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特許7151912溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法
(51)【国際特許分類】
   B21C 37/08 20060101AFI20221004BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20221004BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B21C37/08 S
B21C37/08 R
B21C51/00 P
B21C51/00 R
G01B11/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021570286
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2021033008
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2020201226
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 紘明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周一
(72)【発明者】
【氏名】剱持 光俊
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-120985(JP,A)
【文献】国際公開第18/092461(WO,A1)
【文献】特開平10-193155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C37/08
G01B11/00
B23K26/262
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接鋼管のシーム部の位置と、前記シーム部および/またはシーム部近傍が加熱されることで発生する加熱部の位置とを検出する位置検出装置であって、
前記シーム部および前記加熱部に、第一の波長域の光を照射する光源と、
複数の異なるチャンネルを有し、前記光源によって光が照射され、かつ前記シーム部および前記加熱部を含む撮像領域を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像を処理し、前記シーム部および前記加熱部の位置を検出する画像処理装置と、
を備え、
前記撮像装置は、
前記第一の波長域の光を受光可能な第一のチャンネルと、
前記加熱部からの放射光に対応する第二の波長域の光を受光可能な第二のチャンネルと、
を有する溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置。
【請求項2】
前記光源と前記第一のチャンネルを有する前記撮像装置とが、前記撮像領域内にあり、かつ前記シーム部を含む測定箇所に対して、正反射条件となる位置に配置される請求項1に記載の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置。
【請求項3】
前記光源として、LED光源、メタルハライド光源、キセノン光源、ハロゲン光源、または光線を拡散させる性質を持つ光学素子が前に置かれたレーザー光源、のいずれか一つ以上を用いる請求項1または請求項2に記載の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置。
【請求項4】
筒状に成形された鋼板の突合せ部を溶接する溶接機と、
溶接後のビード部を切削する切削機と、
切削後のシーム部を加熱する一つまたは複数のアニーラ加熱子と、
前記アニーラ加熱子の内いずれか一つの後ろに設けられた、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置と、
を備え、
前記位置検出装置は、前記シーム部の位置と、前記アニーラ加熱子により発生した加熱部の位置とを検出する溶接鋼管の製造設備。
【請求項5】
溶接鋼管のシーム部の位置と、前記シーム部および/またはシーム部近傍が加熱されることで発生する加熱部の位置とを検出する位置検出方法であって、
前記シーム部および前記加熱部に、第一の波長域の光を照射する照射工程と、
複数の異なるチャンネルを有する撮像装置により、光が照射され、かつ前記シーム部および前記加熱部を含む撮像領域を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程によって撮像された画像を処理し、前記シーム部および前記加熱部の位置を検出する画像処理工程と、
を含み、
前記撮像装置は、
前記第一の波長域の光を受光可能な第一のチャンネルと、
前記加熱部からの放射光に対応する第二の波長域の光を受光可能な第二のチャンネルと、
を有する溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法。
【請求項6】
筒状に成形された鋼板の突合せ部を溶接する溶接工程と、
溶接後のビード部を切削する切削工程と、
切削後のシーム部を、アニーラ加熱子によって加熱する加熱工程と、
を含み、
前記加熱工程は、請求項に記載の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法によって、前記シーム部の位置と、前記アニーラ加熱子により発生した加熱部の位置とを検出する位置検出工程を含む溶接鋼管の製造方法。
【請求項7】
前記加熱工程は、前記位置検出工程によって検出された前記シーム部の位置に対する前記加熱部の位置のズレ量に基づいて、前記アニーラ加熱子の位置を制御する加熱子位置制御工程を含む請求項に記載の溶接鋼管の製造方法。
【請求項8】
請求項に記載の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法によって検出された、前記シーム部の位置に対する前記加熱部の位置のズレ量に基づいて、前記溶接鋼管の品質を管理する溶接鋼管の品質管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼プロセスにおける溶接鋼管(例えば電縫管)の製造ラインでは、板状の鋼板をプレスし、両端を上部で突合せて溶接することにより溶接鋼管を製造する。このとき、母材となる鋼板は、製造過程で温度履歴の制御等の材質の作りこみが行われているため、要求スペックを満たす材質特性となる。しかし、溶接部では鉄が溶融する温度まで母材を加熱するため、結晶粒が粗大化して材質特性が低下する。
【0003】
そのため、例えば図1に示すように、母材となる鋼板を平行に接続して溶接機11によって溶接した後、更に表面に形成された形状不良部(以下、「ビード部」という)を切削機12によって切削する。そしてその後に、切削した溶接部を再度加熱する焼き鈍し(アニーリング)を実施することにより、シーム部の材質特性を向上させる。
【0004】
アニーリングは、誘導加熱によって複数回にわたって実施されることが多く、加熱装置(アニーラ加熱子)によって、母材に影響を与えずにシーム部のみに精度よく位置合わせして加熱することが重要である。しかしながら、溶接鋼管のパスライン変動や捩れが発生するため、現在はオペレータが時々溶接鋼管の走行状態とシーム部および加熱部のズレを目視で観察し、適宜手動で位置合わせを実施している。
【0005】
ここで、本明細書においては、シーム部とは、溶接によって母板が接合されている部位、すなわち溶接部のことを指す。加熱工程(アニール工程または焼鈍工程)では、加熱する範囲の中心がシーム部と一致するように加熱することが理想的である。一方、シーム部を外観によって識別することは困難である。そのため、通常はビード部の切削によって周囲の母材部分よりも光沢が増している切削部をシーム部と見なし、そのシーム部の位置と、加熱部すなわちアニーラ加熱子の位置とが一致しているか否かを、オペレータ(作業員)が目視で確認して操業を行なっていた。
【0006】
しかしながらこの場合、加熱によってシーム部に酸化被膜が付着して光沢が失われる、シーム部が加熱部となって赤熱発光するため視認が難しくなる、赤熱発光した表面を常に凝視することがオペレータにとって過酷である、等の問題が発生する。また、シーム部を精度よく監視しようとすると、搬送中の操業ラインに近づくか、一時的に操業ラインを停止させる必要があるが、前者の場合は安全性に問題があり、後者の場合は能率性が低下するという問題がある。
【0007】
これらの問題を解決するために、従来から電磁気的手法、マーキング方式、画像方式、光学的手法による溶接鋼管のシーム部の位置検出方法が種々提案されている。まず電磁気的手法は、シーム部の位置を直接検知するための方法である。電磁気的手法では、例えば特許文献1に開示されているように、シーム部と素材部の材質との違いを、渦流センサ、漏洩磁束センサ等によって検出する。また、切削部をシームとして検出する方法も多数提案されている。
【0008】
マーキング方式では、例えば特許文献2に開示されているように、溶接鋼管の溶接直後の、シーム部の位置が既知であるライン位置において、溶接鋼管の側面等の、シーム部の位置と既知の幾何学的関係にある周方向の管表面に塗料等のマーキングを行う。そして、下流工程でシーム部の位置を把握したい場所において、例えばITV(Industrial Television)や受光素子を用いて、マーカーの周方向位置を読み取ることにより、当該ライン位置におけるシーム部の位置を検出する。
【0009】
また、画像方式では、例えば特許文献3に開示されているように、シーム部と素材部の光沢の差を、CCDカメラ等の画像検出手段によって検出する。また、光学的手法として、レーザー光の散乱現象を用いた手法が提案されている。この手法では、レーザーの光源波面の等位相性により、物体表面の微細な凹凸の方向性が反射光の2次元分布の差異となって現われることを利用して、シーム部の位置を検出する。
【0010】
特許文献4では、溶接鋼管の素材部では略等方的な反射パターンが生じるのに対し、シーム部に残る管軸方向に略平行な切削痕により、シーム部では反射パターンが横断方向に広がる、という性質を利用して、シーム部と素材部とを区別する手法が提案されている。また、特許文献5では、特許文献4の問題点を解決するために、レーザー光の波長および入射角を限定し、レーザー散乱によるシーム位置検出を的確に行う手法が提案されている。また、特許文献6では、反射パターン画像から水平、垂直方向の閾値処理を繰り返すことにより、最大信号幅を算出し、シーム部(切削部)の位置検出を行う手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開昭56-33542号公報
【文献】特開平5-240844号公報
【文献】特開平10-170228号公報
【文献】特開昭52-25687号公報
【文献】特開昭59-108903号公報
【文献】特開昭62-42004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1で提案された手法は、結晶粒径等の組織の差に起因した透磁率や電気伝導度の差が磁束分布の差として現われる現象を感知するものである。そのため、管表面のスクラッチ等、表面の筋状の形状不均一の影響を受け易く、また、アニールによって材質が均一された場合にはシーム部の位置検出が困難になるという問題がある。更に、透磁率や電気伝導度は、温度によって大きく変化するため、アニール後の溶接鋼管のように、管の周方向で温度分布が生じている場合は、それが外乱になるという問題もある。
【0013】
特許文献2で提案されたマーキング方式では、シーム部のアニール等の溶接鋼管を再加熱する工程が存在すると、マーキング塗料が剥げ落ちて検出の信頼性が低下する場合がある。また、マーキング装置またはITV等の読み取り装置の向きと、管中心軸とに位置ズレがある場合、当該位置ズレが検出誤差に直結するという問題があった。
【0014】
更に、従来提案された手法では、シーム部の位置検出精度においても問題がある。例えば特許文献3で提案された画像方式では、アニーリング後の高温となる対象の赤熱に起因する外乱が加わり、シーム部の検出が困難であるという問題がある。
【0015】
また、特許文献4~6で提案された手法は、いずれも光学的手法であり、レーザーによる反射や画像、形状計測を用いてシーム位置の加熱装置に対する相対位置を算出しようとするものである。しかしながら、溶接鋼管は、加熱装置に対して幅方向に数mm程度緩やかに変動することが知られている。この場合、検出装置とアニーラ加熱子の位置でのパスライン変動量が同一であるとは限らず、検出装置に対して精度よくシーム部の位置関係を算出したとしても、シーム部の加熱位置とズレが生じるといった問題点がある。
【0016】
また、溶接鋼管のシーム部付近のレーザー光の反射パターンは、入射角度によっては、表面に存在する酸化被膜の影響を受け易いのに対して、特許文献4で提案された手法では、レーザー光の波長、入射光や反射光に関する好適範囲が規定されていない。また、特許文献4で提案された手法では、切削部および母材部の識別を、受光面の幅方向両端に配置した一対の受光素子による反射光検知の有無で判別しようとしている。しかしながら、実際の溶接鋼管のシーム部周辺に発生し得る酸化被膜や擦り傷等によっては、散乱パターンが発生した場合であっても、受光強度が弱くなり、適切にシーム部の位置を検出できないという問題がある。
【0017】
また、特許文献5で提案された手法では、レーザー光の波長や入射角を限定しているが、シーム部を特定するための反射パターン画像の特徴量の具体的な算出方法が明らかにされていない。そのため、そのままではシーム部を自動的に検出することができないという問題がある。
【0018】
また、特許文献6で提案された手法では、最大信号幅を得るまでに、適正走査線選別のための実験式、最大振幅幅を得るための閾値処理のパラメータ等、画像処理の過程で設定すべきパラメータが多数存在する。しかしながら、これらのパラメータは、材質、鋼管の規格等によって異なる。そのため、運用上煩雑であるばかりでなく、適切な設定パラメータを取得するために長期間の確性試験が必要であったり、あるいは散乱パターンが画像の斜め方向に方向性を有した場合に適切な検出ができない、という問題があった。
【0019】
また、特許文献4~6で提案された手法は、全てレーザー光の反射パターンを用いる方法であるため、大掛かりな設備が必要となり、コストやメンテナンスの面で課題があった。
【0020】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、溶接鋼管の製造工程において、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置を精度よく検出することができる溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置は、溶接鋼管のシーム部の位置と、前記シーム部および/またはシーム部近傍が加熱されることで発生する加熱部の位置とを検出する位置検出装置であって、前記シーム部および前記加熱部に、第一の波長域の光を照射する光源と、複数の異なるチャンネルを有し、前記光源によって光が照射された前記シーム部および前記加熱部を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像を処理し、前記シーム部および前記加熱部の位置を検出する画像処理装置と、を備え、前記撮像装置が、前記第一の波長域の光を受光可能な第一のチャンネルと、前記加熱部からの放射光に対応する第二の波長域の光を受光可能な第二のチャンネルと、を有する。
【0022】
また、本発明に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置は、上記発明において、前記光源と前記第一のチャンネルを有する前記撮像装置とが、前記シーム部を含む測定箇所に対して、正反射条件となる位置に配置される。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶接鋼管の製造設備は、筒状に成形された鋼板の突合せ部を溶接する溶接機と、溶接後のビード部を切削する切削機と、切削後のシーム部を加熱する一つまたは複数のアニーラ加熱子と、前記アニーラ加熱子の内いずれか一つの後ろに設けられた、上記の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置と、を備え、前記位置検出装置が、前記シーム部の位置と、前記アニーラ加熱子により発生した加熱部の位置とを検出する。
【0024】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法は、溶接鋼管のシーム部の位置と、前記シーム部および/またはシーム部近傍が加熱されることで発生する加熱部の位置とを検出する位置検出方法であって、前記シーム部および前記加熱部に、第一の波長域の光を照射する照射工程と、複数の異なるチャンネルを有する撮像装置により、光が照射された前記シーム部および前記加熱部を撮像する撮像工程と、前記撮像工程によって撮像された画像を処理し、前記シーム部および前記加熱部の位置を検出する画像処理工程と、を含み、前記撮像装置が、前記第一の波長域の光を受光可能な第一のチャンネルと、前記加熱部からの放射光に対応する第二の波長域の光を受光可能な第二のチャンネルと、を有する。
【0025】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶接鋼管の製造方法は、筒状に成形された鋼板の突合せ部を溶接する溶接工程と、溶接後のビード部を切削する切削工程と、切削後のシーム部を、アニーラ加熱子によって加熱する加熱工程と、を含み、前記加熱工程が、上記の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法によって、前記シーム部の位置と、前記アニーラ加熱子により発生した加熱部の位置とを検出する位置検出工程を含む。
【0026】
また、本発明に係る溶接鋼管の製造方法は、上記発明において、前記加熱工程が、前記位置検出工程によって検出された前記シーム部の位置に対する前記加熱部の位置のズレ量に基づいて、前記アニーラ加熱子の位置を制御する加熱子位置制御工程を含む。
【0027】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る溶接鋼管の品質管理方法は、上記の溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法によって検出された、前記シーム部の位置に対する前記加熱部の位置のズレ量に基づいて、前記溶接鋼管の品質を管理する。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、光源からシーム部に照射された光の反射光を受光するチャンネルと、加熱部の赤熱による放射光を受光するチャンネルとを有する撮像装置によって溶接鋼管を撮像する。これにより、本発明によれば、低コストかつ簡易な構成とできるとともに、シーム部および加熱部の位置を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、溶接鋼管の製造設備の概略的な構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置において、青色光源および緑色光源の配置の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置において、青色光源および緑色光源の配置の一例を示す図である。
図5図5は、ベイヤー方式のカラーカメラの原理を説明するための図である。
図6図6は、プリズム方式のカラーカメラの原理を説明するための図である。
図7図7は、アニーリング前後におけるシーム部を、正反射条件および拡散反射条件で撮像した結果の一例を示す図である。
図8図8の(a)は、シーム部およびシーム部以外の部分における酸化被膜の付着量と正反射輝度との関係を示す図であり、図8の(b)は、シーム部およびシーム部以外の部分における酸化被膜の付着量と拡散反射輝度との関係を示す図である。
図9図9は、正反射の情報と拡散反射の情報とを組み合わせてシーム部Sの位置を検出するフローチャートの一例を示す図である。
図10図10は、撮像装置の赤色チャンネルで得られる輝度プロファイルの一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置による検出結果の表示方法の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置による検出結果の表示方法の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置の変形例1の構成を示す図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置の変形例2の構成を示す図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置の変形例2の構成を示す図である。
図16図16は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置の変形例3の構成を示す図である。
図17図17は、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置の実施例であり、位置検出装置によって検出したシーム部および加熱部の位置を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
〔溶接鋼管の製造設備と製造方法〕
まず、溶接鋼管の製造設備の構成について、図1を参照しながら説明する。合わせて、溶接鋼管の製造方法についても説明する。製造設備1は、溶接機11と、切削機12と、複数のアニーラ加熱子13からなる加熱装置と、を備えている。
【0032】
溶接機11は、筒状に成形された鋼板の突合せ部を溶接する(溶接工程)。切削機12は、溶接機11による溶接後に形成された溶接鋼管Wのビード部Bを切削する(切削工程)。複数のアニーラ加熱子13は、切削機12による切削後のシーム部Sを狙って加熱する(加熱工程)。
【0033】
なお、図1では設置の一例として複数のアニーラ加熱子13の場合を示しているが、アニーラ加熱子13を一つだけ設置することも可能である。ここで、本明細書では、加熱工程中または加熱工程後に、シーム部Sを狙って加熱した結果発生する、高温となった領域を加熱部と呼ぶことにする。加熱部は高温のため、赤熱光あるいは赤外光を発している。
【0034】
通常、アニーラ加熱子13がシーム部Sに合った位置にあれば、シーム部Sと加熱部とは一致する。しかし、一つまたは複数のアニーラ加熱子13の位置がズレている場合は、そのズレ量だけシーム部Sから外れて加熱することになる。言い換えると、シーム部Sだけではなく、シーム部S近傍も一緒に加熱することになる。また、アニーラ加熱子13のズレ量が大きい場合は、シーム部Sから完全に外れ、シーム部S近傍だけを加熱することになる。よって、加熱部は、実際にはシーム部および/またはシーム部近傍が加熱工程で加熱されることで発生するともいえる。
【0035】
〔位置検出装置と位置検出方法〕
次に、本発明の実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置と位置検出方法について、図2を参照しながら説明する。位置検出装置2は、アニーラ加熱子13による加熱中または加熱後において、溶接鋼管Wのシーム部Sの位置と、アニーラ加熱子13によってシーム部Sが狙って加熱されることで発生する加熱部の位置とを検出する(位置検出工程)。ここで、シーム部Sおよび加熱部の位置は、どちらも溶接鋼管Wの表面上での位置となる。位置検出装置2は、複数のアニーラ加熱子13を備える製造設備1に適用される場合、いずれか一つのアニーラ加熱子13の後ろに設置されればよい。また、位置検出装置2は、光源21と、撮像装置22と、画像処理装置23と、表示装置24と、を備えている。また、位置検出装置2は、溶接鋼管Wの外部から、当該溶接鋼管Wの表面上におけるシーム部Sの位置と加熱部の位置とを測定する。この位置検出工程は、アニーラ加熱子13による加熱中または加熱後において行われることから、加熱工程中に行われることになる。言い換えれば、位置検出工程は加熱工程に含まれる。
【0036】
光源21は、溶接鋼管Wの管外側に配置され、溶接鋼管Wのシーム部Sおよび加熱部に、第一の波長域の光を照射する。第一の波長域は、後記する第二の波長域と干渉しない波長域である。通常、アニーラ加熱子13によって加熱される温度は、最大1100℃程度であり、この第一の波長域としては、例えば550nm以下の波長域が、1100℃の自発光で感度がほとんどなく、自発光の影響を受けないという理由から好ましい。特に好ましいのが、一般的にカラーカメラの青チャンネルや緑チャンネルの波長域である450nm~550nmの範囲である。また、光源21としては、具体的には青色光源や緑色光源を用いることが好ましい。
【0037】
また、ここで説明する青色光源や緑色光源は、LED光源を用いてもよい。また、メタハラ光源、キセノン光源、ハロゲン光源等の広帯域な光源に対し、青色や緑色のみを透過させるフィルタおよびフィルムを用いてもよい。更に、青色や緑色の波長を持つレーザー光源の前に、拡散板等の光線を拡散させる性質を持つ光学素子を置くことで、該当部位を照射可能な光源を用いてもよい。
【0038】
撮像装置22は、溶接鋼管Wの管外側に配置され、光源21によって光が照射された溶接鋼管Wのシーム部Sおよび加熱部を撮像する。ここで撮像する撮像領域は、正確にシーム部Sと加熱部だけである必要はなく、測定したいシーム部Sと加熱部とを含んでいれば、更に広い領域であってもよい。但し、広すぎると実際の計測に使用しない領域が増え、カメラの素子数が有限であるため、一画素当たりの分解能が低下する。また、狭すぎると、加熱部やシーム部Sの変動や鋼管径の変化により、対象となる加熱部やシーム部Sが視野領域から外れてしまい、計測不能となる。従って、撮像範囲を安定して加熱部やシーム部Sを撮像できる範囲内で、なるべく高分解能とすることが好ましい。撮像装置22は、複数の異なるチャンネルを有しており、少なくとも第一のチャンネルおよび第二のチャンネルを有している。
【0039】
第一のチャンネルは、光源21によって照射される第一の波長域の反射光を受光可能なチャンネルである。また、第二のチャンネルは、溶接鋼管Wのシーム部Sの赤熱によって発生する放射光に対応する第二の波長域の反射光を受光可能なチャンネルである。そのため、この第二の波長域としては、例えば600nm以上の波長域が好ましい。特に、600nm~1000nmの範囲とすれば、通常安価に入手可能なSi素子の感度範囲内であるため、更に好ましい。
【0040】
撮像装置22として、先に説明した第一の波長域を受信できる第一のチャンネルと、第二の波長域を受信できる第二のチャンネルを備える撮像装置を用いる。撮像装置22としては、例えば、赤色チャンネル、青色チャンネルおよび緑色チャンネルを有するカラーカメラを用いることが好ましい。この場合、第一のチャンネルは青色チャンネルと緑色チャンネル、第二のチャンネルは赤色チャンネルに相当する。加熱工程等におけるアニーリングの加熱温度は、例えば800~1100℃であり、赤熱による放射光に対する青色チャンネル(例えば450nm前後の波長帯の光)の受光感度はほぼ0である。一方、赤色チャンネル(例えば650nm前後の波長帯の光)では、赤熱による放射光に対して十分な受光感度を有している。
【0041】
そのため、前記した光源21として、青色チャンネルの受光感度となる波長域を有する青色光源を用い、撮像装置22としてカラーカメラを用いる。そして、光源21によって対象の溶接鋼管Wにある加熱されて赤熱状態のシーム部Sを照射し、撮像装置22によって光源21により照射されたシーム部Sおよび/またはシーム部S近傍を撮像する。これにより、光学的に位置合わせされた状態で、赤色チャンネルには赤熱による放射光のみを受光させ、青色チャンネルには青色光源の反射光のみを受光させることが可能となる。
【0042】
このように、溶接鋼管Wのシーム部Sを目視で確認できるような投受光の光学系を用いることにより、シーム部Sの反射画像を、加熱による赤熱の放射画像と光学的に位置合わせされた状態で取得することが可能となる。なお、「反射画像」とは、シーム部Sに対して光源21の光が反射した画像のことを示している。また、「放射画像」とは、シーム部Sを狙って加熱することで発生する加熱部からの放射光による画像のことを示している。
【0043】
なお、光学的に位置合わせされた状態にするには、放射画像と反射画像とを同軸の光学系で取得することが好ましい。また、撮像装置22として一般的なカラーカメラを用いることにより、位置検出装置2の低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態のように、第一のチャンネルは一つまたは複数のチャンネルを持つことが可能である。同様に、第二のチャンネルも一つまたは複数のチャンネルを持つことが可能である。また、第一のチャンネルと第二のチャンネルとがそれぞれ複数チャンネルを持つ場合、チャンネルごとに異なる波長域に対して感度を有していてもよいし、同じ波長域に対して感度を有していてもよい。
【0044】
撮像装置22は、二次元の視野を有するものであってもよく、あるいは一次元の視野を有するものであってもよい。撮像装置22が一次元の視野を有する場合、溶接鋼管Wの周方向に視野を有するようにする必要がある。
【0045】
ここで、本実施形態では、光源21として青色光源を用い、撮像装置22としてカラーカメラを用いることを前提に説明を行う。但し、赤熱による放射光の波長域と、対象の溶接鋼管Wに照射される光の波長域とを分離できる構成であれば、上記以外の組み合わせであっても実現できることは言うまでもない。
【0046】
また、溶接鋼管Wの反射光からシーム部Sを検出する際に、一組の光学系(青色光源および青色チャンネル)だけでは検出が困難である場合、例えば第三の波長域である緑色光源と緑色チャンネルを追加し、二通りの反射画像を取得してもよい。この場合、例えば図3に示すように、溶接鋼管Wの管軸方向に青色光源21Aおよび緑色光源21Bを配置する。そして、これとともに、シーム部Sおよび加熱部に対して、青色光源21Aを正反射条件となるように配置し、緑色光源21Bを拡散反射条件となるように配置することができる。
【0047】
あるいは、正反射条件ではないが、図4に示すように、溶接鋼管Wの周方向のシーム部Sに対して互いに対称となる位置に青色光源21Aおよび緑色光源21Bを配置し、二方向から光を照射してもよい。こうすることにより、もし仮にシーム部Sに凹凸があったとしても、青色光源21Aと緑色光源21Bとで照射方向が異なるので影の方向が反対となり、画像処理によりシーム部Sを精度よく検出することが可能となる。更に、図3および図4における青色光源21Aおよび緑色光源21Bの位置関係は、互いに入れ替えてもよい。このように、二組の光学系を用いることにより、シーム部Sの検出精度を向上させることができる。
【0048】
(カラーカメラの精度および種類)
次に、撮像装置22として用いるカラーカメラの精度および種類について説明する。まず、溶接鋼管Wのシーム部Sと加熱部との位置合わせの要求精度に対して、分解能を設定する必要がある。例えば0.5mmの精度が必要であれば、画素分解能以上に正しく位置を推定することは困難であるため、少なくとも0.5mm/画素以上の分解能が必要となる。
【0049】
カラーカメラの種類としては、主にベイヤー方式とプリズム方式が存在する。ベイヤー方式は、例えば図5に示すように、各画素を構成する撮像素子221の前に、各色のフィルタ(赤フィルタ222、緑フィルタ223、青フィルタ224)を均等に配置し、画像を取得する。そして、その中で各チャンネルの画像に分離すると、各チャンネルは各色のフィルタが存在する画素のみ画素値が得られ、その他は歯抜けの状態となる。従って、アップサンプリング処理によって他色のフィルタの画素値を補完することにより、3チャンネル分の画像を生成することができる。ベイヤー方式は、簡易な構成で実現できるものの、得られた画像ほどの分解能がなく、各チャンネルも素子サイズオーダーで位置がずれるという特徴がある。
【0050】
一方、プリズム方式は、図6に示すように、赤色用、緑色用および青色用の3枚の撮像素子221を用意し、それをプリズム225によって厳密に位置合わせしつつ、色を分離する。このような機能を持つプリズム225を、「ダイクロックプリズム」と呼ぶ。プリズム方式は、ベイヤー方式のようなアップサンプリングが不要であり、サブピクセル以下の精度で各チャンネル間の位置精度を出すことができるため、ベイヤー方式と比較して高い計測精度が得られるという特徴がある。
【0051】
(光源および撮像装置の配置)
次に、溶接鋼管Wのシーム部Sの画像を撮像するための光源21および撮像装置22の適切な配置位置について説明する。図7は、シーム部Sのアニーリング前後における画像であり、(a)は加熱前に正反射条件で撮像した画像、(b)は加熱後に正反射条件で撮像した画像、(c)は加熱前に拡散反射条件で撮像した画像、(d)は加熱後に拡散反射条件で撮像した画像、である。正反射条件で撮像する場合、主に正反射光を受光した画像が得られ、拡散反射条件で撮像する場合、主に拡散反射光、すなわち散乱光を受光した画像が得られる。
【0052】
前記したように、ビード部Bを切削した直後のシーム部Sは、鏡面性が非常に高い。この状態でアニーリングが行われると、表面に酸化被膜(黒皮酸化被膜)が生成する。そして、加熱を行うにつれて酸化被膜の付着量が増大し、この酸化被膜の付着量に応じて表面粗さが増加して、その結果、シーム部Sの鏡面性は低下し拡散性は高くなっていく。
【0053】
正反射条件で撮像した場合、加熱前の鏡面性が高い状態では、例えば図7の(a)に示すように、シーム部Sがその他の部分よりも明るく写る。一方、加熱後は酸化被膜の付着により鏡面性が低下して拡散性が高くなるため、例えば同図の(b)に示すように、酸化被膜の付着量に応じて、シーム部Sがそれ以外の部分と比較して暗く写る。このように、正反射条件で撮像した場合、加熱前後において輝度の差が大きいため、シーム部Sの写り方にも顕著な差が生じる。
【0054】
拡散反射条件で撮像した場合、加熱前の鏡面性が高い状態では、例えば図7の(c)に示すように、シーム部Sがその他の部分よりも暗く写る。一方、加熱後は、例えば同図の(d)に示すように、シーム部Sとその他の部分との区別が付きにくくなる。このように、拡散反射条件で撮像した場合、正反射条件で撮像した場合ほど、シーム部Sの写り方にも顕著な差は生じない。
【0055】
シーム部Sおよびその他の部分における酸化被膜の付着量と正反射輝度との関係、シーム部Sおよびその他の部分における酸化被膜の付着量と拡散反射輝度との関係をまとめると、それぞれ図8の(a)、(b)のようになる。
【0056】
図8の(a)は、酸化被膜の付着量と正反射輝度との関係を模式化して示している。図8の(a)において、実線はシーム部Sの正反射輝度の変化、破線はシーム部S以外の正反射輝度の変化、横軸はシーム部Sにおける酸化被膜の付着量、縦軸は正反射輝度を示している。一方、図8の(b)は、酸化被膜の付着量と拡散反射輝度との関係を模式化して示している。図8の(b)において、実線はシーム部Sの拡散反射輝度の変化、破線はシーム部S以外の拡散反射輝度の変化、横軸はシーム部Sにおける酸化被膜の付着量、縦軸は拡散反射輝度を示している。また、図8の(a)と(b)とで、同じ付着量に対しては同じ横軸の位置となるように、横軸の位置をおおよそ合わせてある。また、縦の一点鎖線は、シーム部Sの酸化被膜が同一付着量となる、ある時点を示している。
【0057】
正反射条件の画像では、シーム部Sに酸化被膜があまり付着していない場合、すなわち図8の(a)の横軸に対して左側はシーム部Sがシーム部S以外と比較して明るくなる。そしてその後、酸化被膜の付着量が増加するにつれて、シーム部Sの輝度が低下し、最終的にはシーム部S以外と比較して暗くなる。一方、拡散反射条件の画像では、シーム部Sに酸化被膜があまり付着していない場合、すなわち図8の(b)の横軸に対して左側はシーム部Sがシーム部S以外と比較して暗くなる。そしてその後、酸化被膜の付着量が増加するにつれて、シーム部Sの輝度が高くなり、最終的にはシーム部S以外と区別がつかなくなっていく。
【0058】
但し、酸化被膜の付着量の程度によっては、シーム部Sの正反射輝度とシーム部S以外の正反射輝度との差が小さくなり、正反射輝度からはシーム部Sの検出は困難となる可能性がある。これは、図8の(a)中においては丸印(●)で示した状態である。このときの図8の(a)と同じ酸化被膜の付着量(一点鎖線で図示)において、図8の(b)の拡散反射条件では、シーム部Sの拡散反射輝度は丸印(●)、シーム部S以外の拡散反射輝度はバツ印(×)となる。そのため、●印と×印との間に拡散反射輝度の差が発生している可能性が高い。このように、正反射輝度において、シーム部Sとシーム部S以外の輝度の差が小さくても、拡散反射条件において、シーム部Sの拡散反射輝度とシーム部S以外の拡散反射輝度との差が明確に発生していれば、拡散反射輝度からシーム部Sの検出が可能となる。つまり、正反射の情報と拡散反射の情報とを組み合わせれば、シーム部Sの検出がより確実となり、より好ましい。
【0059】
正反射の情報と拡散反射の情報とを組み合わせてシーム部Sの位置を検出するフローチャートの一例を、図9に示す。まず、正反射条件において、シーム部Sとシーム部S以外の部分とを比較して、正反射輝度に差があるか否かを判定する(ステップS1)。正反射輝度に差がありシーム部Sを検出できる場合(ステップS1でYes)、正反射画像の輝度差を利用して閾値処理等によりシーム部Sを算出する(ステップS2)。一方、正反射輝度に差がなくシーム部Sを検出できない場合(ステップS1でNo)、シーム部Sが拡散反射の輝度値で明るくまたは暗く見えることを利用してシーム部Sを算出する(ステップS3)。このようにすれば、閾値処理等により酸化被膜の付き方に依存せずにシーム部Sを安定して検出することができる。なお、図9は、シーム部Sを安定して検出するためのフローチャートの一例である。但し、本例に関わらず、正反射画像と拡散反射画像とから、四則演算、閾値処理、AND処理、OR処理、またはこれらの処理の組み合わせ等を用いて直接シーム部Sを抽出してもよい。
【0060】
以上を踏まえて、第一の波長域の光を照射する光源21(本実施の形態では青色光源)と、第一のチャンネルを有する撮像装置22(本実施の形態ではカラーカメラ)とを、シーム部Sを含む測定箇所cに対して、正反射条件となるように配置することが好ましい。例えば、管軸方向に配置する場合では、光源21および撮像装置22を、図2に示すように設置することが好ましい。この場合は、光源21および撮像装置22を、溶接鋼管Wのシーム部Sを含む測定箇所cの法線ベクトルnに対して、光源21による光の照射角度αと撮像装置22による光の受光角度βとが等しくなる位置に、それぞれ設置することが好ましい。これにより、アニーリング前後において、シーム部Sを精度よく検出することができる。なお、シーム部Sを適切に検出することができれば、光源21および撮像装置22を上記の配置以外としてもよいことは言うまでもない。以下、位置検出装置2の構成の説明に戻る。
【0061】
画像処理装置23は、撮像装置22によって撮像された画像を、周知の画像処理技術によって処理し、溶接鋼管Wのシーム部Sの位置および加熱部の位置(両者の位置関係)をそれぞれ検出する。また、画像処理装置23は、検出したシーム部Sおよび加熱部の位置に加えて、シーム部Sの位置に対する加熱部の位置のズレ量を検出(算出)してもよい。なお、前記した「ズレ量」とは、具体的には溶接鋼管Wの周方向におけるズレ量のことを示している。
【0062】
ここで、撮像装置22の赤色チャンネルで得られる加熱部の画像は、図10に示す輝度プロファイルのように、加熱部の位置が高輝度となっている。そのため、高輝度となる位置を算出することにより、加熱部の位置を検出することができる。加熱部の位置は、例えば幅方向の重心位置、最高輝度となる位置、閾値処理による二値化後中心位置や重心位置等に基づいて検出することができる。
【0063】
また、撮像装置22の青色チャンネルで得られる溶接鋼管Wの正反射画像は、表面の酸化被膜の付着量が少ないときは明るく見え(図7の(a)参照)、酸化被膜が十分付着しているときは暗く見える(同図の(b)参照)。従って、赤色チャンネルの場合と同様の考え方により、明るくなる部分の位置および暗くなる部分の位置を算出する。
【0064】
なお、画像の縦方向または横方向と、溶接鋼管Wの搬送方向とが厳密に一致していない場合、画像を回転させる等の前処理を行うことが好ましい。また、周波数フィルタ等によって高周波成分を除去する、溶接鋼管Wの管軸方向に積算・平均化・中央値処理を演算する、等の前処理によってノイズを低減させることが好ましい。
【0065】
また、画像処理装置23による画像処理によってもシーム部Sを精度よく算出することが難しく、かつ画像を目視で見てシーム部Sを判定できる場合は、例えば加熱部の画像およびシーム部Sの画像を、表示装置24を通じてオペレータに視覚的に表示してもよい。
【0066】
表示装置24は、画像処理装置23による処理結果を表示することにより、オペレータに対してガイダンスを行う。表示装置24は、例えば画像処理装置23によって検出された溶接鋼管Wのシーム部Sの位置に対する加熱部の位置のズレ量を数値として表示することができる。また、表示装置24は、シーム部Sの位置および加熱部の位置を、画像として表示してもよい。
【0067】
シーム部Sの位置および加熱部の位置を画像として表示する場合、例えば撮像装置22の青色チャンネルで受光した画像と、赤色チャンネルで受光した画像とを重ね合わせて表示してもよい。あるいは、図11に示すように、シーム部Sの位置を示す画像と、加熱部の位置を示す画像とを、溶接鋼管Wの搬送方向に並べて表示してもよい。また、シーム部Sの自動検出を精度よく行うことができない場合は、例えば図12示すように、アニーラ加熱子13の位置から推定した加熱部の位置を、シーム部Sの上に重ね合わせて表示してもよい。このように、シーム部Sの位置および加熱部の位置を画像として表示することにより、オペレータがシーム部Sの位置および加熱部の位置を、直感的に把握することが可能となる。
【0068】
なお、位置検出装置2は、シーム部Sの位置と加熱部の位置との間に、予め定めた閾値以上の距離がある場合に、アラームにより通知する通知手段を備えていてもよい。また、位置検出装置2は、画像処理装置23によって処理された画像を蓄積し、加熱状況の推移を記録する記録手段を備えていてもよい。
【0069】
〔変形例1〕
前記した位置検出装置2では、溶接鋼管Wのシーム部Sおよび加熱部の位置検出結果を表示装置24に表示していた。一方、例えば図13に示すように、画像処理装置23によって検出したシーム部Sおよび加熱部の位置のズレ量に基づいて、アニーラ加熱子13の位置を制御してもよい。同図に示した位置検出装置2Aは、図2に示した位置検出装置2の構成に加えて、加熱子位置制御装置25を備えている。
【0070】
加熱子位置制御装置25は、位置検出装置2Aの画像処理装置23によって検出されたシーム部Sの位置に対する加熱部の位置のズレ量に基づいて、アニーラ加熱子13の位置を制御する。すなわち、加熱子位置制御装置25は、シーム部Sに対して加熱部を一致させるように、アニーラ加熱子13の位置を溶接鋼管Wの周方向に移動させる。このように、シーム部Sの位置に対する加熱部の位置のズレ量に基づいてアニーラ加熱子13の位置を制御することにより、シーム部Sを精度よく加熱することが可能となる。
【0071】
また、アニーラ加熱子13が複数ある場合は、本発明に係る位置検出装置2Aよりも前および/または後にある、アニーラ加熱子13の位置を制御することができる。位置検出装置2Aよりも前にあるアニーラ加熱子13の位置を制御する場合は、フィードバックとなり、安定した加熱工程の制御が可能となる。一方、位置検出装置2Aよりも後にあるアニーラ加熱子13の位置を制御する場合は、フィードフォワードとなり、より反応の良い制御となるとともに、ズレて加熱されたシーム部Sも、位置検出装置2Aより後では正しく加熱されることとなる。より好ましいのは、位置検出装置2Aの前後にあるアニーラ加熱子13の位置を制御することであり、フィードバックとフィードフォワードの両方の利点を得ることができる。また、最も好ましいのは、位置検出装置2Aの前後にある全てのアニーラ加熱子13の位置を制御することであり、目的とする加熱工程での効果が、より確実に得られることとなる。
【0072】
また、溶接鋼管Wが加熱過程で捩れ、各アニーラ加熱子13の位置ごとにシーム部Sの位置が異なる場合は、逆に位置検出装置2Aを各アニーラ加熱子13の前後に複数設置することが好ましい。このように配置することにより、アニーラ加熱子13ごとの加熱部とシーム部Sの位置関係を把握できるようになり、捩れが発生したとしても、位置制御性能が向上する。より多くの位置検出装置2Aを設置することが好ましいが、最も好ましいのは、全てのアニーラ加熱子13の前後で加熱部とシーム部Sの位置関係を把握することであり、捩れの影響を完全に除外することが可能となる。
【0073】
〔変形例2〕
本発明の変形例2について説明する。変形例2では、図14に示すように、カラーカメラの代わりに、同一の光学特性を持つ二台のカメラ31,32と、ビームスプリッタ41と、を用いる。なお、ビームスプリッタ41の代わりにプリズムを用いてもよい。そして、二台のカメラ31,32に対して、ビームスプリッタ41を用いて光軸合わせを行い、対象視野が同一になるように調整する。
【0074】
ここで説明する光学特性とは、視野および分解能を指す。各カメラ31,32の前には、例えば第一の波長域のみを透過するフィルタと、第二の波長域のみを透過するフィルタを設置する。これにより、位置合わせされた状態で反射画像と放射画像を得ることが可能となり、カラーカメラを用いた場合と同様の効果を得ることができる。またこのとき、光軸のズレやレンズのシェーディングにより多少の位置ズレが発生しても、例えば画像間で撮像対象の同一位置となるように素子間の対応が予め判明している場合、画像処理により位置合わせしてもよい。また、ビームスプリッタ41やプリズムの代わりに、波長域により、反射方向を制御したり、透過させたりする特性を持つダイクロックミラーを用いてもよい。
【0075】
また、例えば三台のカメラ31,32,33を用いて、2条件の反射画像を撮像する場合、図15に示すように、二台のビームスプリッタ41,42を用いて光軸合わせを行うことにより、カラーカメラを用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【0076】
〔変形例3〕
本発明の変形例3について説明する。変形例3では、図16に示すように、カラーカメラ34と、ハーフミラー43と、を用いる。例えば配置制約により、アニーラ加熱子13間にほとんどわずかなスペースしかない場合、後記する実施例のように、正反射条件や拡散反射条件で照射することが困難である。
【0077】
そこで、このような場合は、図16に示すような同軸落射光学系を採用してもよい。すなわち、ハーフミラー43を介して、第一の波長域の光線を溶接鋼管Wの表面に照射し、その反射光をハーフミラー43に透過させて、カラーカメラ34によって受光する。また、第二の波長域の光は、ハーフミラー43を介して受光することができるので、反射光の受光、自発光の受光および照射を、同軸で実施することが可能となり、省スペース化が期待できる。
【0078】
〔品質管理方法〕
溶接鋼管Wの品質管理方法は、位置検出装置2,2Aによって検出されたシーム部Sの位置に対する加熱部の位置のズレ量に基づいて、溶接鋼管Wの品質を管理する。品質管理方法では、例えば前記したズレ量が予め定めた閾値以上である場合、溶接鋼管Wの品質(例えば靭性等)が、予め定められた要求スペックを満たすか否かを検査する検査工程を実施する。そして、検査工程の結果に基づいて、当該溶接鋼管Wをグレード落ちとして再利用するか、あるいはNG品として廃棄するかを決定する。このように、シーム部Sの位置に対する加熱部の位置のズレ量に基づいて溶接鋼管Wを分類することにより、品質の優れた溶接鋼管Wを提供することができる。
【0079】
以上説明した実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法によれば、以下のような効果を奏する。すなわち、光源21からシーム部Sに照射された光の反射光を受光するチャンネルと、加熱部の赤熱による放射光を受光するチャンネルとを有する撮像装置22によって溶接鋼管Wを撮像することにより、低コストかつ簡易な構成とできる。また、シーム部および加熱部の位置を精度よく検出することができる。
【0080】
また、実施形態に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法によれば、以下のような効果も奏する。すなわち、従来オペレータによる実物の目視に依存していたシーム部Sと加熱部の位置関係の位置ズレ防止対策を、可視化および自動化することが可能となる。
【0081】
以上、本発明に係る溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置、溶接鋼管の製造設備、溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出方法、溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管の品質管理方法について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明した。但し、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0082】
〔実施例〕
本発明の実施例について説明する。本実施例では、図2と同様の位置検出装置を構築し、シーム部および加熱部の位置を検出した。撮像装置として、640×480画素のカラーカメラを用い、光源として、青色の光のみ照射できるスポット光源を用いた。また、撮像装置と光源の配置は、正反射条件とし、光の照射角を5度に設定した。得られた画像から重心処理によってシーム部および熱部の位置を算出した結果を図17に示す。同図に示すように、シーム部に対して加熱部が精度よく追従できていることがわかる。
【0083】
なお、本実施例では、撮像装置としてベイヤー方式のカラーカメラを用いたが、プリズム方式のカラーカメラを用いてもよい。また、本実施例では、正反射条件で撮像したが、シーム部とシーム部以外の部分との差を画像の特徴として検知できるのであれば、拡散反射条件で撮像してもよく、あるいは図3および図4に示した光学系を用いて撮像してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 製造設備
11 溶接機
12 切削機
13 アニーラ加熱子
2,2A 位置検出装置
21 光源
21A 青色光源
21B 緑色光源
22 撮像装置
221 撮像素子
222 赤フィルタ
223 緑フィルタ
224 青フィルタ
225 プリズム
23 画像処理装置
24 表示装置
25 加熱子位置制御装置
31,32,33 カメラ
34 カラーカメラ
41,42 ビームスプリッタ
43 ハーフミラー
S シーム部
W 溶接鋼管
n 法線ベクトル
α 照射角度
β 受光角度
c 測定箇所
【要約】
溶接鋼管のシーム部および加熱部の位置検出装置は、溶接鋼管のシーム部の位置と、加熱部の位置とを検出する位置検出装置であって、シーム部および加熱部に、第一の波長域の光を照射する光源と、光源によって光が照射されたシーム部および加熱部を撮像する撮像装置と、撮像装置によって撮像された画像を処理し、シーム部および加熱部の位置を検出する画像処理装置と、を備え、撮像装置が、第一の波長域の光を受光可能な第一のチャンネルと、加熱部からの放射光に対応する第二の波長域の光を受光可能な第二のチャンネルと、を有する。
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