(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】細菌メタゲノム分析を通したうつ病の診断方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/689 20180101AFI20221004BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20221004BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
C12Q1/689 Z
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/31
(21)【出願番号】P 2020541379
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2019001121
(87)【国際公開番号】W WO2019147080
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0010409
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516348577
【氏名又は名称】エムディー ヘルスケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MD HEALTHCARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン-クン
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-503857(JP,A)
【文献】特表2013-503858(JP,A)
【文献】国際公開第2016/099076(WO,A1)
【文献】Brain, Behavior, and Immunity,2015年,Vol.48,pp.186-194
【文献】Molecular Psychiatry,2016年,Vol.21,pp.786-796
【文献】Frontiers in Microbiology,2016年,Vol.7, Article 1489,pp.1-7
【文献】BMC Veterinary Research,2017年,13:65,pp.1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/6883
C12N 15/11
C12N 15/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被検体サンプルから分離した細胞外小胞からDNAを抽出するステップ;
(b)前記抽出したDNAに対して配列番号1及び配列番号2のプライマーペアを用いてPCRを行うステップ;及び
(c)前記PCR産物の配列分析を通して正常ヒト由来サンプルと細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較するステップ;を含み、
前記前記被検体サンプルは、尿であり、
前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
コリネバクテリウム(Corynebacterium)およびエンヒドロバクター(Enhydrobacter)属(genus)細菌由来小胞の含量が増加しており、
バクテロイデス(Bacteroides)およびアッカーマンシア(Akkermansia)属(genus)細菌由来小胞の含量が減少している場合、うつ病と判定する
ための情報を得ることを特徴とする、うつ病判定のための情報提供方法。
【請求項2】
前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
コリネバクテリウム(Corynebacterium)およびエンヒドロバクター(Enhydrobacter)属(genus)細菌由来小胞の含量が増加しており、
バクテロイデス(Bacteroides)およびアッカーマンシア(Akkermansia)属(genus)細菌由来小胞の含量が減少しており;
アクチノバクテリア門(Actinobacteria)、シアノバクテリア門(Cyanobacteria)、テルミ(Thermi)、フソバクテリア(Fusobacteria)、アキドバクテリア(Acidobacteria)、クロロフレクサス(Chloroflexi)、およびアルマティモナス門(Armatimonadetes)よりなる群から選ばれる1種以上の門(phylum)細菌由来細胞外小胞、
クロロプラスト(Chloroplast)、アクチノバクテリア(Actinobacteria)、アルファプロテオバクテリア(Alphaproteobacteria)、デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)、サプロスピレ(Saprospirae)、フラボバクテリア(Flavobacteriia)、サイトファガ(Cytophagia)、デイノコッキ(Deinococci)、スフィンゴバクテリア(Sphingobacteriia)、フソバクテリア(Fusobacteriia)、フィンブリイモナジア(Fimbriimonadia)、ペドスパイラ(Pedosphaerae)、オシラトリオピシジエ(Oscillatoriophycideae)、アナエロリニエ(Anaerolineae)、アキドバクテリア-6(Acidobacteria-6)、ソリバクテレス(Solibacteres)、およびノストコピシジエ(Nostocophycideae)よりなる群から選ばれる1種以上の綱(class)細菌由来細胞外小胞、
パスツーレラレス(Pasteurellales)、スフィンゴモナダレス(Sphingomonadales)、バシラレス(Bacillales)、キサントモナダレス(Xanthomonadales)、ストレプトファイタ(Streptophyta)、ロドバクテラレス(Rhodobacterales)、カウロバクテラレス(Caulobacterales)、アクチノミセタレス(Actinomycetales)、ザプロスピラレス(Saprospirales)、リゾビウム目(Rhizobiales)、フラボバクテリアレス(Flavobacteriales)、サイトファガレス(Cytophagales)、ミクソコッカレス(Myxococcales)、リケッチアレス(Rickettsiales)、テルマレス(Thermales)、ロドスピリラレス(Rhodospirillales)、デイノコッカレス(Deinococcales)、スフィンゴバクテリアレス(Sphingobacteriales)、フソバクテリアレス(Fusobacteriales)、フィンブリイモナダレス(Fimbriimonadales)、ペドスパエラレス(Pedosphaerales)、アエロモナダレス(Aeromonadales)、クロオコッカス目(Chroococcales)、ブデロビブリオナレス(Bdellovibrionales)、およびソリバクテラレス(Solibacterales)よりなる群から選ばれる1種以上の目(order)細菌由来細胞外小胞、
パスツレラシエ(Pasteurellaceae)、アクチノミセタセエ(Actinomycetaceae)、バークホルデリアシエ(Burkholderiaceae)、キサントモナダシエ(Xanthomonadaceae)、イントラスポランギアシエ(Intrasporangiaceae)、スタフィロコッカシエ(Staphylococcaceae)、スフィンゴモナダシエ(Sphingomonadaceae)、プロピオニバクテリアシエ(Propionibacteriaceae)、ノカルディアシエ(Nocardiaceae)、乳酸菌科(Lactobacillaceae)、メチロバクテリアシエ(Methylobacteriaceae)、ロドバクテラシエ(Rhodobacteraceae)、ティセレラシエ(Tissierellaceae)、アセトバクテラシエ(Acetobacteraceae)、カウロバクテラシエ(Caulobacteraceae)、ノカルジオイダシエ(Nocardioidaceae)、ヒフォミクロビアシエ(Hyphomicrobiaceae)、キチノファガシエ(Chitinophagaceae)、クロマチアシエ(Chromatiaceae)、フラボバクテリアシエ(Flavobacteriaceae)、マイクロコッカシエ(Micrococcaceae)、スフィンゴバクテリアシエ(Sphingobacteriaceae)、コリネバクテリアシエ(Corynebacteriaceae)、サイトファガセエ(Cytophagaceae)、ウィクセラシエ(Weeksellaceae)、シノバクテラシエ(Sinobacteraceae)、テルマシエ(Thermaceae)、デイノコッカシエ(Deinococcaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、マイコバクテリアシエ(Mycobacteriaceae)、コマモナダシエ(Comamonadaceae)、バシラシエ(Bacillaceae)、デルマバクテラシエ(Dermabacteraceae)、エリスロバクテラシエ(Erythrobacteraceae)、ゲオデルマトフィラシエ(Geodermatophilaceae)、フィンブリイモナダセアエ(Fimbriimonadaceae)、バルトネラセエ(Bartonellaceae)、レプトトリキアシエ(Leptotrichiaceae)、デルマコッカシエ(Dermacoccaceae)、ロドスピリラシエ(Rhodospirillaceae)、アエロモナダシエ(Aeromonadaceae)、キセノコッカシエ(Xenococcaceae)、スポリチティアシエ(Sporichthyaceae)、ブデロビブリオナシエ(Bdellovibrionaceae)、およびソリバクテラシエ(Solibacteraceae)よりなる群から選ばれる1種以上の科(family)細菌由来細胞外小胞、または
スフィンゴモナス(Sphingomonas)、フィネゴルディア(Finegoldia)、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、ロートロピア(Lautropia)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、ロドコッカス(Rhodococcus)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、乳酸菌属(Lactobacillus)、ポルフィロモナス(Porphyromonas)、ペプトニフィラス(Peptoniphilus)、アドレクラウチア(Adlercreutzia)、エルウィニア(Erwinia)、シトロバクター(Citrobacter)、ミクロビスポラ(Microbispora)、レプトトリキア(Leptotrichia)、ペドバクター(Pedobacter)、クロアシバクテリウム(Cloacibacterium)、パラコッカス(Paracoccus)、カイストバクター(Kaistobacter)、テルムス(Thermus)、アクチノバシラス(Actinobacillus)、デイノコッカス(Deinococcus)、アナエロコッカス(Anaerococcus)、ヒメノバクター(Hymenobacter)、アクロモバクター(Achromobacter)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、ブラキバクテリウム(Brachybacterium)、カプノサイトファーガ(Capnocytophaga)、バシラス(Bacillus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、メガスファエラ(Megasphaera)、フィンブリイモナス(Fimbriimonas)、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)、モデストバクター(Modestobacter)、テピディモナス(Tepidimonas)、デルマコッカス(Dermacoccus)、ヤンシノバクテリウム(Janthinobacterium)、オウタシエラ(Wautersiella)、ノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)、ネステレンコニア(Nesterenkonia)、スニーシア(Sneathia)、スケルマネラ(Skermanella)、シュトレウォーシア(Shuttleworthia)、ロセアテレス(Roseateles)、ブデロビブリオ(Bdellovibrio)、アクチノバクラム(Actinobaculum)、カンジダタスソリバクター(Candidatus Solibacter)、およびクロオコッキディオプシス(Chroococcidiopsis)よりなる群から選ばれる1種以上の属(genus)細菌由来細胞外小胞の含量が増加している場合、うつ病と判定する
ための情報を得ることを特徴とする、請求項1に記載のうつ病判定のための情報提供方法。
【請求項3】
前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
コリネバクテリウム(Corynebacterium)およびエンヒドロバクター(Enhydrobacter)属(genus)細菌由来小胞の含量が増加しており、バクテロイデス(Bacteroides)およびアッカーマンシア(Akkermansia)属(genus)細菌由来小胞の含量が減少しており;
ヴェルコミクロビウム門(Verrucomicrobia)門(phylum)細菌由来細胞外小胞、
エリシペロトリクス綱(Erysipelotrichi)、ヴェルコミクロビウム綱(Verrucomicrobiae)、バクテロイディア(Bacteroidia)、およびクロストリジア(Clostridia)よりなる群から選ばれる1種以上の綱(class)細菌由来細胞外小胞、
ツリシバクテラレス(Turicibacterales)、エリシペロトリチャレス(Erysipelotrichales)、ヴェルコミクロビアレス(Verrucomicrobiales)、バクテロイデス目(Bacteroidales)、エンテロバクテリアレス(Enterobacteriales)、およびクロストリジアレス(Clostridiales)よりなる群から選ばれる1種以上の目(order)細菌由来細胞外小胞、
ツリシバクテラシエ(Turicibacteraceae)、エリシペロトリチャシエ(Erysipelotrichaceae)、ヴェルコミクロビアシエ(Verrucomicrobiaceae)、リケネルラシエ(Rikenellaceae)、オドリバクテラシエ(Odoribacteraceae)、クロストリジウム科(Clostridiaceae)、ルミノコッカシエ(Ruminococcaceae)、エンテロコッカシエ(Enterococcaceae)、パラプレボテラシエ(Paraprevotellaceae)、エンテロバクテリアシエ(Enterobacteriaceae)、リュコノストカシエ(Leuconostocaceae)、ポルフィロモナダシエ(Porphyromonadaceae)、およびプレボテラ科(Prevotellaceae)よりなる群から選ばれる1種以上の科(family)細菌由来細胞外小胞、または
ブチリシモナス(Butyricimonas)、ツリシバクター(Turicibacter)、ユーバクテリウム(Eubacterium)、プロテウス(Proteus)、ルミノコッカス(Ruminococcus)、パラバクテロイデス(Parabacteroides)、ロゼブリア(Roseburia)、ファスコラークトバクテリウム(Phascolarctobacterium)、スポロサルシナ(Sporosarcina)、ワイセラ(Weissella)、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)、コリンセラ(Collinsella)、オスシロスピラ(Oscillospira)、およびプレボテラ(Prevotella)よりなる群から選ばれる1種以上の属(genus)細菌由来細胞外小胞の含量が減少している場合、うつ病と判定する
ための情報を得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のうつ病判定のための情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌メタゲノム分析を通してうつ病を診断する方法に関し、より具体的には、被検体由来サンプルを用いて細菌メタゲノム分析を行って、特定細菌由来細胞外小胞の含量増減を分析することによって、うつ病を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
うつ病(depression)は、感情を調節する脳の機能に変化が生じて、「否定的な感情」が現れる病気であり、全世界1億人以上が病んでいる疾患である。うつ病の本質は、生理学的、解剖学的問題であり、否定的な感情は、そのような人体構造の変化に伴う結果に該当する。うつ病は、程度によって「軽い水準のうつ病」と「重い水準のうつ病」に分かれる。「軽い水準のうつ病」は、うつ病の診断を受けたが、職業活動など社会活動に問題がない場合を称する。「重い水準のうつ病」は、精神健康体系で多様なうつ症状が持続する場合、「うつ病性障害」、特定の多数の症状が相当期間持続する場合「大うつ病性障害」などと呼ぶ。
【0003】
科学者らは、うつ病の原因を明らかにするために努力しているが、まだ正確な発病原因は明らかにされていない。セロトニンとメラトニンは、うつ病の原因として指摘される代表的な物質であり、これらだけでなく、ドーパミン、ノルエピネフリンなど神経と関連した様々なホルモンがうつ病に影響を及ぼす。妊娠うつ病、産後うつ病、主婦うつ病、季節うつ病などの名前から分かるように、うつ病の発病は、内的・外的影響を受ける。セロトニンは、脳脊髄液から発見される神経代謝物質であって、脳を循環しつつ、神経伝達機能をする。セロトニンは、感情表現と密接な関連を有するものであって、この物質が不足する場合、感情が不安定で、憂い・心配が多くなり、衝動的な性向が現れる。1970年代科学者らは、セロトニンの欠乏がうつ病と密接な関連があることを明らかにした。現在うつ病の治療剤として使用されている薬には、セロトニンが再吸収されるのを阻止して、脳中にさらに長く留まるようにするものが多い。うつ病は、一般的に、男性より女性において2倍程度多く現れる。女性は、一般的に、男性よりセロトニン数値が高いと示されるが、女性は、セロトニンの濃度が少しだけ変わっても、敏感に反応するので、うつ病にかかる確率がさらに高い。女性が男性より敏感に反応する理由は、月経周期を前後としてエストロゲンとプロゲストロンなど女性ホルモンの不均衡が脳を刺激して、セロトニンに変化を与えるためであると解されている。
【0004】
一方、人体に共生する微生物は、100兆に達してヒト細胞より10倍多くて、微生物の遺伝子の数は、ヒトの遺伝子の数の100倍を超えると知られている。微生物叢(microbiotaあるいはmicrobiome)は、与えられた生息域に存在する細菌(bacteria)、古細菌(archaea)、真核生物(eukarya)を含む微生物群集(microbial community)を言い、腸内微生物叢は、ヒトの生理現象に重要な役割をし、人体細胞と相互作用を通じてヒトの健康と疾病に大きい影響を及ぼすと知られている。人体に共生する細菌は、他の細胞への遺伝子、タンパク質などの情報を交換するために、ナノメートルサイズの小胞(vesicle)を分泌する。粘膜は、200ナノメートル(nm)サイズ以上の粒子は通過できない物理的な防御膜を形成して、粘膜に共生する細菌である場合には、粘膜を通過しないが、細菌由来小胞は、サイズが100ナノメートルサイズ以下であるので、比較的自由に粘膜を通過して人体に吸収される。
【0005】
環境ゲノミクスとも呼ばれるメタゲノム学は、環境から採取したサンプルから得られたメタゲノム資料に対する分析学といえる(韓国特許公開第2011-0073049号)。最近、16sリボソームRNA(16s rRNA)塩基配列を基盤とする方法でヒトの微生物叢の細菌構成をリスト化することが可能になり、16sリボソームRNAの遺伝子である16s rDNA塩基配列を次世代塩基配列分析(next generation sequencing,NGS)プラットホームを用いて分析する。しかしながら、うつ病の発病において、尿などの人体由来物から細菌由来小胞に存在するメタゲノム分析を通してうつ病の原因因子を同定し、うつ病を診断する方法については、報告されたことがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、うつ病の原因因子及び発病危険度をあらかじめ診断するために、被検体由来サンプルである尿に存在する細菌由来細胞外小胞から遺伝子を抽出し、これに対してメタゲノム分析を行い、その結果、うつ病の原因因子として作用できる細菌由来細胞外小胞を同定したところ、これに基づいて本発明を完成した。
【0007】
これより、本発明は、細菌由来細胞外小胞に対するメタゲノム分析を通してうつ病を診断するための情報提供方法を提供することを目的とする。
【0008】
しかしながら、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、下記のステップを含む、うつ病診断のための情報提供方法を提供する:
(a)被検体サンプルから分離した細胞外小胞からDNAを抽出するステップ;
(b)前記抽出したDNAに対して配列番号1及び配列番号2のプライマーペアを用いてPCRを行うステップ;及び
(c)前記PCR産物の配列分析を通して正常ヒト由来サンプルと細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較するステップ。
【0010】
また、本発明は、下記のステップを含む、うつ病の診断方法を提供する:
(a)被検体サンプルから分離した細胞外小胞からDNAを抽出するステップ;
(b)前記抽出したDNAに対して配列番号1及び配列番号2のプライマーペアを用いてPCRを行うステップ;及び
(c)前記PCR産物の配列分析を通して正常ヒト由来サンプルと細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較するステップ。
【0011】
また、本発明は、下記のステップを含む、うつ病の発病危険度の予測方法を提供する:
(a)被検体サンプルから分離した細胞外小胞からDNAを抽出するステップ;
(b)前記抽出したDNAに対して配列番号1及び配列番号2のプライマーペアを用いてPCRを行うステップ;及び
(c)前記PCR産物の配列分析を通して正常ヒト由来サンプルと細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較するステップ。
【0012】
本発明の一具現例において、前記ステップ(c)で、Verrucomicrobia、Bacteroidetes、Actinobacteria、Cyanobacteria、Thermi、Fusobacteria、Acidobacteria、Chloroflexi、及びArmatimonadetesよりなる群から選ばれる1種以上の門(phylum)の細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較して、うつ病を診断するものでありうる。
【0013】
本発明の他の具現例において、前記ステップ(c)で、Erysipelotrichi、Verrucomicrobiae、Bacteroidia、Clostridia、Chloroplast、Actinobacteria、Alphaproteobacteria、Deltaproteobacteria、Saprospirae、Flavobacteriia、Cytophagia、Deinococci、Sphingobacteriia、Fusobacteriia、Fimbriimonadia、TM7-1、Pedosphaerae、Oscillatoriophycideae、Anaerolineae、Acidobacteria-6、Solibacteres、Nostocophycideae、及びiii1-8よりなる群から選ばれる1種以上の綱(class)の細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較してうつ病を診断するものでありうる。
【0014】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、Turicibacterales、Erysipelotrichales、Verrucomicrobiales、RF39、Bacteroidales、Enterobacteriales、Clostridiales、Pasteurellales、Sphingomonadales、Bacillales、Xanthomonadales、Streptophyta、Rhodobacterales、Caulobacterales、Actinomycetales、Saprospirales、Rhizobiales、Flavobacteriales、Cytophagales、Myxococcales、Rickettsiales、Thermales、Rhodospirillales、Deinococcales、Sphingobacteriales、Fusobacteriales、Fimbriimonadales、BD7-3、Pedosphaerales、Aeromonadales、Chroococcales、I025、Bdellovibrionales、iii1-15、Solibacterales、PYR10d3、及びDS-18よりなる群から選ばれる1種以上の目(order)の細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較してうつ病を診断するものでありうる。
【0015】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、Turicibacteraceae、Erysipelotrichaceae、Verrucomicrobiaceae、Rikenellaceae、Bacteroidaceae、Odoribacteraceae、S24-7、Clostridiaceae、Ruminococcaceae、Enterococcaceae、Paraprevotellaceae、Enterobacteriaceae、Leuconostocaceae、Porphyromonadaceae、Prevotellaceae、Pasteurellaceae、Actinomycetaceae、Burkholderiaceae、Xanthomonadaceae、Intrasporangiaceae、Staphylococcaceae、Sphingomonadaceae、Propionibacteriaceae、Nocardiaceae、Lactobacillaceae、Methylobacteriaceae、Rhodobacteraceae、Tissierellaceae、Acetobacteraceae、Caulobacteraceae、Nocardioidaceae、Hyphomicrobiaceae、Chitinophagaceae、Chromatiaceae、Flavobacteriaceae、Micrococcaceae、Sphingobacteriaceae、Corynebacteriaceae、Cytophagaceae、Weeksellaceae、Sinobacteraceae、Thermaceae、Deinococcaceae、Rhizobiaceae、Mycobacteriaceae、Comamonadaceae、Bacillaceae、Dermabacteraceae、Erythrobacteraceae、Geodermatophilaceae、Fimbriimonadaceae、Bartonellaceae、Leptotrichiaceae、Dermacoccaceae、Rhodospirillaceae、Aeromonadaceae、Rs-045、Xenococcaceae、Sporichthyaceae、Bdellovibrionaceae、及びSolibacteraceaeよりなる群から選ばれる1種以上の科(family)の細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較してうつ病を診断するものでありうる。
【0016】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、Butyricimonas、Turicibacter、SMB53、Eubacterium、Akkermansia、Proteus、Ruminococcus、Parabacteroides、Roseburia、Bacteroides、Phascolarctobacterium、Sporosarcina、Weissella、Faecalibacterium、Collinsella、Oscillospira、Prevotella、Sphingomonas、Finegoldia、Chryseobacterium、Lautropia、Methylobacterium、Propionibacterium、Rhodococcus、Flavobacterium、Staphylococcus、Lactobacillus、Porphyromonas、Peptoniphilus、Adlercreutzia、Erwinia、Citrobacter、Microbispora、Corynebacterium、Leptotrichia、Pedobacter、Enhydrobacter、Cloacibacterium、Paracoccus、Kaistobacter、Thermus、Actinobacillus、Deinococcus、Anaerococcus、Hymenobacter、Achromobacter、Mycobacterium、Agrobacterium、Brachybacterium、Capnocytophaga、Bacillus、Arthrobacter、Megasphaera、Fimbriimonas、Peptostreptococcus、Modestobacter、Tepidimonas、Dermacoccus、Janthinobacterium、Wautersiella、Novosphingobium、Nesterenkonia、Sneathia、WAL_1855D、Skermanella、Shuttleworthia、Roseateles、Bdellovibrio、Actinobaculum、Candidatus Solibacter、及びChroococcidiopsisよりなる群から選ばれる1種以上の属(genus)の細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較してうつ病を診断するものでありうる。
【0017】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
Actinobacteria、Cyanobacteria、Thermi、Fusobacteria、Acidobacteria、Chloroflexi、及びArmatimonadetesよりなる群から選ばれる1種以上の門(phylum)細菌由来細胞外小胞、
Chloroplast、Actinobacteria、Alphaproteobacteria、Deltaproteobacteria、Saprospirae、Flavobacteriia、Cytophagia、Deinococci、Sphingobacteriia、Fusobacteriia、Fimbriimonadia、TM7-1、Pedosphaerae、Oscillatoriophycideae、Anaerolineae、Acidobacteria-6、Solibacteres、Nostocophycideae、及びiii1-8よりなる群から選ばれる1種以上の綱(class)細菌由来細胞外小胞、
Pasteurellales、Sphingomonadales、Bacillales、Xanthomonadales、Streptophyta、Rhodobacterales、Caulobacterales、Actinomycetales、Saprospirales、Rhizobiales、Flavobacteriales、Cytophagales、Myxococcales、Rickettsiales、Thermales、Rhodospirillales、Deinococcales、Sphingobacteriales、Fusobacteriales、Fimbriimonadales、BD7-3、Pedosphaerales、Aeromonadales、Chroococcales、I025、Bdellovibrionales、iii1-15、Solibacterales、PYR10d3、及びDS-18よりなる群から選ばれる1種以上の目(order)細菌由来細胞外小胞、
Pasteurellaceae、Actinomycetaceae、Burkholderiaceae、Xanthomonadaceae、Intrasporangiaceae、Staphylococcaceae、Sphingomonadaceae、Propionibacteriaceae、Nocardiaceae、Lactobacillaceae、Methylobacteriaceae、Rhodobacteraceae、Tissierellaceae、Acetobacteraceae、Caulobacteraceae、Nocardioidaceae、Hyphomicrobiaceae、Chitinophagaceae、Chromatiaceae、Flavobacteriaceae、Micrococcaceae、Sphingobacteriaceae、Corynebacteriaceae、Cytophagaceae、Weeksellaceae、Sinobacteraceae、Thermaceae、Deinococcaceae、Rhizobiaceae、Mycobacteriaceae、Comamonadaceae、Bacillaceae、Dermabacteraceae、Erythrobacteraceae、Geodermatophilaceae、Fimbriimonadaceae、Bartonellaceae、Leptotrichiaceae、Dermacoccaceae、Rhodospirillaceae、Aeromonadaceae、Rs-045、Xenococcaceae、Sporichthyaceae、Bdellovibrionaceae、及びSolibacteraceaeよりなる群から選ばれる1種以上の科(family)細菌由来細胞外小胞、又は
Sphingomonas、Finegoldia、Chryseobacterium、Lautropia、Methylobacterium、Propionibacterium、Rhodococcus、Flavobacterium、Staphylococcus、Lactobacillus、Porphyromonas、Peptoniphilus、Adlercreutzia、Erwinia、Citrobacter、Microbispora、Corynebacterium、Leptotrichia、Pedobacter、Enhydrobacter、Cloacibacterium、Paracoccus、Kaistobacter、Thermus、Actinobacillus、Deinococcus、Anaerococcus、Hymenobacter、Achromobacter、Mycobacterium、Agrobacterium、Brachybacterium、Capnocytophaga、Bacillus、Arthrobacter、Megasphaera、Fimbriimonas、Peptostreptococcus、Modestobacter、Tepidimonas、Dermacoccus、Janthinobacterium、Wautersiella、Novosphingobium、Nesterenkonia、Sneathia、WAL_1855D、Skermanella、Shuttleworthia、Roseateles、Bdellovibrio、Actinobaculum、Candidatus Solibacter、及びChroococcidiopsisよりなる群から選ばれる1種以上の属(genus)細菌由来細胞外小胞の含量が増加している場合、うつ病と診断することができる。
【0018】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
Verrucomicrobia及びBacteroidetesよりなる群から選ばれる1種以上の門(phylum)細菌由来細胞外小胞、
Erysipelotrichi、Verrucomicrobiae、Bacteroidia、及びClostridiaよりなる群から選ばれる1種以上の綱(class)細菌由来細胞外小胞、
Turicibacterales、Erysipelotrichales、Verrucomicrobiales、RF39、Bacteroidales、Enterobacteriales、及びClostridialesよりなる群から選ばれる1種以上の目(order)細菌由来細胞外小胞、
Turicibacteraceae、Erysipelotrichaceae、Verrucomicrobiaceae、Rikenellaceae、Bacteroidaceae、Odoribacteraceae、S24-7、Clostridiaceae、Ruminococcaceae、Enterococcaceae、Paraprevotellaceae、Enterobacteriaceae、Leuconostocaceae、Porphyromonadaceae、及びPrevotellaceaeよりなる群から選ばれる1種以上の科(family)細菌由来細胞外小胞、又は
Butyricimonas、Turicibacter、SMB53、Eubacterium、Akkermansia、Proteus、Ruminococcus、Parabacteroides、Roseburia、Bacteroides、Phascolarctobacterium、Sporosarcina、Weissella、Faecalibacterium、Collinsella、Oscillospira、及びPrevotellaよりなる群から選ばれる1種以上の属(genus)細菌由来細胞外小胞の含量が減少している場合、うつ病と診断することができる。
【0019】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
Corynebacterium及びEnhydrobacterの属(genus)細菌由来小胞の含量が増加しており、
Bacteroides及びAkkermansiaの属(genus)細菌由来小胞の含量が減少している場合、うつ病と診断することができる。
【0020】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
Corynebacterium及びEnhydrobacterの属(genus)細菌由来小胞の含量が増加しており、
Bacteroides及びAkkermansiaの属(genus)細菌由来小胞の含量が減少しており;
Actinobacteria、Cyanobacteria、Thermi、Fusobacteria、Acidobacteria、Chloroflexi、及びArmatimonadetesよりなる群から選ばれる1種以上の門(phylum)細菌由来細胞外小胞、
Chloroplast、Actinobacteria、Alphaproteobacteria、Deltaproteobacteria、Saprospirae、Flavobacteriia、Cytophagia、Deinococci、Sphingobacteriia、Fusobacteriia、Fimbriimonadia、Pedosphaerae、Oscillatoriophycideae、Anaerolineae、Acidobacteria-6、Solibacteres、及びNostocophycideaeよりなる群から選ばれる1種以上の綱(class)細菌由来細胞外小胞、
Pasteurellales、Sphingomonadales、Bacillales、Xanthomonadales、Streptophyta、Rhodobacterales、Caulobacterales、Actinomycetales、Saprospirales、Rhizobiales、Flavobacteriales、Cytophagales、Myxococcales、Rickettsiales、Thermales、Rhodospirillales、Deinococcales、Sphingobacteriales、Fusobacteriales、Fimbriimonadales、Pedosphaerales、Aeromonadales、Chroococcales、Bdellovibrionales、及びSolibacteralesよりなる群から選ばれる1種以上の目(order)細菌由来細胞外小胞、
Pasteurellaceae、Actinomycetaceae、Burkholderiaceae、Xanthomonadaceae、Intrasporangiaceae、Staphylococcaceae、Sphingomonadaceae、Propionibacteriaceae、Nocardiaceae、Lactobacillaceae、Methylobacteriaceae、Rhodobacteraceae、Tissierellaceae、Acetobacteraceae、Caulobacteraceae、Nocardioidaceae、Hyphomicrobiaceae、Chitinophagaceae、Chromatiaceae、Flavobacteriaceae、Micrococcaceae、Sphingobacteriaceae、Corynebacteriaceae、Cytophagaceae、Weeksellaceae、Sinobacteraceae、Thermaceae、Deinococcaceae、Rhizobiaceae、Mycobacteriaceae、Comamonadaceae、Bacillaceae、Dermabacteraceae、Erythrobacteraceae、Geodermatophilaceae、Fimbriimonadaceae、Bartonellaceae、Leptotrichiaceae、Dermacoccaceae、Rhodospirillaceae、Aeromonadaceae、Xenococcaceae、Sporichthyaceae、Bdellovibrionaceae、及びSolibacteraceaeよりなる群から選ばれる1種以上の科(family)細菌由来細胞外小胞、又は
Sphingomonas、Finegoldia、Chryseobacterium、Lautropia、Methylobacterium、Propionibacterium、Rhodococcus、Flavobacterium、Staphylococcus、Lactobacillus、Porphyromonas、Peptoniphilus、Adlercreutzia、Erwinia、Citrobacter、Microbispora、Leptotrichia、Pedobacter、Cloacibacterium、Paracoccus、Kaistobacter、Thermus、Actinobacillus、Deinococcus、Anaerococcus、Hymenobacter、Achromobacter、Mycobacterium、Agrobacterium、Brachybacterium、Capnocytophaga、Bacillus、Arthrobacter、Megasphaera、Fimbriimonas、Peptostreptococcus、Modestobacter、Tepidimonas、Dermacoccus、Janthinobacterium、Wautersiella、Novosphingobium、Nesterenkonia、Sneathia、Skermanella、Shuttleworthia、Roseateles、Bdellovibrio、Actinobaculum、Candidatus Solibacter、及びChroococcidiopsisよりなる群から選ばれる1種以上の属(genus)細菌由来細胞外小胞の含量が増加している場合、うつ病と診断することができる。
【0021】
本発明のさらに他の具現例において、前記ステップ(c)で、正常ヒト由来サンプルと比較して、
Corynebacterium及びEnhydrobacter属(genus)細菌由来小胞の含量が増加しており、
Bacteroides及びAkkermansia属(genus)細菌由来小胞の含量が減少しており;
Verrucomicrobia及びBacteroidetesよりなる群から選ばれる1種以上の門(phylum)細菌由来細胞外小胞、
Erysipelotrichi、Verrucomicrobiae、Bacteroidia、及びClostridiaよりなる群から選ばれる1種以上の綱(class)細菌由来細胞外小胞、
Turicibacterales、Erysipelotrichales、Verrucomicrobiales、Bacteroidales、Enterobacteriales、及びClostridialesよりなる群から選ばれる1種以上の目(order)細菌由来細胞外小胞、
Turicibacteraceae、Erysipelotrichaceae、Verrucomicrobiaceae、Rikenellaceae、Bacteroidaceae、Odoribacteraceae、Clostridiaceae、Ruminococcaceae、Enterococcaceae、Paraprevotellaceae、Enterobacteriaceae、Leuconostocaceae、Porphyromonadaceae、及びPrevotellaceaeよりなる群から選ばれる1種以上の科(family)細菌由来細胞外小胞、又は
Butyricimonas、Turicibacter、Eubacterium、Proteus、Ruminococcus、Parabacteroides、Roseburia、Phascolarctobacterium、Sporosarcina、Weissella、Faecalibacterium、Collinsella、Oscillospira、及びPrevotellaよりなる群から選ばれる1種以上の属(genus)細菌由来細胞外小胞の含量が減少している場合、うつ病と診断することができる。
【0022】
本発明のさらに他の具現例において、前記被検体サンプルは、尿でありうる。
【発明の効果】
【0023】
環境に存在する細菌、古細菌などの微生物から分泌される細胞外小胞は、体内に吸収されて、炎症の発生に直接的な影響を及ぼすことができ、炎症反応を特徴とするうつ病は、症状が現れる前に早期診断が難しくて、効率的な治療が難しいのが現状であるので、本発明による人体由来サンプルを用いた細菌由来細胞外小胞のメタゲノム分析を通してうつ病発病の危険度をあらかじめ診断することによって、うつ病の危険群を早期に診断及び予測して、適切な管理により発病時期を遅らせたり発病を予防することができ、発病後にも早期診断することができて、うつ病の発病率を低減し、治療効果を高めることができる。また、うつ病と診断された患者においてメタゲノム分析を通して原因因子の曝露を避けることによって、癌の経過を良くしたり、再発を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1aは、マウスに腸内細菌と細菌由来小胞(EV)を口腔で投与した後、時間別に細菌と小胞の分布様相を撮影した写真であり、
図1bは、口腔で投与した後12時間目に、尿及び様々な臓器を摘出して、細菌と小胞の体内分布様相を評価した図である。
【
図2】
図2は、うつ病患者及び正常ヒトの尿から細菌由来小胞を分離した後、メタゲノム分析を行って、門(phylum)レベルで診断的性能が有意な細菌由来小胞(EVs)の分布を示す結果である。
【
図3】
図3は、うつ病患者及び正常ヒトの尿から細菌由来小胞を分離した後、メタゲノム分析を行って、綱(class)レベルで診断的性能が有意な細菌由来小胞(EVs)の分布を示す結果である。
【
図4】
図4は、うつ病患者及び正常ヒトの尿から細菌由来小胞を分離した後、メタゲノム分析を行って目(order)レベルで診断的性能が有意な細菌由来小胞(EVs)の分布を示す結果である。
【
図5】
図5は、うつ病患者及び正常ヒトの尿から細菌由来小胞を分離した後、メタゲノム分析を行って、科(family)レベルで診断的性能が有意な細菌由来小胞(EVs)の分布を示す結果である。
【
図6】
図6は、うつ病患者及び正常ヒトの尿から細菌由来小胞を分離した後、メタゲノム分析を行って、属(genus)レベルで診断的性能が有意な細菌由来小胞(EVs)の分布を示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、細菌メタゲノム分析を通してうつ病を診断する方法に関し、本発明者らは、被検体由来サンプルを用いて細菌由来細胞外小胞から遺伝子を抽出し、これに対してメタゲノム分析を行い、うつ病の原因因子として作用できる細菌由来細胞外小胞を同定した。
【0026】
これより、本発明は、(a)被検体サンプルから分離した細胞外小胞からDNAを抽出するステップ;
(b)前記抽出したDNAに対して配列番号1及び配列番号2のプライマーペアを用いてPCRを行うステップ;及び
(c)前記PCR産物の配列分析を通して正常ヒト由来サンプルと細菌由来細胞外小胞の含量増減を比較するステップを含むうつ病を診断するための情報提供方法を提供する。
【0027】
本発明において使用される用語「うつ病診断」とは、患者に対してうつ病が発病する可能性があるか、うつ病が発病する可能性が相対的に高いか、又は、うつ病がすでに発病したか否かを判別することを意味する。本発明の方法は、任意の特定患者に対するうつ病の発病危険度が高い患者にとって特別かつ適切な管理を通じて発病時期を遅らせたり発病しないようにするのに使用することができる。また、本発明の方法は、うつ病を早期に診断して、最も適切な治療方式を選択することによって、治療を決定するために臨床的に使用され得る。
【0028】
本発明において使用される用語「メタゲノム(metagenome)」とは、「群遺伝子」とも言い、土、動物の腸など孤立した地域内のすべてのウイルス、細菌、カビなどを含む遺伝子の総和を意味するものであって、主に培養にならない微生物を分析するために、シーケンサーを使用して一度に多くの微生物を同定することを説明するゲノムの概念に使用される。特に、メタゲノムは、一種のゲノム又は遺伝子を言うものではなく、一つの環境単位のすべての種の遺伝子であって、一種の混合遺伝子を言う。これは、オミックス的に生物学が発展する過程で一種を定義するとき、機能的に既存の一種だけでなく、多様な種が互いに相互作用して完全な種を作るという観点から出た用語である。技術的には、速い配列分析法を利用して、種に関係なく、すべてのDNA、RNAを分析して、一つの環境内でのすべての種を同定し、相互作用、代謝作用を解明する技法の対象である。本発明では、好ましくは血清から分離した細菌由来細胞外小胞を用いてメタゲノム分析を実施した。
【0029】
本発明において、前記被検体サンプルは、尿でありうるが、これに制限されるものではない。
【0030】
本発明の実施例では、前記細菌由来細胞外小胞に対するメタゲノム分析を実施し、門(phylum)、綱(class)、目(order)、科(family)、及び属(genus)レベルでそれぞれ分析して、実際にうつ病発生の原因として作用できる細菌由来小胞を同定した。
【0031】
より具体的に、本発明の一実施例では、被検者由来尿サンプルに存在する小胞に対して細菌メタゲノムを門レベルで分析した結果、Verrucomicrobia、Bacteroidetes、Actinobacteria、Cyanobacteria、Thermi、Fusobacteria、Acidobacteria、Chloroflexi、及びArmatimonadetes門細菌由来細胞外小胞の含量が、うつ病患者と正常ヒトとの間に有意な差異があった(実施例4参照)。
【0032】
より具体的に、本発明の一実施例では、被検者由来尿サンプルに存在する小胞に対して細菌メタゲノムを綱レベルで分析した結果、Erysipelotrichi、Verrucomicrobiae、Bacteroidia、Clostridia、Chloroplast、Actinobacteria、Alphaproteobacteria、Deltaproteobacteria、Saprospirae、Flavobacteriia、Cytophagia、Deinococci、Sphingobacteriia、Fusobacteriia、Fimbriimonadia、TM7-1、Pedosphaerae、Oscillatoriophycideae、Anaerolineae、Acidobacteria-6、Solibacteres、Nostocophycideae、及びiii1-8綱細菌由来細胞外小胞の含量が、うつ病患者と正常ヒトとの間に有意な差異があった(実施例4参照)。
【0033】
より具体的に、本発明の一実施例では、被検者由来尿サンプルに存在する小胞に対して細菌メタゲノムを目レベルで分析した結果、Turicibacterales、Erysipelotrichales、Verrucomicrobiales、RF39、Bacteroidales、Enterobacteriales、Clostridiales、Pasteurellales、Sphingomonadales、Bacillales、Xanthomonadales、Streptophyta、Rhodobacterales、Caulobacterales、Actinomycetales、Saprospirales、Rhizobiales、Flavobacteriales、Cytophagales、Myxococcales、Rickettsiales、Thermales、Rhodospirillales、Deinococcales、Sphingobacteriales、Fusobacteriales、Fimbriimonadales、BD7-3、Pedosphaerales、Aeromonadales、Chroococcales、I025、Bdellovibrionales、iii1-15、Solibacterales、PYR10d3、及びDS-18目細菌由来細胞外小胞の含量が、うつ病患者と正常ヒトとの間に有意な差異があった(実施例4参照)。
【0034】
より具体的に、本発明の一実施例では、被検者由来尿サンプルに存在する小胞に対して細菌メタゲノムを科レベルで分析した結果、Turicibacteraceae、Erysipelotrichaceae、Verrucomicrobiaceae、Rikenellaceae、Bacteroidaceae、Odoribacteraceae、S24-7、Clostridiaceae、Ruminococcaceae、Enterococcaceae、Paraprevotellaceae、Enterobacteriaceae、Leuconostocaceae、Porphyromonadaceae、Prevotellaceae、Pasteurellaceae、Actinomycetaceae、Burkholderiaceae、Xanthomonadaceae、Intrasporangiaceae、Staphylococcaceae、Sphingomonadaceae、Propionibacteriaceae、Nocardiaceae、Lactobacillaceae、Methylobacteriaceae、Rhodobacteraceae、Tissierellaceae、Acetobacteraceae、Caulobacteraceae、Nocardioidaceae、Hyphomicrobiaceae、Chitinophagaceae、Chromatiaceae、Flavobacteriaceae、Micrococcaceae、Sphingobacteriaceae、Corynebacteriaceae、Cytophagaceae、Weeksellaceae、Sinobacteraceae、Thermaceae、Deinococcaceae、Rhizobiaceae、Mycobacteriaceae、Comamonadaceae、Bacillaceae、Dermabacteraceae、Erythrobacteraceae、Geodermatophilaceae、Fimbriimonadaceae、Bartonellaceae、Leptotrichiaceae、Dermacoccaceae、Rhodospirillaceae、Aeromonadaceae、Rs-045、Xenococcaceae、Sporichthyaceae、Bdellovibrionaceae、及びSolibacteraceae科細菌由来細胞外小胞の含量が、うつ病患者と正常ヒトとの間に有意な差異があった(実施例4参照)。
【0035】
より具体的に、本発明の一実施例では、被検者由来尿サンプルに存在する小胞に対して細菌メタゲノムを属レベルで分析した結果、Butyricimonas、Turicibacter、SMB53、Eubacterium、Akkermansia、Proteus、Ruminococcus、Parabacteroides、Roseburia、Bacteroides、Phascolarctobacterium、Sporosarcina、Weissella、Faecalibacterium、Collinsella、Oscillospira、Prevotella、Sphingomonas、Finegoldia、Chryseobacterium、Lautropia、Methylobacterium、Propionibacterium、Rhodococcus、Flavobacterium、Staphylococcus、Lactobacillus、Porphyromonas、Peptoniphilus、Adlercreutzia、Erwinia、Citrobacter、Microbispora、Corynebacterium、Leptotrichia、Pedobacter、Enhydrobacter、Cloacibacterium、Paracoccus、Kaistobacter、Thermus、Actinobacillus、Deinococcus、Anaerococcus、Hymenobacter、Achromobacter、Mycobacterium、Agrobacterium、Brachybacterium、Capnocytophaga、Bacillus、Arthrobacter、Megasphaera、Fimbriimonas、Peptostreptococcus、Modestobacter、Tepidimonas、Dermacoccus、Janthinobacterium、Wautersiella、Novosphingobium、Nesterenkonia、Sneathia、WAL_1855D、Skermanella、Shuttleworthia、Roseateles、Bdellovibrio、Actinobaculum、Candidatus Solibacter、及びChroococcidiopsis属細菌由来細胞外小胞の含量が、うつ病患者と正常ヒトとの間に有意な差異があった(実施例4参照)。
【0036】
前記実施例の結果を通じて、前記同定された細菌及び古細菌由来細胞外小胞の分布変数がうつ病発生の予測に有用に用いられることを確認した。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示する。しかしなが、下記の実施例は、本発明をさらに容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が制限されるものではない。
【0038】
[実施例1.腸内細菌及び細菌由来小胞の体内吸収、分布、及び排泄様相の分析]
腸内細菌と細菌由来小胞が胃腸管を介して全身的に吸収されるかを評価するために、次のような方法で実験を行った。マウスの胃腸に蛍光で標識した腸内細菌と腸内細菌由来小胞をそれぞれ50μgの用量で胃腸管に投与し、0分、5分、3時間、6時間、12時間後に蛍光を測定した。マウスの全体イメージを観察した結果、
図1aに示されたように、前記細菌(Bacteria)である場合には、全身的に吸収されないが、細菌由来小胞(EV)である場合には、投与後5分に全身的に吸収され、投与3時間後には、膀胱に蛍光が濃く観察されて、小胞が泌尿器系に排泄されることが分かった。また、小胞は、投与12時間まで体内に存在することが分かった。
【0039】
腸内細菌と腸内細菌由来小胞が全身的に吸収された後、様々な臓器に浸潤された様相を評価するために、蛍光で標識した50μgの細菌と細菌由来小胞を前記の方法のように投与した後、12時間目にマウスから血液(Blood)、心臓(Heart)、肺(Lung)、肝(Liver)、腎臓(Kidney)、脾臓(Spleen)、脂肪組織(Adipose tissue)、及び筋肉(Muscle)を摘出した。前記摘出した組織から蛍光を観察した結果、
図1bに示されたように、前記腸内細菌(Bacteria)は、各臓器に吸収されなかった反面、前記腸内細菌由来細胞外小胞(EV)は、尿、心臓、肺、肝、腎臓、脾臓、脂肪組織、及び筋肉に分布することを確認した。
【0040】
[実施例2.尿から小胞分離及びDNA抽出]
尿から小胞を分離し、DNAを抽出するために、まず、10mlのチューブに尿を入れて遠心分離(3,500×g、10min、4℃)を実施して、浮遊物を沈めて、上澄み液だけを回収した後、新しい10mlのチューブに移した。0.22μmのフィルターを使用して前記回収した上澄み液から細菌及び異物を除去した後、セントリプレップチューブ(centrifugal filters 50kD)に移し、1500×g、4℃で15分間遠心分離して、50kDより小さい物質は捨てて、10mlまで濃縮させた。さらに0.22μmのフィルターを使用してバクテリア及び異物を除去した後、Type 90tiローターで150,000×g、4℃で3時間の間超高速遠心分離方法を使用して上澄み液を捨てて、固まったペレット(pellet)を生理食塩水(PBS)で溶かして、小胞を収得した。
【0041】
前記方法により尿から分離した小胞100μlを100℃でボイルして、内部のDNAを脂質外に放出させた後、氷に5分間冷ました。次に、残った浮遊物を除去するために、10,000×g、4℃で30分間遠心分離し、上澄み液だけを集めた後、Nanodropを用いてDNA量を定量した。その後、前記抽出されたDNAに細菌由来DNAが存在するかを確認するために、下記表1に示した16S rDNA primerでPCRを行って、前記抽出された遺伝子に細菌由来遺伝子が存在することを確認した。
【0042】
【0043】
[実施例3.尿から抽出したDNAを用いたメタゲノム分析]
前記実施例2の方法で遺伝子を抽出した後、前記表1に示した16S rDNAプライマーを使用してPCRを実施して遺伝子を増幅させ、シーケンシング(Illumina MiSeq sequencer)を行った。結果をStandard Flowgram Format(SFF)ファイルで出力し、GS FLX software(v2.9)を用いてSFFファイルをsequenceファイル(.fasta)とnucleotide quality scoreファイルに変換した後、リードの信用度評価を確認し、window(20bps)平均base call accuracyが99%未満(Phred score<20)である部分を除去した。質が低い部分を除去した後、リードの長さが300bps以上であるものだけを利用し(Sickle version 1.33)、結果分析のためにOperational Taxonomy Unit(OTU)は、UCLUSTとUSEARCHを用いてシークエンス類似度によってクラスタリングを行った。具体的に、属(genus)は94%、科(family)は90%、目(order)は85%、綱(class)は80%、門(phylum)は75%シークエンス類似度を基準としてクラスタリングを行い、各OTUの門、綱、目、科、属レベルの分類を行い、BLASTNとGreenGenesの16S DNAシークエンスデータベース(108,453シークエンス)を用いて97%以上のシークエンス類似度を有するバクテリアを分析した(QIIME)。
【0044】
[実施例4.尿から分離した細菌由来小胞メタゲノム分析基盤うつ病診断モデル]
前記実施例3の方法で、うつ病患者20人と年齢と性別をマッチングした正常ヒト21人の尿から小胞を分離した後、メタゲノムシーケンシングを行った。診断モデルの開発は、まず、t検定で二つの群間のp値が0.05以下であり、二つの群間に2倍以上違いが生じる菌株を選定した後、logistic regression analysis方法で診断的性能指標であるAUC(area under curve)、敏感度、及び特異度を算出した。
【0045】
尿内細菌由来小胞を門(phylum)レベルで分析した結果、Verrucomicrobia、Bacteroidetes、Actinobacteria、Cyanobacteria、Thermi、Fusobacteria、Acidobacteria、Chloroflexi、及びArmatimonadetes門細菌バイオマーカーにて診断モデルを開発した場合、うつ病に対する診断的性能が有意に現れた(表2及び
図2参照)。
【0046】
【0047】
尿内細菌由来小胞を綱(class)レベルで分析した結果、Erysipelotrichi、Verrucomicrobiae、Bacteroidia、Clostridia、Chloroplast、Actinobacteria、Alphaproteobacteria、Deltaproteobacteria、Saprospirae、Flavobacteriia、Cytophagia、Deinococci、Sphingobacteriia、Fusobacteriia、Fimbriimonadia、TM7-1、Pedosphaerae、Oscillatoriophycideae、Anaerolineae、Acidobacteria-6、Solibacteres、Nostocophycideae、及びiii1-8綱細菌バイオマーカーにて診断モデルを開発した場合、うつ病に対する診断的性能が有意に現れた(表3及び
図3参照)。
【0048】
【0049】
尿内細菌由来小胞を目(order)レベルで分析した結果、Turicibacterales、Erysipelotrichales、Verrucomicrobiales、RF39、Bacteroidales、Enterobacteriales、Clostridiales、Pasteurellales、Sphingomonadales、Bacillales、Xanthomonadales、Streptophyta、Rhodobacterales、Caulobacterales、Actinomycetales、Saprospirales、Rhizobiales、Flavobacteriales、Cytophagales、Myxococcales、Rickettsiales、Thermales、Rhodospirillales、Deinococcales、Sphingobacteriales、Fusobacteriales、Fimbriimonadales、BD7-3、Pedosphaerales、Aeromonadales、Chroococcales、I025、Bdellovibrionales、iii1-15、Solibacterales、PYR10d3、及びDS-18目細菌バイオマーカーにて診断モデルを開発した場合、うつ病に対する診断的性能が有意に現れた(表4及び
図4参照)。
【0050】
【0051】
尿内細菌由来小胞を科(family)レベルで分析した結果、Turicibacteraceae、Erysipelotrichaceae、Verrucomicrobiaceae、Rikenellaceae、Bacteroidaceae、Odoribacteraceae、S24-7、Clostridiaceae、Ruminococcaceae、Enterococcaceae、Paraprevotellaceae、Enterobacteriaceae、Leuconostocaceae、Porphyromonadaceae、Prevotellaceae、Pasteurellaceae、Actinomycetaceae、Burkholderiaceae、Xanthomonadaceae、Intrasporangiaceae、Staphylococcaceae、Sphingomonadaceae、Propionibacteriaceae、Nocardiaceae、Lactobacillaceae、Methylobacteriaceae、Rhodobacteraceae、Tissierellaceae、Acetobacteraceae、Caulobacteraceae、Nocardioidaceae、Hyphomicrobiaceae、Chitinophagaceae、Chromatiaceae、Flavobacteriaceae、Micrococcaceae、Sphingobacteriaceae、Corynebacteriaceae、Cytophagaceae、Weeksellaceae、Sinobacteraceae、Thermaceae、Deinococcaceae、Rhizobiaceae、Mycobacteriaceae、Comamonadaceae、Bacillaceae、Dermabacteraceae、Erythrobacteraceae、Geodermatophilaceae、Fimbriimonadaceae、Bartonellaceae、Leptotrichiaceae、Dermacoccaceae、Rhodospirillaceae、Aeromonadaceae、Rs-045、Xenococcaceae、Sporichthyaceae、Bdellovibrionaceae、及びSolibacteraceae科細菌バイオマーカーにて診断モデルを開発した場合、うつ病に対する診断的性能が有意に現れた(表5及び
図5参照)。
【0052】
【0053】
尿内細菌由来小胞を属(genus)レベルで分析した結果、Butyricimonas、Turicibacter、SMB53、Eubacterium、Akkermansia、Proteus、Ruminococcus、Parabacteroides、Roseburia、Bacteroides、Phascolarctobacterium、Sporosarcina、Weissella、Faecalibacterium、Collinsella、Oscillospira、Prevotella、Sphingomonas、Finegoldia、Chryseobacterium、Lautropia、Methylobacterium、Propionibacterium、Rhodococcus、Flavobacterium、Staphylococcus、Lactobacillus、Porphyromonas、Peptoniphilus、Adlercreutzia、Erwinia、Citrobacter、Microbispora、Corynebacterium、Leptotrichia、Pedobacter、Enhydrobacter、Cloacibacterium、Paracoccus、Kaistobacter、Thermus、Actinobacillus、Deinococcus、Anaerococcus、Hymenobacter、Achromobacter、Mycobacterium、Agrobacterium、Brachybacterium、Capnocytophaga、Bacillus、Arthrobacter、Megasphaera、Fimbriimonas、Peptostreptococcus、Modestobacter、Tepidimonas、Dermacoccus、Janthinobacterium、Wautersiella、Novosphingobium、Nesterenkonia、Sneathia、WAL_1855D、Skermanella、Shuttleworthia、Roseateles、Bdellovibrio、Actinobaculum、Candidatus Solibacter、及びChroococcidiopsis属細菌バイオマーカーにて診断モデルを開発した場合、うつ病に対する診断的性能が有意に現れた(表6及び
図6参照)。
【0054】
【0055】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明による細菌メタゲノム分析を通してうつ病診断に対する情報を提供する方法は、被検体由来サンプルを用いて細菌メタゲノム分析を行って、特定細菌由来細胞外小胞の含量増減を分析することによって、うつ病の発病危険度を予測しうつ病を診断するのに用いられる。
【配列表】