に示されるように、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24に支えられて配されて同軸ケーブル12の中心導体13との接続がなされる中心導体接続部31と、中心導体接続部31から伸びて絶縁ハウジング部材22の筒状部23内に配され、相手方コネクタ装置のシグナルコンタクト部に接触接続される接触接続部32(接触部)(後述される
図4に現れている。)とを有している。中心導体接続部31は、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24から、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部OP1を通じて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25によって部分的に包囲された絶縁ハウジング部材22の筒状部23内へと伸びて配されており、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部OP1は、同軸ケーブル12の中心導体13が接続されるシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31を配するために形成されたものとなっている。
【0027】
上述のような同軸コネクタ装置11が、同軸ケーブル12の一端部に装着されるに際しては、先ず、
図2に示されるように、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともにその外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれた一端部を有した同軸ケーブル12の中心導体13が、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が直立位置をとるもとにおいて、絶縁ハウジング部材22の中心導体支持部24に支えられて配されたシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に載置される。そして、同軸ケーブル12の中心導体13は、例えば、超音波溶接や半田付け等によって、シグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続されて固定される。
【0028】
その後、直立位置をとるグラウンドコンタクト部材21のシェル部27が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25に対して折り曲げられて屈曲位置をとるものとされる。それにより、シェル部27は、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に当接せしめられる。
【0029】
さらにその後、屈曲位置をとるものとされたシェル部27において、一対の第1の締付部28の夫々が折り曲げられて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aから夫々伸びる一対の腕部26をそれらの外側から包むようにして一対の腕部26に対する締付けを行うとともに、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に対する締付けを行うものとされ、また、一対の第2の締付部29の夫々が折り曲げられて、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に対する締付けを行うものとされる。それにより、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27が、中心導体13がシグナルコンタクト部材20の中心導体接続部31に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に接続されて固定される。その結果、
図3,
図4,
図5及び
図6に示されるように、同軸ケーブル12の一端部に同軸コネクタ装置11が装着された状態が堅固に維持されることになる。
図3は、同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図であり、
図4は、同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図であり、
図5は、同軸コネクタ装置11が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す平面図であり、
図6は、
図5におけるVI-VI線断面を示す断面図である。
【0030】
このとき、
図4に示されるように、一対の第1の締付部28にそれらの各々の一端部から屈曲して伸びるものとされて設けられた一対の導電部材30が、相互近接したものとされて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部OP1を、部分的に塞ぐ位置に配されるものとされる。それにより、内部にシグナルコンタクト部材20の接触接続部32が配された、絶縁ハウジング部材22の筒状部23が、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25と一対の導電部材30とによって包囲された状態におかれることになる。各導電部材30は、上記開口部OP1の少なくとも一部を塞ぎ、環状嵌合部25と共に上記接触接続部32を包囲する(筒状部23を包囲する)第1導電部30aと、第1導電部30aから環状嵌合部25の外方(環状嵌合部25の中心軸から遠ざかる方向)に張り出して締付部27cに接続される第2導電部30bとを含む。第1導電部30aと第2導電部30bとは、締付部28に固定されている。例えば第1導電部30aと第2導電部30bとは、一枚の板材から締付部28と一体的に形成されている。
【0031】
図7は、同軸コネクタ装置11が連結される相手方コネクタ装置の一例を成す相手方コネクタ装置40と、相手方コネクタ装置40が装着された回路基板41とを示す。相手方コネクタ装置40は、回路基板41における部品等搭載面42上に固定されている。
【0032】
相手方コネクタ装置40は、導電材料により形成され、回路基板41における部品等搭載面42に立設されて、回路基板41の部品等搭載面42に設けられたシグナル端子(図示が省略されている。)に電気的に連結されたシグナルコンタクト部43と、導電材料により環状体を成すものとして形成され、回路基板41における部品等搭載面42に、それからその外方に突出してシグナルコンタクト部43を包囲する状態をもって固定されて、部品等搭載面42に設けられたグラウンド電位部(図示が省略されている。)に電気的に連結されたグラウンドコンタクト部44とを備えている。そして、グラウンドコンタクト部44は、相手方コネクタ装置40に連結される同軸コネクタ装置11が備えるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25が嵌合接続されるものとされている。
【0033】
図8及び
図9は、
図3,
図4,
図5及び
図6に示される同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置11が、
図7に示される相手方コネクタ装置40に連結された状態を示す。
図8及び
図9に示されるような、同軸コネクタ装置11が相手方コネクタ装置40に連結された状態がとられる際には、同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25が相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に嵌合接続される。さらに、同軸コネクタ装置11が備えるグラウンドコンタクト部材21のシェル部27における第1の締付部28にそれと一体に設けられた導電部材30が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に接触接続される。
【0034】
このようにして、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に嵌合接続されるとともに、グラウンドコンタクト部材21のシェル部27における第1の締付部28にそれと一体に設けられた導電部材30が、相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44に接触接続されたもとにあっては、
図8におけるIX-IX線断面を示す
図9に示されるように、同軸コネクタ装置11における絶縁ハウジング部材22により支持されて、その中心導体接続部31に同軸ケーブル12の中心導体13が接続されたシグナルコンタクト部材20における、絶縁ハウジング部材22における筒状部23の内部に配された接触接続部32が、相手方コネクタ装置40のシグナルコンタクト部43に接触接続されたものとされる。それにより、同軸ケーブル12の中心導体13が、同軸コネクタ装置11におけるシグナルコンタクト部材20及び相手方コネクタ装置40のシグナルコンタクト部43を通じて、回路基板41の部品等搭載面42に設けられたシグナル端子に連結され、また、同軸ケーブル12の外側導体15が、同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21及び相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44を通じて、回路基板41に設けられたグラウンド電位部に連結された状態が得られる。
【0035】
そして、このとき、同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21のシェル部27における一対の第1の締付部28にそれらの各々の一端部から屈曲して伸びるものとされて第1の締付部28と一体的に設けられた一対の導電部材30の第1導電部30aは、一対の第1の締付部28及び相手方コネクタ装置40のグラウンドコンタクト部44を通じてグラウンド電位が与えられたもとで、相互近接したものとされて、グラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25における一対の端部25aに挟まれて形成された開口部OP1を部分的に塞ぐ位置に配されるものとされており、それにより、内部に同軸コネクタ装置11におけるシグナルコンタクト部材20の接触接続部32が配された、同軸コネクタ装置11における絶縁ハウジング部材22の筒状部23が、グラウンド電位が与えられた同軸コネクタ装置11におけるグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25と一対の導電部材30とによって包囲された状態におかれることになる。その結果、同軸コネクタ装置11にあっては、それにおけるシグナルコンタクト部材20を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材21の環状嵌合部25に設けられた開口部OP1を通じての外部への漏洩を、効果的に軽減することができることになる。さらに、環状嵌合部25と締付部27cとの間の少なくとも一部が導電部材30の第2導電部30bによって塞がれるので、環状嵌合部25と締付部27cとの間を通じての上記高周波信号の漏洩をも効果的に軽減することができることになる。
〔実施例2〕
【0036】
図10は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の第2の例を成す同軸コネクタ装置51を示す。同軸コネクタ装置51も、同軸ケーブルの一端部に装着されて用いられるものとされており、同軸コネクタ装置51が一端部に装着される同軸ケーブルは、前述の
図2に示される同軸ケーブル12と同様のものであって、
図2に示されるように、同軸コネクタ装置51が装着される一端部は、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともに、その外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれる。
【0037】
斯かるもとで、同軸コネクタ装置51は、主要構成要素として、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の中心導体13との電気的接続がなされるものとされたシグナルコンタクト部材52と、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の外側導体15との電気的接続がなされるものとされたグラウンドコンタクト部材53、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、シグナルコンタクト部材52とグラウンドコンタクト部材53とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材54とを備えている。グラウンドコンタクト部材53は、後述の導電部材58を含む。導電部材58は、グラウンドコンタクト部材53の本体から分離した状態で形成される。
【0038】
絶縁ハウジング部材54は、
図11にも示されるように、シグナルコンタクト部材52を保持した筒状部55、及び、筒状部55から伸びて、シグナルコンタクト部材52に接続される同軸ケーブル12の中心導体13を支持する中心導体支持部56が設けられたものとされている。そして、筒状部55の一端からは、折曲可能とされて、折り曲げられたときシグナルコンタクト部材52に押圧当接する状態をとる折曲当接部57が伸びている。
【0039】
図11に示されるように、絶縁ハウジング部材54にあっては、それにおける中心導体支持部56の外面部に、弾性導電性材料により形成された導電部材58が取り付けられている。導電部材58は、
図12及び
図13に示されるように、例えば、金属板材に打抜き・屈曲加工が施されて形成されるものとされており、その一端部を成す弾性当接部59を有している。そして、導電部材58には一対の係合透孔60が形成されていて、これらの係合透孔60の夫々が絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に設けられた突出係合部61に係合せしめられて、導電部材58が絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に固定される。
【0040】
同軸コネクタ装置51におけるグラウンドコンタクト部材53は、絶縁ハウジング部材54の筒状部55を部分的に包囲する環状嵌合部65を有している。環状嵌合部65には、それにおける一対の相互対向する端部65aによって挟まれた開口部OP2が形成されており、一対の端部65aからは、絶縁ハウジング部材54の中心導体支持部56に沿って伸びる一対の腕部66が夫々伸びていて、一対の腕部66は、中心導体支持部56を挟んで相互対向するものとされている。このような絶縁ハウジング部材54の筒状部55とそれを部分的に包囲するグラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65とは、同軸コネクタ装置51における嵌合連結部を構成しており、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置51は、斯かる嵌合連結部をもって、相手方コネクタ装置に嵌合連結される。その際、環状嵌合部65は、相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される。
【0041】
また、グラウンドコンタクト部材53は、環状嵌合部65に加えて、環状嵌合部65の一端から折曲可能に伸び、折り曲げられるとき、中心導体13がシグナルコンタクト部材52に接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされることになるシェル部67を有している。グラウンドコンタクト部材53のシェル部67は、環状嵌合部65に対して折り曲げられていない直立位置と環状嵌合部65に対して折り曲げられた屈曲位置とを選択的にとるものとされていて、
図10においては、グラウンドコンタクト部材53のシェル部67が直立位置をとるものとされており、後述される
図15~
図17においては、グラウンドコンタクト部材53のシェル部67が屈曲位置をとるものとされている。以下、シェル部67が屈曲位置にある場合について説明を継続する。シェル部67は、環状嵌合部65の外(環状嵌合部65の外周に沿う仮想円の外)に位置し、絶縁ハウジング部材54の端部(中心導体支持部56)と同軸ケーブル12の端部とを収容する。環状嵌合部65の上記開口部OP2(一対の端部65aによって挟まれた開口部)は、環状嵌合部65の内部とシェル部67の内部とを連通させる。シェル部67は、環状嵌合部65の外に張り出したベース板67aと、ベース板67aに対して起立した一対の側板67bとを有する。一対の側板67bの端部には、折り曲げられて絶縁ハウジング部材54の端部と同軸ケーブル12の端部とをシェル部67内に保持する一対の締付部67cが設けられている。例えば締付部67cは、ベース板67aと協働して、絶縁ハウジング部材54の端部と同軸ケーブル12の端部とを保持する。具体的に、締付部67cは、絶縁ハウジング部材54の端部と同軸ケーブル12の端部とをベース板67aとの間に挟む。各締付部67cは、環状嵌合部65から離れる方向に順に並ぶ第1の折曲係合部68、第2の折曲係合部69及び第3の折曲係合部70を有する。折曲係合部68は、絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に固定された導電部材58に係合する。これにより、導電部材58が締付部67cに接続される。特に
図18に示されるように、折曲係合部69は、同軸ケーブル12の端部において露出した外側導体15に係合する。これにより、グラウンドコンタクト部材53が外側導体15に接続される。折曲係合部70は、同軸ケーブル12の端部の表皮絶縁体16に係合する。
【0042】
同軸コネクタ装置51におけるシグナルコンタクト部材52は、略L字状に屈曲可能とされて設けられて、屈曲せしめられたとき同軸ケーブル12の中心導体13に接触接続される中心導体接続部71と、シグナルコンタクト部材52における中心導体接続部71が設けられた部分から伸びる接触接続部72(接触部)(
図16に現れている。)と、を有して構成されている。接触接続部72は、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65によって部分的に包囲された絶縁ハウジング部材54の筒状部55内に配されたものとされる。
【0043】
上述のような同軸コネクタ装置51が、同軸ケーブル12の一端部に装着されるに際しては、先ず、
図14に示されるように、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともにその外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれた一端部を有した同軸ケーブル12の中心導体13が、グラウンドコンタクト部材53のシェル部67が直立位置をとるもとにおいて、絶縁ハウジング部材54に設けられた中心導体支持部56に載置される。
【0044】
その後、直立位置をとるグラウンドコンタクト部材53のシェル部67が、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65に対して折り曲げられて屈曲位置をとるものとされる。その際、絶縁ハウジング部材54に設けられた折曲当接部57がシェル部67に伴って折り曲げられ、シグナルコンタクト部材52における中心導体接続部71に当接して、その中心導体接続部71を絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56に載置された同軸ケーブル12の中心導体13に向けて押圧移動させ、中心導体接続部71に同軸ケーブル12の中心導体13との押圧接触接続状態をとらせる。それにより、シグナルコンタクト部材52における中心導体接続部71に同軸ケーブル12の中心導体13が機械的及び電気的に接続された状態が得られる。このとき、シグナルコンタクト部材52の中心導体接続部71に接続される同軸ケーブル12の中心導体13は、絶縁ハウジング部材54の中心導体支持部56から、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65における一対の端部65aに挟まれて形成された開口部OP2を通じて、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65によって部分的に包囲された絶縁ハウジング部材54の筒状部55内へと伸びて配されており、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65における一対の端部65aに挟まれて形成された開口部OP2は、シグナルコンタクト部材52の中心導体接続部71に接続される同軸ケーブル12の中心導体13を配するために形成されたものとなっている。
【0045】
さらにその後、屈曲位置をとるものとされたシェル部67において、一対の第1の折曲係合部68の夫々が折り曲げられて絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に固定された導電部材58に係合せしめられ、また、一対の第2の折曲係合部69の夫々が折り曲げられて中心導体13がシグナルコンタクト部材52における中心導体接続部71に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に係合せしめられ、さらに、一対の第3の折曲係合部70の夫々が折り曲げられて中心導体13がシグナルコンタクト部材52における中心導体接続部71に接続された同軸ケーブル12の表皮絶縁体16に係合せしめられる。それにより、グラウンドコンタクト部材53のシェル部67が、中心導体13がシグナルコンタクト部材52における中心導体接続部71に接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされる。その結果、
図15,
図16,
図17及び
図18に示されるように、同軸ケーブル12の一端部に同軸コネクタ装置51が装着された状態が堅固に維持されることになる。
図15は、同軸コネクタ装置51が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図であり、
図16は、同軸コネクタ装置51が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図であり、
図17は、同軸コネクタ装置51が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す平面図であり、
図18は、
図17における XVIII-XVIII 線断面を示す断面図である。
【0046】
このとき、
図18に示されるように、絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に固定された導電部材58が、それにおける弾性当接部59を形成する部分によって、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65における一対の端部65aに挟まれて形成された開口部OP2を、部分的に塞ぐ位置に配されるものとされる。それにより、内部にシグナルコンタクト部材52の接触接続部72が配された、絶縁ハウジング部材54の筒状部55が、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65と導電部材58とによって包囲された状態におかれることになる。このように、導電部材58は、上記開口部OP2の少なくとも一部を塞ぎ、環状嵌合部65と共に上記接触接続部72を包囲する(筒状部55を包囲する)第1導電部58a(弾性当接部59)と、第1導電部58aから環状嵌合部65の外方(環状嵌合部65の中心軸から遠ざかる方向)に張り出して締付部67cに接続される第2導電部58bとを含む。第1導電部58aと第2導電部58bとは、上述のように絶縁ハウジング部材54に固定され、第2導電部58bが締付部67cの折曲係合部68に接触する。
【0047】
【0048】
相手方コネクタ装置75は、
図19におけるXX-XX線断面を示す
図20に示されるように、回路基板76における部品等搭載面77上に固定されており、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、相手方コネクタ装置75が固定される回路基板76の部品等搭載面77上に配される絶縁基体78を備えている。また、相手方コネクタ装置75は、導電材料により形成されて絶縁基体78に組み付けられたシグナルコンタクト部80を備えている。シグナルコンタクト部80には、絶縁基体78をそれに形成された透孔を通じて貫通した円柱状部を成す接触接続部81と、接触接続部81から絶縁基体78の外部へと伸びるシグナル用接続部82と、が設けられている。接触接続部81は、相手方コネクタ装置75に連結された同軸コネクタ装置51におけるシグナルコンタクト部材52が有する接触接続部72が接触接続されるものとされており、また、シグナル用接続部82は、絶縁基体78が配された回路基板76の部品等搭載面77に設けられたシグナル端子(図示が省略されている。)に、例えば、半田付けによって接続される。
【0049】
さらに、相手方コネクタ装置75は、導電材料により環状体を成すものとして形成され、絶縁基体78に、それからその外方に突出して、シグナルコンタクト部80における接触接続部81を包囲する状態をもって組み付けられたグラウンドコンタクト部85を備えている。グラウンドコンタクト部85には、それから絶縁基体78の外部へと伸びるグラウンド接続部85aが設けられており、グラウンド接続部85aは、絶縁基体78が配された回路基板76の部品等搭載面77に設けられたグラウンド電位部(図示が省略されている。)に、例えば、半田付けによって接続される。そして、グラウンドコンタクト部85は、相手方コネクタ装置75に連結される同軸コネクタ装置51が備えるグラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65が嵌合接続されるものとされている。
【0050】
図19及び
図20に示されるような、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置51が相手方コネクタ装置75に連結された状態がとられる際には、同軸コネクタ装置51におけるグラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65が相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に嵌合接続される。それとともに、同軸コネクタ装置51が備える絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に固定された導電部材58が、それにおける一端部を成す弾性当接部59を相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に当接させて、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に接触接続される。それにより、導電部材58が回路基板76の部品等搭載面77に設けられたグラウンド電位部に連結される。
【0051】
このようにして、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置51におけるグラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に嵌合接続されるとともに、同軸コネクタ装置51が備える絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に固定された導電部材58が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に接触接続されたもとにあっては、
図20に示されるように、同軸コネクタ装置51における絶縁ハウジング部材54により支持されて、その中心導体接続部71に同軸ケーブル12の中心導体13が接続されたシグナルコンタクト部材52における、絶縁ハウジング部材54における筒状部55の内部に配された接触接続部72が、相手方コネクタ装置75のシグナルコンタクト部80における接触接続部81に接触接続されたものとされる。それにより、同軸ケーブル12の中心導体13が、同軸コネクタ装置51におけるシグナルコンタクト部材52及び相手方コネクタ装置75のシグナルコンタクト部80を通じて、回路基板76の部品等搭載面77に設けられたシグナル端子に連結され、また、同軸ケーブル12の外側導体15が、同軸コネクタ装置51におけるグラウンドコンタクト部材53及び相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85を通じて、回路基板76に設けられたグラウンド電位部に連結された状態が得られる。
【0052】
そして、このとき、同軸コネクタ装置51が備える絶縁ハウジング部材54における中心導体支持部56の外面部に固定された導電部材58が、同軸コネクタ装置51におけるグラウンドコンタクト部材53のシェル部67に設けられた一対の第1の折曲係合部68及び相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85を通じてグラウンド電位が与えられたもとで、それにおける弾性当接部59(第1導電部58a)を形成する部分によって、グラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65における一対の端部65aに挟まれて形成された開口部OP2を、部分的に塞ぐ位置に配されるものとされており、それにより、内部に同軸コネクタ装置51におけるシグナルコンタクト部材52の接触接続部72が配された、同軸コネクタ装置51における絶縁ハウジング部材54の筒状部55が、グラウンド電位が与えられた同軸コネクタ装置51におけるグラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65と導電部材58とによって包囲された状態におかれることになる。その結果、同軸コネクタ装置51にあっては、それにおけるシグナルコンタクト部材52を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材53の環状嵌合部65に設けられた開口部OP2を通じての外部への漏洩を、効果的に軽減することができることになる。さらに、環状嵌合部65と締付部67cとの間の少なくとも一部が導電部材58の第2導電部58bによって塞がれるので、環状嵌合部65と締付部67cとの間を通じての上記高周波信号の漏洩をも効果的に軽減することができることになる。
〔実施例3〕
【0053】
図21は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の第3の例を成す同軸コネクタ装置111を示す。同軸コネクタ装置111は、主要構成要素として、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の中心導体13との電気的接続がなされるものとされたシグナルコンタクト部材112と、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の外側導体15との電気的接続がなされるものとされたグラウンドコンタクト部材113と、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、シグナルコンタクト部材112とグラウンドコンタクト部材113とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材114とを備えている。
【0054】
絶縁ハウジング部材114は、シグナルコンタクト部材112を保持した筒状部115、及び、筒状部115から伸びて、シグナルコンタクト部材112に接続される同軸ケーブル12の中心導体13をシグナルコンタクト部材112を介して支持する中心導体支持部116が設けられたものとされている。そして、筒状部115の一端からは、折曲可能とされて、折り曲げられたときシグナルコンタクト部材112に押圧当接する状態をとる折曲当接部117が伸びている。
【0055】
グラウンドコンタクト部材113は、絶縁ハウジング部材114の筒状部115を部分的に包囲する環状嵌合部118を有している。環状嵌合部118には、それにおける一対の相互対向する端部118aによって挟まれた開口部OP3が形成されており、一対の端部118aからは、絶縁ハウジング部材114の中心導体支持部116に沿って伸びる一対の腕部119が夫々伸びていて、一対の腕部119は、中心導体支持部116を挟んで相互対向するものとされている。このような絶縁ハウジング部材114の筒状部115とそれを部分的に包囲するグラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118とは、同軸コネクタ装置111における嵌合連結部を構成しており、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置111は、斯かる嵌合連結部をもって、他のコネクタ装置である相手方コネクタ装置に嵌合連結される。その際、環状嵌合部118は、相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される。
【0056】
また、グラウンドコンタクト部材113は、環状嵌合部118に加えて、環状嵌合部118の一端から折曲可能に伸び、折り曲げられるとき、中心導体13がシグナルコンタクト部材112に接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされることになるシェル部120を有している。グラウンドコンタクト部材113のシェル部120は、環状嵌合部118に対して折り曲げられていない直立位置と環状嵌合部118に対して折り曲げられた屈曲位置とを選択的にとるものとされていて、
図21においては、グラウンドコンタクト部材113のシェル部120が直立位置をとるものとされており、後述される
図24~
図30においては、グラウンドコンタクト部材113のシェル部120が屈曲位置をとるものとされている。以下、シェル部120が屈曲位置にある場合について説明を継続する。シェル部120は、環状嵌合部118の外(環状嵌合部118の外周に沿う仮想円の外)に位置し、絶縁ハウジング部材114の端部(中心導体支持部116の端部)と同軸ケーブル12の端部の少なくとも一部を収容する。環状嵌合部118の上記開口部OP3(一対の端部118aによって挟まれた開口部OP3)は、環状嵌合部118の内部とシェル部120の内部とを連通させる。シェル部120は、環状嵌合部118の外に張り出したベース板120aと、ベース板120aに対して起立した一対の側板120bとを有する。一対の側板120bの端部には、折り曲げられて絶縁ハウジング部材114の端部と同軸ケーブル12の端部とをシェル部120内に保持する一対の締付部120cが設けられている。例えば締付部120cは、ベース板120aと協働して、絶縁ハウジング部材114の端部と同軸ケーブル12の端部とを保持する。具体的に、締付部120cは、絶縁ハウジング部材114の端部と同軸ケーブル12の端部とをベース板120aとの間に挟む。各締付部120cは、環状嵌合部118から離れる方向に順に並ぶ第1の折曲係合部121、第2の折曲係合部122及び第3の折曲係合部123を有する。
図23、
図24、及び
図28に特に示される様に折曲係合部121は、絶縁ハウジング部材114の端部に係合する。折曲係合部122は、同軸ケーブル12の端部において露出した外側導体15に係合する。これにより、グラウンドコンタクト部材113が外側導体15に接続される。折曲係合部123は、同軸ケーブル12の端部の表皮絶縁体16に係合する。
【0057】
同軸コネクタ装置111におけるシグナルコンタクト部材112は、略L字状に屈曲可能とされて設けられて、屈曲せしめられたとき同軸ケーブル12の中心導体13に接触接続される中心導体接続部126と、シグナルコンタクト部材112における中心導体接続部126が設けられた部分から伸びる接触接続部127(接触部)(
図25に現れている。)と、を有して構成されている。接触接続部127は、グラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118によって部分的に包囲された絶縁ハウジング部材114の筒状部115内に配されたものとされる。
【0058】
図22に示すように、同軸コネクタ装置111におけるグラウンドコンタクト部材113は、上記開口部OP3の少なくとも一部を塞ぎ、環状嵌合部118と共に上記接触接続部127を包囲する(筒状部115を包囲する)第1導電部124と、第1導電部124から環状嵌合部118の外方(環状嵌合部118の中心軸から遠ざかる方向)に張り出して締付部120cに接続される第2導電部125とを含む。第1導電部124と第2導電部125とは、環状嵌合部118に固定され、第2導電部125が折曲係合部121に接触する。例えば同軸コネクタ装置111は、環状嵌合部118の一対の端部118aに夫々固定された一対の第1導電部124と、一対の第1導電部124に夫々連なる一対の第2導電部125とを備える。一対の第1導電部124及び一対の第2導電部125は、一枚の板材から環状嵌合部118と一体的に形成されている。一対の第1導電部124は、一対の端部118aから、上記仮想円に沿って上記開口部OP3の中央まで夫々突出している。一対の第2導電部125は、一対の第1導電部124の端部に夫々連なり、環状嵌合部118の外方に張り出している。一対の第2導電部125の端部は、中心導体支持部116と共に一対の折曲係合部121によって締め付けられる(
図25、
図26、及び
図28参照)。これにより、第2導電部125が折曲係合部121に接触し、締付部120cに接続される。
【0059】
上述のような同軸コネクタ装置111が、同軸ケーブル12の一端部に装着されるに際しては、先ず、
図23に示されるように、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともにその外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれた一端部を有した同軸ケーブル12の中心導体13が、グラウンドコンタクト部材113のシェル部120が直立位置をとるもとにおいて、絶縁ハウジング部材114に設けられた中心導体支持部116に載置される。
【0060】
その後、直立位置をとるグラウンドコンタクト部材113のシェル部120が、グラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118に対して折り曲げられて屈曲位置をとるものとされる。その際、絶縁ハウジング部材114に設けられた折曲当接部117がシェル部120の屈曲に伴って折り曲げられ、シグナルコンタクト部材112における中心導体接続部126に当接して、その中心導体接続部126を絶縁ハウジング部材114における中心導体支持部116に載置された同軸ケーブル12の中心導体13に向けて押圧移動させ、中心導体接続部126に同軸ケーブル12の中心導体13との押圧接触接続状態をとらせる。それにより、シグナルコンタクト部材112における中心導体接続部126に同軸ケーブル12の中心導体13が機械的及び電気的に接続された状態が得られる。このとき、シグナルコンタクト部材112の中心導体接続部126に接続される同軸ケーブル12の中心導体13は、絶縁ハウジング部材114の中心導体支持部116から、グラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118における一対の端部118aに挟まれて形成された開口部OP3を通じて、絶縁ハウジング部材114の筒状部115内へと伸びて配されている。グラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118における一対の端部118aに挟まれて形成された開口部OP3は、シグナルコンタクト部材112の中心導体接続部126に接続される同軸ケーブル12の中心導体13を配するために形成されたものとなっている。
【0061】
さらにその後、屈曲位置をとるものとされたシェル部120において、一対の第1の折曲係合部121の夫々が折り曲げられて絶縁ハウジング部材114における中心導体支持部116に係合せしめられ、一対の第2導電部125に夫々接触する(
図25及び
図26参照)。また、一対の折曲係合部122の夫々が折り曲げられて中心導体13がシグナルコンタクト部材112における中心導体接続部126に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に係合せしめられる。さらに、一対の第3の折曲係合部123の夫々が折り曲げられて中心導体13がシグナルコンタクト部材112における中心導体接続部126に接続された同軸ケーブル12の表皮絶縁体16に係合せしめられる。それにより、グラウンドコンタクト部材113のシェル部120が、シグナルコンタクト部材112における中心導体接続部126に中心導体13が接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされる。その結果、
図24,
図25,
図27及び
図28に示されるように、同軸ケーブル12の一端部に同軸コネクタ装置111が装着された状態が堅固に維持されることになる。
図24は、同軸コネクタ装置111が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図であり、
図25は、同軸コネクタ装置111が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図であり、
図27は、同軸コネクタ装置111が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す平面図であり、
図28は、
図27における XXVIII-XXVIII線断面を示す断面図である。
【0062】
図29及び
図30は、
図24,
図25,
図27及び
図28に示される同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置111が、相手方コネクタ装置75に連結された状態を示す。同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置111が相手方コネクタ装置75に連結された状態がとられる際には、同軸コネクタ装置111におけるグラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118が相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に嵌合接続される。それとともに、同軸コネクタ装置111が備える第1導電部124が相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に接触接続される。
【0063】
このようにして、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置111におけるグラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に嵌合接続されるとともに、第1導電部124が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に接触接続されたもとにあっては、
図30に示されるように、同軸コネクタ装置111における絶縁ハウジング部材114により支持されて、その中心導体接続部126に同軸ケーブル12の中心導体13が接続されたシグナルコンタクト部材112における、絶縁ハウジング部材114における筒状部115の内部に配された接触接続部127が、相手方コネクタ装置75のシグナルコンタクト部80における接触接続部81に接触接続されたものとされる。それにより、同軸ケーブル12の中心導体13が、同軸コネクタ装置111におけるシグナルコンタクト部材112及び相手方コネクタ装置75のシグナルコンタクト部80を通じて、回路基板76の部品等搭載面77に設けられたシグナル端子に連結され、また、同軸ケーブル12の外側導体15が、同軸コネクタ装置111におけるグラウンドコンタクト部材113及び相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85を通じて、回路基板76に設けられたグラウンド電位部に連結された状態が得られる。
【0064】
そして、このとき、第1導電部124が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85を通じてグラウンド電位が与えられたもとで、環状嵌合部118の開口部OP3を、部分的に塞ぐ位置に配されるものとされており、それにより、内部に同軸コネクタ装置111におけるシグナルコンタクト部材112の接触接続部127が配された、同軸コネクタ装置111における絶縁ハウジング部材114の筒状部115が、グラウンド電位が与えられた同軸コネクタ装置111におけるグラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118と第1導電部124とによって包囲された状態におかれることになる。その結果、同軸コネクタ装置111にあっては、それにおけるシグナルコンタクト部材112を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材113の環状嵌合部118に設けられた開口部OP3を通じての外部への漏洩を、効果的に軽減することができることになる。さらに、環状嵌合部118と折曲係合部121との間の少なくとも一部が第2導電部125によって塞がれるので、環状嵌合部118と折曲係合部121との間を通じての上記高周波信号の漏洩をも効果的に軽減することができることになる。
〔実施例4〕
【0065】
図31は、本願発明に係る同軸コネクタ装置の第4の例を成す同軸コネクタ装置211を示す。同軸コネクタ装置211は、主要構成要素として、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の中心導体13との電気的接続がなされるものとされたシグナルコンタクト部材212と、弾性導電性材料により形成されて、同軸ケーブル12の外側導体15との電気的接続がなされるものとされたグラウンドコンタクト部材213と、合成樹脂材等の絶縁材料により形成されて、シグナルコンタクト部材212とグラウンドコンタクト部材213とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材214とを備えている。
【0066】
絶縁ハウジング部材214は、シグナルコンタクト部材212を保持した筒状部215、及び、筒状部215から伸びて、シグナルコンタクト部材212に接続される同軸ケーブル12の中心導体13をシグナルコンタクト部材212を介して支持する中心導体支持部216が設けられたものとされている。そして、筒状部215の一端からは、折曲可能とされて、折り曲げられたときシグナルコンタクト部材212に押圧当接する状態をとる折曲当接部217が伸びている。
【0067】
グラウンドコンタクト部材213は、絶縁ハウジング部材214の筒状部215を部分的に包囲する環状嵌合部218を有している。環状嵌合部218には、それにおける一対の相互対向する端部218aによって挟まれた開口部OP4が形成されている。このような絶縁ハウジング部材214の筒状部215とそれを部分的に包囲するグラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218とは、同軸コネクタ装置211における嵌合連結部を構成しており、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置211は、斯かる嵌合連結部をもって、他のコネクタ装置である相手方コネクタ装置に嵌合連結される。以下、同軸コネクタ装置211が相手方コネクタ装置に嵌合連結された状態を「嵌合連結状態」という。嵌合連結状態において、環状嵌合部218は相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される。筒状部215は、嵌合連結状態において相手方コネクタ装置に対向する第1端面215aと、嵌合連結状態において相手方コネクタ装置の反対に向かう第2端面215bとを有する。環状嵌合部218は、第1端面215aと同じ方向に向かう第1縁部218bと、第2端面215bと同じ方向に向かう第2縁部218cとを有する。中心導体支持部216は、第1端面215aと同じ方向に向かう第1面216aと、第2端面215bと同じ方向に向かう第2面216bと、第1面216a及び第2面216bに垂直な一対の側面216cとを有する。
【0068】
環状嵌合部218の一対の端部218aからは、絶縁ハウジング部材214の中心導体支持部216に沿って伸びる一対の腕部221が夫々伸びている。一対の腕部221は、一対の側面216cの少なくとも一部をそれぞれ覆う。腕部221は、筒状部215の第1端面215aと同じ方向に向かう第1縁部221aと、筒状部215の第2端面215bと同じ方向に向かう第2縁部221bとを有する。各腕部221の第1縁部221aからは、他方の腕部221に向かって内側締付部222が張り出している。内側締付部222は、中心導体支持部216の第1面216aの少なくとも一部を覆う。一対の腕部221からそれぞれ張り出した一対の内側締付部222の端部は、第1面216aの中央において互いに対向している。
【0069】
また、グラウンドコンタクト部材213は、環状嵌合部218に加えて、環状嵌合部218の第2縁部218cから折曲可能に伸び、該第2縁部218cを基点とし折り曲げられるとき、中心導体13がシグナルコンタクト部材212に接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされることになるシェル部230を有している。グラウンドコンタクト部材213のシェル部230は、環状嵌合部218に対して折り曲げられていない直立位置と環状嵌合部218に対して折り曲げられた屈曲位置とを選択的にとるものとされていて、
図31及び
図32においては、グラウンドコンタクト部材213のシェル部230が直立位置をとるものとされており、後述される
図33~
図35においては、グラウンドコンタクト部材213のシェル部230が屈曲位置をとるものとされている。以下、シェル部230が屈曲位置にある場合について説明を継続する。シェル部230は、環状嵌合部218の外(環状嵌合部218の外周に沿う仮想円の外)に位置し、絶縁ハウジング部材214の端部(中心導体支持部216の端部)と同軸ケーブル12の端部との少なくとも一部を収容する。環状嵌合部218の上記開口部OP4(一対の端部218aによって挟まれた開口部)は、環状嵌合部218の内部とシェル部230の内部とを連通させる。
【0070】
シェル部230は、ベース板230aと、一対の側板230bとを有する。ベース板230aは、筒状部215の第2端面215bの少なくとも一部を覆う。ベース板230aは環状嵌合部218の外に張り出しており、中心導体支持部216の第2面216bの少なくとも一部を更に覆う。一対の側板230bは、ベース板230aのうち環状嵌合部218の外に張り出した部分に設けられている。一対の側板230bは、中心導体支持部216の第1面216aと同じ方向に向かってベース板230aから起立し、互いに対向している。各側板230bは、中心導体支持部216との間に腕部221を挟む。
【0071】
一対の側板230bの端部には、折り曲げられて絶縁ハウジング部材214の端部と同軸ケーブル12の端部とをシェル部230内に保持する一対の外側締付部230cが設けられている。例えば外側締付部230cは、ベース板230aと協働して、絶縁ハウジング部材214の端部と同軸ケーブル12の端部とを保持する。具体的に、外側締付部230cは、絶縁ハウジング部材214の端部と同軸ケーブル12の端部とをベース板230aとの間に挟む。各外側締付部230cは、環状嵌合部218から離れる方向に順に並ぶ第1の折曲係合部231、第2の折曲係合部232及び第3の折曲係合部233を有する。
図33、
図34、及び
図38に特に示される様に折曲係合部231は、内側締付部222を介して絶縁ハウジング部材214の端部に係合する。折曲係合部232は、同軸ケーブル12の端部において露出した外側導体15に係合する。これにより、グラウンドコンタクト部材213が外側導体15に接続される。折曲係合部233は、同軸ケーブル12の端部の表皮絶縁体16に係合する。
【0072】
同軸コネクタ装置211におけるシグナルコンタクト部材212は、略L字状に屈曲可能とされて設けられて、屈曲せしめられたとき同軸ケーブル12の中心導体13に接触接続される中心導体接続部241と、シグナルコンタクト部材212における中心導体接続部241が設けられた部分から伸びる接触接続部242(接触部)(
図34に現れている。)と、を有して構成されている。接触接続部242は、グラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218によって部分的に包囲された絶縁ハウジング部材214の筒状部215内に配されたものとされる。
【0073】
図34に示すように、同軸コネクタ装置211におけるグラウンドコンタクト部材213は、上記開口部OP4の少なくとも一部を塞ぎ、環状嵌合部218と共に上記接触接続部242を包囲する(筒状部215を包囲する)第1導電部234を有する。第1導電部234は環状嵌合部218に固定されている。例えば同軸コネクタ装置211は、環状嵌合部218の一対の端部218aに夫々固定された一対の第1導電部234を有する。一対の第1導電部234は、一枚の板材から環状嵌合部218と一体的に形成されている。一対の第1導電部234は、一対の端部218aから、上記仮想円に沿って上記開口部OP4の中央まで夫々突出している。
【0074】
図36に示されるように、絶縁ハウジング部材214にあっては、それにおける中心導体支持部216の第1面216aに、弾性導電性材料により形成された導電部材251(第2導電部)が取り付けられている。導電部材251は、例えば、金属板材に打抜き・屈曲加工が施されて形成されるものとされており、
図37に示すように、ベース板252と、接触部253と、一対の爪部254とを有する。ベース板252は、円弧状に窪んだ端部252aと、端部252aに交わる2か所の側部252bとを有する。接触部253は、端部252aに設けられており、ベース板252に対して垂直に起立している。接触部253は、端部252aに沿って円弧状に湾曲しており、凹状の接触面253aを構成している。接触面253aの曲率は、第1導電部234の外面(環状嵌合部218の外面)の曲率と同等である。一対の爪部254は、2か所の側部252bにそれぞれ設けられており、ベース板252に対して接触部253と同じ方向に起立している。導電部材251は、接触面253aが筒状部215に面するように配置され、中心導体支持部216に固定される。中心導体支持部216には、第1面216aに開口する2か所の差込孔261が形成されており、一対の爪部254は2か所の差込孔261にそれぞれ差し込まれる。中心導体支持部216に固定された導電部材251の接触部253は、一対の第1導電部234に接触し、ベース板252は一対の内側締付部222に接触する(
図35参照)。
【0075】
上述のような同軸コネクタ装置211が、同軸ケーブル12の一端部に装着されるに際しては、先ず、
図32に示されるように、表皮絶縁体16が部分的に切除されて外側導体15が露出するとともにその外側導体15及び内部絶縁体14の夫々が部分的に切除されて中心導体13が露出する状態におかれた一端部を有した同軸ケーブル12の中心導体13が、グラウンドコンタクト部材213のシェル部230が直立位置をとるもとにおいて、絶縁ハウジング部材214に設けられた中心導体支持部216に載置される。
【0076】
その後、シェル部230が、グラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218に対して折り曲げられて屈曲位置をとるものとされる。その際、絶縁ハウジング部材214に設けられた折曲当接部217がシェル部230の屈曲に伴って折り曲げられ、シグナルコンタクト部材212における中心導体接続部241に当接して、中心導体接続部241を絶縁ハウジング部材214における中心導体支持部216に載置された同軸ケーブル12の中心導体13に向けて押圧移動させ、中心導体接続部241に同軸ケーブル12の中心導体13との押圧接触接続状態をとらせる。それにより、シグナルコンタクト部材212における中心導体接続部241に同軸ケーブル12の中心導体13が機械的及び電気的に接続された状態が得られる。このとき、シグナルコンタクト部材212の中心導体接続部241に接続される同軸ケーブル12の中心導体13は、絶縁ハウジング部材214の中心導体支持部216から、グラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218における開口部OP4を通じて、絶縁ハウジング部材214の筒状部215内へと伸びて配されている。開口部OP4は、シグナルコンタクト部材212の中心導体接続部241に接続される同軸ケーブル12の中心導体13を配するために形成されたものとなっている。
【0077】
さらにその後、屈曲位置をとるものとされたシェル部230において、一対の第1の折曲係合部231、一対の折曲係合部232、一対の折曲係合部233の夫々が折り曲げられ、絶縁ハウジング部材214の端部と同軸ケーブル12の端部とがシェル部230内に保持された状態となる。一対の折曲係合部231の夫々は、内側締付部222を介して絶縁ハウジング部材214における中心導体支持部216に係合せしめられる。これにより、中心導体支持部216が内側締付部222及び折曲係合部231によりシェル部230内に保持された状態となる。また、折曲係合部231と導電部材251とが内側締付部222を介して電気的に接続された状態となる(
図34及び
図35参照)。一対の折曲係合部232の夫々は、中心導体13がシグナルコンタクト部材212における中心導体接続部241に接続された同軸ケーブル12の外側導体15に係合せしめられる。一対の第3の折曲係合部233の夫々は、シグナルコンタクト部材212における中心導体接続部241に中心導体13が接続された同軸ケーブル12の表皮絶縁体16に係合せしめられる。それにより、グラウンドコンタクト部材213のシェル部230が、中心導体13がシグナルコンタクト部材212における中心導体接続部241に接続された同軸ケーブル12の外側導体15との接続がなされる。その結果、
図33、
図34及び
図35に示されるように、同軸ケーブル12の一端部に同軸コネクタ装置211が装着された状態が堅固に維持されることになる。
図33は、同軸コネクタ装置211が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す上方側から見た斜視図であり、
図34は、同軸コネクタ装置211が同軸ケーブル12の一端部に装着された状態を示す下方側から見た斜視図であり、
図35は、
図33における XXXV-XXXV線断面を示す断面図である。
【0078】
図38は、
図33、
図34及び
図35に示される同軸コネクタ装置211が、相手方コネクタ装置75に連結された状態を示す。同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置211が相手方コネクタ装置75に連結された状態がとられる際には、同軸コネクタ装置211におけるグラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218が相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に嵌合接続される。それとともに、同軸コネクタ装置211が備える第1導電部234が相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に接触接続される。
【0079】
このようにして、同軸ケーブル12の一端部に装着された同軸コネクタ装置211におけるグラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に嵌合接続されるとともに、第1導電部234が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85に接触接続されたもとにあっては、同軸コネクタ装置211における絶縁ハウジング部材214により支持されて、その中心導体接続部241に同軸ケーブル12の中心導体13が接続されたシグナルコンタクト部材212における、絶縁ハウジング部材214における筒状部215の内部に配された接触接続部242が、相手方コネクタ装置75のシグナルコンタクト部80における接触接続部81に接触接続されたものとされる。それにより、同軸ケーブル12の中心導体13が、同軸コネクタ装置211におけるシグナルコンタクト部材212及び相手方コネクタ装置75のシグナルコンタクト部80を通じて、回路基板76の部品等搭載面77に設けられたシグナル端子に連結され、また、同軸ケーブル12の外側導体15が、同軸コネクタ装置211におけるグラウンドコンタクト部材213及び相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85を通じて、回路基板76に設けられたグラウンド電位部に連結された状態が得られる。
【0080】
そして、このとき、第1導電部234が、相手方コネクタ装置75のグラウンドコンタクト部85を通じてグラウンド電位が与えられたもとで、環状嵌合部218の開口部OP4を、部分的に塞ぐ位置に配されるものとされており、それにより、内部に同軸コネクタ装置211におけるシグナルコンタクト部材212の接触接続部242が配された、同軸コネクタ装置211における絶縁ハウジング部材214の筒状部215が、グラウンド電位が与えられた同軸コネクタ装置211におけるグラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218と第1導電部234とによって包囲された状態におかれることになる。その結果、同軸コネクタ装置211にあっては、それにおけるシグナルコンタクト部材212を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材213の環状嵌合部218に設けられた開口部OP4を通じての外部への漏洩を、効果的に軽減することができることになる。さらに、環状嵌合部218と内側締付部222との間の少なくとも一部が導電部材251によって塞がれるので、環状嵌合部218と内側締付部222との間を通じての上記高周波信号の漏洩をも効果的に軽減することができることになる。
【0081】
以上、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4について説明したが、本発明はこれらの実施例に限られず、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1導電部が環状嵌合部に固定され、第2導電部が締付部に固定され、第1導電部に接触してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のような本願発明に係る同軸コネクタ装置は、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材と、同軸ケーブルの外側導体が接続されるグラウンドコンタクト部材と、シグナルコンタクト部材とグラウンドコンタクト部材とを相互絶縁状態をもって支持する絶縁ハウジング部材とを含んで構成されて相手方コネクタ装置に連結されるものとされ、グラウンドコンタクト部材が、相手方コネクタ装置のグラウンドコンタクト部に嵌合接続される環状嵌合部を有し、その環状嵌合部に、同軸ケーブルの中心導体が接続されるシグナルコンタクト部材の中心導体接続部もしくはシグナルコンタクト部材の中心導体接続部に接続される同軸ケーブルの中心導体を配するための開口部が設けられたもとにあっても、シグナルコンタクト部材を通じる高周波信号のグラウンドコンタクト部材の環状嵌合部に設けられた開口部を通じての外部への漏洩を効果的に軽減することができるものとして、各種の電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0083】
11,51,111,211…同軸コネクタ装置、12…同軸ケーブル、13…中心導体、14…内部絶縁体、15…外側導体、16…表皮絶縁体、20,52,112,212…シグナルコンタクト部材、21,53,113,213…グラウンドコンタクト部材、22,54,114,214…絶縁ハウジング部材、23,55,115,215…筒状部、24,56,116,216…中心導体支持部、25,65,118,218…環状嵌合部、27,67,120,230…シェル部、26,66,119,221…腕部、28…第1の締付部、29…第2の締付部、30,58…導電部材、30a,58a,124,234…第1導電部、30b,58b,125…第2導電部、251…導電部材(第2導電部)、31,71,126…中心導体接続部、32,72,127,242…接触接続部(接触部)、40,75…相手方コネクタ装置、41,76…回路基板、42,77…部品等搭載面、43,80…シグナルコンタクト部、44,85…グラウンドコンタクト部、57,117,217…折曲当接部、59…弾性当接部、68,121…第1の折曲係合部、69,122…第2の折曲係合部、70,123…第3の折曲係合部、78…絶縁基体、81…接触接続部、82…シグナル用接続部、OP1,OP2,OP3,OP4…開口部。