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特許7152058電極としての垂直に整列したカーボンナノチューブのアレイ(配列)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】電極としての垂直に整列したカーボンナノチューブのアレイ(配列)
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20221004BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221004BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221004BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20221004BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20221004BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20221004BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/62 Z
H01M4/38 Z
H01M10/0568
H01M10/052
H01M10/058
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021018778
(22)【出願日】2021-02-09
(62)【分割の表示】P 2017555396の分割
【原出願日】2016-04-25
(65)【公開番号】P2021073670
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】62/151,941
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105635
【氏名又は名称】ウィリアム・マーシュ・ライス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ツアー,ジェームズ・エム
(72)【発明者】
【氏名】ラジ,アブドゥル-ラーマン・オー
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァティエラ,ロドリーゴ・ヴイ
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-513541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/134
H01M 4/62
H01M 4/38
H01M 10/0568
H01M 10/052
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード、
該カソードと接触した電解質、
該電解質と接触した該カソードに対するアノード、該アノードは複数のカーボンナノチューブを含そして該複数のカーボンナノチューブに物理的に接触した基板をさらに含む、該複数のカーボンナノチューブは、物理的に接触した該基板に対して垂直に整列される、および
該カーボンナノチューブの表面かつ間にある金属リチウムのコーティング、
を含み、ここで、
該金属リチウムのコーティングは樹枝状晶およびこけ状の凝集物を有さない;そして
該金属リチウムはイオン化し、電解質を介してアノードとカソードの間を可逆的に動く、
リチウム金属電池。
【請求項2】
前記基板は電気的に複数のカーボンナノチューブに接触している、請求項1に記載のリチウム金属電池。
【請求項3】
前記アノードが、基板とカーボンナノチューブの間に堆積したグラフェン層をさらに含む、請求項に記載のリチウム金属電池。
【請求項4】
前記複数のカーボンナノチューブと基板の間の接触をさらに含む、該接触は実質的にオーム接触からなる、請求項に記載のリチウム金属電池。
【請求項5】
前記複数のカーボンナノチューブと金属リチウムの前記コーティングは、金属リチウムと炭素含量の合計グラムあたり、339mAh以上のリチウム容量を有する、請求項1に記載のリチウム金属電池。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブと金属リチウムの前記コーティングは、金属リチウムと炭素含量の合計グラムあたり、1857mAh以上のリチウム容量を有する、請求項に記載のリチウム金属電池。
【請求項7】
前記カソードは硫黄を含む、請求項1に記載のリチウム金属電池。
【請求項8】
前記電解質は濃縮リチウム塩を含む、請求項1に記載のリチウム金属電池。
【請求項9】
前記電解質は、少なくとも4mol/Lのリチウム濃度を有する、請求項に記載のリチウム金属電池。
【請求項10】
前記アノードは、1000mAh/g以上の比容量を有する、請求項1に記載のリチウム金属電池。
【請求項11】
前記金属リチウムは、複数のカーボンナノチューブの表面かつ間に共有コーティングを形成している、請求項1に記載のリチウム金属電池。
【請求項12】
基板から成長した複数のカーボンナノチューブを有する該基板を与え、該複数のカーボンナノチューブは、該基板に対して垂直に整列される、そして
複数のカーボンナノチューブの表面かつ間に金属リチウムを堆積させる、該堆積した金属リチウムは、樹枝状晶およびこけ状の凝集物を有さない、
ことを含む方法。
【請求項13】
カソードに対するアノードとして複数のカーボンナノチューブを有する前記基板を電池に導入し、そして
アノードと該カソードの間で前記金属リチウムを可逆的に動かす
ことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記の可逆的な動きは、こけ状の凝集物を有さない金属リチウムの前記堆積を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
高いリチウム濃度を有する電解質によりアノードとカソードを分離することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記高いリチウム濃度は、少なくとも4M以上である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板がグラフェン層をさらに含み、前記複数のカーボンナノチューブが該グラフェン層から成長する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願についてのクロス・リファレンス
[0001]本出願は米国仮特許出願62/151941号(2015年4月23日提出)についての優先権を主張する。前述の出願の内容の全てが参考文献として本明細書に取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
連邦政府が後援する研究についての陳述
[0002]本発明は合衆国国防総省によって認められた認可番号FA9550-12-1-0035、および合衆国国防総省によって認められた認可番号FA9550-14-1-0111の下での政府の支援を受けて成されたものである。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
[0003]現行の電極は、制限された金属貯蔵容量や動作する間の樹枝状物質の形成を含めた多くの制限を受ける。本開示の様々な態様は前述の制限に対処するものである。
【発明の概要】
【0004】
[0004]幾つかの態様において、本開示は、複数の垂直に整列したカーボンナノチューブおよびこの垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされる金属を含む電極に関する。幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブには、配列(アレイ)の形になっている垂直に整列した単層カーボンナノチューブが含まれる。幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブは基板と組み合わされる。幾つかの態様において、基板は集電体として機能する。幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブと基板は集電体として機能する。
【0005】
[0005]幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブはグラフェン-カーボンナノチューブの混成材料の形になっていて、この場合、垂直に整列したカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブとグラフェンの薄膜との間の一つ以上の接合点において炭素-炭素結合によってグラフェンの薄膜に共有結合している。幾つかの態様において、グラフェンの薄膜は基板(例えば、銅またはニッケルの基板)とも組み合わされる。
【0006】
[0006]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは様々な金属と組み合わせることができる。例えば、幾つかの態様において、金属には(これらに限定はされないが)アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属、希土類金属、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、金属には(これらに限定はされないが)Li、Na、K、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Sb、Pb、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、金属にはリチウムが含まれる。
【0007】
[0007]幾つかの態様において、金属は垂直に整列したカーボンナノチューブと、電極が動作する間にその場で(in situ)可逆的に組み合わされた状態になる。幾つかの態様に
おいて、垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされる金属には、樹枝状晶(デンドライト)または凝集物(例えば、こけ状の凝集物)が存在しない。幾つかの態様において、金属は、垂直に整列したカーボンナノチューブの表面上で非樹枝状の形またはこけ状ではないコーティングの形になっている。幾つかの態様において、金属は、垂直に整列したカーボンナノチューブの束の中に浸入している。
【0008】
[0008]幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブは電極の活性層として機能する。幾つかの態様において、金属は電極の活性層として機能し、一方、垂直に整列したカーボンナノチューブは(単独で、あるいは基板と合同して)集電体として機能する。幾つかの態様において、電極はアノードまたはカソードである。幾つかの態様において、電極はエネルギー貯蔵装置(例えば、リチウムイオン電池またはリチウムイオンコンデンサー)の構成要素である。
【0009】
[0009]本開示の追加の態様は、本開示の電極を含むエネルギー貯蔵装置に関する。本開示のさらなる態様は、本開示の電極を形成する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】[0010]図1は電極の形成(図1A)、形成された電極の構造(図1B)、および形成された電極の電池における使用(図1C)を示す。
図1B】[0010]図1は電極の形成(図1A)、形成された電極の構造(図1B)、および形成された電極の電池における使用(図1C)を示す。
図1C】[0010]図1は電極の形成(図1A)、形成された電極の構造(図1B)、および形成された電極の電池における使用(図1C)を示す。
図2】[0011]図2はグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料(GCNT)の成長および構造上の特徴を示す。図2AはGCNTの成長の概略を示す。電子ビームで堆積した1nmの鉄のナノ粒子は不連続であったが、それらはカーボンナノチューブ(CNT)の成長のための触媒として機能し、一方、酸化アルミニウムの3nmの層は垂直な成長のための支持体を与えた。図2B~DはGCNTの走査型電子顕微鏡検査(SEM)の画像を示し、グラフェンで覆われた銅(Cu)の基板から垂直に成長したCNTカーペットを示している。図2EはCu上に成長したままのグラフェンのラマンスペクトルを示す。グラフェンは、それが上に成長する元々のCu基板に共形的に結合している。Gバンドが1589cm-1において現れ、一方、2Dバンドが2705cm-1において現れ、それにより1よりも大きなI/I2D比を与えている。わずかなDバンドが約1360cm-1において現れている。このラマン散乱特性は高品質の多層グラフェンを示している。斜めの基線は、スペクトルがCuの上で得られるために生じた。図2FはCu-グラフェンの基板上に成長したCNTのラマンスペクトルを示し、1587cm-1におけるGバンド、2652cm-1における2Dバンド、および1336cm-1におけるDバンドを伴っている。図2Gは拡張フォーマットにおけるCNTのラマン放射状伸縮モード(RBM:Raman radial breathing mode)のスペクトルを示す。
図3A】[0012]図3はリチウムと組み合わされたGCNT(GCNT-Li)の形態を例示する。図3AはGCNT-Liの形成の概略を示す。
図3B図3BはGCNT-Liのリチウム化と脱リチウムのプロセスの電圧対時間を示す。
図3C図3CはGCNT、GCNT-Li、および脱リチウムしたGCNT-Liの写真を示す(スケールバーは1cmに相当する)。
図3D】250サイクル後のGCNT-Li(2mA・cm-2において0.7mAh・cm-2)のSEM画像を上面図(図3D)、側面図(図3E)、拡大した上面図(図3F)、および拡大した側面図(図3G)によって示す。
図3E】250サイクル後のGCNT-Li(2mA・cm-2において0.7mAh・cm-2)のSEM画像を上面図(図3D)、側面図(図3E)、拡大した上面図(図3F)、および拡大した側面図(図3G)によって示す。
図3F】250サイクル後のGCNT-Li(2mA・cm-2において0.7mAh・cm-2)のSEM画像を上面図(図3D)、側面図(図3E)、拡大した上面図(図3F)、および拡大した側面図(図3G)によって示す。
図3G】250サイクル後のGCNT-Li(2mA・cm-2において0.7mAh・cm-2)のSEM画像を上面図(図3D)、側面図(図3E)、拡大した上面図(図3F)、および拡大した側面図(図3G)によって示す。
図3H】脱リチウムしたGCNT-LiのSEM画像は上面図(図3H)および拡大した上面図(図3I)によっても示す。
図3I】脱リチウムしたGCNT-LiのSEM画像は上面図(図3H)および拡大した上面図(図3I)によっても示す。
図3J】GCNT-LiからのCNTの透過型電子顕微鏡検査(TEM)の画像(図3J)およびそのさらに高倍率のもの(図3K)も示す。
図3K】GCNT-LiからのCNTの透過型電子顕微鏡検査(TEM)の画像(図3J)およびそのさらに高倍率のもの(図3K)も示す。
図3L図3LはCuの上に成長したグラフェンの上に堆積したLiの概略を示す。
図3M図3MはGCNTを伴わずにCu箔の上に成長したグラフェンの上に直接堆積したLiのSEM画像を示し(2mA・cm-2において0.7mAh・cm-2)、特に高倍率において、こけ状および樹枝状のLiの堆積を示している(図3N)。
図3N図3MはGCNTを伴わずにCu箔の上に成長したグラフェンの上に直接堆積したLiのSEM画像を示し(2mA・cm-2において0.7mAh・cm-2)、特に高倍率において、こけ状および樹枝状のLiの堆積を示している(図3N)。
図4】[0013]図4はGCNT-Liアノードの電気化学的な特性を示す。図4AはGCNT-Liの充放電のプロフィールを示す。重量測定の容量(gravimetric capacity)(重量測定の静電容量)は、CNTが成長した後の微量てんびん上で測定したGCNTの質量に基づく。図4Bは200時間にわたっての(これは300回の充放電サイクルに相当する)GCNTの電圧のプロフィールを示す。図4Cは160時間にわたっての(これは250回の充放電サイクルに相当する)Cu-Liの電圧のプロフィールを示す。図4DはGCNT-Liのサイクル性能とクーロン効率を示す。電流密度は2mA・cm-2(12A・g-1 GCNT)である。
図5】[0014]図5は銅-グラフェン(CuG)材料(CuG-Li)の上に堆積したLi金属の最初のサイクルの充放電プロフィールを示す。
図6】[0015]図6はGCNT-Liの充放電プロフィールを示す。
図7】[0016]図7はGCNT-Liアノードの電圧特性を示す。6回目と300回目のサイクルについてのGCNT-Liの充放電の電圧プロフィールが示されている。300回目のサイクルについてのわずかに長いLiの抽出時間は、わずかに大きな容量および6回目のサイクルについての94.3%と比較して増大した99.83%のクーロン効率に相当する。電流密度は2mA・cm-2(12A・g-1 GCNT)である。
図8】[0017]図8はGCNTをベースとするアノードの電気化学的な特性を水平なCNTをベースとするアノードと比較している。図8AはCuの上に成長した垂直で継ぎ目のないGCNTの概略と電圧プロフィールを示す。図8Bはグラフェンで覆われたCuの上に堆積した水平なCNTの概略と電圧プロフィールを示す。
図9】[0018]図9はGCNT-LiアノードのLiの貯蔵と速度能力についてのデータを示す。図9Aは0.4から4mAh・cm-2までのGCNTのLi貯蔵容量を示す。アノードの質量(図9B)およびアノードと挿入されたLiの質量(図9C)に関して他のアノード材料とのGCNTの重量測定の容量の比較も示されている。0.4から4mAh・cm-2までのGCNT-Liの面積容量は、GCNT-Li-0.4ないしGCNT-Li-4によって表されている。図9Dは電極の面積当りと質量当りの電流密度で表された様々な電流密度において測定された充放電プロフィールを示す。図9Eは様々な電流密度において測定されたGCNT-Liのサイクル性能を示す。
図10】[0019]図10は0.4から4mAh・cm-2までの面積容量に対するGCNT-Liアノードの体積容量を示す。GCNTの極めて低い密度(35mg/cm)にもかかわらず、材料の(マイクロメートルのスケールの)大きな細孔の中にLi微粒子を形成することなく、GCNTはCNTの表面上に大量のLiを貯蔵することができる。
図11】[0020]図11は予めリチウム化したGCNTの電気化学的な特性を示す。図11AはLiを挿入する間のGCNTの電圧プロフィールを示す。図11Bは1mAh・cm-2までにおいてLiの抽出に続いてLiを挿入する間のGCNTの電圧プロフィールを示す。GCNTの中に過剰なLiが残っている。図11Cは過剰なLiを伴うGCNT-Liのサイクル性能を示す。図11Dは過剰なLiを伴う場合と伴わない場合のGCNT-Liのクーロン効率を示す。
図12】[0021]図12はアノードとしてのGCNT-Liを含み、カソードとしての硫黄/カーボンブラックを含む完成した電池(full battery)の電気化学的な性能を示す。電池の最初の3回のサイクルの充放電プロフィールを測定した。電池の電気化学的な性能は、重量測定の容量(Sの質量および挿入したLiの質量)に関して表される。二つの平坦部は高次および低次の多硫化リチウム(Li)の形成と関係している。
図13】[0022]図13はアノードとしてのGCNT-Liを含み、カソードとしての酸化リチウムコバルト(LiCoO)を含む完成した電池の電気化学的な性能を示す。完成した電池の最初の2回のサイクルの充放電プロフィールを測定した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0023]以上の概括的な説明と以下の詳細な説明は両者とも例証的なものであって説明上のものであり、特許請求の範囲に記載された主題を限定するものではない、ということが理解されるべきである。本願明細書において、特に示さない限り、単数形の語を用いているときは複数形を含み、単数形の語は「少なくとも一つのもの」であることを意味し、そして「または」を用いているときは「および/または」を意味する。さらに、「含む」という用語ならびにその変形を用いるとき、限定的ではない。また、「要素」または「構成要素」といった用語は、特に示さない限り、一つのユニットからなる要素または構成要素と一つよりも多いユニットを含む要素または構成要素の両方を包含する。
【0012】
[0024]本明細書で用いられている各節の表題は構成上の目的のものであって、説明されている主題を限定するものと解釈されるべきではない。(これらに限定されるのではないが)特許、特許出願、記事、著作および論文を含めて本明細書中で挙げられている全ての文献または文献の一部は、それらの全体が何らかの目的でここに参考文献として明白に取り込まれる。包含される一つ以上の文献や同様の資料が本願における用語の定義と矛盾するやり方でその用語を定義している場合、本願に従うものである。
【0013】
[0025]様々な電子装置においてエネルギー貯蔵装置の使用が増大しているために、大きな出力密度、大きなエネルギー密度、および迅速な充放電速度を有するエネルギー貯蔵装置を開発することが必要とされている。例えば、リチウムイオン電池は、それらの高いエネルギー能力および出力能力の故に、エネルギー貯蔵装置として利用されている。
【0014】
[0026]特に、リチウムイオン電池は、アノードとして機能する高容量のリチウムホスト物質を含む。そのようなホスト物質としては、ケイ素、スズ、黒鉛、および遷移金属化合物(例えば、酸化鉄)を挙げることができる。一般に、リチウムイオンはホスト物質の中に侵入して合金を形成する。そのリチウムイオンは、転化反応によって合体してホスト物質になることもできる。
【0015】
[0027]しかし、リチウムイオン電池の理論的な容量は、ホスト物質の中に貯蔵されうるリチウムの量によって、あるいはホスト物質と反応しうるリチウムの量によって限定される。例えば、黒鉛をベースとするアノードを含むリチウムイオン電池の理論的な容量は約372mAh/gに限定される。同様に、酸化鉄をベースとするアノードを含むリチウムイオン電池の理論的な容量は約1007mAh/gに限定される。同様に、ケイ素をベースとするアノードを含むリチウムイオン電池の理論的な容量は約3579mAh/gに限
定される。
【0016】
[0028]さらに、主な安全性についての懸念は、リチウムイオン電池およびその他のエネルギー貯蔵装置におけるアノードの構成要素としてリチウムが利用される場合に存在する。特に、安全上の問題はリチウムイオンによって(特に、高い電流密度において)樹枝状の構造および関連する構造が形成することによって生じる。そのような樹枝状の構造は通常、繊維状、針状、こけ状、あるいは木のような構造の形で成長する不均一な結晶である。
【0017】
[0029]樹枝状の構造は、サイクルを行う間に著しい体積膨張を発生しうる。体積膨張は、ひいては、セパレータの細孔を塞ぐとともに連続的な電解質の分解を誘導することによって、エネルギー貯蔵装置のクーロン効率とサイクル寿命を減少させうる。そのような影響はひいては、内部の短絡をもたらしうる。これは、電池の中に有機溶剤成分が存在するために、特に危険である。
【0018】
[0030]エネルギー貯蔵装置において樹枝状晶の成長から生じる問題に対処するために、様々な方策が用いられてきた。そのような方策としては、(a)強力で安定した固体電解質の界面膜(SEI)の形成を可能にするための新たな添加物と電解質の塩または溶媒との組み合わせ、(b)樹枝状晶の成長と貫入を抑制または防止するために、セパレータとしての機械的に強力な多孔質ポリマー、固体膜またはイオン性導電体で電極を被覆すること、および(c)リチウムをカプセル封入するとともに樹枝状晶の成長を防ぐために、集電体の上に防護性のシェルを形成すること、が挙げられる。しかし、樹枝状晶の形成は高い電流密度においてはもっと速くて猛烈であるために、上述した方策では、単位電極面積当りのリチウムの貯蔵容量とサイクル寿命が限定される場合がある。同様の理由から、上述した方策では、電極の電流密度が限定される場合がある。
【0019】
[0031]従って、最適な金属貯蔵容量を示すとともに最小限の樹枝状晶の形成を示す電極が必要とされている。本開示の様々な態様はこれらの必要性に対処するものである。
[0032]幾つかの態様において、本開示は、垂直に整列したカーボンナノチューブを含む電極を製造する方法に関する。図1Aで説明する幾つかの態様において、本開示の方法は、複数の垂直に整列したカーボンナノチューブに金属を付与し(工程10)、それにより金属を垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わせた状態にすること(工程12)を含む。幾つかの態様において、本開示の方法はまた、形成した電極をエネルギー貯蔵装置の構成要素として組み入れる工程を含む(工程14)。
【0020】
[0033]追加の態様において、本開示は、形成した電極に関する。幾つかの態様において、本開示の電極は、複数の垂直に整列したカーボンナノチューブおよびこの垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされる金属を含む。図1Bに示すさらに具体的な態様において、本開示の電極は電極30の形をとることができて、これは、金属32、垂直に整列したカーボンナノチューブ34、グラフェンの薄膜38、および基板40を含む。この態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブ34は配列(アレイ)35の形になっている。垂直に整列したカーボンナノチューブは、継ぎ目のない接合点36を介してグラフェンの薄膜38に共有結合している。加えて、金属32は、非樹枝状の薄膜またはこけ状ではない薄膜の形で、垂直に整列したカーボンナノチューブ34と組み合わされている。
【0021】
[0034]本開示のさらなる態様は、本開示の電極を含むエネルギー貯蔵装置に関する。例えば、図1Cに例示するように、本開示の電極は電池50の構成要素として利用することができ、電池50はカソード52、アノード56、および電解質54を含む。この態様において、本開示の電極はカソード52またはアノード56として機能するだろう。
【0022】
[0035]本明細書中でさらに詳しく示すが、本開示は様々なタイプの垂直に整列したカーボンナノチューブを利用することができる。さらに、様々な金属を様々なやり方で垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わせてもよい。さらに、本開示の電極は様々なエネルギー貯蔵装置の構成要素として利用することができる。
【0023】
[0036]垂直に整列したカーボンナノチューブ
[0037]本開示の電極は様々なタイプの垂直に整列したカーボンナノチューブを含むことができる。例えば、幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブには、(これらに限定はされないが)単層のカーボンナノチューブ、二層のカーボンナノチューブ、三層のカーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブ、極めて短いカーボンナノチューブ、小さな直径のカーボンナノチューブ、純粋な(pristine)カーボンナノチューブ、官能化したカーボンナノチューブ、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブには垂直に整列した単層のカーボンナノチューブが含まれる。
【0024】
[0038]幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブには純粋なカーボンナノチューブが含まれる。幾つかの態様において、純粋なカーボンナノチューブには欠陥または不純物がほとんど無いか、あるいは全く無い。
【0025】
[0039]幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブには官能化したカーボンナノチューブが含まれる。幾つかの態様において、官能化したカーボンナノチューブには側壁官能化カーボンナノチューブが含まれる。幾つかの態様において、官能化したカーボンナノチューブには1種以上の官能化剤が含まれる。幾つかの態様において、官能化剤には、(これらに限定はされないが)酸素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシド成分、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0026】
[0040]幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブの側壁は、穴のような構造上の欠陥を含む。幾つかの態様において、構造上の欠陥(例えば、穴)の端部における炭素は、1種以上の原子または官能基(例えば、水素、酸素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシド成分、およびこれらの組み合わせ)で終わっている。
【0027】
[0041]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは様々な形態をとることができる。例えば、幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブは配列(例えば、図1Bにおける配列35)の形態になっている。幾つかの態様において、そのアレイ(配列)はカーペットまたは林の形態になっている。幾つかの態様において、そのアレイ(配列)はファンデルワールス相互作用によって共に保持された超格子の形態になっている。
【0028】
[0042]幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは、複数の溝(channel)を含むカーボンナノチューブの束の形態になっている。幾つかの態様に
おいて、カーボンナノチューブの束は約3Åから約20Åまでの範囲の管(チューブ)どうしの間隔を有する。幾つかの態様において、カーボンナノチューブの束は約3.4Åの管どうしの間隔を有する。幾つかの態様において、カーボンナノチューブの束は約5Åから約20Åまでの範囲のサイズの溝を有する。幾つかの態様において、カーボンナノチューブの束は約6Åのサイズの溝を有する。
【0029】
[0043]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは様々な角度を有することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約
45°から約90°までの範囲の角度を有する。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約75°から約90°までの範囲の角度を有する。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約90°の角度を有する。
【0030】
[0044]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは様々な厚さを有することもできる。例えば、幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約10μmから約2mmまでの範囲の厚さを有する。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約10μmから約1mmまでの範囲の厚さを有する。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約10μmから約500μmまでの範囲の厚さを有する。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約10μmから約100μmまでの範囲の厚さを有する。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは約50μmの厚さを有する。
【0031】
[0045]基板
[0046]幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブを基板(例えば、図1Bにおける基板40)と組み合わせてもよい。幾つかの態様において、基板はグラフェンの薄膜(例えば、図1Bにおけるグラフェンの薄膜38)も含む。幾つかの態様において、基板は集電体として機能する。幾つかの態様において、基板と垂直に整列したカーボンナノチューブは集電体として機能する。
【0032】
[0047]本開示の電極においては様々な基板を用いることができる。例えば、幾つかの態様において、基板には、(これらに限定はされないが)ニッケル、コバルト、鉄、白金、金、アルミニウム、クロム、銅、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ロジウム、ルテニウム、ケイ素、タンタル、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭素、炭素をベースとする基板、ダイヤモンド、これらの合金、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、基板には銅の基板が含まれる。幾つかの態様において、基板にはニッケルの基板が含まれる。
【0033】
[0048]幾つかの態様において、基板には炭素をベースとする基板が含まれる。幾つかの態様において、炭素をベースとする基板には、(これらに限定はされないが)黒鉛基板、グラフェン、黒鉛、バッキーペーパー(例えば、カーボンナノチューブのろ過によって製造される紙)、炭素繊維、炭素繊維の紙、カーボン紙(例えば、グラフェンまたはカーボンナノチューブから製造されるカーボン紙)、グラフェンペーパー(例えば、グラフェンまたは酸化グラフェンのろ過とそれに続く還元によって製造されるグラフェンペーパー)、炭素の薄膜、金属炭化物、炭化ケイ素、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0034】
[0049]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブを様々なやり方で基板と組み合わせることができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは基板に共有結合される。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは基板に対して実質的に直角である。追加の配置も想定することができる。
【0035】
[0050]グラフェン-カーボンナノチューブ混成材料
[0051]幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブはグラフェン-カーボンナノチューブの混成材料の形になっている。幾つかの態様において、グラフェン-カーボンナノチューブ混成材料は、グラフェンの薄膜(例えば、図1Bにおけるグラフェンの薄膜38)およびこのグラフェンの薄膜に共有結合した垂直に整列したカー
ボンナノチューブ(例えば、図1Bにおける垂直に整列したカーボンナノチューブ34)を含む。幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブとグラフェンの薄膜との間の一つ以上の接合点において炭素-炭素結合によってグラフェンの薄膜に共有結合している(例えば、図1Bにおける接合点36)。幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブは、一つ以上の接合点において炭素-炭素結合によってグラフェンの薄膜とオーム接触している。幾つかの態様において、一つ以上の接合点は7員の炭素環を含む。幾つかの態様において、一つ以上の接合点には継ぎ目がない。
【0036】
[0052]幾つかの態様において、本開示のグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料は、グラフェンの薄膜と組み合わされる基板を含むこともできる(例えば、図1Bにおける基板40)。適当な基板については前に説明した。例えば、幾つかの態様において、基板には銅のような金属の基板が含まれうる。幾つかの態様において、基板には黒鉛基板のような炭素をベースとする基板が含まれる。幾つかの態様において、炭素をベースとする基板は、集電体として、およびカーボンナノチューブの成長のための炭素源として、両方の作用をすることができる。
【0037】
[0053]本開示のグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料は、様々なグラフェンの薄膜を含むことができる。例えば、幾つかの態様において、グラフェンの薄膜には、(これらに限定はされないが)単層のグラフェン、数層のグラフェン、二層のグラフェン、三層のグラフェン、多層のグラフェン、グラフェンのナノリボン、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、黒鉛、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、グラフェンの薄膜には還元された酸化グラフェンが含まれる。幾つかの態様において、グラフェンの薄膜には黒鉛が含まれる。
【0038】
[0054]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは、様々なやり方でグラフェンの薄膜と組み合わせることができる。例えば、幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブはグラフェンの薄膜に対して実質的に直角である(例えば、図1Bにおける垂直に整列したカーボンナノチューブ34)。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは、約45°から約90°までの範囲の角度でグラフェンの薄膜と組み合わされている。
【0039】
[0055]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは様々な方法によって調製することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは、(1)グラフェンの薄膜を基板と組み合わせ、(2)グラフェンの薄膜に触媒と炭素源を付与し、そして(3)グラフェンの薄膜上にカーボンナノチューブを成長させることによって製造することができる。
【0040】
[0056]幾つかの態様において、触媒は金属(例えば、鉄)と緩衝剤(例えば、アルミナ)を含んでいてもよい。幾つかの態様において、金属(例えば、鉄)と緩衝剤(例えば、アルミナ)はナノ粒子(例えば、鉄アルミナのナノ粒子)から成長させることができる。
【0041】
[0057]幾つかの態様において、金属と緩衝剤は、電子ビーム堆積などの様々な方法によってグラフェンの薄膜上に連続して堆積される。幾つかの態様において、グラフェンの薄膜上に様々な炭素源(例えば、エテンまたはエチン)を、化学気相蒸着などの様々な方法によって堆積させることができる。幾つかの態様において、ガス状または固体の炭素源などの様々な炭素源からグラフェンの薄膜を基板上に成長させることができる。
【0042】
[0058]グラフェン-カーボンナノチューブ混成材料およびこの混成材料を製造する方法についての追加の態様は、本出願人による追加のPCT出願に記載されていて、それはW
O2013/119295号として公表されている。前記出願の内容の全てが参考文献として本明細書に取り込まれる。
【0043】
[0059]金属
[0060]本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは様々な金属と組み合わせることができる。例えば、幾つかの態様において、金属には(これらに限定はされないが)アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属、希土類金属、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0044】
[0061]幾つかの態様において、金属にはアルカリ金属が含まれる。幾つかの態様において、アルカリ金属には(これらに限定はされないが)Li、Na、K、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、金属にはLiが含まれる。
【0045】
[0062]幾つかの態様において、金属にはアルカリ土類金属が含まれる。幾つかの態様において、アルカリ土類金属には(これらに限定はされないが)Mg、Ca、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0046】
[0063]幾つかの態様において、金属には遷移金属が含まれる。幾つかの態様において、遷移金属には(これらに限定はされないが)Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0047】
[0064]幾つかの態様において、金属にはポスト遷移金属が含まれる。幾つかの態様において、ポスト遷移金属には(これらに限定はされないが)Al、Sn、Sb、Pb、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0048】
[0065]垂直に整列したカーボンナノチューブへの金属の付与
[0066]垂直に整列したカーボンナノチューブに金属を付与するために、様々な方法を利用することができる。例えば、幾つかの態様において、付与することは、ろ過、限外ろ過、塗布、回転塗布、噴霧、噴霧塗布、パターン形成、混合、配合、熱活性化、電着、電気化学的電着、ドクターブレード塗布、スクリーン印刷、グラビア印刷、直接書き込み印刷、インクジェット印刷、機械的な加圧、溶融、およびこれらの組み合わせによって行われる。幾つかの態様において、付与することは電気化学的な堆積によって行われる。
【0049】
[0067]垂直に整列したカーボンナノチューブへの金属の付与は様々な段階において行うことができる。例えば、幾つかの態様において、付与することは電極を製作する間に行われる。幾つかの態様において、付与することは電極を製作した後に行われる。
【0050】
[0068]幾つかの態様において、付与することは電極が動作している間にその場で(in situ)行われる。例えば、幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノ
チューブを含む電極が、金属を含む電界中に置かれる。その後、電界を適用している間に、金属は垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされる。
【0051】
[0069]幾つかの態様において、付与することは、垂直に整列したカーボンナノチューブの表面上で金属(例えば、リチウムなどの純金属)を溶融させることによって行われる。その後、垂直に整列したカーボンナノチューブが液体の金属によって濡れている間に、金属を垂直に整列したカーボンナノチューブと結合させることができる。
【0052】
[0070]幾つかの態様において、付与することは、垂直に整列したカーボンナノチューブの表面上に金属(例えば、リチウムまたはリチウムをベースとする材料のような、純金属または金属を含有する固体材料)を電着させることによって行われる。その後、電着を行
っている間に金属を垂直に整列したカーボンナノチューブと結合させることができる。幾つかの態様において、電着を行っている間、金属を水性電解質または有機電解質の中に溶解させてもよい。
【0053】
[0071]垂直に整列したカーボンナノチューブとの金属の組み合わせ
[0072]本開示の金属を、垂直に整列したカーボンナノチューブと様々なやり方で組み合わせることができる。例えば、前に説明したように、電極が動作している間にその場で(in situ)金属を垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わせることができる。幾つかの態様において、金属を垂直に整列したカーボンナノチューブと可逆的に組み合わせることができる。幾つかの態様において、充電を行っている間に結合させ、そして放電を行っている間に分離させることによって、電極が動作している間に金属を垂直に整列したカーボンナノチューブと可逆的に組み合わせることができる。
【0054】
[0073]幾つかの態様において、本開示の金属を、垂直に整列したカーボンナノチューブと均一なやり方で組み合わせることができる。例えば、幾つかの態様において、樹枝状晶を形成することなく、金属が垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされる。幾つかの態様において、凝集物(例えば、金属の微粒子またはこけ状の凝集物)を形成することなく、金属が垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされる。
【0055】
[0074]本開示の金属を、垂直に整列したカーボンナノチューブの様々な領域と組み合わせることができる。例えば、幾つかの態様において、金属は垂直に整列したカーボンナノチューブの表面と組み合わされる。幾つかの態様において、金属は垂直に整列したカーボンナノチューブの表面上に樹枝状ではないコーティングまたはこけ状ではないコーティングを形成する。幾つかの態様において、金属は垂直に整列したカーボンナノチューブの束の中に浸入した状態になる。
【0056】
[0075]幾つかの態様において、金属は垂直に整列したカーボンナノチューブと薄膜の形で組み合わされた状態になる。幾つかの態様において、薄膜は垂直に整列したカーボンナノチューブの表面上にある(例えば、図1Bにおける薄膜32)。さらなる形態の組み合わせも想定することができる。
【0057】
[0076]電極の構造と特性
[0077]本開示の電極は様々な構造を有することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の電極は薄膜、シート、紙、マット、巻物、絶縁保護コーティング(コンフォーマルコーティング)、およびこれらの組み合わせの形になっている。幾つかの態様において、本開示の電極は三次元構造を有する。
【0058】
[0078]本開示の電極は様々な機能を提供することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の電極はアノードとして機能しうる。幾つかの態様において、本開示の電極はカソードとして機能しうる。
【0059】
[0079]本開示の電極の様々な構成要素が様々な機能を提供することができる。例えば、幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブは電極の活性層として機能する(例えば、カソードとアノードの活性層)。他の態様において、金属は電極の活性層として機能し、一方、垂直に整列したカーボンナノチューブは集電体として機能する。幾つかの態様において、垂直に整列したカーボンナノチューブは基板とともに集電体として機能する(例えば、グラフェンの薄膜と結合した銅の基板)。幾つかの態様において、本開示の垂直に整列したカーボンナノチューブは樹枝状晶の形成を抑えるためにも機能する。
【0060】
[0080]より特定された態様において、本開示のグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料は集電体として機能し、一方、金属は活物質として機能する。幾つかの態様において、本開示のグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料は基板とともに集電体として機能する。
【0061】
[0081]本開示の電極は様々な有利な特性を有することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の電極は約650m/gよりも大きな表面積を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約2000m/gよりも大きな表面積を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約2000m/gから約3000m/gまでの範囲の表面積を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約2000m/gから約2600m/gまでの範囲の表面積を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約2600m/gの表面積を有する。
【0062】
[0082]本開示の電極は高い金属貯蔵容量を有することもできる。例えば、幾つかの態様において、本開示の電極は約50重量%よりも大きな金属貯蔵容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約75重量%から約2000重量%までの範囲の金属貯蔵容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約600重量%から700重量%までの範囲の金属貯蔵容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約650重量%の金属貯蔵容量を有する。幾つかの態様において、上述の重量パーセントは、堆積した金属の質量を垂直に整列したカーボンナノチューブの質量で割った値として表される。
【0063】
[0083]本開示の電極は高い比容量を有することもできる。例えば、幾つかの態様において、本開示の電極は約400mAh/gよりも大きな比容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約2000mAh/gよりも大きな比容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約1000mAh/gから約4000mAh/gまでの範囲の比容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約3000mAh/gから約4000mAh/gまでの範囲の比容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約3500mAh/gから約3900mAh/gまでの範囲の比容量を有する。
【0064】
[0084]本開示の電極は高い面積容量を有することもできる。例えば、幾つかの態様において、本開示の電極は約0.1mAh/cmから約20mAh/cmまでの範囲の面積容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約0.4mAh/cmから約4mAh/cmまでの範囲の面積容量を有する。幾つかの態様において、本開示の電極は約2mAh/cmよりも大きな面積容量を有する。
【0065】
[0085]エネルギー貯蔵装置の中への組み入れ
[0086]本開示の方法は、本開示の電極をエネルギー貯蔵装置の構成要素として組み入れる工程を含むこともできる。本開示の追加の態様は、本開示の電極を含むエネルギー貯蔵装置に関する。
【0066】
[0087]本開示の電極は様々なエネルギー貯蔵装置の構成要素として利用することができる。例えば、幾つかの態様において、エネルギー貯蔵装置には、(これらに限定はされないが)コンデンサー、電池(バッテリー)、光起電力装置、光起電力セル、トランジスタ、集電体、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0067】
[0088]幾つかの態様において、エネルギー貯蔵装置はコンデンサーである。幾つかの態様において、コンデンサーには、(これらに限定はされないが)リチウムイオンコンデンサー、超コンデンサー(スーパーキャパシタ)、マイクロ超コンデンサー、疑似キャパシタ、二電極電気二重層コンデンサー(EDLC)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0068】
[0089]幾つかの態様において、エネルギー貯蔵装置は電池(バッテリー)である(例えば、図1Cにおける電池50)。幾つかの態様において、電池には、(これらに限定はされないが)再充電式電池、非再充電式電池、マイクロ電池、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ナトリウム空気電池、マグネシウムイオン電池、マグネシウム硫黄電池、マグネシウム空気電池、アルミニウムイオン電池、アルミニウム硫黄電池、アルミニウム空気電池、カルシウムイオン電池、カルシウム硫黄電池、カルシウム空気電池、亜鉛イオン電池、亜鉛硫黄電池、亜鉛空気電池、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、エネルギー貯蔵装置はリチウムイオン電池である。
【0069】
[0090]本開示の電極はエネルギー貯蔵装置の様々な構成要素として利用することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示の電極はエネルギー貯蔵装置におけるカソードとして利用される(例えば、図1Cに示す電池50におけるカソード52)。幾つかの態様において、本開示の電極はエネルギー貯蔵装置におけるアノードとして利用される(例えば、図1Cに示す電池50におけるアノード56)。
【0070】
[0091]幾つかの態様において、本開示の電極は、エネルギー貯蔵装置においてアノードとして利用されるグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料を含む。幾つかの態様において、本開示のアノードは様々なカソードと組み合わせてもよい。例えば、幾つかの態様において、カソードは遷移金属の化合物である。幾つかの態様において、遷移金属の化合物には、(これらに限定はされないが)LiCoO、LiFePO、LiNiO、LiMnO、LiNiMnCo、LiNiCoAl、NiO、NiOOH、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、整数のa、b、c、d、およびxは0よりも大きく1未満である。
【0071】
[0092]幾つかの態様において、本開示のアノードとともに用いられるカソードは硫黄を含む。幾つかの態様において、カソードには、二原子酸素、過酸化物、超酸化物、およびこれらの組み合わせなどの酸素が含まれる。幾つかの態様において、カソードは金属過酸化物、金属超酸化物、金属水酸化物、およびこれらの組み合わせなどの金属酸化物を含む。幾つかの態様において、カソードには酸化リチウムコバルトが含まれる。幾つかの態様において、カソードには硫黄/カーボンブラックのカソードが含まれる。
【0072】
[0093]幾つかの態様において、本開示の電極を含む電子装置は電解質も含むことができる(例えば、図1Cに示す電池50における電解質54)。幾つかの態様において、電解質には、(これらに限定はされないが)非水性溶液、水溶液、塩、溶剤、添加剤、複合材料、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、電解質には、(これらに限定はされないが)リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)、リチウム(トリメチルフルオロスルホニル)イミド(LITFSI)、リチウム(フルオロスルホニ
ル)イミド(LIFSI)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、ヘキ
サメチルホスホラストリアミド(HMPA)、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、電解質は複合材料の形になっている。幾つかの態様において、電解質には、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2-ジメトキシルメタン、およびこれらの組み合わせなどの溶
剤が含まれる。
【0073】
[0094]本開示のエネルギー貯蔵装置は様々な有利な特性を有することができる。例えば、幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は高い比容量を有する。幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約100mAh/gよりも大きな比容量を有する。幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約100mAh/gから約2000mAh/gまでの範囲の比容量を有する。幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約100mAh/gから約1000mAh/gまでの範囲の比容量を有する。幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約800mAh/gの比容量を有する。
【0074】
[0095]本開示のエネルギー貯蔵装置は高いエネルギー密度を有することもできる。例えば、幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約300Wh/kgよりも大きなエネルギー密度を有する。幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約300Wh/kgから約3000Wh/kgまでの範囲のエネルギー密度を有する。幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約1000Wh/kgから約2000Wh/kgまでの範囲のエネルギー密度を有する。幾つかの態様において、本開示のエネルギー貯蔵装置は約1840Wh/kgのエネルギー密度を有する。
【0075】
[0096]さらなる態様
[0097]本開示のより具体的な態様およびそれらの態様についての裏付けを与える実験結果について以下で論及を行う。しかし、以下の開示は例示の目的だけのためのものであり、特許請求の範囲の主題の範囲をいかなる形でも限定する意図はないことを出願人は特筆しておく。
【実施例
【0076】
[0098]実施例1.リチウムイオン電池のためのカーボンナノチューブをベースとする電極
[0099]本実施例において、出願人は、樹枝状晶の形成を完全に抑えながら大量のリチウム(Li)金属を可逆的に貯蔵することができる継ぎ目のないグラフェン-カーボンナノチューブ(GCNT)の電極について報告する。GCNTは、Liを挿入し、そしてその大きな表面積(約2600m-1)の全面に薄いコーティングとしてLiを形成するためのホスト材料として機能する。4mAh・cm-2(823mAh・cm-3)および25.3Ah・g-1 G-CNTまでのLi貯蔵容量によって、GCNTはその重量の
6.6倍のLiを貯蔵し、これはケイ素(Si)よりも6.6倍大きい。GCNTの能力、可逆性、および樹枝状晶を生じさせない性質は、二次電池における金属をベースとするアノードのための模範的な構造体としてそれを使用するための吉兆となる。
【0077】
[00100]銅(Cu)の基板上に化学気相蒸着(CVD)によって最初にグラフェンを成
長させ、次いで、鉄のナノ粒子と酸化アルミニウムを堆積させ、続いて、炭素源としてアセチレンを用いて750℃でカーボンナノチューブ(CNT)のCVD成長を行った(図2A)。この方法は、下にあるグラフェンに共有結合で継ぎ目がないように接続されるCNTを生成させるために、出願人によって以前に示されたが(図2B)、これはCuとCNTの間にオーミック伝導を与えるものである。WO2013/119295を参照されたい。
【0078】
[00101]CNTは、Cu-グラフェンの基板から50μmの厚さのカーペットとして垂
直に成長した(図2B)。それらは束で存在し(図2C、D)、これらはファンデルワールス相互作用によって共に保持された超格子である。約3.4Åの管(チューブ)どうしの間隔に加えて、CNTの束は6Åの溝を有する。形成したCNTの存在が確認された(図2F)。加えて、100ないし300cm-1における放射状伸縮モード(RBM)は、単層ないし数層のCNTを示している(図2G)。
【0079】
[00102]Liは高度に多孔質で大きな表面積のGCNTの中に挿入され、このとき、C
NTの形態が、CNTの表面上でLiが薄膜または非樹枝状のコーティングとして形成することを誘導する(図3A)。0V対Li/Liはわずかに低い(図3B)。可逆的な
Liの挿入とGCNTからの抽出が観察される(図3B)。これらは黒色から銀色へのGCNTの色の変化によって確認され、これはLi金属の形成を示していて(図3C)、そしてLiが抽出されると黒色に戻る。
【0080】
[00103]リチウム化したGCNT(GCNT-Li)の走査型電子顕微鏡検査(SEM
)の画像(図3D~E)は、LiがGCNTの上に分離した薄膜としては堆積されておらず、それはむしろ、柱状化したCNT構造体の中に挿入されていることを示す。GCNT-Liのマイクロメートルのサイズの細孔の中に堆積したLiの凝集物または微粒子が存在しないことは(図3F)、CNTの束の表面上でのLiの形成か、またはCNTの束の中への貫入が、個々のCNTにおいて行われることを示唆している。さらに、CNTの束の比較的粗い表面は、薄膜の薄い層が存在することを示していて、このことは、CNTの表面上にLiが形成されることを明白に示す。
【0081】
[00104]底面のSEM画像(図3G)もまた、CNTの束の同様に粗い表面および堆積
した薄膜の存在を示していて、このことは、GCNTを通してのLiイオンの拡散におけるマイクロメートルのサイズの細孔の重要性を強調している。脱リチウム化したGCNT(図3H、I)において、CNTの束の識別できる剥落が無いことが観察される。
【0082】
[00105]図3Jおよび図3Kにおいて、リチウム化したCNTの透過型電子顕微鏡検査
(TEM)の画像は、CNTの表面上におけるナノ粒子の形での堆積を示している。図3D~Iにおいて示されたGCNT-LiのSEM画像は250サイクルの後に記録されたものであり、それらは、Li金属のアノードの適用を妨げる樹枝状、こけ状および類似の構造が形成される証拠を何ら示していない。
【0083】
[00106]それに対して、図3Lに示すように、平坦な基板(グラフェンで覆われた銅箔
、CuG)の上への堆積により、Liの不規則な堆積が生じる(図3M、N)。10サイクル未満において、こけ状の構造が観察される。三次元の大きな表面積のGCNTにおいて、樹枝状またはこけ状のLiが形成することなく、Liが堆積するための巨大な表面積が存在する。その多孔性は、GCNTの中と外へのLiイオンの拡散を促進する。
【0084】
[00107]図4Aは6回目のサイクルからのLiの挿入と抽出の典型的な曲線を示す。G
CNT-Liの放電容量は3920mAh・g-1であり、クーロン効率は94.3%である。50μmの厚さのGCNTから2mAh・cm-2の面積容量が得られる。最初のサイクルのクーロン効率は約60%である。充放電曲線は、-50mVおよび50mVのそれぞれにおいて著しく平坦な電圧によって特徴づけられる(図4A)。GCNT-Liの電圧プロフィールは、集電体の上に直接めっきしたLi金属のプロフィールと似ていて、0Vに近い特徴的な平坦な充放電プロフィールを有する。
【0085】
[00108]Liを挿入した黒鉛(この場合、黒鉛とともにLiが明確な挿入化合物(Li
)を形成して、Liがイオンとして存在する)と対比して、GCNTの中に挿入されたLiは金属質であることが明白である。加えて、前に報告したCNTの中へのLiの挿入は、実用的なLIBの開発に向けての有望性が限定されていた。何故ならば、電圧プロフィールが平坦ではなく、また挿入されたLiの多くを可逆的に抽出するためには、電極を3V以上に充電する必要があったからである(図6)。ここでの平坦な電圧は、200時間の連続したサイクル(300サイクル)にわたって観察される(図4Bおよび図7)。
【0086】
[00109]それに対して、Cu-グラフェンの上に直接堆積したLiは、むきだしのCu
-グラフェン基板の上に形成されたLiの問題となる形態(図3L~N)に加えて、変動するクーロン効率と増大した分極を示す(図4C)。300サイクルの後、容量の低下は
なく、クーロン効率は99.83%である(図4D)。濃縮した電解質である1,2-ジ
メトキシエタン中の4M リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドが、減少した反応性
の溶剤の量と増大したLi濃度の故に、Li金属のアノードにおいて高いクーロン効率を促進するものとして報告された。
【0087】
[00110]Cuの上にランダムに分散したCNTに対してCuの上に成長した継ぎ目のな
いモノリシックの(一体の)GCNTを比較するために、対照の実験を行った。GCNTは多くのサイクルにわたって平坦な電圧プロフィールを維持するのに対して、水平に堆積したCNTは変動する不安定な電圧サイクルを示す(図8A、Bおよび図9)。
【0088】
[00111]GCNT-Liの比容量は、4mAh・cm-2まで(25.3Ah・g-1
G-CNT)まで時間制御の定電流Li挿入によって調整できる(図9A)。0.4~4mAh・cm-2(2~25.3Ah・g-1 G-CNT)の容量を有するGCNT-Li電極は、平坦な電圧プロフィールおよび樹枝状晶を生じないLi挿入を伴うものとして示される(図9Aおよび図10)。大きな面積容量は高い体積容量を証明する(図10)。0.7mAh・cm-2(4.4Ah・g-1 G-CNT)についてLiの挿入曲線と抽出曲線の間の100mVの小さな電圧ギャップが観察され、これは4mAh・cm-2(25.3Ah・g-1 G-CNT)において200mVまで増大するが、これはおそらく、挿入されたLiが濃厚になるためか、あるいは固体電解質の界面(SEI)層が厚くなるためである。
【0089】
[00112]25.3Ah・g-1 G-CNTの容量によって(図9B)、GCNTはその
重量の6.6倍のLiを貯蔵し、これは黒鉛が貯蔵する量(372mAh・g-1 )よりも68倍大きく、またSiが貯蔵する量(3859mAh・g-1 Si)よりも6.6倍大きい。その容量はその他のLi貯蔵材料をも超える。容量を計算するのにLiの質量も含めると、GCNT-Liは3351mAh・g-1 GCNT-Liの容量を有し、これはLiの理論容量(3860mAh・g-1 Li)に極めて近い。この点について、GCNT-Li(3351mAh・g-1 GCNT-Li)はLi15Si(1857mAh・g-1 Li15Si4)よりも1.8倍大きなLi含有量を有し、またLiC(339mAh・g-1 LiC6)よりも9.9倍大きなLi含有量を有する(図9C)。
【0090】
[00113]GCNT-Li電極は、増大した電流密度の下で、面積および重量測定の両方
において高い比容量を示す。図9Dにおいて、GCNTは、10mA・cm-2(58A・g-1 G-CNT)程度まで大きな速度でLiを挿入および抽出し、約0.7mAh・cm-2(4.4Ah・g-1 G-CNT)の容量を生み出すものとして示されていて、これは電流密度とは無関係である。曲線が平坦であることは4mA・cm-2(23A・g-1 G-CNT)まで維持される。しかし、10mA・cm-2(58A・g-1)におけるGCNT-Liのサイクルの間に、顕著な分極がLiの挿入・抽出の曲線から観察され、比較的低い電流密度において特徴的な平坦さは失われる。
【0091】
[00114]図9Eに示すように、GCNT-Liは、大きな電流密度において極めて高い
クーロン効率と良好なサイクル安定性を維持する。この高い電流性能は、他のLIB電極で報告された値に取って代わる。さらに、GCNTモノリスの最適な導電性は、導電性の添加剤を必要とすることなく電子の輸送を容易にする。グラフェン上でのCNTの継ぎ目のない成長(この場合、グラフェンはCuと密接に接触して成長する)は、電極と集電体どうしの抵抗を消去する。CNTの垂直なカーペット状の特徴は、曲がりくねりのないLiの挿入と抽出ならびに柔軟なCNTの動きによって、Liイオンの拡散を高めるだろう。
【0092】
[00115]さらなる実験において、5mAh・cm-2に達するまで、GCNTの中に過
剰なLiを挿入した(図11A)。次いで、クーロン効率を安定化させるために、5サイクルにわたって電極の脱リチウム化とリチウム化を行った。次いで、容量が1mAh・cm-2になるまで、GCNT-LiをLiの挿入/抽出のサイクルに供し(図11B)、それにより4mAh・cm-2と等価の過剰なLiが生じた。これにより電極のサイクル寿命は著しく改善し、500サイクル後でも寿命が低下する兆候はなく、またクーロン効率は100%であった(図11C、D)。
【0093】
[00116]さらに、GCNT-Liのアノードを硫黄のカソードと結合させて、完成した
Li-硫黄電池を製造した。GCNT-Liの面積容量は硫黄のカソードの面積容量と調和した。図12に示すように、2.3Vおよび2.1Vにおいて硫黄のリチウム化の二つの特徴的な平坦域が現れる。生じる硫黄のリチウム化生成物(多硫化リチウム)はLi-硫黄電池のサイクル寿命を低下させるものとして知られている。その理由は、それらが、GCNT-Liにおいて挿入されるようなLi金属のアノードと反応するからである。
【0094】
[00117]そのため、カソード側への多硫化リチウムを抑制するために、セパレータの上
にグラフェンのナノリボンの層を堆積させ、それにより電池の安定性を改善した。加えて、セル全体の充電と放電の間で190mVの小さな電圧ギャップが観察される。電池は800mAh・g-1(2mAh・cm-2)の比容量を出し、これは黒鉛/LiCoO系における約100mAh・g-1の理論容量をはるかに超えている。硫黄のカソードの比較的低い電圧という特徴にもかかわらず、この高い容量は、電池が約1840Wh・kg-1の大きなエネルギー密度を備えることを可能にするものであり、このエネルギー密度は黒鉛/LiCoOセルについての300Wh・kg-1の6倍を超える。
【0095】
[00118]さらに、GCNT-LiとLiCoOから製造される完成した電池が実証さ
れる(図13)。最初のサイクルの放電について、重量エネルギー密度は310Wh・kg-1である。
【0096】
[00119]実施例1.1.GCNTの調製
[00120]GCNTの調製は前に報告した方法と同様であった。WO 2013/119295を参照されたい。他の場所で報告されているように、最初に、CVD法を用いて銅箔(25μm)の上にバナール式に(最密無秩序充填式に)積層した多層グラフェンを成長させた。このグラフェン/Cu箔の上にCNTの成長のための触媒を電子ビーム蒸発によって堆積し、それによりグラフェン/Fe(1nm)/Al(3nm) を形成した。750℃において水支援の(water-assisted)CVD法を用いて、減圧下でCNTの成長を行った。最初に、熱フィラメント(0.25mmのWワイヤ、10A、30W)の表面上で30秒にわたって25トル(210sccmのH、2sccmのCおよび超純粋によって200sccmのHを泡立てることによって発生した水蒸気)の下でHを分解することによってその場で(in situ)発生した原子状水素(H・)を用いることによって、触媒を活性化させた。30秒にわたって触媒を活性化した後、圧力を8.3トルまで低下させ、そして15分にわたって成長を行った。
【0097】
[00121]実施例1.2.GCNTへのLiの電気化学的な挿入(および抽出)
[00122]GCNTの基板とLi箔を用いて、これら両者を対電極および参照電極として
2032コイン型セルにおいて電気化学反応を行った。GCNT基板は、総面積が約2cmの円形である。用いた電解質は1,2-ジメトキシエタン(DME)中の4M リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)(Oakwood Inc.)であった。LiFSI塩は100℃において24時間にわたって(20トル未満で)真空乾燥し、またDMEはNaストリップの上で蒸留した。全ての実験は、5未満の酸素レベルを有するグローブボックスの内部で行った。セパレータはセルガード(Celgard)膜 K2045であった。
【0098】
[00123]コインセルを組み立てる前に、GCNTの表面上に電解液を一滴垂らし、GC
NTに対してLiコインを軽く押し当て、そして上にLiコインを残したまま3時間置くことによって、GCNT基板を予めリチウム化した。この予備処理の間に過剰な量の電解質溶液を添加することは、GCNTとLiの間の接触が不十分になるために、効果のない予備的リチウム化がもたらされることがわかった。前もってのリチウム化の後に、この予備的リチウム化において用いられたものと同じLiチップを用いて、GCNTをコインセルの中に組み入れた。電気化学測定(挿入/抽出およびサイクル)のための電流密度は1~10mA・cm-2の範囲であり、全てを室温において行った。Liめっき(放電プロセス)のために、定電流管理を伴う時間制御のプロセスを適用し、終止電圧の限界は設定しなかった。除去のプロセス(充電プロセス)は、1V(対Li/Li)の終止電圧を用いて定電流管理にセットした。銅箔を用いて対照の実験を行い、その上にCVDによってグラフェンを成長させた。
【0099】
[00124]実施例1.3.材料の分析
[00125]Liの挿入/抽出を行った後、GCNT電極の形態を点検するために、グロー
ブボックスの内部でコインセルを分解した。FE-SEM(JEOL 6500F)を用いて、20kVの加速電圧においてGCNT電極のSEM画像を得た。GCNT基板をアセトニトリル中で超音波処理し、分散液をTEMグリッドの上に滴下することによってサンプルを調製した後、高解像度のTEM(HRTEM)画像(JEOL FEG-2100F)を得た。
【0100】
[00126]さらに詳しく説明しなくても、当業者であれば、本明細書の説明を用いて本発
明を最大限に利用することができると考える。ここで説明した態様は例示のものであると
解釈され、この開示の残りのものをいかなるやり方でも制限しないと解釈されるべきであ
る。好ましい態様が示され、そして説明されたが、それらの多くの変形や修正が、本発明
の精神と教示から逸脱することなく当業者によって成され得る。従って、保護の範囲は上
で示した記載によっては制限されず、それは特許請求の範囲によってのみ制限され、その
保護の範囲には特許請求の範囲の主題の全ての同等物も含まれる。ここで挙げた全ての特
許、特許出願および刊行物の開示は、本明細書で示したものと一致してそれを補足する手
順上の詳細またはその他の詳細を提供する限り、本明細書に参考文献として取り込まれる

請求項1:複数の垂直に整列したカーボンナノチューブ、および
垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされた金属、
を含む電極。
請求項2:垂直に整列したカーボンナノチューブは、単層のカーボンナノチューブ、二層のカーボンナノチューブ、三層のカーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブ、極めて短いカーボンナノチューブ、小さな直径のカーボンナノチューブ、純粋なカーボンナノチューブ、官能化したカーボンナノチューブ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の電極。
請求項3:垂直に整列したカーボンナノチューブには、垂直に整列した単層カーボンナノチューブが含まれる、請求項1に記載の電極。
請求項4:垂直に整列したカーボンナノチューブがアレイの形態である、請求項1に記載の電極。
請求項5:垂直に整列したカーボンナノチューブは約10μmから約2mmまでの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の電極。
請求項6:垂直に整列したカーボンナノチューブは約10μmから約100μmまでの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の電極。
請求項7:垂直に整列したカーボンナノチューブは基板と組み合わされている、請求項1に記載の電極。
請求項8:基板は集電体として機能する、請求項7に記載の電極。
請求項9:基板は、ニッケル、コバルト、鉄、白金、金、アルミニウム、クロム、銅、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ロジウム、ルテニウム、ケイ素、タンタル、チタン、タングステン、ウラン、バナジウム、ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭素、炭素をベースとする基板、ダイヤモンド、これらの合金、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の電極。
請求項10:基板には、黒鉛基板、グラフェン、黒鉛、バッキーペーパー、炭素繊維、炭素繊維の紙、カーボン紙、グラフェンペーパー、炭素の薄膜、金属炭化物、炭化ケイ素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される炭素をベースとする基板が含まれる、請求項7に記載の電極。
請求項11:基板にはグラフェンの薄膜が含まれる、請求項7に記載の電極。
請求項12:垂直に整列したカーボンナノチューブは基板に共有結合されている、請求項7に記載の電極。
請求項13:垂直に整列したカーボンナノチューブはグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料の形になっている、請求項1に記載の電極。
請求項14:グラフェン-カーボンナノチューブ混成材料は、
グラフェンの薄膜、および
グラフェンの薄膜に共有結合した垂直に整列したカーボンナノチューブ、
を含む、請求項13に記載の電極。
請求項15:垂直に整列したカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブとグラフェンの薄膜との間の一つ以上の接合点において炭素-炭素結合によってグラフェンの薄膜に共有結合している、請求項14に記載の電極。
請求項16:グラフェンの薄膜には、単層のグラフェン、数層のグラフェン、二層のグラフェン、三層のグラフェン、多層のグラフェン、グラフェンのナノリボン、酸化グラフェン、還元された酸化グラフェン、黒鉛、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の電極。
請求項17:グラフェンの薄膜と組み合わされた基板をさらに含む、請求項14に記載の電極。
請求項18:基板には銅の基板が含まれる、請求項17に記載の電極。
請求項19:金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属、希土類金属、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の電極。
請求項20:金属は、Li、Na、K、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Sb、Pb、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の電極。
請求項21:金属にはリチウムが含まれる、請求項1に記載の電極。
請求項22:金属は垂直に整列したカーボンナノチューブと、電極が動作する間にその場で組み合わされた状態になる、請求項1に記載の電極。
請求項23:金属は垂直に整列したカーボンナノチューブと可逆的に組み合わされる、請求項1に記載の電極。
請求項24:垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされた金属には、樹枝状晶またはこけ状の凝集物が存在しない、請求項1に記載の電極。
請求項25:金属は、垂直に整列したカーボンナノチューブの表面上で非樹枝状の形またはこけ状ではないコーティングの形になっている、請求項1に記載の電極。
請求項26:金属は、垂直に整列したカーボンナノチューブの束の中に浸入している、請求項1に記載の電極。
請求項27:垂直に整列したカーボンナノチューブは集電体として機能し、金属は活物質として機能する、請求項1に記載の電極。
請求項28:垂直に整列したカーボンナノチューブは電極の活性層として機能する、請求項1に記載の電極。
請求項29:電極はアノードである、請求項1に記載の電極。
請求項30:電極はカソードである、請求項1に記載の電極。
請求項31:電極は約2000m /gよりも大きな表面積を有する、請求項1に記載の電極。
請求項32:電極は約75重量%から約2000重量%までの範囲の金属貯蔵容量を有する、請求項1に記載の電極。
請求項33:電極は約600重量%から約700重量%までの範囲の金属貯蔵容量を有する、請求項1に記載の電極。
請求項34:電極は約400mAh/gよりも大きな比容量を有する、請求項1に記載の電極。
請求項35:電極は約2000mAh/gよりも大きな比容量を有する、請求項1に記載の電極。
請求項36:電極は約3000mAh/gから約4000mAh/gまでの範囲の比容量を有する、請求項1に記載の電極。
請求項37:電極は約0.1mAh/cm から約20mAh/cm までの範囲の面積容量を有する、請求項1に記載の電極。
請求項38:電極はエネルギー貯蔵装置の構成要素である、請求項1に記載の電極。
請求項39:エネルギー貯蔵装置は、コンデンサー、電池、光起電力装置、光起電力セル、トランジスタ、集電体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項38に記載の電極。
請求項40:エネルギー貯蔵装置は電池である、請求項38に記載の電極。
請求項41:電池は、再充電式電池、非再充電式電池、マイクロ電池、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ナトリウム空気電池、マグネシウムイオン電池、マグネシウム硫黄電池、マグネシウム空気電池、アルミニウムイオン電池、アルミニウム硫黄電池、アルミニウム空気電池、カルシウムイオン電池、カルシウム硫黄電池、カルシウム空気電池、亜鉛イオン電池、亜鉛硫黄電池、亜鉛空気電池、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項40に記載の電極。
請求項42:エネルギー貯蔵装置はリチウムイオン電池である、請求項38に記載の電極。
請求項43:エネルギー貯蔵装置はコンデンサーである、請求項38に記載の電極。
請求項44:コンデンサーはリチウムイオンコンデンサーである、請求項43に記載の電極。
請求項45:エネルギー貯蔵装置は約100mAh/gよりも大きな比容量を有する、請求項38に記載の電極。
請求項46:エネルギー貯蔵装置は約100mAh/gから約2000mAh/gまでの範囲の比容量を有する、請求項38に記載の電極。
請求項47:エネルギー貯蔵装置は約300Wh/kgよりも大きなエネルギー密度を有する、請求項38に記載の電極。
請求項48:エネルギー貯蔵装置は約300Wh/kgから約3000Wh/kgまでの範囲のエネルギー密度を有する、請求項38に記載の電極。
請求項49:電極を製造する方法であって、この方法は、複数の垂直に整列したカーボンナノチューブに金属を付与することを含み、これにより金属は垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わさった状態になる、前記方法。
請求項50:付与することは、ろ過、限外ろ過、塗布、回転塗布、噴霧、噴霧塗布、パターン形成、混合、配合、熱活性化、電着、電気化学的電着、ドクターブレード塗布、スクリーン印刷、グラビア印刷、直接書き込み印刷、インクジェット印刷、機械的な加圧、溶融、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって行われる、請求項49に記載の方法。
請求項51:付与することは電気化学的な堆積によって行われる、請求項49に記載の方法。
請求項52:付与することは電極が動作している間にその場で行われる、請求項49に記載の方法。
請求項53:垂直に整列したカーボンナノチューブは、単層のカーボンナノチューブ、二層のカーボンナノチューブ、三層のカーボンナノチューブ、多層のカーボンナノチューブ、極めて短いカーボンナノチューブ、小さな直径のカーボンナノチューブ、純粋なカーボンナノチューブ、官能化したカーボンナノチューブ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
請求項54:垂直に整列したカーボンナノチューブには、垂直に整列した単層カーボンナノチューブが含まれる、請求項49に記載の方法。
請求項55:垂直に整列したカーボンナノチューブがアレイの形態である、請求項49に記載の方法。
請求項56:垂直に整列したカーボンナノチューブは基板と組み合わされている、請求項49に記載の方法。
請求項57:基板は集電体として機能する、請求項56に記載の方法。
請求項58:垂直に整列したカーボンナノチューブは基板に共有結合されている、請求項56に記載の方法。
請求項59:垂直に整列したカーボンナノチューブはグラフェン-カーボンナノチューブ混成材料の形になっている、請求項49に記載の方法。
請求項60:グラフェン-カーボンナノチューブ混成材料は、
グラフェンの薄膜、および
グラフェンの薄膜に共有結合した垂直に整列したカーボンナノチューブ、
を含む、請求項59に記載の方法。
請求項61:グラフェンの薄膜と組み合わされた基板をさらに含む、請求項60に記載の方法。
請求項62:金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属、希土類金属、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
請求項63:金属は、Li、Na、K、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Sb、Pb、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
請求項64:金属は垂直に整列したカーボンナノチューブと可逆的に組み合わされる、請求項49に記載の方法。
請求項65:垂直に整列したカーボンナノチューブと組み合わされた金属には、樹枝状晶またはこけ状の凝集物が存在しない、請求項49に記載の方法。
請求項66:金属は、垂直に整列したカーボンナノチューブの表面上で非樹枝状の形またはこけ状ではないコーティングの形になっている、請求項49に記載の方法。
請求項67:金属は、垂直に整列したカーボンナノチューブの束の中に浸入している、請求項49に記載の方法。
請求項68:垂直に整列したカーボンナノチューブは集電体として機能し、金属は活物質として機能する、請求項49に記載の方法。
請求項69:電極をエネルギー貯蔵装置の構成要素として組み入れる工程をさらに含む、請求項49に記載の方法。
請求項70:エネルギー貯蔵装置は、コンデンサー、電池、光起電力装置、光起電力セル、トランジスタ、集電体、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
請求項71:エネルギー貯蔵装置は電池である、請求項69に記載の方法。
請求項72:電池は、再充電式電池、非再充電式電池、マイクロ電池、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ナトリウム空気電池、マグネシウムイオン電池、マグネシウム硫黄電池、マグネシウム空気電池、アルミニウムイオン電池、アルミニウム硫黄電池、アルミニウム空気電池、カルシウムイオン電池、カルシウム硫黄電池、カルシウム空気電池、亜鉛イオン電池、亜鉛硫黄電池、亜鉛空気電池、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
請求項73:エネルギー貯蔵装置はリチウムイオン電池である、請求項69に記載の方法。
請求項74:エネルギー貯蔵装置はコンデンサーである、請求項69に記載の方法。
請求項75:コンデンサーはリチウムイオンコンデンサーである、請求項74に記載の方法。
【符号の説明】
【0101】
30 電極、 32 金属、 34 垂直に整列したカーボンナノチューブ、 35 カーボンナノチューブのアレイ(配列)、 36 接合点、 38 グラフェンの薄膜、40 基板、 50 電池、 52 カソード、 54 電解質、 56 アノード。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13