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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】物品保持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20221004BHJP
   B25J 15/10 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
B25J15/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018018298
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019135073
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-060680(JP,A)
【文献】特開2019-025565(JP,A)
【文献】特開平03-111193(JP,A)
【文献】特開平08-089180(JP,A)
【文献】特開2017-189861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0150451(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02168892(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/08-15/10
B65B 69/00
B65G 47/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品の集合体である物品群から、前記物品の一部を保持する保持部と、
前記物品群に当接して、前記物品群を押圧する押圧部と、を備え、
前記押圧部は、前記物品群を押圧するときに前記保持部に対して移動せず、
前記保持部は、前記押圧部によって押圧されている前記物品群から前記物品の一部を保持する、物品保持装置。
【請求項2】
複数の物品の集合体である物品群から、前記物品の一部を保持する保持部と、
前記物品群に当接して、前記物品群を押圧する押圧部と、を備え、
前記保持部は、前記押圧部によって押圧されている前記物品群から前記物品の一部を保持し、
前記保持部と前記押圧部とは、前記保持部における先端と前記押圧部における押圧面との距離が常に一定となるように取り付けられている、物品保持装置。
【請求項3】
複数の物品の集合体である物品群から、前記物品の一部を保持する保持部と、
前記物品群に当接して、前記物品群を押圧する押圧部と、を備え、
前記保持部は、第1保持部材及び第2保持部材を有し、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材は、前記物品を保持するときに前記第1保持部材及び前記第2保持部材のそれぞれが互いに近づくように移動して、前記押圧部によって押圧されている前記物品群から前記物品の一部を保持する、物品保持装置。
【請求項4】
前記押圧部の押圧力が前記物品群に作用したときに、前記物品群から受ける反作用の力を検出する検出部と、
前記反作用の力が所定値となった場合に、前記保持部によって前記物品の一部を保持させる制御部と、を備える、請求項3に記載の物品保持装置。
【請求項5】
前記押圧部は、前記物品群に当接する当接部材と、前記当接部材を押圧する方向において移動させる移動機構と、を有し、
前記制御部は、前記保持部によって前記物品を保持するときに、前記保持部と前記当接部材とが所定の位置関係となるように前記移動機構を制御する、請求項4に記載の物品保持装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記保持部と前記当接部材とが前記所定の位置関係になるように前記当接部材の位置を調整しつつ、前記反作用の力が前記所定値となったタイミングで前記保持部を駆動させ、
前記保持部は、前記押圧部が前記物品群を押圧する動作に連動して、前記物品を保持する動作を行う、請求項5に記載の物品保持装置。
【請求項7】
前記保持部は、少なくとも3つの保持部材を有し、
3つの前記保持部材のそれぞれは、互いに近づいて前記物品を保持する保持位置と、互いに離間して前記物品を解放する解放位置と、に移動可能に設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品保持装置。
【請求項8】
前記保持部が前記物品群に進入する方向と、前記押圧部が前記物品群を押圧する方向とが同じである、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品保持装置は、複数の物品の集合体である物品群から物品の一部を保持して、例えば容器等に物品を移載する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-47481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品保持装置では、保持する物品の保持量を一定量にすることが望まれている。物品群は、全ての領域において同じ状態ではなく、物品保持装置が物品を保持する度に状態が変化し得る。そのため、物品群には、物品の密度が高い領域と、物品の密度が低い領域とが存在する。この場合、物品保持装置が保持する物品の保持量にばらつきが生じる。
【0005】
本発明の一側面は、一定量の物品を安定して保持可能な物品保持装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る物品保持装置は、複数の物品の集合体である物品群から、物品の一部を保持する保持部と、物品群に当接して、物品群を押圧する押圧部と、を備え、保持部は、押圧部によって押圧されている物品群から物品の一部を保持する。
【0007】
本発明の一側面に係る物品保持装置では、押圧部によって物品群を押圧する。押圧部により押圧された物品群は、密度が高くなる。保持部は、押圧部によって押圧されている物品群から物品の一部を保持する。そのため、物品保持装置では、密度のばらつきが少ない状態の物品群から物品の一部を保持できる。したがって、物品保持装置では、物品の保持量にばらつきが生じることを抑制できる。その結果、物品保持装置では、一定量の物品を安定して保持できる。
【0008】
一実施形態においては、押圧部の押圧力が物品群に作用したときに、物品群から受ける反作用の力を検出する検出部と、反作用の力が所定値となった場合に、保持部によって物品の一部を保持させる制御部と、を備えていてもよい。この構成では、押圧部により押圧される物品群の密度を一定にできる。したがって、物品保持装置では、常に同様の条件の物品群から物品の一部を保持するため、物品の保持量にばらつきが生じることをより一層抑制できる。
【0009】
一実施形態においては、押圧部は、物品群に当接する当接部材と、当接部材を押圧する方向において移動させる移動機構と、を有し、制御部は、保持部によって物品を保持するときに、保持部と当接部材とが所定の位置関係となるように移動機構を制御してもよい。この構成では、保持部と当接部材とにより画成される空間の容量を一定にすることができる。そのため、物品保持装置では、一定量の物品を安定して保持できる。
【0010】
一実施形態においては、保持部は、押圧部が物品群を押圧する動作に連動して、物品を保持する動作を行ってもよい。この構成では、物品を迅速に保持することができる。したがって、物品保持装置では、稼働率の向上を図れる。
【0011】
一実施形態においては、保持部は、少なくとも3つの保持部材を有し、3つの保持部材のそれぞれは、互いに近づいて物品を保持する保持位置と、互いに離間して物品を解放する解放位置と、に移動可能に設けられていてもよい。この構成では、物品の保持及び解放を確実に行うことができる。
【0012】
一実施形態においては、保持部が物品群に進入する方向と、押圧部が物品群を押圧する方向とが同じであってもよい。この構成では、保持部が物品群に進入する動作によって物品群を押圧できる。これにより、物品保持装置では、物品を迅速に保持することができる。したがって、物品保持装置では、稼働率の向上を図れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、一定量の物品を安定して保持可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、物品保持装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す物品保持装置の正面図である。
図3図3は、図1に示す物品保持装置の正面図である。
図4図4は、物品保持装置を下方から見た図である。
図5図5は、物品保持装置の構成を示す図である。
図6図6は、物品保持装置の動作を説明する図である。
図7図7は、物品保持装置の動作を説明する図である。
図8図8は、物品保持装置の動作を説明する図である。
図9図9は、物品保持装置の動作を説明する図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、他の実施形態に係る物品保持装置の構成を示す図である。
図11図11は、他の実施形態に係る物品保持装置の構成を示す図である。
図12図12は、他の実施形態に係る物品保持装置の構成を示す図である。
図13図13は、他の実施形態に係る物品保持装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1図3に示されるように、物品保持装置1は、本体部3と、保持部5と、押圧部7と、制御部40(図5参照)と、を備える。物品保持装置1は、一定量の物品B(図9参照)を保持(把持)可能な装置である。
【0017】
物品保持装置1は、食材ハンドリング用に用いることができる。物品保持装置1は、例えば、トレーに収容された食材等の商品を、保持して弁当ケース(容器)等へ盛り付けることができる。具体的には、物品保持装置1は、移載装置(不図示)に取り付けられる。移載装置は、例えば、ロボットアームである。物品保持装置1は、物品群S(図6参照)において物品Bを取得して物品Bを保持すると、移載装置により所定の位置に移動し、弁当ケース等に物品Bを解放する。物品保持装置1の保持対象である物品B及び使用用途は特に限定されず、種々の物品B及び用途に適用可能である。物品Bとしては、柔軟物、特に食品を対象とすることができる。「上」及び「下」の語は、鉛直方向の「上方」及び「下方」にそれぞれ対応する。
【0018】
本体部3は、中心軸Cを有する筐体である。本体部3は、例えば、円柱状外形を呈する。本体部3は、例えば、金属で形成される。本体部3の外周面には、上下方向を厚さ方向とする板状のフランジ4が設けられる。フランジ4は、物品保持装置1の上記移載装置への取付けに利用できる。
【0019】
本体部3には、図5に示されるように、第1駆動部20と、第2駆動部30と、が設けられる。本実施形態では、第1駆動部20及び第2駆動部30は、本体部3内に収容される。
【0020】
保持部5は、物品Bを保持する。保持部5は、複数の物品Bの集合体である物品群Sから、物品Bの一部を保持する。図1図3に示されるように、本実施形態では、保持部5は、第1保持部材9aと、第2保持部材9bと、第3保持部材9cと、を有する。保持部5は、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cを駆動させる第1駆動部20(図5参照)を有する。
【0021】
第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cは、本体部3に設けられる。第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cは、本体部3から下方へ突出するように取り付けられる。第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cは、中心軸Cを中心とする仮想円上に配置される。すなわち、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cのそれぞれは、仮想円の径方向において中心軸Cとの間の距離が同等の位置に配置される。第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cは、当該仮想円の周方向において、等間隔(120°間隔)で配置される。
【0022】
第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cは、同じ構成を有する。以下では、第1保持部材9aを一例に、具体的な構成を説明する。
【0023】
第1保持部材9aは、板状(棒状)の部材である。第1保持部材9aは、例えば、樹脂、金属等で形成される。第1保持部材9aの基端部は、本体部3に取り付けられる。本実施形態では、第1保持部材9aの先端部(本体部3に取り付けられる基端部とは反対側の端部)は、屈曲する。具体的には、第1保持部材9aの先端部は、中心軸Cを向くように屈曲する。
【0024】
第1保持部材9aは、揺動可能に設けられる。具体的には、第1保持部材9aは、第1駆動部20により駆動されることにより揺動する。第1駆動部20は、第1保持部材9aの基端部に設けられた軸(不図示)を中心に、第1保持部材9aを揺動させる。第1保持部材9aは、第1保持部材9aの先端部が中心軸Cに近づく方向、及び、先端部が中心軸Cから離れる方向に揺動(移動)する。第1駆動部20は、例えば、モータ及びリンク機構を含んで構成される。第1駆動部20の動作は、制御部40により制御される。第1駆動部20は、制御部40から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0025】
保持部5では、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cのそれぞれが同期して揺動する。保持部5では、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cのそれぞれが、互いに近づく方向、及び、互いに離れる方向に揺動する。第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cのそれぞれは、図2に示されるように、互いに離れる解放位置P1と、図3に示されるように、互いに近づく保持位置P2と、に移動する。解放位置P1は、保持部5が物品Bを解放する位置である。解放位置P1は、物品Bを保持する前の位置(物品Bを保持していない状態の位置)でもある。保持位置P2は、保持部5が物品Bを保持する位置である。
【0026】
押圧部7は、物品群Sに当接して、物品群Sを押圧する。押圧部7は、軸部材11と、当接部材13と、第2駆動部(移動機構)30と、を有する。
【0027】
軸部材11は、棒状の部材である。軸部材11は、本体部3に設けられる。軸部材11は、中心軸Cに沿って延在する。軸部材11は、中心軸Cと同軸に配置される。軸部材11は、第2駆動部30により駆動される。軸部材11の上端部側は、第2駆動部30に取り付けられる。軸部材11は、本体部3に対して、中心軸Cに沿って上下方向に移動可能に設けられる。
【0028】
当接部材13は、軸部材11の下端部に設けられる。図4に示されるように、当接部材13は、円形状を呈する。円形状には、真円形、楕円形等が含まれ得る。軸部材11は、当接部材13の中心に接続される。
【0029】
当接部材13には、第1移動穴13aと、第2移動穴13bと、第3移動穴13cと、が設けられる。第1移動穴13a、第2移動穴13b及び第3移動穴13cのそれぞれは、当接部材13を厚み方向(上下方向)に貫通する。第1移動穴13a、第2移動穴13b及び第3移動穴13cのそれぞれは、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cに対応する位置に配置される。第1移動穴13a、第2移動穴13b及び第3移動穴13cは、当接部材13の周方向において等間隔(120°間隔)で配置される。第1移動穴13a、第2移動穴13b及び第3移動穴13cのそれぞれは、当接部材13の径方向を長手方向とする長方形状を呈する。
【0030】
第1移動穴13aには、第1保持部材9aが位置する。第1保持部材9aは、第1移動穴13a内において、直線的に移動する。第2移動穴13bには、第2保持部材9bが位置する。第2保持部材9bは、第2移動穴13b内において、直線的に移動する。第3移動穴13cには、第3保持部材9cが位置する。第3保持部材9cは、第3移動穴13c内において、直線的に移動する。
【0031】
当接部材13には、検出部32が設けられる。検出部32は、押圧部7の押圧力が物品群Sに作用したときに、物品群Sから受ける反作用の力を検出する。検出部32は、例えば、圧力センサである。検出部32は、当接部材13において、物品群Sと当接する当接面13sに配置される。これにより、検出部32は、物品群Sと当接する。本実施形態では、検出部32は、複数(3個)設けられる。具体的には、3つの検出部32のそれぞれは、第1移動穴13aと第2移動穴13bとの間、第2移動穴13bと第3移動穴13cとの間、及び、第1移動穴13aと第3移動穴13cとの間に配置される。検出部32は、検出結果を示す検出信号を制御部40に出力する。
【0032】
第2駆動部30は、当接部材13を押圧方向において移動させる。具体的には、第2駆動部30は、当接部材13が設けられる軸部材11を上下方向に移動させる。第2駆動部30は、軸部材11を上下方向に移動させることにより、当接部材13の位置を調整する。第2駆動部30は、例えば、動力シリンダー等のアクチュエータである。第2駆動部30の動作は、制御部40により制御される。第2駆動部30は、制御部40から出力される制御信号に基づいて動作する。
【0033】
制御部40は、第1駆動部20及び第2駆動部30の動作を制御する。制御部40は、上位のコントローラからの制御信号に基づいて、第1駆動部20及び第2駆動部30を制御する。制御部40は、本体部3内に収容されていてもよいし、本体部3の外部に設けられていてもよい。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する電子制御ユニットである。制御部40は、制御信号を第1駆動部20及び第2駆動部30に出力する。
【0034】
制御部40は、保持部5が物品Bを保持していない状態において、当接部材13が所定の高さ位置で保持されように(当接部材13と本体部3との間の距離が所定距離となるように)、第2駆動部30を制御する。具体的には、制御部40は、当接部材13が第1保持部材9a(第2保持部材9b、第3保持部材9c)の屈曲部分よりも上方の位置で当接部材13が保持されるように第2駆動部30を制御する。当接部材13は、上記屈曲部分よりも下方向には移動しない。制御部40は、当接部材13が上記屈曲部分と本体部3との間で移動するように第2駆動部30を制御する。
【0035】
制御部40は、保持部5によって物品Bを保持するときに、保持部5と当接部材13とが所定の位置関係となるように第2駆動部30を制御する。具体的には、制御部40は、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cが保持位置P2であるときに、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cと当接部材13とにより画成される空間の容量(保持され得る物品Bの量)が一定となるように、当接部材13の位置を調整する。すなわち、所定の位置関係とは、上記容量が一定となるための、保持部5と当接部材13との位置の関係である。制御部40は、容量が一定となるように、軸部材11の移動量を調整する。例えば、制御部40は、容量が閾値未満である場合には、軸部材11を上方向に移動させる。これにより、容量が大きくなる。制御部40は、容量が閾値以上である場合には、軸部材11を下方向に移動させる。これにより、容量が小さくなる。閾値は、物品Bの種類等に応じて例えば実験的に設定される。なお、閾値は、所定の範囲を含み得る。
【0036】
制御部40は、3つの検出部32のそれぞれから出力された検出結果に基づいて反作用の力の平均値を求める。制御部40は、当該平均値が所定値となった場合に、第1駆動部20を作動させる。所定値は、予め設定された反作用の力の値である。所定値は、物品Bの種類等に応じて例えば実験的に設定される。制御部40は、第2駆動部30を制御して保持部5と当接部材13とが所定の位置関係となるように当接部材13の位置を調整しつつ、反作用の力が所定値となったタイミングで第1駆動部20を駆動させる。これにより、物品保持装置1では、保持部5は、押圧部7が物品群Sを押圧する動作に連動して、物品Bを保持する動作を行う。
【0037】
続いて、物品保持装置1の動作について、図6図9を参照して説明する。以下の説明においては、物品保持装置1により物品群Sから物品Bの一部を保持し、弁当ケース等に物品Bを移載する方法について説明する。物品群Sは、複数の物品Bの集合体であり、例えばトレーに収容される。
【0038】
物品保持装置1は、移載装置によって、物品群Sの上方に位置する。このとき、保持部5の第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cは、解放位置P1に位置する。当接部材13は、所定の高さ位置に位置する。物品保持装置1は、移載装置によって、下方向に移動する。これにより、図6に示されるように、保持部5は、物品保持装置1の移動に伴い、物品群Sに進入する。保持部5の物品群Sへの進入方向は、上下方向である。
【0039】
続いて、図7に示されるように、物品保持装置1が更に下方向に移動し、物品保持装置1が所定の位置に到達する。物品保持装置1が所定の位置に到達すると、押圧部7の当接部材13は、物品群Sに当接する。押圧部7の当接部材13は、物品群Sを上下方向において押圧する。すなわち、保持部5が物品群Sに進入する方向と、押圧部7が物品群Sを押圧する方向とは同じである。当接部材13が物品群Sに当接すると、物品群Sは、押圧部7の直下及び近傍の領域の密度が高くなる。
【0040】
制御部40は、当接部材13が物品群Sに当接すると、保持部5と当接部材13とが所定の位置関係になるように、当接部材13の位置を調整する。また、当接部材13が物品群Sに当接すると、検出部32も物品群Sに当接する。検出部32は、物品群Sから受ける反作用の力を検出し、検出結果を制御部40に出力する。制御部40は、検出結果に基づいて、第1駆動部20を駆動させる。物品保持装置1は、第1駆動部20を駆動させたタイミングで、移載装置による下方向への移動が停止する。すなわち、物品保持装置1は、反作用の力が所定値となったタイミングで、下方向への移動が停止する。移載装置における物品保持装置1の停止は、例えば制御部40から出力される停止信号に基づく。第1駆動部20の駆動により、図8に示されるように、保持部5の第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cは、保持位置P2に位置する。これにより、保持部5は、物品Bの一部を保持する。
【0041】
続いて、図9に示されるように、物品保持装置1は、移載装置によって上方向に移動する。そして、物品保持装置1は、移載装置によって、横方向に移動して弁当ケース等の上方に位置する。物品保持装置1では、所定位置に到達すると、保持部5が物品Bを解放する。すなわち、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cが、第1駆動部20の駆動によって、解放位置P1に移動する。これにより、弁当ケース等に物品Bが供給される(盛り付けられる)。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る物品保持装置1では、押圧部7によって物品群Sを押圧する。押圧部7により押圧された物品群Sは、密度が高くなる。保持部5は、押圧部7によって押圧されている物品群Sから物品Bの一部を保持する。そのため、物品保持装置1では、密度のばらつきが少ない状態の物品群Sから物品Bの一部を保持できる。したがって、物品保持装置1では、物品Bの保持量にばらつきが生じることを抑制できる。その結果、物品保持装置1では、一定量の物品Bを安定して保持できる。
【0043】
本実施形態に係る物品保持装置1では、押圧部7の押圧力が物品群Sに作用したときに、物品群Sから受ける反作用の力を検出する検出部32と、反作用の力が所定値となった場合に、保持部5によって物品Bの一部を保持させる制御部40と、を備える。この構成では、押圧部7により押圧される物品群Sの密度を一定にできる。したがって、物品保持装置1では、常に同様の条件の物品群Sから物品Bの一部を保持するため、物品Bの保持量にばらつきが生じることをより一層抑制できる。また、物品保持装置1では、物品群Sから受ける反作用の力が所定値(一定の値)となるように押圧部7による押圧力を調整するため、押圧部7が物品群Sを過剰に押圧することを抑制できる。そのため、物品保持装置1では、押圧部7による押圧によって物品Bが破損すること等を抑制できる。
【0044】
本実施形態に係る物品保持装置1では、押圧部7は、物品群Sに当接する当接部材13と、当接部材13を移動させる第2駆動部30と、を有する。制御部40は、保持部5によって物品Bを保持するときに、保持部5と当接部材13とが所定の位置関係となるように第2駆動部30を制御する。この構成では、保持部5と当接部材13とにより画成される空間の容量を一定にすることができる。そのため、物品保持装置1では、一定量の物品Bを安定して保持できる。
【0045】
本実施形態に係る物品保持装置1では、保持部5は、押圧部7が物品群Sを押圧する動作に連動して、物品Bを保持する動作を行う。この構成では、物品Bを迅速に保持することができる。したがって、物品保持装置1では、稼働率の向上を図れる。
【0046】
本実施形態に係る物品保持装置1では、保持部5は、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cを有する。第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cのそれぞれは、互いに近づいて物品を保持する保持位置P2と、互いに離間して物品Bを解放する解放位置P1と、に移動可能に設けられる。この構成では、物品Bの保持及び解放を確実に行うことができる。
【0047】
本実施形態に係る物品保持装置1では、保持部5が物品群Sに進入する方向と、押圧部7が物品群Sを押圧する方向とが同じである。この構成では、保持部5が物品群Sに進入する動作によって物品群Sを押圧できる。これにより、物品保持装置1では、物品Bを迅速に保持することができる。したがって、物品保持装置1では、稼働率の向上を図れる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0049】
上記実施形態では、当接部材13が円形状を呈する形態を一例に説明した。しかし、当接部材13の形状はこれに限定されない。当接部材13は、矩形状、三角形状、多角形状等であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、保持部5の第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cのそれぞれが、互いに近づく方向、及び、互いに離れる方向に揺動する形態を一例に説明した。しかし、保持部の形態はこれに限定されない。
【0051】
図10(a)及び図10(b)に示されるように、物品保持装置1Aは、本体部3Aと、保持部5Aと、押圧部7Aと、を備える。保持部5Aは、第1保持部材10aと、第2保持部材10bと、を有する。第1保持部材10aは、複数(例えば4つ)の把持部14aを有する。複数の把持部14aは、所定の間隔をあけて設けられる。第2保持部材10bは、複数の把持部14bを有する。複数の把持部14bは、所定の間隔をあけて設けられる。
【0052】
保持部5Aでは、第1保持部材10aと第2保持部材10bとは、互いに近接する方向、及び、互いに離間する方向に移動する。第1保持部材10a及び第2保持部材10bは、図10(a)に示されるように、互いに離れる解放位置と、図10(b)に示されるように、互いに近づく保持位置と、に移動する。
【0053】
第1保持部材10aは、第1支持部15に支持されている。第1支持部15は、本体部3Aに設けられた摺動部材15aに取り付けられている。摺動部材15aは、本体部3Aに摺動可能に設けられる。摺動部材15aは、一方向(第1保持部材10aと第2保持部材10bとが互いに近接する方向、及び、互いに離間する方向)において、本体部3Aから外側に突出する位置と、本体部3A内に収容される位置と、に移動可能に設けられる。この構成により、第1保持部材10aは、一方向において移動可能に設けられる。第2保持部材10bは、第2支持部16に支持されている。第2支持部16は、本体部3Aに設けられた摺動部材16aに取り付けられている。摺動部材16aは、本体部3Aに摺動可能に設けられる。摺動部材16aは、一方向において、本体部3Aから外側(摺動部材15aとは反対側)に突出する位置と、本体部3A内に収容される位置と、に移動可能に設けられる。この構成により、第2保持部材10bは、一方向において移動可能に設けられる。
【0054】
押圧部7Aは、押圧部材13Aを有する。押圧部材13Aは、本体部3Aに支持(固定)される。押圧部材13Aは、複数の櫛部18を有する。櫛部18は、所定の間隔をあけて設けられている。第1保持部材10aの把持部14a及び第2保持部材10bの把持部14bの一部は、一対の櫛部18の間を移動する。
【0055】
物品保持装置1Aでは、押圧部7Aによって物品群Sを押圧する。押圧部7Aにより押圧された物品群Sは、密度が高くなる。保持部5Aは、押圧部7Aによって押圧されている物品群Sから物品Bの一部を保持する。そのため、物品保持装置1Aでは、密度のばらつきが少ない状態の物品群Sから物品Bの一部を保持できる。したがって、物品保持装置1Aでは、物品Bの保持量にばらつきが生じることを抑制できる。その結果、物品保持装置1Aでは、一定量の物品Bを安定して保持できる。
【0056】
上記実施形態では、押圧部7が1本の軸部材11を有する形態を一例に説明した。しかし、押圧部においては、軸部材を複数本有していてもよい。押圧部は、物品群Sに当接して物品群Sを押圧する構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0057】
上記実施形態では、検出部32が当接部材13の当接面13sに設けられる形態を一例に説明した。しかし、検出部は、物品群Sから受ける反作用の力を検出できれば設けられる位置は限定されない。
【0058】
上記実施形態では、検出部32を3つ設ける形態を一例に説明した。しかし、検出部の数はこれに限定されない。検出部は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0059】
上記実施形態では、検出部32が圧力センサである形態を一例に説明した。しかし、検出部は、他の装置であってもよい。検出部は、物品群Sから受ける反作用の力を検出できればよい。例えば、検出部は、所定の押圧力によって当接部材13が物品群Sに当接したときの軸部材11の移動量に基づいて、反作用の力を検出してもよい。また、反作用の力は、移載装置であるロボットアームを動作させる駆動部(モータ)の出力に基づいて検出してもよい。
【0060】
上記実施形態では、保持部5が第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cの3つの保持部材を有する形態を一例に説明した。しかし、保持部は、少なくとも2つの保持部材を有していればよい。保持部は、物品Bを保持する構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0061】
上記実施形態では、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材のそれぞれにおいて、先端部が屈曲する形態を一例に説明した。しかし、各保持部材は、先端部が屈曲していなくてもよい。各保持部材は、直線状であってもよい。
【0062】
上記実施形態に加えて、制御部40は、当接部材13と保持部5の協働によって保持される物品Bの保持量が一定量となるように、第1駆動部20の動作を制御してもよい。具体的には、制御部40は、第1駆動部20を制御することにより、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cの閉じる量を調整する。制御部40は、物品Bの目標保持量と実際の保持量とに差が生じている場合には、その情報に基づいて、第1保持部材9a、第2保持部材9b及び第3保持部材9cの閉じる量を調整する。これにより、物品保持装置1では、一定量の物品Bを精度良く保持できる。
【0063】
上記実施形態では、押圧部7の押圧力が物品群Sに作用したときに、物品群Sから受ける反作用の力を検出部32によって検出し、反作用の力が所定値となった場合に保持部5によって物品Bを保持する形態を一例に説明した。しかし、保持部5によって物品Bを保持する動作中においても、反作用の力を検出してもよい。この構成では、保持部5によって物品Bを保持する状態においても、反作用の力が所定値となるように物品保持装置1の高さ位置が調整されるため、保持部5により保持される物品Bの量を一定量とすることができる。したがって、物品Bの保持量にばらつきが生じることをより一層抑制できる。
【0064】
上記実施形態では、検出部32によって反作用の力を検出し、反作用の力が所定値となった場合に、保持部5によって物品Bの一部を保持させる形態を一例に説明した。しかし、物品保持装置は、検出部を備えていなくてもよい。この場合、物品群Sの高さ位置(表面の位置)の情報を取得し、当該情報に基づくオープンループ制御によって保持部5を一定の深さだけ物品群Sに押し込み、保持部5に物品Bを保持させる。
【0065】
上記実施形態では、押圧部7の押圧力が物品群Sに作用したときに、物品群Sから受ける反作用の力を検出部32によって検出し、反作用の力が所定値となった場合に保持部5によって物品Bを保持する形態を一例に説明した。しかし、所定の押圧力で物品群Sを押圧して、物品Bを保持してもよい。図11に示されるように、物品保持装置1Bでは、押圧部7Bの軸部材11Bには、検出体12が設けられる。本体部3には、検出部34が設けられる。検出部34は、軸部材11Bが上方に移動して検出体12が所定の高さ位置に到達したときに、検出体12を検出する。物品保持装置1Bでは、検出部34によって検出体12が検出されたときに、押圧部7Bが所定の押圧力で物品群Sを押圧する。
【0066】
図11に示されるように、物品保持装置1Bは、移載装置によって、物品群Sの上方に位置する。当接部材13は、所定の高さ位置に位置する。このとき、軸部材11Bの検出体12は、検出部34よりも下方に位置する。物品保持装置1Bは、移載装置によって、下方向に移動する。これにより、図12に示されるように、保持部5は、物品保持装置1Bの移動に伴い、物品群Sに進入する。
【0067】
続いて、物品保持装置1Bが更に下方向に移動し、物品保持装置1Bが所定の位置に到達する。物品保持装置1Bが所定の位置に到達すると、押圧部7Bの当接部材13は、物品群Sに当接する。当接部材13が物品群Sに当接すると、当接部材13によって、物品群Sが所定の圧力で押圧される。また、当接部材13が物品群Sに当接すると、軸部材11Bが上方向に移動し、これに伴い、検出体12も上方向に移動する。軸部材11Bが所定距離移動すると、検出部34が、検出体12を検出する。検出部34は、検出結果を制御部40に出力する。制御部40は、検出結果に基づいて、第1駆動部20を駆動させる。これにより、保持部5は、物品Bの一部を保持する。
【0068】
物品保持装置1Bでは、押圧部7Bによって物品群Sを押圧する。押圧部7Bにより押圧された物品群Sは、密度が高くなる。保持部5は、押圧部7Bによって押圧されている物品群Sから物品Bの一部を保持する。そのため、物品保持装置1Bでは、密度のばらつきが少ない状態の物品群Sから物品Bの一部を保持できる。したがって、物品保持装置1Bでは、物品Bの保持量にばらつきが生じることを抑制できる。その結果、物品保持装置1Bでは、一定量の物品Bを安定して保持できる。
【0069】
上記実施形態では、物品群Sから受ける反作用の力を検出する形態及び所定の押圧力で物品群Sを押圧する形態を一例に説明した。しかし、押圧部7は、一定の押圧力で物品群Sを押圧してもよい。図13に示されるように、物品保持装置1Cでは、押圧部7Cは、ばね(付勢部材)17を有する。ばね17は、例えば、軸部材11の上端部に設けられた支持部材18aと、支持部材18aと対向して配置された固定部材18bと、の間に配置される。押圧部7Cでは、ばね17によって、当接部材13が物品群Sを押圧する。なお、付勢部材としては、ダンパー等であってもよい。
【0070】
物品保持装置1Cでは、押圧部7Cの当接部材13が物品群Sに当接すると、ばね17の付勢力によって、当接部材13が物品群Sを押圧する。保持部5は、押圧部7Bによって押圧されている物品群Sから物品Bの一部を保持する。そのため、物品保持装置1Cでは、密度のばらつきが少ない状態の物品群Sから物品Bの一部を保持できる。したがって、物品保持装置1Cでは、物品Bの保持量にばらつきが生じることを抑制できる。その結果、物品保持装置1Cでは、一定量の物品を安定して保持できる。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B…物品保持装置、5…保持部、7,7A,7B…押圧部、9a…第1保持部材、9b…第2保持部材、9c…第3保持部材、30…第2駆動部(移動機構)、32…検出部、40…制御部、B…物品、S…物品群。
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