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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ワンタッチノズルキャップ
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20221004BHJP
   B65D 35/44 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A45D34/00 510A
B65D35/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019200383
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021074031
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000134372
【氏名又は名称】株式会社トーヨー工芸工業
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】小平 孝一郎
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132477(JP,A)
【文献】特開2016-188101(JP,A)
【文献】特開2003-191972(JP,A)
【文献】国際公開第2018/087046(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0080475(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
B65D 35/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器の口部に連結する連結部と、該連結部から先端方向に突出するノズルと、連結部の側面に揺動自在に設けられたヒンジ部と、該ヒンジ部にて揺動自在に設けられノズルを施蓋する蓋部と、該蓋部の内側面に形成され施蓋時にノズルの先端外側に嵌合する嵌合部とを備えたワンタッチノズルキャップであって、
該嵌合部に、嵌合部の内側の空気を排出する空気排出口を形成し、
ノズルの先端開口部内に挿入して該開口部を封止する突起部と、ノズルの先端部周囲縁におけるヒンジ部の反対側の外側面に摺接する導入リブと、が蓋部の内側面に形成され、
蓋部施蓋時に、突起部がノズルの先端部に摺接すると共に、導入リブがノズルの先端部に摺接するように構成したことを特徴とするワンタッチノズルキャップ。
【請求項2】
前記蓋部施蓋時に、前記嵌合部を囲む飛散防止カバーを蓋部の内側に突設した請求項1記載のワンタッチノズルキャップ。
【請求項3】
前記導入リブの摺接面にテーパーが形成され、前記ノズルの先端に該テーパーが摺接すると共に、該テーパーと同じ角度のテーパーがノズルの先端開口部に形成され、該テーパーが前記突起部に摺接するように構成した請求項1記載のワンタッチノズルキャップ。
【請求項4】
前記ノズルの両側を挟着する位置に対を成す嵌合部を配置し、これらの嵌合部の間に前記空気排出口を形成した請求項1記載のワンタッチノズルキャップ。
【請求項5】
前記ヒンジ部3は、前記ノズル2の基端部の高さに形成された請求項1記載のワンタッチノズルキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に化粧品等を収容するチューブのようにノズルの先端が高いチューブ容器でも確実に施蓋してノズルを密封することが可能なワンタッチノズルキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクイズ可能な容器に粘液物を充填しノズルから絞り出す容器が使用されている。この種の容器を施蓋するキャップには、スクリュータイプのキャップやワンタッチキャップなどが使用されている。
【0003】
一般に、化粧品等を充填したチューブなどのスクイズ可能な容器で、容器の先端に高いノズルを備えているものではスクリューキャップが使用されている。すなわち、香料等を添加した化粧品をチューブ容器に充填する場合、香料等が外に発散しないようにするため、また、外気がチューブ容器に侵入しないようにするために、ノズルの先端部を高めに設定し、このノズルの開口内部に挿入する突起を備えたスクリュータイプのキャップが使用されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、化粧品を抽出する際に、一定量を滴状にして絞り出す場合がある。この場合、細くて長いノズル先端に滴状に排出する吐出孔が形成されている。そして、この吐出孔を止栓するには、この吐出孔に差し込む止栓棒を備えたスクリュータイプのキャップが使用されている(特許文献2参照)。
【0005】
一方、歯磨きなどを収容するチューブ容器では、片手での使用が容易なワンタッチキャップが使用されている(特許文献3参照)。このキャップは、ヒンジに連結されて開口部をワンタッチで施蓋することができるもので、片手での操作が多い歯磨き等を収容するチューブ容器に多く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-11501号公報
【文献】特表2017-504379号公報
【文献】特開2011-84288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スクリュータイプのキャップはキャップの開閉時に両手を使用する必要があり、ワンタッチキャップは片手での使用が可能である。そこで、化粧品等を収納するチューブ容器にもワンタッチキャップを使用すると、化粧品の使用も片手で行えるようになる。
【0008】
ところが、化粧品等を充填したチューブ容器のノズルには、このノズルの先端に挿入して密封力を高める突起が必要になっている。そのため、ワンタッチキャップにこの突起を設けると、キャップが確実に閉まらなくなるおそれがあった。
【0009】
すなわち、従来のワンタッチキャップ10の基本構成は、ノズル12の先端開口部12Aの外周に嵌合するリング状の嵌合部15を蓋体14の内側に備え、ヒンジ13を支点にして蓋体14を揺動させるものである(図6参照)。そして、蓋体14がほぼ水平位置になると、嵌合部15がノズル12の外周に嵌合する(図9参照)。
【0010】
ところが、化粧品容器のように先端が高いノズル12では、蓋体14が傾斜した状態で嵌合部15がノズル12の先端部に当接して干渉することになる(図7参照)。また、仮に干渉する嵌合部15を除去したとしても、その場合は突起16がノズル12の先端部に当接して干渉することになる(図8参照)。
【0011】
したがって、従来のワンタッチキャップ10にノズル12の開口部に挿入する突起16を設けた場合、嵌合部15や突起部16がノズル12に干渉するため、これらの干渉部分が変形し、破損してしまうことが分かった。このように突起16やノズル12の先端開口部12Aに変形や破損が生じると、ノズル12を密封することができず、香料等が外に発散するのみならず、内容物が漏れ出る虞もあった(図8参照)。
【0012】
また、従来のワンタッチキャップ10に突起部16を形成すると、ノズル12の先端部内に突起16が挿入され、リング状の嵌合部15がノズル12の先端部外周に嵌合する構成になる。そのため、リング状の嵌合部15と突起16との間に空気や内容物が溜まり易くなる。この結果、これらの空気や内容物がクッションになって蓋体14が完全に閉まらずに、蓋部14と連結部11との間に間隙4Aが生じる不都合も生じた(図9参照)。
【0013】
しかも、突起16をノズル12の先端部内に挿入すると、突起16と嵌合部15との間に残った内容物が空気と共に嵌合部15の隙間から蓋体14内やノズル12の周辺に飛び散ってしまうことも判明した(図9参照)。特に、化粧品を充填したチューブ容器Pなどは、僅かな内容物でもノズル12周辺に飛散すると商品イメージに悪影響を与えるおそれがある。
【0014】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、ノズル先端が高いチューブ容器でも確実に施蓋してノズルを密封することが可能なワンタッチノズルキャップの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の課題を解決すべく本発明の第1の手段は、チューブ容器Pの口部P1に連結する連結部1と、該連結部1から先端方向に突出するノズル2と、連結部1の側面に揺動自在に設けられたヒンジ部3と、該ヒンジ部3にて揺動自在に設けられノズル2を施蓋する蓋部4と、該蓋部4の内側面に形成され施蓋時にノズル2の先端外側に嵌合する嵌合部5とを備えたワンタッチノズルキャップであって、該嵌合部5に、嵌合部5の内側の空気を排出する空気排出口5Aを形成し、ノズル2の先端開口部2A内に挿入して該開口部2Aを封止する突起部6と、ノズル2の先端部周囲縁におけるヒンジ部3の反対側の外側面に摺接する導入リブ7と、が蓋部4の内側面に形成され、蓋部4施蓋時に、突起部6がノズル2の先端部に摺接すると共に、導入リブ7がノズル2の先端部に摺接するように構成したことにある。
【0016】
第2の手段において、前記蓋部4施蓋時に、前記嵌合部5を囲む飛散防止カバー8を蓋部4の内側に突設したものである。
【0017】
第3の手段は、前記導入リブ7の摺接面にテーパー7Aが形成され、前記導入リブ7が摺接すると共に、該テーパー7Aと同じ角度のテーパー2Bがノズル2の先端開口部に形成され、該テーパー2Bが前記突起部6に摺接するように構成している。
【0018】
第4の手段は、前記ノズル2の両側を挟着する位置に対を成す嵌合部5を配置し、これらの嵌合部5の間に前記空気排出口5Aを形成したものである。
【0019】
第5の手段の前記ヒンジ部3は、前記ノズル2の基端部の高さに形成されたことにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1のごとく、蓋部4を施蓋するときに、導入リブ7がノズル2の先端部に摺接して移動すると共に、突起部6がノズル2の先端開口部2A内に導入されるように構成したことにより、突起や開口部に変形や破損が生じることなく、ノズル2の先端開口部2Aを突起部6で密封しながら嵌合部5の嵌合が可能になった。この結果、ワンタッチキャップの構造において、ノズルが高いチューブ容器でも、確実に施蓋することができ、化粧品等を収納するチューブ容器を片手で開閉使用することが可能になった。
【0021】
しかも、嵌合部5に、嵌合部5の内側の空気を排出する空気排出口5Aを形成しているので、蓋部4の開閉が容易になる。また、嵌合部5と突起部6との間に空気が溜まって圧縮されることがなくなるので、嵌合部5と突起部6との間に残った内容物が圧縮された空気と共に広く飛散するのを防止できる。
【0022】
請求項2のごとく、前記嵌合部5を囲む飛散防止カバー8を蓋部4の内側に突設しているので、嵌合部5と突起部6との間から残留物がわずかに飛び散ったとしても、この飛散防止カバー8で確実に飛散物を捕捉することができる。したがって、飛散した内容物でノズル周辺が汚れて商品イメージを損なうようなおそれもない。
【0023】
請求項3のように、前記導入リブ7の摺接面にテーパー7Aが形成され、前記ノズル2の先端に該テーパー7Aが摺接すると共に、該テーパーと同じ角度のテーパー2Bがズル2の先端開口部に形成され、該テーパー2Bが前記ノズル2の先端部に摺接するように構成したことで、ノズルがより高いチューブ容器でもノズル2の先端部を変形させることなく突起部6を先端開口部2A内に確実に導入することができる。
【0024】
請求項4のように、前記ノズル2の両側を挟着する位置に対を成す嵌合部5を配置し、これらの嵌合部5の間に前記空気排出口5Aを形成したものであるから、施蓋時において嵌合部5と突起部6との間に空気が溜まって圧縮されることがなくなった。この結果、蓋部4の施蓋作業が容易になり、しかも、ノズル2の先端部に内容物が残留していても、施蓋時に飛散する量が著しく軽減される。
【0025】
請求項5のごとく、ヒンジ部3をノズル2の基端部の高さに形成することで、従来のワンタッチノズルキャップと同様の構成になる。この結果、特に、ヒンジの位置を高くするなどの目立った位置の変更をする必要もない。
【0026】
このように、本発明によると、化粧品等を収納するノズル先端が高いチューブ容器でも、ワンタッチキャップで確実に施蓋することが可能になるなどといった産業上有益な種々の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の蓋部を開いた状態の斜視図である。
図2図1の状態を示す側断面図である。
図3】突起部を先端開口部に挿入する前の状態を示す断面図である。
図4】突起部を先端開口部に挿入している状態を示す断面図である。
図5】突起部を先端開口部に挿入した状態を示す断面図である。
図6】従来のキャップに突起部を設けた状態を示す斜視図である。
図7】従来のキャップの嵌合部がノズルに干渉する状態を示す側断面図である。
図8】従来のキャップに設けた突起部がノズルに干渉する状態を示す側断面図である。
図9】従来のキャップの嵌合部に空気が溜まった状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明キャップは、特に化粧品等を充填するチューブ容器に使用可能なワンタッチノズルキャップに関するものである。
【0029】
このワンタッチノズルキャップとは、片手での開閉が可能なキャップであり、次のような構成を備えている。すなわち、チューブ容器Pの口部P1に連結する連結部1と、該連結部1から先端方向に突出するノズル2と、連結部1の側面に揺動自在に設けられたヒンジ部3と、該ヒンジ部3にて揺動自在に設けられた蓋部4と、該蓋部4の内側面に形成されノズル2の先端外側に嵌合する嵌合部5とを備えたキャップである(図1図2参照)。また、本発明でチューブ容器とは、スクイズ可能な容器全般を指し、チューブの他スクイズ性のあるボトルなども含む容器とするものである。
【0030】
化粧品等を収容するチューブ容器は、主にノズル2の高さが比較的高いチューブ容器Pが使用されている。例えば、ヒンジ部3をノズル2の基端部の高さに形成し、ノズル2先端の高さとノズル2基端部の胴径との比が2:1程度になるチューブ容器Pなどである。本発明キャップは、このようなノズル2の高さが比較的高いチューブ容器Pを確実に施蓋することができる。
【0031】
本発明の主要構成は、このワンタッチノズルキャップの嵌合部5に空気排出口5Aを形成し、新たな構成として、ノズル2の先端開口部2Aを封止する突起部6と、ノズル2の先端部周囲縁に摺接する導入リブ7とを備えた構成である。
【0032】
空気排出口5Aは、嵌合部5の一部を開放して嵌合部5の内側の空気を排出するように形成した部位である。すなわち、従来のワンタッチノズルキャップに形成された嵌合部はノズル2の先端外周に嵌合するリング状を成しているが、本発明ではこの嵌合部5に空気排出口5Aを形成し、嵌合部5の内側に溜まった空気が圧縮されないように設けている。
【0033】
図示例では、ノズル2の両側を挟着する位置に対を成す嵌合部5を配置し、これらの嵌合部5の間に空気排出口5Aを形成している。キャップ施蓋時に、この空気排出口5Aから空気を排出すると、嵌合部5の内側に空気が溜まることがなくなるので、ノズル2の先端部周囲に残留物が付着している場合でも、圧縮された空気と共に広く拡散するのを防止している。
【0034】
さらに、嵌合部5を囲む飛散防止カバーを蓋部4の内側に突設することで、蓋部4圧着時に、わずかな飛散物が発生した場合でもこの飛散物を確実に捕捉することができる。
【0035】
突起部6は、ノズル2の先端開口部2A内に挿入する部材で、開口部2Aを封止する。この突起部6は蓋部4の内側面に形成され、蓋部4施蓋時にノズル2の先端部に摺接しながら移動して先端開口部2Aを封止する。この場合、突起部6がノズル2の先端部に強く当たると、突起部6やノズル2が傷付いてしまう。そのため、この摺接時の圧力を軽減するために、導入リブ7を配置している。
【0036】
この導入リブ7も蓋部4の内側面に形成されており、前述の突起部6がノズル2の先端部に摺接するときに、この導入リブ7も同時にノズル2の先端部に摺接することで、突起部6からノズル2に加わる接触圧力を軽減させる作用がある。したがって、この導入リブ7の位置は、ノズル2の先端部周囲縁におけるヒンジ部3の反対側の外側面に摺接するように配置している。
【0037】
蓋部4を施蓋する際は、まず、突起部6がノズル2の先端部に摺接すると同時に、導入リブ7がノズル2の先端開口部2A外側面に摺接する。さらに蓋部4を閉じて行くと、突起部6からノズル2へ加わる接触圧力を軽減しながら、この突起部6を先端開口部2A内にスムーズに導入することになる。
【0038】
図示例では、導入リブ7の摺接面にテーパー7Aが形成され、このテーパー7Aに沿って導入リブ7がノズル2の先端に摺接する。一方、ノズル2の先端開口部2Aにもテーパー2Bが形成されている。そして、これら両方のテーパー7A、テーパー2Bの角度を同じ角度に設定することで、ノズルがより高いチューブ容器でも突起部6の導入が可能になる。
【0039】
尚、本発明は特にノズルがより高いチューブ容器Pに基づいて説明しているが、従来のワンタッチノズルキャップが使用されるノズルが低いチューブ容器Pに使用することも可能である。また、本発明の構成は図示例に限定されるものではなく、嵌合部5、突起部6、導入リブ7、飛散防止カバー8等の各構成は、本発明の主旨を変更しない範囲で任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0040】
P チューブ容器
P1 口部
S 飛散物
1 連結部
2 ノズル
2A 先端開口部
2B テーパー
3 ヒンジ部
4 蓋部
4A 間隙
5 嵌合部
5A 空気排出口
6 突起部
7 導入リブ
7A テーパー
8 飛散防止カバー
10 従来のキャップ
11 連結部
12 ノズル
13 ヒンジ部
14 蓋部
15 嵌合部
16 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9