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特許7151898経路表示装置、経路表示方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】経路表示装置、経路表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20221004BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20221004BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G01C21/34
G06Q50/00 300
G08B25/04 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021528625
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2019024815
(87)【国際公開番号】W WO2020255407
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】児島 一郁
(72)【発明者】
【氏名】谷 真宏
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭佑
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-219666(JP,A)
【文献】特開2014-206791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0307434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G06Q 50/00
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得する取得手段と、
前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定する特定手段と、
前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出する算出手段と、
前記算出された推定移動経路を表示する表示手段と、
を備える経路表示装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を端点とする前記推定移動経路を算出する、
請求項1に記載の経路表示装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記注目ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記算出手段は、前記友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点と前記注目ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点とを結ぶ前記推定移動経路を算出する、
請求項2に記載の経路表示装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記友人アカウント情報として、第1の友人アカウントの第1の友人アカウント情報と第2の友人アカウントの第2の友人アカウント情報を取得し、
前記特定手段は、前記第1の友人アカウント情報に基づいて、前記第1の友人アカウントを使用する第1の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定するとともに、前記第2の友人アカウント情報に基づいて、前記第2の友人アカウントを使用する第2の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記算出手段は、前記第1の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点と前記第2の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点とを結ぶ前記推定移動経路を算出する、
請求項2に記載の経路表示装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記注目ユーザーの移動手段に応じて前記交通拠点を特定する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の経路表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記推定移動経路内で撮像された画像情報を表示する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の経路表示装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記推定移動経路内で投稿された投稿情報を表示する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の経路表示装置。
【請求項8】
前記算出手段は、前記推定移動経路として、複数の推定移動経路を算出し、
前記表示手段は、前記複数の推定移動経路の重み付けに基づいて、前記複数の推定移動経路を表示する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の経路表示装置。
【請求項9】
注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得し、
前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出し、
前記算出された推定移動経路を表示する、
経路表示方法。
【請求項10】
注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得し、
前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出し、
前記算出された推定移動経路を表示する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路表示装置、経路表示方法及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SNS(Social Networking Service)などのインターネットサービスが世界中に広く普及し、利用者が増加し続けている。これに伴い、インターネット上の仮想的なサイバー空間(Cyber World, Cyber Space)における、SNSのユーザー間のつながりが複雑かつ多様化しており、関連する研究が進められている。
【0003】
関連する技術として、例えば、非特許文献1や2が知られている。非特許文献1には、SNSのコミュニティの構造を容易に把握するためのネットワークの可視化ツールが開示されている。非特許文献2には、SNSのあるアカウントを使用するユーザーの居住地の情報を、その友人関係にあるユーザーの居住地の情報から推定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Jeffrey Heer, Danah Boyd (University of California), "Vizster: Visualizing Online Social Networks", IEEE Symposium on Information Visualization (InfoVis 05), October 23-25, 2005, Minneapolis, Minnesota, USA, P.33-40
【文献】Lars Backstrom, Eric Sun, Cameron Marlow (Facebook), "Find Me If You Can: Improving Geographical Prediction with Social and Spatial Proximity", WWW 2010, April 26-30, 2010, Raleigh, North Carolina, USA, P.61-70
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、関連する技術によれば、アカウントの友人関係の把握やユーザーの居住地の推定をある程度行うことができるとされている。しかしながら、関連する技術では、サイバー空間のアカウントに関連する現実の実世界(Real World, Physical Space)のユーザーの推定行動エリアを把握することは困難であるという問題がある。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑み、ユーザーの推定行動エリアを把握することが可能な経路表示装置、経路表示方法及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る経路表示装置は、注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得する取得手段と、前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定する特定手段と、前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出する算出手段と、前記算出された推定移動経路を表示する表示手段と、を備えるものである。
【0008】
本開示に係る経路表示方法は、注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得し、前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出し、前記算出された推定移動経路を表示するものである。
【0009】
本開示に係るプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体は、注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得し、前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出し、前記算出された推定移動経路を表示する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ユーザーの推定行動エリアを把握することが可能な経路表示装置、経路表示方法及びプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】関連する犯罪捜査方法を示すフローチャートである。
図2】実施の形態に係る経路表示装置の概要を示す構成図である。
図3】実施の形態1に係る経路表示システムの構成例を示す構成図である。
図4】実施の形態1に係る経路表示システムの他の構成例を示す構成図である。
図5】実施の形態1に係る経路表示方法を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る経路表示方法を説明するための図である。
図7】実施の形態1に係る経路表示方法を説明するための図である。
図8】実施の形態1に係る経路表示方法を説明するための図である。
図9】実施の形態1に係る経路表示方法を説明するための図である。
図10】実施の形態1に係る表示例のイメージを示す図である。
図11】実施の形態1に係る表示例のイメージを示す図である。
図12】実施の形態2に係る経路表示システムの構成を示す構成図である。
図13】実施の形態2に係る経路表示方法を示すフローチャートである。
図14】実施の形態2に係る表示例のイメージを示す図である。
図15】実施の形態3に係る経路表示方法を示すフローチャートである。
図16】実施の形態3に係る表示例のイメージを示す図である。
図17】その他の実施の形態に係る経路表示方法を示すフローチャートである。
図18】その他の実施の形態に係る表示例のイメージを示す図である。
図19】その他の実施の形態に係る表示例のイメージを示す図である。
図20】その他の実施の形態に係る表示例のイメージを示す図である。
図21】その他の実施の形態に係る表示例のイメージを示す図である。
図22】実施の形態に係るコンピュータのハードウェアの概要を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図面においては、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
(実施の形態に至る検討)
サイバー空間と実世界との連携の一例として、サイバー空間を活用した犯罪の捜査について検討する。近年、インターネットの普及に伴い、サイバー空間を活用した犯罪が増加しており、サイバー空間における脅威が問題視されている。サイバー空間は主に犯行の計画や資金調達などの目的で活用されており、犯罪を未然防止するためには犯罪に関係している人物をサイバー空間内で特定することが重要である。
【0014】
図1は、関連する犯罪捜査方法を示している。図1に示すように、サイバー空間を活用した犯罪の捜査では、サイバー空間で犯罪に関係する可能性のある情報を収集し(S101)、収集した情報をもとに不審人物を検知する(S102)。続いて、サイバー空間の情報からその不審人物を特定し(S103)、最終的に実世界においてその人物を監視する(S104)。このように、サイバー空間を活用した犯罪の捜査では、サイバー空間の情報を分析し、その情報に対応する実世界の要素(実物)の特定が必要となる。
【0015】
発明者らは、サイバー空間の情報に基づいて不審人物を特定し実世界で監視を行うため、サイバー空間を活用した犯罪に関わる人物の出現候補地を推定し、監視対象区間を特定する方法を検討した。そこで、発明者らは、関連する技術では、サイバー空間を悪用した犯罪に関わる人物が実世界のどこに出現するのかを特定するのが難しいため、不審人物を監視し見つけ出すことが困難であるという課題を見出した。サイバー空間を活用した犯罪の未然防止が困難な理由として、サイバー空間において人物特定が難航している点にある。特に、テロや組織犯罪等では、同一人物が異なる複数のSNS等を活用している場合が多く、さらに、プロフィール情報も意図的に変更する可能性があるため、犯罪に関係する人物の特定はひと際難航している。
【0016】
非特許文献1では、サイバー空間における注目アカウントのネットワークを可視化できたとしても、実世界における、注目アカウントのユーザーと関連アカウントのユーザーとのつながり(例えば、近所に住んでいるなど)を把握することは困難である。サイバー空間におけるアカウント同士の関連性は、関連する技術でもわかるものの、実世界の監視に繋がる情報が少ないため、捜査支援には適していない。
【0017】
また、非特許文献2では、サイバー空間から注目アカウントのユーザーの居住地の情報をある程度得ることができたとしても、注目アカウントのユーザーが出現する可能性のある拠点まで考慮されていない。すなわち、注目アカウントのユーザーの行動を監視するために、監視対象区画を絞り込むことはできない。関連する技術では、注目アカウントのユーザーの活動拠点になり得る大まかな範囲は特定できたとしても、具体的に監視対象とすべき道や駅、空港などまで絞り込むことはできない。
【0018】
このように、関連する技術では、犯罪捜査の監視等のために、注目アカウントのユーザー(不審者等)の推定行動エリアを特定することはできない。そこで、以下の実施の形態では、注目アカウントのユーザーが出現し易そうな駅や道路等の交通拠点に着目し、ユーザーの推定行動エリアの把握を可能とする。
【0019】
(実施の形態の概要)
図2は、実施の形態に係る経路表示装置の概要を示している。図2に示すように、経路表示装置10は、取得部11、特定部12、算出部13、表示部14を備えている。
【0020】
取得部11は、注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得する。特定部12は、取得部11により取得された友人アカウント情報に基づいて、友人アカウントを使用するユーザー(友人ユーザー)の活動拠点近傍の交通拠点を特定する。算出部13は、特定部12により特定された交通拠点を含む、注目アカウントを使用するユーザー(注目ユーザー)の推定移動経路を算出する。表示部14は、算出部13により算出された推定移動経路を表示する。
【0021】
このように、実施の形態では、注目アカウントと友人関係等のつながりのある友人アカウントのユーザーの活動拠点近傍の駅や交差点等の交通拠点を特定し、その交通拠点を含む経路を注目アカウントのユーザーの推定移動経路として表示することで、注目アカウントのユーザーが出現し易そうな推定行動エリアを把握することができる。
【0022】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して実施の形態1について説明する。図3は、本実施の形態に係る経路表示システムの構成例を示しており、図4は、本実施の形態に係る経路表示システムの他の構成例を示している。経路表示システム1は、図1のような犯罪捜査において、インターネット上のサイバー空間を活用して不審者の監視を支援する監視支援システムである。例えば、図3の例では、経路表示システム1は、経路表示装置100とSNSシステム200を備えている。図4の例では、経路表示システム1は、経路表示装置100とデータベース230を備えている。
【0023】
図3の例において、SNSシステム200は、SNSサーバ210とユーザーが操作する複数の端末装置220を備えている。SNSシステム200は、インターネット300を介してSNSサーバ210から端末装置220のユーザーへSNSサービスを提供するシステムである。なお、SNSサービスは、インターネット(オンライン)上で複数のアカウント(ユーザー)が何らかのつながりを持つことが可能なオンラインサービスの一例であり、ソーシャルネットワーキングサービスに限らず、チャットなどのメッセージングサービス、ブログや電子掲示板、動画共有サイトや情報共有サイト、ソーシャルゲームやソーシャルブックマーク等のソーシャルメディア等でもよい。これらのサービスを提供するため、必要に応じて複数のシステム(サーバ)が設けられる。
【0024】
SNSサーバ210は、SNSサービスの提供およびアカウントの管理等を行う管理装置であり、例えば、クラウド上に構築されている。端末装置220は、ユーザーの操作に応じてSNSサーバ210にアクセスするSNSクライアント装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話等である。端末装置220にインストールされたSNSアプリケーション(プログラム)が、SNSサーバ210の提供するAPI(Application Programming Interface)を介して、SNSサービスを利用する。例えば、ユーザーは、SNSアプリケーションを操作して自身のアカウントでログインし、タイムラインの投稿やチャットの会話等の入力や閲覧を行い、また、友人関係やフォロー関係等のアカウントのつながりを登録する。
図4の例において、データベース230は、経路表示装置100が必要とするアカウント情報やSNS情報を予め記憶するSNS情報記憶装置である。例えば、データベース230は、経路表示装置100内に設けられてもよいし、外部の記憶装置としてもよく、インターネット300を介して接続されていてもよい。
【0025】
経路表示装置100は、インターネット300と通信可能に接続されており、インターネット300を介して収集されるSNS情報、もしくは、データベース230から取得されるSNS情報をもとに不審アカウントを使用する不審者(ユーザー)の監視区間を特定することで、不審者の監視を支援する。図3に示すように、経路表示装置100は、入力部101、通信部102、記憶部103、表示部104、SNS情報収集部105、活動拠点抽出部106、交通拠点特定部107、経路算出部108を備えている。なお、各部(ブロック)の構成は一例であり、後述の方法(動作)が可能であれば、その他の各部で構成されてもよい。また、経路表示装置100は、例えば、地図アプリケーションプログラムを実行するサーバやパーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置で実現されるが、1つの装置で実現してもよいし、クラウド上の複数の装置で実現してもよい。一例として、経路表示装置100が、入力部101、通信部(クラウド通信部)102、表示部104を備え、その他の処理をクラウド上のコンピュータで行ってもよい。
【0026】
入力部101は、経路表示装置100を操作する監視者から入力された情報を取得する入力インタフェースである。入力部101は、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から、監視者の操作に応じた情報が入力される。入力部101は、インターネット300等のネットワークを介して、必要な情報を取得してもよい。入力部101は、監視対象とする不審アカウント(注目アカウント)のID等の情報を取得する。
【0027】
通信部102は、インターネット300等のネットワークと接続され、各種情報の送受信を行う通信インタフェースである。必要な情報が送受信できれば通信部102の通信方式は限定されず、ネットワークと有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。通信部102は、不審アカウントのSNS情報等を収集するため、インターネット300を介してSNSサーバ210にアクセスする。
【0028】
記憶部103は、経路表示装置100の動作(処理)に必要な情報(データ)を記憶する記憶部(格納部)であり、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリやハードディスク装置等である。記憶部103は、不審者の推定移動経路の算出や表示に使用する地図情報等を記憶する。なお、記憶部103は、経路表示装置100の外部の記憶装置としてもよく、インターネット300を介して接続されてもよい。すなわち、経路表示装置100は、必要に応じて地図情報等をインターネット300等から取得してもよい。
【0029】
SNS情報収集部105は、インターネット300上から、もしくは、データベース230から必要なSNS情報を収集する。SNS情報収集部105は、不審アカウントに関連するSNS情報として、不審アカウント自身の情報(不審アカウント情報)や不審アカウントと友人関係等のつながりのある友人アカウントの情報(友人アカウント情報)をSNSサーバ210から取得する。例えば、SNS情報収集部105は、友人アカウントの友人アカウント情報を取得する取得部である。
【0030】
活動拠点抽出部106は、収集したSNS情報に基づいてユーザーの活動拠点を抽出する。活動拠点抽出部106は、不審アカウントの情報に基づいて、不審アカウントを使用するユーザー(不審者)の居住地等の活動拠点を抽出し、また、友人アカウントの情報に基づいて、友人アカウントを使用するユーザー(友人)の活動拠点の情報を抽出する。
【0031】
交通拠点特定部107は、抽出したユーザーの活動拠点に基づいてユーザーの交通拠点を特定する。交通拠点特定部107は、不審アカウントのユーザー(不審者)の活動拠点の最寄り(近傍)の駅や交差点等の交通拠点を特定し、また、友人アカウントのユーザー(友人)の活動拠点の最寄りの交通拠点を特定する。例えば、活動拠点抽出部106及び交通拠点特定部107は、友人アカウント情報に基づいて、友人アカウントのユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定する特定部である。
【0032】
経路算出部108は、特定したユーザーの交通拠点に基づいて不審者の推定移動経路を算出する。経路算出部108は、不審者の推定移動経路として、友人の活動拠点の最寄りの交通拠点を含む、特に、友人の活動拠点の最寄りの交通拠点を端点(始点または終点)とする経路を算出する。本実施の形態では、不審者の活動拠点の最寄りの交通拠点と友人の活動拠点の最寄りの交通拠点とを結ぶ経路を算出する。また、経路算出部108は、複数の友人の交通拠点間の経路を算出してもよい。すなわち、不審者の活動拠点が不明な場合等において、第1の友人アカウントを使用する第1の友人ユーザーの活動拠点近傍の第1の交通拠点と、第2の友人アカウントを使用する第2の友人ユーザーの活動拠点近傍の第2の交通拠点とを結ぶ経路を算出してもよい。
【0033】
表示部104は、経路表示装置100の動作(処理)の結果等を表示する表示部であり、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置である。表示部104は、GUI(Graphical User Interface)により、算出した不審者の推定移動経路を強調表示する。なお、表示部104は、経路表示装置100の外部の表示装置としてもよく、インターネット300を介してスマートフォン等に推定移動経路を表示してもよい。
【0034】
図5は、本実施の形態に係る経路表示装置による経路表示方法(経路表示方法)を示している。図5に示すように、まず、監視者が、経路表示装置100に不審アカウントを入力する(S201)。例えば、監視者は、インターネット300上の情報に基づいて犯罪に関わる可能性が高い不審者リストを用意し、不審者リストの中の不審アカウントの情報を入力する。監視者がキーボード等を操作して不審アカウントのID(識別情報)を入力し、入力部101がその情報を取得する。入力される情報は、不審アカウントのSNS情報の収集に必要な情報であり、アカウントのIDやSNSの種別等を含む。
【0035】
続いて、経路表示装置100は、不審アカウント及び友人アカウントのSNS情報を収集する(S202)。SNS情報収集部105は、入力された不審アカウントの情報からSNSサービスを提供しているSNSサーバ210を特定し、そのSNSサーバ210のAPIを利用して、不審アカウントに関連するSNS情報を収集する。もしくは、予め大量のSNS情報を格納したデータベース230から、必要となる不審アカウントに関連するSNS情報を取得する。収集するアカウントのSNS情報(アカウント情報)には、当該アカウントのプロファイル、登録されている友人関係やフォロー関係、当該アカウントの投稿や会話等が含まれる。
【0036】
例えば、図6のように、不審アカウントT0の友人として登録されているアカウントを検索し、該当するF1~F4を友人アカウントとして特定する。友人アカウントは、注目する不審アカウントとインターネット(オンライン)上でつながりのあるアカウントである。すなわち、友人アカウントは、友人関係の登録に限らず、フォロー関係の登録、投稿によるつながり(投稿へのコメント等)、会話によるつながり(同じコミュニティでの会話)等により特定する。また、不審アカウントのプロファイル(職場、学校、居住地、出身地、年齢、性別、趣味等)等、登録されているその他のSNS情報から友人アカウントを特定してもよい。例えば、友人アカウントを抽出する条件や範囲を選択可能としてもよい。なお、不審アカウントの情報として、友人アカウントのリストを入力してもよい。SNS情報収集部105は、さらに、特定した友人アカウント(例えばF1~F4)のSNS情報を、不審アカウントと同様に収集する。
【0037】
続いて、経路表示装置100は、収集したSNS情報に基づいて不審アカウント及び友人アカウントのユーザーの活動拠点を抽出する(S203)。活動拠点抽出部106は、収集した不審アカウントのプロファイルや投稿及び会話の位置情報等から、不審アカウントのユーザーの活動拠点を抽出する。抽出するユーザーの活動拠点には、アカウントのユーザーが住んでいる居住地、通っている職場や学校、よく買い物をする商店、よく食事をする飲食店等が含まれる。すなわち、1つの活動拠点に限らず、複数の活動拠点を抽出してもよい。また、不審アカウントが第三者により閲覧できない設定だった場合など,不審アカウントの情報からユーザーの活動拠点を抽出できない場合もあるため、不審アカウント自身の情報に限らず、不審アカウントに関連付けられている(タグ付けされている)友人アカウントのSNS情報を用いて、不審アカウントのユーザーの活動拠点を抽出してもよい。なお、不審アカウントの情報として、不審アカウントの活動拠点を入力してもよい。活動拠点抽出部106は、不審アカウントと同様に、収集した友人アカウント(例えばF1~F4)のSNS情報から、各友人アカウントのユーザーの活動拠点を抽出する。
【0038】
続いて、経路表示装置100は、抽出した活動拠点に基づいて不審アカウント及び友人アカウントのユーザーの交通拠点を特定する(S204)。交通拠点特定部107は、記憶部103の地図情報を参照し、不審アカウントのユーザーが利用する交通拠点を特定する。特定するユーザーの交通拠点には、駅や交差点、バス停留所、空港等が含まれる。ここでは、ユーザーの活動拠点の最寄りの駅等を交通拠点とする。活動拠点に最も近い駅等が好ましいが、ユーザーが活動拠点から利用できれば2番目や3番目に近い駅等でもよい(利用客の多い駅等)。例えば、不審アカウントのユーザーが利用する移動手段をGUIにより選択可能し、監視者が選択した交通手段に応じて、活動拠点の最寄りの交通拠点を特定する。なお、プロファイル等の情報から自動的に移動手段を選択してもよいし、移動手段を選択せずに自動的に最寄りの交通拠点を特定してもよい。例えば、移動手段が電車の場合、最寄りの駅を特定し、移動手段が車や徒歩、自転車の場合、最寄りの交差点を特定し(車の場合、高速道路のサービスエリアでもよい)、移動手段がバスの場合、最寄りのバス停留所を特定し、移動手段が飛行機の場合、最寄りの空港を特定する。移動手段は、電車と飛行機のように複数選択してもよい。
【0039】
例えば、図7のように、不審アカウントT0の活動拠点(居住地)H0が抽出され、移動手段として電車が選択されると、活動拠点H0付近の駅を検索し、活動拠点H0から最も近い路線L1及び路線L2の駅D3を不審アカウントのユーザー(不審者)の交通拠点として特定する。活動拠点は、例えば、ユーザーの居住地、勤務先、通学先等、当該ユーザーが頻繁に訪れると推定される場所である。なお、複数の活動拠点を抽出した場合、活動拠点ごとに最寄りの交通拠点を特定してもよいし、複数の活動拠点から最も近い交通拠点を特定してもよい。
【0040】
同様に、交通拠点特定部107は、友人アカウントのユーザーが利用する交通拠点を特定する。例えば、図8のように、友人アカウントF1~F3の活動拠点H1~H3が抽出され、移動手段として電車が選択されると、活動拠点H1~H3から最も近い路線L1の駅D1を友人アカウントF1~F3のユーザー(友人)の交通拠点として特定する。また、図9のように、友人アカウントF4の活動拠点H4が抽出され、移動手段として電車が選択されると、活動拠点H4から最も近い路線L2の駅D2を友人アカウントF4のユーザー(友人)の交通拠点として特定する。
【0041】
続いて、経路表示装置100は、特定した交通拠点に基づいて不審者の推定移動経路を算出する(S205)。経路算出部108は、記憶部103の地図情報を参照し、不審アカウントのユーザーの交通拠点を始点とし各友人アカウントのユーザーの交通拠点を終点とする経路を算出する。例えば、経路を算出するための条件(最も所要時間が短い経路、最も運賃が安い経路、最も距離が短い経路等)をGUIにより選択可能とし、監視者が選択した条件にしたがって経路を算出してもよい。なお、不審アカウントのユーザーの交通拠点が複数特定されている場合、各交通拠点を含む複数の経路を選択する。
【0042】
続いて、経路表示装置100は、算出した不審者の推定移動経路を強調表示する(S206)。表示部104は、記憶部103の地図情報に基づき不審者の推定移動経路の周辺の地図を表示するとともに、地図上に不審者の推定移動経路を強調表示する。強調表示の方法は、推定移動経路が認識できる表示であれば任意の表示方法でよい。
【0043】
図10は、図7図9で示した駅D1~D3を交通拠点として推定移動経路が算出された場合の表示例を示している。例えば、図10のように、表示ウィンドウW1に、路線L1と路線L1上の駅(D1、D3等)を表示し、路線L2と路線L2上の駅(D2等)を表示する。また、駅D3が不審アカウントT0の交通拠点であり、駅D1が友人アカウントF1~F3の交通拠点であり、駅D2が友人アカウントF4の交通拠点であることが分かるように、吹き出し状の枠に不審アカウントおよび友人アカウントのアイコンと友人アカウントの人数を示す。不審アカウントおよび友人アカウントのアイコンの代わりに、各アカウントの顔の画像を表示してもよい。さらに、不審アカウントT0の駅D3から友人アカウントF1~F3の駅D1までの経路R1を太線で強調表示し、不審アカウントT0の駅D3から友人アカウントF4の駅D2までの経路R2を太線で強調表示する。なお、各アカウントの活動拠点H0~H4を表示してもよい。
【0044】
図11は、他の表示例を示している。図11の例では、表示ウィンドウW2に、不審アカウントT1の交通拠点D11から友人アカウントF11~F13の交通拠点D12までの経路R11と、不審アカウントT1の交通拠点D11から友人アカウントF14の交通拠点D13、友人アカウントF15~F20の交通拠点D14、友人アカウントF21~F22の交通拠点D15までの経路R12が斜線パターンで強調表示されている。
【0045】
以上のように、本実施の形態では、不審アカウントと友人関係等のつながりのある友人アカウントの情報を用いて、不審アカウントを使用するユーザー(不審者)が出現し易そうな駅や道路等の交通拠点を特定し、その交通拠点を含む経路を監視区間として地図上に強調表示する。これにより、監視エリアの視認性を高め、捜査や監視の業務を効率化することができ、効果的に犯罪の未然防止を図ることが可能となる。
【0046】
特に、不審者が友人アカウントのユーザーと定期的に合う可能性が高いことから、不審者が友人アカウントのユーザーと会う時に使用し得る交通拠点を含む経路を移動経路として推定することで、監視エリアを特定の区間に絞り込むことができる。
【0047】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、実施の形態1の経路表示方法において、さらに監視カメラの映像等の監視情報を表示する。
【0048】
図12は、本実施の形態に係る経路表示システムの構成を示している。図12に示すように、経路表示システム1は、実施の形態1の図3の構成に加えて、複数の監視カメラ400を備えている(図4の構成でも同様である)。監視カメラ400は、駅や交差点などの交通拠点に設置され、経路表示装置100と通信可能に接続されている。監視カメラ400は、インターネット300を介して接続されてもよいし、その他の監視ネットワークを介して接続されてもよい。また、経路表示装置100は、監視カメラ400の映像を取得する映像取得部109を備える。映像取得部109は、不審者の推定移動経路に設置された監視カメラ400から監視映像を取得する。また、SNS情報収集部105は、不審者の推定移動経路に関連するSNS情報を取得する。例えば、SNS情報収集部105は、推定移動経路内の情報として、投稿の位置情報に基づき、不審アカウントや友人アカウントを含む全てのアカウントからの投稿等を収集する。
【0049】
図13は、本実施の形態に係る経路表示方法を示している。まず、実施の形態1と同様に、不審アカウントおよび友人アカウントの情報をもとに各アカウントのユーザーの交通拠点を特定し、各交通拠点に基づいて不審者の推定移動経路を算出する(S201~S205)。
【0050】
続いて、本実施の形態では、経路表示装置100は、不審者の推定移動経路を表示するとともに、監視情報を表示する(S206)。表示部104は、地図上に不審者の推定移動経路を表示し、さらに監視情報として、映像取得部109が監視カメラ400から取得する推定移動経路内の映像(画像)やSNS情報収集部105が取得する推定移動経路内で投稿等されたSNS情報を表示する。例えば、不審者の顔の画像に基づき、推定移動経路内の映像や投稿画像から不審者の顔を認識して表示してもよい。
【0051】
例えば、図14のように、図10と同様、表示ウィンドウW3に、不審アカウントT0の駅D3から友人アカウントF1~F3の駅D1までの経路R1を強調表示し、不審アカウントT0の駅D3から友人アカウントF4の駅D2までの経路R2を強調表示する。さらに、経路R1及びR2の各駅に設置された監視カメラC1のアイコンと、その映像を表示する映像表示部C2のアイコンを表示する。映像表示部C2をクリックすると、該当する監視カメラが撮像した駅の映像が表示される。また、経路R1及びR2のSNS情報を表示するSNS表示部C3のアイコンを表示する。SNS表示部C3をクリックすると、該当する位置のSNS情報(投稿画像等)が表示される。
【0052】
このように、本実施の形態では、監視対象区画(推定移動経路)を強調表示するとともに、監視対象区画内の監視カメラ映像や区域内で投稿された情報(画像やテキストなど)を地図内に表示し、確認できるようにする。これにより、監視対象区域内での情報収集を容易にし、捜査や監視の業務を効率化することができる。
【0053】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、実施の形態2の経路表示方法において、さらに経路の重み付けに基づいて強調表示する。なお、実施の形態1の経路表示方法において、本実施の形態の重み付け表示を行ってもよい。
【0054】
図15は、本実施の形態に係る経路表示方法を示している。まず、実施の形態2と同様に、不審アカウントおよび友人アカウントの情報をもとに各アカウントのユーザーの交通拠点を特定する(S201~S204)。続いて、本実施の形態では、経路表示装置100は、推定移動経路及びその経路の重み付けを算出する(S205)。経路算出部108は、不審アカウントのユーザーの交通拠点から各友人アカウントのユーザーの交通拠点までの経路を算出するとともに、各経路に重み付け(優先順位付け)を行う。重み付けは、アカウント情報や投稿等の情報、友人の数、友人との親密度(頻繁に会っているかどうか、同じ職場であるかどうか等)、犯罪マップ(犯罪発生率が高いかどうか等)などの情報に基づき算出する。
【0055】
続いて、経路表示装置100は、算出した重み付けに基づいて推定移動経路を強調表示する(S206)。表示部104は、各推定移動経路をその重み付けに応じて強調表示する。また、実施の形態2と同様に、推定移動経路上の監視カメラ400の映像やSNS情報等を表示する。
【0056】
例えば、図16のように、図14と同様、表示ウィンドウW4に、不審アカウントT0の駅D3から友人アカウントF1~F3の駅D1までの経路R1と不審アカウントT0の駅D3から友人アカウントF4の駅D2までの経路R2を表示し、また、各駅の監視カメラC1の映像表示部C2と、SNS情報のSNS表示部C3を表示する。この経路表示において、経路R1と経路R2の重み付けに応じて強調表示の方法を変えて表示する。例えば、経路R1は、友人の数が多く重みづけが大きい(優先順位が高い)ため、太線で表示し、経路R2は、友人の数が少なく重みづけが小さい(優先順位が低い)ため、斜線で表示する。
【0057】
このように、本実施の形態では、不審アカウントのユーザーが出現し易そうな監視対象区画(推定移動経路)を特定するために、アカウントの情報や友人の数、犯罪マップなどの事前情報を基に監視対象経路を重み付けし、強調表示の方法(色や透過率、色の濃さ等)を変更する。これにより、視認性を高め、監視効率をさらに向上させることができる。また、メッセージのやり取りの回数等に応じて、友人に重み付けしてもよい。これにより、より精度よく監視対象経路を算出できるため、監視効率を向上させることができる。
【0058】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態では、不審者を監視するために、不審者の推定移動経路を表示する例について説明したが、監視以外の目的で、ユーザーの推定移動経路を算出し表示してもよい。一例として、ターゲティング広告のマーケティング等に適用することができる。マーケティングへの適用について検討すると、上記犯罪捜査の監視と同様に、サイバー空間上のアカウントのつながりと実世界上のユーザーのつながりとの関係について課題がある。
【0059】
すなわち、関連する技術では、実世界における、SNSアカウントを運用している店舗と関連アカウントのユーザーとのつながり(例えば、近所に住んでいるなど)を把握することは困難である。サイバー空間におけるアカウント同士の関連性は、関連する技術でもわかるものの、店舗の売り上げ向上に繋がり易い実世界の活動(公共交通機関への広告の配置など)を目的としたアカウントの分析には使い難い。
【0060】
また、関連する技術では、サイバー空間から注目アカウントのユーザーの居住地の情報をある程度得ることができたとしても、注目する店舗アカウントと関連のあるユーザーの店舗への移動経路などが分からない。すなわち、店舗アカウントと関連のあるユーザーの活動拠点になり得る大まかな範囲は特定できるが,具体的に広告を掲示するべき路線や道路などが絞り込むことはできない。
【0061】
そこで、その他の実施の形態として、上記実施の形態と同様に、関連アカウントのユーザーが店舗に来店する際に用いる移動経路を推定し、地図上に強調表示することで、店舗への来店の際に用いられる移動経路を視認可能とすることができる。具体的には、関連アカウントのユーザー(顧客)は定期的に店舗に来店する可能性が高いとして、店舗に来る時に使用するであろう道路や駅などの移動経路を推定し、その移動経路を地図上に強調表示することで、視認性を高める。
【0062】
その他の実施の形態においても、図3図4のような実施の形態1と同様のシステム構成及び装置構成で実現することができる。図17は、その他の実施の形態の経路表示方法を示している。実施の形態1と比べて、不審アカウントの代わりに、店舗アカウントが入力されている(S301)以外は、基本的に図5と同様である。
【0063】
すなわち、まず、マーケティング担当者が、経路表示装置100に店舗アカウントを入力する(S301)。マーケティングの対象となる店舗のアカウントのID等を入力する。続いて、経路表示装置100は、店舗アカウント及び顧客アカウントのSNS情報を収集する(S202)。店舗アカウントと友人関係やフォロー関係などの関連のある顧客アカウント(友人アカウント)のプロファイル等のSNS情報を収集する。
【0064】
続いて、経路表示装置100は、収集したSNS情報に基づいて店舗アカウント及び顧客アカウントのユーザーの活動拠点を抽出し(S203)、抽出した活動拠点に基づいて店舗アカウント及び顧客アカウントのユーザーの交通拠点を特定する(S204)。続いて、経路表示装置100は、特定した交通拠点に基づいて顧客の推定移動経路を算出し(S205)、算出した顧客の推定移動経路を強調表示する(S206)。
【0065】
図18は、その他の実施の形態における顧客の推定移動経路の表示例を示している。例えば、図18に示すように、実施の形態1の図10と同様、表示ウィンドウW5に、路線L1と路線L1上の駅(D1、D3等)と路線L2と路線L2上の駅(D2等)を表示する。また、駅D3を店舗アカウントT2の交通拠点とし、駅D1を顧客アカウントF1~F3の交通拠点とし、駅D2を顧客友人アカウントF4の交通拠点であるとして、それらが分かるように、吹き出し状の枠に店舗アカウントおよび顧客アカウントのアイコンと友人アカウントの人数を示す。さらに、店舗アカウントT2の駅D3から顧客アカウントF1~F3の駅D1までの経路R1を太線で強調表示し、店舗アカウントT2の駅D3から顧客アカウントF4の駅D2までの経路R2を太線で強調表示する。
【0066】
これにより、顧客の推定移動経路を強調表示することができるため、マーケティングのターゲットエリアの視認性を高め、広告業務等を効率化することができ、効果的にマーケティング戦略を検討することが可能となる。
【0067】
また、その他の実施の形態においても、実施の形態3と同様に、経路の重み付けに基づいて強調表示してもよい。図19は、その他の実施の形態において、重み付けに基づいて顧客の推定移動経路を強調表示した例を示している。例えば、図19に示すように、図18と同様、表示ウィンドウW6に、店舗アカウントT2の駅D3から顧客アカウントF1~F3の駅D1までの経路R1と店舗アカウントT2の駅D3からお客アカウントF4の駅D2までの経路R2を表示する際に、経路R1と経路R2の重み付けに応じて強調表示の方法を変えて表示する。例えば、多くの顧客が店舗に来店する際に使っている移動経路を特定するため、経路表示装置100は、アカウントの情報や顧客アカウント数、各路線の利用客数などを基に経路の重み付けを算出し、算出した重み付けに基づいて推定移動経路の強調表示の方法(色や透過率など)を変える。例えば、経路R1は、顧客の数が多く重みづけが大きい(優先順位が高い)ため、太線で表示し、経路R2は、顧客の数が少なく重みづけが小さい(優先順位が低い)ため、斜線で表示する。これにより、より顧客の推定移動経路の視認性を高め、マーケティング業務の効率をより向上させることができる。
【0068】
さらに、その他の実施の形態においては、図20図21に示すように、顧客の推定移動経路とともに、経路上の関連する広告を提示してもよい。図20の例では、表示ウィンドウW6において、図19の表示に加えて、店舗アカウントT2の駅D3から顧客アカウントF1~F3の駅D1までの経路R1上に、この経路を利用する顧客アカウントF1~F3に関連する広告として、アウトドア関連の広告C4のアイコンを表示している。例えば、経路表示装置100は、顧客アカウントを所有するユーザーの属性(性別や年齢)や趣味嗜好を分析し、分析結果に基づいてどの路線に何の広告を出すべきかを特定し、各経路上に特定した広告の種類を表示する。この例では、顧客アカウントF1は、20代の男性で趣味が登山、顧客アカウントF2は、30代の男性で趣味がサイクリング、顧客アカウントF3は、20代の男性で趣味がゲームであるとして、これらの分析結果から、アウトドア関連の広告を提示する。また、顧客アカウントF4は、30代の女性で趣味が読書であるとして、本の広告を提示してもよい。これにより、顧客の推定移動経路の視認性を高めるとともに、顧客に応じた広告を提示することができるため、マーケティング業務の効率をさらに向上させることができる。
【0069】
図21の例では、表示ウィンドウW6において、図20の表示に加えて、競合他社の店舗、競合他社の顧客、関連する広告を表示している。例えば、駅D4を競合他社の店舗アカウントT3の交通拠点とし、駅D4を競合他社の顧客アカウントF5~F7の交通拠点として、駅D4から駅D5までの経路R3を表示する。さらに、その経路R3上に、この経路を利用する競合他社の顧客アカウントF5~F7に関連する広告として、ゲーム関連の広告C5のアイコンを表示する。例えば、指定した競合他社と、その顧客アカウントの表示し、さらに、競合他社の顧客の属性や趣味嗜好に沿った広告を提示する。この例では、顧客アカウントF5は、20代の男性で趣味がゲーム、顧客アカウントF6は、30代の女性で趣味がゲーム、顧客アカウントF7は、20代の女性で趣味がサイクリングであるとして、これらの分析結果から、ゲーム関連の広告を提示する。これにより、競合他社の顧客の推定移動経路を把握できるとともに、競合他社の顧客に応じた広告まで把握できるため、さらに効果的にマーケティング戦略を検討することができる。
【0070】
なお、上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。経路表示装置10及び経路表示装置100の機能(処理)を、図22に示すような、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ21及び記憶装置であるメモリ22を有するコンピュータ20により実現してもよい。例えば、メモリ22に実施形態における方法を行うためのプログラム(経路表示プログラム)を格納し、各機能を、メモリ22に格納されたプログラムをプロセッサ21で実行することにより実現してもよい。
【0071】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0072】
また、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0073】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0074】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得する取得部と、
前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定する特定部と、
前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出する算出部と、
前記算出された推定移動経路を表示する表示部と、
を備える経路表示装置。
(付記2)
前記算出部は、前記友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を端点とする前記推定移動経路を算出する、
付記1に記載の経路表示装置。
(付記3)
前記特定部は、前記注目ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記算出部は、前記友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点と前記注目ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点とを結ぶ前記推定移動経路を算出する、
付記2に記載の経路表示装置。
(付記4)
前記取得部は、前記友人アカウント情報として、第1の友人アカウントの第1の友人アカウント情報と第2の友人アカウントの第2の友人アカウント情報を取得し、
前記特定部は、前記第1の友人アカウント情報に基づいて、前記第1の友人アカウントを使用する第1の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定するとともに、前記第2の友人アカウント情報に基づいて、前記第2の友人アカウントを使用する第2の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記算出部は、前記第1の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点と前記第2の友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点とを結ぶ前記推定移動経路を算出する、
付記2に記載の経路表示装置。
(付記5)
前記特定部は、前記注目ユーザーの移動手段に応じて前記交通拠点を特定する、
付記1乃至4のいずれかに記載の経路表示装置。
(付記6)
前記表示部は、前記推定移動経路内で撮像された画像情報を表示する、
付記1乃至5のいずれかに記載の経路表示装置。
(付記7)
前記表示部は、前記推定移動経路内で投稿された投稿情報を表示する、
付記1乃至6のいずれかに記載の経路表示装置。
(付記8)
前記算出部は、前記推定移動経路として、複数の推定移動経路を算出し、
前記表示部は、前記複数の推定移動経路の重み付けに基づいて、前記複数の推定移動経路を表示する、
付記1乃至7のいずれかに記載の経路表示装置。
(付記9)
注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得し、
前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出し、
前記算出された推定移動経路を表示する、
経路表示方法。
(付記10)
前記推定移動経路の算出では、前記友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を端点とする前記推定移動経路を算出する、
付記9に記載の経路表示方法。
(付記11)
注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得し、
前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定し、
前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出し、
前記算出された推定移動経路を表示する、
処理をコンピュータに実行させるための経路表示プログラム。
(付記12)
前記推定移動経路の算出では、前記友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を端点とする前記推定移動経路を算出する、
付記11に記載の経路表示プログラム。
(付記13)
注目アカウントとオンライン上でつながりのある友人アカウントの友人アカウント情報を取得する取得手段と、
前記取得された友人アカウント情報に基づいて、前記友人アカウントを使用する友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を特定する特定手段と、
前記特定された交通拠点を含む、前記注目アカウントを使用する注目ユーザーの推定移動経路を算出する算出手段と、
前記算出された推定移動経路を表示する表示手段と、
を含む経路表示システム。
(付記14)
前記友人アカウント情報を保持する記憶手段を含み、
前記取得手段は、前記注目アカウント及び前記友人アカウント情報を取得する
付記13に記載の経路表示システム。
(付記15)
前記算出手段は、前記友人ユーザーの活動拠点近傍の交通拠点を端点とする前記推定移動経路を算出する、
付記13に記載の経路表示システム。
【符号の説明】
【0075】
1 経路表示システム
10 経路表示装置
11 取得部
12 特定部
13 算出部
14 表示部
20 コンピュータ
21 プロセッサ
22 メモリ
100 経路表示装置
101 入力部
102 通信部
103 記憶部
104 表示部
105 SNS情報収集部
106 活動拠点抽出部
107 交通拠点特定部
108 経路算出部
109 映像取得部
200 SNSシステム
210 SNSサーバ
220 端末装置
230 データベース
300 インターネット
400 監視カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22