IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-貯蔵庫 図1
  • 特許-貯蔵庫 図2
  • 特許-貯蔵庫 図3
  • 特許-貯蔵庫 図4
  • 特許-貯蔵庫 図5
  • 特許-貯蔵庫 図6
  • 特許-貯蔵庫 図7
  • 特許-貯蔵庫 図8
  • 特許-貯蔵庫 図9
  • 特許-貯蔵庫 図10
  • 特許-貯蔵庫 図11
  • 特許-貯蔵庫 図12
  • 特許-貯蔵庫 図13
  • 特許-貯蔵庫 図14
  • 特許-貯蔵庫 図15
  • 特許-貯蔵庫 図16
  • 特許-貯蔵庫 図17
  • 特許-貯蔵庫 図18
  • 特許-貯蔵庫 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A21C 13/00 20060101AFI20221004BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A21C13/00 C
F25D17/08 302
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018151299
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020025486
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 浩
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直志
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊明
(72)【発明者】
【氏名】森部 智久
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0025545(KR,A)
【文献】実開平05-001982(JP,U)
【文献】韓国公開特許第2003-0025608(KR,A)
【文献】特開2002-257455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 13/00
F25D 17/00-17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室の冷却,加熱および加湿の少なくとも1つを行う機能部品を収容する機能部品室とが内部に形成された箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の内部底面側に配された板状の部材であって、自身と前記貯蔵庫本体の内部底面とによって、前記貯蔵室と前記機能部品室との間の空気の流れを許容する底面側循環路を形成する底面側ダクト部材と、
を備え、
前記底面側ダクト部材は、外縁の一部において前記貯蔵室との間の空気の流れを許容する開口を形成するものとされ、その開口を形成する前記外縁の一部が、前記板状を構成する主板部から下方に立ち下がる立下り壁部と、前記立下り壁部の立ち下がり縁から内側に折れ曲がり前記主板部と並行して形成される折曲り部と、を備えて構成され
前記貯蔵庫本体は、前方に開口し、前記貯蔵室の後方に前記機能部品室が形成されたものとされ、
前記底面側ダクト部材は、左右方向における端部の各々が前記立下り壁部と前記折曲り部とを備えた貯蔵庫。
【請求項2】
当該貯蔵庫が、上下方向に延びて前記貯蔵室と前記機能部品室とを区画する区画部材を備え、
前記区画部材は、前方に向かって突出する突起を有し、
前記底面側ダクト部材は、後側の端部から上下方向に延び出した立壁部を有し、その立壁部に前記突起に係合可能な係合孔が形成された請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記底面側循環路は、前記機能部品室から前記貯蔵室へと空気を循環する循環路であり、
前記底面側ダクト部材は、前側の端部から下方に延びて前記貯蔵庫本体の底面に接して前記底面側循環路の前側を塞ぐ閉塞壁部を有する請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵庫本体は、
貯蔵物を載置するための複数の棚板を上下方向に多段状に支持可能な棚板支持部と、
内部側面の前後方向における中間において上下方向に延び、前記底面側循環路から吐出された空気の一部を流入させて上方に向かって流すとともに、前記複数の棚板上の空間のうちの少なくとも上段側に位置する空間に空気を吐出する側壁側循環路と、
を有する請求項3に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記底面側ダクト部材は、前記閉塞壁部が前記側壁側循環路より前側に位置するように配された請求項4に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記貯蔵庫本体は、貯蔵物を載置するための棚板を支持すべく互いに間隔をおいて配される一対の棚板支持部材からなる棚板支持部材対を、内部の左右方向における両側面に備え、
前記底面側ダクト部材は、左右方向における寸法が、前記前記貯蔵庫本体に取り付けられた前記一対の棚板支持部材の間隔より小さくされた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記機能部品を内部に固定するケースを備え、前記機能部品は前記ケースとともに前記貯蔵庫本体の背面側に形成された前記機能部品室に収容され、前記機能部品によって温度と湿度との少なくとも一方が調節された空気を前記ケースの下端から排出するように構成されるともに、
前記機能部品室における前記ケースと前記貯蔵庫本体の底面との間に設けられ、前記ケースの下端から前記底面側ダクト部材まで空気を循環させるためのケース下ダクト部材を、さらに備えた請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記ケースは、左右方向における内寸が前記貯蔵庫本体の内寸より小さなものであり、
前記ケース下ダクト部材は、
前記貯蔵庫本体の内部背面側の左右方向両側に設けられ、左右方向において互いに対向する対向壁部を有して左右方向への空気の流れを遮断する一対の遮断部材からなる請求項7に記載の貯蔵庫。
【請求項9】
前記一対の遮断部材は、前方に開口した形状のものとされた請求項8に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、パン生地を収容する収容室と、その収容室の温度調節を行う温度調節手段と、収容室の湿度を調節する湿度調節手段とを備えた製パン用温湿調節庫が記載されている。このような、貯蔵物を貯蔵する貯蔵室(収容室)と、その貯蔵室の冷却,加熱および加湿の少なくとも1つを行う機能部品を収容する機能部品室(機室)とが内部に形成された箱状の貯蔵庫本体を備えた貯蔵庫は、機能部品によって貯蔵室の温度と湿度との少なくとも一方を均一にするために、庫内の空気を循環させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-57840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の貯蔵庫においては、貯蔵庫本体の内面に対して板状の部材を配して、その部材と貯蔵庫本体の内面との間に、空気を循環させるための循環路を形成する場合がある。その循環路を形成するための板状の部材であるダクト部材が、貯蔵庫本体の底面側に配されると、その底面側ダクト部材の上には、塵やゴミ等(上記特許文献1のような製パン用の貯蔵庫であれば、パンくずや粉等)が付着するため、手入れのために、底面側ダクト部材が着脱可能な構成とされる場合がある。そして、その底面側ダクト部材は、外縁の一部において貯蔵室に開口し、貯蔵室との間で空気の流れを許容するが、空気の流れを十分に確保するためには、その外縁の一部は、厚みが薄いことが望ましい。しかしながら、例えば端部を単に折り返した構成(ヘミング加工)として厚みを薄くすると、着脱時に、折れ曲がるなど、部材が変形しやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、十分な空気の流れを許容することが可能で、かつ、容易に着脱可能な底面側ダクト部材を備えた貯蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の貯蔵庫は、
貯蔵物を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室の冷却,加熱および加湿の少なくとも1つを行う機能部品を収容する機能部品室とが内部に形成された箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の内部底面側に配された板状の部材であって、自身と前記貯蔵庫本体の内部底面とによって、前記貯蔵室と前記機能部品室との間の空気の流れを許容する底面側循環路を形成する底面側ダクト部材と、
を備え、
前記底面側ダクト部材は、外縁の一部において前記貯蔵室との間の空気の流れを許容する開口を形成するものとされ、その開口を形成する前記外縁の一部が、前記板状を構成する主板部から下方に立ち下がる立下り壁部と、前記立下り壁部の立ち下がり縁から内側に折れ曲がり前記主板部と並行して形成される折曲り部と、を備えて構成されたことを特徴とする。
【0007】
上記のように構成された貯蔵庫は、底面側ダクト部材の着脱を行う際に、貯蔵室への開口を利用して、底面側ダクト部材を掴むことが可能であるものの、その開口を形成する部分が、主板部から下方に立ち下がる立下り壁部と、前記立下り壁部の立ち下がり縁から内側に折れ曲がり前記主板部と並行して形成される折曲り部と、を備えて構成されていることで、板状の部材(主板部)の端によって作業者に怪我を負わせることもなく、強度も確保することができ、部材の変形を抑えることが可能である。なお、単に端部を直角に折り曲げることでも、部材の変形を抑えることはできるが、貯蔵室との間で、十分な空気の流れを確保することが難しい。本構成の貯蔵庫によれば、貯蔵室との間の空気の流れも十分に確保することができる。なお、本構成の貯蔵庫は、貯蔵室内の温度および湿度の少なとも一方を均一に保つ必要があるもの、例えば、冷却庫や温湿調節庫等とすることができる。また、本構成の貯蔵庫は、貯蔵庫本体(貯蔵室)が横方向に開口する構成のものであっても、上方に開口する構成のものであってもよい。
【0008】
上記構成の貯蔵庫において、前記貯蔵庫本体は、前方に開口し、前記貯蔵室の後方に前記機能部品室が形成されたものとされ、前記底面側ダクト部材は、左右方向における端部の各々が前記立下り壁部と前記折曲り部とを備えた構成とすることができる。
【0009】
本構成の貯蔵庫は、貯蔵庫本体が横方向(水平方向)に開口する構成のもの(本明細書においては、開口する方向を前方と定義している)に限定されており、底面側ダクト部材の着脱の際に、その底面側ダクト部材の両側端の各々を掴むこと、つまり、作業者が両手で掴むことができるため、底面側ダクト部材の着脱を、容易に行うことができるとともに、両側端の各々を両手で掴むことで、より一層、部材の変形を抑えることができる。
【0010】
また、上記構成の貯蔵庫において、当該貯蔵庫が、上下方向に延びて前記貯蔵室と前記機能部品室とを区画する区画部材を備え、前記区画部材は、前方に向かって突出する突起を有し、前記底面側ダクト部材は、後側の端部から上下方向に延び出した立壁部を有し、その立壁部に前記突起に係合可能な係合孔が形成された構成とすることができる。
【0011】
本構成の貯蔵庫は、平たく言えば、底面側ダクト部材を区画部材に引っ掛けるだけで、その底面側ダクト部材の貯蔵室内への設置、つまり、貯蔵庫本体への取り付けが完了するように構成されている。本構成の貯蔵庫は、底面側ダクト部材の取り付けに、ボルトによる締結等が必要ないため、底面側ダクト部材の着脱を容易に行うことができる。本構成の貯蔵庫は、具体的には、例えば、区画部材に、鍔(フランジ)の付いた円筒状の部材(カラー)を固定することで上記突起を形成し、一方、底面側ダクト部材に、カラー全体を挿通させる径の挿通部と、鍔部の外径より小さくかつカラーの軸部の外径より大きな径の係合部とからなる形状の孔、平たく言えば、ダルマ状の孔を上記係合孔として形成した構成とすることができる。そのように、底面側ダクト部材を、特定方向にスライドして係合させるような構成とすれば、より一層、底面側ダクト部材の着脱を容易に行うことができる。ちなみに、区画部材に係止孔を、底面側ダクト部材に突起を、それぞれ設けても、取り付けることは可能であるが、区画部材は、貯蔵室と機能部品室とを区画するものであるため、孔を設けるのは望ましくなく、本構成の貯蔵庫が望ましい。
【0012】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記底面側循環路は、前記機能部品室から前記貯蔵室へと空気を循環する循環路であり、前記底面側ダクト部材は、前側の端部から下方に延びて前記貯蔵庫本体の底面に接し、前記底面側循環路の前側を塞ぐ閉塞壁部を有する構成とすることができる。
【0013】
本構成の貯蔵庫は、底面側ダクト部材によって形成される底面側循環路が、機能部品によって温度・湿度が調節された空気を貯蔵庫に吐出するためのものとして機能する構成の貯蔵庫を前提としている。そして、本構成の貯蔵庫は、後側にある機能部品室から前方に向けて空気が送り出され、その送り出された空気は、閉塞壁部に当たって、左右方向への空気の流れが変更されるように構成されている。
【0014】
例えば、貯蔵庫には、複数の棚板を上下方向に多段状に設けることが可能な構成のものがあり、そのような構成の貯蔵庫は、各棚板上の空間に周囲から空気を送り入れる必要がある。本構成の貯蔵庫は、底面側ダクト部材の左右から吐出した空気を側壁に沿って流すことができるため、貯蔵室内の温度・湿度の均一化を図ることができる。
【0015】
また、本構成の貯蔵庫においては、閉塞壁部が底面側ダクト部材の脚部として機能することになる。先に述べた、底面側ダクト部材の後側を区画部材に引っ掛ける構成と合わせることで、底面側ダクト部材に他の脚部が必要ないため、底面側ダクト部材下の空気の流れを安定させるとともに、左右方向の開口からの空気の吐出量を十分に確保することができる。
【0016】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記貯蔵庫本体は、貯蔵物を載置するための複数の棚板を上下方向に多段状に支持可能な棚板支持部と、内部側面の前後方向における中間において上下方向に延び、前記底面側循環路から吐出された空気の一部を流入させて上方に向かって流すとともに、前記複数の棚板上の空間のうちの少なくとも上段側に位置する空間に空気を吐出する側壁側循環路と、を有する構成とすることができる。
【0017】
底面側循環路から貯蔵室に空気が吐出される構成の貯蔵庫においては、貯蔵室の上方かつ奥側(後側,機能部品室側)ほど、空気を送ることが難しい。本構成の貯蔵庫によれば、側壁側循環路によって、貯蔵室の上段側に空気を送ることができ、貯蔵室の均一化を図ることができる。
【0018】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記底面側ダクト部材は、前記閉塞壁部が前記側壁側循環路より前側に位置するように配された構成とすることができる。
【0019】
本構成の貯蔵庫は、閉塞壁部に当たって左右方向に流れる空気のうち、ある程度の量の空気が、閉塞壁部より前方に向けて吐出するため、貯蔵室の前方にも空気を送って、貯蔵室内の温度・湿度の均一化を図ることができる。
【0020】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記貯蔵庫本体は、貯蔵物を載置するための棚板を支持すべく互いに間隔をおいて配される一対の棚板支持部材からなる棚板支持部材対を、内部の左右方向における両側面に備え、前記底面側ダクト部材は、左右方向における寸法が、前記前記貯蔵庫本体に取り付けられた前記一対の棚板支持部材の間隔より小さくされた構成とすることができる。
【0021】
本構成の貯蔵庫は、複数の棚板支持部材が、左右の側面から内側に向けて突出した状態となっているが、本構成の貯蔵庫によれば、棚板支持部材を取り外すことなく、底面側ダクト部材の着脱を行うことができるため、その底面側ダクト部材の着脱を容易に行うことができる。
【0022】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記機能部品を内部に固定するケースを備え、前記機能部品は前記ケースとともに前記貯蔵庫本体の背面側に形成された前記機能部品室に収容され、前記機能部品によって温度と湿度との少なくとも一方が調節された空気を前記ケースの下端から排出するように構成されるともに、
前記機能部品室における前記ケースと前記貯蔵庫本体の底面との間に設けられ、前記ケースの下端から前記底面側ダクト部材まで空気を循環させるためのケース下ダクト部材を、さらに備えた構成とすることができる。
【0023】
本構成の貯蔵庫は、機能部品によって温度・湿度が調節された空気がケースの下端から排出されるが、ケース下ダクト部材によって、その空気が漏れてしまうことを防止することができる。換言すれば、ケースの下端から排出された空気のすべてを、底面側ダクト部材の下に送ることができる。本構成の貯蔵庫によれば、効率よく、貯蔵室内の温度・湿度を調節することができる。
【0024】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記ケースは、左右方向における内寸が前記貯蔵庫本体の内寸より小さなものであり、前記ケース下ダクト部材は、前記貯蔵庫本体の内部背面側の左右方向両側に設けられ、左右方向において互いに対向する対向壁部を有して左右方向への空気の流れを遮断する一対の遮断部材からなる構成とすることができる。
【0025】
ケースが貯蔵庫本体よりも左右方向の寸法が小さいことで、そのケースの下側には、左右方向に空間が存在することになる。しかしながら、本構成の貯蔵庫によれば、一対の遮断部材によって、その空間を遮断し、ケースの下端から排出された空気を、底面側循環路へと導くことができる。
【0026】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記一対の遮断部材は、前方に開口した形状のものとされた構成とすることができる。
【0027】
本構成の貯蔵庫は、貯蔵室内における一対の遮断部材の各々の内側に、例えば、冷却による除霜水等が入り込んでしまった場合であっても、前方に開口しているため、遮断部材の内側を容易に掃除することが可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、十分な空気の流れを許容することが可能で、かつ、容易に取り外しが可能な底面側ダクト部材を備えた貯蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例の貯蔵庫である温湿度調節庫の正面図である。
図2図1に示した温湿度調節庫の開閉扉等を取り外した状態を示す正面図である。
図3図1に示した温湿度調節庫の側面断面図である。
図4図1に示した温湿度調節庫の平面図である。
図5図1に示した温湿度調節庫の背面図である。
図6図1に示した温湿度調節庫の1つの空間内を概略的に示す側面図であり、庫内に流れる空気の流れを示す図である。
図7図1に示した温湿度調節庫の1つの空間に対する機能部品を概略的に示す図である。
図8図2に示した3つのパネルを取り外した状態を示す正面図である。
図9図2に示した3つのパネルの分解斜視図である。
図10図9に示した3つのパネルの側面図である。
図11図9に示した天面パネルおよび背面パネルの正面図である。
図12図9に示した背面パネルおよび底面パネルの正面図である。
図13】第2吸込口である補助吸込口を拡大して示す斜視図である。
図14】機能部品室に固定されるパーツの分解斜視図である。
図15図14に示したエバポレータAssyから排出される空気の流れを示す斜視図である。
図16図1に示した温湿度調節庫の平面断面図であり、収納室に吐き出される空気の流れを示す図である。
図17】変形例の温湿度調節庫の1つの空間内を示す側面断面図である。
図18】変形例の温湿度調節庫が備える底面パネルの側面図である。
図19】別の変形例の温湿度調節庫が備える底面パネルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0031】
<温湿度調節庫の概略構成>
本発明の実施例である貯蔵庫としての温湿度調節庫10を図1から図5に示す。本温湿度調節庫10は、ドウコンディショナーと呼ばれるものであり、成形したパン生地について冷凍から発酵までを管理可能なものである。具体的には、パンの焼成工程に入るより前に、成形したパン生地に対して、フリーズ(冷凍)工程、リタード(冷蔵)工程、予熱工程、および、ホイロ(発酵)工程を順番に自動で実行すること、あるいは、いずれかの工程を単独で実行することが可能なものである。つまり、本温湿度調節庫10は、それらの各工程に応じた温度制御を行うとともに、予熱工程およびホイロ工程においては、温度制御に加えて湿度制御を行うように構成されている。
【0032】
本温湿度調節庫10は、図1ないし図3に示すように、前方に開口する箱状の筐体である貯蔵庫本体としてのハウジング11を主体として構成される。そのハウジング11には、上下に並ぶ2つの空間12A,12Bが形成されており、それら空間内の各々に、パン生地(貯蔵物)を収納する収納室(貯蔵室)14A,14Bが設けられている。それら2つの収納庫14A,14Bは、前方側に開口しており、ハウジング11には、各収納室14A,14Bを開閉する2枚の開閉扉15A,15Bが取り付けられている。各収納室14A,14Bには、左右の側壁の各々に、左右で一対をなすトレイガイド16が着脱可能に設けられており、それら複数対のトレイガイド16の各々に、多数のパン生地を載せたトレイ(棚板)を載置可能とされている。なお、空間12内の左右の側面には前後2本ずつの棚柱17が固定されており、上記トレイガイド16は、前後の棚柱17にわたされるようにして取り付けられる。つまり、左右一対のトレイガイド(棚板支持部材)16からなる棚板支持部材対と棚柱17とを含んで、棚板支持部が構成されていると考えることができる。
【0033】
本温湿度調節庫10は、温度制御を行うための冷却装置20および加熱装置21と、湿度制御を行うための加湿装置22と、それら冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22等を制御するための制御装置24と、を備えている。ハウジング11の上側には、図3に示すように、上方が開放された機械室25が設けられており、その機械室25に、上記の冷却装置20や加湿装置22の一部および制御装置24等が収容されている。また、図1に示すように、機械室25の前面には、本温湿度調節庫10の設定や操作等を行うための操作パネル26が設けられている。
【0034】
ハウジング11の空間12A,12Bの各々には、図4に示すように、各収納室14A,14Bの背面側(後側)に、収納室14A,14Bの温度および湿度の調節を行う機能部品としての冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22の一部を収容する機能部品室30A,30Bが形成されている。それら収納室14A,14Bと機能部品室30A,30Bとは、概して板状の部材である区画部材としての背面パネル32によって区画されている。後に詳しく説明するが、冷却装置20および加湿装置22等は、図5に示すように、機械室25に設けられた部品と、機能部品室30A,30Bに設けられた部品とが、ハウジング11の背面側において、配管や配線によって接続されている。
【0035】
以下に、ハウジング11の空間12A,12Bの各々の内部の構成について詳しく説明する。それら空間12A,12B内の構成は、ほぼ同様の構成であるため、空間12内の説明については、図6をも参照しつつ、上側の空間12Aを代表して説明する。また、以下の説明において、上側の空間12Aに関係するものと、下側の空間12Bに関係するものと、を区別して説明する必要がある場合には、符号にA,Bを、それぞれ付すこととする。
【0036】
図6に示すように、空間12内には、上述した背面パネル32の他に、天面側と底面側との各々に、それぞれ、概して板状の部材である天面パネル33および底面パネル34が配されている。それら天面パネル33および底面パネル34の各々は、それぞれ空間12の天面との間、空間12の底面との間で、収納室14と機能部品室30とを接続し、空間12内の空気を循環させる循環路(ダクト)を形成するものとなっている。つまり、天面パネル33は、天面側ダクト部材として、底面パネル34は、底面側ダクト部材として機能するものとなっている。
【0037】
機能部品室30には、循環ファン36が収容されており、その循環ファン36は、機能部品室30において、空気を上方から下方へと送るものとされている。つまり、その循環ファン36によって、天面パネル33と空間12の天面とによって形成される天面側循環路は、収納室14から機能部品室30へと空気を吸い込む吸気路37として機能し、底面パネル34と空間12の底面とによって形成される底面側循環路は、機能部品室30から収納室14へと空気を吐き出す吐出路38として機能する。つまり、循環ファン36が作動すると、収納室14の空気が吸気路37を介して機能部品室30に吸い込まれ、機能部品室30を通過した後、吐出路38を介して収納室14に吐き出される。
【0038】
また、本温湿度調節庫10においては、循環ファン36によって上方から下方に送られた空気(言い換えると、機能部品室30を通過する空気)対して温度や湿度を調節し、その温度や湿度を調節した空気を収納室14に送るようになっている。具体的には、まず、図7の概略図に示すように、機能部品室30には、冷却装置20を構成するエバポレータ(蒸発器)40が収容されている。冷却装置20は、循環ファン36から送り出された空気をそのエバポレータ40によって冷却することで、収納室14の温度を低下させる。なお、冷却装置20は、周知の冷却回路を用いたものであり、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張手段43と、上記のエバポレータ40と、を含んで構成される。簡単に説明すれば、圧縮機41によって圧縮された冷媒ガスは、凝縮器42によって冷却されて液化冷媒となり、その液化冷媒は膨張手段43で減圧されて低圧の気液混合冷媒となって、エバポレータ40に送られる。そして、エバポレータ40において、冷媒が蒸発し、その蒸発熱で空気を冷却する。なお、冷却装置20におけるエバポレータ40以外の構成要素については、図2および図4に示すように、機械室25に収容されている。そして、図5に示すように、エバポレータ40に対し、圧縮機41および膨張手段43が冷媒配管44A,44Bによって接続されている。
【0039】
また、機能部品室30には、加熱装置21が収容されている。加熱装置21は、3本のガラス管ヒータ46を主体として構成されるものであり、循環ファン36から送り出された空気をそれらヒータ46によって加熱することで、収納室14の温度を上昇させる。なお、3本のヒータ46は、図3に示すように、ヒータブラケット47によって、それぞれが左右方向に延びるとともに、前後方向に並んだ状態で保持され、エバポレータ40の下側に取り付けられている。つまり、加熱装置21は、輻射熱によって空気を効率的に加熱するともに、上側に配されたエバポレータ40のデフロストヒータとしても機能するものとなっている。
【0040】
さらに、機能部品室30には、加湿装置22の一部が収容されている。加湿装置22は、水を霧状に噴霧する二流体ノズルであるスプレーノズル50と、給水源からスプレーノズル50に水を供給する給水管51と、スプレーノズル50に空気を供給する給気管52と、その給気管52を介してスプレーノズル50に空気を加圧状態で送るエアポンプ53と、を含んで構成されている。なお、給水管51には、給水弁51aが設けられており、その給水弁51aよりスプレーノズル50側に排水管54が接続され、その排水管54に排水弁54aが設けられている。また、エアポンプ53は、機能部品室30内から吸い込んだ空気をスプレーノズル50に供給する構成となっている。
【0041】
スプレーノズル50については、詳細の図示と説明は省略するが、筒体を2重に配設したものであり、内側の筒体の先端部に水の噴出口が設けられ、外側の筒体の先端部に空気の噴出口が設けられたものである。そして、空気の噴出口は、水の噴出口より後方に控えた位置にあり、噴出された水に対して、その後方から空気を噴出することで、スプレーノズル50の前方で水を霧状にする。スプレーノズル50の先端は、図3に示すように、加熱装置21の下側で、側面側から機能部品室30の内側を向いた状態で取り付けられている。
【0042】
そして、加湿装置22は、給水弁51aを開くとともに、エアポンプ53を作動させ、スプレーノズル50から霧状の水を噴霧する。それにより、循環ファン36から送り出された空気を加湿し、収納室14の湿度を上昇させる。なお、加湿装置22は、スプレーノズル50から水を噴霧しない場合には、給水管51に水が残らないように、排水弁54aを開いて、排水管54から水を排出させるようになっている。
【0043】
上記のように構成された本温湿度調節庫10は、制御装置24によって制御される。詳しく言えば、制御装置24は、循環ファン36,冷却装置20,加熱装置21,加湿装置22を制御して、収納室14A,14Bの各々を、独立して、温度と湿度とを調節するように構成されている。また、機能部品室30には、温度センサ60および湿度センサ61(図7参照)が収容されており、制御装置24は、それら温度センサ60および湿度センサ61の検出結果に基づいて、収納室14A,14Bの各々における温度と湿度とを調節するようになっている。
【0044】
<循環路の構成>
i)ダクト部材の形状・取付構造
本温湿度調節庫10は、各空間12内における空気の循環路に関して特徴を有するものであるため、以下に、その循環路について詳しく説明することとする。先に説明したように、本温湿度調節庫10は、背面パネル32によって、収納室14と機能部品室30とが区画されており、天面パネル33によって形成された吸気路37から収納室14の空気を吸い込み、底面パネル34によって形成された吐出路38から温度・湿度を調節した空気を収納室14へ吐き出すように構成されている。また、各空間12内における左右の側壁の各々には、図3および図6に示すように、収納室14の前後方向における中間に、上下方向に延びる側壁側ダクト部材65が固定されている。側壁側ダクト部材65は、断面コの字状で、空間12の側面との間に、側壁側循環路66を形成するものである。また、側壁側ダクト部材65には、上方側のトレイ上へ空気を吐出するための吐出口67が形成されている。ちなみに、本実施例においては、下から2段には吐出口は形成されておらず、上から6段に吐出口67が形成されている。そして、図8に示した状態の温湿度調節庫10に対して、側面に4本の棚柱17と、上記側壁側ダクト部材65を取り付けた後、天面パネル33,背面パネル32,底面パネル34の順で取り付けることで、空間12内の循環路が形成される。
【0045】
まず、上記の3つのパネル部材32,33,34の形状について、図9から図12をも参照しつつ説明する。まず、天面パネル33は、概して長方形で板状の主板部33aと、その主板部33aの左右方向の外縁の各々から立ち上がる側壁部33bと、それら側壁部33bの上端から外側に折れ曲がるブラケット部33cと、を有する。また、各ブラケット部33cには、空間12内の天面に取り付けるための2つずつの取付孔33dが形成されている。なお、図8に示すように、空間12内における両側面には、パネル部材32,33,34を固定するための一対のマウンタ部材68が固定されており、天面パネル33は、後端側の部分を、一対のマウンタ部材68の上に挿し込んだ状態で、上記の4つの取付孔33dを利用して、空間12内の天面に取り付けられる。また、天面パネル33は、さらに、主板部33aの前端から下方に向かって傾斜した前端屈折部33eと、主板部33aの後端から下方に向かって傾斜した後端屈折部33fと、を有している。なお、前端屈折部33eは、折り返された形状、つまり、いわゆるヘミング加工が施されており、使用者等に怪我を負わせないようになっている。また、後端屈折部33fは、左右方向における寸法が、主板部33aの左右方向の寸法より小さくされている、つまり、収納室14の左右方向の寸法より小さくされている。
【0046】
次に、背面パネル32は、概して長方形で板状の主板部32aと、その主板部32aの上端から前方に向かって傾斜した上端屈折部32bと、を有している。また、主板部32aの下端側には、鍔の付いたカラー32cが、左右方向に間隔をおいて2つ固定されている。それらカラー32cは、背面パネル32の主板部32aから前方に向かって突出しており、突起として機能する。そして、背面パネル32は、図11に示すように、上端屈折部32bを、天面パネル33の後端屈折部33fの前側に重ねることで、空間12内における位置合わせができる。そして、図8に示す一対のマウンタ部材68に対し、ネジ止めすることで取り付けられる。
【0047】
続いて、底面パネル34は、概して方形で板状の主板部34aと、その主板部34aの前側の外縁から下方に延びて空間12内の底面に接する脚部34bと、主板部34aの後側の外縁から立設した立壁部34cと、主板部34aの左右方向の外縁の各々から下方に立ち下がる立下り壁部34dと、その立下り壁部34dの立ち下がり縁から内側に折れ曲がり主板部34aと並行して形成される折曲り部34eと、を有している。また、立壁部34cには、背面パネル32の2つのカラー32cに対応して、2つのダルマ形状の係合孔34fが形成されている。つまり、底面パネル34は、それら係合孔34fを、背面パネル32のカラー32cに引っ掛けることで、取り付けることができる。詳しく言えば、図12に示すように、係合孔34fの大きい径の部分においてカラー32cを挿通させ、底面パネル34を、左右方向にスライドさせることで、取り付けることができるのである。なお、立下り壁部34dは、図10に示すように、脚部34bの下端より上側に立ち下がり縁が設けられており、底面パネル34が取り付けられた状態において、立下り壁部34dおよび折曲り部34eの下方側は、側方に開口している。
【0048】
ii)吸気側における空気の流れ
そして、側壁側ダクト部材65および3つのパネル部材32,33,34が取り付けられて形成された循環路によって、図6に白抜き矢印で示したように、空気が循環することになる。具体的には、循環ファン36が作動すると、収納室14の空気が機能部品室30に吸い込まれるのであるが、収納室14の空気は、主に、天面パネル33の前端によって形成された開口から、吸い込まれることになる。つまり、その開口が、収納室14の空気を吸気路37に取り込むための第1吸込口として主吸込口70である。
【0049】
また、天面パネル33は、上述したように前端屈折部33eを有しており、その前端屈折部33eは、吸気路に向かう空気の流れを整える整流板として機能するものとなる。具体的には、前端屈折部33eは、主吸込口70の下方や後方側からの空気の吸い込みを抑え、主吸込口70は、前端屈折部33eの前方からのみ空気を吸い込むことになる。つまり、本温湿度調節庫10によれば、上段前側に載置されたパン生地に当たる空気の流れを抑え、そのパン生地の乾燥を抑えることができるのである。
【0050】
さて、従来の温湿度調節庫では、収納室14内の上部奥側(天面側かつ後側)において、空気の流れがなく、温度ムラが生じやすく、パン生地の発酵ムラが生じてしまうという問題があった。そこで、本温湿度調節庫10は、天面パネル33と背面パネル32との接続部に、収納室14の上部奥側の空気を機能部品室30に取り込むための第2吸込口として補助吸込口71が設けられている。具体的には、空間12内に、天面パネル33と背面パネル32とが取り付けられて、天面パネル33の後端屈折部33fに対して背面パネル32の上端屈折部32bが重なると、図6および図13に示すように、それら天面パネル33および背面パネルと、マウンタ部材68とによって、天面パネル33の後端屈折部33fおよび背面パネル32の上端屈折部32bの左右方向における両端側の各々に、概して三角形上の開口が形成されることになる。これらの開口が、上記の補助吸込口71として機能するのである。
【0051】
したがって、本温湿度調節庫10によれば、収納室14の上部奥側の空気をも、補助吸込口71を利用して循環させることができるため、収納室14の温度・湿度を均一化することができる。また、パン生地は、強い空気の流れが当たっていると、乾燥しやすいが、本温湿度調節庫10は、2つの補助吸込口71が、収納室14の上部奥側の両角付近に形成されているため、上段奥側に載置されたパン生地の乾燥を抑えることができるのである。
【0052】
さらに言えば、本温湿度調節庫10は、図6および吸気路37と機能部品室30との接続部が、天面パネル33の後端屈折部33fと背面パネル32の上端屈折部32bとによって傾斜面で接続されているため、吸気路37から機能部品室30への空気の流れは、向きが急変しないようになっている。したがって、本温湿度調節庫10は、吸気路37から機能部品室30への空気の流れを安定させることができる。
【0053】
iii)機能部品室における空気の流れ
次に、機能部品室30内における空気の流れについて説明する。機能部品室30内には、前述した循環ファン36,冷却装置20のエバポレータ40,加熱装置21,加湿装置22の一部が収容されるのであるが、それらは、図14に示すようにユニット化され、エバポレータAssy80とされている。そのエバポレータAssy80については、簡単に説明するが、図3に示すように、ケース81内に、上側から順に、エバポレータ40,加熱装置21,スプレーノズル50の順で取り付けられている。また、そのケース81の上端に循環ファン36が取り付けられている。さらに、ケース81の上端には、図8に示すように、温度センサ60および湿度センサ61が取り付けられている。つまり、本温湿度調節庫10は、このエバポレータAssy80をハウジング11の外で組み付け、その
組み付けたエバポレータAssy80を、ハウジング11の空間12内における背面に固定するだけで、機能部品等の取り付けが完了する。したがって、本温湿度調節庫10は、製造工程を簡易化することができるようになっている。
【0054】
エバポレータAssy80が上述のように構成されているため、循環ファン36によって下方に送り出された空気は、エバポレータ40,加熱装置21を通過して温度が調節され、場合によってケース81の下側の空間においてスプレーノズル50により加湿され、ケース81の下端から排出される。
【0055】
エバポレータAssy80は、ケース81の下端から排出した空気を、底面パネル34の下側に送るため、空間12内の底面と間隔をおいた状態で、ハウジング11に固定されている。エバポレータAssy80の下側から排出された空気を、底面パネル34によって形成された吐出路38に導くために、図8図14に示すように、ケース下ダクト部材85が設けられている。エバポレータAssy80は、左右方向における寸法が、空間12の左右方向における内寸より小さくされており、空間12(機能部品室30)内において、エバポレータAssy80の左右にも空間が広がっている。そのため、ケース下ダクト部材85は、エバポレータAssy80の下側から排出された空気が、エバポレータAssy80の左右の空間に流れ込まないように、左右方向への空気の流れを遮断する一対の遮断部材86からなる。
【0056】
それら一対の遮断部材86の各々は、図14および図15に示すように、空間12内の背面側における左右方向両側の角に固定されている。つまり、一対の遮断部材86は、左右方向において対向して配され、互いに対向する対向壁部86aを有している。また、一対の遮断部材86の各々は、空間12内の底面と平行に設けられてエバポレータAssy80を載置させるための載置部86bを有している。なお、エバポレータAssy80は、図3に示すように、一対の遮断部材86上に載置されることで、下端の高さが、底面パネル34の主板部34aより僅かに上側に位置している。
【0057】
図15および図16に示すように、上述のケース下ダクト部材85によって、エバポレータAssy80から排出された空気は、他の空間に漏れることなく、底面パネル34の下に流れ込むようになっている。つまり、本温湿度調節庫10は、温度・湿度が調節された空気を、効率よく排出させることができるようになっているのである。
【0058】
iv)吐出側における空気の流れ
エバポレータAssy80から排出されて底面パネル34の下に流れ込んだ空気は、図16に示すように、底面パネル34の両側端(左右方向における両側の端部)の開口から収納室14に吐き出される。なお、底面パネル34は、前端に脚部34bが設けられているため、前方に向かう空気の流れは遮断されているため、底面パネル34の側方からのみから、空気は吐き出されるようになっている。つまり、底面パネル34の脚部34bは、閉塞壁部として機能するものとなっている。
【0059】
そして、吐き出された空気の一部は、図6および図16に示すように、トレイガイド16と側壁との間の隙間から上方に昇り、各トレイ上に流れ込む。また、吐き出された空気の他の一部は、側壁側ダクト部材65によって形成された側壁側循環路66に進入し、上段側の各トレイ上に吐き出される。さらに、図16に示すように、閉塞壁部として機能する脚部34bは、側壁側ダクト部材65より前方に位置しているため、底面パネル34の側方の前端から、前方に向かって吐き出され、収納室14の前方側に、流れ込むようになっている。
【0060】
そして、収納室14内の空気は、再び、主吸込口70および補助吸込口71から機能部品室30に吸い込まれ、循環させられるのである。上述のような構成により、本温湿度調節庫10は、収納室14内の各トレイ上などに満遍なく空気を行き渡らせることができるととともに、収納室14内の一部に空気を滞らせることなく空気を循環させることができるのである。
【0061】
<温湿度調節庫の他の効果>
また、本温湿度調節庫10においては、パン生地を扱うために、パン粉やパン屑が庫内に落ち、底面パネル34はそれらが付着しやすい。そのため、本温湿度調節庫10は、底面パネル34を取り外して、掃除することが可能となっている。先にも述べたように、底面パネル34は、係合孔34fを背面パネル32のカラー32cに引っ掛けているだけで取り付けられているため、容易に取り外すことができるようになっている。また、底面パネル30は、両側端の各々が収納室14への開口となっているため、作業者が両手で持ちやすい形状となっており、より容易に脱着することができる。さらに、底面パネル30は、両側端の各々が、立下り壁部34dおよび折曲り部34eを有し、概して断面コの字状に形成されているため、作業者に怪我を負わせることもなく、強度も確保することができ、脱着作業時における部材の変形を抑えることが可能である。さらにまた、底面パネル30は、図2に示すように、左右方向における寸法が、左右一対のトレイガイド16の間の間隔より小さくされているため、下段側のトレイガイド16を取り外すことなく、底面パネル34の脱着を行うことができ、脱着作業がより簡便なものとなる。
【0062】
<変形例>
図17に、本実施例の変形例の温湿度調節庫90の庫内の側面断面を示す。本変形例の温湿度調節庫90は、上記実施例の温湿度調節庫10とほぼ同様の構成であるが、側壁側ダクト部材92のみ、上記実施例に係る側壁側ダクト部材65と異なる。上記実施例に係る側壁側ダクト部材65は、下段側に吐出口は設けられておらず、上段側にのみ吐出口67が設けられていた。それに対し、変形例の温湿度調節庫90が備える側壁側ダクト部材92は、上段ほど、開口面積が大きくされている。具体的に言えば、側壁側ダクト部材92は、上段ほど、吐出口93の数が多くされているのである。底面パネル34から吐出された空気は、上段に向かうほど流れが弱くなるが、上段ほど側壁側ダクト部材92の開口面積が大きくされているため、各段の風量の均一化が図られ、各段における温度・湿度のムラを抑えることができる。
【0063】
また、本実施例の別の変形例の温湿度調節庫は、上記実施例の温湿度調節庫10とほぼ同様の構成であるが、底面側ダクト部材である底面パネルのみ、上記実施例に係る底面パネル34と異なるものであるため、変形例の温湿度調節庫が備える底面パネル100,110のみを図示し、説明することとする。図18に示す変形例に係る底面パネル100は、上記実施例に係る底面パネル34と同様に、概して方形で板状の主板部101と、その主板部101の前側の外縁から下方に延びて空間12内の底面に接する脚部(閉塞壁部)102と、主板部101の後側の外縁から立設した立壁部103と、主板部101の左右方向の外縁の各々から下方に立ち下がる立下り壁部104と、その立下り壁部104の立ち下がり縁から内側に折れ曲がり主板部101と並行して形成される折曲り部105と、を有している。ただし、立下り壁部104の形状が相違する。具体的に言えば、立下り壁部104は、前側ほど、上下方向の寸法が小さくされた形状とされている。つまり、底面パネル100は、前方ほど、側方の開口が大きくなるように形成されているのである。背面側に配された機能部品室30から前方に向かって排出された空気は、前側ほど風の流れが弱まるが、底面パネル100の開口が前側ほど大きくされているため、前後方向における空気の吐出量の均一化が図られ、庫内の温度・湿度のムラを抑えることができる。
【0064】
さらに、図19に示す変形例に係る底面パネル110も、上記実施例に係る底面パネル34と同様に、概して方形で板状の主板部111と、その主板部111の前側の外縁から下方に延びて空間12内の底面に接する脚部(閉塞壁部)112と、主板部111の後側の外縁から立設した立壁部113と、主板部111の左右方向の外縁の各々から下方に立ち下がる立下り壁部114と、その立下り壁部114の立ち下がり縁から内側に折れ曲がり主板部111と並行して形成される折曲り部115と、を有している。ただし、立下り壁部114の形状が相違する。具体的に言えば、立下り壁部114は、上記実施例に係る底面パネル34の立下り壁部34dよりも上下方向の寸法が大きくされるとともに、前後方向において定められた間隔で複数の吐出口116が形成されている。そして、隣接する吐出口116の間隔は、前側ほど小さくされている。つまり、底面パネル100は、前方ほど、側方の開口密度が高くなるように形成されているのである。この底面パネル110は、先に説明した底面パネル100と同様に、前後方向における空気の吐出量の均一化が図られ、庫内の温度・湿度のムラを抑えることができる。
【0065】
なお、本実施例の貯蔵庫は、冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22のすべてを備えるものであったが、それらのうちの少なくとも1つを備えた冷蔵庫や温蔵庫等に、上記構成の底面側ダクト部材としての底面パネルを採用することが可能である。また、本実施例の貯蔵庫は、前方(水平方向)に開口する構成のものであったが、上方に開口する構成のものに採用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
10…温湿度調節庫〔貯蔵庫〕、11…ハウジング〔貯蔵庫本体〕、12A,12B…空間、14A,14B…収納室〔貯蔵室〕、16…トレイガイド〔棚板支持部材,棚板支持部〕、17…棚柱〔棚板支持部〕、20…冷却装置、21…加熱装置、22…加湿装置、30A,30B…機能部品室、32…背面パネル〔区画部材〕、33c…カラー〔突起〕、34…底面パネル〔底面側ダクト部材〕、34a…主板部、34b…脚部〔閉塞壁部〕、34c…立壁部、34d…立下り壁部、34e…折曲り部、34f…係合孔、36…循環ファン、38…吐出路〔底面側循環路〕、65…側壁側ダクト部材、66…側壁側循環路、67…吐出口、80…エバポレータAssy、81…ケース、85…ケース下ダクト部材、86…遮断部材、86a…対向壁部、90…温湿度調節庫(変形例)、92…側壁側ダクト部材、93…吐出口、100…底面パネル〔底面側ダクト部材〕、101…主板部、102…脚部〔閉塞壁部〕、103…立壁部、104…立下り壁部、105…折曲り部、110…底面パネル〔底面側ダクト部材〕、111…主板部、112…脚部〔閉塞壁部〕、113…立壁部、114…立下り壁部、115…折曲り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19