(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】制御装置および温度調整システム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B1/00 397E
(21)【出願番号】P 2020070145
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 布祐紀
(72)【発明者】
【氏名】北澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】倉又 俊博
(72)【発明者】
【氏名】竹前 昭宏
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-35092(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162798(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/010738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 25/00
F24F 11/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒液の温度を調整する調整部と、前記熱媒液を供給対象に圧送する圧送部と、前記調整部を制御して前記熱媒液の温度を調整させると共に前記圧送部を制御して前記供給対象に当該熱媒液を圧送させる個別制御部とを備えた温度調整装置を複数備えて構成された温度調整システムの当該各温度調整装置における当該個別制御部を、当該温度調整システムから当該供給対象に圧送される当該熱媒液の温度が予め指定された目標温度に調整され、かつ当該温度調整システムから当該供給対象に圧送される当該熱媒液の圧力が予め指定された目標圧力に加圧される制御態様でそれぞれ制御する統括制御部を備えた制御装置であって、
前記統括制御部は、予め規定された第1の開始条件が満たされたときに、前記各温度調整装置のうちの少なくとも1台における前記調整部および前記圧送部の少なくとも一方の動作状態が他の当該温度調整装置とは相違する複数種類の前記制御態様で前記個別制御部を順次制御して前記温度調整システムによる単位時間当りの全体消費電力量を当該制御態様毎にそれぞれ特定する第1の特定処理を実行すると共に、当該第1の特定処理によって特定した前記全体消費電力量が少ない前記制御態様で前記個別制御部をそれぞれ制御する制御装置。
【請求項2】
前記統括制御部は、当該温度調整システムから前記供給対象に圧送される前記熱媒液の温度を前記目標温度に維持させ、かつ当該温度調整システムから当該供給対象に圧送される当該熱媒液の圧力を前記目標圧力に維持させるために前記制御態様を変更するときに、前記予め規定された第1の開始条件が満たされたとして前記第1の特定処理を実行する請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記統括制御部は、新たな前記目標温度、および新たな前記目標圧力の少なくとも一方を指定されたときに、前記予め規定された第1の開始条件が満たされたとして前記第1の特定処理を実行する請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
記憶部を備え、
前記統括制御部は、前記第1の特定処理を実行したときに、当該第1の特定処理において特定した前記全体消費電力量および対応する前記制御態様と、当該第1の特定処理の開始時点において指定されていた前記目標温度および前記目標圧力とを相互に関連付けた消費電力データを生成して前記記憶部に記憶させる消費電力学習処理を実行すると共に、いずれかの前記目標温度および前記目標圧力が指定され、かつ指定された当該目標温度および当該目標圧力と関連付けられた前記制御態様が前記消費電力データに記録されているときに、指定された当該目標温度および当該目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている当該制御態様のうちから前記全体消費電力が少ない当該制御態様を特定して前記各個別制御部を制御する請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記統括制御部は、前記目標温度および前記目標圧力が指定され、かつ指定された当該目標温度および指定された当該目標圧力と関連付けられた前記制御態様が前記消費電力データに記録されていないときに、前記指定された目標温度に近い前記目標温度および前記指定された目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている前記制御態様、前記指定された目標温度および前記指定された目標圧力に近い前記目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている前記制御態様、並びに前記指定された目標温度に近い前記目標温度および前記指定された目標圧力に近い前記目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている前記制御態様の3種類の当該制御態様のうちの少なくとも1種類を特定すると共に、特定した少なくとも1種類の前記制御態様に基づき、前記指定された目標温度および前記指定された目標圧力に対応する前記制御態様であって前記全体消費電力が少ない当該制御態様を予測する制御態様予測処理を実行し、予測した当該制御態様で前記各個別制御部を制御する請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記統括制御部は、予め規定されたリセット条件が満たされたときに前記消費電力データを前記記憶部から消去する請求項4または5記載の制御装置。
【請求項7】
前記統括制御部は、予め規定された第2の開始条件が満たされたときに、前記各温度調整装置を単独で順次動作させて当該各温度調整装置による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する第2の特定処理を実行すると共に、前記供給対象に前記熱媒液を圧送させる際に、前記個別消費電力量が少ない前記温度調整装置による当該熱媒液の温度の調整量よりも、当該個別消費電力量が多い前記温度調整装置による当該熱媒液の温度の調整量の方が少なくなる前記制御態様で前記各個別制御部を制御する請求項1から6のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記統括制御部は、予め規定された第2の開始条件が満たされたときに、前記各温度調整装置を単独で順次動作させて当該各温度調整装置による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する第2の特定処理を実行すると共に、前記供給対象に前記熱媒液を圧送させる際に、前記個別消費電力量が少ない前記温度調整装置による当該熱媒液の圧力の調整量よりも、当該個別消費電力量が多い前記温度調整装置による当該熱媒液の圧力の調整量の方が少なくなる前記制御態様で前記各個別制御部を制御する請求項1から7のいずれかに記載の制御装置。
【請求項9】
前記統括制御部は、前記全体消費電力量が予め規定された変化量を超えて大きく変化したときに、前記予め規定された第1の開始条件が満たされたとして前記第1の特定処理を実行する請求項1から8のいずれかに記載の制御装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の制御装置と、複数の前記温度調整装置とを備えている温度調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒液の温度を調整して供給対象に圧送する温度調整装置を複数備えた温度調整システムにおける各温度調整装置の動作を制御する制御装置、およびそのような制御装置と複数の温度調整装置とを備えた温度調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の温度調整装置および制御装置を備えた温度調整システムとして、出願人は、複数のチラー、および各チラーを統括制御する集中制御装置を備えた連結運転システムの発明を下記の特許文献に開示している。この場合、各チラーは、冷凍サイクルによって冷却液(冷却水)を冷却する内部冷却系と、外気との熱交換によって冷却液を冷却する外気冷却系と、被冷却部(冷却液の供給対象)に冷却液を圧送する圧送ポンプと、内部冷却系および外気冷却系による冷却液の冷却や圧送ポンプによる冷却液の圧送を制御する制御系(チラーコントローラ)とを備えている。
【0003】
また、集中制御装置は、システムの負荷率に応じて各チラーの制御系を統括制御することにより、必要台数のチラーを動作させて被冷却部において必要とされている量の冷却液を供給させる処理を実行可能に構成されている。具体的には、集中制御装置は、システムの負荷率を監視すると共に、予め設定された第一監視負荷率以下になったときに一部のチラーの動作(冷却液の冷却および被冷却部への供給)を停止させ、かつ予め設定された第二監視負荷率以上になったときに停止中のチラーの動作を再開させる。
【0004】
また、集中制御装置は、動作中のチラーから被冷却部への冷却液の供給量が互いに等しくなるように各チラーを制御する。具体的には、いずれかのチラーの動作を停止させるときに、いずれかのチラーの停止前に連結運転システムから被冷却部に供給されている冷却液の総供給量を、いずれかのチラーの停止後に動作を継続させるすべてのチラーに分割して冷却液をそれぞれ供給させると共に、いずれかのチラーの動作を再開させるときに、いずれかのチラーの動作の再開前に連結運転システムから被冷却部に供給されている冷却液の総供給量を、いずれかのチラーの動作の再開後に動作中となるすべてのチラーに分割して冷却液をそれぞれ供給させる。
【0005】
これにより、出願人が開示している連結運転システムでは、被冷却部において必要とされる量の冷却液を連結運転システムから確実に供給することができると共に、被冷却部において必要とされる冷却液の量が少ないとき(負荷率が小さくなったとき)に、一部のチラーの動作を停止させることで連結運転システムによる消費電力量の低減を図ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許5685782号公報(第6-14頁、第1-7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が開示している連結運転システムには、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、上記の連結運転システムでは、集中制御装置が、動作中のシステムの負荷率、すなわち、被冷却部において必要とされている冷却液の量に応じて、一部のチラーの動作を停止させたり、停止させられているチラーの動作を再開させたりする制御を行うことにより、連結運転システムによる電力の浪費(不必要なチラーの動作を継続させることによる電力の消費)を軽減する構成が採用されている。この場合、上記の連結運転システムでは、集中制御装置が、動作中のチラーから被冷却部への冷却液の供給量が互いに等しくなるように各チラーを制御する構成が採用されている。
【0008】
一方、この種の連結運転システムでは、被冷却部に冷却液を供給するための供給配管に対するチラーの接続位置(被冷却部と各チラーとの間の供給配管長)がチラー毎に相違する状態となることがある。この場合、供給配管長が長いチラーでは、供給配管長が短いチラーと比較して、供給配管において生じる圧損(供給配管内を冷却液が移動する際の抵抗の存在に起因する圧力低下)が大きい分だけ、被冷却部に冷却液を圧送するのに必要な加圧量が多くなり(冷却液をより高い圧力まで加圧する必要が生じ)、これに起因して、圧送ポンプによる消費電力量が多くなる傾向がある。また、圧送ポンプによる加圧量が多いチラーでは、圧送ポンプによる加圧量が少ないチラーと比較して、加圧時における冷却液の温度上昇量が多い分だけ、冷却液を目標温度まで低下させるための内部冷却系(送風ファンや圧縮機)による消費電力量や、外気冷却系(送風ファン)による単位時間当りの消費電力量も多くなる傾向がある。
【0009】
さらに、この種の連結運転システムでは、設置場所の温度やコンディション(機構部品の減耗の進行度合いなど)などがチラー毎に相違する状態となることもある。この場合、温度が高い場所(例えば、直射日光が当たる場所、風通しの悪い場所、およびボイラー等の熱源に近い場所)に設置されたチラーでは、温度が低い場所(日陰となる場所や、風通しの良い場所)に設置されたチラーと比較して、凝縮器における冷媒の凝縮効率の低下に伴う内部冷却系による冷却液の冷却効率の低下や、外気冷却系による冷却液の冷却効率の低下が大きい分だけ、冷却液を目標温度まで低下させるための内部冷却系(送風ファンや圧縮機)による消費電力量や外気冷却系(送風ファン)による消費電力量が多くなる傾向がある。また、コンディションが悪いチラーでは、コンディションが良いチラーと比較して、圧送ポンプによる冷却液の圧送効率、および内部冷却系や外気冷却系による冷却液の冷却効率が低下するため、これに起因して消費電力量が多くなる傾向がある。
【0010】
しかしながら、出願人が開示している連結運転システムでは、上記のような供給配管長の相違、および設置場所の温度やコンディションの相違に起因する各チラーの個別消費電力量の相違について考慮せずに、必要とされている量の冷却水を被冷却部に供給し得る必要十分な台数のチラーを同じ動作条件でそれぞれ動作させる構成が採用されている。このため、いずれかのチラーの動作を停止させるときに、動作中のチラーのなかで個別消費電力量が少ないチラーを停止させている可能性(すなわち、他のチラーを停止させた方が連結運転システムの全体消費電力量を一層低減できる制御が行われている可能性)がある。また、いずれかのチラーの動作を再開させるときに、停止中のチラーのなかで個別消費電力量が多いチラーの動作を再開させている可能性(すなわち、他のチラーの動作を再開させた方が全体消費電力量の増加量が少ない制御が行われている可能性)がある。
【0011】
この場合、供給配管長の相違、および設置場所の温度やコンディションの相違を考慮して、各チラーの動作を停止させる順序や、各チラーの動作を再開させる順序を予め設定可能な構成を採用することも考えられる。しかしながら、この種のシステムの動作原理を熟知していない者にとっては、各チラーの供給配管長、および設置場所の温度やコンディションなどを把握し、把握した事項から各チラーの個別消費電力量を推定して好適な停止の順序や好適な再開の順序を決定するのは困難である。また、この種のシステムの使用現場においては、被冷却部の接続数や稼働状態、および供給配管や戻り配管の引回し形態が頻繁に変更されることがある。このため、この種のシステムの動作原理を熟知している者であっても、被冷却部の状態や各温度調整装置の設置状態を把握して各チラーの個別消費電力量を正しく推定するのが困難となっている。したがって、各チラーの動作を停止させる順序や、各チラーの動作を再開させる順序を予め設定することで全体消費電力量を一層低減するのは非常に困難となっている。
【0012】
なお、供給対象(被冷却部)において必要とされる熱媒液(冷却液)の温度および圧力(供給量)に応じて動作/停止させる温度調整装置の台数を増減させる温度調整システム(連結運転システム)の構成を例に挙げて説明したが、動作させる温度調整装置の台数を変更せずに各温度調整装置の稼働率を変化させるタイプの温度調整システムや、動作させる温度調整装置の台数および各温度調整装置の稼働率の双方を変化させるタイプの温度調整システムにおいても、上記の連結運転システムに存在する課題と同様の課題が生じている。
【0013】
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、各温度調整装置の動作環境を把握して各温度調整装置の個別消費電力量を推定する煩雑な作業を行うことなく、温度調整システムによる全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置を確実かつ容易に動作させ得る制御装置および温度調整システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の制御装置は、熱媒液の温度を調整する調整部と、前記熱媒液を供給対象に圧送する圧送部と、前記調整部を制御して前記熱媒液の温度を調整させると共に前記圧送部を制御して前記供給対象に当該熱媒液を圧送させる個別制御部とを備えた温度調整装置を複数備えて構成された温度調整システムの当該各温度調整装置における当該個別制御部を、当該温度調整システムから当該供給対象に圧送される当該熱媒液の温度が予め指定された目標温度に調整され、かつ当該温度調整システムから当該供給対象に圧送される当該熱媒液の圧力が予め指定された目標圧力に加圧される制御態様でそれぞれ制御する統括制御部を備えた制御装置であって、前記統括制御部は、予め規定された第1の開始条件が満たされたときに、前記各温度調整装置のうちの少なくとも1台における前記調整部および前記圧送部の少なくとも一方の動作状態が他の当該温度調整装置とは相違する複数種類の前記制御態様で前記個別制御部を順次制御して前記温度調整システムによる単位時間当りの全体消費電力量を当該制御態様毎にそれぞれ特定する第1の特定処理を実行すると共に、当該第1の特定処理によって特定した前記全体消費電力量が少ない前記制御態様で前記個別制御部をそれぞれ制御する。
【0015】
請求項2記載の制御装置は、請求項1記載の制御装置において、前記統括制御部は、当該温度調整システムから前記供給対象に圧送される前記熱媒液の温度を前記目標温度に維持させ、かつ当該温度調整システムから当該供給対象に圧送される当該熱媒液の圧力を前記目標圧力に維持させるために前記制御態様を変更するときに、前記予め規定された第1の開始条件が満たされたとして前記第1の特定処理を実行する。
【0016】
請求項3記載の制御装置は、請求項1または2記載の制御装置において、前記統括制御部は、新たな前記目標温度、および新たな前記目標圧力の少なくとも一方を指定されたときに、前記予め規定された第1の開始条件が満たされたとして前記第1の特定処理を実行する。
【0017】
請求項4記載の制御装置は、請求項1から3のいずれかに記載の制御装置において、記憶部を備え、前記統括制御部は、前記第1の特定処理を実行したときに、当該第1の特定処理において特定した前記全体消費電力量および対応する前記制御態様と、当該第1の特定処理の開始時点において指定されていた前記目標温度および前記目標圧力とを相互に関連付けた消費電力データを生成して前記記憶部に記憶させる消費電力学習処理を実行すると共に、いずれかの前記目標温度および前記目標圧力が指定され、かつ指定された当該目標温度および当該目標圧力と関連付けられた前記制御態様が前記消費電力データに記録されているときに、指定された当該目標温度および当該目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている当該制御態様のうちから前記全体消費電力が少ない当該制御態様を特定して前記各個別制御部を制御する。
【0018】
請求項5記載の制御装置は、請求項4記載の制御装置において、前記統括制御部は、前記目標温度および前記目標圧力が指定され、かつ指定された当該目標温度および指定された当該目標圧力と関連付けられた前記制御態様が前記消費電力データに記録されていないときに、前記指定された目標温度に近い前記目標温度および前記指定された目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている前記制御態様、前記指定された目標温度および前記指定された目標圧力に近い前記目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている前記制御態様、並びに前記指定された目標温度に近い前記目標温度および前記指定された目標圧力に近い前記目標圧力と関連付けられて当該消費電力データに記録されている前記制御態様の3種類の当該制御態様のうちの少なくとも1種類を特定すると共に、特定した少なくとも1種類の前記制御態様に基づき、前記指定された目標温度および前記指定された目標圧力に対応する前記制御態様であって前記全体消費電力が少ない当該制御態様を予測する制御態様予測処理を実行し、予測した当該制御態様で前記各個別制御部を制御する。
【0019】
請求項6記載の制御装置は、請求項4または5記載の制御装置において、前記統括制御部は、予め規定されたリセット条件が満たされたときに前記消費電力データを前記記憶部から消去する。
【0020】
請求項7記載の制御装置は、請求項1から6のいずれかに記載の制御装置において、前記統括制御部は、予め規定された第2の開始条件が満たされたときに、前記各温度調整装置を単独で順次動作させて当該各温度調整装置による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する第2の特定処理を実行すると共に、前記供給対象に前記熱媒液を圧送させる際に、前記個別消費電力量が少ない前記温度調整装置による当該熱媒液の温度の調整量よりも、当該個別消費電力量が多い前記温度調整装置による当該熱媒液の温度の調整量の方が少なくなる前記制御態様で前記各個別制御部を制御する。
【0021】
請求項8記載の制御装置は、請求項1から7のいずれかに記載の制御装置において、前記統括制御部は、予め規定された第2の開始条件が満たされたときに、前記各温度調整装置を単独で順次動作させて当該各温度調整装置による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する第2の特定処理を実行すると共に、前記供給対象に前記熱媒液を圧送させる際に、前記個別消費電力量が少ない前記温度調整装置による当該熱媒液の圧力の調整量よりも、当該個別消費電力量が多い前記温度調整装置による当該熱媒液の圧力の調整量の方が少なくなる前記制御態様で前記各個別制御部を制御する。
【0022】
請求項9記載の制御装置は、請求項1から8のいずれかに記載の制御装置において、前記統括制御部は、前記全体消費電力量が予め規定された変化量を超えて大きく変化したときに、前記予め規定された第1の開始条件が満たされたとして前記第1の特定処理を実行する。
【0023】
請求項10記載の温度調整システムは、請求項1から9のいずれかに記載の制御装置と、複数の前記温度調整装置とを備えている。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の制御装置では、統括制御部が、予め規定された第1の開始条件が満たされたときに、各温度調整装置のうちの少なくとも1台における調整部および圧送部の少なくとも一方の動作状態が他の温度調整装置とは相違する複数種類の制御態様で個別制御部を順次制御して温度調整システムによる単位時間当りの全体消費電力量を制御態様毎にそれぞれ特定する第1の特定処理を実行すると共に、第1の特定処理によって特定した全体消費電力量が少ない制御態様で個別制御部をそれぞれ制御する。また、請求項10記載の温度調整システムでは、上記の制御装置と、複数の温度調整装置とを備えている。
【0025】
したがって、請求項1記載の制御装置、および請求項10記載の温度調整システムによれば、各温度調整装置と供給対象との間の配管長、各温度調整装置の設置場所の温度、および各温度調整装置のコンディションなどの各種動作環境の相違を特定したり、特定した動作環境に基づいて各温度調整装置の単位時間当りの個別消費電力量を推定したりする煩雑な作業を行わなくても、第1の開始条件が満たされたときに、第1の特定処理が実行されて各温度調整装置の動作環境に応じた全体消費電力量が各種の制御態様毎に自動的に特定されると共に、特定された全体消費電力量に基づいて温度調整システムによる全体消費電力量が十分に少ない動作状態となるような制御態様で各温度調整装置が制御されるため、指定された目標温度に温度調整された熱媒液が指定された目標圧力で供給対象に対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態で確実かつ容易に動作させることができる。
【0026】
請求項2記載の制御装置では、統括制御部が、温度調整システムから供給対象に圧送される熱媒液の温度を目標温度に維持させ、かつ温度調整システムから供給対象に圧送される熱媒液の圧力を目標圧力に維持させるために制御態様を変更するときに、予め規定された第1の開始条件が満たされたとして第1の特定処理を実行する。したがって、請求項2記載の制御装置、およびそのような制御装置を備えた温度調整システムによれば、各温度調整装置の個別消費電力量が変化する可能性がある制御態様の変更時に、処理の開始を指示するスイッチ操作などを行わなくても第1の特定処理が自動的に実行されるため、指定された目標温度に温度調整された熱媒液が指定された目標圧力で供給対象に対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態を確実かつ容易に継続させることができる。
【0027】
請求項3記載の制御装置、およびそのような制御装置を備えた温度調整システムによれば、統括制御部が、新たな目標温度、および新たな目標圧力の少なくとも一方を指定されたときに、予め規定された第1の開始条件が満たされたとして第1の特定処理を実行することにより、各温度調整装置の個別消費電力量が確実に変化する新たな目標温度、および新たな目標圧力を指定されたときに、処理の開始を指示するスイッチ操作などを行わなくても第1の特定処理が自動的に実行されるため、指定された目標温度に温度調整された熱媒液が指定された目標圧力で供給対象に対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態を確実かつ容易に継続させることができる。
【0028】
請求項4記載の制御装置では、統括制御部が、第1の特定処理を実行したときに、第1の特定処理において特定した全体消費電力量および対応する制御態様と、第1の特定処理の開始時点において指定されていた目標温度および目標圧力とを相互に関連付けた消費電力データを生成して記憶部に記憶させる消費電力学習処理を実行すると共に、いずれかの目標温度および目標圧力が指定され、かつ指定された目標温度および目標圧力と関連付けられた制御態様が消費電力データに記録されているときに、指定された目標温度および目標圧力と関連付けられて消費電力データに記録されている制御態様のうちから全体消費電力が少ない制御態様を特定して各個別制御部を制御する。
【0029】
したがって、請求項4記載の制御装置、およびそのような制御装置を備えた温度調整システムによれば、過去に第1の特定処理を実行したときと同じ動作環境下で動作させる際に第1の特定処理を再度実行することなく、消費電力データに記録されている情報に基づいて、全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置を確実かつ容易に動作させることができる。これにより、全体消費電力量が少ない制御態様を特定するために制御態様を変更する頻度を減少させることができる結果、供給対象に対して熱媒液を安定供給することができる。
【0030】
請求項5記載の制御装置では、統括制御部が、目標温度および目標圧力が指定され、かつ指定された目標温度および指定された目標圧力と関連付けられた制御態様が消費電力データに記録されていないときに、指定された目標温度に近い目標温度および指定された目標圧力と関連付けられた制御態様、指定された目標温度および指定された目標圧力に近い目標圧力と関連付けられた制御態様、並びに指定された目標温度に近い目標温度および指定された目標圧力に近い目標圧力と関連付けられた制御態様の3種類の制御態様のうちの少なくとも1種類を特定すると共に、特定した少なくとも1種類の制御態様に基づき、指定された目標温度および指定された目標圧力に対応する制御態様であって全体消費電力が少ない制御態様を予測する制御態様予測処理を実行し、予測した制御態様で各個別制御部を制御する。
【0031】
したがって、請求項5記載の制御装置、およびそのような制御装置を備えた温度調整システムによれば、過去に実行した第1の特定処理の動作環境に近い動作環境下で動作させる際に第1の特定処理を実行することなく、消費電力データに記録されている情報に基づいて予測した制御態様に従って、全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置を確実かつ容易に動作させることができる。これにより、全体消費電力量が少ない制御態様を特定するために制御態様を変更する頻度を減少させることができる結果、供給対象に対して熱媒液を安定供給することができる。
【0032】
請求項6記載の制御装置、およびそのような制御装置を備えた温度調整システムによれば、統括制御部が、予め規定されたリセット条件が満たされたときに消費電力データを記憶部から消去することにより、動作環境の大きな変化に起因して、消費電力データに記録されている全体消費電力量および対応する制御態様が実態と相違する状態となったときに消費電力データを記憶部から消去させることで、変化後の動作環境において全体消費電力量の低減が困難な制御態様で各温度調整装置が制御される事態を好適に回避することができる。また、動作環境の変化後に第1の特定処理が実行されて、変化後の動作環境に応じた新たな消費電力データが生成されることで、変化後の動作環境において全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置を確実かつ容易に動作させることができる。
【0033】
請求項7記載の制御装置では、統括制御部が、予め規定された第2の開始条件が満たされたときに、各温度調整装置を単独で順次動作させて各温度調整装置による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する第2の特定処理を実行すると共に、供給対象に熱媒液を圧送させる際に、個別消費電力量が少ない温度調整装置による熱媒液の温度の調整量よりも、個別消費電力量が多い温度調整装置による熱媒液の温度の調整量の方が少なくなる制御態様で各個別制御部を制御する。また、請求項8記載の制御装置では、統括制御部が、予め規定された第2の開始条件が満たされたときに、各温度調整装置を単独で順次動作させて各温度調整装置による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する第2の特定処理を実行すると共に、供給対象に熱媒液を圧送させる際に、個別消費電力量が少ない温度調整装置による熱媒液の圧力の調整量よりも、個別消費電力量が多い温度調整装置による熱媒液の圧力の調整量の方が少なくなる制御態様で各個別制御部を制御する。
【0034】
したがって、請求項7,8記載の制御装置、およびそのような制御装置を備えた温度調整システムによれば、全体消費電力の低減のために、各温度調整装置をどのような動作状態で動作させるべきかを確実かつ容易に特定することができると共に、第1の特定処理において、いずれの温度調整装置の動作状態を他の温度調整装置とは相違させるかを確実かつ容易に特定することができるため、全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置を確実かつ容易に動作させることができる。
【0035】
請求項9記載の制御装置、およびそのような制御装置を備えた温度調整システムによれば、統括制御部が、全体消費電力量が予め規定された変化量を超えて大きく変化したときに、予め規定された第1の開始条件が満たされたとして第1の特定処理を実行することにより、少なくとも1台の温度調整装置の個別消費電力量が変化して全体消費電力量が大きく変化したときに、処理の開始を指示するスイッチ操作などを行わなくても第1の特定処理が自動的に実行されるため、指定された目標温度に温度調整された熱媒液が指定された目標圧力で供給対象に対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態を確実かつ容易に継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】温度調整システム100の構成を示す構成図である。
【
図3】温度調整装置2a~2dの構成を示す構成図である。
【
図4】供給能力特定処理50のフローチャートである。
【
図5】温度調整装置2a~2dに対して指定される個別目標温度と、各温度調整装置2a~2dから圧送される冷却液Waの個別実測温度との関係について説明するための説明図である。
【
図6】温度調整装置2a~2dに対して指定される個別目標圧力と、各温度調整装置2a~2dから圧送される冷却液Waの個別実測圧力との関係について説明するための説明図である。
【
図7】最適制御態様特定処理60のフローチャートである。
【
図8】温度調整システム100に対して指定される全体目標温度ASvs、各温度調整装置2a~2dに対して指定される個別目標温度ASva~ASvd、および全体実測温度APvsの関係について説明するための説明図である。
【
図9】最適制御態様特定処理70のフローチャートである。
【
図10】温度調整システム100に対して指定される全体目標圧力BSvs、各温度調整装置2a~2dに対して指定される個別目標圧力BSva~BSvd、および全体実測圧力BPvsの関係について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面を参照して、制御装置および温度調整システムの実施の形態について説明する。
【0038】
最初に、温度調整システム100の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0039】
図1に示す温度調整システム100は、「温度調整システム」の一例である循環型の冷却液供給システムであって、一例として、物品の製造現場(成形処理、プレス処理および切断処理の処理場等)に設置されて、造機器などの供給対象Xに対して予め設定された温度まで冷却した冷却液Wa(不凍液、水道水および純水など:「熱媒液」の一例)を供給可能に構成されている。この温度調整システム100は、制御装置1、複数の温度調整装置2a,2b・・(一例として、温度調整装置2a~2dの4台:以下、これらを区別しないときには「温度調整装置2」ともいう)、温度センサ3および圧力センサ4を備えて構成されている。
【0040】
この場合、本例の温度調整システム100では、供給対象Xに対して冷却液Waを供給するための送り用配管Psに各温度調整装置2の液出口がそれぞれ接続されると共に、供給対象Xにおいて対象物を冷却する(対象物と熱交換する)ことで温度上昇させられた冷却液Waを回収するための戻し用配管Prに各温度調整装置2の液入口がそれぞれ接続されている。また、温度センサ3および圧力センサ4は、送り用配管Psにおける最下流側に接続されている温度調整装置2(本例では、温度調整装置2a)と供給対象Xとの間(すなわち、送り用配管Psにおいて各温度調整装置2から圧送されるすべての冷却液Waが通過させられる部位)に配設されている。
【0041】
一方、制御装置1は、「制御装置」の一例であって、各温度調整装置2の動作を統括的に制御可能に構成されている。具体的には、
図2に示すように、制御装置1は、操作部11、表示部12、制御部13および記憶部14を備えて構成されている。操作部11は、温度調整システム100から供給対象Xに供給する冷却液Waの温度(温度調整システム100の使用者によって指定される温度:以下、「全体目標温度ASvs」ともいう)や、温度調整システム100から供給対象Xに供給する冷却液Waの圧力(温度調整システム100の使用者によって指定される圧力:以下、「全体目標圧力BSvs」ともいう)等の動作条件の設定(指定)の操作、および制御部13による各種処理の開始/停止の指示の操作などを行うための操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部13に出力する。表示部12は、制御部13の制御下で、温度調整システム100の動作条件を設定するための動作条件設定画面や、温度調整システム100(各温度調整装置2)の動作状態を示す動作状態表示画面(いずれも図示せず)を表示する。
【0042】
制御部13は、「統括制御部」の一例であって、温度調整システム100から供給対象Xに圧送される(供給される)冷却液Waの温度が全体目標温度ASvsに調整され、かつ温度調整システム100から供給対象Xに圧送される(供給される)冷却液Waの圧力が全体目標圧力BSvsに加圧される制御態様で各温度調整装置2における後述の制御部28をそれぞれ制御する。具体的には、制御部13は、温度センサ3から出力されるセンサ信号S3に基づいて温度調整システム100から送り用配管Psを介して供給対象Xに圧送される冷却液Waの温度(以下、「全体実測温度APvs」ともいう)を特定し、特定される全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsとなるように各温度調整装置2(制御部28)を動作させる。また、制御部13は、圧力センサ4から出力されるセンサ信号S4に基づいて温度調整システム100から送り用配管Psを介して供給対象Xに圧送される冷却液Waの圧力(以下、「全体実測圧力BPvs」ともいう)を特定し、特定される全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvsとなるように各温度調整装置2(制御部28)を動作させる。
【0043】
この場合、制御部13は、冷却液Waが全体目標温度ASvsに調整され、かつ全体目標圧力BSvsに加圧されるとの条件を満たす範囲内で各温度調整装置2の動作状態を相違させる複数種類の制御態様で各温度調整装置2を制御すると共に、後述するように各温度調整装置2から出力される消費電力データDpcに基づき、温度調整システム100による単位時間当りの全体消費電力量(以下、単に「全体消費電力量」ともいう)を制御態様毎にそれぞれ特定する処理を実行する。また、制御部13は、特定した全体消費電力量が少ない制御態様で各温度調整装置2を制御する。なお、制御部13によって実行される各種処理(
図4に示す供給能力特定処理50、
図7に示す最適制御態様特定処理60、および
図9に示す最適制御態様特定処理70など)についての具体的な内容については、後に詳細に説明する。また、記憶部14は、「記憶部」の一例であって、制御部13の動作プログラムや、後述するように温度調整装置2から出力される消費電力データDpc、および制御部13によって生成される供給能力データDscなどを記憶する。
【0044】
また、温度調整装置2は、「温度調整装置」の一例である冷却液供給装置であって、冷却液Waの温度を調整して圧送することができるように構成されている。具体的には、
図3に示すように、温度調整装置2は、貯液槽21、冷凍サイクル22、空冷機構23、圧送ポンプ24、送風用ファン25、温度センサ26a~26c、圧力センサ27、制御部28および電源部29を備え、これらが直方体状の筐体内に収容されてパッケージングされている。
【0045】
貯液槽21は、供給対象Xに対して供給する冷却液Waを貯液可能に構成されている。この場合、循環型の冷却液供給システムである本例の温度調整システム100では、戻し用配管Prを介して供給対象Xから回収した冷却液Waを、供給対象Xに対して供給する冷却液Waとして貯液槽21に貯液可能に戻し用配管Prが温度調整装置2の液入口に接続されている。
【0046】
冷凍サイクル22は、「調整部」の一例であって、圧縮機31、凝縮器32、膨張弁33および熱交換器(蒸発器)34を備えている。この冷凍サイクル22は、圧縮機31によって圧送されて凝縮器32において凝縮させられた冷媒が膨張弁33を通過して熱交換器34内に供給されることで、後述するように熱交換器34を通過させられる冷却液Waと冷媒との熱交換によって冷却液Waの温度を調整させる(低下させる)ことができるように構成されている。なお、実際には、冷凍サイクル22内の冷媒圧力を特定するための圧力センサや、冷媒温度を特定するための温度センサなどを備えているが、これらセンサについての図示および説明を省略する。
【0047】
空冷機構23は、「調整部」の他の一例であって、熱交換器41、熱交換器42および循環ポンプ43を備えている。この空冷機構23は、循環ポンプ43によって圧送された冷却液Wbが熱交換器41において大気(空気)との熱交換によって温度低下させられた後に熱交換器42に供給されることで、後述するように熱交換器42を通過させられる冷却液Waと冷却液Wbとの熱交換によって冷却液Waの温度を調整させる(低下させる)ことができるように構成されている。
【0048】
圧送ポンプ24は、「圧送部」の一例であって、本例では、圧送量可変型のポンプで構成されて貯液槽21と熱交換器42との間に接続されている。この圧送ポンプ24は、貯液槽21に貯液されている冷却液Waを制御部28の制御に従って加圧することにより、空冷機構23の熱交換器42、および冷凍サイクル22の熱交換器34をこの順で通過させて温度調整装置2の液出口から送り用配管Psに出力させて供給対象Xに圧送(供給)可能に構成されている。
【0049】
送風用ファン25は、一例として、送風量可変型(回転数可変型)のファンで構成されて筐体内における空気流路の下流側に配設されている。この送風用ファン25は、熱交換器41における熱交換によって冷却液Wbの温度を低下させ、かつ凝縮器32における熱交換によって冷媒を凝縮させるための空気を筐体内に導入するためのファンであって、制御部28の制御に従って回転させられて筐体内の空気を筐体外に送風(排出)することで筐体外から新たな空気を筐体内に導入可能に配設されている。
【0050】
なお、冷凍サイクル22の凝縮器32、および空冷機構23の熱交換器41の双方に対して1つの送風用ファン25によって送風する(冷凍サイクル22および空冷機構23において送風用ファン25を共用する)本例の構成に代えて、凝縮器32に送付する送風用ファン、および熱交換器41に送風する送風用ファンを別個に配設してそれぞれ送風させる構成を採用することもできる(図示せず)。
【0051】
温度センサ26aは、貯液槽21に配設されると共に、貯液槽21に貯留されている冷却液Waの温度を検出してセンサ信号S26aを出力する。温度センサ26bは、一例として空冷機構23における循環ポンプ43と熱交換器42との間に配設されると共に、熱交換器41において空気との熱交換によって温度低下させられて熱交換器42に圧送される冷却液Wbの温度を検出してセンサ信号S26bを出力する。温度センサ26cは、温度調整装置2の液出口の近傍に配設されると共に、熱交換器42および/または熱交換器34によって温度低下させられて温度調整装置2から供給対象Xに圧送される冷却液Waの温度を検出してセンサ信号S26cを出力する。圧力センサ27は、温度調整装置2の液出口の近傍に配設されると共に、圧送ポンプ24によって温度調整装置2から供給対象Xに圧送される冷却液Waの圧力を検出してセンサ信号S27を出力する。
【0052】
制御部28は、「個別制御部」の一例であって、後述するように、制御装置1(制御部13)の制御に従って圧送ポンプ24を制御することにより、貯液槽21に貯液されている冷却液Waを、熱交換器42および熱交換器34の順で通過させて送り用配管Psを介して供給対象Xに圧送させる。具体的には、制御部28は、圧力センサ27からのセンサ信号S27に基づいて温度調整装置2から供給対象Xに圧送される冷却液Waの圧力を特定すると共に、特定される圧力が制御装置1(制御部13)から指定された個別目標圧力となるように圧送ポンプ24の動作状態(電動機の回転数)を変化させる。
【0053】
なお、以下の説明においては、制御装置1が温度調整装置2aに対して指定する個別目標圧力を個別目標圧力BSvaともいい、温度調整装置2aにおいてセンサ信号S27に基づいて特定される圧力を個別実測圧力BPvaともいい、制御装置1が温度調整装置2bに対して指定する個別目標圧力を個別目標圧力BSvbともいい、温度調整装置2bにおいてセンサ信号S27に基づいて特定される圧力を個別実測圧力BPvbともいい、制御装置1が温度調整装置2cに対して指定する個別目標圧力を個別目標圧力BSvcともいい、温度調整装置2cにおいてセンサ信号S27に基づいて特定される圧力を個別実測圧力BPvcともいい、制御装置1が温度調整装置2dに対して指定する個別目標圧力を個別目標圧力BSvdともいい、かつ温度調整装置2dにおいてセンサ信号S27に基づいて特定される圧力を個別実測圧力BPvdともいう。
【0054】
また、制御部28は、制御装置1(制御部13)の制御に従って空冷機構23(循環ポンプ43)や送風用ファン25を制御することにより、冷却液Wbの温度(すなわち、熱交換器42において熱交換される冷却液Waの温度)を調整させる。さらに、制御部28は、制御装置1(制御部13)の制御に従って冷凍サイクル22(圧縮機31および膨張弁33)や送風用ファン25を制御することにより、冷却液Waの温度を調整させる。具体的には、制御部28は、温度センサ26aからのセンサ信号S26aに基づいて貯液槽21内の冷却液Waの温度を特定すると共に、温度センサ26bからのセンサ信号S26bに基づいて熱交換器42に圧送される冷却液Wbの温度を特定する。また、制御部28は、温度センサ26cからのセンサ信号S26cに基づいて温度調整装置2から供給対象Xに圧送される冷却液Waの温度を特定すると共に、特定される温度が制御装置1(制御部13)から指定された個別目標温度となるように冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25などの動作状態を変化させる。
【0055】
なお、以下の説明においては、制御装置1が温度調整装置2aに対して指定する個別目標温度を個別目標温度ASvaともいい、温度調整装置2aにおいてセンサ信号S26cに基づいて特定される圧力を個別実測温度APvaともいい、制御装置1が温度調整装置2bに対して指定する個別目標温度を個別目標温度ASvbともいい、温度調整装置2bにおいてセンサ信号S26cに基づいて特定される圧力を個別実測温度APvbともいい、制御装置1が温度調整装置2cに対して指定する個別目標温度を個別目標温度ASvcともいい、温度調整装置2cにおいてセンサ信号S26cに基づいて特定される圧力を個別実測温度APvcともいい、制御装置1が温度調整装置2dに対して指定する個別目標温度を個別目標温度ASvdともいい、かつ温度調整装置2dにおいてセンサ信号S26cに基づいて特定される圧力を個別実測温度APvdともいう。
【0056】
この場合、本例の温度調整装置2は、特定される個別実測温度APva~APvd(以下、区別しないときには「個別実測温度APv」ともいう)が個別目標温度ASva~ASvd(以下、区別しないときには「個別目標温度ASv」ともいう)となり、かつ特定される個別実測圧力BPva~BPvd(以下、区別しないときには「個別実測圧力BPv」ともいう)が個別目標圧力BSva~BSvd(以下、区別しないときには「個別目標圧力BSv」ともいう)となるように、温度調整装置2毎に制御部28が独立して制御を行う構成が採用されている。このため、この温度調整装置2は、本例の温度調整システム100のように、複数台の温度調整装置2を送り用配管Psおよび戻し用配管Prに接続して動作させる使用形態に加えて、1台の温度調整装置2を単独で送り用配管Psおよび戻し用配管Prに接続して動作させる使用形態においても使用することが可能となっている。
【0057】
さらに、制御部28は、電源部29から出力される消費電力データDpcを制御装置1に出力する。電源部29は、制御部28の制御下で温度調整装置2の各部に電源を供給すると共に、温度調整装置2における消費電力(瞬時値)を特定可能な消費電力データDpcを生成して制御部28に出力する。
【0058】
この温度調整システム100の使用に際しては、
図1に示すように、各温度調整装置2を設置して制御装置1に接続する。なお、送り用配管Psや戻し用配管Prについては、温度調整システム100の設置に際して専用の配管を新たに敷設する(温度調整システム100専用の配管を用意する)こともできるが、本例では、一例として、供給対象Xに対する冷却水用配管として敷設されている既設の送り用配管Psや戻し用配管Prを利用するものとし、送り用配管Psや戻し用配管Prの敷設に関する説明を省略する。
【0059】
この場合、同図に示す例では、供給配管長(温度調整装置2の液出口と供給対象Xとの間の送り用配管Psの長さ)、および戻り配管長(温度調整装置2の液入口と供給対象Xとの間の戻し用配管Prの長さ)が各温度調整装置2において互いに相違している。具体的には、本例では、温度調整装置2a,2b,2c,2dの順で供給配管長が徐々に長くなるように各温度調整装置2の液出口が送り用配管Psにそれぞれ接続されると共に、温度調整装置2a,2b,2c,2dの順で戻り配管長が徐々に長くなるように各温度調整装置2の液入口が戻し用配管Prにそれぞれ接続されている。また、送り用配管Psにおいて温度調整装置2aの液出口が接続されている部位と供給対象Xとの間には、前述したように、温度センサ3および圧力センサ4がそれぞれ配設されている。
【0060】
なお、各温度調整装置2の供給配管長や戻り配管長(以下、区別しないときには、単に「配管長」ともいう)は、各温度調整装置2の設置場所と供給対象Xとの位置関係や、各温度調整装置2の設置場所と送り用配管Psや戻し用配管Prの敷設場所との位置関係に応じて変化する。例えば、供給対象Xの近傍に設置した温度調整装置2については配管長が短くなり、供給対象Xの近傍に十分な設置スペースが存在せずに供給対象Xから大きく離間した場所に設置した温度調整装置2については配管長が長くなる。また、既設の送り用配管Psや戻し用配管Prを利用する本例では、送り用配管Psや戻し用配管Prの近傍に設置した温度調整装置2については配管長が短くなり、送り用配管Psや戻し用配管Prから大きく離間した場所に設置した温度調整装置2については、液出口を送り用配管Psに連結するための長尺の連結用配管や液入口を戻し用配管Prに連結するための長尺の連結用配管が必要となる分だけ配管長が長くなる。
【0061】
次いで、各温度調整装置2の貯液槽21に冷却液Wa(一例として、不凍液)をそれぞれ注ぎ入れると共に、各温度調整装置2における空冷機構23の流路内に図示しない導入口から冷却液Wb(一例として、不凍液)をそれぞれ注ぎ入れる。なお、温度調整システム100の新設や設置場所の変更に際して各貯液槽21に冷却液Waを注ぎ入れたときには、温度調整装置2における冷却液Waの流路内や、送り用配管Psおよび戻し用配管Pr内などに存在する空気を除去する脱気作業を実施する必要があり、各空冷機構23の流路内に冷却液Wbを注ぎ入れたときには、流路内に存在する空気を除去する脱気作業を実施する必要があるが、これらの脱気作業については公知のため、詳細な説明を省略する。以上により、温度調整システム100(各温度調整装置2)と供給対象Xとの間で冷却液Waを循環させ、かつ空冷機構23内で冷却液Wbを循環させる準備が整う。
【0062】
次に、設置を完了した温度調整システム100による冷却液Waの供給対象Xに対する供給の処理について説明する。最初に、各温度調整装置2の供給対象Xに対する冷却液Waの供給能力(単体での供給能力)をそれぞれ特定する処理について説明する。
【0063】
各温度調整装置2の供給能力をそれぞれ特定する際には、一例として、この制御装置1における操作部11の操作によって処理の開始を指示する(「予め規定された第2の開始条件が満たされたとき」の一例)。この際に、制御部13は、
図4に示す供給能力特定処理50を開始する。この供給能力特定処理50において、制御部13は、まず、温度センサ3からのセンサ信号S3に基づく送り用配管Ps内の冷却液Waの温度(全体実測温度APvs)の特定、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づく送り用配管Ps内の冷却液Waの圧力(全体実測圧力BPvs)の特定、温度調整装置2の動作状態の特定、および温度調整装置2から出力される消費電力データDpcに基づく全体消費電力量の演算を行い、特定した全体実測温度APvs、全体実測圧力BPvsおよび動作状態と演算した全体消費電力量とを記憶部14に記憶させる(ステップ51)。
【0064】
なお、いずれの温度調整装置2も動作させていないこの時点においては、特定される全体実測温度APvsが周囲温度と同程度(送り用配管Psの敷設場所の温度と同程度の温度:一例として25℃:
図5に示す温度A0)で、特定される全体実測圧力BPvsが0kPa(
図6に示す圧力B0)となっている。また、制御部13は、後述のステップ55において終了条件が満たされたと判別するまで、ステップ51において開始した、全体実測温度APvsの特定、全体実測圧力BPvsの特定、各温度調整装置2の動作状態の特定、および全体消費電力量の演算や、特定した全体実測温度APvs、全体実測圧力BPvsおよび動作状態と演算した全体消費電力量とを記憶部14に記憶させる処理を継続して実行する。
【0065】
また、制御部13は、上記のステップ51の処理の開始直後に、いずれかの1台の温度調整装置2を制御して暖機運転を開始させる(ステップ52)。なお、この供給能力特定処理50では、後述するように、各温度調整装置2を個別に動作させてそれぞれの供給能力を特定可能な供給能力データDscを生成するが、各温度調整装置2についての能力を特定する順序(個別に動作させる順序)については、戻し用配管Prや送り用配管Psに対する接続位置とは無関係に任意に規定することができる。本例では、一例として、温度調整装置2a,2b,2c,2dの順で供給能力を特定するように予め設定されているものとする。したがって、供給能力特定処理50の開始直後のこの時点において、制御部13は、温度調整装置2aを制御して暖機運転を開始させる。
【0066】
具体的には、制御部13は、
図5に示す温度A1(一例として20℃)を個別目標温度ASvaとし、かつ
図6に示す圧力B1(一例として50kPa)を個別目標圧力BSvaとする制御態様で温度調整装置2aの制御部28に対して動作開始を指示する。これに応じて、温度調整装置2aでは、制御部28が、制御装置1(制御部13)からの指示に従い、冷凍サイクル22(圧縮機31および膨張弁33)、空冷機構23(循環ポンプ43)および送風用ファン25を制御して冷却液Waの冷却を開始させると共に、圧送ポンプ24を制御して冷却液Waの圧送を開始させる。
【0067】
この場合、制御部28は、まず、圧送ポンプ24を制御して貯液槽21からの冷却液Waの圧送を開始させ、圧力センサ27からのセンサ信号S27に基づいて特定される冷却液Waの圧力が個別目標圧力BSva(暖機運転時の本例では、
図6の圧力B1)に達したときに、圧送ポンプ24を制御してその時点における動作状態(圧送能力)を維持させる。また、制御部28は、圧送ポンプ24による冷却液Waの圧送と並行して、冷凍サイクル22および空冷機構23の双方を動作させて冷却液Waの温度を調整させる。
【0068】
この際に、例えば、指定された個別目標温度ASva(本例では、20℃)よりも外気温が高いことで空冷機構23において冷却液Wbの温度を個別目標温度ASva、または個別目標温度ASvaに近い温度まで低下させることができないとき(すなわち、熱交換器42における冷却液Wbとの熱交換によって冷却液Waの温度を個別目標温度ASvaまたは個別目標温度ASvaに近い温度まで低下させることができないとき)に、制御部28は、循環ポンプ43の回転数を低下させることで冷却液Waの温度調整に関する空冷機構23の寄与率を低下させると共に、温度センサ26cからのセンサ信号S26cに基づいて温度調整装置2aから出力される冷却液Waの温度(個別実測温度APva)を特定し、特定した個別実測温度APvaが個別目標温度ASvaとなるように冷凍サイクル22(圧縮機31および膨張弁33)や送風用ファン25の動作状態を適宜変更する。
【0069】
また、指定された個別目標温度ASvaよりも外気温が低いことで空冷機構23において冷却液Wbの温度を個別目標温度ASvaまで低下させることができるとき(すなわち、熱交換器42における冷却液Wbとの熱交換によって冷却液Waの温度を個別目標温度ASvaまで低下させることができるとき)に、制御部28は、循環ポンプ43の回転数を上昇させることで冷却液Waの温度調整に関する空冷機構23の寄与率を増加させると共に、センサ信号S26cに基づいて特定される冷却液Waの温度(個別実測温度APva)が個別目標温度ASvaとなるように冷凍サイクル22や送風用ファン25の動作状態を適宜変更する。
【0070】
さらに、例えば、指定された個別目標温度ASvaよりも外気温が非常に高いことで空冷機構23において冷却液Wbの温度を個別目標温度ASvaに近い温度まで低下させることすらできないとき(すなわち、熱交換器42における冷却液Wbとの熱交換によって冷却液Waの温度を個別目標温度ASvaに近い温度まで低下させることができないとき)に、制御部28は、循環ポンプ43を停止させることで空冷機構23による冷却液Waの温度調整を停止させると共に、センサ信号S26cに基づいて特定される冷却液Waの温度(個別実測温度APva)が個別目標温度ASvaとなるように冷凍サイクル22や送風用ファン25の動作状態を適宜変更する。
【0071】
また、指定された個別目標温度ASvaよりも外気温が非常に低いことで空冷機構23において冷却液Wbの温度を個別目標温度ASvaまで十分に低下させることができるとき(すなわち、熱交換器34における冷媒との熱交換を行わなくても、熱交換器42における冷却液Wbとの熱交換によって冷却液Waの温度を個別目標温度ASvaまで十分に低下させることができるとき)に、制御部28は、冷凍サイクル22(圧縮機31および膨張弁33)を停止させると共に、センサ信号S26cに基づいて特定される冷却液Waの温度(個別実測温度APva)が個別目標温度ASvaとなるように空冷機構23や送風用ファン25の動作状態を適宜変更する。
【0072】
以上のような制御が行われることにより、
図5に示すように、温度調整装置2aから出力される冷却液Waの個別実測温度APvaが、暖機運転の開始を指示された時点ta0から徐々に低下すると共に、
図6に示すように、温度調整装置2aから出力される冷却液Waの個別実測圧力BPvaが、暖機運転の開始を指示された時点tb0から徐々に上昇する。
【0073】
一方、制御部13は、ステップ52における暖機運転の開始の指示の後に、後述の能力特定運転の開始条件が満たされたか否かを判別する(ステップ53)。具体的には、制御部13は、温度センサ3からのセンサ信号S3に基づいて特定される冷却液Waの温度(全体実測温度APvs)、および圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定される冷却液Waの圧力(全体実測圧力BPvs)を監視し、全体実測温度APvsが温度調整装置2a(制御部28)に対して指定した個別目標温度ASva(本例では、20℃)となり、かつ全体実測圧力BPvsが温度調整装置2a(制御部28)に対して指定した個別目標圧力BSva(本例では、50kPa)となったときに、開始条件が満たされたと判別する。
【0074】
また、制御部13は、開始条件が満たされたと判別したときに、能力特定運転を開始させる(ステップ54)。具体的には、制御部13は、
図5に示す温度A2(一例として、15℃)を新たな個別目標温度ASvaとし、かつ
図6に示す圧力B1(本例では、50kPa)を維持させる制御態様で温度調整装置2aの制御部28に対して動作を指示する。これに応じて、温度調整装置2aでは、制御部28が、制御装置1(制御部13)からの指示に従い、冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25を制御して、冷却液Waを個別目標温度ASvaまで冷却させると共に、圧送ポンプ24を制御して冷却液Waの圧力を維持させる。
【0075】
また、センサ信号S3に基づいて特定される冷却液Waの全体実測温度APvsが温度A2(本例では、15℃)となったときに、制御部13は、温度A2を維持させつつ、
図6に示す圧力B2(一例として、300kPa)を新たな個別目標圧力BSvaとする制御態様で温度調整装置2aの制御部28に対して動作を指示する。これに応じて、温度調整装置2aでは、制御部28が、制御装置1(制御部13)からの指示に従い、冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25を制御して、冷却液Waを個別目標温度ASvaに維持させると共に、圧送ポンプ24を制御して冷却液Waの圧力を新たな個別目標圧力BSvaまで上昇させる。以上のような制御が行われることにより、
図5に示すように、温度調整装置2aから出力される冷却液Waの個別実測温度APvaが、能力特定運転の開始を指示された時点ta1から徐々に低下すると共に、
図6に示すように、温度調整装置2aから出力される冷却液Waの個別実測圧力BPvaが、能力特定運転の開始を指示された時点tb1から徐々に上昇する。
【0076】
また、制御部13は、ステップ54における能力特定運転の開始の指示の後に、能力特定運転の終了条件が満たされたか否かを判別する(ステップ55)。具体的には、制御部13は、温度センサ3からのセンサ信号S3に基づいて特定される冷却液Waの全体実測温度APvs、および圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定される冷却液Waの全体実測圧力BPvsを監視する。また、制御部13は、冷却液Waの全体実測温度APvsが温度調整装置2a(制御部28)に対して指定した新たな個別目標温度ASva(本例では、15℃)となり、かつ冷却液Waの全体実測圧力BPvsが温度調整装置2a(制御部28)に対して指定した新たな個別目標圧力BSva(本例では、300kPa)となった時点から、予め規定された時間が経過したときに、終了条件が満たされたと判別する。また、制御部13は、終了条件が満たされたと判別したときに、温度調整装置2a(制御部28)を制御して動作を停止させる(ステップ56)。
【0077】
次いで、制御部13は、冷却液Waの全体実測温度APvsが温度調整装置2aに対して最初に指定した個別目標温度ASvaから新たに指定した個別目標温度ASvaに到達するのに要した時間、およびその間に温度調整システム100(すなわち、温度調整装置2a)によって消費された消費電力量と、冷却液Waの全体実測圧力BPvsが温度調整装置2aに対して最初に指定した個別目標圧力BSvaから新たに指定した個別目標圧力BSvaに到達するのに要した時間、およびその間に温度調整システム100(温度調整装置2a)によって消費された消費電力量と、冷却液Waの全体実測温度APvsよび全体実測圧力BPvsが新たな個別目標温度ASvaおよび新たな個別目標圧力BSvaとなってからその状態を維持させた時間内に温度調整システム100(温度調整装置2a)によって消費された消費電力量とをそれぞれ特定する(ステップ57)。
【0078】
具体的には、制御部13は、冷却液Waの全体目標温度ASvsが、温度調整装置2aに対して暖機運転の開始に際して指定した個別目標温度ASva(上記の例では、20℃)から、能力特定運転の開始に際して指定した個別目標温度ASva(上記の例では、15℃)まで低下するのに要した時間(
図5に示す例における時点ta1~ta2の時間Ta)を特定する。また、制御部13は、
図5に示す例における時間Ta内に温度調整システム100(温度調整装置2a)によって消費された消費電力量を測定する。
【0079】
さらに、制御部13は、冷却液Waの全体実測圧力BPvsが、温度調整装置2aに対して暖機運転の開始に際して指定した個別目標圧力BSva(上記の例では、50kPa)から、能力特定運転の開始に際して指定した個別目標圧力BSva(上記の例では、300kPa)まで上昇するのに要した時間(
図6に示す例における時点tb1~tb2の時間Tb)を特定する。また、制御部13は、
図6に示す例における時間Tb内に温度調整システム100(温度調整装置2a)によって消費された消費電力量を測定する。
【0080】
さらに、制御部13は、センサ信号S3に基づいて特定される冷却液Waの全体実測温度APvsが、温度調整装置2aに対して能力特定運転の開始に際して指定した個別目標温度ASva(上記の例では、15℃)に到達し、かつセンサ信号S4に基づいて特定される冷却液Waの全体実測圧力BPvsが、温度調整装置2aに対して能力特定運転の開始に際して指定した個別目標圧力BSva(上記の例では、300kPa)に到達した状態において、予め規定された時間(例えば、
図5,6に示す時点tc1~tc2の時間Tc:一例として、30秒)内に温度調整システム100(温度調整装置2a)によって消費された消費電力量を測定する。
【0081】
続いて、制御部13は、温度調整装置2aの供給対象Xに対する冷却液Waの供給能力を特定可能な供給能力データDscを生成する(ステップ58)。具体的には、制御部13は、最初に指定した個別目標温度ASva(20℃)、新たに指定した個別目標温度ASva(15℃)、全体実測温度APvsが最初の個別目標温度ASvaから新たな個別目標温度ASvaに到達するのに要した時間(時間Ta)、およびその時間(時間Ta)内の消費電力量に基づき、温度調整装置2aによる冷却液Waの温度調整(冷却)についての単位時間当りの調整能力(効率)およびそのような温度調整(冷却)を行う際の全体消費電力量(温度調整装置2aだけが動作しているこの時点においては、温度調整装置2aの単位時間当りの個別消費電力量:以下、温度調整システム100の全体消費電力量がいずれかの温度調整装置2の個別消費電力量であるときには、これらを区別せずに単に「消費電力量」ともいう)をそれぞれ演算する。
【0082】
また、制御部13は、最初に指定した個別目標圧力BSva(50kPa)、新たに指定した個別目標圧力BSva(300kPa)、全体実測圧力BPvsが最初の個別目標圧力BSvaから新たな個別目標圧力BSvaに到達するのに要した時間(時間Tb)、およびその時間(時間Tb)内の消費電力量に基づき、温度調整装置2aによる冷却液Waの圧送についての単位時間当りの圧送量の増加能力(効率)およびそのような圧送量の増加を行う際の消費電力量をそれぞれ演算する。
【0083】
さらに、制御部13は、新たに指定した個別目標温度ASva(15℃)、およびその個別目標圧力BSva(300kPa)を維持させた時間(時間Tc)内の消費電力量に基づき、温度調整装置2aによって個別目標温度ASva(15℃)の冷却液Waを個別目標圧力BSva(300kPa)で圧送する処理を継続させたときの消費電力量を演算する。続いて、制御部13は、演算結果を温度調整装置2aについての情報として記録して供給能力データDscを生成し、記憶部14に記憶させる。
【0084】
次いで、制御部13は、供給能力データDscの生成を完了していない他の温度調整装置2が存在するか否かを判別する(ステップ59)。この際に、温度調整装置2b~2dについての供給能力データDscが完了していないため、制御部13は、前述のステップ51に戻り、送り用配管Ps内の冷却液Waの全体実測温度APvsの特定、送り用配管Ps内の冷却液Waの全体実測圧力BPvsの特定、温度調整装置2の動作状態の特定、および全体消費電力量の演算を行い、特定した全体実測温度APvs、全体実測圧力BPvsおよび動作状態と演算される全体消費電力量とを記憶部14に記憶させる処理を開始する。
【0085】
また、制御部13は、温度調整装置2aを対象として実行した前述のステップ52~58の各処理を、温度調整装置2bを対象として同様に実行する。さらに、制御部13は、ステップ59において供給能力データDscの生成を完了していない他の温度調整装置2が存在しないと判別したときに(温度調整装置2a~2dのすべてに関して供給能力データDscの生成が完了したときに)、この供給能力特定処理50を終了する。これにより、各温度調整装置2についての供給能力データDscの生成が完了し、温度調整システム100(各温度調整装置2)によって供給対象Xに対して冷却液Waを供給する準備が整う。なお、本例では、各温度調整装置2を個別に動作させた状態において実行する上記のステップ54~58の各処理が、「各温度調整装置を単独で順次動作させて各温度調整装置による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する第2の特定処理」に相当する。
【0086】
この場合、上記の供給能力特定処理50の実行時に、例えば、発熱する機器の近傍に設置されている温度調整装置2、日向や風通しの悪い場所に設置されている温度調整装置2、およびコンディションが悪い(可動部の減耗等が生じている)温度調整装置2では、冷凍サイクル22や空冷機構23によって冷却液Waの温度を調整する(低下させる)処理効率が低下するため、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waを個別目標温度ASvに調整するのに要する時間が長くなり、かつ、そのような温度調整(冷却)を完了させるのに要する個別消費電力量も増加する。また、そのような温度調整装置2では、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waを個別目標温度ASvに維持するのに要する個別消費電力量も増加する。
【0087】
これに対して、発熱する機器から十分に離間して風通しのよい日陰に設置され、かつコンディションが良い温度調整装置2では、冷凍サイクル22や空冷機構23によって冷却液Waの温度を調整する(低下させる)処理効率が向上するため、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waを個別目標温度ASvに調整するのに要する時間が短くなり、かつ、そのような温度調整(冷却)を完了させるのに要する個別消費電力量も減少する。また、そのような温度調整装置2では、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waの温度を個別目標温度ASvに維持するのに要する個別消費電力量も減少する。
【0088】
また、接続されている送り用配管Psの配管長が長い温度調整装置2、接続されている送り用配管Psが細径であったり、多数の継ぎ手等が存在したりすることで配管内有効断面積が小さい温度調整装置2、および供給対象Xよりも低所に設置されている温度調整装置2では、圧送ポンプ24によって冷却液Waを圧送する処理効率が低下するため、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waを個別目標圧力BSvで圧送することができる状態となるのに要する時間が長くなり、個別目標圧力BSvで圧送することができる状態となるまでに要する個別消費電力量も増加する。また、そのような温度調整装置2では、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waの圧力を個別目標圧力BSvに維持するのに要する個別消費電力量も増加する。
【0089】
加えて、冷却液Waの圧送効率が低い温度調整装置2では、制御装置1(制御部13)から指定された個別目標圧力BSvを達成するために、圧送ポンプ24の回転数を十分に上昇させる必要が生じる結果、冷却液Waの圧送時に圧送ポンプ24から発せられる熱量が多くなる傾向がある。したがって、冷却液Waの圧送効率が低い温度調整装置2では、圧送ポンプ24の通過時に冷却液Waの温度が上昇する。このため、この温度上昇の分だけ、冷凍サイクル22や空冷機構23において冷却液Waを十分に温度調整(冷却)する必要が生じる結果、冷却液Waの温度を個別目標温度ASvに調整して維持するのに要する個別消費電力量も一層増加する。
【0090】
これに対して、接続されている送り用配管Psの配管長が短く、接続されている送り用配管Psの配管内有効断面積が十分に広く、かつ供給対象Xと同程度の高さや供給対象Xよりも高所に設置されている温度調整装置2では、圧送ポンプ24によって冷却液Waを圧送する処理効率が向上するため、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waを個別目標圧力BSvで圧送することができる状態となるのに要する時間が短くなり、個別目標圧力BSvで圧送することができる状態となるまでに要する個別消費電力量が減少する。また、そのような温度調整装置2では、制御装置1(制御部13)からの指示に従って冷却液Waの圧力を個別目標圧力BSvに維持するのに要する個別消費電力量も減少する。
【0091】
加えて、冷却液Waの圧送効率が高い温度調整装置2では、制御装置1(制御部13)から指定された個別目標圧力BSvを達成するために、圧送ポンプ24の回転数を必要以上に上昇させる必要がないため、冷却液Waの圧送時に圧送ポンプ24から発せられる熱量が少量となる傾向がある。したがって、冷却液Waの圧送効率が高い温度調整装置2では、圧送ポンプ24の通過時における冷却液Waの温度上昇量が少なくなる。このため、冷凍サイクル22や空冷機構23による冷却液Waの温度調整(冷却)についての個別消費電力量の大きな増加が生じない。
【0092】
この場合、温度調整システム100を構成する各温度調整装置2の設置環境や送り用配管Psの敷設環境は、使用者毎に相違する。また、各温度調整装置2を新設して温度調整システム100を構成したときには大きな問題とはならないが、例えば、既設の温度調整装置2と新たな温度調整装置2とを組み合わせて温度調整システム100を構成したときには、既設の温度調整装置2のコンディションと、追加した温度調整装置2のコンディションとが相違する状態となるおそれがある。したがって、上記の供給能力特定処理50のような処理を行って各温度調整装置2の処理能力を個々に特定することで、以下に説明する実運用時(4台の温度調整装置2の動作時)に個々の供給能力を好適に調整することが可能となる。
【0093】
次いで、温度調整装置2a~2dの4台を使用して供給対象Xに対して冷却液Waを供給する処理について説明する。
【0094】
上記のように各温度調整装置2についての供給能力データDscの取得が完了した状態において、制御装置1は、使用者から指定された全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsに応じて各温度調整装置2を制御する。具体的には、一例として、制御装置1の操作部11に対するスイッチ操作によって、全体目標温度ASvsとして15℃が指定され、かつ全体目標圧力BSvsとして300kPaが指定されたときに(「予め規定された第1の開始条件が満たされたとき」の一例である「新たな目標温度、および新たな目標圧力の少なくとも一方を指定されたとき」の一例)、制御部13は、温度センサ3からのセンサ信号S3に基づいて特定される全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsと一致すると共に、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて特定される全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvs一致するとの条件を満たす範囲内で各温度調整装置2を各種の制御態様で制御して全体消費電力量が少ない制御態様を特定し、特定した制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して供給対象Xに対して冷却液Waをそれぞれ供給させる。
【0095】
なお、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsと一致する条件下で全体消費電力量が少ない制御態様を特定して各温度調整装置2を制御する処理(温度調整に関する制御処理)と、全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvsと一致する条件下で全体消費電力量が少ない制御態様を特定して各温度調整装置2を制御する処理(圧力調整に関する制御処理)とが並行して実行される。以下、制御装置1(制御部13)による各温度調整装置2の制御に関する理解を容易とするために、最初に温度調整に関する制御処理の一例である最適制御態様特定処理60(
図7参照)について説明し、続いて圧力調整に関する制御処理の一例である最適制御態様特定処理70(
図9参照)について説明する。
【0096】
上記のように使用者から全体目標温度ASvsが指定されたときに、制御部13は、
図7に示す最適制御態様特定処理60を開始する。この最適制御態様特定処理60において、制御部13は、まず、温度センサ3からのセンサ信号S3に基づく送り用配管Ps内の冷却液Waの温度(全体実測温度APvs)の特定、温度調整装置2の動作状態の特定、および温度調整装置2から出力される消費電力データDpcに基づく全体消費電力量の演算を行い、特定した全体実測温度APvsおよび動作状態と、演算される全体消費電力量とを記憶部14に記憶させる(ステップ61)。なお、制御部13は、後述のステップ65において最適な制御態様での制御を実行するまで、ステップ61において開始した、全体実測温度APvsの特定、各温度調整装置2の動作状態の特定、および全体消費電力量の演算や、特定した全体実測温度APvsおよび動作状態と、演算される全体消費電力量とを記憶部14に記憶させる処理を継続して実行する。
【0097】
次いで、制御部13は、
図8(a)に示すように、指定された全体目標温度ASvsと同値の個別目標温度ASv(この例では、15℃)を指示する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの温度をそれぞれ調整させる(ステップ62)。この際に、各温度調整装置2では、制御部28が、温度センサ26cからのセンサ信号S26cに基づいて送り用配管Psに出力する冷却液Waの個別実測温度APvを特定すると共に、特定した個別実測温度APvと、制御装置1(制御部13)から指定された個別目標温度ASvとが一致するように、冷凍サイクル22(圧縮機31および膨張弁33)、空冷機構23(循環ポンプ43)および送風用ファン25を制御して冷却液Waの温度を調整(冷却)させる。
【0098】
なお、実際には、前述のように制御装置1(制御部13)から指定された個別目標圧力BSvに応じた圧送ポンプ24の制御が実行されるが、冷却液Waの圧送に関しては、後に説明する。また、外気温度の相違や、各部のコンディションの相違に応じて冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25の動作状態を変更する制御については、前述の供給能力特定処理50において説明した制御の手順と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0099】
上記のように指定された個別目標温度ASvに応じた温度調整が各温度調整装置2においてそれぞれ実行されることにより、制御装置1から温度調整装置2に対する個別目標温度ASvの指定が行われてから暫時経過したときに、同図(a)に示すように、各温度調整装置2から送り用配管Psに出力されて供給対象Xに圧送される冷却液Waの全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsと一致する状態となる。
【0100】
次いで、制御部13は、予め規定された選択基準に従って選択した温度調整装置2に対して、指定されている全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvを指定する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの温度をそれぞれ調整させる(ステップ63)。この場合、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、このステップ63において、「冷却液Waの温度調整(冷却)時における消費電力量が多い」との基準を「予め規定された選択基準」として温度調整装置2a~2dのなかからいずれかの温度調整装置2を選択し、選択した温度調整装置2に対して指定する個別目標温度ASvを、使用者によって指定されている全体目標温度ASvsよりも高い温度とする制御態様で各温度調整装置2をそれぞれ制御する。
【0101】
具体的には、制御部13は、前述の供給能力特定処理50において生成した温度調整装置2毎の供給能力データDscに基づき、個別実測温度APvを個別目標温度ASvと一致させた状態を維持する際の消費電力量が最も多い温度調整装置2を特定する。この際に、一例として、温度調整装置2dの消費電力量が最も多かったときに、制御部13は、
図8(b)に示すように、温度調整装置2dに対して指定する個別目標温度ASvdを全体目標温度ASvsよりも高い温度とし、温度調整装置2a~2cについては、全体目標温度ASvsと同じ温度を指定する制御態様で各温度調整装置2を制御する。
【0102】
このような制御態様では、温度調整装置2dにおいて、全体目標温度ASvsと同じ個別目標温度ASvdを指定されていたときよりも冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25等の稼働率が低下するため、温度調整装置2dの個別消費電力量が低下する分だけ、温度調整システム100の全体消費電力量が低下する。しかしながら、温度調整装置2dから送り用配管Psに出力される冷却液Waの個別実測温度APvdが、全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvdとなることにより、同図に示すように、センサ信号S3に基づいて特定される全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsよりもやや高い温度となってしまう。
【0103】
したがって、制御部13は、温度調整装置2dからの冷却液Waの個別実測温度APvdの上昇分を補うべく、
図8(c)に示すように、温度調整装置2dに対して全体目標温度ASvsより高い個別目標温度ASvdを指定した状態を維持しつつ、温度調整装置2a~2cに対して指定する個別目標温度ASva~ASvcを全体目標温度ASvsよりもやや低い温度とする制御態様(「各温度調整装置のうちの少なくとも1台における調整部の動作状態が他の温度調整装置とは相違する制御態様」の一例)で各温度調整装置2を制御する。
【0104】
なお、詳細な説明を省略するが、制御部13は、上記のように個別目標温度ASva~ASvcを全体目標温度ASvsよりもやや低い温度とする度合いを全体目標温度ASvsに基づいて適宜調整する。これにより、制御装置1(制御部13)から各温度調整装置2に対して同図に示すような個別目標温度ASvがそれぞれ指定されてから暫時経過したときに、各温度調整装置2から送り用配管Psに出力されて供給対象Xに圧送される冷却液Waの全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsと一致する状態となる。
【0105】
続いて、制御部13は、上記のステップ62の制御態様で制御した際の全体消費電力量、およびステップ63の制御態様で制御した際の全体消費電力量をそれぞれ特定し(「第1の特定処理」の一例)、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したか否かを判別する(ステップ64)。
【0106】
この際に、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少しなかったとき、すなわち、各温度調整装置2に対して全体目標温度ASvsと同じ個別目標温度ASvをそれぞれ指定する制御態様で制御したときの方が全体消費電力量が少なかったときや、制御態様の変更前後で全体消費電力量が変化しなかったときに、制御部13は、ステップ63の直前の制御態様(本例では、各温度調整装置2に対して全体目標温度ASvsと同じ個別目標温度ASvをそれぞれ指定する制御態様)で各温度調整装置2を動作させる(「第1の特定処理によって特定した全体消費電力量が少ない制御態様で個別制御部をそれぞれ制御する」との処理の一例:ステップ65)。
【0107】
また、制御部13は、ステップ62において指定した個別目標温度ASv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標温度ASvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標温度ASvsと、ステップ63において指定した個別目標温度ASv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標温度ASvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標温度ASvsとを記録して消費電力データDpc(「消費電力データ」の一例)を生成し、生成した消費電力データDpcを記憶部14に記憶させ(「消費電力学習処理」の一例:ステップ66)、この最適制御態様特定処理60を終了する。
【0108】
一方、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したとき、すなわち、温度調整装置2dに対して全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvdを指定し、かつ温度調整装置2a~2cに対して全体目標温度ASvsよりもやや低い個別目標温度ASva~ASvcを指定する制御態様で制御したときの方が全体消費電力量が少なかったときに、制御部13は、温度調整装置2dに対して全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvdを指定し、かつ、温度調整装置2a~2cのうちの予め規定された選択基準に従って選択した温度調整装置2に対して、指定されている全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvを指定する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの温度をそれぞれ調整させる(ステップ67)。
【0109】
この場合、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、このステップ67においても、「冷却液Waの温度調整(冷却)時における消費電力量が多い」との基準を「予め規定された選択基準」として温度調整装置2a~2cのなかからいずれかの温度調整装置2を選択し、選択した温度調整装置2に対して指定する個別目標温度ASvを、使用者によって指定されている全体目標温度ASvsよりも高い温度とする制御態様で各温度調整装置2をそれぞれ制御する。
【0110】
具体的には、制御部13は、前述の供給能力特定処理50において生成した温度調整装置2毎の供給能力データDscに基づき、既に全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvdを指定している温度調整装置2dを除く温度調整装置2のなかから個別実測温度APvを個別目標温度ASvと一致させた状態を維持する際の消費電力量が最も多い温度調整装置2を特定する。この際に、一例として、温度調整装置2cの消費電力量が最も多かったときに、制御部13は、
図8(d)に示すように、温度調整装置2dに対して指定する個別目標温度ASvdをステップ63において指定した個別目標温度ASvdと同じ温度とし、温度調整装置2cに対して指定する個別目標温度ASvcを個別目標温度ASvdよりも低く、かつ全体目標温度ASvsよりも高い温度とし、温度調整装置2a,2bについては、ステップ63において指定した個別目標温度ASva,ASvbと同じ温度を指定する制御態様で各温度調整装置2を制御する。
【0111】
このような制御態様では、温度調整装置2dにおいて、全体目標温度ASvsと同じ個別目標温度ASvdを指定されていたときよりも冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25等の稼働率が低下した状態が維持され、かつ、温度調整装置2cにおいても、全体目標温度ASvsと同じ個別目標温度ASvcを指定されていたときよりも冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25等の稼働率が低下するため、温度調整装置2cの個別消費電力量が低下する分だけ、ステップ63における制御態様での動作時よりも温度調整システム100の全体消費電力量が低下する。しかしながら、温度調整装置2cから送り用配管Psに出力される冷却液Waの個別実測温度APvcが、全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvcとなることにより、同図に示すように、センサ信号S3に基づいて特定される全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsよりもやや高い温度となってしまう。
【0112】
したがって、制御部13は、温度調整装置2cからの冷却液Waの個別実測温度APvcの上昇分を補うべく、
図8(e)に示すように、温度調整装置2c,2dに対して全体目標温度ASvsより高い個別目標温度ASvc,ASvdをそれぞれ指定した状態を維持しつつ、温度調整装置2a,2bに対して指定する個別目標温度ASva,ASvbを全体目標温度ASvsよりも十分に低い温度とする制御態様(「各温度調整装置のうちの少なくとも1台における調整部の動作状態が他の温度調整装置とは相違する制御態様」の他の一例)で各温度調整装置2を制御する。これにより、制御装置1(制御部13)から各温度調整装置2に対して同図に示すような個別目標温度ASvがそれぞれ指定されてから暫時経過したときに、各温度調整装置2から送り用配管Psに出力されて供給対象Xに圧送される冷却液Waの全体実測温度APvsが全体目標温度ASvsと一致する状態となる。
【0113】
続いて、制御部13は、上記のステップ63の制御態様で制御した際の全体消費電力量、およびステップ67の制御態様で制御した際の全体消費電力量をそれぞれ特定し(「第1の特定処理」の他の一例)、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したか否かを判別する(ステップ68)。
【0114】
この際に、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少しなかったときに、制御部13は、ステップ67の直前の制御態様(本例では、個別目標温度ASva~ASvcを全体目標温度ASvsよりもやや低い温度とし、かつ個別目標温度ASvdを全体目標温度ASvsよりも高い温度とするステップ63の制御態様)で各温度調整装置2を動作させる(「第1の特定処理によって特定した全体消費電力量が少ない制御態様で個別制御部をそれぞれ制御する」との処理の他の一例であって、「個別消費電力量が少ない温度調整装置による熱媒液の温度の調整量よりも、個別消費電力量が多い温度調整装置による熱媒液の温度の調整量の方が少なくなる制御態様で各個別制御部を制御する」との処理の一例:ステップ65)。
【0115】
また、制御部13は、ステップ62において指定した個別目標温度ASv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標温度ASvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標温度ASvsと、ステップ63において指定した個別目標温度ASv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標温度ASvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標温度ASvsと、ステップ67において指定した個別目標温度ASv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標温度ASvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標温度ASvsとを記録して消費電力データDpcを生成し、生成した消費電力データDpcを記憶部14に記憶させ(「消費電力学習処理」の他の一例:ステップ66)、この最適制御態様特定処理60を終了する。
【0116】
一方、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したときに、制御部13は、温度調整装置2c,2dに対して全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvc,ASvdを指定し、さらに、温度調整装置2a,2bのうちの予め規定された選択基準に従って選択した温度調整装置2に対して、指定されている全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvを指定する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの温度をそれぞれ調整させる(ステップ67)。なお、このステップ67以降の各処理については、前述の処理と同様のため、具体的な説明を省略する。
【0117】
このように、制御装置1の制御部13が、各温度調整装置2のうちの少なくとも1台における冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25の動作状態が他の温度調整装置2とは相違する複数種類の制御態様で各温度調整装置2の制御部28を順次制御して温度調整システム100による全体消費電力量を制御態様毎にそれぞれ特定する「第1の特定処理」を実行すると共に、特定した全体消費電力量が最も少ない制御態様で各温度調整装置2の制御部28をそれぞれ制御する最適制御態様特定処理60を実行することにより、使用者によって指定された全体目標温度ASvsの冷却液Waを供給対象Xに対して確実に供給しつつ、温度調整システム100の全体消費電力量を十分に低減することが可能となる。
【0118】
なお、全体消費電力量が少ない制御態様を特定する処理の一例として上記の最適制御態様特定処理60について説明したが、最適制御態様特定処理60における「予め規定された選択基準」に代えて(または、そのような選択基準に加えて)、「冷却液Waの温度調整(冷却)時における消費電力量が少ない」との基準を「選択基準」として温度調整装置2a~2dのなかからいずれかの温度調整装置2を選択し、選択した温度調整装置2に対して指定する個別目標温度ASvを、使用者によって指定されている全体目標温度ASvsよりも低い温度とする制御態様で各温度調整装置2をそれぞれ制御することもできる。このような制御態様で各温度調整装置2の制御部28を制御することにより、個別消費電力量が少ない温度調整装置2によって冷却液Waの温度が全体目標温度ASvsよりも低下させられる分だけ、その他の温度調整装置2の個別目標温度ASvを全体目標温度ASvsよりも高い温度とすることができるため、全体目標温度ASvsよりも高い個別目標温度ASvで動作させる温度調整装置2の個別消費電力量を低減できる結果、温度調整システム100の全体消費電力量を低減させることが可能となる。
【0119】
一方、前述したように、本例の制御装置1では、制御装置1による上記の温度調整に関する制御処理)と並行して圧力調整に関する制御処理が実行される。具体的には、前述のように使用者から全体目標圧力BSvsが指定されたときに、制御部13は、
図9に示す最適制御態様特定処理70を開始する。この最適制御態様特定処理70において、制御部13は、まず、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づく送り用配管Ps内の冷却液Waの圧力(全体実測圧力BPvs)の特定、温度調整装置2の動作状態の特定、および温度調整装置2から出力される消費電力データDpcに基づく全体消費電力量の演算を行い、特定した全体実測圧力BPvsおよび動作状態と、演算される全体消費電力量とを記憶部14に記憶させる(ステップ71)。なお、制御部13は、後述のステップ75において最適な制御態様での制御を実行するまで、ステップ71において開始した、全体実測圧力BPvsの特定、各温度調整装置2の動作状態の特定、および全体消費電力量の演算や、特定した全体実測圧力BPvsおよび動作状態と、演算される全体消費電力量とを記憶部14に記憶させる処理を継続して実行する。
【0120】
次いで、制御部13は、
図10(a)に示すように、指定された全体目標圧力BSvsと同値の個別目標圧力BSv(この例では、300kPa)を指示する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの圧力をそれぞれ調整させる(ステップ72)。この際に、各温度調整装置2では、制御部28が、圧力センサ27からのセンサ信号S27に基づいて送り用配管Psに出力する冷却液Waの個別実測圧力BPvを特定すると共に、特定した個別実測圧力BPvと、制御装置1(制御部13)から指定された個別目標圧力BSvとが一致するように、圧送ポンプ24を制御して冷却液Waの圧力を調整させる。なお、配管長や配管内有効断面積の相違、設置場所の高低差の相違、および各部のコンディションの相違に応じて圧送ポンプ24の動作状態を変更する制御については、前述の供給能力特定処理50において説明した制御の手順と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0121】
上記のように指定された個別目標圧力BSvに応じた圧力調整が各温度調整装置2においてそれぞれ実行されることにより、制御装置1から温度調整装置2に対する個別目標圧力BSvの指定が行われてから暫時経過したときに、同図(a)に示すように、各温度調整装置2から送り用配管Psに出力されて供給対象Xに圧送される冷却液Waの全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvsと一致する状態となる。
【0122】
次いで、制御部13は、予め規定された選択基準に従って選択した温度調整装置2に対して、指定されている全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvを指定する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの圧力をそれぞれ調整させる(ステップ73)。この場合、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、このステップ73において、「冷却液Waの圧力調整時における消費電力量が多い」との基準を「予め規定された選択基準」として温度調整装置2a~2dのなかからいずれかの温度調整装置2を選択し、選択した温度調整装置2に対して指定する個別目標圧力BSvを、使用者によって指定されている全体目標圧力BSvsよりも低い圧力とする制御態様で各温度調整装置2をそれぞれ制御する。
【0123】
具体的には、制御部13は、前述の供給能力特定処理50において生成した温度調整装置2毎の供給能力データDscに基づき、個別実測圧力BPvを個別目標圧力BSvと一致させた状態を維持する際の制御部13消費電力量が最も多い温度調整装置2を特定する。この際に、一例として、温度調整装置2dの消費電力量が最も多かったときに、制御部13は、
図10(b)に示すように、温度調整装置2dに対して指定する個別目標圧力BSvdを全体目標圧力BSvsよりも低い圧力とし、温度調整装置2a~2cについては、全体目標圧力BSvsと同じ圧力を指定する制御態様で各温度調整装置2を制御する。
【0124】
このような制御態様では、温度調整装置2dにおいて、全体目標圧力BSvsと同じ個別目標圧力BSvdを指定されていたときよりも圧送ポンプ24等の稼働率が低下するため、温度調整装置2dの個別消費電力量が低下する分だけ、温度調整システム100の全体消費電力量が低下する。しかしながら、温度調整装置2dから送り用配管Psに出力される冷却液Waの個別実測圧力BPvdが、全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvdとなることにより、同図に示すように、センサ信号S4に基づいて特定される全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvsよりもやや低い圧力となってしまう。
【0125】
したがって、制御部13は、温度調整装置2dからの冷却液Waの個別実測圧力BPvdの上昇分を補うべく、
図10(c)に示すように、温度調整装置2dに対して全体目標圧力BSvsより低い個別目標圧力BSvdを指定した状態を維持しつつ、温度調整装置2a~2cに対して指定する個別目標圧力BSva~BSvcを全体目標圧力BSvsよりもやや高い圧力とする制御態様(「各温度調整装置のうちの少なくとも1台における圧送部の動作状態が他の温度調整装置とは相違する制御態様」の一例)で各温度調整装置2を制御する。
【0126】
なお、詳細な説明を省略するが、制御部13は、上記のように個別目標圧力BSva~BSvcを全体目標圧力BSvsよりもやや高い圧力とする度合いを全体目標圧力BSvsに基づいて適宜調整する。これにより、制御装置1(制御部13)から各温度調整装置2に対して同図に示すような個別目標圧力BSvがそれぞれ指定されてから暫時経過したときに、各温度調整装置2から送り用配管Psに出力されて供給対象Xに圧送される冷却液Waの全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvsと一致する状態となる。
【0127】
続いて、制御部13は、上記のステップ72の制御態様で制御した際の全体消費電力量、およびステップ73の制御態様で制御した際の全体消費電力量をそれぞれ特定し(「第1の特定処理」の他の一例)、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したか否かを判別する(ステップ74)。
【0128】
この際に、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少しなかったとき、すなわち、各温度調整装置2に対して全体目標圧力BSvsと同じ個別目標圧力BSvをそれぞれ指定する制御態様で制御したときの方が全体消費電力量が少なかったときや、制御態様の変更前後で全体消費電力量が変化しなかったときに、制御部13は、ステップ73の直前の制御態様(本例では、各温度調整装置2に対して全体目標圧力BSvsと同じ個別目標圧力BSvをそれぞれ指定する制御態様)で各温度調整装置2を動作させる(「第1の特定処理によって特定した全体消費電力量が少ない制御態様で個別制御部をそれぞれ制御する」との処理の他の一例:ステップ75)。
【0129】
また、制御部13は、ステップ72において指定した個別目標圧力BSv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標圧力BSvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標圧力BSvsと、ステップ73において指定した個別目標圧力BSv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標圧力BSvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標圧力BSvsとを記録して消費電力データDpc(「消費電力データ」の一例)を生成し、生成した消費電力データDpcを記憶部14に記憶させ(「消費電力学習処理」の一例:ステップ76)、この最適制御態様特定処理70を終了する。
【0130】
一方、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したとき、すなわち、温度調整装置2dに対して全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvdを指定し、かつ温度調整装置2a~2cに対して全体目標圧力BSvsよりもやや高い個別目標圧力BSva~BSvcを指定する制御態様で制御したときの方が全体消費電力量が少なかったときに、制御部13は、温度調整装置2dに対して全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvdを指定し、かつ、温度調整装置2a~2cのうちの予め規定された選択基準に従って選択した温度調整装置2に対して、指定されている全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvを指定する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの圧力をそれぞれ調整させる(ステップ77)。
【0131】
この場合、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、このステップ77においても、「冷却液Waの圧力調整時における消費電力量が多い」との基準を「予め規定された選択基準」として温度調整装置2a~2cのなかからいずれかの温度調整装置2を選択し、選択した温度調整装置2に対して指定する個別目標圧力BSvを、使用者によって指定されている全体目標圧力BSvsよりも低い圧力とする制御態様で各温度調整装置2をそれぞれ制御する。
【0132】
具体的には、制御部13は、前述の供給能力特定処理50において生成した温度調整装置2毎の供給能力データDscに基づき、既に全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvdを指定している温度調整装置2dを除く温度調整装置2のなかから個別実測圧力BPvを個別目標圧力BSvと一致させた状態を維持する際の消費電力量が最も多い温度調整装置2を特定する。この際に、一例として、温度調整装置2cの消費電力量が最も多かったときに、制御部13は、
図10(d)に示すように、温度調整装置2dに対して指定する個別目標圧力BSvdをステップ73において指定した個別目標圧力BSvdと同じ圧力とし、温度調整装置2cに対して指定する個別目標圧力BSvcを個別目標圧力BSvdよりも高く、かつ全体目標圧力BSvsよりも低い圧力とし、温度調整装置2a,2bについては、ステップ73において指定した個別目標圧力BSva,BSvbと同じ圧力を指定する制御態様で各温度調整装置2を制御する。
【0133】
このような制御態様では、温度調整装置2dにおいて、全体目標圧力BSvsと同じ個別目標圧力BSvdを指定されていたときよりも圧送ポンプ24等の稼働率が低下した状態が維持され、かつ、温度調整装置2cにおいても、全体目標圧力BSvsと同じ個別目標圧力BSvcを指定されていたときよりも圧送ポンプ24等の稼働率が低下するため、温度調整装置2cの個別消費電力量が低下する分だけ、ステップ73における制御態様での動作時よりも温度調整システム100の全体消費電力量が低下する。しかしながら、温度調整装置2cから送り用配管Psに出力される冷却液Waの個別実測圧力BPvcが、全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvcとなることにより、同図に示すように、センサ信号S4に基づいて特定される全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvsよりもやや低い圧力となってしまう。
【0134】
したがって、制御部13は、温度調整装置2cからの冷却液Waの個別実測圧力BPvcの低下分を補うべく、
図10(e)に示すように、温度調整装置2c,2dに対して全体目標圧力BSvsより低い個別目標圧力BSvc,BSvdをそれぞれ指定した状態を維持しつつ、温度調整装置2a,2bに対して指定する個別目標圧力BSva,BSvbを全体目標圧力BSvsよりも十分に高い圧力とする制御態様(「各温度調整装置のうちの少なくとも1台における圧送部の動作状態が他の温度調整装置とは相違する制御態様」の他の一例)で各温度調整装置2を制御する。これにより、制御装置1(制御部13)から各温度調整装置2に対して同図に示すような個別目標圧力BSvがそれぞれ指定されてから暫時経過したときに、各温度調整装置2から送り用配管Psに出力されて供給対象Xに圧送される冷却液Waの全体実測圧力BPvsが全体目標圧力BSvsと一致する状態となる。
【0135】
続いて、制御部13は、上記のステップ73の制御態様で制御した際の全体消費電力量、およびステップ77の制御態様で制御した際の全体消費電力量をそれぞれ特定し(「第1の特定処理」の他の一例)、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したか否かを判別する(ステップ78)。
【0136】
この際に、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少しなかったときに、制御部13は、ステップ77の直前の制御態様(本例では、個別目標圧力BSva~BSvcを全体目標圧力BSvsよりもやや高い圧力とし、かつ個別目標圧力BSvdを全体目標圧力BSvsよりも低い圧力とするステップ73の制御態様)で各温度調整装置2を動作させる(「第1の特定処理によって特定した全体消費電力量が少ない制御態様で個別制御部をそれぞれ制御する」との処理の他の一例であって、「個別消費電力量が少ない温度調整装置による熱媒液の圧力の調整量よりも、個別消費電力量が多い温度調整装置による熱媒液の圧力の調整量の方が少なくなる制御態様で各個別制御部を制御する」との処理の一例:ステップ75)。
【0137】
また、制御部13は、ステップ72において指定した個別目標圧力BSv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標圧力BSvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標圧力BSvsと、ステップ73において指定した個別目標圧力BSv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標圧力BSvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標圧力BSvsと、ステップ77において指定した個別目標圧力BSv(各温度調整装置2についての制御態様)、およびその個別目標圧力BSvに従って各温度調整装置2が動作したときの全体消費電力量、並びに、その際に指定されていた全体目標圧力BSvsとを記録して消費電力データDpcを生成し、生成した消費電力データDpcを記憶部14に記憶させ(「消費電力学習処理」の他の一例:ステップ76)、この最適制御態様特定処理70を終了する。
【0138】
一方、制御態様の変更によって全体消費電力量が減少したときに、制御部13は、温度調整装置2c,2dに対して全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvc,BSvdを指定し、さらに、温度調整装置2a,2bのうちの予め規定された選択基準に従って選択した温度調整装置2に対して、指定されている全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvを指定する制御態様で各温度調整装置2(制御部28)を制御して冷却液Waの圧力をそれぞれ調整させる(ステップ77)。なお、このステップ77以降の各処理については、前述の処理と同様のため、具体的な説明を省略する。
【0139】
このように、制御装置1の制御部13が、各温度調整装置2のうちの少なくとも1台における圧送ポンプ24の動作状態が他の温度調整装置2とは相違する複数種類の制御態様で各温度調整装置2の制御部28を順次制御して温度調整システム100による全体消費電力量を制御態様毎にそれぞれ特定する「第1の特定処理」を実行すると共に、特定した全体消費電力量が最も少ない制御態様で各温度調整装置2の制御部28をそれぞれ制御する最適制御態様特定処理70を実行することにより、使用者によって指定された全体目標圧力BSvsで冷却液Waを供給対象Xに対して確実に供給しつつ、温度調整システム100の全体消費電力を十分に低減することが可能となる。
【0140】
なお、全体消費電力量が少ない制御態様を特定する処理の一例として上記の最適制御態様特定処理70について説明したが、最適制御態様特定処理70における「予め規定された選択基準」に代えて(または、そのような選択基準に加えて)、「冷却液Waの圧力調整時における消費電力量が少ない」との基準を「選択基準」として温度調整装置2a~2dのなかからいずれかの温度調整装置2を選択し、選択した温度調整装置2に対して指定する個別目標圧力BSvを、使用者によって指定されている全体目標圧力BSvsよりも高い圧力とする制御態様で各温度調整装置2をそれぞれ制御することもできる。このような制御態様で各温度調整装置2の制御部28を制御することにより、個別消費電力量が少ない温度調整装置2によって冷却液Waの圧力が全体目標圧力BSvsよりも上昇させられる分だけ、その他の温度調整装置2の個別目標圧力BSvを全体目標圧力BSvsよりも低い圧力とすることができるため、全体目標圧力BSvsよりも低い個別目標圧力BSvで動作させる温度調整装置2の個別消費電力量を低減できる結果、温度調整システム100の全体消費電力量を低減させることが可能となる。
【0141】
なお、前述した供給能力特定処理50の実行時と同様にして、各温度調整装置2に対して指定する個別目標圧力BSvを高くしたときには、圧送ポンプ24の稼働率の上昇に伴って冷却液Waの温度が上昇する傾向がある。このため、最適制御態様特定処理70の実行によって、いずれかの温度調整装置2の圧送ポンプ24の稼働率の上昇に伴う冷却液Waの個別実測温度APvの上昇が生じたり、いずれかの温度調整装置2の圧送ポンプ24の稼働率の低下に伴う冷却液Waの個別実測温度APvの低下が生じたりしたときには、この圧力変化に起因する温度変化を加味して各温度調整装置2に対して指定する個別目標温度ASvが微調整される。
【0142】
また、上記の例のように、冷却液Wa(熱媒液)として不凍液を使用しているときには、不凍液の膨張率が水よりも高いため、温度変化に伴う体積の変化量が大きくなる。したがって、冷却液Waとして不凍液を使用しているときには、最適制御態様特定処理60の実行によって、いずれかの温度調整装置2における冷却液Waの個別実測温度APvが大きく変化したときに、温度変化に伴う体積の変化に応じた圧力変化を加味して各温度調整装置2に対して指定する個別目標圧力BSvが微調整される。
【0143】
一方、上記のように、全体目標圧力BSvsと同じ全体実測圧力BPvsで全体目標温度ASvsと同じ全体実測温度APvsの冷却液Waが供給対象Xに対して供給される状態で各温度調整装置2を動作させていたとしても、供給対象Xにおいて必要とされる冷却液Waの量が大きく変化して全体実測圧力BPvsが大きく変化することがある。このような変化が生じたときに、本例の温度調整システム100における制御装置1では、制御部13が、「第1の開始条件」が満たされたとして、前述の最適制御態様特定処理60および最適制御態様特定処理70(第1の特定処理)を実行し、新たに特定した最適な制御態様(全体消費電力量が少ない動作状態となる制御態様)で各温度調整装置2を制御する。
【0144】
この場合、使用者から指定された全体目標温度ASvsと全体実測温度APvsとが一致すると共に全体目標圧力BSvsと全体実測圧力BPvsとが一致する状態を維持するために個別目標温度ASvや個別目標圧力BSvを各種の値に変更した制御態様で各温度調整装置2を制御したときには、最適制御態様特定処理60におけるステップ66の処理(消費電力学習処理)や、最適制御態様特定処理70におけるステップ76の処理(消費電力学習処理)において、各種の制御態様(各種の個別目標温度ASvおよび個別目標圧力BSv)に対応した全体消費電力量が、その時点において指定されている全体目標温度ASvsや全体実測温度APvsに関連付けられて消費電力データDpcに記録されることとなる。
【0145】
また、温度調整システム100の動作中に、新たな全体目標温度ASvsや新たな全体目標圧力BSvsが指定される(指定されている全体目標温度ASvsや全体目標圧力BSvsが変更される)こともある(「新たな目標温度、および新たな目標圧力の少なくとも一方を指定されたとき」の他の一例)。この際に、本例の温度調整システム100における制御装置1では、制御部13が、「第1の開始条件」が満たされたとして、前述の最適制御態様特定処理60および最適制御態様特定処理70(第1の特定処理)を実行し、新たに特定した最適な制御態様(全体消費電力量が少ない動作状態となる制御態様)で各温度調整装置2を制御する。
【0146】
この場合、使用者から指定された新たな全体目標温度ASvsや新たな全体目標圧力BSvsに対応して個別目標温度ASvや個別目標圧力BSvを各種の値に変更した制御態様で各温度調整装置2を制御したときにも、最適制御態様特定処理60におけるステップ66の処理(消費電力学習処理)や、最適制御態様特定処理70におけるステップ76の処理(消費電力学習処理)において、各種の制御態様(各種の個別目標温度ASvおよび個別目標圧力BSv)に対応した全体消費電力量が、新たに指定された全体目標温度ASvsや全体実測温度APvsに関連付けられて消費電力データDpcに記録されることとなる。
【0147】
したがって、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、制御部13が、記憶部14に消費電力データDpcが記憶されている状態においていずれかの全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsが指定され、かつ指定された全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsと関連付けられた制御態様(個別目標温度ASvや個別目標圧力BSv)が消費電力データDpcに記録されているときに、指定された全体目標温度ASvsや全体目標圧力BSvsと関連付けられて記録されている「制御態様」のうちから全体消費電力が少ない制御態様を特定し、特定した制御態様で各温度調整装置2を制御する。これにより、同様の条件下で同様の制御態様での消費電力量の特定等を再び実行しなくても、その制御態様で制御して各温度調整装置2を動作させたときの全体消費電力量を消費電力データDpcに記録されている情報に基づいて特定することができるため、最適な制御態様(全体消費電力が少ない制御態様)を短時間で容易に特定して各温度調整装置2を制御することが可能となる。
【0148】
また、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、制御部13が、記憶部14に消費電力データDpcが記憶されている状態においていずれかの全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsが指定され、かつ指定された全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsと関連付けられた制御態様(個別目標温度ASvや個別目標圧力BSv)が消費電力データDpcに記録されていないときに、最適な制御態様を予測する「制御態様予測処理」を実行する。
【0149】
この「制御態様予測処理」では、制御部13は、まず、指定された全体目標温度ASvsに近い全体目標温度ASvs(指定された全体目標温度ASvsよりもやや低い/やや高い全体目標温度ASvs)および指定された全体目標圧力BSvsと関連付けられて消費電力データDpcに記録されている制御態様、指定された全体目標温度ASvsおよび指定された全体目標圧力BSvsに近い全体目標圧力BSvs(指定された全体目標圧力BSvsよりもやや低い/やや高い全体目標圧力BSvs)と関連付けられて消費電力データDpcに記録されている制御態様、並びに指定された全体目標温度ASvsに近い全体目標温度ASvs(指定された全体目標温度ASvsよりもやや低い/やや高い全体目標温度ASvs)および指定された全体目標圧力BSvsに近い全体目標圧力BSvs(指定された全体目標圧力BSvsよりもやや低い/やや高い全体目標圧力BSvs)と関連付けられて消費電力データDpcに記録されている制御態様の3種類の制御態様のうちの少なくとも1種類を特定する。
【0150】
次いで、制御部13は、特定した制御態様に基づき、指定された全体目標温度ASvsおよび指定された全体目標圧力BSvsに対応する最適な制御態様(全体消費電力が少ない制御態様)を予測する。なお、上記の3種類の制御態様のうちの1種類だけが消費電力データDpcに記録されているときには、その1種類の制御態様が「少なくとも1種類の制御態様」として特定されるため、特定された制御対象に基づき、指定された全体目標圧力BSvsに対応する最適な制御態様を予測する。また、上記の3種類の制御態様のうちの2種類、または3種類の制御態様のすべてが消費電力データDpcに記録されているときには、一例として、特定された複数種類の制御態様のなかで、関連付けられている全体目標温度ASvsと指定された全体目標温度ASvsとの差や、関連付けられている全体目標圧力BSvsと指定された全体目標圧力BSvsとの差が最も小さい1種類の制御態様に基づき、指定された全体目標圧力BSvsに対応する最適な制御態様を予測する。
【0151】
この場合、前述の最適制御態様特定処理60では、指定された1つの全体目標温度ASvsに対応して少なくとも2つの制御態様が全体消費電力量に関連付けられて消費電力データDpcに記録される(ステップ66の処理)。したがって、例えば、指定された全体目標温度ASvsに近い全体目標温度ASvsに対応する各種の制御態様が消費電力データDpcに記録されているときには、それらの制御態様のうちから全体消費電力量が少ない制御態様を特定すると共に、特定した制御態様に基づいて、指定された全体目標温度ASvsに対応する制御態様であって全体消費電力が少ない制御態様(いずれの温度調整装置2を対象として、個別目標温度ASvを全体目標温度ASvsよりも高い/低い温度とすることで全体消費電力を低減できるか)を予測することが可能となる。
【0152】
具体的には、指定された全体目標温度ASvsに近い全体目標温度ASvsに対応する制御態様として、例えば、温度調整装置2dに対する個別目標温度ASvdだけを温度調整装置2a~2cに対する個別目標温度ASva~ASvcよりもやや高い温度としたときに全体消費電力を低減できることが消費電力データDpcに記録されているときには、指定された全体目標温度ASvsに対応する制御態様として、温度調整装置2dに対する個別目標温度ASvdだけを温度調整装置2a~2cに対する個別目標温度ASva~ASvcよりもやや高い温度とすることで全体消費電力を低減できる可能性がある。したがって、制御部13は、温度調整装置2dに対する個別目標温度ASvdだけを温度調整装置2a~2cに対する個別目標温度ASva~ASvcよりもやや高い温度とする制御態様を最適な制御態様とする。
【0153】
同様にして、前述の最適制御態様特定処理70では、指定された1つの全体目標圧力BSvsに対応して少なくとも2つの制御態様が全体消費電力量に関連付けられて消費電力データDpcに記録される(ステップ76の処理)。したがって、例えば、指定された全体目標圧力BSvsに近い全体目標圧力BSvsに対応する各種の制御態様が消費電力データDpcに記録されているときには、それらの制御態様のうちから全体消費電力量が少ない制御態様を特定すると共に、特定した制御態様に基づいて、指定された全体目標圧力BSvsに対応する制御態様であって全体消費電力が少ない制御態様(いずれの温度調整装置2を対象として、個別目標圧力BSvを全体目標圧力BSvsよりも高い/低い圧力とすることで全体消費電力を低減できるか)を予測することが可能となる。
【0154】
具体的には、指定された全体目標圧力BSvsに近い全体目標圧力BSvsに対応する制御態様として、例えば、温度調整装置2dに対する個別目標圧力BSvdだけを温度調整装置2a~2cに対する個別目標圧力BSva~BSvcよりもやや低い圧力としたときに全体消費電力を低減できることが消費電力データDpcに記録されているときには、指定された全体目標圧力BSvsに対応する制御態様として、温度調整装置2dに対する個別目標圧力BSvdだけを温度調整装置2a~2cに対する個別目標圧力BSva~BSvcよりもやや低い圧力とすることで全体消費電力を低減できる可能性がある。したがって、制御部13は、温度調整装置2dに対する個別目標圧力BSvdだけを温度調整装置2a~2cに対する個別目標圧力BSva~BSvcよりもやや低い圧力とする制御態様を最適な制御態様とする。
【0155】
続いて、制御部13は、予測した制御態様で各温度調整装置2を制御する。これにより、過去に実行した「第1の特定処理」の動作環境に近い動作環境下で動作させる際に、同様の条件下で同様の制御態様での消費電力量の特定等を再び実行しなくても、消費電力データDpcに記録されている情報に基づいて予測した制御態様に従って、全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置2を動作させることが可能となる。
【0156】
また、温度調整システム100の動作中には、各温度調整装置2の動作環境(日光の当たり方、風通しの状態、および近傍に設置されている熱源から発せられる熱量など)が変化したり、各温度調整装置2のコンディション(消耗部品の状態など)が変化したりすることもある。この場合、各温度調整装置2では、上記のような環境の変化に拘わらず、制御部28が、指定された個別目標温度ASvと個別実測温度APvとが一致し、かつ指定された個別目標圧力BSvと個別実測圧力BPvとが一致する状態を維持するように冷凍サイクル22、空冷機構23、送風用ファン25および圧送ポンプ24を制御して冷却液Waの温度や圧力の調整を継続させる。
【0157】
このため、例えば、日光が当たらない状態で動作していた温度調整装置2に日光が当たる状態となり、その温度調整装置2による冷却液Waの温度調整効率(冷却効率)が悪化したとしても、その温度調整装置2から出力される冷却液Waの個別実測温度APvは、制御装置1によって指定された個別目標温度ASvと一致した状態が維持される。しかしながら、温度調整効率が悪化した温度調整装置2では、同じ個別実測温度APvの冷却液Waを出力できたとしても、効率の悪化を補うよう冷凍サイクル22や空冷機構23の稼働率が上昇する分だけ、個別消費電力量が増加する。このため、そのような温度調整装置2を含む温度調整システム100の全体消費電力量も増加することとなる。
【0158】
また、上記の例とは逆に、日光が当たる状態で動作していた温度調整装置2に日光が当たらない状態となり、その温度調整装置2による冷却液Waの温度調整効率(冷却効率)が向上したとしても、その温度調整装置2から出力される冷却液Waの個別実測温度APvは、制御装置1によって指定された個別目標温度ASvと一致した状態が維持される。しかしながら、温度調整効率が向上した温度調整装置2では、効率の向上に応じて冷凍サイクル22や空冷機構23の稼働率が低下させられる分だけ、個別消費電力量が減少する。このため、個別消費電力量が少ない状態の温度調整装置2の稼働率が低い制御態様で動作させられていた場合には、その温度調整装置2の稼働率を上昇させることで、温度調整システム100の全体消費電力量を一層減少させることができる可能性がある。
【0159】
したがって、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、制御部13が、全体消費電力量が予め規定された変化量を超えて大きく変化したとき(大きく増加したり、大きく減少したりしたとき)に、「第1の開始条件」が満たされたとして、前述の最適制御態様特定処理60および最適制御態様特定処理70(第1の特定処理)を実行し、新たに特定した最適な制御態様(全体消費電力量が少ない動作状態となる制御態様)で各温度調整装置2を制御する。これにより、動作中の環境変化が生じたとしても、変化後の環境において全体消費電力量が十分に少ない状態で供給対象Xに対して冷却液Waを圧送することが可能となる。
【0160】
さらに、温度調整システム100の運用時には、供給対象Xを構成する機器の機種変更や台数変更、送り用配管Psや戻し用配管Prの交換や増設、温度調整システム100を構成する温度調整装置2の交換や台数変更、および使用する冷却液Waの種類変更などが行われることがある。また、温度調整システム100(制御装置1および各温度調整装置2)を移設して使用することもある。この場合、上記のような使用環境の変更が生じたときには、消費電力データDpcに記録されている制御態様で各温度調整装置2を制御したときの各温度調整装置2の稼働率が変化するため、消費電力データDpcに記録されている制御態様に関連づけられている全体消費電力量が、使用環境の変更後の実態にそぐわないものとなる。このため、使用環境の変更後に消費電力データDpcに記録されている情報に従って全体消費電力量が少ない制御態様を特定したとしても、特定した制御態様で各温度調整装置2を制御したときの全体消費電力量を十分に低減することができないおそれがある。
【0161】
したがって、本例の温度調整システム100(制御装置1)では、制御部13が、操作部11に対するリセット操作が行われたときに、「リセット条件」が満たされたとして、消費電力データDpcを記憶部14から消去する。これにより、新たな使用環境において動作させられたときに、変更後の環境に則した新たな消費電力データDpcが生成されて各種の制御態様についての情報が徐々に蓄積されるため、そのような消費電力データDpcを利用することで、変更後の使用環境に則した好適な制御態様(全体消費電力量が少ない制御態様)を短時間で容易に特定することが可能となる。
【0162】
このように、この制御装置1では、制御部13が、予め規定された「第1の開始条件」が満たされたときに、各温度調整装置2のうちの少なくとも1台における「調整部(本例では、冷凍サイクル22、空冷機構23および送風用ファン25)」および「圧送部(本例では、圧送ポンプ24)」の少なくとも一方の動作状態が他の温度調整装置2とは相違する複数種類の制御態様で制御部28を順次制御して温度調整システム100による単位時間当りの全体消費電力量を制御態様毎にそれぞれ特定する「第1の特定処理」を実行すると共に、「第1の特定処理」によって特定した全体消費電力量が少ない制御態様で制御部28をそれぞれ制御する。また、この温度調整システム100では、上記の制御装置1と、複数の温度調整装置2とを備えている。
【0163】
したがって、この制御装置1および温度調整システム100によれば、各温度調整装置2と供給対象Xとの間の配管長、各温度調整装置2の設置場所の温度、および各温度調整装置2のコンディションなどの各種動作環境の相違を特定したり、特定した動作環境に基づいて各温度調整装置2の単位時間当りの個別消費電力量を推定したりする煩雑な作業を行わなくても、「第1の開始条件」が満たされたときに、「第1の特定処理」が実行されて各温度調整装置2の動作環境に応じた全体消費電力量が各種の制御態様毎に自動的に特定されると共に、特定された全体消費電力量に基づいて温度調整システム100による全体消費電力量が十分に少ない動作状態となるような制御態様で各温度調整装置2が制御されるため、指定された全体目標温度ASvsに温度調整された冷却液Waが指定された全体目標圧力BSvsで供給対象Xに対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態で確実かつ容易に動作させることができる。
【0164】
また、この制御装置1では、制御部13が、温度調整システム100から供給対象Xに圧送される冷却液Waの温度を全体目標温度ASvsに維持させ、かつ温度調整システム100から供給対象Xに圧送される冷却液Waの圧力を全体目標圧力BSvsに維持させるために制御態様を変更するときに、予め規定された「第1の開始条件」が満たされたとして「第1の特定処理」を実行する。したがって、この制御装置1および温度調整システム100によれば、各温度調整装置2の個別消費電力量が変化する可能性がある「制御態様の変更」時に、処理の開始を指示するスイッチ操作などを行わなくても「第1の特定処理」が自動的に実行されるため、指定された全体目標温度ASvsに温度調整された冷却液Waが指定された全体目標圧力BSvsで供給対象Xに対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態を確実かつ容易に継続させることができる。
【0165】
さらに、この制御装置1および温度調整システム100によれば、制御部13が、新たな全体目標温度ASvs、および新たな全体目標圧力BSvsの少なくとも一方を指定されたときに、予め規定された「第1の開始条件」が満たされたとして「第1の特定処理」を実行することにより、各温度調整装置2の個別消費電力量が確実に変化する「新たな全体目標温度ASvs、および新たな全体目標圧力BSvsを指定されたとき」に、処理の開始を指示するスイッチ操作などを行わなくても「第1の特定処理」が自動的に実行されるため、指定された全体目標温度ASvsに温度調整された冷却液Waが指定された全体目標圧力BSvsで供給対象Xに対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態を確実かつ容易に継続させることができる。
【0166】
また、この制御装置1では、制御部13が、「第1の特定処理」を実行したときに、「第1の特定処理」において特定した全体消費電力量および対応する制御態様と、「第1の特定処理」の開始時点において指定されていた全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsとを相互に関連付けた消費電力データDpcを生成して記憶部14に記憶させる「消費電力学習処理」を実行すると共に、いずれかの全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsが指定され、かつ指定された全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsと関連付けられた制御態様が消費電力データDpcに記録されているときに、指定された全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsと関連付けられて消費電力データDpcに記録されている制御態様のうちから全体消費電力が少ない制御態様を特定して各制御部28を制御する。
【0167】
したがって、この制御装置1および温度調整システム100によれば、過去に「第1の特定処理」を実行したときと同じ動作環境下で動作させる際に「第1の特定処理」を再度実行することなく、消費電力データDpcに記録されている情報に基づいて、全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置2を確実かつ容易に動作させることができる。これにより、全体消費電力量が少ない制御態様を特定するために制御態様を変更する頻度を減少させることができる結果、供給対象Xに対して冷却液Waを安定供給することができる。
【0168】
また、この制御装置1では、制御部13が、全体目標温度ASvsおよび全体目標圧力BSvsが指定され、かつ指定された全体目標温度ASvsおよび指定された全体目標圧力BSvsと関連付けられた制御態様が消費電力データDpcに記録されていないときに、指定された全体目標温度ASvsに近い全体目標温度ASvsおよび指定された全体目標圧力BSvsと関連付けられた制御態様、指定された全体目標温度ASvsおよび指定された全体目標圧力BSvsに近い全体目標圧力BSvsと関連付けられた制御態様、並びに指定された全体目標温度ASvsに近い全体目標温度ASvsおよび指定された全体目標圧力BSvsに近い全体目標圧力BSvsと関連付けられた制御態様の3種類の制御態様のうちの少なくとも1種類を特定すると共に、特定した少なくとも1種類の制御態様に基づき、指定された全体目標温度ASvsおよび指定された全体目標圧力BSvsに対応する制御態様であって全体消費電力が少ない制御態様を予測する「制御態様予測処理」を実行し、予測した制御態様で各制御部28を制御する。
【0169】
したがって、この制御装置1および温度調整システム100によれば、過去に実行した「第1の特定処理」の動作環境に近い動作環境下で動作させる際に、「第1の特定処理」を実行することなく、消費電力データDpcに記録されている情報に基づいて予測した制御態様に従って、全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置2を確実かつ容易に動作させることができる。これにより、全体消費電力量が少ない制御態様を特定するために制御態様を変更する頻度を減少させることができる結果、供給対象Xに対して冷却液Waを安定供給することができる。
【0170】
さらに、この制御装置1および温度調整システム100によれば、制御部13が、予め規定された「リセット条件」が満たされたときに消費電力データDpcを記憶部14から消去することにより、動作環境の大きな変化に起因して、消費電力データDpcに記録されている全体消費電力量および対応する制御態様が実態と相違する状態となったときに消費電力データDpcを記憶部14から消去させることで、変化後の動作環境において全体消費電力量の低減が困難な制御態様で各温度調整装置2が制御される事態を好適に回避することができる。また、動作環境の変化後に「第1の特定処理」が実行されて、変化後の動作環境に応じた新たな消費電力データDpcが生成されることで、変化後の動作環境において全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置2を確実かつ容易に動作させることができる。
【0171】
また、この制御装置1では、制御部13が、予め規定された「第2の開始条件」が満たされたときに、各温度調整装置2を単独で順次動作させて各温度調整装置2による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する「第2の特定処理」を実行すると共に、供給対象Xに冷却液Waを圧送させる際に、個別消費電力量が少ない温度調整装置2による冷却液Waの温度の調整量よりも、個別消費電力量が多い温度調整装置2による冷却液Waの温度の調整量の方が少なくなる制御態様で各制御部28を制御する。また、この制御装置1では、制御部13が、予め規定された「第2の開始条件」が満たされたときに、各温度調整装置2を単独で順次動作させて各温度調整装置2による単位時間当りの個別消費電力量をそれぞれ特定する「第2の特定処理」を実行すると共に、供給対象Xに冷却液Waを圧送させる際に、個別消費電力量が少ない温度調整装置2による冷却液Waの圧力の調整量よりも、個別消費電力量が多い温度調整装置2による冷却液Waの圧力の調整量の方が少なくなる制御態様で各制御部28を制御する。
【0172】
したがって、この制御装置1および温度調整システム100によれば、全体消費電力の低減のために、各温度調整装置2をどのような動作状態で動作させるべきかを確実かつ容易に特定することができると共に、「第1の特定処理」において、いずれの温度調整装置2の動作状態を他の温度調整装置2とは相違させるかを確実かつ容易に特定することができるため、全体消費電力量が十分に少ない動作状態で各温度調整装置2を確実かつ容易に動作させることができる。
【0173】
さらに、この制御装置1および温度調整システム100によれば、制御部13が、全体消費電力量が予め規定された変化量を超えて大きく変化したときに、予め規定された「第1の開始条件」が満たされたとして「第1の特定処理」を実行することにより、少なくとも1台の温度調整装置2の個別消費電力量が変化して「全体消費電力量が大きく変化したとき」に、処理の開始を指示するスイッチ操作などを行わなくても「第1の特定処理」が自動的に実行されるため、指定された全体目標温度ASvsに温度調整された冷却液Waが指定された全体目標圧力BSvsで供給対象Xに対して圧送され、かつ単位時間当りの全体消費電力量が十分に少ない動作状態を確実かつ容易に継続させることができる。
【0174】
なお、「制御装置」および「温度調整システム」の構成は、上記の制御装置1および温度調整システム100の構成の例に限定されない。例えば、温度調整システム100を構成するすべての温度調整装置2(上記の例では、温度調整装置2a~2dの4台)を動作させた状態でいずれかの温度調整装置2の個別目標温度ASvや個別目標圧力BSvを他の温度調整装置2とは相違させる制御態様で各温度調整装置2を動作させる例について説明したが、「各種の制御態様」には、いずれかの温度調整装置2を停止させる制御態様や、停止状態の温度調整装置2の動作を再開させる制御態様が含まれる。
【0175】
また、温度調整システム100の新設時や設置場所の変更時に、操作部11のスイッチ操作によって開始を指示されたときに「第2の開始条件」が満たされたとして供給能力特定処理50を実行する例について説明したが、供給能力特定処理50を実行するタイミングや、供給能力特定処理50を実行させる「第2の開始条件」はこの例に限定されない。具体的には、一例として、温度調整システム100(制御装置1)に電源が投入されたときに「第2の開始条件」が満たされたとして供給能力特定処理50を実行したり、予め設定した日時が到来したときや、稼働時間が予め設定した時間に達したときに「第2の開始条件」が満たされたとして供給能力特定処理50を実行したりすることができる。
【0176】
同様にして、最適制御態様特定処理60および最適制御態様特定処理70を実行するタイミングや、これらを実行させる「第1の開始条件」についても上記の例に限定されず、一例として、温度調整システム100(制御装置1)に電源が投入されたときに「第1の開始条件」が満たされたとして最適制御態様特定処理60および最適制御態様特定処理70を実行したり、予め設定した日時が到来したりしたときや、稼働時間が予め設定した時間に達したときに「第1の開始条件」が満たされたとして最適制御態様特定処理60および最適制御態様特定処理70を実行したりすることができる。
【0177】
また、「調整部」として冷凍サイクル22および空冷機構23の2系統を有する温度調整装置2を備えた構成を例に挙げて説明したが、冷凍サイクル22および空冷機構23のいずれか一方だけを「調整部」として備えて「温度調整装置」を構成することもできる。さらに、温度調整装置2の冷凍サイクル22や空冷機構23のいずれか、または双方に代えて(或いは、いずれか、または双方に加えて)、ヒートポンプを備えて「調整部」を構成することもできる。また、「熱媒液」の温度調整は、冷却に限定されず、加熱によって温度調整するヒータやボイラ等を備えて「調整部」を構成することもできる。この場合、「熱媒液」を加圧することで温度上昇するため、「圧送部」を「調整部(加熱部)」の一要素として利用する構成を採用することもできる。
【0178】
さらに、回転数の変更によって冷却液Waの圧力を調整する循環ポンプ43を「圧送部」として備えた構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)、「温度調整装置」の液出口に流量可変型の制御弁を配設し、制御弁の開度の変更によって「熱媒液」の圧力を調整する「圧送部」を採用することもできる。また、圧力センサ4からのセンサ信号S4に基づいて全体実測圧力BPvsを特定する構成の制御装置1や、圧力センサ27からのセンサ信号S27に基づいて個別実測圧力BPvを特定する構成の温度調整装置2を例に挙げて説明したが、「熱媒液の圧力」の特定については、圧力センサに代えて流量センサを使用し、流量センサからのセンサ信号に基づいて特定される流量を圧力に置換して各部を制御することもできる。
【0179】
また、温度調整装置2a~2dの4台を備えた温度調整システム100の構成を例に挙げて説明したが、「温度調整システム」を構成する「温度調整装置」の台数は、2台、3台、または5台以上の多数台とすることができる。
【符号の説明】
【0180】
100 温度調整システム
1 制御装置
2a~2d 温度調整装置
3,26a~26c 温度センサ
4,27 圧力センサ
13,28 制御部
14 記憶部
22 冷凍サイクル
23 空冷機構
24 圧送ポンプ
25 送風用ファン
29 電源部
31 圧縮機
32 凝縮器
33 膨張弁
34,41,42 熱交換器
43 循環ポンプ
50 供給能力特定処理
60,70 最適制御態様特定処理
Dpc 消費電力データ
Dsc 供給能力データ
Ps 送り用配管
Pr 戻し用配管
S3,S4,S26a~S26c,S27 センサ信号
ASvs 全体目標温度
ASva~ASvd 個別目標温度
APvs 全体実測温度
APva~APvd 個別実測温度
BSvs 全体目標圧力
BSva~BSvd 個別目標圧力
BPvs 全体実測圧力
BPva~BPvd 個別実測圧力
Wa 冷却液
X 供給対象