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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】車両隊列のためのギャップ測定
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/16 20200101AFI20221004BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20221004BHJP
   B60W 40/12 20120101ALI20221004BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20221004BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20221004BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221004BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20221004BHJP
   G01S 13/66 20060101ALI20221004BHJP
   G01S 17/66 20060101ALI20221004BHJP
   G01S 17/93 20200101ALI20221004BHJP
【FI】
B60W30/16
B60W40/04
B60W40/12
B60W50/14
G08G1/00 X
G08G1/16 E
G01S13/931
G01S13/66
G01S17/66
G01S17/93
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019523642
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 US2017058477
(87)【国際公開番号】W WO2018085107
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/060167
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/590,715
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/590,803
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518064248
【氏名又は名称】ぺロトン テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】オースティン ビー シュー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン エム エーリエン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ピレインズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エル ジェイコブス
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ピー スウィックス
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0120137(US,A1)
【文献】特開2014-219403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0292468(US,A1)
【文献】国際公開第2014/145918(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0210872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
G08G 1/00 ~ 1/16
G01S 13/93 ~ 13/931
G01S 13/66
G01S 17/66
G01S 17/93
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後続車両に搭載された距離測定ユニットを使用して特定の先行車両を追跡する方法であって、
(a)前記距離測定ユニットから、一組の対象物ポイントを含む現在のサンプルを取得するステップと、
(b)前記現在のサンプルに対応しており、関連する状態不確定性を有し、かつ前記現在のサンプルからの何れの情報も考慮に入れない前記先行車両の状態の現在の推定値を取得するステップと、
(c)どの対象物ポイントが前記状態不確定性内の前記先行車両の推定状態と一致するか否かを判定するステップと、
(d)前記対象物ポイントのうちの少なくとも1つが前記状態不確定性の範囲内で前記先行車両の推定状態と一致する場合、前記先行車両の測定状態として前記先行車両の推定状態に最も一致する対象物ポイントを選択し、前記先行車両の測定状態を、順次に次のサンプルに対応する、前記先行車両の状態の順次に次の推定値の決定に使用するステップと、
ステップ(a)~(d)を複数回繰り返すことによって、前記先行車両を追跡するステップと、
を含み、
特定のサンプル内のどの対象物ポイントも、前記状態不確定性の範囲内の前記先行車両の推定状態と一致しない場合、順次に次の前記先行車両の状態の推定値に対して前記状態不確定性を増加させる、方法。
【請求項2】
前記推定状態は複数の状態パラメータを含み、前記状態パラメータは位置パラメータ、速度パラメータおよび向きパラメータを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の状態推定値は複数の状態パラメータを含み、前記状態パラメータは、前記後続車両に対する前記先行車両の位置を示す位置パラメータと、前記後続車両に対する前記先行車両の速度を示す速度パラメータとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更に、前記先行車両と前記後続車両との間に所望のギャップを維持するように前記後続車両を少なくとも部分的に自動的に制御するステップを含み、選択された各対象物ポイントは前記距離測定ユニットから関連する長手方向距離を有しており、前記関連する長手方向距離は、前記距離測定ユニットから前記先行車両の後部までの現在測定された長手方向距離として所望のギャップを維持する役割を果たすギャップコントローラによって処理される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各サンプルは前記対象物ポイントのそれぞれの位置を示し、
前記先行車両の状態の現在の各推定値は、前記先行車両の位置の現在の推定値を含み、かつ関連する位置不確定性を有しており、
選択された適合する前記対象物ポイントは、前記位置不確定性の範囲内の前記先行車両の推定位置に一致しなければならない、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各サンプルは、前記対象物ポイントのそれぞれの相対速度も示しており、
前記先行車両の状態の各現在の推定値は、更に、前記先行車両の相対速度の現在の推定値を含み、かつ関連する速度不確定性を有しており、
選択された適合する前記対象物ポイントは、前記位置不確定性の範囲内の前記先行車両の推定位置と一致し、かつ、前記速度不確定性の範囲内の前記先行車両の推定速度と一致しなければならない、請求項に記載の方法。
【請求項7】
更に、前記先行車両および後続車両の検出されたGNSS位置に少なくとも部分的に基づいて、全球測位衛星システム(GNSS)位置更新を定期的に受信するステップと、
GNSS位置更新を受信するたびに、そのようなGNSS位置更新に基づいて前記先行車両の推定状態および状態不確定性を更新するステップと、
を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
更に、前記先行車両および後続車両の検出された車輪速度に少なくとも部分的に基づいて、車両速度の更新を定期的に受信するステップと、
車両速度の更新を受信するたびに、そのような車両速度の更新に基づいて、前記先行車両の推定状態および状態不確定性を更新するステップと、
を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)~(d)が少なくとも10ヘルツのサンプルレートで繰り返される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記先行車両の状態および関連する状態不確定性を推定するためにカルマンフィルタリングを使用する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記先行車両の推定状態は、前記先行車両の後部の推定位置を含み、前記選択された適合する対象物ポイントは、前記先行車両の後部の相対位置の測定値と見なされる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記後続車両上のコントローラは、前記先行車両を表すポイントクラスタのプロファイルを維持し、前記選択された適合するポイントは前記ポイントクラスタのうちの1つに対応する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記先行車両および後続車両がプラトーンに関与するトラックである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記距離測定ユニットがレーダーユニットである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2017年5月9日に出願された米国特許出願第15/590715号および米国特許出願第15/590803号、並びに2016年11月2日に出願された国際出願PCT/US2016/060167号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、自動制御または部分自動制御を使用して、車両が互いに安全に近接して連なることを可能にするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、自動運転車および半自動運転車の分野において著しい進歩が見られた。車両自動化のうちの1つのセグメントは、車両を安全で効率的かつ便利な方法で近接して連ならせることを可能にする車両隊列システムに関する。他の車両のすぐ後ろに連なることは、燃料を節約する上で大きな利点をもたらし得るが、ドライバーによって手動で行われる場合には一般的には安全とは言えない。車両隊列システムのうちの1つのタイプは、時折、第2の、かつ潜在的に追加の車両が安全に先行車両に近接して連なるように自動的または半自動的に制御される車両プラトーンシステムと呼ばれる。
【0004】
車両のプラトーンおよび隊列システムでは、車両間の距離を理解することは非常に重要な制御パラメータとなり、複数の異なる独立したメカニズムを使用して、車両間の距離を決定することができる。これには、レーダーシステム、車両間の絶対または相対位置データ(例えば、GPSや他のGNSSデータ)の送信、LIDARシステム、カメラ等が含まれ得る。プラトーンタイプの用途でレーダーを使用するときに発生する課題として、パートナー車両を潜在的に曖昧な一連のレーダー反射から信頼可能に識別し、絶えず変化する条件下で追跡なければならない点が挙げられる。本出願は、プラトーン、隊列、および他の自動的または半自動的運転用途に非常に適している車両レーダーデータに基づいて、特定の車両を識別および追跡するための技術を説明する。
【発明の概要】
【0005】
一組の距離測定シーンにおいて特定の車両(例えば、プラトーンパートナー)の後部を識別するための、および/またはそのような車両の後部を追跡するための様々な方法、コントローラ、およびアルゴリズムが記載されている。記載された技術は、レーダー、LIDAR、ソナーユニットまたは任意の他の飛行時間距離測定センサ、カメラベースの距離測定ユニット等を含む様々な異なる距離測定技術と共に使用することができる。
【0006】
一態様では、レーダー(またはその他の距離測定)シーンを受信し、それらが表すそれぞれの検出された対象物の相対位置、および、いくつかの状況ではそのような検出された対象物の相対速度を、第1の車両に対する推定位置(および相対速度)と比較することによって、第1の車両ポイント候補を少なくとも部分的に識別する。第1の車両ポイント候補は、第1の車両の推定位置から検出された対象物までのそれらの各距離に基づいて分類される。分類された第1の車両ポイント候補が複数の連続したサンプルからの候補を含むように、分類は多数のサンプルについて繰り返される。次に、第1の車両の後部は、第1の車両ポイント候補の分類の少なくとも一部に基づいて識別される。続いて、識別された第1の車両の後部、または第1の車両の識別された後部に少なくとも部分的に基づいて決定される有効車両長を、第2の車両の制御に使用することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の車両の推定位置の周囲に概念的にバウンディングボックスが適用され、バウンディングボックス内に配置されていない測定システム対象物ポイントは、第1の車両ポイント候補とは見なされない。いくつかの実施形態では、バウンディングボックスは、第1の車両の最大予想サイズを超える領域を画定する。
【0008】
いくつかの実施形態では、車両の相対速度が関連する速度不確定性と共に推定される。そのような実施形態では、推定速度の速度不確定性の範囲内にない相対速度で移動している、検出された対象物ポイントの集合体のうちの対象物ポイントは、第1の車両ポイント候補とは見なされない。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の車両ポイント候補を分類するステップは、ヒストグラムを第1の車両ポイント候補で埋めるステップを含む。ヒストグラムは複数のビンを含み、各ビンは第1の車両の推定位置に対する長手方向の距離範囲を表す。そのような実施形態では、ヒストグラムが少なくとも所定数の第1の車両ポイント候補を含んだ後に、第1の車両の後部の識別を行うことができる。いくつかの実施形態では、クラスタリングアルゴリズム(例えば、修正平均シフトアルゴリズム等)を第1の車両ポイント候補に適用して、第1の車両ポイント候補の1つ以上のクラスタを識別する。そのような実施形態では、少なくとも所定の閾値パーセンテージまたは所定数の第1の車両レーダーポイント候補を含む、第2の車両に最も近い位置にあるクラスタを選択することで、第1の車両の後部を表すことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の車両の位置を推定するためにカルマンフィルタリングが使用される。
【0011】
別の態様では、後続車両に搭載された距離測定ユニットを使用して特定の先行車両を追跡する方法が説明されている。この実施形態では、現在のレーダー(または他の距離測定)サンプルは、レーダー(または他の距離測定)ユニットから取得される。現在の距離測定サンプルは、ゼロ以上の対象物ポイントの集合体を含む。並行して、現在のサンプルに対応する先行車両の状態の現在の推定値が取得される。現在の状態推定値は、位置パラメータ(先行車両の現在の相対位置等)、速度パラメータ(先行車両の現在の相対速度等)、および/または他の位置および/または方位関連パラメータを含み得る(ただし、これらに限定されない)1つ以上の状態パラメータを含む。
【0012】
先行車両の状態の現在の推定値は、関連する状態不確定性を有し、現在の距離測定サンプルからのいずれの情報も考慮に入れない。状態不確定性の範囲内で、対象物ポイントのいずれかが先行車両の推定状態と一致するか否かに関して判定される。一致する場合、先行車両の推定状態に最も一致する適合する対象物ポイントが先行車両の測定された状態として選択される。次に、先行車両のその測定された状態が、順次に次のサンプルに対応する先行車両の状態の順次に次の推定値の決定に使用される。以上のステップを複数回繰り返すことにより、先行車両を追跡する。先行車両の測定された状態は、車両の一方または両方の制御において、例えば車両のプラトーンまたは隊列システムの状況の中で、先行車両と後続車両との間の所望のギャップを維持するための後続車両の少なくとも部分的な自動制御において使用され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、各サンプルは、各対象物ポイントについて、そのような対象物ポイントに対応する(距離測定ユニットに対する)検出された物体の位置を示す。先行車両の状態の現在の各推定値は、先行車両の(相対)位置の現在の推定値を含み、関連する位置の不確定性を有している。有効な測定と見なされるためには、選択された適合する対象物ポイントは、位置不確定性の範囲内で先行車両の推定位置と一致していなければならない。いくつかの実施態様では、先行車両の現在の推定位置により、先行車両の後部の現在位置を推定する。
【0014】
いくつかの実装形態では、各サンプルは、各対象物ポイントについて、そのような対象物ポイントに対応する(距離測定ユニットに対する)検出された対象物の相対速度を示す。先行車両の状態の現在の各推定値は、先行車両の相対速度の現在の推定値を含み、関連する速度不確定性を有する。有効な測定値と見なされるためには、選択された適合する対象物ポイントが速度不確定性の範囲内で先行車両の推定された相対速度と一致しなければならない。
【0015】
いくつかの実施形態では、特定の距離測定サンプル内のレーダー対象物ポイントのいずれも状態不確定性の範囲内の先行車両の推定状態と一致しない場合、順次に次の先行車両の状態の推定について状態不確定性が増加する。
【0016】
いくつかの実施形態では、全球測位衛星システム(GNSS)位置更新は、少なくとも部分的に先行車両および後続車両の検出されたGNSS位置に基づいて定期的に受信される。車両GNSS位置更新が受信されるたびに、そのような位置更新に基づいて、先行車両の推定状態および状態不確定性が更新される。
【0017】
いくつかの実施形態では、車両速度の更新は、少なくとも部分的に先行車両および後続車両の検出された車輪速度に基づいて定期的に受信される。車両速度の更新が受信されるたびに、そのような先行車両の速度の更新に基づいて、先行車両の推定状態および状態不確定性が更新される。
【0018】
別の態様では、特定の車両の少なくとも部分的な自動制御に使用するために、異なる車両から得られたセンサデータを融合するための様々な方法、コントローラ、およびアルゴリズムが記載されている。記載された技術は、プラトーン、隊列、および他の接続された運転用途を含む様々な異なる車両制御用途と共に使用するのに非常に適している。
【0019】
一態様では、第2の車両に関する情報は、第1の車両および第2の車両が運転している間に、第1の車両上の第1のセンサを使用して、第1の車両にて検知される。第2の車両に関する情報も第2の車両から第1の車両によって受信される。受信された第2の車両に関する情報を利用することで、第2の車両に関して検知された情報が第2の車両の有効な測定値であるか否かを判定するのを助ける。続いて、第1の車両は、第2の車両に関して検知された情報の態様に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも部分的に自動制御される。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1のセンサは第2の車両までの距離を測定する。いくつかの実装形態では、第1のセンサは、第1の車両に対する第2の車両の速度も検出する。異なる実施形態では、第1のセンサは、レーダーユニット、LIDARユニット、ソナーユニット、飛行時間距離センサ、第2の車両上のビーコンから送信された信号を受信するように構成されたセンサ、カメラ、およびステレオカメラユニットのいずれかとすることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、受信された第2の車両情報は、第2の車両の現在位置の全球測位衛星システム(GNSS)位置測定、第2の車両の速度または相対速度を示す速度情報(例えば車輪速度等)、および第2の車両の加速度、向き、ステアリング角、ヨーレート、チルト、傾斜または横移動のうちの少なくとも1つの表示のうち、1つ以上を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、受信した第2の車両情報は、第2の車両の予測状態を含む。予測状態は、任意に、第2の車両の予測位置、予測速度、予測加速度、予測向き、予測ヨーレート、予測チルト、予測傾斜、および予測横移動のうちの1つ以上を含み得る。
【0023】
記載された手法は、トラクタ-トレーラトラックプラトーン用途を含む車両プラトーンおよび/または車両隊列システムでの使用に非常に適している。
【0024】
本発明およびその利点は、添付の図面と併せて、以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】代表的なプラトーン制御アーキテクチャのブロック図である。
図2】レーダーユニットの出力に基づいてプラトーンパートナーの有効長を決定する方法を示すフローチャートである。
図3】パートナー車両の予想位置に対するバウンディングボックスの性質を示す概略図である。
図4A】先行トラックの真後ろに連なる後続トラックに関連するレーダーユニットによって識別され得る例示的なレーダー対象物ポイントを示す概略図である。
図4B図4Aの先行トラック全体がレーダーユニットの視野内にない状況を示す概略図である。
図4C図4Aの先行トラックに関連するバウンディングボックスが完全にレーダーユニットの視野内にない状況を示す概略図である。
図4D】先行トラックが後続トラックとは異なる車線内にあるが、そのバウンディングボックス全体がレーダーユニットの視野内にある状況を示す概略図である。
図5図5Aは、トラクタ-トレーラリグに連なる際に検出され得るパートナー車両レーダーポイント候補の第1の代表的な集合体の(縦方向および横方向の)相対位置を示すグラフである。図5Bは、図5Aに示す検出されたパートナー車両レーダーポイント候補の長手方向距離を表すヒストグラムである。図5Cは、図5Bに表されるヒストグラムポイントの平均シフト中心を示すプロットである。図5Dは、トラクタ-トレーラリグに連なる際に検出され得る第2の(拡大された)パートナー車両レーダーポイント候補の集合体の(縦方向および横方向の)相対位置を示すグラフである。図5Eは、図5Dに示す検出されたパートナー車両レーダーポイント候補の長手方向距離を表すヒストグラムである。図5Fは、図5Eに表されるヒストグラムポイントの平均シフト中心を示すプロットである。
図6】受信したレーダーシーンを解釈するために車両コントローラによって使用されるのに適したレーダーシーンプロセッサの概略ブロック図である。
図7】いずれかの特定のレーダーシーンがパートナー車両の後部の位置を報告しているか否かを判定し、図6の推定値を更新する方法を示すフローチャートである。
図8】いくつかの実施形態での使用に適したカルマンフィルタ状態配列および共分散行列を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面において、同様の参照番号は同様の構造的要素を示すために使用される場合がある。図中の描写は概略的であり、縮尺通りではないこともまた理解すべきである。
【0027】
本出願人は、第2の、そして潜在的に更なる車両を安全に先行車両に近接して連なるように自動的または半自動的に制御する様々な車両プラトーンシステムを提案してきた。例えば、特許文献1~特許文献10は、後続車両が指定された先行車両に近接して連なるように少なくとも部分的に自動制御される様々な車両プラトーンシステムを記載している。これらの以前の出願はそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
プラトーンの目的の1つは、通常、プラトーン車両間の所望の長手方向距離を維持することであり、これは本明細書ではしばしば「所望のギャップ」と呼ばれる。即ち、後続車両(例えば、後続トラック)が特定の車両(例えば、先行トラック)に対して指定されたギャップを維持することが望ましい。プラトーンに関与する車両は通常、プラトーンを開始し、様々な異なる運転条件の下でギャップを維持し、必要に応じてプラトーンを適切に解消するのに適した高度な制御システムを有する。
【0029】
車両のプラトーンを実施するのに適した制御システムのアーキテクチャおよび設計は、大きく異なり得る。例えば、図1は、トラクタ-トレーラトラックのプラトーンに使用するのに適した車両制御アーキテクチャを図式的に示す。図示の実施形態では、プラトーンコントローラ110は、トラクタおよび/または1つ以上のトレーラ上の複数のセンサ130または他の接続ユニットからの入力を受信し、複数のアクチュエータおよびアクチュエータコントローラ150が、トラクタのパワートレインおよび他の車両システムの動作を制御するように構成されている。アクチュエータインタフェース(図示せず)を設けることで、プラトーンコントローラ110とアクチュエータコントローラ150との間の通信を容易にすることができる。プラトーンコントローラ110は、プラトーンパートナーとの通信を調整する車両間通信コントローラ170と、ネットワークオペレーションセンター(NOC)との通信を調整するNOC通信コントローラ180とも相互作用する。車両はまた、車両に関する既知の情報を含む構成ファイルを選択していることが好ましい。
【0030】
プラトーンコントローラ110の機能構成要素の一部は、ギャップレギュレータ112、質量推定器114、レーダートラッカー116、およびブレーキヘルスモニタ118を含む。多くの用途では、プラトーンコントローラ110は、同様に様々な他の構成要素を含む。
【0031】
プラトーンコントローラ110によって利用されるセンサの一部は、GNSS(GPS)ユニット131、車輪速度センサ132、慣性計測装置134、レーダーユニット137、LIDARユニット138、カメラ139、アクセルペダル位置センサ141、ステアリング車輪位置センサ142、ブレーキペダル位置センサ143、および様々な加速度計を含み得る。もちろん、これら全てのセンサをプラトーンに関与する全車両で利用できるわけではなく、これら全てのセンサが特定の実施形態において必要とされるわけでもない。他の実施形態では、プラトーンコントローラによって、付加的または代替的に、(現存している、または後に開発される、または商業的に展開されている)様々な他のセンサを利用することができる。本明細書に記載の主な実施形態では、GPS位置データが使用される。しかしながら、GPSは、現在利用可能な全球測位衛星システム(GNSS)のうちの1つにすぎない。それ故、GPSシステムの代わりに、またはGPSシステムに加えて、任意の他のGNSSシステムまたは他の適切な位置検出システムからのデータを使用することができることを理解すべきである。
【0032】
車輪速度センサ132、レーダーユニット137、アクセルペダル位置センサ141、ステアリング車輪位置センサ142、ブレーキペダル位置センサ143、および加速度計144を含む、記載したセンサの(全てではないが)多くは、セミトレーラを引っ張るのに使用されるより新規なトラック(トラクタ)上の比較的標準的な装置である。しかしながら、GNSSユニット131およびLIDARユニット138(使用される場合)のような他のものは、現在そのようなトラクタ上の標準装備ではないか、または特定の車両上に存在し得ない場合があり、プラトーンをサポートするのに役立てるために必要に応じて、または所望に応じて搭載され得る。
【0033】
プラトーンコントローラが少なくとも部分的に指示する車両アクチュエータコントローラ150の一部は、トルク要求コントローラ152(ECUまたはパワートレインコントローラに統合されてもよい)、変速機コントローラ154、ブレーキコントローラ156およびクラッチコントローラ158を含む。
【0034】
車両間の通信は、任意の適切なチャネルを介して指向することができ、車両間通信コントローラ170によって調整され得る。例えば、車両間通信用に開発された、双方向の短距離から中距離無線通信技術である専用短距離通信(DSRC)プロトコル(例えば、IEEE802.11pプロトコル)が上手く機能する。当然ながら、DSRCリンクに加えて、またはその代わりに、他の通信プロトコルおよびチャネルを使用することができる。例えば、車両間通信は、付加的または代替的に、CB無線チャネル、1つ以上のGMRSバンド、および1つ以上のFRSバンドまたは、任意の適切な通信プロトコルを使用する、任意の他の現存する、または後に開発される通信チャネルを介して送信され得る。
【0035】
車両間でやり取りされる特定の情報は、プラトーンコントローラのニーズに基づいて大きく異なり得る。様々な実施形態では、送信される情報は、要求された/命令されたエンジントルク、要求された/命令されたブレーキ減速等のプラトーンコントローラによって生成される現在のコマンドを含むことができる。これらの態様がプラトーンコントローラによって制御されるとき、情報にはステアリングコマンド、ギアコマンド等も含まれ得る。対応する情報は、これらのコマンドがパートナー車両上のプラトーンコントローラまたは他の自動もしくは半自動コントローラ(例えば、アダプティブクルーズコントロールシステム(ACC)または衝突緩和システム(CMS))によって、または他のあるいはより伝統的な機構を介して(例えば、ドライバーの入力(例えば、アクセルペダル位置、ブレーキ位置、ステアリングホイール位置等)に応答して)生成されたか否かに関わらず、パートナー車両から受信される。
【0036】
多くの実施形態では、プラトーンコントローラに提供されるトラクタセンサ情報の大部分または全部もまたプラトーンパートナーに送信され、対応する情報がプラトーンパートナーから受信される故に、各車両のプラトーンコントローラはパートナー車両が何をしているかに関する正確なモデルを作成することができる。プラトーンコントローラに関連する任意の車両構成情報を含む、プラトーンコントローラに提供される任意の他の関連情報についても同じことが当てはまる。送信される特定の情報は、プラトーンコントローラ、各車両で利用可能なセンサおよびアクチュエータ、並びに各車両が自身に関して有し得る特定の知識の要件に基づいて大きく異なり得ることを理解されたい。
【0037】
車両間で送信される情報は、意図された将来の行動に関する情報も含み得る。例えば、先行車両が丘に接近していることを認知している場合、近い将来にそのトルク要求を増大させる(または下り坂の状況ではそのトルク要求を減少させる)ことが予想され、この情報は、プラトーンコントローラによって適宜使用するために後続車両に伝えられる。もちろん、将来のトルクまたはブレーキ要求を予測するために使用することができる多様な他の情報が存在しており、その情報を様々な異なる形式で伝達することができる。いくつかの実施形態では、予想される事象自体の性質(例えば、丘、またはカーブもしくは出口の接近等)をそのような事象の予想されるタイミングと共に示すことができる。他の実施形態では、予想されるトルクおよび/または他の制御パラメータ等の予想される制御コマンド、並びにそのような変更が予想されるタイミングに関して、意図される将来の動作を報告することができる。もちろん、プラトーン制御に関連する可能性がある様々な種類の予想されるイベントがある。
【0038】
車両とNOCとの間の通信は、セルラーネットワーク、様々なWi-Fiネットワーク、衛星通信ネットワーク、および/または必要に応じて様々な他のネットワーク等の多様な異なるネットワークを介して送信することができる。NOCとの通信は、NOC通信コントローラ180によって調整されてもよい。NOCに送信される、および/またはNOCから受信される情報は、全体的なシステム設計に基づいて大きく異なり得る。一部の状況では、NOCは、標的ギャップ公差等の特定の制御パラメータを提供し得る。これらの制御パラメータまたは制約は、制限速度、道路/地形の性質(例えば、丘陵対平坦、曲がり対直線等)、気象条件、交通状況または道路条件等、NOCで知られている要因に基づいてもよい。他の状況では、NOCはそのような情報をプラトーンコントローラに提供することができる。NOCはまた、その構成情報および重量、トレーラ長等の現在の動作状態に関する任意の既知の関連情報を含む、パートナー車両に関する情報を提供することもできる。
【0039】
レーダートラッキング
プラトーンに関与する車両は通常、近くの物体を検出するために使用される1つ以上のレーダーシステムを有する。レーダーシステムは物体間の距離を決定するのに非常に優れている傾向がある故、レーダーユニットによって報告される分離距離は車両間のギャップを制御するのに極めて有用である。従って、一旦プラトーンパートナーを特定すると、レーダーシステムの出力に照らして、その特定のパートナー車両を見つけることが重要である。即ち、レーダーユニットによって識別される可能性がある様々な異なる対象物のうちのどれが(存在する場合)標的パートナーに一致するかを決定することが重要である。
【0040】
予備的には、プラトーンパートナーは、レーダーユニットによって検出された最も近い車両または後続トラックの真正面にある車両と常に相関するわけではないことを理解されたい。このケースを引き起こし得る様々な異なるシナリオがある。例えば、プラトーンが最初に設置されるとき、パートナーは遠すぎるためにホスト車両のレーダーユニットの視野に入らない場合がある。パートナーがレーダーユニットを視認するようになると、そのパートナーをレーダーユニットの視野内の他の対象物と識別し区別することが重要になる。以下の説明は、レーダーユニットがパートナー車両を効果的に追跡する(時に、パートナーへの「ロッキング」とも称される)ことができるように、レーダーユニットによって検出され得る他の対象物から指定されたパートナーを識別し区別するのに特に適した技術を説明する。
【0041】
更に、運転の過程で、隣を通行する隣接する車線において、プラトーンを通過するか、またはプラトーンに追い越される交通があり、ギャップコントローラが間違った車両からのギャップを維持しようと試みないように、レーダーユニットがプラトーンパートナーを通過する車両と区別し続けることができることが重要である。別の例では、先行トラックが車線を変更する可能性があり、この時点では、先行トラックは後続車両の真正面にない可能性がある故、レーダーユニットによって報告されるプラトーンパートナー間の距離が、最も近い車両や、偶発的に後続トラックの真正面にいる車両ではなく、プラトーンパートナーと関連付けられることが重要である。レーダーユニットがプラトーンパートナーを「視認する」ことができない場合もある。これは、プラトーンパートナー間で侵入者が侵入したか、または先行車両が後続車両のレーダーユニットの視野から外れるように操縦されたか、またはレーダー信号との干渉等に起因し得る。
【0042】
プラトーン制御の目的のために、車両の後部が車両の報告された位置に対してどこにあるかを理解することも重要である。詳述すると、パートナー車両の位置は、一般に、ホスト車両に送信されるGPSベースの位置情報から分かる。しかしながら、GPSシステムは、通常、例えばGPS信号を受信するアンテナの位置等、トラクタ上の位置を報告する。また、検出されたGPS位置は、GPSアンテナから既知の距離である車両上の基準位置に変換され、その基準位置が車両の報告されたGPS位置として機能する。選択された特定の基準位置は、制御システムの好みに基づいて可変である。例えば、いくつかのトラクタトレーラトラックのプラトーンの実施形態では、基準位置はトラクタの後方車軸の中心であり得る。
【0043】
報告されたGPS位置と車両の物理的な後部との間の差異は、プラトーン制御にとって重要であり得る。従って、報告された車両位置と実際の車両の後部との間の距離を知ることが重要となる場合が多い。これは、本明細書では時に「有効車両長」と呼ばれる。有効車両長は、報告されたGPS位置が、典型的にはキャブ(トラクタ)のどこかにあり、報告されたGPS位置からトレーラの後部までの距離がかなり長い、トラクタトレーラトラックの状況では、特に重要である。例えば、12~18メートル程度のトレーラ長は米国では一般的であるが、より短くてもより長くてもよい(ダブルまたはトリプルトレーラの場合には実際にははるかに長い)。報告されたGPS位置から車両の後部までの距離はまた、報告されたGPS位置からトレーラの前部までの長手方向の距離および/または荷重に関連する任意の延長部も考慮に入れなければならない。トラック輸送業界では、任意の特定のトラクタが様々な異なるトレーラを引っ張る場合があり、トラクタとトレーラとの間の取り付け点がトラクタ上で調節可能である故に、有効車両長は分からない場合が多いことを理解すべきである。
【0044】
プラトーンパートナーのレーダーフィックスの確立
上記の説明から明白であるように、プラトーンタイプの用途でレーダーを使用する際に生じる課題は、最初にパートナー車両をレーダーシステムの出力に照らして発見し識別した後に、絶えず変化する条件下で確実に追跡しなければならない点が挙げられる。トラック輸送業界等の用途では、少なくとも先行車両の有効長を決定することも望ましい。
【0045】
一般的な路上走行車のオートメーションシステムで使用される市販のレーダーユニットは、通常、指定されたフィールド内で検出された任意の対象物の存在を示すデータと共に、こうした対象物の相対位置および速度を出力する。従って、運転中に、そのようなレーダーユニットは、その動作フィールド内の様々な対象物の存在を検出する場合がある。検出された対象物は、ホスト車両の真正面に位置する任意の車両、プラトーンを通過するか、プラトーンに追い越されるか、またはプラトーンに並走する可能性がある隣接車線の車両、道路内の障害物、標識、木、および道路脇のその他の物体等の静止物体等を含み得る。多くの異なる種類の対象物が検出され得るが、レーダーユニット自体は典型的には検出された物体のアイデンティティまたは性質を知らないかまたは伝えない。むしろ、レーダーユニットは、単にその操作範囲内のあらゆる知覚される物体の相対位置および運動を報告するだけである。従って、レーダーユニットの出力に関連してパートナー車両を識別し追跡するためには、レーダーユニットの出力を解釈するロジックが、パートナー車両がその視野内にあるか否かにかかわらず、パートナー車両がレーダーユニットの視野に関連して想定される場所を正確に把握し維持することが有用である。これは、プラトーンシステムが、車両の位置を決定するのを助けるために使用することができる複数の独立したメカニズムを有することが好ましい故に、パートナーを識別するための明示的なメカニズムが提供されていない場合でも可能である。
【0046】
プラトーンパートナーが識別されると、通信リンクがプラトーン車両間に確立されることが好ましい。通信は、DSRCリンク、セルラーリンク等の1つ以上の無線リンクを介して確立することができる。一旦2つの車両間で通信が確立されると、それらはそれぞれ自身に関するデータ、即ちそれらの現在位置および操作状況に関して送受信を開始する。潜在的なプラトーンパートナーを識別し、プラトーンおよび適切な通信リンクを確立するために使用されるプロセスは、大きく異なり得る。例えば、本出願人によって以前に出願された特許文献1、特許文献2、特許文献8、特許文献9、および特許文献10に、いくつかの代表的な技術が記載されており、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
一旦プラトーンパートナーが識別されると、プラトーンコントローラ110はレーダーシステム制御ロジックにパートナー車両の発見を試みるように要求する。より具体的には、後続車両のレーダートラッカー116は、そのデータをギャップ制御に使用することができるように、レーダーユニットの出力に照らして先行車両の後部を発見してから追跡する必要がある。次に、図2を参照して、プラトーンパートナーにレーダーフィックスを確立するのに特に適した方法を説明する。レーダーフィックスを確立する一態様として、GPS位置情報をレーダーシステム出力に相関させることができるように、パートナーの長さを決定することが挙げられる。
【0048】
プロセスが開始すると、レーダートラッカーの制御ロジックは、パートナー車両の現在の相対位置の推定値を決定、受信または要求し、図2のステップ203で表されるように、パートナー車両の相対位置が入手可能になると、パートナー車両の相対位置に関する更新を読み取り、または定期的に受信する。相対位置に加えて、推定情報は、任意に、車両の相対速度、車両の相対方位等、様々な追加の位置関連情報を含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、レーダートラッカーの制御ロジックは、ホスト車両とパートナー車両との両方からの様々なセンサ入力に基づいて、パートナー車両の現在の相対位置、速度、および向き(方位)を推定するように構成される。上述したように、プラトーンパートナーはお互いに通信しており、プラトーン中には、プラトーンパートナーはそれらの現在位置および稼働状態に関して絶えず更新される情報を含む、それら自身に関する広範な情報をやり取りする。例えば、レーダユニットデータを解釈するのに役立ち得る位置関連情報の一部は、パートナー車両のGPS位置、車輪速度、向き/方位(車両が向いている方向)、ヨーレート(車両の回転速度を示す)、ピッチ、ロール、および(上記のいずれかの方向の長手方向かつ角度的な)加速度/減速度等の情報を含み得る。動作関連情報はまた、現在のトルク要求、ブレーキ入力、ギア等のような対象となる様々な他の情報も含み得る。車両に関する情報は、車両の製造元およびモデル、その長さ(知られている場合)、その装備、推定重量等の情報を含み得る。これらおよび/または他の利用可能な情報のいずれも位置関連推定に使用することができる。例として、1つの特定の位置推定器が図6および図7に関連して以下に説明されている。
【0050】
特定の推定器が説明されているが、推定されたパートナー車両位置の関連情報は、任意の適切な情報源から得ることができ、推定はレーダートラッカー制御ロジック自体によって行われる必要はないことを理解されたい。更に、位置および動作情報は車両間で両方向に送信されることが好ましいが、ホスト車両がパートナー車両に関して必要な情報を取得することができる限り、それは必須ではない。
【0051】
現在地関連情報は非常に頻繁に更新される。更新の実際の頻度は、更新される情報の性質および情報を提供する通信リンクまたは車両システムの性質に基づいて大きく異なり得るが、DSRCリンクを介して受信されるGPS位置や車輪速度等の項目の更新頻度は、例えば50Hzのように、10~500Hz程度の周波数で上手く機能し、他の実施形態では、より遅い更新頻度およびはるかに速い更新頻度が必要に応じて使用されてもよい。更に、位置関連情報の定期的な更新が望ましいが、それらが同期的にまたは一定の間隔で受信される必要はない。
【0052】
レーダーシステムがパートナー車両の位置を突き止めようと試みるとき、パートナー車両はレーダーユニットの視野内にあってもなくてもよいことを理解されたい。しかしながら、ホスト車両の位置とパートナー車両の位置との両方は、少なくとも受信されたGPSデータに基づいて一般に認識されている故に、合理的な確実性でそれらの分離を推定することは容易である。GPS位置信号はかなり優れている傾向があるが、報告される位置は幾分かずれている可能性がある故、報告された位置を絶対に確実な情報として扱うのではなく、何らかの報告されたGPS位置を幾分か不確実な推定値として扱う方が良いことを理解すべきである。パートナー車両位置を推定するのに適したいくつかの特定のアルゴリズムに関する更なる詳細を、以下で更に詳述する。車両オートメーション用途に使用される市販のGPSセンサからのGPS位置の読み取りは、少なくとも4つのGPS衛星まで見通すことができる場合、実際の道路状況において約2~3メートル以内で正確になる傾向がある。しかしながら、当然のことながら、一部のGPSセンサは一般により正確であるが、干渉や必要な数量のGPS衛星までの見通しがない領域における操作等の変数により、全てのGPSセンサが常に正確であると保証されるわけではない。
【0053】
一旦パートナー車両の相対位置推定値が認識されると、バウンディングボックスがパートナーの推定相対位置の周囲に適用される(図2のステップ206)。バウンディングボックスの目的は、パートナー車両が発見されることが「予想される」領域を画定することである。その後、ロジックにより、そのバウンディングボックス内に位置するレーダー検出対象物を探して、パートナー車両と相関し得る対象物を識別する。バウンディングボックスの概念はいくつかの理由から役に立つ。最初に、GPSユニットは、一般に、トラクタ-トレーラトラックの場合にはキャブ上にある、GPSユニットのアンテナの位置を報告することを理解されたい。典型的には、この検出された位置は、次に、トラクタ上の所定の基準位置に変換され、その変換された位置は報告されたGPS位置として使用される。従って、トラクタ-トレーラについて報告されたGPS位置は、トレーラの後部のかなり手前であるが、これは(a)ギャップ制御目的にとって最も重要なポイントであり、かつ(b)典型的には、後続プラトーンパートナーからのレーダーユニットによって識別される最も顕著な特徴である。更に、報告されたGPS位置とトレーラの後部との間の距離は、多くの状況において認識できないであろう。不確実性の理由の1つとして、特定のトラクタ(キャブ)を使用して、潜在的に異なる長さを有する様々な異なるトレーラ(または他の荷物)を引っ張ることができる点が挙げられる。従って、トラクタ-トレーラの組合せの有効長は、トリップ毎に、および制御の観点から変化する可能性があり、トリップ毎に、トラクタ-トレーラの組合せの有効長を手動で入力することをドライバーに頼ることは一般に望ましくない。比較的程度は低いが、両方のプラトーンパートナーの報告されたGPS位置は、ある程度の不確実性の影響を受ける。
【0054】
使用されるバウンディングボックスの実際のサイズおよび幾何学的形状は変化し得るが、推定されたGPS位置における不確実性を考慮して、可能なバッファを加えた車両長および車両幅の全範囲を包含するのに十分に大きい領域であることが望ましい。従って、トラック輸送用途の場合、バウンディングボックスの長手方向の長さは、遭遇することが予想される任意のトラクタ-トレーラの組み合わせよりも長いことが望ましい。例えば、通常のトラクタトレーラの組み合わせを含む米国の商業用トラック輸送用途は、一般的には、合計長が23メートルを大幅に超えない。そのような用途では、長さが32メートルかつ幅が3~4.5メートル程度、例えば幅が3.8メートルのバウンディングボックスが上手く機能することが判明した。より長いトレーラまたはダブルあるいはトリプルトレーラの使用が可能な地域では、トラクタ-トレーラの組み合わせはより長くなる可能性があり、それ故により長いバウンディングボックスが適切となり得る。プラトーンパートナーの実際の長さが認識されている場合は、GPSの位置とトレーラの後部との間の予想されるずれをより正確に反映するようにバウンディングボックスのサイズを調整することができ、これを有効車両長に相関させる。しかしながら、プラトーンパートナーの有効長および幅が「認識されている」と考えられる場合でさえ、GPS推定値の不正確性と、積荷が車両の報告された長さを超えて延在する特性を含み得るとの可能性とに対応するために、報告された長さおよび幅より大きいサイズのバウンディングボックスを利用することが依然として望ましい場合もある。
【0055】
バウンディングボックスは本質的に直線的である必要はないが、バウンディングボックスは任意の所望の幾何学的形状を包含することができ、および/または長手方向の長さおよび横方向の幅以外の寸法(例えば、相対速度)を含むことができる。従って、バウンディングボックスは、任意の所望の方法で定義することができる。
【0056】
2台のトラックからなるプラトーンにおける先行トラック251の周囲に適用された代表的なバウンディングボックス255が図3に概略的に示されている。図示の実施形態では、各トラックは、そのトラクタ(キャブ)上に配置されたGPSユニット258と、キャブの前部に配置されたレーダーユニット260とを有する。バウンディングボックスは、先行トラック251の長さおよび幅を超えていることが分かる。
【0057】
いくつかの実施形態では、バウンディングボックスはより複雑に定義されてもよい。例えば、特定の一実施形態では、車両の横方向オフセット(Yoff)および相対速度(V)の二乗を閾値(Th)と比較することができる。レーダーポイントがバウンディングボックスの縦方向の範囲内であっても、これらの二乗の合計が指定された閾値(Th)を超えると、レーダーポイントは拒否される。このような試験は、以下に示すように数学的に表すことができる。
【数1】

この場合、対象物は拒否される。このような手法では、バウンディングボックスは、第3の軸である速度を有する状態空間マップ内におけるチューブの外観を効果的に有する。そのような手法の論理は、検出された対象物の測定された横方向オフセットおよび測定された速度の両方が比較的低い確率の一致である場合、検出されたポイントは、これらのパラメータのうちの一方がずれているが、他方が想定値に非常に近接している場合よりも一致する可能性が低い(従って、パートナー車両の後部を識別するという目的のために無視するのにより適している)。いくつかの特定のバウンディングボックスを定義する手法のみを説明してきたが、他の実施形態では、必要に応じて多種多様な他のバウンディングボックスの定義を使用することができることは明白であるはずである。更に、バウンディングボックスの定義は、経時的に変化するように構成されてもよい。例えば、アルゴリズムにより、どのレーダー対象サンプルポイントがパートナー車両またはパートナー車両の後部に対応する可能性が高いかについての理解が深まり始めると、バウンディングボックスのうちの1つ以上の選択された寸法を縮小することができる。
【0058】
一旦バウンディングボックスが確立されると、ロジックにより、バウンディングボックス全体が他の車両のレーダーユニットの視野263内にあるか否かを判定する(ステップ209)。視野263内にない場合、ロジックは、バウンディングボックス全体がレーダーユニットの視野内に入るのを待ち、パートナー車両を識別するためにレーダーシステム出力を有用に無視する(もちろん、所望の場合、レーダーシステム出力を衝突回避等の他の目的に使用することもできる)。パートナー車両が任意の特定の時間にレーダーユニットの視界内に、または完全に視界内にない理由には多様な理由がある。最初に、プラトーンをサポートするために使用されるレーダーユニットは車両上の様々な異なる場所に配置することができるが、それらはしばしば比較的狭い視野を有することを理解されたい。例えば、1つの一般的な手法として、比較的狭い固定ビームを有する前方を向くレーダーユニットをフロントバンパーの中央付近に配置して、車両の前方の対象物を検出する方法が挙げられる。そのような配置は図3に示されている。同図には、後続トラック252に配置されたレーダーユニット260の視野263も示されている。
【0059】
前方を向いているレーダーユニットが使用される場合、そのホスト車両の後方または側方にいかなる車両も認識することができないであろう。パートナー車両がレーダーユニットホストよりも前方にある場合でさえも、プラトーンパートナーが最初に識別された場合のように、パートナー車両がホストよりもはるかに前方または角を曲がったところにある場合に、視野から外れる可能性がある。場合によっては、プラトーンパートナーが部分的にレーダーユニットの視野内にある場合がある。このような場合の一般的な例として、パートナー車両が隣接する車線内にあり、そのトレーラの後部が前方に向けられた狭いレーダーユニットによって認識されるのに十分なほど前方に離れていない距離にある場合が挙げられる。バウンディングボックスの後部がレーダーユニットの視野内にない場合、レーダーユニットによって検出されるパートナー車両の最も後方の部分が実際には車両の後部ではないリスクがある故に、レーダーサンプルを利用することは望ましくないことを理解されたい。
【0060】
図4A図4Dは、プラトーンを確立するプロセスにある2台のトラックの(多数のうちの)少数の可能性のある相対位置を示している。図4Aでは、先行トラック251は後続トラック252の真正面にあり、そのバウンディングボックス255は後続トラックレーダーユニット260の視野263内に完全に入っている。対照的に、図4Bにおいて、先行トラック251は、後続トラック252に隣接する車線内にあり、また、全てではないが一部の先行トラック251自体(従って、全てのバウンディングボックス255ではない)は、後続トラックレーダーユニット260の視野263内にある。図4Cでは、先行トラック251は、後続トラック252に隣接する車線内にあり、バウンディングボックス255全体ではないが、全ての先行トラック251自体が、後続トラックレーダーユニット260の視野263内にある。図4Dでは、先行トラック251は、後続トラック252に隣接する車線内にあるが、図4Bおよび図4Cとは異なり、先行トラック251に関連するバウンディングボックス255全体が後続トラックレーダーユニット260の視野263内にある。バウンディングボックス全体がレーダーユニットの視野内にない場合(例えば、図4Bまたは図4Cに示すように、または、さもなければ先行車両が不可視である場合)、パートナー車両識別ロジックは、ステップ209において、バウンディングボックス全体がレーダーユニットの視野内に入るのを待つ。
【0061】
バウンディングボックス全体がレーダーユニットの視野内にある場合(例えば、図4Aまたは図4Dに示すようなシナリオ)、レーダーシステムコントローラロジックは次のレーダーサンプルを取得し(ステップ212)、パートナー車両の位置および自身に対する速度の現在の推定値を取得する(ステップ215)。路上走行車用途に利用される市販の短距離レーダーユニットは、一般的には、比較的速いサンプルレートでそれらの検知されたシーンを出力するように構成されている。各シーンは、一般的には、検出されたゼロ以上の物体のセット、およびレーダーユニット自体に対するそのような物体の速度を識別する。
【0062】
レーダーシステムの性質として、送信された電波が、任意の意図されたターゲットと潜在的に多種多様な異なるアイテムとの両方を含む電波の経路内のほとんどのものによって反射され得る点が挙げられる。従って、プラトーンを確立しようとするとき、所望のパートナーを表す反射信号を識別し、そのパートナーを他の物体から反射されたノイズと区別することができるようにすることが重要である。例えば、道路に沿って運転するとき、レーダーユニットは、すぐ前方にある任意の車両や、同じ方向または反対方向に進む通過車両、高速道路または道路沿いの看板、木、その他の物体等の道路の側方の物体等を含む複数の異なる車両からの反射を受信し得る。
【0063】
検知されたシーンが受信されると、レーダーシステム制御ロジックは、ステップ218によって表されるように、識別された物体のいずれかがパートナー車両レーダーポイント候補であるか否かを決定する。レーダーユニット260によって検知され得る代表的な物体は、図4A図4DにXによって表されている。パートナー車両レーダーポイント候補としての資格を得るためには、シーン内で検出された物体は、位置と速度との両方の観点からバウンディングボックス内になければならない。バウンディングボックスの外側に位置するレーダー物体は、パートナー車両に対応しない可能性が比較的高い故に、拒絶されることが好ましい。例えば、それらは、隣接する車線272、273内の車両、プラトーンパートナー間に位置する侵入者(図示せず)、道路274の側方の物体等に対応し得る。パートナー車両の想定される相対速度にほぼ一致しない物体も、バウンディングボックスの予想される位置の側面と縦方向および横方向に一致していたとしても、プラトーンパートナーに対応する可能性が低い故に拒否されることが好ましい。例えば、道路の側方にある特徴(例えば、道路標識、木や静止車両)、道路内の破片、あるいは道路自体に検出される特徴(例えば、穴等)のような静止物は、ホスト車両が走行している速度でレーダーユニットに接近しているように見える。商業的に入手可能な多くのレーダーユニットは、静止物体を自動的に除去し、報告しないことに留意されたい。そのようなレーダーユニットが使用される場合、静止物体はレーダーシーンの一部として識別さえされないだろう。
【0064】
報告されたレーダー物体の一部は、ホスト車両と同じ方向に移動しているが、予想されるパートナーの速度とは異なる相対速度で移動している可能性がある。そのようなレーダー物体がパートナー車両に対応しない可能性が比較的高い故に、これらのタイプのレーダーポイントもまた無視されることが好ましい。
【0065】
定義されたバウンディングボックスの範囲内でパートナーの予想位置および予想速度と一致するように見える検出されたレーダー物体は全て、パートナー車両レーダーポイント候補と見なされ、それらが、パートナーの推定位置(例えば、パートナーのGPS位置)から縦方向に(パートナーの縦軸に沿って)どれだけ離れているかに関連して分類される。いくつかの実施形態では、この分類のためにヒストグラムが利用される。ヒストグラム内のビンの数は可変である。計算を容易にするために、バウンディングボックスの長さにわたって512個のビンを均等に分割すると上手く機能することが判明したが、任意の特定の用途に応じてより多いまたはより少ないビンを使用することもできる。512個のビンを有する約32メートルのバウンディングボックスを使用する実装形態では、各ビンは約6cm(2~3インチ)に対応している。より高い解像度が望まれる場合、より多くのビンを使用することができる。
【0066】
路上走行車の用途に利用される短距離レーダーユニットが、図4A図4Dのレーダーポイント276~279によって表されるように、実際には同一の車両の一部である複数の異なる「対象物」を識別することは一般的であることが観測されている。これは特にトラックにおいて一般的であり、実際、トラクタ-トレーラトラックのレーダーシグネチャが2つ以上の物体のように見えることは一般的である。例えば、トレーラの後部、アンダーライドガード、および/またはトレーラまたはトレーラの後部付近に位置する荷物の他の特徴が、1つ以上の別個の物体(例えば、ポイント276、277)としてレーダー出力に現れる場合がある。更に、トレーラの更に上方に位置する物体および/またはキャブ付近にある物体を別々に識別する可能性がある(例えば、ポイント278、279)。例えば、レーダーがホスト車両の比較的低い位置に取り付けられている場合、トラックの下部構造に沿ったトランスミッションあるいは他のアイテム、またはトレーラのランディングキアまたはトラクタの後部等のトラクタトレーラの他の特徴からの反射を検出し、それらのアイテムを別個に検出された「対象物」として識別し得る。従って、どの特定のサンプルも、パートナー車両のレーダーポイント候補の基準を満たす複数の対象物を識別する可能性がある(実際には、これは比較的一般的である)。このような状況では、特定のレーダーサンプルに関連した複数の候補がヒストグラムに追加される。
【0067】
サンプルにおいて識別されたパートナー車両レーダーポイント候補をヒストグラムに埋めた後、ステップ224において、レーダーデータを分析してパートナー車両を識別するのに十分なサンプルが取得されたか否かに関して判定が行われる。得られなかった場合には、ロジックはステップ212に戻り、そこで次のサンプルを取得し、分析を容易にするのに十分なサンプルが取得されるまでプロセスが繰り返される。バウンディングボックスが(判定ブロック225からの「いいえ」の分岐によって表されるように、)いずれかのポイントでレーダーユニットの視野から部分的に外れた場合、ロジックは、更なるサンプルを取得する前に、バウンディングボックス全体が視野内に入るのを待つステップ209に戻る。
【0068】
上述したように、路上走行車の用途に利用される市販の短距離レーダーユニットは通常、比較的速いサンプルレートで検知されたシーンを出力するように構成されている。例えば、20~25ヘルツ程度のサンプルレートが一般的であるが、より高いまたはより低いサンプル周波数を使用してもよい。従って、パートナー車両がレーダーユニットの視野内にある場合にはヒストグラムは非常に迅速に埋まり、このヒストグラムにより、パートナーのレーダーシグネチャのかなり良好な表示が提供される。
【0069】
図5Aは、前方トラックの予想位置に基づいて基準フレームに置き換えられた98個の検出されたパートナー車両レーダーポイント候補のセットを示すプロットである。プロットのx軸は、先行トラックの前方の予想位置から検出されたポイントまでの縦方向の距離を示している。また、y軸は、先行トラックの中心軸に対する検出されたポイントの横方向オフセットを示している。検出されたポイントの位置には顕著な変動があるが、図示のサンプルセットでは、ポイントはいくつかの領域に密集している傾向があることが分かる。図5Bは、図5Aのプロットにおいて検出された各パートナー車両レーダーポイント候補までの縦方向の距離を示すヒストグラムである。縦方向の距離のみを考慮すると、クラスタリングは更に顕著になる傾向があることが分かる。
【0070】
ヒストグラムの最も後方に位置する大きなクラスタ290は、一般的には車両の後部に対応し、(常にではないが)最大のクラスタである場合が多い。更に前方に位置するクラスタ292は通常、パートナートラックの他の特徴に対応している。前方の特徴からのレーダー反射はレーダーユニットによって離散的な物体としてより弱くより散発的に識別される傾向があり、これはヒストグラム内のより小さなクラスタに変換されることが、研究上示されている。
【0071】
分析をサポートするのに十分なサンプルが得られた場合、ロジックは、判定ブロック224から「はい」の分岐をたどり、クラスタリングアルゴリズムがヒストグラムデータに適用されるステップ227に進む。処理を開始するためのトリガーポイントは、任意の特定のシステムのニーズに基づいて大きく異なり得る。一般に、パートナー車両を正確に識別することができるように、ヒストグラムが十分なデータポイントを含むことが望ましい。いくつかの特定の実施形態では、ヒストグラムは、第1の閾値に相当するサンプル(例えば、少なくとも3秒に相当するデータまたは60のサンプルに対応するサンプル)からのデータを含まなければならず、かつ、少なくとも第2の閾値に相当するパートナー車両レーダーポイント候補(例えば、少なくとも60のパートナー車両レーダーポイント)を含まなければならない。使用される閾値は、特定の実装のニーズに基づいて可変である。例えば、いくつかの実施形態においては、少なくとも1~5秒に相当するデータまたは40~500ポイントの範囲内の閾値に対応するサンプルが使用され得る。特定の一例では、少なくとも3秒に相当するデータまたは60個のサンプルおよび60個のパートナー車両レーダーポイントに対応するサンプルが閾値として使用される。
【0072】
図5Aおよび図5Bに示すデータセットは、最初にパートナー車両の後部の識別を試みる時点で、即ち、ステップ224からの「はい」の分岐をたどる最初の時点で利用可能であるデータセットを表す。
【0073】
一般に、クラスタリングアルゴリズムは、同じポイントを表す可能性が非常に高いデータポイントをまとめる。この目的のために、様々な従来のクラスタリングアルゴリズムを使用することができる。例えば、修正平均シフトアルゴリズムが上手く機能する。図5Cは、図5Bに表されるヒストグラムポイントの平均シフト中心を示すプロットであり、中心の高さはその中心に関連するポイントの数を示している。この表現により、2つのクラスタ290および292が更に劇的に際立っている。
【0074】
次いで、ステップ230において、平均シフトデータを分析して、クラスタのうちの1つがパートナー車両の後部の所定の基準を満たすか否かを判定する。基準を満たす場合、そのクラスタは車両の後部に対応するものとして識別される(ステップ233)。各クラスタはパートナーの報告されたGPS位置と車両の後部との間の指定距離に対応する故、車両の有効長はクラスタによって定義される。上述したように、本明細書で使用される用語「有効車両長」は、報告されたGPS位置と車両の後部との間の距離に対応しており、これは制御目的のために知るべき重要な距離である。報告された基準位置は車両の前方に位置していない可能性がある故に、これは通常、車両の実際の長さとは異なることを理解されたい。
【0075】
いくつかの実装形態では、ヒストグラム内のレーダーポイントの総数の閾値パーセントを超えるバウンディングボックスの後部の最も近くに位置するクラスタを、プラトーンパートナー車両の後部として識別する。いくつかの実装形態では、最後のサンプル上でクラスタ位置が特定の閾値を超えて移動しないことを必要とする更なる制約が使用される。例えば、一部の用途では、1mm程度の最大移動閾値が上手く機能することが判明した。この手法は、レーダーユニットコントローラが車両の長さについての所定の知識を持たない場合でさえ、かつ、他の交通の存在に関わらず、トラックの後部に対応するレーダーポイントを非常に確実に識別することが判明した。しかしながら、車両の後部を識別するために使用されるヒストグラムの閾値パーセントまたは他の特性は、用途に基づいて可変であることを理解されたい。図5A図5Cに示す実施形態では、クラスタ290は、先行トラックの後部として指定されている。
【0076】
プラトーンに並走する他の交通がレーダーによって検出され得るとしても、記載された手法は、多数の異なるタイプのフィルタを効果的に適用することで、これらのレーダーポイントを非常に確実にフィルタリングすることに特に注目すべきである。プラトーンパートナーがいると予測される場所ではない特徴を報告するレーダーポイントは、それらがバウンディングボックス内にないためにフィルタリングされる。予想される相対速度に近い速度で移動していないレーダーポイントは、それらが発見された場所に関係なくフィルタリングされる。クラスタ化されたヒストグラムデータに使用される車両の後部基準は、プラトーンパートナーとほぼ同じ速度でバウンディングボックスのフットプリント内を移動する他の全ての車両を効果的にフィルタリングする。なぜなら、ビンが十分に小さい故に、そのような侵入者が、アルゴリズムをだまして侵入者が標的の一部であると思わせるのに十分な一定のギャップを維持することができる事態は全く起こりそうにないからである(例えば、侵入者がパートナー車両とほぼ同じ速度で走行していたとしても、バウンディングボックス内にある場合、パートナー車両の位置に対する侵入者の位置は、パートナー車両の後部の試験に落ちるのに十分に異なるからである)。車両の後部基準は、レーダーユニットによって報告されたよりランダムな物体も排除する。
【0077】
選択された平均シフトクラスタによって示される有効車両長は、ギャップコントローラおよびパートナーの長さに関係する他の任意のコントローラに報告されてもよい。ほとんどの場合、GPS基準位置とホスト車両の前方との間の距離は認識されており、従って、レーダーユニットによって決定される有効車両長は、ステップ236で表されるように、トラックの前方および後方を積極的に示すためにトラックに関する既知の情報と関連して容易に使用することができる。
【0078】
一部の状況では、平均シフトクラスタのいずれもパートナー車両の後部基準を満たさない場合がある。ほとんどの場合、これはパートナー車両が正確に追跡されていないというリスクがあることを示唆している。そのような場合(判定230から「いいえ」の分岐によって示されるように)、パートナー車両が自信を持って識別されたことを示す基準が満たされるまで、プロセスは追加のサンプルからレーダーポイントを収集し続ける。いくつかの実施形態では、システムがパートナー車両の後部を識別するのに問題がある場合、または車両が停止する等の他の理由がある場合、レーダーポイントが古くなり過ぎた後またはプロセスが再開した後に任意にレーダーポイントを破棄することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、パートナーの後部識別プロセスは、車両長が決定された後でさえも実行され続けるか、または定期的に再実行される。ヒストグラムを埋め続けることにはいくつかの利点がある。多くの場合、最初の長さの決定は、プラトーンパートナーが比較的遠く(例えば、100フィート超)離れている間に行われる。一旦、パートナー車両の後部が確実に識別されると、ギャップコントローラがギャップを狭めることによって車両を互いに接近させる。車両が互いに接近していると、レーダーの読み取りは、車両が100フィート超離れているときよりも正確であることが多い。更に、状況によっては、GPS測定値がギャップ制御目的のために比較的遠く離れている可能性があることを考慮すると、より多くの測定値が車両の相対位置のより良好な統計的表示を与えるだろう。パートナーの後部識別プロセスを実行し続けることによって、これらのより良い測定値を使用して、パートナー車両の有効長をより正確に決定することができ、これは制御目的にとって非常に望ましいことである。
【0080】
図5Dは、図5Aに示されるのと同じグラフ上の1700個の検出されたパートナー車両レーダーポイント候補のセットを示すプロットである。1700個のサンプルポイントは、図5A図5Cに示す98個のポイントを含んでおり、同じレーダーポイント分類アルゴリズムを実行し続けることによって得られた。図5Eおよび図5Fは、より大きいデータセットについてのヒストグラムおよび平均シフト中心をそれぞれ示している。従って、図5E図5Bに対応し、図5F図5Cに対応している。より大きいデータセットは先行車両の前方近くに位置する小さいクラスタ293を識別したように見え、より小さいデータセットにおいて識別された一部のより小さいクラスタを効果的に除外したことが分かる。
【0081】
パートナーの後部識別プロセスを実行し続けることは、同様に他の潜在的な用途も有する。例えば、一部のトラックは、トラックが高速道路を走行しているときにトレーラをキャブの近くに引き寄せることができる。従って、比較的まれではあるが、トラックの有効長がプラトーンの過程で変更されてもよい状況がある。このような変更は、パートナーの後部識別プロセスを再実行するか、または継続して実行することで自動的に検出することができる。
【0082】
経時的に、ヒストグラムおよび/または平均シフトクラスタはまた、パートナー車両のレーダーシグネチャの非常に良好な指示を提供する。パートナー車両のこの既知のシグネチャは、適切な車両が追跡されていることを検証するための独立したメカニズムとして多数の異なる方法において使用することができる。例えば、GPSデータが利用不可能になるか、または車両間の通信が一定の期間にわたり中断された場合、ヒストグラムを、正しい車両がレーダーユニットによって追跡されていることを確認するためのチェックとして使用することができる。先行トラックの後部が後続車両のレーダーの視界内になく、トレーラおよびトラクタの他の部分がレーダーの視界内にある状況では、視認できるトラックの部分をヒストグラムシグネチャと比較して、トラックの相対位置を決定することができ、これは、ギャップ制御のための測定値として、または後続車両の自動または半自動制御の一部として使用することができる。
【0083】
別の例において、レーダー接触が失われた状況では、新しいヒストグラムを適切な時点で開始することができ、新しいヒストグラムを、プラトーンパートナーを示す記憶されたヒストグラムと比較することができる。一致するとき、その一致はプラトーンパートナーとのレーダー接触が再確立されたという独立した良好な証拠となり得る。同様に、プラトーンパートナーが依然として追跡されていることを独立して検証する方法として、新たに作成されたヒストグラムを、プラトーニング中の様々な時点におけるプラトーンパートナーを表す、記憶されたヒストグラムと比較することができる。これは、プラトーンパートナーの隣で並走している車両にレーダーユニットが誤って切り替えられてロックされていないことを検証するための優れたセーフティチェックとなり得る。ヒストグラムは、パートナー車両のレーダーシグネチャとして保存されてもよく、また、後にその車両とプラトーンを組むことを試みる可能性のある他のトラックに共有することもでき、これは、最初の識別プロセスにおいて役立ち得る。
【0084】
プラトーンパートナーの位置の推定
プラトーンの状況では、プラトーン内の各車両の予想される相対位置、速度、および向きの正確なモデルを維持することは、そのような情報がプラトーンパートナー間のギャップの正確な制御に非常に役立つ故に有用である。そのようなモデルは、複数の異なる感知システムからの入力を利用し、また実用的な場合には異なるシステムからの少なくともいくつかの冗長な情報を含むことが好ましい。異なるシステムから冗長な情報を提供することは、受信したデータの完全性に関するダブルチェックとして有用であり、またシステムが正確な情報を伝達することが不可能である場合等の避けられない状況においてはバックアップメカニズムも提供する。
【0085】
例として、車両間のギャップは、いくつかの異なる技術を使用して決定することができる。一般的なアプローチの1つに、レーダーシステムによって検知されたプラトーンパートナーまでの距離の使用が挙げられる。レーダーは車両間の距離を非常に正確に測定する傾向があるが、報告される距離が、実際には他の車両または機能ではなくプラトーンパートナーまでの距離であることを確実にすることが重要である。パートナー車両がレーダーの視野内にない、またはレーダーあるいはレーダー装置が短時間の間にわたり所望の通りに動作していない場合もある。プラトーンパートナー間の距離を決定する独立した方法として、それらのそれぞれのGPSデータを利用する方法が挙げられる。具体的には、車両間の距離は、車両のそれぞれのGPS位置間から、先行車両の有効長を引いたものと、後続車両の前部とそのGPS受信機との間のオフセット距離との差であるべきである。GPSデータを使用することによる制限として、GPSデータが、GPS受信機がしばらくの間、停止している車両間の位置または通信リンクを決定するのに十分なGPS衛星の明確な視野を持たない等の要因により、常に利用可能になるとは限らないという事実が挙げられる。GPSデータはまた、GPSデータの正確性は優れてはいるが、ギャップ制御に望まれるほど正確ではないことが多いという事実によっても根本的に制限される。プラトーンパートナー間の距離を測定するための他のシステムには、それぞれ独自の利点および制限がある。
【0086】
車両間の現在のギャップが認識されている場合、当面の時点で予想されるギャップは、車両の現在位置、相対速度、およびヨーレート等の要因に基づいて推定することができる。車両のそれぞれの速度もまた、様々な異なる方法で測定、決定、推定、および/または予測することができる。例えば、車輪速度センサを用いて、それぞれの車両の現在の速度を比較的正確に示すことができる。車両の向きに関する認識は、その速度を決定するために車両の速度の認識と共に使用することができる。レーダーユニットを使用して、プラトーンパートナーの相対速度を測定することができる。トルク要求、車両重量、エンジン特性、および路面勾配等の他の要因に関する情報を使用して、将来の車両速度を予測することができる。
【0087】
レーダーシステム制御の文脈では、先行車両が後続車両上のレーダーユニットに対してどこにあると予想されるかを認識することは、レーダーユニットによって検出された1つ以上の物体が先行車両の後部に対応するか否かを判定するのに非常に役立ち得る。従って、いくつかの実施形態では、レーダーシステムコントローラ(またはその決定がレーダーシステムコントローラによって利用され得る他のコントローラ)は、レーダーユニットに対するパートナー車両の現在位置、方位および相対速度の推定値を維持する位置推定器を含む。位置/状態推定器612を含む1つの適切なレーダーシーンプロセッサ600が図6に示されている。
【0088】
図6に示す実施形態では、レーダーシーンプロセッサ600は、ギャップモニタ610およびパートナー識別器620を含む。ギャップモニタ610は、(パートナー車両の後部が識別された後に)レーダー測定値に基づいてパートナー車両の後部の位置を追跡し、パートナー車両の後部に対応するレーダー位置および速度測定値をギャップコントローラおよび/またはレーダーユニットによって行われるそのような測定値に関心のある他の任意の構成要素に報告するように構成されている。ギャップ監視アルゴリズムの1つの特定の実施は、図7のフローチャートを参照して以下に説明される。
【0089】
図示の実施形態では、ギャップモニタ610は、ホスト車両に対するパートナー車両の位置の最新の推定値を決定し、次のレーダーサンプルが取得される時点でのパートナー車両の予想位置を予測するために使用されるカルマンフィルタ615を有する位置/状態推定器612を含む。図7に関してより詳細に説明されるように、図示の実施形態では、位置/状態推定器612は、検出されたレーダーシーンと、例えば、先行車両の予測状態(例えば、位置、速度等)の推定値におけるホストおよびパートナー車両のそれぞれのGPS位置、車輪速度、および慣性測定値等の他の利用可能な車両状態情報との両方を利用する。続いて、これらの状態推定値は、受信したレーダーシーンを解釈するのに役立つように使用することができる。即ち、パートナー車両がレーダーシーンのコンテキスト内のどこにいる可能性が高いかの合理的な推定値を有することは、ギャップモニタ600が、一組の検出された物体を含み得るレーダーシーンからパートナー車両の後部に対応するレーダーリターンオブジェクトを適切に識別するのに役立つ。これは、適切に検出されたポイントがギャップ制御において使用されることを確実にするのを助ける。パートナー車両の後部の位置を正確に示す特定のシーンサンプルにおいて、レーダーによって検出された物体(該当がある場合)に関してトラッカーが十分な確信を持っていない状況を識別するのにも役立つ。その結果、ギャップ制御アルゴリズムとの関連で、そのようなサンプルを考慮に入れない、無視する、またはその他の方法で適切に処理することができる。位置/状態推定器612における使用に非常に適している1つの特定のカルマンフィルタ設計を、図8に関連して以下に説明する。
【0090】
パートナー識別器620は、自身の位置/状態推定器622、ヒストグラム624、平均シフトクラスタ626を生成するクラスタリングアルゴリズム625、およびパートナー長推定器627を含む。パートナー識別器620は、図2に関連して上述したアルゴリズムのようなアルゴリズムを実行することで、パートナー車両の後部を識別する。そのプロセスの一部として、ヒストグラム624を埋める。ヒストグラムは、パートナー識別器620の一部として概略的に示されているが、ヒストグラムは、単に任意の適切な場所に物理的に配置され得るデータ構造であり、レーダートラッカー内またはその外側の様々な他のプロセスおよびコントローラにより利用可能である。パートナー長推定器624は、ヒストグラムおよび他の利用可能な情報に基づいてパートナー車両の長さ(そのGPS基準位置に対するその前後を含む)を決定するように構成される。
【0091】
パートナー識別器620内の位置/状態推定器622は、上述の位置/状態推定器612と同様に機能し、カルマンフィルタ623も含むことができる。パートナーの識別に使用される位置状態推定器622と、位置/状態推定器612との間の重大な差異は、どのレーダーポイントがパートナートラックの後部に対応するのかを識別中に認識されていない故に、レーダーユニットサンプルを位置/状態推定値の一部として使用することができない。
【0092】
位置/状態推定、パートナー検出、パートナー長推定およびギャップ監視アルゴリズムは、レーダー追跡専用のレーダー追跡プロセッサ上で実行されてもよく、あるいは他のギャップまたはプラトーン管理タスクを同様に実行するプロセッサ上で実施されてもよい。それぞれのアルゴリズムは、別個のコンピューティングプロセスとして実装されてもよく、またはそれらは互いにおよび/または様々なコンピューティングプロセスにおける他の機能と多様な方法で統合されてもよい。他の実施形態では、記述された機能を実施するためにディスクリートまたはプログラマブルロジックを使用することができる。レーダーユニットに対するパートナー車両の後部の位置を追跡し、将来の位置を推定するために、多種多様なモデルを使用することができることは明白であろう。2つの特定の位置/状態推定器が図6の一部として概略的に示されており、任意の所与のレーダーサンプル時間における現在位置を推定するために使用することができる方法が、図7のフローチャートに示されている。
【0093】
次に図7を参照して、レーダーユニットから受信した情報に部分的に基づいてパートナー車両を追跡し、その将来的な位置を推定する方法を説明する。例示された実施形態では、後続車両を追跡するため、または並走する車両を互いに追跡するために類似のプロセスを先行車両によって使用することができるが、後続車両は先行車両の後部の位置を追跡している。説明された方法は、パートナー車両の後部の位置の合理的な推定値があることを前提としており、これは、図2に関して上述した方法を使用して、または任意の他の適切な方法で最初に決定することができる。例えば、前方車両の有効長が分かっている場合、GPS位置データに基づいて、先行車両の後部の相対位置に対する初期推定値を推定することができる。
【0094】
新しいレーダーシーンが受信される都度(ステップ502)、いずれかのレーダー対象物ポイント(標的)がパートナー車両の後部の予想位置および相対速度と一致するか否かに関して判定が行われる(ステップ504)。これは、「一致する」ターゲットが実際にパートナー車両の後部を表す可能性が高いと結論付ける確率的決定であることが好ましい。一致する標的により、推定位置に関連して不確定要素を定量化するか否かを決定するための1つの方法が挙げられる。レーダー標的ポイントが予想位置の不確定要素の範囲内にあれば、それは一致と見なすことができる。以下でより詳細に説明されるように、いくつかの実施形態では、カルマンフィルタリングが、パートナー車両の後部の位置を推定し、不確定性を定量化するために使用される。カルマンフィルタリングは、知覚される測定精度に基づいて不確定性レベルを本質的に調整する故に特に適している。
【0095】
報告されたレーダー標的ポイントのうちの2つ以上が不確定要素(不確定ボールと呼ばれる場合もある)によって定義される範囲内で推定位置と一致する場合、レーダーシーン内で識別される最も近いレーダー対象物ポイントは、「一致する」標的として取り扱われる。この決定において、「最も近い」一致は、縦方向位置、横方向位置、相対速度等を含む測定基準の組み合わせに基づいて選択され得る。
【0096】
一致が見つかった場合、レーダートラッカーは、一致した物体までの距離および一致した物体の相対速度を、パートナー車両の後部との現在のギャップおよび相対速度としてギャップコントローラ112に送信する(ステップ506)。いくつかの実施形態では、送信される唯一の情報は、トレーラの後部までの縦方向距離とその相対速度である。これは、現在利用可能なレーダー装置が一般に距離および相対速度を測定するのに非常に優れている一方で、識別された物体に関する横方向の速度を正確に測定することまたは正確な横方向の位置情報を提供するにはそれほど良くないためである。しかしながら、使用されるレーダーユニットが、横方向速度、加速度等の標的の他の有用な属性を正確に測定することができる場合、その情報も任意に送信することができる。
【0097】
一致が見つかると、最も一致したターゲットを使用して、トラックの後部のレーダー追跡位置および速度推定値も更新する(ステップ508)。次いで、位置および速度の推定値は、ステップ510において、次のレーダーサンプルについて予想される位置に時間内に伝播される。即ち、ロジックは、次のレーダーサンプルが予想される時点でトラックの後部の予想位置を推定する。レーダーサンプルは一定の間隔で提供される故に、これは比較的簡単な問題であり、次に予想されるサンプルのタイミングを決定するのは容易である。例えば、レーダーサンプルレートが20Hzの場合、次のサンプルは最後のサンプルの0.05秒後に発生すると予測することができる。先行車両および後続車両が全く同じ速度で走行しており、両方の車両が同じ方向に走行している場合、先行車両の後部の「予想される」位置は、先行車両の後部の最後に検出された位置と全く同じである。しかしながら、一方の車両が他方の車両に対して向きが変更されたか、または僅かに向きが変わっている場合、車両は、僅かに異なる速度で、おそらく僅かに異なる向きに走行している場合が多い。例えば、簡単な例を用いると、後続車両が先行車両よりも速い1.00メートル/秒の一定速度で先行車両と全く同じ方向に移動している場合、先行車両の後部は、次のレーダーサンプルが採取された時点で先行車両に5cm近い位置(最後のサンプルが採取されてから0.05秒後)になることが予想される。単純な三角法を使用して、車両が互いに僅かに方向転換したかまたは方向転換している場合に、予想位置を決定することができる。当然のことながら、レーダーシステムコントローラによって知られているか、またはレーダーシステムコントローラによって取得可能な他の任意の数量の関連変数も、推定を更に改善するための予想位置および速度の計算において考慮することができる。これらは、(測定または推定された)車両のそれぞれの加速度、2つの車両のそれぞれの進行方向および/または旋回速度等を含み得る。各車両トルク要求、現在の等級、車両重量等の速度、加速度または車両の旋回速度に影響を及ぼし得る要因もまた、推定を更に洗練するために使用することができる。
【0098】
時間内に位置推定値を伝播することに加えて、不確定性推定値は、以下により詳細に説明されるように、ブロック512によって表されるように更新される。
【0099】
位置推定値が時間内に伝播され、不確定性推定値が更新された後、プロセスは、次のレーダーシーンサンプルが受信されるステップ502に戻ることによって、図7のフローチャートに表されるように次のサンプルについて繰り返される。時間内に推定位置を伝播することは、先行車両の後部の位置の現在の推定値を利用して、一致が生じるか否かを決定するステップ504において特に有用である。先行車両の位置の現在の推定値は、経時的に変化すると予想することができる(確かにそうなるであろう)。続いて、各レーダーサンプルについて、先行車両の後部の位置の現在の最良の推定値を使用することができ、これはパートナー車両が正確に追跡されることを確実にするのを助ける。
【0100】
上記で示唆されたように、プラトーンシステムは、好ましくは、各車両の位置および速度を追跡するために複数の独立した、または部分的に独立した機構を利用する。例えば、上述のように、プラトーンコントローラは、プラトーン車両の相対位置を決定するための独立したメカニズムを提供するGPS位置データにアクセスすることができる。プラトーンコントローラはまた、それぞれの速度、従ってプラトーンパートナーの相対速度を決定するための代替的な機構を提供する車輪速度データにアクセスすることもできる。ホスト車両に関するそのようなデータは、ホスト車両センサから入手可能である。パートナー車両のデータは、通信リンク(例えば、DSRCリンク、セルラーリンク、または他の利用可能な通信方法)を介して利用可能である。
【0101】
図7のボックス520によって表されるように)新しいGPS位置推定値が受信されるたびに、現在のGPS位置推定値を使用してレーダー追跡位置および速度推定値が更新され(ステップ523)、ステップ510によって表されるように、その更新位置および速度推定値は次のレーダーサンプルの予想される受信に間に合うように伝播される。並行して、(図7のボックス530によって表されるように、)新しい車輪速度推定値が受信されるたびに、現在の車輪速度推定値を使用して、レーダー追跡位置および速度推定値が更新され(ステップ533)、その更新された位置および速度推定値は、ステップ510によって表されるように、次のレーダーサンプルの予想される受信までに時間内に伝播される。同様に、(ボックス540によって表されるように)ヨーレート、車両方位(方位)、車両ピッチおよび/または車両ロール等の新しい慣性測定値が受信されるたびに、現在の慣性測定値を使用してレーダー追跡位置および速度推定値が更新される(ステップ542)。
【0102】
GPS位置、車輪速度および慣性測定値は、比較的迅速に更新されることが好ましく、それはしばしば(必ずしもそうとは限らないが)レーダーサンプルよりもより頻繁である。一例として、例えば50Hzのような25~500Hzの範囲のGPS更新周波数は、一般道路のプラトーン制御用途に上手く機能することが判明した。GPS位置、車輪速度および/または慣性測定値を互いに同じサンプルレートで、またはレーダーユニットと同じサンプルレートで更新する必要はないが、同様の車輪速度および慣性測定値の更新頻度も上手く機能することが判明した。
【0103】
図示の実施形態では、レーダーユニット、GPSセンサ、車輪速度センサおよび慣性測定値からの更新は、それらが受信されたときに非同期的に処理される。必須ではないが、これは、最新のセンサ入力が、次のレーダーユニットのシーンサンプルが受信された時点でのプラトーン車両の予想される相対位置および速度の推定に利用されるのを助けるのに役立つ。これは、レーダーユニットのサンプルごとに車輪速度センサおよびGPSセンサ情報が更新されるシステムとは対照的である。同期更新も上手く機能する可能性があるが、非同期更新を使用すると、様々なセンサ入力をレーダーユニットのサンプルレートよりも頻繁に更新できる故に、推定の精度が向上する傾向がある。
【0104】
異なる種類の測定値を互いに同期させる必要はないが、異なるトラック上の同じ種類の測定値を時間的に同期させることが好ましい。即ち、先行トラック上のGPS位置測定値は、後部トラック上のGPS位置測定値と時間内に同期している故に、トラックの相対位置を、時間内に特定の瞬間に決定することができる。同様に、先行トラックの車輪速度測定値は後続のトラックの車輪速度測定値と時間内に同期している故に、トラックの相対速度を、時間内に特定の瞬間に決定することができる。様々な慣性測定値もまた、互いに同期していることが好ましい。
【0105】
GPSが使用され、車両は通信リンクを介して互いに通信する故に、車両間で様々な測定のタイミングを調整することは比較的簡単であることを理解されたい。公知であるように、GPSシステムは非常に正確なグローバルタイミング信号を提供する。従って、プラトーンパートナーに使用されるクロックはGPS信号と同期させることができ、従って、様々な測定値(例えば、GPS位置測定値、車輪速度測定値、慣性測定値等)は、それぞれのトラックで特定の同期時間に発生するように指示することができる。各測定値はまた、測定値の同期を検証することができるように測定が行われた場合に(または同様のセンサ測定値が車両間で同期されていない場合に考慮される場合に)示されるタイムスタンプを伴ってもよい。
【0106】
時間内に推定された位置の伝播は、受信したレーダーサンプル対象物ポイント(標的)のいずれかが、パートナー車両の後部の予想される位置と一致するか否かを決定するために先行車両の後部の位置の現在の推定値を利用するステップ504において特に有用である。判定504から「いいえ」の分岐によって表されるように、レーダーサンプルターゲットがパートナー車両の後部の予想される位置と一致しない場合があり得ることを理解すべきである。そのような場合、位置推定値は、コントローラが有する他の情報に基づいて次のレーダーサンプルについて更新されるように、レーダーシステムコントローラはやはり時間内に位置推定値を伝播する(ステップ510)。続いて、そのような他の情報は、現在の推定値を含み、前述したように他のシステム(例えばGPSまたは車輪速度センサ)からの入力に基づいて更に更新されてもよい。
【0107】
1つ以上の測定値が疑わしいと予想される動作状況があり得る。例えば、車輪が穴の上を走行したり、または道路で他の異常な荒れに遭遇したりした場合に起こり得るように、ホスト車両が異常に激しく振られると、レーダーユニットもそれに応じて振られ、その瞬間に取られたレーダー測定サンプルは、モデルに対して正確および/または有用である可能性が低くなる。車輪速度および慣性測定センサ等の他のセンサは、同様に、そのような場合に正確である可能性が低くなる。別の例では、先行トラックが積極的にブレーキをかけた場合、そのトレーラが通常よりも前後に移動する可能性がより高くなり、これもまた、このようなブレーキ中に取られたレーダーサンプルが、トレーラの後部の将来の位置を予測するのに有用ではない可能性が高いことが示唆される。任意の特定のセンサの測定値を疑わしいものにする事象が発生していることをコントローラが検出するか、または知らされると、そのようなセンサからの測定値は、位置推定値において安全に無視することができる。そのような状況では、(もしあれば)より信頼性があると思われる他のセンサからの入力を使用し続けて、位置モデルを更新し、位置推定値を、次の各サンプルに対して時間内に伝播し続けることができる。位置推定に関連する不確実性は、無視される各サンプルと共に僅かに増加すると予想することができ、それは、パートナー車両の後部の予想位置に適合する標的があるか否かを決定するときに、許容されるパートナー車両の後部の推定位置からの変動を増加させる効果を有する。
【0108】
上述した位置モデルは、比較的少数の測定されたインプットのセットを利用するという点で比較的単純である。このインプットは、(1)受信レーダーシーン(検出された物体の相対位置および相対速度を示す)と、(2)プラトーンパートナーの測定されたGPS位置(それらの相対位置を決定するために使用することができる)と、(3)プラトーンパートナーの測定された車輪速度(それらの相対速度を決定するために使用することができる)と、(4)測定されたヨーレートおよび方位と、を含む。他の実施形態では、異なるまたは追加のタイプのセンサ情報がレーダーコントローラにより利用可能である場合、位置推定において利用可能な関連情報があればそれを利用するように位置モデルを適合させることができる。例えば、車両のピッチまたはロールが利用可能である場合、位置モデルはそのような測定値を位置推定値に組み込むことができる。トラック上ではGPSアンテナが地上4メートルを超える場所(例えば14~15フィート)にてキャブ上に配置される傾向がある故に、ロールは有用であり得る。そのような高さでは、ロール方向への比較的小さな傾斜でさえも、各車両の報告される位置が著しく変動する可能性がある。ピッチも同様の理由から有用であり得る。例えば、15メートルのプラトーン間のギャップでは、ちょうど±2度のピッチの違いが、対象物の見かけの高さまたは検出された高さにおいて1メートルの違いをもたらす可能性がある。更なる距離および/またはより大きいピッチ変動では、これらの差は増幅される。プラトーンシステムにおいて使用される多くのレーダー装置は比較的狭い視野を有する故、これは、ピッチが考慮されない場合に予想される位置から予想よりも遠い故に、予想される対象が検出されないか、または検出された対象が無視される結果をもたらし得る。同様に、長手方向および/または角加速度が利用可能である場合、位置モデルは加速度測定値を位置推定値に組み込むことができる。
【0109】
LIDAR、ソナー、他の飛行時間距離センサ、他の車両から送信された信号を受信するように構成されたセンサ、カメラ、ステレオカメラまたは他の適切な技術等を使用して、車両の相対位置および/または速度および/または方向を比較的正確に測定することができる実施形態では、これらの測定値を、GPS、車輪速度および慣性測定値に加えて、またはその代わりに位置モデルに組み込むことができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、位置モデルは、トルク要求、ブレーキ信号、および/または各プラトーンパートナーに関する他の動作情報等の入力を使用して次のレーダーサンプルの時点で予測位置を更に洗練することによってかなり洗練され得る。
【0111】
主に説明した実施形態では、レーダーサンプル対象物ポイントは、パートナー車両の後部の推定(予想)位置および相対速度と比較される。他の実施形態では、より多くのまたはより少ないパラメータを比較して一致を識別することができる。例えば、いくつかの実施形態では、一致(または不一致)は、位置および速度/速度ではなくパートナー車両の予想位置のマッチングに基づいてもよい。レーダーユニットが加速度、横方向移動速度等の他の情報を確実に報告することができる場合、そのような情報も一致識別504の一部として対応する推定値と比較することができる。
【0112】
記載された手法の重要な利点として、先行車両が別の車線に変更するとき、侵入者がプラトーン車両の間に割り込むとき、または一時的な障害がレーダーユニットにて発生した場合等、プラトーンパートナーの後部がレーダーユニットの視野外にある場合でさえも、相対位置および速度推定を確実に継続することができる点が挙げられる。そのような追跡により、プラトーンパートナーの後部がレーダーユニットの視野に戻ったとき、プラトーンパートナーのレーダー識別はより容易に再確立され得る。当業者には理解されるように、これは、その先行車両が誰であるかにかかわらず、レーダーを利用してホスト車両の直前の車両までの距離を追跡するだけの適応走行制御システムとは大きく異なる。
【0113】
図5に関して上述したヒストグラムおよび/または平均シフトクラスタを別のチェックとして使用して、正しい車両がレーダーユニットによって追跡されていることを検証し、または、全てではないがトラックの一部がレーダーユニットの視野内にあるとき、基準点を提供することができることに留意されたい。
【0114】
図7に関して説明された方法の注目すべき特徴は、同じアルゴリズムを使用して、図2に関連して上述したように、パートナー車両の最初のレーダー識別の間にパートナー車両の相対位置/加速度を推定することができる。その状況では、レーダートラッカー116/600は、パートナー車両の後部の位置の良好な推定値を得られないであろう。このように、判定ポイント504でターゲットはパートナー車両の後部の予想位置と一致しない故に、測定位置はギャップコントローラに報告されず、レーダーユニットの測定値は、位置および速度推定値の更新には使用されない。それによって、判定ポイント504から「いいえ」の分岐に続き、それ故にステップ506および508はスキップされる。しかしながら、GPSセンサ131、車輪速度センサ132および慣性測定センサ134を含む他の利用可能なセンサは全て、それらの各測定値を提供し、これは、パートナー車両の最初の識別における使用に適した車両の位置の合理的な推定値を提供する。
【0115】
カルマンフィルタ
図7に関して説明した方法は、様々な技術を使用して実施することができる。特に有効に機能する1つの現在好ましい実施形態は、カルマンフィルタを利用する。本明細書で使用されるように、語句「カルマンフィルタリング」は、線形二次推定(LQE)、並びに非線形システムで動作するように設計された拡張カルマンフィルタおよび無香カルマンフィルタ等のLQEの拡張および一般化を包含することを意図している。一般にカルマンフィルタリングに精通している人には理解されるように、カルマンフィルタリングは、長期にわたり観測されたノイズおよび他の不正確性を含む一連の測定値を使用し、単一の測定値単独に基づくものよりもより正確である傾向がある未知変数の推定値を生成する。カルマンフィルタは、システムの推定された状態と推定の分散または不確実性を追跡する。これは、一部の測定における固有の誤差およびいくつかの所望の測定サンプルの時点での潜在的な利用不能により、ギャップ制御に関連する位置、速度および他の状態情報を推定するのに特に適している。
【0116】
カルマンフィルタで使用される状態変数は、使用されるモデルの性質によって大きく異なり得る。一対のプラトーントラクタ-トレーラトラックを含む、記載された実施形態の一部における使用に適した1つの特定の状態配列(X)は、以下を含む。
(1)後部トラックの後車軸の中心に対する前部トラックの後車軸の中心の長手方向位置(x)
(2)後部トラックの後車軸の中心に対する前部トラックの後車軸の中心の横方向位置(y)
(3)後続トラックの方位に対する前方トラックの方位(χ)
(4)先行車両の速度(v
(5)後続車両の速度(v
【0117】
これは、数学的には以下のように表すことができる。
【数2】
【0118】
次のレーダーサンプル(Xk+1)の時点での推定状態は、前の状態(X)と測定値の不確定性のレベルを示す共分散行列(P)との関数である。上に表された状態配列(X)に対応する共分散行列が図8に示されている。一般にカルマンフィルタリングに精通している者には理解されるように、次のレーダーサンプル(Xk+1)の時点での推定状態は、状態遷移モデル(A)と前の状態(X)の積に制御入力モデル(B)と任意のモデル化された入力(uk-1)との積を加えたものに等しい。これは、数学的には次のように表すことができる。
【数3】
【0119】
1つの特定の制御入力アレイ(U)は、
(1)前方車両のヨーレート(Ψ1)および
(2)後方車両のヨーレート(Ψ2)を含む。
【0120】
これは、数学的には次のように表すことができる。
【数4】
【0121】
特定の状態およびモデル化された入力アレイが例示されているが、任意の特定の実装において使用される特定の状態および制御入力変数は、使用される推定モデルの性質に基づいて大きく異なり得ることを理解されたい。
【0122】
カルマンフィルタリングは、本明細書で説明される技法において、位置および速度推定のタイプを有用にするのに特によく適合している。カルマンフィルタリングは特にうまく機能するが、代替的な実施形態では、粒子フィルタリング等の他の状態/空間推定アルゴリズムを使用することができることを理解されたい。
【0123】
カルマンフィルタリングが上手く機能する理由の1つに、GPS測定値、レーダー測定値、車輪速度測定値および慣性測定値を含むほとんどの測定値が、様々な測定誤差を受ける傾向がある点が挙げられる。例えば、任意の特定のGPS測定値が1メートル超ずれていることは珍しくない。共分散行列(P)は、測定で観察された統計的変動(誤差)を定量化し、その知識を利用して位置および速度推定の品質を向上させる。
【0124】
他の上方のセンサデータ検証への統合
上述の実施形態では、パートナー車両から受信したパートナー車両の状態に関する情報はホストによって使用されることで、パートナー車両の特性を測定すると考えられるホスト車両上のセンサからのデータが、実際にパートナー車両を表しているかを検証または確認するのを助ける。例えば、記載されているいくつかの実施形態では、その位置、速度、向き等に関する先行車両からの情報は、先行車両の予想位置および速度を予測するために後続車両上のレーダーシーンプロセッサによって使用される。続いて、これらの予測を使用して、(もしあれば)検出されたレーダー物体のうちどれが先行車両に対応するかを判定するのを助ける。先行車両から受信された状態情報は、測定値(測定車輪速度等)または予測値(予測速度等)であり得、これは、パラメータ(例えば、速度)が変化する状況においてより信頼性が高くなり得る。
【0125】
パートナー車両から受信した多種多様な他の情報/データを付加的または代替的に使用して、そのような検証を更に助けることができることを理解されたい。これは、パートナー車両の現在のトルク要求、ブレーキ状態(ファンデーションブレーキ、リターダ、エンジンブレーキ、および/または大型トラックに関連するその他のブレーキ装置)、またはステアリング角度等のその他のパートナー車両の状態情報を含み得る。情報はまた、ウィンカー、ハザードライト、テールライトまたは他のライトが点灯していることの表示等の状態表示も含むことができる。また、そのレーダーシグネチャ、またはその視覚的外観(例えば、その色調、識別マーカー、またはホスト車両上のコントローラのうちの1つによって容易に識別され得る他の何らかの特徴または特性)等のパートナー車両に関する定性的な情報も含み得る。また、先行車両が車線を変更しようとしている、次の出口を使用する、または次の交差点で曲がる等の意図されるまたは予想される行動に関する情報も含むことができる。
【0126】
状況によっては、ホスト車両は、そのような識別を助けるためにパートナー車両に特定の行動をとるように要求することができる。このような要求の性質は、大きく異なる可能性があり、例えば、後部トラックが先行トラックに特定のライトの点灯、車線の切り替え、特定の速度への加速または減速、ホーンを鳴らす等を要求する場合がある。
【0127】
更に、パートナー車両に関する追加の情報もまた、第3の車両、より大きなメッシュの車両、または他の外部の情報源から取得することができることを理解されたい。例えば、プラトーンパートナーと並走する第3の車両は、パートナー車両の位置、速度、および/または他の特性を測定したかもしれず、その情報は別の独立したチェックとして使用することができる。別の例では、両方のプラトーンパートナーと通信しているネットワークオペレーションセンター(NOC)は、意図された経路を認識し、その経路、または必要に応じてより短期間の方向をホスト車両に通信することができる。他の状況では、パートナー車両からの情報は、第三者の車両、NOC等の仲介者を介して送信されてもよい。この種のデータのいずれもが有用であり得、一部の情報は車両間の通信が一時的に失われる状況において特に有用であり得る。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態のみを詳細に説明したが、本発明は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の多くの形態で実施することができることを理解されたい。本発明は、主として、後続トラックの前方に配置されている前方を向いているレーダーユニットと共に一対のトラックプラトーンに関して説明してきたが、しかしながら、同じ概念が、レーダーユニットが車両上のどこに位置しているか、および/またはレーダーユニットが質問する方向(単数または複数)にかかわらず、任意のタイプの接続された車両用途において動作しているどのタイプの車両にも適用できることを理解されたい。従って、例えば、先行車両上の後方を向いているレーダーユニットを使用して、記載されたのと実質的に同じ方法でレーダーを使用して後続車両を識別および/または追跡することができる。同様に、全方向レーダーが使用される場合、ホスト車両に対するそれらの位置に関係なく、レーダーを使用して他の車両を識別および/または追跡するために同様の手法を使用することができる。
【0129】
上記で示唆したように、説明したレーダーベースの車両識別および追跡は、1つ以上の他の車両の位置および/または速度に関する独立した情報が既知であるかまたはレーダーデータを解釈するユニットに使用可能である任意のタイプの接続された車両用途で使用することができる。従って、例えば、説明された技術は、3台以上の車両を含む輸送システムでの使用に特によく適している。また、記載された技術は、他の特定の車両の意図に関する知識が重要であると考えられる自動運転車交通流用途での使用に非常によく適合している。実際、これは、自動運転車および接続された車両市場の成長と共に、本発明の重要な用途となることが予想される。
【0130】
本発明は、主に、運転自動化システムで使用するために設計された市販のレーダーユニットを使用して他の車両を識別し追跡することに関して説明してきた。そのようなユニットは、通常、受信したレーダーエネルギーを分析し、レーダー製造業者に関連があると考えられる物体を識別するように設計されている。記載された発明はそのようなユニットで上手く機能するが、それらはそれほど制約されない。むしろ、車両識別プロセスと車両追跡プロセスとは両者とも、応答をそれほどフィルタリングせず、反射レーダー信号強度を特定の物体を識別しようとするよりも一般的な方法で報告するレーダーユニットと共に使用するのに非常に適している。特に、レーダーリターンビニングおよび車両後部の検出の統計的性質は、強度/位置等の他の形式で提供されるレーダーデータを使用するのに非常に適している。更に、本発明は、レーダーの周波数範囲内の電磁エネルギーを使用する距離測定システムに限定されない。むしろ、同じターゲット車両識別および/または追跡技術を、異なる周波数範囲の電磁エネルギーを利用するLIDAR、音響に基づく距離測定(例えば、ソナー、超音波等)、または様々な飛行時間ベースの距離測定システム等の他の電磁エネルギーに基づく距離測定技術と共に容易に使用することができる。記載された技術はまた、カメラまたはステレオカメラを使用する距離測定技術、センサがパートナー車両から送信されたビーコン信号を測定するビーコンベースの技術、および/または他の技術と共に使用され得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、プラトーン車両は、レーダーユニットに対して自分自身を識別するのに適したトランスポンダ等の機構を有することができる。利用可能であれば、そのような装置からの情報を使用して、プラトーンパートナーの識別および追跡を更に支援することができる。
【0132】
従って、本実施形態は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきであり、本発明は本明細書に与えられた詳細に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲内で変更され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【文献】米国特許出願第13/542622号明細書
【文献】米国特許出願第13/542627号明細書
【文献】米国特許出願第14/292583号明細書
【文献】米国仮特許出願第61/505076号明細書
【文献】米国仮特許出願第62/249898号明細書
【文献】米国仮特許出願第62/343819号明細書
【文献】米国仮特許出願第62/377970号明細書
【文献】国際出願PCT/US2014/030770号明細書
【文献】国際出願PCT/US2016/049143号明細書
【文献】国際出願PCT/US2016/060167号明細書
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8