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特許7152145クレーンのホイスト及びロープの光学的な検出及び分析
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】クレーンのホイスト及びロープの光学的な検出及び分析
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20221004BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C15/00 Z
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017224705
(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公開番号】P2018138489
(43)【公開日】2018-09-06
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】62/425,449
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510051082
【氏名又は名称】マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MANITOWOC CRANE COMPANIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ルディ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソアーセン, マシュー
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/047840(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0268313(US,A1)
【文献】国際公開第2009/047719(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
B66D 1/00- 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に連結されていて、ブームを含んでいる上部構造体と、
前記上部構造体に連結されているホイストであって、ホイストドラム、及び前記ホイストドラムの周りに巻き取られ及び巻き戻されるように構成されているロープを有しているホイストと、
前記ホイストの画像をキャプチャーするように構成されている1つ又はそれ以上の画像キャプチャーデバイスを備える画像キャプチャー組立体、及び光学制御システム、を有する光学検出システムと、を備え、
前記光学制御システムは、
前記キャプチャー画像内で、前記ロープ、前記ホイストドラム、前記ホイストドラム上のロープの1つ又はそれ以上の巻回、及び前記ホイスト上のマーカー、から選択される1つ又はそれ以上の物体を検出し、
前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析し、
前記1つ又はそれ以上の検出された物体の前記分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定するように構成されるクレーンにおいて、
前記検出される物体の1つが、前記ホイストドラム上のロープの1つ又はそれ以上の巻回とされ、
前記検出されるロープの1つ又はそれ以上のロープの巻回は、前記ホイストドラム上のロープの巻回数をカウントするために分析され、
前記クレーン構成要素の判定される状態が、前記ホイストドラムから繰り出されたロープ量、フックブロック高さ、アンチ・ツー・ブロック、ホイストドラムの運動の方向、前記ホイストドラム上の前記ロープの現在の層又は最後の層、ホイストドラム巻き取り又は巻き戻しの速度、ホイストドラムの運動のうちの1つ又はそれ以上とされ、
前記判定される状態が、前記ホイストドラム上の検出されるロープの巻回数に基づき判定されるようにした、クレーン。
【請求項2】
前記1つ又はそれ以上の画像キャプチャーデバイスはカメラを含んでいる、請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記検出される物体は更に、前記ロープ、前記ホイストドラム、前記マーカーのうちの1つ又はそれ以上を含み、前記クレーン構成要素の前記判定される状態は、更にロープサイズ、前記ホイストドラム上のロープの引き通り(pull through)、潜り(diving)、又は埋まり(bury)、前記ホイストドラム上のロープの乗り上げ、前記ホイストドラム上のロープ巻回密度、前記ロープの逆巻き付け、撚り型式を含むロープ型式、前記ロープ内の張力喪失、及びロープ損傷又は摩耗、のうちの1つ又はそれ以上とされる、請求項1に記載のクレーン。
【請求項4】
前記ロープは複数のストランドを備え、各ストランドは複数の素線を備えており、前記光学制御システムは、前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析して、前記ロープ、前記ストランド、及び前記素線、のうちの1つ又はそれ以上の稜線を識別する、請求項1に記載のクレーン。
【請求項5】
前記光学制御システムは、更に、前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析して、前記ロープ、前記ストランド、又は前記素線、の前記稜線の平行性を判定する、請求項4に記載のクレーン。
【請求項6】
前記光学制御システムは、前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析して、当該1つ又はそれ以上の検出された物体の幅にわたって延びているピクセルの数を識別する、請求項1に記載のクレーン。
【請求項7】
前記光学制御システムは、前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析して、マーカーを識別する、請求項1に記載のクレーン。
【請求項8】
前記光学制御システムは、前記マーカーを分析して、当該マーカーと関連付けられている情報を取り出す、請求項7に記載のクレーン。
【請求項9】
前記光学検出システムは、前記1つ又はそれ以上の検出された物体の状態を判定したことに応じて信号を生成するように構成されている、請求項1に記載のクレーン。
【請求項10】
ホイストドラム及び前記ホイストドラムの周りに巻き取られ及び巻き戻されるように構成されているロープを含むホイストを有するクレーンのための光学検出システムであって、
前記ホイストの画像をキャプチャーするように構成されている1つ又はそれ以上の画像キャプチャーデバイスを備える画像キャプチャー組立体と、
光学制御システムであって、
前記キャプチャー画像内で、前記ロープ、前記ホイストドラム、前記ホイストドラム上のロープの巻回、及び前記ホイスト上のマーカー、から選択されている1つ又はそれ以上の物体を検出し、
前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析し、
前記1つ又はそれ以上の検出された物体の前記分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定するように構成されている光学制御システムと、
を備えており、
前記検出される物体の1つが、前記ホイストドラム上のロープの1つ又はそれ以上の巻回とされ、
前記検出されるロープの1つ又はそれ以上のロープの巻回は、前記ホイストドラム上のロープの巻回数をカウントするために分析され、
前記クレーン構成要素の判定される状態が、前記ホイストドラムから繰り出されたロープ量、フックブロック高さ、アンチ・ツー・ブロック、ホイストドラムの運動の方向、前記ホイストドラム上の前記ロープの現在の層又は最後の層、ホイストドラム巻き取り又は巻き戻しの速度、ホイストドラムの運動のうちの1つ又はそれ以上とされ、
前記判定される状態が、前記ホイストドラム上の検出されるロープの巻回数に基づき判定されるようにした、光学検出システム。
【請求項11】
前記光学制御システムは、前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析して、前記ロープの巻回、前記ロープのストランド、又は前記ストランドの素線、のうちの1つ又はそれ以上の稜線を検出して前記稜線同士の平行性を判定する、請求項10に記載の光学検出システム。
【請求項12】
前記光学制御システムは、前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析して、当該1つ又はそれ以上の検出された物体の幅にわたって延びているピクセルの数を識別する、請求項10に記載の光学検出システム。
【請求項13】
前記光学制御システムは、前記1つ又はそれ以上の検出された物体を分析して、マーカーを識別し、当該マーカーと関連付けられている情報を取り出す、請求項10に記載の光学検出システム。
【請求項14】
クレーン構成要素の状態を判定する方法であって、
画像キャプチャー組立体を用いて、クレーン上のホイストの画像をキャプチャーする段階と、
光学制御システムを用いて、前記キャプチャー画像内の1つ又はそれ以上の物体を検出する段階において、当該1つ又はそれ以上の物体は、前記ホイスト、ホイストドラム、前記ホイストドラム上の巻き取られ又は巻き戻されるように構成されているロープ、及び前記ホイストドラム上の前記ロープの1つ又はそれ以上の巻回、を含んでいる、検出する段階と、
前記光学制御システムを用いて、前記検出された物体を分析する段階と、
前記光学制御システムを用いて、前記検出された物体の前記分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定する段階と、
を備え、
前記検出される物体の1つが、前記ホイストドラム上のロープの1つ又はそれ以上の巻回とされ、
前記検出される前記ロープの1つ又はそれ以上のロープの巻回は、前記ホイストドラム上のロープの巻回数をカウントするために分析され、
前記クレーン構成要素の状態の判定される状態が、前記ホイストドラムから繰り出されたロープ量、フックブロック高さ、アンチ・ツー・ブロック、ホイストドラムの運動の方向、前記ホイストドラム上の前記ロープの現在の層又は最後の層、ホイストドラム巻き取り又は巻き戻しの速度、ホイストドラムの運動のうちの1つ又はそれ以上とされ、
前記判定される状態が、前記ホイストドラム上の検出されたロープの巻回数に基づき判定されるようにした、方法。
【請求項15】
前記1つ又はそれ以上の物体を検出する段階は、更に、前記ホイスト上のマーカーを検出する段階を含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検出された物体を分析する段階は、前記ロープ、前記ロープの1つ又はそれ以上のストランド、及び前記ストランドの1つ又はそれ以上の素線、の稜線を識別し当該検出された稜線同士の平行性を判定する段階、前記検出された物体のうちの1つ又はそれ以上の幅にわたって延びているピクセルの数を識別する段階、前記ロープの撚りの方向を識別する段階、及び前記マーカーを識別し当該マーカーと関連付けられている情報を取り出す段階、のうちの1つ又はそれ以上を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記検出される物体は更に、前記ロープ、前記ホイストドラム、前記ホイスト上のマーカーのうちの1つ又はそれ以上を含み、前記クレーン構成要素の前記判定される状態は、更にホイストの誤ったロープ巻き取り、ロープサイズ、前記ホイストドラム上のロープの引き通り(pull through)、潜り(diving)、又は埋まり(bury)、前記ホイストドラム上のロープの乗り上げ、前記ホイストドラム上のロープ巻回密度、前記ロープの逆巻き付け、撚り型式を含むロープ型式、前記ロープ内の張力喪失、及びロープ損傷又は摩耗、のうちの1つ又はそれ以上とされている、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記クレーン構成要素の前記状態に応じて信号を生成する段階を更に備えている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ホイスト又はロープ又はそれら両方の検出及び分析に関しており、詳細にはクレーン上のホイスト又はロープ又はそれら両方の光学的な検出及び分析に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーンの様なクレーンは、典型的には、下部構造又は下部走行体と下部構造上に取り付けられている上部構造又は上部構造体を含んでいる。下部構造は、例えば、フレームと、フレームへ取り付けられているサスペンションと、サスペンションへ取り付けられているタイヤと、1つ又はそれ以上のアウトリガーであって実質的に水平方向に選択的に伸展及び収縮可能であるアーム及びアームに連結されている実質的に垂直方向に選択的に伸展及び収縮可能であるジャッキをそれぞれが有しているアウトリガーと、を含んでいる。上部構造は、垂直軸周りに回転するように下部構造上に回転可能に取り付けられていることもある。上部構造は、例えば、ブームと、操作者運転室と、カウンターウェイト組立体と、ロープを巻き取ったり巻き戻したりするためのホイストと、を含んでいるであろう。上部構造は、更に、上記構成要素が取り付けられている回転台を含んでいる。ホイストは回転台の様な上部構造の基部に又は基部付近に取り付けられているのが典型的である。ロープはホイストから外方へ概ねブームに沿って延びていてブームの先端から自由に垂れ下がっているだろう。ロープの自由端には荷重に係合するためにフックブロックが配置されているのが典型的である。
【0003】
クレーンは数多くの運動を遂行できる。例えば、上部構造はブームを含め、左に揺動する又は右に揺動する(即ち、垂直軸を中心に反時計回り又は時計回りに回転する)ことができ、ブームは起きる又は伏せる(即ち、水平軸に対する角度を増加又は減少させる)ことができ、ブームは伸縮自在に伸展又は収縮することができる。加えて、ホイストは、ブーム先端から延びるロープの長さが増加するようにロープを巻き戻す又はブーム先端から延びるロープの長さが減少するようにロープを巻き取る働きをすることができる。ロープの巻き取りは荷重の吊り上げに対応し、ロープの巻き戻しは荷重の吊り下ろしに対応する。
【0004】
上述のものを含め、様々なクレーン構成要素は、クレーン構成要素のステータスを測定するために監視されることがある。クレーン構成要素を検出するには、典型的に、近接センサ、ロードセル、RFIDセンサ、など、の様なセンサを使用することができる。例えば、近接センサが、アウトリガーが完全伸展状態又は完全収縮状態にあるかどうかや、カウンターウェイトが適正に位置決めされた状態かどうか、を検出していることもある。位置センサ又はレーザー距離センサの様な他のセンサが、フックブロックとブーム先端を検出し、フックブロックとブーム先端の間の距離を判定できるようにしていることもある。その結果、ツー・ブロッキング状態を判定することができる。また、ロードセルがアウトリガージャッキへの荷重を検出していることもある。その後、アウトリガージャッキは配備状態にあるかどうかが判定されることになる。一部のクレーン構成要素は例えば操作者又は監視者によって目視で検出されていることもある
【0005】
クレーン構成要素は、更に、実働状態を判定し特定の構成要素を交換、補修、又は他の整備が必要かどうかを判定するために監視されることもある。その様な監視は既定の時間間隔にて行われることもあれば既定の実働時間数にて行われることもある。この監視は例えば構成要素の目視検査によって実施されることもある。
【0006】
監視が必要とされる或る特定のクレーン構成要素はホイスト及びロープシステムである。例えば、ロープは経時的にほつれを来し始めたり使用の途中で損傷を受けたりすることがある。加えて、ホイストには巻き取り又は巻き戻しの結果としてクレーン動作に悪影響を及ぼしかねない幾つかのロープ状態が生じることがある。
【0007】
ホイスト及びロープの諸状態は、操作者、監視者、又は保守技術者によって目視で監視されているのが現状であろう。ホイスト及びロープは、クレーンの使用中と使用の合間の両方で、又は既定の間隔で、例えば予定された期間検査時に、監視されることがある。例えば、中国特許第00010435356号は、ホイストドラム上に巻き取られたロープを監視して、個々のロープ巻回(rope wrap)が平行になっているかどうか及び巻回が正しい距離に離間されているかどうかを判定するための、カメラベースのシステムを開示している。
【0008】
しかしながら、ホイスト及び/又はロープの手作業又は目視による検査は、時間を消費し、費用が嵩み、目視者に依って主観的になることもある。加えて、断続的な検査又は定期的に予定されている検査は、クレーン動作に影響を及ぼすかもしれない構成要素の実働状態を適時に識別し損ねる可能性もある。また、既存のカメラベースの監視システムは、一部の特定の構成要素に限った検出及び比較的少ない状態の判定に制限されている。例えば、その様なシステムは、ロープがホイスト上にある間しかロープを検出することができず、従って判定できる状態の数や種類が限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】中国特許第00010435356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、ホイスト及び/又はロープが検出されているキャプチャー画像の分析に基づいて、より多くの数の状態並びに他のクレーン状態を検出及び判定することのできる画像ベースのホイスト及びロープ検出及び分析システムを提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様によれば、クレーンが、下部走行体と、下部走行体に連結された上部構造体と、を含んでおり、当該上部構造体はブームを含んでいる。ホイストが、上部構造体に連結されていて、ホイストドラムと、ホイストドラム上の巻き取られ及び巻き戻されるように構成されているロープと、を含んでいる。クレーンは、更に、ホイストの画像をキャプチャーするように構成されている1つ又はそれ以上の画像キャプチャーデバイスを含む画像キャプチャー組立体を有する光学検出システムを含んでいる。光学検出システムは、更に、キャプチャー画像内の1つ又はそれ以上の物体を検出するように構成されている光学制御システムを含んでおり、当該1つ又はそれ以上の物体は、ロープ、ホイストドラム、ホイストドラム上のロープの巻回、及びホイスト上のマーカー、から選択されている。光学制御システムは、更に、1つ又はそれ以上の検出された物体を分析し、当該1つ又はそれ以上の検出された物体の分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定するように構成されている。
【0012】
別の態様によれば、ホイストドラム及びホイストドラム上の巻き取られ及び巻き戻されるように構成されているロープを含むホイストを有するクレーンのための光学検出システムが、ホイストの画像をキャプチャーするように構成されている1つ又はそれ以上の画像キャプチャーデバイスを有する画像キャプチャー組立体と、光学制御システムと、を含んでいる。光学制御システムは、キャプチャー画像内の1つ又はそれ以上の物体を検出するように構成されており、当該1つ又はそれ以上の物体は、ロープ、ホイストドラム、ホイストドラム上のロープの巻回、及びホイスト上のマーカー、から選択されている。光学制御システムは、更に、1つ又はそれ以上の検出された物体を分析し、当該1つ又はそれ以上の検出された物体の分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定するように構成されている。
【0013】
別の態様によれば、クレーン構成要素の状態を判定する方法は、画像キャプチャー組立体を用いて、クレーン上のホイストの画像をキャプチャーする段階と、光学制御システムを用いて、キャプチャー画像内の1つ又はそれ以上の物体を検出する段階と、を含んでおり、当該1つ又はそれ以上の物体は、ホイスト、ホイストドラム、ホイストドラム上の巻き取られ及び巻き戻されるように構成されているロープ、及びホイストドラム上のロープの1つ又はそれ以上の巻回、を含んでいる。当該方法は、更に、光学制御システムを用いて、検出された物体を分析する段階と、光学制御システムを用いて、検出された物体の分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定する段階と、を含んでいる。
【0014】
本開示の他の目的、特徴、及び利点は、次に続く説明を添付図面と関連付けて考察することから自明となるものであり、図面中、同様の符号は同様の部分、要素、構成要素、段階、及びプロセスを表す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】或る実施形態によるクレーンの側面図である。
図2図1のクレーンの上面図である。
図3】或る実施形態によるクレーン制御システムのブロック線図である。
図4】或る実施形態による光学検出システムのブロック線図である。
図5】光学検出システムによってキャプチャーされた画像の一例である。
図6】光学検出システムによってキャプチャーされた画像の別の例である。
図7】或る実施形態による、或る状態にあるロープを有しているホイストの前面図である。
図8】別の実施形態によるホイストの前面図である。
図9】或る実施形態による、別の状態にあるロープを有しているホイストの断面図である。
図10】或る実施形態による、別の状態にあるロープを有しているホイストの断面図である。
図11】別の状態にある、ホイスト上に巻き取られたロープのキャプチャー画像の一例である。
図12】或る実施形態による、別の状態にあるロープを有しているホイストの前面図である。
図13】或る実施形態による、別の状態にあるロープを有しているホイストの前面図である。
図14】或る実施形態による、別の状態にあるロープを有しているホイストの前面図である。
図15】或る実施形態による、別の状態にあるロープを有しているホイストの断面図である。
図16】或る実施形態による、別の状態にあるロープを有しているホイストの断面図である。
図17A】或る実施形態による光学検出システムによって検出され得るロープ、ストランド、及び素線の状態の幾例かのうちの1つを示している。
図17B】或る実施形態による光学検出システムによって検出され得るロープ、ストランド、及び素線の状態の幾例かのうちの1つを示している。
図17C】或る実施形態による光学検出システムによって検出され得るロープ、ストランド、及び素線の状態の幾例かのうちの1つを示している。
図17D】或る実施形態による光学検出システムによって検出され得るロープ、ストランド、及び素線の状態の幾例かのうちの1つを示している。
図18】或る実施形態による、クレーン構成要素の状態を判定する方法を示すブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は様々な形態での具現化の余地があるとはいえ、図面には1つ又はそれ以上の実施形態が示されており以下ではそれら実施形態を説明してゆくが、ついては本開示は単に例示と見なされるべきであって本開示を説明され又は描かれている何れかの特定の実施形態に限定しようとするものではないことを理解しておきたい。
【0017】
図1は、ここに説明されている或る実施形態によるクレーン10の側面図であり、図2は、図1のクレーン10の上面図である。図1及び図2を参照して、クレーン10は、限定するわけではないが、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、トラック搭載型クレーン、又は産業用クレーン、の様な移動式クレーンとすることができる。クレーン10は、概して、下部走行体又は下部構造12と上部構造体又は上部構造14を含んでいる。一実施形態では、下部走行体12は、様々なクレーン構成要素、例えばフレーム16、複数のタイヤの様な地面係合要素18、及びフレーム16と地面係合要素18の間に相互接続されているサスペンション(図示せず)など、を含むことができる。下部走行体12は、更に、1つ又はそれ以上のアウトリガー組立体20の様な他のクレーン構成要素を含んでいてもよい。一実施形態では、各アウトリガー組立体20は、地面又は他の支持面に係合及び係合解除するように概ね垂直方向に可動であるジャッキ22を含んでいる。各アウトリガー組立体20は、更に、フレーム16に向かって及びフレーム16から離れて伸展するように概ね水平方向に可動であるアーム24を含んでいてもよい。一実施形態では、アーム24は、アウトリガーボックスの様な固定部と固定部に対して可動である1つ又はそれ以上の伸縮部とを有する伸縮式アームである。各ジャッキ22はそれぞれのアーム24へ取り付けられていてもよい。
【0018】
上部構造体14は下部走行体12に連結されている。一実施形態では、上部構造体14は下部走行体12へ回転可能に連結されていて下部走行体12に対して垂直軸「A」周りに回転するように構成されている。一実施形態では、上部構造体14は、更に、クレーン構成要素、例えば、回転台26、操作者運転室28、カウンターウェイト組立体30、ブーム32、ロープ36を巻き取ったり巻き戻したりするためのホイスト34(図5図17を見られたし)、及びロープ36へ接続されているフックブロック37、を含むことができる。ここで言及されているロープは、金属ケーブル、合成ロープ、コード、又はホイスト上での巻取り及び巻き戻しに適し尚且つここに説明されているクレーン10の様な吊り上げ機材と共に使用するのに適した他の可撓性部材を含むものと理解している。
【0019】
一実施形態では、ブーム32は、油圧伸縮式ブームの様な伸縮式ブームとすることができる。ブーム32は、基部38と、基部38に対して伸縮自在に伸展及び収縮するように構成されている1つ又はそれ以上の入れ子になった伸縮部40と、を含むことができる。1つ又はそれ以上の伸縮部40は、例えば、線形アクチュエータ(図示せず)によって駆動されていてもよい。ロープ36は、ホイスト34から概ねブーム32に沿って延び、更にブーム先端33から延びることができる。ロープ36には、ホイスト34と反対側のロープ36の遠位端にフックブロック37が接続されている。
【0020】
本開示は以上に説明されている型式の移動式クレーンに限定されるものではないと理解している。例えば、クレーン10は、クローラークレーン、タワークレーン、又はロープを巻き取られたホイストを使用する他の吊り上げ装置であってもよい。例えば、タワークレーンでは、下部構造又は下部走行体はタワーの形態をしているし、上部構造又は上部構造体はタワーの頂部に連結されているだろう。ブームは上部構造体上にジブとして形成されているだろう。ホイストは上部構造体へ固定されていて、ロープはジブに沿って延びているであろう。一部のタワークレーンでは、ロープはジブに沿って可動であるトロリーへ接続されていてもよい。更に、ホイスト34はここでは単数形で言及されているが、本開示はたった1つのホイストしか持たないクレーンに限定されるものではないと理解している。例えば、デュアルホイスト及び連続ロープシステムも同様に構想される。
【0021】
図3を参照して、クレーン10は更にクレーン制御システム(Crane Control System)300を含むことができる。CCSは、操作者からの入力を受信するように構成されている、操作ノブ、レバー、スイッチ、タッチスクリーン入力、など、の様な1つ又はそれ以上の入力デバイス310を含んでいてもよい。入力デバイス310は、入力デバイス310にて受信される入力に応じてクレーン構成要素の運動を制御するように構成されているアクチュエータ(図示せず)へ動作可能に接続されている。例えば、入力デバイス310は、ブーム32及び回転台26の旋回運動、ブーム32の起上(起伏)運動、ブーム32の伸縮運動(伸展/収縮)、ホイスト34へのロープ36の巻き取り又は巻き取り、又はアウトリガー組立体20の運動、を制御するための入力を受信するようになっていてもよい。入力を受信したことに応じて、アクチュエータ(図示せず)は、ブーム32、ホイスト34、アウトリガー20、又は他のクレーン構成要素の運動を所望の方式で制御するように作動されることになる。アクチュエータは、例えば、線形アクチュエータ、回転式アクチュエータ、駆動モータ、及び当業者に知られている他の適したアクチュエータとすることができる。
【0022】
一実施形態では、クレーン制御システム300は、コンピュータプロセッサ314、コンピュータ可読記憶媒体316、1つ又はそれ以上の入力デバイス310を含んでいるユーザーインターフェース318、及び通信インターフェース320、を含むことができる。クレーン制御システム300は、運転室28内に配置されていてもよいし、又は運転室28から遠隔に配置されていてもよい。一部の実施形態では、クレーン制御システム300の構成要素は、クレーン10の異なる部分内に分散されていてもよいし、クレーン10から遠隔のデバイス上に分散されていてもよい。コンピュータ可読記憶媒体316は、それがコンピュータプロセッサ314と通信することができるようにコンピュータプロセッサ314へ動作可能に連結されている。コンピュータ可読記憶媒体316は、コンピュータプロセッサ314によって実行されると当該コンピュータプロセッサ314に諸機能を実施又は遂行するための1つ又はそれ以上の信号を生成させる命令322を記憶している。コンピュータ可読記憶媒体316は、更に、クレーン10の動作に関係する情報を記憶していてもよい。ユーザーインターフェース318は、操作者がコンピュータプロセッサ314と対話することができるように、コンピュータプロセッサ314へ動作可能に連結されている。例えば、ユーザーインターフェース318を通して、操作者はクレーン10の動作に関係する情報を得ることができ、またコンピュータプロセッサ314に或る機能を実施するための1つ又はそれ以上の信号を生成させることができる。操作者は、更に、情報をユーザーインターフェース314へ又は1つ又はそれ以上の入力デバイス310へ入力してコンピュータプロセッサ314に制御信号を生成させ、それを通信インターフェース320を介してアクチュエータ(図示せず)の1つ又はそれ以上へ送信させて、クレーン構成要素の運動を制御又は阻止させるようにすることもできる。一実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体316に記憶されている命令322が、ユーザーインターフェース318からの入力情報の受信に応じてコンピュータプロセッサ314によって実行され、或る機能がコンピュータプロセッサ314によって実施されて入力情報を制御信号へ変換するようになっていてもよい。
【0023】
図4を参照して、クレーン10は、更に、光学検出システム400を含んでいる。一実施形態では、光学検出システム400は、1つ又はそれ以上の画像キャプチャー組立体410と、当該1つ又はそれ以上の画像キャプチャー組立体410へ動作可能に且つ通信可能に接続されている光学制御システム402と、を含んでいる。光学制御システム402は、以上にクレーン制御システム300に関して説明されているものに類似した、コンピュータプロセッサ412、コンピュータ可読記憶媒体414、及び通信インターフェース416を含んでいる。光学制御システム402が同じくユーザーインターフェース418を含むのは随意である。コンピュータ可読記憶媒体414は命令420を記憶しており、命令420は、コンピュータプロセッサ412によって実行されたときに、1つ又はそれ以上の機能を実施するための1つ又はそれ以上の信号を生成させる。代替的又は追加的に、光学検出システム400は、光学検出システム400とクレーン制御システム300が共通のコンピュータプロセッサ、コンピュータ可読記憶媒体、ユーザーインターフェース、及び通信インターフェース、のうちの1つ又はそれ以上を共有するような具合に、クレーン制御システム300へ動作可能に且つ通信可能に連結されていてもよい。一実施形態では、光学制御システム402とクレーン制御システム300は同一物であってもよい。一実施形態では、光学検出システム400の構成要素は、個別画像キャプチャー組立体410と同じ場所に配置されていてもよいし、中央集中的な場所に配置されていてそれら画像キャプチャー組立体410へ従来の通信インターフェース経由で通信可能に接続されていてもよいし、又は両者のうちで分散されていてもよい。
【0024】
ここに説明されている特定のプロセス、方法、分析、計算、及び/又は判定はクレーン制御システム300又は光学検出システム400(光学制御システム402を含む)の一方にて実施されるものとして言及されているかもしれないが、本実施形態はこれらの構成に限定されないものと理解している。つまり、ここに説明されているプロセス、方法、分析、計算、及び/又は判定は、一部の実施形態では、クレーン制御システム300と光学検出システム400の間で互換可能に実施することができ、即ち、クレーン制御システム300と光学検出システムのどちらか一方によって実施されてもよいし又はそれら両方によって実施されてもよいわけであり、たとえ或る固有のプロセス、方法、分析、計算、又は判定がここでその様に明示的に記述されていなくても、それはクレーン制御システム300と光学検出システム400の間で互換可能に実施され得る、ということである。同様に、構成要素の仕様、センサデータ、などの様な情報もクレーン制御システム300か又は光学検出システム400のどちらにも互換可能に入力され得るものと理解している。
【0025】
一貫性と理解を図るうえで、様々な方法、プロセス、分析、計算、又は判定、並びに様々なデータ又は情報の入力は、光学検出システム400若しくは光学制御システム402によって実施される、又は光学検出システム400若しくは光学制御システム402へ入力されるものとしてここに説明されているかもしれない。しかしながら、以上に詳述されている様に、光学検出システム400とクレーン制御システム300は、リソース又は構成要素を共有していてもよいし、又は互換可能に動作していてもよいし、又は同一物であってもよいわけである。従って、方法、プロセス、分析、計算、判定が、データ又は情報の入力を含め、光学検出システム400若しくは光学制御システム402によって実施される、又は光学検出システム400若しくは光学制御システム402へ入力されるというここでの記述は、その様なプロセス、方法、分析、計算、判定、若しくはデータ又は情報の入力が同じくクレーン制御システム300によって実施される又はクレーン制御システム300へ入力されるということ含むものと理解される。
【0026】
一実施形態では、1つ又はそれ以上の画像キャプチャー組立体410は、例えば、上部構造体14側に、下部走行体12側に、又は両方に取り付けられていてもよい。上部構造体14上の1つ又はそれ以上の画像キャプチャー組立体410を取り付けるのに適した場所は、限定するわけではないが、回転台26、運転室28、ブーム32、カウンターウェイト30、又はこれらの構成要素の間の他の中間構造又は接続構造を含む。各画像キャプチャー組立体410は、所望の視野にわたる画像をキャプチャーするように構成されている1つ又はそれ以上の画像キャプチャーデバイス422を含むことができる。一実施形態では、画像キャプチャーデバイス422は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、及び/又はステレオカメラの様なカメラ、LiDARセンサ、可視光カメラ、紫外線(UV)カメラ、赤外線(IR)カメラ、及び物体認識のために画像をキャプチャーすることのできる他の適したデバイス、とすることができる。例えば、一実施形態では、画像キャプチャー組立体410は、広角カメラの様な単一のカメラであってもよいし、又は代わりに、視野にわたる単数又は複数の画像をキャプチャーするために互いと連携して動作するカメラの組合せであってもよい。
【0027】
光学検出システム400は、1つ又はそれ以上のクレーン構成要素の画像をキャプチャーし、画像内にキャプチャーされた1つ又はそれ以上のクレーン構成要素又は他の物体を検出し、検出された物体を分析して、キャプチャー画像に基づいてクレーン構成要素状、クレーンシステム、クレーン、又は一連のクレーンのステータス又は状態を判定するように、構成されている。そして、クレーン制御システム300は、操作者や他の従業員に判定されたステータス又は状態に対する注意を喚起し、判定されたステータスに応じてクレーン制御機能を実施するようになっていてもよい。注意喚起は、例えば、操作者への音声、視覚、又は触覚(振動を含む)による信号又は警報として提供されていてもよい。代替的又は追加的に、クレーン制御機能を実施するためにクレーン制御システム300は判定されたステータス又は状態に基づいてアクチュエータを、ひいては所望のクレーン構成要素の運動を、制御する制御信号を生成するようになっていてもよい。
【0028】
前記ステータス又は状態は、例えば、クレーン構成要素の絶対位置、相対位置、運動、存在、速度、加速度、寸法、及び、伸展長さ又は収縮長さ、とすることができるだろう。他のステータスには、例えば、構成要素の型式及び構成要素の物理的構成を含めることができる。また、ステータスは、クレーン構成要素の実働状態としてもよく、そうするとそれには、例えば、摩耗、損傷、又は構成要素の整備、補修、又は取換えの必要性、の指示が含まれるだろう。これらの例は網羅的ではなく、他の状態の判定も構想されるものと理解している。
【0029】
光学検出システム400は、クレーン構成要素を検出することができ、一部の実施形態では、限定するわけではないが1つ又はそれ以上の物体認識技術を含む1つ又はそれ以上の検出方法を使用して、クレーン構成要素のステータスを判定することもできる。一部の実施形態では、光学検出システム400は、画像キャプチャー組立体410によってキャプチャーされた画像を分析し、明るさの不連続性を使用する稜線検出の様な光学的認識アルゴリズムを使用してクレーン構成要素を光学的に検出することができる。光学的認識アルゴリズムは、メモリ414に記憶されていてもよく、及び/又はコンピュータプロセッサ412によって、例えば光学検出システム400の光学制御システム402にて、実行されるようになっていてもよい。光学検出システム400は、クレーン構成要素の稜線又は端を上記稜線検出を使用して検出し、次いで、ステータスを判定するために、構成要素の検出された稜線又は端のピクセル位置に基づいて構成要素の位置をルックアップすることができる。例えば、画像にキャプチャーされた視野内で、光学制御システム402を較正してキャプチャー画像中の1つ又はそれ以上のピクセルに位置又は距離を割り当てるようにしてもよい。そうするとクレーン構成要素の検出された稜線又は端と関連付けられるピクセルをそれらピクセルに割り当てられた位置又は距離と比較して、構成要素の検出された稜線又は端の位置又は距離を判定することができる。
【0030】
代替的又は追加的に、コンピュータ可読記憶媒体414には複数のベースライン画像を記憶させておいてもよい。ベースライン画像は、画像キャプチャー組立体400からのキャプチャー画像と同じ視野内でキャプチャーされていてもよい。そうすると、キャプチャー画像を記憶画像と比較して、例えば或る特定の構成要素の存在又は不在を検出することができる。クレーン構成要素を以上に説明されている方式で検出することもできる。そして、光学検出システム400は、キャプチャー画像を、例えばキャプチャー画像とベースライン画像の中の検出された物体の相対位置を比較することによって、又はキャプチャー画像とベースライン画像の中の検出された物体の相対的な状態若しくはは外観を比較することによって、分析することができる。次いで光学検出システム400は、当該比較に基づいて、検出された物体のステータス又は状態を判定することができる。その様な実施形態では、画像キャプチャー組立体410は、記憶画像が撮られた視点に密接に対応する視点にて物体の画像をキャプチャーするように位置決めされてもよい。そうすれば記憶画像又は記憶図形とキャプチャー画像との間で精確な比較を行うことができる。
【0031】
他の実施形態では、クレーン構成要素の端又は稜線の場所を、画像キャプチャー組立体410の視野内の検出されたピクセル位置に基づいてリアルタイムで計算することができる。例えば、クレーン構成要素の端又は稜線が画像キャプチャー組立体410の中心線に対して或る特定の角度にあると判定された場合、表が当該特定の角度に対応している延長を与えるようになっていてもよい。他の実施形態では、検出された端又は稜線は、或る特定のピクセル位置にあったとすると、その場所がチャート上でルックアップされて当該特定のピクセル位置に対応している延長が与えられるようになっていてもよい。更に他の実施形態では、クレーン構成要素の端又は稜線の相対場所が検出され次第、クレーン構成要素の物理的長さが三角法又は幾何学の様な一般的に知られている技法を使用して計算されるようになっていてもよい。
【0032】
代替的又は追加的に、光学検出システム400は、クレーン構成要素上に配置されている視認可能なターゲット又はマーカー42(図5及び図6を見られたし)を検出することもできる。その様な検出を通して、光学検出システム400はマーカー42を分析してクレーン構成要素のステータス、例えば、クレーン構成要素の位置、クレーン構成要素の運動、及び/又はクレーン構成要素の存在、を判定することができる。一実施形態では、マーカー42は水平な線であってもよいが、同様に他のパターンが使用されていてもよい。他の実施形態では、マーカー42は、クレーン構成要素上の色被覆であってもよい。光学検出システム400は、マーカー42を、従来のパターン認識アルゴリズムを使用して検出することができる。パターン認識アルゴリズムは、メモリに記憶されていてもよく、及び/又は、光学検出システム400の光学制御システム402のプロセッサによって及び/又は個別画像キャプチャー組立体410にて実行されるようになっていてもよい。一実施形態では、複数の既知のマーカーがコンピュータ可読記憶媒体414に記憶されていて、画像内のキャプチャーされたマーカー42が既知のマーカーと比較されるようになっていてもよい。検出されたマーカー42が既知のマーカーと一致していると判明した場合、光学検出システム400は検出されたマーカーを既知のマーカーに対応しているとして識別することができる。
【0033】

光学検出システム400は、既知のマーカーと関連付けられている追加情報424を、例えばコンピュータ可読記憶媒体414に記憶させていてもよい。そうすると、検出されるマーカー42を分析するとき、光学検出システム400は、検出されたマーカー42を既知のマーカーに対応しているとして識別すると、既知のマーカーと関連付けられている追加情報424を取り出し、取り出された追加情報を検出されたマーカー42と関連付けることができる。追加情報424は、例えば、位置情報又は構成要素固有情報、例えば構成要素の型式など、を含んでいてもよい。逆に、光学検出システム400は、以前に検出された又は検出されると予想されるマーカー42の不在を検出するかもしれず、そうすると検出されたマーカー42の不在に基づいてステータスを判定することになる。
【0034】
これらの実施形態の各々では、キャプチャー画像内の物体を検出するとき、光学検出システム400はクレーン構成要素又はマーカー42を画像内の背景から差別化するように構成されている。一部の実施形態では、クレーン構成要素上の目標又はマーカー42は、当該クレーン構成要素を背景から差別化するのに助けとなる特別な色及び/又はパターンで被覆されている区分であってもよい。例えば、クレーン構成要素は、蛍光マーカー、反射マーカー、又はクレーン構成要素の背景に対するコントラストを増加させる他の視認性の高いマーカー、を有していてもよいだろう。
【0035】
一実施形態では、マーカー42の視認可能部分を1つ又はそれ以上の画像キャプチャー組立体410によって画像内にキャプチャーさせることができる。光学制御システム402は、次いで、キャプチャーされたマーカー画像42を画像の視認可能部分を表すコードへ変換することができる。例えば、マーカー42が、画像キャプチャー組立体410にとって視認可能である線を5本含んでいてそれらの線が画像補足組立体410によってキャプチャーされたとすると、光学制御システム402は、画像(即ちマーカー42のキャプチャー画像)を5という数字コードへ変換するようになっていてもよい。パターンは、或る計測値に直接対応していて例えば各線が1フィート(30.48センチメートル)ずつ間隔を空けられているというのでもよいし、又は他の既定の計測単位だけ間隔を空けられていてもよく、そうすると数字コードが直接的な計測値となる。一部の実施形態では、数字コードはマーカー42と関連付けられている情報をルックアップするための表と比較されてもよい。別の実施形態では、マーカー42は、クレーン構成要素の定性的又は定量的な位置に対応しているクレーン構成要素上の場所に配置させることができる。例えば、マーカー42が画像キャプチャー組立体410の視野の中へ入ってゆくと、マーカー42は光学検出システム400によって検出され、例えば以上に詳述されている様に記憶されているマーカーとの比較によって識別されることになる。次いで光学制御システム402は既知のマーカー42と関連付けられている何らかの追加情報424を識別し、取り出し、当該追加情報を検出されたマーカー42と関連付けことができる。
【0036】
上記検出方法の各々を掲示されている他の方法と組み合わせて、クレーン構成要素のステータスを判定する代わりの又は冗長的な方法を支援する、バックアップする、及び/又は与えることもできる。例えば、マーカー42は概して計測のために使用し、そのうえで当該計測を検証するためにクレーン構成要素の端又は稜線検出を使用することもできる。一実施形態では、マーカー42が隠れていて画像キャプチャー組立体410がマーカー42の一部分を見失った場合に、クレーン構成要素の検出される稜線又は端は、キャプチャー又は検出されているマーカー42と矛盾する読み取りを与え、操作者に起こり得る問題に対し注意を喚起する、ということを想定している。
【0037】
而して、一実施形態では、光学検出システム400、具体的には光学制御システム402は、物体認識ソフトウェアを使用してキャプチャー画像内のクレーン構成要素及び/又はマーカー42の様な様々な物体を検出し、検出された物体を分析し、検出された物体に基づいてクレーン又はクレーン構成要素のステータスを判定することができる。ステータスを判定されるクレーン構成要素は、検出されたクレーン構成要素であってもよいし別個のクレーン構成要素であってもよい。物体認識ソフトウェアはコンピュータ可読記憶媒体414に記憶されていてもよい。一実施形態では、物体認識ソフトウェアは、キャプチャーされた画像又は映像内の物体を検出する又は差別化するうえで当業者に理解されている従来の方法を使用している従来式である。本開示はここに説明されている物体認識技術に限定されるものでなく他の既知の物体認識技術又はアルゴリズムを使用することもできるものと理解している。
【0038】
図5及び6は、画像キャプチャー組立体410によってキャプチャーされる画像44の諸例である。図5及び6を参照して、一実施形態では、画像キャプチャー組立体410の視野内のクレーン構成要素がホイスト34及びロープ36を含んでいる。画像キャプチャー組立体410は、例えば、操作者運転室28、ブーム32、カウンターウェイト組立体30、又は上部構造体14の他の構成要素上に取り付けられていて、ホイスト34が視野に入るように方向決めされている。一実施形態では、画像キャプチャー組立体410及びホイスト34は、ホイスト34及びロープ36の監視動作の間中互いに対して固定された位置に留まっている。
【0039】
ホイスト34は、概して、ロープ36を巻き取らせるように及び巻き戻させるように構成されている回転式ホイストドラム46(例えば、図7図10及び図12図16)を含んでいる。ホイストドラム46は、モータ(図示されていない)によって、回転するよう駆動されていてもよい。1つ又はそれ以上のマーカー42がホイストドラム46の一部分に沿って配置されていてもよい。一実施形態では、マーカー42は、外周面ホイストドラム46に沿って配置されていてもよい。マーカー42は、更に、互いから等間隔にあってもよい。
【0040】
ロープ36は、以上に詳述されている様に、クレーンによって実施される吊り上げ動作での使用に適した何れの型式のロープ又はケーブルであってもよい。例えば図18cに示されている様に、一実施形態では、ロープ36は、材料の複数の素線48で作られている。第1の複数の素線48が撚り合わされて材料の第1のストランド50を形成していてもよい。一実施形態では、ロープ36は、互いと一体に撚り合わされた材料の複数のストランド50を含んでいてもよい。つまり、例えば第2の複数の素線48が撚り合わされて材料の第2のストランド50を形成し、第1のストランド50と第2のストランド50が一体に撚り合わされてロープ36を形成していてもよい。材料の第3及び後続の複数の撚り合わされた素線48及びストランド50も同様に構想される。一実施形態では、ロープ36はDYFORM(登録商標)ロープとすることができる。
【0041】
画像キャプチャー組立体410は、ホイスト34及びロープ36を監視するためにその視野内にホイスト34及びロープ36が入れられた状態で位置決めされている。画像キャプチャー組立体410はホイスト34及びロープ36の画像を、既定の時間間隔でキャプチャーする、ホイスト34を制御するための操作者入力に応じてキャプチャーする、及び/又はホイスト34及びロープ36の1つ又はそれ以上の既定の動作の間にキャプチャーする、ことができる。一実施形態では、画像キャプチャー組立体410は、更に、ホイスト34及びロープ36の映像をキャプチャーすることもできる。
【0042】
一実施形態では、光学検出システム400は、以上に説明されている物体検出技法のうちの1つ又はそれ以上を使用して、例えば、ホイスト34、ホイストドラム46、ロープ36、ホイストドラム46上のロープ36の1つ又はそれ以上の巻回52(図7)、ロープ36の個別素線50、ロープ36の個別ストランド52、及びホイスト34上のマーカー42、のうちの1つ又はそれ以上を検出することができる。加えて、ロープ36の巻回52を検出することによって、光学検出システム400は、更に、ホイストドラム46上のロープ36の巻回52の数、ホイストドラム46上のロープ36の巻回52の角度、ホイストドラム46上の巻回52の間隔、ホイストドラム46上のロープ36の層の数(例えば、図15及び図16のRL1、RL2、RL3)、及びホイストドラム46上のロープ36の巻回52の直線性又は平行性、を検出することもできる。
【0043】
一実施形態では、以上に説明されている光学検出技法を使用して、光学制御システム402は、ホイストドラム46上の個別ロープ巻回52の稜線を検出することができる。その様な検出される稜線の例が図6にE1及びE2として示されている。同様に、光学制御システム402はまた素線48及びストランド50の稜線を検出することもできる。従って、光学制御システム402は、定性的に、ロープ巻回52、素線48、及びストランド50、の幅を検出することができる。ロープ巻回52、素線48、及びストランド50の幅を測定するために、光学制御システム402による検出された物体の更なる分析が遂行されてもよい。光学制御システム402は、更に、ロープ巻回52、素線、又はストランド50、についてベースライン幅Wrbを検出するようになっているか又はベースライン幅Wrbを提供されるようになっていてもよい。ベースライン幅Wrbは、光学制御システム402に操作者によって入力されてもよいし、又は例えばホイスト34の動作の前にキャプチャー画像内で識別されてもよい。ベースライン幅Wrbは、確証済みの状態、例えば吊り上げ動作に適した状態にあるロープ36、素線48、又はストランド50の幅に対応していてもよい。ベースライン幅Wrbと検出された幅Wrdの例が図17A及び図17Dに示されている。一実施形態では、ロープ36又はロープ36の巻回52を、以上に説明されている方法を使用して検出することができる。つまり、ロープ36の状態の変化は、ロープ36の幅又は直径における検出された変化に基づいて判定することができる。
【0044】
以上に説明されている構成要素の光学的検出を経て、光学制御システム402は、次のステータス又は状態、即ち、ホイストドラム46から繰り出された又は巻き戻されたロープ36の量、フック(又はフックブロック)の高さ、アンチ・ツー・ブロック、ホイスト方向、ホイストの誤った巻き取り、ホイストドラム46上のロープ36の現在の層及び/又は最後の層、ホイストドラム46上のロープ36の第3巻回、ホイスト巻き取り及び/又は巻き戻し速度、ホイスト運動、ロープ36のサイズ、ロープ36の引き通り(pull through)、潜り(diving)、及び/又は埋まり(bury)、ホイストドラム46上へのロープ36の乗り上げ、ホイストドラム46上のロープ36の巻回密度、ロープ36の逆巻き付け、撚り型式を含むロープ36の型式、ロープ36内の張力喪失、及びロープ36の損傷、摩耗、又は鳥かご型変形の様な他のロープ状態、のうちの1つ又はそれ以上を判定することができる。
【0045】
図7を参照して、光学制御システム402は、1つ又はそれ以上のキャプチャー画像内のホイストドラム46上のロープ36の個別巻回52を検出することによって、繰り出されたロープ36の量を判定することができる。光学制御システム402は、更に、キャプチャー画像を分析してホイストドラム46上のロープ36の巻回52の数を数えることもできる。加えて、既知の情報が光学検出システム400へ入力されてもよい。その様な既知の情報には、幾らかのロープ36が繰り出される前のホイストドラム46上のロープ36の初期量又は初期長さを含めることができる。他の既知情報は、ホイストドラム46上のロープ36の各巻回52に対応しているロープ36の平均長さを含んでいてもよい。ロープ36の平均長さはホイストドラム46の既知の円周に概ね対応してはいるが、ホイストドラム46上のロープ36の積層を勘案して調節されてもよい。代わりに、各巻回52についてのロープ36長さは、ホイストドラム46上のロープ36のそれぞれの層に対応する長さが使用されてもよい。例えば、外側の層のロープ36の巻回52は、各巻回と関連付けられている長さとして、内側の層のロープ36の巻回52より大きい長さを有しているであろう。一実施形態では、ロープ巻回52の長さは、ホイストドラム46上のロープ36の各層(例えばRL1、RL2...)について入力されるようになっていてもよい。また、一実施形態では、それら層は、クレーン制御システム300又は光学検出システム400へ、ロープ繰り出し速度を制御するためのフィードバックとして入力されてもよいだろう。従って、光学制御システム402は、ホイストドラム46上のロープ36の巻回52を検出し、巻回52の数を数え、後続のキャプチャー画像を分析することによって巻回52の数の変化を監視し、巻回の数の変化を数えることができる。計算された巻回52の数の変化を既知の情報と併せて用いて、光学制御システム402は、ホイストドラム46から繰り出されたロープ36の量を判定することができる。
【0046】
光学制御システム402は、フック高さ、即ちロープ36の自由端の荷重に係合するように構成されるフックブロック37の高さを、少なくとも一部には、上述の様にどれほどロープ36が繰り出されているかの判定に基づいて判定することができる。フック高さの較正が、操作者によって、制御装置を通して、又は自動式に、実施されてもよい。例えば、操作者はホイスト34を制御してフックブロック37をブーム先端33付近の既定限界まで上げさせることができる。既知のブーム長さ、ホイスト34又は複数ホイストの場所、リービング、及び既知のブーム起上角度が、光学制御システム402へ手作業で入力されてもよいし又は光学制御システム402へ通信可能に接続されている対応するセンサ(図示せず)を介して入力されてもよい。既知の情報と既定限界に位置決めされたフックブロック37を用いて、既定限界位置でのフック高さが判定され、ベースライン値として使用されてもよい。その後に続いて繰り出されてゆくロープ36の量は、以上に詳述されている様に判定することができ、それはフック高さの変化に対応している。従って、一実施形態では、光学制御システム402は、フック高さを、例えば判定されたロープ36の繰り出し量のベースライン値に基づいて判定することができる。別の実施形態では、フック高さは、フックブロックを地面まで降下させて長さを設定することによって判定することができる。更に別の実施形態は、所与の構成の前にフックブロックの最も低い高さを計算する段階と、計算されたロープ繰り出しを計算された最も低い高さと比較する段階と、を含むことができる。
【0047】
光学制御システム402は、ツー・ブロッキング状態(即ち、フックブロックがプーリブロック又はブーム先端の他の構成要素に接触している状態)又はそうなりそうな状態を判定するようになっていてもよい。従って、光学制御システム402はアンチ・ツー・ブロック機能性を提供することができる。例えば、光学制御システム402は、フック高さを以上に詳述されている方式で判定することができる。加えて、フック高さのベースライン値は以上に詳述されている様に既知であり、またベースライン値はブーム先端33に対するフックブロック37の既定限界位置に対応している。光学制御システム402は、現在のフック高さをベースライン値と比較する段階を含む分析を遂行するようになっていてもよい。そうすると光学制御システム402は比較に基づいてツー・ブロッキング状態を判定することができる。例えば、一実施形態では、現在のフック高さがベースライン値に等しいか又はベースライン値より大きい場合、例えばフックブロック37がベースライン値の高さとブーム先端の間の位置へ動かされていれば、ツー・ブロック状態であると判定されることになる。代わりに、光学制御システム402は、現在のフック高さがベースラインの既定閾値距離内にあれば、ツー・ブロッキング状態であると判定するようになっていてもよい。こうしてフックブロック37がブーム先端33に接近するというツー・ブロッキング状態を判定することができる。
【0048】
初期ロープ長さを設定するためにセットアップ機能が組み入れられていてもよい。クレーン制御システム300からの入力が、更に、フックブロック37上のリービングの数を得るために使用されてもよい。ここに説明されている光学制御システム402に採用されているアンチ・ツー・ブロックシステムはまた、伝統的なアンチ・ツー・ブロックシステムと併せて又は伝統的なアンチ・ツー・ブロックシステムのためのバックアップとして使用されてもよい。フックブロック37又はフックブロック37のリービングの各変化後にホイスト限界の検証が行われてもよい。
【0049】
光学制御システム402は、ホイスト運動の方向を1つ又はそれ以上の技法を使用して判定することができる。図5図6、及び図8を参照して、一実施形態では、ホイスト34はホイストドラム46上に複数のマーカー42を含むことができる。マーカー42は、ホイスト34の高速度回転時においてもなおマーカー42が画像キャプチャー組立体410によってキャプチャーされ光学制御システム402によってキャプチャー画像内に検出されることができるように十分な距離だけ間隔を空けられた対照性マーカー42とすることができる。一実施形態では、マーカー42が検出されることになるホイスト34の画像をキャプチャーすることは、画像キャプチャー組立体410のフレームレートと光学制御システム402の処理速度とホイスト34の速度の関数である。光学制御システム402は、一続きの2つ又はそれ以上のキャプチャー画像を分析し、一連のキャプチャー画像を跨いで検出されるマーカー42の位置を比較することができる。従って、ホイスト34上のマーカー42を検出することによって、光学制御システム402は、マーカー42の位置を判定することができ、ひいてはマーカー42の位置が後続のキャプチャー画像との間で変化しているかどうかを判定することができる。検出されたマーカー42の位置の変化を判定することによって、光学制御システム402はホイスト34の運動の方向を判定することができる。一実施形態では、光学制御システム402は検出されたマーカー42を識別することができ、それによって検出され識別されたマーカー42の動きが一連のキャプチャー画像を跨いで追跡されるようになっていてもよい。
【0050】
代替的又は追加的に、光学制御システム402の分析は、キャプチャー画像内に検出されたマーカー42を既知のマーカーの記憶画像と比較することを含んでいて、既知のマーカー42と関連付けられている追加情報を得ることができる。検出されたマーカー42が既知のマーカーに一致すると判定されれば、次いで関連付けられている情報が検出されたマーカー42へ関連付けられることになる。関連付けられている情報は位置情報であってもよい。位置情報は、例えば、ホイストドラム46上の基準点に対するマーカー42の位置であってもよい。ここで基準点に対するマーカー42の位置は固定されたままであってもよい。例えば、特定のマーカー42が基準点から或る固定角度距離に位置決めされていて、基準点とマーカー42はホイスト34の動きと共に一緒に回転するようになっている。この方式では、光学制御システム402は、検出された単数又は複数のマーカー42及び関連付けられている位置情報に基づいて、ホイスト34が動いているかどうか及び運動の方向を判定することができる。代替的又は追加的に、追加情報は検出されたマーカー42それぞれについての固有識別情報を含んでいてもよい。そうすると光学制御システム42は、検出された単数又は複数のマーカー42及び関連付けられている固有識別情報に基づいて、ホイスト34が動いているかどうか及びその様な運動の方向を判定することができる。
【0051】
追加的に、マーカー42同士の間隔が既知であるか又は検出されていて、しかも画像キャプチャー組立体410のフレームレートが既知である場合、光学制御システム402は一連のキャプチャー画像内の複数のマーカー42の位置を比較することによってホイスト34の運動の方向を判定することができる。
【0052】
別の実施例では、光学制御システム402は、ホイスト34が回転しているかどうかを判定するためにロープ36を監視することができる。例えば、より高い速度では、以上に説明されている方式で検出されるロープ巻回52の数が監視されてもよい。ロープ巻回52の数の変化が一連のキャプチャー画像を跨いで検出されれば、光学制御システム402はホイスト34が回転していると判定することができる。より低い速度では、ロープ36の運動の方向が一連のキャプチャー画像に亘って検出されてもよい。つまり、光学制御システム402は、一続きのキャプチャー画像を分析し、ロープ36及びロープ巻回52を検出し、ロープ巻回52の数を分析し、ロープ36がホイストドラム46に巻き取られているのか又はホイストドラム46から巻き戻されているのかを判定することができる。一実施形態では、光学制御システム402は、ロープ巻回52の数が増加又は減少しているホイストドラム46上の方向を分析する。ロープ巻回52の数が変化しているという判定が成されれば、次いで光学制御システム402はホイスト34が動いていると判定し、その運動の方向を判定することになる。別の実施形態では、光学制御システム402は、ホイストドラム46上の最も外側の層の先導側ロープ巻回52を検出し、すると一連の画像を跨いで、先導側ロープ巻回52がホイストドラム46の縁に向かって動いているのか又は縁から離れて動いているのかを検出するようになっていてもよい。つまり、光学制御システム402は、最も外側のロープ層(例えばRL1、RL2...)の先導側ロープ巻回52を検出し、その運動の方向を分析することによって、ホイスト回転の方向を判定することができる。
【0053】
光学制御システム402は、例えば図9図11に示されている様に、ロープ36がホイスト34上に誤った巻かれ方をしているかどうかを判定することもできる。例えば、以上に詳述されている様に、光学制御システム402は、ホイストドラム46上のロープ36並びにロープ36のロープ巻回52を検出するように構成されている。個別巻回52を検出することによって、光学制御システム402は検出された巻回52を分析して巻回52同士を平行性に関して比較することができる。一実施形態では、分析は、巻回52の検出された稜線及び/又は中心線をホイストドラム46上の他の巻回52と比較して平行性を判定することを含んでいてもよい。巻回52が平行でないと判定されれば、光学制御システム402はロープ36がホイスト34上に誤った巻かれ方をしていると判定することができる。
【0054】
光学制御システム402は、ホイストドラム46上のロープ36の現在の最後の層を判定することができる。図12及び図13を参照して、一実施形態では、この判定は、光学制御システム402を用いて、キャプチャー画像内のホイストドラム46上のロープ36及び/又はロープ巻回52を検出することによって実現することができる。各ロープ巻回52は、光学制御システム402へ入力されているか又は光学制御システム402によって計算されている既知の実質的に一定した幅Wを有している。加えて、ホイストドラム46の長さLhdは、既知であって光学検出システム400へ入力されていてもよいし、又は光学制御システム402によって判定されてもよい。図12は、ロープ36の少なくとも第1の層RL1と第2の層RL2をホイストドラム上に有しているホイストドラム46を示している。第1の層RL1の視認可能部分のみが図12に描かれ標示されており、また第1の層RL1は少なくとも部分的に第2の層RL2の下にあることが理解される。各ロープ層RL1、RL2は、ホイストドラム46の長さLhdにわたって延びている複数の巻回52によって形成されている。従って、最初の分析は、光学制御システム402によって完全な層RL1、RL2での巻回52のベースライン数を計算するように実施されてもよい。巻回52の総数が求められると、現在のロープ層RL2は、検出されている巻回52の数を一層当たりの巻回のベースライン数と比較することによって求めることができる。一実施形態では、ロープ巻回52ひいては層RL1、層RL2のベースライン数は、ロープ36をホイストドラム46から完全に巻き戻し、次いでロープ36をホイストドラム46へ巻き取り、そしてロープがホイストドラム46上に巻き取られている状態で巻回52の数を数えること、によって求めることができる。更に別の実施例では、ロープ層RLの数、ひいては現在のロープ層RLは、ロープ層高さHRL又はホイストドラム46上のロープ36の総直径における変化を検出すること及び/又は変化の数を数えることによって求めることができる。
【0055】
別の実施形態では、画像キャプチャー組立体410の視野内の遠近法の結果として、ホイストドラム46上の外側の層(例えばRL2)のロープ巻回52がキャプチャー画像内では内側の層(例えば、RL1)のロープ巻回52より大きい幅Wを有しているように見える。光学制御システム402は、キャプチャー画像内のロープ巻回52のキャプチャーされている幅を判定し、キャプチャーされている幅を記憶されている幅の表と比較するようにしてもよく、当該表では各幅はホイストドラム46上のロープ層(RL1、RL2...)に対応している。つまり、ロープ巻回52は画像補足組立体410に起因する遠近法及び相対距離のせいでロープ層(RL1、RL2...)毎に異なる幅を有しているものとして検出されないとも限らない。コンピュータ可読記憶媒体414に記憶されている表は、キャプチャーされているロープ36又はロープ巻回幅52とホイストドラム46上の層RL1、層RL2の間の対応付けを有するものとすることができる。この方式では、現在の層も同様に判定することができる。ロープの第1の層、最後の層、及び中間の層もまた同様にこの方式で判定することができる。
【0056】
代替的又は追加的に、図13に示されている様に、例えば、光学制御システム402が露出しているホイストドラム46を検出したときにホイストドラム46上の最後の層が求められるようになっていてもよい。露出しているホイストドラム46は、多数の技法により検出することができる。例えば、ホイストドラム46は、ホイストドラム46が露出する程度までロープ36が巻き戻されると視認可能となる1つ又はそれ以上のマーカー42を含んでいて、検出されたマーカー42を検出するようにしてもよい。別の実施例では、光学制御システム402は、検出された物体を分析し、上述の物体認識アルゴリズムを使用してキャプチャー画像内のホイストドラム46とロープ36とを区別するようにしてもよい。更に別の実施形態では、光学制御システム402は、ロープ巻回52の数を検出し、検出されたロープ巻回52の分析で、検出されているロープ巻回の数を計算されている層内ロープ巻回52のベースライン数と比較するようにしてもよい。
【0057】
第3巻回ステータスは、ホイストドラム46上にロープの巻回が3つしか残っていない状態をいう。この状態は、図13に示されている様に例えばロープ36のほぼ全てがホイストドラム46から巻き戻されてしまったときに生じる。以上に詳述されている様に、光学制御システム402は、キャプチャー画像内に、ホイストドラム46上のロープ36の個別巻回52を検出し、検出された巻回52を分析してドラム46上の巻回52の数を数えるようにできる。従って、光学制御システム402は、ホイストドラム46上に残っているロープ36の巻回52がたった3つになったときを検出することができる。代替的又は追加的に、ホイストドラム46は、ホイストドラム46上に残っているロープ36の巻回が3つになったときに視認可能となるマーカー42を含んでいてもよい。光学制御システム402は、キャプチャー画像内でマーカー42を検出し、マーカー42を分析し、ホイストドラム46上に残っているロープ36の巻回が3つしかないと判定することができる。マーカー42の分析は、マーカー42を、ホイストドラム46上にロープ36の巻回52が3つ残っていることを指示するマーカー42として識別する段階を含むことができる。例えば、キャプチャーされたマーカー42が記憶されているマーカーと比較され、キャプチャーされたマーカー42が記憶されているマーカーと同じであれば、記憶されているマーカーと関連付けられている追加情報が、キャプチャーされたマーカー42は第3巻回ステータスの表示であるとの指示も含め、取り出されることになる。
【0058】
光学制御システム402は、更に、ホイスト巻き取り及び/又は巻き戻し速度を判定するようになっていてもよい。再度図8を参照して、一実施形態では、ホイスト34は1つ又はそれ以上のマーカー42を含むことができる。マーカー42は以上に詳述されている方式でキャプチャー画像内で検出されることができる。マーカー42は、例えば、塗装されたマーカー、デカール、又は他の類似の型式のマーカー42の何れかであってもよい。マーカー42同士の間の既知の間隔及び既知の時間間隔を用いて、光学制御システム402は固定されている基準点(図示せず)を通り過ぎたマーカー42の数を数えることによってホイスト34の回転速度を判定することができる。固定されている基準点は、例えば、ホイスト34に対して固定されていてキャプチャー画像内にキャプチャーされる物理的な物体であってもよいし、キャプチャー画像内の一ピクセル又はピクセル列の様な、光学制御システム402によって視野の中に生成される概念上の又は仮想の基準点であってもよい。代替的又は追加的に、光学制御システム402は一連のキャプチャー画像を分析してホイストドラム46上のロープ36の巻回52の数の変化率を検出することによってホイスト速度を判定することもできる。ロープ36の巻回52は、以上に説明されている方式で検出することができる。従って、各巻回52について、ロープ36の長さ又はロープ36の平均長さが既知であれば、ホイスト34の速度は、巻回52の数の経時的変化を検出することによって判定することができる。
【0059】
光学制御システム402は、更に、ホイストが動いているか、即ち巻き取り又は巻き戻しをしているかどうかを判定することができる。更に、図8を参照して、以上に詳述されている様に、光学制御システム402は、ホイスト34上のマーカー42を検出することができる。マーカー42は、ホイストドラム46上のロープ36によって覆われていない部分に配置されていてもよい。一連のキャプチャー画像を分析し、マーカー42を検出することによって、光学制御システム402は、マーカー42の位置における変化又はキャプチャー画像内の固定点でのマーカー42の変化を検出することができる。従って、光学制御システム402は、ホイスト34が動いているかどうかを判定することができる。代替的又は追加的に、以上に詳述されている様に、光学制御システム402は、更に、キャプチャー画像内のホイストドラム46上のロープ巻回52を検出し、検出された巻回52を分析して巻回52の数を数えることができる。巻回52の数における変化が検出されれば、光学制御システム402は同様にホイストが動いていると判定することができる。
【0060】
光学制御システム402は、更に、ロープ36のサイズ又は幅W(例えば、図7図8図9、及び図12を見られたし)を判定することもできる。一実施形態では、例えば、ロープ36が、画像内にキャプチャーされ、以上に説明されている方式で検出されるとしよう。ロープ36の実幅Wactualが光学制御システム402へ既知の値として入力されていてもよい。光学制御システム402は、キャプチャー画像からのロープ幅Wを、例えばピクセルの数を数えることによって、計算することができる。一実施形態では、既知の幅Wactualを有しているロープ36を使用して光学制御システム402の幅検出プロセスを較正することができる。例えば、光学制御システム402は、キャプチャー画像を分析し、ロープを検出すると、検出されたロープ36を分析して、ロープ36にわたって延びているピクセルの数を数えるようにしてもよい。その結果、1ピクセル寸法当たりのロープ幅を計算することができる。遠近法及び画像キャプチャー組立体410までの距離に因り、1ピクセル当たりのロープ幅はホイストドラム46上のロープ36の層毎に変わってもよい。
【0061】
代替的又は追加的に、光学制御システム402は、ホイストドラム46上の完全層でのロープ36の巻回52の数を数えるようにしてもよい。ホイストドラム46の長さLhdが(例えばユーザー入力により)既知である場合、各巻回52の幅W、ひいてはロープ36の幅又は直径を判定することができる。一実施形態では、光学制御システム402によって判定されたロープ幅は、ロープ幅を確証するために光学制御システム402によってユーザー入力されたロープ幅と比較されてもよい。従って、光学制御システム402は、ロープ36の幅又は直径を判定し、判定された直径又は幅を入力ロープ幅値と比較することができる。判定されたロープ幅値が入力値から変動していれば、光学制御システム402は、更に、ロープ36が損傷している、摩耗している、又はそれ以外に幅の直径を減少させるやり方で影響を受けている、と判定することができる。
【0062】
光学制御システム402は、更に、図14に示されているような、ロープ36のロープ引き通り(rope pull through)、潜り又は埋まり、を判定することもできる。一実施形態では、光学制御システム402は、ロープ36及びロープ巻回52を以上に説明されている方式で検出することができる。図14及び図15を参照して、一実施形態では、光学制御システム402は、以上に説明されている方式で、検出されたロープ36及びロープ巻回52を分析して更にロープ巻回52の平行性を検出することもできる。例えば、各ロープ巻回52の稜線又は中心が検出されてもよい。図14に示されている、点「P」で別の層へ引き通っているロープ36の一部分が、隣接するロープ巻回52に非平行であるとして検出される。例えば、図14を参照して、明快さを期し、ロープ36の引き通り部分の稜線は外挿線E1として示され、一方、適正に巻かれているロープ36の部分の稜線は外挿線E2として示されている。外挿線E1、外挿線E2から分かる様に、適正に巻かれているロープ36の部分の稜線は、ロープ36の引き通り部分の稜線に平行に延びてはいない。この様にして、光学制御システム402は、ロープ36が引き通ってしまっている、潜っている、又は埋まっているかどうかを判定することができる。
【0063】
例えば図16に示されているホイストドラム46上のロープ乗り上げ状態もまた光学制御システム402によって判定することができる。一実施形態では、光学制御システム402は、隣接の巻回52より大きい幅を有しているロープ巻回52を検出することができる。検出されているロープ巻回52のより大きい幅は、乗り上げロープCの、画像キャプチャー組立体410への近接性に起因していることになる。つまり、ロープ36の、ホイストドラム46で乗り上げしている部分は、画像キャプチャー組立体410により近いということになる。従ってキャプチャー画像では、ロープ36の乗り上げ部分Cは、隣接の適正に巻き取られているロープ36の巻回52より大きい幅を有しているように見えるはずである。この様にして光学制御システム402はロープ36が乗り上げている状態を判定することができる。一実施形態では、ピクセル内でロープ巻回52の幅が計測され、それが光学制御システム402によって、検出されたロープ巻回52の分析中に数えられるようにしてもよい。別の実施形態では、光学制御システム402は、以上に説明されている方式で、検出されているロープの巻回を分析して実幅を判定することができる。別の実施形態では、光学制御システム402は、ロープ層直径の予期せぬ増加を検出することもできる。例えば、図16を参照して、光学制御システム402は、ロープ巻回52が引き続き第3のロープ層RL3内にあるものと予期しているだろう。従って、光学制御システム402が第4のロープ層RL4にロープ巻回52を検出すれば、光学制御システム402はロープ乗り上げ状態が存在していると判定することができる。
【0064】
光学制御システム402は、更に、ホイストドラム46上のロープ巻回密度を判定することができる。図9を参照して、ロープ巻回密度は、例えば、キャプチャー画像内にロープ巻回52を検出し、検出されたロープ巻回52を分析してホイストドラム46上の層RL1のロープ巻回52の数の計数を得ることによって判定することができる。巻回密度は、更に、ロープ巻回52同士の間の空きを監視することによって判定することもできる。一実施形態では、ロープ36の幅Wが既知であり、隣接するロープ巻回52が検出さたとき、隣接するロープ巻回52同士の間の空きが検出される。密に巻き付けられた構成では、隣接する巻回の中心間距離はロープ幅Wrに大凡等しくなるはずであるが、緩く巻き付けられた構成では、その様な距離は当該ロープ幅Wを既定閾値量だけ超過するであろう。つまり光学制御システム402は、複数のロープ巻回52を検出し、検出されたロープ巻回52を分析してロープ巻回52の稜線及び/又は中心を識別し、またロープ巻回が互いに対してどこに位置しているのかを識別することができる。隣接するロープ巻回52間の距離が既知のロープ幅から適切な公差を外れて変動していれば、光学制御システム402はロープ36がホイストドラム46上へ密に巻き取られていないと判定することができる。
【0065】
代替的又は追加的に、ホイストドラム46の既知の長さLhd及び既知のロープ直径Dを用いて、光学制御システム402はホイストドラム46の全長にわたって延びるロープ巻回52の最大数を計算することができる。検出されているロープ巻回52の数が計算されている予想ロープ巻回52の最大数より少なければ、光学制御システム402はロープ36が密に巻き付けられていないと判定することができる
【0066】
ロープ36がホイストドラム46から完全に巻き解かれ、その後、ホイストドラム46上へ逆方向に巻き付け戻されたときに逆巻き付けが生じる。逆巻き付け状態は、光学制御システム402によって判定することができる。例えば、一実施形態では、光学制御システム402は、ホイストドラム46上のロープ巻回52を検出し、検出されたロープ巻回402を分析してホイストドラム46のどちら側からロープ36が巻き取られ又は巻き戻されているか(即ち、ホイストドラム46の上方からか下方からか)を検出することができる。検出されたホイストの巻き取り/巻き戻し側がベースラインとして、即ちホイストドラム46のロープ36が巻き取られ又は巻き戻される適正な側として確立されることになる。そうすると光学制御システム402が、ロープ36はホイストドラム46のベースライン側とは異なる側から巻き取られ又は巻き戻されていることを検出した場合には、光学制御システム402は逆巻き付け状態が起こっていると判定することができる。代替的又は追加的に、光学制御システム402は、キャプチャー画像内のロープ36の撚りを検出し、当該撚りを分析してそれの方向を検出するようにしてもよい。ロープ36の1つの巻回52の撚りがロープ36の別の巻回52の撚りとは異なっているとして検出されれば、逆巻き付け状態が光学制御システム402によって判定されることになる。これは、逆に巻き付けられているロープ36の撚りはロープ36の適正に巻き付けられている部分の撚りと逆になるはずであるからである。
【0067】
同様にロープ36の型式が光学制御システム402によって判定されてもよい。光学制御システム402は、キャプチャー画像を分析して、例えばロープ36のストランド50を作り上げている素線48、を検出することもできる。ロープ36の個別ストランド50を検出することによって、光学制御システム402による更なる分析は、素線48の撚り及び方向、回転抵抗、ストランド50の数、など、を提供することができる。光学制御システム402は、次いで、ロープ36の型式を判定することができる。
【0068】
ロープ張力の喪失が光学制御システム402によって判定されてもよい。ロープ張力の喪失の判定は、少なくとも一部には、以上に説明されている方式で検出及び分析されているホイストドラム46上のロープ巻回52の平行性の欠如の検出に基づいていてもよい。例えば、ロープ36が十分に張力を掛けられていないとき、ロープ36はホイストドラム46上へ密に巻き取られず、ドラム46上に非平行関係に巻き取られたロープ巻回52をもたらすことになろう。従って、光学制御システム402はロープ張力の喪失を判定することができる。
【0069】
光学制御システム402は、更に、ロープ36が摩耗又は損傷しているかどうかを判定することもできる。画像キャプチャー組立体410は、図17A図17Dに示されている様に、ロープ36、ロープ36の個別ストランド50、及びストランド50の個別素線48の検出が可能になるように十分な解像度でロープ36の画像をキャプチャーするように構成されている。単数又は複数のキャプチャー画像の分析を通して、光学制御システム402は、摩耗又は損傷についてロープ36を監視することができる。限定するわけではないが、摩耗ロープ、通常の摩耗、熱損傷、回転損傷、鳥かご型変形、直径の減少、ロープの伸び、ほつれた素線、つぶれたロープ、高いストランディング、ロープキンク、心飛び出し、ストランドニッキング、撚りの歪み、及び破断素線を含め、数多くのロープ損傷状態を光学検出システム400によって判定することができる。何れも参考文献としてここに援用されるISO4309及び/又はASME B30に記載のものを含む他のロープ状態が同じく光学検出システム400によって判定されてもよい。その様な状態では、素線48及び/又はストランド50は初期の未損傷の位置からずれている可能性がある。例えば、素線48及び/又はストランド50は、緩く巻き付けられてしまっている、互いに非平行関係に延びている、又は外方に突き出ている可能性がある。例えば素線48がストランド50から外へ突き出ているかもしれない。素線48、ストランド50、又はロープ36の幅は損傷又は摩耗したときにも増減することがある。
【0070】
光学制御システム402は、以上に詳述されている様に、個別素線48、ストランド50、及びロープ36のうちの1つ又はそれ以上を検出し、検出された物体を分析して、上記状態の何れかが生じているかどうかを判定することができる。但し光学検出システム400は以上に説明されている状態の判定のみに限定されないものと理解される。また、光学検出システム400は必ずしもロープ損傷を指示する特定の状態を検出する必要はないわけであり、そうではなくロープ36の状態が当初に検出されているロープ状態、例えば初期未損傷状態、から変化したことを検出するようになっていてもよいと理解される。
【0071】
以上の状態又はステータスのうちの1つ又はそれ以上を判定したことに応じて、光学検出システム400は、注意喚起、メッセージ、警報、などを生成して操作者へ判定された状態又はステータスを知らせることができる。代替的又は追加的に、光学検出システム400は、クレーン構成要素の運動又は動作を、例えばクレーン構成要素のためのアクチュエータの動作を制御する又は阻止することによって、制御するための制御信号を生成するようになっていてもよい。
【0072】
別の実施形態では、以上の状態又はステータスのうちの1つ又はそれ以上を判定したことに応じて、光学検出システム400は、命令を生成し、当該命令をクレーン制御システム300へ送信することができる。命令を受信したこと応じて、クレーン制御システム300は、次いで、注意喚起、メッセージ、警報、などを生成して操作者へ判定された状態又はステータスを知らせることができる。代替的又は追加的に、光学検出システム400は、メッセージを生成し、当該メッセージを検出された状態又はステータスを指示する情報と共にクレーン制御システム300へ送信するようにしてもよい。その様なメッセージを受信したことに応じて、クレーン制御システム300は、クレーン構成要素の運動又は動作を、例えばクレーン構成要素のためのアクチュエータの動作を制御又は阻止することによって、制御するための制御信号を生成し送信するようになっていてもよい。
【0073】
図18は、或る実施形態による、クレーン構成要素の状態を判定する方法500を示すブロック線図である。方法は、画像キャプチャー組立体を用いて、クレーン上のホイストの画像をキャプチャーする段階510と、光学制御システム402を用いて、キャプチャー画像内の1つ又はそれ以上の物体を検出する段階520と、を含んでおり、当該1つ又はそれ以上の物体は、ホイスト34、ホイストドラム46、ホイストドラム46上の巻き取られ又は巻き戻されるように構成されているロープ36、及びホイストドラム46上のロープ36の1つ又はそれ以上の巻回52、を含んでいる。方法は、更に、光学制御システム402を用いて、検出された物体を分析する段階530と、光学制御システム402を用いて、検出された物体の分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定する段階540と、を含んでいる。
【0074】
従って、以上の実施形態では、画像キャプチャー組立体410がクレーン構成要素の一画像、又は一続きの画像をキャプチャーし、すると光学制御システム402はキャプチャー画像内の1つ又はそれ以上の物体を検出することができる。例えば、光学制御システム402は、ホイスト、ホイストドラム、マーカー、ロープ、ホイストドラム上のロープの巻回、ロープのストランド、及びストランドの素線、を検出することができる。光学制御システム402は、次いで、検出された物体を分析し、クレーン構成要素のステータス又は状態を判定することができる。ステータスを判定されるクレーン構成要素は、キャプチャー画像内の検出されたクレーン構成要素であってもよいし、又は別体のクレーン構成要素であってもよい。一部の実施形態では、操作者はステータスに対する注意を喚起され、判定されたステータス又は状態に応じてクレーン動作の制御、阻止、又はそれら両方が行われることになる。加えて、光学検出システム400は様々な異なるステータス又は状態を検出することができる。例えばホイスト及びロープのキャプチャー画像の場合、光学検出システムは、ホイストドラムから繰り出され又は巻き戻されたロープ36の量、フック(又はフックブロック)高さ、アンチ・ツー・ブロック、ホイスト方向、ホイストの誤った巻き取り、ホイストドラム上のロープの現在の層及び/又は最後の層、ホイストドラム上のロープの第3巻回、ホイスト巻き取り及び/又は巻き戻し速度、ホイスト運動、ロープのサイズ、ロープの引き通り、潜り、及び/又は埋まり、ホイストドラム上のロープの乗り上げ、ホイストドラム上のロープ巻回密度、ロープの逆巻き付け、撚り型式を含むロープの型式、ロープ内の張力喪失、及びロープの損傷、摩耗、又は鳥かご型変形の様な他のロープ状態、の様なステータスを判定することができる。
【0075】
以上の実施形態では、クレーン構成要素の特定の状態を判定する場合に検出され及び分析される物体は、更に、クレーン構成要素の異なる状態を判定する場合に検出され及び分析されることもできる。つまり、以上の実施形態で説明されている様々な物体の検出及び分析は、ここに説明されている諸状態を判定する場合に互いと組み合わされてもよいということである。また、説明されている実施形態のうちの一実施形態の特徴は適切であれば以上に説明されている他の実施形態の何れかと組み合わされてもよいし又は他の実施形態の何れかに実施されてもよい。
【0076】
ここに参照されている全ての特許は、本開示の本文内で明確に指示されていようがいまいが、これによりここにその全体を参考文献と援用する。
【0077】
本開示では、原文の冠詞「a」又は「an」の対訳である「一」、「或る」という語は単数形及び複数形のどちらも含むものと捉えられたい。逆に、複数物品への何らかの言及は、該当する場合には、単数形を含むものとする。
【0078】
上記からは、本発明の新規性のある概念の真髄及び範囲から逸脱することなく数多くの修正型及び変形型が達成され得るということが観取されるであろう。示されている特定の実施形態に関しては何らの限定も意図されず、また推察されてもならない、ということを理解しておきたい。本開示は、付随の特許請求の範囲によって、当該特許請求の範囲の範囲内に入る全てのその様な修正型を網羅するものとする。
【符号の説明】
【0079】
10 クレーン
12 下部走行体
14 上部構造体
16 フレーム
18 地面係合要素
20 アウトリガー組立体
22 ジャッキ
24 アーム
26 回転台
28 操作者運転室
30 カウンターウェイト組立体
32 ブーム
33 ブーム先端
34 ホイスト
36 ロープ
37 フックブロック
38 基部
40 伸縮部
42 マーカー
44 キャプチャー画像
46 ホイストドラム
48 素線
50 ストランド
52 ロープ巻回
300 クレーン制御システム
310 入力デバイス
314 コンピュータプロセッサ
316 コンピュータ可読記憶媒体
318 ユーザーインターフェース
320 通信インターフェース
322 命令
400 光学検出システム
402 光学制御システム
410 画像キャプチャー組立体
412 コンピュータプロセッサ
414 コンピュータ可読記憶媒体
416 通信インターフェース
418 ユーザーインターフェース
420 命令
422 画像キャプチャーデバイス
424 追加情報
500 クレーン構成要素の状態を判定する方法
510 クレーン上のホイストの画像をキャプチャーする
520 光学制御システムを用いて、キャプチャー画像内の1つ又はそれ以上の物体を検出する
530 光学制御システムを用いて、検出された物体を分析する
540 光学制御システムを用いて、検出された物体の分析に基づいてクレーン構成要素の状態を判定する
A 垂直軸
ロープ(巻回)幅
rb ベースライン幅
rd 検出幅
RL1-RL4 ロープの層
hd ホイストドラムの長さ
RL ロープ層高さ
E1、E2 ロープ巻回稜線
P ロープが引き通っている点
C 乗り上げロープ
図1
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図17A
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図18