(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】被覆物用のダニ防除装置及びダニ防除装置を用いたダニ防除方法
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20221004BHJP
A01P 7/02 20060101ALI20221004BHJP
A01N 53/08 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A01M1/20 Y
A01P7/02
A01N53/08 110
(21)【出願番号】P 2018082640
(22)【出願日】2018-04-23
【審査請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2017086481
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175075
【氏名又は名称】田中 康子
(72)【発明者】
【氏名】庄子 佳文子
(72)【発明者】
【氏名】亀崎 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】児玉 達治
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-114611(JP,A)
【文献】特開2011-153108(JP,A)
【文献】特開平04-134005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/20
A01P 7/02
A01N 53/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一層以上の布材で覆われた被覆物に対して、3-フェノキシベンジルクリサンテマートを、1.3~50mg/m
2の処理量で燻煙処理することを特徴とする、被覆物のダニ防除方法。
【請求項2】
3-フェノキシベンジルクリサンテマートの処理量が、12.5~50mg/m
2である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3-フェノキシベンジルクリサンテマートの処理量が、1.3~12.5mg/m
2である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一層以上の布材で覆われた被覆物に対して、3-フェノキシベンジルクリサンテマートを、1.3~12.5mg/m
2の処理量で燻煙処理することを特徴とする、被覆物のダニの産卵抑制方法。
【請求項5】
前記被覆物は、布団、枕、座布団、茣蓙、ぬいぐるみ又は衣類である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記燻煙処理を、3-フェノキシベンジルクリサンテマートを含有するダニ防除組成物と、前記ダニ防除組成物を収容した全量噴射型容器と、を備えるダニ防除装置により行う、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆物用のダニ防除装置及びダニ防除装置を用いたダニ防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダニは、人の健康に悪影響を及ぼす害虫であり、家屋内、特に布団等の寝具に数多く生息する。ダニを防除する方法としては、布団の天日干しや、掃除機による除去等が挙げられる。
しかし、布団の天日干しでは、ダニを致死できるだけの十分な温度には至らない。また、掃除機による除去では、布団内部のダニを除去することができない。このように、ダニを防除する対策としては不十分であった。
そこで、薬剤を含有するダニ防除剤が用いられている。特許文献1には、ピレスロイド系化合物と、カルバミド酸エステル誘導体とを含有する殺虫殺ダニ組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の殺虫殺ダニ組成物は、水和剤、乳剤、油剤、エアゾール剤、粉剤、フィルム、シート等、様々な製剤として用いられる。これらの殺虫殺ダニ剤は、適宜噴霧、塗布、散布、設置して用いられる。
殺虫殺ダニ剤を、布団等の寝具にスプレー剤で噴霧した場合、布団内部のダニにまで殺虫成分が浸透せず、十分な殺虫殺ダニ効果が得られない。
そこで、本発明は、被覆物内部のダニを防除可能な被覆物用のダニ防除装置及びダニ防除装置を用いたダニ防除方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ピレスロイド系殺虫成分(A)を含有するダニ防除組成物と、前記ダニ防除組成物を収容した全量噴射型容器と、を備え、一層以上の布材で覆われた被覆物を処理対象とする、被覆物用のダニ防除装置。
[2]前記(A)成分が、3-フェノキシベンジルクリサンテマートである、[1]に記載の被覆物用のダニ防除装置。
[3]燻煙装置である、[1]又は[2]に記載の被覆物用のダニ防除装置。
[4]前記ダニ防除組成物は、5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステルを実質的に含有しない、[1]~[3]のいずれかに記載の被覆物用のダニ防除装置。
[5]前記被覆物の表面への、前記(A)成分の処理量が、0.1~100mg/m2である、[1]~[4]のいずれかに記載の被覆物用のダニ防除装置。
[6]前記被覆物は、布団、枕、座布団、茣蓙、ぬいぐるみ又は衣類である、[1]~[5]のいずれかに記載の被覆物用のダニ防除装置。
【0006】
[7]任意の空間内で、[1]~[6]のいずれか一項に記載の被覆物用のダニ防除装置を用いて、前記ダニ防除組成物を噴射し、一層以上の布材で覆われた被覆物に、ダニ防除処理を施すダニ防除方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被覆物内部のダニを防除可能な被覆物用のダニ防除装置及びダニ防除装置を用いたダニ防除方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】ダニ防除装置を用いたダニ防除方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[被覆物用のダニ防除装置]
本発明の被覆物用のダニ防除装置(以下、単にダニ防除装置ということがある)は、ピレスロイド系殺虫成分(A)を含有するダニ防除組成物と、前記ダニ防除組成物を収容した全量噴射型容器と、を備える。
ダニ防除装置としては、全量噴射型の燻煙装置と、全量噴射型のエアゾール装置とに大別できる。
以下、全量噴射型の燻煙装置(以下、単に燻煙装置ともいう)と、全量噴射型のエアゾール装置(以下、単にエアゾール装置ともいう)とに分けて、本発明を詳細に説明する。
本発明のダニ防除装置としては、燻煙装置やエアゾール装置が好ましいが、ダニ防除効果を発揮するのに十分な(A)成分量を簡便にムラなく被覆物内に処理できるものであれば、形態は特に限定されない。
なお、本発明において「ダニ防除」には、ダニを死滅させることをはじめ、ダニを瀕死の状態にすること、産卵によるダニの増殖を防ぐことも含まれる。
【0010】
≪燻煙装置≫
燻煙装置は、ダニ防除組成物を収容した全量噴射型容器を備えるダニ防除装置の一実施形態である。
以下に、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る燻煙装置について説明する。
【0011】
燻煙装置10は、
図1に示すように、筐体12と、筐体12の内部に設けられた加熱部20と、筐体12の内部に設けられた燻煙剤部32とで概略構成されている。筐体12は略円筒状の本体14と、底部16と、本体14の上部に設けられた蓋部18とで構成されている。筐体12内には、燻煙剤容器30が設けられ、燻煙剤容器30にダニ防除組成物が充填されて燻煙剤部32が形成されている。燻煙装置10は、間接加熱型の燻煙装置の一例である。
【0012】
蓋部18は、貫通孔を有するものであり、メッシュ、パンチングメタル、格子状の枠体等が挙げられる。蓋部18の材質は、例えば、金属、セラミック等が挙げられる。
本体14の材質は蓋部18と同じである。
【0013】
燻煙剤容器30は、燻煙剤部32を充填する容器として機能すると共に、加熱部20で生じた熱エネルギーを燻煙剤部32に伝える伝熱部として機能するものである。燻煙剤容器30は、例えば、金属製の容器等が挙げられる。
【0014】
加熱部20は、特に限定されず、燻煙剤部32の煙化に必要な熱量を考慮して適宜決定できる。加熱部20としては、前記した水と接触して発熱する物質を充填して形成したものが好ましく、酸化カルシウムを充填して形成したものが特に好ましい。また、加熱部20は、鉄粉と酸化剤とを仕切り材で仕切って充填して形成してもよく、金属と該金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを仕切り材で仕切って充填して形成してもよい。
【0015】
底部16は、加熱部20の機構に応じて適宜決定すればよい。例えば、加熱部20が水と接触して発熱する物質(酸化カルシウム等)により構成されている場合、底部16には不織布や金属製のメッシュ等を用いることができる。底部16を不織布や金属製のメッシュとすることで、底部16から水を加熱部20内に浸入させて反応熱を発生させ、ダニ防除組成物を加熱することができる。
【0016】
<燻煙剤>
燻煙剤は、ダニ防除組成物の一実施形態である。
燻煙剤は、ピレスロイド系殺虫成分(以下、(A)成分という。)を含有する。(A)成分を含有することで、ダニを死に至らしめ、ダニ防除効果を発揮することができる。
【0017】
((A)成分)
(A)成分は、ピレスロイド系殺虫成分である。ピレスロイド系殺虫成分としては、例えば、アレスリン、ピナミンフォルテ、バイオアレスリン、d-T80-フタルスリン、レスメトリン、3-フェノキシベンジル(1RS,3RS;1RS,3SR)-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、3-フェノキシベンジルクリサンテマート、フェンバレレート、フェンプロパトリン、エンペントリン、フェンフルスリン、M-108C、エトック、プラレスリン、ベンフルスリン、テフルスリン、サイフェノトリン、テラレスリン、エトフェンプロックス等が挙げられる。
【0018】
(A)成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分としては、上記の中でも、薬効と安全性に優れることから、3-フェノキシベンジル(1RS,3RS;1RS,3SR)-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、3-フェノキシベンジルクリサンテマートが好ましく、3-フェノキシベンジルクリサンテマートがより好ましい。3-フェノキシベンジルクリサンテマートには、複数の異性体が存在するが、異性体及びこれらの混合物も(A)成分に含まれる。
3-フェノキシベンジルクリサンテマートと同様に安全性が高く、布団等の寝具に使用できる(A)成分であれば、同様に使用できる。
【0019】
(A)成分の含有量は、燻煙装置を処理したときの(A)成分の被覆物の表面への処理量(表面処理量)や、(A)成分が布材を透過する透過量に応じて適宜決定される。
(A)成分の表面処理量は、任意の空間内で燻煙装置を処理したときに、床面に沈降した(A)成分の単位面積当たりの質量から求められる。(A)成分の透過量は、任意の空間内で燻煙装置を処理したときに、布材で覆われた床面に沈降した(A)成分の単位面積当たりの質量から求められる。
【0020】
(A)成分の表面処理量は、被覆物の単位面積当たり0.1~100mg/m2が好ましく、0.5~80mg/m2がより好ましく、1~80mg/m2がさらに好ましい。(A)成分の表面処理量が前記下限値以上であると、十分な防除効果が得られやすい。(A)成分の表面処理量が前記上限値以下であると、布材表面のべたつきを防止しやすい。
本明細書において、床に静置された被覆物については、被覆物表面のうち床と設置していない表面への処理量を(A)成分の表面処理量とする。
【0021】
(A)成分の透過量は、被覆物の単位面積当たり0.001~1.2mg/m2が好ましく、0.008~1.0mg/m2がより好ましく、0.015~1.0mg/m2がさらに好ましい。(A)成分の透過量が前記下限値以上であると、十分な防除効果が得られやすい。(A)成分の透過量が前記上限値以下であると、処理対象のべたつきを防止しやすい。(A)成分の透過量は、(A)成分の表面処理量及び後述する布材の織り目の大きさにより調整される。
【0022】
(A)成分の含有量は、(A)成分の表面処理量及び透過量が前記範囲内になるように調整され、燻煙剤の総質量に対して、例えば、5~30質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が前記下限値以上であると、十分な防除効果が得られやすい。(A)成分の含有量が前記上限値以下であると、布材表面のべたつきを防止しやすい。
【0023】
燻煙剤の剤形としては、特に制限されず、固体であっても、液体であっても、半固体(ゲル状)であってもよい。
燻煙剤が固体の場合、燻煙剤は、上記(A)成分のほか、有機発泡剤及びアスコルビン酸系化合物から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
【0024】
(有機発泡剤)
有機発泡剤は、加熱により(A)成分と発泡溶融し、有機発泡剤の熱分解、あるいは燃焼ガスの作用によって(A)成分を煙化させる成分である。
有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ニトロセルロース、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等の、加熱や燃焼により熱分解して多量の熱を発生させるとともに炭酸ガスや窒素ガス等を発生させるものが用いられる。これら有機発泡剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、分解温度が低く、発泡ガスの発生量が多い点で、アゾジカルボンアミド、ニトロセルロースが好ましい。
【0025】
燻煙剤における有機発泡剤の含有量は、容器内に充填される内容物の総質量100質量%中、50~90質量%が好ましく、60~85質量%が好ましく、60~80質量%がさらに好ましい。有機発泡剤の含有量が前記範囲内であれば、(A)成分の処理面への到達性、及びダニ防除効果の持続性がより良好となる。
【0026】
(アスコルビン酸系化合物)
アスコルビン酸系化合物は、環内に-C(=O)-O-を含み、熱分解により二酸化炭素を発生する環式化合物(ラクトン)であり、融点が70℃以上、好ましくは100℃以上のものである。ここでいう「融点」は、固体が融解して液体に変化する温度であり、キャピラリーを用いる融点測定装置、又は熱分析装置(DTG)によって決定される値を示す。
【0027】
本明細書において、「アスコルビン酸系化合物」とは、アスコルビン酸、その異性体、もしくはこれらのエステル又はこれらの塩を包含するものとする。
アスコルビン酸の異性体としては、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)が挙げられる。
アスコルビン酸又はその異性体のエステルとしては、一般的にビタミンC誘導体として提案されているものが利用できる。アスコルビン酸又はその異性体のエステルとしては、例えば、アスコルビン酸の高級脂肪酸エステル、エリソルビン酸の高級脂肪酸エステル、アスコルビン酸のリン酸エステル、エリソルビン酸のリン酸エステル等が挙げられる。前記高級脂肪酸エステルにおける高級脂肪酸としては、炭素数16~18の脂肪酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。なお、本明細書において、高級脂肪酸とは、炭素数8~22の脂肪酸を指す。
アスコルビン酸又はその異性体の塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩等が挙げられる。
アスコルビン酸系化合物の中では、アスコルビン酸、アスコルビン酸の異性体、アスコルビン酸の高級脂肪酸エステル、アスコルビン酸の異性体の高級脂肪酸エステル、アスコルビン酸の塩、アスコルビン酸の異性体の塩が好ましい。
アスコルビン酸系化合物として具体的には、アスコルビン酸(融点190℃)、エリソルビン酸(融点168℃);パルミチン酸アスコルビル(融点115℃)、ステアリン酸アスコルビル(融点117℃)等のエステル;アスコルビン酸ナトリウム(融点220℃)、エリソルビン酸ナトリウム(融点168℃)等の塩が好適に挙げられる。
【0028】
これらアスコルビン酸系化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アスコルビン酸系化合物の中でも、ダニ防除効果により優れる点から、アスコルビン酸を用いることが好ましい。
燻煙剤におけるアスコルビン酸系化合物の含有量は、容器内に充填される内容物の総質量100質量%中、50~90質量%が好ましく、60~85質量%がより好ましい。アスコルビン酸系化合物の含有量が前記範囲内であれば、(A)成分の処理面への到達性、及びダニ防除効果の持続性がより良好となる。
これらアスコルビン酸系化合物を用いた燻煙剤は、燻煙後の汚染(白色汚染)抑制に優れ好ましい。
【0029】
燻煙剤は、各種添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、燃焼助剤、安定化剤、結合剤、賦形剤等が挙げられる。
【0030】
(燃焼助剤)
燃焼助剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、尿素、メラミン、メラミン誘導体(工業用メラミン、硝酸メラミン、メラミンホルマリン樹脂等)等が挙げられる。
【0031】
(安定化剤)
安定化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エポキシ化合物(エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等)等が挙げられる。
【0032】
(結合剤)
結合剤としては、セルロース系化合物(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとそのCa塩及びNa塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース等)、デンプン系化合物(デンプン、α化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチNa塩等)、天然物系化合物(アラビアゴム、アルギン酸Na、トラガント、ゼラチン等)、合成高分子系化合物(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0033】
(賦形剤)
賦形剤としては、例えば、クレー、タルク、珪藻土(ラヂオライト(登録商標))、カオリン、ベントナイト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0034】
これら添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、燻煙剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、香料、色素等他の添加剤が必要に応じて配合されてもよい。
【0035】
燻煙剤が液体又は半固体の場合、燻煙剤は、上記(A)成分のほか、ポリオールを含有することが好ましい。
【0036】
(ポリオール)
「ポリオール」は、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であり、水酸基を2つ有するものを2価アルコール(グリコール)、3つ有するものを3価アルコールといい、2つ以上有するものは総称して多価アルコールとも称される。ポリオールは、150~450℃程度で加熱すると、現行の燻煙剤と同様に白色の煙状物が発生するという特徴がある。
ポリオールは、特に限定されず、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨品、工業品等に使用されているものの中から、(A)成分の揮散性、溶解・分散性、使用時の加熱温度等を考慮して適宜選択される。
ポリオールの沸点は、(A)成分が揮散し得る温度の観点から、150~300℃が好ましく、170~300℃がより好ましい。
ポリオールとしては、2価アルコール(グリコール)、3価以上の多価アルコール、糖、糖アルコール等が挙げられる。
【0037】
2価アルコール(グリコール)のなかで好適なものとしては、炭素数が2以上であり、炭素原子間にエーテル性酸素原子(-O-)が挿入されていてもよい脂肪族炭化水素の2つの炭素原子に1つずつ水酸基が結合している構造を持つ化合物が挙げられる。
該化合物において、脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、該脂肪族炭化水素は、鎖状であっても環状であってもよく、鎖状であることが好ましい。
鎖状である場合、該脂肪族炭化水素は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。環状である場合、該脂肪族炭化水素は単環式でも多環式でもよい。
このような化合物としてより具体的には、下記一般式(b1)又は(b2)で表される化合物が挙げられる。
HO-R1-OH ・・・(b1)
HO-(R2O)n-H ・・・(b2)
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数2以上の2価の脂肪族炭化水素基であり、nは2以上の整数である。]
【0038】
式(b1)中、R1における2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は2~18が好ましく、2~4がより好ましく、3又は4がさらに好ましい。R1としてはプロピレン基が特に好ましい。
式(b2)で表される化合物は、いわゆるポリエーテルである。
式(b2)中、R2としては、R1と同様のものが挙げられ、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
nは2~14であることが好ましく、2~4であることがより好ましい。
【0039】
上記一般式(b1)で表される化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、trans-2-ブテン-1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、イソプレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,15-ペンタデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,17-ヘプタデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,19-ノナデカンジオール、1,20-イコサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール、1,2-オクタデカンジオール等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(b2)で表される化合物の例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量200~20000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量300~2000のポリプロピレングリコール等が挙げられる。
平均分子量200~20000のポリエチレングリコールは、マクロゴールとも称され、ポリエチレングリコール200(平均分子量190~210)、ポリエチレングリコール300(平均分子量280~320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380~420)、ポリエチレングリコール600(平均分子量570~630)、ポリエチレングリコール1000(平均分子量950~1050)、ポリエチレングリコール1540(平均分子量1290~1650)、ポリエチレングリコール2000(平均分子量1850~2150)、ポリエチレングリコール4000(平均分子量2600~3800)、ポリエチレングリコール6000(平均分子量7300~9300)、ポリエチレングリコール10000(平均分子量9300~12500)、ポリエチレングリコール20000(平均分子量15500~20000)等が挙げられる。
これらのポリエチレングリコールは、たとえば三洋化成工業(株)から入手できる。ポリエチレングリコールの市販品には、たとえば「ポリエチレングリコール#1000」のように、商品によってはポリエチレングリコールと数値の間に「#」がつく場合がある。
なお、上記のポリエチレングリコールの平均分子量は、医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量を示し、医薬部外品原料規格2006記載の測定法による値である。
平均分子量300~2000のポリプロピレングリコールとしては、重合度が4~34のものが挙げられ、このようなポリプロピレングリコールとしては、ニューポールPP-400、PP-1000、PP-2000(三洋化成工業株式会社製)等の市販品を用いることができる。
なお、ポリプロピレングリコールの平均分子量は数平均分子量であり、水酸基価から求めた値である。
【0041】
糖のなかで好適なものとしては、グルコース、フルクトース等の単糖;スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース等の二糖;三糖以上の多糖等が挙げられる。
糖アルコールのなかで好適なものとしては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エリスリトール、キシリトール、D-ソルビトール、マンニトール、マルチトール等が挙げられる。グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンは、たとえば阪本薬品工業(株)等の市販品を用いることができる。
【0042】
本実施形態の燻煙剤に含まれるポリオールは、1種でも2種以上でもよい。
上記のなかでも、ポリオールとしては、加熱により特に気化しやすく、(A)成分が揮散しやすいことから、グリコールが好ましい。
グリコールのなかでも、上記の一般式(b1)で表される化合物((b1)成分)及び一般式(b2)で表される化合物((b2)成分)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、(A)成分の揮散率が高まることから、(b1)成分と(b2)成分とを併用することがより好ましい。
(b1)成分と(b2)成分とを併用する場合、(b1)成分と(b2)成分との混合比率は、(b1):(b2)で表される質量比で、1:3~3:1が好ましく、1:2~2:1がより好ましい。
(b1)成分の中では、プロピレングリコールが特に好ましい。
(b2)成分の中では、ジプロピレングリコールが特に好ましい。
【0043】
また、ポリオールとしては、(A)成分の揮散率がより高まることから、沸点の異なる2種類のポリオールを用いることも好ましい。かかる2種類のポリオールの組合せとしては、たとえば、(A)成分の揮散開始温度より高い温度の沸点を有するポリオールと(A)成分の揮散開始温度より低い温度の沸点を有するポリオールとの組合せが挙げられる。
【0044】
燻煙剤中のポリオールの含有量は、燻煙剤の総質量に対し、40質量%以下が好ましく、1~40質量%がより好ましく、5~30質量%がさらに好ましい。
ポリオールの含有量が好ましい上限値以下であれば、発生する煙状物の量を適度に抑えやすくなる。ポリオールの含有量が好ましい下限値以上であると、(A)成分が揮散しやすくなる。
【0045】
(A)成分以外の殺虫成分として、5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステルが知られている。5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステルは、被覆等をしない開放条件では薬効を示すことが知られているが、布材で覆われた被覆物中のダニに対しては、高濃度で処理をしなければ薬効を期待できない。
被覆物内部のダニを防除可能なダニ防除組成物とする観点から、本発明のダニ防除組成物は、5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステルを実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に含有しない」とは、ダニ防除組成物の総質量に対して、5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステルの含有量が0.6質量%以下であることを意味する。本発明のダニ防除組成物は、5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステルを含有しないこと(含有量が0質量%)がより好ましい。
【0046】
(A)成分とこれら各種添加剤との合計量は、燻煙剤の総質量を100質量%として、100質量%を超えない。
【0047】
<燻煙剤の製造方法>
燻煙剤は、液状製剤として、又は、粉状、粒状、錠剤等の固形製剤として調製できる。燻煙剤の製造方法としては、目的とする剤形に応じて、公知の製造方法が用いられる。たとえば、液状の製剤とする場合は、各成分を混合して溶解又は分散する製造方法により製造できる。また、粒状の製剤とする場合は、押出し造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法、流動層造粒法等の、公知の造粒物の製造方法により製造できる。
押出し造粒法による製造方法としては、燻煙剤の各成分を、ニーダー等により混合し、さらに適量の水を加えて混合し、得られた混合物を任意の開孔径を有するダイスを用い、前押し出しあるいは横押し出し造粒機で造粒する。該造粒物をさらにカッター等で任意の大きさに切断し、又は整粒し、乾燥してもよい。
【0048】
<ダニ防除方法>
本実施形態のダニ防除方法は、任意の空間内で、燻煙装置を用いて燻煙剤を噴射し、一層以上の布材で覆われた被覆物に、ダニ防除処理を施すものである。
燻煙装置の使用方法としては、従来公知の方法を利用できる。例えば、金属製容器、セラミック製容器等の任意の容器に燻煙剤を収容し、燻煙剤を間接的又は直接的に加熱して使用される。
間接的に加熱する方法としては、例えば、金属製の容器に燻煙剤を収容し、この金属製の容器を介して燻煙剤を加熱する方法が挙げられる。
加熱方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法;鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合し、又は金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物もしくは酸化剤とを混合し、その酸化反応熱を利用する方法等が挙げられる。中でも、実用性の観点から、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法が好ましい。水と接触して発熱する物質としては、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。中でも、酸化カルシウムが好ましい。
直接的に加熱する方法としては、マッチ頭薬等を用い、発熱体(点火具)により燻煙剤中に点火し、有機発泡剤の熱分解を利用する方法等が挙げられる。
【0049】
以下、ダニ防除方法の一例として、
図1及び2を用いて説明する。
図2に示すように、対象空間100内には、燻煙装置10と布材50で覆われた被覆物40が静置されている。
燻煙装置10を用いた燻煙方法では、まず燻煙装置10を対象空間100内に設置する。次いで、
図1に示す加熱部20の機構に応じて加熱部20を発熱させる。例えば、酸化カルシウムを充填した加熱部20が設けられている場合、底部16を水に浸漬する。加熱部20が発熱すると、燻煙剤容器30を介して燻煙剤部32が加熱される。加熱された燻煙剤部32のダニ防除組成物は、有機発泡剤の分解によってガスが生じ、該ガスと共に(A)成分が煙化し、蓋部18の貫通孔を通過して噴出する。これにより、対象空間100内に(A)成分が拡散する。(A)成分は、対象空間100内に静置された布材50を透過し、布材50で覆われた被覆物40に接触する。その結果、(A)成分の効果が得られる。
【0050】
対象空間100としては、特に限定されず、一般家庭の寝室、居室をはじめ、宿泊施設の個室、医療施設の個室、介護施設の個室等、布団、枕、ソファー、衣類等が置かれる空間等が挙げられる。
【0051】
<被覆物>
本明細書において、被覆物とは、布材で覆われた物質をいう。すなわち、被覆物は、布材と布材で覆われる物質との組合せである。本実施形態において、被覆物が一層の布材で覆われている物である場合、別途布材をかぶせる必要がなく、ダニ防除装置をそのまま使用することができる。
被覆物の具体例としては、敷布団、掛布団、マットレス、枕、座布団、茣蓙、ぬいぐるみ、布製のソファー等が挙げられる。
布材を一枚かぶせてダニ防除剤を使用できる場合として、被覆物の具体例は、上述した例に加えて、布製以外のソファー、カーペット、衣類等が挙げられる。
被覆物は、一層以上の布材で覆われていればよく、布材は、二層、三層等、複数であってもよい。(A)成分の透過量を考慮すると、布材は一層であることが好ましい。
本明細書において、衣類とは、従来公知の衣類を一層以上の布材で覆ったもの又は一層以上の布材で構成された袋の中に収容されたものをいう。
なお、本明細書において、処理対象とは、ダニ防除組成物を接触させる対象物のことを指すものとする。
【0052】
<布材>
本発明のダニ防除装置は、一層以上の布材で覆われた被覆物を処理対象とする。
本明細書において布材とは、糸等の繊維を交錯させてできた織物や連続された編目でできた編物、一方向又はランダムに配向させて交絡、融着、接着によって繊維間が結合された不織布等を意味する。
布材は、これらの織物又は編物、不織布等に限定されるものではなく、さらに綿、麻、絹、羊毛等の天然素材、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート等の化学繊維でも良い。布材は、これら複数の素材を混合していてもよい。布材としては、例えば、シーツや布団カバー等が挙げられる。
布材の厚みは、特に限定されず、通常の厚みであればよく、0.01~0.5mmが好ましく、0.05~0.4mmがより好ましい。布材の厚みが前記下限値以上であれば、ダニを防除する効果が高められやすく、前記上限値以下であれば、ダニ防除組成物が布材を透過しやすい。
【0053】
布材の織り目は、特に限定されず、通常の織り目であればよく、0.01~0.25mmが好ましく、0.02~0.20mmがより好ましい。布材の織り目が前記下限値以上であれば、ダニを防除する効果が高められやすく、前記上限値以下であれば、ダニ防除組成物が布材を透過しやすい。
なお、本明細書において、布材の「織り目」とは、布材を構成する糸等の繊維間のことを指すものとする。
【0054】
<対象害虫>
本発明の対象害虫は、例えば、布団等の寝具内に生息するコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類が挙げられる。本発明の対象害虫は、これらに限定されるものではなく、ホソツメダニ、フトツメダニ、ミナミツメダニ等のツメダニ類、ムギコナダニ、アシブトコナダニ、ケナガコナダニ等のコナダニ類等が挙げられる。このほか、屋内に生息する全てのダニを対象とすることができる。
【0055】
他の実施形態の燻煙装置としては、燻煙剤が充填された有底筒状の容器本体と、蓋体と、燻煙剤に着火する点火具とを備える直接加熱型の燻煙装置が挙げられる。直接加熱型の燻煙装置を用いた燻煙方法としては、マッチ頭薬等を用い、発熱体(点火具)により燻煙剤中に点火し、有機発泡剤の熱分解を利用する方法等が挙げられる。燻煙剤は、任意の温度に達すると、(A)成分が気化すると共に、有機発泡剤が分解しガスを発生する。そして、気化した(A)成分はガスと共に通煙孔から流出し、空気中に拡散する。
【0056】
≪エアゾール装置≫
エアゾール装置は、ダニ防除組成物を収容した全量噴射型容器を備えるダニ防除装置の一実施形態である。
エアゾール装置は、有効成分が溶剤中に溶解又は分散した液剤(薬液)及び噴射剤が耐圧容器内に充填されてなるものであり、任意の噴射手段により、容器内容物のほぼ全量を、一度の操作(バルブの開放等)で容器外に噴射させることができるものである。
エアゾール容器としては、エアゾール剤を充填する容器本体と、該容器本体の上部に装着された噴射部とを備えるものが挙げられる。
【0057】
容器本体としては特に限定されず、例えば、公知の耐圧容器を使用できる。
噴射部としては、例えば、容器本体の上部に装着された噴射ノズルと、押ボタンとを備え、押ボタンを押し下げたときに、噴射ノズルを通じて容器本体内のエアゾール剤を噴射させる機構を有するものが挙げられる。エアゾール剤を噴射させる機構は、エアゾール容器に通常使用される公知の機構を採用することができる。
より具体的には、特開2014-227369号公報に記載のエアゾール容器を採用することができる。
【0058】
<エアゾール剤>
エアゾール剤は、ダニ防除組成物の一実施形態である。
エアゾール剤は、(A)成分を含有する。(A)成分を含有することで、ダニを死に至らしめ、ダニ防除効果を発揮することができる。
(A)成分としては、上記した化合物が挙げられ、薬効と安全性に優れることから、3-フェノキシベンジル(1RS,3RS;1RS,3SR)-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、3-フェノキシベンジルクリサンテマートが好ましく、3-フェノキシベンジルクリサンテマートがより好ましい。
(A)成分の表面処理量、透過量は、燻煙剤の場合と同様である。
【0059】
(A)成分の含有量は、エアゾール装置を処理したときの(A)成分の布材の表面への処理量(表面処理量)や、(A)成分が布材を透過する透過量に応じて適宜決定される。
(A)成分の含有量は、(A)成分の表面処理量及び透過量が前記範囲内になるように調整され、エアゾール剤の総質量に対して、例えば、1~10質量%が好ましく、2~5質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が前記下限値以上であると、十分な防除効果が得られやすい。(A)成分の含有量が前記上限値以下であると、布材表面のべたつきを防止しやすい。
【0060】
エアゾール剤の剤形としては、液体が挙げられ、エアゾール剤は、(A)成分のほか、噴射剤及び溶剤を含有することが好ましい。
【0061】
(噴射剤)
噴射剤は、(A)成分が溶剤中に溶解又は分散した液剤のほぼ全量を、一度の操作(バルブの開放等)で容器外に噴射させる成分である。
噴射剤としては、液化ガスや圧縮ガスを用いることできる。
液化ガスとしては、ジメチルエーテル、液化石油ガス、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン等が挙げられ、ジメチルエーテルが好ましい。エアゾール剤がジメチルエーテルを含むことで、(A)成分の分散性や噴射力等が向上し、本発明のダニ防除剤を寝室等で使用したときの(A)成分の処理面(被覆物の表面等)への到達性が向上する。
【0062】
噴射剤としては、ジメチルエーテル以外の他の噴射剤を併用してもよい。他の噴射剤としては、例えば、ジメチルエーテル以外の液化ガス(液化石油ガス、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィン等)、圧縮ガス(炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素ガス等)等が挙げられる。これらのうち、噴射力(噴射の勢い)の観点で、液化ガスが好ましい。
他の噴射剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
噴射剤としてジメチルエーテルを用いる場合、噴射剤100質量%中のジメチルエーテルの割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、100質量%が特に好ましい。ジメチルエーテルの割合が50質量%以上であれば、(A)成分の分散性や噴射力等が向上し、(A)成分の処理面(被覆物の表面等)への到達性が向上しやすい。このため、噴射剤は、ジメチルエーテルのみからなることが特に好ましい。
【0064】
噴射剤としてジメチルエーテルを用いる場合、エアゾール装置における噴射剤の含有量は、エアゾール剤の総質量100質量%中、50~90質量%が好ましく、60~80質量%がより好ましい。噴射剤の含有量が前記範囲内であれば、(A)成分の処理面への到達性、及びダニ防除効果の持続性がより良好となる。
【0065】
噴射する環境等によりジメチルエーテル等の可燃性ガスを用いることができない場合、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等の不燃性の圧縮ガスを用いることが好ましく、窒素ガスを用いることが安全性に優れ特に好ましい。
噴射剤として窒素ガスを用いる場合、エアゾール装置における噴射剤の含有量は、エアゾール剤の総質量100質量%中、1~50質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。噴射剤の含有量が前記範囲内であれば、(A)成分の処理面への到達性、及びダニ防除効果の持続性がより良好となる。
【0066】
(溶剤)
溶剤としては、例えば、水;エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;流動パラフィン、n-パラフィン等のパラフィン類;ブチルジグリコール等のエーテル類;ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類;グリセリン等の多価アルコール;N-メチルピロリドン;炭酸プロピレン等が挙げられる。
溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
エアゾール剤は、各種添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、先に例示した燃焼助剤、安定化剤、結合剤、賦形剤等が挙げられる。
また、エアゾール剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、香料、色素等他の添加剤が必要に応じて配合されてもよい。
(A)成分とこれら各種添加剤との合計量は、エアゾール剤の総質量を100質量%として、100質量%を超えない。
【0068】
<エアゾール剤の製造方法>
エアゾール剤は、従来公知の製造方法に準じて製造される。例えば、(A)成分、溶剤及び必要に応じて任意成分を混合して薬液(液剤)とし、この薬液と噴射剤とを任意の耐圧容器に充填してエアゾール剤とする方法が挙げられる。
容器へのエアゾール剤の充填量は、製品形態等を勘案して決定される。
【0069】
エアゾール剤が充填された容器内の圧力は、エアゾール装置の製品形態に応じて決定され、例えば、噴射剤としてジメチルエーテルを用いる場合、0.1~0.5MPaとされる。噴射剤として窒素ガスを用いる場合、エアゾール剤が充填された容器内の圧力は、例えば、0.4~1MPaとされる。
【0070】
<ダニ防除方法>
本実施形態のダニ防除方法は、任意の空間内で、エアゾール装置を用いてエアゾール剤を噴射し、一層以上の布材で覆われた被覆物に、ダニ防除処理を施すものである。
エアゾール装置の使用方法は、一般的な全量噴射エアゾール装置の使用方法と同様の方法である。具体的には、布材で覆われた被覆物が静置された対象空間内で、任意の噴射手段により、エアゾール剤のほぼ全量を、一度の操作(バルブの開放等)で容器外に噴射させて使用する。
【0071】
以上説明した本発明のダニ防除装置は全量噴射型容器を備えるため、一度の操作で、容器内容物のほぼ全量を容器外に噴射させることができる。その結果、ダニ防除組成物が、布材の織り目を透過し、被覆物の内側等の、手が届きにくいところにある処理面にまで(A)成分が到達し、優れたダニ防除効果が発揮される。
加えて、本発明のダニ防除装置は、一層以上の布材で覆われた被覆物を処理対象とするので、処理面に付着した(A)成分が被覆物の内側等から離散しにくく、ダニ防除効果を持続できる。
本発明のダニ防除装置としては、ダニ防除効果が高く、(A)成分が、布材や被覆物の織り目を透過しやすい燻煙装置が好ましい。
本発明の有用性の観点から、本発明のダニ防除装置は、寝室の布団や枕等の寝具用として特に好適である。
【0072】
以上説明した本発明のダニ防除方法は、任意の空間内で、上述した被覆物用のダニ防除装置を用いて、前記ダニ防除組成物を噴射し、一層以上の布材で覆われた被覆物に、ダニ防除処理を施すものである。
そのため、上述したように、処理面に付着した(A)成分が被覆物の内側等から離散しにくく、被覆物内部のダニを防除することが可能であるとともに、ダニ防除効果を持続できる。
本発明のダニ防除方法は、従来の方法ではダニを防除することが困難であった寝具用として特に好適である。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
各実施例及び比較例で使用した原料、測定・評価方法は、以下の通りである。
【0074】
[使用原料]
<(A)成分>
3-フェノキシベンジルクリサンテマート(シグマアルドリッチ製、「Phenothrin(フェノトリン)」、CAS登録番号:26002-80-2)。
3-フェノキシベンジル(1RS,3RS;1RS,3SR)-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(林純薬工業(株)製、「ペルメトリン」、CAS登録番号:52645-53-1)。
<比較成分((A’)成分)>
5-メトキシ-3-(O-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2(3H)-オン(林純薬工業(株)製、「メトキサジアゾン」、CAS登録番号:60589-06-2)。
5-クロロ-2-トリフルオロメタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステル(シグマアルドリッチ製、「Amidoflumet(アミドフルメト)」、CAS登録番号:84466-05-7)。
【0075】
<任意成分>
有機発泡剤:アゾジカルボンアミド(大日精化工業株式会社製、「ダイブローAC.2040(C)」)。
アスコルビン酸系化合物:アスコルビン酸(関東化学株式会社製)。
燃焼助剤:酸化亜鉛(日本薬局方 酸化亜鉛、堺化学工業株式会社製、平均粒子径0.6μm、真比重5.6g/cm3(20℃))。
結合剤:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、「メトローズ60SH-50」)。
賦形剤:クレー(昭和KDE株式会社製、「NK-300」)。
賦形剤:ラヂオライト(登録商標、昭和化学工業(株)製、「ラヂオライト(登録商標)#2000」)。
溶媒:無水エタノール(日本合成アルコール(株)製、「合成アルコール99度」)。
噴射剤:ジメチルエーテル(太陽液化ガス(株)製、「DME」)。
噴射剤:窒素ガス(大陽日酸株式会社製)。
香料:表5に示す香料組成物1~3。
【0076】
[製剤の製造]
表1及び表6に示す組成のダニ防除組成物を以下の手順で製造した。表1及び表6中の各成分の配合量の単位は質量%である。
<燻煙剤>
室温(20℃)条件下において、表1及び表6に示す組成に従い、各成分をニーダー(株式会社モリヤマ製、「S5-2G型」)で攪拌混合した後、組成全量を100質量部として10質量部の水を加えて混合し混合物を得た。得られた混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機(株式会社不二パウダル製、「EXK-1」)を用いて造粒し、造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(株式会社不二パウダル製、「FL300」)により長さ2~5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(アルプ株式会社製、「RT-120HL」)により2時間乾燥させ、顆粒状のダニ防除組成物(組成物1~3、9~11、ブランク組成物)を得た。
底面に不織布を用い略円筒状の本体からなる筐体に酸化カルシウム37gを充填し加熱部とした。全量噴射型容器に組成物1~3、9~11、ブランク組成物を所定量充填し燻煙装置(燻煙剤)を作製した。
【0077】
<全量噴射エアゾール剤(TRA)>
室温(20℃)条件下において、表1及び表6に示す組成に従い、各成分を秤量し、十分攪拌混合して薬液を調製した。
組成物4は、得られた薬液を、バルブ機構を備えたスプレー缶(「バルサンプロEX ノンスモーク霧タイプ(6~10畳用)」(ライオン株式会社製)の容器、バルブ(ステム孔数1個、ステム孔径φ0.4mm、ハウジング孔径φ0.48mm)、ボタン(ボタン孔径φ0.35mm))に入れ、さらにジメチルエーテルを充填して密閉した後、ノズルキャップを取り付けて全量エアゾール噴射型装置(全量噴射エアゾール剤(TRA))を作製した。なお、スプレー缶に充填に使用した内容物(組成物4)の総量を42gとして調整した。
組成物12は、前記スプレー缶のバルブをステム孔数2個、ステム孔径φ0.51mm、ハウジング孔径φ2.03mmのバルブ(日本プリシジョンバルブ株式会社製)、ボタンを孔径φ0.46mmのボタン(日本プリシジョンバルブ株式会社製)、噴射剤を窒素ガスとした以外は、組成物4の調整と同様に調整した。
【0078】
<スプレー剤>
室温(20℃)条件下において、表1に示す組成に従い、各成分を秤量し、十分攪拌混合して組成物5~8を調製した。得られた各組成物をそれぞれトリガーノズル付き容器に充填してスプレー剤を作製した。
【0079】
[燻煙剤処理した場合のダニの生存数、及び白色汚染の評価]
<実施例1、実施例10~12、比較例1>
10cm×14cmに裁断したナイロン製カーペットにコナヒョウヒダニ3,500頭を餌1gとともに入れ、数日間順化させた。そのカーペットを布製布団カバー(綿100%、厚さ0.19mm、織り目0.3mm×0.1mm、以下、単に「布団カバー」という)で作成した袋の中に入れて密閉した。その後、8畳相当の部屋で、(A)成分として3-フェノキシベンジルクリサンテマートの沈降量が布団カバー表面に50mg/m2になるように調整した燻煙剤を処理して2時間密閉し、処理後にカーペットを25℃、75%RHに調整した恒温槽に保存して、経過日数とダニの生存数との関係を調べた。
ダニの生存数は、実体顕微鏡で1分間に観察されるダニの数を5回測定し、その平均値で表す。布団カバー(布材)を透過した3-フェノキシベンジルクリサンテマートの沈降量(布材透過量)を測定した。結果を表2、表7に示す。表2、表7中の表面処理量は理論値である。比較例1は、燻煙剤処理をしなかった場合の結果である。評価は、下記基準に基づいて行った。
(評価基準)
○:28日又は30日経過後のダニの生存数が処理前の10%未満。
×:28日又は30日経過後のダニの生存数が処理前の10%以上。
なお、実施例10~12について、燻煙剤処理後の布団カバー表面を目視にて良く観察すると、実施例10は布団カバー表面の一部に僅かに白色汚染が認められた。実施例11、12は白色汚染が認められなかった。
【0080】
<実施例2、比較例2>
10cm×10cmに裁断した敷布団の上下に16cm×19cmの布団カバーをかけ、敷布団の側生地内部の中綿にコナヒョウヒダニ150頭を餌100mgと共に入れ、布団カバーの4辺をクリップで留めて、試験片とした。これらの試験片を8畳相当の部屋で、(A)成分として3-フェノキシベンジルクリサンテマートの沈降量が敷布団の表面に12.5mg/m2になるように調整した燻煙剤を処理して部屋を2時間密閉し、処理後に試験片を実施例1と同様に保存し、観察を行った。結果を表2に示す。表2中の表面処理量は理論値である。比較例2は、燻煙剤処理をしなかった場合の結果である。
【0081】
<比較例3~5>
10cm×16cmに裁断したナイロン製カーペットを用い、布材を用いずに実施例1と同様の条件で表1の組成物2あるいは3の燻煙剤を所定量処理して保管し、観察を行った。燻煙剤処理時に部屋の床面への3-フェノキシベンジルクリサンテマートと5-メトキシ-3-(O-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2(3H)-オンの沈降量(表面処理量)を測定した。結果を表2に示す。比較例5は、燻煙剤処理をしなかった場合の結果である。
【0082】
[燻煙剤処理した場合のダニの産卵数評価]
<実施例3~4、比較例6~8>
コナヒョウヒダニを入れたシャーレを布団カバーで被覆して試験片とした。これらの試験片を実施例1と同様の部屋に配置し、所定量の燻煙剤を処理し、2時間密閉した。その後試験片を25℃、75%RHに調整した恒温槽に保存し、3日後に取り出し、実体顕微鏡で産卵数を測定した。下記式に従って、産卵抑制率を算出した。また、実施例3~4及び比較例6については、ダニを入れないシャーレを布団カバーで被覆し、布団カバーに付着した3-フェノキシベンジルクリサンテマート量(表面処理量)を測定した。実施例3~4については、布団カバーで被覆したシャーレで3-フェノキシベンジルクリサンテマートの布材透過量を測定した。
産卵抑制率[%]=(1-(産卵数[個](処理あり))/(産卵数[個](処理なし))×100
結果を表3に示す。比較例6は、布材を用いなかった場合の結果である。比較例7~8は、(A)成分を含まない燻煙剤(ブランク組成物)で処理した場合の結果である。評価は、下記基準に基づいて行った。
(評価基準)
○:産卵抑制率が80%以上。
△:産卵抑制率が50%以上80%未満。
×:産卵抑制率が50%未満。
【0083】
<実施例5~7>
実施例5は、布材として敷布団側生地(ポリエステル100%、厚さ0.14mm、織り目0.1mm×0.1mm)を用いて実施例3~4と同様の条件で試験を行った場合の結果である。実施例6は布材として敷布団側生地(綿100%、厚さ0.21mm、織り目0.03mm×0.03mm)を用いて実施例3~4と同様の条件で試験を行った場合の結果である。実施例7は、布材を2枚用い、1枚目は敷布団側生地(ポリエステル100%、厚さ0.14mm、織り目0.1mm×0.1mm)、2枚目は布団カバー(綿100%、厚さ0.19mm、織り目0.3mm×0.1mm)をシャーレに重ねて被覆し、実施例3~4と同様の条件で試験を行った場合の結果である。結果を表3に示す。表3の表面処理量は理論値である。
【0084】
[燻煙剤又はTRAで処理した場合のダニの致死率評価]
<実施例8>
布材として布団カバーを用い、実施例3~4と同様の条件で燻煙剤を処理した。その後試験片を25℃、75%RHに調整した恒温槽に保存し、7日後に取り出し、実体顕微鏡でダニの致死数を測定した。下記式に従って、致死率を算出した。
致死率[%]=(瀕死及び致死個体数)/(シャーレに入れた個体数)×100
結果を表4に示す。評価は、下記基準に基づいて行った。
(評価基準)
○:致死率が80%以上。
△:致死率が50%以上80%未満。
×:致死率が50%未満。
【0085】
<実施例9、13>
燻煙剤の替わりにTRAで処理をし、1時間密閉した以外は、実施例8と同様にして試験を行った。結果を表4に示す。
【0086】
<比較例9~12>
燻煙剤の替わりに表4に示す(A)成分又は(A’)成分を含有するスプレー剤を用い、処理量が布団カバー表面に約25mg/m2(1m2当たり約10mL(6~8回スプレー))になるように噴霧した以外は、実施例8と同様にして試験を行った。結果を表4に示す。表面処理量は理論値である。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
表2から表4、表7に示すように、本発明を適用した実施例1~13は、ダニの生存数、産卵抑制率、致死率の評価において全て「○」であり、ダニ防除効果に優れることが確認できた。
一方、燻煙剤処理をしなかった比較例1~2、5は、ダニ防除効果は認められず、処理後28日後以降で、ダニの生存数が、処理前の2倍以上に増加した。また、布材を用いずに燻煙剤を処理した比較例3~4は、処理後15日程度まではダニの増殖を抑制する効果が認められたが、その持続効果は十分ではなく、(A’)成分である5-メトキシ-3-(O-メトキシフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2(3H)-オンをも含有しているにも関わらず、21日後以降においてダニの数が回復する傾向が認められた。同じく、布材を用いずに燻煙剤を処理した比較例6は、産卵抑制率にやや劣る結果だった。(A)成分を含まない燻煙剤を処理した比較例7~8は、産卵抑制率の評価がいずれも「×」で、産卵抑制率に劣る結果だった。ダニ防除剤としてスプレー剤を用いた比較例9~12は、致死率の評価が「△」~「×」で、ダニ防除効果に劣ることが分かった。
【0095】
これらの結果から、本発明によれば、被覆物内部のダニを防除可能な被覆物用のダニ防除装置及びダニ防除装置を用いたダニ防除方法を提供することができることが分かった。
【符号の説明】
【0096】
10 燻煙装置
12 筐体
14 本体
16 底部
18 蓋部
20 加熱部
30 燻煙剤容器
32 燻煙剤部
40 被覆物
50 布材
100 対象空間