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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】モータ制御装置及びモータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20221004BHJP
【FI】
H02P29/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018188322
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020058171
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】398061810
【氏名又は名称】日本電産テクノモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】浦上 智之
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211555(JP,A)
【文献】特開2005-233051(JP,A)
【文献】特開2018-174608(JP,A)
【文献】実開平4-39096(JP,U)
【文献】特開2017-216820(JP,A)
【文献】特開2018-141377(JP,A)
【文献】特開2014-50136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを制御するモータ制御部と、
電源電圧を前記モータ制御部に入力する第1通電線と、
前記モータの回転速度を制御する速度指令信号を前記モータ制御部に入力する第2通電線と、
前記第2通電線に接続され、前記速度指令信号を受けて蓄電する蓄電部と
を有し、
前記モータ制御部は、
前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記速度指令信号が入力された場合に、前記速度指令信号に従って前記モータの回転速度を制御する回転制御部と、
前記モータ制御部に対する設定を切り替える設定切替部と
を有し、
前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されていない状態で、第1閾値以上の電圧値を有する前記速度指令信号が前記モータ制御部に入力された後に、前記速度指令信号の電圧値が前記第1閾値よりも低下した場合に、前記蓄電部は、前記第1閾値以上の電圧値を有する制御信号を、一定時間以上継続して前記設定切替部に出力し、
前記速度指令信号の電圧値が前記第1閾値よりも低下した後に、前記電源電圧が前記モータ制御部に入力され、
前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号が入力されている場合に、前記設定切替部は、前記モータ制御部に対する前記設定を切り替える、モータ制御装置。
【請求項2】
前記モータ制御部に対する前記電源電圧の入力が停止されると、前記設定切替部は、前記モータ制御部に対する前記設定をリセットし、
前記モータ制御部に対する前記設定がリセットされた後、前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されていない状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記速度指令信号が前記モータ制御部に入力された後に、前記速度指令信号の電圧値が前記第1閾値よりも低下した場合に、前記蓄電部は、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号を、前記一定時間以上継続して前記設定切替部に出力する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記モータ制御部に対する前記設定は、前記モータの回転方向の設定を示し、
前記設定切替部は、前記モータの回転方向の設定を切り替える回転方向切替部を有し、
前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号が入力されている場合に、前記回転方向切替部は、前記モータの回転方向の設定を切り替える、請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記モータ制御装置は、前記モータが有するロータの回転位置を検出する回転位置検出部をさらに有し、
前記モータ制御部は、前記回転位置検出部が検出した前記回転位置を示す回転位置信号を、前記モータの回転数を示す回転信号に変換して出力する回転信号出力部をさらに有し、
前記モータ制御部に対する前記設定は、前記回転信号の出力形式の設定を示し、
前記設定切替部は、前記回転信号の前記出力形式の設定を切り替える回転出力切替部を有し、
前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号が入力されている場合に、前記回転出力切替部は、前記回転信号の前記出力形式の設定を切り替える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記回転信号は、パルス波であり、
前記回転信号の前記出力形式は、前記モータの1回転当たりに前記回転信号に含めるパルスの数によって示される、請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記モータ制御装置は、前記モータが有するロータの回転位置を検出する回転位置検出部をさらに有し、
前記モータ制御部は、前記回転位置検出部が検出した前記回転位置を示す回転位置信号を、前記モータの回転数を示す回転信号に変換して出力する回転信号出力部をさらに有し、
前記モータ制御部に対する前記設定は、前記回転信号の出力形式の設定と、前記モータの回転方向の設定とを示し、
前記設定切替部は、
前記回転信号の前記出力形式の設定を切り替える回転出力切替部と、
前記モータの回転方向の設定を切り替える回転方向切替部と
を有し、
前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号が入力されている場合に、前記回転出力切替部は、前記回転信号の前記出力形式の設定を切り替え、
前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号が入力されている場合に、前記回転方向切替部は、前記モータの回転方向の設定を切り替え、
前記蓄電部は、前記回転出力切替部と前記回転方向切替部とで共用される、請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記モータ制御部は、前記第1閾値より小さい第2閾値に基づいて、前記モータ制御部の内部に対する前記電源電圧の入力と遮断とを切り替える電源入力切替部をさらに有し、
前記電源入力切替部に前記電源電圧が入力されている状態で、前記速度指令信号の電圧値が前記第2閾値より大きい場合に、前記電源入力切替部は、前記モータ制御部の内部へ前記電源電圧を入力し、
前記電源入力切替部に前記電源電圧が入力されている状態で、前記速度指令信号の電圧値が前記第2閾値以下の場合に、前記電源入力切替部は、前記モータ制御部の内部への前記電源電圧の入力を遮断し、
前記電源入力切替部に前記電源電圧が入力されていない状態では、前記モータ制御部の内部へ前記電源電圧は入力されず、
前記電源電圧が前記電源入力切替部に入力されていない状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記速度指令信号が前記モータ制御部に入力された後に、前記速度指令信号の電圧値が前記第1閾値よりも低下した場合に、前記蓄電部は、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号を、前記一定時間以上継続して前記設定切替部に出力し、
前記電源電圧が前記電源入力切替部に入力され、かつ、前記速度指令信号の電圧値が前記第2閾値より大きい場合に、前記電源入力切替部は、前記モータ制御部の内部へ前記電源電圧を入力し、
前記電源電圧が前記モータ制御部の内部に入力されている状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号が入力されている場合に、前記設定切替部は、前記モータ制御部に対する前記設定を切り替える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記蓄電部は、ダイオードと、キャパシタとを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
前記モータと
を備える、モータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置及びモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DCモータ駆動装置では、上位コントローラから出される回転速度指令、起動/停止信号、回転方向信号、制動信号は速度制御回路に入力され、速度制御回路により、スイッチング素子を制御する通電信号が出力される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-127079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のDCモータ駆動装置では、モータの回転方向を切り替えるための回転方向信号を速度制御回路に入力するために、専用の通電線が配線される。換言すれば、速度制御回路に対する設定を切り替えるために、専用の通電線が配線される。従って、通電線の本数が増える。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータ制御部に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できるモータ制御装置及びモータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータ制御装置は、モータ制御部と、第1通電線と、第2通電線と、蓄電部とを有する。モータ制御部は、モータを制御する。第1通電線は、電源電圧を前記モータ制御部に入力する。第2通電線は、前記モータの回転速度を制御する速度指令信号を前記モータ制御部に入力する。蓄電部は、前記第2通電線に接続され、前記速度指令信号を受けて蓄電する。前記モータ制御部は、回転制御部と、設定切替部とを有する。回転制御部は、前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記速度指令信号が入力された場合に、前記速度指令信号に従って前記モータの回転速度を制御する。設定切替部は、前記モータ制御部に対する設定を切り替える。前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されていない状態で、第1閾値以上の電圧値を有する前記速度指令信号が前記モータ制御部に入力された後に、前記速度指令信号の電圧値が前記第1閾値よりも低下した場合に、前記蓄電部は、前記第1閾値以上の電圧値を有する制御信号を、一定時間以上継続して前記設定切替部に出力する。前記速度指令信号の電圧値が前記第1閾値よりも低下した後に、前記電源電圧が前記モータ制御部に入力される。前記電源電圧が前記モータ制御部に入力されている状態で、前記第1閾値以上の電圧値を有する前記制御信号が入力されている場合に、前記設定切替部は、前記モータ制御部に対する前記設定を切り替える。
【0007】
本発明の例示的なモータ装置は、上記のモータ制御装置と、前記モータとを有する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、モータ制御部に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できるモータ制御装置及びモータ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るモータシステムを示す図である。
図2図2は、実施形態1に係るモータシステムにおいて、モータ制御部に対する設定を第1設定に切り替えるときの電源電圧、速度指令信号、及び制御信号を示すタイミングチャートである。
図3図3は、実施形態1に係るモータシステムにおいて、モータ制御部に対する設定を第2設定に切り替えるときの電源電圧、速度指令信号、及び制御信号を示すタイミングチャートである。
図4図4は、実施形態1に係るモータシステムの蓄電部を示す回路図である。
図5図5は、実施形態1に係るモータシステムの動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1の第1変形例に係るモータシステムを示す図である。
図7図7は、実施形態1の第2変形例に係るモータシステムを示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態2に係るモータシステムを示す図である。
図9図9は、実施形態2に係るモータシステムにおいて、モータ制御部に対する設定を第1設定に切り替えるときの電源電圧、速度指令信号、及び制御信号を示すタイミングチャートである。
図10図10は、実施形態2に係るモータシステムにおいて、モータ制御部に対する設定を第2設定に切り替えるときの電源電圧、速度指令信号、及び制御信号を示すタイミングチャートである。
図11図11は、実施形態2に係るモータシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
(実施形態1)
図1図5を参照して、本発明の実施形態1に係るモータシステムA1を説明する。まず、図1を参照して、モータシステムA1を説明する。
【0012】
図1は、モータシステムA1を示す図である。モータシステムA1は電子機器(不図示)に搭載される。図1に示すように、モータシステムA1は、モータ装置B1と、コントローラB2とを有する。モータ装置B1は、モータMと、モータ制御装置1とを有する。モータMは回転する。モータMは、実施形態1では、三相ブラシレスモータであり、U相、V相、及びW相を有する。なお、モータMの種類は一例であり、特に限定されない。
【0013】
モータ制御装置1はモータMを制御する。モータ制御装置1はモータ制御部11を有する。モータ制御部11は、例えば、ドライバであり、ドライバIC(Integrated Circuit)又はマイクロコンピュータを含む。モータ制御部11はモータMを制御する。そして、モータ制御部11は、モータMを、第1回転方向、及び、第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転させる。第1回転方向は、例えば、正転方向である。第2回転方向は、例えば、逆転方向である。
【0014】
モータ制御装置1はインバータ13をさらに有する。そして、モータ制御部11は、インバータ13を介してモータMを制御する。具体的には、モータ制御部11は、複数のPWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)信号をインバータ13に出力する。インバータ13は、複数のPWM信号に応じて複数の駆動信号U、V、Wを生成する。そして、インバータ13は、複数の駆動信号U、V、WをモータMに供給する。インバータ13は、例えば、6個のトランジスタ(不図示)を有する。モータMは、複数の駆動信号U、V、Wに応じて回転する。
【0015】
モータ制御装置1は、第1通電線FLと、第2通電線SLとをさらに有する。第1通電線FL及び第2通電線SLの各々は、モータ制御装置1とコントローラB2とを接続する。
【0016】
コントローラB2はモータ装置B1を制御する。具体的には、コントローラB2がモータ制御部11を制御する。そして、モータ制御部11は、コントローラB2の制御に従って、インバータ13を制御し、結果、モータMを回転制御する。
【0017】
コントローラB2は、電源部3と、マイクロコンピュータ5とを有する。マイクロコンピュータ5は電源部3を制御する。電源部3は、マイクロコンピュータ5の制御に従って、電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspを生成する。速度指令信号VspはモータMの回転速度を制御する。また、速度指令信号Vspは、モータ制御部11に対する設定の切り替えを制御する。実施形態1では、速度指令信号Vspはアナログ信号である。電源部3は、例えば、電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspを生成する電源回路を有する。電源部3は、例えば、電源電圧Vccを生成する第1電源回路と、速度指令信号Vspを生成する第2電源回路とを有する。
【0018】
具体的には、第1通電線FL及び第2通電線SLの各々は、電源部3とモータ制御部11とを接続する。
【0019】
そして、電源部3は、第1通電線FLに電源電圧Vccを出力する。その結果、第1通電線FLは、電源電圧Vccをモータ制御部11に入力する。そして、モータ制御部11は、電源電圧Vccに基づく電力によって動作する。
【0020】
また、電源部3は、第2通電線SLに速度指令信号Vspを出力する。その結果、第2通電線SLは、速度指令信号Vspをモータ制御部11に入力する。そして、モータMの回転速度が速度指令信号Vspの示す回転速度になるように、モータ制御部11は、インバータ13を介してモータMを制御する。その結果、モータMは、速度指令信号Vspの示す回転速度で回転する。
【0021】
なお、電源電圧Vccは、速度指令信号Vspの電圧値よりも大きい。電源電圧Vccは、例えば、15Vである。
【0022】
モータ制御装置1は、蓄電部15と、制御信号線CLとをさらに有する。蓄電部15は、第2通電線SLに接続される。そして、第2通電線SLは、速度指令信号Vspを蓄電部15に入力する。その結果、蓄電部15は、速度指令信号Vspを受けて蓄電する。また、蓄電部15は制御信号線CLに接続される。蓄電部15及び制御信号線CLの詳細は後述する。
【0023】
引き続き図1を参照して、モータ制御部11の詳細を説明する。モータ制御部11は、設定切替部111と、回転制御部113とを有する。回転制御部113は第2通電線SLに接続される。電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、速度指令信号Vspが回転制御部113に入力された場合に、回転制御部113は、速度指令信号Vspに従ってモータMの回転速度を制御する。具体的には、回転制御部113は、速度指令信号Vspに従って、インバータ13を介してモータMの回転速度を制御する。
【0024】
設定切替部111は制御信号線CLに接続される。そして、設定切替部111は、蓄電部15が制御信号線CLに出力する制御信号CSに応答して、モータ制御部11に対する設定を切り替える。
【0025】
具体的には、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、第1閾値TH1未満の電圧値を有する制御信号CSが設定切替部111に入力された場合に、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替える。第1閾値TH1は、例えば、2Vである。
【0026】
一方、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが設定切替部111に入力された場合に、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。第2設定は第1設定と異なる。
【0027】
設定切替部111は設定保持部1111を有する。設定保持部1111は、モータ制御部11に対する設定を保持する。具体的には、設定切替部111がモータ制御部11に対する設定を切り替えると、設定保持部1111は、切り替え後の設定を保持する。モータ制御部11は、設定保持部1111の保持する設定に基づいて動作する。一方、モータ制御部11に対する電源電圧Vccの入力が停止されるか、又は、モータ制御部11に対する速度指令信号Vspの入力が停止されると、設定保持部1111は、保持している設定をリセットする。
【0028】
実施形態1において、「設定」は、「モータ制御部11に対する設定」を示す。換言すれば、「設定」は、「モータMに関する設定」を示す。
【0029】
次に、図1及び図2を参照して、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるときの制御を説明する。図2は、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるときの電源電圧Vcc、速度指令信号Vsp、及び制御信号CSを示すタイミングチャートである。図2では、縦軸において、第1通電線FLの電位と、第2通電線SLの電位と、制御信号線CLの電位とが示されている。また、横軸は時間を示す。
【0030】
図1及び図2に示すように、時刻t1で、第1通電線FLから電源電圧Vccがモータ制御部11へ入力される。時刻t1より前の時間では、第1通電線FLは電位Vcc0を有する。電位Vcc0は電源電圧Vccよりも小さい。電位Vcc0は、例えば、0Vである。
【0031】
電位Vcc0は、モータ制御部11を動作させる電力を供給できないため、電源電圧Vccとは区別される。第1通電線FLが電位Vcc0を有する状態は、モータ制御部11に対する電源電圧Vccの入力が停止されていることを示す。つまり、第1通電線FLが電位Vcc0を有する状態は、電源電圧Vccがオフであることを示す。一方、第1通電線FLに電源電圧Vccが入力されている状態は、電源電圧Vccがオンであることを示す。
【0032】
時刻t1よりも後の時刻t2で、第2通電線SLから第1閾値TH1未満の電圧値の速度指令信号Vspがモータ制御部11へ入力される。従って、蓄電部15は、制御信号線CLを介して、第1閾値TH1未満の電圧値の制御信号CSを設定切替部111に出力する。また、時刻t2では、第1通電線FLからモータ制御部11に電源電圧Vccが入力されている。
【0033】
時刻t2より前の時間では、第2通電線SLは電位Vsp0を有する。電位Vsp0は速度指令信号Vspの電圧値よりも小さい。電位Vsp0は、例えば、0Vである。電位Vsp0は、モータMの回転速度を制御せず、かつ、モータ制御部11に対する設定の切り替えを制御しないため、速度指令信号Vspとは区別される。第2通電線SLが電位Vsp0を有する状態は、速度指令信号Vspの入力が停止されていることを示す。つまり、第2通電線SLが電位Vsp0を有する状態は、速度指令信号Vspがオフであることを示す。一方、第2通電線SLに速度指令信号Vspが入力されている状態は、速度指令信号Vspがオンであることを示す。
【0034】
時刻t2では、電源電圧Vccが入力された状態で、第1閾値TH1未満の電圧値の制御信号CSが入力されているため、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替える。その結果、モータ制御部11に対する設定が確定され、設定保持部1111が第1設定を保持する。
【0035】
モータ制御部11に対する設定が確定した後、第1閾値TH1以上の電圧値の速度指令信号Vspが第2通電線SLから回転制御部113に入力される。そして、回転制御部113は、速度指令信号Vspに従ってモータMの回転速度を制御する。
【0036】
なお、図2の例では、速度指令信号Vspの電圧値と制御信号CSの電圧値とは、略同一である。
【0037】
以上、図1及び図2を参照して説明したように、実施形態1では、電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspの状態変化によって、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えることができる。
【0038】
具体的には、実施形態1では、電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspの制御によって、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替える。従って、モータ制御装置1は、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるためだけの専用の通電線を有していない。換言すれば、電源電圧Vccを入力する第1通電線FL及び速度指令信号Vspを入力する第2通電線SLを、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるための通電線として代用している。従って、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、モータ制御部11に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できる。
【0039】
次に、図1及び図3を参照して、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときの制御を説明する。図3は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときの電源電圧Vcc、速度指令信号Vsp、及び制御信号CSを示すタイミングチャートである。図3では、縦軸において、第1通電線FLの電位と、第2通電線SLの電位と、制御信号線CLの電位とが示されている。また、横軸は時間を示す。
【0040】
図1及び図3に示すように、時刻t3で、第2通電線SLから速度指令信号Vspがモータ制御部11へ入力される。従って、蓄電部15は、制御信号線CLを介して、第1閾値TH1以上の電圧値の制御信号CSを設定切替部111に出力する。なお、時刻t3より前の時間では、第2通電線SLは電位Vsp0を有する。また、時刻t3では、第1通電線FLは電位Vcc0を有するため、電源電圧Vccは入力されていない。
【0041】
時刻t3よりも後の時刻t4で、第2通電線SLの速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下する。低下後の速度指令信号Vspの電圧値は電位Vsp0よりも大きい。時刻t4は、速度指令信号Vspの電圧値の減少開始時を示す。
【0042】
一方、時刻t3から時刻t4までに、蓄電部15は蓄電している。従って、時刻t4で速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下すると、蓄電部15は、時刻t4から制御信号線CLに放電を開始する。その結果、蓄電部15は、時刻t4から電圧値が減少する制御信号CSを制御信号線CLに出力する。この場合、蓄電部15は、第1閾値TH1以上の電圧値の制御信号CSを、時刻t4から一定時間P以上継続して制御信号線CLに出力する。従って、時刻t5で、第1通電線FLに電源電圧Vccが入力された状態では、制御信号CSの電圧値は第1閾値TH1以上である。その結果、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。そして、時刻t5で、モータ制御部11に対する設定が確定され、設定保持部1111が第2設定を保持する。
【0043】
図面の簡略化のため図示は省略したが、モータ制御部11に対する設定が確定した後、第1閾値TH1以上の電圧値の速度指令信号Vspが第2通電線SLから回転制御部113に入力される。そして、回転制御部113は、速度指令信号Vspに従ってモータMの回転速度を制御する。なお、第1閾値TH1未満の電圧値の速度指令信号Vspが入力された場合は、回転制御部113は、速度指令信号Vspに従ったモータMの回転速度の制御を実行しない。
【0044】
なお、図3の例では、時刻t3から時刻t4までは、速度指令信号Vspの電圧値と制御信号CSの電圧値とは、略同一である。また、時刻t5より後においても蓄電部15は放電していき、速度指令信号Vspの電圧値と制御信号CSの電圧値とが、略同一になる。
【0045】
以上、図1及び図3を参照して説明したように、実施形態1では、「電源電圧Vccが入力されていない状態→第1閾値TH1以上の速度指令信号Vspが入力されている状態→第1閾値TH1よりも速度指令信号Vspが低下した状態→電源電圧Vccが入力されている状態」という電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspの状態変化によって、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えることができる。
【0046】
具体的には、実施形態1では、第1通電線FLから電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されていない状態で、第2通電線SLから第1閾値TH1以上の電圧値を有する速度指令信号Vspがモータ制御部11に入力された後に、速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下した場合に、蓄電部15は、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSを、制御信号線CLを介して一定時間P以上継続して設定切替部111に出力する。
【0047】
そして、速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下した後に、第1通電線FLから電源電圧Vccがモータ制御部11に入力される。
【0048】
さらに、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、制御信号線CLから第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが設定切替部111に入力されている場合に、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。
【0049】
従って、実施形態1では、モータ制御装置1は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるためだけの専用の通電線を有していない。換言すれば、電源電圧Vccを入力する第1通電線FL及び速度指令信号Vspを入力する第2通電線SLを、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるための通電線として代用している。従って、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、モータ制御部11に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを更に抑制できる。
【0050】
また、実施形態1によれば、第1閾値TH1よりも低い電圧値の速度指令信号Vspが回転制御部113に入力された状態で、設定切替部111に制御信号CSが入力される。従って、第1閾値TH1よりも低い電圧値の速度指令信号Vspが回転制御部113に入力された状態で、設定切替部111はモータ制御部11に対する設定を切り替える。その結果、モータMの回転中に、第1閾値TH1以上の電圧値の速度指令信号Vspに起因してモータ制御部11に対する設定が切り替わることを抑制できる。
【0051】
さらに、実施形態1では、例えば時刻t3よりも前で、モータ制御部11に対する電源電圧Vccの入力が停止されると、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定をリセットする。具体的には、設定切替部111は、電源電圧Vccの入力が停止されると、設定保持部1111に保持された設定をリセットする。
【0052】
そして、モータ制御部11に対する設定がリセットされた後、図3に示すように、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されていない状態で、第2通電線SLから第1閾値TH1以上の電圧値を有する速度指令信号Vspがモータ制御部11に入力された後に、速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下した場合に、蓄電部15は、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSを、制御信号線CLを介して一定時間P以上継続して設定切替部111に出力する。その結果、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。
【0053】
すなわち、実施形態1では、モータ制御部11に対する設定がリセットされた後に、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが設定切替部111に出力されて、モータ制御部11に対する設定が第2設定に切り替わる。従って、モータMの回転中にモータ制御部11に対する設定が第2設定に切り替わることを抑制できる。
【0054】
次に、図3及び図4を参照して、蓄電部15の詳細を説明する。図4は、蓄電部15を示す回路図である。図4に示すように、蓄電部15は、ダイオード151と、複数個のキャパシタ153とを有する。実施形態1では、蓄電部15は、2個のキャパシタ153を有する。なお、蓄電部15は、1個のキャパシタ153を有していてもよい。
【0055】
ダイオード151のアノードは第2通電線SLに接続される。ダイオード151のカソードは制御信号線CLに接続される。複数のキャパシタ153は制御信号線CLに並列に接続される。具体的には、キャパシタ153の各々の一方電極は、制御信号線CLに接続される。キャパシタ153の各々の他方電極は接地される。
【0056】
第2通電線SLに速度指令信号Vspが入力されると、ダイオード151は、第1通電線FLから制御信号線CLに向かって電流を流す。従って、制御信号線CLの電位は、速度指令信号Vspの電圧値と略同一になる。そして、制御信号線CLの電位が制御信号CSになる。
【0057】
第2通電線SLに速度指令信号Vspが入力されている間、キャパシタ153の各々は蓄電する。従って、キャパシタ153の各々の電位は、速度指令信号Vspの電圧値と略同一になる。例えば、時刻t3~時刻t4において、キャパシタ153の各々は蓄電する。
【0058】
そして、速度指令信号Vspの電圧値が低下すると、キャパシタ153の各々は放電を開始する。従って、制御信号線CLの電位は、速度指令信号Vspの電圧値の低下に応じて低下する。つまり、制御信号CSの電圧値は、速度指令信号Vspの電圧値の低下に応じて低下する。例えば、時刻t4から制御信号CSの電圧値が低下する。
【0059】
なお、キャパシタ153の容量は、速度指令信号Vspの電圧値の低下後に、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSを一定時間P以上継続して出力可能なように設定されている。
【0060】
以上、図4を参照して説明したように、実施形態1によれば、安価かつ簡素な電子部品及び回路構成(ダイオード151及びキャパシタ153)によって蓄電部15を形成できる。
【0061】
次に、図1及び図5を参照して、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときのモータシステムA1の動作を説明する。図5は、モータ制御装置1の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、モータシステムA1は、ステップS1~ステップS6の各処理を実行する。
【0062】
図1及び図5に示すように、ステップS1において、電源部3は、第1通電線FLから電源電圧Vccが入力されていない状態で、第2通電線SLから第1閾値TH1以上の電圧値を有する速度指令信号Vspを、モータ制御部11に入力する。
【0063】
ステップS2において、電源部3は、モータ制御部11に入力される速度指令信号Vspの電圧値を、第1閾値TH1よりも低下させる。
【0064】
ステップS3において、蓄電部15は、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSを、一定時間P以上継続して設定切替部111に出力する。
【0065】
ステップS4において、設定切替部111は、電源電圧Vccが入力されている状態で、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが入力されているか否かを判定する。
【0066】
ステップS4で否定判定された場合、処理はステップS1に進む。
【0067】
一方、ステップS4で肯定判定された場合、処理はステップS5に進む。肯定判定は、電源電圧Vccが入力されている状態で、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが入力されていると判定されたことを示す。
【0068】
ステップS5において、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。
【0069】
ステップS6において、回転制御部113は、速度指令信号Vspに従ってモータMの回転速度を制御する。
【0070】
以上、図5を参照して説明したように、実施形態1によれば、電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspの入力タイミングの制御によって、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えることができる。従って、モータシステムA1では、モータ制御部11に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できる。
【0071】
(第1変形例)
図2図3、及び図6を参照して、本発明の実施形態1の第1変形例を説明する。第1変形例に係るモータシステムA1では、モータ制御部11に対する設定が「モータMの回転方向の設定」と「モータMの回転数を示す回転信号PGの出力形式の設定」とを示す点で、第1変形例は図1図5を参照して説明した実施形態1と主に異なる。以下、第1変形例が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0072】
図6は、第1変形例に係るモータシステムA1を示す図である。図6に示すように、第1変形例に係るモータ制御装置1は、図1を参照して説明したモータ制御装置1の構成に加えて、回転位置検出部SNをさらに有する。回転位置検出部SNは、モータMが有するロータ(不図示)の回転位置を検出する。そして、回転位置検出部SNは回転位置信号RPをモータ制御部11に出力する。回転位置信号RPは、モータMが有するロータの回転位置を示す。実施形態1では、回転位置検出部SNは複数のホール素子を含む。複数のホール素子はロータの磁極位置を検出する。なお、回転制御部113は、速度指令信号Vsp及び回転位置信号RPに基づいて、インバータ13を介してモータMの回転速度を制御する。
【0073】
また、第1変形例に係るモータ制御装置1は、2個の蓄電部15と、互いに分離された2本の制御信号線CLとを有する。蓄電部15の各々は第2通電線SLに接続される。そして、第2通電線SLは、速度指令信号Vspを蓄電部15の各々に入力する。その結果、蓄電部15の各々は、速度指令信号Vspを受けて蓄電する。また、蓄電部15の各々は制御信号線CLに接続される。
【0074】
また、モータ制御装置1のモータ制御部11は、図1を参照して説明したモータ制御部11の構成に加えて、回転信号出力部115をさらに有する。回転信号出力部115は、回転位置検出部SNが検出した回転位置を示す回転位置信号RPを回転信号PGに変換してマイクロコンピュータ5に出力する。回転信号PGはモータMの回転数を示す。
【0075】
さらに、モータ制御部11の設定切替部111は回転出力切替部111bを有する。回転出力切替部111bは、回転信号PGの出力形式の設定を切り替える。回転信号PGの出力形式とは、回転信号PGによって示されるモータMの回転数の表現形式のことである。回転出力切替部111bは制御信号線CLに接続される。そして、回転出力切替部111bは、2個の蓄電部15のうちの蓄電部15bが制御信号線CLに出力する制御信号CSに応答して、回転信号PGの出力形式の設定を切り替える。
【0076】
具体的には、次のようにして、回転信号PGの出力形式の設定が第1出力形式に切り替えられる。
【0077】
すなわち、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、第1閾値TH1未満の電圧値を有する制御信号CSが回転出力切替部111bに入力されている場合に、回転出力切替部111bは、回転信号PGの出力形式の設定を第1出力形式に切り替える。従って、第1変形例によれば、電源電圧Vccを入力する第1通電線FL及び速度指令信号Vspを入力する第2通電線SLを、回転信号PGの出力形式の設定を第1出力形式に切り替えるための通電線として代用している。その結果、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、回転信号PGの出力形式の設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できる。
【0078】
更に具体的には、回転出力切替部111bは、図2を参照して説明した設定切替部111がモータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるときと同様の手順で、回転信号PGの出力形式を第1出力形式に切り替える。従って、第1変形例では、回転出力切替部111bに関し、実施形態1における図2の説明において、「設定切替部111」を「回転出力切替部111b」と読み替え、「蓄電部15」を「蓄電部15b」と読み替える。また、「設定保持部1111」を「設定保持部1111b」と読み替え、「モータ制御部11に対する設定」を「回転信号PGの出力形式の設定」に読み替え、「第1設定」を「第1出力形式」と読み替える。
【0079】
一方、次のようにして、回転信号PGの出力形式の設定が第2出力形式に切り替えられる。第2出力形式は第1出力形式と異なる。
【0080】
すなわち、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが設定切替部111に入力されている場合に、設定切替部111は、回転信号PGの出力形式の設定を第2出力形式に切り替える。従って、第1変形例によれば、電源電圧Vccを入力する第1通電線FL及び速度指令信号Vspを入力する第2通電線SLを、回転信号PGの出力形式の設定を第2出力形式に切り替えるための通電線として代用している。その結果、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、回転信号PGの出力形式の設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを更に抑制できる。
【0081】
具体的には、回転出力切替部111bは、図3及び図5を参照して説明した設定切替部111がモータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときと同様の手順で、回転信号PGの出力形式を第2出力形式に切り替える。
【0082】
従って、第1変形例によれば、第1閾値TH1よりも低い電圧値の速度指令信号Vspが回転制御部113に入力された状態で、回転出力切替部111bに制御信号CSが入力される。その結果、第1閾値TH1よりも低い電圧値の速度指令信号Vspが回転制御部113に入力された状態で、回転出力切替部111bは回転信号PGの出力形式の設定を第2出力形式に切り替える。よって、モータMの回転中に、第1閾値TH1以上の電圧値の速度指令信号Vspに起因して回転信号PGの出力形式が切り替わることを抑制できる。
【0083】
また、第1変形例では、回転出力切替部111bに関し、実施形態1における図3及び図5の説明において、「設定切替部111」を「回転出力切替部111b」と読み替え、「蓄電部15」を「蓄電部15b」と読み替える。また、「設定保持部1111」を「設定保持部1111b」と読み替え、「モータ制御部11に対する設定」を「回転信号PGの出力形式の設定」に読み替え、「第2設定」を「第2出力形式」と読み替える。
【0084】
回転出力切替部111bは設定保持部1111bを有する。設定保持部1111bは、回転信号PGの出力形式の設定を保持する。具体的には、回転出力切替部111bが回転信号PGの出力形式の設定を切り替えると、設定保持部1111bは、切り替え後の出力形式の設定を保持する。そして、回転信号PGが設定保持部1111bの保持する出力形式を有するように、回転信号出力部115は、回転位置信号RPを回転信号PGに変換する。一方、モータ制御部11に対する電源電圧Vccの入力が停止されるか、又は、モータ制御部11に対する速度指令信号Vspの入力が停止されると、設定保持部1111bは、回転信号PGの出力形式の設定をリセットする。
【0085】
ここで、第1変形例では、回転信号PGはパルス波である。そして、回転信号PGの出力形式は、モータMの1回転当たりに回転信号PGに含めるパルスの数によって示される。従って、回転出力切替部111bは、モータMの1回転当たりに回転信号PGに含めるパルスの数を変更する。第1変形例では、電源電圧Vccを入力する第1通電線FL及び速度指令信号Vspを入力する第2通電線SLを、モータMの1回転当たりに回転信号PGに含めるパルスの数を変更するための通電線として代用することで、通電線の本数が増えることを抑制できる。
【0086】
引き続き図6を参照して、モータ制御部11の設定切替部111を説明する。設定切替部111は回転方向切替部111aをさらに有する。回転方向切替部111aは、モータMの回転方向の設定を切り替える。回転方向切替部111aは制御信号線CLに接続される。そして、回転方向切替部111aは、2個の蓄電部15のうちの蓄電部15aが制御信号線CLに出力する制御信号CSに応答して、モータMの回転方向の設定を切り替える。
【0087】
具体的には、次のようにして、モータMの回転方向の設定が第1回転方向に切り替えられる。
【0088】
すなわち、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、第1閾値TH1未満の電圧値を有する制御信号CSが回転方向切替部111aに入力されている場合に、回転方向切替部111aは、モータMの回転方向の設定を第1回転方向に切り替える。従って、第1変形例によれば、電源電圧Vccを入力する第1通電線FL及び速度指令信号Vspを入力する第2通電線SLを、モータMの回転方向の設定を第1回転方向に切り替えるための通電線として代用している。その結果、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、モータMの回転方向の設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できる。
【0089】
更に具体的には、回転方向切替部111aは、図2を参照して説明した設定切替部111がモータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるときと同様の手順で、モータMの回転方向の設定を第1回転方向に切り替える。従って、第1変形例では、回転方向切替部111aに関し、実施形態1における図2の説明において、「設定切替部111」を「回転方向切替部111a」と読み替え、「蓄電部15」を「蓄電部15a」と読み替える。また、「設定保持部1111」を「設定保持部1111a」と読み替え、「モータ制御部11に対する設定」を「モータMの回転方向の設定」に読み替え、「第1設定」を「第1回転方向」と読み替える。
【0090】
一方、次のようにして、モータMの回転方向の設定が第2回転方向に切り替えられる。
【0091】
すなわち、電源電圧Vccがモータ制御部11に入力されている状態で、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが回転方向切替部111aに入力されている場合に、回転方向切替部111aは、モータMの回転方向の設定を第2回転方向に切り替える。従って、第1変形例によれば、電源電圧Vccを入力する第1通電線FL及び速度指令信号Vspを入力する第2通電線SLを、モータMの回転方向の設定を第2回転方向に切り替えるための通電線として代用している。その結果、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、モータMの回転方向の設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを更に抑制できる。
【0092】
具体的には、回転方向切替部111aは、図3及び図5を参照して説明した設定切替部111がモータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときと同様の手順で、モータMの回転方向の設定を第2回転方向に切り替える。
【0093】
従って、第1変形例によれば、第1閾値TH1よりも低い電圧値の速度指令信号Vspが回転制御部113に入力された状態で、回転方向切替部111aに制御信号CSが入力される。その結果、第1閾値TH1よりも低い電圧値の速度指令信号Vspが回転制御部113に入力された状態で、回転方向切替部111aはモータMの回転方向の設定を第2回転方向に切り替える。よって、モータMの回転中に、第1閾値TH1以上の電圧値の速度指令信号Vspに起因してモータMの回転方向が切り替わることを抑制できる。
【0094】
また、第1変形例では、回転方向切替部111aに関し、実施形態1における図3及び図5の説明において、「設定切替部111」を「回転方向切替部111a」と読み替え、「蓄電部15」を「蓄電部15a」と読み替える。また、「設定保持部1111」を「設定保持部1111a」と読み替え、「モータ制御部11に対する設定」を「モータMの回転方向の設定」に読み替え、「第2設定」を「第2回転方向」と読み替える。
【0095】
回転方向切替部111aは設定保持部1111aを有する。設定保持部1111aは、モータMの回転方向の設定を保持する。具体的には、回転方向切替部111aがモータMの回転方向の設定を切り替えると、設定保持部1111aは、切り替え後の回転方向の設定を保持する。そして、モータMが設定保持部1111aの保持する回転方向に回転するように、回転制御部113は、インバータ13を介してモータMを制御する。一方、モータ制御部11に対する電源電圧Vccの入力が停止されるか、又は、モータ制御部11に対する速度指令信号Vspの入力が停止されると、設定保持部1111bは、モータMの回転方向の設定をリセットする。
【0096】
(第2変形例)
図7を参照して、本発明の実施形態1の第2変形例を説明する。第2変形例に係るモータシステムA1では、1個の蓄電部15を回転方向切替部111aと回転出力切替部111bとで共用する点で、第2変形例は第1変形例と主に異なる。以下、第2変形例が第1変形例と異なる点を主に説明する。
【0097】
図7は、第2変形例に係るモータシステムA1を示す図である。図7に示すように、第2変形例に係るモータ制御装置1は1個の蓄電部15を有する。蓄電部15は第2通電線SLに接続される。そして、第2通電線SLは、速度指令信号Vspを蓄電部15に入力する。その結果、蓄電部15は、速度指令信号Vspを受けて蓄電する。また、蓄電部15は制御信号線CLに接続される。そして、蓄電部15は、制御信号線CLによって、回転方向切替部111a及び回転出力切替部111bの双方に接続される。つまり、蓄電部15は、回転出力切替部111bと回転方向切替部111aとで共用される。
【0098】
従って、第2変形例によれば、回転方向切替部111a及び回転出力切替部111bの各々に対して蓄電部15を設ける場合と比較して、モータ制御装置1を簡素化できる。その結果、モータ制御装置1の製造コストを低減できる。また、第2変形例では、1個の蓄電部15が、図6を参照して説明した第1変形例の蓄電部15a及び蓄電部15bとして機能する。
【0099】
(実施形態2)
図8図11を参照して、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2に係るモータシステムA1では、モータ制御部11が、電源電圧Vccの入力と遮断とを切り替える電源入力切替部117を有する点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0100】
図8は、実施形態2に係るモータシステムA1を示す図である。図8に示すように、実施形態2に係るモータシステムA1において、モータ制御装置1のモータ制御部11は、図1を参照して説明したモータ制御部11の構成に加えて、電源入力切替部117、と内部電源線ILとをさらに有する。電源入力切替部117には、第1通電線FL、第2通電線SL、及び内部電源線ILが接続される。電源入力切替部117は、例えば、電源入力切替回路である。電源入力切替部117は、第2閾値TH2に基づいて、モータ制御部11の内部に対する電源電圧Vccの入力と遮断とを切り替える。第2閾値TH2は第1閾値TH1より小さい。第1閾値TH1は、例えば2Vであり、第2閾値TH2は、例えば1Vである。電源入力切替部117は、内部電源線ILに電源電圧Vccを出力することで、モータ制御部11の内部に電源電圧Vccを入力する。また、電源入力切替部117には、第2通電線SLから速度指令信号Vspが入力される。
【0101】
具体的には、電源入力切替部117に第1通電線FLから電源電圧Vccが入力されている状態で、速度指令信号Vspの電圧値が第2閾値TH2より大きい場合に、電源入力切替部117は、内部電源線ILを介してモータ制御部11の内部へ電源電圧Vccを入力する。従って、電源入力切替部117に第1通電線FLから電源電圧Vccが入力されていない状態では、モータ制御部11の内部へ電源電圧Vccは入力されない。
【0102】
一方、電源入力切替部117に第1通電線FLから電源電圧Vccが入力されている状態で、速度指令信号Vspの電圧値が第2閾値TH2以下の場合に、電源入力切替部117は、モータ制御部11の内部への電源電圧Vccの入力を遮断する。
【0103】
次に、図8及び図9を参照して、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるときの制御を説明する。図9は、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるときの電源電圧Vcc、速度指令信号Vsp、及び制御信号CSを示すタイミングチャートである。図9では、縦軸において、第1通電線FLの電位と、内部電源線ILの電位と、第2通電線SLの電位と、制御信号線CLの電位とが示されている。また、横軸は時間を示す。なお、図9の説明において、図2と同様の動作及び状態の説明は適宜省略する。
【0104】
図8及び図9に示すように、時刻t1で、第1通電線FLから電源電圧Vccが電源入力切替部117へ入力される。また、時刻t1では、第2通電線SLに速度指令信号Vspが入力されていないため、電源入力切替部117は、内部電源線ILに電源電圧Vccを出力していない。
【0105】
時刻t1よりも後の時刻t2で、第2通電線SLから第1閾値TH1未満第2閾値TH2より大きい電圧値の速度指令信号Vspが電源入力切替部117へ入力される。従って、電源入力切替部117は、内部電源線ILに電源電圧Vccを出力して、モータ制御部11の内部へ電源電圧Vccを入力する。加えて、蓄電部15は、制御信号線CLを介して、第1閾値TH1未満第2閾値TH2より大きい電圧値の制御信号CSを設定切替部111に入力する。その結果、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替える。
【0106】
すなわち、電源電圧Vccが内部電源線ILからモータ制御部11の内部に入力された状態で、第1閾値TH1未満第2閾値TH2より大きい電圧値の制御信号CSが設定切替部111に入力されている場合、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替える。その結果、モータ制御部11に対する設定が確定され、設定保持部1111が第1設定を保持する。
【0107】
以上、図8及び図9を参照して説明したように、実施形態2では、電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspの状態変化によって、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えることができる。つまり、実施形態2では、実施形態1と同様に、第1通電線FL及び第2通電線SLを、モータ制御部11に対する設定を第1設定に切り替えるための通電線として代用している。従って、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、モータ制御部11に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できる。
【0108】
次に、図8及び図10を参照して、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときの制御を説明する。図10は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときの電源電圧Vcc、速度指令信号Vsp、及び制御信号CSを示すタイミングチャートである。図10では、縦軸において、第1通電線FLの電位と、内部電源線ILの電位と、第2通電線SLの電位と、制御信号線CLの電位とが示されている。また、横軸は時間を示す。なお、図10の説明において、図3と同様の動作及び状態の説明は適宜省略する。
【0109】
図8及び図10に示すように、時刻t3で、第2通電線SLから第1閾値TH1以上の速度指令信号Vspがモータ制御部11へ入力される。従って、蓄電部15は、制御信号線CLを介して、第1閾値TH1以上の電圧値の制御信号CSを設定切替部111に出力する。なお、時刻t3では、第1通電線FLには電源電圧Vccが入力されていない。従って、モータ制御部11の内部に電源電圧Vccは入力されていない。
【0110】
時刻t3よりも後の時刻t4で、第2通電線SLの速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下する。低下後の速度指令信号Vspの電圧値は第2閾値TH2よりも大きい。時刻t4は、速度指令信号Vspの電圧値の減少開始時を示す。
【0111】
一方、時刻t3から時刻t4までに、蓄電部15は蓄電している。従って、時刻t4で速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下すると、蓄電部15は、時刻t4から制御信号線CLに放電を開始する。その結果、蓄電部15は、時刻t4から電圧値が減少する制御信号CSを制御信号線CLに出力する。この場合、蓄電部15は、第1閾値TH1以上の電圧値の制御信号CSを、時刻t4から一定時間P以上継続して制御信号線CLに出力する。
【0112】
時刻t5で、第1通電線FLから電源入力切替部117に電源電圧Vccが入力される。加えて、時刻t5では、第2閾値TH2より大きい電圧値の速度指令信号Vspが第2通電線SLから電源入力切替部117に入力されている。従って、電源入力切替部117は、内部電源線ILに電源電圧Vccを出力して、電源電圧Vccをモータ制御部11の内部に入力する。
【0113】
その結果、時刻t5では、モータ制御部11の内部に電源電圧Vccが入力された状態で、制御信号線CLに出力されている制御信号CSの電圧値は第1閾値TH1以上である。よって、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。そして、時刻t5で、モータ制御部11に対する設定が確定され、設定保持部1111が第2設定を保持する。
【0114】
以上、図8及び図10を参照して説明したように、実施形態2では、「電源電圧Vccがモータ制御部11の内部に入力されていない状態→第1閾値TH1以上の速度指令信号Vspが入力されている状態→第1閾値TH1よりも速度指令信号Vspが低下した状態→電源電圧Vccがモータ制御部11の内部に入力されている状態」という電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspの状態変化によって、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えることができる。
【0115】
具体的には、実施形態2では、電源電圧Vccが第1通電線FLから電源入力切替部117に入力されていない状態で、第1閾値TH1以上の電圧値を有する速度指令信号Vspがモータ制御部11に入力された後に、速度指令信号Vspの電圧値が第1閾値TH1よりも低下した場合に、蓄電部15は、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSを、制御信号線CLを介して一定時間P以上継続して設定切替部111に出力する。
【0116】
そして、電源電圧Vccが第1通電線FLから電源入力切替部117に入力され、かつ、速度指令信号Vspの電圧値が第2閾値TH2より大きい場合に、電源入力切替部117は、内部電源線ILを介してモータ制御部11の内部へ電源電圧Vccを入力する。
【0117】
さらに、電源電圧Vccが内部電源線ILからモータ制御部11の内部に入力されている状態で、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが設定切替部111に入力されている場合に、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。
【0118】
従って、実施形態2では、モータ制御装置1が、速度指令信号Vspに基づいて動作する電源入力切替部117を有する場合において、2つの異なる閾値(第1閾値TH1及び第2閾値TH2)に基づく速度指令信号Vspの電圧値の制御と、異なる電圧値での速度指令信号Vspの入力タイミングの制御とによって、モータ制御部11に対する設定を容易に切り替えることができる。
【0119】
また、実施形態2では、実施形態1と同様に、第1通電線FL及び第2通電線SLを、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるための通電線として代用している。従って、モータ装置B1及びモータ制御装置1は、モータ制御部11に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを更に抑制できる。その他、実施形態2では、実施形態1と同様の効果を有する。
【0120】
さらに、実施形態2では、モータ制御装置1は、速度指令信号Vspによって電源入力切替部117を制御することで、モータ制御部11に対する設定を切り替える際の電源電圧Vccを制御している。従って、コントローラB2だけでモータ制御部11に対する設定を切り替える際の電源電圧Vccを制御する場合と比較して、コントローラB2の構成を簡素にできる。
【0121】
次に、図8及び図11を参照して、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えるときのモータシステムA1の動作を説明する。図11は、モータ制御装置1の動作を示すフローチャートである。図11に示すように、モータシステムA1は、ステップS11~ステップS18の各処理を実行する。
【0122】
図8及び図11に示すように、ステップS11において、電源部3は、第1通電線FLから電源入力切替部117に電源電圧Vccが入力されていない状態で、第2通電線SLから第1閾値TH1以上の電圧値を有する速度指令信号Vspを、モータ制御部11に入力する。
【0123】
ステップS12において、電源部3は、モータ制御部11に入力される速度指令信号Vspの電圧値を、第1閾値TH1よりも低下させる。
【0124】
ステップS13において、蓄電部15は、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSを、一定時間P以上継続して設定切替部111に出力する。
【0125】
ステップS14において、電源電圧Vccが電源入力切替部117に入力されていないか、又は、第2閾値TH2より大きい電圧値の速度指令信号Vspが電源入力切替部117に入力されていない場合、電源入力切替部117は、電源電圧Vccが入力され、かつ、第2閾値TH2より大きい電圧値の速度指令信号Vspが入力されることを待つ。
【0126】
一方、ステップS14において、電源電圧Vccが電源入力切替部117に入力され、かつ、第2閾値TH2より大きい電圧値の速度指令信号Vspが電源入力切替部117に入力されている場合、処理はステップS15に進む。
【0127】
ステップS15において、電源入力切替部117は、モータ制御部11の内部に電源電圧Vccを入力する。
【0128】
ステップS16において、設定切替部111は、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが入力されているか否かを判定する。
【0129】
ステップS16で否定判定された場合、処理はステップS11に進む。
【0130】
一方、ステップS16で肯定判定された場合、処理はステップS17に進む。肯定判定は、第1閾値TH1以上の電圧値を有する制御信号CSが入力されていると判定されたことを示す。
【0131】
ステップS17において、設定切替部111は、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替える。
【0132】
ステップS18において、回転制御部113は、速度指令信号Vspに従ってモータMの回転速度を制御する。
【0133】
以上、図11を参照して説明したように、実施形態2によれば、電源電圧Vcc及び速度指令信号Vspの入力タイミングの制御によって、モータ制御部11に対する設定を第2設定に切り替えることができる。従って、モータシステムA1では、モータ制御部11に対する設定を切り替えるための通電線の本数が増えることを抑制できる。
【0134】
なお、図6及び図7を参照して説明した実施形態1の第1変形例及び第2変形例において、モータ制御部11は、実施形態2に係る電源入力切替部117をさらに有していてもよい。
【0135】
例えば、第1変形例においてモータ制御部11が電源入力切替部117を有している場合、次のように実施形態2の説明を読み替える。
【0136】
すなわち、回転出力切替部111bに関し、実施形態2における図9図11の説明において、「設定切替部111」を「回転出力切替部111b」と読み替え、「蓄電部15」を「蓄電部15b」と読み替える。また、「設定保持部1111」を「設定保持部1111b」と読み替え、「モータ制御部11に対する設定」を「回転信号PGの出力形式の設定」に読み替える。
【0137】
また、回転出力切替部111bに関し、実施形態2における図9の説明において、「第1設定」を「第1出力形式」と読み替え、実施形態2における図10及び図11の説明において、「第2設定」を「第2出力形式」と読み替える。
【0138】
一方、回転方向切替部111aに関し、実施形態2における図9図11の説明において、「設定切替部111」を「回転方向切替部111a」と読み替え、「蓄電部15」を「蓄電部15a」と読み替える。また、「設定保持部1111」を「設定保持部1111a」と読み替え、「モータ制御部11に対する設定」を「モータMの回転方向の設定」に読み替える。
【0139】
また、回転方向切替部111aに関し、実施形態2における図9の説明において、「第1設定」を「第1回転方向」と読み替え、実施形態2における図10及び図11の説明において、「第2設定」を「第2回転方向」と読み替える。
【0140】
なお、例えば、第2変形例においてモータ制御部11が電源入力切替部117を有している場合は、1個の蓄電部15が、第1変形例においてモータ制御部11が電源入力切替部117を有している場合の蓄電部15a及び蓄電部15bとして機能する。
【0141】
ここで、実施形態1、第1変形例、第2変形例、及び実施形態2において、モータ制御部11が、例えば、1個のICによって構成されていてもよいし、モータ制御部11及びインバータ13が、例えば、1個のICによって構成されていてもよい。また、実施形態1、第1変形例、第2変形例、及び実施形態2では、蓄電部15はモータ制御部11の外部に配置された。ただし、蓄電部15はモータ制御部11の内部に配置されていてもよく、蓄電部15の配置は特に限定されない。
【0142】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0143】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、モータ制御装置及びモータ装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0145】
1 モータ制御装置
11 モータ制御部
111 設定切替部
111a 回転方向切替部
111b 回転出力切替部
117 電源入力切替部
FL 第1通電線
SL 第2通電線
M モータ
B1 モータ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11