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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ダクト式船舶用プロペラ
(51)【国際特許分類】
   B63H 5/14 20060101AFI20221004BHJP
   B63B 1/32 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B63H5/14
B63B1/32 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021529510
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2019103194
(87)【国際公開番号】W WO2020057340
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-02-01
(31)【優先権主張番号】201811094434.7
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521047133
【氏名又は名称】浙江唯海科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】付 小華
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1095029(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0252286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0064771(US,A1)
【文献】特開平09-071296(JP,A)
【文献】実開平06-085190(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 5/14
B63B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト式船舶用プロペラであって、プロペラと、船体の下部に設けられたシェルと、シェル内に配置された中間仕切りと、中間仕切りの両側に対称的に設けられ、シェルの前端を貫通する2つの流入路と、中間仕切りに設けられた組み込みラダーと、シェルの後端に設けられ、前端が流入路の後端に連通する流出路とを含み、プロペラは、流出路内に配置され、流入路の入口端の下側は、船体の無負荷喫水線よりも低く、
前記組み込みラダーは、中間仕切りの両側端部に対称的に設けられ、前端が中間仕切りの両側端部に1つずつヒンジで接続された2つのサイドラダープレートと、中間仕切りに設けられ、かつその一端が2つのサイドラダープレートの前端に1つずつ接続された前部レバーとを含む、ことを特徴とする
ダクト式船舶用プロペラ。
【請求項2】
さらに、シェルの後端に設けられ、かつ対称的に配置された2つのサブラダーで構成される緊急停止及び逆転ラダーを含み、サブラダーは、横方向ヒンジシャフトを介してその一端がシェルの上端とヒンジで接続されたサブラダープレートと、シェルの上端とヒンジで接続されたシリンダーとを含み、シリンダーのピストンロッドはサブラダーとヒンジで接続され、サブラダーは使用時には流出路の後端に対向し、サブラダーは使用されない時には流出路の上部に向きを変える、ことを特徴とする
請求項1に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【請求項3】
前記サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、一方のサブラダープレートの片側端は他方のサブラダープレートの片側端に接触し、かつ2つのサブラダープレートの凸状端部は互いに反対の外側にある、ことを特徴とする
請求項に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【請求項4】
前記流入路の断面積は、流出路の断面積よりも大きく、流入路の前端の断面積は、流出路の後端の断面積よりも大きい、ことを特徴とする
請求項1~3のいずれか1項に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の分野、特にダクト式船舶用プロペラに関する。
【背景技術】
【0002】
航行中の船舶に対する主な抵抗は、摩擦抵抗、造波抵抗、及び粘性圧力抵抗であるが、船舶の高速航行に対する主な制限は、全抵抗の50%以上に達する可能性のある造波抵抗である。造波抵抗とは、船が前進するときに船の前部の水を押しのけるときに船が受ける抵抗であり、この過程で、船首の水が絞られて上向きにアーチ状になるため、発生する船首波はさらに造波抵抗を増加させ、他の通常の波と衝突し、したがって、船が速いほど造波抵抗は大きくなる。外部プロペラと船尾ラダーを備えた船には、高速航行中、造波抵抗が増加すると電力損失が増加し、航行が十分に安定しないという欠点がある。したがって、高速航行時の造波抵抗が低く、電力損失が少なく、そして航行が安定しているダクト式船舶用プロペラの設計が解決すべき緊急の課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、外部プロペラと船尾ラダーを備えた現在の船舶には、高速航行中、造波抵抗が増加すると電力損失が増加し、航行が十分に安定しないという欠点を克服するために、高速航行時の造波抵抗が低く、電力損失が少なく、そして航行が安定しているダクト式船舶用プロペラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の具体的な技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0005】
ダクト式船舶用プロペラであって、プロペラと、船体の下部に設けられたシェルと、シェル内に配置された中間仕切りと、中間仕切りの両側に対称的に設けられ、シェルの前端を貫通する2つの流入路と、中間仕切りに設けられた組み込みラダーと、シェルの後端に設けられ、前端が流入路の後端と連通する流出路とを含む。プロペラは、流出路内に配置され、流入路の入口端の下側は、船体の無負荷喫水線よりも低い。前記ダクト式船舶用プロペラは、航行中、水流が船体の前端を貫通する2本の流入路を通って入り、水による船首の抵抗と圧迫を低減し、高速航行時の造波抵抗が少なくなって電力損失を低減させ、安定して航行することができる。船舶の航行方向は組み込みラダーで調整し、プロペラと組み込みラダーが漁網や水生植物などに掛からず、サンゴ礁などと衝突することなくシェルに埋め込まれるため、安全性と耐用年数が向上する。
【0006】
好ましくは、前記組み込みラダーは、中間ラダープレートと、後端が中間ラダープレートの上端に接続された中間レバーと、上端が中間ラダープレートの前端に接続され、かつ中間仕切りの後端にヒンジで接続された前部ラダーシャフトとを含む。組み込みラダーの構造はシンプルで実用的である。
【0007】
好ましくは、前記組み込みラダーは、中間仕切りの両側端部に対称的に設けられ、前端が中間仕切りの両側端部に1つずつヒンジで接続された2つのサイドラダープレートと、中間仕切りに設けられ、かつその一端が2つのサイドラダープレートの前端に1つずつ接続された前部レバーとを含む。組み込みラダーの構造はシンプルで実用的である。
【0008】
好ましくは、前記ダクト式船舶用プロペラは、さらに、シェルの後端に設けられ、かつ対称的に配置された2つのサブラダーで構成される緊急停止及び逆転ラダーを含む。サブラダーは、横方向ヒンジシャフトを介してその一端がシェルの上端とヒンジで接続されたサブラダープレートと、シェルの上端とヒンジで接続されたシリンダーとを含む。シリンダーのピストンロッドはサブラダーとヒンジで接続される。サブラダーは使用時には流出路の後端に対向している。サブラダーは使用されない時には流出路の上部に向きを変える。緊急停止及び逆転ラダーは船舶の緊急停止または逆転を迅速に実現できる。緊急停止または逆転が必要な場合、緊急停止及び逆転ラダーのシリンダーのピストンロッドが伸びて、サブラダープレートが流出路の後端と対向するように下向きに回転して緊急停止及び逆転させるとともに、2つのサブラダープレートの相対位置を調整することで、船舶の航行方向を調整することも可能である。
【0009】
好ましくは、前記サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、一方のサブラダープレートの片側端は他方のサブラダープレートの片側端に接触し、かつ2つのサブラダープレートの凸状端部は互いに反対の外側にある。サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、船舶の緊急停止または逆転、及び船舶の航行方向の調整に役立ち、水流抵抗の低減にも役立つ。
【0010】
好ましくは、前記流入路の断面積は、流出路の断面積よりも大きく、流入路の前端の断面積は、流出路の後端の断面積よりも大きい。流入路への船首水の急速な流入に役立ち、水による船首の抵抗と圧迫を軽減し、高速航行時の造波抵抗を低減する効果はより優れる。
【0011】
ダクト式船舶用プロペラであって、プロペラと、船体の下部に設けられたシェルと、シェル内に水平方向に対称に設けられ、かつシェルの前端を貫通する2つの水路とを含む。水路の前端と後端、及びシェルの前端と後端は1対1で通じる。2つのプロペラがある。2つのプロペラが2つの水路に1つずつ設けられる。水路の入口端の下側は、船体の無負荷喫水線よりも低い。前記ダクト式船舶用プロペラは、航行中、水流が船体の前端を貫通する2本の水路を通って入り、水による船首の抵抗と圧迫を低減し、高速航行時の造波抵抗が少なくなって電力損失を低減させ、かつ安定して航行することができ、2つのプロペラの速度差を調整することにより、船舶の航行方向を調整することができ、プロペラが漁網や水生植物などに掛からず、サンゴ礁などと衝突することなくシェルに埋め込まれるため、安全性と耐用年数が向上する。
【0012】
好ましくは、前記ダクト式船舶用プロペラは、さらに、シェルの後端に設けられ、かつ対称的に配置された2つのサブラダーで構成される緊急停止及び逆転ラダーを含む。サブラダーは、横方向ヒンジシャフトを介してその一端がシェルの上端とヒンジで接続されたサブラダープレートと、シェルの上端とヒンジで接続されたシリンダーとを含む。シリンダーのピストンロッドはサブラダーとヒンジで接続される。サブラダーは使用時には水路の後端に対向している。サブラダーは使用されない時には水路の上部に向きを変える。緊急停止及び逆転ラダーは船舶の緊急停止または逆転を迅速に実現できる。緊急停止または逆転が必要な場合、緊急停止及び逆転ラダーのシリンダーのピストンロッドが伸びて、サブラダープレートが水路の後端と対向するように下向きに回転して緊急停止及び逆転させるとともに、2つのサブラダープレートの相対位置を調整することで、船舶の航行方向を調整することも可能である。
【0013】
好ましくは、前記サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、一方のサブラダープレートの片側端は他方のサブラダープレートの片側端に接触し、かつ2つのサブラダープレートの凸状端部は互いに反対の外側にある。サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、船舶の緊急停止または逆転、及び船舶の航行方向の調整に役立ち、水流抵抗の低減にも役立つ。
【0014】
好ましくは、前記水路の前端の断面積は、水路の後端の断面積よりも大きい。水路への船首水の急速な流入に役立ち、水による船首の抵抗と圧迫を軽減し、高速航行時の造波抵抗を低減する効果はより優れる。
【0015】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は以下のとおりである。前記ダクト式船舶用プロペラは、航行中、水流が船体の前端を貫通する2本の流入路を通って入り、水による船首の抵抗と圧迫を低減し、高速航行時の造波抵抗が少なくなって電力損失を低減させ、安定して航行することができる。船舶の航行方向は組み込みラダーで調整し、プロペラと組み込みラダーが漁網や水生植物などに掛からず、サンゴ礁などと衝突することなくシェルに埋め込まれるため、安全性と耐用年数が向上する。または、前記ダクト式船舶用プロペラは、航行中、水流が船体の前端を貫通する2本の水路を通って入り、水による船首の抵抗と圧迫を低減し、高速航行時の造波抵抗が少なくなって電力損失を低減させ、安定して航行することができ、2つのプロペラの速度差を調整することにより、船舶の航行方向を調整することができ、プロペラが漁網や水生植物などに掛からず、サンゴ礁などと衝突することなくシェルに埋め込まれるため、安全性と耐用年数が向上する。組み込みラダーの構造はシンプルで実用的である。緊急停止及び逆転ラダーは船舶の緊急停止または逆転を迅速に実現できる。緊急停止または逆転が必要な場合、緊急停止及び逆転ラダーのシリンダーのピストンロッドが伸びて、サブラダープレートが流出路の後端または水路の後端と反対になるように下向きに回転して緊急停止及び逆転させるとともに、2つのサブラダープレートの相対位置を調整することで、船舶の航行方向を調整することも可能である。サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、船舶の緊急停止または逆転、及び船舶の航行方向の調整に役立ち、水流抵抗の低減にも役立つ。流入路の断面積は、流出路の断面積よりも大きく、流入路の前端の断面積は、流出路の後端の断面積よりも大きく、流入路への船首水の急速な流入に役立ち、水による船首の抵抗と圧迫を軽減し、高速航行時の造波抵抗を低減する効果はより優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明における実施例1の概略構造図である。
図2】使用中の緊急停止及び逆転ラダーの状態図である。
図3図1の上面図である。
図4】Aは緊急停止及び逆転用の緊急停止及び逆転ラダーの状態図であり、B及びCはそれぞれ右旋回または左旋回用の緊急停止及び逆転ラダーの状態図である。
図5】別の組み込みラダーの概略構造図である。
図6図5における使用時の組み込みラダーの状態図である。
図7】Dはサブラダーの概略構造図であり、EはDの左側面図であり、FはDの上面図である。
図8】本発明における実施例2の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明についてさらに説明する。
【0018】
実施例1は、図1図7に示すとおり、ダクト式船舶用プロペラであって、プロペラ1と、船体(図示せず)の下部に設けられたシェル2と、シェル2内に配置された中間仕切り3と、中間仕切り3の両側に対称的に設けられ、シェル2の前端を貫通する2つの流入路4と、中間仕切り3に設けられた組み込みラダーと、シェル2の後端に設けられ、前端が流入路4の後端と連通する流出路5とを含む。プロペラ1は、流出路5内に配置され、流入路4の入口端の下側は、船体の無負荷喫水線よりも低い。流入路4の水平正中面は、船体の全負荷喫水線よりも低い。
【0019】
前記組み込みラダーは、中間ラダープレート6と、後端が中間ラダープレート6の上端に接続された中間レバー7と、上端が中間ラダープレート6の前端にネジ接続され、かつ中間仕切り3の後端にヒンジで接続された前部ラダーシャフト8とを含む。
【0020】
前記別の構造の組み込みラダーは、中間仕切り3の両側端部に対称的に設けられ、前端が中間仕切り3の両側端部に1つずつヒンジ接続された2つのサイドラダープレート9と、中間仕切り3に設けられ、かつその一端が2つのサイドラダープレート9の前端に1つずつネジ接続された前部レバー10とを含む。
【0021】
前記ダクト式船舶用プロペラは、さらに、シェル2の後端に設けられ、かつ対称的に配置された2つのサブラダーで構成される緊急停止及び逆転ラダー11を含む。サブラダーは、横方向ヒンジシャフト12を介してその一端がシェル2の上端とヒンジで接続されたサブラダープレート13と、シェル2の上端とヒンジで接続されたシリンダー14とを含む。シリンダー14のピストンロッドはサブラダー13とヒンジで接続される。サブラダーは使用時には流出路5の後端に対向している。サブラダーは使用されない時には流出路5の上部に向きを変える。
【0022】
前記サブラダープレート13の形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは60度であり、一方のサブラダープレート13の片側端は他方のサブラダープレート13の片側端に接触し、かつ2つのサブラダープレート13の凸状端部は互いに反対の外側にある。
【0023】
前記流入路4の断面積は、流出路5の断面積よりも大きく、流入路4の前端の断面積は、流出路4の後端の断面積よりも大きい。
【0024】
前記ダクト式船舶用プロペラを使用するとき、組み込みラダーで船舶の航行方向を調整し、緊急停止または逆転が必要な場合、緊急停止及び逆転ラダー11のシリンダー14のピストンロッドが伸びて、サブラダープレート13が流出路5の後端と反対になるように下向きに回転して緊急停止及び逆転させるとともに、2つのサブラダープレート13の相対位置を調整することで、船舶の航行方向を調整することも可能である。
【0025】
実施例2は、図8に示すとおり、かつ、図1図4及び図7を参照する、ダクト式船舶用プロペラであって、プロペラ1と、船体の下部に設けられたシェル2と、シェル2内に水平方向に対称に設けられ、かつシェル2の前端を貫通する2つの水路15とを含む。水路15の前端と後端、及びシェル2の前端と後端は1対1で通じる。2つのプロペラ1がある。2つのプロペラ1が2つの水路15に1つずつ設けられる。水路15の入口端の下側は、船体の無負荷喫水線よりも低い。水路15の水平正中面は、船体の全負荷喫水線よりも低い。
【0026】
前記ダクト式船舶用プロペラは、さらに、シェル2の後端に設けられ、かつ対称的に配置された2つのサブラダーで構成される緊急停止及び逆転ラダー11を含む。サブラダーは、横方向ヒンジシャフト12を介してその一端がシェル2の上端とヒンジで接続されたサブラダープレート13と、シェル2の上端とヒンジで接続されたシリンダー14とを含む。シリンダー14のピストンロッドはサブラダー13とヒンジで接続される。サブラダーは使用時には水路15の後端に対向している。サブラダーは使用されない時には水路15の上部に向きを変える。
【0027】
前記サブラダープレート13の形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは60度であり、一方のサブラダープレート13の片側端は他方のサブラダープレート13の片側端に接触し、かつ2つのサブラダープレート13の凸状端部は互いに反対の外側にある。
【0028】
前記水路15の前端の断面積は、水路15の後端の断面積よりも大きい。
【0029】
前記ダクト式船舶用プロペラを使用するとき、2つのプロペラ1の速度差を調整することにより、船舶の航行方向を調整することができ、緊急停止または逆転が必要な場合、緊急停止及び逆転ラダー11のシリンダー14のピストンロッドが伸びて、サブラダープレート13が流出路5の後端と対向するように下向きに回転して緊急停止及び逆転させるとともに、2つのサブラダープレート13の相対位置を調整することで、船舶の航行方向を調整することも可能である。
【0030】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。前記ダクト式船舶用プロペラは、航行中、水流が船体の前端を貫通する2本の流入路を通って入り、水による船首の抵抗と圧迫を低減し、高速航行時の造波抵抗が少なくなって電力損失を低減させ、安定して航行することができる。船舶の航行方向は組み込みラダーで調整し、プロペラと組み込みラダーが漁網や水生植物などに掛からず、サンゴ礁などと衝突することなくシェルに埋め込まれるため、安全性と耐用年数が向上する。または、前記ダクト式船舶用プロペラは、航行中、水流が船体の前端を貫通する2本の水路を通って入り、水による船首の抵抗と圧迫を低減し、高速航行時の造波抵抗が少なくなって電力損失を低減させ、かつ安定して航行することができ、2つのプロペラの速度差を調整することにより、船舶の航行方向を調整することができ、プロペラが漁網や水生植物などに掛からず、サンゴ礁などと衝突することなくシェルに埋め込まれるため、安全性と耐用年数が向上する。組み込みラダーの構造はシンプルで実用的である。緊急停止及び逆転ラダー11は船舶の緊急停止または逆転を迅速に実現できる。緊急停止または逆転が必要な場合、緊急停止及び逆転ラダー11のシリンダーのピストンロッドが伸びて、サブラダープレートが水路の後端と対向するように下向きに回転して緊急停止及び逆転させるとともに、2つのサブラダープレートの相対位置を調整することで、船舶の航行方向を調整することも可能である。サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは60度であり、船舶の緊急停止または逆転、及び船舶の航行方向の調整に役立ち、水流抵抗の低減にも役立つ。流入路の断面積は、流出路の断面積よりも大きく、流入路の前端の断面積は、流出路の後端の断面積よりも大きく、流入路への船首水の急速な流入に役立ち、水による船首の抵抗と圧迫を軽減し、高速航行時の造波抵抗を低減する効果はより優れる。
【0031】
上記の実施形態に加えて、本発明の特許請求の範囲及び明細書に開示された範囲内で、本発明の技術的特徴または技術的データは、創造的な作業なしに当技術分野の当業者が達成できる新しい実施形態を構成するように再選択及び結合でき、したがって、本発明に詳細に記載されていないこれらの実施形態もまた、本発明の特定の実施形態と見なされるべきであり、本発明の保護範囲に含まれる。
【0032】
(付記)
(付記1)
ダクト式船舶用プロペラであって、プロペラと、船体の下部に設けられたシェルと、シェル内に配置された中間仕切りと、中間仕切りの両側に対称的に設けられ、シェルの前端を貫通する2つの流入路と、中間仕切りに設けられた組み込みラダーと、シェルの後端に設けられ、前端が流入路の後端に連通する流出路とを含み、プロペラは、流出路内に配置され、流入路の入口端の下側は、船体の無負荷喫水線よりも低い、ことを特徴とする
ダクト式船舶用プロペラ。
【0033】
(付記2)
前記組み込みラダーは、中間ラダープレートと、後端が中間ラダープレートの上端に接続された中間レバーと、上端が中間ラダープレートの前端に接続され、かつ中間仕切りの後端にヒンジで接続された前部ラダーシャフトとを含む、ことを特徴とする
付記1に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【0034】
(付記3)
前記組み込みラダーは、中間仕切りの両側端部に対称的に設けられ、前端が中間仕切りの両側端部に1つずつヒンジで接続された2つのサイドラダープレートと、中間仕切りに設けられ、かつその一端が2つのサイドラダープレートの前端に1つずつ接続された前部レバーとを含む、ことを特徴とする
付記1に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【0035】
(付記4)
さらに、シェルの後端に設けられ、かつ対称的に配置された2つのサブラダーで構成される緊急停止及び逆転ラダーを含み、サブラダーは、横方向ヒンジシャフトを介してその一端がシェルの上端とヒンジで接続されたサブラダープレートと、シェルの上端とヒンジで接続されたシリンダーとを含み、シリンダーのピストンロッドはサブラダーとヒンジで接続され、サブラダーは使用時には流出路の後端に対向し、サブラダーは使用されない時には流出路の上部に向きを変える、ことを特徴とする
付記1または2または3に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【0036】
(付記5)
前記サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、一方のサブラダープレートの片側端は他方のサブラダープレートの片側端に接触し、かつ2つのサブラダープレートの凸状端部は互いに反対の外側にある、ことを特徴とする
付記4に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【0037】
(付記6)
前記流入路の断面積は、流出路の断面積よりも大きく、流入路の前端の断面積は、流出路の後端の断面積よりも大きい、ことを特徴とする
付記1または2または3に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【0038】
(付記7)
ダクト式船舶用プロペラであって、プロペラを含み、前記ダクト式船舶用プロペラは、さらに、船体の下部に設けられたシェルと、シェル内に水平方向に対称に設けられ、かつシェルの前端を貫通する2つの水路とを含み、水路の前端と後端、及びシェルの前端と後端は1対1で通じ、2つのプロペラがあり、2つのプロペラが2つの水路に1つずつ設けられ、水路の入口端の下側は、船体の無負荷喫水線よりも低い、ことを特徴とする
ダクト式船舶用プロペラ。
【0039】
(付記8)
さらに、シェルの後端に設けられ、かつ対称的に配置された2つのサブラダーで構成される緊急停止及び逆転ラダーを含み、サブラダーは、横方向ヒンジシャフトを介してその一端がシェルの上端とヒンジで接続されたサブラダープレートと、シェルの上端とヒンジで接続されたシリンダーとを含み、シリンダーのピストンロッドはサブラダーとヒンジで接続され、サブラダーは使用時には水路の後端に対向し、サブラダーは使用されない時には水路の上部に向きを変える、ことを特徴とする
付記7に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【0040】
(付記9)
前記サブラダープレートの形状は球形断面であり、球形断面の交点での2つの大きな円弧の接線間の角度αは50~70度であり、一方のサブラダープレートの片側端は他方のサブラダープレートの片側端に接触し、かつ2つのサブラダープレートの凸状端部は互いに反対の外側にある、ことを特徴とする
付記7または8に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【0041】
(付記10)
前記水路の前端の断面積は、水路の後端の断面積よりも大きい、ことを特徴とする
付記7または8に記載のダクト式船舶用プロペラ。
【符号の説明】
【0042】
プロペラ1、シェル2、中間仕切り3、流入路4、流出路5、中間ラダープレート6、中間レバー7、前部ラダーシャフト8、サイドラダープレート9、前部レバー10、緊急停止及び逆転ラダー11、横方向ヒンジシャフト12、サブラダー13、シリンダー14、水路15。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8