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特許7152018管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20221004BHJP
   B08B 9/055 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A61B1/12 510
B08B9/055 552
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018562369
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 KR2018002893
(87)【国際公開番号】W WO2018169268
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0031584
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0119287
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518416218
【氏名又は名称】チョイ,ヨン チョル
【氏名又は名称原語表記】CHOI, Young Chul
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ヨン チョル
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-024842(JP,A)
【文献】実開平06-011882(JP,U)
【文献】特開2003-024472(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2016-0000822(KR,U)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0000043(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0102572(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-0823202(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0026572(KR,A)
【文献】特開2004-350966(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0084038(KR,A)
【文献】特開2008-125566(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006035258(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/12
B08B 9/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面粗さを有する纎維織物材質で、内部に中空(101)を有する球状をなすように、同じ大きさと形状を有する半球状の上部キャップ(110)と下部キャップ(120)が圧着加工されて一体型に形成され、圧着された接合部位に沿って突出されたフランジ部(102)を形成し、
管状医療機器(10)の内部に洗浄液(11)とともに注入されて前記管状医療機器(10)の内周面に付着された残留物質(13)をかき出して除去しながら排出されることを特徴とする管状医療機器用洗浄ボール。
【請求項2】
前記中空(101)は、内部にボール状を保持するように弾性を有する重合体(130)を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の管状医療機器用洗浄ボール。
【請求項3】
前記重合体は、エラストマーまたはポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸エステルの中の何れか一つであることを特徴とする請求項2に記載の管状医療機器用洗浄ボール。
【請求項4】
前記重合体(130)は、水分吸収によって膨脹する膨張剤(140)で包まれたことを特徴とする請求項2に記載の管状医療機器用洗浄ボール。
【請求項5】
前記上部キャップ(110)と下部キャップ(120)は互いに異なる表面粗さを有することを特徴とする請求項1に記載の管状医療機器用洗浄ボール。
【請求項6】
表面粗さを有する纎維織物材質で、内部に中空(101)を有する球状を有し、管状医療機器(10)の内部に洗浄液(11)とともに注入されて前記管状医療機器(10)の内周面に付着された残留物質(13)をかき出して除去しながら外部に排出される管状医療機器用洗浄ボールの製造方法において、
対応して互いに挿入されることができるように凹部(201)と凸部(202)をそれぞれ形成した上部金型(200a)と下部金型(200b)との間に表面粗さと面積を有する織物(F)を位置させる過程と、位置された前記織物(F)をプレス加工して一面に複数の半球を形成した上部キャップベース(150)と下部キャップベース(160)製造する過程を有するキャップ形状のベース製造段階(S1)と、
前記ベース製造段階(S1)を通じて製造された上部キャップベース(150)と下部キャップベース(160)を中心として中空(101)が形成されるように半球を互いに対応するように位置整列する過程を有する上・下部整列段階(S2)と、
前記上・下部整列段階(S2)を通じて整列された上部キャップベース(150)と下部キャップベース(160)をプレス(300)を利用して圧着しながら切断して中心に中空(101)を有する球状の洗浄ボール(100)製造する過程を有する成形及び切断段階(S3)とを含んでなる管状医療機器用洗浄ボールの製造方法。
【請求項7】
上・下部整列段階(S2)は、球状を保持することができるように前記中空(101)に弾性を有する重合体(130)を含むように重合体層(170)を位置させる過程を有する請求項6に記載の管状医療機器用洗浄ボールの製造方法。
【請求項8】
前記上・下部整列段階(S2)は、前記重合体(130)を膨張剤(140)が包むように水分吸収によって膨脹する材質の膨張剤層(180a、180b)を位置させる過程を含んでなることを特徴とする請求項7に記載の管状医療機器用洗浄ボールの製造方法。
【請求項9】
前記成形及び切断段階(S3)は、圧着して切断する前に上部キャップベース(150)と下部キャップベース(160)を接合するための超音波接合過程または接着剤接合過程をさらに含んでなることを特徴とする請求項6に記載の管状医療機器用洗浄ボールの製造方法。
【請求項10】
前記上部キャップベース(150)の半球状がなす上部キャップ(110)と、前記下部キャップベースの半球状がなす下部キャップ(120)は接合部位が圧着されることによって突出されるようにフランジ部(130)をさらに形成することを特徴とする請求項6に記載の管状医療機器用洗浄ボールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法に関するもので、より詳しくは、最小侵襲手術時に人体に挿入して用いられる管状医療機器の洗浄のために別途のブラシなどを利用しないで洗浄液とともに投入して管状医療機器を洗浄及び消毒することができるように構成された管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、最小侵襲手術は少なくとも一つの小さな切開部を通じて患者(または手術対象となる動物など)の体の中に手術道具を挿入して手術を行う手術で切開を最小化する手術技法である。
【0003】
最小侵襲手術の一般的な形態は内視鏡手術で、その中でも最も一般的な形態の手術は腹腔内で最小侵襲照射と手術をする腹腔鏡手術である。
【0004】
標準腹腔鏡手術の場合には、患者の腹部にガスを注入し、腹腔鏡手術道具に対する入口を提供するために少なくとも一つの小さな切開部を作った後、これを通じて套管針(trocar)を挿入する過程を経て手術を行う。
【0005】
このような手術を行う際に、使用者は套管針を通じて手術部位などに腹腔鏡手術道具を挿入し腹腔外部でそれを操作(または、操縦)することが一般的である。
【0006】
一方、内視鏡は通常の患者の口腔や燼門または腹部などの切除部を通じて患者の体の中に挿入して目的する患部の状態を肉眼で観察することができるように開発されたもので、患者を検診するにあっては必須的であり、非常に重要な役割を果たす医療器具である。
【0007】
このように人体の臓器に挿入して用いられる内視鏡装置や血液に挿入するカテーテル(catheter)、套管針(trocar)などはできる限り再使用しないで使い捨てで用いて再使用による2次感染を予防することが好ましい。
【0008】
しかしながら、このような管状の医療機器は大部分高価であり、病院環境などの必要によって一度使ってから廃棄するのではなく洗浄後消毒して再使用されていることが現実である。
【0009】
一方、このような管状の医療機器の外部は通常の消毒や洗浄を通じて不純物を除去し、再使用可能な程度に洗浄及び消毒が容易であるが、管状医療機器の内部は洗浄及び消毒が容易でないことが事実である。
【0010】
それにより、このような医療機器を他の患者の検診などに用いるために人体に無害でありながら病源菌を効果的に殺菌して洗浄する方案は(特許文献0001)韓国公開実用新案第20-2016-0000822号及び(特許文献0002)韓国公開特許公報第10-2013-0000043号で開示されているようにたゆまずに模索されて来た。
【0011】
一例として、このような管状医療機器の洗浄(消毒)のための従来技術において、管状医療機器を熱い蒸気で殺菌消毒するか、エチレン酸化物ガスに当てるかまたは熱乾燥或は超音波洗浄を通じた方法が行われた。
【0012】
また、管状医療機器の内部に付着された残留物質を除去するために管状に挿入することができるブラシなどを利用して洗浄する方法が利用された。
【0013】
しかしながら、このような従来の洗浄方法は、医療機器が熱に敏感な場合使用が難しく、化学薬品が人体に悪影響を及ぼす虞があるだけでなく、十分な洗浄効果が得られないという問題点があった。
【0014】
また、ブラシを利用した従来の管状医療機器の洗浄は、管状に挿入されるブラシの位置と形態によってブラシが触れない死角地帯が発生するしかなく、これを洗浄液などを噴射して補っても十分な洗浄効果が得られないという問題点があった。
【0015】
一方、このような従来の問題点を解決するために管状の医療機器の内部に水などの洗浄液とともに数mm~数cm大きさのたくさんの洗浄ボールを投入して、管状の医療機器を洗浄する方案が提示されたことがある。
【0016】
図1a及び図1bを参照すれば、洗浄を要する管状医療機器10の内部に洗浄液11とともに洗浄ボール12を投入し、前記洗浄ボール12が注入Aされてから排出Bされるうちに内壁の残留物質13をかいて除去するのである。
【0017】
このような洗浄ボール12は表面粗さを有し、これを利用した管状医療機器10の洗浄は、従来に比べて医療機器10の内部の残留物質13を手軽く、死角なしに確実に除去することができた。
【0018】
しかしながら、このような洗浄ボール12は、従来骨組みを構成する糸巻き12aの上に纎維、即ち原糸を強い圧力をかけながら巻いて作ったもので、製品の製作が非常に難しいという問題点があった。
【0019】
また、洗浄ボール12の製作が難しくて一度に大量生産が難しく、糸巻き12aを除去した単純に纎維を丸めて糸塊形状に作ろうとしてもその製作が容易でなくて諸問題点をもたらした。
【0020】
従って、洗浄ボール12の使用に限界があり、このような問題点を解決して大量生産が容易でありながらも従来のブラシなどを利用しないで効率の優れた洗浄ボール12が要求されている現実である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、上部キャップと下部キャップをプレス加工して大量生産が容易な管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【0022】
また、表面粗さを有して洗浄過程で管状医療機器の内部の死角地帯なしに人体に刺激的な残留物質を完全に除去することができる管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【0023】
さらに、洗浄ボールの中空に重合体または重合体及び膨張剤を含んで洗浄過程で球状を保持しながら管状医療機器の内壁に対する圧力を高めて洗浄効果を極大化することができるように構成した管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0024】
さらに、大量生産が容易で、全体費用の節減効果を奏することができ、使用上の便宜性を増大させることができる管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記のような目的を達するために、本発明による管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法を説明すれば下記の通りである。
【0026】
本発明による管状医療機器用洗浄ボールは、表面粗さを有する纎維織物材質で製造され、内部に中空を有する球状を有し、中空内部に球状を保持するように弾性を有する重合体を含む。前記管状医療機器用洗浄ボールは、また同一大きさと形状を有する半球状の上部キャップと下部キャップが圧着加工されて一体型に形成され、圧着された接合部位に沿って突出されたフランジ部を形成する。
【0027】
必要によって、重合体は水分吸収によって膨脹する膨張剤で包まれて構成されることができる。
【0028】
一方、前記重合体はエラストマー、ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸エステルであってもよい。
【0029】
前記洗浄ボールは、管状医療機器の内部に洗浄液とともに注入されて管状医療機器の内周面に付着された残留物質をかき出して除去しながら排出される。
【0030】
洗浄ボールは、中空の内部に侵入した洗浄液によって膨脹される。
【0031】
必要によって、上部キャップと下部キャップは必要によって互いに異なる表面粗さを有する。
【0032】
本発明による前記管状医療機器用洗浄ボールの製造方法はキャップ形状のベース製造段階、上・下部整列段階、成形及び切断段階とで構成される。
【0033】
まず、キャップ形状のベース製造段階は、対応して互いに挿入されることができるように凹部と凸部をそれぞれ形成した上部金型と下部金型との間に表面粗さと面積を有する織物を位置させる過程と、位置された織物をプレス加工して一面に複数の半球を形成した上部キャップベースと下部キャップベースに製造する過程とを有する。
【0034】
上・下部整列段階は、前記ベース製造段階を通じて製造された上部キャップベースと下部キャップベースを中心として中空が発生するように半球を互いに対応するように位置整列する過程を有する。また、前記上・下部整列段階は中空に球状を保持することができるように弾性を有する重合体を含むように重合体を位置させる過程を有する。
【0035】
一方、必要によって、上・下部整列段階は重合体を膨張剤が包むように水分吸収によって膨脹する材質の膨張剤層を位置させる過程を含んでもよい。
【0036】
成形及び切断段階は、上・下部整列段階を通じて整列された上部キャップベースと下部キャップベースをプレスを利用して圧着しながら切断して中心に中空を有する球状の洗浄ボールを製造する過程を有する。
【0037】
必要によって、前記成形及び切断段階は、圧着して切断する前に上部キャップベースと下部キャップベースとを接合するための超音波接合過程または接着剤接合過程をさらに含んでもよい。
【0038】
一方、上部キャップベースの半球状がなす上部キャップと、下部キャップベースの半球状がなす下部キャップは接合部位が圧着されることによって突出されるようにフランジ部をさらに形成する。
【0039】
必要によって、上部キャップと下部キャップは互いに異なる表面粗さを有する。
【発明の効果】
【0040】
このように本発明による管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法は、表面粗さを有する織物を球状にプレス加工して大量生産が容易であり、製作及び使用時の費用を節減することができ、使用上の便宜性を増大させるという効果を奏する。
【0041】
また、洗浄ボールは纎維織物材質で、表面粗さを有して洗浄過程で管状医療機器の損傷と内部の死角地帯なしに人体に刺激的な残留物質を完全に除去することができるという効果を奏する。
【0042】
さらに、洗浄ボールの中空に含まれた重合体または、重合体及び膨張剤によって管状医療機器の洗浄時に外部圧力にも洗浄ボールの球状を保持することができ、吸収された水分で膨脹して管状医療機器の内壁に対する圧力を増大させて洗浄過程で洗浄効率を極大化するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1a】従来技術による管状医療機器の洗浄を示す概路図である。
図1b】従来技術に適用された管状医療機器用洗浄ボールを示す概路図である。
図2】本発明による管状医療機器用洗浄ボールを示す斜視図である。
図3】本発明の実施例による管状医療機器用洗浄ボールを示す断面図である。
図4】本発明による管状医療機器用洗浄ボールの製造方法を示す概略的な図面である。
図5】本発明による管状医療機器用洗浄ボールの製造方法を示す概略的な図面である。
図6】本発明による管状医療機器用洗浄ボールの製造方法を示す概略的な流れ図である。
図7】本発明による管状医療機器用洗浄ボールの使用状態を示す概略的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付した図面を参照して本発明による管状医療機器用洗浄ボール及びその製造方法の好ましい実施例について詳しく説明する。
【0045】
そして、本発明を説明するにおいて係わる公知機能あるいは構成に対する具体的な説明は本発明の要旨を曖昧にしないようにするために省略する。
【0046】
また、図面において管状医療機器10は注入口A側と排出口B側が互いに異なる入口を有することに示しているが、これは説明の便宜のための一例であって、管状医療機器10自体の形状によって注入口A側と排出口B側は同一位置にあり得ることは勿論である。
【0047】
そして、本発明を説明するにおいて従来技術を説明する際に説明された要素と同じ要素は同じ図面符号を有するように記載して説明する。
【0048】
まず、図2は本発明による管状医療機器用洗浄ボールを示す斜視図であり、図3は本発明の実施例による管状医療機器用洗浄ボールを示す断面図である。
【0049】
図示したように、本発明による管状医療機器用洗浄ボール100は、表面粗さを有する纎維織物材質で製造され、内部に中空101を有する球状を有する。
【0050】
このような洗浄ボール100は、管状医療機器10の内部に洗浄液11とともに注入されて管状医療機器10の内周面に付着された残留物質13をかき出して除去しながら外部へ排出される。
【0051】
具体的に、前記洗浄ボール100は、表面粗さを有する纎維織物材質を利用して製造され、同じ大きさと形状を有する半球状の上部キャップ110と下部キャップ120が圧着プレス加工されて一体型に形成されて中空101を有する球状に構成される。
【0052】
そして、前記上部キャップ110と下部キャップ120の圧着部位は突出されたフランジ部102を形成し、前記フランジ部102は管状医療機器10の内壁をより容易にかいて残留物質13を除去する役割を果たす。
【0053】
図3aを参照すれば、管状医療機器用洗浄ボール100は中空101に重合体130と膨張剤140を含まない純粋空いた空間で形成することができる。
【0054】
洗浄ボール100は洗浄液とともに管状医療機器10の内部に注入され、表面をなす纎維織物材質の材質的特性により洗浄液11が中空101の内部に浸透して注入され、それによって洗浄ボール100の表面が膨脹されて表面積が広くなる。
【0055】
この時、洗浄ボール100の中空101に浸透して注入された洗浄液11は洗浄ボール外部の洗浄液に対して対抗する内部圧力を有し、それにより、膨脹された洗浄ボール100はある程度の外部圧力に対抗する内部圧力を有するようになり、洗浄ボール100の円形は保持されることができる。従って、膨脹された洗浄ボール100は表面積が広くなることによって管状医療機器の内壁をかくことができて洗浄効率を高めることができる。
【0056】
一方、前記上部キャップ110と下部キャップ120は同一表面粗さを有するが、必要によって粗さが互いに異なる材質を利用することで互いに異なる表面粗さを有するように形成することができる。
【0057】
また、図3bを参照すれば、前記洗浄ボール100は管状医療機器10に注入されて内部洗浄を行う過程で外部圧力にもより一層円形を保持することができるように、中空101に弾性を有する重合体101aを含むことができる。
【0058】
この時、前記重合体101aは中空101に充填されており、単一重合体または複数の重合体で存在することができる。
【0059】
一つの例示として、前記重合体101aは通常シリコーンまたはゴムが利用されることができ、具体的にエラストマー、ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸エステルであってもよい。
【0060】
このような重合体101aは重合体自体が弾性を持ってその形態を保持するかまたは中空101に洗浄液11が浸透されることによってこれを吸収して膨脹するかゲル化して洗浄ボール100がボールの形状を外部の圧力にも保持することができるようにする役割を果たすことができる。一方、前記重合体130は生産費用と製作の容易性を考慮して水分吸収により膨脹しない重合体が利用されることもできる。
【0061】
次に、図3cを参照すれば、また他の実施例において、必要によって管状医療機器用洗浄ボール100は水分吸収によって膨脹する膨張剤140が重合体130を包むように構成することができる。
【0062】
好ましくは、膨張剤140の膨張率は重合体130より高く、水分を充分吸収して膨脹することができる材質が利用される。
【0063】
管状医療機器10の洗浄過程で洗浄ボール100の表面を構成する上部キャップ11と下部キャップ120は纎維織物材質が洗浄液を吸収して膨脹する時、重合体130と上部キャップ110または下部キャップ120との間に空いた空間が形成されることができ、この場合、外部圧力によって空間が歪む虞がある。
【0064】
しかし、膨張剤140を含む場合、前述した問題点を防止することができ、従って膨張剤140は水分吸収によって膨脹する膨張率の高い材質からなることができる。
【0065】
このように、重合体130の外部を膨張剤140が包んで一体型に形成された構造によって、管状医療機器の洗浄過程で注入された洗浄液11は洗浄ボール100の外表面を構成する纎維織物材質だけでなく膨張剤140にも吸収される。
【0066】
膨張剤140は洗浄液を吸収して膨脹しながら上部キャップ110と下部キャップ120をさらに膨脹させて外部表面積が増加するようにするだけでなく、内部重合体130とともに外部圧力に耐えて洗浄ボール110の球状を保持するようにする役割を果たす。
【0067】
このような膨張剤140は、好ましくは天草を利用した寒天が利用されることができ、水分吸収によって膨脹する膨張率の高い素材であれば前述した以外に多様な種類が利用されることができることは勿論である。
【0068】
本発明による洗浄ボール100の中空101に前述した重合体130及び膨張剤140を含む場合、前記洗浄ボール100は洗浄液11の吸収による嵩の膨張率15%~35%または20%~30%の範囲内にあってもよい。
【0069】
次に、本発明による管状医療機器用洗浄ボールの製造方法について説明する。図4図6は本発明による管状医療機器用洗浄ボールの製造方法を示す概略的な図面と流れ図で、図7は本発明による管状医療機器用洗浄ボールの使用状態を示す概略的な図面である。
【0070】
前述したように、本発明による管状医療機器用洗浄ボール100は、纎維織物材質で製造され、上部キャップ110と下部キャップ120とを互いに密着させてプレス加工して一体型に製作することで全体が球状を有するように成形される。
【0071】
より詳しくは、前記洗浄ボール100は大きくベース製造段階S1、上・下部整列段階S2、成形及び切断段階S3を経て完製品に製造される。
【0072】
まず、前記ベース製造段階S1は、洗浄ボール100を構成する上部キャップ110と下部キャップ120の半球形態を作るためのことで、前記キャップ形状の上部キャップ110と下部キャップ120を複数形成した上部キャップベース150と下部キャップベース160を製造する。
【0073】
このために、対応して互いに挿入されることができるように凹部201と凸部202をそれぞれ形成した上部金型200aと下部金型200bとの間に表面粗さと面積を有する纎維織物Fを位置させる過程と、位置された前記織物Fをプレス加工して一面に複数の半球を形成した上部キャップベース150と下部キャップベース160に製造する過程とを有する。
【0074】
このような過程を通じて扁平な形状の織物Fは突出されたエンボス面を有する上部キャップベース150と下部キャップベース160に再誕生する。
【0075】
この時、前記上部キャップベース150と下部キャップベース160は同じ金型で製造することができ、必要によって別途の金型で製造することができることは勿論である。
【0076】
一方、前記織物Fは上部金型200aと下部金型200bの金型面を完全に覆うことができる大きさと面積を有し、金型に形成された凹部201と凸部202の個数だけ半球状、即ちエンボシングを有するようになる。
【0077】
前記上部金型200aと下部金型200bは金型面全体に沿って複数の凹部201のみを有するかまたは複数の凸部202のみを有することが好ましい。
【0078】
次に、前記上・下部整列段階S2はベース製造段階S1を通じて製造された上部キャップベース150と下部キャップベース160を中心として中空101が生ずるように半球を互いに対応するように位置整列する過程を有する。
【0079】
これを通じて、上部キャップベース150と下部キャップベース160は互いに対向しながら中空101を有する洗浄ボール100形態を有することができる。
【0080】
このような状態でプレス加工して洗浄ボール100を製造すれば、図3aのような中空101が空いた空間を有する洗浄ボールに形成される。
【0081】
そして、図3bのような洗浄ボール100を成形するために、上・下部整列段階S2は、中空101に球状を保持することができるように弾性を有する重合体130を含むように重合体層170を位置させる過程を有する。
【0082】
この時、重合体130は中空101に充填されることができるように単一重合体または複数の重合体で存在することができる。
【0083】
図面において、前記重合体130が予め上部キャップベース150と下部キャップベース160がなす中空101に含まれることができる大きさのエンボシング形態に作って用いることができることを示したが、これに制限されるのではなく、必要によって厚さを有する板状の重合体層170を金型が加圧することで製造されることができることは勿論である。
【0084】
また、重合体130の形成はその方法が限定されるのではなく、シリコーンの場合、ガンの形態で中空101の内部空間に注入する方法を通じて重合体130を形成することができることは勿論である。
【0085】
一方、このような重合体130は重合体自体が弾性を有してその形態を保持するかまたは中空101に洗浄液11が浸透されることによってこれを吸収して膨脹するかゲル化されて洗浄ボール100のボール状を外部圧力にも保持することができるようにする役割を果たす。
【0086】
このような重合体130による洗浄ボール100の形状保持は上述したように管状医療機器10の内部を通過しながら管状医療機器10の残留物質を充分にかいて除去することにより洗浄効率を極大化させる。前記重合体の種類は、前述したように、エラストマー、ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸エステルであってもよい。
【0087】
そして、図3cのような洗浄ボール100を成形するために、上・下部整列段階S2は、重合体130を膨張剤140が包むように重合体層170の上部と下部に水分吸収によって膨脹する材質の膨張剤層180a、180bを位置させる過程を含む。
【0088】
それによって形成された膨張剤140は洗浄液を吸収して膨脹しながら内部重合体130とともに外部圧力に耐えて洗浄ボール100の球状を保持するようにする役割を果たす。
【0089】
一つの例示として、膨張剤層180a、180bは天草を利用した寒天が利用されることができるが、これに制限されなく、水分吸収によって膨脹する膨張率の高い素材であれば多様に適用されることができることは勿論である。
【0090】
前記膨張剤層を位置させる過程を含んで製造された洗浄ボール100の中空101には重合体130及び膨張剤140を含む。
【0091】
次に、前記成形及び切断段階S3は、上・下部整列段階S2を通じて整列された上部キャップベース150と下部キャップベース160をプレス300を利用して圧着しながら切断して中心に中空101を有する球状の洗浄ボール100に製造する過程を有する。
【0092】
プレス加圧時に発生される圧力と熱によって上部キャップベース150と下部キャップベース160をなす織物Fが互いに接合されることになり、それぞれの半球と対向する半球は中心に中空101を形成して単一洗浄ボール100に製造される。
【0093】
そして、前記面積を有する織物Fの大きさと半球の個数によって洗浄ボール100は同時に複数が成形される。
【0094】
一方、必要に応じて、成形及び切断段階S3は、切断前に前記上部キャップベース150と下部キャップベース160との接合のために別途の超音波接合過程と接面部位に接着剤を利用した接合過程を含んで構成されることができることは勿論である。
【0095】
図7を参照して、上述したように製造された本発明による管状医療機器用洗浄ボール100の使用状態を説明すれば下記の通りである。
【0096】
この時、洗浄ボール100は中空101に重合体130と膨張剤140を含んだ構造を例示として説明する。
【0097】
体の中に手術道具を挿入して手術を行う管状の医療機器10は使用によって洗浄及び消毒を必要とし、内部に残留物質13を含んでいる。
【0098】
前記管状の医療機器10を洗浄するために超音波洗浄や洗浄筒の中に管状の医療機器10を漬けておいて洗浄過程を行うことができ、管状医療機器10の内部を完全に洗浄して消毒するために別途の洗浄液11を前記管状医療機器10で注入口Aを通じて注入し再び排出口Bを通じて排出しながら洗浄過程を有する。
【0099】
この時、前記洗浄液11は食塩水や水または消毒のための薬剤を含んだ水が利用されることができ、何れか一つに限定されるのではない。
【0100】
そして、注入口Aに注入される洗浄液11とともに必要によって多量の洗浄ボール100を注入する。
【0101】
前記洗浄ボール100は予め洗浄液11の内部に含まれた状態で注入されることが好ましく、必要によって洗浄液11と別途に注入することができることは勿論である。
【0102】
上述したように、前記洗浄ボール100は、好ましくは、纎維織物Fで製造されたもので表面粗さを有し、洗浄液11が中空101の内部に侵透することで膨脹性を有する。
【0103】
そして、上部キャップ110と下部キャップ120との接合部位にはプレス加工によって突出されたフランジ部102を含んで、洗浄ボール100の表面の粗い面とフランジ部102は管状医療機器10に注入されて注入口Aから排出口Bに移動しながら内壁に付着されるか、残留していた残留物質13をかき出して除去しながら排出する。
【0104】
この時、中空101の内部に浸透された洗浄液11によって洗浄ボール100は外部圧力にも円形を保持しようとする力を有するようになり、中空に含まれた重合体130は弾性を有することから洗浄ボール100が球状をより容易に保持することができるようにする。
【0105】
特に、膨張剤140を含む構造の場合、膨張剤140は水分吸収による膨張率が高い材質で、纎維織物Fを内部から外部に加圧して外部圧力にも洗浄ボール100が球状をより容易に保持することができるようにして洗浄効率をより極大化させることができる。
【0106】
このように構成された洗浄ボール100は管状医療機器10の内部を移動しながらより容易に残留物質13を除去することができる。
【0107】
そして、洗浄液11は管状医療機器10の内部に注入されながら管状医療機器10の形態または注入圧力によって渦流を形成し、この時、洗浄ボール100は管状医療機器10の内壁にぶつかりながら洗浄作業を行う。
【0108】
一方、前記洗浄ボール100は管状医療機器10の形態と大きさによって数mm~数cmの大きさを有する。図示しなかったが、洗浄方法によって管状医療機器10の内部を全部満たすことができる量が注入されたりする。一つの例示として、前記洗浄ボール100はその用途によって2mm~5mmの範囲内にあってもよいが、これに制限されるのではない。
【0109】
この時、前記洗浄ボール100は洗浄液11が中空101に浸透されることによって膨脹されて表面積が広くなった状態であり、管状医療機器10の内部を密接に満たしながら位置される。
【0110】
そして、注入される洗浄液11の圧力によって膨脹された洗浄ボール100は管状医療機器10の内周面に沿って移動し、より完全に前記管状医療機器10の内壁を洗浄することになる。
【0111】
言い換えれば、注入される洗浄ボール100は管状医療機器10の形態によって注入される個数が選択されることができ、洗浄液11とともに注入されるか別途注入されることができることは勿論である。
【0112】
それによって、上述したように本発明による管状医療機器用洗浄ボール100は管状医療機器の内部の死角地帯なしに人体に刺激的な残留物質を完全に除去することができる。
【0113】
以上で説明した本発明は発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換変形及び変更が可能であるので、前述した実施例及び添付された図面に限定されるのではない。
図1a
図1b
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図4
図5
図6
図7