(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】予測ステープリングアルゴリズムを使用する外科用ステープリング器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20221004BHJP
A61B 17/115 20060101ALI20221004BHJP
A61B 17/10 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B17/115
A61B17/10
(21)【出願番号】P 2018088712
(22)【出願日】2018-05-02
【審査請求日】2021-03-15
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ケリー バレンタイン
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス コンティーニ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ワインガードナー
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03064151(EP,A2)
【文献】特開2010-253272(JP,A)
【文献】特開2014-171879(JP,A)
【文献】特開2017-074440(JP,A)
【文献】特開2011-104379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
A61B 17/068
A61B 17/115
A61B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用装置であって、前記外科用装置は、
アンビル組立体
とカートリッジ組立体
とを有する用具組立体であって、
前記用具組立体は、前記アンビル組立体と前記カートリッジ組立体との間で組織を把持するように構成され
ており、前記カートリッジ組立体
は、複数の外科用ファスナーを
含む、用具組立体と、
1つ以上の外科用ファスナーを打針するように構成され
ているモータと、
前記アンビル組立体と前記カートリッジ組立体との間のクランプ力を決定するように構成され
ているセンサと、
制御システムと
を備え、
前記制御システムは、
前記クランプ力に基づいて、前記1つ以上の外科用ファスナーの打針速度を予測することと、
前記1つ以上の外科用ファスナーの予測された打針速度に基づいて、前記1つ以上の外科用ファスナーを打針するために使用
される前記モータの
打針速度を調整する
ことと
を行うように構成され
ている
、外科用装置。
【請求項2】
前記制御システムは、前記クランプ力に基づいて、前記外科用装置のクランプ状態と前記外科用装置の打針状態との間の待機時間
を調整するようにさらに構成されている、請求項
1に記載の外科用装置。
【請求項3】
前記センサは、歪みゲージである、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項4】
前記外科用装置は、前記1つ以上の外科用ファスナーの予測
された打針速度を表示するように構成され
ているディスプレイをさらに備える、請求項1に記載の外科用装置。
【請求項5】
外科用装置の打針速度を決定する
ための方法であって、
前記外科用装置は、カートリッジ組立体とアンビル組立体とを有する用具組立体と、前記用具組立体を作動させるように構成されているモータとを備え、前記方法は、
前記カートリッジ組立体と前記アンビル組立体との間のクランプ力を決定することと、
前記クランプ力に基づいて、前記モータの打針速度を
予測すること
と
を含む、方法。
【請求項6】
前記方法は、前記モータの
予測された打針速度を表示することをさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械式外科用ファスナーを患者の組織に差し込む外科用ステープラーに関し、詳しくは、組織に外科用ファスナーを打針するためのモータによって駆動する外科用ステープラー、及び外科用ファスナーの打針に関連する1つ以上の条件を決定し、1つ以上の感知されたフィードバック信号に反応して、ステープラーを制御するための制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科処置においては、患者の組織をクランプする等、圧縮を要する場合がある。そのような処置には、組織の吻合形成、ステープリング及び切除等が含まれる。例えば、患者の消化管に癌組織が見つかると、その癌組織を外科手術で除去する必要がある。また、癌組織が結腸に見つかり外科用器具による処置が可能であれば、腸への到達のために外科医は患者の腹部を切開する。その後外科医は、本明細書に参照によってその全体が組み込まれる、米国特許第12/235,362(現在の登録番号は、「米国特許第7,963,433」)記載の通り、直線状の切除及びステープリング装置を使用し、除去対象の癌部位の両側で結腸組織を切除及びステープルする。この処置では、結腸を外部でクランプし(例えば、対向するアゴ(jaw)間で)、組織を圧縮する。組織圧縮の間、カッター及びステープラーを作動し、直線状に切り口を作成し、その切り口に隣接する部位に、典型的には2列の直線状のステープルを適用する。ステープリングはこのように、除去対象の腸部分の開口端の両側を閉じると同時に、腸の2つの切断端を一時的に閉鎖することを可能とする。この閉鎖処置により、周辺組織が腸の内部にのみ露出されるので、感染症のリスクが抑えられる。切除とステープリング処置が終わると、組織の癌部位を患者の体内から除去し得る。
【0003】
外科医は、癌組織を切除後、本明細書に参照によってその全体が組み込まれる、米国特許第10/785,682(現在の登録番号は、「米国特許第7,342,983」)記載の通り、吻合形成や円形ステープラー/カッター等のステープリング装置を使用し得る。この処置の間、ヘッド部分を切断端の一つに隣接する結腸内に入れ、ベース又はシャフト部分をもう一つの切断端に隣接する結腸内に入れる。ヘッド部分とベース部分は、一つの切断端から別の切断端に延伸する、シャフト及び/又はケーブルを介して連結され得る。この連結により、外科医は吻合形成とステープリング装置を作動して、ヘッド部分とベース部分を一緒に引くことができる。結腸の二つの切断端が互いに接触した後、作動が継続することで、結腸の二つの部分が、環状の接触領域でクランプされる。クランプの間、吻合形成及びステープリング装置をさらに作動させて、ステープルの環状リングを圧縮組織に接触させる。該装置は、結腸内に存在する過剰な組織の切除も行う。その後、ヘッド部分とベース部分を離すように移動して、吻合形成及びステープリング装置を患者体内から取り外す。
【0004】
上記処置でステープリングを効果的に行うには、器具表面間で組織隙間が適切に小さく(例:1mm)なるまで、組織を圧縮する必要がある。器具のクランプ構造体が十分な力を受けると、ステープリングされる組織の全長にわたり、目標組織隙間を一定に保持することが困難になり、不可能な場合ですらある。例えば、クランプ構造体が直線型ステープラーの片持ちアゴ(jaw)の場合、そのアゴは、高いクランプ力を受けた状態で、互いが外方向に斜めに伸びる。アゴの一つ又は両方がこのような伸びをする場合、組織隙間がアゴの遠位端に向かって大きくなるのが典型である。この組織隙間が許容範囲を超えると、ステープルは組織を適切に閉じることなく、汚染を防止する。この要因は、ステープル押し工具及びステープルを閉めるアンビル間の隙間が大きすぎるために生じる、不適切な形成により、初期のステープリングされる隙間が大きすぎる、及び/又はステープルの不具合(例:ステープリングされる組織の1つ以上の部分が分離)である。
【0005】
このようなステープリング処置の問題は、組織の汚染(例:腸管内容物を含む腸に隣接する組織の汚染)を引き起こす可能性があり、それが感染症及び/又は敗血症の原因となる。このようなステープリング処置の問題は、吻合形成の不具合(例:ステープリングされる組織が分離する場合)及び/又は不適切な組織の閉鎖による出血多量等の原因になる。さらにこれらの問題は、それらに関連するいかなるリスクの増加とともに、手術を1回ではなく、複数回繰り返し、及び/又は長期にわたり受ける必要がある。全米食料医薬品局による報告(http://www.fda.gov/cdrh/surgicalstapler/other_data.html、最終更新2004年7月21日にて、「外科用ステープラー情報」、「その他データ」を参照)の通り、感染症、敗血症、吻合形成の不具合、及び出血は、ステープリング処置で生じる重大な問題であり、患者によっては深刻な障害を被り、最悪死に至る場合もある。したがって、このような問題をできるだけ発生させないことが望ましい。
【0006】
さらに、圧縮を施す際は、一定の閉鎖速度(例:直線状ステープラーのアゴ間又は円形ステープラー/カッターのヘッド部分とベース部分間の閉鎖速度)は、クランプ組織に高レベルの出力を与えて、これにより組織に過度な外傷を与える場合がある。したがって、組織に加える出力を効果的に制御するなどして、この外傷を抑えることが望ましい。さらに、クランプする組織が圧縮可能であるか判定することも望ましい。
【0007】
米国特許第2009/0057369(現在の登録番号は、「米国特許第7,959,050」)に、アンビルネックに収容する直線状の力スイッチから連続計測を使用する装置の記載がある。スイッチは、所定の荷重を加えると作動するよう目盛調整を行う。所定荷重は、ステープリングが起こる前に、特定の組織に加えた所望の圧力に対応する。この力スイッチをプロセッサに連結すると、圧縮範囲内のみでステープルが打針する。このような装置や制御方法では、連続閉鎖や、圧縮組織に加えられた出力の監視はできない。
【0008】
さらに、クランプ部材内の構造疲労を、簡単で信頼可能な方法で、監視及び追跡することが望ましい。
【0009】
ステープルを適切にやすりがけしているか、簡単で信頼可能な方法で、判定することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様において、外科用装置を提供する。外科用装置は、アンビル組立体及びカートリッジ組立体を有し、その間で組織を把持するよう構成される用具組立体を備え、前述のカートリッジ組立体は、複数の外科用ファスナーを備える。モータは、1つ以上の外科用ファスナーを打針するよう構成され、センサは、前述の用具組立体の第一パラメータを決定するよう構成される。前述の外科用装置は、前述のセンサにより検出される第一パラメータに基づいて、前述の1つ以上の外科用ファスナーを打針するために使用する、前述のモータの第二パラメータを調整するよう構成される制御システムも備える。
【0011】
一部の実施形態では、前述の第一パラメータは、前述のアンビル組立体及び前述のカートリッジ組立体間のクランプ力である。一部の実施形態では、前述の第二パラメータは、前述のモータの打針速度、又は前述の外科用装置のクランプ状態と前述の外科用装置の打針状態間の待機時間である。
【0012】
前述のパラメータを検出するために使用する前述のセンサは、歪みゲージでもよい。
【0013】
一部の実施形態では、外科用装置は、前述の外科用装置の予測打針速度を表示するよう構成されるディスプレイを備える。
【0014】
本開示の別の態様では、外科用装置の打針速度を決定する方法を提供する。前述の外科用装置は、カートリッジ組立体及びアンビル組立体を有する用具組立体、及び前述の用具組立体を作動するよう構成されるモータを備える。この方法において、前述のカートリッジ組立体及び前述のアンビル組立体間のクランプ力を決定し、前述のクランプ力に基づいて、前述のモータの打針速度を決定する。
【0015】
一部の実施形態では、前述のモータの前述の打針速度は、ユーザーに表示される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
その間で組織を把持するように構成される、アンビル組立体及びカートリッジ組立体を有する用具組立体であって、上記カートリッジ組立体が複数の外科用ファスナーを備える、用具組立体と、
1つ以上の外科用ファスナーを打針するように構成されるモータと、
上記用具組立体の第一パラメータを決定するように構成されるセンサと、
上記センサにより検出される第一パラメータに基づいて、上記1つ以上の外科用ファスナーを打針するために使用する、上記モータの第二パラメータを調整するように構成される制御システムと、を備える、外科用装置。
(項目2)
上記第一パラメータは、上記アンビル組立体と上記カートリッジ組立体との間のクランプ力である、上記項目に記載の外科用装置。
(項目3)
上記第二パラメータは、上記モータの打針速度である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目4)
上記第二パラメータは、上記外科用装置のクランプ状態と上記外科用装置の打針状態との間の待機時間である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目5)
上記センサは、歪みゲージである、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目6)
上記外科用装置の予測打針速度を表示するように構成されるディスプレイをさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の外科用装置。
(項目7)
カートリッジ組立体及びアンビル組立体を有する用具組立体、及び上記用具組立体を作動するように構成されるモータを備える、外科用装置の打針速度を決定する方法であって、上記方法は、
上記カートリッジ組立体と上記アンビル組立体との間のクランプ力を決定することと、
上記クランプ力に基づいて、上記モータの打針速度を決定すること、とを含む、方法。
(項目8)
上記モータの上記打針速度を表示することをさらに含む、上記項目に記載の方法。
(摘要)
本開示により提供される外科用装置は、アンビル組立体及びカートリッジ組立体を有し、その間で組織を把持するよう構成される用具組立体を備え、該カートリッジ組立体は、複数の外科用ファスナーを含む。モータは、1つ以上の外科用ファスナーを打針するよう構成される。センサは、該用具組立体の第一パラメータを決定し、制御システムは、該センサにより検出される該第一パラメータに基づいて、該1つ以上の外科用ファスナーを打針するために使用する該モータの第二パラメータを調整する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の上記及び他の態様、特徴、及び利点は、添付図面とともに、以下詳細な記述を鑑みれば、より明らかとなるであろう。
【
図1】
図1は、一定のアンビル閉鎖速度での圧縮の間、組織に加えた出力を示すグラフである。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る組織に加えた出力を示すグラフである。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る制御システムの概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係る方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、ステープリング装置のアゴの斜めに伸びる効果を模式的に示した図である。
【
図7-1】
図7A及び
図7Bは、異なるステープリング事象に関連する電流プロファイルである。
【
図7-2】
図7C及び
図7Dは、異なるステープリング事象に関連する電流プロファイルである。
【
図8】
図8は、本態様の一実施形態に係る駆動式の手術機器のシステムブロック図である。
【
図9】
図9は、
図8記載の駆動式の手術器具の打針速度とクランプと打針力パラメータ間の関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の特定の実施形態は、添付図面を参照して以下に記載するものの、開示される実施形態は、本開示の典型例に過ぎず、様々な形態で具現化されることを理解されたい。公知の機能又は構造について、不必要に詳細に記載することで本開示の内容があいまいになる恐れがあるので、それを避ける目的で詳細な記載は行わない。したがって、本明細書記載の特定の構造及び機能についての詳細は、特許請求の範囲を制限するものではなく、請求項の基礎となるものであり、また事実上任意の適切な具体的な構造により、本開示を様々に採用するよう教授する代表的な基礎に過ぎない。
【0018】
図面の参照番号は、すべての図表において類似又は同一の要素を示す。図面及び以下の明細書記載において、外科用器具において相対的な位置関係を示す慣習として、「近位」はユーザーの手に近い装置の端を指し、「遠位」はユーザーの手から遠い装置の端を指す。「臨床家」は、本明細書記載の実施形態を使用する医療処置を行う任意の医療従事者(例:内科医、外科医、看護師等)を指す。
【0019】
本明細書記載の実施形態は、ファスナー(例:ステープル又はクリップ)の打針前に情報を集める、直線状外科用ステープラー、円形外科用ステープラー又は直角型の直線状カッター等の外科用器具で使用し、ファスナー情報を最適化し、打針中の器具に加わる最大力を低減させる。
【0020】
患者の組織を圧縮する間、水力学的作用が、組織の組成(例:流体の存在等)の結果、発生する。この点に関して、水力学的抵抗を測定し、クランプ要素の閉鎖に与えるフィードバックとして使用する。
【0021】
患者の組織をクランプする場合、直線状ステープラー等のクランプ装置に力が作用して、組織は、許容不可な高レベルに到達する。一例として、閉鎖速度を一定にして使用する場合、力は、クランプ組織に過剰な外傷を与えるほど高くなり、クランプ装置を変形させ、その結果、許容可能な組織隙間が、ステープリング経路にわたり維持することができない。例えば、許容可能な組織隙間は、1mm±0.4mm(0.7mm~1.4mm)等の範囲内である。
【数1】
【0022】
図6A及び
図6Bは、組織部位にクランプ力を作用させたときの、直線状外科用ステープラー1000及び1100の模式図である。
【0023】
図示の通り、ステープラー1000及び1100のアゴが高レベルの力を作用すると、斜めに伸びる効果をもたらす。この様子を解説目的で、
図6A及び
図6Bに誇張して記載する。
図6Aで、一対の向かい合うアゴ1005及び1010は、近位部分でのみ、目標組織隙間1020を形成する一方、アゴ1005及び1010の遠位端は、互いを離れるよう外方向に斜めに伸びて、遠位部分では組織隙間1025が拡大する。この延伸により、アゴ1005及び1010は並列の配列から外れ、組織隙間が許容不可なほど大きくなり、ステープルがアゴ1005及び1010の遠位端方向に加わる。これにより、漏れ、汚染及びステープル結合の不具合等、上記記載の問題を発生させる。この延伸は、2つのアゴそれぞれがなす並列の配列から外れさせるほど、降伏力を超えることで生じる現象である。
【0024】
図6Bは、
図6Aと類似の効果を示しているが、延伸は、第二アゴ1110より構造上弱い第一アゴ1105で主に生じる。これにより再び、目標組織隙間1120を実質的に超える、組織隙間1125が許容不可なほど大きくなる。
【0025】
図1は、一定のアンビル閉鎖速度での圧縮の間、組織に加えた出力を示すグラフである。圧縮は、初期の開状態で開始し、クランプ部材又は要素は、組織圧縮の前に、その間の距離を移動する。領域Aは、クランプ要素が初期の開状態から組織圧縮の開始までの移動時間を示し、領域Bは、組織が初期厚さから目標厚さまで圧縮される時間を示し、この場合、組織厚さは1mmとなる(クランプ要素間の1mmの組織間隔に対応する)。領域A’及び領域B’は、初期厚さで組織の圧縮開始を示す「屈曲部」により図示される。出力、そして力が組織に付与され、その値は、ピーク値に達するまで、時間とともに急増する。ライン10は、クランプ部材の閉鎖速度を示し(
図1にアンビル閉鎖速度として記載)、初期の開状態と1mmの目標組織隙間間では一定値をとる。出力曲線下のハッチング部分は、クランプ処置間に作用した総エネルギーを示す。
【0026】
図2は、本開示の例示的な実施形態に係る、圧縮の間、組織に加えた出力を示すグラフである。
図1記載のグラフに対応する装置及び方法と同様に、
図2記載の圧縮は、初期の開状態で始まり、クランプ部材又は要素は、組織の圧縮の前に、その間の距離を移動する。領域A’は、クランプ要素が、初期の開状態から組織圧縮開始までの移動時間を示し、領域B’は、組織が初期厚さから目標厚さまで圧縮される時間を示し、この場合、組織厚さは1mmとなる(クランプ要素間の1mmの組織隙間に対応する)。領域A’及び領域B’は、初期厚さで組織の圧縮開始を示す「屈曲部」により図示される。領域A’で定義される時間の間、クランプ要素は、13mm/秒等の一定速度で閉鎖する。しかし、いかなる適切な速度を使用してもよく、全時間A’にわたり一定とする必要がないことに留意すべきである。出力曲線下のハッチング部分は、クランプ処置間に作用した総エネルギーを示す。
【0027】
図1と対照的に、
図2は、組織に加えた出力が増加し、あるレベルで閉鎖速度が減少し、この場合を13mm/秒から1mm/秒までとすると、組織圧縮に要する時間が効果的に増加し、組織に加えた出力が減少する。閉鎖速度は、
図2にライン100として記載する。この例において、組織に加えた出力は一定に保たれるが、ある例示的な実施形態によっては、出力の変動があることに留意すべきである。
【0028】
図3は、
図1と
図2のグラフを重ね合わせたグラフである。
図1に記載されるシステム及び方法と比べて、
図2にしたがって組織に付与されるピーク出力は非常に小さい。付与出力に基づいて、外科用装置が作用する力(又は、力に関連又は比例するパラメータ)を計算する。この点に関して、出力は制限されるが、その結果、直線状ステープラーのアゴ等の外科用装置により作用する力が、アゴの斜め延伸を生じる降伏力又は圧力を超えず、それがさらに組織隙間を、完全閉位置である場合、ステープリング全長に沿って許容範囲の値としない。例えば、アゴを平行又は平行に十分に近く配置することで、組織隙間を、アゴの全長にわたりすべてのステープル位置に対し、許容範囲又は目標範囲内に入れる対策が存在する。さらに、作用出力を制限することで、組織への外傷又は損傷を回避、又は最小減に抑える。
【0029】
この実施例では、
図1記載の方法で作用する総エネルギーは、
図2記載の方法で作用する総エネルギーに等しい。すなわち、
図1及び
図2の出力曲線下の部分は、同一又は略同一となる。しかし、
図2の実施例ではピーク出力が
図1よりも非常に小さいため、使用する出力プロファイルの差は大きくなる。
【0030】
ライン100で示す通り、
図2の実施例では、閉鎖速度を低減させることで出力を制限できる。圧縮時間B’は閉鎖時間Bよりも長いことに留意する。
図1~
図3に示す通り、閉鎖速度を一定にする装置及び方法により、
図2に関連して記載される装置及び方法と同一の1mmの組織隙間で、圧縮力を同一の50lbに設定できる。閉鎖速度を一定にする装置及び方法(
図1)が、
図1等で示すように、
図2に比べてより短時間で所望の組織隙間で圧縮力を得る一方、これにより、組織に加えた出力が急上昇する。対照的に、
図2に関連する等で示される例示的な実施形態は、あるレベル以下の組織に加えた出力の量を制限する、閉鎖速度の減少を開始する。組織への外傷は、組織に加えた出力を制限することで、
図1に記載されるシステム及び方法に関して最小化される。
【0031】
例示的な実施形態によっては、装置及び方法は、電流はモータのトルク出力に比例するので、アクチュエータに加えた電流を測定して、組織に加えた出力又は力を決定して操作・実行する。この点に関して、例えば可動部品間の摩擦等による機器に基づく損失は、駆動モータに加えた出力から減じ、組織に付与される出力をより正確に決定し得る。これら減じた損失は、機器や機器部品の既知の特性を使用して、機器や機器部品を試験する及び/又は、そのような試験及び/又は既知の特性に基づいて計算するなど、適切な方法で決定する。例えば、機器を無負荷状態で駆動し、機器及びその関連部品の駆動に必要な出力又は電流のベースライン測定を得る。その後、ベースラインを超過する出力又は電流は、圧縮の間、組織に加えた出力に対応する。
【0032】
例えば、アクチュエータが直流電気モータの場合、モータに加えた出力は、モータ駆動に要する電流の測定に基づいて決定される。その後、機器による損失が減じられ、圧縮の間、組織に付与される出力を決定する。この測定により、組織を圧縮するとき、フィードバック源が得られる。計算を継続することで、モータに加えた出力を連続監視する。例えば、この監視により、組織に加えた出力又は力を、モータにかかる電圧を調整することで正確に制御できる。この例示されるフィードバック制御システムでは、電圧を調整して所望の電流を得た上で、消費電流がフィードバックされる。
図2のグラフに記載の実施例は、この制御システムを使用して閉鎖速度を低減する。これは、決定された出力が、組織への許容不可なレベルの外傷を防ぐために選ばれる所定の出力レベル等、特定なレベルに到達するときに生じる。
【0033】
図4は、本開示の例示的な実施形態に係る制御システムの概略図である。制御装置400は、直線状外科用ステープラーのアゴをクランプする等、クランプ操作を駆動するモータ410を制御する。目標位置、目標電流及び目標速度を、特定の制御プログラム及び/又は外科医又はオペレーターによる手動入力等により、制御装置400に入力する。制御装置400は、モータ位置、モータ速度及びモータ電流信号を、モータ410を制御するフィードバックとして受信する。以下で詳細に記載する通り、本実施例による制御装置400は、モータ410を制御する最小入力を選択する。
【0034】
図5は、本開示の例示的な実施形態に係る方法を示すフローチャートである。システム起動は500で始まる。システム起動後、電流オフセットを測定し、すべての電流表示値から減じるよう設定し、すべての表示値をゼロ又はゼロ近似のベースラインから読み取る。510で目盛調整を行い、モータ、及びモータの回転力を、直線状ステープラーのアゴにより作用する力等の機器により作用するクランプ力に変換する駆動部品の摩擦等、摩擦損失による電流測定も含まれる。無負荷状態、すなわち遮蔽のない操作で、異なるモータ速度に対応する電流を測定することで、目盛調整を行う。オフセット測定及び目盛調整は、システム起動及び/又は、同じ装置を使用して、得られる数値が後続の処置で使うよう保存する場合はいつでも行うことに留意すべきである。例えば、制御システムは、所定の時間後のこれら数値、使用回数及び/又はシステム起動回数の再測定を必要とする。
【0035】
目盛調整後、クランプ処置が開始する。クランプする組織を外科用器具のクランプ部分に配置して、515で操作を開始する。その後典型的な方法として、電流ループ、速度ループ及び位置ループを行う。これらのループは、特定の順番で行う必要はなく、一部の実施形態では、2つ又は3つすべてのループを同時に又は略同時に行ってもよい。
【0036】
600で電流ループを行うため、モータを駆動する電流を検知するよう配置する電流センサの信号にしたがって等、モータ電流を読み取る。505及び510で決定するオフセット損失と摩擦損失は、除去し減じる。このようにして、組織クランプに反応して加えた電流部分が決定される。605で、電流駆動式を使って、電流駆動を計算する。例えば、電流駆動は、K1
*(目標電流-モータ電流)で決定され、K1はモータ電流を制御する所望の制御性能に基づいて選定される。
【0037】
700で速度ループを行うため、モータ速度を決定する。速度信号から信号を読み取る又は他のいかなる適切な方法(位置及び時間データから)により、速度を決定する。705で、速度駆動式を用いて速度駆動を計算する。例えば、速度駆動は、K2
*(目標速度-モータ速度)により決定され、K2はモータ速度を制御する所望の制御性能に基づいて、選択される。710で、固定物に到達したか否かを判定する。この点に関して、速度値がゼロであれば、クランプ装置が固定物又は遮蔽物に到達したことを示す。遮蔽物に到達したら、モータ駆動はAで停止し、そうでなければ制御は継続する。この判定は、速度駆動の計算の前後及び/又は同時にされることに留意すべきである。
【0038】
800で位置ループを行うため、モータ位置を読み取る。モータ位置はエンコーダ又はモータの出力装置に連結したリゾルバ等によって、又は他のいかなる適切な方式で決定する。805で、位置駆動式を用いて位置駆動を計算する。例えば、位置駆動は、K3
*(目標位置-モータ位置)により決定し、K3は、モータ位置を制御する所望の制御性能に基づいて、選択される。
【0039】
810で、目標位置に到達したか否かを判定する。そのように判定されたら、制御ループはBに存在する。Bで、モータへの出力を停止する(例:クランプ組織により作用する残留圧力又はクランプ部材間で駆動及び形成されるステープル力により、後方駆動不能な駆動装置を用いて、組織をクランプする場合)及び/又はモータを制御して、目標位置にモータを維持するのに必要な力の量を出力する。これは一般的に、上記記載の実施例で、目標組織隙間に対応する。目標位置に到達しなかったら、制御は継続する。目標位置が到達したか否かの判定が、位置駆動の計算の前後及び/又は同時にされることに留意すべきである。さらに、アゴ等のクランプ要素又は駆動装置等中間部品の相対位置が、位置入力として使用されることに留意すべきである。
【0040】
3回の制御ループの後、計算された電流駆動、速度駆動及び位置駆動を比較し、900で最小レベルの駆動をモータに加える。905で、加えたトルクは、モータ電流に比例し、オフセット損失と摩擦損失分を減じた後に、モータ電流から判定した後で、伝達する。910で、加えたトルクを合計し、組織に加えたエネルギーを計算する。
【0041】
表950は、異なる3つの状況を設定し、制御における優先度合いを示す。第一の状況では、モータ位置を除き、モータ速度及びモータ位置は、各々の目標値以下となる。この状況で、位置ループは制御されるが、速度及び電流ループは最大値に設定される。第二の状況では、電流ループを除き、速度及び位置ループは各々の目標値以下となる。この状況で、電流ループは出力を制御するが、速度及び位置ループは最大値に設定される。第三の状況では、速度ループを除き、電流及び位置ループは、各々の目標値以下でなる。この状況で、速度ループは制御されるが、電流及び位置ループは最大値をとる。
【0042】
915で、目標位置を得るために過剰な時間を要するか否かを判定する。この判定は、判定915までに経過する時間、経過時間に基づく総予測時間及び制御プロファイル(例:電流、速度及び位置)、及び/又は他のいかなる適切な方法を検討することで行う。所要時間が過剰と判定されると、典型的な制御方法がCに存在する。Cでは、モータへの制御出力が停止し、モータの位置を逆転するため等、別な制御方法を使用する。例えば、モータは、直線状ステープラーのアゴを開口位置まで移動するよう駆動され、外科医又はオペレーターが、外科用装置を取り外す、又はクランプしやすい組織の異なる位置にアゴを移動する。言い換えれば、Cではユーザー介入への要求が提起される。
【0043】
過剰な時間は必要でないと判定されたら、制御システムは、電流、速度及び位置ループをそれぞれ600、700及び800で再度実行する。このループは、事象A、B、及び/又はCの一つが発生しループを破るまで、継続する。しかし、手動オーバーライド、センサ異常等の追加条件が実行されて、ループを破ることに留意すべきである。
【0044】
上記記載の通り、目標位置がBに到達した後、モータを制御し、目標位置を維持するのに要する力を維持する。モータを駆動する電流は、様々な目的でこの段階で監視される。例えば、装置が外科用ステープラー等である場合、測定電流のプロファイルは、ステープルカートリッジのステープルすべてが打針されたか否かを特定するために使用される。
図7Aは、光学楔等の駆動装置が連続的に5台のステープルを駆動する時のステープリング処置間の予想電流プロファイルを示す。提供するステープルはいかなる数でもよいので、5台のステープルの打針は例示目的であることに留意すべきである。電流測定のピーク値は、直線状ステープラーのアゴ等クランプ要素間にステープルを押しながら、組織隙間を保持するのに必要な力又は出力の増加に対応する。打針が開始し、
図7Aによく類似する電流プロファイルが生じると、すべてのステープルは適切に駆動又は打針されると判定される。
【0045】
ステープル駆動処置が開始し、
図7B記載の電流プロファイルが生じると、ピーク値の欠如から、第二ステープル位置は、未打針又はステープルカートリッジからのステープル抜け等により、適切に駆動又は打針されなかったと判定された可能性がある。電流ピーク値は見られるものの、予想よりはるかに小さかった時等、未打針が同様に示される場合がある。
【0046】
ステープル駆動処置が開始し、
図7C記載の電流プロファイルが生じると、第三ステープル位置のステープルが何らかの形で押し当てられ、高ピーク電流の測定につながると判定される可能性がある。
【0047】
ステープル駆動処置が開始し、
図7D記載の電流プロファイルが生じると、ステープルカートリッジは空の状態か、又はステープルカートリッジが存在しないと判定される可能性がある。
【0048】
これらの予期せぬ事象が起こると、制御システムは、可聴アラームを発令及び/又はコンピュータ画面にエラーメッセージを表示することで、ユーザーに警告を発する。制御システムも、ステープル打針を中断、及び/又は異なる制御アルゴリズムに入る。
【0049】
さらに、電流測定のプロファイルは、正常電流又はモータ署名と比較することで、クランプ部材の少なくとも一つに構造疲労を監視・追跡するよう使用される。この点に関して、電流プロファイルは、疲労破壊が原因の塑性変形による湾曲等を示す。さらに、電流プロファイルは、力の量及びクランプ部材が作用するサイクル回数を決定することで、累積疲労を追跡するために使用される。
【0050】
本開示による例示的方法は、医療装置に統合又は遠隔配置される、デジタル及び/又はアナログ制御システム等のいかなる適当な制御システムを使用して実行され、制御及びフィードバック信号は、無線又は有線インターフェース等で通信されることに留意すべきである。制御システムは、モニター等の表示出力装置及び/又は外科医等と通信する入力装置を有する。表示出力装置は、電流閉鎖速度、圧縮力、及び/又は組織隙間等を含む、処置に関連するデータを表示する。制御システムは、特定の装置に事前に選択される既定の制御プログラム又はアルゴリズムを実行する。制御システムは、オペレーターからの入力を追加又は選択的に要求して、組織圧縮制御のパラメータを定義する。
【0051】
さらに、組織の圧縮性は、閉鎖速度と比較して、モータに加えた電流を検討することで決定される。例えば低い閉鎖速度を使って、測定電流が非常に高い場合、組織は、高い閉鎖速度に対し電流が小さい場合よりも圧縮性が低くなる。
【0052】
1mmの組織隙間が、組織ステープリングに適する所望の組織隙間の例として上記に記載される一方、隙間距離の絶対測定の代わりに、選択決定する隙間パラメータを採用することに留意すべきである。例えば、1つ以上の光学センサを採用して、所望の組織隙間の測定として、1つ以上のステープルラインにわたり血流を測定する。さらに、酸素飽和度を、所望の組織隙間の判定と関連して使用する。その他、圧縮組織の非圧縮組織に対する比率は、
図1及び
図2のグラフの屈曲部で組織に加えた出力に基づいて、所望の組織隙間の基礎を形成する。
【0053】
図8は、本開示の別の例示的な実施形態に係る制御システム2000の概略図である。制御システム2000は、プロセッサ2020、入力装置2040、ディスプレイ2060、メモリ2080、インジケーター2100、モータ2120、センサアレイ2140、インターフェース2160及び用具組立体2180を備える。
【0054】
プロセッサ2020は、集積回路であるか、又はアナログ及び/又は論理回路を備える。アナログ及び/又は論理回路は、入力装置2040又はセンサアレイ2140により提供される入力にしたがって指令を実行、メモリ2080内に提供されるプログラムにしたがって指令を実行;及び/又はモータ2120を制御して、用具組立体2180を制御し、それによって、その間の組織のクランプ及び/又は外科用ファスナーの打針等を含むがこれらに限定されない、いかなる数の機能を実行する。
【0055】
入力装置2040は、キーボード、タッチスクリーン入力装置、及び外科用器具(図示せず)の操作を制御するスイッチ及び/又はボタンを備える。入力装置2040は、組織管理モードを選択;用具組立体2180を制御;ステープル又はクランプを適用;組織の型及び/又は病気等の組織特性を入力するために使用される。
【0056】
ディスプレイ2060は、液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ等を備える。ディスプレイ2060は、外科用器具の状態、計測した組織特性、適用する外科用ファスナーの個数等を出力する。
【0057】
制御システム2000は、用具組立体2180のアンビル組立体及びカートリッジ組立体間の組織隙間範囲が条件を満たしたか否かを指示するため、1つ以上の発光ダイオード(LED)を備える表示器2100も備える。
【0058】
センサアレイ2140は、電流(例:電流計)、電圧(例:電圧計)、近接度(例:光学センサ)、温度(例:熱電対、サーミスタ等)、及び用具組立体2180上の荷重条件を決定するための力(例:歪みゲージ、ロードセル等)を計測するよう構成される。器具の操作間、近似プロセス及び打針プロセスの間、対象組織上の機器が作用する力のデータを得ることが望ましい。異常荷重(例:所定の荷重範囲外)を検出することで、器具及び/又はユーザーがアクセスするクランプ組織の問題が示される。
【0059】
メモリ2080は、揮発性メモリ(例:ランダムアクセスメモリ(RAM))及び/又は外科用器具の操作用のプログラム又は一連の指示を保存する非揮発性メモリ(例:フラッシュメモリ、ディスクメディア等)である。このようなプログラムは、本明細書に参照によって組み込まれる、米国特許第2012/0211542 A1記載の通り、用具組立体2180により把持される組織にステープル又はクリップを適用するために、組織のクランプに使用する組織圧縮制御(CTC)の操作を行う複数の組織管理モードを備える。メモリ2080は、組織の型及び病気の型を必須の組織隙間範囲(例:0.7mmから1.4mm)に関連付けるための相関表、及びステープル又はクリップを組織に首尾よく適用する必要のある打針パラメータも保存する。メモリ2080は、モータ2120の打針速度を制御する予測アルゴリズムも保存する。
【0060】
制御システム2000は、従来の手段により外部コンピュータ又はネットワークに取り外し可能に連結されるインターフェース2160を備える。プロセッサ2020は、インターフェース2160を介して、外部コンピュータ又はネットワーク間で情報の送信又は受信を行う。
【0061】
用具組立体2180は、再ロード(図示せず)又はエンドエフェクタ(図示せず)である。用具組立体は、カートリッジ組立体(図示せず)及び組織のクランプに使用するアンビル組立体(図示せず)を備える。用具組立体2180は、クランプ段階でカートリッジ及びアンビル組立体間で把持する組織にクランプ力を加える。以下記載の通り、クランプ力は、ステープル形成を最適化し、打針中のシステムへの最大力を低減するよう打針パラメータを調節するために、予測アルゴリズムによって使用される。
【0062】
用具組立体2180は、クランプ組織に作用するクランプ力を測定し、A/D数、電流又は力の形式でクランプ力データを提供する、歪みゲージ等のセンサ2200を備える。クランプ力データに基づいて、プロセッサ2020は、打針速度、クランプ段階及び打針段階間に配分する待機時間、及び/又は外科用器具に作用する最大荷重及び最小荷重を調整する制限等の外科用器具のパラメータを調整するための予測アルゴリズムを使用する。
【0063】
外科用器具の操作間、対象組織が厚いほど、適切なステープル形成のために、用具組立体2180のカートリッジ組立体及びアンビル組立体間に有効な所定の組織隙間を作成するのに必要なクランプ力は大きくなる。ステープル形成を最適化するために、プロセッサ2020は、
図3記載のクランプ力データに基づいて、予測アルゴリズムを使用して打針速度を予測する。例えば、60mmのステープルに対して、クランプ力が33lbf未満の場合、プロセッサ2020は、60mmのステープルラインに対し、打針速度を7~8秒と予測する。別のケースとして、クランプ力が72lbfを超える場合、プロセッサ2020は、60mmのステープルラインに対し、打針速度を30秒と予測する。さらに、打針力は打針速度に比例するため、打針速度を遅くすることにより、器具に適用される最大力が低減され得る。
【0064】
一部の実施形態では、ディスプレイ2060は、臨床家に予測打針速度を表示する。その後臨床家は、臨床家が正しい用具組立体2180を使うか否かについて、予測打針速度に基づいて決定する。例えば、臨床家が不注意で誤った用具組立体を選択すると、対象組織に加えたクランプ力は、あるべき対象組織に対して誤っている。予測打針速度を確認し、対象となる組織の型を知ることで、臨床家は、選択された用具組立体が対象組織に対し誤っていると判定することが可能になる。
【0065】
打針段階の間、プロセッサ2020は、予測打針速度を使用し、予測打針速度で外科用ファスナーを打針するためのモータ2120を制御する。上記で記載した通り、打針速度は、厚い組織に対しては減少し、ステープル形成を最適化し、上記記載の機器に加えた最大力を低減する。
【0066】
追加情報は、外科用器具の打針パラメータを最適化するために使用する。例えば、センサアレイ2140は、出力ソース(図示せず)又はモータ2120から電流流れを計測する。センサアレイ2140は、再ロード型、機器型、患者の生物測定情報、温度又は外科用器具又は用具組立体2180に入力、集積及び/又は保存されるいかなる追加情報も決定する。
【0067】
前述の記載は、本開示を単に例示することを目的とすると理解されたい。様々な変更が、本開示内容から逸脱しない範囲で、当業者により実施可能である。したがって、本開示は、そのような変更を本開示の範囲に含む意図を有するものとする。添付図面を参照して記載される実施形態は、本開示の特定の実施例を示すことを目的に記載される。上記明細書及び/又は添付の請求項と本質的に相違しない他の要素、工程、方法及び技術も、本開示の範囲に含まれるものとする。