(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】スクリーンの取付方法
(51)【国際特許分類】
B07B 1/46 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
B07B1/46 Z
(21)【出願番号】P 2019098718
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2018103137
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅英
(72)【発明者】
【氏名】吉村 介秀
【審査官】寺▲崎▼ 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-080412(JP,A)
【文献】登録実用新案第361730(JP,Z1)
【文献】米国特許第05028316(US,A)
【文献】実開昭57-095282(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網目状の弾性材で作製されたスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付けられる、
鉤状のフック形状をした第1取付部
、前記被係合部材側に取り付けられる第2取付部
、及び、線条部材を備え
、前記鉤状のフック形状をした第1取付部は、前記線条部材の一方端側に形成又は設けられ、前記第2取付部は、前記線条部材の他方端側に形成又は設けられた取付補助具の、前記
鉤状のフック形状をした第1取付部を、前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付ける第1手順と、
前記第2取付部を前記被係合部材側に取り付ける第2手順と、
前記第1手順及び前記第2手順により、前記スクリーンが前記取付補助具を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第3手順と、を含むことを特徴とする、スクリーンの取付方法。
【請求項2】
網目状の弾性材で作製されたスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付けられる第1取付部
、前記被係合部材側に取り付けられる第2取付部
、及び、線条部材を備え
、前記第1取付部は、前記線条部材の一方端側に形成又は設けられ、前記第2取付部は、前記線条部材の他方端側に形成又は設けられた、2つの取付補助具と、
棒状の補助棒の両端に、当該補助棒の軸方向に直交する方向に突出して形成された、第1凸部及び第2凸部と、を用い、
前記第1凸部及び前記第2凸部が前記スクリーンの網目を介して上側に突出するように、前記補助棒を前記スクリーンの下側に配置し、
前記第1凸部に、一方の前記取付補助具の第1取付部を取り付け、
前記第2凸部に、他方の前記取付補助具の第1取付部を取り付ける、第1手順と、
一方の前記取付補助具の第2取付部、及び、他方の前記取付補助具の第2取付部を、前記被係合部材側に取り付ける第2手順と、
前記第1手順及び前記第2手順により、前記スクリーンが前記
2つの取付補助具を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第3手順と、を含むことを特徴とする、スクリーンの取付方法。
【請求項3】
前記第1取付部は、鉤状のフックであることを特徴とする、請求項2に記載のスクリーンの取付方法。
【請求項4】
網目状の弾性材で作製されたスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記被係合部材の近辺に強磁性体が配置されるか、又は、前記被係合部材自体に強磁性体を含み、
前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付けられる第1取付部、及び、前記被係合部材側に取り付けられる
、磁石である第2取付部を備えた取付補助具の、前記第1取付部を、前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付ける第1手順と、
前記
磁石である第2取付部を
前記強磁性体に磁力により取り付ける第2手順と、
前記第1手順及び前記第2手順により、前記スクリーンが前記取付補助具を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第3手順と、を含むことを特徴とする、スクリーンの取付方法。
【請求項5】
網目状の弾性材で作製されたスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付けられる第1取付部、及び、前記被係合部材側に
螺合により取り付けられる
、螺合可能な固定部材である第2取付部を備えた取付補助具の、前記第1取付部を、前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付ける第1手順と、
前記
螺合可能な固定部材である第2取付部を前記被係合部材側に
螺合により取り付ける第2手順と、
前記第1手順及び前記第2手順により、前記スクリーンが前記取付補助具を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第3手順と、を含むことを特徴とする、スクリーンの取付方法。
【請求項6】
前記係合部材には、前記鉤状のフック
形状をした第1取付部が係合される、係合孔が設けられており、
前記第1手順では、前記取付補助具の、前記鉤状のフック
形状をした第1取付部を、前記係合部材に設けられた前記係合孔に取り付けることを特徴とする、請求項
1に記載のスクリーンの取付方法。
【請求項7】
前記被係合部材には、被係合部材側係合孔が設けられており、
前記第2手順では、
前記被係合部材側係合孔よりも大きいプレートに突出した、前記被係合部材側係合孔を挿通する第3凸部を備えた、金具を、前記第3凸部が前記被係合部材側係合孔を挿通し
て突出するように、前記被係合部
材に配置し、
前記第3凸部に、前記取付補助具の第2取付部を取り付けることを特徴とする、請求項
1に記載のスクリーンの取付方法。
【請求項8】
網目状の弾性材で作製されたスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記係合部材には、第1鉤部材が設けられており、
前記被係合部材には、第2鉤部材が設けられており、
輪状の線条部材からなる取付補助具の、前記線条部材の内周面の一部分を、前記係合部材の前記第1鉤部材に掛けて取り付ける第1手順と、
前記取付補助具の、前記線条部材の内周面の別の一部分を前記被係合部材の前記第2鉤部材に掛けて取り付ける第2手順と、
前記第1手順及び前記第2手順により、前記スクリーンが前記取付補助具を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第3手順と、を含むことを特徴とする、スクリーンの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網目状の弾性部材で作製されたスクリーンの取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉱石、砕石、コークス、化学薬品等の塊状物や粉粒状物などの篩い分け対象物を篩い分けする際、スクリーン(網)が用いられる。従来は、金属製のスクリーンが使用されていたが、近年では、弾性材を用いたスクリーン(ラバースクリーン)が主流となっている。
【0003】
ラバースクリーンは、寿命、騒音問題、耐摩耗性、振動篩い機への取付け易さなどの点で、金属製のスクリーンよりも優れている。ラバースクリーンは、スチールコードや繊維コードなどからなる抗張体を弾性材で覆うことで形成されたロープと、これと同じまたは弾性材のみからなるロープとを、交錯積層(網目状)させて、その交錯部を溶着することで形成されている。スクリーンは、主に振動篩い機(
図1参照)に設置して篩い分けを行う。スクリーンは、スクリーンの端に取り付けられたフックにて、所定の高さ位置に設けられた振動篩い機の支持枠(クランピングバー)に取り付けられる。篩い分け対象物は、スクリーンの一方端からスクリーンの上面に投入されて、スクリーンの他方端に移動しつつ篩い分けられる。
【0004】
振動篩い機においてスクリーンの取り付けは、特許文献1及び特許文献2のように、スクリーンの端に取り付けられたフックを、振動篩い機のクランピングバーとサイドフレームとの間に挟んで取り付ける方法が採られている(特許文献2の
図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実昭61-175280号公報
【文献】特開平7-265796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鉱石、砕石、コークス、化学薬品等の塊状物や粉粒状物などの篩い分けに使用されるスクリーンは、1枚あたりのサイズが幅900~3000mm、長さ600~1200mmと比較的大きなものが使用される。そのため、弾性材を用いたスクリーン(ラバースクリーン)の場合、振動篩い機の設置や補修などにおいて、スクリーンを取り付けたり、取り替えたりする際に、スクリーンのサイズが大きいうえに剛性がないため、スクリーンの端に取り付けられたフックの重量の影響により、スクリーンの端(フックの部分)が、振動篩い機の支持枠(クランピングバー)とスクリーンを所定の高さ位置で支持する支持フレームとの間に、手が届かない位置まで落ち易い。そのため、1人がスクリーンの下でスクリーンの端を持ち上げて支え、もう1人がスクリーン上で、スクリーンの取り付け作業を行わなければならなかった。
【0007】
このため、スクリーンの端が、振動篩い機の支持枠と支持フレームとの間に落ちることなく、1人であっても容易にスクリーンの取り付け作業ができるような、スクリーンの取り付け方法の改善が望まれていた。
【0008】
そこで、本発明は、1人であっても容易にスクリーンの取り付け作業ができる、スクリーンの取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つは、網目状の弾性材で作製されたスクリーンの、少なくとも一方の端部に設けられた係合部材を、所定の高さ位置に設けられた被係合部材に係合することで取り付ける、スクリーンの取付方法であって、
前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付けられる第1取付部、及び、前記被係合部材側に取り付けられる第2取付部を備えた取付補助具の、前記第1取付部を、前記スクリーンの網又は前記係合部材に取り付ける第1手順と、
前記第2取付部を前記被係合部材側に取り付ける第2手順と、
前記第1手順及び前記第2手順により、前記スクリーンが前記取付補助具を介して前記被係合部材側に仮固定された状態で、前記スクリーンの前記係合部材を前記被係合部材に係合する第3手順と、を含むことを特徴としている。
【0010】
比較的大きく、弾性を有するスクリーンに設けられた係合部材を、ある程度高所に設けられた被係合部材に係合する場合、スクリーンの弾性により係合部材が落ち込むことから、従来は、1人がスクリーンの係合部材を下から持ち上げて支え、もう1人がスクリーンの上から係合部材を被係合部材に係合して取り付けなければならず、作業人員が複数必要であった。
上記方法によれば、スクリーンを、取付補助具を介して被係合部材側に仮固定した状態で、スクリーンの係合部材を被係合部材に係合することができる。
これにより、スクリーンの弾性により係合部材が落ち込むのを防止できることから、従来の作業で必要とされた、「1人がスクリーンの係合部材を下から持ち上げて支える作業」を省くことができ、従来の2人以上での作業から1人での作業が可能になる。
また、「1人がスクリーンの係合部材を下から持ち上げて支える作業」を省くことができることから、人がスクリーンの下側に入り込む必要がなくなり、作業の安全性も高めることができる。
【0011】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、
前記取付補助具は、線条部材を有し、
前記第1取付部は、当該線条部材の一方端側に形成又は設けられ、前記第2取付部は、前記線条部材の他方端側に形成又は設けられていることを特徴としている。
【0012】
取付補助具は、線条部材の両端に、それぞれ第1取付部と第2取付部を有することから、取付補助具をスクリーンの網又は係合部材に取り付ける第1手順、及び、第2取付部を被係合部材側に取り付ける第2手順での取り扱い性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、前記第1取付部が、鉤状のフックであることを特徴としている。
【0014】
上記方法によれば、第1取付部が鉤状のフックであることから、網目状のスクリーンへのフックの取り付けが簡単なものになる。
【0015】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、
前記第1手順では、
前記取付補助具を2つと、軸方向に直交する方向に突出した、第1凸部及び第2凸部が形成された補助棒とを用いて、
前記補助棒を、前記第1凸部及び前記第2凸部が前記スクリーンの網目を介して表側に突出するように、前記スクリーンの裏側に配置し、
前記第1凸部に、一方の前記取付補助具の第1取付部を取り付け、
前記第2凸部に、他方の前記取付補助具の第1取付部を取り付け、
前記第2手順では、
一方の前記取付補助具の第2取付部、及び、他方の前記取付補助具の第2取付部を、前記被係合部材側に取り付けることを特徴としている。
【0016】
上記方法によれば、スクリーンを被係合部材側に仮固定する際に、所定幅を有する補助棒がスクリーンの網を下側から支えることから、より安定した状態で仮固定することができる。
【0017】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、
前記被係合部材の近辺に強磁性体が配置されるか、又は、前記被係合部材自体に強磁性体を含み、
前記第2取付部は、磁石であり、
前記第2手順では、
前記磁石を前記強磁性体に磁力により取り付けることを特徴としている。
【0018】
上記方法によれば、第2取付部の被係合部材側への取り付けを磁石により簡単に行うことができる。
【0019】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、
前記第2取付部は、螺合可能な固定部材であり、
前記第2手順では、
前記固定部材を前記被係合部材側に螺合により取り付けることを特徴としている。
【0020】
上記方法によれば、第2取付部の被係合部材側への取り付けを固定部材の螺合により強固に行うことができる。これにより、スクリーンの重量が重いものでも、確実に仮固定することができる。
【0021】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、
前記係合部材には、前記鉤状のフックが係合される、係合孔が設けられており、
前記第1手順では、前記取付補助具の、前記鉤状のフックを、前記係合部材に設けられた前記係合孔に取り付けることを特徴としている。
【0022】
上記方法によれば、取付補助具の鉤状のフックを、係合部材に設けられた係合孔に直接取り付けることができる。これにより、第3手順において、係合部材を被係合部材に係合する際に、取付補助具を手繰り寄せることにより、直接、係合部材を手元に、素早く手繰り寄せることができる。
【0023】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、
前記被係合部材には、被係合部材側係合孔が設けられており、
前記第2手順では、
前記被係合部材側係合孔よりも大きいプレートに突出した、前記被係合部材側係合孔を挿通する第3凸部を備えた、金具を、前記第3凸部が前記被係合部材側係合孔を挿通して表側に突出するように、前記被係合部材の裏側に配置し、
前記第3凸部に、前記取付補助具の第2取付部を取り付けることを特徴としている。
【0024】
上記方法によれば、被係合部材に取付補助具の第2取付部を確実に取り付けることができる。
【0025】
また、本発明は、上記スクリーンの取付方法において、
前記取付補助具は、輪状の線条部材であり、
前記第1取付部は、前記輪状の線条部材の内周面の一部分であり、前記第2取付部は、前記輪状の線条部材の内周面の一部分であり、
前記係合部材には、第1鉤部材が設けられており、
前記被係合部材には、第2鉤部材が設けられており、
前記第1手順では、前記輪状の線条部材の内周面の一部分である、前記第1取付部を、前記第1鉤部材に掛けて取り付け、
前記第2手順では、前記輪状の線条部材の内周面の一部分である、前記第2取付部を、前記第2鉤部材に掛けて取り付けることを特徴としている。
【0026】
上記方法によれば、取付補助具が、輪状の線条部材であることから、例えば、一本のロープの両端を結ぶことにより用意することができるなど、道具の簡素化、作業の簡易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
1人であっても容易にスクリーンの取り付け作業ができる、スクリーンの取り付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】従来の振動篩機へのスクリーンの取付方法で生じる問題の説明図である。
【
図3】第1実施形態に係る取付補助具の説明図である。
【
図4】第1実施形態において、スクリーンに取付補助具を取り付けた概要図である。
【
図5】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図6】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図7】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図8】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図9】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図10】第1実施形態におけるスクリーンの取付方法の手順を示す説明図である。
【
図11】(a)第2実施形態に係る取付補助具の固定治具の斜視図である。(b)第2実施形態における取付補助具の固定治具の側面図である。(c)第2実施形態に係る取付補助具の固定治具の正面図である。(d)第2実施形態に係る取付補助具の固定治具で使用するボルトネジの正面図である。
【
図12】(a)第2実施形態における取付補助具の固定治具の第1壁部に対する取付例の1つを説明する説明図である。(b)第2実施形態における取付補助具の固定治具の第1壁部に対する取付例の1つを説明する説明図である。
【
図13】第3実施形態に係る細目網目用取付補助具の説明図である。
【
図14】第3実施形態において、スクリーンに細目網目用取付補助具を取り付けた概要図である。
【
図15】その他の実施形態にかかる、スクリーンの取付方法の説明図である。
【
図16】(a)第4実施形態に係る取付補助具、(b)第5実施形態に係る連結取付補助具の説明図である。
【
図17】第4実施形態におけるスクリーンの取付方法を示す説明図である。
【
図18】線条部材に巻取機構を備えた取付補助具の説明図である。
【
図19】第6実施形態におけるスクリーンの取付方法を示す説明図である。
【
図20】第7実施形態におけるスクリーンの取付方法を示す説明図である。
【
図21】第7実施形態におけるスクリーンの取付方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
まず、スクリーン10が取り付けられた、振動篩機1について説明する。振動篩機1は、スクリーン10上に、鉱石、砕石、コークス、化学薬品等の塊状物や粉粒状物などの篩い分け対象物を投入し、スクリーン10を振動させることにより、投入された篩い分け対象物をスクリーン10の網目の大小で篩い分けする電動装置である(
図1参照)。
【0030】
(振動篩機1)
振動篩機1は、
図10に示すように、第1壁部2の所定の高さ位置に設けられた第1被係合部材4と、第2壁部3の所定の高さ位置に設けられた第2被係合部材5と、第1壁部2に平行な複数の支持フレーム6と、両端に第1被係合部材4に係合された第1係合部材7及び第2被係合部材5に係合された第2係合部材8を有する網目状の網部材9で構成されたスクリーン10とを有し、更に、スクリーン10を振動させる電動振動機(図示せず)を備えている。
【0031】
第1壁部2と第2壁部3とは互いに対向した状態で配置されており、その組成物としては強磁性体(鉄、ニッケルなど)を含んでいる。
【0032】
第1被係合部材4は、第1壁部2に平行して設けられたサイドプレート41と、支持フレーム6と同じ高さ位置でサイドプレート41から第2壁部3側に水平に突き出たサポートフレーム42と、サイドプレート41の上部に配置され、第1係合部材7と係合する断面視コの字形状のクランピングバー43と、サイドプレート41に設けられた螺子穴及びクランピングバー43に設けられた螺子穴に螺合される螺子44と、螺子44に螺合されるナット45とを備えている。そして、スクリーン10の第1係合部材7とクランピングバー43とが係合され、第1係合部材7がクランピングバー43とサポートフレーム42との間で挟まれた状態で、ナット45で螺子44を締めることで、クランピングバー43がサイドプレート41側に移行する。これにより、第1係合部材7と第1被係合部材4とが係合されたうえで強固に固定される。
【0033】
第2被係合部材5は、第2壁部3に平行して設けられたサイドプレート51と、支持フレーム6と同じ高さ位置でサイドプレート51から第1壁部2側に水平に突き出たサポートフレーム52と、サイドプレート51の上部に配置され、第2係合部材8と係合する断面視逆コの字形状のクランピングバー53と、サイドプレート51に設けられた螺子穴及びクランピングバー53に設けられた螺子穴に螺合される螺子54と、螺子54に螺合されるナット55とを備えている。そして、スクリーン10の第2係合部材8とクランピングバー53とが係合され、第2係合部材8がクランピングバー53とサポートフレーム52との間で挟まれた状態で、ナット55で螺子54を締めることで、クランピングバー53がサイドプレート51側に移行する。これにより、第2係合部材8と第2被係合部材5とが係合されたうえで強固に固定される。
【0034】
支持フレーム6は、第1壁部2と第2壁部3との間に、第1壁部2に平行に所定間隔で複数設けられている。支持フレーム6は、スクリーン10を下側から支える役割を果たす。
【0035】
スクリーン10は、
図4に示すように、所定間隔で平行に配置された複数の横ロープ91と、所定間隔で平行に配置された複数の縦ロープ92とを直交させて、直交させた交差部分を溶着させて網目状に形成した網部材9を備えている。
【0036】
横ロープ91及び縦ロープ92は、抗張体及び抗張体を覆う弾性材によって構成されている。抗張体は、屈曲性を有するコードである。抗張体は、例えば、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリエステル繊維、ガラス繊維等からなる繊維コード、または、スチールコードが用いられる。繊維コードは、撚糸であってもよい。スクリーン10を振動篩機1に取り付けた場合、横ロープ91には大きなテンションがかかるため、横ロープ91の抗張体としては、芳香族ポリアミドの繊維コードまたはスチールコードを用いることが好ましい。一方、縦ロープ92は、横ロープ91ほどの引張強度は必要ないことから、縦ロープ92の抗張体は、上述のどの繊維コードであってもよく、スチールコードであってもよい。
【0037】
横ロープ91及び縦ロープ92に使用する弾性材は、主成分として。熱可塑性ポリウレタンを含む。熱可塑性ポリウレタンは、耐摩耗性に優れている。なお、弾性材の主成分は、ゴムであってもよい。横ロープ91の弾性材の材質は、縦ロープ92の弾性材の材質と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0038】
また、スクリーン10は、
図4及び
図10に示すように、網部材9の横ロープ91の方向の両端に第1係合部材7及び第2係合部材8が取り付けられている。第1係合部材7及び第2係合部材8は、断面視フック形状をしており、網部材9の縦ロープ92の方向に延伸した形状をしている。この第1係合部材7及び第2係合部材8は、第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合されることから剛性が求められ、その素材としては鉄などが使用される。
【0039】
(取付補助具30)
次に、スクリーン10の、第1係合部材7及び第2係合部材8を、第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合して取り付ける際に使用する取付補助具30について説明する。
【0040】
取付補助具30は、
図3に示すように、ワイヤー31(線条部材)と、ワイヤー31の一方端側に取り付けられた補助フック32(第1取付部)と、ワイヤー31の他方端側に取り付けられた磁石33(第2取付部)とを有している。
【0041】
ワイヤー31は、本実施形態では、針金をより合せて作成したワイヤーロープ(径がφ3~8mmのスチールコード)であるが、特に限定されず、繊維製のロープを使用してもよい。また、ワイヤー31の長さは、特に限定されないが、コンパクト性を考慮すると500~2500mmのものが使用される。
【0042】
補助フック32は、鉤状のフックであり、本実施形態では、バネ付きの外れ止め金具321(バネ付きFKフック)が取り付けられている。補助フック32は、ワイヤー31の一方端側にワイヤーカシメ金具322により圧着固定されている。また、補助フック32の材質としては、鉄、クロムモリブテン鋼、ステンレスが好適である。このように、補助フック32が鉤状のフックであることから、網目状のスクリーン10への補助フック32の取り付けが簡単なものになる。
【0043】
磁石33は、円盤形状のフェライト磁石であり、その片面にフック331がついている。磁石33のフック331にワイヤー31の他方端側がワイヤーカシメ金具332により圧着固定されている。このように、磁石33を使用すれば、取付補助具30の第1壁部2や第2壁部3への取り付けを磁石により簡単に行うことができる。なお、磁石33としては、ON・OFFの切り替えができる電磁石を使用してもよい。また、磁石33の形状としては、特に限定はなく、四角形状、三角形状、半球形状、円柱形状でもよい。
【0044】
(スクリーン10の取り付け方法)
次に、スクリーン10の振動篩機1への取付方法について説明する。
【0045】
(1)まず、
図5に示すように、作業者が支持フレーム6の上に乗って、ロール状に巻かれたスクリーン10を、支持フレーム6上に載せる。このとき、スクリーン10の第1係合部材7が第1被係合部材4の近くに配置されるように、スクリーン10を支持フレーム6上に載せる。
【0046】
(2)次に、
図6に示すように、作業者は、ロール状に巻かれたスクリーン10の半分程度が広がるように、複数の支持フレーム6上でスクリーン10を広げる。そして、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側の端部の網目に、取付補助具30の補助フック32を取り付ける。本実施形態では、
図4に示すように、4つの取付補助具30を使用し、各取付補助具30の補助フック32を、網部材9の第1係合部材7側の端部の網目に、縦ロープ92の方向に所定間隔を置いて取り付ける。
【0047】
(3)次に、
図6に示すように、作業者は、スクリーン10に補助フック32が取り付けられた、4つの取付補助具30の各磁石33を、磁力により第1壁部2の裏側に取り付ける。これにより、4つの取付補助具30によって、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側の端部と、第1壁部2とが、連結されて、スクリーン10が第1壁部2に仮固定される。
【0048】
(4)次に、
図7に示すように、作業者は、ロール状に巻かれたスクリーン10を全て広げる。そして、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部の網目に、取付補助具30の補助フック32を取り付ける。本実施形態では、
図4に示すように、4つの取付補助具30を使用し、各取付補助具30の補助フック32を、網部材9の網目に、縦ロープ92の方向に所定間隔を置いて取り付ける。
【0049】
(5)次に、
図7に示すように、作業者は、スクリーン10に補助フック32が取り付けられた、4つの取付補助具30の各磁石33を、磁力により第2壁部3の裏側に取り付ける。これにより、4つの取付補助具30によって、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部と、第2壁部3とが、連結されて、スクリーン10が第2壁部3に仮固定される。
【0050】
(6)次に、
図8に示すように、作業者は、螺子44を外して、第1被係合部材4のクランピングバー43をサイドプレート41から取り外し、スクリーン10の第1係合部材7をサポートフレーム42の上に載せ、
図9に示すように、クランピングバー43をサイドプレート41に取り付け、第1係合部材7がクランピングバー43とサポートフレーム42との間に挟まれた状態となることで、第1係合部材7が第1被係合部材4に係合され、さらに、螺子44でナット45を締めることにより、第1係合部材7が第1被係合部材4に係合された上で強固に固定される。
【0051】
(7)同様に、
図8に示すように、作業者は、螺子54を外して、第2被係合部材5のクランピングバー53をサイドプレート51から取り外し、スクリーン10の第2係合部材8をサポートフレーム52の上に載せ、
図9に示すように、クランピングバー53をサイドプレート51に取り付け、第2係合部材8がクランピングバー53とサポートフレーム52との間に挟まれた状態となることで、第2係合部材8が第2被係合部材5に係合され、さらに、螺子54でナット55を締めることにより、第2係合部材8が第2被係合部材5に係合された上で強固に固定される。なお、第1被係合部材4の螺子44、及び、第2被係合部材5の螺子54の締め付け具合により、スクリーン10のテンション強度が微調整される。
【0052】
(8)最後に、作業者は、スクリーン10から各取付補助具30の補助フック32を外し、第1壁部2及び第2壁部3から各取付補助具30の磁石33を外して、全ての取付補助具30を回収する(
図10参照)。
【0053】
図2に示すように、比較的大きく、弾性を有するスクリーン10に設けられた第1係合部材7及び第2係合部材8を、所定の高さ位置に設けられた第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合する場合、スクリーン10の弾性により第1係合部材7及び第2係合部材8が地面側に落ち込むことから、従来は、1人がスクリーン10の第1係合部材7及び第2係合部材8を下から持ち上げて支え、もう1人がスクリーン10の上から第1係合部材7及び第2係合部材8を第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合して取り付けなければならず、作業人員が複数必要であった。
【0054】
上記スクリーン10の取付方法によれば、スクリーン10を、複数の取付補助具30を介して、第1被係合部材4側に配置された第1壁部2と第2被係合部材5側に配置された第2壁部3との間に仮固定した状態で、スクリーン10の第1係合部材7及び第2係合部材8を、第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合することができる。
【0055】
これにより、スクリーン10の弾性により第1係合部材7及び第2係合部材8が落ち込むのを防止できることから、従来の作業で必要とされた、「1人がスクリーン10の第1係合部材7及び第2係合部材8を下から持ち上げて支える作業」を省くことができ、従来の2人以上での作業から1人での作業が可能になる。
【0056】
また、「1人がスクリーン10の第1係合部材7及び第2係合部材8を下から持ち上げて支える作業」を省くことができることから、人がスクリーン10の下側に入り込む必要がなくなり、作業の安全性も高めることができる。
【0057】
<第2実施形態>
上記第1実施形態の取付補助具30では、ワイヤー31の他方端側に磁石33を取り付けているが、
図11に示すような固定治具133(固定部材)を取り付けてもよい。第2実施形態では、固定治具133を取り付けた取付補助具130を用いたスクリーン10の取付方法について説明する。
【0058】
(取付補助具130)
取付補助具130は、ワイヤー31(線条部材)と、ワイヤー31の一方端側に取り付けられた補助フック32と、ワイヤー31の他方端側に取り付けられた固定治具133とを有している。なお、ワイヤー31及び補助フック32は、第1実施形態と同様である。
【0059】
固定治具133は、
図11に示すように、長方体で断面がコの字型になるようにくり抜かれた形状をしている。この断面がコの字型にくり抜かれた空間134の幅Wの大きさは、第1壁部2及び第2壁部3の厚みTより大きい。また、固定治具133の表面135には、螺子穴135Aが設けられており、この螺子穴135Aにワッシャー136を介してボルトネジ137が螺合される。また、固定治具133の上面138には、ワイヤー31が取り付けられる通し穴139が溶着されている。また、固定治具133の素材としては、鉄、ステンレス等の金属が使用される。
【0060】
取付補助具130の取付方法としては、上記第1実施形態のスクリーン10の取り付け方法の(3)の項目において、
図12(A)に示すように、作業者は、4つの取付補助具30の固定治具133の断面がコの字型にくり抜かれた空間134部分を、第1壁部2の上端部に被せて、ボルトネジ137を締めることにより、取付補助具130の固定治具133を第1壁部2に取り付ける。同様に、(5)の項目において、作業者は、4つの取付補助具130の固定治具133の断面がコの字型にくり抜かれた空間134部分を、第2壁部3の上端部に被せて、ボルトネジ137を締めることにより、取付補助具130の固定治具133を第2壁部3に取り付ける。取付補助具130を使用したスクリーン10のその他の取付方法は第1実施形態と同様である。
【0061】
なお、
図12(B)に示すように、第1壁部2において、上端部が外側(水平方向)に突き出た形状である場合でも、取付補助具30の空間134部分を、第2壁部3の上端部に被せて、ボルトネジ137を締めることにより、取付補助具130の固定治具133を第2壁部3に取り付けることができる。
【0062】
上記スクリーン10の取付方法によれば、取付補助具130の第1壁部2や第2壁部3への取り付けを固定治具133の螺合により強固に行うことができる。これにより、スクリーン10の重量が重いものでも、確実に仮固定することができる。
【0063】
<第3実施形態>
上記第1実施形態の取付補助具30や第2実施形態の取付補助具130では、ワイヤー31の一方端側に補助フック32が取り付けられた構成で説明した。しかし、スクリーン10の網部材9の網目の大きさが小さい場合(網目の幅10mmなど)、補助フック32が大き過ぎて、網部材9の網目に取り付けることができない場合がある。
【0064】
そこで、第3実施形態では、スクリーン10の網部材9の網目の大きさが小さい場合でも使用可能な細目網目用取付補助具201を用いたスクリーン10の取付方法について説明する。
【0065】
(細目網目用取付補助具201)
細目網目用取付補助具201は、
図13に示すように、両端に第1凸部251及び第2凸部252が形成された補助棒250と、ワイヤー231及びワイヤー231の一方端側に取り付けられた磁石233からなる第1取付補助具230と、ワイヤー241及びワイヤー241の一方端側に取り付けられた磁石243からなる第2取付補助具240と、を備えている。
【0066】
補助棒250に形成された第1凸部251及び第2凸部252は、補助棒250の軸方向に直交する方向に突出している。そして、第1凸部251には、ナットキャップ253が螺合される螺子溝251Aが形成されている。同様に、第2凸部252には、ナットキャップ254が螺合される螺子溝252Aが形成されている。補助棒250の材質としては鉄、ステンレス等の金属(径:1.5~3mm、長さ:150~500mm)が使用される。補助棒250の、径は1.5~3mm、軸方向の長さが150~500mm、第1凸部251及び第2凸部252の突出長さは15~50mmが想定される。
【0067】
第1取付補助具230のワイヤー231の他方端(第1取付部)は、第1凸部251に回しかけられ、カシメ金具232により圧着固定可能にされている。同様に、第2取付補助具240のワイヤー241の他方端(第1取付部)は、第2凸部252に回しかけられ、カシメ金具242により圧着固定可能にされている。なお、ワイヤー231・ワイヤー241や磁石233・磁石243は、第1実施形態に記載したものと同様である。
【0068】
(スクリーン10の取り付け方法)
細目網目用取付補助具201を使用したスクリーン10の取付方法を説明する。
(1)まず、作業者が支持フレーム6の上に乗って、ロール状に巻かれたスクリーン10を、支持フレーム6上に載せる。
【0069】
(2)次に、作業者は、ロール状に巻かれたスクリーン10の半分程度が広がるように、複数の支持フレーム6上でスクリーン10を広げる。そして、
図14に示すように、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側の端部の網目の裏側(下側)に、補助棒250をあてがい、第1凸部251及び第2凸部252を、網部材9の網目を介して、網部材9の表側(上側)に通す。そして、網部材9の表側に出た、第1凸部251に対して、第1取付補助具230のワイヤー231の他方端を回しかけ、カシメ金具232により圧着固定する。そして、第1凸部251の螺子溝251Aにナットキャップ253を螺合する。同様に、網部材9の表側に出た、第2凸部252に対して、第2取付補助具240のワイヤー241の他方端を回しかけ、カシメ金具242により圧着固定する。そして、第2凸部252の螺子溝252Aにナットキャップ254を螺合する。このようにして、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側の端部の網目に、細目網目用取付補助具201を取り付ける。本実施形態では、
図14に示すように、2つの細目網目用取付補助具201を、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側の端部の網目に取り付ける。
【0070】
(3)次に、作業者は、細目網目用取付補助具201の、第1取付補助具230の磁石233及び第2取付補助具240の磁石243を、磁力により第1壁部2の裏側に取り付ける。これにより、2つの細目網目用取付補助具201によって、スクリーン10の網部材9の第1係合部材7側の端部と、第1壁部2とが、連結されて、スクリーン10が第1壁部2に仮固定される。
【0071】
(4)次に、作業者は、ロール状に巻かれたスクリーン10を全て広げる。そして、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部の網目に、(2)の項目の手順と同様にして、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部の網目に、細目網目用取付補助具201を取り付ける。本実施形態では、
図14に示すように、2つの細目網目用取付補助具201を、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部の網目に取り付ける。
【0072】
(5)次に、作業者は、細目網目用取付補助具201の、第1取付補助具230の磁石233及び第2取付補助具240の磁石243を、磁力により第2壁部3の裏側に取り付ける。これにより、2つの細目網目用取付補助具201によって、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部と、第2壁部3とが、連結されて、スクリーン10が第2壁部3に仮固定される。
【0073】
(6)次に、作業者は、螺子44を外して、第1被係合部材4のクランピングバー43をサイドプレート41から取り外し、スクリーン10の第1係合部材7をサポートフレーム42の上に載せ、クランピングバー43をサイドプレート41に取り付け、第1係合部材7がクランピングバー43とサポートフレーム42との間に挟まれた状態となることで、第1係合部材7が第1被係合部材4に係合され、さらに、螺子44でナット45を締めることにより、第1係合部材7が第1被係合部材4に係合された上で強固に固定される。
【0074】
(7)同様に、
図8に示すように、作業者は、螺子54を外して、第2被係合部材5のクランピングバー53をサイドプレート51から取り外し、スクリーン10の第2係合部材8をサポートフレーム52の上に載せ、
図9に示すように、クランピングバー53をサイドプレート51に取り付け、第2係合部材8がクランピングバー53とサポートフレーム52との間に挟まれた状態となることで、第2係合部材8が第2被係合部材5に係合され、さらに、螺子54でナット55を締めることにより、第2係合部材8が第2被係合部材5に係合された上で強固に固定される。なお、第1被係合部材4の螺子44、及び、第2被係合部材5の螺子54の締め付け具合により、スクリーン10のテンション強度が微調整される。
【0075】
(8)最後に、作業者は、スクリーン10に細目網目用取付補助具201を取り付けた逆の手順により、スクリーン10から細目網目用取付補助具201を外し、第1壁部2及び第2壁部3から各細目網目用取付補助具201の磁石233・磁石243を外して、全ての細目網目用取付補助具201を回収する。
【0076】
上記スクリーン10の取付方法によれば、スクリーン10を、第1壁部2及び第2壁部3に仮固定する際に、所定幅を有する補助棒250がスクリーン10の、比較的網目が小さい網部材9を下側から支えることから、より安定した状態で仮固定することができる。
【0077】
<第4実施形態>
上記第1実施形態の取付補助具30では、ワイヤー31の他方端側に磁石33が取り付けられた構成で説明した。しかし、スクリーン10が比較的重く、磁石33の磁力だけでは、第1壁部2に十分に仮固定できない場合がある。
【0078】
そこで、第4実施形態では、スクリーン10が比較的重い場合でも使用可能な、金具Aを使用した取付補助具330を用いたスクリーン10の取付方法について説明する。
【0079】
(取付補助具330)
取付補助具330は、
図16(a)に示すように、ワイヤー331と、ワイヤー331の一方端側に取り付けられた補助フック335と、ワイヤー331の他方端側に取り付けられた金具Aとを有している。
【0080】
金具Aは、第1壁部2に形成された、円形状をした係合孔29の直径(被係合部材側係合孔に相当)(
図17参照)よりも大きい形状をしたプレート351と、プレート351に形成され、係合孔29を挿通可能な凸部352(第3凸部)と、凸部352に形成された螺子溝に螺合するナットキャップ353とを有している。なお、ワイヤー331の他方端は、凸部352に挿通可能になるように輪状に形成されている。
【0081】
(スクリーン10の取り付け方法)
取付補助具330を使用したスクリーン10の取付方法を説明する。なお、第1実施形態等と同じ手順については省略し、取付補助具330の金具Aを第1壁部2に取り付ける手順について詳細する。
【0082】
作業者は、
図17に示すように、プレート351に形成された凸部352を、第1壁部2に形成された係合孔29に挿通させる。そして、係合孔29から突出した凸部352に、ワイヤー331を輪状に形成した他方端を挿通させた上で、ナットキャップ353を凸部352に形成された螺子溝に螺合する。これにより、取付補助具330の補助フック335によって取り付けられたスクリーン10と、第1壁部2とが、連結されて、スクリーン10が第1壁部2に仮固定される。同様に、第2壁部3においても、取付補助具330を使用して、スクリーン10と、第2壁部3とが、連結されて、スクリーン10が第2壁部3に仮固定される。
【0083】
なお、係合孔29は、第1被係合部材4のサイドプレート41に形成されていてもよい。
【0084】
<第5実施形態>
第5実施形態では、スクリーン10が比較的重い場合でも使用可能な、補助棒450を使用した連結取付補助具401を用いたスクリーン10の取付方法について説明する。
【0085】
(連結取付補助具401)
連結取付補助具401は、
図16(b)に示すように、両端に第1凸部451及び第2凸部452が形成された補助棒450と、ワイヤー431及びワイヤー431の一方端側に取り付けられた補助フック432からなる第1取付補助具430と、ワイヤー441及びワイヤー441の一方端側に取り付けられた補助フック442からなる第2取付補助具440と、を備えている。
【0086】
補助棒450に形成された第1凸部451及び第2凸部452は、補助棒450の軸方向に直交する方向に突出している。そして、第1凸部451には、ナットキャップ453が螺合される螺子溝が形成されている。同様に、第2凸部452には、ナットキャップ454が螺合される螺子溝が形成されている。また、第1凸部451及び第2凸部452は、第1壁部2に形成された、円形状をした2つの係合孔29に挿通可能な大きさである。また、ワイヤー431(ワイヤー441)の他方端は、第1凸部451(第2凸部452)に挿通可能になるように輪状に形成されている。
【0087】
(スクリーン10の取り付け方法)
連結取付補助具401を使用したスクリーン10の取付方法を説明する。なお、第1実施形態等と同じ手順については省略し、連結取付補助具401を第1壁部2に取り付ける手順について詳細する。
【0088】
作業者は、補助棒450の第1凸部451及び第2凸部452を、第1壁部2に形成された2つの係合孔29に挿通させる。そして、2つの係合孔29から突出した第1凸部451と第2凸部452に、ワイヤー431を輪状に形成した他方端とワイヤー441を輪状に形成した他方端とを挿通させた上で、ナットキャップ453とナットキャップ454とを、第1凸部451に形成された螺子溝と第2凸部452に形成された螺子溝とに螺合する。これにより、連結取付補助具401の、第1取付補助具430の補助フック432及び第2取付補助具440の補助フック443によって取り付けられたスクリーン10と、第1壁部2とが、連結されて、スクリーン10が第1壁部2に仮固定される。同様に、第2壁部3においても、連結取付補助具401を使用して、スクリーン10と、第2壁部3とが、連結されて、スクリーン10が第2壁部3に仮固定される。
【0089】
なお、2つの係合孔29は、第1被係合部材4のサイドプレート41に形成されていてもよい。
【0090】
<第6実施形態>
次に、
図19に示すように、振動篩機1が、スクリーン10の下方に作業用の床がなく、且つ、スクリーン10下方の地面部が数十メートル程掘り下げられている場所に設置されている状態で、スクリーン10の取付作業を行なう場合について説明する。
【0091】
このような場合、まず、
図19に示すように、振動篩機1の両外側の地面部に、脚立などの支持台81・82を置き、両支持台81・82の上に棒83をわたらせ、この棒83に仮設足場専用の墜落防止具である取元クランプ84・85を固定し、取元クランプ84・85と作業者の腰部を案全帯で繋いで、スクリーン10の取付作業を行う。
【0092】
その際、ワイヤー531の他方端側に、ワイヤー531の一方端側に取り付けた補助フック532と同様の補助フック533を取り付けた取付補助具530を使用して、補助フック532をスクリーン10の第1係合部材7側に取り付け、補助フック533を取元クランプ84に取り付けることで、スクリーン10の第1係合部材7側を、第1被係合部材4側に仮固定することができる。同様に、取付補助具530を使用して、補助フック532をスクリーン10側の第2係合部材8側に取り付け、補助フック533を取元クランプ85に取り付けることで、スクリーン10の第2係合部材8側を、第2被係合部材5側に仮固定することができる。
【0093】
<第7実施形態>
上記実施形態では、振動篩機1のスクリーン10が1つである場合について説明したが、
図20に示すように、スクリーン10及びスクリーン610が上下2段備わっている振動篩機601において、下段のスクリーン610の一方端に設けられた第1係合部材607を所定の高さ位置に設けられた第1被係合部材604に係合し、下段のスクリーン610の他方端に設けられた第2係合部材608を所定の高さ位置に設けられた第2被係合部材605に係合することで取り付ける、下段のスクリーン610の取付方法を説明する。
【0094】
下段のスクリーン610を、上段のスクリーン10よりも先に取り付ける場合は、第1実施形態で説明したスクリーンの取付方法を繰り返すことで取り付ける。即ち、先に、取付補助具30を使用して、スクリーン610を第1被係合部材604及び第2被係合部材605に係合する。その後、同様に、取付補助具30を使用して、スクリーン10を第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合する。
【0095】
一方、上段のスクリーン10を取り付けた後に、下段のスクリーン610を取付ける場合は、第1実施形態で説明したスクリーンの取付方法により、まず、取付補助具30を使用して、スクリーン10を第1被係合部材4及び第2被係合部材5に係合する。その後、
図20に示すように、取付補助具30の補助フック32を、スクリーン610の網部材609の第1係合部材607側の端部の網目に、取り付ける。そして、取付補助具30のワイヤー31の他方端に取り付けられた磁石33を、上段のスクリーン10の網部材9の網目を通して、第1壁部2の裏側(
図20参照)又は上段のスクリーン10の支持フレーム6(
図21参照)に取り付ける。これにより、取付補助具30によって、スクリーン610の網部材609の第1係合部材7側の端部と、第1壁部2又は支持フレーム6とが、連結されて、スクリーン610が第2壁部3又は支持フレーム6に仮固定する。同様に、取付補助具30によって、スクリーン10の網部材9の第2係合部材8側の端部と、第2壁部3又は支持フレーム6とが、連結されて、スクリーン610が第2壁部3又は支持フレーム6に仮固定される。その後、第1実施形態で説明したスクリーンの取付方法と同様に、スクリーン610の第1係合部材607及び第2係合部材608を第1被係合部材604及び第2被係合部材605に係合する。
【0096】
(その他の実施形態)
(1)上記第1実施形態などでは、スクリーン10の網部材9の網目に、取付補助具30の補助フック32を取り付けているが、補助フック32は、スクリーン10の第1係合部材7(第2係合部材8)に直接取り付けてもよい。
【0097】
例えば、
図15(a)に示すように、第1係合部材7に、閉輪状のアイボルト71(係合孔に相当)を取り付けて、このアイボルト71に取付補助具30の補助フック32を取り付けてもよい。なお、アイボルト71の第1係合部材7への取付場所、個数は、スクリーン10の大きさ等により任意に設定できる。
【0098】
また、
図15(b)に示すように、第1係合部材7に、孔72(係合孔に相当)を形成(一体化)し、この孔72に取付補助具30の補助フック32を取り付けてもよい。なお、孔72の第1係合部材7への形成場所、個数は、スクリーン10の大きさ等により任意に設定できる。
【0099】
(2)上記実施形態では、線条部材として、ワイヤーを例示して説明したが、鉄やステンレス製のチェーン(鎖)や、化学繊維製や天然繊維製のロープ(縄)や、繊維製のベルトスリングを採用してもよい。
【0100】
(3)取付補助具は、ワイヤーなどの線条部材を輪状にしたものでもよい。この場合、輪状のワイヤーの内周面の一部分が第1取付部及び第2取付部に相当する。また、振動篩機1において、第1係合部材7(第2係合部材8)には、フック(第1鉤部材)を設けられており、第1壁部2(第2壁部3)又は第1被係合部材4(第2被係合部材5)にも、フック(第2鉤部材)が設けられている。そして、輪状のワイヤーの内周面の一部分を、第1係合部材7(第2係合部材8)に設けられたフックに掛けて取り付け、輪状のワイヤーの内周面の別の一部分を、第1壁部2(第2壁部3)又は第1被係合部材4(第2被係合部材5)に設けられたフックに掛けて取り付けて使用する。ここで、輪状の線条部材(ワイヤー、ロープ等)は、エンドレスで形成されたものでもよいし、一本の線条部材(ワイヤー、ロープ等)の両端を公知の結び方により結んで輪状にしてもよい。また、一本の線条部材(ワイヤー、ロープ等)の両端に閉輪を形成したものでもよい(ベルトスリングや、ロープの両端をなわ結びしたものなど)。
【0101】
(4)取付補助具としての線条部材(ロープ、ワイヤーなど)が、一本の線状であれば、その一方端を、第1係合部材7(第2係合部材8)に取付けたアイボルト(またはフック、または係合部材に設けた係合孔)に結び付け、線状部材の他方端を、第1壁部2(第2壁部3)又は第1被係合部材4(第2被係合部材5)に取付けたアイボルト(またはフック、または被係合部材に設けた係合孔)に結び付けることによって、スクリーンを仮固定してもよい。なお、結び方は、公知の方法であればよい。
【0102】
(5)上記第1実施形態では、取付補助具30の磁石33を、磁力により強磁性体(鉄、ニッケルなど)を含む、第1壁部2の裏側や第2壁部3の裏側に取り付けていたが、第1被係合部材4及び第2被係合部材5が強磁性体を含む構成であれば、取付補助具30の磁石33を、磁力により第1被係合部材4や第2被係合部材5に取り付けてもよい。この場合、ワイヤー31は、第1実施形態で使用するものよりも比較的短くてもよい。
【0103】
(6)上記第1実施形態のスクリーン10の取付方法の説明では、取付補助具30の補助フック32を、網部材9の網目に取り付けた後、取付補助具30の磁石33を、磁力により第1壁部2の裏側や第2壁部3の裏側に取り付ける手順について説明したが、この手順は逆になってもよい。即ち、取付補助具30の磁石33を、磁力により第1壁部2の裏側や第2壁部3の裏側に取り付けた後、取付補助具30の補助フック32を、網部材9の網目に取り付けてもよい。
【0104】
(7)取付補助具30には、
図18に示すように、ワイヤー31(チェーン、ロープ、ベルトスリング等の線条部材)を手動又は電動により巻取り可能な、巻取機構35が備わっていてもよい。これにより、ワイヤー31に相当する部分の長さを調節したり、張力を与えたりすることが可能になる。また、巻取機構35を使用すれば、重量の大きなスクリーン10の第1係合部材7を所定の高さ位置に設けられた第1被係合部材4に容易に位置合せすることが可能になるために、取付作業の作業性が向上する。
【符号の説明】
【0105】
1 振動篩機
2 第1壁部
3 第2壁部
4 第1被係合部材
5 第2被係合部材
6 支持フレーム
7 第1係合部材
8 第2係合部材
9 網部材
10 スクリーン
30 取付補助具
31 ワイヤー
32 補助フック
33 磁石