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特許7152081実装装置及び実装装置における平行度検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】実装装置及び実装装置における平行度検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20221004BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021562897
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2020029216
(87)【国際公開番号】W WO2022024291
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャンギーロブ アレクサンダー
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-017328(JP,A)
【文献】特開2016-139629(JP,A)
【文献】特開2010-114102(JP,A)
【文献】特開平04-076931(JP,A)
【文献】特開平04-076930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0061852(US,A1)
【文献】国際公開第2016/024364(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/50-21/52
H01L 21/60-21/607
H01L 21/67-21/687
H01L 21/02
H05K 13/00-13/08
G01B 5/24- 5/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被実装体に半導体チップを実装する実装装置における平行度検出方法であって、
前記被実装体が載置される載置面を含むステージと、前記ステージの前記載置面に対向する保持面で前記半導体チップを吸引保持するとともに前記ステージの前記載置面に沿うXY方向と前記載置面に接離するZ方向とに移動する実装ヘッドと、前記実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、を備える前記実装装置を準備する準備工程と、
前記ステージの前記載置面に所定高さの第1測定ツールを配置し、前記実装ヘッドを下降させて前記保持面が前記第1測定ツールの上端に接した際の前記実装ヘッドの第1高さを前記エンコーダで検出する動作を複数の測定位置で繰り返して実行して前記第1測定ツールの前記上端が前記保持面に接した際の前記実装ヘッドの複数の前記第1高さを検出する第1高さ検出工程と、
前記実装ヘッドの前記保持面に第2測定ツールを保持させ、前記実装ヘッドを下降させて前記保持面に保持させた前記第2測定ツールの下端が前記載置面に接した際の前記実装ヘッドの第2高さを前記エンコーダで検出する動作を複数の前記測定位置で繰り返して実行して前記第2測定ツールの下端が前記載置面に接した際の前記実装ヘッドの複数の前記第2高さを検出する第2高さ検出工程と、
複数の前記第1高さと複数の前記第2高さとに基づいて前記ステージの前記載置面と前記実装ヘッドの前記保持面との平行度を算出する平行度算出工程と、
を含むことを特徴とする平行度検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の平行度検出方法であって、
前記平行度算出工程は、
複数の前記測定位置における複数の前記第1高さの間の第1差と、複数の前記第2高さの間の第2差とを算出し、
前記第1差と前記第2差との差分の絶対値として前記平行度を算出すること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の平行度検出方法であって、
複数の前記測定位置は、X方向に並んだ一対の位置とY方向に並んだ他の一対の位置とであり、
前記平行度算出工程は、
前記一対の位置における一対の前記第1高さの間の第1X差と、一対の前記第2高さの間の第2X差とを算出し、
前記第1X差と前記第2X差の差分の絶対値としてX方向平行度を算出し、
前記他の一対の位置における他の一対の前記第1高さの間の第1Y差と、他の一対の前記第2高さの間の第2Y差とを算出し、
前記第1Y差と前記第2Y差の差分の絶対値としてY方向平行度を算出し、
前記X方向平行度と前記Y方向平行度との和として前記平行度を算出すること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項4】
請求項2に記載の平行度検出方法であって、
複数の前記測定位置は、X方向とY方向とに格子状に配置された4つの位置であり、
前記平行度算出工程は、
X方向に並んだ第1組の一対の位置における一対の前記第1高さの間の第1組第1X差と、X方向に並んだ第2組の一対の位置における一対の前記第1高さの間の第2組第1X差とを算出し、
前記第1組第1X差と前記第2組第1X差との平均値を第1X差として算出し、
前記第1組の一対の位置における一対の前記第2高さの間の第1組第2X差と、前記第2組の一対の位置における一対の前記第2高さの間の第2組第2X差とを算出し、
前記第1組第2X差と前記第2組第2X差との平均値を第2X差として算出し、
前記第1X差と前記第2X差との差分の絶対値としてX方向平行度を算出し、
Y方向に並んだ第3組の一対の位置における一対の前記第1高さの間の第3組第1Y差と、Y方向に並んだ第4組の一対の位置における一対の前記第1高さの間の第4組第1Y差とを算出し、
前記第3組第1Y差と前記第4組第1Y差との平均値を第1Y差として算出し、
前記第3組の一対の位置における一対の前記第2高さの間の第3組第2Y差と、前記第4組の一対の位置における一対の前記第2高さの間の第4組第2Y差とを算出し、
前記第3組第2Y差と第4組第2Y差との平均値を第2Y差として算出し、
前記第1Y差と前記第2Y差との差分の絶対値としてY方向平行度を算出し、
前記X方向平行度と前記Y方向平行度との和として前記平行度を算出すること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項5】
請求項4に記載の平行度検出方法であって、
前記保持面は四角面であり、
前記第1測定ツールの前記上端は前記保持面の四隅に順次接触すること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の平行度検出方法であって、
前記第1測定ツールと前記第2測定ツールとは、先端がとがった同一の錐体であり、
前記第1高さ検出工程で、前記錐体の底面が前記載置面に載置されると前記先端が前記第1測定ツールの前記上端となり、
前記第2高さ検出工程で、前記底面が前記保持面に保持されると前記先端が前記第2測定ツールの下端となること、
を特徴とする平行度検出方法。
【請求項7】
被実装体に半導体チップを実装する実装装置であって、
前記被実装体が載置される載置面を含むステージと、
前記ステージの前記載置面に対向する保持面で前記半導体チップを吸引保持するとともに前記ステージの前記載置面に沿うXY方向と前記載置面に接離するZ方向とに移動する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、
前記実装ヘッドの移動を調整する共に、前記エンコーダで検出した前記実装ヘッドの高さに基づいて前記ステージの前記載置面と前記実装ヘッドの前記保持面との平行度を算出する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ステージの前記載置面に所定高さの第1測定ツールを配置し、前記実装ヘッドを下降させて前記保持面が前記第1測定ツールの上端に接した際の前記実装ヘッドの第1高さを前記エンコーダで検出する動作を複数の測定位置で繰り返して実行して前記第1測定ツールの前記上端が前記保持面に接した際の前記実装ヘッドの複数の前記第1高さを検出し、
前記実装ヘッドの前記保持面に第2測定ツールを保持させ、前記実装ヘッドを下降させて前記保持面に保持させた前記第2測定ツールの下端が前記載置面に接した際の前記実装ヘッドの第2高さを前記エンコーダで検出する動作を複数の前記測定位置で繰り返して実行して前記第2測定ツールの下端が前記載置面に接した際の前記実装ヘッドの複数の前記第2高さを検出し、
複数の前記第1高さと複数の前記第2高さとに基づいて前記ステージの前記載置面と前記実装ヘッドの前記保持面との前記平行度を算出すること、
を特徴とする実装装置。
【請求項8】
請求項7に記載の実装装置であって、
前記制御部は、
複数の前記測定位置における複数の前記第1高さの間の第1差と、複数の前記第2高さの間の第2差とを算出し、
前記第1差と前記第2差との差分の絶対値として前記平行度を算出すること、
を特徴とする実装装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の実装装置であって、
前記第1測定ツールと前記第2測定ツールとは、先端がとがった同一の錐体であり、
底面が前記載置面に載置されると前記先端が前記第1測定ツールの前記上端となり、
前記底面が前記保持面に保持されると前記先端が前記第2測定ツールの下端となること、
を特徴とする実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板等の被実装体に半導体チップを実装する実装装置の構造及び、実装装置のステージと実装ヘッドとの平行度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装ヘッドの先端の保持面に半導体チップを吸引保持した状態で実装ヘッドを駆動し、ステージの載置面の上に吸着保持された基板に半導体チップを実装する実装装置が広く知られている。このような実装装置においては、半導体チップを基板の表面に良好に接合するために、ステージの載置面と実装ヘッドの保持面とが高い精度で平行になっていることが求められる。
【0003】
このため、保持面の傾きを検出する方法も提案されている。例えば、特許文献1には、フリップチップボンディングを行うボンディング装置の中間ステージの上に突起を設け、実装ヘッドの保持面の複数個所を突起に接触させた際の実装ヘッドの複数の高さを検出し、検出した複数の高さに基づいて保持面の傾斜を検出する方法が開示されている。
【0004】
また、基板を載置するステージには基板を加熱するためのヒータが内蔵されており、温度の影響で載置面が傾斜する場合がある。このため、特許文献2には、ステージの上面にレーザ変位計を配置し、レーザ変位計をXY方向に移動させてステージの高さの変化を測定し、ステージの平坦度を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-139629号公報
【文献】特開平7-86319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載された従来技術では、保持面の傾斜とステージの傾斜とを別々の装置で検出するので、実装装置が複雑になってしまう場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、簡便な方法でステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の、平行度検出方法は、被実装体に半導体チップを実装する実装装置における平行度検出方法であって、被実装体が載置される載置面を含むステージと、ステージの載置面に対向する保持面で半導体チップを吸引保持するとともにステージの載置面に沿うXY方向と載置面に接離するZ方向とに移動する実装ヘッドと、実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、を備える実装装置を準備する準備工程と、ステージの載置面に所定高さの第1測定ツールを配置し、実装ヘッドを下降させて保持面が第1測定ツールの上端に接した際の実装ヘッドの第1高さをエンコーダで検出する動作を複数の測定位置で繰り返して実行して第1測定ツールの上端が保持面に接した際の実装ヘッドの複数の第1高さを検出する第1高さ検出工程と、実装ヘッドの保持面に第2測定ツールを保持させ、実装ヘッドを下降させて保持面に保持させた第2測定ツールの下端が載置面に接した際の実装ヘッドの第2高さをエンコーダで検出する動作を複数の測定位置で繰り返して実行して第2測定ツールの下端が載置面に接した際の実装ヘッドの複数の第2高さを検出する第2高さ検出工程と、複数の第1高さと複数の第2高さとに基づいてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を算出する平行度算出工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
これにより、実装ヘッドの高さを検出するという簡便な方法でステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を検出できる。
【0010】
本発明の平行度検出方法において、平行度算出工程は、複数の測定位置における複数の第1高さの間の第1差と、複数の第2高さの間の第2差とを算出し、第1差と第2差との差分の絶対値として平行度を算出してもよい。
【0011】
このように簡単な計算でステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を算出できる。
【0012】
本発明の平行度検出方法において、複数の測定位置は、X方向に並んだ一対の位置とY方向に並んだ他の一対の位置とであり、平行度算出工程は、一対の位置における一対の第1高さの間の第1X差と、一対の第2高さの間の第2X差とを算出し、第1X差と第2X差の差分の絶対値としてX方向平行度を算出し、他の一対の位置における他の一対の第1高さの間の第1Y差と、他の一対の第2高さの間の第2Y差とを算出し、第1Y差と第2Y差の差分の絶対値としてY方向平行度を算出し、X方向平行度とY方向平行度との和として平行度を算出してもよい。
【0013】
これにより、ステージの載置面と実装ヘッドの保持面とがX方向の平行度とY方向の平行度とを考慮して2つの面の平行度を検出できる。
【0014】
本発明の平行度検出方法において、複数の測定位置は、X方向とY方向とに格子状に配置された4つの位置であり、平行度算出工程は、X方向に並んだ第1組の一対の位置における一対の第1高さの間の第1組第1X差と、X方向に並んだ第2組の一対の位置における一対の第1高さの間の第2組第1X差とを算出し、第1組第1X差と第2組第1X差との平均値を第1X差として算出し、第1組の一対の位置における一対の第2高さの間の第1組第2X差と、第2組の一対の位置における一対の第2高さの間の第2組第2X差とを算出し、第1組第2X差と第2組第2X差との平均値を第2X差として算出し、第1X差と第2X差との差分の絶対値としてX方向平行度を算出し、Y方向に並んだ第3組の一対の位置における一対の第1高さの間の第3組第1Y差と、Y方向に並んだ第4組の一対の位置における一対の第1高さの間の第4組第1Y差とを算出し、第3組第1Y差と第4組第1Y差との平均値を第1Y差として算出し、第3組の一対の位置における一対の第2高さの間の第3組第2Y差と、第4組の一対の位置における一対の第2高さの間の第4組第2Y差とを算出し、第3組第2Y差と第4組第2Y差との平均値を第2Y差として算出し、第1Y差と第2Y差との差分の絶対値としてY方向平行度を算出し、X方向平行度とY方向平行度との和として平行度を算出してもよい。
【0015】
これにより、より正確にステージの載置面と実装ヘッドの保持面とがX方向の平行度とY方向の平行度を検出することができる。
【0016】
本発明の平行度検出方法において、保持面は四角面であり、第1測定ツールの上端は保持面の四隅に順次接触してもよい。
【0017】
これにより、より正確に平行度の検出を行うことができる。
【0018】
本発明の平行度検出方法において、第1測定ツールと第2測定ツールとは、先端がとがった同一の錐体であり、第1高さ検出工程で、錐体の底面が載置面に載置されると先端が第1測定ツールの上端となり、第2高さ検出工程で、底面が保持面に保持されると先端が第2測定ツールの下端となるようにしてもよい。
【0019】
これにより、一種類の測定ツールで平行度の検出を行うことができる。
【0020】
本発明の実装装置は、被実装体に半導体チップを実装する実装装置であって、被実装体が載置される載置面を含むステージと、ステージの載置面に対向する保持面で半導体チップを吸引保持するとともにステージの載置面に沿うXY方向と載置面に接離するZ方向とに移動する実装ヘッドと、実装ヘッドの高さを検出するエンコーダと、実装ヘッドの移動を調整する共に、エンコーダで検出した実装ヘッドの高さに基づいてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を算出する制御部と、を備え、制御部は、ステージの載置面に所定高さの第1測定ツールを配置し、実装ヘッドを下降させて保持面が第1測定ツールの上端に接した際の実装ヘッドの第1高さをエンコーダで検出する動作を複数の測定位置で繰り返して実行して第1測定ツールの上端が保持面に接した際の実装ヘッドの複数の第1高さを検出し、実装ヘッドの保持面に第2測定ツールを保持させ、実装ヘッドを下降させて保持面に保持させた第2測定ツールの下端が載置面に接した際の実装ヘッドの第2高さをエンコーダで検出する動作を複数の測定位置で繰り返して実行して第2測定ツールの下端が載置面に接した際の実装ヘッドの複数の第2高さを検出し、複数の第1高さと複数の第2高さとに基づいてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を算出すること、を特徴とする。
【0021】
本発明の実装装置において、制御部は、複数の測定位置における複数の第1高さの間の第1差と、複数の第2高さの間の第2差とを算出し、第1差と第2差との差分の絶対値として平行度を算出してもよい。
【0022】
本発明の実装装置において、第1測定ツールと第2測定ツールとは、先端がとがった同一の錐体であり、底面が載置面に載置されると先端が第1測定ツールの上端となり、底面が保持面に保持されると先端が第2測定ツールの下端となってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、簡便な方法でステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態の実装装置の構成図である。
図2図1に示す実装装置においてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出を実行する際の第1高さ検出工程を示す説明図である。
図3図1に示す実装装置においてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出を実行する際の第2高さ検出工程を示す説明図である。
図4】ステージの載置面と実装ヘッドの保持面との傾斜方向が異なる場合の第1差と第2差とを示す模式図である。
図5】ステージの載置面と実装ヘッドの保持面との傾斜方向が同一の場合の第1差と第2差とを示す模式図である。
図6図1に示す実装装置においてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出の際に、格子状に配置された4つ位置での第1高さ検出工程を示す説明図である。
図7図1に示す実装装置においてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出の際に、格子状に配置された4つ位置での第2高さ検出工程を示す説明図である。
図8図1に示す実装装置においてステージの載置面と実装ヘッドの保持面との平行度の検出の際に、X方向とY方向とに十字状に配置された4つの位置での第1高さ検出工程を示す説明図である。
図9】第2測定ツールの他の実施形態を示す立面図である。
図10】第2測定ツールの他の実施形態を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、実施形態の実装装置100と実装装置100によるステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との平行度検出方法について説明する。
【0026】
図1に示すように、実施形態の実装装置100は、ステージ10と、実装ヘッド20と、エンコーダ25と、制御部30とを備え、基板14に半導体チップ15を実装する装置である。以下の説明では、ステージ10の載置面12に沿った1つの方向をX方向、載置面12に沿ってX方向と直角方向をY方向、載置面12に接離する方向をZ方向又は上下方向として説明する。
【0027】
ステージ10は、上側の面に被実装体である基板14が載置される載置面12を備えている。半導体チップ15を基板14の上に実装する場合には、基板14は載置面12の上に真空吸着されるとともに、内部に取付けられたヒータ(図示せず)によって加熱される。
【0028】
実装ヘッド20は、本体21と、実装ツール22と、移動機構24とで構成されている。本体21は移動機構24によってXYZ方向に移動可能である。移動機構24は、本体21をXYZ方向に移動可能に構成されていれば特に構造は特定されないが、一例を示すと、Y方向に移動可能なガントリーフレームと、ガントリーフレームに取付けられてX方向に移動するスライダと、スライダに取付けられて本体21をZ方向に移動するZ方向モータとで構成されていてもよい。実装ツール22は、本体21の下端に取付けられてステージ10の載置面12に対向する保持面23で半導体チップ15を吸引保持する。実装ヘッド20は、実装ツール22の保持面23に吸引保持した半導体チップ15を図示しないヒータで加熱するとともに基板14に押圧することにより、半導体チップ15を基板14に実装する。なお、以下の説明では、実装ツール22の中心を通りZ方向に延びる一点鎖線を実装ヘッド20の中心線26として説明する。
【0029】
エンコーダ25は、実装ヘッド20の高さを検出する。エンコーダ25は、実装ヘッド20の色々な部分の高さを検出するように設定可能であるが、実施形態の実装装置100では、基準面19からの実装ツール22の高さHを検出するとして説明する。基準面19は、実装装置100に設定されている仮想面である。
【0030】
制御部30は、内部に情報処理を行うプロセッサであるCPU31と、プログラムやプログラムを実行するためのデータを格納するメモリ32とを備えるコンピュータである。移動機構24は制御部30に接続されて制御部30の指令によって実装ヘッド20の本体21をXYZ方向に移動する。また、エンコーダ25は、検出した高さHを制御部30に入力する。制御部30のCPU31は、エンコーダ25から入力された高さHのデータを処理してステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との平行度の算出を行う。
【0031】
以下、図2から図5を参照しながら実装装置100におけるステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との平行度検出方法について説明する。以下の説明では、X方向の座位置が異なる載置面12の上の点Aと点Bの2点で高さを検出して載置面12と保持面23との平行度を検出する場合について説明する。ここで、点AのXY座標は(x1,y1)であり、点BのXY座標は(x2,y1)である。また、点Aと点BとのX方向の距離(x1-x2)は、実装ツール22のX方向の幅よりも短い。また、点AのXY座標(x1,y1)と点BのXY座標(x2,y1)は2つの測定位置である。
【0032】
最初に第1高さ検出工程について説明する。図2に示す様に、最初にステージ10の載置面12の上の点Aと点Bとの間に第1測定ツールでもあり第2測定ツールでもある三角ピン41を配置する。三角ピン41は先端42がとがった錐体であり、図2に示す様に、三角ピン41の底面が載置面12に載置されると尖った先端42が第1測定ツールの上端となる。本実施形態では、第1測定ツールは先端が尖った錐体として説明するが、先端がとがっていればどのような形状でもよい。
【0033】
制御部30のCPU31は、実装ツール22の保持面23の高さが三角ピン41の先端42よりも高い移動高さで移動機構24により実装ヘッド20をXY方向に移動させ、中心線26のXY座標を点AのXY座標(x1,y1)に合わせる。次に、制御部30のCPU31は移動機構24により実装ヘッド20を下降させる。そして、実装ツール22の保持面23が三角ピン41の先端42に接したら、制御部30のCPU31は、その際にエンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点Aの第1高さHA1として取得する。図2に示す様に三角ピン41の先端42は実装ツール22の保持面23のX方向マイナス側の端部の点23aに接する。
【0034】
保持面23が三角ピン41の先端42に接したことの検出は、いろいろな方法で検出できるが、例えば、CPU31が移動機構24に出力する高さ指令値とエンコーダ25の検出した高さHとに所定の差が発生した場合に接触を検出してもよいし、移動機構24に実装ヘッド20を下降させる指令を出力してもエンコーダ25から入力される検出高さが変化しないことで検出してもよい。また、本体21に実装ツール22に加わるZ方向の荷重を検出する荷重センサ(図示せず)を取付けておき、荷重センサの検出したZ方向荷重が所定の閾値以上となった際に接触を検出するようにしてもよい。
【0035】
次に、制御部30のCPU31は、実装ヘッド20の保持面23の高さ移動高さまで上昇させた後、図2中に破線で示す様に、移動機構24により実装ヘッド20をX方向マイナス側に移動させ、中心線26のXY座標を点BのXY座標(x2,y1)に合わせる。そして、点Aの場合と同様に、移動機構24により実装ヘッド20を下降させ、実装ヘッド20の保持面23が三角ピン41の先端42に接したら、制御部30のCPU31は、その際にエンコーダ25が検出した実装ツール22の高さを点Bの第1高さHB1として取得する。図2に破線で示す様に三角ピン41の先端42は実装ツール22の保持面23のX方向プラス側の端部の点23bに接する。なお、点Aが接した保持面23の点23aは、点BよりもX方向マイナス側に移動している。
【0036】
次に図3を参照しながら第2高さ検出工程について説明する。図3に示す様に先端42がステージ10の載置面12に向かって延びるように、第1測定ツールでもあり第2測定ツールでもある三角ピン41の底面を保持面23に吸引保持させる。図3に示す様に、三角ピン41の底面が保持面23に吸引保持されると尖った先端42は第2測定ツールの下端となる。制御部30のCPU31は、第1高さ検出工程と同様、実装ヘッド20の中心線26のXY座標を点AのXY座標(x1,y1)に合わせた後、実装ヘッド20を下降させて三角ピン41の先端42が載置面12に接した際の実装ツール22の高さを点Aの第2高さHA2として取得する。第2高さ検出工程において、三角ピン41の先端42が載置面12への接触の検出は、第1高さ検出工程において保持面23が三角ピン41の先端42への接触の検出と同様の方法行う。
【0037】
次に、制御部30のCPU31は、実装ヘッド20の中心線26のXY座標を点BのXY座標(x2,y1)に合わせた後、実装ヘッド20を下降させて三角ピン41の先端42が載置面12に接した際の実装ツール22の高さを点Bの第2高さHB2として取得する。
【0038】
次に、図4を参照しながら平行度算出工程について説明する。図4は、ステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との傾斜方向が異なる場合の点Aの第1高さHA1と第2高さHA2と、点Bの第1高さHB1と第2高さHB2と、第1差ΔH1、第2差ΔH2を示す模式図である。
【0039】
図4中に実線で示す実装ツール22は、実装ヘッド20の中心線26のXY座標が点AのXY座標(x1,y1)にある場合に実装ツール22の保持面23が三角ピン41の先端42に接した状態を示す。また、図4中に破線で示す実装ツール22は、実装ヘッド20の中心線26のXY座標が点BのXY座標(x2,y1)にある場合に実装ツール22の保持面23が三角ピン41の先端42に接した状態を示す。また、図4中に1点鎖線で示す実装ツール22と三角ピン41とは実装ヘッド20の中心線26のXY座標が点AのXY座標(x1,y1)にある場合に三角ピン41の先端42が載置面12に接した状態を示す。また、図4中に2点鎖線で示す実装ツール22と三角ピン41とは実装ヘッド20の中心線26のXY座標が点BのXY座標(x2,y1)にある場合に三角ピン41の先端42が載置面12に接した状態を示す。
【0040】
最初に、制御部30のCPU31は、点Aの第1高さHA1と点Bの第1高さHB1との差である第1差ΔH1を算出する。
ΔH1=HA1-HB1 --------- (式1)
図4に示す場合は、HA1>HB1であるから、ΔH1>0となる。
【0041】
次に、制御部30のCPU31は、点Aと点Bにおける第2高さHA2と第2高さHB2との差を第2差ΔH2として算出する。
ΔH2=HA2-HB2 --------- (式2)
図4に示す場合は、HA2<HB2であるから、ΔH2<0となる。
【0042】
次に、制御部30のCPU31は、第1差ΔH1と第2差ΔH2と差の絶対値として載置面12と保持面23との平行度を算出する。
平行度=|ΔH1-ΔH2|
=|(HA1-HB1)-(HA2-HB2)| -- (式3)
先に述べたように、図4に示す場合は、ΔH2<0なので、平行度は、ΔH1よりも大きくなる。
【0043】
次に、図5を参照しながらステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との傾斜方向が同一の場合の平行度の算出について説明する。図4と同様、図5中の実線の実装ツール22と1点鎖線の実装ツール22と三角ピン41とは実装ヘッド20の中心線26のXY座標が点AのXY座標にある場合を示し、破線の実装ツール22と2点鎖線の実装ツール22と三角ピン41とは実装ヘッド20の中心線26のXY座標が点BのXY座標にある場合を示す。
【0044】
図5に示す場合も、図4に示す場合と同様、制御部30のCPU31は式1により第1差ΔH1を算出し、式2により第2差ΔH2を算出する。そして、式3で載置面12と保持面23との平行度を算出する。図5に示す場合、ΔH1>0、ΔH2>0であるから、平行度はΔH1よりも小さくなる。
【0045】
以上説明したように、実施形態の平行度検出方法は、実装ツール22の保持面23とステージ10の載置面12との間に三角ピン41を介在させて、三角ピン41の先端42が保持面23或いは載置面12に接する際の実装ヘッド20の高さHを検出するという簡便な方法でステージ10の載置面12と実装ヘッド20の保持面23との平行度を検出できる。
【0046】
以上の説明では、X方向の座標位置が異なる載置面12の上の点Aと点Bの2点で高さを検出して載置面12と保持面23との平行度を検出する場合について説明したが、次に、図6,7を参照しながらX方向とY方向とに格子状に配置されたA,B,C,Dの4つの点で高さを検出して載置面12と保持面23との平行度を検出する場合について説明する。点AのXY座標は(x1,y1)、点BのXY座標は(x2,y1)、点CのXY座標は(x1,y2)、点DのXY座標は(x2,y2)である。
【0047】
図6に示す様に、点Aと点Bとは、載置面12の上でX方向に延びる第1線91の上にX方向に並んで配置されている。点Cと点Dとは、載置面12の上でX方向に延びる第2線92の上にX方向に並んで配置されている。また、点Aと点CとはY方向に延びる第3線93の上にY方向に並んで配置されており、点Bと点DとはY方向に延びる第4線94の上にY方向に並んで配置されている。このように、4つの点A,B,C,Dは、X方向とY方向とに格子状に配置された第1線91~第4線94の各交点に配置されている。そして、点Aと点BとはX方向に並んだ第1組の一対の位置に対応し、点Cと点DとはX方向に並んだ第2組の一対の位置に対応し、点Aと点CとはY方向に並んだ第3組の一対の位置に対応し、点Bと点DとはY方向に並んだ第4組の一対の位置に対応する。なお、図6図7において、1点鎖線22x,22yは、それぞれ実装ツール22のX方向の中心線とY方向の中心線とを示す。また、本例では、実装ツール22は長方形又は正方形の四角形であり、保持面23は四角面である。
【0048】
最初に第1高さ検出工程について説明する。先に図2図5を参照して説明したと同様、載置面12の上に三角ピン41を設定する。図6に示す様に、三角ピン41は、第1線91~第4線94で囲まれる四角形の中に配置される。最初に、制御部30のCPU31は、移動機構24によって実装ヘッド20の中心線26のXY座標を点AのXY座標に合わせ、その後、移動機構24で実装ヘッド20を下降させ、保持面23が三角ピン41の先端42に接した際にエンコーダ25で基準面19から実装ツール22までの第1高さHA1を検出する。この際、三角ピン41の先端42は、保持面23のX方向マイナス側でY方向プラス側の隅部に接触する。
【0049】
同様に、制御部30のCPU31は、実装ヘッド20の中心線26のXY座標を点BのXY座標に合わせて実装ヘッド20を下降させて第1高さHB1を検出する。この際、三角ピン41の先端42は、保持面23のX方向プラス側でY方向プラス側の隅部に接する。次に、制御部30のCPU31は、実装ヘッド20の中心線26のXY座標を点CのXY座標に合わせて実装ヘッド20を下降させて第1高さHC1を検出する。この際、三角ピン41の先端42は、保持面23のX方向マイナス側でY方向マイナス側の隅部に接する。最後に、制御部30のCPU31は、実装ヘッド20の中心線26のXY座標を点DのXY座標に合わせて実装ヘッド20を下降させて第1高さHD1を検出する。この際、三角ピン41の先端42は、保持面23のX方向プラス側でY方向マイナス側の隅部に接する。このように、制御部30のCPU31は、点A~点Dに実装ヘッド20の中心線26を合わせた後、実装ヘッド20を下降させて保持面23が三角ピン41の先端42に接した際の実装ツール22の高さの測定を繰り返して実行し、4つの第1高さHA1、HB1、HC1、HD1を取得する。この際、三角ピン41の先端42は保持面23の四隅に順次接触する。
【0050】
次に、第2高さ検出工程について説明する。先に、図2図5を参照して説明したと同様、図7に示す様に先端42がステージ10の載置面12に向かって延びるように、三角ピン41の底面を保持面23に吸引保持させる。そして、制御部30のCPU31は、第1高さ検出工程と同様、点A~点Dに実装ヘッド20の中心線26を合わせた後、実装ヘッド20を下降させて三角ピン41の先端42が載置面12に接した際の実装ツール22の高さの測定を繰り返して実行し、4つの第2高さHA2、HB2、HC2、HD2を取得する。
【0051】
次に、制御部30のCPU31は、第1組第1X差と第2組第1X差と第1X差とを以下のように算出する。第1組第1X差は、X方向に並んだ第1組の一対の位置に配置されている点Aと点Bとの第1高さHA1とHB1との差であり式4で計算される。
第1組第1X差=HA1-HB1 --------- (式4)
第2組第1X差は、X方向に並んだ第2組の一対の位置に配置されている点Cと点Dとの第1高さHC1とHD1との差であり、制御部30のCPU31は下記の式5で第2組第1X差を計算する。
第2組第1X差=HC1-HD1 --------- (式5)
【0052】
制御部30のCPU31は第1組第1X差と第2組第1X差との平均値として第1X差を下記の式6で計算する。
第1X差=(第1組第1X差+第2組第1X差)/2
=[(HA1-HB1)+(HC1-HD1)]/2
=(HA1+HC1)/2-(HB1+HD1)/2 - (式6)
【0053】
次に、制御部30のCPU31は第1組第2X差と第2組第2X差と第2X差とを以下のように計算する。第1組第2X差は、第1組の点Aと点Bの第2高さHA2とHB2との差であり、第2組第2X差は、第2組の点Cと点Dの第2高さHC2とHD2との差であり、制御部30のCPU31は、以下の式7、式8で第1組第2X差と第2組第2X差とを計算する。
第1組第2X差=HA2-HB2 --------- (式7)
第2組第2X差=HC2-HD2 --------- (式8)
【0054】
制御部30のCPU31は、第1組第2X差と第2組第2X差との平均値として第2X差を下記の式9の様に計算する。
第2X差=(第1組第2X差+第2組第2X差)/2
=[(HA2-HB2)+(HC2-HD2)]/2
=(HA2+HC2)/2-(HB2+HD2)/2 - (式9)
【0055】
そして、制御部30のCPU31は、第1X差と第2X差とからX方向平行度を下記の式10の様に算出する。
X方向平行度=|第1X差-第2X差| -------- (式10)
【0056】
次に、制御部30のCPU31は、第3組第1Y差と第4組第1Y差と第1Y差とを以下のように算出する。第3組第1Y差は、Y方向に並んだ第3組の一対の位置に配置されている点Aと点Cとの第1高さHA1とHC1との差であり式11で計算される。
第3組第1Y差=HA1-HC1 --------- (式11)
第4組第1Y差は、Y方向に並んだ第4組の一対の位置に配置されている点Bと点Dとの第1高さHB1とHD1との差であり、制御部30のCPU31は下記の式5で第4組第1Y差を計算する。
第4組第1Y差=HB1-HD1 --------- (式12)
【0057】
制御部30のCPU31は第3組第1Y差と第4組第1Y差との平均値として第1Y差を下記の式13で計算する。
第1Y差=(第3組第1Y差+第4組第1Y差)/2
=[(HA1-HC1)+(HB1-HD1)]/2
=(HA1+HB1)/2-(HC1+HD1)/2 - (式13)
【0058】
次に、制御部30のCPU31は第3組第2Y差と第4組第2Y差と第2Y差とを以下のように計算する。第3組第2Y差は、第3組の点Aと点Cの第2高さHA2とHC2との差であり、第4組第2Y差は、第4組の点Bと点Dの第2高さHB2とHD2との差であり、制御部30のCPU31は、以下の式14、式15で第3組第2Y差と第4組第2Y差とを計算する。
第3組第2Y差=HA2-HC2 --------- (式14)
第4組第2Y差=HB2-HD2 --------- (式15)
【0059】
制御部30のCPU31は、第3組第2Y差と第4組第2Y差との平均値として第2Y差を下記の式16の様に計算する。
第2Y差=(第3組第2Y差+第4組第2Y差)/2
=[(HA2-HC2)+(HB2-HD2)]/2
=(HA2+HB2)/2-(HC2+HD2)/2 - (式16)
【0060】
そして、制御部30のCPU31は、第1Y差と第2Y差とからY方向平行度を下記の式17の様に算出する。
Y方向平行度=|第1Y差-第2Y差| -------- (式17)
【0061】
最後に制御部30のCPU31は、X方向平行度とY方向平行度を合計して載置面12と保持面23との平行度を以下の式18の様に計算する。
平行度=X方向平行度+Y方向平行度
=|第1X差-第2X差|+|第1Y差-第2Y差| - (式18)
【0062】
以上説明したように、X方向とY方向とに格子状に配置されたA,B,C,Dの4つの点で実装ツール22の高さを検出して載置面12と保持面23との平行度を検出する場合には、X方向の平行度とY方向の平行度とを考慮してステージ10の載置面12と実装ツール22の保持面23との平行度を検出できるのでより正確に平行度の検出を行うことができる。
【0063】
4つの点で実装ツール22の高さを検出して載置面12と保持面23との平行度の検出を行う場合、4つの点は、X方向とY方向とに格子状に配置されていなくともよい。例えば、ひし形や台形の頂点の位置に配置されていてもよい。
【0064】
また、図8に示す様に、4つの点はX方向とY方向とに十字状に配置されてもよい。図8に示す様に4つの点は、X方向に延びる線95の上に配置された点Eと点Fとの2点と、線95に直交するようにY方向に延びる線96の上に配置された点Gと点Hの2点で構成されていてもよい。この場合、点Eと点FとはX方向に並んだ一対の位置に対応し、点Gと点HとはY方向に並んだ他の一対の位置に対応する。
【0065】
この場合、制御部30のCPU31は、第1X差を点Eと点Fの第1高さHE1とHF1との差として以下の式19のように算出する。
第1X差=HE1-HF1 --------- (式19)
また、第2X差を点Eと点Fの第2高さHE2,HF2の差として以下の式20の様に算出する。
第2X差=HE2-HF2 --------- (式20)
そして、制御部30のCPU31は、先に説明した式10と同様、下記の式21によってX方向平行度を算出する。
X方向平行度=|第1X差-第2X差| ------- (式21)
【0066】
同様に、制御部30のCPU31は、第1Y差を点Gと点Hの第1高さHG1とHH1との差として以下の式22のように算出する。
第1Y差=HG1-HH1 --------- (式22)
また、第2Y差を点Gと点Hの第2高さHG2,HH2の差として以下の式23の様に算出する。
第2Y差=HG2-HH2 --------- (式23)
そして、制御部30のCPU31は、先に説明した式17と同様、下記の式24によってY方向平行度を算出する。
Y方向平行度=|第1Y差-第2Y差| ------- (式24)
【0067】
そして、制御部30のCPU31は、式18と同様、X方向平行度とY方向平行度を合計して載置面12と保持面23との平行度を以下の式25の様に計算する。
平行度=X方向平行度+Y方向平行度
=|第1X差-第2X差|+|第1Y差-第2Y差| - (式25)
【0068】
この方法は、先に説明したX方向とY方向とに格子状に配置されたA,B,C,Dの4つの点で実装ツール22の高さを検出するよりも計算量が少なく、X方向の平行度とY方向の平行度とを考慮してステージ10の載置面12と実装ツール22の保持面23との平行度を検出できる。
【0069】
以上の説明では、三角ピン41の底面を載置面12に載置して第1測定ツールとして用い、同一の三角ピン41の底面を保持面23に保持させて第2測定ツールとして用いることとして説明したが、これに限らない。
【0070】
例えば、第2測定ツールとして図9に示すような三角ピン組立体44を用いてもよい。三角ピン組立体44は、ベース43の上に三角ピン41の底面を固定したものである。ベース43は、三角ピン41から離れる方向に向かって延びており、三角ピン41が実装ツール22に干渉せずに保持面23に上面43aを吸着保持可能となっている。実装ツール22の保持面23にベース43の上面43aを吸着収した状態で、矢印99のように実装ヘッド20を所定の位置に移動させ、実装ツール22の真空吸着を停止すると、載置面12の上の所定の位置に三角ピン組立体44を設定することができる。
【0071】
また、図10に示すように、ステージ10の載置面12の上に複数の穴45が設けられた治具46を載置し、穴45の中にそれぞれ三角ピン41の底面が下側になるように挿入して複数の三角ピン41を載置面12の上に配置して第2測定ツールを構成してもよい。この場合、複数の三角ピン41と、治具46とは、第2測定ツールである三角ピン配置体47となる。
【0072】
また、以上の説明では、実装ヘッド20の中心線26を点A、点B、或いは、点A~点Dの各xy座標に合わせて第1高さ、第2高さの検出を行うこととして説明したが、これに限らない。例えば、中心線26に代えて、実装ヘッド20の基準点を設定し、この基準点の座標位置を点A、点B、或いは、点A~点Dの各xy座標に合わせて第1高さ、第2高さの検出を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 ステージ、12 載置面、14 基板、15 半導体チップ、19 基準面、20 実装ヘッド、21 本体、22 実装ツール、23 保持面、24 移動機構、25 エンコーダ、26 中心線、30 制御部、31 CPU、32 メモリ、41 三角ピン、42 先端、43 ベース、43a 上面、44 三角ピン組立体、45 穴、46 治具、47 三角ピン配置体、100 実装装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10