(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 13/38 20060101AFI20221004BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20221004BHJP
G06F 13/42 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G06F13/38 340G
A63F7/02 326Z
G06F13/38 350
G06F13/42 350B
(21)【出願番号】P 2018175988
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英之
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-209305(JP,A)
【文献】特開2012-104868(JP,A)
【文献】特開2011-170557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
7/02
G06F13/20-13/42
H04L12/42-12/437
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ出力装置と複数の制御部とを備え、
前記データ出力装置と前記複数の制御
部とが順にリング接続され、
前記データ出力装置が、
出力するクロック信号のうち最も周波数の高いクロック信号の周波数を複数倍して新たなクロック信号を生成するクロック信号生成部と、
前記新たなクロック信号に基づいて他の複数の出力データを、差動信号を用いてシリアル伝送するシリアル伝送部と、を備え、
前記制御部の内の少なくとも一つが、
前記出力データをデシリアル化して当該デシリアル化された各信号のうち必要な信号を含むデータを取得するデシリアル化部と、
前記デシリアル化部が取得したデータ以外の他のデータを含む入力したデータをシリアル化して他の制御部へ出力データとして出力するシリアル化部と、を備え、
前記制御部の内の少なくとも他の一つが、
前記出力データをデシリアル化して当該デシリアル化された各信号のうち必要な信号を含むデータを取得するデシリアル化部と、
前記出力データを他の制御部へリピートするリピート部と、を備える
制御装置。
【請求項2】
前記データ出力装置は前記リング接続により次に接続された送出先の制御部へ前記出力データをシリアル伝送し、
前記複数の制御部それぞれはリング接続により次に接続された送出先の制御部へ前記出力データをシリアル伝送する
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記最も早いクロック信号は前記複数の制御
部の何れかの制御
部に備わるスピーカが入力する音声データの同期に用いる音声クロック信号である
ことを特徴とする請求項
1または請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
遊技機に備えられた各デバイス機器の制御を行う請求項
1から請求項
3の何れかに記載の制御装置。
【請求項5】
データ出力装置と複数の制御部とを備える制御装置において、
前記データ出力装置と前記複数の制御
部とが順にリング接続し、
前記データ出力装置が、
出力するクロック信号のうち最も周波数の高いクロック信号の周波数を複数倍して新たなクロック信号を生成し、
前記新たなクロック信号に基づいて他の複数の出力データを、差動信号を用いてシリアル伝送
し、
前記制御部の内の少なくとも一つが、
デシリアル化部において前記出力データをデシリアル化して当該デシリアル化された各信号のうち必要な信号を含むデータを取得し、
シリアル化部において前記デシリアル化部が取得したデータ以外の他のデータを含む入力したデータをシリアル化して他の制御部へ出力データとして出力し、
前記制御部の内の少なくとも他の一つが、
デシリアル化部において前記出力データをデシリアル化して当該デシリアル化された各信号のうち必要な信号を含むデータを取得し、
リピート部において前記出力データを他の制御部へリピートする
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機はスピーカ、モニタ、モータ、電飾などの多くの電子デバイス機器が設けられる。これら電子デバイス機器は遊技機内部に備えられた制御装置が制御する。遊技機に設けられた各電子デバイス機器は一般的に、ホストボード付近からスター配線形態で接続される。このような配線形態は煩雑である。関連技術が特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-164560号公報
【文献】特開2005-346669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の技術は遊技機の配線技術に関連し、基板間の配線ケーブルやバス配線をシリアル化することが記載されている。
また上述の特許文献2の技術はデータを転送するシステム制御部と当該システム制御部から転送されるデータを受け取る複数の各制御部がリング状に接続されることが記載されている。
【0005】
上述のような配線技術を有する遊技機などの制御装置はさらに多くの電子デバイス機器を搭載されることが求められている。しかしながらデータ出力装置が備えることのできるコネクタの最大ピン数が定められておりその数を多くすることができず、構造上コネクタの専有面積を増大させることが難しい場合がある。さらに配線数を多くすることなく多くの電子デバイス機器に対する情報を効率よく伝送する必要がある。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する、制御装置、制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、データ出力装置は、出力するクロック信号のうち最も周波数の高いクロック信号の周波数を複数倍して新たなクロック信号を生成するクロック信号生成部と、前記新たなクロック信号に基づいて他の複数の出力データを、差動信号を用いてシリアル伝送するシリアル伝送部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、制御装置は、データ出力装置と複数の制御部とを備え、前記データ出力装置と前記複数の制御装置とが順にリング接続され、前記データ出力装置が、出力するクロック信号のうち最も周波数の高いクロック信号の周波数を複数倍して新たなクロック信号を生成するクロック信号生成部と、前記新たなクロック信号に基づいて他の複数の出力データを、差動信号を用いてシリアル伝送するシリアル伝送部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、制御方法は、データ出力装置と複数の制御部とを備える制御装置において、前記データ出力装置と前記複数の制御装置とが順にリング接続し、前記データ出力装置が、出力するクロック信号のうち最も周波数の高いクロック信号の周波数を複数倍して新たなクロック信号を生成し、前記新たなクロック信号に基づいて他の複数の出力データを、差動信号を用いてシリアル伝送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コネクタの専有面積を増大させずに、配線数を多くすることなくより多くの電子デバイス機器に対する情報を効率よく伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】シリアル化部とデシリアル化部との構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による遊技機の制御装置を図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による制御装置の構成を示すブロック図である。
この図で示すように、制御装置1は、制御部A~制御部Jの複数の制御部を備える。制御部A~制御部Jはそれぞれ異なる基盤上に構成される。制御部Aはデータ出力装置の一態様である。制御部Aは内部にデータ出力装置の一態様であるシリアル化部111を備える。シリアル化部111は、制御信号やクロック信号を含む出力データをシリアル化して出力する。
【0013】
複数の制御部Aから制御部Jは順にリング接続される。つまり制御部Aは制御部Bにシリアルバス3を介して接続し、制御部Bは制御部Cにシリアルバス3を介して接続し、制御部Cは制御部Dにシリアルバス3を介して接続する。制御部Dは制御部Eと信号線により接続し、また制御部Dは制御部Fにシリアルバス3を介して接続する。制御部Fは制御部Gにシリアルバス3を介して接続し、制御部Gは制御部Hにシリアルバス3を介して接続し、制御部Hは制御部Iにシリアルバス3を介して接続し、制御部Iは制御部Jにシリアルバス3を介して接続し、制御部Jは制御部Bにシリアルバス3を介して接続し、制御部Bは制御部Aとシリアルバス3を介して接続する。なお制御部Aと制御部Bの間は、制御部Aから制御部Bへ出力されるデータと制御部Bから制御部Aへ出力されるデータを通す2本のシリアルバス3と接続される。これによりリング接続を構成する。各制御部はシリアルバスにより接続される。制御部Eのようにリング接続から外れて一つまたは複数の他の制御部にのみ並列に接続される制御部があってもよい。
【0014】
制御部を具体的に説明すると、各制御部のうち制御部Bは出力データを中継する処理を行う。また制御部C,E,F,G,H,Iは電飾等の電子デバイス機器を設けそれら電子デバイス機器を出力データのうちの一部のデータを用いて制御する。また制御部Dは音声デバイス(スピーカ)等の電子デバイス機器を設け当該電子デバイス機器を出力データのうちの一部のデータを用いて制御する。制御部Aはデータ出力を行う。
【0015】
図2はシリアル化部の機能ブロック図である。
制御部Aに設けられたデータ出力装置の一態様であるシリアル化部111は、少なくともクロック信号生成部121と、シリアル伝送部122とを備える。
クロック信号生成部121は入力後に出力する複数のクロック信号のうち最も周波数の高いクロック信号の周波数を複数倍して新たな周波数のクロック信号を生成する。
シリアル伝送部122は、新たなクロック信号のフレームを時分割してそれらの時分割した各タイミングのうちの所定のタイミングに他の出力データに対応する信号を乗せた出力データを生成して出力する。これによりシリアル化部111が入力して他の制御部(制御部B)へ出力する複数の出力データをシリアル化する。なおシリアル化した出力データを伝送するシリアルバスは一例として作動信号の方式を用いる。
【0016】
図3はシリアル化部の処理フローを示す図である。
次にシリアル化部111の処理について説明する。
制御部Aのシリアル化部111は、制御部Aの基盤に備わる複数の制御装置から複数の出力データを取得する(ステップS101)。出力データは一例としては、音声クロック信号、音声データ、電飾関連クロック信号、電飾用データなどが複数種類ある。シリアル化部111のクロック信号生成部121はこれらの出力データのうち、最も周波数の高いクロック信号S1の周波数を複数倍して新たなクロック信号を生成する(ステップS102)。具体的にはクロック信号生成部121は、22MHz程度の周波数の音声クロック信号を逓倍回路に入力し36倍にして800MHz程度の周波数の新たな音声クロック信号を生成する。クロック信号生成部121は新たな音声クロック信号をシリアル伝送部122へ出力する。
【0017】
シリアル化部111は新たな音声クロック信号のフレームを時分割してそれらの時分割した各タイミングのうちの所定のタイミングに他の出力データに対応する信号S2を乗せたシリアル化した出力データを生成する(ステップS103)。シリアル伝送部122は当該シリアル化した出力データをリング接続された次の制御部である制御部B(12)へ出力する(ステップS104)。制御部B(12)は出力データを中継する制御部であり、出力データを制御部C(13)へ出力する。制御部C(13)はシリアル化された出力データをデシリアル化するデシリアル化部131を備え、当該デシリアル化部131が出力データのうち必要な信号を含むデータを取得し、他の出力データをシリアル化部132へ出力する。シリアル化部132は出力データをシリアル化して制御部Dへ出力する。
【0018】
制御部D(14)はリピータ部141を備え、当該リピータ部141はシリアル化された出力データをデシリアル化部142と制御部F(16)へ出力する。デシリアル化部142は出力データをデシリアル化して必要な信号を含むデータを取得し制御部E(15)等の後段の電子デバイス機器や回路へ出力する。制御部F(16)は制御部C(13)と同様に、デシリアル化部161とシリアル化部162を備える。制御部G(17)は制御部C(13)と同様に、デシリアル化部171とシリアル化部172を備える。制御部H(18)は制御部D(14)と同様に、リピータ部181とデシリアル化部182とを備える。制御部I(19)は制御部D(14)と同様に、リピータ部191とデシリアル化部192とを備える。制御部J(20)は制御部D(14)と同様に、リピータ部201とデシリアル化部202とを備える。そして各制御部において対応する他の制御部と同様に必要な信号を含むデータを取得し、出力データを転送していく。そしてシリアルバス3を介して転送された出力データは制御部Aのデシリアル化部112が取得してデシリアル化して後段の電子デバイス機器や回路等へ出力する。制御部Cのシリアル化部132、制御部Fのシリアル化部162、制御部Gのシリアル化部172は新たな信号を入力してシリアル化された出力データに載せて当該出力データを送信してよい。
【0019】
図4はシリアル化部とデシリアル化部との構成を示す図である。
制御部Aの備えるシリアル化部111と、制御部Cの備えるデシリアル化部131の構成を示す図である。シリアル化部111で1サイクル(CYC)が36逓倍され、時分割した各時間に音声クロック信号S1以外の他の信号S2のデータが載せられる。そして出力データを受信した各制御部はデシリアル化部131において必要なデータを取得し、その出力データを分周回路に入力して元も音声クロック信号を取得することができる。
図4中D[27..0]は0~27の信号に対応するデータを示す。なお制御部D,F,G,H,I,Jの各デシリアル化部142,161,182,192,202の構成は、デシリアル化部131と同様である。
【0020】
上述のような制御装置1により、コネクタの専有面積を増大させずに、配線数を多くすることなくより多くの電子デバイス機器に対する情報を効率よく伝送することができる。つまり、より高速なシリアル信号にすべての信号を載せて、各制御部をリング接続化し、スレーブデバイスの直前で必要な形式の信号に変換することで、バスの本数の削減と、バスが削減したことにより空いたコネクタを利用した他の電子デバイス機器の接続による拡張性アップ、構造の簡素化を図ることができる。
【0021】
なお上述の制御装置1は遊技機に利用される場合の例を示しているが、他の機器の内部に搭載されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1・・・制御装置
111,132,161,172・・・シリアル化部
112,131,161,171・・・デシリアル化部
141,181,191,201・・・リピータ部
121・・・クロック信号生成部
122・・・シリアル伝送部