(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】生体成分測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/49 20060101AFI20221004BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G01N21/49 Z
G01N33/49 K
(21)【出願番号】P 2018231769
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】10-2017-0184312
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】嚴 槿 ▲せん▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲しゅん▼ ▲けい▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 貞 恩
(72)【発明者】
【氏名】南 廷 容
(72)【発明者】
【氏名】張 基 永
【審査官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/151587(WO,A1)
【文献】国際公開第2003/096272(WO,A1)
【文献】特開2013-126510(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0276276(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0058595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - 21/958
G01N 33/00 - 33/98
A61B 5/00 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に第1波長の第1光を照射する第1光源と、
被検体に前記第1波長と異なる第2波長の第2光を照射する第2光源と、
前記被検体から散乱または反射した第1光及び第2光を検出する検出器と、
前記検出された第1光に基づいて散乱係数を決定し、前記検出された第2光に基づいて血管の深さ情報を獲得し、前記血管の深さ情報に基づいて、前記散乱係数を補正して生体成分を測定するプロセッサと、
を含む生体成分測定装置。
【請求項2】
前記第1光源及び検出器は、
前記被検体の少なくとも1つの血管位置と整列されるように、前記被検体の表面に配される請求項1に記載の生体成分測定装置。
【請求項3】
前記検出器を含む複数の検出器をさらに含み、
前記複数の検出器は、
前記第1光源から互いに異なる距離に配される請求項1または2に記載の生体成分測定装置。
【請求項4】
前記第2光源は、
前記検出器と既定の距離ほど離隔して配される請求項1~3のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項5】
前記第2波長は、500nm~855nmの波長帯域である請求項1~4のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項6】
前記第1光源及び第2光源は、LED、レーザダイオード及び蛍光体のうちの少なくとも1つを含む請求項1~5のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項7】
前記第1光源は、前記第1光を含む複数の第1光をさらに照射し、
前記複数の検出器は、前記被検体から散乱された複数の第1光を検出し、
前記プロセッサは、
前記検出された複数の第1光の光強度、信号対雑音比(SNR)、各検出器と第1光源との距離及び各検出器に対応する血管の深さ情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の検出器のうちの1つ以上の検出器を選択する請求項3に記載の生体成分測定装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記血管の深さ情報に基づいて複数の検出器のうちから同じ深さの血管
に対応する位置に配された
2つ以上の検出器を選択し、該選択された
2つ以上の検出器から検出した第1光に基づいて散乱係数を決定する請求項7に記載の生体成分測定装置。
【請求項9】
前記第1光を含む複数の第1光を照射する複数の第1光源をさらに含み、
前記複数の検出器は、前記被検体から散乱された複数の第1光を検出し、
前記プロセッサは、
前記複数の検出器によって検出された複数の第1光の信号対雑音比を決定し、信号対雑音比の大きさ順によって、前記複数の第1光源のうちから1つ以上の第1光源を選択し、
前記信号対雑音比の大きさ順によって、前記複数の検出器のうちから1つ以上の検出器を選択する請求項3に記載の生体成分測定装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記血管の深さ情報に基づいて、前記検出された第1光信号の検出深さを決定し、前記決定された検出深さと基準深さとの比較の結果に基づいて、前記決定された散乱係数を補正する請求項1~9のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記検出された第1光に基づいて光強度を決定し、前記決定された光強度及び前記検出器と第1光源との距離に基づいて、前記散乱係数を決定する請求項1~10のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記検出された第2光に基づいて光強度を決定し、前記光強度の変化によって血管の深さ変化を推定して、前記血管の深さ情報を生成する請求項1~11のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項13】
前記第1光源、第2光源及び検出器は、
四角形、円形、同心円形または帯形を有する既定の構造の配列で配される請求項1~12のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項14】
前記第1光源、第2光源及び前記検出器の作動状態、血管の位置及び深さ、生体散乱された光強度、反射した光強度、生体成分の種類及び濃度、ガイド情報及び警告情報のうちの少なくとも1つを出力する出力部をさらに含む請求項1~13のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項15】
前記生体成分は、血中中性脂肪、コレステロール、タンパク質、血糖及び尿酸のうちの少なくとも1つを含む請求項1~14のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項16】
被検体に光を照射する光源アレイと、
前記光源アレイの各光源から照射され
、前記被検体から散乱または反射した光を検出する検出器アレイと、
前記光源アレイに含まれた各光源を個別的に駆動し、前記駆動された光源から照射された光に対して、前記検出器アレイの各検出器から検出された各光信号に基づいて
散乱係数を決定し、また、前記各光信号に基づいて前記各検出器
の前記被検体の血管に対する光路長の情報を生成し、該生成された光路長の情報に基づいて
前記散乱係数を補正して生体成分を測定するプロセッサと、
を含む生体成分測定装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記検出器アレイの各検出器を個別的に制御して1つ以上の検出器を駆動する請求項16に記載の生体成分測定装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、
前記光路長の情報と基準光路長の情報とを比較し、該比較の結果に基づいて、前記散乱係数を補正する請求項17に記載の生体成分測定装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、
前記光路長の情報に基づいて、前記検出器アレイのうちから2つ以上の検出器を選択し、該選択された2つ以上の検出器によって検出された光に基づいて散乱係数を決定する請求項16~18のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項20】
前記光源アレイの各光源及び前記検出器アレイの各検出器は、
四角形、円形、同心円形または帯形を有する既定の構造の配列で配される請求項16~19のいずれか一項に記載の生体成分測定装置。
【請求項21】
検出器を通じて第1光源から照射された第1光を検出する段階と、
前記検出器を通じて第2光源から照射された第2光を検出する段階と、
前記検出された第1光に基づいて散乱係数を決定する段階と、
前記検出された第2光に基づいて血管の深さ情報を獲得する段階と、
前記獲得された血管の深さ情報に基づいて、前記散乱係数を補正する段階と、
前記補正された散乱係数を用いて生体成分を測定する段階と、
を含む生体成分測定方法。
【請求項22】
前記第1光源及び検出器は、1つ以上の血管位置と整列されるように配される請求項21に記載の生体成分測定方法。
【請求項23】
前記第2光源は、500nm~855nmの波長帯域の光を照射する請求項21または22に記載の生体成分測定方法。
【請求項24】
前記検出器が複数である場合、各検出器を通じて検出された第1光及び第2光の光強度、信号対雑音比(SNR)、各検出器と第1光源との距離、各検出器に対応する血管の深さ情報のうちの少なくとも1つに基づいて、複数の検出器のうちの1つ以上の検出器を選択する段階をさらに含む請求項21~23のいずれか一項に記載の生体成分測定方法。
【請求項25】
前記検出器を選択する段階は、
前記複数の検出器のうちから同じ深さの血管
に対応する位置に配された
2つ以上の検出器を選択する請求項24に記載の生体成分測定方法。
【請求項26】
前記第1光源が複数である場合、各検出器によって検出された第1光の信号対雑音比を決定する段階と、
前記信号対雑音比の大きさ順によって複数の第1光源のうちから1つ以上の第1光源を選択する段階と、をさらに含み、
前記1つ以上の検出器を選択する段階は、
前記決定された信号対雑音比の大きさ順によって1つ以上の検出器を選択する請求項24に記載の生体成分測定方法。
【請求項27】
前記散乱係数を補正する段階は、
前記血管の深さ情報に基づいて、前記検出された第1光の検出深さを決定する段階を含み、
前記決定された検出深さと基準深さとの比較の結果に基づいて、前記散乱係数を補正する請求項21~26のいずれか一項に記載の生体成分測定方法。
【請求項28】
前記散乱係数を決定する段階は、
前記第1光に基づいて光強度を決定する段階と、
前記決定された光強度、及び前記検出器と第1光源との距離に基づいて、前記散乱係数を決定する段階と、
を含む請求項21~27のいずれか一項に記載の生体成分測定方法。
【請求項29】
前記血管の深さ情報を獲得する段階は、
前記第2光に基づいて光強度を決定する段階と、
前記決定された光強度の変化によって血管の深さ変化を推定して、前記血管の深さ情報を生成する段階と、
を含む請求項21~28のいずれか一項に記載の生体成分測定方法。
【請求項30】
被検体に第1波長の第1光及び第2波長の第2光を照射する光源と、
被検体から散乱または反射した第1光及び第2光を検出する検出器と、
前記検出された第1光に基づいて散乱係数を測定し、前記検出された第2光の反射した光強度に基づいて、前記被検体の血管の深さ情報を獲得し、前記散乱係数及び血管の深さ情報に基づいて、前記被検体の中性脂肪値を決定するプロセッサと、
を含む生体成分測定装置。
【請求項31】
前記第2波長の波長帯域は、前記第1波長の波長帯域よりもさらに大きい請求項30に記載の生体成分測定装置。
【請求項32】
前記プロセッサは、血管の深さの変化と反射光強度の変化との関係に基づいて血管の深さ情報を獲得する請求項30または31に記載の生体成分測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非侵襲方式の生体成分測定技術であって、生体成分を測定するために光を照射し、検出された光信号を使用して生体成分を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
血中中性脂肪は、肥満、運動不足、喫煙のような原因によって上昇が表われる。中性脂肪が高い場合、代謝症侯群と関連して動脈硬化の危険因子として作用して、血中中性脂肪の濃度の管理必要性がある。生体内の中性脂肪を測定する方法のうちから侵襲的方法を使えば、中性脂肪の正確な濃度を測定することができるが、心理的及び肉体的苦痛を伴って、常時測定を通じる健康管理に難しさがある。
【0003】
これにより、非侵襲(non-invasive)方式の生体成分測定装置として散乱光を使用する技術が研究されており、皮膚の表面に光を照射し、該照射された光の後、散乱光の強度及び光源と検出器との距離に基づいて生体成分を推定する方式が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、生体成分測定装置及び方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様による生体成分測定装置は、被検体に第1波長の第1光を照射する第1光源と、被検体に第1波長と異なる第2波長の第2光を照射する第2光源と、被検体から散乱または反射した第1光及び第2光を検出する検出器と、検出された第1光に基づいて散乱係数を決定し、検出された第2光に基づいて血管の深さ情報を獲得し、血管の深さ情報に基づいて、散乱係数を補正して生体成分を測定するプロセッサと、を含みうる。
【0006】
第1光源及び検出器は、被検体の少なくとも1つの血管位置と整列(align)されるように、被検体の表面に配置される。
【0007】
前記検出器を含む複数の検出器をさらに含み、複数の検出器は、第1光源から互いに異なる距離に配置される。
【0008】
第2光源は、検出器と既定の距離ほど離隔して配置される。
【0009】
この際、第2波長は、500nm~855nmの波長帯域であり得る。
【0010】
この際、第1光源及び第2光源は、LED(light emitting diode)、レーザダイオード(laser diode)及び蛍光体のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0011】
第1光源は、前記第1光を含む複数の第1光をさらに照射し、複数の検出器は、前記被検体から散乱された複数の第1光を検出し、プロセッサは、前記検出された複数の第1光の光強度(light intensity)、信号対雑音比(SNR、signal to noise ratio)、各検出器と第1光源との距離及び各検出器に対応する血管の深さ情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の検出器のうちの1つ以上の検出器を選択することができる。
【0012】
プロセッサは、血管の深さ情報に基づいて複数の検出器のうちから同じ深さの血管位置に配された1つ以上の検出器を選択し、該選択された1つ以上の検出器から検出した第1光に基づいて散乱係数を決定することができる。
【0013】
生体成分測定装置は、第1光を含む複数の第1光を照射する複数の第1光源をさらに含み、複数の検出器は、前記被検体から散乱された複数の第1光を検出し、プロセッサは、複数の検出器によって検出された複数の第1光の信号対雑音比を決定し、信号対雑音比の大きさ順によって、前記複数の第1光源のうちから1つ以上の第1光源を選択し、前記信号対雑音比の大きさ順によって、前記複数の検出器のうちから1つ以上の検出器を選択することができる。
【0014】
プロセッサは、血管の深さ情報に基づいて、前記検出された第1光信号の検出深さを決定し、前記決定された検出深さと基準深さとの比較の結果に基づいて、前記決定された散乱係数を補正することができる。
【0015】
プロセッサは、検出された第1光に基づいて光強度を決定し、前記決定された光強度及び前記検出器と第1光源との距離に基づいて、前記散乱係数を決定することができる。
【0016】
プロセッサは、検出された第2光に基づいて光強度を決定し、前記光強度の変化によって血管の深さ変化を推定して、前記血管の深さ情報を生成することができる。
【0017】
第1光源、第2光源及び検出器は、四角形、円形、同心円形または帯形を有する既定の構造の配列(array)で配置される。
【0018】
また、生体成分測定装置は、第1光源、第2光源及び前記検出器の作動状態、血管の位置及び深さ、生体散乱された光強度、反射した光強度、生体成分の種類及び濃度、ガイド情報及び警告情報のうちの少なくとも1つを出力する出力部をさらに含みうる。
【0019】
この際、生体成分は、血中中性脂肪、コレステロール、タンパク質、血糖及び尿酸のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0020】
一態様によれば、生体成分測定装置は、被検体に光を照射する光源アレイ(array)と、光源アレイの各光源から照射された光を検出する検出器アレイと、光源アレイに含まれた各光源を個別的に駆動し、前記駆動された光源から照射された光に対して、前記検出器アレイの各検出器から検出された各光信号に基づいて、前記駆動された光源と前記各検出器との間の光路長(light path length)の情報を生成し、該生成された光路長の情報に基づいて散乱係数を補正して生体成分を測定するプロセッサと、を含みうる。
【0021】
プロセッサは、検出器アレイの各検出器を個別的に制御して1つ以上の検出器を駆動することができる。
【0022】
プロセッサは、光路長の情報と前記基準光路長の情報とを比較し、該比較の結果に基づいて、前記決定された散乱係数を補正することができる。
【0023】
プロセッサは、光路長の情報に基づいて、検出器アレイのうちから2つ以上の検出器を選択し、該選択された2つ以上の検出器によって検出された光に基づいて散乱係数を決定することができる。
【0024】
光源アレイの各光源及び前記検出器アレイの各検出器は、四角形、円形、同心円形または帯形を有する既定の構造の配列で配置される。
【0025】
一態様による生体成分測定方法は、検出器を通じて第1光源から照射された第1光信号を検出する段階と、検出器を通じて第2光源から照射された第2光信号を検出する段階と、検出された第1光信号(light signal)に基づいて散乱係数を決定する段階と、検出された第2光信号に基づいて血管の深さ情報を獲得する段階と、獲得された血管の深さ情報に基づいて、前記散乱係数を補正する段階と、補正された散乱係数を用いて生体成分を測定する段階と、を含みうる。
【0026】
この際、第1光源及び検出器は、1つ以上の血管位置と整列されるように配置される。
【0027】
第2光源は、500nm~855nmの波長帯域の光を照射することができる。
【0028】
この際、検出器が複数である場合、各検出器を通じて検出された第1光及び第2光の光強度、信号対雑音比(SNR)、各検出器と第1光源との距離、各検出器に対応する血管の深さ情報のうちの少なくとも1つに基づいて、複数の検出器のうちの1つ以上の検出器を選択する段階をさらに含みうる。
【0029】
検出器を選択する段階は、複数の検出器のうちから同じ深さの血管位置に配された1つ以上の検出器を選択することができる。
【0030】
また、生体成分測定方法は、第1光源が複数である場合、各検出器によって検出された第1光の信号対雑音比を決定する段階と、信号対雑音比の大きさ順によって複数の第1光源のうちから1つ以上の第1光源を選択する段階と、をさらに含み、1つ以上の検出器を選択する段階は、決定された信号対雑音比の大きさ順によって1つ以上の検出器を選択することができる。
【0031】
散乱係数を補正する段階は、血管の深さ情報に基づいて、検出された第1光の検出深さを決定する段階を含み、決定された検出深さと基準深さとの比較の結果に基づいて、散乱係数を補正することができる。
【0032】
散乱係数を決定する段階は、第1光に基づいて光強度を決定する段階と、算出された光強度、及び検出器と第1光源との距離に基づいて、散乱係数を決定する段階と、を含みうる。
【0033】
血管の深さ情報を獲得する段階は、第2光に基づいて光強度を決定する段階と、決定された光強度の変化によって血管の深さ変化を推定して、前記血管の深さ情報を生成する段階と、を含みうる。
【0034】
一態様によれば、生体成分測定装置は、被検体に第1波長の第1光及び第2波長の第2光を照射する光源と、被検体から散乱または反射した第1光及び第2光を検出する検出器と、検出された第1光に基づいて散乱係数を測定し、検出された第2光の反射した光強度に基づいて、前記被検体の血管の深さ情報を獲得し、前記散乱係数及び血管の深さ情報に基づいて、前記被検体の中性脂肪値を決定するプロセッサと、を含みうる。
【0035】
この際、第2波長の波長帯域は、第1波長の波長帯域よりもさらに大きい。
【0036】
プロセッサは、血管の深さの変化と反射光強度の変化との関係に基づいて血管の深さ情報を獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】生体成分測定装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】生体成分測定装置の散乱係数決定を説明する例示図である。
【
図3A】生体成分測定装置の血管の深さ情報獲得を説明する例示図である。
【
図3B】生体成分測定装置の血管の深さ情報獲得を説明する他の例示図である。
【
図3C】血管の深さ変化及び濃度変化による散乱係数変化を説明する図面である。
【
図3D】一実施形態による光源及び検出器の配列を説明する図面である。
【
図3E】一実施形態による光源及び検出器の配列を説明する図面である。
【
図4】生体成分測定装置の他の例を示すブロック図である。
【
図5】生体成分測定装置のさらに他の例を示すブロック図である。
【
図6】光源アレイの各光源及び検出器アレイの各検出器の一例による配列形態を示す例示図である。
【
図7】生体成分測定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。記載の技術の利点及び特徴、そして、それらを果たす方法は、図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になる。明細書の全般に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を称する。
【0039】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素の説明に使われるが、構成要素は、用語によって限定されるものではない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。単数の表現は、文脈上、取り立てて明示しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に取り立てて言及しない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。また、明細書に記載の「...部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアとして具現されるか、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで具現可能である。
【0040】
図1は、生体成分測定装置の一例を示すブロック図である。
【0041】
生体成分測定装置100は、第1光源110、第2光源111、検出器120及びプロセッサ130を含みうる。プロセッサ130は、1つ以上のプロセッサ、メモリ及びそれらの結合を含みうる。第1光源110及び第2光源111は、被検体に光を照射し、検出器120は、被検体の血管内の血液に含まれた生体成分によって散乱(scattered)、転換(deflected)または反射した(reflected)光信号を検出することができる。プロセッサ130は、検出器120によって受信された光の光強度(scattered light intensity)の測定を制御し、散乱された光強度と光源及び検出器との距離に基づいて生体成分の濃度を決定することができる。ここで、生体成分は、血中中性脂肪、コレステロール、タンパク質、血糖及び尿酸のうちの少なくとも1つを含み、粒子のサイズ及び種類によって、血管の内部または外部のみに存在する多様な生体構成成分を含みうる。
【0042】
生体成分測定装置100は、血管の深さ情報に基づいて測定された生体成分の濃度を補正することができる。
【0043】
例えば、生体成分測定装置100は、被検体に光を照射し、血管の深さ変化による反射光の信号強度の変化から血管の深さを推定することができる。生体成分測定装置100は、検出された散乱された光信号に基づいて生体成分の濃度を測定し、該測定された生体成分の濃度変化がある場合、血管の深さ情報に基づいて実際に生体成分の濃度が変わったものか、または血管の深さ変化によって生体成分の濃度が異なって測定されたものかを判断することができる。
【0044】
この際、生体成分測定装置100は、測定された生体成分の濃度変化が血管の深さ変化から起因したと判断されれば、生成された血管の深さ情報に基づいて測定された生体成分の濃度を補正することができる。
【0045】
このように、生体成分測定装置100は、被検体の血管の深さ情報に基づいて測定された生体成分の濃度を補正することにより、外部要因による測定エラーを修正して正確な生体成分の測定を行うことができる。
【0046】
他の実施形態によれば、第1光源110及び第2光源111は、互いに異なる波長の光を照射する単一光源として具現可能である。例えば、単一光源は、血管の深さを測定するために、相対的に長波長(例:赤色光)を有する光を照射することができる。長波長は、血管の深さの変化に敏感な傾向がある一方、中性脂肪の濃度の変化による影響をより少なく受ける。他の例として、単一光源は、血管の深さ及び散乱係数の測定のために同じ波長を使用することができる。
【0047】
以下、
図1、
図2及び
図3Aから
図3Bを参照して、生体成分測定装置100の生体成分測定に関して詳しく説明する。
【0048】
図2は、生体成分測定装置の散乱係数算出を説明する例示図であり、
図3Aから
図3Bは、生体成分測定装置の血管の深さ情報算出を説明する例示図である。
【0049】
第1光源110及び第2光源111は、被検体に光を照射することができる。この際、第1光源110及び第2光源111は、可視光線の特定の波長帯域、近赤外線(Near Infrared Ray、NIR)帯域(例:0.75~1.4μm)や中赤外線(Mid Infrared Ray、MIR)帯域(例:3~8μm)の光を照射することができる。
【0050】
以下、説明の便宜上、第1光源110は、近赤外線波長領域の光を照射し、第2光源111は、所定の波長領域(例:Green~Infrared帯域であって、500nm~855nmの波長帯域など)の光を照射する実施形態を中心に説明するが、第1光源110及び第2光源111が照射する光波長領域は、互いに同一または異なり、特定の波長領域に制限されず、散乱係数測定のための光波長領域と血管の深さを推定するための光波長領域は、互いに異なる波長領域に区分されうる。
【0051】
一実施形態によれば、第2光源111は、血管の深さ情報を提供するために、赤色光(例:630nm~780nmの波長帯域など)を照射するように具現可能である。例えば、第2光源111は、皮膚表面下の血管に進行して血管成分(例:イントラリピッド(intralipid)、中性脂肪など)から散乱または反射するように皮膚表面の方向に赤色光を照射する赤色光ダイオードとして具現可能である。検出器120は、血管成分から反射または散乱された赤色光を伝達した光信号を検出することができる。プロセッサ130は、検出された光信号の強度(例:電圧値)に基づいて皮膚表面から血管の深さを決定することができる。特に、生体成分測定装置100は、血管の深さと検出された光信号の電圧値との相関関係についての情報を保存することができる。例えば、生体成分測定装置100は、血管の深さが検出された光信号の電圧値と反比例することを示すグラフまたは方程式を保存することができる。プロセッサ130は、検出器120によって検出された光信号の電圧値をグラフまたは方程式に適用して血管の深さを決定することができる。
【0052】
また、第1光源110及び第2光源111は、LED、レーザダイオード、蛍光体等から構成されることができ、特定の波長帯域の光を照射する物理的に独立した光源であり得るが、多重波長帯域の光を照射することができる光源であり得る。
【0053】
検出器120は、多重光源110、111から照射された光を受光することができる。
【0054】
ここで、検出器120は、フォトダイオード(photo diode)、フォトトランジスタ(photo teabsistor:PTr)または電荷結合素子(charge-couple device:CCD)を含みうるが、これに限定されるものではない。例えば、検出器120は、多重光源から照射された光が対象体の皮膚から反射した光、吸収(absorption)光、生体成分によって散乱された(scattered)光のうちの少なくとも1つを光信号で検出することができる。
【0055】
また、検出器120は、1つ以上配され、既定の構造の配列で多重光源110、111と一定距離離隔して配置される。以下、必要によって説明される光信号は、1つ以上の検出器120が、多重光源110、111から照射されて生体成分によって散乱された光を検出した信号及び/または反射した光を検出した信号を意味する。
【0056】
また、説明の便宜上、第1光信号は、第1光源から照射されて被検体の血管内部の血液で生体成分によって散乱されて戻ってくる散乱された光信号(scattered light signal)、第2光信号は、被検体の血管に反射して戻ってくる光信号(reflected light signal)を意味するものと説明するが、これに制限されず、第1光信号は、被検体の生体成分測定のための光信号、第2光信号は、血管の深さ情報生成のための光信号であり得る。
【0057】
また、検出器120は、1つ以上を含み、既定の構造の配列で第1光源110及び第2光源111と一定距離離隔して配置される。
【0058】
例えば、
図1、
図3A及び
図3Bを参照すれば、第2光源111は、検出器120と既定の距離(d)ほど離隔して配され、一例として、検出器120と第2光源111とが複数個である場合、複数の第2光源111は、複数の検出器120のそれぞれに対して、その側面に配置される。
【0059】
すなわち、被検体の皮膚表面から血管までの深さを決定するために、第2光源111は、それぞれ検出器120と既定の距離(d)ほど隣接して配置される。
【0060】
検出器120は、第1光源と互いに異なる距離に複数個配置される。生体成分測定装置100が、散乱係数(scattering coefficient)に基づいて生体成分を測定する場合、第1光信号と第1光源110及び検出器120との距離に基づいて散乱係数を算出し、該算出された散乱係数に基づいて生体成分の濃度を推定することができる。
【0061】
例えば、検出器120は、第1光源と互いに異なる距離に配された第1検出器及び第2検出器を含み、生体成分測定装置100は、第1光信号の光強度と第1光源及び第1検出器の間の距離( )及び第1光源及び第2検出器の間の距離( )に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0062】
この際、検出器120の個数は、プロセッサ130の演算能力及び生体成分測定装置100が搭載されるデバイスの消費電力及び形態によって変わり、その個数に制限されるものではない。
【0063】
第1光源110及び検出器120は、被検体の表面で血管の位置と整列されるように配置される。例えば、第1光源110は、被検体の表面で血管に沿って平行に配され、検出器120は、第1光源110と一定距離離隔して血管に沿って平行に配置される。
【0064】
また、第1光源110、第2光源111及び検出器120は、1つ以上存在し、複数個が配された場合、既定の配列構造で配置される。例えば、第1光源110、第2光源111及び検出器120は、四角形、円形、同心円形及び帯形のうちの1つ以上の既定の構造の配列で配置される。
【0065】
プロセッサ130は、検出された第1光信号に基づいて散乱係数を算出し、検出された第2光信号に基づいて血管の深さ情報を算出して、該算出された血管の深さ情報に基づいて散乱係数を補正することができる。
【0066】
図1、
図2及び
図3Aを参照すれば、プロセッサ130は、検出器120を通じて検出された第1光信号に基づいて第1光信号の光強度を算出することができる。光強度が算出されれば、プロセッサ130は、第1光信号の光強度と、第1光源110及び検出器120の間の距離( )に基づいて散乱係数を算出することができる。この際、検出器120が2つ以上存在する場合、プロセッサ130は、第1光源と各検出器との距離と、各検出器から検出された第1光信号の光強度に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0067】
図3Cは、血管の深さ及び濃度変化による散乱係数の変化を説明する例示図である。
【0068】
図3Cを参照すれば、血中中性脂肪の濃度変化による散乱係数は、血管の深さによって変わりうる。
【0069】
例えば、時刻t1と測定地点Aから算出された散乱係数が、-0.114であり、時刻t1から一定時間が流れた以後、時刻t2と測定地点Aから算出された散乱係数の値が、-0.12である場合を仮定すれば、時刻t1及びt2から算出された散乱係数の差は、血管の深さが1mmに同一であるが、血中中性脂肪の濃度が、約0.27%から約0.85%に増加したものであるか、または実際に血中中性脂肪の濃度変化はないが、被検体の動きなどによって血管の深さのみが1mmから2mmに変わったものかが区分しにくくて、正確な血中中性脂肪の濃度を推定することができない。
【0070】
一方、説明の便宜上、同じ測定地点Aから算出された散乱係数の変化を例示したが、時刻t2で測定地点が測定地点Aとは異なる位置である測定地点、例えば、測定地点Bに変更された場合も同じである。
【0071】
この際、プロセッサ130は、算出された散乱係数を血管の深さ情報を用いて補正することができる。
【0072】
例えば、プロセッサ130は、第2光源111から照射されて戻ってくる反射した光強度(reflected light intensity)に基づいて血管の深さ情報を生成することができる。
【0073】
一例として、第2光源111が赤色光領域(例:630nm~780nmの波長帯域)の光を被検体に照射する場合、血管の深さ変化に対する反射した光強度の変化は、約 0.07V/mmに表われる一方、血中中性脂肪の濃度変化に対する反射した光強度の変化は、0.002V/0.1%に表われる。
【0074】
すなわち、第2光源111が赤色光領域の光を被検体に照射する場合、血管の深さ変化による反射した光強度の変化は、生体成分の濃度変化に比べて、さらに敏感に変化するので、プロセッサ130は、第2光源111から照射されて被検体の血管に反射して戻ってくる第2光信号(例:反射した光信号(reflected light signal))の強度変化に基づいて血管の深さ情報を生成することができる。
【0075】
プロセッサ130は、血管の深さ情報に基づいて検出された第1光信号の検出深さを決定し、該決定された検出深さと基準深さとの比較の結果に基づいて算出された散乱係数を補正することができる。
【0076】
ここで、基準深さとは、生成された血管の深さ情報のうちから被検体の表面で最も浅い深さに位置した血管の深さになりうる。但し、これに制限されず、既定の深さ(例:3mmなど)を基準深さとして決定することができる。
【0077】
また、検出深さは、第1光信号が獲得された血管の深さを意味し、例えば、第1光源110、第2光源111及び検出器120が血管に沿って整列されて配された場合、第1光信号を検出する検出器120位置の血管の深さを意味する。
【0078】
プロセッサ130は、第1光信号の検出深さと基準深さとが互いに異なる場合、検出深さから算出された散乱係数を、基準深さでの散乱係数に補正することができる。
【0079】
一例として、検出深さが基準深さよりも深い場合、検出器120を通じて検出された光信号の強度は、基準深さから検出された光信号の強度よりも小さいので、プロセッサ130は、正(positive)の補正値を算出された散乱係数に加えることにより、散乱係数を補正することができる。一方、検出深さが基準深さよりも浅い場合、検出器120を通じて検出された光信号の強度は、基準深さから検出された光信号の強度よりもさらに大きいので、プロセッサ130は、負(negative)の補正値を算出された散乱係数に加えることにより、散乱係数を補正することができる。
【0080】
このように、血管の深さ情報に基づいて検出深さから算出された散乱係数を、基準深さでの散乱係数に補正することにより、生体成分測定時に、ユーザの活動、健康状態、時間の経過及び測定地点の変化によって、互いに異なる検出深さから算出された散乱係数にもかかわらず、生体成分測定の正確度及び信頼度を保証することができる。
【0081】
再び、
図3Cを参照すれば、時刻t1及び測定地点Aから算出された散乱係数が、-0.114であり、一定時間以後、時刻t2及び測定地点Aから算出された散乱係数が、-0.12である場合、プロセッサ130は、血管の深さ情報に基づいて時刻t1及び測定地点Aから算出された散乱係数は、被検体の表面から1mmの深さに位置した血管から散乱された第1光信号に基づいて算出されたものであり、一定時間以後、時刻t2及び測定地点Aから算出された散乱係数は、被検体の表面から2mmの深さに位置した血管から散乱された第1光信号に基づいて算出されたものであることを判断することができる。
【0082】
これにより、プロセッサ130は、実際血中中性脂肪の濃度が血管の深さによって変わったことを判断し、算出された散乱係数を血管の深さについての情報に基づいて補正することができる。
【0083】
例えば、測定地点Aで時刻t1及びt2にそれぞれ算出された散乱係数が、-0.22及び-0.24であり、血管の深さ情報がそれぞれ1mm及び3mmである場合、プロセッサ130は、時刻t2で3mmの深さの血管から算出された散乱係数0.24を1mmの算出された散乱係数の値に変換することができる。一例として、プロセッサ130は、血管の深さ情報に基づいて3mmの深さの血管から算出された散乱係数に血管の深さによる補正値0.02を加えることにより、時刻t2で3mmの深さの血管から算出された散乱係数を1mmの深さの血管から算出された散乱係数に補正することができる。
【0084】
他の例として、測定地点Aで時刻t1及びt2にそれぞれ算出された散乱係数が、-0.22及び-0.24であり、血管の深さ情報がそれぞれ1mmである場合、プロセッサ130は、算出された散乱係数が同じ血管の深さから散乱された光強度(scattered light intencity)に基づいて算出されたものであることを判断し、散乱係数の変動は、生体成分の濃度変化によるものであることを判断することができる。この場合、プロセッサ130は、算出された散乱係数の補正なしに生体成分濃度を測定することにより、より正確に生体成分を測定することができる。
【0085】
一方、プロセッサ130は、検出された光信号の光強度、信号対雑音比(SNR)、第1光源110との距離、血管の深さ情報のうちの少なくとも1つの検出器を選択することができる。
【0086】
例えば、第1光源110、第2光源111及び検出器120が複数個配されるか、既定の配列構造で配された場合、プロセッサ130は、第1光源110及び検出器120を血管に沿って整列させるか、同じ深さの血管が位置した第1光源110及び検出器120のみを駆動または選択するために、複数の第1光源110及び検出器120のうちの少なくとも一部を選択することができる。
【0087】
一例として、プロセッサ130は、検出された第1光信号の光強度に基づいて複数の検出器120のうちから少なくとも1つ以上の検出器120を選択することができる。例えば、プロセッサ130は、複数の検出器120のそれぞれから検出された第1光信号の光強度を算出し、光強度が最も高く検出された検出器120のうちから一部の検出器120を選択することができる。
【0088】
他の例として、プロセッサ130は、第1光源110、第2光源111及び検出器120を個別的に制御して、検出器120から検出された光信号の信号対雑音比を算出し、SNRの大きさ順によって少なくとも1つ以上の第1光源110及び検出器120を選択することができる。例えば、プロセッサ130は、何れか1つの第1光源110と検出器120のうちから何れか1つのみを駆動させることにより、第1光源110のうち何れか1つに対する各検出器から検出される第1光信号の信号対雑音比を算出し、信号対雑音比の大きさ順序を信号特性が最も良好であると決定し、信号対雑音比の大きさ順によって少なくとも1つ以上の第1光源及び検出器を選択することができる。
【0089】
また、プロセッサ130は、何れか1つの第1光源110に対する各検出器120の信号対雑音比を算出する代わりに、何れか1つの検出器120に対して、各第1光源110を順次に駆動させることにより、各第1光源110の何れか1つの検出器120に対する信号対雑音比を算出して、該算出された信号対雑音比の大きさ順によって少なくとも1つ以上の第1光源110及び検出器120を選択することができる。
【0090】
例えば、
図3Cに示したように、生体成分測定装置100が、複数の光源/検出器対121を形成する複数の第1光源110a、及び複数の検出器120aを含む場合、プロセッサ130は、離散的に、そして、順次に光源/検出器対121を駆動し、信号対雑音比が最も高い1つの光源/検出器対121を選択するか、既定の信号対雑音比値を超過する1つ以上の光源/検出器対121を選択することができる。
【0091】
さらに他の例として、
図1、
図2、
図3A及び
図3Bを参照すれば、プロセッサ130は、第1光源110と検出器120との距離に基づいて少なくとも1つの検出器120を選択することができる。例えば、プロセッサ130は、第1光源110と近くの距離順次に2つの検出器120を順に選択し、これに制限されず、プロセッサ130は、第1光源110と最も近くの距離に配された検出器120を選択し、第1光源110と最も遠い距離に配された検出器120を選択することができる。
【0092】
さらに他の例として、プロセッサ130は、血管の深さ情報に基づいて、複数の検出器120のうちから同じ深さの血管位置に配された少なくとも2つ以上の検出器120を選択することができる。
【0093】
プロセッサ130は、複数の第1光源110、第2光源111及び検出器120のうちから少なくとも1つ以上の第1光源110、第2光源111及び検出器120が選択されれば、該選択された第1光源110、第2光源111及び検出器120のみを駆動させて光信号を検出し、該検出された光信号に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0094】
例えば、プロセッサ130は、最も高い光強度、信号対雑音比及び第1光源110と検出器120との距離に基づいて選択された第1光源110及び検出器120を使用して検出された第1光信号に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0095】
また、プロセッサ130は、同じ深さの血管位置に配された少なくとも2つ以上の検出器120から検出された第1光信号に基づいて散乱係数を算出することにより、算出された散乱係数の信頼度を保証することができる。
【0096】
プロセッサ130は、算出された散乱係数に基づいて生体成分を測定することができる。例えば、散乱係数は、血管内の血液に含まれた生体成分によって散乱を起こし、散乱されて戻ってくる散乱光の強度(scattered light intensity)に基づいて生体成分の濃度を測定し、例えば、血液内の測定対象生体成分の濃度と散乱係数の濃度は比例することができるので、散乱係数の変化によって生体成分の濃度を測定することができる。
【0097】
この際、プロセッサ130は、測定対象となる生体成分の種類、測定地点、血管の深さ情報と散乱係数に関する相関関係または機械学習(machine learning)に基づいて予め生成された生体成分推定モデルに基づいて生体成分の濃度を測定することができる。
【0098】
また、生体成分推定モデルは、人種、性別、年齢、体重、体脂肪率、BMI指数のうちの少なくとも1つを含むユーザ特性情報、及び肝硬化、糖尿及び高脂血症のうちの少なくとも1つを含む健康情報に基づいて少なくとも1つ以上のグループに区別されて生成された推定モデルであり得る。
【0099】
図3D及び
図3Eは、多様な実施形態による光源と検出器との配列を示した図面である。
【0100】
図3D及び
図3Eに示したように、第1光源110及び検出器120は、それぞれ複数の第1サブ光源及び複数のサブ検出器を含みうる。
図3Dの各測定部(1~16)と
図3Eの各測定部(1~12)が、第1サブ光源とサブ検出器との対を含むように、複数の第1サブ光源及び複数のサブ検出器は、互いに1対1の関係を有する対で形成されうる。
【0101】
図3Dを参照すれば、プロセッサ130は、最高信号対雑音比を有する測定部(1~16)のうちの1つまたは既定の信号対雑音比を超過する1つ以上の測定部(1~16)を選択し、該選択された測定部が血管に整列されて配されるか否かを決定することができる。プロセッサ130は、第1サブ光源から照射された光強度及びサブ検出器によって受信された光強度に基づいて信号対雑音比を測定することができる。プロセッサ130は、選択された測定部から生体信号を収集するために、選択された測定部の電源をオンにし、残りの測定部(1~16)の電源をオフにすることができる。
図3Eを参照すれば、プロセッサ130は、最高信号対雑音比を有する測定部(1~12)のうちの1つまたは既定の信号対雑音比を超過する1つ以上の測定部(1~12)を選択し、該選択された測定部が血管に整列されて配されるか否かを決定することができる。プロセッサ130は、第1サブ光源から照射された光強度及びサブ検出器によって受信された光強度に基づいて信号対雑音比を測定することができる。プロセッサ130は、選択された測定部から生体信号を収集するために、選択された測定部の電源をオンにし、残りの測定部(1~12)の電源をオフにすることができる。
【0102】
図4は、生体成分測定装置の他の例を示すブロック図である。
図4を参照すれば、生体成分測定装置400は、光源410、検出器420、プロセッサ430、入力部440、通信部450、出力部460、センサー部470及び保存部480を含みうる。この際、光源410は、複数個含まれ、例えば、
図1に示された第1光源110及び第2光源111と基本的に同じ構成であり、検出器420及びプロセッサ430は、
図1の生体成分測定装置100の検出器120及びプロセッサ130と基本的に同じ構成であり得る。以下、重複されない構成を中心に説明する。
【0103】
入力部440は、ユーザから多様な操作信号及び生体成分測定に必要なデータを入力されうる。
【0104】
例えば、入力部440は、キーパッド(key pad)、ドームスイッチ(dome switch)、タッチパッド(touch pad)(定圧/静電)、ジョグホイール(Jog wheel)、ジョグスイッチ(Jog switch)、H/Wボタンなどを含みうる。特に、タッチパッドがディスプレイと互いにレイヤ構造を成す場合、それをタッチスクリーンと呼ぶ。
【0105】
例えば、入力部440は、人種、性別、年齢、体重、体脂肪率、BMI指数のうちの少なくとも1つを含むユーザ特性情報、及び肝硬化、糖尿及び高脂血症のうちの少なくとも1つを含む健康情報と、測定地点、測定対象生体成分と関連した情報と、を入力されうる。
【0106】
通信部450は、プロセッサ430の制御信号によって、外部装置と有無線ネットワークで連結されて生体成分測定結果を外部装置に送信することができる。
【0107】
この際、外部装置は、血管の深さ及び生体成分推定モデルデータベース(DB)及び/または測定された生体成分を使用する医療装備、結果物を出力するためのプリント、または生体成分測定結果をディスプレイするディスプレイ装置であり得る。それ以外にも、外部装置は、デジタルTV、デスクトップコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、PDA(Personal Digital Assistants)、PMP(Portable Multimedia Player)、ナビゲーション、MP3プレーヤー、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイスなどであり得るが、これらに制限されるものではない。
【0108】
例えば、通信部450は、ブルートゥース(bluetooth)通信、BLE(Bluetooth Low Energy)通信、近距離無線通信(Near Field Communication unit)、WLAN(Wi-Fi)通信、ジグビー(Zigbee)通信、赤外線(IrDA、infrared Data Association)通信、WFD(Wi-Fi Direct)通信、UWB(ultra-wideband)通信、Ant+通信、Wi-Fi通信、3G、4G及び5G通信方式などで通信する1つ以上のモジュールであり得る。また、ここで、外部装置は、スマートフォン、タブレットPC、移動通信端末などのモバイル端末やデスクトップPC、ノート型パソコン、ラップトップPCなどを含みうる。
【0109】
プロセッサ430は、生体成分測定装置400の光源410及び検出器420から光信号を検出する代わりに、通信部450を通じて外部装置から光信号に関する情報を獲得することができる。この際、プロセッサ430は、通信部450を制御して外部の光信号検出装置から被検体の光信号に関する情報を受信することができる。
【0110】
出力部460は、光源及び検出器の作動状態、血管の位置及び深さ、散乱された光強度、反射した光強度、生体成分の種類及び濃度、ガイド情報及び警告情報のうちの少なくとも1つを出力及び通信部450のデータ送受信状態を含んだ各種の情報を出力することができる。
【0111】
例えば、出力部460は、プロセッサ430の生成された血管の深さ生成情報と生体信号測定結果、及び散乱係数の補正有無を区画を分けて表示し、測定対象生体成分及びユーザの詳細情報を表示することができるユーザインターフェース(User Interface、UI)を含むタッチ可能なディスプレイであり得る。
【0112】
一方、これに制限されず、出力部460は、聴覚(例:音声アラームなど)及び触覚(例:振動など)のような非視覚的出力方式を使用して各種の情報を出力することができる。
【0113】
また、出力部460は、光源410及び検出器420の接触状態が不良の場合、または生体成分測定のための測定地点を案内するために、ガイドイメージを出力するか、測定された生体成分が危険水位を超える場合、警告情報を出力することができる。
【0114】
例えば、出力部460は、測定された血中中性脂肪が200mg/dLを超過する場合、‘危険’のような警告情報をディスプレイすることができる。
【0115】
センサー部470は、被検体の測定位置の変更有無を感知することができる。例えば、生体成分測定装置400がモバイル端末またはウェアラブル機器に搭載された場合、動きまたはユーザの変更などによって生体成分測定のための光源410の光照射位置及び/または検出器420の光信号検出位置が変わりうる。この際、センサー部470は、光源410及び/または検出器420の位置が所定臨界範囲を外れる場合、被検体の測定位置が変更されたと感知することができる。
【0116】
一例として、生体成分測定装置400が手首に着用するウェアラブル機器(例:スマートウォッチ)に搭載された場合、センサー部470は、初期位置を感知し、該感知された初期位置の中心から半径1cmを外れる位置変化が感知されれば、被検体の測定位置が変更されたと感知することができる。この際、センサー部470は、加速度センサー、ジャイロセンサー、モーションセンサー、変位センサー、圧力センサー、近接センサー、重力センサー及びイメージセンサーのうちの少なくとも1つを含み、これに制限されるものではない。
【0117】
センサー部470によって被検体の測定位置が変更されたと感知されれば、プロセッサ430は、血管の深さ情報を再び生成することができる。すなわち、プロセッサ430は、生体成分測定装置400の初期化時に被検体の測定位置と複数の光源及び検出器のうちから少なくとも1つ以上の光源及び検出器を選択して、被検体の生体成分を検出し、被検体の測定位置が変更されれば、該変更された位置で血管の深さ情報を再び生成するか、複数の光源及び検出器のうちから少なくとも1つ以上の光源及び検出器を再び選択することができる。
【0118】
保存部480は、光源410の出力状態(例:点滅状態、波長帯域など)、検出器420の配置状態(例:配列など)、検出器420から検出された光信号の光強度、信号対雑音比、選択された光源及び/または検出器生体成分測定結果及び通信部450のデータ送受信状態を含んだ各種の情報を保存することができる。
【0119】
例えば、保存部480は、被検体の生体成分別にカテゴリーを分類して、測定結果を保存し、1つ以上のグループに分類された生体成分推定モデルを保存することができる。
【0120】
この際、保存部480は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、SDまたはXDメモリなど)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクを含みうる。但し、これらに制限されるものではない。
【0121】
図5は、生体成分測定装置のさらに他の例を示すブロック図である。
図5は、光源アレイ510、検出器アレイ520及びプロセッサ530を含みうる。
【0122】
図5を参照すれば、光源アレイ510は、被検体に光を照射することができる。
【0123】
光源アレイ510は、可視光線の特定の波長帯域、近赤外線(NIR)や中赤外線(MIR)帯域の光を照射する1つ以上の光源を含む多重光源(multiple light sources)であり得る。
【0124】
例えば、光源アレイ510は、少なくとも1つ以上の近赤外光(NIR、Near Infrared)を照射する第1光源及び特定の波長領域(例:Green~infrared領域であって、500nm~855nmの波長領域など)を照射する第2光源を含みうる。また、光源アレイ510は、独立モジュールで構成された1つ以上の光源であり、プロセッサ530によって、各光源は、互いに異なる波長帯域の光を照射するように個別的に制御される。
【0125】
但し、これに制限されず、光源アレイ510は、物理的に1つのモジュールで構成され、多重波長帯域の光を順次に繰り返して照射するように設定しうる。
【0126】
検出器アレイ520は、光源アレイの各光源から照射された光信号を検出することができる。
【0127】
例えば、検出器アレイ520は、光源アレイ510から照射された光が被検体から反射した光、吸収光、生体成分によって散乱された光のうちの少なくとも1つを光信号で検出することができる。また、検出器アレイ520は、1つ以上の検出器を含み、既定の構造の配列で配置される。
【0128】
一例として、光源アレイ510及び検出器アレイ520の各光源及び各検出器は、四角形、円形、同心円形及び帯形のうちから既定の構造の配列で配置される。また、これに制限されず、光源アレイ510及び検出器アレイ520の各光源及び各検出器の間の距離は、任意の距離で不規則に配置される。
【0129】
以下、必要によって説明する光信号は、検出器アレイ520の1つ以上の検出器が光源アレイ510の光源から照射されて生体成分によって散乱された光を検出したことを意味する。
【0130】
プロセッサ530は、光源アレイ510及び検出器アレイ520の各光源及び検出器を個別的に制御して、少なくとも1つの光源及び検出器を駆動することができる。
【0131】
例えば、プロセッサ530は、光源アレイ510の各光源及び検出器アレイ520の各検出器を順次に駆動させて、光源-検出器の一対一対応になる組合わせで光源及び検出器を駆動させ、光源と検出器とが多対一対応になる組合わせで光源及び検出器を個別的に駆動させることができる。
【0132】
また、プロセッサ530は、既定の光源-検出器の駆動パターンによって、光源アレイ510の各光源及び検出器アレイ520の各検出器を駆動させることができる。
【0133】
プロセッサ530は、駆動された検出器から検出された光信号の血管の深さによる変化に基づいて、検出器-血管についての光路長の情報を生成することができる。
【0134】
図6は、光源アレイの各光源及び検出器アレイの各検出器の一例による配列形態を示す例示図である。
【0135】
図5及び
図6を参照すれば、光源アレイ510の各光源511、512、513、514と検出器アレイ520の各検出器521、522、523、524は、プローブ60上で帯形の配列で同一間隔離隔して配置される。
【0136】
例えば、プロセッサ530は、検出器521を駆動させた状態で、各光源511、512、513、514を順次に駆動させ、該駆動された光源と検出器との距離(d)と検出器521から検出される光信号の強度変化に基づいて、光路長の情報を生成することができる。
【0137】
例えば、駆動された検出器521は、各光源511、512、513、514のうちの一部光源511、512、513と同じ距離(d)ほど離隔して配されており、一部光源514とはさらに遠い距離に配されている。この際、プロセッサ530は、検出器521と同じ距離ほど離隔した一部光源511、512、513から照射されて、被検体から反射した光強度の変化に基づいて、血管に対する光路長を算出することができる。
【0138】
すなわち、検出器521と同じ距離ほど離隔した一部光源511、512、513から照射されて、被検体から反射した光強度に差がある場合、プロセッサ530は、検出された光強度が大きいほど、光路長が短いと判断し、検出された光強度の強度に基づいて光源アレイ510の各光源及び検出器アレイ520の各検出器の間の光路長の情報を生成することができる。
【0139】
言い換えれば、血管が光源アレイ510の各光源511、512、513、514または検出器アレイ520の各検出器521、522、523、524と遠く位置するか、被検体の表面から深くあるほど、各検出器521、522、523、524から検出される光強度は、幾何級数的に小さくなるので、血管が深さ変化によって光強度の強度が変化し、プロセッサ530は、光強度の強度変化に基づいて光路長の情報を生成することができる。
【0140】
他の例として、光源アレイ510が、1つ以上の近赤外光(NIR)を照射する第1光源及び特定の波長領域(例:Green~infrared領域であって、500nm~855nmの波長領域など)を照射する第2光源を含む場合、プロセッサ530は、駆動された検出器から検出される光信号の光強度及び駆動された検出器と第2光源との距離に基づいて、光路長の情報を生成することができる。
【0141】
また、プロセッサ530は、検出器アレイ520の各検出器521、522、523、524に対して、光源アレイ510の各光源511、512、513、514を順次に駆動させて、各検出器521、522、523、524の血管に対する光路長を算出することができる。
【0142】
プロセッサ530は、生成された光路長の情報に基づいて、散乱係数を補正して生体成分を測定することができる。
【0143】
例えば、プロセッサ530は、検出器アレイ520から検出された光信号の光強度及び検出器アレイ520の駆動された検出器と光源アレイ510の駆動された光源との距離に基づいて、散乱係数を算出することができる。
【0144】
この際、プロセッサ530は、光路長の情報が算出されれば、検出された光信号に対する光路長と既定の基準長さ(基準光路長)とを比較して、算出された散乱係数を基準距離から算出された散乱係数に補正することができる。ここで、基準長さは、光路長の情報に基づいて、最も短い距離の光路長で決定され、これに制限されず、既定の光路長(例:4mmなど)を基準長さで決定することができる。
【0145】
このように、算出された散乱係数を血管についての光路長の情報に基づいて、基準長さでの散乱係数に補正することにより、生体成分測定時に、ユーザの活動、健康状態、時間の経過及び測定地点の変化によって、互いに異なる光路長から算出された散乱係数にもかかわらず、生体成分測定の正確度及び信頼度を保証することができる。
【0146】
他の例として、プロセッサ530は、光路長の情報に基づいて、第1光信号の検出深さを決定し、該決定された検出深さと基準深さとの比較の結果に基づいて、算出された散乱係数を補正することができる。例えば、血管が被検体の表面から深く位置するか、光源アレイ510の駆動された光源及び検出器アレイ520の駆動された検出器から遠く位置した場合、光路長が長くなり、プロセッサ530は、光信号の検出距離と基準距離とが互いに異なる場合、検出距離から算出された散乱係数を基準距離での散乱係数に補正することができる。
【0147】
一例として、検出距離が基準距離よりも深い場合、検出器アレイ520を通じて検出された光信号の強度は、基準距離から検出された光信号の強度よりも小さいので、プロセッサ530は、正の補正値を算出された散乱係数に加えることにより、散乱係数を補正することができる。一方、検出距離が基準距離よりも浅い場合、検出器アレイ520を通じて検出された光信号の強度は、基準距離から検出された光信号の強度よりもさらに大きいので、プロセッサ130は、負の補正値を算出された散乱係数に加えることにより、散乱係数を補正することができる。
【0148】
さらに他の例として、プロセッサ530は、光路長の情報に基づいて、複数の検出器のうちから同じ光路長を有する少なくとも2つ以上の検出器を選択し、該選択された検出器から検出された第1光信号に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0149】
例えば、プロセッサ530は、光源アレイ510及び検出器アレイ520を個別的に制御して、光源アレイ510の各光源から照射されて検出器アレイ520の各検出器から検出される光信号の光路長をそれぞれ算出することにより、同じ光路長を有する検出器を選択することができる。この際、プロセッサ530は、同じ光路長を有する光源及び検出器のみを駆動させて光信号を検出することにより、算出された散乱係数の信頼度を保証することができる。
【0150】
プロセッサ530は、算出された散乱係数に基づいて生体成分を測定することができる。例えば、散乱係数は、血管内の血液に含まれた生体成分によって散乱を起こし、散乱されて戻ってくる散乱光の強度に基づいて生体成分の濃度を測定し、例えば、血液内の測定対象生体成分の濃度と散乱係数の濃度は、比例することができるので、散乱係数の変化によって生体成分の濃度を測定することができる。
【0151】
図7は、生体成分測定方法の一例を示すフローチャートである。
図7の生体成分測定方法は、
図1及び
図4に示された生体成分測定装置100、400によって行われる。
【0152】
生体成分測定装置100は、第1光源から照射された第1光信号、第2光源から照射された第2光信号を検出することができる(710)。
【0153】
例えば、生体成分測定装置100は、第1光源及び第2光源を含み、第1光源及び第2光源は、被検体に光を照射することができる。この際、第1光源及び第2光源は、可視光線の特定の波長帯域、近赤外線(NIR)や中赤外線(MIR)帯域の光を照射し、例えば、第1光源は、近赤外線波長領域の光を照射し、第2光源は、特定の波長領域(例:Green~infrared領域であって、500nm~855nmの波長領域など)を照射し、そのうち、赤色光(例:630nm~780nmの波長領域など)を照射することができる。
【0154】
生体成分測定装置100は、第1光源及び第2光源から照射された光が被検体の皮膚から反射した光、吸収光、生体成分によって散乱された光のうちの少なくとも1つを光信号で検出することができる。
【0155】
この際、生体成分測定装置100は、被検体の表面で、血管の位置と整列されるように配された第1光源及び検出器を通じて第1光信号を検出することができる。例えば、第1光源は、被検体の表面で血管に沿って平行に配列され、検出器は、第1光源と一定距離離隔して血管に沿って平行に配列されうる。
【0156】
生体成分測定装置100は、検出された第1光信号に基づいて散乱係数を算出し、検出された第2光信号に基づいて血管の深さ情報を算出することができる(720)。
【0157】
例えば、検出器120は、第1検出器及び第2検出器を含み、生体成分測定装置100は、第1光信号と互いに異なる距離に配された第1検出器及び第2検出器の間の距離( )と第1光信号の光強度に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0158】
また、生体成分測定装置100は、第2光源から照射されて戻ってくる反射した光強度に基づいて血管の深さ情報を生成することができる。
【0159】
例えば、生体成分測定装置100の第2光源が特定の波長領域(例:Green~infrared領域であって、500nm~855nmの波長領域など)の光を被検体に照射する場合、生体成分測定装置100は、血管の深さ変化に対する反射した光強度の変化に基づいて血管の深さ情報を生成することができる。
【0160】
例えば、生体成分測定装置100が赤色光領域(例:630nm~780nmの波長領域など)の光を被検体に照射する場合、反射した光強度の変化は、生体成分の濃度変化に比べて、血管の深さ変化にさらに敏感に変化するので、生体成分測定装置100は、第2光源から照射され、被検体の血管に反射して戻ってくる第2光信号の強度変化に基づいて血管の深さ情報を生成することができる。
【0161】
次いで、生体成分測定装置100は、算出された血管の深さ情報に基づいて散乱係数を補正することができる(730)。
【0162】
例えば、生体成分測定装置100は、血管の深さ情報に基づいて検出された第1光信号の検出深さを決定し、該決定された検出深さと基準深さとの比較の結果に基づいて算出された散乱係数を補正することができる。
【0163】
生体成分測定装置100は、第1光信号の検出深さと基準深さとが互いに異なる場合、検出深さから算出された散乱係数を、基準深さでの散乱係数に補正することができる。
【0164】
このように、血管の深さ情報に基づいて検出深さから算出された散乱係数を、基準深さでの散乱係数に補正することにより、生体成分測定時に、ユーザの活動、健康状態、時間の経過及び測定地点の変化によって、互いに異なる検出深さから算出された散乱係数にもかかわらず、生体成分測定の正確度及び信頼度を保証することができる。
【0165】
また、生体成分測定装置100は、検出された光信号の光強度、信号対雑音比(SNR)、第1光源との距離、血管の深さ情報のうちの少なくとも1つの検出器を選択することができる。
【0166】
例えば、第1光源、第2光源及び検出器が複数個配されるか、既定の配列構造で配された場合、生体成分測定装置100は、第1光源及び検出器を血管に沿って整列させるか、同じ深さの血管が位置した第1光源及び検出器のみを駆動または選択するために、複数の第1光源及び検出器のうちの少なくとも一部を選択することができる。
【0167】
他の例として、生体成分測定装置100は、第1光源、第2光源及び検出器を個別的に制御して、検出器から検出された光信号の信号対雑音比を算出し、SNRの大きさ順によって少なくとも1つ以上の第1光源及び検出器を選択することができる。例えば、複数の第1光源、第2光源及び検出器が配された場合、生体成分測定装置100は、何れか1つの第1光源と検出器のうちから何れか1つのみを駆動させることにより、第1光源のうち何れか1つに対する各検出器から検出される第1光信号の信号対雑音比を算出し、信号対雑音比の大きさ順序を信号特性が最も良好であると決定し、信号対雑音比の大きさ順によって少なくとも1つ以上の第1光源及び検出器を選択することができる。
【0168】
さらに他の例として、生体成分測定装置100は、血管の深さ情報に基づいて、複数の検出器のうちから同じ深さの血管位置に配された少なくとも2つ以上の検出器を選択することができる。
【0169】
生体成分測定装置100は、複数の第1光源、第2光源及び検出器のうちから少なくとも1つ以上の第1光源、第2光源及び検出器が選択されれば、該選択された第1光源、第2光源及び検出器のみを駆動させて光信号を検出し、該検出された光信号に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0170】
例えば、生体成分測定装置100は、最も高い光強度、信号対雑音比及び第1光源と検出器との距離に基づいて選択された第1光源及び検出器を使用して第1光信号を検出することにより、信号特性が良好な第1光信号に基づいて散乱係数を算出することができる。
【0171】
また、生体成分測定装置100は、同じ深さの血管位置に配された少なくとも2つ以上の検出器から検出された第1光信号に基づいて散乱係数を算出することにより、算出された散乱係数の信頼度を保証することができる。
【0172】
生体成分測定装置100は、算出された散乱係数に基づいて生体成分を測定することができる(740)。
【0173】
散乱係数は、血管内の血液に含まれた生体成分によって散乱を起こし、散乱されて戻ってくる散乱光の強度に基づいて生体成分の濃度を測定し、例えば、血液内の測定対象生体成分の濃度と散乱係数の濃度は、比例することができるので、散乱係数の変化によって生体成分の濃度を測定することができる。
【0174】
この際、生体成分測定装置100は、測定対象となる生体成分の種類、測定地点、血管の深さ情報と散乱係数に関する相関関係または機械学習に基づいて予め生成された、生体成分推定モデルに基づいて生体成分の濃度を測定することができる。
【0175】
一方、本実施形態は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取れるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。
【0176】
コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ記録装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態で具現するものを含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードとして保存されて実行可能である。そして、本実施形態を具現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論されうる。
【0177】
当業者ならば、開示された技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるであろう。したがって、前述した実施形態は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないということを理解せねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、生体成分測定装置及び方法関連の技術分野に適用可能である。