(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】鉄道車両用電力変換装置
(51)【国際特許分類】
B61C 17/00 20060101AFI20221004BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20221004BHJP
【FI】
B61C17/00 E
B61C17/00 D
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2018174183
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏和
(72)【発明者】
【氏名】岡田 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】青谷 智明
(72)【発明者】
【氏名】横井 浩司
(72)【発明者】
【氏名】矢野 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 将光
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038115(JP,A)
【文献】特開2008-295142(JP,A)
【文献】実開昭53-141965(JP,U)
【文献】国際公開第2010/097317(WO,A1)
【文献】実開昭58-025772(JP,U)
【文献】特開2005-057091(JP,A)
【文献】実開昭52-064406(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0158504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61C 17/00
H02M 7/42- 7/98
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両に設けられ、内部に、電力変換部本体と前記電力変換部本体の内部の熱を放熱するための放熱部とを含む電力変換ユニットと、
前記電力変換ユニットを収納する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記電力変換部本体を冷却するための空気を通過させるとともに内部に前記放熱部が配置される風洞部と、
を備え、
前記筐体は、前記風洞部の外部から前記風洞部の内部へ空気を給気するための給気口と、前記給気口により前記風洞部の内部へ給気され前記放熱部を介して前記電力変換部本体を冷却した空気を前記風洞部の外部へ排気するための排気口と、を含み、
前記給気口および前記排気口は、前記筐体の同じ側の側面に配置され
、
前記電力変換ユニットは、前記風洞部のうちの一部と共に、前記筐体に対して着脱可能に構成されている、鉄道車両用電力変換装置。
【請求項2】
前記給気口および前記排気口は、前記筐体において、前記鉄道車両の走行方向と直交する枕木方向の一方側または他方側の同じ側面に設けられている、請求項1に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項3】
前記筐体の前記枕木方向側の側面のうち、少なくとも前記筐体の前記給気口および前記排気口が設けられる側には、前記鉄道車両に搭載される前記鉄道車両用電力変換装置以外の他の機器または他の部材が前記給気口および前記排気口に対向するように配置されている、請求項2に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項4】
前記給気口により前記筐体の外部から前記風洞部の内部へ空気を取り込むためのファンをさらに備え、
前記ファンは、前記給気口よりも前記排気口に近い位置に設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項5】
前記風洞部は、前記筐体の前記給気口および前記排気口とそれぞれ接続される第1部分および第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを接続するように延びる部分を有する第3部分と、を含み、
前記電力変換ユニットには、前記風洞部のうちの前記第3部分が設けられており、
前記電力変換ユニットは、前記第3部分が前記第1部分および前記第2部分と分離されることにより、前記筐体に対して着脱可能に構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項6】
前記電力変換ユニットが前記筐体に取り付けられている状態で、前記第1部分と前記第3部分とが接続される部分および前記第2部分と前記第3部分とが接続される部分に前記風洞部を囲むように略環状に設けられる第1シール部材をさらに備える、請求項5に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項7】
前記第1シール部材は、前記第1部分と前記第3部分とが接続される部分において、前記第1部分側または前記第3部分側のいずれかに設けられているとともに、前記第2部分と前記第3部分とが接続される部分において、前記第2部分側または前記第3部分側のいずれかに設けられている、請求項6に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項8】
前記風洞部は、前記第1部分と前記第3部分とが接続される部分と、前記第2部分と前記第3部分とが接続される部分とが、互いに異なる方向を向くように配置されており、
前記電力変換ユニットは、前記筐体に対する旋回動作により、前記第1シール部材を介して、前記第3部分が前記第1部分および前記第2部分に対して略同時に接触するように、前記筐体に対して取り付けられるように構成されている、請求項6または7に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項9】
前記電力変換ユニットが前記筐体に取り付けられている状態で、前記第1シール部材が略上下方向を向くように配置される場合に、前記風洞部において、前記第1シール部材の上方に、上側から見て少なくとも前記第1シール部材を覆うように設けられるカバー部材をさらに備え、
前記カバー部材は、前記風洞部の中央に向かって下向きに傾斜するように設けられている、請求項6~8のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項10】
前記第1部分または前記第2部分のうちの少なくとも一方は、下側の面が前記給気口または前記排気口の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分を含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項11】
前記電力変換部本体と、前記風洞部の内部に配置された前記放熱部との境界に沿って設けられた第2シール部材をさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【請求項12】
前記給気口および前記排気口は、それぞれ、前記筐体の同じ側の側面において、下側および上側に設けられている、請求項1~11のいずれか1項に記載の鉄道車両用電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道車両用電力変換装置に関し、特に、電力変換部本体を冷却するための空気を通過させる風洞部を備える鉄道車両用電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力変換部本体を冷却するための空気を通過させる風洞部を備える鉄道車両用電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の半導体冷却装置(鉄道車両用電力変換装置)は、半導体素子に取り付けられた放熱フィン(放熱部)と、内部に放熱フィンが配置され、半導体素子を冷却するための空気を通過させる風洞(風洞部)とを備えている。上記特許文献1に記載の半導体冷却装置では、風洞は、半導体冷却装置の外部から風洞の内部に空気を給気するための給気口と、風洞の内部の空気を半導体冷却装置の外部へ排気するための排気口とを含んでいる。
【0004】
上記特許文献1に記載の半導体冷却装置では、風洞は、鉄道車両の走行方向または上下方向に沿って、直線状に設けられている。そして、風洞が鉄道車両の走行方向に沿って直線状に設けられる場合には、給気口および排気口が、それぞれ、半導体冷却装置の筐体の前面および後面に設けられ、鉄道車両の進行方向に合わせて、給気口と排気口とが筐体の後面および前面に入れ換わるように構成されている。また、風洞が鉄道車両の上下方向に沿って直線状に設けられる場合には、給気口および排気口が、それぞれ、半導体冷却装置の筐体の下面および上面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載された鉄道車両用電力変換装置の一例のように、給気口と排気口とが筐体の前面と後面とで入れ換わる場合、給気口が筐体の側面の一方側および他方側の両方に配置されるので、給気口に対向する遮蔽物がなく、筐体の側方から見て、給気口が鉄道車両の外部に直接開放された状態になり易いと考えられる。また、上記特許文献1に記載された鉄道車両用電力変換装置の他の例のように、給気口が筐体の下面に設けられる場合、給気口が鉄道車両の下方の地面と対向するように、筐体の下方から見て、給気口が鉄道車両の外部に直接開放された状態になると考えられる。このため、上記特許文献1に記載された鉄道車両用電力変換装置では、給気口から外部の空気を風洞部の内部に給気する際に、給気口が鉄道車両の外部に直接開放されることにより、塵埃などの異物、および、雨水、スプリンクラー水、雪などの水分を吸い込み易いと考えられる。したがって、上記特許文献1に記載された鉄道車両用電力変換装置では、異物および水分が風洞部の内部に侵入することに起因して、風洞部内部の部品が劣化し易くなるとともに風洞部の冷却性能が低下し易くなるという問題点が考えられる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、異物および水分が風洞部の内部に侵入することに起因して風洞部内部の部品が劣化するのを抑制するとともに風洞部の冷却性能が低下するのを抑制することが可能な鉄道車両用電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による鉄道車両用電力変換装置は、鉄道車両に設けられ、内部に、電力変換部本体と電力変換部本体の内部の熱を放熱するための放熱部とを含む電力変換ユニットと、電力変換ユニットを収納する筐体と、筐体の内部に配置され、電力変換部本体を冷却するための空気を通過させるとともに内部に放熱部が配置される風洞部と、を備え、筐体は、風洞部の外部から風洞部の内部へ空気を給気するための給気口と、給気口により風洞部の内部へ給気され放熱部を介して電力変換部本体を冷却した空気を風洞部の外部へ排気するための排気口と、を含み、給気口および排気口は、筐体の同じ側の側面に配置され、電力変換ユニットは、風洞部のうちの一部と共に、筐体に対して着脱可能に構成されている。
【0009】
この発明の一の局面による鉄道車両用電力変換装置では、上記のように、風洞部の給気口および排気口が筐体の同じ側の側面に配置されている。これにより、給気口が筐体の側面の一方側および他方側に配置される場合と比較して、給気口に対向する遮蔽物がない状態になりにくいので、給気口を鉄道車両の外部に直接開放された状態になるのを抑制することができる。また、給気口が筐体の側面に配置されているので、給気口が筐体の下面に配置される場合と異なり、給気口が鉄道車両の下方の外部に直接開放されない。したがって、給気口から外部の空気を風洞部の内部に給気する際に、塵埃などの異物、および、雨水、スプリンクラー水、雪などの水分が吸い込まれにくくなる。その結果、異物および水分が風洞部の内部に侵入することに起因して風洞部内部の部品が劣化するのを抑制するとともに風洞部の冷却性能が低下するのを抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、給気口および排気口は、筐体において、鉄道車両の走行方向と直交する枕木方向の一方側または他方側の同じ側面に設けられている。このように構成すれば、給気口および排気口が、鉄道車両の走行方向の一方側または他方側の側面に配置される場合と異なり、給気口から外部の空気を風洞部の内部に給気する際に、鉄道車両の走行時における走行風の影響を受けるのを抑制することができる。その結果、給気口から風洞部の内部に給気される風量を適切に調整することができるので、電力変換部本体を適切に冷却することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、筐体の枕木方向側の側面のうち、少なくとも筐体の給気口および排気口が設けられる側には、鉄道車両に搭載される鉄道車両用電力変換装置以外の他の機器または他の部材が給気口および排気口に対向するように配置されている。このように構成すれば、給気口が設けられる側を、給気口が設けられる側から見て、鉄道車両用電力変換装置以外の他の機器または他の部材により覆うことにより、鉄道車両の外部に確実に直接開放された状態になるのを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、給気口により筐体の外部から風洞部の内部へ空気を取り込むためのファンをさらに備え、ファンは、給気口よりも排気口に近い位置に設けられている。このように構成すれば、給気口および排気口が筐体の同じ側の側面に設けられ風洞部が直線状に設けられていない場合でも、ファンにより、風洞部の内部に容易に空気を取り込むことができる。また、ファンを給気口よりも排気口に近い位置に設けられることにより、給気口により風洞部の内部に給気された空気に含まれる異物および水分がファンに付着してファンの劣化が早まるのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、風洞部は、筐体の給気口および排気口とそれぞれ接続される第1部分および第2部分と、第1部分と第2部分とを接続するように延びる部分を有する第3部分と、を含み、電力変換ユニットには、風洞部のうちの第3部分が設けられており、電力変換ユニットは、第3部分が第1部分および第2部分と分離されることにより、筐体に対して着脱可能に構成されている。このように構成すれば、電力変換ユニットを筐体に対して容易に着脱することができるので、電力変換部本体および放熱部等を含む電力変換ユニットの交換やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0014】
この場合、好ましくは、電力変換ユニットが筐体に取り付けられている状態で、第1部分と第3部分とが接続される部分および第2部分と第3部分とが接続される部分に風洞部を囲むように略環状に設けられる第1シール部材をさらに備える。このように構成すれば、電力変換ユニットを筐体に対して着脱する場合でも、第1シール部材により、第1部分と第3部分とが接続される部分および第2部分と第3部分とが接続される部分の水密性(防水性)を容易に確保することができる。その結果、電力変換ユニットと筐体とが接続される部分において、給気口から風洞部の内部に給気された空気に含まれる水分が、風洞部から筐体の風洞部以外の部分に侵入するのを抑制することができる。
【0015】
上記第1シール部材を備える構成において、好ましくは、第1シール部材は、第1部分と第3部分とが接続される部分において、第1部分側または第3部分側のいずれかに設けられているとともに、第2部分と第3部分とが接続される部分において、第2部分側または第3部分側のいずれかに設けられている。このように構成すれば、第1シール部材を、第1部分と第3部分とが接続される部分および第2部分と第3部分とが接続される部分に容易に設けることができる。
【0016】
上記第1シール部材を備える構成において、好ましくは、風洞部は、第1部分と第3部分とが接続される部分と、第2部分と第3部分とが接続される部分とが、互いに異なる方向を向くように配置されており、電力変換ユニットは、筐体に対する旋回動作により、第1シール部材を介して、第3部分が第1部分および第2部分に対して略同時に接触するように、筐体に対して取り付けられるように構成されている。このように構成すれば、電力変換ユニットを、第1部分と第3部分とが接続される部分と、第2部分と第3部分とが接続される部分とが、互いに異なる方向を向くように配置される筐体に対して着脱する場合でも、第1部分と第3部分とが接続される部分および第2部分と第3部分とが接続される部分を同時に接触させることができる。その結果、第1部分と第3部分とが接続される部分および第2部分と第3部分とが接続される部分のいずれか一方の部分が接続しなくなるのを抑制することができるので、第1部分と第3部分とが接続される部分および第2部分と第3部分とが接続される部分の水密性(防水性)を容易に確保することができる。
【0017】
上記第1シール部材を備える構成において、好ましくは、電力変換ユニットが筐体に取り付けられている状態で、第1シール部材が略上下方向を向くように配置される場合に、風洞部において、第1シール部材の上方に、上側から見て少なくとも第1シール部材を覆うように設けられるカバー部材をさらに備え、カバー部材は、風洞部の中央に向かって下向きに傾斜するように設けられている。このように構成すれば、第1シール部材の上方に第1シール部材を覆うように設けられたカバー部材により、第1シール部材の上方から落下してくる異物および水分が第1シール部材の上に溜まってしまうのを抑制することができる。また、カバー部材が、風洞部の中央に向かって下向きに傾斜しているので、カバー部材の上に落下してくる異物および水分を第1シール部材がない風洞部の中央に向かって効率的に導くことができる。
【0018】
上記風洞部が第1部分および第2部分を含む構成において、好ましくは、第1部分または第2部分のうちの少なくとも一方は、下側の面が給気口または排気口の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分を含む。このように構成すれば、下側の面が給気口または排気口の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分により、給気口または排気口から風洞部の内部に侵入した水分を給気口または排気口に容易に導くことができる。その結果、給気口または排気口から風洞部の内部に侵入した水分が、風洞部の奥に侵入してしまうのを抑制することができる。
【0019】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、電力変換部本体と、風洞部の内部に配置された放熱部との境界に沿って設けられた第2シール部材をさらに備える。このように構成すれば、第2シール部材により、電力変換部本体と、風洞部の内部に配置された放熱部の境界部分との間の水密性(防水性)を容易に確保することができる。その結果、給気口から風洞部の内部に給気された空気に含まれる水分が、電力変換部本体と放熱部との境界部分において、放熱部側から電力変換部本体側に侵入するのを抑制することができる。
【0020】
上記一の局面による鉄道車両用電力変換装置において、好ましくは、給気口および排気口は、それぞれ、筐体の同じ側の側面において、下側および上側に設けられている。このように構成すれば、給気口と排気口とで上下方向の高さ位置を確実に異ならせることができるので、給気口および排気口を、筐体の同じ側の側面に確実に配置させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、風洞部を備えた鉄道車両用電力変換装置において、異物および水分が風洞部の内部に侵入することに起因して風洞部内部の部品が劣化するのを抑制するとともに風洞部の冷却性能が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置を備える鉄道車両を示した側面図である。
【
図2】(a)は、
図1の100-100切断線に沿った平面図である。(b)は、(a)の鉄道車両用電力変換装置近傍の拡大図である。(c)は、(b)の200-200切断線に沿った側面図である。
【
図3】(a)は、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置を給気口および排気口が設けられる側とは反対側から見た図である。(b)は、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置を給気口および排気口が設けられた側から見た図である。(c)は、(a)および(b)の300-300切断線に沿った側面断面図である。
【
図4】(a)は、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置が備える電力変換ユニットを示した図である。(b)は、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置が備える電力変換ユニットを風洞部の第2部分の側から見た図である。(c)は、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置が備える電力変換ユニットを風洞部の第1部分の側から見た図である。
【
図5】(a)は、電力変換ユニットの筐体からの着脱を説明するための図である。(b)は、電力変換ユニットの筐体からの着脱を説明するための別の図である。(c)は、電力変換ユニットの筐体からの着脱を説明するためのさらに別の図である。
【
図6】(a)は、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置が備える風洞部の第2部分と第3部分との接続部分の拡大断面図である。(b)は、本発明の一実施形態による鉄道車両用電力変換装置が備える風洞部の第1部分と第3部分との接続部分の拡大断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の変形例による鉄道車両用電力変換装置が備える風洞部の第2部分と第3部分との接続部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態による鉄道車両10用の電力変換装置20の構成について説明する。
図1に示すように、電力変換装置20は、車体11の床下空間11aにおいて車体11の下面11bに吊り下げられて固定されている。なお、電力変換装置20は、特許請求の範囲の「鉄道車両用電力変換装置」の一例である。以下では、鉄道車両10の走行方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する枕木方向をY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に共に直交する上下方向をZ軸方向として説明を行う。
【0025】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置20を備える鉄道車両10の概略構成を簡潔に説明する。鉄道車両10は、
図1に示すように、車体11と、架線2に供給されている電力を受電(集電)するパンタグラフ13と、架線2からの電力を利用して駆動輪14を回転させる誘導電動機15(破線で示す)と、空調機や制御機器などその他の複数の機器16と、を備えている。そして、電力変換装置20は、鉄道車両10の走行時に、架線2からの電力を半導体素子(図示しない)のスイッチングにより変換して、誘導電動機15の回転制御を行う役割を有している。
【0026】
次に、
図2を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置20の鉄道車両10における配置について簡潔に説明する。
図2(a)および
図2(b)に示すように、電力変換装置20は、車体11の床下空間11aにおいて、Z軸方向から見て、鉄道車両の走行方向(X軸方向)の一方側(X1側)および他方側(X2側)と、枕木方向(Y軸方向)の一方側(Y1側)および他方側(Y2側)とが、他の機器16に囲まれるように配置されている。また、
図2(c)に示すように、電力変換装置20は、車体11の床下空間11aにおいて、他の機器16とともに、車体11の下面11bから、鉄道車両10の下方(Z2側)に向かって突出するように設けられている。
【0027】
次に、
図3~
図6を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置20の構成を詳細に説明する。
図3(a)および
図3(b)に示すように、電力変換装置20は、略箱状に形成された筐体21を備えている。また、
図3(c)に示すように、電力変換装置20は、筐体21の内部に収納されたインバータユニット30と、筐体21の内部に配置された風洞部40と、風洞部40の内部へ空気を取り込むためのファン50と、を備えている。なお、インバータユニット30は、特許請求の範囲の「電力変換ユニット」の一例である。
【0028】
筐体21は、外線コネクタ部22と、開口部23と、給気口24と、排気口25と、水抜き孔26(
図3(b)参照)と、を含む。外線コネクタ部22および開口部23は、筐体21の正面側(Y1側)の側面21aに設けられている。本実施形態では、給気口24および排気口25は、筐体21の同じ側の側面に配置されている。詳細には、給気口24および排気口25は、筐体21において、鉄道車両10の走行方向(X軸方向)と直交する枕木方向(Y軸方向)の他方側(Y2側、筐体21の背面側)の同じ側面21bに設けられている。
【0029】
外線コネクタ部22は、筐体21の内部に収納される機器と筐体21の外部の機器とを電気的に接続するための端子(図示しない)を有する。開口部23は、筐体21の内部の機器の交換やメンテナンスのための開口を有し、(
図3に示した)通常の状態では、筐体21の正面側(Y1側)から正面カバー23aが取り付けられている。
【0030】
給気口24は、風洞部40の内部に風洞部40の外部の空気を給気するために設けられており、複数の孔部から構成されている。排気口25は、給気口24により風洞部40の内部へ給気され、風洞部40を通過した空気を風洞部40の外部へ排気するために設けられており、複数の孔部から構成されている。
【0031】
本実施形態では、給気口24および排気口25は、それぞれ、筐体21の背面側(Y2側)の側面21bにおいて、下側(Z2側)および上側(Z1側)に設けられている。具体的には、
図3(c)に示すように、給気口24は、筐体21の背面側(Y2側)の側面21bにおいて、筐体21の下面21cに近い下部に設けられている。また、排気口25は、筐体21の背面側(Y2側)の側面21bにおいて、筐体21の上面21dに近い上部に設けられている。また、
図3(b)に示すように、給気口24および排気口25は、それぞれ、筐体21の背面側(Y2側)の側面21bにおいて、X軸方向に並ぶように、かつ、X軸方向に間隔を隔てて、2つずつ設けられている。
【0032】
また、
図2(a)~
図2(c)に示すように、本実施形態では、筐体21の給気口24および排気口25が設けられる側(Y2側)の側面21bには、鉄道車両10に搭載される電力変換装置20以外の他の機器16が給気口24および排気口25に対向するように配置されている。具体的には、給気口24および排気口25は、上述したように、筐体21の背面側(Y2側)に設けられている。そして、
図2(a)および
図2(b)に示すように、電力変換装置20のY2側の近傍には、他の機器16aが、Y2側から見て、電力変換装置20を覆うように配置されている。また、
図2(c)に示すように、電力変換装置20は、X軸方向から見て、車体11の下面11bから、鉄道車両10の下方(Z2側)に向かって、他の機器16aと略同じ長さだけ突出するように設けられている。
【0033】
図3(b)に示すように、水抜き孔26は、筐体21の背面側(Y2側)の側面21bにおいて、X軸方向に並ぶように2つ設けられた給気口24それぞれの下方(Z2側)の近傍に設けられている。すなわち、水抜き孔26は、筐体21の下面21cに非常に近い位置に設けられている。これにより、給気口24に接続される風洞部40の内部において、下部に降下した水分を、水抜き孔26を介して風洞部40の外部へ除去することが可能である。
【0034】
図3(c)に示すように、インバータユニット30は、Y軸方向に並ぶように設けられた2つのインバータ31と、インバータ31を収納するためのユニット枠32と、インバータ31を固定するための固定板33と、を含む。
図2(b)に示すように、電力変換装置20では、2つのインバータユニット30が、X軸方向に並ぶように設けられている。
【0035】
図3(c)に示すように、インバータ31は、電力変換のための回路等が内部に収納されたインバータ回路部31aと、インバータ回路部31aの内部の熱を放熱するためのインバータ放熱部31bと、含む。インバータ回路部31aと、インバータ放熱部31bとは、一体的に形成されている。インバータ放熱部31bは、たとえば、金属製のフィンから構成されている。なお、本実施形態では、インバータ放熱部31bは、後述するように、風洞部40の内部に配置されている。なお、インバータ回路部31aおよびインバータ放熱部31bは、それぞれ、特許請求の範囲の「電力変換部本体」および「放熱部」の一例である。
【0036】
図4(a)に示すように、ユニット枠32は、インバータ31が収納される収納部32aと、収納部32aの下側(Z2側)に接続される筒状部32bと、を含む。
図4(a)~
図4(c)に示すように、ユニット枠32は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のそれぞれに複数の開口を有するように、枠状に形成されている。
【0037】
図4(a)に示すように、収納部32aには、2つのインバータ31が、Y軸方向に並ぶように離間して配置されている。筒状部32bは、Z軸方向に延びる筒状に形成されている。筒状部32bは、後述するように、風洞部40の一部を形成している。
【0038】
固定板33は、2つのインバータ31に挟まれるように、ユニット枠32において、Y軸方向の略中央に配置されている。2つのインバータ31は、固定板33側に設けられたネジ止め部(図示しない)と、固定板33のインバータ31側に設けられたネジ止め部(図示しない)とを介して、ネジ止めされることにより互いに固定されている。固定板33は、X軸方向およびZ軸方向に延びる板状に形成されている。
【0039】
図3(c)に示すように、風洞部40は、給気口24と排気口25とを接続するように筐体21の内部に設けられた風路として構成されている。風洞部40は、給気口24と接続される給気側風洞部41と、排気口25と接続される排気側風洞部42と、給気口24と排気口25とを接続するように延びるユニット側風洞部43と、を含む。なお、給気側風洞部41、排気側風洞部42およびユニット側風洞部43は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1部分」、「第2部分」および「第3部分」の一例である。
【0040】
給気側風洞部41は、X軸方向から見て、Y2側の給気口24から、Y1側に向かって、Y軸方向に延びるように設けられている。給気側風洞部41は、Y1側の端部において、ユニット側風洞部43のY2側に開口するZ2側の端部と接続するように構成されている。すなわち、本実施形態では、風洞部40は、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分が、Y軸方向を向くように配置されている。なお、給気側風洞部41を構成する壁部は、筐体21と一体的に形成されている。
【0041】
排気側風洞部42は、X軸方向から見て、Y2側の排気口25から、Y1側に向かって、Y軸方向に延びる部分と、Y軸方向に延びる部分がY1側の端部でZ軸方向に向きを変え、Z2側に向かって、Z軸方向に延びる部分と、を含むように設けられている。排気側風洞部42は、Z軸方向に延びる部分がZ2側の端部において、ユニット側風洞部43のZ1側の端部と接続するように構成されている。すなわち、本実施形態では、風洞部40は、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分が、(Y軸方向とは異なる方向である)Z軸方向を向くように配置されている。なお、排気側風洞部42を構成する壁部は、筐体21と一体的に形成されている。
【0042】
なお、本実施形態では、排気側風洞部42は、下側(Z2側)の面が排気口25の下端に向かって下向き(Z2方向)に傾斜するように設けられた部分を含む。具体的には、排気側風洞部42のY軸方向に延びる部分の下面(Z2側の面)42aは、Y2側からY1側に向かって、下向き(Z2方向)に傾斜している。そして、下面(Z2側の面)42aは、筐体21の側面21bと、排気口25の下端の位置で接続されるように配置されている。
【0043】
ユニット側風洞部43は、給気側風洞部41と接続されるZ2側の端部と、排気側風洞部42と接続されるZ1側の端部とが接続されるように、Z軸方向に延びるように設けられている。
【0044】
本実施形態では、風洞部40は、インバータ回路部31aを冷却するための空気を通過させるように構成されている。詳細には、インバータユニット30には、風洞部40のうちのユニット側風洞部43が設けられており、風洞部40は、内部に配置されたインバータ放熱部31bを介してインバータ回路部31aを冷却するように構成されている。
【0045】
具体的には、電力変換装置20では、インバータ回路部31aとインバータ放熱部31bとの間の回路部放熱部境界31cを挟んで、インバータ放熱部31bの側が、ユニット側風洞部43の内部に配置されている。そして、給気口24により風洞部40の外部から給気された空気が、インバータ放熱部31bが配置されたユニット側風洞部43を通過することにより、インバータ放熱部31bで熱交換が行われる。これにより、インバータ放熱部31bと一体的に形成されたインバータ回路部31aが冷却される。なお、回路部放熱部境界31cは、特許請求の範囲の「(電力変換部本体と前記放熱部との)境界」の一例である。
【0046】
本実施形態では、電力変換装置20は、回路部放熱部境界31cに沿って設けられた防水シール61を備えている。具体的には、防水シール61は、ユニット枠32に収納されたインバータ回路部31aとインバータ放熱部31bとの境界部分である回路部放熱部境界31cに沿って、インバータ31とユニット枠32との間の隙間を埋めるように設けられている。また、
図4(c)に示すように、防水シール61は、Y軸方向から見て、インバータ31の形状(略矩形形状)と対応するように、略矩形形状にインバータ31を囲むように設けられている。なお、防水シール61は、たとえば、液状のシール部材である。これにより、インバータ回路部31a側とインバータ放熱部31b側と間の水密性を容易に確保することが可能である。なお、防水シール61は、特許請求の範囲の「第2シール部材」の一例である。
【0047】
図3(c)に示すように、ファン50は、給気口24により筐体21の外部から風洞部40の内部へ空気を取り込むために設けられている。本実施形態では、ファン50は、給気口24よりも排気口25に近い位置に設けられている。具体的には、ファン50は、ユニット側風洞部43において、排気側風洞部42と接続される部分の近傍に配置されている。そして、ファン50を駆動させることにより風洞部40の内部に(外部に対して)生じた負圧により、給気口24から空気が取り込まれ、取り込んだ空気が排気口25の方向へ導かれる。
【0048】
ここで、本実施形態では、インバータユニット30は、ユニット側風洞部43が給気側風洞部41および排気側風洞部42と分離されることにより、筐体21に対して着脱可能に構成されている。具体的には、
図5(a)~
図5(c)に示すように、電力変換装置20では、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分と、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分とを分離することが可能に構成されている。また、給気側風洞部41を構成する壁部および排気側風洞部42を構成する壁部は、上述したように、筐体21と一体的に形成されている。これにより、ユニット側風洞部43を含むインバータユニット30を、給気側風洞部41および排気側風洞部42が固定された筐体21に対して着脱することが可能である。
【0049】
また、本実施形態では、
図3(c)、
図4(b)に示すように、電力変換装置20は、インバータユニット30が筐体21に取り付けられている状態で、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分に風洞部40を囲むように略環状に設けられる防水パッキン62を備える。詳細には、
図6に示すように、防水パッキン62は、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分において、ユニット側風洞部43側に設けるとともに、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分において、排気側風洞部42側に設けられている。なお、防水パッキン62は、特許請求の範囲の「第1シール部材」の一例である。
【0050】
具体的には、
図6(b)に示すように、防水パッキン62は、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分に設けられる防水パッキン62aと、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分に設けられる防水パッキン62bと、を含む。防水パッキン62aは、ユニット側風洞部43の給気側風洞部41側の端部に、かつ、Y軸方向を向くユニット側風洞部43の端部を取り囲むように設けられている。
図4(c)に示すように、防水パッキン62aは、Y軸方向から見て、略環状に形成されている。防水パッキン62bは、排気側風洞部42のユニット側風洞部43側の端部に、かつ、Z軸方向を向く排気側風洞部42側のZ2側の端部を取り囲むように設けられている。防水パッキン62bは、Z軸方向から見て、防水パッキン62aと同様に、略環状に形成されている。
【0051】
また、
図3(c)に示すように、本実施形態では、インバータユニット30は、筐体21に対する旋回動作により、防水パッキン62を介して、ユニット側風洞部43が給気側風洞部41および排気側風洞部42に対して略同時に接触するように、筐体21に対して取り付けられるように構成されている。
【0052】
具体的には、インバータユニット30では、ユニット枠32の収納部32aの上面に、ユニット枠32を筐体21から吊るすためのフック部材71が設けられている。フック部材71の先端部は、筐体21側にX軸方向に延びるように設けられた棒状部材72に引っ掛けるための曲げ部分が形成されている。なお、電力変換装置20では、2つのフック部材71が、X軸方向に間隔を隔てて設けられている。
【0053】
そして、
図5(a)に示すように、インバータユニット30を筐体21に対して着脱する際に、フック部材71を棒状部材72に引っ掛けた状態で、インバータユニット30を筐体21に対して旋回動作させることが可能に構成されている。これにより、
図5(a)に示すように、ユニット側風洞部43が給気側風洞部41および排気側風洞部42に対して接触していない状態から、インバータユニット30と筐体21とが互いに近づくように、インバータユニット30を筐体21に対して旋回動作させると、
図3(c)に示すように、ユニット側風洞部43が、防水パッキン62a、62bを介して、給気側風洞部41および排気側風洞部42に対して略同時に接触させることが可能である。
【0054】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
本実施形態では、上記のように、電力変換装置20では、風洞部40の給気口24および排気口25を、筐体21の同じ側の側面21aに配置する。これにより、給気口24が筐体21の側面の一方側および他方側に配置される場合と比較して、給気口24に対向する遮蔽物がない状態になりにくいので、給気口24を鉄道車両10の外部に直接開放された状態になるのを抑制することができる。また、給気口24が筐体21の側面に配置されているので、給気口24が筐体21の下面(Z2側)に配置される場合と異なり、給気口24が鉄道車両10の下方(Z2側)の外部に直接開放されない。したがって、給気口24から外部の空気を風洞部40の内部に給気する際に、塵埃などの異物、および、雨水、スプリンクラー水、雪などの水分が吸い込まれにくくなる。その結果、異物および水分が風洞部40の内部に侵入することに起因して風洞部40内部の部品が劣化するのを抑制するとともに風洞部40の冷却性能が低下するのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、給気口24および排気口25を、筐体21において、鉄道車両10の走行方向(X軸方向)と直交する枕木方向(Y軸方向)の他方側(Y2側)の同じ側面21bに設ける。これにより、給気口24および排気口25が、鉄道車両10の走行方向(X軸方向)の一方側(X1側)または他方側(X2側)の側面に配置される場合と異なり、給気口24から外部の空気を風洞部40の内部に給気する際に、鉄道車両10の走行時における走行風の影響を受けるのを抑制することができる。その結果、給気口24から風洞部40の内部に給気される風量を容易に適切に調整することができるので、インバータ回路部31aを適切に冷却することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、鉄道車両10では、筐体21の枕木方向(Y軸方向)側の側面(Y1側およびY2側)のうち、筐体21の給気口24および排気口25が設けられる側(Y2側)には、鉄道車両10に搭載される電力変換装置20以外の他の機器16を給気口24および排気口25に対向するように配置する。これにより、給気口24が設けられる側を、給気口24が設けられる側から見て、電力変換装置20以外の他の機器16により覆うことにより、鉄道車両10の外部に確実に直接開放された状態になるのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、電力変換装置20は、給気口24により筐体21の外部から風洞部40の内部へ空気を取り込むためのファン50を備え、ファン50を、給気口24よりも排気口25に近い位置に設ける。これにより、給気口24および排気口25が筐体21の同じ側の側面に設けられ風洞部40が直線状に設けられていない場合でも、ファン50により、風洞部40の内部に容易に空気を取り込むことができる。また、ファン50を給気口24よりも排気口25に近い位置に設けられることにより、給気口24により風洞部40の内部に給気された空気に含まれる異物および水分がファン50に付着してファン50の劣化が早まるのを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、風洞部40は、筐体21の給気口24および排気口25とそれぞれ接続される給気側風洞部41および排気側風洞部42と、給気側風洞部41と排気側風洞部42とを接続するように延びる部分を有するユニット側風洞部43と、を含み、インバータユニット30には、風洞部40のうちのユニット側風洞部43が設けられており、インバータユニット30を、ユニット側風洞部43が給気側風洞部41および排気側風洞部42と分離されることにより、筐体21に対して着脱可能に構成する。これにより、インバータユニット30を筐体21に対して容易に着脱することができるので、インバータ回路部31aおよびインバータ放熱部31b等を含むインバータユニット30の交換やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、電力変換装置20は、インバータユニット30が筐体21に取り付けられている状態で、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分に風洞部40を囲むように略環状に設けられる防水パッキン62を備える。これにより、インバータユニット30を筐体21に対して着脱する場合でも、防水パッキン62により、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分の水密性(防水性)を容易に確保することができる。その結果、インバータユニット30と筐体21とが接続される部分において、給気口24から風洞部40の内部に給気された空気に含まれる水分が、風洞部40から筐体21の風洞部40以外の部分に侵入するのを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、防水パッキン62を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分において、ユニット側風洞部43側に設けるとともに、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分において、排気側風洞部42側に設ける。これにより、防水パッキン62を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分に容易に設けることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、風洞部40を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分と、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分とが、互いに異なる方向を向くように配置させ、インバータユニット30を、筐体21に対する旋回動作により、防水パッキン62を介して、ユニット側風洞部43が給気側風洞部41および排気側風洞部42に対して略同時に接触するように、筐体21に対して取り付けられるように構成する。これにより、インバータユニット30を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分と、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分とが、互いに異なる方向を向くように配置される筐体21に対して着脱する場合でも、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分を同時に接触させることができる。その結果、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分のいずれか一方の部分が接続しなくなるのを抑制することができるので、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分の水密性(防水性)を容易に確保することができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、排気側風洞部42は、下側(Z2側)の面が排気口25の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分を含む。これにより、下側(Z2側)の面が排気口25の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分により、排気口25から風洞部40の内部に侵入した水分を給気口または排気口25に容易に導くことができる。その結果、排気口25から風洞部40の内部に侵入した水分が、風洞部40の奥に侵入してしまうのを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、インバータ回路部31aと、風洞部40の内部に配置されたインバータ放熱部31bとの境界に沿って設けられた防水シール61を備える。これにより、防水シール61により、インバータ回路部31aと、風洞部40の内部に配置されたインバータ放熱部31bの境界部分との間の水密性(防水性)を容易に確保することができる。その結果、インバータ回路部31aとインバータ放熱部31bとの境界部分において、給気口24から風洞部40の内部に給気された空気に含まれる水分が、インバータ放熱部31b側からインバータ回路部31a側に侵入するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、給気口24および排気口25を、それぞれ、筐体21の同じ側(Y2側)の側面において、下側(Z2側)および上側(Z1側)に設ける。これにより、給気口24と排気口25とで上下方向(Z軸方向)の高さ位置を確実に異ならせることができるので、給気口24および排気口25を、筐体21の同じ側の側面に確実に配置させることができる。
【0066】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0067】
たとえば、上記実施形態では、給気口24および排気口25を、筐体21において、鉄道車両10の走行方向(X軸方向)と直交する枕木方向(Y軸方向)の他方側(Y2側)の同じ側面21bに設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、給気口24および排気口25を、筐体21において、鉄道車両10の走行方向(X軸方向)と直交する枕木方向(Y軸方向)の一方側(Y1側)の同じ側面21aに設けてもよい。また、鉄道車両10の走行方向(X軸方向)の一方側(X1側)および他方側(X2側)の同じ側面に設けてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、筐体21の給気口24および排気口25が設けられる側(Y2側)に、鉄道車両10に搭載される電力変換装置20以外の他の機器16を給気口24および排気口25に対向するように配置させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体21の枕木方向(Y軸方向)側の側面(Y1側およびY2側)のうち、筐体21の給気口24および排気口25が設けられる側(Y2側)に、鉄道車両10に搭載される電力変換装置20以外の他の部材を給気口24および排気口25に対向するように配置してもよい。たとえば、車体11の床下空間11aをカバー部材によって覆うボディマウント構造により、筐体21の給気口24および排気口25が設けられる側(Y2側)において、カバー部材を給気口24および排気口25に対向するように配置してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、筐体21の給気口24および排気口25が設けられる側(Y2側)の側面21bには、鉄道車両10に搭載される電力変換装置20以外の他の機器16が給気口24および排気口25に対向するように配置させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体21の給気口24および排気口25が設けられる側(Y2側)の側面21bに、給気口24および排気口25に対向するように他の機器16等を配置させないように構成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、電力変換装置20を、車体11の床下空間11aにおいて、Z軸方向から見て、鉄道車両の走行方向(X軸方向)の一方側(X1側)および他方側(X2側)と、枕木方向(Y軸方向)の一方側(Y1側)および他方側(Y2側)とが、他の機器16に囲まれるように配置させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力変換装置20を、車体11の床下空間11aにおいて、Z軸方向から見て、鉄道車両の走行方向(X軸方向)の一方側(X1側)および他方側(X2側)と、枕木方向(Y軸方向)の一方側(Y1側)および他方側(Y2側)とのいずれかの側のみが、他の機器16に囲まれるように配置してもよい。また、電力変換装置20を、車体11の床下空間11aにおいて、Z軸方向から見て、他の機器16に囲まれないように配置してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、2つのインバータユニット30を、X軸方向に並ぶように設けるとともに、給気口24および排気口25を、それぞれ、筐体21の背面側(Y2側)の側面21bにおいて、X軸方向に並ぶように、2つずつ設けた例を示した。本発明はこれに限られない。本発明では、インバータユニット30を、1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。また、給気口24および排気口25を、それぞれ、1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、風洞部40を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分と、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分とが、互いに異なる方向を向くように配置させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、風洞部40を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分と、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分とが、互いに同じ方向を向くように配置してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、電力変換装置20は、給気口24により筐体21の外部から風洞部40の内部へ空気を取り込むためのファン50を備え、ファン50を、給気口24よりも排気口25に近い位置に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ファン50を、排気口25よりも給気口24に近い位置に設けしてもよい。また、ファン50を設けないように構成してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、インバータユニット30を、ユニット側風洞部43が給気側風洞部41および排気側風洞部42と分離されることにより、筐体21に対して着脱可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インバータユニット30を、筐体21に対して着脱不可能に構成してもよい。その場合、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分および排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分に風洞部40を囲むように略環状に設けられる防水パッキン62は不要となる。
【0075】
また、上記実施形態では、防水パッキン62を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分において、ユニット側風洞部43側に設けるとともに、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分において、排気側風洞部42側に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、防水パッキン62を、給気側風洞部41とユニット側風洞部43とが接続される部分において、給気側風洞部41側に設けてもよい。また、
図7に示す本発明の一実施形態の変形例による電力変換装置20aのように、防水パッキン62を、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分において、ユニット側風洞部43に設けてもよい。
【0076】
図7に示すように、本発明の一実施形態の変形例による電力変換装置20aでは、防水パッキン62b(62)が、排気側風洞部42とユニット側風洞部43とが接続される部分において、ユニット側風洞部43に設けられている。このような構成の場合、防水パッキン62b(62)の上面側の一部が風洞部40の内部に開放されているため、防水パッキン62b(62)に上方から落下してくる水分等が溜まりやすいと考えられる。
【0077】
そこで、電力変換装置20が、インバータユニット30が筐体21に取り付けられている状態で、防水パッキン62b(62)が略上下方向(Z軸方向)を向くように配置される場合に、風洞部40において、防水パッキン62b(62)の上方(Z1側)に、上側(Z1側)から見て防水パッキン62b(62)を覆うように設けられるガイド部材70を備え、ガイド部材70を、風洞部40の中央に向かって下向き(Z2方向)に傾斜するように設けるように構成してもよい。これにより、防水パッキン62の上方に防水パッキン62を覆うように設けられたガイド部材70により、防水パッキン62の上方から落下してくる異物および水分が防水パッキン62の上に溜まってしまうのを抑制することができる。また、ガイド部材70が、風洞部40の中央に向かって下向きに傾斜しているので、ガイド部材70の上に落下してくる異物および水分を防水パッキン62がない風洞部40の中央に向かって効率的に導くことができる。なお、ガイド部材は、特許請求の範囲の「カバー部材」の一例である。
【0078】
また、上記実施形態では、排気側風洞部42が、下側(Z2側)の面が排気口25の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、排気側風洞部42が、下側(Z2側)の面が排気口25の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分を含まないように構成してもよい。また、給気側風洞部41が、下側(Z2側)の面が給気口24の下端に向かって下向きに傾斜するように設けられた部分を含むように構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、インバータ回路部31aと、風洞部40の内部に配置されたインバータ放熱部31bとの境界に沿って設けられた防水シール61を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、インバータ回路部31aと、風洞部40の内部に配置されたインバータ放熱部31bとの境界に沿った部分に防水シール61を備えないように構成してもよい。その場合、インバータ回路部31aと、風洞部40の内部に配置されたインバータ放熱部31bの境界部分との間の水密性を確保するために何らかの防水構造を施すことが好ましい。
【0080】
また、上記実施形態では、給気口24および排気口25を、それぞれ、筐体21の同じ側(Y2側)の側面において、下側(Z2側)および上側(Z1側)に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、給気口24および排気口25を、それぞれ、筐体21の同じ側(Y2側)の側面において、上側(Z1側)および下側(Z2側)に設けてもよい。また、給気口24および排気口25を、互いに、水平方向(X軸方向またはY軸方向)に並ぶように配置させてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、車体11の床下空間11aに設置された電力変換装置20に対して本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。たとえば、車体11の屋根上に設置された電力変換装置に対して、本発明を適用してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、架線2からの電力を利用して走行する架空電車線方式の鉄道車両10の電力変換装置20に本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。走行用のレールとは別に並行して第三の給電用レール(第三軌条)が敷設され、この第三軌条に対して車体11側に設けられた集電靴(コレクターシュー)が擦って集電する第三軌条方式の鉄道車両10の電力変換装置に対して本発明を適用してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、架線2からの電力を利用して走行する架空電車線方式の鉄道車両10の電力変換装置20に本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ディーゼル機関を直接的な駆動源とする気動車に搭載された電力変換装置や、ディーゼル機関の発電によって誘導電動機15を回転させる電気式気動車などの鉄道車両10の電力変換装置に対して、本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 鉄道車両
16 (鉄道車両用電力変換装置以外の)他の機器
20 電力変換装置(鉄道車両用電力変換装置)
21 筐体
24 給気口
25 排気口
30 インバータユニット(電力変換ユニット)
31a インバータ回路部(電力変換部本体)
31b インバータ放熱部(放熱部)
31c 回路部放熱部境界((電力変換装置本体と放熱部との)境界)
40 風洞部
41 給気側風洞部(第1部分)
41a 下側の面
42 排気側風洞部(第2部分)
43 ユニット側風洞部(第3部分)
50 ファン
61 防水シール(第2シール部材)
62(62a、62b) 防水パッキン(第1シール部材)
70 ガイド部材(カバー部材)