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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】作業車輌
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/04 20060101AFI20221004BHJP
   F02D 11/10 20060101ALI20221004BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20221004BHJP
   B60K 28/10 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F02D11/04 F
F02D11/10 D
F02D45/00 358
F02D45/00 364G
B60K28/10 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018227616
(22)【出願日】2018-12-04
(65)【公開番号】P2020090920
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 武二
(72)【発明者】
【氏名】内田 恵三
(72)【発明者】
【氏名】足立 周一
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-287472(JP,A)
【文献】特開平03-043645(JP,A)
【文献】特開平11-148379(JP,A)
【文献】特開平06-050186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 11/04
F02D 11/10
F02D 45/00
B60K 28/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置等を駆動するエンジンと、エンジン回転数を設定するアクセルレバー及びアクセルペダルと、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段と、夫々の検出手段の検出値に基づいてエンジン側にそのエンジン回転数を指示する制御手段を備える作業車輌において、前記制御手段は、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値を取得して所定のエンジン回転数を設定すると共に、夫々に設定したエンジン回転数の高い何れか一方のエンジン回転数をエンジン側に指示し、また、検出手段の検出値に異常があると判断した場合は、異常があると判断した検出手段と異常がなく正常と判断した検出手段のエンジン回転数の設定を共に最低のエンジン回転数に設定し、前記制御手段は、異常がなく正常と判断した検出手段の検出値が、最低のエンジン回転数に相当する検出値に一致すると、それ以後、異常がなく正常と判断した検出手段の検出値を取得して所定のエンジン回転数を設定することを特徴とする作業車輌。
【請求項2】
前記制御手段は、アクセルレバー又はアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値が記憶する検出手段の上限値と下限値の間より外れた際、或いは予め設定する正常値の範囲外になった際に、この状態が所定の時間以上に亘って継続すると、検出値に異常があると判断することを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用トラクタ等の作業車輌に関し、詳しくは走行装置や作業機等を駆動するエンジンと、エンジン回転数を設定するアクセルレバー及びアクセルペダルと、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段と、夫々の検出手段の検出値に基づいてエンジン側にそのエンジン回転数を指示する制御手段を備える作業車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車輌としての農業用のトラクタは、エンジンの動力をトランスミッションケースに内装する走行変速装置や差動装置を介して前輪や後輪に伝達して走行すると共に、トランスミッションケースに同じく内装するPTO変速装置を介して、例えば、トラクタの後部に連結する作業機を駆動する。
【0003】
また、トラクタは路上走行等を行う移動走行と耕耘作業等を行う作業走行を行い、この内、移動走行を行う場合は走行変速装置を高速側に変速すると共に、走行速度が適切な速度になるようにエンジン回転数を調節する。一方、作業走行を行う場合は作業負荷が加わるので走行変速装置を低速側に変速すると共に、PTO変速装置を作業内容に合わせて適切な変速段に選択し、そして、作業速度と共に作業機回転数が適切になるようにエンジン回転数を調節する。
【0004】
さらに、トラクタはエンジン回転数を調節する手段としてアクセルレバーとアクセルペダルの二つを備え、この内、アクセルレバーはステアリングホイールの右側付近に設け、やや強めのフリクションで取り付けているので手を離しても調節した走行速度が維持される。また、アクセルペダルは足で操作するためフロアの右側寄りに設け、その踏み込みを止めれば走行速度が減速するように低速側に復帰付勢する。
【0005】
そして、移動走行を行う場合は、自動車と同様にアクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数(走行速度)を調節し、これによりカーブや坂道での増減速を素早く行うことができるようにする。また、作業走行を行う場合は、圃場の凹凸によってトラクタが揺れるからアクセルペダルの操作では長時間のエンジン回転数の維持(定速運転)が困難である。そのため、トラクタの動揺時でもエンジン回転数を一定に保てるアクセルレバーを用い、この場合、アクセルペダルの踏み込み操作は一時的な過負荷に対してエンジン回転数がドロップするような場合に補助的に用いることが多い。
【0006】
一方、トラクタ等の作業車輌に搭載するエンジンは燃費が良く低回転・高トルクとなるディーゼルエンジンが多く採用され、また、排気ガス規制に対応するためにサプライポンプで高圧にした燃料をレール(蓄圧室)内に蓄え、エンジンECUの制御のもとにタイミングよくインジェクタから各気筒に適切な量の燃料を噴射する電子制御コモンレールシステムを採用する水冷4サイクルディーゼルエンジンを用いることが多い。
【0007】
そこで、係るディーゼルエンジンをトラクタに搭載する場合、トラクタの主に作業機等を制御する作業機制御用ECUからCAN等のネットワークを介してエンジンECUに対してエンジン回転数の指示を出す。また、この場合に作業機制御用ECUは、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量に基づいてエンジン回転数を設定し、このエンジン回転数をエンジンECUに対して指示する。
【0008】
さらに、作業機制御用ECUはアクセルレバーやアクセルペダルの操作量をポテンショメータ等で構成するアクセルセンサによって検出する。そして、これらのアクセルセンサの異変(異常)を検出した場合、エンジン関連警告ランプを点灯させて、これらアクセルセンサの異変を警告することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-20690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のように走行装置等を駆動するエンジンと、エンジン回転数を設定するアクセルレバー及びアクセルペダルと、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段と、夫々の検出手段の検出値に基づいてエンジン側にそのエンジン回転数を指示する制御手段(作業機制御用ECU)を備える作業車輌は、特許文献1に既に知られている。また、特許文献1にはアクセルレバーやアクセルペダルの操作量を検出するポテンショメータ等で構成するアクセルセンサの異変(異常)を検出した場合、アクセルセンサの異変を警告することが記載されている。
【0011】
しかし、このものにはアクセルレバーやアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサに異常が生じた際に、その後、エンジンECUに対してどのようなエンジン回転数の指示を出すのか記載されていない。また、アクセルレバーやアクセルペダルのセンサの検出値をどのように取得して、これらのセンサの異常の判断を行うのか記載されていない。
【0012】
従って、アクセルレバーやアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサに異常があった際に、仮に以前と同様に異常のあったセンサを用いて、このセンサの検出結果によってエンジン回転数を設定し、また、エンジンECUに対してその設定したエンジン回転数を指示すると、エンジンECUは例えば、誤った最高エンジン回転数を指示されて、エンジン回転数を最高回転数になるようにエンジンを制御するため、作業車輌は走行中であると突然、速度を上げて暴走したり、作業機回転数が必要以上に高くなり作業機を損傷させる虞がある。
【0013】
そこで、本発明は、上述のような問題点に鑑み、アクセルレバーやアクセルペダルの操作量を検出するセンサに異常があった際に、フェイルセーフの考えに基づいてエンジン側に対して誤ったエンジン回転数の指示を行うことなく、殊にエンジン回転数の急上昇を防止してエンジン回転数を適切に下げるように指示することができる、作業車輌を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、走行装置等を駆動するエンジンと、エンジン回転数を設定するアクセルレバー及びアクセルペダルと、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段と、夫々の検出手段の検出値に基づいてエンジン側にそのエンジン回転数を指示する制御手段を備える作業車輌において、前記制御手段は、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値を取得して所定のエンジン回転数を設定すると共に、夫々に設定したエンジン回転数の高い何れか一方のエンジン回転数をエンジン側に指示し、また、検出手段の検出値に異常があると判断した場合は、異常があると判断した検出手段と異常がなく正常と判断した検出手段のエンジン回転数の設定を共に最低のエンジン回転数に設定し、前記制御手段は、異常がなく正常と判断した検出手段の検出値が、最低のエンジン回転数に相当する検出値に一致すると、それ以後、異常がなく正常と判断した検出手段の検出値を取得して所定のエンジン回転数を設定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記制御手段は、アクセルレバー又はアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値が記憶する検出手段の上限値と下限値の間より外れた際、或いは予め設定する正常値の範囲外になった際に、この状態が所定の時間以上に亘って継続すると、検出値に異常があると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の作業車輌は、走行装置等を駆動するエンジンと、エンジン回転数を設定するアクセルレバー及びアクセルペダルと、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段と、夫々の検出手段の検出値に基づいてエンジン側にそのエンジン回転数を指示する制御手段を備える作業車輌において、前記制御手段は、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値を取得して所定のエンジン回転数を設定すると共に、夫々に設定したエンジン回転数の高い何れか一方のエンジン回転数をエンジン側に指示し、また、検出手段の検出値に異常があると判断した場合は、異常があると判断した検出手段のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定する。
【0020】
そのため、アクセルレバーによってエンジン回転数を調節している際に、アクセルレバーの操作量を検出する検出手段の検出値に異常が見つかると、制御手段はこの検出手段のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定し、この最低のエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を下げて走行速度を減速することができ、走行中の作業車輌が突然、速度を上げて暴走したり、作業機回転数が必要以上に高くなり作業機を損傷させるといった不具合を防止することができる。
【0021】
また、アクセルレバーによってエンジンの回転数を調節している際に、アクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値に異常が見つかると、制御手段は同様にアクセルペダル側のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定する。そして、この場合、エンジン側に指示するエンジン回転数は、設定したエンジン回転数の高いアクセルレバーの操作量を検出する検出手段の正常な検出値によって設定するエンジン回転数となるから、異常が見つかる前と同様にアクセルレバーによってエンジンの回転数を適切に調節することができる。
【0022】
なお、逆にアクセルペダルによってエンジンの回転数を調節している際に、アクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値に異常が見つかったり、或いはアクセルレバーの操作量を検出する検出手段の検出値に異常が見つかった場合も同様であり、また、アクセルレバーとアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値に共に異常が見つかると、制御手段は最低のエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を下げることとなる。
【0024】
さらに、それまでエンジン回転数の設定が高い検出手段の検出値に異常が発生すると、制御手段はこの検出手段のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定する。そして、この場合、エンジン回転数の設定が低い検出手段のエンジン回転数の設定が最低のエンジン回転数の設定より上回っていれば、その後、制御手段はエンジン回転数の設定が低い正常な検出手段のエンジン回転数の設定に基づくエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を調節することになる。
【0025】
しかし、それまでエンジン回転数の設定が高い検出手段と低い検出手段との間のエンジン回転数の設定に開きが少なく、異常が発生してもエンジン回転数が若干下がるだけでは、異常の発生に気付くことなく走行をそのまま継続する虞があり、この際、エンジン回転数を再度、調節するため異常発生側のアクセルレバー又はアクセルペダルを操作しても、原因が分からないままエンジン回転数の調節を行うことができない制御不能状態を招く虞がある。
【0026】
そこで、検出手段の検出値に異常があると判断した場合は、異常があると判断した検出手段と異常がなく正常と判断した検出手段のエンジン回転数の設定を共に最低のエンジン回転数に設定すると、一方の検出手段の検出値に異常があると判断した場合は、制御手段は必ず最低のエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を下げて減速させることとなり、異常の発生を確実に報知して運転者の混乱を防止することができる。
【0027】
なお、前述のように検出手段の検出値に異常があると判断した場合に必ず最低のエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を下げて減速させると、全くエンジン回転数の調節をアクセルレバーやアクセルペダルによって行えないこととなり、それでは緊急事態に対処することが出来なくなる虞がある。
【0028】
そのため、前記制御手段は、異常がなく正常と判断した検出手段の検出値が、最低のエンジン回転数に相当する検出値に一致すると、それ以後、異常がなく正常と判断した検出手段の検出値を取得して所定のエンジン回転数を設定すると、検出手段の異常状態の発生の認識のもとに異常の発生していないアクセルレバー、又はアクセルペダルを一度、エンジン回転数の最低となる操作位置に戻すという回避行動を取った上で、この操作具を用いてエンジン回転数の調節を行って緊急事態に対処することができる。
【0029】
また、前記制御手段は、アクセルレバー又はアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値が記憶する検出手段の上限値と下限値の間より外れた際、或いは予め設定する正常値の範囲外になった際に、この状態が所定の時間以上に亘って継続すると、検出値に異常があると判断すると、アクセルレバー及びアクセルペダルの操作量を検出する検出手段の検出値の異常判定を正確に、また、安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】トラクタの正面図である。
図2】トラクタの側面図である。
図3】操縦部の斜視図である。
図4】アクセルレバーとアクセルペダルの取付け状態を示す分解図である。
図5】制御装置の回路図である。
図6】センサの異常状態を示す一覧表である。
図7】センサデータの異常判定の説明図である。
図8】エンジン回転数指示に関するフローチャートである。
図9】センサ位置率に対するエンジン回転設定の説明図である。
図10】第2実施形態の割り込みに関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図3に示すように作業車輌としての農業用のトラクタ1は、前方からエンジン2、クラッチハウジングケース3、トランスミッションケース4、デファレンシャルケース等を一体的に連結して車体(機体)を構成する。また、車体の前部側には、前照灯5やグリル6を前面に備えてエンジン2やバッテリー等の補器類を覆うボンネット7と、ボンネット7下方の左右のサイドカバー8を設ける。
【0032】
さらに、エンジン2に固定して前方に延びるフロントブラケット9には、前輪の差動歯車装置を内装するフロントアクスルケース10を左右揺動自在に軸支する。このフロントアクスルケース10の左右端には前車軸ケース(キングピンケース及びファイナルケース)11を取り付ける。また、前車軸ケース11は前輪12を取り付ける前車軸13を軸支し、操縦部に設けるステアリングホイール14によって左右の前輪12をパワステアリングユニットを介して操舵する。
【0033】
一方、走行用の主変速装置、副変速装置、及び前後進切換装置等を内装するトランスミッションケース4の後部に連結するデファレンシャルケースには後輪の差動歯車装置やPTO変速装置を内装し、このデファレンシャルケースの左右に連結したリアアクスルケースにブレーキを内装すると共に後車軸15を軸支し、また、後車軸15の端部に左右の後輪16を取り付ける。また、車体の後部には、トップリンク17及び左右のロワリンク18からなる周知の三点リンク機構を設ける。
【0034】
この三点リンク機構は、ロータリ耕耘装置19等の作業機を連結するものであり、作業機はデファレンシャルケースの上部に取り付ける油圧ハウジングの左右のリフトアームと、左右のリフトアームの先端と左右のロワリンク18の中途にそれぞれ一端を連結するリフトロッドを介して昇降する。また、デファレンシャルケースの後部に軸支するPTO軸(動力取出軸)からエンジン動力を作業機に伝達する。
【0035】
さらに、エンジン2より後方の車体にはフロア20を設ける。また、このフロア20の前部寄りに立設する門型のステーにはステアリングホイール14を軸支するステアリングコラムと、メータユニット等を取り付けるメーターパネル21と、その下方側を覆うリヤパネルカバー22を設ける。さらに、フロア20の後端に設けるシート下部カバー上に運転席23を設け、運転席23の側方には後輪16の前方から上方に亘る範囲を覆う左右のフェンダ24を設ける。
【0036】
そして、運転席23周りの操縦部には各種の操作具を設け、また、この操縦部の全体をキャビン25で覆う。なお、操縦部に設ける操作具としては、リヤパネルカバー22の左上部寄りに前後進切換レバー26を、右側のステアリングコラムにはアクセルレバー27を設ける。また、フロア20の前部寄りの左側にはクラッチペダル28を設け、他側には左右のブレーキペダル29を設ける。さらに、左右のブレーキペダル29の右寄りの後方にはアクセルペダル30を設ける。
【0037】
また、左右のフェンダ24と運転席23との間には、主変速レバー31、副変速レバー32、PTO変速レバー33、サイドパネル34を設け、このサイドパネル34に作業機を昇降させるポジションコントロールレバー35、走行系とは別に独立してPTOクラッチを入り切りするインデPTOスイッチ36等を設ける。
【0038】
次に、トランスミッションケース4に設ける走行変速装置等を介して前輪12や後輪16を駆動し、また、PTO変速装置等を介して作業機を駆動するエンジン2、及びエンジン2をコントロールするアクセルレバー27とアクセルペダル30について説明する。先ず、エンジン2は、その燃料噴射方式を電子コモンレールシステムとする水冷4サイクルディーゼルエンジンで構成し、排ガス規制に適合するために排ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)システムやディーゼル酸化触媒(Diesel Oxidation Catalys)を搭載している。
【0039】
また、図4に示すように、アクセルレバー27はステアリングコラムに取り付けたブラケット37に圧縮スプリング38によって摩擦力を付与しながら回動自在に取り付け、その基部寄りに設けるアーム27aにはストッパピン27bとセンサ作動ピン27cを設ける。この内、ストッピン27bはブラケット37に形成する切欠部37a内に臨み、この切欠部37aの端面にストッピン27bが当接してアクセルレバー27の回動範囲が規制される。
【0040】
一方、センサ作動ピン27cはアクセルレバーセンサ39を作動させ、このアクセルレバーセンサ39はリターンスプリング付きのポテンショメータで構成し、このポテンショメータの軸に取り付けたアーム39aの先端部がセンサ作動ピン27cによって押圧されてアクセルレバー27の回動量(角度)を検出する。また、合成樹脂製とするアクセルペダル30は操縦部のフロア20に、その基部を回動自在に軸支し、その先端寄り背面部とフロア20との間にロッド40aとリンク片40bで構成するリンク機構40を設ける。さらに、引っ張りスプリング41はリンク片40bと係合してアクセルペダル30の先端寄りを上動させる。
【0041】
そして、アクセルペダル30はフロア20に取り付けたストッパゴムSと当接して最大踏込角度が規制され、また、フロア20の下面に設けるストッパボルト(不図示)がリンク片40bに当接してアクセルペダル30から足を離した際の最小角度が規制される。そして、リンク片40bはアクセルペダルセンサ42を作動させ、このアクセルペダルセンサ42はリターンスプリング付きのポテンショメータで構成し、このポテンショメータの軸に取り付けたアーム42aの先端部がリンク片40bによって押圧されてアクセルペダル30の踏込量(角度)を検出する。
【0042】
次に、前述のアクセルレバー27とアクセルペダル30によってエンジン2をコントロールする制御装置について説明する。図5の回路図に示すように、エンジン2は自らの燃料噴射量等を制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)43を備え、トラクタ1に備える左右のリフトアームの回動等を制御する作業機ECU44とエンジンECU43はCAN(Controller Area Network)通信によって相互に結んでいる。また、作業機ECU44の入力側にはアクセルレバーセンサ39及びアクセルペダルセンサ42を構成するポテンショメータを接続する。
【0043】
なお、上記ポテンショメータ39、42は例えば、2KΩの可変抵抗器からなり、センサ電源(A5V)とセンサグランドとの間に設け、その出力信号は作業機ECU44のアナログ入力回路45を介してワンチップマイコン46のA/D変換ポートに入力する。また、ポテンショメータ39、42とアナログ入力回路45の間から100KΩの入力抵抗47を与えてグランドに繋いでいる。
【0044】
従って、図6の一覧表に示すように、アクセルレバーセンサ39及びアクセルペダルセンサ42の信号線等が開放又はショートすると、その出力電圧は0V又は4.9~5.00Vとなり、また、A/D変換したデジタル値は0又は4014~4095となる。
【0045】
一方、アクセルレバー27とアクセルペダル30の夫々の回動範囲の規制に基づいて、アクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42には、夫々作動範囲における上限値と下限値が存在する。また、この夫々のセンサ39、42の上限値と下限値は、作業機ECU44がそのメモリバックアップ機能によってEEPROM(登録商標)等の不揮発性メモリに予め記憶している。
【0046】
そして、アクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42の異常と正常の判断は、そのA/D変換したデジタル値に基づいて判定することができ、例えば、図7に示すように電気回路上の正常と異常のしきい値は、前述の信号線等が開放又はショートした際のデジタル値を元にこれに誤差を加えた値(例えば、168~3927の範囲であれば正常)とする。
【0047】
また、アクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42の夫々の上限値と下限値(アクセルレバーセンサ範囲とアクセルペダルセンサ範囲)も上述のしきい値の正常範囲内に十分入ることになる。或いは、アクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42の夫々の上限値と下限値がしきい値の正常範囲内に十分入るように各センサ39、42を取り付ける。
【0048】
そして、作業機ECU44はアクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42からの入力信号に基づいて、エンジン回転数を演算してエンジンECU43に対してエンジン回転数の指示を出す。即ち、作業機ECU44は、図8に示すようにインターバールタイマーによって所定時間毎に割り込みを発生させ、アクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42に対して夫々以下の処理を行う。
【0049】
先ず、割り込みではアクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42のA/D変換されたセンサデータを取得し、これをバッファに格納する(S1)。また、エンジンの始動時のイニシャルセットにおいてリセットした異常フラグに基づいて(S2)、それ以前にセンサデータに異常がなければ、センサデータの異常の判定を行う(S3)。そして、この場合のセンサデータの異常判定は、前述の電気回路上の正常と異常のしきい値に基づいて行う場合と、各センサの上限値と下限値から外れた場合があり、また、何れの場合も電気的なノイズを考慮して、そのしきい値、或いは上下限値を外れた時間が一定時間以上経過した時に異常と判定する。
【0050】
より詳しくは、アクセルペダル30はその踏み込みによってエンジン回転数を増減し、アクセルペダルセンサ42は通常であれば、その上限値と下限値の間でセンサデータが変化することになる。しかし、アクセルペダル30の先端寄りがストッパゴムSと当接して最大踏込角度になった際に、更に強く踏み込むとアクセルペダル30が撓んでアクセルペダル30の先端部に設けるロッド40aが下方に押し込まれ、アクセルペダルセンサ42の上限値を超える虞がある。
【0051】
そのため、アクセルペダルセンサ42は上限値と下限値によって異常判定を行うと、センサ自体は正常であっても異常と判定される場合が生ずるから、アクセルペダルセンサ42の異常判定は電気回路上の正常と異常のしきい値に基づいて行う。また、アクセルレバー27はそのような撓みを生じない構造となっているから、アクセルレバーセンサ39は上限値と下限値によって異常判定を行い、或いはアクセルペダルセンサ42と同様に電気回路上の正常と異常のしきい値に基づいて異常判定を行ってもよい。
【0052】
以上、異常判定の詳細について説明したが、このような異常判定を行った後、センサデータが正常であれば、センサデータを位置率データに変換する(S4)。なお、ここでいう位置率データとは、図9に示すように、取得したセンサデータが各センサ39、42の上限値と下限値の間を100パーセントとした場合の指示率を求めるものである。
【0053】
また、センサデータを位置率データに変換したら、この位置率データを積算処理して新たな位置率データを設定する(S5)。なお、位置率データの積算処理はセンサデータが急激に変化したとしても、これをそのままエンジン2側に伝達して急激にエンジン回転数が増減することを抑制し、エンジン回転数を徐々に指示された回転数になるようになまし処理するものである。
【0054】
例えば、この積算処理は、今回取得した新しい位置率データAから数十マイクロセカンド前の旧位置率データBの差分にゲインGを掛けた値を、それまでに算出した前回の位置率データCに加算した値を求め、この値を新たな位置率データCとすることによって行うことができる(位置率データC=位置率データC+(位置率データA-位置率データB)*ゲインG)。
【0055】
一方、ステップS2において異常フラグがセットされていたり、ステップS3においてセンサデータに異常が見つかると、異常フラグをセットする(S6)。また、異常発生前の位置率データが0パーセントになるまで一定率ずつ減算し、徐々にエンジン回転数が最低になるように位置率データを変更する(S7、S8、S9)。
【0056】
そして、以上のような割り込み処理を行って得られた各センサ39、42の位置率データ並びに異常の有無は、エンジン回転数指示のメインプログラムのステップS10において取得し、次に各センサ39、42の位置率データをエンジン回転数の最低から最高に亘るエンジン回転数の指示データに変換する(S11)。
【0057】
なお、エンジン回転数の指示データは、位置率データに基づいて例えば、図9に示すように各センサ39、42の位置率が0~5パーセント、並びに95~100パーセントに入る場合はその指示データ(回転設定)をエンジン回転数に換算して最低(600r/min)と最大(2650r/min)とし、また、5~95パーセントに入る場合は最低と最大を結ぶ直線上の値としてリニアに変化させるようにする。
【0058】
そして、このように回転設定の最低と最大において位置率に5パーセント程度の幅を持たせると、経年変化等によってアクセルレバー27やアクセルペダル30が所定の規制位置に戻らなかった場合に生ずるエンジン回転数が上がりきらなかったり、下がりきらなかったりするという不具合を未然に防止して、エンジン回転数の調節を常に適切に行うことができるようにする。
【0059】
また、位置率データをエンジン回転数の指示データに変換すると、両センサ39、42の指示データを比較して、その高い方の指示データをエンジン2側に実際に指示する指示データとし(S12)、この指示データをエンジンECU43に送信する(S13)。従って、以上のようにエンジン回転数の指示を行う作業機ECU44の制御内容とそれに伴う作用を纏めると、次のようになる。
【0060】
即ち、作業機ECU44(制御手段)は、アクセルレバー27とアクセルペダル30の操作量を検出するアクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42(検出手段)の検出値を取得して図9に示す所定のエンジン回転数を設定(指示データを作成)すると共に、夫々に設定したエンジン回転数の高い何れか一方のエンジン回転数(指示データ)をエンジン2側に指示し、また、検出手段の検出値に異常があると判断した場合は、異常があると判断した検出手段のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定する(位置率データをゼロにして指示データを最低にする)。
【0061】
そのため、アクセルペダル30から足を離してアクセルレバー27によってエンジン回転数を調節する作業走行時には、アクセルペダルセンサ42の検出値に基づくエンジン回転数の設定が最低回転となっているから、アクセルレバーセンサ39の検出値に基づくエンジン回転数の設定がこの最低回転より上回ることになって、専らエンジン2の回転数はアクセルレバー27によって指示することになる。
【0062】
一方、アクセルレバー27を低回転側に戻してアクセルペダル30を踏み込んでエンジン回転数を調節する移動走行時には、アクセルレバーセンサ39の検出値に基づくエンジン回転数の設定が最低回転か或いは低回転となっているから、アクセルペダルセンサ42の検出値に基づくエンジン回転数の設定がこの回転数より上回ることになって、専らエンジン2の回転数はアクセルペダル30によって指示することになる。
【0063】
なお、この移動走行時にアクセルペダル30の踏み込みを止めると、アクセルペダルセンサ42の検出値に基づくエンジン回転数の設定が最低回転となる。しかし、この際にアクセルレバーセンサ39の検出値に基づくエンジン回転数の設定が低回転となっている場合は、このアクセルレバーセンサ39の検出値に基づく低回転の指示が上回ることになって、エンジン2の回転数はアクセルレバー27によって指示する低回転まで低下する。
【0064】
また、作業走行時に一時的な過負荷によってエンジン回転数がドロップしようとした際に、アクセルペダル30を踏み込むと、アクセルペダルセンサ42の検出値に基づくエンジン回転数の設定がアクセルレバーセンサ39の検出値に基づくエンジン回転数の設定より上回った段階で、エンジン回転数を上げるよう指示することができるから、過負荷によるエンジン回転数のドロップをアクセルペダル30の補助的な踏み込み操作によって速やかに解消することができる。
【0065】
さらに、アクセルレバー27によってエンジン回転数を調節している際に、アクセルレバー27の操作量を検出する検出手段39の検出値に異常が見つかると、制御手段44はこの検出手段39のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定し、この最低のエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を下げて走行速度を減速することができ、走行中の作業車輌1が突然、速度を上げて暴走したり、作業機回転数が必要以上に高くなり作業機19を損傷させるといった不具合を防止することができる。
【0066】
また、アクセルレバー27によってエンジン回転数を調節している際に、アクセルペダル30の操作量を検出する検出手段42の検出値に異常が見つかると、制御手段44は同様にアクセルペダル30側のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定する。そして、この場合、エンジン2側に指示するエンジン回転数は、設定したエンジン回転数の高いアクセルレバー27の操作量を検出する検出手段39の正常な検出値によって設定するエンジン回転数となるから、異常が見つかる前と同様にアクセルレバー27によってエンジン2の回転数を適切に調節することができる。
【0067】
なお、アクセルペダル30によってエンジン回転数を調節している際に、アクセルペダル30の操作量を検出する検出手段42の検出値に異常が見つかると、制御手段44はこの検出手段44のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定し、この最低のエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を下げて走行速度を減速することができる。
【0068】
また、アクセルペダル30によってエンジン回転数を調節している際に、アクセルレバー27の操作量を検出する検出手段39の検出値に異常が見つかると、制御手段44はアクセルレバー27側のエンジン回転数の設定を最低のエンジン回転数に設定する。しかし、エンジン2側に指示するエンジン回転数は、アクセルペダル30の操作量を検出する検出手段42の正常な検出値によって設定するエンジン回転数となり、異常が見つかる前と同様にアクセルペダル30によってエンジン2の回転数を適切に調節することができる。
【0069】
さらに、アクセルレバー27とアクセルペダル30の操作量を検出する検出手段39、42の検出値に共に異常が見つかると、夫々のエンジン回転数の設定は最低となるから、制御手段44は最低のエンジン回転数をエンジン2側に指示してエンジン回転数を下げることができる。
【0070】
なお、検出手段39、42の検出値に異常が見つかってエンジン2の回転数を下げる際には、制御手段44はエンジン回転数の設定を徐々に最低のエンジン回転数に設定する(図8のステップS7、S8、S9参照)ので、エンジン回転数を徐々に下げて作業車輌1を減速することができ、走行中の作業車輌1が突然、急激に減速して後続車に迷惑を掛けたり、運転者が前のめりになることを防止することができる。
【0071】
また、制御手段44は検出手段39、42の検出値に異常が見つかると、異常フラグをセットして、その後の検出手段39、42の検出値に基づく異常判定やエンジン回転数の設定を行わない。即ち、異常が一度生ずると検出手段39、42の検出値は不安定となっていると想定される。そこで、検出手段39、42の検出値が正常に復帰した際に、この検出値に基づいてエンジン回転数の設定を行うようになすと、予期しない時にエンジン回転数が変化することになって危険を及ぼす虞がある。
【0072】
そのため、制御手段44は検出手段39、42の検出値に異常が見つかると、エンジン2が回転している間は故障している検出手段39、42を無効として使用しないものとし、エンジン始動キースイッチの再始動操作によってのみ検出手段39、42の検出値に基づく異常判定やエンジン回転数の設定の有効化を可能とする。
【0073】
そのうえ、制御手段44は、アクセルレバー27又はアクセルペダル30の操作量を検出する検出手段39、42の検出値が記憶する検出手段39、42の上限値と下限値の間より外れた際、或いは予め設定する正常値の範囲外になった際に、この状態が所定の時間以上に亘って継続すると、検出値に異常があると判断する。そのため、制御手段44はアクセルレバー27及びアクセルペダル30の操作量を検出する検出手段39、42の検出値の異常判定を正確に、また、安定して行うことができる。
【0074】
さらに、制御手段44は、操縦部のメーターパネル21にアクセルレバーセンサ39とアクセルペダルセンサ42の故障診断ランプを夫々設け、これらの検出値が正常であるとランプを消灯し、また、異常であるとランプを点滅させて異常の報知を行う。そのため、ランプ報知によりセンサ状態を把握することができ、故障センサを無効のまま移動走行や作業走行を行うか、故障を直して再始動により正常に戻すことができたか再確認を行うことができる。
【0075】
なお、検出手段39、42の検出値に異常が見つかると、エンジン2が回転している間は故障している検出手段39、42を無効として使用しないものの、検出手段39、42の検出値に基づく異常判定は行うものとし、その後、検出値が正常に戻った場合にはランプを連続点灯させてもよく、これにより再始動による再確認を促すことができる。
【0076】
以上、本発明の第1の実施形態について説明したが、次に本発明の第2の実施形態について説明すると、第2の実施形態は第1の実施形態に対して制御手段44のエンジン回転数の指示内容に変更を加えるものであり、この違いを図10に示す割り込みのフローチャートに基づいて説明する。なお、割り込みにおけるステップS1からS9までは第1の実施形態における割り込みと同様であるが、第2の実施形態においてはステップS3とステップS4との間にステップT1かひこらステップT7を追加する。
【0077】
即ち、追加したステップT1はアクセルレバーセンサ39における処理を行っている際に他のセンサ、即ちアクセルペダルセンサ42のセンサ状態を取得し、又はアクセルペダルセンサ42における処理を行っている際に他のセンサ、即ちアクセルレバーセンサ39のセンサ状態を取得し、この他のセンサが異常であれば、エンジンの始動時のイニシャルセットにおいてリセットした有効化フラグの状態を判断する(T2)。また、有効化フラグがリセットされていれば、センサデータを調べ(T3)、このセンサデータがエンジン回転数の最低回転数に相当する位置に戻されていれば有効化フラグをセットする(T4)。
【0078】
さらに、次のステップT5からステップT6では、ステップS7からステップS9と同様に他のセンサに異常が発生する前の位置率データが0パーセントになるまで一定率ずつ減算し、徐々にエンジン回転数が最低になるように位置率データを変更する。なお、ステップT2において有効化フラグがセットされていれば、ステップS4とS5を実行し、異常がなかった際と同様に最終的に位置率データを更新する。
【0079】
従って、このように割り込みプログラムを変更すると、制御手段44は検出手段39、42の検出値に異常があると判断した場合は、異常があると判断した検出手段と異常がなく正常と判断した検出手段のエンジン回転数の設定を共に最低のエンジン回転数に設定し、これをエンジン側に指示してエンジン回転数を下げて減速させることとなり、異常の発生を体感させて確実に報知することができる。
【0080】
なお、検出手段39、42の検出値に異常があると判断した場合に必ず最低のエンジン回転数をエンジン側に指示してエンジン回転数を下げて減速させると、全くエンジン回転数の調節をアクセルレバー27やアクセルペダル30によって行えないこととなり、それでは緊急事態に対処することが出来なくなる虞がある。
【0081】
そこで、制御手段44は、異常がなく正常と判断した検出手段39、42の検出値が、最低のエンジン回転数に相当する検出値に一致すると、それ以後、異常がなく正常と判断した検出手段の検出値を取得して所定のエンジン回転数を設定する。そのため、検出手段39、42の異常状態の発生の認識のもとに異常の発生していないアクセルレバー27、又はアクセルペダル30を一度、エンジン回転数の最低となる操作位置に戻すという回避行動を取った上で、この操作具を用いてエンジン回転数の調節を行って緊急事態に対処することができる。
【0082】
以上、本発明の第1と第2の実施形態について説明したが、これらの実施形態に示す制御手段として作業機ECU44を用いたが、トラクタ1の走行制御やメータユニットの制御を行うECU、或いはエンジンECU43自体に本発明の制御手段の機能を組み込んでもよく、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 トラクタ(作業車輌)
2 エンジン
27 アクセルレバー
30 アクセルペダル
39 アクセルレバーセンサ(検出手段)
42 アクセルペダルセンサ(検出手段)
43 エンジンECU
44 作業機ECU(制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10