(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置、および表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
(21)【出願番号】P 2017250190
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 祐太
(72)【発明者】
【氏名】村越 健一
(72)【発明者】
【氏名】東坂 浩由
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 成之
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-198614(JP,A)
【文献】特開2015-111061(JP,A)
【文献】特開2007-067197(JP,A)
【文献】特開2003-195249(JP,A)
【文献】特開昭63-111692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する検出方法であって、
前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出部を備え、
前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の電気接続部における第1方向に沿って間隔をおいて並設された第1接続部および第2接続部と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って間隔をおいて並設された第3接続部および第4接続部とを一組とする接続部群ごとに、前記第1接続部ないし前記第4接続部と前記デバイスの各電気接続部とが導通および非導通のいずれか一方の際に前記位置ずれがないと判定し、
前記半導体素子の接続部群ごとの前記第1接続部から前記第4接続部のうち、前記デバイスの電気接続部と導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせと、前記デバイスの電気接続部と非導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせとが
、複数組の
前記接続部群同士で同じ場合に、前記第1方向または前記第2方向の前記位置ずれと判定し、
前記半導体素子の接続部群ごとの前記第1接続部から前記第4接続部のうち、前記デバイスの電気接続部と導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせと、前記デバイスの電気接続部と非導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせとが
、複数組の
前記接続部群同士で異なる場合に、前記
第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向の軸線回りの回転方向の前記位置ずれと判定することを特徴とする位置ずれ検出方法。
【請求項2】
半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する検出方法であって、
前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出部を備え、
前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の電気接続部における第1方向に沿って間隔をおいて並設された第1接続部および第2接続部と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って間隔をおいて並設された第3接続部および第4接続部とに、第1電気抵抗ないし第4電気抵抗を介してそれぞれ電気的に接続され、
前記第1接続部ないし前記第4接続部と前記位置ずれ検出部との間の抵抗値に基づき、位置ずれの有無を判定することを特徴とする位置ずれ検出方法。
【請求項3】
半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する検出装置であって、
前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出部を備え
、
前記半導体素子の電気接続部は、
所定の第1方向に沿って所定の第1間隔をおいて並設された第1接続部および第2接続部と、
前記第1方向に直交する所定の第2方向に沿って所定の第2間隔をおいて並設された第3接続部および第4接続部と、
前記第1間隔および前記第2間隔の中央部に位置する中央接続部とを有し、
前記第1接続部および前記第2接続部は、それぞれ複数に分割されてなる目盛接続部を備え、各目盛接続部が前記第1方向に配列されてなり、
前記第3接続部および前記第4接続部は、それぞれ複数に分割されてなる目盛接続部を備え、各目盛接続部が前記第2方向に配列されてなることを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項4】
半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する検出装置であって、
前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出部を備え
、
前記半導体素子の電気接続部は、
所定の第1方向に沿って所定の第1間隔をおいて並設された第1接続部および第2接続部と、
前記第1方向に直交する所定の第2方向に沿って所定の第2間隔をおいて並設された第3接続部および第4接続部と、
前記第1間隔および前記第2間隔の中央部に位置する中央接続部とを有し、
前記第1接続部および前記第2接続部は、それぞれ複数に分割されてなる目盛接続部を備え、各目盛接続部が前記第2方向に配列されるとともに前記目盛接続部の第1間隔側の各端部が該第1間隔から次第に遠ざかるように相互にずらして配列されてなり、
前記第3接続部および前記第4接続部は、それぞれ複数に分割されてなる目盛接続部を備え、各目盛接続部が前記第1方向に配列されるとともに前記目盛接続部の第2間隔側の各端部が該第2間隔から次第に遠ざかるように相互にずらして配列されてなることを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項5】
請求項
3または請求項4に記載の位置ずれ検出装置において、
前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが導通の際に前記位置ずれがないと判定する一方、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが非導通の際に前記位置ずれがあると判定することを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項6】
請求項
3から請求項5までのいずれか一つの請求項に記載の位置ずれ検出装置において、
前記半導体素子の電気接続部は、複数に分割されていることを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の位置ずれ検出装置において、
前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の複数に分割された個々の電気接続部に電気抵抗を介して電気的に接続されていることを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項8】
請求項
3から請求項
7までのいずれか一つの請求項に記載の位置ずれ検出装置において、
前記半導体素子の電気接続部は、導通する前記デバイスの電気接続部との許容位置ずれ量に対応する大きさを有することを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項9】
請求項
3から請求項8までのいずれか一つの請求項に記載の位置ずれ検出装置において、
前記第1接続部および前記第2接続部と、前記第3接続部および前記第4接続部とは、前記第1間隔および前記第2間隔が重なるように設けられていることを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項10】
請求項
3から請求項
9までのいずれか一つ
の請求項に記載の位置ずれ検出装置において、
前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の第1接続部ないし第4接続部と、前記デバイスの電気接続部とにより、前記第1方向および前記第2方向の双方に直交する第3方向の軸線回りの回転方向の前記位置ずれを検出することを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の位置ずれ検出装置において、
前記半導体素子の電気接続部は、前記第1接続部ないし第4接続部を一組とする接続部群を複数組備え、前記デバイスの電気接続部は前記接続部群の組数に対応して複数備えられていることを特徴とする位置ずれ検出装置。
【請求項12】
半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出方法を用いた表示装置であって、
前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれが検出され、
前記デバイスは発光デバイスからなり、前記半導体素子は前記発光デバイスを駆動する駆動素子からなることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項
12に記載の表示装置において、
前記駆動素子内には位置ずれ検出部が設けられたことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項
13に記載の表示装置において、
前記発光デバイスの電気接続部と前記駆動素子の電気接続部とが導通の際に前記発光デバイスが点灯し、前記発光デバイスの電気接続部と前記駆動素子の電気接続部とが非導通の際に前記発光デバイスが消灯することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置、および前記位置ずれ検出方法を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路素子等の半導体素子上にマスクやデバイスを貼り合わせる際、前記半導体素子の表面に導体層を設けている。この導体層は、主として配線導体用に用いられ、その一部は半導体素子の電極取り出し部(半導体の電極部)と接続するための半導体素子接続パッド用の導体パターンを形成している。半導体集積回路上でマスクやデバイス等を接合する際には、位置合わせのための目印として十字形や円形の位置決めマークが用いられている。
【0003】
しかし、微細チップ等のデバイスを接続するには、従来の位置決めマークを目視しながら位置合わせする方法では、位置ずれを生じてしまうおそれがあった。特に微小な電流値によってコントロールされる微細チップにあっては、生じた位置ずれ相当分の抵抗値がデバイスの電気特性に大きく影響する可能性があり、位置ずれに伴う輝度変化が生じることもあった。また、位置決めマークを用いた方法では、目視によってこれらの電気的な導通状態まで確認することができず、動作不良の発生を防ぐことが難しいものであった。
【0004】
このような問題点に対して、例えば特許文献1には、電気的に接続する電極対の形状およびサイズ等の情報から、位置ずれ量を求める電極板の位置合わせ方法が提案されている。この種の方法では、初期状態から粗位置合わせを行った後、微小位置合わせのための修正移動を繰り返す操作が必要とされ、手間と時間がかかるとともに操作回数の多さから実用的であるとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような従来の問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを簡便な方法で正確に検出しうる位置ずれ検出方法と位置ずれ検出装置とを提供し、さらに当該位置ずれ検出方法を用いた信頼性の高い表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する検出方法として、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出することを特徴としている。
【0008】
ここで、前記導通状態とは、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との短絡または開放状態、および前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との抵抗値の変化状態を含むものである。
【0009】
この特定事項により、従来の目視に頼った位置合わせに比べて格段に精度が増し、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とを適正に位置合わせすることが可能となる。
【0010】
また、前記半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する検出装置も本発明の技術的思想の範疇である。すなわち、この位置ずれ検出装置として、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出部を備えていることを特徴としている。
【0011】
前記構成の位置ずれ検出装置により、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とを適正に位置合わせすることが可能となる。前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態(電気的接続の有無)に基づいて、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出するので、位置ずれの有無を確認することに加えて、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態をも同時に確認することができる。
【0012】
前記位置ずれ検出装置における、より具体的な構成として、前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが導通の際に前記位置ずれがないと判定する一方、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが非導通の際に前記位置ずれがあると判定する構成や、該構成とは逆に、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが非導通の際に位置ずれがないと判定し、導通の際に位置ずれがあると判定する構成であってもよい。
【0013】
これにより、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態または非導通状態を判定する簡単な構成でありながら、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれの有無を容易に検出することが可能となる。
【0014】
前記位置ずれ検出装置において、前記半導体素子の電気接続部は、複数に分割されていることが好ましい。
【0015】
これにより、前記半導体素子における複数に分割された個々の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態によってこれらの電気接続部同士の位置ずれの有無を容易に検出することができる。
【0016】
また、前記位置ずれ検出装置において、前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の複数に分割された個々の電気接続部に電気抵抗を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0017】
これにより、電気的に接続された電気抵抗の抵抗値の測定といった簡単な構成でありながら、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれの有無を判定することができる。
【0018】
前記位置ずれ検出装置において、前記半導体素子の電気接続部は、導通する前記デバイスの電気接続部との許容位置ずれ量に対応する大きさを有することが好ましい。
【0019】
これにより、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づく位置ずれの有無を許容位置ずれ量を含めて判定することが可能となる。
【0020】
また、前記位置ずれ検出装置において、前記半導体素子の電気接続部は、所定の第1方向に沿って所定の第1間隔をおいて並設された第1接続部および第2接続部と、前記第1方向に直交する所定の第2方向に沿って所定の第2間隔をおいて並設された第3接続部および第4接続部とを有することが好ましい。
【0021】
これにより、電気的に接続する前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とにおける前記第1方向および前記第2方向に対する位置ずれを判定することが可能となる。
【0022】
また、前記位置ずれ検出装置において、前記第1接続部および前記第2接続部と前記第3接続部および前記第4接続部とは、前記第1間隔および前記第2間隔が重なるように設けられていることが好ましい。
【0023】
このような構成によって、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との第1方向の位置ずれと第2方向の位置ずれとを、より詳細に検出することが可能となる。
【0024】
また、前記位置ずれ検出装置において、前記半導体素子の電気接続部は、前記第1間隔および前記第2間隔の中央部に位置する中央接続部をさらに有することが好ましく、また、前記第1接続部および前記第2接続部は、それぞれ複数に分割されてなる目盛接続部を備え、各目盛接続部が前記第1方向に配列されてなり、前記第3接続部および前記第4接続部は、それぞれ複数に分割されてなる目盛接続部を備え、各目盛接続部が前記第2方向に配列されてなることが好ましい。
【0025】
このような構成によって、前記第1接続部および前記第2接続部の目盛接続部と、前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との第1方向における位置ずれ量を容易に検出することができる。また、前記第3接続部および前記第4接続部の目盛接続部と、前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との第2方向における位置ずれ量を容易に検出することができる。
【0026】
前記位置ずれ検出方法における、より具体的な方法としては、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出部を備えて、前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の電気接続部における第1方向に沿って間隔をおいて並設された第1接続部および第2接続部と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って間隔をおいて並設された第3接続部および第4接続部とを一組とする接続部群ごとに、前記第1接続部ないし前記第4接続部と前記デバイスの各電気接続部とが導通および非導通のいずれか一方の際に前記位置ずれがないと判定する。また、前記半導体素子の接続部群ごとの前記第1接続部から前記第4接続部のうち、前記デバイスの電気接続部と導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせと、前記デバイスの電気接続部と非導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせとが、前記複数組の接続部群同士で同じ場合に、前記第1方向または前記第2方向の前記位置ずれと判定する。また、前記半導体素子の接続部群ごとの前記第1接続部から前記第4接続部のうち、前記デバイスの電気接続部と導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせと、前記デバイスの電気接続部と非導通する前記第1接続部ないし前記第4接続部の組み合わせとが、前記複数組の接続部群同士で異なる場合に、前記回転方向の前記位置ずれと判定することが好ましい。
【0027】
また、前記位置ずれ検出方法としては、前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の電気接続部における第1方向に沿って間隔をおいて並設された第1接続部および第2接続部と、前記第1方向に直交する第2方向に沿って間隔をおいて並設された第3接続部および第4接続部とに、第1電気抵抗ないし第4電気抵抗を介してそれぞれ電気的に接続されて、前記第1接続部ないし前記第4接続部と前記位置ずれ検出部との間の抵抗値に基づき、位置ずれの有無を判定することが好ましい。
【0028】
このような位置ずれ検出方法の具体的構成とすることによって、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれの有無を適切に判定することが可能となる。
【0029】
また、上述した解決手段に係る位置ずれ検出方法を適用した表示装置も本発明の技術的思想の範疇である。すなわち、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出方法を用いた表示装置であって、前記デバイスは発光デバイスからなり、前記半導体素子は前記発光デバイスを駆動する駆動素子からなることを特徴としている。また、前記表示装置において、前記駆動素子内には位置ずれ検出部が設けられていることが好ましい。
【0030】
このように構成されることにより、前記発光デバイスと前記駆動素子とが適正に位置合わせして実装され、これらの良好な導通状態を確保し得て、より一層信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、半導体素子の電気接続部と、これに電気的に接続するデバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する構成としている。このため、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とを適正に位置合わせすることが可能となり、かかる位置ずれの有無を確認することに加えて、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態をも同時に確認することが可能となる。
【0032】
また、本発明では前記位置ずれ検出方法を適用した表示装置において、発光デバイスと、この発光デバイスを駆動する駆動素子との位置ずれを精度よく検出し得て、信頼性の高い表示装置とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施形態1に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【
図2】実施形態1に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置の他の例を示す説明図である。
【
図3】実施形態2に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【
図4】実施形態2に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置の他の例を示す説明図である。
【
図5】実施形態2に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置の他の例を示す説明図である。
【
図6】実施形態3に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【
図7】実施形態3に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置の他の例を示す説明図である。
【
図8】実施形態4に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【
図9】実施形態5に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【
図10】実施形態5に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置の他の例を示す説明図である。
【
図11】実施形態5に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置のさらに他の例を示す説明図である。
【
図12】実施形態6に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【
図13】実施形態7に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1~
図2は本発明の実施形態1に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【0036】
本発明に係る位置ずれ検出方法は、半導体素子の電気接続部と、前記半導体素子の電気接続部と電気的に接続するデバイスの電気接続部との位置ずれを検出する方法である。この位置ずれ検出方法を実施する位置ずれ検出装置は、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態に基づいて前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出する位置ずれ検出部1が備えられている。
【0037】
図1に示すように、位置ずれ検出装置として半導体素子を備えており図示しない集積回路素子が形成されている。半導体素子には、集積回路素子に電気的に接続される電気接続部として電極パッド2が設けられている。電極パッド2には、この半導体素子に接続されるデバイス側の電気接続部として、例えば電極5が対向配置されて接続され、デバイスが実装される。
【0038】
半導体素子の電気接続部としての電極パッド2と、デバイス側の電気接続部としての電極5との「導通状態」には、例えば電極パッド2と電極5との短絡または開放状態が含まれ、あるいは電極パッド2と電極5との抵抗値の変化状態が含まれる。
【0039】
電極パッド2は、多様なレイアウトパターンにより形成されている。
図1(a)に例示するレイアウトパターンでは、半導体素子の電極パッド2は、第1パッド21から第4パッド24までの4つのパッドを備えている。このうち、X方向(第1方向)に沿って、第1パッド(第1接続部)21と第2パッド(第2接続部)22とが並べられている。また、X方向と直交するY方向(第2方向)に沿って、第3パッド(第3接続部)23と第4パッド(第4接続部)24とが並べられている。
【0040】
これらの第1パッド21と第2パッド22とは、所定の第1間隔DxをおいてX方向に並設されている。また、第3パッド23と第4パッド24とは、所定の第2間隔DyをおいてY方向に並設されている。第1パッド21と第2パッド22との間の第1間隔Dxと、第3パッド23と第4パッド24との間の第2間隔Dyとは共通し、互いに重なり合うように設けられている。
【0041】
また、例示の形態では、電極パッド2は、第1パッド21から第4パッド24までの4つのパッドを一組として、X方向に二組の電極パッド(接続部群)2が並設されている。
図1(b)に示すように、半導体素子の電極パッド2に接続するデバイスには、二組の電極パッド2に対応して、2つの電極5が備えられている。
【0042】
位置ずれ検出部では、電極パッド2と電極5との導通状態に基づいて位置ずれの有無を判定する。この判定は、すべての電極パッド2と電極5とが短絡したときに位置ずれがないと判定するものである。
【0043】
すなわち、
図1(b)に示すように、第1パッド21から第4パッド24のすべてで短絡(導通)している場合、電極パッド2と電極5との位置ずれがないと判定する。デバイス側の電極5は、二組の電極パッド2のそれぞれに対し、X方向およびY方向の中心部に位置しており、正常に実装された状態にある(正常実装状態)。
【0044】
これに対して、一部の電極パッド2と電極5とが開放したときは、位置ずれがあると判定する。
図1(c)に示す例では、二組の電極パッド2において、それぞれ、第1パッド21と第4パッド24とが短絡され、第2パッド22と第3パッド23とが開放されている(非導通)。したがって、この場合、位置ずれ検出部は位置ずれがあると判定し、電極パッド2と電極5との位置ずれが検出される。
【0045】
また、
図1(d)に示す例では、二組の電極パッド2において、第4パッド24が短絡され、第1パッド21から第3パッド23において開放されている。この場合にも、位置ずれ検出部は位置ずれがあると判定する。このように第1パッド21から第4パッド24のうち、短絡しているパッドが少ない場合、大きな位置ずれがあると判定し、あるいは、電気的導通が不十分であると判定する。短絡は第4パッド24だけであるので、Y方向の大きな位置ずれがあると判定し、電極パッド2と電極5との位置ずれが検出される。
【0046】
これにより、作業者は電極パッド2と電極5とを目視に頼って位置合わせする必要性がなくなり、電極パッド2と電極5との導通状態に基づいて位置ずれの有無を判断することができる。しかも、電極パッド2と電極5との位置合わせとともに、電極パッド2と電極5との導通の有無を確認することができる。
【0047】
また、
図2に示す例では、位置ずれ検出部1において回転方向の位置ずれを検出する。この場合には、X方向およびY方向の双方に直交するZ方向(第3方向)の軸線回りの回転方向の位置ずれを検出する。
【0048】
図2では、図中左側の電極5については、電極パッド2に対し、X方向の第1パッド21および第2パッド22と、Y方向の第4パッド24で短絡し、第3パッド23で開放した状態にある。また、図中右側の電極5については、Y方向の第4パッド24で開放し、第3パッド23とX方向の第1パッド21および第2パッド22で短絡した状態にある。このような導通状態に基づいて、位置ずれ検出部では回転方向の位置ずれがあると判定し、電極パッド2と電極5との位置ずれを検出することができる。
【0049】
なお、これらの電極パッド2や電極5の数は、例示したように二組の電極パッド2に対して2つの電極5であるに限らず、より多くの数の電極パッド2および電極5が電気的に接続される構成であってもよい。複数の電極5の相互間隔が拡げられることにより、より高精度に回転方向の位置ずれを検出することが可能となる。また、第1パッド21と第2パッド22との間の第1間隔Dxと、第3パッド23と第4パッド24との間の第2間隔Dyとが互いに重なり合うよう構成を例示したが、これに限定されるものではなく、第1間隔Dxと第2間隔Dyとを異ならせたり、相互にずらしたりして各パッド21~24を配置し、X方向またはY方向の位置ずれ量をより詳細に検出してもよい。
【0050】
(実施形態2)
図3~
図5は、実施形態2に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【0051】
なお、以下に説明する実施形態2~7に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置では、電極パッド2のレイアウトパターンに特徴を有しており、前記実施形態1と基本構成は共通することから、共通する構成には実施形態1と同様の符号を用いてその詳細な説明を省略する。
【0052】
この形態に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置では、電極パッド2と電極5との位置ずれの有無を、許容位置ずれ量を含めて判定し、前記位置ずれが許容位置ずれ量の範囲内にあれば、位置ずれがないと判定するものである。電極パッド2は、電極5との許容位置ずれ量に対応する配置形態により構成されている。
【0053】
図3(a)に示す例では、一辺の長さがLである正方形状の電極5に対して、第1パッド21と第2パッド22との第1間隔Dxを、電極パッド2と電極5との許容位置ずれ量に基づいて規定している。すなわち、X方向の許容位置ずれ量をWxとするとき、第1間隔Dxについて、
Dx=L-2Wx+2α(α:導通に必要な接続しろ)
として設定する。電極パッド2においては、この第1間隔Dxを、第1パッド21と第2パッド22との間に有するように配置されている。また、同様に、第3パッド23と第4パッド24との第2間隔Dyは、Y方向の許容位置ずれ量をWyとするとき、
Dy=L-2Wy+2α(α:導通に必要な接続しろ)
とされ、この第2間隔Dyを第3パッド23と第4パッド24との間に有するように配置されている。第1パッド21と第2パッド22との間の中間点は、第3パッド23と第4パッド24との間の中間点に合致させて配置される。
【0054】
これにより、電極5の幅から電極パッド2の幅と導通に必要な接続しろαを差し引いた長さを、電極パッド2と電極5との許容位置ずれ量とすることができる。
【0055】
図3(b)に示す例では、許容位置ずれ量Wx、Wyを小さく設定(接続しろα相当、もしくは接続しろαに僅かな裕度βを加えて設定)して、厳密な位置合わせを可能にするレイアウトパターンとされている。また、
図3(c)に示す例では、X方向の許容位置ずれ量Wxと、Y方向の許容位置ずれ量Wyとを異ならせて規定し、X方向よりもY方向に厳密な位置合わせを可能にするレイアウトパターンとされている。
【0056】
また、
図3(d)に示す例では、
図3(c)と同様に、X方向の許容位置ずれ量Wxと、Y方向の許容位置ずれ量Wyとを異ならせて規定し、X方向よりもY方向に厳密な位置合わせを可能にするとともに、電極5を長方形状のものとしている。このように多様な電極パッド2のレイアウトパターンから、電極パッド2と電極5との位置合わせの度合いによって位置ずれを検出することが可能とされる。
【0057】
図4(a)および
図4(b)では、電極パッド2と電極5との接続形態の例を示し、X方向の許容位置ずれ量Wxと、Y方向の許容位置ずれ量Wyに基づいて電極パッド2が配置されている。
図4(a)では、電極パッド2の第1パッド21から第4パッド24に対して電極5がほぼ均等に配置されて短絡し、位置ずれがなく、正常実装状態とされている。このとき、電極パッド2と電極5との電気的導通が確認される。
【0058】
これに対して、
図4(b)では、
図4(a)の例よりもX方向およびY方向に電極5の位置がずれているものの、第1パッド21から第4パッド24のすべてで短絡している。したがって、この場合には、許容位置ずれ量の範囲内で接続され、位置ずれがないと判定することができる。
【0059】
図5(a)および
図5(b)では、電極パッド2と電極5との接続形態の例として、X方向の許容位置ずれ量Wxと、Y方向の許容位置ずれ量Wyを小さく設定した場合を示している。
図5(a)では、電極パッド2の第1パッド21から第4パッド24に対して電極5がほぼ均等に配置されて短絡し、位置ずれがなく、正常実装状態とされている。このとき、電極パッド2と電極5との電気的導通が確認される。
【0060】
これに対して、
図5(b)では、
図5(a)の例よりもX方向およびY方向に電極5の位置がずれており、第1パッド21と第4パッド24で短絡し、第2パッド22と第3パッド23とで開放した状態となっている。この場合、位置ずれ検出部では位置ずれがあると判定し、電極パッド2と電極5との位置ずれを検出する。
【0061】
なお、半導体素子の電極パッド2として第1パッド21ないし第4パッド24を有する一組の電極パッド2を例示したが、電極パッド2は一組であるに限らず、前記実施形態1に示したように複数組であってもよい。これは、後述する実施形態3および実施形態4においても同様である。
【0062】
(実施形態3)
図6および
図7は、実施形態3に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【0063】
この形態に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置では、電極パッド2は、第1パッド21ないし第4パッド24がそれぞれ複数に分割された構成を有する。
図6(a)に示すように、X方向に並設された第1パッド21および第2パッド22は、それぞれ複数に分割されてなる目盛パッド(目盛接続部)3を備えており、その目盛パッド3がX方向に均等に配列されている。また同様に、Y方向に並列された第3パッド23および第4パッド24は、それぞれ複数に分割されてなる目盛パッド(目盛接続部)3を備えており、その目盛パッド3がY方向に均等に配列されている。
【0064】
図6(a)に示す例では、電極パッド2の第1パッド21から第4パッド24に対して、電極5がそれぞれ同数の目盛パッド3に短絡するように配置されている。これにより、電極5と電極パッド2とに位置ずれがなく、電気的導通が確認され、正常実装状態とされる。
【0065】
また、電極パッド2において、目盛パッド3に対する電極5の位置関係を目視によって確認し、位置ずれの有無を判断することも可能である。
図6(a)の正常実装状態に対して、例えば
図6(b)に示す例では、第1パッド21における目盛パッド3の見え方と、第2パッド22における目盛パッド3の見え方が異なる。これにより、電極5がX方向(図中左方向)に位置ずれしていることが目視で判断できる。また、第3パッド23における目盛パッド3の見え方と、第4パッド24における目盛パッド3の見え方の違いから、Y方向(図中上方向)に位置ずれしていることが目視で判断できる。
【0066】
さらに、第1パッド21ないし第4パッド24として備えられた複数の目盛パッド3には、それぞれ検出パッド41が電気的に接続されていることが好ましい。
図7(a)に示すように、検出パッド41が目盛パッド3に対して個別に接続されていることで、どの目盛パッド3において短絡しているかを検出することができる。なお、
図7(a)および
図7(b)では、検出パッド41と目盛パッド3との接続線を一部省略して示している。
【0067】
例えば、
図7(a)に示す例では、第1パッド21から第4パッド24まで、いずれも、3つの目盛パッド3で短絡していることが同様に検出され、位置ずれがないと判定される。また、
図7(b)に示す例では、第1パッド21と第2パッド22とで短絡する目盛パッド3の数が異なり、X方向に位置ずれがあると判定されるとともに、第3パッド23と第4パッド24とでも短絡する目盛パッド3の数が異なることから、Y方向の位置ずれも検出される。検出パッド41では、どの目盛パッド3で短絡があるかを検出するので、位置ずれの有無に加えて、その位置ずれ量を判定することができる。
【0068】
このように、電極パッド2と電極5との位置ずれの有無を、目視によるだけでなく、複数に分割された個々の第1パッド21および第2パッド22と、電極5との導通状態によって、X方向における位置ずれ量を容易に検出することができる。特に、目視が困難であるような微細な位置合わせに有効である。また、複数に分割された個々の第3パッド23および第4パッド24と、電極5との導通状態によって、Y方向における位置ずれ量を容易に検出することができる。
【0069】
(実施形態4)
図8は、実施形態4に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【0070】
この形態に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置では、電極パッド2は、さらに中央パッド25を備えている。図示するように、中央パッド25は、X方向の第1パッド21と第2パッド22との第1間隔の中央であって、Y方向の第3パッド23と第4パッド24との第2間隔の中央に配置されている。
【0071】
複数に分割されてなる目盛パッド3に対して、検出パッド41Aは、個別に電気抵抗42を介して電気的に接続されている。中央パッド25には、検出パッド41Bが個別に接続されている。
【0072】
この場合、第1パッド21から第4パッド24は、それぞれ複数の目盛パッド3を備えており、
図8に示す例では5つの目盛パッド31~35を備えている。このため、電極パッド2と電極5との間で、位置ずれ量を5段階に分解して判定することが可能となる。
【0073】
このような電極パッド2に対し、図示しないデバイス側の電極5が接続されることで、中央パッド25と、第1パッド21ないし第4パッド24の目盛パッド3の導通状態を検出するものとなる。このとき、第1パッド21ないし第4パッド24においては、どの目盛パッド31~35で短絡しているかによって、中央パッド25との間の抵抗値が変化する(合成抵抗)。
【0074】
例えば、各電気抵抗42の抵抗値が15kΩであるとき、中央パッド25と、第1パッド21の目盛パッド3との間の抵抗値は、第1の目盛パッド31では15kΩ、第2の目盛パッド32では7.5kΩ、第3の目盛パッド33では5kΩ、第4の目盛パッド34では3.75kΩ、第5の目盛パッド35では3kΩと測定される。これらの測定された抵抗値に基づいて、第1パッド21から第4パッド24における位置ずれ量を個別に検出し、電極パッド2と電極5との位置ずれの有無を精度よく検出することができる。
【0075】
このように、目盛パッド3に電気的に接続された電気抵抗42の抵抗値の測定といった簡単な構成でありながら、電極パッド2と電極5との位置ずれの有無を判定することができ、位置ずれがある場合の位置ずれ量を容易にかつ確実に検出することが可能となる。
【0076】
なお、この形態に係る電極パッド2のレイアウトパターンにおいて、複数組の電極パッド2とこれに対応する数の電極5とによって、回転方向の位置ずれの有無を検出することも可能である。その場合、前記実施形態1に示したように、電極パッド2と電極5との組合せごとに測定された抵抗値を比較することで、回転方向の位置ずれの有無を容易に判定することができる。
【0077】
(実施形態5)
図9~
図11は、実施形態5に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【0078】
この形態に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置においては、電極パッド2のレイアウトパターンにより、より細かな分解能を持たせて位置ずれ量を判定することを可能にしている。
【0079】
図9(a)に示す例では、電極パッド2は中央パッド25を有しており、第1パッド21および第2パッド22は、それぞれ複数に分割されてY方向に間隔をおいて並設された目盛パッド3(31~35)を備えている。また、これらの目盛パッド3は、各目盛パッド31~35におけるX方向の第1間隔Dx側の端部が、第1間隔Dxから次第に遠ざかるように相互にずらして配列されている。
【0080】
同様に、第3パッド23および第4パッド24は、それぞれ複数に分割されてX方向に間隔をおいて並設された目盛パッド3(31~35)を備えている。これらの目盛パッド3は、各目盛パッド31~35においてY方向の第2間隔Dy側の端部が、第2間隔Dyから次第に遠ざかるように相互にずらして配列されている。
【0081】
これらの全ての目盛パッド3および中央パッド25は、前記実施形態4と同様に、電気抵抗42を介して図示しない検出パッド41A、41Bに電気的に接続されている。
【0082】
第1パッド21および第2パッド22における目盛パッド3相互のX方向のずらし量と、第3パッド23および第4パッド24における目盛パッド3相互のY方向のずらし量は、電極パッド2と電極5との間で検出すべき位置ずれ量に対応させて規定されている。かかるX方向のずらし量およびY方向のずらし量は、例えば0.1μmとされる。
【0083】
図9(a)に示す例では、例えば第1パッド21の5つの目盛パッド3(31~35)のX方向の長さがすべて異なる。これらの5つの目盛パッド3のうち、図中上から4つ目までの第1から第4の目盛パッド31~34は、長さの差が共通であり、X方向の第1間隔Dx側の端部が、第1間隔Dxから次第に遠ざかるように、均等にずらして配置されている。図中上から5つ目の第5の目盛パッド35については、電極5が正常実装状態にあるときに必ず短絡するよう、他の目盛パッド31~34よりも十分に長く形成されている。これによって、正常実装状態のときの電気的導通を確実に得られるように構成されている。
【0084】
かかる電極パッド2のレイアウトパターンによっても、第1パッド21および第2パッド22と電極5との導通状態に基づいて、電極パッド2と電極5とのX方向における位置ずれ量を容易に検出することができる。また、第3パッド23および第4パッド24と電極5との導通状態に基づいて、電極パッド2と電極5とのY方向における位置ずれ量を容易に検出することができる。
【0085】
図9(b)に示す例では、第1パッド21と第3パッド23において電極5との電気的導通がなく開放され、X方向およびY方向に大きな位置ずれが検出されることとなる。また、
図9(c)に示す例では、第1パッド21ないし第4パッド24の外方に、さらに複数の予備パッド26が設けられている。予備パッド26は、目盛パッド3と同様に、X方向またはY方向に、第1パッド21ないし第4パッド24と同様の配置形態で繰り返しパターンとなるように配列されている。これによって、X方向およびY方向に大きな位置ずれを有する場合にも、電極5の電極パッド2との位置ずれ量を詳細に判定することが可能となる。
【0086】
図10に示す例では、第1パッド21から第4パッド24まですべて、目盛パッド31~35のいずれかで電極5と電気的に導通し、短絡している。短絡する目盛パッド3は、第1パッド21ないし第4パッド24で、中央パッド25に対して点対称となる対応する位置にある。これにより、電極パッド2と電極5とは、X方向およびY方向に位置ずれがなく、回転方向のみの位置ずれを有するものと判定される。
【0087】
さらに、
図11(a)および
図11(b)に示すように、電極パッド2として、さらに細分化した目盛パッド3を備えさせてもよい。
図9(a)に示す例に比べ、第1パッド21ないし第4パッド24において、目盛パッド3は長さ方向に分割されている。これにより、第1パッド21ないし第4パッド24のそれぞれにおいて、目盛パッド3がX方向にもY方向にも複数列の配列形態となされている。
図11(b)に示すように、目盛パッド3の数がX方向およびY方向に増えるので、より大きな位置ずれ量を容易に検出することが可能となる。
【0088】
(実施形態6)
図12は、実施形態6に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【0089】
この形態に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置においては、複数組の電極パッド2のレイアウトパターンにより、回転方向の位置ずれの有無を判定することを可能にしている。
【0090】
図12(a)に示す例では、二組の電極パッド2を備えて構成されている。各電極パッド2は、前記実施形態5(
図9)に示したものと共通する構成を有している。この場合、各電極パッド2において第1パッド21から第4パッド24までがすべて等しく電極5と短絡したときに位置ずれがないと判定する。
【0091】
これに対して、
図12(b)に示すように、各電極パッド2のうち、図中左側の電極パッド2では、第1パッド21と第3パッド23とで開放し、第2パッド22と第4パッド24とで電極5と短絡する。図中右側の電極パッド2では、第1パッド21から第3パッド23まですべて電極5と短絡し、第4パッド24では1つの目盛パッド3でのみ短絡する。このように、一方の電極パッド2の短絡/開放の構成と、他方の電極パッド2の短絡/開放の構成とが異なる場合には、回転方向の位置ずれと判定する。
【0092】
また、一方の電極パッド2の短絡/開放の構成と、他方の電極パッド2の短絡/開放の構成とが同じ場合には、X方向またはY方向の位置ずれがあると判定する。この場合、回転方向の位置ずれはないと判定する。
【0093】
このように、複数組の電極パッド2とこれに対応する数の電極5との短絡または開放を検出することにより、これらの電極パッド2と電極5との回転方向の位置ずれの有無を容易に検出することができる。
【0094】
さらに、二組の電極パッド2に含まれる第5の目盛パッド35における電極5との導通状態に基づき、X方向、Y方向および回転方向の位置ずれを検出することも可能である。すなわち、第5の目盛パッド35と中央パッド25との間で、測定した抵抗値に基づいて、電気的な導通の有無を確認する。導通していると確認されたならば、すべての第5の目盛パッド35で短絡し、
図12(a)に示すように正常実装状態であると判定される。
【0095】
二組の電極パッド2相互間で、第5の目盛パッド35と中央パッド25との間の抵抗値が、一方の第1パッド21と他方の第1パッド21とで共通し、残る第2パッド22から第4パッド24においても、一方と他方とでそれぞれ共通する場合には、X方向および/またはY方向の位置ずれがあると判定する。また、かかる抵抗値が異なる場合には、
図12(b)に示すように回転方向の位置ずれがあると判定する。
【0096】
(実施形態7)
図13は、実施形態7に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置を示す説明図である。
【0097】
前述した位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置は、例えば、LSIチップ上に複数の発光デバイスが2次元マトリクス状に配列されてなる半導体モジュール等の表示装置に好適に用いることができる。この場合、上述したデバイスとしては、例えばマトリクス状に配置される発光デバイス(LED群)からなることが好ましい。また、半導体素子としては、前記発光デバイスを点灯制御する駆動素子(ドライバ)からなることが好ましい。
【0098】
なお、LSIチップ上に単体の発光デバイスを搭載した半導体モジュール等の表示装置へも適用可能であることは言うまでもない。
【0099】
図13に例示する位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置においては、複数組の電極パッド2のレイアウトパターンは前記実施形態4~6と共通している。位置ずれ検出部は駆動素子に設けられている。複数組の電極パッド2には、それぞれ発光デバイスの電極5が接続される。複数に分割されてなる目盛パッド3(31~35)に対して、それぞれ個別に電気抵抗(42)を介して検出パッド41に接続されている。
【0100】
例えば、二組の電極パッド2において、一方の電極パッド2を、表示部を構成する発光デバイス周辺のダミー素子のアノード電極、他方の電極パッド2を該ダミー素子のカソード電極に接続し、一方と他方の電極パッド2、2間に電圧が印加される。
【0101】
図示するように、発光デバイスの電極5と駆動素子の電極パッド2とが導通し、正常実装状態にあるとき、前記ダミー素子が発光状態となり点灯する。これにより、電極5と電極パッド2との位置ずれがないことが判定されるとともに、電気的導通が確認される。
【0102】
また、第1パッド21ないし第4パッド24において少なくともいずれか一つが非導通となると、発光デバイスの電極5と駆動素子の電極パッド2とに位置ずれがあると判定され、非導通状態(ダミー素子が消灯、すなわち非点灯)を含むことがわかる。二組の電極パッド2において、一方の第1パッド21と他方の第1パッド21、一方の第2パッド22と他方の第2パッド22、…というように、対応するパッド同士の組合せごとに、前記ダミー素子を点灯の有無を確認することで、X方向またはY方向の位置ずれの有無を判定することが可能となる。位置ずれが発生すると、表示装置においては色ムラや色ずれといった表示性能が低下するおそれがあるが、このように、位置ずれの有無を検出するとともに導通状態の確認をすることができるので、高い発光効率が得られ、信頼性の高い表示装置とすることが可能となる。
【0103】
なお、デバイスが発光デバイスであって、半導体素子が前記発光デバイスを駆動する駆動素子である場合に、位置ずれ検出装置は、例示したように表示装置に対して内蔵された構成であるに限らず、表示装置に対して外付けされた構成であってもよい。また、発光デバイスとしてマトリクス状に配列されてなる半導体モジュールについて例示したがデバイスはこれに限定されるものではなく、発光デバイスの配列形態もマトリクス状であるに限定されない。
【0104】
前記実施形態にて説明したいずれの構成にあっても、電気的に接続するデバイスの電気接続部と半導体素子の電気接続部との位置ずれの有無を簡便な方法で容易に確認することができるとともに、これらの導通状態も確認し得るので、より一層、信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0105】
また、前記実施形態に係る位置ずれ検出方法、位置ずれ検出装置、および表示装置は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲に基づくものとされる。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。例えば電極パッド2に備えられる複数のパッドとして第1パッド21から第4パッド24に限定されるものではなく、さらに多くのパッドを備えた構成であってもよい。各電極パッド2のレイアウトパターンも前記実施形態に示したものに限定されず、どのような構成が含まれてもよい。
【0106】
さらに、上述した実施形態では、前記位置ずれ検出方法および位置ずれ検出装置として、前記位置ずれ検出部は、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが導通の際に前記位置ずれがないと判定する一方、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが非導通の際に前記位置ずれがあると判定する具体的な構成を示したが、これに限らず、該構成とは逆に、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが非導通の際に位置ずれがないと判定し、導通の際に位置ずれがあると判定する構成であってもよい。
【0107】
後者の場合の実施例として、例えば4方向に配置した第1ないし第4パッド21~24の外側パッドに加えて、センター(デバイスの電気接続部の真下)に1つのパッド(センターパッド)を置くことで、非導通状態の時に「位置ずれが無い状態」であるか、「電気的接続がない状態であるか」を確認することができる。さらには、前記センターパッドを2つ用いて、前記デバイスの動作(デバイスが発光素子であれば、発光)が確認されれば、位置ずれがなく実装された上で、電気的接続もとることができたと判断される。
【0108】
このように、本発明に係る位置ずれ検出方法および位置ずれ装置は、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との導通状態(電気的接続の有無)に基づいて、前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部との位置ずれを検出・判定できる構成であればよいことは言うまでもない。
【0109】
また、前記デバイス(発光素子:LED)の搭載の有無は、前記位置ずれ検出部による前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが導通の際に前記位置ずれがないと判定することで併せて前記デバイスの搭載の有無を判断することができる。一方、前記位置ずれ検出部による前記半導体素子の電気接続部と前記デバイスの電気接続部とが非導通の際に前記位置ずれがあると判定する際には、前記デバイスの搭載の有無を前記センターパッドで、位置ずれについては前記外側パッドで検出することができる。
【0110】
前記センターのパッドとデバイスとの電気的な接続を確認することで、前記デバイスが搭載されているかどうかを確認することができる。
【0111】
例えば、前記デバイスがLEDである場合には、アノード電極/カソード電極があるので、これらの間の順方向電圧(順電圧:Vf)を測定することや、LEDを発光させることで確認できる。すなわち、以下のような構成により確認することが可能となる。
・電気的接続無し:
アノード電極/カソード電極間の特性が開放状態、前記外側パッドは開放状態である。
・電気的接続有り/位置ずれ有り:
アノード電極/カソード電極間で発光し、Vfなどの特性を取得可能である。前記外側パッドと前記センターパッド間、アノード電極/カソード電極の外側パッド間(同方向)で短絡状態(導通有り)となる。
・電気的接続有り/位置ずれ無し:
アノード電極/カソード電極間で発光し、Vfなどの特性を取得可能である。前記外側パッドは開放状態となる。
【0112】
なお、上記の1つのパッドで、上記の確認しようとする際には、例えばセンターパッドの分割(4分割程度)などの工夫が必要であることは言うまでもない。また、センターの分割されたパッドの分割部は、それぞれ確認用の大きな引出パッドに引き出される構成でもあってもよい。該構成によれば、上記の確認が容易となる。
【符号の説明】
【0113】
1 位置ずれ検出部
2 電極パッド(半導体素子の電気接続部)
21 第1パッド
22 第2パッド
23 第3パッド
24 第4パッド
25 中央パッド
3、31、32、33、34、35 目盛パッド
Dx 第1間隔
Dy 第2間隔
41、41A、41B 検出パッド
42 電気抵抗
5 電極(デバイスの電気接続部)