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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】手術ガイドの三次元カスタム形成
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/14 20160101AFI20221004BHJP
   A61B 90/11 20160101ALI20221004BHJP
【FI】
A61B90/14
A61B90/11
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020207904
(22)【出願日】2020-12-15
(62)【分割の表示】P 2017544062の分割
【原出願日】2015-11-09
(65)【公開番号】P2021058620
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】62/077,247
(32)【優先日】2014-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517159264
【氏名又は名称】センソ メディカル ラボ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ファラー,マロウン
(72)【発明者】
【氏名】スリーマン,ハイサム
(72)【発明者】
【氏名】サバ,ファディ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-511275(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0166681(US,A1)
【文献】国際公開第2013/092929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/14
A61B 90/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術医療ガイドの生成のための方法であって、前記方法は、
可撓性容器内に閉囲される医療ガイドテンプレートを提供することであって、前記医療ガイドテンプレートは複数の構成要素を備えることと、
前記医療ガイドテンプレートを可鍛性にすることであって、それによって前記複数の構成要素の少なくとも一部が互いに対して多自由度で動くことを可能にすることと、
前記医療ガイドテンプレートが前記可撓性容器内に閉囲される間に、可鍛性の医療ガイドテンプレートを、所望のかつ構造的な構成を有する手術医療ガイドに変形することであって、前記変形することは、前記医療ガイドテンプレートの少なくとも一部に応力を加えることを備えることと、
前記手術医療ガイドの構造的形態を剛性にすることであって、それによって所望の一定の構造的な構成を有する手術医療ガイドを得ることと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記剛性にすることは硬化することを備え、前記硬化することは、冷却、加熱、前記医療ガイドテンプレートを酸素に曝すこと、電流、電気誘導またはそれらの任意の組み合わせを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医療ガイドテンプレートは、硬化可能な材料を備えるかまたは前記硬化可能な材料で作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療ガイドテンプレートを可鍛性にすることは、前記医療ガイドテンプレートに照射、加熱、冷却、電流、電気誘導、またはそれらの任意の組み合わせのうち1つ以上を適用することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記手術医療ガイドは、前記手術医療ガイドの一定の構造的な構成により確定された1つ以上の軌道に沿う標的領域への少なくとも1つの医療デバイスの送達を促進または援助するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記応力を加えることは、伸張、圧力を加えること、屈曲、捻転またはそれらの任意の組み合わせを備える、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形可能な材料に由来する医療ガイド、3D印刷によって作成されるガイド、および無菌容器内に作成されるガイドを含む医療デバイス、ならびにこれらのガイドを製造するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の外科的介入は手術ガイドの助けを借りて体内で実行される。脊髄手術では医療デバイスのための正しい軌道は通常重要であるが、体内の小さい領域の手術では医療デバイスから標的までの正確な標的距離は特に重要である。加えて定位システムが外科的介入に使用されることがある。定位手術は外科的介入の最小限の侵襲形であり、これは体内に小さい標的または軌道を配置するため、また小さい標的または軌道上で一部の医療行為を実行するために、3次元座標系を使用する。理論上は、頭部、神経、脊髄、歯科、整形外科、およびENT(耳鼻咽喉科)系などの体内のあらゆる部分が定位手術を受けることができる。
【0003】
処置を導くために単純X線画像、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴撮像、および他の撮像法を使用できる。通常、解剖学的構造の画像(例えば人間の脳)が収集され、座標系に関連付けられる。同じ座標系に較正されたガイドを使用して、医療デバイスを標的に、またはある特定の軌道に沿って方向付けられてもよい。ほとんどの定位脳手術では、ロケータ/マーカー/固定点がガイドを係合するための相対位置として役立つ。
【0004】
体内の標的および/または正確な軌道への正しい距離を医療デバイスに提供するためにガイドを調節することは、複雑で時間がかかる可能性がある。さらに一部の処置では、複数の標的または軌道を決定しなければならない。例えば脊髄定位手術では、様々な脊髄分節上の複数の軌道が使用される。ガイドを位置合わせするための1つのオプションには、調節可能な器具ガイドを提供することが含まれる。しかし調節可能なガイドの調節には、注意深い手動操作が必要とされ、これは手術を著しく長引かせ、操作が非常に制限されガイド部品が小型である歯科手術などの、一部の処置では実行することが困難である場合がある。別のオプションには、標的設定が不要であるかまたは非常に単純化されるように、特定の患者のために製造されたカスタマイズされたガイドを提供することが含まれる。
【0005】
欧州特許第1094760号は身体に取り付けるための手術ガイド(ガイド)を形成し、身体内に標的を正確に配置するための参照構造を提供するための方法を説明しており、該方法は身体の3次元走査画像を処理することであって、走査画像は体内の標的および身体の装着場所を含む、処理することと、身体の装着場所に取り付けると、ガイドが身体内の標的に対して決定された場所および配向に参照構造を提供するように、手術ガイドの構造を決定することとを含む。
【0006】
欧州特許第1094760号に説明されたオプションの方法の1つは、標準ガイドのモデルを選択すること、およびそのモデルを標的および装着場所に一致させるためにモデルを変形させることに関与する。欧州特許第1094760号にさらに説明されたように、ガイドの表面によって閉囲される容積を画定するガイドの立体モデルに関してガイドの構造を決定することができる。立体モデルは、得られるガイドを身体に正確に取り付けることができるように計算される。次いで方法は立体モデルに従ってガイドを製造することも含むことができる。したがって明らかに欧州特許第1094760号に説明された「立体」モデルは、実際にガイドを表すソフトウェアである。
【0007】
深部脳手術などの一部の医療処置は、標的の場所を試行錯誤するものであり、一部の手術ではガイドまたは定位誘導システムを再製造または再構成すること、ならびに再殺菌することを伴う。場合によっては欧州特許第1094760号に説明された方法は、異なる日に手術の予定を組み直すことを阻めない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、操作を続けることができるように充分に迅速にガイドを再形成できることであり、好ましくは新しいガイドはわずか数分内、または数秒内にさえ形成されるはずである。
【0009】
ROSAなどの医療ロボットシステムは、フレームなしの定位処置が可能であり、したがってガイドを製造する必要がない。その代わりにロボットに対する定位参照点は画像から決定され、標的が別の場所にあることを発見した場合は速やかに調節される。しかしロボットシステムは多数の不都合も有する、すなわちロボットと患者の係合は不快で非常に複雑であり、ロボットをそれぞれの操作の前に殺菌する必要があり、ロボットシステムは高額で手術室内で大きいスペースを占め、システムを正確に位置付けるにはかなりの技能が必要であり、システムは1回の手術中に1人の患者に専用である。脊髄内にネジを設置するなどの手術に対して、ロボットを何度も位置付けし直す必要があり、これにより手術が延び、患者毎にロボットが必要な時間が延びる。
【0010】
Da Vinci Surgical Systemは別のロボット手術システムであり、Intuitive Surgicalによって作成された。このシステムはコンソールから執刀医によって制御される。システムは多数のアームで同時に多数の仕事をすることができるが、それにもかかわらず手術に専用のシステムを手術の間中リアルタイムで位置を再調節する必要があり、システムはROSAと同様に他の不都合を有する。Da Vinci Surgical Systemは、特にその費用およびその手術機能による多数の課題に対して批判されている。本発明はこれらの問題に対処することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって本発明の好ましい実施形態により、
医療ガイドテンプレートと、
ガイドテンプレートを収納する殺菌可能な容器とを備えるキットであって、
キットはテンプレートを手術医療ガイドに変形できるように構成される、キットが提供される。
【0012】
別の実施形態によれば、該医療ガイドテンプレートは硬化可能なテンプレートバルクである。
【0013】
別の実施形態によれば、該硬化可能なテンプレートは紫外光を使用して硬化される。
【0014】
別の実施形態によれば、該医療ガイドテンプレートは、互いに対して多自由度で動くことができる複数の構成要素から作成され、硬化可能な接着材料は構成要素の間の接合部内に置かれる。
【0015】
別の好ましい実施形態によれば、医療ガイドテンプレートを手術医療ガイドに変形でき、その変形中および変形後にその崩壊を防止できるように構成された、医療ガイドテンプレートも提供される。
【0016】
別の実施形態によれば、テンプレートは、
少なくとも1つの変形可能な材料と、
互いに対して動くことができる複数の構成要素と、
それらの組合せからなる群を備える。
【0017】
別の実施形態によれば、テンプレートは硬化可能な材料を備える。
【0018】
別の実施形態によれば、変形可能な材料は硬化可能である。
【0019】
別の実施形態によれば、硬化可能な材料は、複数の構成要素の少なくとも2つと接触する。
【0020】
別の実施形態によれば、
身体の固定点を係合することができる少なくとも1つの基部要素と、
少なくとも1つの標的要素であって、各標的要素は少なくとも1つの医療デバイスを係合できる、少なくとも1つの標的要素と、
少なくとも1つの基部要素を少なくとも1つの標的要素と連結する連結構造要素とを備え、
少なくとも1つの基部要素が身体の固定点と係合し、少なくとも1つの医療デバイスが少なくとも1つの標的要素と係合すると、ガイドは医療デバイスを少なくとも1つの標的に接近させることができ、
連結構造要素を変形させる、手術ガイドが提供される。
【0021】
別の実施形態によれば、変形は手術ガイドの係合のための基準点に基づき、ガイドは身体に取り付けられる固定点に取り付けることができ、固定点は基準点に対して測定される。
【0022】
マーカーと、
コンピュータと、
スキャナーと、
形成ロボットと、
医療ガイドテンプレートと、
医療デバイスとを備え、
マーカーは身体部上の物理的参照点を表し、
スキャナーはその上にマーカーを備えた身体部を走査することができ、
コンピュータはスキャナーおよび形成ロボットに作動可能に結合され、コンピュータが、
スキャナーから画像を受信でき、
マーカーと画像上に画定された標的または軌道との間の関係を確立でき、
形成ロボットに転送された形成データを確立できることが可能であるように構成され、
ロボットは、医療デバイスが標的または軌道と位置合わせできるように適合された手術医療ガイドにテンプレートを変形できる、システムも提供される。
【0023】
本発明は、例のみとして添付図面を参照して本明細書に説明される。次に具体的に図面を詳細に参照して、具体例は例として、本発明の好ましい実施形態の例示的検討のために示されているに過ぎず、本発明の原理および概念の最も有益であり容易に理解される説明であると考えられることを提供するために提示され、この点に関して本発明の基本的な理解に必要である以上に本発明の構造的詳細をより詳細に示すことはせず、図面を参照に説明することにより、本発明のいくつかの形を実際にどのように具現化できるかを当業者に明らかにする。
【0024】
本発明は図面とともに以下の詳述からより完全に理解され認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】例示的実施形態による医療ガイドを使用して、患者内の標的にプローブを導く軌道に沿って医療デバイスから拡張されたプローブを概略的に示す図である。
図2】例示的実施形態による、手術医療ガイドを形成するための方法を示すブロック図である。
図3】変形を通して進む例示的実施形態による、テンプレートを概略的に示す図である。
図4】例示的実施形態による、殺菌可能なバッグ内に梱包されたテンプレートを備えるキットを示す図である。
図5a】例示的実施形態による、患者の固い身体部に結合するために1つの脚を有する一般的テンプレートの一例を概略的に示す図である。
図5b】変形後の図5aに示されたテンプレートを概略的に示す図である。
図5c】さらに別の実施形態による、補強が提供されたテンプレートを概略的に示す図である。
図6a】形成システム内に置かれた、例示的実施形態による一般的テンプレートを概略的に示す図である。
図6b】変形された後の図6aに示された一般的テンプレートを概略的に示す図である。
図7】一例示的実施形態による、別の変形可能なテンプレートの一例を示す図である。
図8】一例示的実施形態による別のテンプレートを示す図である。
図9】一例示的実施形態による、ガイド形成機内に置かれた図8に示されたテンプレートを示す図である。
図10】一例示的実施形態による、例えば接着剤と他の材料の混合物または接着剤のみもしくはテンプレートを堅い対象に変えることができる他の材料を含有する、バッグから構築された実施形態を示す図である。
図11】一例示的実施形態による、患者の歯茎または歯(複数可)の複雑な形状と一致するように形成される手術ガイドを概略的に示す図である。
図12a】一例示的実施形態による、変形前のテンプレートを概略的に示す図である。
図12b】変形後の図12aに示されたテンプレートを概略的に示す図である。
図12c】軌道のための付属品を備えた、図12bに示された変形した実施形態を概略的に示す図である。
図13】医療デバイスの軌道が本体を通り、テンプレートの基部を通過しない、その手術形態内の手術ガイドの実施形態を示す図である。
【0026】
本開示は様々な修正形態および代替形態に適するが、それらの具体例は図面に例として示されており、本明細書で以下にさらに詳細に説明される。しかし本開示を説明した特定の実施形態に限定しないことを意図することを理解されたい。それとは逆にすべての修正形態、等価物および代替形態を網羅することを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一態様によれば、変形後に手術ガイドになる、変形可能な材料および/または変形可能な構造を備える手術ガイドテンプレートが提供される。
【0028】
変形可能な材料を備えず、むしろガイドに変形するように動かすことができ、変形中にガイドの崩壊を防ぐ、一部のガイド実施形態およびそれを生産するためのシステムが提供される。
【0029】
変形によって生成されない、例えば以下にさらに論じるように3D印刷によって生成される一部のガイドの実施形態が提供される。
【0030】
別の態様によれば、形成システムおよびガイドテンプレートから手術ガイドを準備するための方法が提供される。
【0031】
さらに別の態様によれば、様々な変形可能なガイドテンプレートを備えるセットが提供される。
【0032】
さらに別の態様は、殺菌可能な手術ガイドテンプレートをその中に含有する容器を備えるキット、ならびにそれらを生産するシステムおよび方法に関する。
【0033】
次に例示的実施形態による、軌道に沿って医療デバイスから拡張されたプローブを概略的に示す図1を参照する。図1に概略的に示されたように、プローブ11は、プローブ11を患者20内の標的21に導く軌道(破線)に沿って、医療デバイス10から拡張している。手術ガイド100’’はプローブ11のアクセスを安定させ、計画し正確にする役に立つ。適切なアクセスは手術ガイド100’’を位置合わせする適切な軌道を伴い、次いでこれは手術ガイド100’’が適切な形状を有する必要がある。しかし患者の特徴および標的/軌道の両方が患者間で大きく異なるので、様々な形状のガイドが異なる手術に必要である。
【0034】
ガイドの形状を調節するため、または形状を特定の手術のための手術ガイドにカスタマイズするために様々な解決策が提案されてきた。しかし発明者らの知る限りでは、手術前または手術中に手術室内で最終的な形態に変形できる材料または構造からなる手術ガイドを提供する解決策はない。本開示に教示された実施形態による手術ガイドは、速やかに変形できる、変形されたテンプレートから作成される。
【0035】
図2は、ガイド形成システム200によりテンプレート100’’の手術医療ガイドの形成のための方法の実施形態のブロック図を示す。形成システム200内の主な構成要素は、コンピュータ230、スキャナー240、および形成ロボット(または機械)250である。好ましくは、コンピュータ230は3つの源、すなわち身体部を走査するスキャナー240、特定の処置のために選択されたテンプレート100’’、および身体部上の物理的参照点を表すのに使用されたマーカー22または固定要素14の型から情報を受信する。情報は、テンプレートを手術に使用できるガイドに変形する形成ロボット250などの機械に転送される、形成データを確立するために計算される。
【0036】
本明細書に説明されたような方法を手術室内またはその付近で実行でき、ガイドの生産はその場で非常に短時間内に作成される一方で、先行技術で実行されるような離れた場所で先に製造する必要なしに、その方法を手術中に利用できることが強調されるべきである。
【0037】
図2に説明された要素および工程は同時に実行される必要はなく、異なる時に行うことができることも強調されるべきである。例えば患者上のマーカーを(例えば移植を通してもしくは患者の身体上のステッカーラベルを通して)係合すること、または患者を走査することを、形成工程の前に実行することができ、またテンプレートガイドを手術ガイドの形にすることを手術の数時間、数日、または数週前であっても実行できる。
【0038】
オプションで、開示された方法を殺菌環境で実行することができる。ガイドの形成は殺菌工程を冗長させるので、このオプションは手術室内でガイドの形成を実行する可能性を促進さえもする。
【0039】
図1も再度参照すると、マーカー22または固定要素は、患者の身体20と好ましくは標的21の近位で、好ましくは確固とした係合が可能な硬表面上に係合される。スキャナー240はマーカー22の表示を含む画像を獲得するために利用され、標的21および軌道11も画像から決定される。本明細書で前に記載されたように、コンピュータ230は、画像ならびに特定の手術処置と一致するように選択されたテンプレートの構造パラメータが供給される。コンピュータ230は画像および構造パラメータから形成データを計算する。形成データは形成ロボット250に運搬され、形成ロボット250は、手術ガイド100’’がマーカー22または固定要素14と係合すると、例えば軌道11を通過し標的21に正確に達して、医療デバイス10が標的21と適切に位置合わせされるように、テンプレート100’を手術ガイド100’’に変形させる。別の例では、複数の平行な軌道およびそれらの軌道上の標的に同じ手術ガイドで正確に接近することができる。他の例では、軌道は虚数平面上の制限された平面領域であることが可能である。
【0040】
図3はテンプレートの実施形態100’の変形を概略的に示す。テンプレート100’は標的要素110’、連結構造要素120’、および基部要素130’を備える。デバイス10(図1参照)の手術ガイド100’’および固定要素14はそれぞれ開口(図示せず)を有してもよく、開口を通って電極、またはガイドチューブ、光ファイバー、生検針、ドリル、鋸、もしくは切除デバイスなどの他のデバイス、および/あるいは非侵襲性ガンマ線などの放射線を患者の脳、内臓、または関節などに導入できる。標的要素110’は、医療デバイス10に結合することが意図され、基部要素130’はマーカー22または固定要素14に結合することが意図され、連結構造要素120’は標的要素110’を基部要素130’に連結させる。
【0041】
種々のテンプレートに由来するある特定のテンプレートは、股関節置換手術、膝関節置換手術、ENT、歯科、脊髄治療などの様々な手術に使用されてもよい。一部のオプションの実施形態では、複数の標的を同じテンプレートで標的設定することができ、テンプレートは複数の基部要素および/または複数の標的要素を備える。例えばこのようなテンプレートはてんかん手術および脊髄手術に必要とされることがある。
【0042】
好ましくは、ロボットなどの形成機は、標的要素110’と係合される上部アーム254、および基部要素130’を係合される下部アーム252を含む。テンプレート110’は可鍛性がある、または可塑剤の利用、特に図3にはコンピュータ230によって制御される加熱器256の利用によりそのように作成される。オプションでロボットに加熱器256を制御する制御装置を提供することができる。
【0043】
テンプレート100’は多自由度の構造を有する材料または部品から作成されるので、ロボットは、適切な位置合わせの手術ガイド(図示せず)を形成するために、テンプレート100’の基部要素130’に対して標的要素110’を再位置付けする。
【0044】
通常、連結要素120’は可鍛性の構成要素である。例えば対応する波長で照明する、電気デバイスで適切な材料を通って電流を通過させることなどの、テンプレートを可鍛性にさせる効果を生み出す他の手段を使用してもよい。他の例示的実施形態は、以下にさらに論じるように、テンプレートを変形させる前は未硬化であり、変形した後は速やかに硬化する接着剤を備えてもよい。
【0045】
このようなテンプレートの一部の実施形態は、機械的に変形可能なテンプレートであり、この場合紫外線接着剤を厳密な領域(通常様々な関節)に塗布し、必要な形状を想定した後接着剤を硬化し、それによって必要な剛性の形成を提供する。このような接着剤は、テンプレートが製造される工場で塗布され、その後しばらくして、使用寸前に硬化されてもよい。適切な接着剤は、塗布された後数年でさえ硬化を実行できることがある。
【0046】
一部のテンプレートの実施形態は、硬化できる変形可能な構成要素を備える。一部のシステムの実施形態では、変形を行うロボットによって硬化を行うことができ、他のシステムの実施形態では、システムの別の構成要素が硬化を実行する。好ましい実施形態では、手術ガイドを準備する工程の完了に約10秒かかる。したがって手術は、手術中に医師が新しくカスタマイズしたガイドが必要であることを発見したときであっても、基本的に中断せずに続けることができる。硬化方法および装置は、選択される可鍛性材料に従って選択される。硬化は、例えば冷却、紫外線照射、テンプレートを酸素に曝すことなどであることが可能である。
【0047】
別の態様によれば、変形可能なテンプレートのセットが提供され、それぞれのテンプレートは、基部要素に対して構造要素の長さおよび/または角度などの異なる構造を有する。それぞれの医療処置に対して、テンプレートは、準備するために最低時間を必要とするセットから選択できる。通常この選択されたテンプレートの構造は、必要な構造に最も近く位置合わせされる。
【0048】
一部のキットは、テンプレート間で異なる材料の強度などの他の特徴を有する変形可能なテンプレートを備えてもよい。使用するテンプレートは、準備に必要な最低時間以外の検討事項に従って、または執刀医によって選択可能であってもよい複数の検討事項に従って、このようなキットに選択されてもよい。
【0049】
一部の実施形態では、準備には、テンプレートおよび/またはそれから準備された手術ガイドの殺菌、または所望のガイドは通常外科手術に使用するために殺菌法で使用するために送達されるべきであるので、テンプレートの殺菌を維持することが含まれる。
【0050】
次に殺菌状態にあるテンプレート300’を備えるキット1000は殺菌可能なバッグ40’内に梱包され、バッグ40’はテンプレート300’の汚染に対して殺菌バリアを提供でき、手術室内であっても手術ガイドを準備できることを説明する、図4を参照する。バッグ40’は形成システムが手術ガイドを形成できるように構成される一方で、テンプレート300’の殺菌を維持する。
【0051】
しかし一部のキットの実施形態(図示せず)は、殺菌できるのではなく、むしろそうでなければ、例えば埃、擦り傷、殴打、開封などからガイドを保護できるように構成されたバッグを備える。
【0052】
第1の要素41’はバッグ40’から延在し、バッグ40’の一方の側部に、例えば殺菌バッグ40’上に接着剤で取り付けられる。他の実施形態では、第1の要素41’は別法として、外部キャップと内部基部または標的要素との間の連結具を通して、それらの間にバッグを備えて取り付けることができる。第2の要素44’はバッグ40’の他方の側部に取り付けられる。
【0053】
一部の実施形態は、殺菌可能なバッグおよびその中にテンプレートを備え、形成システムと係合できるバッグ上またはバッグ中に少なくとも1つの修正要素をさらに備える。これらの修正要素はテンプレートの標的要素および/または基部要素であってもよく、またはテンプレートの一部ではなく、テンプレートを形成システムと結合する働きのみをする別の構成要素であってもよい。修正要素はそれぞれが以下の1つまたは複数が可能であるように構成される。
・テンプレートの例えば形成システムとの機械係合により、テンプレートの変形中に固定したままであるようにプログラミングされたテンプレートの部品を固定化でき、変形中に変形するようにプログラミングされたテンプレートの部品を変形できる。
・形成システムからテンプレートへの力および/またはエネルギーの伝達。このような伝達は、1つの形から別の形への力/エネルギーの運搬を含んでもよく、例えば連結構造要素はその中もしくはその上に、構造要素を加熱し、手術ガイド内にプログラミングされた形に構造要素を変形するために電気誘導できるコイルを備えまたは有してもよい。
【0054】
さらに他の実施形態では、変形は力および/またはエネルギーを転送するための修正要素を必要としない。例えば形成システムは、テンプレートの紫外線で変形可能な構成要素に焦点を合わせることができる、紫外線照射手段を備えてもよい。一部の実施形態では、機械的係合にも修正要素は必要ない。後者の実施形態は、形成システムによりエネルギーをテンプレートに遠隔で加えることにより、位置合わせされた形に変形する。
【0055】
一部の実施形態では、バッグは紫外光照射または別の波長の照射の影響下で熱を発生できる材料から作成される。
【0056】
一部の変形はテンプレートにかなりのエネルギーを加える必要がある。加えられたエネルギーはテンプレート上に大量の熱を加えることがあり、これは熱への長期被爆からテンプレートに悪影響を与えることがある。したがって一部のバッグまたはテンプレートの実施形態は、テンプレートから熱の除去を促進する熱除去手段をさらに備える。このような手段は、鏡などの放射線偏向器、逆止弁を介してバッグ内部の空気をバッグ外部に吹き出すバッグ内部のファン、および/またはバッグを越えて空気を吹き出すファンなどの機械的デバイス、変形中または変形後に起きるように誘導できる吸熱反応に反応できるバッグ内部の組成物、ならびにそれらの組合せから選択されてもよい。テンプレートは、熱から変形されるように意図しない部品を隔離する役に立つことができる、低熱伝導性の物品をさらに備えてもよい。放射線の多焦点化、すなわち1領域上に複数の光ソーシングを使用することは、選択された領域の外側の最小加熱で非常に限られた領域を急速に加熱する役に立つことがある。
【0057】
テンプレートをその柔軟な状態に再形成し、テンプレートをその最終的な位置合わせされた形に設定するために使用される処理方法および硬化方法のそれぞれによって、殺菌バッグはその上またはその中に処理の依存性を示すためのインジケータ、例えばテンプレートが形成システムに運ばれる前に過剰に高いレベルの紫外光を吸収した場合に示すことができる紫外線インジケータを含むことができ、標的が硬化する方法が紫外線照射に依存する場合は、テンプレートが破損したことを意味する。酸素は、硬化するために隔壁または逆止弁を介してバッグの中に導入されてもよく、酸素インジケータを使用して硬化に進むことができる。標的が形成する能力を無効にした高温の事象があった場合に示す、温度のような他のインジケータも含むことができる。
【0058】
一部のキットの実施形態は、類似のバッグまたは瓶などの他の適切な容器、および同様に容器内に置きその中に形成できる手術ガイド以外の適切なデバイスを備える。
【0059】
一部のガイドの実施形態は、標的設定する働きをするのではなく、むしろ他の目的、例えば骨などの患者の堅い身体部に取り付ける働きをする。一部の実施形態は、それに取り付けられた手術道具または医療デバイスを、骨と公知の形状関係を有する身体の標的を指すある特定の軌道に位置合わせできるように形成される。
【0060】
一部の手術ガイドは、骨を並列し、または恣意的に必要に応じて離間するようにカスタマイズされる。工程は、例えば骨の形状、寸法、および他の物理的特徴を記録するために骨を撮像すること、その後これらの骨の互いに対する位置合わせおよび間隔を計算すること、テンプレートガイドを選択し該テンプレートガイドの変形データを決定すること、データに従ってテンプレートを、骨の両端に取り付けられたときに骨に位置合わせする最後に形成された手術ガイドに変形し、恣意的に最初の計画によって決定されたように正確に骨の間の固定空間を決定することを含む。一部の手術では撮像を行う前に、テンプレートに取り付けられるべき骨の両側は、切断され、テンプレートの取付機構に適合し結合するように処理される。
【0061】
一部のガイドの実施形態は、3個以上の骨のための場所、または1つのみの骨のための場所さえも備え、一部の実施形態は接合部および/または移動部をさらに備えるが、対象をその最終的な配向および形状に変形させるデータに基づいて変形を実行することにより、テンプレートからガイドを生成することができることが重要な態様である。
【0062】
カスタマイズされた手術ガイドは、患者の骨に取り付けられるネジの上に載置してもよく、またこれらのネジは、標的およびカスタマイズされた手術ガイドを形状的に関連付けるためにマーカーとして使用でき、カスタマイズされた手術ガイドの形状を決定できる。
【0063】
ガイドは、患者の骨に穿孔された穿頭孔上に直接載置してもよく、あるいは頭蓋骨に取り付ける、または患者の頭蓋骨もしくは他の固い身体部上に載置し、穿頭孔もしくは他の対象に1点のみで、もしくはある特定の所定の平面内で複数の点に取り付けられる、別の対象上に載置してもよい。このガイドの形は撮像を行った後に決定され、標的設定および位置合わせがガイドを通して作動可能であるように、対象を変形するために必要な変形情報が決定され、変形情報は形成機に送信され、形成機は一般的テンプレートを最終的なカスタムガイドに変形させ、次いでこのガイドは骨内の孔に取り付けられ、または計画された軌道を通してある特定の標的に手術器具を向けるために骨に取り付けられた別の対象に取り付けられる。
【0064】
手術道具は患者の身体を貫通する道具である必要はなく、そうではなく手術道具は患者の身体構造に正しく位置合わせのみをする必要がある道具であることが可能であり、これは例えばエネルギーまたは非侵襲的波をある特定の標的に伝達する必要がある場合に必要となる。
【0065】
次に図5a~図5bを参照する。図5aは一般的標的および位置合わせのテンプレート900’’の別の例を概略的に示し、図5bは手術ガイド900に形成されたテンプレートを概略的に示す。患者の身体に入る医療装置の所望の軌道は、手術ガイドまたは手術ガイドの形状によって決定されたあらゆる他の軸でさえも通過することができる。一般的テンプレートは患者の固い身体部と結合するために(または他の対象アセンブリに取り付けるために)1つの脚を有し、医療装置は上側標的要素910’’上に載置できる一方で、固い身体部への取付を基部要素930’’に行うことができる。
【0066】
図5cは、得られるガイドが変形工程中に崩壊から防止する、バネ960などの弾性フレームを備えた恣意的なテンプレート950を示す。他のこのような例示的実施形態について本明細書で後に説明する。
【0067】
図6aに示されたように、テンプレート900’’は形成機80の中に挿入されており、ここではテンプレート900’’の標的要素910’’に特に一致する場所を備えた上部取付プレート83、およびテンプレート900’’の基部要素930’’に取り付ける形成機80の基部における下部プレート84を備える、例示的形成機80の重要な構成要素の例のみを示している。その後形成機80は、相を曲げ始め、例えば熱もしくは湿度または本明細書で上に示されたような他の手段により、テンプレート900’’を図6bに示された可鍛性の物体901にしてもよく、またはあらゆる変形行為の前にテンプレート900’’は元来可鍛性であってもよく、その場合はこのステップを割愛してよい。変形データおよび命令は形成機80に送信される。その後変形命令がテンプレートの所望の最終的な形に従って上部プレート83および下部プレート84を互いに対して位置合わせするまで、上部プレート83もしくは下部プレート84またはそれらの両方は一緒に変形命令に従って動く。
【0068】
アーム86は上部プレート83と下部プレート84との距離を設定するように、テンプレートを通してこれらのプレートを連結させ、したがってプレートの配向を決定し、離間させる。アームの長さは、例えばPC/制御装置によって決定された長さをもつ伸縮自在のアームにより、または回転してアームの長さを設定する親ネジにより調節可能であってもよい。
【0069】
上部プレート83および下部プレート84が、変形命令に従って図6bに示されたようにそれらの最終的な位置および配向に達した後、硬化サイクルは形成機80によって、または対象を求められる最終的な形状と想定される固い標的構成要素に変える形成システム内の別の装置によって行われる。
【0070】
工程を支援するために、本発明の範囲を限定せずに他の型のロボットを利用できる。別のロボットについて本明細書で後に説明するが、他の可能性もあり得る。
【0071】
次に3つの取付脚620’を有する別のガイドを概略的に示す図7を参照する。各足620’は引出端625’で終了し、この場合各脚は固定点、ネジまたは要素と正確に位置合わせするために変形されるべきである。概して取付脚の数は少なくとも1つの脚である。テンプレート600’の標的要素610’は医療装置および手術装置に結合されるべきであるのに対して、脚620’は患者の固い身体部、例えば骨に結合されてもよい。
【0072】
通常一般的テンプレート600’は、手術道具が正確に軌道または標的を標的設定または位置合わせするためのものとして使用することはできず、そうではなくテンプレートはまず変形が必要である。
【0073】
次に例示的実施形態による別のテンプレートを示す図8を参照する。テンプレート700は多自由度で互いに係合される数個の部品から形成され、部品の接合部の間に接着剤が提供され封じ込められる。接着剤は例に過ぎず、部品間の他の固定方法も利用できる。接着剤は硬化されていないので自由度は維持される。先に示された実施形態と同様に、形成機に取り付けられるように基部プレート710および上部プレート720が提供され、またはテンプレートがバッグの内側に存在するときは、医療デバイス(図示せず)に結合し、外部キャップ(図示せず)に取り付けられ、次いでその間にバッグがある形成機に取り付けるように、基部プレート710および上部プレート720が提供される。連結ロッド740を基部プレートおよび上部プレートに接合できるように、基部プレート710および上部プレート720上に接合部730が提供される。接合ロッド740は好ましくはある特定の長さに固定できる伸縮自在のアームである。理解されるように、テンプレートは配向および長さに関して完全に可撓性である。
【0074】
図8に示されたようなテンプレートは、図9に示されたように機械50に挿入される。機械50は示された構成要素、すなわち上部取付固定部53、およびテンプレート700の基部構成要素630’を保持するロボットアーム54を備える。
【0075】
一旦テンプレート700が上部固定部53と基部構成要素630との間で変形機50内に挿入されると、変形機50は可動アーム54を使用して所望の計算された位置および配向にテンプレート700を置く。テンプレート700がその最終的な位置を獲得後、テンプレート700を固いガイドに変える相またはサイクルが開始される。
【0076】
恣意的にまた加えて、多自由度を有する柔軟なテンプレートで開始する代わりに、例えば熱もしくは湿度または他の手段によって軟化できる剛性材料からテンプレートを形成でき、そのとき初めて所望の配向に変形できる。他の実施形態(図示せず)では、1つのロボットアームは連続してすべての伸縮自在の脚(接続要素)を通過し、その脚を動かし、(あらゆるさらなる動きから)係止する。
【0077】
示されたように、形成機50は好ましくは各アーム54を独立して動かすことができる。このような動きは、例えば6個のモータを各ロボットアーム54に連結することによって得ることができる。各ロボットアーム54が最終的な位置および配向に達した後、形成機50により硬化サイクルが行われ、形成機50は次いでテンプレート700を求められる最終的な形状と想定される固いガイドにする。このサイクルは冷却サイクルおよび/または加熱サイクルまたは紫外線硬化サイクルを含むことができ、変形ステップはテンプレート700の物理的構造および化学構造、ならびにテンプレート700を有効に軟化または硬化する機構に依存する。
【0078】
別の例では、テンプレート700は上部固定部53と複数のロボットアーム(図示せず)との間で変形機50内に挿入される。これらのロボットアームは、PCによって送信されたデータに従って最終的な形に到達させるために必要なすべての動きを行うことができるべきである。例えば各ロボットアームは脚のベクトル配向を決定してそれに取り付けられて終了し、次いで脚の中心を動かして正しい場所で終了することができるべきである。
【0079】
本明細書で前に示されたようにテンプレートが殺菌状態でバッグ内に置かれるキットの場合、ロボットはテンプレートに手を加えるように計画される一方で、バッグは作用中およびその後に手を付けられないままであることに留意されたい。バッグが使用されるという事実は工程に損失を与えるべきではない。
【0080】
ガイドを形成する実施形態の一部では、冶具を使用してテンプレートをバッグ内部に正確に置き、生産工程中にテンプレートを外部のキャップに結合してもよい。すなわちテンプレートがバッグ内部に適切に位置付けられた後、冶具を使用してテンプレートをバッグの外側から、上部キャップおよび下部キャップ、または好ましくはテンプレート上の輪郭、通常バッグの壁に最も近接したテンプレートの構成要素上の輪郭に厳密に一致する輪郭を有する同様の係合手段と堅固に係合できる。一部のテンプレートは、バッグなどの容器内に置かれることなく変形される。それにもかかわらずこれらのテンプレートは、具体的に変形前および/または変形中にテンプレートが非常に可鍛性であり、処理の結果として過度にまたは誤って変形された際に、形成機に挿入するため、および/または形成機から取り除くために上に説明されたような適切な係合手段で処理する必要がある場合がある。
【0081】
次にテンプレートの内部構造の例を概略的に示す図10を参照する。図10はバッグ905’’’から構築された実施形態900’’’を示し、バッグ905’’’は例えば接着剤と他の材料の混合物、または接着剤のみ、または加熱もしくは冷却もしくは紫外光により、一緒に混合されると固くなる材料により、または上に説明された他の手段により、テンプレート900’’’を堅い対象に変えることができる他の材料を含有する。この例では、形成機(図10には示されていない)に取り付けるように設計されたテンプレート900’’’の構成要素は堅固であるように設計されている一方で、バッグ900’’’を可撓性材料から作成することができる。変形は、適切な形を獲得するためにテンプレート900’’’(その脚およびその本体の他の要素)に応力を加えることであってもよい。この応力は構造内のある特定の要素を伸ばす形式である可能性があり、その大きさを低減するために要素の上を押圧しようとし、または要素を曲げるもしくはひねることさえしようとする。
【0082】
テンプレートは、変形工程中に構造上に掛かる機械的応力に耐えることができる穿孔構造から構築されてもよい。内部構造は、構造またはその一部が割れない、砕けない、崩れない、潰れない、または手術ガイドの適用中および使用中に遭遇する最終的な機械力および応力に耐えるのに充分な強度を有さない、いかなる最終的な形も想定されないような方法で設計されるべきである。またガイドは、熱に曝されると柔軟になる材料から生成することができ、次いで形成を始めることができ、形成の最後に対象を堅固に所望の最終的な形にするために硬化サイクル(例えば冷却)が開始される。
【0083】
充填材(例えばガラス繊維、小型プラスチック部品)を使用して、例えば高額の硬化可能な材料の量を低減する構造を確立する目的で、また構造の最終的な形状を強化する、またはテンプレートを硬化するのに必要な時間を減らすなどの他の目的で、テンプレートの変形可能な本体を充填することができる。
【0084】
一部の好ましいテンプレートの実施形態は、形成相の間は可撓性で柔軟であり、硬化相の後は堅固であり、対象の使用および適用の間中硬化相に留まる材料から作成される。例えば材料は高温で柔軟になり、次いで低温で再び堅固になるポリカーボネートを備え、別の例はリングから内部に構築されたテンプレートであることが可能であり、これはテンプレートの脚を調節しやすく、紫外線で硬化可能な接着剤さえも含み、テンプレートが所望の形に形成されると、紫外線照射が変形されたテンプレート上に施され、接着剤を硬化させ、変形されたテンプレートを剛体形の手術ガイドに変える。
【0085】
一部の実施形態は、一旦すべてが定位置に着くと、止めネジを形成システムによってねじ込み、テンプレートをある特定の所望の形に係止させる機構をテンプレート内に備える。係止は押圧係止によることが可能であり、すなわちピンを押すことにより移動する機構を係止する。
【0086】
テンプレートの変形の結果として構造要素の連結の望ましくない崩壊を防ぐために、一部のテンプレートの実施形態は、図5cに示されたような構造要素に対する支持手段を備える。
【0087】
構造要素はテンプレートの変形中に構造要素の崩壊を防ぐ役に立つ様々な弾性手段、例えばバネの内側に可鍛性で硬化可能なロッドを備えてもよく、構造要素は、変形可能で硬化可能なスリーブの内側のバネ、変形可能で硬化可能なロッドの内側のバネ、または第2のバネ内部に位置付けられた第1のバネ、またはアコーディオン形状の構造要素でさえも備える。
【0088】
構造要素は崩壊せずに所望の変形が可能な剛性要素を備えてもよく、伸縮自在の構造要素は例えば2つの円筒形ロッドを備える。構造要素は弾性係止ピンを備えてもよく、弾性係止ピンは構造要素を係止するために溝または孔に運ばれてもよい。それぞれの構造要素は、それを通過するワイヤまたは紐でビーズを備えてもよく、これは形成システムによって制御可能である。ワイヤ/紐は構造要素の遠位端で即座に保持され、例えば結び目が最後のビーズ上で結ばれ、ワイヤ/紐を引くことにより構造要素が曲がる。一部の実施形態では、テンプレートの様々な変形が可能であるために紐/ワイヤを様々な方向に引くことができる。
【0089】
硬化可能な要素のないテンプレートの利点は、テンプレートが通常元の形に容易に戻ることであり、またはさらに別の形に容易に変形できる、すなわちテンプレートは概して複数使用により適する。さらに変形後に過剰の熱を取り除く問題がほとんどない。しかし硬化可能なテンプレートは所望の複雑な形状により容易に一致できる。
【0090】
構造要素は、2つのロッドをその中で摺動できる、雌溝付き頭部を備えてもよい。テンプレートが所望の形であると想定すると、係止を利用してロッドを雌溝付き頭部に固定することができる。
【0091】
テンプレートを手術ガイドに変形する1つの具体的な適用は、義歯の設置などの歯科処置のためである。図11は、患者の歯茎または歯(複数可)の複雑な輪郭に一致するように形成される手術ガイド1500’’を概略的に示す。標的要素1510’’は処置装置(図示せず)を標的10’’に向け、しかもハンドルとして手術ガイド1500’’を歯茎またはその上に置かれたマーカー上に正確に配置する役に立ち得る。テンプレートが小さいサイズであることに起因して、一部の実施形態はその場で変形および硬化され得る。しかし上に説明された方法と対照的に、通常はまずテンプレートの可鍛性の基部構成要素を標的に隣接した口部の表面に形状を合わせ、次いでようやく定位置にあるテンプレートとともに画像を撮り、テンプレートを口腔から取り除き、(基部構成要素の形状を変えることなく)変形させ、口腔をその中の適切な場所に再度導入する。
【0092】
別の実施形態では、基部は口腔内に留まり、小型のテンプレートは変形され、次いで手術中に基部に取り付けられる。一例として、2つの硬化可能な材料を使用してテンプレートと基部を組み合わせることができ、それぞれは異なる方法で硬化される。基部を硬化中に第1の硬化方法が使用され、テンプレートの硬化中に別の硬化方法が使用される。別法として1つの硬化材料が使用されるが、基部の硬化中にテンプレート部内の硬化材料を遮蔽するように配慮されるべきである。
【0093】
別の態様によれば、歯科ガイド内、および場合によって他の症状(例えば脊髄)のための他のガイド内に、複数のガイド要素をテンプレート内に埋め込むことができ、複数のロボットの変形ステップにより同じテンプレート内で正確に位置合わせできることに留意することが重要である。計画に従って異なる軌道内に手術道具を方向付ける目的で、ガイドは操作可能になる。形成機により連続して変形が行われるような場合、硬化機構が変形工程中にまだ位置合わせされていない隣接したガイド要素に拡がることを制限するためにある特定の遮蔽が存在するべきである。
【0094】
次に変形前および変形後のテンプレートがそれぞれ軌道を見つけるための付属品を備えて示された、図12a~図12cを参照する。図12aは、先に説明された方法により軟化し最終的な剛性形状に硬化する、プラスチック材料の1つのバルクから全体が構築されたテンプレートの一例を示す。テンプレートの基部を有する一般的な形のテンプレートが示されており、これは端部で医療デバイスの固定点または固定構造に取り付けられ、同時にロボット基部またはアームに直接または間接的に取り付けられ、1120は医療デバイスに連結する、または医療デバイスに連結するアームに連結するテンプレートの一部であり、1130は変形されるプラスチックのバルクである。テンプレート1100がロボットに挿入された後、ロボットは本明細書で前に説明された方法に従って必要に応じてテンプレート1100を変形させる。このことは図12bに示されており、プラスチック材料のバルクが基部1110に対して部分1120を位置合わせして現在どのような異なる形状1100’であるかを示し、その後図12cに示された医療デバイス1140に取り付けられる。別法として1140は、医療デバイスを取付場所1150に取り付けるハンドルであることが可能である。この例では身体に入る医療デバイスの軌道はテンプレート基部1110を通過しないことに留意することが重要である。
【0095】
本発明の別の態様は基部1110もプラスチックのバルクの一部であることが可能であり、基部1110はプラスチックのバルクをロボット基部によって保持されたパターンに押圧することによりその必要な形状に形状される。これにより、硬化されると手術ガイド1100’が剛性になりすぐに使用できるように、固定点または固定要素と正確に一致するテンプレートの基部内にパターンを形成する。
【0096】
次に医療デバイスの軌道905が本体を通り、テンプレートの基部を通過しない、その手術形態内の手術ガイドの別の実施形態を示す、図13を参照する。このような場合、医療デバイスは定位置904におけるアーム900上の篏合位置に載置し取り付ける。このような場合、医療デバイス上またはアーム上で活性化された力が構造的力のモーメントを引き起こし、これによりアームが曲がり、構造からアームが裂け、取付構造または取付け点から基部が裂けることがある。このために、また連結要素906はアームに連結され、基部は手術ガイド基部に力を分配する。他の例では、上部アームと基部との間のこれらの連結要素は、硬化するプラスチック材料の代わりに別の機械的調節アームであることが可能である。901ではアームがテンプレートの上側に取り付けられ、テンプレートの上側902では、力により手術テンプレートを使用中にテンプレート本体からテンプレートの上側またはアームを裂くことがある。903はアームの反対側にテンプレートの強化された基部を示し、一部の係合機構は固定構造へのテンプレートの保持を強める。904は医療デバイスの取付部およびハンドルの適合部を示し、905はテンプレートの基部を通過しない医療デバイスの軌道を示し、906はアームによって遭遇した力をテンプレートの基部に分配することにより、アームを支持する連結構造を示す。
【0097】
上の説明は例示することを意図し、限定するものではないことを理解されたい。例えば上に説明された実施形態(および/またはその態様)は互いに組合せて使用されてもよい。加えて多くの修正形態は、特定の状況または材料を本発明の様々な実施形態の教示にそれらの範囲から逸脱することなく適合して行われてもよい。本明細書に説明された材料の寸法および型は本発明の様々な実施形態のパラメータを画定することを意図するが、実施形態は決して限定ではなく、例示的実施形態である。多くの他の実施形態は上の説明を再検討すれば当業者には明らかになろう。
【0098】
この記載された説明は、本発明の様々な実施形態を開示するため、また当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを作成し使用すること、およびあらゆる組み込まれた方法を実行することを含み、本発明の様々な実施形態を実行できるために例を使用している。本発明の様々な実施形態の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い当たる他の例を含んでもよい。このような他の例は、特許請求の範囲の言語と変わらない構造要素を有する場合、または例が特許請求の範囲の言語とわずかに異なる同等の構造要素を含む場合、このような例は特許請求の範囲内であることを意図する。
【0099】
本発明はその特定の実施形態に関連して説明されたが、多くの代替形態、修正形態および変形形態が当業者に明らかになることは明白である。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および広範囲に収まるすべてのこのような代替形態、修正形態および変形形態を包含することを意図する。加えて本出願におけるあらゆる参考文献の引用または同定は、このような参考文献が先行技術として本発明に利用可能である許可として解釈されてはならない。
【0100】
本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、上記に説明された様々な特徴の組合せおよび下部組合せの両方、ならびにその変形形態および修正形態を含み、これは前述の説明を読むと当業者は思いつくはずである。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13