(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】プロテアーゼ変異体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/57 20060101AFI20221004BHJP
C12N 9/56 20060101ALI20221004BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221004BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221004BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221004BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221004BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221004BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C12N15/57 ZNA
C12N9/56
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/15
C12N1/21
C12N5/10
C11D3/386
(21)【出願番号】P 2018566295
(86)(22)【出願日】2017-06-18
(86)【国際出願番号】 US2017038060
(87)【国際公開番号】W WO2017219011
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509240479
【氏名又は名称】ダニスコ・ユーエス・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ボット、リチャード アール
(72)【発明者】
【氏名】エステル、デイビッド エー
(72)【発明者】
【氏名】ゴードゲブール、フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ムルダー、ハーム
(72)【発明者】
【氏名】プリセリウス、シーナ
【審査官】竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522235(JP,A)
【文献】特表2013-513385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0032267(US,A1)
【文献】特表2015-513385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 9/56
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号
6のアミノ酸配列を含む親サブチリシン由来のサブチリシン変異体であって
、アミノ酸置換
P40EおよびE89Dを含み、前記変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされ、前記変異体は、配列番号
6のアミノ酸配列に対して少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記変異体は、前記親サブチリシンと比較して1つ以上の改善された特性を有し、前記改善された特性は、(i)改善されたプロテアーゼ活性であって、前記変異体は、N-スクシニル-アラニン-アラニン-プロリン-フェニルアラニン-p-ニトロアニリド(N-suc-AAPF-pNA)またはジメチルカゼイン基質に対して性能指数(PI)>1を有する、改善されたプロテアーゼ活性;(ii)洗剤中での改善された洗浄性能であって、前記変異体は、血液/ミルク/インク(BMI)および/または卵の染みの洗浄で性能指数(PI)>1を有する、洗剤中での改善された洗浄性能;(iii)洗剤中での改善された熱安定性であって、前記変異体は、安定性性能指数(PI)>1を有する、洗剤中での改善された熱安定性;および/または(iv)改善された生産性であって、前記変異体は、1.0超の生産性性能指数(PI)を有する、改善された生産性であり、前記洗剤は、任意選択により、ホウ素を含まない組成物である、サブチリシン変異体。
【請求項2】
請求項1に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む組成物。
【請求項3】
洗剤組成物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記洗剤組成物は、洗濯用洗剤、布帛柔軟用洗剤、食器洗浄用洗剤および硬質表面洗浄用洗剤から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
カルシウムおよび亜鉛から選択される1つ以上のイオン;1つ以上の酵素安定剤;約0.001重量%~約1.0重量%の前記変異体;1つ以上の漂白剤;1つ以上の補助剤;ならびに/またはアシルトランスフェラーゼ、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ、DNase、エンド-ベータ-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、ポリエステラーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、メタロプロテアーゼ、追加のセリンプロテアーゼおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の追加の酵素もしくは酵素誘導体をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
リン酸塩を含有するかもしくはリン酸塩を含まず、かつ/またはホウ素を含有するかもしくはホウ素を含まない、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
粒状、粉末状、固形状、棒状、液状、タブレット状、ゲル状、ペースト状または単位用量の組成物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
洗浄の方法であって、洗浄を必要とする表面または物品を請求項1に記載の変異体または請求項2に記載の組成物と接触させる工程を含み、かつ任意選択により、前記表面または物品を前記変異体または組成物と接触させた後に前記表面または物品をリンスする工程をさらに含む方法。
【請求項9】
前記物品は、食器または布帛である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の変異体をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、任意選択により単離されているポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記核酸配列は、作動可能にプロモーターに連結されている、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記ポリヌクレオチドによってコードされる前記変異体は、248D置換を含む、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記変異体は、1.0超の生産性性能指数(PI)を含み、前記生産性PIは、前記248D置換を含まないサブチリシン変異体ポリペプチドに対するものである、請求項12に記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
5’から3’の方向に、上流(5’)に存在し、かつシグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロモーター配列、下流(3’)に存在し、かつ前記5’シグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロペプチド配列、下流(3’)に存在し、かつ前記5’プロペプチド配列に作動可能に連結されている、前記248D置換を含む前記変異体をコードする核酸配列、および下流(3’)に存在し、かつ前記248置換を含む前記変異体をコードする前記核酸配列に作動可能に連結されている任意選択のターミネーター配列を含む発現コンストラクトである、請求項12に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
(i)前記シグナルペプチド配列は、配列番号28を含み;(ii)前記プロペプチド配列は、配列番号3を含み;(iii)前記変異体をコードする前記核酸配列は、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50および配列番号51から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、および/または(iv)前記任意選択のターミネーター配列は、配列番号30を含む、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項10に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクターまたはカセット。
【請求項17】
請求項16に記載のベクターもしくはカセットまたは請求項10に記載のポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞。
【請求項18】
請求項1に記載の変異体を含む組成物であって、消毒用、医療器具洗浄用、動物飼料用、コンタクトレンズ洗浄用、創傷清拭用または織物、皮革もしくは羽毛加工用組成物である、組成物。
【請求項19】
P40E-T58Y-E89D-N116Q-N248D;P40E-T58Y-E89D-N116Q;P40E-E89D-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T-N248D;P40E-E89D-S101R-S130A-N248D;P40E-E89D;P40E-E89D-S101R-S128T;およびP40E-E89D-S101R-S130Aから選択されるアミノ酸置換の組み合わせを含む、請求項1に記載のサブチリシン変異体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1つ以上の参照サブチリシンと比較して改善した安定性および/または汚れ除去性を有する1つ以上のサブチリシン変異体を含む、1つ以上のサブチリシン変異体、それをコードする核酸、ならびにその製造および使用に関連する組成物および方法が本明細書に開示される。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2016年6月17日に出願された米国仮特許出願第62/351,649号明細書および2016年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/437,174号明細書の優先権を主張するものである。
【0003】
配列表の参照
「NB41146-WO-PCT-SEQ_Listing.txt」という名称の配列表のテキストファイルの電子的提出の内容は、2017年6月14日に作成され、サイズが101KBであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
セリンプロテアーゼは、タンパク質のペプチド結合の加水分解を開始する活性部位セリンを有する酵素(EC No.3.4.21)である。セリンプロテアーゼは、広範囲の特異性および生物学的機能を有する多様なクラスの酵素を含むが、それらの構造に基づき、さらにキモトリプシン様(トリプシン様)およびサブチリシン様に分けられる。原型的なサブチリシン(EC No.3.4.21.62)は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)から最初に得られた。サブチリシンおよびそのホモログは、MEROPS分類スキームのS8ペプチダーゼファミリーのメンバーである。S8ファミリーのメンバーは、そのアミノ酸配列中にAsp、HisおよびSerの順に並ぶ触媒三残基を有する。洗浄用途のために多くの有用な変異体プロテアーゼが開発されてきたが、改善されたプロテアーゼ変異体がこの技術分野で依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態は、(i)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248;(ii)40、101、128および130;(iii)22、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた40;(iv)22、40、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた44;(v)22、40、44、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた48;(vi)22、40、44、48、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた58;(vii)22、40、44、48、58、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた89;(viii)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた101;(ix)22、40、44、48、58、89、101、103、104、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた116;(x)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた128;(xi)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた130;(xii)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232および245から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた248;(xiii)40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた22;(xiv)22、40、44、48、58、89、101、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた103;(xv)22、40、44、48、58、89、101、103、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた104;(xvi)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた232;(xvi)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた245から選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含む1つ以上のサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0006】
他の実施形態は、グラム陽性菌宿主細胞中においてサブチリシン変異体の産生を増大させる方法に関し、この方法は、(a)248D置換を含むサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドコンストラクトを宿主細胞に導入する工程と、(b)コードされたサブチリシン変異体の産生に適切な条件下で宿主細胞を増殖させる工程とを含み、この宿主細胞は、248D置換を含まないサブチリシン変異体をコードする、導入されたポリヌクレオチドコンストラクトを含む同じ属、種および遺伝的背景のグラム陽性菌宿主細胞に対して増大した量のサブチリシン変異体を産生し、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0007】
いくつかの他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む組成物に関する。さらなる実施形態は、洗浄の方法であって、洗浄を必要とする表面または物品を、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体または本明細書に記載の1つ以上の組成物と接触させる工程を含む方法に関する
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】B.レンツス(B.lentus)サブチリシンP29600(配列番号6)の成熟アミノ酸配列およびB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)サブチリシンBPN’(配列番号26)の成熟アミノ酸配列のアラインメントを示す。
【
図2A-2C】P29600(配列番号6)、BPN’(配列番号26)および本明細書に記載のP29600サブチリシン変異体(配列番号7~配列番号25)のCLUSTALW配列アラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において別途指示がない限り、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、分子生物学、微生物学、タンパク質精製、タンパク質工学、タンパク質およびDNA配列決定、組換えDNA分野、ならびに工業的酵素の使用および開発において一般に使用されている従来技術によって作りかつ使用することができる。本明細書で定義されていない用語および略語は、当該技術分野において使用されるそれらの通常の意味を有するものとする。本明細書において他に特に定義されていない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解する意味と同一の意味を有する。本明細書で示されるいかなる定義も、本明細書全体との関連で解釈されるべきである。本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上特に明記されない限り、複数形を含む。別途指示がない限り、核酸は、5‘から3’の方向に左から右へ記載し、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシの方向に左から右へ記載する。本明細書で使用される数値範囲の全ては、それより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように、そのようなより広い数値範囲に入る全てのより狭い数値範囲を全て含む。
【0010】
本明細書において数値と関連して使用する用語「約」は、その用語が文脈において他に特に定義されていない限り、数値の±0.5の範囲を指す。例えば、語句「約6のpH値」は、pH値が他に特に定義されていない限り、5.5~6.5のpH値を指す。
【0011】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体のアミノ酸置換の命名は、次の1つ以上を使用する:位置;位置:アミノ酸置換;または開始アミノ酸:位置:アミノ酸置換。「位置」(すなわち5、8、17、22など)への言及は、そのような位置に存在し得る任意の開始アミノ酸およびそのような位置に存在し得る任意の置換を包含する。「位置:アミノ酸置換」(すなわち1S/T/G、3G、17Tなど)への言及は、そのような位置に存在し得る任意の開始アミノ酸およびそのような開始アミノ酸を置換し得る1つ以上のアミノ酸を包含する。開始アミノ酸または置換されたアミノ酸への言及は、スラッシュ(「/」)によって区切られた数個の開始アミノ酸または置換されたアミノ酸としてさらに表わされ得る。例えば、D275S/Kは、275位がセリン(S)またはリシン(K)で置換され、P/S197Kは、197位の開始アミノ酸プロリン(P)またはセリン(S)がリシン(K)で置換されていることを示す。
【0012】
所与のアミノ酸配列のアミノ酸残基の位置は、配列番号26に対応して番号付けされている。すなわち、配列番号26で示されるBPN’のアミノ酸配列が参照配列となる。例えば、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体のアミノ酸配列は、本明細書に記載のアライメントアルゴリズムを使用して配列番号26のアミノ酸配列とアライメントンされ、配列番号26のアミノ酸残基とアライメントする(好ましくは、最適にアライメントする)所与のアミノ酸配列中の各アミノ酸残基は、対応するアミノ酸残基の位置番号を参照して便宜的に番号を付される。例えば、本明細書に記載するような配列アライメントアルゴリズムは、クエリー配列と比較して対象配列に挿入または欠失が生じている場所を特定する。
【0013】
「プロテアーゼ」および「プロテイナーゼ」という用語は、タンパク質およびペプチドを分解する能力を有する酵素を指す。プロテアーゼは、タンパク質を形成しているペプチドまたはポリペプチド鎖においてアミノ酸同士を結び付けるペプチド結合を加水分解することによって「タンパク質分解」を行う能力を有する。このタンパク質消化酵素としてのプロテアーゼの活性は、「タンパク質分解活性」と呼ばれる。タンパク質分解活性を測定する多くのよく知られた手順がある。例えば、タンパク質分解活性は、適切な基質を加水分解する各プロテアーゼの能力を分析する比較検定法によって特定され得る。プロテアーゼ活性またはタンパク質分解活性の分析に有用な例示的な基質としては、ジメチルカゼイン(Sigma C-9801)、ウシのコラーゲン(Sigma C-9879)、ウシのエラスチン(Sigma E-1625)およびウシのケラチン(ICN Biomedical 902111)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの基質を使用する比色分析法は、当該技術分野でよく知られている(例えば、国際公開第99/34011号パンフレットおよび米国特許第6,376,450号明細書を参照されたい)。pNAペプチジルアッセイ(例えば、Del Mar et al.,Anal Biochem,99:316-320,1979を参照されたい)は、活性酵素濃度の決定にも使用することができる。このアッセイは、酵素が可溶性合成基質、例えばスクシニル-アラニン-アラニン-プロリン-フェニルアラニン-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)を加水分解する際のp-ニトロアニリンの放出速度を測定する。加水分解反応からの黄色の生成速度を分光光度計により410nmで測定するが、生成速度は、活性酵素濃度に比例する。さらに、280ナノメートル(nm)での吸光度の測定も、精製タンパク質試料における総タンパク質濃度の測定に使用することができる。基質に対する活性/タンパク質濃度は、酵素比活性を示す。
【0014】
「ホウ素を実質的に含まない組成物」または「ホウ素を実質的に含まない洗剤」という句は、おそらく他の組成物または洗剤成分からであろうホウ素を微量、例えば約1000ppm未満(1mg/kgまたはリットルは1ppmに等しい)、約100ppm未満、約50ppm未満、約10ppm未満、または約5ppm未満、または約1ppm未満含有する組成物または洗剤をそれぞれ指す。
【0015】
本明細書では、「バチルス(Bacillus)属」には、当業者に知られる「バチルス(Bacillus)」属内の全ての菌種、例えば、限定はされないが、B.サブチリス(B.subtilis)、B.リケニホルミス(B.licheniformis)、B.レンツス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.ハロドュランス(B.halodurans)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.コアギュランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)およびB.チューリンギエンシス(B.thuringiensis)が含まれる。バチルス(Bacillus)属が分類学的に再編成され続けていることを理解されたい。したがって、この属には、再分類されている種、例えば、現在、「ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)」と称されるB.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、または現在、パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)と称されるB.ポリミキサ(B.polymyxa)などの生物(これらに限定されない)が含まれるものとする。ストレスに満ちた環境条件下での抵抗性内生胞子の生成は、バチルス(Bacillus)属の決定的な特徴であると考えられるが、この特徴は、最近命名されたアリシクロバチルス(Alicyclobacillus)属、アンフィバチルス(Amphibacillus)属、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)属、アノキシバチルス(Anoxybacillus)属、ブレビバチルス(Brevibacillus)属、フィロバチルス(Filobacillus)属、グラシリバチルス(Gracilibacillus)属、ハロバチルス(Halobacillus)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、サリバチルス(Salibacillus)属、サーモバチルス(Thermobacillus)属、ウレイバチルス(Ureibacillus)属およびビルジバチルス(Virgibacillus)属にも当てはまる。
【0016】
本明細書では、「変異」という用語は、参照アミノ酸配列または参照核酸配列に対してなされた変化を指す。この用語は、置換、挿入および欠失を包含するものとする。
【0017】
本明細書では、「ベクター」という用語は、核酸を標的細胞または組織に導入または移入させるために使用される核酸コンストラクトを指す。通常、ベクターは、外来DNAを細胞または組織に導入するために使用される。ベクターとしては、プラスミド、クローニングベクター、バクテリオファージ、ウイルス(例えば、ウイルスベクター)、コスミド、発現ベクター、シャトルベクターなどが挙げられる。通常、ベクターは、複製起点、マルチクローニングサイトおよび選択マーカーを含む。標的細胞へのベクターの挿入プロセスは、一般に、形質転換と称される。いくつかの実施形態では、本発明は、適切な宿主中でDNA配列を発現させ、組換えポリペプチド鎖のフォールディングおよび転座を起こすことができる適切なプロ配列(例えば、分泌シグナルペプチド配列など)に作動可能に連結されているセリンプロテアーゼポリペプチド(例えば、前駆体または成熟セリンプロテアーゼポリペプチド)をコードするDNA配列を含むベクターを含む。
【0018】
核酸配列の細胞中への導入に関連して本明細書で使用する「導入された」という用語は、核酸配列を細胞中に移入するのに適した任意の方法を指す。そのような導入方法としては、限定されないが、原形質融合、形質移入、形質転換、エレクトロポレーション、接合および形質導入が挙げられる。形質転換は、遺伝子材料(例えば、DNA)の取り込み、任意的なゲノムへの組み込みおよび発現から生じる細胞の遺伝子改変を指す。
【0019】
「発現」という用語は、本開示の核酸分子に由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。発現は、mRNAのポリペプチドへの翻訳も意味し得る。したがって、「発現」という用語には、「ポリペプチドの産生」に関与する任意の工程、例えば、限定はされないが、転写、転写後改変、翻訳、翻訳後改変、分泌などが含まれる。
【0020】
「サブチリシン変異体の増大した発現」、「サブチリシン変異体の増大した生産」および「サブチリシン変異体の増大した生産性」という句は、互換的に使用され、サブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドが導入されている組換え宿主細胞(例えば、形質転換によって)から単離または分泌されたサブチリシン(変異体)ポリペプチドの収量の増大を指す。より詳しくは、「サブチリシン変異体の増大した発現」または「サブチリシン変異体の増大した生産」という句は、本明細書では、組換え宿主細胞(すなわちサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドが導入された細胞)から単離または分泌された特定のサブチリシン変異体(ポリペプチド)の収量(すなわちタンパク質の生産性)の増大を指し、サブチリシン変異体ポリペプチドの収量のこの「増大」は、類似の組換え宿主細胞(参照(コントロール)サブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドが導入された細胞)から単離または分泌された参照(コントロール)サブチリシンポリペプチドと比較した(に対する)ものである。例えば、本開示の変異体サブチリシンポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよび参照(コントロール)サブチリシンをコードする第2のポリヌクレオチドを宿主細胞の集団(すなわち属、種および遺伝的背景が同じ宿主集団)に形質転換することができる。続いて、第1のポリヌクレオチドを含む宿主形質転換細胞および第2のポリヌクレオチドを含む宿主形質転換細胞を同じ条件で増殖/培養し、宿主細胞から発現/産生された変異体サブチリシンポリペプチドの量と、参照(コントロール)サブチリシンポリペプチドの量とを互いに比較する(例えば、タンパク質濃度またはサブチリシン活性の測定により)。
【0021】
「発現カセット」または「発現ベクター」という句は、標的細胞における目的の核酸(例えば、外来核酸または導入遺伝子)の発現のために、組換えまたは合成により作製された核酸コンストラクトまたはベクターを指す。目的の核酸は、通常、目的のタンパク質を発現する。発現ベクターまたは発現カセットは、通常、外来核酸の発現を駆動または促進するプロモーターヌクレオチド配列を含む。発現ベクターまたは発現カセットは、通常、標的細胞中で特定の核酸の転写を許容する他の特定の核酸エレメントも含む。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスまたは核酸断片内に組み込むことができる。いくつかの発現ベクターは、宿主細胞または宿主細胞のゲノム中に異種DNA断片を組み込み、発現する能力を有する。多くの原核細胞発現ベクターおよび真核細胞発現ベクターが商業的に入手可能である。発現ベクターに組み込まれた核酸配列からタンパク質を発現するための適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内である。
【0022】
本明細書では、核酸は、他の核酸配列と機能的な関係で配置されたときに他の核酸配列に「作動可能に連結されている」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、プロモーターがコード配列の転写に作用する場合、ヌクレオチドコード配列に作動可能に連結されている。リボソーム結合部位が、コード配列の翻訳を促進するような位置にある場合、それは、コード配列に作動可能に連結され得る。通常、「作動可能に連結されている」DNA配列は、隣接している。しかしながら、エンハンサーは、隣接している必要はない。連結は、適当な制限酵素認識部位でのライゲーションによって行われる。そのような部位が存在しない場合、従来の方法に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用することができる。
【0023】
本明細書では、「遺伝子」という用語は、ポリペプチドをコードし、かつコード領域の前および後の領域を含むポリヌクレオチド(例えば、DNAセグメント)を指す。いくつかの場合、遺伝子は、個々のコードセグメント(エクソン)間に介在配列(イントロン)を含む。
【0024】
本明細書では、「組換え」は、細胞に関連して使用される場合、細胞が外来核酸配列の導入によって改変されたこと、または細胞がそのように改変された細胞に由来することを一般に意味する。例えば、組換え細胞は、細胞の天然の(非組換え)形態内に同一の形態で存在しない遺伝子、または改変され、細胞に再導入された天然遺伝子(細胞の天然型に存在する)を含み得る。組換え細胞は、細胞から核酸を除かずに改変された細胞に内在する核酸を含み得る。そのような改変としては、遺伝子置換、部位特異的変異および当業者に知られた関連技術によって得られるものが挙げられる。組換えDNA技術としては、インビトロで組換えDNAを生成する技術、および組換えDNAが発現または増殖し得る細胞に組換えDNAを導入し、それによって組換えポリペプチドを産生する技術が挙げられる。ポリヌクレオチドまたは核酸の「組換え」および「組換える」は、一般に、2つ以上の核酸またはポリヌクレオチドの鎖または断片を組み立てるかまたは結合して、新しいポリヌクレオチドまたは核酸を生成することを指す。
【0025】
核酸またはポリヌクレオチドは、その天然の状態においてまたは当業者に知られている方法によって操作されたとき、転写および/または翻訳されてポリペプチドまたはその断片を産生できる場合にポリペプチドを「コードする」と言われる。そのような核酸のアンチセンス鎖も配列をコードすると言われる。
【0026】
「宿主株」および「宿主細胞」という用語は、目的のDNA配列を含む発現ベクター用の適切な宿主を指す。
【0027】
「タンパク質」または「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマー配列を含む。「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、本明細書において互換的に使用される。アミノ酸に対して、本開示全体を通して、生化学的命名法に関するIUPAC-IUB連合委員会(JCBN)に準拠して定義された1文字また3文字コードを使用する。1文字のXは、20種のアミノ酸のいずれかを指す。ポリペプチドは、遺伝子コードの縮重に起因して2つ以上のヌクレオチド配列によってコードできることも理解される。
【0028】
「プロ配列」または「プロペプチド配列」は、シグナルペプチド配列と、プロテアーゼの適切な折り畳みおよび分泌に必要な成熟プロテアーゼ配列との間のアミノ酸配列を指し、これらは、ときに分子内シャペロンと呼ばれる。プロ配列またはプロペプチド配列の開裂により、成熟活性プロテアーゼが生成される。細菌セリンプロテアーゼは、多くの場合、プロ酵素として表される。
【0029】
「シグナル配列」および「シグナルペプチド」という用語は、タンパク質の成熟型または前駆体型の分泌または直接輸送に関与し得るアミノ酸残基の配列を指す。シグナル配列は、通常、前駆体または成熟タンパク質配列のN末端に位置する。シグナル配列は、内因性または外因性であり得る。シグナル配列は、通常、成熟タンパク質に存在しない。シグナル配列は、通常、タンパク質が輸送された後にシグナルペプチダーゼによってそのタンパク質から切除される。
【0030】
タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの「成熟」型という用語は、シグナルペプチド配列およびプロペプチド配列を含まないタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの機能型を指す。
【0031】
タンパク質またはペプチドの「前駆体」型という用語は、そのタンパク質のアミノまたはカルボニル末端に作動可能に連結されたプロ配列を有するタンパク質の成熟形を指す。前駆体は、プロ配列のアミノ末端に作動可能に連結されている「シグナル」配列も有し得る。前駆体は、翻訳後活性に関連する追加のポリペプチド(例えば、タンパク質またはペプチドの成熟型を残すためにそれから切除されたポリペプチド)も有し得る。
【0032】
アミノ酸配列または核酸配列に関連した「野生型」という用語は、そのアミノ酸配列または核酸配列が天然または天然に存在する配列であることを示す。本明細書では、「天然型」という用語は、天然に見出されるもの(例えば、タンパク質、アミノ酸または核酸配列)を指す。逆に、「天然に存在しない」という用語は、天然に見出されないもの(例えば、実験室で生成されたまたは野生型配列の改変で生成された組換え核酸およびタンパク質配列)を指す。
【0033】
アミノ酸残基の位置に関連して本明細書で使用する「~に対応している」、または「~に対応する」、または「対応する」は、タンパク質もしくはペプチド中の列挙された位置におけるアミノ酸残基またはタンパク質もしくはペプチド中の列挙された残基と類似の、相同の、または均等なアミノ酸残基を指す。本明細書では、「対応する領域」は、一般に、関連するタンパク質または参照タンパク質における類似の位置を指す。
【0034】
「~に由来する」および「~から得られる」という用語は、対象の生物の株によって生成されるかまたは生成可能なタンパク質だけではなく、そのような株から単離されたDNA配列によってコードされるタンパク質およびそのようなDNA配列を含有する宿主生物中で生成されるタンパク質も意味する。さらに、この用語は、合成および/またはcDNA起源のDNA配列によってコードされ、対象のタンパク質の識別特徴を有するタンパク質を指す。例を挙げると、「バチルス属(Bacillus)に由来するプロテアーゼ」は、バチルス属(Bacillus)によって天然に産生される、タンパク質分解活性を有する酵素、およびバチルス属(Bacillus)源によって産生されるが、遺伝子工学技術の使用により、セリンプロテアーゼをコードする核酸で形質転換された他の宿主細胞によって産生されるようなセリンプロテアーゼを指す。
【0035】
2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に関連した「同一の」という用語は、当該技術分野で知られている下記の配列比較アルゴリズムまたは配列解析アルゴリズムによる測定で、対応が最大になるように2つの配列をアライメントさせたときに同じとなる、2つの配列中の核酸またはアミノ酸を指す。
【0036】
「%同一性」、「パーセント同一性」または「PID」という句は、タンパク質配列の同一性を指す。パーセント同一性は、当該技術分野で知られている標準技術を使用して決定することができる。目的の配列が共有するパーセントアミノ酸同一性は、例えば、BLAST、MUSCLEまたはCLUSTALなどのプログラムを使用し、配列をアライメントして配列情報を直接比較することにより決定することができる。BLASTアルゴリズムは、例えば、Altschul et al.,J Mol Biol,215:403-410(1990)およびKarlin et al.,Proc Natl Acad Sci USA,90:5873-5787(1993)に記載されている。パーセント(%)アミノ酸配列同一性値は、適合している同一残基の数を、最適/最大アライメントのためにプログラムによって創出されるギャップを含む「参照」配列の総残基数で除すことによって決定される。BLASTアルゴリズムは、「参照」配列を「クエリー」配列と呼ぶ。
【0037】
本明細書では、「相同タンパク質」または「相同プロテアーゼ」は、一次、二次および/または三次構造において明確な類似性を有するタンパク質を指す。タンパク質相同性は、タンパク質がアラインメントされた場合の線状アミノ酸配列における類似性を指すことができる。相同性は、アミノ酸配列アラインメントにより、例えばBLAST、MUSCLEまたはCLUSTALなどのプログラムを使用して決定することができる。タンパク質配列の相同性検索は、NCBI BLASTのBLASTPおよびPSI-BLASTを使用して0.001の閾値(E値のカットオフ)で実施することができる(Altschul et al.,“Gapped BLAST and PSI BLAST a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res,Set 1;25(17):3389-402(1997))。BLASTプログラムは、数種の検索パラメーターを使用するが、そのほとんどはデフォルト値に設定される。NCBI BLASTアルゴリズムは、生物学的類似性に関して最も関連する配列を見出すが、20個未満の残基のクエリー配列のためには推奨されない(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,25:3389-3402,1997;およびSchaffer et al.,Nucleic Acids Res,29:2994-3005,2001)。核酸配列検索用の例示的なデフォルトBLASTパラメーターには、次のものが挙げられる:隣接ワード閾値(Neighboring words threshold)=11;E値カットオフ=10;スコアリングマトリックス(Scoring Matrix)=NUC.3.1(マッチ=1、ミスマッチ=-3);ギャップオープニング(Gap Opening)=5;およびギャップエクステンション(Gap Extension)=2。アミノ酸配列検索用の例示的なデフォルトBLASTパラメーターには、次のものが挙げられる:ワードサイズ(Word size)=3;E値カットオフ=10;スコアリングマトリックス(Scoring Matrix)=BLOSUM62;ギャップオープニング(Gap Opening)=11;およびギャップエクステンション(Gap Extension)=1。この情報を用いて、タンパク質配列をグループ化し、かつ/またはそれから系統樹を構築することができる。アミノ酸配列は、Vector NTI Advance suiteなどのプログラムに入力することができ、樹形図は、Neighbor Joining(NJ)法(Saito and Nei,Mol Biol Evol,4:406-425,1987)を使用して作成することができる。ツリーの構築は、木村の配列距離補正を使用し、ギャップを含む位置を無視して計算することができる。AlignXなどのプログラムは、系統樹上に示された分子名に続く括弧内に計算距離の値を提示することができる。
【0038】
分子間の相同性についての理解は、分子の進化史および分子の機能に関する情報を明らかにすることができ、新規に配列解析したタンパク質が既に特性解析されたタンパク質と相同であれば、新規なタンパク質の生化学的機能に対する強力な指標である。2つの実体間の最も基本的な関係は、相同性であり、2つの分子は、それらが共通の祖先に由来している場合に相同であると言われる。相同分子またはホモログは、パラログとオルトログとの2つのクラスに分類することができる。パラログは、1つの種内に存在するホモログである。パラログは、多くの場合、それらの詳細な生化学的機能が相違する。オルトログは、異なる種に存在するホモログであり、極めて類似のまたは同一の機能を有する。タンパク質スーパーファミリーは、共通の祖先を推察し得るタンパク質の最大のグループ(クレード)である。通常、この共通の祖先は、配列アライメントおよび機構類似性に基づいている。スーパーファミリーは、一般に、ファミリー内に配列類似性を示すいくつかのタンパク質ファミリーを含んでいる。「タンパク質クラン」という用語は、通常、MEROPSプロテアーゼ分類システムに基づくプロテアーゼスーパーファミリーに対して使用される。
【0039】
CLUSTAL Wアルゴリズムは、配列アラインメントアルゴリズムのまた別の例である(Thompson et al.,Nucleic Acids Res,22:4673-4680,1994を参照されたい)。CLUSTAL Wアルゴリズムのデフォルトパラメーターには、次のパラメーターが含まれる:ギャップオープニングペナルティ(Gap opening penalty)=10.0;ギャップエクステンションペナルティ(Gap extension penalty)=0.05;タンパク質重量マトリックス(Protein weight matrix)=BLOSUMシリーズ;DNA重量マトリックス(DNA weight matrix)=IUB;ディレイ発散数列(%)(Delay divergent sequences%)=40;ギャップ分離距離(Gap separation distance)=8;DNAトランジション重量(DNA transitions weight)=0.50;親水性残基のリスト(List hydrophilic residues)=GPSNDQEKR;負のマトリックスの使用(Use negative matrix)=OFF;トグル残基特異的ペナルティ(Toggle Residue specific penalties)=ON;トグル親水性ペナルティ(Toggle hydrophilic penalties=ON;およびトグルエンドギャップ分離ペナルティ(Toggle end gap separation penalty)=OFF。CLUSTALアルゴリズムでは、いずれか一方の末端で発生する欠失が含まれる。例えば、500個のアミノ酸からなるポリペプチドの一方の末端(またはポリペプチド内)で5個のアミノ酸が欠失した変異体は、「参照」ポリペプチドに対して99%(495/500同一残基×100)のパーセント配列同一性を有する。そのような変異体は、ポリペプチドに対して「少なくとも99%の配列同一性」を有する変異体に包含されるであろう。
【0040】
核酸およびポリヌクレオチドは、少なくとも部分的または完全に他の成分、例えば、限定されないが、他のタンパク質、核酸、細胞などから分離されている場合に「単離されている」。同様に、ポリペプチド、タンパク質およびペプチドは、少なくとも部分的にまたは完全に他の成分、例えば、限定されないが、他のタンパク質、核酸、細胞などから分離されている場合に「単離されている」。モル基準では、単離された種は、組成物中で他の種より豊富である。例えば、単離された種は、存在する全ての高分子種の少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%(モル基準で)を含み得る。目的の種は、実質的に均質に(すなわち組成物中に従来の検出法で汚染種が検出されない)まで精製されていることが好ましい。純度および均質性は、核酸またはタンパク質の試料をそれぞれアガロースまたはポリアクリルアミドのゲル電気泳動にかけた後、染色によって可視化するなど、当該技術分野でよく知られている多くの手法で決定することができる。必要に応じて、高分解能技術、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または類似の手段を材料の精製に使用することができる。
【0041】
核酸またはポリペプチドに適用される「精製された」という用語は、一般に、当該技術分野でよく知られている分析技術による測定で他の成分を本質的に含まない核酸またはポリペプチドを意味する(例えば、精製ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、電気泳動ゲル、クロマトグラフィー溶出液および/または密度勾配遠心分離法に供された媒体において個別のバンドを形成する)。例えば、電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じさせる核酸またはポリペプチドは、「精製されている」。精製された核酸またはポリペプチドは、少なくとも約50%純粋であり、通常、少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、約99.8%(例えば、モルベースでの重量%)以上純粋である。これに関連して、組成物は、精製または濃縮技術の適用後に分子濃度が実質的に増加している場合に分子が濃縮されている。「濃縮された」という用語は、組成物中に、その出発組成物よりより高い相対濃度または絶対濃度で含まれる化合物、ポリペプチド、細胞、核酸、アミノ酸または他の特定の材料もしくは成分を指す。
【0042】
本明細書では、「機能アッセイ」という用語は、タンパク質の活性の指標を提供するアッセイを指す。いくつかの実施形態では、この用語は、タンパク質の通常の能力で機能する能力を分析するアッセイシステムを指す。例えば、プロテアーゼの場合、機能アッセイは、タンパク性基質を分解するプロテアーゼの効果を決定することを含む。
【0043】
「洗浄活性」という用語は、タンパク質分解、加水分解、洗浄または開示されている他のプロセスで使用されている条件下でセリンプロテアーゼポリペプチドもしくは参照サブチリシンによって達成される洗浄性能を指す。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼまたは参照サブチリシンの洗浄性能は、1つ以上の酵素感受性の物品または表面の染み(例えば、食物、草、血液、インク、ミルク油、および/または卵タンパク質から生じる染み)を洗浄する様々なアッセイを用いることによって決定することができる。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体または参照サブチリシンの洗浄性能は、物品または表面上の染みを標準的な洗浄条件に置き、様々なクラマトグラフィ、分光光度法または他の定量法を用いて染みが除去された程度を評価することによって測定することができる。例示的な洗浄アッセイおよび方法は、当該技術分野で知られており、限定されるものではないが、国際公開第99/34011号パンフレットおよび米国特許第6,605,458号明細書に記載されているもの、ならびに以下に示す実施例に含まれる洗浄アッセイおよび方法を含む。
【0044】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体または参照サブチリシンの「洗浄有効量」という用語は、特定の洗浄用組成物中で所望のレベルの酵素活性を達成するプロテアーゼの量を指す。そのような有効量は、当業者によって容易に確認され、使用する特定のプロテアーゼ、洗浄の適用、洗浄組成物の具体的な組成および液体または乾燥(例えば、粒状、タブレット状、棒状)組成物が要求されるか否かなどの多くの因子に基づく。
【0045】
「洗浄補助剤」という用語は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体またはその組換えポリペプチドもしくは活性断片以外の、洗浄用組成物中に含まれる任意の液体、固体または気体物質を指す。いくつかの実施形態では、本開示の洗浄用組成物は、1つ以上の洗浄補助剤を含む。各洗浄補助剤は、通常、洗浄用組成物の具体的なタイプおよび形態(例えば、液状、粒状、粉末状、棒状、ペースト状、スプレー状、タブレット状、ゲル状、泡状または他の組成物)に応じて選択される。各洗浄補助剤は、組成物中の使用プロテアーゼ酵素と親和性のあるものが好ましい。
【0046】
洗浄用組成物および洗浄用調合物は、任意の物体、物品および/または表面の洗浄、漂白、消毒および/または殺菌に適した任意の組成を含む。そのような組成物および調合物としては、限定されないが、例えば液体および/または固体組成物、例えば洗浄用組成物または洗剤組成物(例えば、液状、タブレット状、ゲル状、棒状、粒状および/または固形状の洗濯洗浄用組成物または洗剤組成物および緻密に織られた布帛用洗剤組成物;ガラス、木材、セラミックおよび金属カウンタートップならびに窓などの硬質表面洗浄用組成物および調合物;カーペット洗浄剤;オーブン洗浄剤;布帛消臭剤;布帛柔軟剤;ならびに織物、洗濯促進洗浄用組成物または洗剤組成物、洗濯添加剤洗浄用組成物および洗濯プレ-スポッター洗浄用組成物;食器洗浄用組成物、例えば手洗浄または手作業用の食器洗浄用組成物(例えば、「手洗浄」または「手作業」用の食器洗浄用洗剤)および自動食器洗浄用組成物(例えば、「自動食器洗浄用洗剤」)が挙げられる。本発明では、単一単位剤形、例えば、限定はされないが、丸剤、タブレット、ジェルキャップまたは予め測定した粉末もしくは液体などの他の単一単位剤形も使用される。
【0047】
洗浄用組成物または洗浄調合物は、本明細書では、別途指示がない限り、粒状また粉末状の万能または強力洗剤、特に洗浄用洗剤;液状、粒子状、ゲル状、固形状、タブレット状、ペースト状または単位剤形の万能洗剤、特にいわゆる強力液体(HDL)型洗剤または強力粉末(HDD)型洗剤;緻密に織られた布帛用液体洗剤;手洗浄または手作業用の食器洗浄用洗剤、例えば高起泡型洗剤;家庭用および業務用の手洗浄もしくは手作業用食器洗浄用、自動食器洗浄用または食器もしくはテーブルウエア用洗浄剤(各種タブレット状、粉末状、固形状、粒状、液状、ゲル状およびリンス助剤型のものを含む);液体洗浄剤および消毒剤、例えば抗菌性手洗浄型、洗浄棒、口腔洗浄液、義歯洗浄剤、車用洗浄剤、カーペット洗浄剤、浴室洗浄剤;ヒトおよび他の動物用のヘアシャンプーおよび/またはヘアリンス;シャワージェル、フォームバスおよび金属クリーナー;ならびに漂白付加剤および「ステインスティック」または前処理剤などの洗浄補助剤を含む。いくつかの実施形態では、粒状組成物は、「コンパクト」形であり、いくつかの実施形態では、液体組成物は、「濃縮」型である。
【0048】
本明細書では、「布帛洗浄用組成物」は、洗濯用添加組成物を含む手洗濯用および機械洗濯用洗剤組成物、ならびに染みが付いた布帛(例えば、布、リネンおよび他の織物材料)の浸漬および/または前処理で使用するのに適した組成物を含む。
【0049】
本明細書では、「非布帛洗浄用組成物」は、限定されないが、例えば手洗浄もしくは手作業または自動食器洗浄用洗剤組成物、口腔洗浄用組成物、義歯洗浄用組成物、コンタクレンズ洗浄用組成物、創傷清拭組成物およびパーソナル洗浄用組成物を含む非織物(すなわち非布帛)表面洗浄用組成物を含む。
【0050】
本明細書では、「洗剤組成物」または「洗剤調合物」という用語は、特定の布帛および/もしくは非布帛物体または物品を含む、汚れたまたは汚れが付いた物体を洗浄する洗浄媒体で使用することを意図した組成物に関連して使用される。いくつかの実施形態では、本開示の洗剤は、本開示の1つ以上のサブチリシン変異体、およびさらに1つ以上の界面活性剤、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー(例えば、ビルダー塩)、漂白剤、漂白活性化剤、ブルーイング剤、蛍光色素、固結防止剤、マスキング剤、酵素活性化剤、抗酸化剤および/または可溶化剤を含む。場合により、ビルダー塩は、ケイ酸塩とリン酸塩との混合物であり、好ましくは、ケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム)がリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム)よりも多い混合物である。いくつかの実施形態は、いかなるリン酸塩(例えば、リン酸塩またはリン酸塩ビルダー)も含まない洗浄用組成物または洗剤組成物に関する。
【0051】
本明細書では、「漂白」という用語は、材料を明るくし(すなわち白くし)、かつ/または洗浄するための、十分な期間ならびに/または適切なpHおよび/もしくは温度条件での材料(例えば、布地、洗濯物、パルプなど)または表面の処理を指す。漂白に適した化学物質の例としては、限定されないが、例えばClO2、H2O2、過酸、NO2などが挙げられる。
【0052】
本明細書では、プロテアーゼ(例えば、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体またはその組換えポリペプチドもしくは活性断片)の「洗浄性能」は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の洗浄に対する寄与を指し、これは、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を組成物に添加していない洗剤と比較して追加の洗浄性能を洗剤に加えるものである。洗浄性能は、関連する洗浄条件下で比較される。いくつかの試験システムでは、洗剤組成物、泡濃度、水の硬度、洗浄機構、時間、pHおよび/または温度などの他の関連する因子を、特定の市場区分における家庭用途(例えば、手洗浄または手作業による食器洗浄、自動食器洗浄、食器の洗浄、テーブルウエアの洗浄、布帛の洗浄など)に一般的な条件を模擬するように調節することができる。
【0053】
「関連する洗浄条件」という用語は、本明細書では、手洗浄による食器洗い、自動食器洗浄または洗濯用洗剤の市場区分において、実際に家庭で使用される条件、特に洗浄温度、時間、洗浄機構、泡濃度、洗剤のタイプおよび水の硬度を示すために使用される。
【0054】
本明細書では、「消毒」という用語は、汚染物質の表面からの除去および物品表面の微生物の阻害または殺滅を指す。
【0055】
本明細書の洗浄用組成物の「コンパクト」形は、密度により、および組成に関して無機フィラー塩の量により最も良く反映される。無機フィラー塩は、粉末形態の洗剤組成物の従来の成分である。従来の洗剤組成物では、フィラー塩は、相当の量、通常、組成物全体の約17~約35重量%含まれている。対照的に、コンパクト組成物では、フィラー塩は、組成物全体の約15%を超えない量で含まれる。いくつかの実施形態では、フィラー塩は、組成物の約10重量%を超えない量、より好ましくは約5重量%を超えない量で含まれる。いくつかの実施形態では、無機フィラー塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の硫酸塩および塩化物から選択される。いくつかの実施形態では、フィラー塩は、硫酸ナトリウムである。
【0056】
洗浄用途および洗浄方法ならびに各種工業用途に有用な1つ以上のサブチリシン変異体を本明細書で開示する。1つ以上の単離された、組換えの、実質的に純粋な、または天然に存在しないサブチリシン変異体を本明細書で開示する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、洗浄用途に有用であり、洗浄を必要とする物品または表面を洗浄する方法に有用な洗浄用組成物に組み込むことができる。
【0057】
一実施形態は、(i)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248;(ii)40、101、128および130;(iii)22、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた40;(iv)22、40、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた44;(v)22、40、44、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた48;(vi)22、40、44、48、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた58;(vii)22、40、44、48、58、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた89;(viii)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた101;(ix)22、40、44、48、58、89、101、103、104、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた116;(x)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた128;(xi)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた130;(xii)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232および245から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた248;(xiii)40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた22;(xiv)22、40、44、48、58、89、101、104、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた103;(xv)22、40、44、48、58、89、101、103、116、128、130、232、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた104;(xvi)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、245および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた232;(xvi)22、40、44、48、58、89、101、103、104、116、128、130、232および248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせた245から選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含む1つ以上のサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0058】
他の実施形態は、(i)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248;(ii)P40、S101、G/S128およびS130;(iii)P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたT22;(iv)T22、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたP40;(v)T22、P40、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたI/V44;(vi)T22、P40、I/V44、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたA48;(vii)T22、P40、I/V44、A48、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたP/T58;(viii)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたE/S89;(ix)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたS101;(x)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、V104、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたS103;(xi)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、A/N116、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたV104;(xii)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、G/S128、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたA/N116;(xiii)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、S130、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたG/S128;(xiv)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、A232、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたS130;(xv)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、Q245およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたA232;(xvi)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232およびN/S248から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたQ245;および(xvii)T22、P40、I/V44、A48、P/T58、E/S89、S101、S103、V104、A/N116、G/S128、S130、A232およびQ245から選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたN/S248から選択される位置に2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上のサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0059】
さらに他の実施形態は、(i)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248D;(ii)P40E、S101R、G/S128TおよびS130A;(iii)P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたT22R;(iv)T22R、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたP40E;(v)T22R、P40E、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたI44V;(vi)T22R、P40E、I44V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたA48V;(vii)T22R、P40E、I44V、A48V、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたP/T58Y;(viii)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたE/S89D;(ix)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたS101;(x)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたS103A;(xi)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232V、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたV104I;(xii)P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、G/S128T、S130AおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたA/N116Q;(xiii)P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、A/N116Q、S130AおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたG/S128T;(xiv)P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、A/N116Q、G/S128TおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたS130A;(xv)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、Q245RおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたA232V;(xvi)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232VおよびN/S248Dから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたQ245R;ならびに(xviivii)T22R、P40E、I44V、A48V、P/T58Y、E/S89D、S101R、S103A、V104I、A/N116Q、G/S128T、S130A、A232VおよびQ245Rから選択される位置における1つ以上のアミノ酸置換と組み合わせたN/S248Dから選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上のサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0060】
さらなる実施形態は、P40E-T58Y-E89D-N116Q-N248D;P40E-T58Y-E89D-N116Q;P40E-E89D-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S128T;P40E-S101R-S128T-N248D;P40E-S101R-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T-N248D;P40E-E89D-S101R-S130A-N248D;S101R-S128T-N248D;P40E-E89D;P40E-S101R-S128T-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T;T58Y-N116Q;S101R-S128T;T58Y-S101R-N116Q-S128T-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S130A-N248D;P40E-S101R-S130A;P40E-E89D-S101R-S130A;P40E-S101R-S128T;I44V-A48V-N248D;I44V-A48V-S101R-S128T-N248D;I44V-A48V-S101R-S130A-N248D;I44V-A48V-T58Y-N116Q-N248D;P40E-I44V-A48V-E89D-N248D;S101R-S130A-N248D;およびこれらの組み合わせから選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上のサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0061】
なおさらなる実施形態は、P40E-T58Y-E89D-N116Q-N248D;P40E-T58Y-E89D-N116Q;P40E-E89D-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S128T;P40E-S101R-S128T-N248D;P40E-S101R-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T-N248D;P40E-E89D-S101R-S130A-N248D;S101R-S128T-N248D;P40E-E89D;P40E-S101R-S128T-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T;T58Y-N116Q;S101R-S128T;T58Y-S101R-N116Q-S128T-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S130A-N248D;P40E-S101R-S130A;P40E-E89D-S101R-S130A;P40E-S101R-S128T;I44V-A48V-N248D;I44V-A48V-S101R-S128T-N248D;I44V-A48V-S101R-S130A-N248D;I44V-A48V-T58Y-N116Q-N248D;P40E-I44V-A48V-E89D-N248D;S101R-S130A-N248Dおよびこれらの組み合わせから選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上の単離されたサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0062】
さらに他の実施形態は、P40E-T58Y-E89D-N116Q-N248D;P40E-T58Y-E89D-N116Q;P40E-E89D-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S128T;P40E-S101R-S128T-N248D;P40E-S101R-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T-N248D;P40E-E89D-S101R-S130A-N248D;S101R-S128T-N248D;P40E-E89D;P040E-S101R-S128T-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T;T58Y-N116Q;S101R-S128T;T58Y-S101R-N116Q-S128T-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S130A-N248D;P040E-S101R-S130A;P40E-E89D-S101R-S130A;P40E-S101R-S128Tおよびこれらの組み合わせから選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上のサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0063】
他の実施形態は、P40E-T58Y-E89D-N116Q-N248D;P40E-T58Y-E89D-N116Q;P40E-E89D-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S128T;P40E-S101R-S128T-N248D;P40E-S101R-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T-N248D;P40E-E89D-S101R-S130A-N248D;S101R-S128T-N248D;P40E-E89D;P40E-S101R-S128T-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T;T58Y-N116Q;S101R-S128T;T58Y-S101R-N116Q-S128T-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S130A-N248D;P40E-S101R-S130A;P40E-E89D-S101R-S130A;P40E-S101R-S128Tおよびこれらの組み合わせから選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上の単離されたサブチリシン変異体を提供する。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0064】
他の実施形態は、P40E-T58Y-E89D-N116Q-N248D;P40E-T58Y-E89D-N116Q;P40E-E89D-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S128T;P40E-S101R-S128T-N248D;P40E-S101R-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T-N248D;P40E-E89D-S101R-S130A-N248D;S101R-S128T-N248D;P40E-E89D;P40E-S101R-S128T-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T;T58Y-N116Q;S101R-S128T;T58Y-S101R-N116Q-S128T-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S130A-N248D;P40E-S101R-S130A;P40E-E89D-S101R-S130A;P40E-S101R-S128T;I44V-A48V-N248D;I44V-A48V-S101R-S128T-N248D;I44V-A48V-S101R-S130A-N248D;I44V-A48V-T58Y-N116Q-N248D;P40E-I44V-A48V-E89D-N248D;S101R-S130A-N248D;T22R-S101G-S103A-V104I-A-232V-Q245R-N248Dから選択される2つ、3つまたは4つ以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上の単離されたサブチリシン変異体を提供する。
【0065】
他の実施形態は、248D置換を含むアミノ酸配列を含む1つ以上の単離されたサブチリシン変異体を提供する。
【0066】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6または26のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する親由来である。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6または26のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する親由来である。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する親由来である。さらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する親由来である。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号26のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する親由来である。なおさらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号26のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のアミノ酸配列同一性を有する親由来である。
【0067】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6または26のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号26のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列をさらに含む。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6または26のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号26のアミノ酸配列に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6または26のアミノ酸配列に対して95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号6のアミノ酸配列に対して95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。なおさらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、配列番号26のアミノ酸配列に対して95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0068】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、酵素活性(例えば、プロテアーゼ活性)を有し、したがって洗浄用途、例えば、限定されないが、食器製品、テーブルウエア製品、布帛および硬質表面(テーブル、テーブルトップ、壁、家具製品、床、天井などの硬質表面)を有する製品の洗浄方法に有用である。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む例示的な洗浄用組成物は、以下に記載される。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の酵素活性(例えば、プロテアーゼ酵素活性)は、当業者によく知られた手順によって容易に測定することができる。以下に示す実施例は、酵素活性および洗浄性能の評価方法を記載する。本発明のポリペプチド酵素の染み(例えば、血液/ミルク/インク、染料/ミルク/インクまたは卵黄)の除去性能、硬質表面の洗浄性能または洗濯物、食器もしくはテーブル用品の洗浄性能は、当該技術分野でよく知られている手順を用いてかつ/または実施例に記載の手順を用いて容易に測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、単離された、組換えの、実質的に純粋の、または天然に存在しない、サブチリシン活性またはカゼイン加水分解活性(例えば、ジメチルカゼイン加水分解活性)を有するサブチリシンである。
【0069】
他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、参照サブチリシンと比較して1つ以上の改善された特性を有し、この改善された特性は、改善されたプロテアーゼ活性、洗剤中での改善された洗浄性能、および洗剤中での改善された熱安定性から選択され、前記洗剤は、任意選択により、ホウ素を含まない洗剤である。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、参照サブチリシンと比較して1つ以上の改善された特性を有し、この改善された特性は、改善されたプロテアーゼ活性、洗剤中での改善された洗浄性能、および洗剤中での改善された熱安定性から選択され、前記洗剤は、任意選択により、ホウ素を含まない洗剤であり、参照サブチリシンは、配列番号6または26のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、参照サブチリシンと比較してより長時間の洗浄を通してより安定である。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、参照サブチリシンと比較して短時間の冷水洗浄サイクルまたは長時間の熱水洗浄サイクルを通してより安定である。さらに他の実施形態では、1つ以上の改善された特性は、(i)改善されたプロテアーゼ活性であって、前記変異体は、N-suc-AAPF-pNAまたはジメチルカゼイン基質に対してPI>1を有する、改善されたプロテアーゼ活性、(ii)洗剤中での改善された洗浄性能であって、前記変異体は、BMIおよび/または卵の染みの洗浄でPI>1を有する、洗剤中での改善された洗浄性能、および/または(iii)洗剤中での改善された熱安定性であって、前記変異体は、安定性PI>1を有する、洗剤中での改善された熱安定性である。ここで、この洗剤は、任意選択により、ホウ素を含まない洗剤である。さらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、改善されたプロテアーゼ活性を有し、前記変異体は、N-suc-AAPF-pNAまたはジメチルカゼイン基質に対してPI>1を有する。なおさらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、洗剤中で改善された洗浄性能を有し、前記変異体は、BMIおよび/または卵の染みの洗浄でPI>1を有する。ここで、この洗剤は、任意選択により、ホウ素を含まない洗剤である。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、洗剤中で改善された熱安定性を有し、前記変異体は、安定性でPI>1を有する。ここで、この洗剤は、任意選択により、ホウ素を含まない洗剤である。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、改善されたプロテアーゼ活性を有し、前記変異体は、N-suc-AAPF-pNAまたはジメチルカゼイン基質に対してPI>1を有し、前記PIは、実施例3のプロテアーゼ活性アッセイに従って測定される。さらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、洗剤中での改善された洗浄性能を有し、前記変異体は、BMIおよび/または卵の染みの洗浄でPI>1を有し、前記PIは、実施例4の洗濯(HDL)洗剤およびADW用洗剤アッセイにおける洗浄性能に従って測定される。さらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、洗剤中での改善された熱安定性を有し、前記変異体は、安定性PI>1を有し、前記PIは、実施例4の安定性アッセイに従って測定される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、洗浄用組成物中で洗浄性能を示す。洗浄用組成物は、酵素の安定性および性能に有害な成分を含むことが多く、洗浄用組成物は、酵素、例えばセリンプロテアーゼが機能を保持するのに過酷な環境をもたらす。したがって、酵素を洗浄用組成物に入れて酵素機能(例えば、洗浄性能によって示されるようなセリンプロテアーゼ活性)を期待することはささいなことではない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、自動食器洗浄(ADW)用洗剤組成物中で洗浄性能を示す。いくつかの実施形態では、ADW用洗剤組成物中での洗浄性能には、卵黄による染みの洗浄が含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、洗濯用洗剤組成物中で洗浄性能を示す。いくつかの実施形態では、洗濯用洗剤組成物中での洗浄性能には、血液/ミルク/インク、卵、卵黄および/またはPOMの染みの洗浄が含まれる。洗浄用組成物のそれぞれにおいて、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、漂白成分の有無にかかわらず洗浄性能を示す。なおさらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のADW用または洗濯用洗剤組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含み、前記変異体は、1つ以上の補助剤および/もしくは1つ以上の追加酵素の存在下で安定であり、かつ/または前記変異体は、自己タンパク質分解に対して安定である。
【0071】
本開示のいくつかの他の実施形態は、グラム陽性菌(宿主)細胞中でサブチリシン変異体の産生を増大させる方法に関する。例えば、いくつかの実施形態では、その方法は、(a)248D置換を含むサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドコンストラクトを宿主細胞に導入する工程と、(b)コードされたサブチリシン変異体の産生に適した条件下で宿主細胞を増殖させる工程とを含み、この宿主細胞は、248D置換を含まないサブチリシン変異体をコードする、導入されたポリヌクレオチドコンストラクトを含む同じ属、種および遺伝的背景のグラム陽性菌宿主細胞に対して、248D置換を含む増大した量のサブチリシン変異体を産生し、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、248D置換を含むサブチリシン変異体は、248D置換を含まないサブチリシン変異体に対して生産性性能指数(PI)>1.0を有する。
【0072】
さらに他の実施形態では、開示のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、(i)上流(5’)に存在し、かつシグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロモーター配列、(ii)下流(3’)に存在し、かつ5’シグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロペプチド配列、(iii)下流(3’)に存在し、かつ5’プロペプチド配列に作動可能に連結されている、248D置換を含むサブチリシン変異体をコードする核酸配列、(iv)下流(3’)に存在し、かつ248置換を含む変異体をコードする核酸配列に作動可能に連結されている任意選択のターミネーター配列を含む発現コンストラクトである。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの他の実施形態では、開示のポリヌクレオチドコンストラクト(すなわちグラム陽性菌宿主細胞中でのサブチリシン変異体産生増大用)は、5’から3’の方向に、(i)プロモーター配列;(ii)配列番号28を含むシグナルペプチド配列;(iii)配列番号3を含むプロペプチド配列;(iv)配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50および配列番号51から選択されるアミノ酸配列を含む、サブチリシン変異体ポリペプチドをコードする核酸配列;および/または(v)配列番号30を含む任意選択のターミネーター配列を含む発現コンストラクトを含む。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0073】
さらに他の実施形態では、グラム陽性菌宿主細胞中でサブチリシン変異体の産生を増大させる方法におけるサブチリシン変異体は、40、44、48、58、89、101、116、128および130から選択される1つ以上の位置に1つ以上の置換をさらに含む。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。なおさらなる実施形態では、グラム陽性菌宿主細胞中でサブチリシン変異体の産生を増大させる方法におけるサブチリシン変異体は、I44V-A48V、I44V-A48V-S101R-S128T、I44V-A48V-S101R-S130A、I44V-A48V-T58Y-N116Q、P40E-E89D、P40E-E89D-S101R-S128T、P40E-E89D-S101R-S130A、P40E-I44V-A48V-E89D、P40E-S101R-S128T、P40E-S101R-S128T-S130A、P40E-S101R-S130A、P40E-T58Y-E89D-N116Q、S101R-S128T、S101R-S130A、T58Y-S101R-N116Q-S128T、T58Y-S101R-N116Q-S130A、P40E-T58Y-E89D-N116Q-N248D;P40E-T58Y-E89D-N116Q;P40E-E89D-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S128T;P40E-S101R-S128T-N248D;P40E-S101R-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T-N248D;P40E-E89D-S101R-S130A-N248D;S101R-S128T-N248D;P40E-E89D;P40E-S101R-S128T-S130A-N248D;P40E-E89D-S101R-S128T;T58Y-N116Q;S101R-S128T;T58Y-S101R-N116Q-S128T-N248D;T58Y-S101R-N116Q-S130A-N248D;P40E-S101R-S130A;P40E-E89D-S101R-S130A;P40E-S101R-S128T;I44V-A48V-N248D;I44V-A48V-S101R-S128T-N248D;I44V-A48V-S101R-S130A-N248D;I44V-A48V-T58Y-N116Q-N248D;P40E-I44V-A48V-E89D-N248D;S101R-S130A-N248D;T22R-S101G-S103A-V104I-A-232V-Q245R-N248Dおよびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の置換を含むアミノ酸配列をさらに含む。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。なおさらなる実施形態では、グラム陽性菌宿主細胞中でサブチリシン変異体の産生を増大させる方法におけるサブチリシン変異体は、配列番号6または26のアミノ酸配列に対して70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%未満のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0074】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体には、1つ以上の保存的または非保存的なアミノ酸の挿入、欠失および/または置換などの様々な変化を加えることができる(そのような変化が変異体の酵素活性を実質的に変えない場合を含む)。同様に、本発明の核酸も、特定のコドンが同じまたは異なるアミノ酸をコードし、サイレント変異(例えば、コードされるアミノ酸がヌクレオチドの変異によって変わらない場合など)または非サイレント変異をもたらすような、1つ以上のコドンにおける1つ以上のヌクレオチドの1つ以上の置換;配列中の1つ以上の核酸(またはコドン)の1つ以上の欠失;配列中の1つ以上の核酸(またはコドン)の1つ以上の付加または挿入;ならびに/あるいは配列中の1つ以上の核酸(またはコドン)の開裂または1つ以上の切断などの様々な変化を加えることができる。核酸配列における多くのそのような変化は、元の核酸配列によってコードされたポリペプチド酵素と比べて、得られるコードされたポリペプチド酵素の酵素活性を実質的に変えないであろう。本明細書に記載の核酸配列はまた、必要に応じて、前記1つ以上のコドンが依然同じアミノ酸をコードしながらも、発現系(例えば、細菌発現系)で最適発現を提供する1つ以上のコドンを含むように改変することもできる。
【0075】
本明細書では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体またはその組換えポリペプチドもしくは活性断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の単離された、天然に存在しない、または組換えポリヌクレオチドについて記載する。本明細書に記載の1つ以上の核酸配列は、通常、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体またはその断片をコードする配列を含むプラスミド発現ベクター(例えば、発現カセット)の発現により、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を組換え産生(例えば、発現)するのに有用である。一実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードする核酸を提供し、この変異体は、タンパク質分解活性を有する成熟形である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、組換え技術により、相同のプロペプチド配列により発現される。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、組換え技術により、非相同のプロペプチド配列(例えば、GG36プロペプチド配列)により発現される。
【0076】
他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、248D置換を含むサブチリシン変異体をコードする。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、248D置換を含むサブチリシン変異体をコードし、前記サブチリシン変異体は、1.0超の生産性性能指数(PI)を有し、この生産性PIは、248D置換を含まないサブチリシン変異体ポリペプチドに対するものである。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、上流(5’)に存在し、かつシグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロモーター配列、下流(3’)に存在し、かつ5’シグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロペプチド配列、下流(3’)に存在し、かつ5’プロペプチド配列に作動可能に連結されている、248D置換を含む変異体をコードする核酸配列、および下流(3’)に存在し、かつ248置換を含む変異体をコードする核酸配列に作動可能に連結されている任意選択のターミネーター配列を含む発現コンストラクトである。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、5’から3’の方向に、上流(5’)に存在し、かつシグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロモーター配列、下流(3’)に存在し、かつ5’シグナルペプチド配列に作動可能に連結されているプロペプチド配列、下流(3’)に存在し、かつ5’プロペプチド配列に作動可能に連結されている、248D置換を含む変異体をコードする核酸配列、および下流(3’)に存在し、かつ248置換を含む変異体をコードする核酸配列に作動可能に連結されている任意選択のターミネーター配列を含む発現コンストラクトであり、シグナルペプチド配列は、配列番号28を含み、プロペプチド配列は、配列番号3を含み、サブチリシン変異体ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51から選択されるアミノ酸配列を含み、および/または任意選択のターミネーター配列は、配列番号30を含む。ここで、変異体のアミノ酸位置は、配列番号26のアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
【0077】
本明細書に記載の1つ以上の核酸配列は、任意の適切な合成、操作および/もしくは単離技術またはそれらの組み合わせを使用して作製することができる。例えば、本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、当業者によく知られている固相合成技術などの標準的な核酸合成技術によって生成することができる。そのような技術では、通常、最大50個以上のヌクレオチド塩基からなる断片を合成し、その後、連結して(例えば、酵素または化学的ライゲーションにより)、実質的に必要な連続核酸配列を形成する。本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、限定されないが、典型的には自動合成法で実施されるように、古典的なホスホロアミダイト法(例えば、Beaucage et al.,Tetrahedron Letters 22:1859-69(1981)を参照されたい)、またはMatthes et al.,EMBO J.3:801-805(1984)に記載の方法を用いる化学合成を含む、当該技術分野で知られている任意の適切な方法によって容易に合成することもできる。本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、自動DNA合成装置を使用することによって生成することもできる。特注の核酸を様々な商業的供給源(例えば、Midland Certified Reagent Company、Great American Gene Company、Operon Technologies Inc.、およびDNA2.0)に注文することができる。核酸を合成するための他の技術および関連する原理は、例えば、Itakura et al.,Ann.Rev.Biochem.53:323(1984)およびItakura et al.,Science 198:1056(1984)に記載されている。
【0078】
核酸の改変に有用な組換えDNA技術、例えば制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、逆転写およびcDNA産生ならびにポリメラーゼ連鎖反応(例えば、PCR)は、当該技術分野でよく知られている。本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、1つ以上のハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより、あるいは本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体またはその組換えポリペプチドもしくは活性断片をコードするPCR増幅ポリヌクレオチドを使用してcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる。cDNAクローンをスクリーニングし単離する手順およびPCR増幅の手順は、当業者によく知られており、当業者に知られた標準的な文献に記載されている。本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチドは、例えば、既知の変異誘発手順(例えば、部位特異的変異誘発法、部位飽和変異誘発法およびインビトロ組換え法)により、天然に存在するポリヌクレオチド骨格(例えば、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体または参照サブチリシンをコードする)を改変することによって得ることができる。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードする、本明細書に記載の改変ポリヌクレオチドを生成するのに適した様々な方法が当該技術分野で知られており、例えば、限定されないが、部位飽和変異誘発法、系統的変異導入法、挿入変異誘発法、欠失変異誘発法、ランダム変異誘発法、部位特異的変異誘発法および指向性向進化法ならびに各種の他の配列改変方法が挙げられる。
【0079】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む1つ以上のベクター(例えば、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド);本明細書に記載の1つ以上の核酸またはポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターまたは発現カセット;本明細書に記載の1つ以上の核酸またはポリヌクレオチド配列を含む単離された、実質的に純粋な、または組換えられたDNAコンストラクト;本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む単離されたまたは組換えられた細胞;ならびに1つ以上のそのようなベクター、核酸、発現ベクター、発現カセット、DNAコンストラクト、細胞、細胞培養物またはそれらの任意の組み合わせもしくは混合物を含む組成物に関する。
【0080】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のベクター(例えば、発現ベクターまたはDNAコンストラクト)を含む1つ以上の組換え細胞に関し、そのベクターは、本明細書に記載の1つ以上の核酸またはポリヌクレオチドを含む。いくつかのそのような組換え細胞は、そのような少なくとも1つのベクターで形質転換または形質移入されるが、他の方法も利用可能であり、当該技術分野で知られている。そのような細胞は、通常、宿主細胞と呼ばれる。いくつかのそのような細胞は、細菌細胞、例えば、限定されないが、B.サブチリス(B.subtilis)細胞などのバチルス属(Bacillus)の菌種の細胞を含む。他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシンを含む組換え細胞(例えば、組換え宿主細胞)に関する。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のベクターは、効率の良い遺伝子発現に必要な1つ以上の追加の核酸セグメント(例えば、本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチド配列に作動可能に結合されたプロモーター)に作動可能に結合されている、本明細書に記載の1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターまたは発現カセットである。ベクターは、転写ターミネーターおよび/または選択遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を含み得、それは、抗菌剤含有培地での増殖によってプラスミド感染宿主細胞の連続的な培養維持を可能にする。
【0082】
発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスDNAに由来し得、または代替の実施形態では両方の要素を含む。例示的なベクターとしては、限定されないが、pC194、pJH101、pE194、pHP13(Harwood and Cutting[eds.],Chapter 3,Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley&Sons(1990)を参照されたい;B.サブチリス(B.subtilis)用の適切な複製プラスミドとしてはp.92に列挙したプラスミドが挙げられる)。(また、Perego,“Integrational Vectors for Genetic Manipulations in Bacillus subtilis”;Sonenshein et al.,[eds.];“Bacillus subtilis and Other Gram-Positive Bacteria:Biochemistry,Physiology and Molecular Genetics”,American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1993),pp.615-624を参照されたい)、およびp2JM103BBIが挙げられる)。
【0083】
細胞中の目的タンパク質(例えば、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体)の発現および産生のために、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドの1つ以上のコピーを含む(場合により、複数のコピーを含む)1つ以上の発現ベクターは、変異体の発現に適した条件下で細胞に形質転換される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド配列(およびベクターに含まれる他の配列)は、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターは、自立染色体外エレメントとして細胞中に残留する。いくつかの実施形態は、染色体外核酸エレメントおよび宿主細胞ゲノムに組み込まれた入来ヌクレオチド配列のいずれも提供する。本明細書に記載のベクターは、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の産生に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドコンストラクトは、組み込みを可能にし、任意選択により宿主染色体に変異体をコードするポリヌクレオチドの増幅を可能にする組み込みベクター上に存在する。組み込み部位の例は、当業者によく知られている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドの転写は、親サブチリシンの野生型プロモーターであるプロモーターによって達成される。いくつかの他の実施形態では、プロモーターは、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体に対して異種であるが、宿主細胞内で機能的である。細菌宿主細胞での使用に例示的なプロモーターとしては、限定されないが、amyE、amyQ、amyL、pstS、sacB、pSPAC、pAprE、pVeg、pHpaIIプロモーター;B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)マルトジェニックアミラーゼ遺伝子のプロモーター、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)(BAN)アミラーゼ遺伝子;B.サブチリス(B.subtilis)アルカリプロテアーゼ遺伝子;B.クラウシイ(B.clausii)アルカリプロテアーゼ遺伝子、B.プミリス(B.pumilis)キシロシダーゼ遺伝子;B.チューリンギエンシス(B.thuringiensis)cryIIIA;およびB.リケニホルミス(B.licheniformis)アルファ-アミラーゼ遺伝子が挙げられる。追加のプロモーターとしては、限定されないが、A4プロモーター、ならびにファージラムダのPRまたはPLプロモーターおよび大腸菌(E.coli)のlac、trpまたはtacプロモーターが挙げられる。
【0084】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、細菌および真菌などの適切な微生物の宿主細胞で産生することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、グラム陽性菌によって産生することができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、バチルス属(Bacillus)の菌種、ストレプトマイセス属(Streptomyces)の菌種、エシェリキア属(Escherichia)の菌種、アスペルギルス属(Aspergillus)の菌種、トリコデルマ属(Trichoderma)の菌種、シュードモナス属(Pseudomonas)の菌種、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)の菌種、サッカロミセス属(Saccharomyces)の菌種またはピチア属(Pichia)の菌種である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、バチルス属(Bacillus)の菌種の宿主細胞によって産生される。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の生成に利用されるバチルス属(Bacillus)の菌種の宿主細胞の例としては、B.リケニホルミス(B.licheniformis)、B.レンツス(B.lentus)、B.サブチリス(B.subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.レンツス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)、B.コアギュランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)、B.プミリス(B.pumilis)、B.チューリンギエンシス(B.thuringiensis)、B.クラウシイ(B.clausii)およびB.メガテリウム(B.megaterium)、ならびにバチルス属(Bacillus)内の他の微生物が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、B.サブチリス(B.subtilis)宿主細胞は、本明細書に記載の変異体を産生するために使用される。米国特許第5,264,366号明細書および同4,760,025号(再発行特許第34,606号)明細書には、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の産生に使用することができる種々のバチルス属(Bacillus)宿主菌株が記載されているが、他の適切な株も使用することができる。
【0085】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の産生に使用することができるいくつかの細菌株を挙げると、非組換え(すなわち野生型)バチルス属(Bacillus)菌種の株、ならびに種々の天然に存在する菌株の変異体および/または組換え株がある。いくつかの実施形態では、宿主株は、組換え株であり、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードするポリヌクレオチドが宿主に導入されている。いくつかの実施形態では、宿主菌株は、B.サブチリス(B.subtilis)宿主菌株、特に組換えB.サブチリス(B.subtilis)宿主菌株である。多くのB.サブチリス(B.subtilis)菌株が知られており、限定されないが、例えば1A6(ATCC 39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753~PB1758、PB3360、JH642、1A243(ATCC 39,087)、ATCC 21332、ATCC 6051、MI113、DE100(ATCC39,094)、GX4931、PBT 110、およびPEP 211株が挙げられる(例えば、Hoch et al.,Genetics 73:215-228(1973)を参照されたい;また、米国特許第4,450,235号明細書、同4,302,544号明細書および欧州特許第0134048号明細書を参照されたい)。B.サブチリス(B.subtilis)の発現宿主細胞としての使用は、当該技術分野でよく知られている(例えば、Palva et al.,Gene 19:81-87(1982);Fahnestock and Fischer,J.Bacteriol.,165:796-804(1986);およびWang et al.,Gene 69:39-47(1988)を参照されたい)。
【0086】
いくつかの実施形態では、バチルス属(Bacillus)の宿主細胞は、次の遺伝子、degU、degS、degRおよびdegQの少なくとも1つに変異または欠失を含むバチルス属(Bacillus)の菌種である。いくつかの実施形態では、変異は、degU遺伝子にあり、いくつかの実施形態では、変異は、degU(Hy)32である(例えば、Msadek et al.,J.Bacteriol.172:824-834(1990);およびOlmos et al.,Mol.Gen.Genet.253:562-567(1997)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、バチルス属(Bacillus)宿主は、scoC4(例えば、Caldwell et al.,J.Bacteriol.,183:7329-7340,2001を参照されたい);spoIIE(例えば、Arigoni et al.,Mol.Microbiol.,31:1407-1415,1999を参照されたい);および/またはoppAもしくはoppオペロンの他の遺伝子(例えば、Perego et al.,Mol.Microbiol.,5:173-185,1991を参照されたい)に変異もしくは欠失を含む。実際、oppA遺伝子の変異と同じ表現型を生じさせるoppオペロンの変異のいずれも、本明細書に記載の改変されたバチルス属(Bacillus)菌株のいくつかの実施形態で使用されると考えられる。いくつかの実施形態では、これらの変異は、単独で発生するが、他の実施形態では変異の組み合わせが存在する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を産生させるために使用することができる改変されたバチルス属(Bacillus)宿主細胞は、上記遺伝子の1つ以上に既に変異を含むバチルス属(Bacillus)宿主菌株である。さらに、内因性プロテアーゼ遺伝子の変異および/または欠失を含むバチルス属(Bacillus)の菌種の宿主細胞も使用される。いくつかの実施形態では、バチルス属(Bacillus)宿主細胞は、aprEおよびnprE遺伝子の欠失を含む。他の実施形態では、バチルス属(Bacillus)の菌種の宿主細胞は、5つのプロテアーゼ遺伝子の欠失を含み、他の実施形態では、バチルス属(Bacillus)の菌種の宿主細胞は、9つのプロテアーゼ遺伝子の欠失を含む(例えば、米国特許出願公開第2005/0202535号明細書を参照されたい)。
【0087】
宿主細胞は、当該技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードする1つ以上の核酸配列により形質転換される。プラスミドDNAコンストラクトまたはベクターを用いて核酸(例えば、DNA)をバチルス属(Bacillus)細胞または大腸菌(E.coli)細胞に導入し、そのようなプラスミドDNAコンストラクトまたはベクターをそのような細胞に形質転換する方法がよく知られている。いくつかの実施形態では、プラスミドは、その後、大腸菌(E.coli)細胞から単離され、バチルス属(Bacillus)細胞へ形質転換される。しかしながら、大腸菌(E.coli)などの介在微生物を使用することは必須ではなく、いくつかの実施形態では、DNAコンストラクトまたはベクターは、バチルス属(Bacillus)宿主に直接導入される。
【0088】
本明細書に記載の1つ以上の核酸配列をバチルス属(Bacillus)細胞に導入するための例示的な方法は、例えば、Ferrari et al.,“Genetics”,Harwood et al.[eds.],Bacillus,Plenum Publishing Corp.(1989),pp.57-72;Saunders et al.,J.Bacteriol.157:718-726(1984);Hoch et al.,J.Bacteriol.93:1925-1937(1967);Mann et al.,Current Microbiol.13:131-135(1986);Holubova,Folia Microbiol.30:97(1985);Chang et al.,Mol.Gen.Genet.168:11-115(1979);Vorobjeva et al.,FEMS Microbiol.Lett.7:261-263(1980);Smith et al.,Appl.Env.Microbiol.51:634(1986);Fisher et al.,Arch.Microbiol.139:213-217(1981);およびMcDonald,J.Gen.Microbiol.130:203(1984)に記載されている)。実際、プロトプラスト形質転換および形質移入などの形質転換、形質導入ならびにプロトプラスト融合などの方法がよく知られており、本明細書で使用するのに適している。当該技術分野で知られているバチルス属(Bacillus)細胞の形質転換方法としては、プラスミドマーカーレスキュー形質転換などの方法があり、これは、部分的に相同の内在プラスミドを運ぶコンピテント細胞によってドナープラスミドを取り込むことを含む(Contente et al.,Plasmid 2:555-571(1979);Haima et al.,Mol.Gen.Genet.223:185-191(1990);Weinrauch et al.,J.Bacteriol.154:1077-1087(1983);およびWeinrauch et al.,J.Bacteriol.169:1205-1211(1987)を参照されたい)。この方法では、入来ドナープラスミドが、染色体の形質転換に類似した方法で、内在する「ヘルパー」プラスミドの相同領域に再結合する。
【0089】
一般的に使用される方法に加えて、いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードする核酸を含むDNAコンストラクトまたはベクターで直接形質転換される(すなわち宿主細胞に導入する前にDNAコンストラクトまたはベクターを増幅するためまたは他の処理をするために中間細胞が使用されない)。本明細書に記載のDNAコンストラクトまたはベクターの宿主細胞への導入には、核酸配列(例えば、DNA配列)を宿主ゲノムに挿入せずに宿主細胞に導入するための、当該技術分野で知られている物理的および化学的方法が含まれる。そのような方法としては、限定されないが、塩化カルシウム沈澱法、エレクトロポレーション法、裸DNA法、リポソーム法などが挙げられる。さらなる実施形態では、DNAコンストラクトまたはベクターをプラスミドに挿入せずにプラスミドと共に同時形質転換する。さらなる実施形態では、選択マーカーは、当該技術分野で知られている方法により、改変バチルス属(Bacillus)菌株から欠失される(例えば、Stahl et al.,J.Bacteriol.,158:411-418(1984)およびPalmeros et al.,Gene 247:255-264(2000)を参照されたい)。
【0090】
いくつかの実施形態では、形質転換細胞は、従来の栄養培地中で培養される。温度、pHなどの適切な具体的培養条件は、当業者に知られており、また科学文献に十分に記載されている。いくつかの実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体または核酸配列を含む培養物(例えば、細胞培養物)を提供する。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードする1つ以上のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、変異体の発現を可能にする条件下において、適切な栄養培地中で培養され、その後、得られた変異体は、培養物から回収される。いくつかの実施形態では、細胞によって産生された変異体を培養培地から従来の手順で回収する。手順としては、限定されないが、例えば遠心分離またはろ過によって宿主細胞を培地から分離し、上清またはろ液のタンパク質成分を塩(例えば、硫酸アンモニウム)で沈澱させ、クロマトグラフィーによる精製(例えば、イオン交換、ゲルろ過、アフィニティなど)を行うことが挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞によって産生される1つ以上のサブチリシン変異体は、培養培地中に分泌される。精製促進ドメインをコードする核酸配列を変異体の精製促進に使用することができる。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードする、ポリヌクレオチド配列を含むベクターまたはDNAコンストラクトは、変異体の精製を容易にするために精製促進ドメインをコードする核酸配列をさらに含み得る(例えば、Kroll et al.,DNA Cell Biol.12:441-53(1993)を参照されたい)。そのような精製促進ドメインとしては、限定されないが、例えば固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド(Porath,Protein Expr.Purif.3:263-281[1992]を参照されたい)、固定化免疫グロブリンによる精製を可能にするタンパク質Aドメイン、FLAGSエクステンション/アフィニティ精製システムにおいて使用されるドメインが挙げられる。精製ドメインと異種タンパク質との間への、XA因子またはエンテロキナーゼなどの開裂可能なリンカー配列(例えば、Invitrogen、San Diego、CAから入手可能な配列)の組込みも精製の促進に使用される。
【0093】
本明細書に記載の、1つ以上の成熟サブチリシン変異体の宿主細胞中での産生レベルを測定するために様々な方法を使用することができる。そのような方法としては、限定されないが、例えばプロテアーゼに特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を使用する方法が挙げられる。例示的な方法としては、限定されないが、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)および蛍光標識細胞分取(FACS)が挙げられる。これらおよび他のアッセイは、当該技術分野でよく知られている(例えば、Maddox et al.,J.Exp.Med.158:1211(1983))を参照されたい)。
【0094】
いくつかの他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上の成熟サブチリシン変異体の生成または産生方法を提供する。成熟サブチリシン変異体は、シグナルペプチドまたはプロペプチド配列を含まない。いくつかの方法は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を例えばバチルス属(Bacillus)の菌種の細胞(例えば、B.サブチリス(B.subtilis)細胞)などの組換え細菌宿主細胞中で生成または産生することを含む。他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを含む組換え宿主細胞を、変異体の産生を促す条件下で培養することを含む、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の産生方法を提供する。いくつかのそのような方法は、培養物から変異体を回収することをさらに含む。
【0095】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を産生する方法を提供し、その方法は、(a)変異体をコードする核酸を含む組換え発現ベクターを細胞(例えば、B.サブチリス(B.subtilis)細胞などの細菌細胞)の集団に導入する工程と、(b)発現ベクターによってコードされた変異体の産生を促す条件下で培養培地中の細胞を培養する工程とを含む。いくつかのそのような方法は、(c)細胞または培養培地から変異体を単離する工程をさらに含む。
【0096】
特段の記載がない限り、本明細書で提供される全ての成分または組成物のレベルは、その成分または組成物の活性レベルを基準に調整され、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残存溶媒または副産物を含まない。酵素成分の重量は、全活性タンパク質量を基準とする。別途指示がない限り、パーセンテージおよび比率は、重量によって計算される。別途指示がない限り、パーセンテージおよび比率は、全組成物に基づいて計算される。本明細書に記載の組成物は、洗剤組成物などの洗浄用組成物を含む。例示した洗剤組成物において、酵素レベルは、全組成物の重量による純粋な酵素で表され、別段の規定がなければ、洗剤成分は、全組成物の重量によって表される。
【0097】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、限定されないが、例えば食器またはテーブルウエア製品、布帛、医療器具および硬質表面を有する製品(例えば、テーブル、テーブルトップ、壁、家具製品、床および天井の硬質表面)の洗浄などの洗浄用途に有用である。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、限定されないが、例えば自動食器洗浄機または洗濯機の消毒などの消毒用途に有用である。
【0098】
他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、洗浄用組成物である。他の実施形態では、組成物は、洗剤組成物である。さらに他の実施形態では、組成物は、洗濯用洗剤組成物、自動食器洗浄(ADW)用組成物、手洗浄(手作業)による食器洗浄用洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物、眼鏡洗浄用組成物、医療器具洗浄用組成物、消毒(例えば、悪臭または微生物)用組成物およびパーソナルケア洗浄用組成物から選択される。さらに他の実施形態では、組成物は、洗濯用洗剤組成物、ADW用組成物または手洗浄(手作業)による食器洗浄用洗剤組成物である。なおさらなる実施形態は、布帛洗浄用組成物に関する一方、他の実施形態は、布帛以外の洗浄用組成物に関する。いくつかの実施形態では、洗浄用組成物は、ホウ素を含まない。他の実施形態では、洗浄用組成物は、リン酸塩を含まない。さらに他の実施形態では、組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、賦形剤、補助剤および/または追加の酵素の1つ以上とを含む。
【0099】
なおさらなる実施形態では、本明細書に記載の組成物は、リン酸塩を含有するか、リン酸塩を含まないか、ホウ素を含むか、ホウ素を含まないか、またはこれらの組み合わせである。他の実施形態では、組成物は、ホウ素を含まない組成物である。いくつかの実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ酸塩安定化剤が添加されていない組成物である。他の実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素含有量が5.5%未満の組成物である。なおさらなる実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素含有量が4.5%未満の組成物である。さらに他の実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素含有量が3.5%未満の組成物である。なおさらなる実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素含有量が2.5%未満の組成物である。なおさらなる実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素含有量が1.5%未満の組成物である。他の実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素含有量が1.0%未満の組成物である。なおさらなる実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素含有量が0.5%未満の組成物である。なおさらなる実施形態では、ホウ素を含まない組成物は、ホウ素を実質的に含まない組成物である。
【0100】
他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、ゲル、タブレット、粉末、粒状、固体、液体、単位用量およびこれらの組み合わせの形態を有する。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、低水量コンパクト処方、低水量HDLもしくはUDまたは高水量処方もしくはHDLから選択される形態を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の洗浄用組成物は、単位用量形態を有する。他の実施形態では、単位用量形態は、丸剤、タブレット、カプセル、ジェルキャップ、小袋、袋、多区画袋および予め定量された粉末または液体から選択される。いくつかの実施形態では、単位用量製剤は、多区画袋(または他の単位用量製剤)内の成分の放出が制御されるように設計されている。適切な単位用量製剤および放出制御製剤は、例えば、欧州特許第2100949号明細書;国際公開第02/102955号パンフレット;米国特許第4,765,916号明細書;米国特許第4,972,017号明細書および国際公開第04/111178号パンフレットに記載されている。いくつかの実施形態では、単位用量形態は、水溶性のフィルムまたは袋に含有されたタブレットまたは粉末である。
【0101】
例示的な洗濯用洗剤組成物としては、限定されないが、例えば液体および粉末の洗濯用洗剤組成物が挙げられる。例示的な硬質表面洗浄用組成物としては、限定されないが、例えば非食器製品、非テーブルウエア製品、テーブル、テーブルトップ、家具製品、壁、床および天井の硬質表面を洗浄するために使用される組成物が挙げられる。例示的な硬質表面洗浄用組成物は、例えば、米国特許第6,610,642号明細書、同第6,376,450号明細書および同第6,376,450号明細書に記載されている。例示的なパーソナルケア組成物としては、限定されないが、義歯、歯、毛髪、コンタクトレンズおよび皮膚を洗浄するために使用される組成物が挙げられる。そうした口腔ケア組成物の例示的な成分としては、例えば、米国特許第6,376,450号明細書に記載されているものが挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、低温で清浄にする。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、低温で清浄にする。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、タンパク質性の染みの除去が必要な表面の洗浄に有用または有効なものとして、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の有効量を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、補助剤は、例えば、洗浄性能を補助または増大させるため、洗浄する基材の処理のため、または香料、着色剤、染料などによる場合がそうであるが、洗浄用組成物の美観を変えるために組み込まれる。一実施形態は、1つ以上の補助剤と、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体とを含む組成物に関する。他の実施形態は、1つ以上の補助剤と、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体とを含む組成物であって、補助剤は、漂白触媒、追加の酵素、酵素安定剤(例えば、酵素安定化システムを含む)、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ放出ポリマー、染料移動剤、分散剤、泡抑制剤、染料、香料、着色剤、フィラー、光活性化剤、蛍光剤、布帛コンディショナー、加水分解性界面活性剤、保存剤、酸化防止剤、収縮防止剤、皺防止剤、殺菌剤、防カビ剤、着色スペックル、銀ケア剤、変色防止剤、腐食防止剤、アルカリ度源、可溶化剤、担体、加工助剤、色素、pH制御剤、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料移行抑止剤、沈着助剤、分散剤、触媒物質、漂白活性化剤、漂白ブースター、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、ポリマー分散剤、泥汚れ除去/再付着防止剤、構造弾性化剤、布帛柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、顔料およびこれらの組み合わせから選択される、組成物に関する。例示的な補助剤および使用濃度は、米国特許第5,576,282号明細書、同第6,306,812号明細書;同第6,326,348号明細書、同第6,610,642号明細書、同第6,605,458号明細書、同第5,705,464号明細書、同第5,710,115号明細書、同第5,698,504号明細書、同第5,695,679号明細書、同第5,686,014号明細書および同第5,646,101号明細書に記載されている。1つ以上の洗浄補助剤と、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体との混合性が悪い実施形態では、それらの2つの成分の混合が適切になるまで、補助剤と変異体を分離させておく(すなわち互いに接触させないでおく)方法を使用することができる。そのような分離方法として、当該技術分野で知られているあらゆる適切な方法(例えば、ジェルキャップ、カプセル化、タブレット、物理的分離など)が挙げられる。
【0104】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む洗浄添加製品に関する。いくつかの実施形態では、添加剤は、洗浄工程で添加するための剤形にパッケージされている。いくつかの実施形態では、添加剤は、ペルオキシジェン源が利用され、高い漂白効果が望まれる洗浄工程に添加するために剤形にパッケージングされる。
【0105】
粒状組成物用の例示的なフィラーまたはキャリアとしては、限定されないが、例えば各種の硫酸塩、炭酸塩およびケイ酸塩;タルクならびにクレーが挙げられる。液体組成物用の例示的なフィラーまたはキャリアとしては、限定されないが、例えば水またはポリオールおよびジオールを含む低分子量の第1級および第2級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、そのようなフィラーまたはキャリアを約5%~約90%含有する。そのような組成物に酸性フィラーを含有させ、洗浄方法または洗浄用途で生じる溶液のpHを低下させることができる。
【0106】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の洗浄用組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体の有効量を単独でまたは1つ以上の追加の酵素と組み合わせて含む。典型的には、洗浄用組成物は、少なくとも約0.0001~約20重量%、約0.0001~約10重量%、約0.0001~約1重量%、約0.001~約1重量%または約0.01~約0.1重量%の1つ以上のプロテアーゼを含む。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の洗浄用組成物は、1つ以上のプロテアーゼを組成物1グラム当たり、約0.01~約10mg、約0.01~約5mg、約0.01~約2mg、約0.01~約1mg、約0.05~約1mg、約0.5~約10mg、約0.5~約5mg、約0.5~約4mg、約0.5~約4mg、約0.5~約3mg、約0.5~約2mg、約0.5~約1mg、約0.1~約10mg、約0.1~約5mg、約0.1~約4mg、約0.1~約3mg、約0.1~約2mg、約0.1~約2mg、約0.1~約1mgまたは約0.1~約0.5mg含む。
【0107】
本明細書に記載の洗浄用組成物は、典型的には、水性洗浄作業での使用中、洗浄水のpHが約4.0~約11.5、さらには約5.0~約11.5、さらには約5.0~約8.0、またはさらには約7.5~約10.5となるように調合される。液体製品調合物は、通常、約3.0~約9.0または約3~約5のpHを有するように調合される。粒状の洗濯用製品は、通常、約9~約11のpHを有するように調合される。いくつかの実施形態では、本発明の洗浄用組成物は、洗浄条件下でアルカリpH、例えば約8.0~約12.0、または約8.5~約11.0、または約9.0~約11.0のpHを有するように調合することができる。いくつかの実施形態では、本発明の洗浄用組成物は、洗浄条件下で中性pH、例えば約5.0~約8.0、または約5.5~約8.0、または約6.0~約8.0、または約6.0~約7.5のpHを有するように調合することができる。いくつかの実施形態では、中性pH条件は、洗浄用組成物を20℃において脱イオン水に1:100(重量:重量)で溶解させ、従来のpH計を使用して測定した場合に測定することができる。推奨される使用レベルにpHを調整する手法としては、緩衝液、アルカリ、酸などの使用が挙げられるが、手法は、当業者によく知られている。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、保存時に組成物中の他の成分から保護するために、かつ/または洗浄時に変異体の利用を制御するためにカプセル化される。いくつかの実施形態では、カプセル化は、変異体および/または追加酵素の性能を増大させる。いくつかの実施形態では、カプセル化材は、通常、本明細書に記載の変異体の少なくとも一部をカプセル化する。通常、カプセル化材は、水溶性および/または水分散性である。いくつかの実施形態では、カプセル化材は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上である。例示的なカプセル化材料としては、限定されないが、炭水化物、天然または合成ガム、キチン、キトサン、セルロースおよびセルロース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックスおよびこれらの組み合わせが挙げられる。カプセル化材が炭水化物である場合、カプセル化材は、通常、単糖類、オリゴ糖類、多糖類およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、カプセル化材は、デンプンである(例えば、欧州特許第0922499号明細書、米国特許第4,977,252号明細書、米国特許第5,354,559号明細書および米国特許第5,935,826号明細書を参照されたい)。いくつかの実施形態では、カプセル化材は、熱可塑性プラスチック、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルおよびそれらの混合物などのプラスチックから作製されるマイクロスフィアである。例示的な市販のマイクロスフィアとしては、限定されないが、EXPANCEL(登録商標)(Stockviksverken、Sweden);ならびにPM6545、PM6550、PM7220、PM7228、EXTENDOSPHERES(登録商標)、LUXSIL(登録商標)、Q-CEL(登録商標)およびSPHERICEL(登録商標)(PQ Corp.、Valley Forge、PA)が挙げられる。
【0109】
様々な洗剤調合物、洗浄水量、洗浄水温度および本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体が曝露さ得る洗浄時間の長さを含む様々な洗浄条件が存在する。低洗剤濃度のシステムは、約800ppm未満の洗剤成分を含有する洗浄水に関する。中程度の洗剤濃度システムは、約800ppm~2000ppmの洗剤成分を含有する洗浄に関する。高洗剤濃度のシステムは、約2000ppm超の洗剤成分を含有する洗浄水に関する。いくつかの実施形態では、本発明の「冷水洗浄」は、約10℃~約40℃、約20℃~約30℃、または約15℃~約25℃および約15℃~約35℃、または10℃~40℃の範囲内の他の全てを組み合わせた温度での洗浄に適した「冷水用洗剤」を使用する。
【0110】
異なる地理は、異なる水硬度を有する。硬度は、水中のカルシウム(Ca2+)およびマグネシウム(Mg2+)の量の計測値である。水の硬度は、通常、Ca2+/Mg2+を混合した1ガロン当たりのグレイン(gpg)を単位として記載される。米国における水のほとんどは、硬質であるが、硬度が異なっている。中硬水(60~120ppm)~硬水(121~181ppm)の水は、60~181ppm(ppmを17.1で割ることによってppmを1米ガロン当たりのグレインに変換することができる)の硬度のミネラルを有する。
【0111】
【0112】
他の実施形態は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%の本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、組成物の約99.999重量%~約90.0重量%の1つ以上の補助剤とを含む1つ以上の洗浄用組成物に関する。他の実施形態では、洗浄用組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%または約0.005重量%~約0.5重量%の1つ以上のサブチリシン変異体と、組成物の約99.9999重量%~約90.0重量%、約99.999重量%~約98重量%、約99.995重量%~約99.5重量%の1つ以上の補助剤とを含む。
【0113】
他の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上の追加の酵素とを含む。1つ以上の追加の酵素は、アシルトランスフェラーゼ、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、DNase、エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ、エンド-ベータ-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、マラナーゼ、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、ポリエアウテラーゼ、追加のプロテアーゼ、プルラナーゼ、リダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチルエステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼおよびそれらのあらゆる組合せまたは混合物から選択される。いくつかの実施形態は、アミラーゼ、リパーゼ、クチナーゼおよび/またはセルラーゼのような従来の酵素と、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体および/または1つ以上の追加プロテアーゼとを含む酵素の組み合わせ(すなわち「カクテル」)に関する。
【0114】
他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上の追加のプロテアーゼとを含む。一実施形態では、追加のプロテアーゼは、セリンプロテアーゼである。他の実施形態では、追加のプロテアーゼは、アルカリ微生物プロテアーゼまたはトリプシン様プロテアーゼである。適切な追加のプロテアーゼとしては、動物、野菜または微生物起源のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロテアーゼは、微生物プロテアーゼである。他の実施形態では、追加のプロテアーゼは、化学的にまたは遺伝子的に改変された変異体である。他の実施形態では、追加のプロテアーゼは、アルカリ微生物プロテアーゼまたはトリプシン様プロテアーゼである。例示的なアルカリプロテアーゼとして、例えば、バチルス(Bacillus)属に由来するサブチリシン(例えば、サブチリシン、レンツス、アミロリケファシエンス、ギブソニイ、サブチリシンカールスバーグ、サブチリシン309、サブチリシン147およびサブチリシン168)が挙げられる。例示的な追加のプロテアーゼとしては、限定されないが、国際公開第92/21760号パンフレット、同第95/23221号パンフレット、同第2008/010925号パンフレット、同第09/149200号パンフレット、同第09/149144号パンフレット、同第09/149145号パンフレット、同第10/056640号パンフレット、同第10/056653号パンフレット、同第2010/0566356号パンフレット、同第11/072099号パンフレット、同第2011/13022号パンフレット、同第11/140364号パンフレット、同第12/151534号パンフレット、同第2015/038792号パンフレット、同第2015/089447号パンフレット、同第2015/089441、米国特許出願公開第2008/0090747号明細書、米国特許第5,801,039号明細書、同第5,340,735号明細書、同第5,500,364号明細書、同第5,855,625号明細書、再発行特許第34,606号明細書、米国特許第5,955,340号明細書、同第5,700,676号明細書、同第6,312,936号明細書、同第6,482,628号明細書、同第8,530,219号明細書、米国仮特許出願第62/180673号明細書および同第62/161077号明細書、ならびにPCT出願第PCT/米国特許出願公開第2015/021813号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2015/055900号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2015/057497号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2015/057492号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2015/057512号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2015/057526号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2015/057520号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2015/057502号明細書、同第PCT/米国特許出願公開第2016/022282号明細書および同第PCT/米国特許出願公開第16/32514号明細書に記載のもの、さらに国際公開第1999014341号パンフレット、同第1999033960号パンフレット、同第1999014342号パンフレット、同第1999034003号パンフレット、同第2007044993号パンフレット、同第2009058303号パンフレット、同第2009058661号パンフレット、同第2014071410号パンフレット、同第2014194032号パンフレット、同第2014194034号パンフレット、同第2014194054および同第2014/194117号パンフレットに記載のメタロプロテアーゼが挙げられる。例示的な追加のプロテアーゼとして、限定されないが、トリプシン(例えば、ブタまたはウシ起源)および国際公開第89/06270号パンフレットに記載されたフサリウム(Fusarium)属プロテアーゼが挙げられるが、それらに限定されない。例示的な市販のプロテアーゼとしては、限定されないが、MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAX(商標)、EXCELLASE(商標)、PREFERENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P100、P110、P280)、EFFECTENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000、P1050、P2000)、EXCELLENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000)、ULTIMASE(登録商標)およびPURAFAST(商標)(DuPont);ALCALASE(登録商標)、BLAZE(登録商標)、BLAZE(登録商標)EVITY(登録商標)、BLAZE(登録商標)EVITY(登録商標)16L、CORONASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)ULTRA、SAVINASE(登録商標)EVITY(登録商標)、SAVINASE(登録商標)EVERIS(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、LIQUANASEEVERIS(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、RELASE(登録商標)およびESPERASE(登録商標)(Novozymes);BLAP(商標)およびBLAP(商標)バリアント(Henkel);ならびにKAP(B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)サブチリシン(花王株式会社)が挙げられる。例示的なメタロプロテアーゼとしては、B.サブチリス(B.subtilis)中で発現する中性メタロプロテアーゼの組換え形態(例えば、国際公開07/044993号パンフレットを参照されたい)であるnprEおよびB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefacients)由来の精製された中性メタロプロテアーゼであるPMNを含む。
【0115】
他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上のリパーゼとを含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%、約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%または約0.005重量%~約0.5重量%のリパーゼを含む。例示的なリパーゼとしては、化学的にまたは遺伝子的に改変された変異体であり得る。例示的なリパーゼとしては、限定されないが、例えばH.ラグニノサ(H.lanuginosa)リパーゼ(例えば、欧州特許第258068号明細書および同第305216号明細書を参照されたい)、T.ラグニノスス(T.lanuginosus)リパーゼ(例えば、国際公開第2014/059360号パンフレットおよび同第2015/010009号パンフレットを参照されたい)、リゾムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ(例えば、欧州特許第238023号明細書を参照されたい)、カンジダ属(Candida)リパーゼ、例えばC.アンタークティカ(C.antarctica)リパーゼ(例えば、C.アンタークティカ(C.antarctica)リパーゼAまたはB)(例えば、欧州特許第214761号明細書を参照されたい)、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)およびP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)などのシュードモナス属(Pseudomonas)のリパーゼ(例えば、欧州特許第218272号明細書を参照されたい)、P.セパシア(P.cepacia)リパーゼ(例えば、欧州特許第331376号明細書を参照されたい)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)リパーゼ(例えば、英国特許第1,372,034号明細書を参照されたい)、P.フルオレセンス(P.fluorescens)リパーゼ、バチルス属(Bacillus)リパーゼ(例えば、B.サブチリス(B.subtilis)リパーゼ)(例えば、Dartois et al.,Biochem.Biophys.Acta 1131:253-260(1993))、B.ステアロテルモフィルス(B.stearothermophilus)リパーゼ(例えば、特開昭64-744992号公報を参照されたい)およびB.プミルス(B.pumilus)リパーゼ(例えば、国際公開第91/16422号パンフレットを参照されたい)などの例えば細菌または真菌起源のものが挙げられる。例示的なクローニングされたリパーゼとして、限定されないが、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchi et al.,Gene 103:61-67(1991)を参照されたい)、ゲオトリカム・カンディダム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimada et al.,J.Biochem.,106:383-388(1989)を参照されたい)および種々のリゾプス属(Rhizopus)リパーゼ、例えばR.デレマー(R.delemar)リパーゼ(Hass et al.,Gene 109:117-113(1991)を参照されたい)、R.ニベアス(R.niveus)リパーゼ(Kugimiya et al.,Biosci.Biotech.Biochem.56:716-719(1992))およびR.オリザエ(R.oryzae)リパーゼが挙げられる。クチナーゼなどの他の脂肪分解酵素も本明細書に記載の1つ以上の組成物に用いることができ、限定されないが、例えばシュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)に由来するクチナーゼ(国際公開第88/09367号パンフレットを参照されたい)および/またはフザリウム・ソラニピシ(Fusarium solanipisi)に由来するクチナーゼ(国際公開第90/09446号パンフレットを参照されたい)が挙げられる。例示的な市販のリパーゼとしては、限定されないが、M1 LIPASE(商標)、LUMAFAST(商標)およびLIPOMAX(商標)(DuPont);LIPEX(登録商標)、LIPOCLEAN(登録商標)、LIPOLASE(登録商標)およびLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes);ならびにLIPASEP(商標)(Amano Pharmaceutical Co.Ltd)が挙げられる。
【0116】
なおさらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上のアミラーゼとを含む組成物に関する。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%、約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%または約0.005重量%~約0.5重量%のアミラーゼを含む。アルカリ性溶液中での使用に適したアミラーゼ(例えば、アルファおよび/またはベータ)は、そのような組成物に含めるのに有用であり得る。例示的なアミラーゼとしては、化学的にまたは遺伝子的に改変された変異体であり得る。例示的なアミラーゼとしては、限定されないが、細菌または真菌起源のもの、例えば英国特許第1,296,839号明細書、国際公開第9100353号パンフレット、同第9402597号パンフレット、同第94183314号パンフレット、同第9510603号パンフレット、同第9526397号パンフレット、同第9535382号パンフレット、同第9605295号パンフレット、同第9623873号パンフレット、同第9623874号パンフレット、同第9630481号パンフレット、同第9710342号パンフレット、同第9741213号パンフレット、同第9743424号パンフレット、同第9813481号パンフレット、同第9826078号パンフレット、同第9902702号パンフレット、同第9909183号パンフレット、同第9919467号パンフレット、同第9923211号パンフレット、同第9929876号パンフレット、同第9942567号パンフレット、同第9943793号パンフレット、同第9943794号パンフレット、同第9946399号パンフレット、同第0029560号パンフレット、同第0060058号パンフレット、同第0060059号パンフレット、同第0060060号パンフレット、同第0114532号パンフレット、同第0134784号パンフレット、同第0164852号パンフレット、同第0166712号パンフレット、同第0188107号パンフレット、同第0196537号パンフレット、同第02092797号パンフレット、同第0210355号パンフレット、同第0231124号パンフレット、同第2004055178号パンフレット、同第2004113551号パンフレット、同第2005001064号パンフレット、同第2005003311号パンフレット、同第2005018336号パンフレット、同第2005019443号パンフレット、同第2005066338号パンフレット、同第2006002643号パンフレット、同第2006012899号パンフレット、同第2006012902号パンフレット、同第2006031554号パンフレット、同第2006063594号パンフレット、同第2006066594号パンフレット、同第2006066596号パンフレット、同第2006136161号パンフレット、同第2008000825号パンフレット、同第2008088493号パンフレット、同第2008092919号パンフレット、同第2008101894号パンフレット、同第2008/112459号パンフレット、同第2009061380号パンフレット、同第2009061381号パンフレット、同第2009100102号パンフレット、同第2009140504号パンフレット、同第2009149419号パンフレット、同第2010/059413号パンフレット、同第2010088447号パンフレット、同第2010091221号パンフレット、同第2010104675号パンフレット、同第2010115021号パンフレット、同第10115028号パンフレット、同第2010117511号パンフレット、同第2011076123号パンフレット、同第2011076897号パンフレット、同第2011080352号パンフレット、同第2011080353号パンフレット、同第2011080354号パンフレット、同第2011082425号パンフレット、同第2011082429号パンフレット、同第2011087836号パンフレット、同第2011098531号パンフレット、同第2013063460号パンフレット、同第2013184577号パンフレット、同第2014099523号パンフレット、同第2014164777号パンフレットおよび同第2015077126号パンフレットに記載されているアミラーゼなどが挙げられる。例示的な市販アミラーゼとしては、限定されないが、AMPLIFY(登録商標)、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYMEULTRA(登録商標)EVITY(登録商標)およびBAN(商標)(Novozymes);EFFECTENZ(商標)S1000、POWERASE(商標)、PREFERENZ(商標)S100、PREFERENZ(商標)S110、EXCELLENZ(商標)S2000、RAPIDASE(登録商標)およびMAXAMYL(登録商標)P(DuPont)が挙げられる。
【0117】
なおさらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上のセルラーゼとを含む組成物に関する。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%、約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%または約0.005重量%~約0.5重量%のセルラーゼを含む。適切なセルラーゼは、本明細書に記載の組成物に使用することができる。例示的なセルラーゼとしては、化学的にまたは遺伝子的に改変された変異体であり得る。例示的なセルラーゼとしては、限定されないが、細菌または真菌起源のもの、例えば国際公開第2005054475号明細書、同第2005056787号明細書、米国特許第7,449,318号明細書、同第7,833,773号明細書、同第4,435,307号明細書;欧州特許第0495257号明細書および米国仮特許出願第62/296,678号明細書に記載されているような細菌または真菌起源のものが挙げられる。市販のセルラーゼの例としては、限定されないが、CELLUCLEAN(登録商標)、CELLUZYME(登録商標)、CAREZYME(登録商標)、ENDOLASE(登録商標)、RENOZYME(登録商標)およびCAREZYME(登録商標)PREMIUM(Novozymes);REVITALENZ(商標)100、REVITALENZ(商標)200/220およびREVITALENZ(登録商標)2000(DuPont);ならびにKAC-500(B)(商標)(花王株式会社)が挙げられる。いくつかの実施形態では、セルラーゼは、成熟野生型または変異体セルラーゼの一部または断片として組み込まれ、N末端の一部が除去されている(例えば、米国特許第5,874,276号明細書を参照されたい)。
【0118】
なおさらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上のマンナナーゼとを含む組成物に関する。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%、約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%または約0.005重量%~約0.5重量%のマンナナーゼを含む。例示的なマンナナーゼとしては、化学的にまたは遺伝子的に改変された変異体であり得る。例示的なマンナナーゼは、限定されないが、例えば国際公開第2016/007929号明細書;米国特許第6,566,114号明細書、同第6,602,842号明細書および同第6,440,991号明細書:ならびに米国仮特許出願第62/251516号明細書、同第62/278383号明細書および同第62/278387号明細書に記載されているような細菌または真菌起源のものが挙げられる。例示的な市販マンナナーゼとしては、限定されないが、MANNAWAY(登録商標)(Novozymes)、ならびにEFFECTENZ(商標)M1000、PREFERENZ(登録商標)M100、MANNASTAR(登録商標)およびPURABRITE(商標)(DuPont)が挙げられる。
【0119】
なおさらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上のペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼ酵素とを含む組成物に関する。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.00001重量%~約10重量%、約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%または約0.005重量%~約0.5重量%のペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼを含む。ペルオキシダーゼは、過酸化水素またはその供給源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩または過硫酸塩)と組み合わせて使用され得、またオキシダーゼは、酸素と組み合わせて使用され得る。ペルオキシダーゼおよびオキシダーゼは、「漂白液」用に(すなわち洗浄液中で布帛を一緒に洗った際に1つの染色した布帛から他の布帛に織物染料が移行するのを防止するために)、単独でまたは増強剤と共に使用される(例えば、国際公開第94/12621号パンフレットおよび同第95/01426号パンフレットを参照されたい)。例示的なペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼは、化学的または遺伝子的に改変された変異体であり得る。例示的なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、限定されないが、植物、細菌または真菌起源のものが挙げられる。
【0120】
他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、例えば国際公開第2005/056782号パンフレット、同第2007/106293号パンフレット、同第2008/063400号パンフレット、同第2008/106214号パンフレットおよび同第2008/106215号パンフレットに記載されている1つ以上のペルヒドロラーゼとを含む組成物に関する。
【0121】
さらに他の一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物に含有される、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体および1つ以上の追加の酵素は、それぞれ独立して約10%までの範囲で変化することができ、洗浄用組成物の残りは、1つ以上の補助剤である。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、洗剤添加剤として使用され、前記添加剤は、固体または液体形態である。このような添加剤は、従来の洗剤組成物の性能を補い、かつ/または増進することを目的としており、洗浄工程の任意の段階で添加することができる。いくつかの実施形態では、洗濯用洗剤組成物の密度は、約400~約1200g/リットルの範囲である一方、他の実施形態では、20℃の測定で約500~約950g/リットルの範囲である。
【0123】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、界面活性剤、酵素安定剤、ビルダー化合物、ポリマー化合物、漂白剤、追加の酵素、泡抑制剤、分散剤、石灰石けん分散剤、汚れ懸濁剤、再付着防止剤、腐食防止剤およびそれらの組み合わせから選択される1つ以上の補助剤とを含む洗濯用洗剤組成物に関する。いくつかの実施形態では、洗濯組成物は、柔軟剤も含む。
【0124】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、界面活性剤、有機ポリマー化合物、泡増強剤、II族金属イオン、溶媒、ヒドロトロープおよび追加の酵素から選択される1つ以上の補助剤とを含む手作業用食器洗浄用組成物に関する。
【0125】
他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上の組成物に関し、前記組成物は、着色布帛の洗濯に使用されるかもしくは洗浄能力を通じて柔軟性を提供するコンパクトな粒状布帛洗浄用組成物であるか、または強力液体(HDL)布帛洗浄用組成物である。例示的な布帛洗浄用組成物および/または製造方法は、米国特許第6,610,642号明細書および同第6,376,450号明細書に記載されている。他の例示的な洗浄用組成物は、例えば、米国特許第6,605,458号明細書;同第6,294,514号明細書;同第5,929,022号明細書;同第5,879,584号明細書;同第5,691,297号明細書;同第5,565,145号明細書;同第5,574,005号明細書;同第5,569,645号明細書;同第5,565,422号明細書;同第5,516,448号明細書;同第5,489,392号明細書;および同第5,486,303号明細書;同第4,968,451号明細書;同第4,597,898号明細書;同第4,561,998号明細書;同第4,550,862号明細書;同第4,537,706号明細書;同第4,515,707号明細書;ならびに同第4,515,705号明細書に記載されている。
【0126】
いくつかの実施形態では、洗浄用組成物は、酸性化粒子またはアミノカルボン酸ビルダーを含む。アミノカルボン酸ビルダーの例としては、アミノカルボン酸、その塩および誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、アミノカルボン酸ビルダーは、グリシン-N,N-二酢酸または一般式MOOC-CHR-N(CH2COOM)2(式中、Rは、C1~12アルキル基であり、Mは、アルカリ金属である)で表される誘導体などのアミノポリカルボン酸ビルダーである。いくつかの実施形態では、アミノカルボン酸ビルダーは、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、GLDA(グルタミン酸-N,N-二酢酸)、イミノジコハク酸(IDS)、カルボキシルメチルイヌリンおよびその塩と誘導体、アスパラギン酸-N-一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸-N-一プロピオン酸(ASMP)、イミノジコハク酸(IDA)、N-(2-スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N-(2-スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N-(2-スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N-(2-スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、IDS(イミノ二酢酸)およびその塩と誘導体(N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)など)、アルファ-アラニン-N,N-二酢酸(アルファ-ALDA)、セリン-N,N-二酢酸(SEDA)、イソセリン-N,N二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン-N、N-二酢酸(PHDA)、アントラニル酸-N,N-二酢酸(ANDA)、スルファニル酸-N,N-二酢酸(SLDA)、タウリン-N,N-二酢酸(TUDA)、ならびにスルホメチル-N,N-二酢酸(SMDA)ならびにそのアルカリ金属塩および誘導体であり得る。いくつかの実施形態では、酸性化粒子は、約400μ~約1200μの重量幾何平均粒径および少なくとも550g/Lのかさ密度を有する。いくつかの実施形態では、酸性化粒子は、少なくとも約5%のビルダーを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、酸性化粒子は、有機酸および鉱酸を含む任意の酸を含むことができる。有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸およびグリオキシル酸などのように1または2個のカルボキシル基を有し、場合により最大15個の炭素原子、特に最大10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、酸は、クエン酸である。鉱酸としては、塩酸および硫酸が挙げられる。場合により、酸性化粒子は、アミノカルボン酸ビルダーを高濃度で含む高活性粒子である。硫酸は、最終粒子の安定性に寄与することも分かっている。
【0128】
さらなる実施形態は、1つ以上のサブチリシン変異体ならびに1つ以上の界面活性剤および/または界面活性剤システムを含む洗浄用組成物に関し、この界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤およびこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、洗浄用組成物の約0.1重量%~約60重量%の濃度で存在するが、代わりの実施形態では、濃度は、約1重量%~約50重量%であり、なおさらなる実施形態では、濃度は、約5重量%~約40重量%である。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダーまたはビルダーシステムを含む。一実施形態では、組成物は、組成物の約1%から、約0.1重量%~約80重量%、約3重量%~約60重量%、約5重量%~約40重量%または約10重量%~約50重量%のビルダーを含む。例示的なビルダーとしては、限定されないが、アルカリ金属;ポリリン酸のアンモニウム塩およびアルカノールアンモニウム塩;アルカリ金属ケイ酸塩;アルカリ土類およびアルカリ金属炭酸塩;アルミノケイ酸塩;ポリカルボン酸塩化合物;エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩;マレイン酸無水物とエチレンもしくはビニルメチルエーテル、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸およびカルボキシメチルオキシコハク酸とのコポリマー;ポリ酢酸のアンモニウムおよび置換アンモニウム塩、例えばエチレンジアミン四酢酸およびニトリロ三酢酸;ポリカルボン酸塩、例えばメリット酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸;ならびにこれらの可溶塩が含まれる。いくつかのそうした組成物中で、ビルダーは、水溶性硬度イオン錯体(例えば、封鎖性ビルダー)、例えばクエン酸塩およびポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウムならびにトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムとの混合物)を形成する。例示的なビルダーは、例えば、欧州特許第2100949号明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、ビルダーは、リン酸塩ビルダーおよび非リン酸塩ビルダーを含む。いくつかの実施形態では、ビルダーは、リン酸塩ビルダーである。いくつかの実施形態では、ビルダーは、非リン酸塩ビルダーである。いくつかの実施形態では、ビルダーは、リン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーとの混合物を含む。例示的なリン酸塩ビルダーとしては、限定されないが、一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩またはオリゴマーポリリン酸塩が挙げられ、これらの化合物のナトリウム塩を含むアルカリ金属塩が含まれる。いくつかの実施形態では、ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)であり得る。さらに、組成物は、炭酸塩および/またはクエン酸塩を含むことができる。他の適切な非リン酸塩ビルダーとしては、ポリカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらを部分的または完全に中和した塩、ポリカルボン酸モノマーおよびヒドロキシカルボン酸ならびにそれらの塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、上記の化合物の塩としては、アンモニウムおよび/またはアルカリ金属塩、すなわちナトリウム塩を含むリチウム、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。適切なポリカルボン酸には、非環式、脂環式、複素環式および芳香族カルボン酸が含まれるが、いくつかの実施形態では、それらは、少なくとも2つのカルボキシル基を含有することができ、少なくとも2つのカルボキシル基は、それぞれの場合、一部の例では2個以下の炭素原子によって互いに分離される。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上のキレート剤を含む。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%~約15重量%または約3重量%~約10重量%のキレート剤を含む。例示的なキレート剤としては、限定されないが、例えば銅、鉄、マンガンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の沈殿助剤を含む。例示的な沈澱助剤としては、限定されないが、例えばポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリカルボン酸塩;ポリテレフタル酸などの汚れ放出ポリマー;カオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイトおよびハロイサイトなどのクレー;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0132】
他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の再付着防止剤または非イオン性界面活性剤を含む(これらは、汚れの再付着を防止することができる)(例えば、欧州特許第2100949号明細書を参照されたい)。例えば、ADW用組成物では、表面を改質する目的で、特にシーティングの目的で膜および染みの形成を避け、光沢をよくするため、非イオン性界面活性剤が使用される。これらの非イオン性界面活性剤は、汚れの再付着防止にも使用される。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、エトキシ化非イオン性界面活性剤、エポキシキャップポリ(オキシアルキル化)アルコールおよびアミンオキシド界面活性剤であり得る。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の染料移行抑止剤を含む。例示的なポリマー性染料移行抑止剤としては、限定されないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、ポリビニルイミダゾールおよびこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、組成物は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量%または約0.1重量%~約3重量%の染料移行抑止剤を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上のケイ酸塩を含む。例示的なケイ酸塩としては、限定されないが、ケイ酸ナトリウム、例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよび結晶性フィロケイ酸塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は、組成物の約1重量%~約20重量%または約5重量%~約15重量%の濃度で存在する。
【0135】
いくつかのさらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の分散剤を含む。例示的な水溶性有機物質としては、限定されないが、ホモポリマー酸もしくはコポリマー酸またはそれらの塩が挙げられ、その中で、ポリカルボン酸は、2個以下の炭素原子で相互に分離された少なくとも2つのカルボキシル基を含む。
【0136】
いくつかのさらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の酵素安定剤を含む。いくつかの実施形態では、酵素安定剤は、カルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの水溶性の供給源である。いくつかの実施形態では、酵素安定剤は、オリゴ糖、多糖およびカルシウム塩などのアルカリ土類金属を含む無機二価金属塩を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される酵素は、最終組成物中に亜鉛(II)、カルシウム(II)および/またはマグネシウム(II)イオン、ならびに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)およびオキソバナジウム(IV))の水溶性イオン源(これらが酵素にそうしたイオンを与える)が存在することによって安定化される。塩化物および硫酸塩もいくつかの実施形態で使用される。例示的なオリゴ糖および多糖(例えば、デキストリン)は、例えば、国際公開第07/145964号パンフレットに記載されている。いくつかの実施形態では、可逆的プロテアーゼ阻害剤、例えばホウ素含有化合物(例えば、ホウ酸塩、4-ホルミルフェニルボロン酸およびフェニルボロン酸誘導体(例えば、国際公開第96/41859号パンフレットに記載のものなど)ならびに/またはペプチドアルデヒド、例えば国際公開第2009/118375号パンフレットおよび国際公開第2013004636号パンフレットにさらに記載されているものも使用される。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の漂白剤、漂白活性化剤および/または漂白触媒を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、無機および/または有機漂白化合物を含む。例示的な無機漂白剤としては、限定されないが、過水和物塩(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩および過ケイ酸塩)が挙げられる。いくつかの実施形態では、無機過水和物塩は、アルカリ金属塩である。いくつかの実施形態では、無機過水和物塩は、追加の保護なしに結晶性の固体として含まれるが、他のいくつかの実施形態では、塩は、被覆される。漂白活性化剤は、典型的には、60℃以下の温度の洗浄過程で漂白作用を増大させる有機過酸前駆体である。例示的な漂白活性化剤としては、過加水分解条件下において、約1~約10個の炭素原子もしくは約2~約4個の炭素原子を有する脂肪族過カルボン酸および/または場合により置換された過安息香酸を与える化合物が挙げられる。例示的な漂白活性化剤は、例えば、欧州特許第2100949号明細書に記載されている。例示的な漂白触媒としては、限定されないが、マンガントリアザシクロノナンおよび関連錯体、ならびにコバルト、銅、マンガンおよび鉄錯体が挙げられる。追加の例示的な漂白触媒は、例えば、米国特許第4,246,612号明細書;同第5,227,084号明細書;同第4,810,410号明細書;国際公開第99/06521号パンフレット;および欧州特許第2100949号明細書に記載されている。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の触媒金属錯体を含む。いくつかの実施形態では、金属含有漂白触媒が使われる。いくつかの実施形態では、金属漂白触媒は、指定された漂白触媒活性の遷移金属陽イオン(例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデンまたはマンガンの陽イオン)、漂白触媒活性をほとんどまたは全く有しない補助金属陽イオン(例えば、亜鉛またはアルミニウム陽イオン)、ならびに触媒および補助金属陽イオンに対して指定された安定性定数を有する封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四(メチレンホスホン酸)およびこれらの水溶性の塩を含む触媒システムを含む(例えば、米国特許第4,430,243号明細書を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、マンガン化合物によって触媒される。そうした化合物および使用濃度については、例えば、米国特許第5,576,282号明細書に記載されている。さらなる実施形態では、コバルト漂白触媒が使用され、これは、本明細書に記載の1つ以上の組成物に含まれる。種々のコバルト漂白触媒が例えば米国特許第5,597,936号明細書および同第5,595,967号明細書に記載されている。
【0139】
いくつかのさらなる実施形態では、本明細書に記載の1種以上の組成物は、大多環状剛性配位子(MRL)の遷移金属錯体を含む。実際問題として、限定としてではなく、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物および洗浄工程は、洗浄液中に少なくとも1億分の1のオーダーで、すなわち約0.005ppm~約25ppm、約0.05ppm~約10ppmまたは約0.1ppm~約5ppmの活性MRLを提供するように調整される。例示的なMRLとしては、限定されないが、架橋した特殊な超剛性配位子、例えば5,12-ジエチル-1,5,8,12-テトラアザビシクロ(6.6.2)ヘキサデカンが挙げられる。例示的な金属MRLについては、例えば、国際公開第2000/32601号パンフレットおよび米国特許第6,225,464号明細書に記載されている。
【0140】
他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1つ以上の金属ケア剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の約0.1重量%~約5重量%の金属ケア剤を含む。例示的な金属ケア剤としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼および非鉄金属(例えば、銀および銅)が挙げられる。さらなる例示的な金属ケア剤については、例えば、欧州特許第2100949号明細書、国際公開第94/26860号パンフレットおよび同第94/26859号パンフレットに記載されている。いくつかの組成物では、金属ケア剤は、亜鉛塩である。
【0141】
いくつかの実施形態では、洗浄用組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む高密度液体(HDL)組成物である。HDL液体洗濯用洗剤は、洗浄用界面活性剤(10%~40%)を含むことができ、この洗浄用界面活性剤は、陰イオン性洗浄用界面活性剤(直鎖または分岐鎖またはランダム鎖の置換されたまたは置換されていないアルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアルコキシル化硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩および/またはこれらの混合物の群から選択される);および任意選択の非イオン性界面活性剤(直鎖または分岐鎖またはランダム鎖の、置換されたまたは置換されていないアルキルアルコキシル化アルコール、例えばC8~C18アルキルエトキシ化アルコールおよび/またはC6~C12アルキルフェノールアルコキシレートの群から選択される)を含み、任意選択により、陰イオン性洗浄用界面活性剤(6.0~9の親水性指数(HIc)を有する)の非イオン性洗浄用界面活性剤に対する重量比は、1:1よりも大きい。適切な洗浄用界面活性剤としては、陽イオン性洗浄用界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル第4級アンモニウム化合物、アルキル第4級ホスホニウム化合物、アルキル第3級スルホニウム化合物および/またはこれらの混合物から選択される);両性イオン性および/または両性洗浄用界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインから選択される);両性界面活性剤;半極性非イオン性界面活性剤;ならびにこれらの混合物も挙げられる。
【0142】
本組成物は、任意選択により、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー(分岐した親水性および疎水性を有するアルコキシル化ポリマー、例えば0.05重量%~10重量%の範囲のアルコキシル化ポリアルキレンイミンの群から選択される)および/またはランダムグラフトポリマー(典型的には、不飽和C1~C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、グリセロールなどの飽和ポリアルコール、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性骨格と、C4~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C2~C6モノカルボン酸のビニルエステル、アクリルもしくはメタクリル酸のC1~C6アルキルエステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される疎水性側鎖とからなる)からなる界面活性強化ポリマーを含むことができる。
【0143】
本組成物は、例えば、汚れ放出ポリマー(例えば、陰イオン性末端キャップ化ポリエステル、例えばSRP1;ランダムもしくはブロック構造にある糖、ジカルボン酸、ポリオールおよびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマー;ランダムまたはブロック構造にあるエチレンテレフタレート系ポリマーおよびそれらのコポリマー、例えばRepel-o-texSF、SF-2およびSRP6、Texcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300およびSRN325、Marloquest SLを含む);再付着防止ポリマー(0.1重量%~10重量%、例えばカルボン酸ポリマー、例えばアクリル酸、マレイン酸(またはマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸から選択される少なくとも1つのモノマーおよびそれらの任意の混合物を含むポリマー;ビニルピロリドンホモポリマー;ならびに/または分子量が500~100,000Daの範囲内のポリエチレングリコールを含む);セルロースポリマー(例えば、アルキルセルロース;アルキルアルコキシアルキルセルロース;カルボキシアルキルセルロース;アルキルカルボキシアルキルセルロース(その例には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロースが含まれる)およびこれらの混合物を含む);ならびにポリマー性カルボキシレート(例えば、マレエート/アクリレートランダムコポリマーまたはポリアクリレートホモポリマー)などの追加のポリマーを含むことができる。
【0144】
本組成物は、飽和または不飽和脂肪酸、好ましくは飽和または不飽和C12~C24脂肪酸(0重量%~10重量%);沈着助剤(例えば、多糖、セルロースポリマー、ポリジアリルジメチルハロゲン化アンモニウム(DADMAC)、およびDADMACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、ハロゲン化イミダゾリニウム、およびこれらの混合物とのランダムまたはブロック構成のコポリマー;陽イオン性グァーガム;陽イオン性セルロース、例えば陽イオン性ヒドロキシエチルセルロース;陽イオン性デンプン;陽イオン性ポリアクリルアミド;およびこれらの混合物をさらに含むことができる。
【0145】
本組成物は、染料移行抑止剤をさらに含むことができ、その例としては、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾール、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾール、ならびに/またはこれらの混合物とのコポリマー、;例としてエチレン-ジアミン四酢酸(EDTA)を含むキレート剤;ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP);ヒドロキシ-エタンジホスホン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS);メチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDTA);2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO);またはメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N、N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA);ニトリロ三酢酸(NTA);4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸;クエン酸およびその任意の塩;N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミン四プロピオン酸(EDTP)およびこれらの誘導体が挙げられる。
【0146】
本組成物は、シリコーンまたは脂肪酸系の泡抑制剤;酵素安定剤;着色染料、カルシウムおよびマグネシウム陽イオン、視覚信号成分、消泡剤(0.001重量%~約4.0重量%)および/または構造化剤/増粘剤(0.01重量%~5重量%)(ジグリセリド、トリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、セルロース系材料、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガムおよびこれらの混合物からなる群から選択される)をさらに含むことができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、洗浄用組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む高密度粉末(HDD)組成物である。HDD粉末洗濯用洗剤は、陰イオン性洗浄用界面活性剤(直鎖、分岐鎖もしくはランダム鎖の、置換または非置換の、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアルコキシル化硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩および/またはそれらの混合物から選択される)、非イオン性洗浄用界面活性剤(直鎖、分岐鎖またはランダム鎖の、置換もしくは非置換の、C8~C18アルキルエトキシレートおよび/またはC6~C12アルキルフェノールアルコキシレートから選択される)、陽イオン性洗浄用界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三級スルホニウム化合物およびそれらの混合物から選択される);両性イオン性および/もしくは両性の洗浄用界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインから選択される);両性界面活性剤;半極性非イオン性界面活性剤およびそれらの混合物を含む洗浄用界面活性剤;ビルダー(リン酸塩不含有ビルダー(例えば、ゼオライトビルダー[その例として、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトPおよびゼオライトMAPが挙げられる(0重量%~10重量%未満の範囲)];リン酸塩ビルダー(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲のトリポリリン酸ナトリウム);15重量%未満の範囲のクエン酸、クエン酸塩およびニトリロ三酢酸またはその塩;ケイ酸塩(0重量%~10重量%未満の範囲のケイ酸ナトリウムもしくはケイ酸カリウムまたはメタケイ酸ナトリウム、あるいは層状ケイ酸塩(SKS-6));炭酸塩(0重量%~10重量%未満の範囲の炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸ナトリウム;ならびに漂白剤(フォトブリーチ、例えばスルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料およびこれらの混合物);疎水性もしくは親水性漂白活性化剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、デカノイルオキシ安息香酸もしくはその塩、3,5,5-トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、テトラアセチルエチレンジアミン-TAEDおよびノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩-NOBS、ニトリル第四級物およびこれらの混合物);過酸化水素;過酸化水素源(無機過水和物塩、例えば過ホウ酸、過炭酸、過硫酸、過リン酸または過ケイ酸のナトリウム塩の一水和物もしくは四水和物);疎水性および/もしくは親水性予形成過酸(過カルボン酸およびその塩、過炭酸およびその塩、過イミド酸およびその塩、ペルオキシ一硫酸およびその塩、ならびにこれらの混合物から選択される);ならびに/または漂白触媒(例えば、イミン漂白促進剤、例えばイミニウム陽イオンおよびポリイオンなど;イミニウム両性イオン;変性アミン;変性アミンオキシド;N-スルホニルイミン;N-ホスホニルイミン;N-アシルイミン;チアジアゾールジオキシド;ペルフオロイミン;環状糖ケトンおよびそれらの混合物)、金属含有漂白触媒(例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデンまたはマンガン陽イオンと、亜鉛またはアルミニウムなどの補助的金属陽イオン、およびエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびそれらの水溶性の塩などの封鎖剤との併用)を含むことができる。
【0148】
本組成物は、追加の洗剤成分、例えば香料マイクロカプセル、デンプンカプセル化香料アコード、酵素安定剤、着色剤、布帛の完全性および陽イオンポリマーを含む追加のポリマー、ダイロック成分、布帛柔軟剤、増白剤(例えば、C.I.蛍光増白剤)、凝集剤、キレート剤、アルコキシル化ポリアミン、布用沈澱助剤および/またはシクロデキストリンをさらに含むことができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、洗浄用組成物は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含むADW用洗剤組成物である。ADW用洗剤組成物は、0~10重量%の量で含まれる、エトキシル化非イオン性界面活性剤、アルコキシル化アルコール界面活性剤、エポキシキャップポリ(オキシアルキル化)アルコールまたはアミンオキシド界面活性剤から選択される2つ以上の非イオン性界面活性剤;リン酸塩(一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩もしくはオリゴマーポリリン酸塩)、好ましくはトリポリリン酸ナトリウム-STPPまたはリン酸塩不含有ビルダー(アミノ酸をベースとした化合物、例えばMGDA(メチル-グリシン-二酢酸)およびその塩と誘導体、GLDA(グルタミン酸-N、N二酢酸)ならびにその塩および誘導体、IDS(イミノジコハク酸)ならびにその塩および誘導体、カルボキシメチルイヌリンならびにその塩および誘導体、ならびにそれらの混合物、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)ならびにB-アラニン二酢酸(B-ADA)およびそれらの塩)、ポリカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらを部分的または完全に中和した塩、ポリカルボン酸モノマーおよびヒドロキシカルボン酸モノマーならびにそれらの塩(0.5重量%~50重量%の範囲で)を含む5~60%の範囲のビルダー;約0.1重量%~約50重量%の範囲のスルホン化/カルボキシル化ポリマー(製品に寸法安定性を付与する);約0.1重量%~約10重量%の範囲の乾燥助剤(ポリエステル、特に陰イオン性ポリエステル(任意選択により、さらに縮重合に資する3~6官能性のモノマー、特に官能性の酸、アルコールまたはエステルと共に)、ポリカーボネート-、ポリウレタン-および/またはポリウレア-ポリオルガノシロキサン化合物もしくは反応性環状炭酸塩およびウレア型のその前駆体化合物から選択される);約1重量%~約20重量%の範囲のケイ酸塩(ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよび結晶性フィロケイ酸塩);無機漂白剤(例えば、過水和物塩、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩および過ケイ酸塩)および有機漂白剤(例えば、有機ペルオキシ酸、例えばジアシルおよびテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸およびジペルオキシヘキサデカン二酸);漂白活性化剤-約0.1重量%~約10重量%の範囲の有機過酸前駆体;漂白触媒(マンガントリアザシクロノナンおよび関連錯体、Co、Cu、MnおよびFeビスピリジルアミンおよび関連錯体、ならびにペンタアミンアセテートコバルト(III)および関連錯体から選択される);約0.1重量%~5重量%の範囲の金属ケア剤(ベンゾトリアゾール、金属塩および錯体ならびにケイ酸塩から選択される);ADW用洗剤組成物1g当たり活性酵素が約0.01~5.0mgの範囲の酵素(アシルトランスフェラーゼ、アルファ-アミラーゼ、ベータ-アミラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ、エンド-ベータ-マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ-マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、オキシドレダクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリエステラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル-エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼおよびこれらの混合物);ならびに酵素安定化成分(オリゴ糖、多糖および無機の二価金属塩から選択される)を含むことができる。
【0150】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を用いて布帛を処理する(例えば、織物の糊抜きをするため)組成物および方法に関する。布帛処理方法は、当該技術分野でよく知られている(例えば、米国特許第6,077,316号明細書を参照されたい)。例えば、布帛の感触および外観は、溶液中で布帛と本明細書に記載の変異体とを接触させる工程を含む方法によって改善することができる。布帛は、加圧下で溶液を用いて処理することができる。
【0151】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、織物を織っている間もしくは織りあげた後、糊抜き段階または1つ以上の追加の布帛加工工程で適用することができる。織物を織っている間、糸は、相当に強い機械的歪みに曝される。織機で織る前に、縦糸は、それらの引張強度を増加させるためおよび破壊を防止するために糊付けデンプンまたはデンプン誘導体でコーティングされることが多い。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシンは、ウールまたは絹などの天然繊維の機織り中または機織り後に適用することができる。機織り後、布帛の着色性および柔軟性を促進するために本変異体を使用することができる。本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、綿含有布帛を含む布帛の糊抜きのために、単独でまたは他の糊抜き用薬剤および/または糊抜き用酵素と共に、例えば水性組成物中の洗剤添加剤として使用することができる。セルラーゼは、インジゴ染色デニム布帛および衣服にストーンウォッシュ外観を作り出すための組成物および方法に使用することもできる。アミラーゼも織物の糊抜きのための組成物および方法で使用することができる。衣類を製造するために布帛を裁断して衣類または衣服に縫製することができ、それらは、後に仕上げ処理される。特にデニムのジーンズを製造するために、様々な酵素による仕上げ法が開発されている。
【0152】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を使用して、動物およびそれらのその後の解体物または処理物、例えば羽毛、皮膚、毛および皮などからタンパク質を除去することができる。いくつかの場合、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む溶液に動物の死骸を浸漬することにより、従来の熱湯への浸漬または羽毛の除去プロセスと比べて皮膚の損傷を防止することができる。一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を羽毛の消化または羽毛の分解開始に適した条件下で羽毛に噴霧することができる。いくつかの実施形態では、本変異体は、酸化剤と組み合わせて使用することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、生の羽毛に関連する油または脂肪の除去を促進することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、羽毛を洗浄するための組成物中で使用され、また繊維を消毒し、部分的に脱水するために使用される。さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、羽毛からのタンパク質の回収に使用される。いくつかの他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、約0.5%(体積/体積)において、95%のエタノールまたは他の極性有機溶媒と組み合わせて、界面活性剤を含むかまたは含まない洗浄液に適用される。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、PCT/欧州特許出願公開第2013/065362号明細書、同第PCT/欧州特許出願公開第2013/065363号明細書および同第PCT/欧州特許出願公開第2013/065364号明細書に開示されているものなど、適切な羽毛処理法およびタンパク質分解方法において単独でまたは組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、回収したタンパク質は、その後、動物または魚の餌料に使用することができる。
【0154】
さらに他の実施形態では、1つ以上の動物飼料組成物、動物飼料添加物および/またはペットフードは、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体を含む。他の実施形態は、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と、1つ以上の動物用飼料成分および/または動物用飼料添加成分および/またはペットフード成分とを混合する工程を含む、そのような動物飼料組成物、動物飼料添加組成物および/またはペットフードの調製方法に関する。
【0155】
「動物」という用語には、全ての非反芻動物および反芻動物が含まれる。特定の実施形態では、動物は、例えば、ウマおよび単胃動物などの非反芻動物である。単胃動物の例としては、限定されないが、子ブタ、成長中のブタ、雌ブタなどのブタ;シチメンチョウ、アヒル、ニワトリ、ブロイラー、ヒヨコ、産卵ニワトリなどの家禽類;サケ、マス、テラピア、ナマズ、コイなどの魚類;ならびにエビおよびクルマエビなどの甲殻類が挙げられる。さらなる実施形態では、動物は、限定されないが、ウシ、幼ウシ、ヤギ、ヒツジ、キリン、バイソン、アメリカヘラジカ、エルク、ヤク、水牛、シカ、ラクダ、アルパカ、ラマ、アンテロープ、プロングホーンおよびニルガイを含む反芻動物である。
【0156】
本明細書に関連して、「ペットフード」という用語は、家族のような動物、限定されないが、例えばイヌ、ネコ、スナネズミ、ハムスター、チンチラ、ファンシーラット、モルモット;鳥類ペット、例えばカナリア、インコおよびオウム;爬虫類ペット、例えばカメ、トカゲおよびヘビ;水生動物ペット、例えば熱帯魚およびカエルなどの餌を意味すると理解されることが意図されている。
【0157】
「動物飼料組成物」、「飼料」および「飼い葉」という用語は、互換的に使用され、a)穀草類、例えば小穀物(例えば、小麦、大麦、ライ麦、カラス麦およびそれらの組み合わせ)および/または大穀物、例えばトウモロコシもしくはソルガム;b)穀草類からの副産物、例えばコーングルテンミール、穀類蒸留粕(DDGS)(特にトウモロコシをベースとした穀類蒸留粕(cDDGS)、ふすま、小麦ミドリング、小麦ショーツ(wheat shorts)、米ヌカ、籾殻、カラス麦の殻、パーム核、およびシトラスパルプ;c)大豆、ヒマワリ、ピーナッツ、ハウチワマメ、エンドウマメ、ソラマメ、綿、キャノーラ、魚粉、乾燥血漿タンパク、肉骨粉、ジャガイモタンパク、ホエイ、コプラ、ゴマなどの供給源から得られるタンパク質;d)植物起源および動物起源から得られる油脂類;ならびにe)ミネラル類およびビタミン類から選択される1つ以上の飼料材料を含むことができる。
【0158】
本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、化学パルプ、半化学パルプ、クラフトパルプ、メカニカルパルプ、亜硫酸塩法により製造されたパルプなどの紙パルプの酵素による漂白にも使用される。一般的には、紙パルプは、紙パルプの漂白に適切な条件下において、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体と共にインキュベートされる。
【0159】
いくつかの実施形態では、パルプは、酸素、オゾン、過酸化物またはペルオキシ酸で漂白された、塩素を含まないパルプである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、改良または連続蒸解法によって製造された、低リグニン量を示すパルプの酵素による漂白に使用される。いくつかの他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、単独で、または好ましくはキシラナーゼ、および/もしくはエンドグルカナーゼ、および/もしくはアルファ-ガラクトシダーゼ、および/もしくはセロビオヒドロラーゼ酵素と組み合わせて使用される。
【0160】
他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、組織の酵素支援創傷清拭にさらに使用される。これは、壊死または損傷した組織の除去、例えば回復を促進するための創傷からの除去を含む。
【0161】
さらなる実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、組織培養にさらに使用される。特に、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、細胞を採集する工程などにおいて、細胞培養壁に付着した細胞を懸濁または再懸濁させるために使用することができる。他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、培養細胞と皿との間のタンパク質結合を切断して細胞を溶液中へ懸濁させるために使用することができる。
【0162】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、食品添加剤、消化剤および/または食品加工助剤としてさらに使用される。
【0163】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のサブチリシン変異体は、動物の皮からの毛の除去、浸漬、脱脂または脱灰による皮革加工(これは、皮革作製中に非構造タンパク質の分解を伴う工程である)にさらに使用される。
【実施例】
【0164】
本発明の菌株、組成物および方法の態様は、下記の実施例を考慮に入れると、より明確に理解することができる。ただし、この実施例は、限定するものと解釈されるべきでない。材料および方法の修正形態は、当業者に明白であろう。
【0165】
実施例1
B.レンツス(B.lentus)サブチリシン変異体の構築
従来の分子生物学的手法を用いてB.レンツス(B.lentus)サブチリシンを生成するDNA操作を行った(例えば、Sambrook et al,Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい)。後の実施例に記載のように、全てのサブチリシンを発現させ、回収した。成熟B.レンツス(B.lentus)サブチリシン配列をコードし、かつB.レンツス(B.lentus)P29600プロテアーゼ(UniProtKB SUBS_BACL)の配列(配列番号6)に複数の改変を導入する一連の人工DNA配列を作製した。
【0166】
PCR増幅により、B.サブチリス(B.subtilis)aprEプロモーター(配列番号1)、B.サブチリス(B.subtilis)aprEシグナルペプチド(配列番号2)、B.レンツス(B.lentus)のプロペプチド(配列番号4)およびB.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン遺伝子に対応する配列を含むDNAカセットを合成した。産生したB.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体の一覧を、P29600に対してBPN’による番号付けを用いて記載した変異と共に本明細書の下記の表2に示す。
【0167】
PCR断片を使用し、適切な菌株のB.サブチリス(B.subtilis)コンピテント細胞200μLを形質転換した。形質転換細胞は、250rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。形質転換混合物からの細胞を、1.6%スキムミルクおよび5ppmクロラムフェニコール(CMP)を含有するLAプレートに播き、37℃で終夜インキュベートした。各形質転換物から1つのコロニーを採取し、ルリア培地+5ppmのCMP中、37℃で増殖させた。各菌株試料は、20%グリセロールと共に-80℃で冷凍した。
【0168】
実施例2
バチルス・レンツス(Bacillus lentus)P29600サブチリシン変異体の異種発現
表2に示したB.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体を生成させるために、尿素を主な窒素源とし、グルコースを主な炭素源とし、頑健な細胞増殖のために1%ソイトンを追加したMOPs緩衝液ベースの強化半合成培地中において、各種PCR断片で形質転換したB.サブチリス(B.subtilis)宿主株を培養した。インキュベーション後、遠心分離およびろ過により、分泌されたプロテアーゼを培地から分離した。後述のように、清澄化した培養物上清をアッセイに使用した。
【0169】
実施例3
バチルス・レンツス(Bacillus lentus)P29600サブチリシン変異体のプロテアーゼ活性
N-suc-AAPF-pNAの加水分解を測定することにより、B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシンおよびその変異体のプロテアーゼ活性を試験した。AAPFの加水分解アッセイに使用した試薬溶液は、0.005%のTWEEN(登録商標)-80を含有する、100mMのトリス/HClpH8.6、(トリス希釈緩衝液);10mMのCaCl2および0.005%のTWEEN(登録商標)-80を含有する100mMのトリス緩衝液pH8.6(トリス/Ca緩衝液);ならびにDMSO中160mMのsuc-AAPF-pNA(suc-AAPF-pNAストック溶液)(Sigma:S-7388)であった。試験用基質溶液の調製のために、100mLのトリス/Ca緩衝液に1mLのsuc-AAPF-pNAストック溶液を加え、十分に混合した。1mg/suc-AAPF-pNA試験用溶液を含有するマイクロタイタープレート(MTP)プレート(Greiner781101)に酵素試料を加え、SpectraMaxプレートリーダーを動力学モードで使用し、405nmで3分間、室温(RT)で活性をアッセイした。各試料の読み取り値から、プロテアーゼを含有しないブランクの吸収を減じた。プロテアーゼ活性は、mOD・min-1で表した。
【0170】
実施例4
バチルス・レンツス(Bacillus lentus)P29600サブチリシン変異体の洗浄性能および安定性の測定
Zorbax 300 SB-C3カラムを用いたUHPLCにより、培養物上清中のプロテアーゼ濃度を決定した。培養物上清を希釈緩衝液(トリス25mM、pH7.4、5mMのCaCl2)により適度に希釈した。緩衝液A(0.1%トリフルオロ酢酸)および緩衝液B(0.07%アセトニトリル)の勾配を有するカラムにより、試料を溶離させた。精製親酵素の標準曲線に基づき、試料のタンパク質濃度を計算した。
【0171】
各B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体の洗浄性能を、GSM-B処方(表1参照)、pH10.5および卵黄マイクロスウォッチ(PAS-38、Center for Testmaterials BV、Vlaardingen、Netherlands)を使用し、食器に適用(ADW)して測定した。予めパンチし、ADW性能アッセイに使用したPAS-38スウォッチは、リンスしたものもあればしなかったものもある。リンスしたPAS38スウォッチを調製するには、10mMのCAPS緩衝液180μL、pH11を、PAS38マイクロスウォッチを含有するMTPに加えた。MTPに封をし、iEMSインキュベータ内において60℃、振盪速度1100rpmで30分間インキュベートした。インキュベーション後、緩衝液を除去し、スウォッチを脱イオン水でリンスして残留緩衝液を除去した。MTPを空気乾燥させ、性能アッセイに供した。酵素を添加する前に、硬度374ppmの水に溶解した3g/lのGSM-B溶液をマイクロスウォッチプレートに満たした。
【0172】
BMIマイクロスォッチ(コットンへの血液/ミルク/インク)(EMPA-116、Center for Testmaterials BV、Vlaardingen、Netherlands)を用い、各B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体の洗濯(HDL)洗浄性能を試験した。予めパンチし(MTPに合わせるために)、浸漬したマイクロスウォッチ含有プレートを使用した。酵素を加える前に、マイクロスウォッチプレートを硬度250ppmの水に溶解した2.7g/lのPersil Non-Bio(Unilever)液体洗剤で満たした(この洗剤は、ホウ素または酵素を含有しない市販の液体洗剤であり、この試験で使用するために購入した)。
【0173】
インキュベーション後(PAS-38スウォッチは、40℃で30分間インキュベートし、EMPA116スウォッチは、25℃で15分間インキュベートした)、SpectraMaxプレートリーダーを用い、EMPA-116およびPAS-38スウォッチの405nmにおける吸収を読み取った。各試料の値からブランクコントロール(無酵素)の値を減じて吸収結果(以下、「ブランク減算吸収」)を得た。各条件および各B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体について、ブランク減算吸収を同一条件の親プロテアーゼのそれで除すことにより性能指数(PI)を計算した。この試験に含められ、かつラングミュアフィットまたはHillシグモイドフィットにフィッティングした親プロテアーゼの標準曲線から親プロテアーゼの値を決定した。
【0174】
【0175】
安定性を測定するために、ストレス緩衝液中で適度に希釈したB.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体を調製した。続いて、実施例3に記載したAAPFアッセイを用い、熱インキュベーション工程の前後でプロテアーゼのタンパク質分解活性を測定した。熱インキュベーション工程の温度および時間は、参照用プロテアーゼの残留活性が約30%になるように選択した。トリス-EDTA(50mMのトリス、pH9;1mMのEDTA;0.005%Tween)緩衝条件で安定性を測定した。ストレス無負荷活性に対するストレス負荷活性の比を取り、100を乗じることにより%残留活性を計算した。B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体の残留活性を、親プロテアーゼのそれで除すことにより安定性PIを得た。
【0176】
B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシンは、表3Aおよび3Bに示す、洗浄性能および安定性結果の計算に使用した親プロテアーゼである。産生したB.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体の一覧を、P29600に対してBPN’による番号付けを用いて記載した変異と共に本明細書の下記表2に示す。
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
実施例5
追加のB.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体の発現
B.レンツス(B.lentus)P29600親サブチリシン(UnitProtKB_SUBS_BACL)(GG36)(配列番号6)およびその変異体を生成するために、従来の分子生物学的手法を使用してDNA操作を行った(例えば、Sambrook et al,Molecular Cloning:Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい)。親サブチリシンにアミノ酸改変を導入した、成熟サブチリシン変異体配列をコードする一連の人工DNA配列を作製した。本明細書において後に記載するように全てのサブチリシンを発現させ、回収した。96ウエルMTP中、31℃で68時間、細胞を選択成長培地で培養することにより、本明細書に記載の研究用プロテアーゼ試料を作成した。遠心分離およびろ過により、培養物上清を調製した。
【0181】
配列番号27のB.サブチリス(B.subtilis)プロモーター配列を含む5’AprE隣接領域(米国特許出願公開第2014/0329309号明細書に記載されている)、aprEシグナルペプチド配列(配列番号28)、B.レンツス(B.lentus)からのプロ配列(配列番号3)、B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン遺伝子に対応する配列(配列番号29)およびその変異体配列、BPN’ターミネーター(配列番号30)、S.アウレウス(S.aureus)からのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子発現カセット(配列番号31)、ならびに3’AprE隣接配列(配列番号32)を連続した順序で含むDNA断片を使用することにより、B.レンツス(B.lentus)P29600親サブチリシン(配列番号6)およびその変異体を発現させ、標準的な分子技術を使用して構築した。配列番号28によりコードされるB.サブチリス(B.subtilis)aprEシグナルペプチドのアミノ酸配列は、配列番号33で表される。配列番号3によりコードされるプロ配列のアミノ酸配列は、配列番号4で表される。B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン遺伝子によりコードされるタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号6で表される。適切な菌株のコンピテントB.サブチリス(B.subtilis)細胞200μLを形質転換するために、この線状のB.レンツス(B.lentus)P29600発現カセットを使用した。形質転換細胞は、250rpmで振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。形質転換混合物を、1.6%スキムミルクおよび5ppmクロラムフェニコール(CMP)を含有するLAプレートに播き、37℃で終夜インキュベートした。1つのコロニーを採取し、ルリア培地+5ppmのCMP中、37℃で増殖させた。菌株試料は、貯蔵のため20%グリセロールと共に-80℃で冷凍した。
【0182】
B.レンツス(B.lentus)P29600親サブチリシンを発現するB.サブチリス(B.subtilis)株のゲノムDNAを単離し、B.レンツス(B.lentus)P29600成熟プロテアーゼ領域の変異体を生成するためのテンプレートとして使用した。適切なプライマー対、DNAテンプレートおよびQ5ポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いたポリメラーゼ連鎖反応により、特定のアミノ酸置換を含む変異体のライブラリーを作成した。構築されたこれらのフラグメントを使用し、コンピテントなB.サブチリス(B.subtilis)細胞を形質転換し、上記のように形質転換体を取り扱った。
【0183】
BPN’野生型およびB.レンツス(B.lentus)P29600親の両方に対して記載されたアミノ酸置換の位置と共に、生成したB.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体を表4に示す。表4に示された各サブチリシン変異体の配列は、DNA配列分析により確認された。
【0184】
実施例6
各種B.レンツス(B.lentus)P29600サブチリシン変異体の生産性
下記表4に示すB.レンツス(B.lentus)P29600親サブチリシン(配列番号6)およびその追加の変異体は、実施例5に記載のようにして生成した。
【0185】
培養物上清中のB.レンツス(B.lentus)P29600親サブチリシン(配列番号6)およびその変異体の濃度は、Zorbax 300 SB-C3カラムならびに0.1%トリフルオロ酢酸(緩衝液A)およびアセトニトリル中の0.07%トリフルオロ酢酸(緩衝液B)の直線勾配を用い、220nmでの検出によりUHPLCで決定した。カラムに送入するために、培養物上清を10mMのNaCl、0.1mMのCaCl2、0.005%のTween80で希釈した。精製親酵素(P29600野生型)(配列番号6)の標準曲線に基づき、試料のタンパク質濃度を計算した。
【0186】
N242D変異を含む各変異体のタンパク質濃度をPI値で表して表4に示す。性能指数(PI)値は、N242D変異を含む変異体のタンパク質濃度を、N242D変異を含まない変異体のタンパク質濃度で除すことにより計算した。
【0187】
【配列表】