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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置及び旋回流発生部材
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20221004BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20221004BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20221004BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20221004BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/08 B ZAB
B01D53/90
B01D53/94 400
B01D53/86 222
B01D53/86 245
B01D53/86 280
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019239610
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107703
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大嵜 辰俊
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0216442(US,A1)
【文献】特開2018-115586(JP,A)
【文献】特開2019-124201(JP,A)
【文献】特開2014-231803(JP,A)
【文献】特開2012-122469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0144812(US,A1)
【文献】国際公開第2019/147989(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0260888(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013223033(DE,A1)
【文献】特開2018-123788(JP,A)
【文献】特表2018-509555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/08
B01D 53/90
B01D 53/94
B01D 53/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガス浄化装置であって、
排気ガス中の環境汚染物質を改質又は捕集するように構成された排気ガス浄化部と、
前記排気ガスの流れ方向において前記排気ガス浄化部の下流側に設けられ、前記排気ガスを還元剤の存在下で還元するように構成された還元部と、
前記排気ガスの流れ方向において前記還元部よりも上流側で前記排気ガスに前記還元剤を供給するように構成された還元剤供給部と、
前記排気ガス浄化部の排出口と前記還元部の導入口とを連通する排気ガス管路と、
前記排気ガス管路内に設置される旋回流発生部材と、
を備え、
前記旋回流発生部材は、
前記排気ガス管路の中心軸方向における流れの一部を遮蔽するように構成された第1遮蔽部と、
前記第1遮蔽部の下流側に配置される第2遮蔽部と、
を有し、
前記第2遮蔽部は、
前記排気ガス管路の径方向中心に設けられた開口を有すると共に、前記開口の径方向外側における前記中心軸方向の流れを遮蔽するように構成された環状部と、
前記環状部から前記第1遮蔽部まで延伸すると共に、前記環状部の前記開口の周方向における一部を囲う側壁部と、
を有し、
前記第1遮蔽部は、
前記中心軸方向から視て前記環状部の前記開口と重なると共に、前記排気ガス管路の内周面とは離間した中央部と、
前記中央部から前記排気ガス管路の内周面まで延伸する周縁部と、
前記周縁部に設けられた複数の貫通孔と、
前記排気ガス管路の周方向において前記周縁部と離間して配置されたカバー部と、
を有し、
前記周縁部は、前記中心軸方向から視て、前記環状部の前記開口の外縁のうち前記側壁部に囲われていない開放部分の径方向外側の領域と少なくとも重なるように配置され、
前記還元剤供給部は、前記側壁部に向かって前記還元剤を噴射するように構成され、
前記カバー部は、前記中心軸方向から視て、前記還元剤供給部による前記還元剤の噴射領域の少なくとも一部と重なる、排気ガス浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気ガス浄化装置であって、
前記カバー部は、前記中心軸方向から視て、前記噴射領域の全体と重なる、排気ガス浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気ガス浄化装置であって、
前記カバー部は、前記中心軸方向から視て、前記噴射領域の中心線に対して対称な形状を有する、排気ガス浄化装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置であって、
前記カバー部を前記中心軸方向に貫通する少なくとも1つの補助貫通孔をさらに備える、排気ガス浄化装置。
【請求項5】
請求項4に記載の排気ガス浄化装置であって、
前記少なくとも1つの補助貫通孔は、前記中心軸方向から視て、前記噴射領域の中心線に対して対称に配置される、排気ガス浄化装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置であって、
前記第1遮蔽部は、前記周縁部から前記排気ガス管路の内周面に沿って延伸する枠部をさらに有し、
前記カバー部は、前記枠部と前記中央部とに挟まれた空間に配置される、排気ガス浄化装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置であって、
前記環状部の前記開口の中心軸は、前記排気ガス管路の中心軸よりも前記噴射領域から遠い位置にある、排気ガス浄化装置。
【請求項8】
内燃機関の排気ガス中の環境汚染物質を改質又は捕集するように構成された排気ガス浄化部と、
前記排気ガスの流れ方向において前記排気ガス浄化部の下流側に設けられ、前記排気ガスを還元剤の存在下で還元するように構成された還元部と、
前記排気ガスの流れ方向において前記還元部よりも上流側で前記排気ガスに前記還元剤を供給するように構成された還元剤供給部と、
前記排気ガス浄化部の排出口と前記還元部の導入口とを連通する排気ガス管路と、
を備える排気ガス浄化装置の前記排気ガス管路内に配置される旋回流発生部材であって、
前記排気ガス管路の中心軸方向における流れの一部を遮蔽するように構成された第1遮蔽部と、
前記第1遮蔽部の下流側に配置される第2遮蔽部と、
を備え、
前記第2遮蔽部は、
前記排気ガス管路の径方向中心に設けられた開口を有すると共に、前記開口の径方向外側における前記中心軸方向の流れを遮蔽するように構成された環状部と、
前記環状部から前記第1遮蔽部まで延伸すると共に、前記環状部の前記開口の周方向における一部を囲う側壁部と、
を有し、
前記第1遮蔽部は、
前記中心軸方向から視て前記環状部の前記開口と重なると共に、前記排気ガス管路の内周面とは離間した中央部と、
前記中央部から前記排気ガス管路の内周面まで延伸する周縁部と、
前記周縁部に設けられた複数の貫通孔と、
前記排気ガス管路の周方向において前記周縁部と離間して配置されたカバー部と、
を有し、
前記周縁部は、前記中心軸方向から視て、前記環状部の前記開口の外縁のうち前記側壁部に囲われていない開放部分の径方向外側の領域と少なくとも重なるように配置され、
前記還元剤供給部は、前記側壁部に向かって前記還元剤を噴射するように構成され、
前記カバー部は、前記中心軸方向から視て、前記還元剤供給部による前記還元剤の噴射領域の少なくとも一部と重なる、旋回流発生部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気ガス浄化装置及び旋回流発生部材に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガス成分に関する規制に対応することを目的として、内燃機関の排気ガス流路には、排気ガス浄化装置が設置される。排気ガス浄化装置には、ディーゼル機関であれば、例えばディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)、選択触媒還元(SCR)用触媒等の排気ガス浄化部材が組み合わせて用いられる。
【0003】
これらの排気ガス浄化部材のうち、SCR用触媒(以下、「還元触媒」ともいう。)は、一般に他の触媒又はフィルターの下流に設置される。SCRは、還元剤と還元触媒とによって、排気ガス中のNOxを還元し、無害な窒素に改質する方法である。
【0004】
SCRにおいて、還元触媒を効率的に機能させ、排気ガスの浄化率を向上させるには、還元剤をミキシングして排気ガス中に均質に分散させることと、還元剤を含んだ排気ガスを偏りなく還元触媒に接触させることが必要である。
【0005】
排気ガスに還元剤を分散させる方法として、排気ガスの流路内に拡散板を配置する方法がある。しかし、拡散板を流路に配置すると、圧損が高くなり排気ガスの流れが偏るという不都合が生じる。
【0006】
そこで、排気ガスの流路中に2つの遮蔽部を有する旋回流発生部材を配置し、これによって生じる旋回流により還元剤を拡散させる排気ガス浄化装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-127879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記公報の排気ガス浄化装置では、第1遮蔽部と第2遮蔽部との間に位置する還元剤の噴射領域への排気ガスの流入速度が高くなるため、噴霧が偏り分散効果が不十分となる可能性がある。その結果、浄化性能の低下及び還元剤成分の析出物(つまりデポジット)が発生するおそれがある。
【0009】
さらに、上記公報の排気ガス浄化装置では、第1遮蔽部と第2遮蔽部との間に噴射された還元剤の一部が、第1遮蔽部の開口部分から上流側に逆流し得る。そのため、逆流した還元剤が上流側の触媒に接触することによる触媒の割れや機能低下が発生するおそれがある。
【0010】
本開示の一局面は、還元剤の分散性を高めると共に、還元剤の逆流を抑制できる排気ガス浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様は、内燃機関の排気ガス浄化装置である。排気ガス浄化装置は、排気ガス浄化部と、還元部と、還元剤供給部と、排気ガス管路と、旋回流発生部材と、を備える。排気ガス浄化部は、排気ガス中の環境汚染物質を改質又は捕集するように構成される。還元部は、排気ガスの流れ方向において排気ガス浄化部の下流側に設けられ、排気ガスを還元剤の存在下で還元するように構成される。還元剤供給部は、排気ガスの流れ方向において還元部よりも上流側で排気ガスに還元剤を供給するように構成される。排気ガス管路は、排気ガス浄化部の排出口と還元部の導入口とを連通する。旋回流発生部材は、排気ガス管路内に設置される。
【0012】
旋回流発生部材は、排気ガス管路の中心軸方向における流れの一部を遮蔽するように構成された第1遮蔽部と、第1遮蔽部の下流側に配置される第2遮蔽部と、を有する。第2遮蔽部は、排気ガス管路の径方向中心に設けられた開口を有すると共に、開口の径方向外側における中心軸方向の流れを遮蔽するように構成された環状部と、環状部から第1遮蔽部まで延伸すると共に、環状部の開口の周方向における一部を囲う側壁部と、を有する。
【0013】
第1遮蔽部は、中心軸方向から視て環状部の開口と重なると共に、排気ガス管路の内周面とは離間した中央部と、中央部から排気ガス管路の内周面まで延伸する周縁部と、周縁部に設けられた複数の貫通孔と、排気ガス管路の周方向において周縁部と離間して配置されたカバー部と、を有する。周縁部は、中心軸方向から視て、環状部の開口の外縁のうち側壁部に囲われていない開放部分の径方向外側の領域と少なくとも重なるように配置される。還元剤供給部は、側壁部に向かって還元剤を噴射するように構成される。カバー部は、中心軸方向から視て還元剤供給部による還元剤の噴射領域の少なくとも一部と重なる。
【0014】
このような構成によれば、排気ガス管路の中心軸方向(以下、「第1方向」ともいう。)の排気ガスの流れが第1遮蔽部によって第2遮蔽部の側壁部の外側に誘導される。このように誘導された流れは側壁部によって2つの流れに分割されつつ、環状部の開口に向かって流れる。これにより、排気ガスの流路が伸びると共に、第1方向と平行な旋回軸を有する互いに逆向きの2つの旋回流が生じる。そのため、側壁部に向かって噴射された還元剤が効率よく拡散される。その結果、還元剤の蒸発が促進されると共に、分散性が向上する。さらに、排気ガスの流れの一部は、第1遮蔽部の複数の貫通孔を通過して、上記2つの旋回流に合流する。その結果、還元剤と排気ガスとの撹拌が効果的に行なわれる。
【0015】
また、上述の構成では、カバー部によって還元剤の噴射領域への排気ガスの流入速度が低下する。その結果、還元剤の偏りが抑制され、還元剤の分散性が向上する。また、カバー部によって還元剤の上流側への逆流が抑制される。
【0016】
本開示の一態様では、カバー部は、中心軸方向から視て、噴射領域の全体と重なってもよい。このような構成によれば、排気ガスの流れにおいて還元剤の偏りや滞留する部分が低減され、還元剤の分散性の向上効果が促進される。
【0017】
本開示の一態様では、カバー部は、中心軸方向から視て、噴射領域の中心線に対して対称な形状を有してもよい。このような構成によれば、還元剤の噴射領域への排気ガスの流れが対称的になるため、還元剤の分散性の向上効果が促進される。
【0018】
本開示の一態様は、カバー部を中心軸方向に貫通する少なくとも1つの補助貫通孔をさらに備えてもよい。このような構成によれば、還元剤の噴射領域における排気ガスの流動性が高まり、還元剤供給部の噴射口周辺におけるデポジットの発生を抑制できる。
【0019】
本開示の一態様では、少なくとも1つの補助貫通孔は、中心軸方向から視て、噴射領域の中心線に対して対称に配置されてもよい。このような構成によれば、噴射領域における還元剤の拡散が対称的になるため、還元剤の分散性の向上効果が促進される。
【0020】
本開示の一態様では、第1遮蔽部は、周縁部から排気ガス管路の内周面に沿って延伸する枠部をさらに有してもよい。カバー部は、枠部と中央部とに挟まれた空間に配置されてもよい。このような構成によれば、排気ガス管路の内周面近傍における還元剤の逆流を枠部によって抑制できる。
【0021】
本開示の一態様では、環状部の開口の中心軸は、排気ガス管路の中心軸よりも噴射領域から遠い位置にあってもよい。このような構成によれば、還元剤供給部の噴射口から第2遮蔽部の側壁部までの距離を大きくすることができる。その結果、還元剤の側壁部への衝突による飛散を抑制して噴射領域における還元剤の偏りを低減できる。
【0022】
本開示の別の態様は、内燃機関の排気ガス中の環境汚染物質を改質又は捕集するように構成された排気ガス浄化部と、排気ガスの流れ方向において排気ガス浄化部の下流側に設けられ、排気ガスを還元剤の存在下で還元するように構成された還元部と、排気ガスの流れ方向において還元部よりも上流側で排気ガスに還元剤を供給するように構成された還元剤供給部と、排気ガス浄化部の排出口と還元部の導入口とを連通する排気ガス管路と、を備える排気ガス浄化装置の排気ガス管路内に配置される旋回流発生部材である。
【0023】
旋回流発生部材は、排気ガス管路の中心軸方向における流れの一部を遮蔽するように構成された第1遮蔽部と、第1遮蔽部の下流側に配置される第2遮蔽部と、を有する。第2遮蔽部は、排気ガス管路の径方向中心に設けられた開口を有すると共に、開口の径方向外側における中心軸方向の流れを遮蔽するように構成された環状部と、環状部から第1遮蔽部まで延伸すると共に、環状部の開口の周方向における一部を囲う側壁部と、を有する。
【0024】
第1遮蔽部は、中心軸方向から視て環状部の開口と重なると共に、排気ガス管路の内周面とは離間した中央部と、中央部から排気ガス管路の内周面まで延伸する周縁部と、周縁部に設けられた複数の貫通孔と、排気ガス管路の周方向において周縁部と離間して配置されたカバー部と、を有する。周縁部は、中心軸方向から視て、環状部の開口の外縁のうち側壁部に囲われていない開放部分の径方向外側の領域と少なくとも重なるように配置される。還元剤供給部は、側壁部に向かって還元剤を噴射するように構成される。カバー部は、中心軸方向から視て還元剤供給部による還元剤の噴射領域の少なくとも一部と重なる。
【0025】
このような構成によれば、旋回流発生部材が配置された排気ガス浄化装置において、還元剤と排気ガスとの撹拌が効果的に行なわれる。また、カバー部によって還元剤の上流側への逆流が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1Aは、実施形態の排気ガス浄化装置の模式的な部分透過斜視図であり、図1Bは、図1Aの排気ガス浄化装置の模式的な中央断面図である。
図2図2は、図1Aの排気ガス浄化装置における旋回流発生部材の模式的な斜視図である。
図3図3Aは、図2の旋回流発生部材の模式的な平面図であり、図3Bは、図2の旋回流発生部材における第2遮蔽部の模式的な斜視図である。
図4図4Aは、図3Aとは異なる実施形態における排気ガス浄化装置の旋回流発生部材の模式的な平面図であり、図4Bは、図3A及び図4Aとは異なる実施形態における排気ガス浄化装置の旋回流発生部材の一部を示す模式的な平面図であり、図4Cは、図3A図4A及び図4Bとは異なる実施形態における排気ガス浄化装置の旋回流発生部材の一部を示す模式的な平面図である。
図5図5Aは、図1Aとは異なる実施形態の排気ガス浄化装置の模式的な部分透過斜視図であり、図5Bは、図5Aの排気ガス浄化装置の模式的な中央断面図である。
図6図6Aは、図5Aの排気ガス浄化装置における旋回流発生部材の模式的な斜視図であり、図6Bは、図5Aの旋回流発生部材の模式的な平面図である。
図7図7Aは、図3Aとは異なる実施形態における排気ガス浄化装置の旋回流発生部材の模式的な平面図であり、図7Bは、図3A及び図7Aとは異なる実施形態における排気ガス浄化装置の旋回流発生部材の模式的な平面図である。
図8図8Aは、図3A図7A及び図7Bとは異なる実施形態における排気ガス浄化装置の旋回流発生部材の模式的な平面図であり、図8Bは、図3A図7A図7B及び図8Aとは異なる実施形態における排気ガス浄化装置の旋回流発生部材の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1A,1Bに示す排気ガス浄化装置(以下、単に「浄化装置」ともいう。)1は、内燃機関の排気ガス流路内に設けられ、排気ガス中の環境汚染物質を低減する。浄化装置1は、排気ガス浄化部2と、還元部3と、還元剤供給部4と、排気ガス管路5と、旋回流発生部材6とを備える。
【0028】
浄化装置1が設けられる内燃機関は、特に限定されないが、浄化装置1はディーゼル機関の排気ガス浄化装置として特に好適に使用できる。ディーゼル機関としては、自動車、鉄道、船舶、建機等の輸送機器、発電施設などで駆動用又は発電用として用いられるものが挙げられる。
【0029】
<排気ガス浄化部>
排気ガス浄化部2は、排気ガス中の環境汚染物質を改質又は捕集する。ここで、「環境汚染物質」とは、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、粒状物質(PM)、硫黄酸化物(SOx)、炭化水素類(HC)等を意味する。
【0030】
排気ガス浄化部2は、図1Bに示すように、排気ガスを浄化するための浄化用部材2Aと、浄化用部材2Aを収納した筒状のケーシング2Bとを有する。排気ガスは、ケーシング2Bの内部で浄化用部材2Aに接触しながら、ケーシング2Bの中心軸方向に沿って流れる。
【0031】
浄化用部材2Aとしては、例えばディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)、NOx吸着剤等が挙げられる。DOCは、排気ガスに含まれるPM中の可溶有機成分(SOF)、CO及びHCを酸化させる触媒である。DPFは、排気ガスに含まれるPMを捕集するフィルターである。NOx吸着剤は、NOxを吸着除去する物質である。
【0032】
浄化用部材2Aは、一般にハニカム構造を有する筒状体が用いられる。排気ガスがハニカム構造内部を通過することで、排気ガス中の環境汚染物質は、浄化用部材2Aが含む触媒金属によって改質されたり、浄化用部材2Aに捕捉されたりする。
【0033】
図1A,1Bでは、排気ガス浄化部2は、内部での排気ガスの流れ方向が鉛直方向となるように、つまり筒状のケーシング2Bの中心軸が鉛直方向となる向きに配置されている。また、排気ガス浄化部2の排気ガスの排出口2Cは、排気ガスが鉛直方向に排出されるように形成されている。ただし、排気ガス浄化部2における排気ガスの流れ方向は鉛直方向に限定されず、水平方向でもよいし、水平方向に対し傾斜した方向であってもよい。
【0034】
<還元部>
還元部3は、排気ガスを還元剤の存在下で還元する。具体的には、還元部3は、アンモニアと還元触媒とによって、排気ガス中のNOxを還元し、無害な窒素に改質する。還元剤であるアンモニアは、一般に尿素水を排気ガス中に噴射し、この尿素水中の尿素を加水分解することで生成される。
【0035】
還元部3は、還元触媒3Aと、還元触媒3Aを収納した筒状のケーシング3Bとを有する。還元触媒3Aは、セラミック等の母材と、この母材に担持された金属触媒とから構成される。排気ガスは、ケーシング3Bの内部で還元触媒3Aに接触しながら、ケーシング3Bの中心軸方向に沿って流れる。
【0036】
還元部3は、排気ガスの流れ方向において排気ガス浄化部2の下流側に排気ガス管路5を介して連結されている。還元部3は、内部での排気ガスの流れ方向が排気ガス浄化部2と同じ方向となるように配置される。つまり、還元部3のケーシング3Bの中心軸は、排気ガス浄化部2のケーシング2Bの中心軸と一致する向きに配置される。
【0037】
<還元剤供給部>
還元剤供給部4は、排気ガスの流れ方向において還元部3よりも上流側で排気ガスに還元剤を供給する。還元剤供給部4は、排気ガス管路5の内部に還元剤を噴射するように構成されている。
【0038】
具体的には、還元剤供給部4は、後述する第2遮蔽部8の側壁部8Bに向かって還元剤を噴射するインジェクタを有する。このインジェクタは、排気ガス管路5の周面から、排気ガス管路5の中心軸に向かって還元剤である尿素水を噴射する。
【0039】
還元剤供給部4のインジェクタは、公知のものを用いることができる。なお、図1A,1Bでは、還元剤供給部4として、排気ガス管路5との接続管のみを図示しており、インジェクタ等の部材は図示を省略している。
【0040】
<排気ガス管路>
排気ガス管路5は、排気ガス浄化部2の排出口2Cと還元部3の導入口3Cとを連通する管体である。つまり、排気ガス浄化部2から排出された排気ガスは、排気ガス管路5を通って還元部3に導入される。排気ガス管路5の内部には、旋回流発生部材6が配置されている。また、排気ガス管路5の周面には、還元剤供給部4が接続されている。
【0041】
排気ガス管路5の中心軸方向は、排気ガス浄化部2のケーシング2B及び還元部3のケーシング3Bの中心軸方向と一致する。つまり、排気ガス管路5は、排気ガス浄化部2と還元部3との間に曲がりのないストレートな排気ガスの流路を形成している。
【0042】
なお、本実施形態では、排気ガス管路5は直管であり、排気ガス浄化部2の排出口2Cと還元部3の導入口3Cとは同じ直径を有する。ただし、必ずしも排気ガス浄化部2の排出口2Cと還元部3の導入口3Cとは同径でなくてもよい。
【0043】
<旋回流発生部材>
旋回流発生部材6は、排気ガス管路5内に設置され、排気ガスに複数の旋回流を発生させる。旋回流発生部材6は、図2に示すように、第1遮蔽部7と、第2遮蔽部8とを有する。
【0044】
(第1遮蔽部)
第1遮蔽部7は、排気ガス管路5内を流れる排気ガスに対し、排気ガス管路5の中心軸方向に沿って下流側に向かう第1方向D1の流れの一部を遮蔽する板状の部材である。
【0045】
第1遮蔽部7は、中央部7Aと、周縁部7Bと、複数の貫通孔7Cと、枠部7Fと、カバー部7Gとを有する。第1遮蔽部7は、中央部7Aと周縁部7Bと枠部7Fとカバー部7Gとによって、排気ガスの第1方向D1における流れの一部を遮蔽する。
【0046】
中央部7Aは、厚み方向が第1方向D1と一致する向きに配置された板状の部位である。中央部7Aは、第1方向D1から視て、後述する環状部8Aの開口8Cと重なる位置に配置されている。
【0047】
具体的には、中央部7Aは、環状部8Aの開口8Cのうち、側壁部8Bと重なっていない部分(つまり、上流側から視認できる部分)を上流側から覆っている。中央部7Aは、側壁部8Bと接続される一方で、排気ガス管路5の内周面とは離間して配置されている。
【0048】
周縁部7Bは、中央部7Aの外縁から排気ガス管路5の内周面まで径方向に延伸する部位である。周縁部7Bは、第1方向D1から視て、環状部8Aの開口8Cの外縁のうち側壁部8Bに囲われていない開放部分8Dの径方向外側の領域と少なくとも重なるように配置されている。
【0049】
本実施形態では、周縁部7Bは、第1方向D1から視て、側壁部8Bと一部重複して配置されている。周縁部7Bの上流側の面は、中央部7Aの上流側の面よりも下流側にずれた位置に配置されている。つまり、中央部7Aは、周縁部7Bに対し、上流側に突出している。
【0050】
周縁部7Bの排気ガス管路5の周方向における第1端部7D及び第2端部7Eは、それぞれ、中央部7Aから枠部7Fに向かって排気ガス管路5の径方向と平行に延伸している。また、周縁部7Bの排気ガス管路5の内周面との当接部7Jは、周縁部7Bの上流側の面から第1方向D1に沿って下流側に(つまり第2遮蔽部8に向かって)延伸している。
【0051】
周縁部7Bの当接部7Jの周方向における長さ(つまり周縁部7Bの外縁の長さ、より厳密には第1端部7Dから第2端部7Eまでの長さ)Lは、排気ガス管路5の内周長さの1/2以下が好ましい。当接部分の長さLが排気ガス管路5の内周長さの1/2超であると、第1遮蔽部7における開口領域が小さくなり、圧損が高くなるおそれがある。当接部分の長さLが排気ガス管路5の内周長さの1/2以下であることで、上流から流れてくる排気ガスが衝突する側壁部8Bの領域が広くなるため、撹拌性能を確保しつつ、圧損を低減することができる。
【0052】
複数の貫通孔7Cは、周縁部7Bに設けられている。複数の貫通孔7Cは、第1方向D1に沿って周縁部7Bを貫通している。複数の貫通孔7Cは、第1方向D1から視て、開口8Cよりも径方向外側に配置されている。
【0053】
本実施形態では、複数の貫通孔7Cは、排気ガス管路5の中心からの距離が異なる2つの円弧上に等間隔で配置されている。複数の貫通孔7Cは、例えばパンチングによって形成できる。また、複数の貫通孔7Cの形状は円形に限定されない。
【0054】
枠部7Fは、周縁部7Bから排気ガス管路5の内周面に沿って延伸している。枠部7Fは、周縁部7Bの当接部7Jと共に排気ガス管路5の内周面に当接するリングを構成している。枠部7Fは、周縁部7Bの第1端部7Dと第2端部7Eとを排気ガス管路5の周方向に連結している。
【0055】
カバー部7Gは、排気ガス管路5の周方向において周縁部7Bと離間して配置された板状の部位である。カバー部7Gは、排気ガス管路5の周方向において、周縁部7Bの第1端部7Dと第2端部7Eとの間において中央部7Aよりも還元剤供給部4に近い位置に配置されている。
【0056】
カバー部7Gは、枠部7Fと中央部7Aとに挟まれた空間において中央部7Aと枠部7Fとを径方向に連結するように配置されている。カバー部7Gの排気ガス管路5の周方向における第1端部7K及び第2端部7Lは、それぞれ、中央部7Aから枠部7Fに向かって排気ガス管路5の径方向に延伸している。
【0057】
カバー部7Gは、中央部7Aと枠部7Fとに挟まれた空間(つまり第1遮蔽部7の開口領域)を第1開口部7Hと第2開口部7Iとに分割している。第1開口部7H及び第2開口部7Iは、それぞれ、中央部7Aと、枠部7Fと、周縁部7Bと、カバー部7Gとによって画定されている。
【0058】
第1開口部7Hは、排気ガス管路5の周方向において周縁部7Bの第1端部7Dとカバー部7Gの第1端部7Kとに挟まれた部位である。第2開口部7Iは、排気ガス管路5の周方向において周縁部7Bの第2端部7Eとカバー部7Gの第2端部7Lとに挟まれた部位である。第1開口部7Hと第2開口部7Iとは、カバー部7Gを挟んで排気ガス管路5の周方向に並んで配置されている。
【0059】
図3Aに示すように、カバー部7Gは、第1方向D1から視て、還元剤供給部4による還元剤の噴射領域Aの全体と重なるように配置されている。カバー部7Gは、第1方向D1から視て、噴射領域Aの中心線に対して対称な形状を有している。カバー部7Gの第1端部7K及び第2端部7Lは、それぞれ、噴射領域Aよりも排気ガス管路5の周方向における外側に位置している。
【0060】
本実施形態では、還元剤供給部4による還元剤の噴射方向(つまり、噴射領域Aの中心線)は、排気ガス管路5の中心軸と直交する。ただし、還元剤の噴射方向は、排気ガス管路5の中心軸と90°以外の角度で交差してもよいし、排気ガス管路5の中心軸と交差しなくてもよい。
【0061】
第1方向D1から視て、排気ガス管路5内における第1遮蔽部7が配置されていない領域(つまり、第1開口部7H及び第2開口部7I)の合計面積は、複数の貫通孔7Cの合計面積よりも大きい。
【0062】
また、第1開口部7Hの周方向の長さ(つまり、カバー部7Gの第1端部7Kと周縁部7Bの第1端部7Dとの距離)と、第2開口部7Iの周方向の長さ(つまり、カバー部7Gの第2端部7Lと周縁部7Bの第2端部7Eとの距離)とは等しい。
【0063】
カバー部7Gの排気ガス管路5の周方向における長さ(つまり幅の大きさ)は特に限定されないが、例えば、第1開口部7Hの周方向の長さ及び第2開口部7I第1開口部7Hの周方向の長さ以下とするとよい。
【0064】
(第2遮蔽部)
第2遮蔽部8は、図3Bに示すように、環状部8Aと、側壁部8Bとを有する板状の部材である。
【0065】
環状部8Aは、排気ガス管路5の径方向中心に設けられた開口8Cを有する。環状部8Aは、開口8Cの径方向外側における第1方向D1の流れを遮蔽する部位である。環状部8Aの外径は、排気ガス管路5の内径と一致する。また、環状部8Aの排気ガス管路5の内周面との当接部8Hは、環状部8Aの上流側の面から第1方向D1に沿って下流側に延伸している。
【0066】
側壁部8Bは、環状部8Aから第1遮蔽部7の中央部7Aまで第1方向D1に延伸する部位である。側壁部8Bは、環状部8Aの開口8Cの周方向における一部を囲っている。つまり、側壁部8Bは、開口8Cの周縁の一部から上流側に(つまり第1遮蔽部7に向かって)突出している。
【0067】
側壁部8Bは、第1方向D1において第1遮蔽部7の第1開口部7H及び第2開口部7Iと重なる位置に配置されている。環状部8Aの開口8Cの開放部分8D(つまり側壁部8Bに囲われていない部分)は、排気ガス管路5の中心軸を挟んで、還元剤供給部4とは反対側に配置されている。
【0068】
第1方向D1から視て、開放部分8Dの周方向の中心位置は、側壁部8Bにおいて還元剤が噴射される領域と対向する(つまり排気ガス管路5の中心軸を挟んで反対側にある)とよい。
【0069】
側壁部8Bの周方向の第1端部8E及び第2端部8Fは、それぞれ、第1方向D1において第1遮蔽部7の第1開口部7H及び第2開口部7Iとは重ならない。つまり、開放部分8Dは、全体が第1方向D1において第1遮蔽部7の周縁部7Bと重なっている。また、開放部分8Dには、環状部8Aの内縁(つまり開口8Cの周縁)から上流側に向かって突出する段差部8Iが設けられている。
【0070】
側壁部8Bは、接続部8Gを有する。接続部8Gは、側壁部8Bの上流端に設けられた環状の部位である。接続部8Gは、第1遮蔽部7の中央部7Aにおける下流側の面に連結されている。
【0071】
[1-2.作用]
以下、浄化装置1における旋回流の発生メカニズムについて説明する。
浄化装置1では、排気ガス浄化部2から排出された排気ガスは、流れの向きを変えずにそのまま排気ガス管路5に進入する。
【0072】
排気ガス管路5内において、排気ガスはまず第1遮蔽部7の中央部7Aによって流れが部分的に遮蔽される。つまり、排気ガスの流路が、第1開口部7Hと、第2開口部7Iと、複数の貫通孔7Cとに絞られる。
【0073】
第1開口部7H又は第2開口部7Iを第1方向D1に沿って通過した排気ガスは、第2遮蔽部8の環状部8Aに衝突する。これにより、側壁部8Bを迂回して開口8Cに向かう2つの旋回流が形成される。また、複数の貫通孔7Cを通過した排気ガスの流れが、この2つの旋回流に衝突する。
【0074】
これにより、側壁部8Bに衝突して微粒化された還元剤が、排気ガスの流れに巻き込まれて拡散及び分散する。その結果、排気ガス管路5を通過した還元剤及び排気ガスが還元触媒3Aと均質に接触する。
【0075】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)第1方向D1の排気ガスの流れが第1遮蔽部7によって第2遮蔽部8の側壁部8Bの外側に誘導される。このように誘導された流れは側壁部8Bによって2つの流れに分割されつつ、環状部8Aの開口8Cに向かって流れる。これにより、排気ガスの流路が伸びると共に、第1方向D1と平行な旋回軸を有する互いに逆向きの2つの旋回流が生じる。
【0076】
そのため、側壁部8Bに向かって噴射された還元剤が効率よく拡散される。その結果、還元剤の蒸発が促進されると共に、分散性が向上する。さらに、排気ガスの流れの一部は、第1遮蔽部7の複数の貫通孔7Cを通過して、上記2つの旋回流に合流する。その結果、還元剤と排気ガスとの撹拌が効果的に行なわれる。
【0077】
(1b)中央部7A、枠部7F及びカバー部7G、特にカバー部7Gによって還元剤の噴射領域Aへの排気ガスの流入速度が低下する。その結果、還元剤の偏りが抑制され、還元剤の分散性が向上する。また、カバー部7Gによって還元剤の上流側への逆流が抑制される。
【0078】
(1c)カバー部7Gによって、第1遮蔽部7における第1方向D1の圧力分布のばらつきが低減されるので、排気ガス浄化部2における流速のばらつきが抑制される。その結果、排気ガス管路5に流入する排気ガスの温度の偏りが抑制されるため、還元剤の蒸発と分散が促進される。
【0079】
(1d)カバー部7Gが第1方向D1から視て還元剤の噴射領域Aの全体と重なることで、排気ガスの流れにおいて還元剤の偏りや滞留する部分が低減され、還元剤の分散性の向上効果が促進される。
【0080】
(1e)カバー部7Gが第1方向D1から視て噴射領域Aの中心線に対して対称な形状を有することで、還元剤の噴射領域Aへの排気ガスの流れが対称的になるため、還元剤の分散性の向上効果が促進される。
【0081】
(1f)第1遮蔽部7が枠部7Fを有することで、排気ガス管路5の内周面近傍における還元剤の逆流を枠部7Fによって抑制できる。
【0082】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態の排気ガス浄化装置は、旋回流発生部材の構造を除いて、第1実施形態の排気ガス浄化装置と同じ構成である。
【0083】
第2実施形態の排気ガス浄化装置は、図4Aに示す旋回流発生部材16を備える。旋回流発生部材16は、第1遮蔽部17と第2遮蔽部8とを有する。第2遮蔽部8は、第1実施形態と同様である。
【0084】
第1遮蔽部17は、中央部7Aと、周縁部7Bと、複数の貫通孔7Cと、枠部7Fと、カバー部7Gと、第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nとを有する。中央部7A、周縁部7B、複数の貫通孔7C、枠部7F、及びカバー部7Gは第1実施形態と同じものである。
【0085】
第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nは、それぞれカバー部7Gを第1方向D1に貫通している。第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nは、第1方向D1から視て、噴射領域Aの中心線に対して対称に配置されている。
【0086】
第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nは噴射領域Aと重ならなくてもよいし(図4A参照)、第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nは噴射領域Aと重なる領域を有してもよい(図4B図4C参照)。
【0087】
第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nは、排気ガス管路5の径方向において、それぞれ第1遮蔽部17の中央部7Aよりも還元剤供給部4及び枠部7Fに近い位置に配置されている。
【0088】
第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nの形状は、図4Aに示される円形に限定されず、図4Bに示される四角形であってもよい。また、第1補助貫通孔7M及び第2補助貫通孔7Nの形状は、四角形以外の多角形であってもよい。
【0089】
さらに、第1遮蔽部17は、図4Cに示すように、1つの補助貫通孔7Oを備えてもよい。補助貫通孔7Oは、第1方向D1から視て、噴射領域Aを排気ガス管路5の周方向に横断するように配置され、噴射領域Aの中心線に対して対称な形状を有する。
【0090】
このように少なくとも1つの補助貫通孔が第1方向D1から視て噴射領域Aの中心線に対して対称に配置されることで、噴射領域Aにおける還元剤の拡散が対称的になるため、還元剤の分散性の向上効果が促進される。ただし、少なくとも1つの補助貫通孔は、必ずしも第1方向D1から視て噴射領域Aの中心線に対して対称に配置されなくてもよい。
【0091】
[2-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)少なくとも1つの補助貫通孔によって還元剤の噴射領域Aにおける排気ガスの流動性が高まり、還元剤供給部4の噴射口周辺におけるデポジットの発生を抑制できる。
【0092】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
図5A,5Bに示す排気ガス浄化装置21は、排気ガス浄化部2と、還元部3と、還元剤供給部4と、排気ガス管路5と、旋回流発生部材26とを備える。
【0093】
排気ガス浄化装置21の排気ガス浄化部2、還元部3、還元剤供給部4、及び排気ガス管路5は、第1実施形態の排気ガス浄化装置1と同じものである。旋回流発生部材26は、第1遮蔽部27と、第2遮蔽部28とを有する。
【0094】
図6A,6Bに示すように、第1遮蔽部27は、第1実施形態の第1遮蔽部7において、中央部7Aの凸部(つまり第2遮蔽部28の側壁部8Bが挿入される部分)の位置を還元剤供給部4から離れる方向にずらしたものである。
【0095】
第2遮蔽部28は、第1実施形態の第2遮蔽部8において、環状部8Aの開口8Cと側壁部8Bとを還元剤供給部4から離れる方向にずらしたものである。具体的には、環状部8Aの開口8Cの中心軸P2は、排気ガス管路5の中心軸P1よりも噴射領域Aから遠い位置にある。
【0096】
つまり、排気ガス管路5の中心軸P1及び開口8Cの中心軸P2は、還元剤供給部4から近い順に、排気ガス管路5の中心軸P1及び開口8Cの中心軸P2の順で配置されている。
【0097】
[3-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)環状部8Aの開口8Cの中心軸P2が排気ガス管路5の中心軸P1よりも噴射領域Aから遠い位置にあることで、還元剤供給部4の噴射口から第2遮蔽部28の側壁部8Bまでの距離を大きくすることができる。その結果、還元剤の側壁部8Bへの衝突による飛散を抑制して噴射領域Aにおける還元剤の偏りを低減できる。
【0098】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0099】
(4a)上記実施形態の排気ガス浄化装置において、カバー部は、必ずしも排気ガス管路の中心軸方向から視て噴射領域の中心線に対して対称な形状を有しなくてもよい。また、カバー部の第1端部及び第2端部は、必ずしも排気ガス管路の径方向と平行に延伸しなくてもよい。
【0100】
(4b)上記実施形態の排気ガス浄化装置において、第1遮蔽部は、必ずしも枠部を有しなくてもよい。例えば、図7A,7B及び図8A,8Bに示すように、カバー部7Gは、中央部7Aから径方向に突き出した舌片状の部位であってもよい。
【0101】
図7A,7B及び図8A,8Bでは、第1開口部7H及び第2開口部7Iは、それぞれ、中央部7Aと、周縁部7Bと、カバー部7Gと、排気ガス管路5の内周面とによって画定される。
【0102】
(4c)上記実施形態の排気ガス浄化装置において、カバー部は、必ずしも排気ガス管路の中心軸方向から視て噴射領域の全体と重ならなくてもよい。つまり、カバー部は、噴射領域の一部のみと重なってもよい。
【0103】
(4d)上記実施形態の排気ガス浄化装置において、旋回流発生部材は、第1遮蔽部として形成された部品への第2遮蔽部として形成された部品の組み付けにより形成されてもよい。また、旋回流発生部材は、一体成形された一つの部材から構成されてもよい。
【0104】
(4e)上記実施形態の排気ガス浄化装置において、排気ガス浄化部及び/又は還元部の内径と、排気ガス管路の内径とは同じでなくてもよい。例えば、排気ガス浄化部の内径が排気ガス管路の内径よりも小さくてもよい。この場合、排気ガス管路は、下流から上流に向かって縮径するテーパ部を有する。
【0105】
また、排気ガス浄化部と排気ガス管路との間に、さらに連結管が配置されていてもよい。この連結管は、湾曲していてもよい。このように湾曲した連結管を用いることで、排気ガス浄化部の配置の自由度が高められる。
【0106】
(4f)第2実施形態の排気ガス浄化装置の構成と、第3実施形態の排気ガス浄化装置の構成とは、組み合わせることができる。つまり、第3実施形態の第1遮蔽部27のカバー部7Gに補助貫通孔を設けてもよい。
【0107】
(4g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0108】
1,21…排気ガス浄化装置、2…排気ガス浄化部、2A…浄化用部材、
2B…ケーシング、2C…排出口、3…還元部、3A…還元触媒、3B…ケーシング、
3C…導入口、4…還元剤供給部、5…排気ガス管路、
6,16,26…旋回流発生部材、7,17,27…第1遮蔽部、7A…中央部、
7B…周縁部、7C…貫通孔、7D,7E…端部、7F…枠部、7G…カバー部、
7H,7I…開口部、7J…当接部、7K,7L…端部、
7M,7N,7O…補助貫通孔、8,28…第2遮蔽部、8A…環状部、
8B…側壁部、8C…開口、8D…開放部分、8E,8F…端部、8G…接続部、
8H…当接部、8I…段差部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8