(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】センシングシステム及び車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221004BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20221004BHJP
G01S 17/89 20200101ALI20221004BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01S17/931
G01S17/89
(21)【出願番号】P 2019551198
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2018039485
(87)【国際公開番号】W WO2019082926
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2017207499
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017207500
(32)【優先日】2017-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 修己
(72)【発明者】
【氏名】永島 徹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 美紗子
(72)【発明者】
【氏名】岡村 俊亮
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522886(JP,A)
【文献】特開2015-175644(JP,A)
【文献】特開2012-063230(JP,A)
【文献】特開2013-029375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G01S 17/931
G01S 17/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられたセンシングシステムであって、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺に存在する対象物に関連付けられた情報を特定するように構成されたLiDAR制御部と、を備え、
前記LiDAR制御部は、前記LiDARユニットの検出領域のうち前記対象物が存在する第1角度領域における前記LiDARユニットの走査分解能が増加するように前記LiDARユニットを制御するように構成され
、
前記LiDAR制御部は、前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて前記対象物の属性を特定できなかった場合に、前記第1角度領域における前記LiDARユニットの走査分解能が増加するように前記LiDARユニットを制御する、
センシングシステム。
【請求項2】
前記LiDAR制御部は、前記対象物の属性が特定可能となるまで前記第1角度領域における前記LiDARユニットの走査分解能が徐々に増加するように前記LiDARユニットを制御するように構成されている、請求項
1に記載のセンシングシステム。
【請求項3】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられたセンシングシステムであって、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺に存在する対象物に関連付けられた情報を特定するように構成されたLiDAR制御部と、を備え、
前記LiDAR制御部は、前記LiDARユニットの検出領域のうち前記対象物が存在する第1角度領域における前記LiDARユニットの走査分解能が増加するように前記LiDARユニットを制御するように構成され、
前記LiDAR制御部は、
前記LiDARユニットから新たに取得された点群データに基づいて、前記対象物の位置を更新し、
前記更新された対象物の位置に基づいて、前記第1角度領域を更新する、
ように構成されている
、センシングシステム。
【請求項4】
請求項1から
3のうちいずれか一項に記載のセンシングシステムを備えた、自動運転モードで走行可能な車両。
【請求項5】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられるセンシングシステムであって、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺環境を示す周辺環境情報を取得するように構成されたLiDAR制御部と、
前記車両の上下方向に対する前記LiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成されたアクチュエータと、
前記アクチュエータの駆動を制御するように構成されたアクチュエータ制御部と、
を備え、
前記LiDARユニットの傾斜角度が第1の傾斜角度である場合に、前記LiDARユニットは、前記点群データの第1フレームを取得し、
前記LiDARユニットの傾斜角度が前記第1の傾斜角度とは異なる第2の傾斜角度である場合に、前記LiDARユニットは、前記点群データの第2フレームを取得し、
前記LiDAR制御部は、前記第1フレームと前記第2フレームに基づいて、前記周辺環境情報を取得する
、センシングシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータ制御部は、前記第1フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第1走査時間及び前記第2フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第2走査時間において、前記アクチュエータを駆動させない、請求項
5に記載のセンシングシステム。
【請求項7】
前記アクチュエータ制御部は、前記第1フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第1走査時間及び前記第2フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第2走査時間において、前記アクチュエータを駆動させる、請求項
5に記載のセンシングシステム。
【請求項8】
前記アクチュエータ制御部は、前記車両の現在位置に応じて、前記アクチュエータを駆動させるかどうかを決定するように構成されている、請求項
5から
7のうちいずれか一項に記載のセンシングシステム。
【請求項9】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられるセンシングシステムであって、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺環境を示す周辺環境情報を取得するように構成されたLiDAR制御部と、
前記車両の上下方向に対する前記LiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成されたアクチュエータと、
前記アクチュエータの駆動を制御するように構成されたアクチュエータ制御部と、
を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記車両の現在速度に応じて、前記LiDARユニットの傾斜角度の最大値を決定するように構成されている
、センシングシステム。
【請求項10】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられるセンシングシステムであって、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺環境を示す周辺環境情報を取得するように構成されたLiDAR制御部と、
前記車両の上下方向に対する前記LiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成されたアクチュエータと、
前記アクチュエータの駆動を制御するように構成されたアクチュエータ制御部と、
を備え、
前記アクチュエータ制御部は、前記車両の周辺に存在する歩行者の検出に応じて、前記アクチュエータを駆動させるように構成されている
、センシングシステム。
【請求項11】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられるセンシングシステムであって、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺環境を示す周辺環境情報を取得するように構成されたLiDAR制御部と、
前記車両の上下方向に対する前記LiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成されたアクチュエータと、
前記アクチュエータの駆動を制御するように構成されたアクチュエータ制御部と、
を備え、
前記アクチュエータは、
前記車両の水平方向に対して所定の角度領域内において前記LiDARユニットの傾斜角度を第1の角度間隔で徐々に変更し、
前記所定の角度領域外において前記LiDARユニットの傾斜角度を前記第1の角度
間隔よりも大きい第2の角度間隔で徐々に変更する、ように構成されている
、センシングシステム。
【請求項12】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられるセンシングシステムであって、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺環境を示す周辺環境情報を取得するように構成されたLiDAR制御部と、
前記車両の上下方向に対する前記LiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成されたアクチュエータと、
前記アクチュエータの駆動を制御するように構成されたアクチュエータ制御部と、
を備え、
前記LiDARユニットは、
第1のLiDARユニットと、第2のLiDARユニットを備え、
上面視において、前記第1のLiDARユニットと前記第2のLiDARユニットは互いに重なるように配置され、
前記アクチュエータは、
前記上下方向に対する前記第1のLiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成された第1のアクチュエータと、
前記上下方向に対する前記第2のLiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成された第2のアクチュエータと、を備える
、センシングシステム。
【請求項13】
請求項
5から
12のうちいずれか一項に記載のセンシングシステムを備えた、自動運転モードで走行可能な車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センシングシステムに関する。特に、本開示は、自動運転モードで走行可能な車両に設けられたセンシングシステムに関する。また、本開示は、センシングシステムを備えた自動運転モードで走行可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の自動運転技術の研究が各国で盛んに行われており、自動運転モードで車両(以下、「車両」は自動車のことを指す。)が公道を走行することができるための法整備が各国で検討されている。ここで、自動運転モードでは、車両システムが車両の走行を自動的に制御する。具体的には、自動運転モードでは、車両システムは、カメラ、レーダ(例えば、レーザレーダやミリ波レーダ)等のセンサから得られる車両の周辺環境を示す情報(周辺環境情報)に基づいてステアリング制御(車両の進行方向の制御)、ブレーキ制御及びアクセル制御(車両の制動、加減速の制御)のうちの少なくとも1つを自動的に行う。一方、以下に述べる手動運転モードでは、従来型の車両の多くがそうであるように、運転者が車両の走行を制御する。具体的には、手動運転モードでは、運転者の操作(ステアリング操作、ブレーキ操作、アクセル操作)に従って車両の走行が制御され、車両システムはステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御を自動的に行わない。尚、車両の運転モードとは、一部の車両のみに存在する概念ではなく、自動運転機能を有さない従来型の車両も含めた全ての車両において存在する概念であって、例えば、車両制御方法等に応じて分類される。
【0003】
このように、将来において、公道上では自動運転モードで走行中の車両(以下、適宜、「自動運転車」という。)と手動運転モードで走行中の車両(以下、適宜、「手動運転車」という。)が混在することが予想される。
【0004】
自動運転技術の一例として、特許文献1には、先行車に後続車が自動追従走行した自動追従走行システムが開示されている。当該自動追従走行システムでは、先行車と後続車の各々が照明システムを備えており、先行車と後続車との間に他車が割り込むことを防止するための文字情報が先行車の照明システムに表示されると共に、自動追従走行である旨を示す文字情報が後続車の照明システムに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動運転技術の発展において、車両の周辺環境を示す周辺環境情報の精度を飛躍的に向上させることが課題となっている。車両の周辺環境を特定する場合には、LiDARユニットが用いられており、電子制御ユニット(ECU)は、LiDARユニットから取得された点群データに基づいて車両の周辺環境情報(例えば、車両の周辺に存在する対象物に関連した情報)を取得することが可能となる。車両の周辺環境情報の精度を向上させるためには、LiDARユニットの走査分解能を増加させることが考えられる一方、LiDARユニットの走査分解能の増加に伴って点群データを演算処理する電子制御ユニットの演算負荷が飛躍的に増加してしまう。このように、車両の周辺環境情報の精度の向上と電子制御ユニットの演算負荷との間にはトレードオフの関係が存在する。
【0007】
また、LiDARユニットは、車両の水平方向における検出領域(検出角度領域)は十分に広いものの、車両の上下方向(垂直方向)における検出領域はかなり狭い。このため、車両の上下方向におけるLiDARユニットの検出領域を広げることで車両の周辺環境の認知精度をさらに向上させる余地がある。
【0008】
本開示の第1の目的は、電子制御ユニットの演算負荷を抑えつつ、周辺環境情報の精度を向上させることが可能なセンシングシステム及び車両を提供することである。また、本開示の第2の目的は、車両の周辺環境の認知精度を向上させることが可能なセンシングシステム及び車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るセンシングシステムは、自動運転モードで走行可能な車両に設けられており、前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺に存在する対象物に関連付けられた情報を特定するように構成されたLiDAR制御部と、を備える。
前記LiDAR制御部は、前記LiDARユニットの検出領域のうち前記対象物が存在する第1角度領域における前記LiDARユニットの走査分解能が増加するように前記LiDARユニットを制御するように構成されている。
【0010】
上記構成によれば、LiDARユニットの検出領域のうち対象物(例えば、歩行者等)が存在する第1角度領域におけるLiDARユニットの走査分解能が増加する。このように、第1角度領域におけるLiDARユニットの走査分解能を増加させる一方、第1角度領域以外の検出領域における走査分解能を増加させないことで、LiDAR制御部(電子制御ユニット)の演算負荷を抑えた上で、対象物に関連する情報の精度を向上させることができる。したがって、電子制御ユニットの演算負荷を抑えつつ、周辺環境情報の精度を向上させることが可能なセンシングシステムを提供することができる。
【0011】
また、前記LiDAR制御部は、前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて前記対象物の属性を特定できなかった場合に、前記第1角度領域における前記LiDARユニットの走査分解能が増加するように前記LiDARユニットを制御してもよい。
【0012】
上記構成によれば、LiDARユニットから取得された点群データに基づいて対象物の属性が特定できなかった場合でも、対象物が存在する第1角度領域におけるLiDARユニットの走査分解能を増加させることで、対象物の属性を確実に特定することができる。
【0013】
また、前記LiDAR制御部は、前記対象物の属性が特定可能となるまで前記第1角度領域における前記LiDARユニットの走査分解能が徐々に増加するように前記LiDARユニットを制御するように構成されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、対象物の属性が特定可能となるまで第1角度領域におけるLiDARユニットの走査分解能が徐々に増加するので、対象物の属性を確実に特定することができる。
【0015】
また、前記LiDAR制御部は、
前記LiDARユニットから新たに取得された点群データに基づいて、前記対象物の位置を更新し、
前記更新された対象物の位置に基づいて、前記第1角度領域を更新する、
ように構成されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、LiDARユニットから新たに取得された点群データに基づいて対象物の位置が更新された上で、当該更新された対象物の位置に基づいて第1角度領域が更新される。このように、対象物が移動している場合でも、移動する対象物が存在する第1角度領域におけるLiDARユニットの走査分解能を増加させることができる。
【0017】
前記車両システムを備えた、自動運転モードで走行可能な車両が提供されてもよい。
【0018】
上記によれば、電子制御ユニットの演算負荷を抑えつつ、周辺環境情報の精度を向上させることが可能な車両を提供することができる。
【0019】
本開示の他の態様に係るセンシングシステムは、自動運転モードで走行可能な車両に設けられ、
前記車両の周辺環境を示す点群データを取得するように構成されたLiDARユニットと、
前記LiDARユニットから取得された点群データに基づいて、前記車両の周辺環境を示す周辺環境情報を取得するように構成されたLiDAR制御部と、
前記車両の上下方向に対する前記LiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成されたアクチュエータと、
前記アクチュエータの駆動を制御するように構成されたアクチュエータ制御部と、
を備える。
【0020】
上記構成によれば、アクチュエータを用いて車両の上下方向に対するLiDARユニットの傾斜角度を変更することができるので、上下方向におけるLiDARユニットの検出領域(検出角度範囲)を広げることができる。このように、車両の周辺環境の認知精度を向上させることが可能なセンシングシステムを提供することができる。
【0021】
また、前記LiDARユニットの傾斜角度が第1の傾斜角度である場合に、前記LiDARユニットは、前記点群データの第1フレームを取得してもよい。
前記LiDARユニットの傾斜角度が前記第1の傾斜角度とは異なる第2の傾斜角度である場合に、前記LiDARユニットは、前記点群データの第2フレームを取得してもよい。
前記LiDAR制御部は、前記第1フレームと前記第2フレームに基づいて、前記周辺環境情報を取得してもよい。
【0022】
上記構成によれば、LiDARユニットの傾斜角度が第1の傾斜角度である場合に点群データの第1フレームが取得されると共に、LiDARユニットの傾斜角度が第2の傾斜角度である場合に点群データの第2フレームが取得される。その後、取得された第1フレームと第2フレームに基づいて周辺環境情報が取得される。このように、第1フレームが取得される際のLiDARユニットの上下方向の検出領域は、第2フレームが取得される際のLiDARユニットの上下方向の検出領域とは相違するため、第1フレームと第2フレームを合成することで上下方向におけるLiDARユニットの検出領域を広げることができる。
【0023】
また、前記アクチュエータ制御部は、前記第1フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第1走査時間及び前記第2フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第2走査時間において、前記アクチュエータを駆動させなくてもよい。
【0024】
上記構成によれば、第1走査時間及び第2走査時間においてアクチュエータが駆動しないため、上下方向におけるLiDARユニットの傾斜に伴ってLiDARユニットの走査ラインが傾斜しない。このように、点群データを演算処理するLiDAR制御部の演算負荷を低減させることが可能となる。
【0025】
また、前記アクチュエータ制御部は、前記第1フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第1走査時間及び前記第2フレームが取得されるときの前記LiDARユニットの第2走査時間において、前記アクチュエータを駆動させてもよい。
【0026】
上記構成によれば、第1走査時間及び第2走査時間においてアクチュエータが駆動するので、LiDARユニットの走査ラインが傾斜するものの、点群データに基づく周辺環境情報の更新レートが大きく低下することを回避することが可能となる。このように、点群データに基づく周辺環境情報の更新レートが大きく低下することを回避しつつ、上下方向におけるLiDARユニットの検出領域を広げることが可能となる。
【0027】
また、前記アクチュエータ制御部は、前記車両の現在位置に応じて、前記アクチュエータを駆動させるかどうかを決定するように構成されてもよい。
【0028】
上記構成によれば、車両の現在位置に応じてアクチュエータを駆動させるかどうかが決定される。換言すれば、車両の現在位置に応じて上下方向に対してLiDARユニットを傾斜させるかどうかが決定される。このように、車両の現在位置している場所に応じた最適な周辺環境情報を取得することが可能となる。
【0029】
また、前記アクチュエータ制御部は、前記車両の現在速度に応じて、前記LiDARユニットの傾斜角度の最大値を決定するように構成されてもよい。
【0030】
上記構成によれば、車両の現在速度に応じてLiDARユニットの傾斜角度の最大値が決定される。このように、車両の現在速度に応じた最適な周辺環境情報を取得することが可能となる。
【0031】
また、前記アクチュエータ制御部は、前記車両の周辺に存在する歩行者の検出に応じて、前記アクチュエータを駆動させるように構成されてもよい。
【0032】
上記構成によれば、車両の周辺に存在する歩行者の検出に応じてアクチュエータが駆動される。換言すれば、車両の周辺に歩行者が検出されたときに、上下方向に対してLiDARユニットが傾斜する。このように、上下方向におけるLiDARユニットの検出領域を広げることで、対象物に関連した情報(例えば、対象物の属性情報等)の精度を向上させることが可能となる。
【0033】
また、前記アクチュエータは、
前記車両の水平方向に対して所定の角度領域内において前記LiDARユニットの傾斜角度を第1の角度間隔で徐々に変更し、
前記所定の角度領域外において前記LiDARユニットの傾斜角度を前記第1の角度ピッチよりも大きい第2の角度間隔で徐々に変更してもよい。
【0034】
上記構成によれば、所定の角度領域内ではLiDARユニットの傾斜角度は第1の角度間隔で徐々に変更される一方、所定の角度領域外ではLiDARユニットの傾斜角度は第1の角度間隔よりも大きい第2の角度間隔で徐々に変更される。このように、所定の角度領域内においてLiDARユニットの走査分解能を高めることができると共に、上下方向におけるLiDARユニットの検出領域を広げることができる。
【0035】
また、前記LiDARユニットは、
第1のLiDARユニットと、第2のLiDARユニットを備えてもよい。
上面視において、前記第1のLiDARユニットと前記第2のLiDARユニットは互いに重なるように配置されてもよい。
前記アクチュエータは、
前記上下方向に対する前記第1のLiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成された第1のアクチュエータと、
前記上下方向に対する前記第2のLiDARユニットの傾斜角度を変更するように構成された第2のアクチュエータと、を備えてもよい。
【0036】
上記構成によれば、上面視において互いに重なるように配置された2つの第1及び第2のLiDARユニットを用いることで、上下方向における第1及び第2のLiDARユニットから構成されるLiDARユニットの検出領域をさらに広げることができる。
【0037】
上記センシングシステムを備えた、自動運転モードで走行可能な車両が提供される。
【0038】
車両の周辺環境の認知精度を向上させることが可能な車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両システムを備える車両の上面図である。
【
図2】第1実施形態に係る車両システムを示すブロック図である。
【
図3】左前照明システムの制御部の機能ブロックを示す図である。
【
図4】左前照明システムにおけるカメラの検出領域と、LiDARユニットの検出領域と、ミリ波レーダの検出領域を説明するための図である。
【
図5】第1実施形態に係るLiDARユニットの制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】LiDARユニットの検出領域に歩行者が存在する様子を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る車両システムを備える車両の上面図である。
【
図9】第2実施形態に係る車両システムを示すブロック図である。
【
図10】左前照明システムの制御部の機能ブロックを示す図である。
【
図11】左前照明システムにおけるカメラの検出領域と、LiDARユニットの検出領域と、ミリ波レーダの検出領域を説明するための図である。
【
図12A】右側から見たLiDARユニットとアクチュエータの概略図である。
【
図12B】正面から見たLiDARユニットの概略図である。
【
図13】上下方向に対してLiDARユニットが傾斜することで上下方向におけるLiDARユニットの検出領域が変化する様子を示す図である。
【
図14A】水平方向におけるLiDARユニットの検出領域(拡大前の検出領域と拡大後の検出領域)を示す図である。
【
図14B】上下方向におけるLiDARユニットの検出領域(拡大前の検出領域と拡大後の検出領域)を示す図である。
【
図15】LiDARユニットの走査時間とアクチュエータの駆動時間との間の関係を説明するための図(その1)である。
【
図16】点群データのフレーム間における3本の走査ラインの角度変化を示す図(その1)である。
【
図17】点群データのフレーム間における3本の走査ラインの角度変化を示す図(その2)である。
【
図18A】LiDARユニットの走査時間とアクチュエータの駆動時間との間の関係を説明するための図(その2)である。
【
図18B】
図18Aで示すLiDARユニットの傾斜制御においてLiDARユニットの3本の走査ラインを示す図である。
【
図19】車両の現在位置に応じてアクチュエータを駆動させるかどうかを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図20】車両の周辺に存在する歩行者に応じてアクチュエータを駆動させるかどうかを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図21】車両の現在速度に応じて上下方向に対するLiDARユニットの傾斜角度の最大値を決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図22A】車両の現在速度が高速である場合の上下方向におけるLiDARユニットの検出領域を示す図である。
【
図22B】車両の現在速度が低速である場合の上下方向におけるLiDARユニットの検出領域を示す図である。
【
図23A】上下方向に並んで配置された2つのLiDARユニットの水平方向における検出領域を示す図である。
【
図23B】上下方向に並んで配置された2つのLiDARユニットの上下方向における検出領域を示す図である。
【
図24】変形例に係る左前照明システムの制御部の機能ブロックを示す図である。
【
図25A】車両が交差点に進入したときの車両の側方領域を検出するLiDARユニットの検出領域を示す図である。
【
図25B】車両が直進走行している間の車両の側方領域を検出するLiDARユニットの検出領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0041】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。また、「水平方向」についても適宜言及するが、「水平方向」とは、「上下方向」に対して垂直な方向であって、「左右方向」と「前後方向」を含む。
【0042】
最初に、
図1を参照して本実施形態に係る車両1について説明する。
図1は、車両システム2を備える車両1の上面図を示す模式図である。
図1に示すように、車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)であって、車両システム2を備える。車両システム2は、車両制御部3と、左前照明システム4a(以下、単に「照明システム4a」という。)と、右前照明システム4b(以下、単に「照明システム4b」という。)と、左後照明システム4c(以下、単に「照明システム4c」という。)と、右後照明システム4d(以下、単に「照明システム4d」という。)を少なくとも備える。
【0043】
照明システム4aは、車両1の左前側に設けられる。特に、照明システム4aは、車両1の左前側に設置されたハウジング24aと、ハウジング24aに取り付けられた透光カバー22aとを備える。照明システム4bは、車両1の右前側に設けられる。特に、照明システム4bは、車両1の右前側に設置されたハウジング24bと、ハウジング24bに取り付けられた透光カバー22bとを備える。照明システム4cは、車両1の左後側に設けられる。特に、照明システム4cは、車両1の左後側に設置されたハウジング24cと、ハウジング24cに取り付けられた透光カバー22cとを備える。照明システム4dは、車両1の右後側に設けられる。特に、照明システム4dは、車両1の右後側に設置されたハウジング24dと、ハウジング24dに取り付けられた透光カバー22dとを備える。
【0044】
次に、
図2を参照することで、
図1に示す車両システム2を具体的に説明する。
図2は、本実施形態に係る車両システム2を示すブロック図である。
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、照明システム4a~4dと、センサ5と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。また、車両システム2は、電力を供給するように構成されたバッテリー(図示せず)を備える。
【0045】
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及び/又はTPU(Tensor Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習によって構築されたプログラムである。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。
【0046】
また、電子制御ユニット(ECU)は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の少なくとも一つの集積回路によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと少なくとも一つの集積回路(FPGA等)との組み合わせによって構成されてもよい。
【0047】
照明システム4a(センシングシステムの一例)は、制御部40aと、照明ユニット42aと、カメラ43aと、LiDAR(Light Detection and Ranging)ユニット44a(レーザーレーダの一例)と、ミリ波レーダ45aとを更に備える。制御部40aと、照明ユニット42aと、カメラ43aと、LiDARユニット44aと、ミリ波レーダ45aは、
図1に示すように、ハウジング24aと透光カバー22aによって形成される空間Sa内に配置される。尚、制御部40aは、空間Sa以外の車両1の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部40aは、車両制御部3と一体的に構成されてもよい。
【0048】
制御部40aは、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、その他電子回路(例えば、トランジスタ等)を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROMと、RAMを含む。ROMには、車両1の周辺環境を特定するための周辺環境特定プログラムが記憶されてもよい。例えば、周辺環境特定プログラムは、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習によって構築されたプログラムである。RAMには、周辺環境特定プログラム、カメラ43aに取得された画像データ、LiDARユニット44aによって取得された3次元マッピングデータ(点群データ)及び/又はミリ波レーダ45aによって取得された検出データ等が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された周辺環境特定プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、電子制御ユニット(ECU)は、ASICやFPGA等の少なくとも一つの集積回路によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと少なくとも一つの集積回路(FPGA等)との組み合わせによって構成されてもよい。
【0049】
照明ユニット42aは、車両1の外部(前方)に向けて光を出射することによって、配光パターンを形成するように構成されている。照明ユニット42aは、光を出射する光源と、光学系とを有する。光源は、例えば、マトリックス状(例えば、N行×M列、N>1、M>1)に配列された複数の発光素子によって構成されてもよい。発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)又は有機EL素子である。光学系は、光源から出射された光を照明ユニット42aの前方に向けて反射するように構成されたリフレクタと、光源から直接出射された光又はリフレクタによって反射された光を屈折するように構成されたレンズとのうちの少なくとも一方を含んでもよい。車両1の運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に、照明ユニット42aは、運転者用の配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターンやハイビーム用配光パターン)を車両1の前方に形成するように構成されている。このように、照明ユニット42aは、左側ヘッドランプユニットとして機能する。一方、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードである場合に、照明ユニット42aは、カメラ用の配光パターンを車両1の前方に形成するように構成されてもよい。
【0050】
制御部40aは、照明ユニット42aに設けられた複数の発光素子の各々に電気信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)を個別に供給するように構成されてもよい。このように、制御部40aは、電気信号が供給される発光素子を個別に選択することができると共に、発光素子毎に電気信号のDuty比を調整することができる。つまり、制御部40aは、マトリックス状に配列された複数の発光素子のうち、点灯又は消灯すべき発光素子を選択することができると共に、点灯している発光素子の輝度を決定することができる。このため、制御部40aは、照明ユニット42aから前方に向けて出射される配光パターンの形状及び明るさを変更することができる。
【0051】
カメラ43aは、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、カメラ43aは、車両1の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを制御部40aに送信するように構成されている。制御部40aは、送信された画像データに基づいて、周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の距離や位置に関する情報とを含んでもよい。カメラ43aは、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS:Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子によって構成される。カメラ43aは、単眼カメラとしても構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。カメラ43aがステレオカメラの場合、制御部40aは、視差を利用することで、ステレオカメラによって取得された2以上の画像データに基づいて、車両1と車両1の外部に存在する対象物(例えば、歩行者等)との間の距離を特定することができる。また、本実施形態では、1つのカメラ43aが照明システム4aに設けられているが、2以上のカメラ43aが照明システム4aに設けられてもよい。
【0052】
LiDARユニット44aは、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニット44aは、車両1の周辺環境を示す点群データ(3Dマッピングデータ)を取得した上で、当該点群データを制御部40aに送信するように構成されている。制御部40aは、送信された点群データに基づいて、周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物に関連する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の距離や位置に関する情報と、対象物の移動方向に関する情報とを含んでもよい。
【0053】
より具体的には、LiDARユニット44aは、レーザ光の各出射角度(水平角度θ、垂直角度φ)におけるレーザ光(光パルス)の飛行時間(TOF:Time of Flight)ΔT1に関する情報を取得した上で、飛行時間ΔT1に関する情報に基づいて、各出射角度(水平角度θ、垂直角度φ)におけるLiDARユニット44a(車両1)と車両1の外部に存在する物体との間の距離Dに関する情報を取得することができる。ここで、飛行時間ΔT1は、例えば、以下のように算出することができる。
飛行時間ΔT1=レーザ光(光パルス)がLiDARユニットに戻ってきた時刻t1-LiDARユニットがレーザ光(光パルス)を出射した時刻t0
このように、LiDARユニット44aは、車両1の周辺環境を示す点群データ(3Dマッピングデータ)を取得することができる。
【0054】
また、LiDARユニット44aは、例えば、レーザ光を出射するように構成されたレーザ光源と、レーザ光を水平方向及び垂直方向に走査させるように構成された光偏向器と、レンズ等の光学系と、物体によって反射されたレーザ光を受光するように構成された受光部とを備える。レーザ光源から出射されるレーザ光の中心波長は特に限定されない。例えば、レーザ光は、中心波長が900nm付近である非可視光であってもよい。光偏向器は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、ポリゴンミラーであってもよい。受光部は、例えば、フォトダイオードである。尚、LIDARユニット44aは、光偏向器によってレーザ光を走査せずに、点群データを取得してもよい。例えば、LiDARユニット44aは、フェイズドアレイ方式又はフラッシュ方式で点群データを取得してもよい。また、本実施形態では、1つのLiDARユニット44aが照明システム4aに設けられているが、2以上のLiDARユニット44aが照明システム4aに設けられてもよい。例えば、2つのLiDARユニット44aが照明システム4aに設けられている場合、一方のLiDARユニット44aが車両1の前方領域における周辺環境を検出するように構成されると共に、他方のLiDARユニット44aが車両1の側方領域における周辺環境を検出するように構成されてもよい。
【0055】
また、LiDARユニット44aは、水平方向において所定の角度ピッチΔθ(水平方向において所定の走査分解能)及び上下方向において所定の角度ピッチΔφ(上下方向において所定の走査分解能)でレーザ光を走査させてもよい。後述するように、LiDARユニット44aは、対象物が存在する所定の角度領域における角度ピッチ(走査分解能)を増加させてもよい。尚、本実施形態では、LiDARユニット44aの「水平方向」及び「上下方向」は、車両1の「水平方向」及び「上下方向」に一致することを前提としているが、これらは必ずしも一致する必要はない。
【0056】
ミリ波レーダ45aは、車両1の周辺環境を検出するように構成されている。特に、ミリ波レーダ45aは、車両1の周辺環境を示す検出データを取得した上で、当該検出データを制御部40aに送信するように構成されている。制御部40aは、送信された検出データに基づいて、周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物に関する情報を含んでもよい。周辺環境情報は、例えば、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の位置に関する情報と、車両1に対する対象物の速度に関する情報を含んでもよい。
【0057】
例えば、ミリ波レーダ45aは、パルス変調方式、FM-CW(Frequency Moduleted-Continuous Wave)方式又は2周波CW方式で、ミリ波レーダ45a(車両1)と車両1の外部に存在する物体との間の距離Dを取得することができる。パルス変調方式を用いる場合、ミリ波レーダ45aは、ミリ波の各出射角度におけるミリ波の飛行時間ΔT2に関する情報を取得した上で、飛行時間ΔT2に関する情報に基づいて、各出射角度におけるミリ波レーダ45a(車両1)と車両1の外部に存在する物体との間の距離Dに関する情報を取得することができる。ここで、飛行時間ΔT2は、例えば、以下のように算出することができる。
飛行時間ΔT2=ミリ波がミリ波レーダに戻ってきた時刻t3-ミリ波レーダがミリ波を出射した時刻t2
また、ミリ波レーダ45aは、ミリ波レーダ45aから出射されたミリ波の周波数f0とミリ波レーダ45aに戻ってきたミリ波の周波数f1に基づいて、ミリ波レーダ45a(車両1)に対する車両1の外部に存在する物体の相対速度Vに関する情報を取得することができる。
【0058】
また、本実施形態では、1つのミリ波レーダ45aが照明システム4aに設けられているが、2以上のミリ波レーダ45aが照明システム4aに設けられてもよい。例えば、照明システム4aは、短距離用のミリ波レーダ45aと、中距離用のミリ波レーダ45aと、長距離用のミリ波レーダ45aを有してもよい。
【0059】
照明システム4bは、制御部40bと、照明ユニット42bと、カメラ43bと、LiDARユニット44bと、ミリ波レーダ45bとを更に備える。制御部40bと、照明ユニット42bと、カメラ43bと、LiDARユニット44bと、ミリ波レーダ45bは、
図1に示すように、ハウジング24bと透光カバー22bによって形成される空間Sb内に配置される。尚、制御部40bは、空間Sb以外の車両1の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部40bは、車両制御部3と一体的に構成されてもよい。制御部40bは、制御部40aと同様な機能及び構成を有してもよい。照明ユニット42bは、照明ユニット42aと同様な機能及び構成を有してもよい。この点において、照明ユニット42aは、左側ヘッドランプユニットとして機能する一方、照明ユニット42bは、右側ヘッドランプユニットとして機能する。カメラ43bは、カメラ43aと同様な機能及び構成を有してもよい。LiDARユニット44bは、LiDARユニット44aと同様な機能及び構成を有してもよい。ミリ波レーダ45bは、ミリ波レーダ45aと
同様な機能及び構成を有してもよい。
【0060】
照明システム4cは、制御部40cと、照明ユニット42cと、カメラ43cと、LiDARユニット44cと、ミリ波レーダ45cとを更に備える。制御部40cと、照明ユニット42cと、カメラ43cと、LiDARユニット44cと、ミリ波レーダ45cは、
図1に示すように、ハウジング24cと透光カバー22cによって形成される空間Sc内(灯室内)に配置される。尚、制御部40cは、空間Sc以外の車両1の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部40cは、車両制御部3と一体的に構成されてもよい。制御部40cは、制御部40aと同様な機能及び構成を有してもよい。
【0061】
照明ユニット42cは、車両1の外部(後方)に向けて光を出射することによって、配光パターンを形成するように構成されている。照明ユニット42cは、光を出射する光源と、光学系とを有する。光源は、例えば、マトリックス状(例えば、N行×M列、N>1、M>1)に配列された複数の発光素子によって構成されてもよい。発光素子は、例えば、LED、LD又は有機EL素子である。光学系は、光源から出射された光を照明ユニット42cの前方に向けて反射するように構成されたリフレクタと、光源から直接出射された光又はリフレクタによって反射された光を屈折するように構成されたレンズとのうちの少なくとも一方を含んでもよい。車両1の運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に、照明ユニット42cは消灯してもよい。一方、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードである場合に、照明ユニット42cは、カメラ用の配光パターンを車両1の後方に形成するように構成されてもよい。
【0062】
カメラ43cは、カメラ43aと同様な機能及び構成を有してもよい。LiDARユニット44cは、LiDARユニット44cと同様な機能及び構成を有してもよい。ミリ波レーダ45cは、ミリ波レーダ45aと同様な機能及び構成を有してもよい。
【0063】
照明システム4dは、制御部40dと、照明ユニット42dと、カメラ43dと、LiDARユニット44dと、ミリ波レーダ45dとを更に備える。制御部40dと、照明ユニット42dと、カメラ43dと、LiDARユニット44dと、ミリ波レーダ45dは、
図1に示すように、ハウジング24dと透光カバー22dによって形成される空間Sd内(灯室内)に配置される。尚、制御部40dは、空間Sd以外の車両1の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部40dは、車両制御部3と一体的に構成されてもよい。制御部40dは、制御部40cと同様な機能及び構成を有してもよい。照明ユニット42dは、照明ユニット42cと同様な機能及び構成を有してもよい。カメラ43dは、カメラ43cと同様な機能及び構成を有してもよい。LiDARユニット44dは、LiDARユニット44cと同様な機能及び構成を有してもよい。ミリ波レーダ45dは、ミリ波レーダ45cと同様な機能及び構成を有してもよい。
【0064】
センサ5は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサ等を有してもよい。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、車両1の走行状態を示す走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。また、センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。さらに、センサ5は、車両1の周辺環境の明るさ(照度等)を検出するように構成された照度センサを備えてもよい。照度センサは、例えば、フォトダイオードから出力される光電流の大きさに応じて周辺環境の明るさを決定してもよい。
【0065】
HMI(Human Machine Interface)8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行状態情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、走行状態情報、周辺環境情報および照明システム4の照明状態を表示するように構成されたディスプレイ等を含む。
【0066】
GPS(Global Positioning System)9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0067】
無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車両に関する情報(例えば、他車走行情報等)を他車両から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、自車走行情報等)を他車両に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両1は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器とアドホックモードにより直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),ZigBee(登録商標)、LPWA又はLi-Fiである。また、車両1は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器と第5世代移動通信システム(5G)を用いて通信してもよい。
【0068】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2D又は3Dの地図情報及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3Dの地図情報は、点群データによって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報や車両制御プログラムは、無線通信部10とインターネット等の通信ネットワークを介して更新されてもよい。
【0069】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報及び/又は地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0070】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に応じて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0071】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうちの一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2からの運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0072】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車の走行が可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替えてもよい。
【0073】
次に、
図3を参照して、制御部40aの機能について説明する。
図3は、照明システム4aの制御部40aの機能ブロックを示す図である。
図3に示すように、制御部40aは、照明ユニット42aと、カメラ43aと、LiDARユニット44aと、ミリ波レーダ45aの動作をそれぞれ制御するように構成されている。特に、制御部40aは、照明制御部410aと、カメラ制御部420aと、LiDAR制御部430aと、ミリ波レーダ制御部440aと、周辺環境情報融合部450aとを備える。
【0074】
照明制御部410aは、照明ユニット42aが所定の配光パターンを車両1の前方領域に向けて出射するように照明ユニット42aを制御するように構成されている。例えば、照明制御部410aは、車両1の運転モードに応じて照明ユニット42aから出射される配光パターンを変更してもよい。
【0075】
カメラ制御部420aは、カメラ43aの動作を制御すると共に、カメラ43aから出力された画像データに基づいて、カメラ43aの検出領域S
1(
図4参照)における車両1の周辺環境情報(以下、周辺環境情報I1という。)を生成するように構成されている。LiDAR制御部430aは、LiDARユニット44aの動作を制御すると共に、LiDARユニット44aから出力された点群データに基づいて、LiDARユニット44aの検出領域S
2(
図4参照)における車両1の周辺環境情報(以下、周辺環境情報I2という。)を生成するように構成されている。ミリ波レーダ制御部440aは、ミリ波レーダ45aの動作を制御すると共に、ミリ波レーダ45aから出力された検出データに基づいて、ミリ波レーダ45aの検出領域S
3(
図4参照)における車両1の周辺環境情報(以下、周辺環境情報I3という。)を生成するように構成されている。
【0076】
周辺環境情報融合部450aは、周辺環境情報I1,I2,I3をそれぞれ融合することで、融合された周辺環境情報Ifを生成するように構成される。ここで、周辺環境情報Ifは、
図4に示すように、カメラ43aの検出領域S
1と、LiDARユニット44aの検出領域S
2と、ミリ波レーダ45aの検出領域S
3を組合せた検出領域Sfにおける車両1の外部に存在する対象物に関連する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報Ifは、対象物の属性、車両1に対する対象物の位置、車両1と対象物との間の距離、車両1に対する対象物の速度及び/又は対象物の移動方向に関する情報を含んでもよい。周辺環境情報融合部450aは、周辺環境情報Ifを車両制御部3に送信するように構成される。
【0077】
次に、
図5から
図7を参照して本実施形態に係るLiDARユニット44aの制御方法(つまり、LiDARユニット44aの走査分解能を増加させる処理)について説明する。
図5は、本実施形態に係るLiDARユニット44aの制御方法を説明するためのフローチャートである。
図6は、LiDARユニット44aの検出領域S
2に歩行者P(対象物の一例)が存在する様子を示す図である。
図7は、歩行者Pが存在する角度領域S
xを示す図である。尚、
図6及び
図7では、説明の便宜上、LiDARユニット44a以外のセンサの検出領域については図示を省略するものとする。本実施形態では、LiDARユニット44aの制御方法についてのみ説明するが、LiDARユニット44aの制御方法は、LiDARユニット44b~44dにも適用可能である。つまり、制御部40b~40dは、LiDARユニット44aの制御方法と同様な方法でLiDARユニット44b~44dを制御してもよい。
【0078】
図5に示すように、ステップS1において、LiDAR制御部430aは、LiDARユニット44aから取得された点群データに基づいて、車両1の周辺領域(具体的には、LiDARユニット44aの検出領域S
2)に対象物(例えば、歩行者、他車両等)が存在するかどうかを判定する。LiDARユニット44aは、車両1の水平方向において所定の角度ピッチΔθ及び車両1の上下方向において所定の角度ピッチΔφでレーザ光を走査するものとする。このように、LiDARユニット44aは、所定の角度ピッチΔθ,Δφでレーザ光を走査させることで点群データを生成することができる。所定の角度ピッチが小さい程、点群データの空間分解能は高くなる。
【0079】
ステップS1の判定結果がYESである場合、LiDAR制御部430aはステップS2の処理を実行する。一方、ステップS1の判定結果がNOである場合、LiDAR制御部430aは、ステップS1の判定結果がYESになるまで待機する。尚、LiDAR制御部430aの代わりに、車両制御部3が、制御部40aから送信された周辺環境情報Ifに基づいて、車両1の周辺領域に対象物が存在するかどうかを判定してもよい。
【0080】
次に、ステップS2において、LiDAR制御部430aは、点群データに基づいて、車両1の周辺領域に存在する対象物の属性が特定可能かどうかを判定する。例えば、対象物が歩行者(又は自転車)である場合に、対象物の属性は歩行者(又は自転車)となる。また、対象物が他車である場合に、対象物の属性は車両となる。本実施形態では、
図6に示すように、LiDARユニット44aの検出領域S
2内に歩行者Pが存在するため、対象物の属性は歩行者となる。ステップS2の判定結果がYESである場合、
図5に示す一連の処理は終了する。一方、LiDAR制御部430aは、対象物の属性を特定できないと判定した場合(ステップS2でNO)、ステップS3の処理を実行する。尚、LiDAR制御部430aの代わりに、車両制御部3が周辺環境情報Ifに基づいて対象物の属性が特定可能かどうかを判定してもよい。
【0081】
次に、LiDAR制御部430aは、点群データに基づいて、歩行者P(対象物)の位置を特定する(ステップS3)。ここで、歩行者Pの位置とは、車両1に対する歩行者Pの相対的位置(座標)であってもよいし、地球空間上における歩行者Pの位置(座標)であってもよい。尚、LiDAR制御部430aは、歩行者Pの位置情報に加えて/代わりに、車両1と歩行者Pとの間の距離に関する情報及び車両1に対する歩行者Pの角度に関する情報を特定してもよい。さらに、LiDAR制御部430aの代わりに、車両制御部3が周辺環境情報Ifに基づいて歩行者Pの位置を特定してもよい。
【0082】
次に、ステップS4において、LiDAR制御部430aは、歩行者P(対象物)が存在する角度領域S
x(
図7参照)のみにおけるLiDARユニット44aの走査分解能を増加させる。具体的には、最初に、LiDAR制御部430aは、歩行者Pの位置情報に基づいて角度領域S
x(第1角度領域の一例)を決定する。角度領域S
xは、歩行者Pの全体をカバーする角度領域である。例えば、車両1の水平方向において、歩行者Pによって占有された領域の角度範囲がΔθ1である場合、車両1の水平方向において角度領域S
xの角度範囲は、Δ(θ1+α)となる(α>0)。角度Δαは、例えば、0<Δα<Δθ1であってもよい。この場合、角度領域S
xの角度範囲は、Δθよりも大きく2Δθよりも小さくなる。
【0083】
次に、LiDAR制御部430aは、角度領域SxにおけるLiDARユニット44aの走査分解能が増加するようにLiDARユニット44aを制御する。例えば、検出領域S2における水平方向の角度ピッチΔθが0.5°である場合に、LiDAR制御部430aは、角度領域Sxにおける水平方向の角度ピッチΔθが0.1°になるようにLiDARユニット44aを制御してもよい。このように、LiDAR制御部430aは、角度領域Sxにおいて、LiDARユニット44aの水平方向の走査分解能を増加させることができる。また、LiDAR制御部430aは、角度領域Sxにおいて、LiDARユニット44aの上下方向における走査分解能を増加させてもよい。例えば、検出領域S2における上下方向の角度ピッチΔφが3°である場合に、LiDAR制御部430aは、角度領域Sxにおける上下方向の角度ピッチが1°となるようにLiDARユニット44aを制御してもよい。このように、LiDAR制御部430aは、角度領域Sxにおける上下方向の走査分解能を増加させることができる。
【0084】
その後、角度領域SxのみにおけるLiDARユニット44aの走査分解能が増加した状態で、LiDARユニット44aは、車両1の周辺環境を示す点群データ(点群データの次フレーム)を新たに取得する。ここで、LiDARユニット44aによって新たに取得された点群データ(点群データの次フレーム)では、角度領域Sxにおける空間分解能は、角度領域Sx以外の検出領域S2における空間分解能よりも高い。このため、角度領域Sxに存在する対象物(歩行者P)に関連する情報(特に、属性情報)を高い精度で取得することが可能となる。
【0085】
次に、LiDAR制御部430aは、LiDARユニット44aから新たに取得された点群データに基づいて、対象物の属性を特定可能かどうか判定する(ステップS5)。LiDAR制御部430aは、点群データに基づいて対象物の属性が特定できた場合(つまり、対象物の属性を特定可能と判定した場合)、
図5に示す一連の処理を終了する。一方、LiDAR制御部430aは、点群データに基づいて対象物の属性が特定できなかった場合(つまり、対象物の属性を特定できないと判定した場合)、ステップS3,S4の処理を再び実行する。
【0086】
具体的には、ステップS3において、LiDAR制御部430aは、LiDARユニット44aから新たに取得された点群データに基づいて、歩行者P(対象物)の位置を更新する。その後、LiDAR制御部430aは、更新された歩行者Pの位置情報に基づいて角度領域Sxを更新した上で、角度領域SxのみにおけるLiDARユニット44aの走査分解能をさらに増加させる。
【0087】
例えば、現時点における角度領域Sxにおける水平方向の角度ピッチΔθが0.1°である場合には、LiDAR制御部430aは、角度領域Sxにおける水平方向の角度ピッチΔθが0.05°になるようにLiDARユニット44aを制御してもよい。このように、LiDAR制御部430aは、LiDARユニット44aの水平方向の走査分解能を徐々に増加させることが可能となる。さらに、LiDAR制御部430aは、LiDARユニット44aの上下方向の走査分解能を徐々に増加させてもよい。その後、LiDAR制御部430aは、角度領域SxにおけるLiDARユニット44aの走査分解能がさらに増加した状態で、LiDARユニット44aは、車両1の周辺環境を示す点群データを新たに取得する。その後、LiDAR制御部430aは、新たに取得された点群データに基づいて対象物の属性が特定可能かどうかを判定する。ステップS5の判定結果がNOである場合には、ステップS3,S4の処理が再度実行される。
【0088】
このように、本実施形態によれば、LiDARユニット44aの検出領域S2のうち歩行者Pが存在する角度領域SxにおけるLiDARユニット44aの走査分解能が増加する。このため、角度領域SxにおけるLiDARユニット44aの走査分解能を増加させる一方、角度領域Sx以外の検出領域S2における走査分解能を増加させないことで、LiDAR制御部430a(ECU)の演算負荷を抑えた上で、歩行者Pに関連する情報の精度を向上させることができる。したがって、LiDAR制御部430aの演算負荷を抑えつつ、周辺環境情報の精度を向上させることが可能な照明システム4aを提供することができる。
【0089】
また、LiDAR制御部430aは、LiDARユニット44aから取得された点群データに基づいて対象物の属性を特定できなかった場合に(ステップS2でNO)、角度領域SxにおけるLiDARユニット44aの走査分解能が増加するようにLiDARユニット44aを制御する。特に、LiDAR制御部430aは、対象物の属性が特定可能となるまで(ステップS5の判定結果がYESとなるまで)、角度領域SxにおけるLiDARユニット44aの走査分解能が徐々に増加するようにLiDARユニット44aを制御する。このように、歩行者Pが存在する角度領域Sxが徐々に増加するので、対象物の属性を確実に特定することが可能となる。
【0090】
また、LiDARユニット44aから新たに取得された点群データに基づいて歩行者Pの位置が更新された上で、更新された歩行者Pの位置に基づいて角度領域Sxが更新される。このように、歩行者Pが移動している場合でも、移動する歩行者Pが存在する角度領域SxにおけるLiDARユニット44aの走査分解能を増加させることができる。
【0091】
尚、本実施形態では、説明の便宜上、対象物の一例として歩行者Pが示されているが、対象物は、他車両(二輪車、三輪車を含む)、交通インフラ設備、障害物等であってもよい。また、複数の対象物がLiDARユニット44aの検出領域S2内に存在する場合、各々が複数の対象物のうちの少なくとも一つをカバーする複数の角度領域Sxが検出領域S2内に設けられてもよい。この場合、LiDAR制御部430aは、複数の角度領域Sxの各々におけるLiDARユニット44aの走査分解能を増加させてもよい。
【0092】
(第2実施形態)
以下、本開示の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0093】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図8に示す車両101について設定された相対的な方向である。ここで、「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。また、「水平方向」についても適宜言及するが、「水平方向」とは、「上下方向」に対して垂直な方向であって、「左右方向」と「前後方向」を含む。
【0094】
最初に、
図8を参照して本実施形態に係る車両101について説明する。
図8は、車両システム102を備える車両101の上面図を示す模式図である。
図8に示すように、車両101は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)であって、車両システム102を備える。車両システム102は、車両制御部103と、左前照明システム104a(以下、単に「照明システム104a」という。)と、右前照明システム104b(以下、単に「照明システム104b」という。)と、左後照明システム104c(以下、単に「照明システム104c」という。)と、右後照明システム104d(以下、単に「照明システム104d」という。)を少なくとも備える。
【0095】
照明システム104aは、車両101の左前側に設けられる。特に、照明システム104aは、車両101の左前側に設置されたハウジング124aと、ハウジング124aに取り付けられた透光カバー122aとを備える。照明システム104bは、車両101の右前側に設けられる。特に、照明システム104bは、車両101の右前側に設置されたハウジング124bと、ハウジング124bに取り付けられた透光カバー122bとを備える。照明システム104cは、車両101の左後側に設けられる。特に、照明システム104cは、車両101の左後側に設置されたハウジング124cと、ハウジング124cに取り付けられた透光カバー122cとを備える。照明システム104dは、車両101の右後側に設けられる。特に、照明システム104dは、車両101の右後側に設置されたハウジング124dと、ハウジング124dに取り付けられた透光カバー122dとを備える。
【0096】
次に、
図9を参照することで、
図8に示す車両システム102を具体的に説明する。
図9は、本実施形態に係る車両システム102を示すブロック図である。
図9に示すように、車両システム102は、車両制御部103と、照明システム104a~104dと、センサ5と、HMI8と、GPS9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。さらに、車両システム102は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。また、車両システム102は、電力を供給するように構成されたバッテリー(図示せず)を備える。
【0097】
車両制御部103は、車両101の走行を制御するように構成されている。車両制御部103は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROMと、RAMを含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習によって構築されたプログラムである。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。
【0098】
また、電子制御ユニット(ECU)は、ASICやFPGA等の少なくとも一つの集積回路によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと少なくとも一つの集積回路(FPGA等)との組み合わせによって構成されてもよい。
【0099】
照明システム104a(センシングシステムの一例)は、制御部140aと、照明ユニット142aと、カメラ143aと、LiDARユニット144a(レーザーレーダの一例)と、ミリ波レーダ145aと、アクチュエータ146aとを更に備える。制御部140aと、照明ユニット142aと、カメラ143aと、LiDARユニット144aと、ミリ波レーダ145aと、アクチュエータ146aは、
図8に示すように、ハウジング124aと透光カバー122aによって形成される空間Sa内に配置される。尚、制御部140aは、空間Sa以外の車両101の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部140aは、車両制御部103と一体的に構成されてもよい。
【0100】
制御部140aは、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、その他電子回路(例えば、トランジスタ等)を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROMと、RAMを含む。ROMには、車両101の周辺環境を特定するための周辺環境特定プログラムが記憶されてもよい。例えば、周辺環境特定プログラムは、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習によって構築されたプログラムである。RAMには、周辺環境特定プログラム、カメラ143aに取得された画像データ、LiDARユニット144aによって取得された3次元マッピングデータ(点群データ)及び/又はミリ波レーダ145aによって取得された検出データ等が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された周辺環境特定プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、電子制御ユニット(ECU)は、ASICやFPGA等の少なくとも一つの集積回路によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと少なくとも一つの集積回路(FPGA等)との組み合わせによって構成されてもよい。
【0101】
照明ユニット142aは、車両101の外部(前方)に向けて光を出射することによって、配光パターンを形成するように構成されている。照明ユニット142aは、光を出射する光源と、光学系とを有する。光源は、例えば、マトリックス状(例えば、N行×M列、N>1、M>1)に配列された複数の発光素子によって構成されてもよい。発光素子は、例えば、LED、LD又は有機EL素子である。光学系は、光源から出射された光を照明ユニット142aの前方に向けて反射するように構成されたリフレクタと、光源から直接出射された光又はリフレクタによって反射された光を屈折するように構成されたレンズとのうちの少なくとも一方を含んでもよい。車両101の運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に、照明ユニット142aは、運転者用の配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターンやハイビーム用配光パターン)を車両101の前方に形成するように構成されている。このように、照明ユニット142aは、左側ヘッドランプユニットとして機能する。一方、車両101の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードである場合に、照明ユニット142aは、カメラ用の配光パターンを車両101の前方に形成するように構成されてもよい。
【0102】
制御部140aは、照明ユニット142aに設けられた複数の発光素子の各々に電気信号(例えば、PWM信号)を個別に供給するように構成されてもよい。このように、制御部140aは、電気信号が供給される発光素子を個別に選択することができると共に、発光素子毎に電気信号のDuty比を調整することができる。つまり、制御部140aは、マトリックス状に配列された複数の発光素子のうち、点灯又は消灯すべき発光素子を選択することができると共に、点灯している発光素子の輝度を決定することができる。このため、制御部140aは、照明ユニット142aから前方に向けて出射される配光パターンの形状及び明るさを変更することができる。
【0103】
カメラ143aは、車両101の周辺環境を検出するように構成されている。特に、カメラ143aは、車両101の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを制御部140aに送信するように構成されている。制御部140aは、送信された画像データに基づいて、周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両101の外部に存在する対象物に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両101の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両101に対する対象物の距離や位置に関する情報とを含んでもよい。カメラ143aは、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子によって構成される。カメラ143aは、単眼カメラとしても構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。カメラ143aがステレオカメラの場合、制御部140aは、視差を利用することで、ステレオカメラによって取得された2以上の画像データに基づいて、車両101と車両101の外部に存在する対象物(例えば、歩行者等)との間の距離を特定することができる。また、本実施形態では、1つのカメラ143aが照明システム104aに設けられているが、2以上のカメラ143aが照明システム104aに設けられてもよい。
【0104】
LiDARユニット144aは、車両101の周辺環境を検出するように構成されている。特に、LiDARユニット144aは、車両101の周辺環境を示す点群データ(3Dマッピングデータ)を取得した上で、当該点群データを制御部140aに送信するように構成されている。制御部140aは、送信された点群データに基づいて、周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両101の外部に存在する対象物に関連する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両101の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両101に対する対象物の距離や位置に関する情報と、対象物の移動方向に関する情報とを含んでもよい。
【0105】
より具体的には、LiDARユニット144aは、レーザ光の各出射角度(水平角度θ、垂直角度φ)におけるレーザ光(光パルス)の飛行時間(TOF:Time of Flight)ΔT1に関する情報を取得した上で、飛行時間ΔT1に関する情報に基づいて、各出射角度(水平角度θ、垂直角度φ)におけるLiDARユニット144a(車両101)と車両101の外部に存在する物体との間の距離Dに関する情報を取得することができる。ここで、飛行時間ΔT1は、例えば、以下のように算出することができる。
飛行時間ΔT1=レーザ光(光パルス)がLiDARユニットに戻ってきた時刻t1-LiDARユニットがレーザ光(光パルス)を出射した時刻t0
このように、LiDARユニット144aは、車両101の周辺環境を示す点群データ(3Dマッピングデータ)を取得することができる。
【0106】
LiDARユニット144aは、例えば、レーザ光を出射するように構成された発光部と、レーザ光を水平方向及び垂直方向に走査させるように構成された光偏向器と、レンズ等の光学系と、物体によって反射されたレーザ光を受光するように構成された受光部とを備える。レーザ光源から出射されるレーザ光の中心波長は特に限定されない。例えば、レーザ光は、中心波長が900nm付近である非可視光であってもよい。光偏向器は、例えば、MEMSミラー、ポリゴンミラーであってもよい。光偏向器がポリゴンミラーである場合、LiDARユニット144aは、常に所定の方向に沿ってレーザ光を走査させる。一方、光偏向器がMEMSミラーである場合、LiDARユニット144aは、所定の方向に沿ってレーザ光を走査させた後に、当該所定の方向とは反対の方向にレーザ光を走査させる(つまり、レーザ光は往復移動する)。
【0107】
受光部は、例えば、フォトダイオードである。尚、LiDARユニット144aは、光偏向器によってレーザ光を走査せずに、点群データを取得してもよい。例えば、LiDARユニット144aは、フェイズドアレイ方式又はフラッシュ方式で点群データを取得してもよい。また、本実施形態では、1つのLiDARユニット144aが照明システム104aに設けられているが、2以上のLiDARユニット144aが照明システム104aに設けられてもよい。例えば、2つのLiDARユニット144aが照明システム104aに設けられている場合、一方のLiDARユニット144aが車両101の前方領域における周辺環境を検出するように構成されると共に、他方のLiDARユニット144aが車両101の側方領域における周辺環境を検出するように構成されてもよい。
【0108】
また、LiDARユニット144aは、水平方向において所定の角度ピッチ(水平方向において所定の走査分解能)及び上下方向において所定の角度ピッチ(上下方向において所定の走査分解能)でレーザ光を走査させてもよい。
【0109】
ミリ波レーダ145aは、車両101の周辺環境を検出するように構成されている。特に、ミリ波レーダ145aは、車両101の周辺環境を示す検出データを取得した上で、当該検出データを制御部140aに送信するように構成されている。制御部140aは、送信された検出データに基づいて、周辺環境情報を特定する。ここで、周辺環境情報は、車両101の外部に存在する対象物に関する情報を含んでもよい。周辺環境情報は、例えば、車両101の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両101に対する対象物の位置に関する情報と、車両101に対する対象物の速度に関する情報を含んでもよい。
【0110】
例えば、ミリ波レーダ145aは、パルス変調方式、FM-CW方式又は2周波CW方式で、ミリ波レーダ145a(車両101)と車両101の外部に存在する物体との間の距離Dを取得することができる。パルス変調方式を用いる場合、ミリ波レーダ145aは、ミリ波の各出射角度におけるミリ波の飛行時間ΔT2に関する情報を取得した上で、飛行時間ΔT2に関する情報に基づいて、各出射角度におけるミリ波レーダ145a(車両101)と車両101の外部に存在する物体との間の距離Dに関する情報を取得することができる。ここで、飛行時間ΔT2は、例えば、以下のように算出することができる。
飛行時間ΔT2=ミリ波がミリ波レーダに戻ってきた時刻t3-ミリ波レーダがミリ波を出射した時刻t2
また、ミリ波レーダ145aは、ミリ波レーダ145aから出射されたミリ波の周波数f0とミリ波レーダ145aに戻ってきたミリ波の周波数f1に基づいて、ミリ波レーダ145a(車両101)に対する車両101の外部に存在する物体の相対速度Vに関する情報を取得することができる。
【0111】
また、本実施形態では、1つのミリ波レーダ145aが照明システム104aに設けられているが、2以上のミリ波レーダ145aが照明システム104aに設けられてもよい。例えば、照明システム104aは、短距離用のミリ波レーダ145aと、中距離用のミリ波レーダ145aと、長距離用のミリ波レーダ145aを有してもよい。
【0112】
アクチュエータ146aは、車両101の上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度θを変更するように構成されている。例えば、本実施形態で使用されるアクチュエータ146aの一例は、
図12に示すように、電磁ソレノイド462と、電磁ソレノイド462に接続されたシャフト463を備える。電磁ソレノイド462は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換するように構成されており、シャフト463を前後方向に移動させることが可能である。
【0113】
照明システム104bは、制御部140bと、照明ユニット142bと、カメラ143bと、LiDARユニット144bと、ミリ波レーダ145bと、アクチュエータ146bとを更に備える。制御部140bと、照明ユニット142bと、カメラ143bと、LiDARユニット144bと、ミリ波レーダ145bと、アクチュエータ146bは、
図8に示すように、ハウジング124bと透光カバー122bによって形成される空間Sb内に配置される。尚、制御部140bは、空間Sb以外の車両101の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部140bは、車両制御部103と一体的に構成されてもよい。制御部140bは、制御部140aと同様な機能及び構成を有してもよい。照明ユニット142bは、照明ユニット142aと同様な機能及び構成を有してもよい。この点において、照明ユニット142aは、左側ヘッドランプユニットとして機能する一方、照明ユニット142bは、右側ヘッドランプユニットとして機能する。カメラ143bは、カメラ143aと同様な機能及び構成を有してもよい。LiDARユニット144bは、LiDARユニット144aと同様な機能及び構成を有してもよい。ミリ波レーダ145bは、ミリ波レーダ145aと同様な機能及び構成を有してもよい。アクチュエータ146bは、アクチュエータ146aと同様な機能及び構成を有してもよい。
【0114】
照明システム104cは、制御部140cと、照明ユニット142cと、カメラ143cと、LiDARユニット144cと、ミリ波レーダ145cと、アクチュエータ146cとを更に備える。制御部140cと、照明ユニット142cと、カメラ143cと、LiDARユニット144cと、ミリ波レーダ145cは、
図8に示すように、ハウジング124cと透光カバー122cによって形成される空間Sc内(灯室内)に配置される。尚、制御部140cは、空間Sc以外の車両101の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部140cは、車両制御部103と一体的に構成されてもよい。制御部140cは、制御部140aと同様な機能及び構成を有してもよい。
【0115】
照明ユニット142cは、車両101の外部(後方)に向けて光を出射することによって、配光パターンを形成するように構成されている。照明ユニット142cは、光を出射する光源と、光学系とを有する。光源は、例えば、マトリックス状(例えば、N行×M列、N>1、M>1)に配列された複数の発光素子によって構成されてもよい。発光素子は、例えば、LED、LD又は有機EL素子である。光学系は、光源から出射された光を照明ユニット142cの前方に向けて反射するように構成されたリフレクタと、光源から直接出射された光又はリフレクタによって反射された光を屈折するように構成されたレンズとのうちの少なくとも一方を含んでもよい。車両101の運転モードが手動運転モード又は運転支援モードである場合に、照明ユニット142cは消灯してもよい。一方、車両101の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードである場合に、照明ユニット142cは、カメラ用の配光パターンを車両101の後方に形成するように構成されてもよい。
【0116】
カメラ143cは、カメラ143aと同様な機能及び構成を有してもよい。LiDARユニット144cは、LiDARユニット144cと同様な機能及び構成を有してもよい。ミリ波レーダ145cは、ミリ波レーダ145aと同様な機能及び構成を有してもよい。アクチュエータ146cは、アクチュエータ146aと同様な機能及び構成を有してもよい。
【0117】
照明システム104dは、制御部140dと、照明ユニット142dと、カメラ143dと、LiDARユニット144dと、ミリ波レーダ145dとを更に備える。制御部140dと、照明ユニット142dと、カメラ143dと、LiDARユニット144dと、ミリ波レーダ145dは、
図8に示すように、ハウジング124dと透光カバー122dによって形成される空間Sd内(灯室内)に配置される。尚、制御部140dは、空間Sd以外の車両101の所定の場所に配置されてもよい。例えば、制御部140dは、車両制御部103と一体的に構成されてもよい。制御部140dは、制御部140cと同様な機能及び構成を有してもよい。照明ユニット142dは、照明ユニット142cと同様な機能及び構成を有してもよい。カメラ143dは、カメラ143cと同様な機能及び構成を有してもよい。LiDARユニット144dは、LiDARユニット144cと同様な機能及び構成を有してもよい。ミリ波レーダ145dは、ミリ波レーダ145cと同様な機能及び構成を有してもよい。アクチュエータ146dは、アクチュエータ146cと同様な機能及び構成を有してもよい。
【0118】
次に、
図10を参照して、制御部140aの機能について説明する。
図10は、照明システム104aの制御部140aの機能ブロックを示す図である。
図10に示すように、制御部140aは、照明ユニット142aと、カメラ143aと、LiDARユニット144aと、ミリ波レーダ145aと、アクチュエータ146aの動作をそれぞれ制御するように構成されている。特に、制御部140aは、照明制御部1410aと、カメラ制御部1420aと、LiDAR制御部1430aと、ミリ波レーダ制御部1440aと、アクチュエータ制御部1460aと、周辺環境情報融合部1450aとを備える。
【0119】
照明制御部1410aは、照明ユニット142aが所定の配光パターンを車両101の前方領域に向けて出射するように照明ユニット142aを制御するように構成されている。例えば、照明制御部1410aは、車両101の運転モードに応じて照明ユニット142aから出射される配光パターンを変更してもよい。
【0120】
カメラ制御部1420aは、カメラ143aの動作を制御すると共に、カメラ143aから出力された画像データに基づいて、カメラ143aの検出領域S
10(
図11参照)における車両101の周辺環境情報(以下、周辺環境情報I1という。)を生成するように構成されている。LiDAR制御部1430aは、LiDARユニット144aの動作を制御すると共に、LiDARユニット144aから出力された点群データに基づいて、LiDARユニット144aの検出領域S
12(
図11参照)における車両101の周辺環境情報(以下、周辺環境情報I2という。)を生成するように構成されている。ミリ波レーダ制御部1440aは、ミリ波レーダ145aの動作を制御すると共に、ミリ波レーダ145aから出力された検出データに基づいて、ミリ波レーダ145aの検出領域S
13(
図11参照)における車両101の周辺環境情報(以下、周辺環境情報I3という。)を生成するように構成されている。
【0121】
周辺環境情報融合部1450aは、周辺環境情報I1,I2,I3をそれぞれ融合することで、融合された周辺環境情報Igを生成するように構成される。ここで、周辺環境情報Igは、
図11に示すように、カメラ143aの検出領域S
10と、LiDARユニット144aの検出領域S
12と、ミリ波レーダ145aの検出領域S
13を組合せた検出領域S
gにおける車両101の外部に存在する対象物に関連する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報Igは、対象物の属性、車両101に対する対象物の位置、車両101と対象物との間の距離、車両101に対する対象物の速度及び/又は対象物の移動方向に関する情報を含んでもよい。周辺環境情報融合部1450aは、周辺環境情報Igを車両制御部103に送信するように構成される。
【0122】
アクチュエータ制御部1460aは、アクチュエータ146aの駆動を制御するように構成されている。特に、アクチュエータ制御部1460aは、アクチュエータ146aの駆動を制御することで、車両101の上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度を決定することができる。
【0123】
次に、
図12A,12Bを参照して本実施形態に係るLiDARユニット144aの構成の一例について以下に説明する。
図12Aは、右側から見たLiDARユニット144aとアクチュエータ146aの概略図である。
図12Bは、正面から見たLiDARユニット144aの概略図である。
【0124】
図12A,12Bに示すように、LiDARユニット144aは、LiDARユニット本体143と、LiDARユニット本体143を収容するハウジング140とを備える。LiDARユニット本体143は、車両101の外部に向けてレーザ光(光パルス)を出射するように構成された3つの発光部E1~E3と、車両101の前方に存在する物体によって反射又は散乱されたレーザ光を受光するように構成された3つの受光部R1~R3とを備える。例えば、LiDARユニット本体143が回転駆動することで、LiDARユニット144aは水平方向においてレーザ光を走査することが可能となる。3つの発光部E1~E3の各々は、同一のタイミングでレーザ光(光パルス)を出射するように構成されてもよい。また、3つの発光部E1~E3は、上下方向において異なる角度でレーザ光を出射するように構成されてもよい。上下方向における発光部E1から出射されたレーザ光の出射角度と発光部E2から出射されたレーザ光の出射角度との間の角度差は、例えば、3°である。また、上下方向における発光部E2から出射されたレーザ光の出射角度と発光部E3から出射されたレーザ光の出射角度との間の角度差は、例えば、3°である。尚、本実施形態では、発光部と受光部の数はそれぞれ3つであるが、発光部と受光部の数は3つに限定されるものではない。さらに、レーザ光の出射角度の角度差は3°に限定されるものではない。
【0125】
ハウジング140の上端面141は、上側支軸73を介してフレーム体72の支点70に接続されていると共に、ハウジング140の下端面142は、下側支軸75を介してシャフト463に接続されている。上側支軸73は、支点70に回動可能に固定されている。アクチュエータ146aが駆動する前ではLiDARユニット144aは上下方向に対して平行となっている(つまり、上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度はゼロである。)。
【0126】
例えば、上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度がθ2となるように前方向に向かってLiDARユニット144aが傾斜する場合について説明する。ここで、傾斜角度θ2は、前方向におけるLiDARユニット144aの最大傾斜角度(傾斜角度の最大値)であるものとする。この場合、アクチュエータ制御部1460aは、傾斜角度θ2に対応する制御信号(電気信号)をアクチュエータ146aに送信する。その後、アクチュエータ146aの電磁ソレノイド462は、アクチュエータ制御部1460aから受信した制御信号に基づいて、シャフト463を傾斜角度θ2に対応する位置まで移動させる。このように、LiDARユニット144aは、支点70を中心として前方向に向かって傾斜角度θ2だけ傾斜する。
【0127】
また、上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度がθ3となるように後方向に向かってLiDARユニット144aが傾斜する場合について説明する。ここで、傾斜角度θ3は、後方向におけるLiDARユニット144aの最大傾斜角度(傾斜角度の最大値)であるものとする。この場合、アクチュエータ制御部1460aは、傾斜角度θ3に対応する制御信号(電気信号)をアクチュエータ146aに送信する。その後、アクチュエータ146aの電磁ソレノイド462は、アクチュエータ制御部1460aから受信した制御信号に基づいて、シャフト463を傾斜角度θ3に対応する位置まで移動させる。このように、LiDARユニット144aは、支点70を中心として後方向に向かって傾斜角度θ3だけ傾斜する。
【0128】
図13に示すように、上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度がθ2となるように前方向に向かってLiDARユニット144aが傾斜する場合では、LiDARユニット144aの検出領域S
12は、上方向に向かって角度θ2だけ傾斜する。一方、上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度がθ3となるように後方向に向かってLiDARユニット144aが傾斜する場合では、LiDARユニット144aの検出領域S
12は、下方向に向かって角度θ3だけ傾斜する。このように、アクチュエータ制御部1460aがアクチュエータ146aを用いて上下方向に対してLiDARユニット144aを傾斜させることで、上下方向においてLiDARユニット144aの検出領域S
12を広げることが可能となる。
【0129】
尚、傾斜角度θ2は、前方向におけるLiDARユニット144aの最大傾斜角度であると共に、傾斜角度θ3は、後方向におけるLiDARユニット144aの最大傾斜角度である。実際には、上下方向に対してLiDARユニット144aは徐々に傾斜するため、検出領域S120は、上方向及び下方向に向かって徐々に傾斜する点に留意されたい。以降の説明では、LiDARユニット144aの傾斜制御によって得られるLiDARユニット144aの検出領域(つまり、上下方向において拡大された検出領域S12)を検出領域S120という。
【0130】
次に、
図14A,14Bを参照して水平方向及び上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S
12,S
120の角度範囲について説明をする。
図14Aは、水平方向における検出領域S
12と検出領域S
120(上下方向において拡大された検出領域S
12)を示す。
図14Bは、上下方向における検出領域S
10,S
120を示す。
【0131】
図14Aに示すように、水平方向における検出領域S
12の角度範囲と検出領域S
120の角度範囲は一致している。一方、
図14Bに示すように、上下方向における検出領域S
120の角度範囲θtは、上下方向における検出領域S
12の角度範囲θ1よりも大きい。この点において、傾斜角度θ2は、前方向におけるLiDARユニット144aの最大傾斜角度を示すと共に、傾斜角度θ3は、後方向におけるLiDARユニット144aの最大傾斜角度を示すため、検出領域S
120の角度範囲θtは、次式(1)のように規定される。
角度範囲θt=θ1+θ2+θ3・・・(1)
このように、上下方向における検出領域S
120の角度範囲θtは、上下方向における検出領域S
12の角度範囲θ1よりも(θ2+θ3)だけ増加する。
【0132】
このように、本実施形態によれば、アクチュエータ146aを用いて車両101の上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度を変更することができるので、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S12(角度範囲)を拡大することが可能となる。このように、車両101の周辺環境の認知精度を向上させることが可能な照明システム104a(センシングシステム)を提供することができる。特に、車両101の周辺に存在する歩行者等の対象物に関連する情報(例えば、属性情報等)を高い精度で取得することが可能となる。
【0133】
次に、
図15及び
図16を参照して、LiDARユニット144aによって取得される点群データの各フレームについて説明する。
図15は、LiDARユニット144aの走査時間とアクチュエータ146aの駆動時間との間の関係を説明するための図である。
図16は、点群データのフレームF1~F10間における3本の走査ラインL1~L3の角度変化を示す図である。
【0134】
図15に示すように、アクチュエータ制御部1460aは、LiDARユニット144aがレーザ光を走査している走査時間(LiDARユニット144aの走査時間)において、アクチュエータ146aを駆動させない。特に、アクチュエータ制御部1460aは、点群データのフレームFn(nは自然数)が取得されるときのLiDARユニット144aの走査時間において、アクチュエータ146aを駆動させない。例えば、点群データのフレームF2を取得するために必要なレーザ光の走査が終了した後に、アクチュエータ146aは、上下方向に対してLiDARユニット144aを傾斜させる。その後、LiDARユニット144aは、次のフレームF3を取得するためにレーザ光を走査させる。このように、LiDARユニット144aの走査時間とアクチュエータ146aの駆動時間が重複しないように、アクチュエータ制御部1460aは、アクチュエータ146aを駆動制御している。アクチュエータ146aの駆動時間は、LiDARユニット144aの走査時間のN倍(Nは自然数)に設定されてもよい。
【0135】
尚、
図15及び
図16において、フレームF1は、LiDARユニット144aによって最初に取得される点群データのフレームとは限らない。フレームF1,F5,F9は、上下方向に対してLiDARユニット144aが傾斜していないときに取得される点群データのフレームである。また、
図15に示すLiDARユニット144aの走査時間は、受光部R1~R3が光を受光した後の点群データを生成するために必要な信号処理の時間を含まない。
【0136】
図16では、フレームF1~F10間における3本の走査ラインL1~L3が示されている。特に、
図16は、車両101の前方に仮想的に設置された仮想スクリーンSc上に投影された走査ラインL1~L3を示している。仮想スクリーンScは、車両101の水平方向に対して垂直となるように設置されているものとする。走査ラインとは、レーザ光の走査によって仮想スクリーン上に形成されるレーザ光点の軌跡である。走査ラインL1は、発光部E1(
図12参照)から出射されたレーザ光の走査ラインである。走査ラインL2は、発光部E2から出射されたレーザ光の走査ラインである。走査ラインL3は、発光部E3から出射されたレーザ光の走査ラインである。
【0137】
上下方向における発光部E1から出射されたレーザ光の出射角度と発光部E2から出射されたレーザ光の出射角度との間の角度差は3°であるため、上下方向における走査ラインL1と走査ラインL2との間の角度間隔は3°である。同様に、上下方向における発光部E2から出射されたレーザ光の出射角度と発光部E3から出射されたレーザ光の出射角度との間の角度差は3°であるため、上下方向における走査ラインL2と走査ラインL3との間の角度間隔は3°である。また、上下方向における走査ラインL1と走査ラインL3との間の角度差は6°である。このように、上下方向における検出領域S12の角度範囲は6°であるものとする。尚、上記の角度差及び検出領域S12の角度範囲は、あくまでも一例である点に留意されたい。さらに、本実施形態では、LiDARユニット144aが3つの発光部E1~E3を備えているため、3つの走査ラインL1~L3が仮想スクリーンSc上に投影されている。一方、LiDARユニット144aがN個(N>3)の発光部を有する場合には、N個の走査ラインが仮想スクリーンSc上に投影される。
【0138】
次に、点群データのフレームF2~F9を取得する際の走査ラインL1~L3の上下方向における角度変化について以下に説明する。前提条件として、フレームF1は、上下方向に対してLiDARユニット144aが傾斜していないときに取得される点群データのフレームである。フレームF1を取得する際における走査ラインL2は、基準ラインに一致する。基準ラインは、上下方向におけるゼロ度を示すラインである。所定の走査ラインが基準ラインに一致する場合、当該所定の走査ラインを形成するレーザ光は水平方向に対して平行に出射される。
【0139】
最初に、フレームF1を取得するために必要なレーザ光の走査が終了した後に、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを後方向に向かって1.5°傾斜させる。その後、LiDARユニット144aがレーザ光を走査することでLiDARユニット144aの検出領域S12が下方向に1.5°傾斜する。このように、フレームF2を取得する際には、走査ラインL2が下方向に1.5°傾斜する。次に、LiDARユニット144aが後方向に向かって1.5°傾斜した状態で、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを後方向に向かって4.5°更に移動させる。その後、LiDARユニット144aがレーザ光を走査することでLiDARユニット144aの検出領域S12が下方向に6°(=1.5°+4.5°)傾斜する。このように、フレームF3を取得する際には、走査ラインL2が下方向に6°傾斜する。
【0140】
次に、LiDARユニット144aが後方向に向かって6°傾斜した状態で、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを前方向に向かって4.5°移動させる。その後、LiDARユニット144aがレーザ光を走査することでLiDARユニット144aの検出領域S12が下方向に1.5°(=6°-4.5°)傾斜する。このように、フレームF4を取得する際には、走査ラインL2が下方向に1.5°傾斜する。
【0141】
次に、LiDARユニット144aが後方向に向かって1.5°傾斜した状態で、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを前方向に向かって1.5°移動させる。このように、フレームF5を取得する際には、走査ラインL2(検出領域S12)は上下方向に傾斜しない。
【0142】
次に、LiDARユニット144aが上下方向に傾斜しない状態で、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを前方向に向かって1.5°移動させる。このように、フレームF6を取得する際には、走査ラインL2(検出領域S12)は上方向に1.5°傾斜する。
【0143】
次に、LiDARユニット144aが前方向に向かって1.5°傾斜した状態で、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを前方向に向かって4.5°更に移動させる。このように、フレームF7を取得する際には、走査ラインL2(検出領域S12)は上方向に6°傾斜する。
【0144】
次に、LiDARユニット144aが前方向に向かって6°傾斜した状態で、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを後方向に向かって4.5°移動させる。このように、フレームF8を取得する際には、走査ラインL2(検出領域S12)は上方向に1.5°傾斜する。
【0145】
次に、LiDARユニット144aが前方向に向かって1.5°傾斜した状態で、アクチュエータ146aは、LiDARユニット144aを後方向に向かって1.5°移動させる。このように、フレームF9を取得する際には、走査ラインL2(検出領域S12)は上下方向に傾斜しない。フレームF1と同様に、フレームF9は、上下方向に対してLiDARユニット144aが傾斜していないときに取得される点群データのフレームである。
【0146】
このように、フレームF1からF8までの取得期間において実行されるアクチュエータ146aの駆動制御が繰り返し実行される。換言すれば、フレームF1からF8までの取得期間におけるLiDARユニット144aの傾斜制御が繰り返し実行される。フレームF9が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置は、フレームF1が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置に対応する。さらに、フレームF10が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置は、フレームF2が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置に対応する。
【0147】
LiDAR制御部1430aは、点群データのフレームF1からF8に基づいて、周辺環境情報I2を生成する。詳細には、LiDAR制御部1430aは、フレームF1からF8を合成することで、周辺環境情報I2を生成する。このように、各フレームが取得される際の上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S
12(走査ライン)の角度位置が相違するため、各フレームを合成することで上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域を拡大することができる(つまり、検出領域S
120を取得することができる。)。特に、
図16に示す例では、検出領域S
12の角度範囲が6°である一方、LiDARユニット144aの傾斜制御によって拡大された検出領域S
12に相当する検出領域S
120の角度範囲は18°となる。
【0148】
さらに、本実施形態では、隣接する走査ライン間の角度間隔が3°である一方で、走査フレームL1~L3は3°よりも小さい1.5°で上下方向に移動している。このように、検出領域S120では、検出領域S12と比較して、隣接した走査ライン間の角度間隔が狭くなるため、点群データの上下方向における空間分解能を高くすることができる。このように、点群データから得られる周辺環境情報の精度を向上させることができる。
【0149】
また、本実施形態によれば、LiDARユニット144aの走査時間とアクチュエータ146aの駆動時間が互いに重複しないように、アクチュエータ制御部1460aは、アクチュエータ146aを駆動制御している。このため、
図16に示すように、LiDARユニット144aの走査ラインL1~L3が傾斜しない。特に、走査ラインの一端(始点)と他端(終点)との間において上下方向の角度差が生じない。例えば、フレームF2を取得する際の走査ラインL1では、上下方向において角度位置が変化しない。このように、走査ラインL1~L3が傾斜しないので点群データを演算処理するLiDAR制御部1430a(ECU)の演算負荷を低減させることが可能となる。
【0150】
尚、本実施形態では、アクチュエータ146aは、隣接するフレーム間において、LiDARユニット144aを2種類の角度間隔(1.5°と4.5°)で移動させているが、本実施形態はこれには限定されない。例えば、アクチュエータ146aは、隣接するフレーム間において、LiDARユニット144aを1種類の角度間隔(例えば、1.5°又は4.5°)で移動させてもよい。ここで、隣接するフレーム間において、アクチュエータ146aがLiDARユニット144aを1.5°間隔で移動させる場合には、点群データの上下方向における空間分解能をより向上させることができる。一方、隣接するフレーム間において、アクチュエータ146aがLiDARユニット144aを4.5°間隔で移動させる場合には、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域をより拡大させることができる。
【0151】
また、アクチュエータ146aは、基準ラインから所定の角度領域内(例えば、下方向に5°から上方向に5°の範囲内)においてLiDARユニット144aの傾斜角度を第1の角度間隔(例えば、1.5°)で徐々に変更すると共に、所定の角度領域外においてLiDARユニット144aの傾斜角度を第1の角度間隔よりも大きい第2の角度間隔(例えば、4.5°)で徐々に変更してもよい。ここで、基準ラインから所定の角度領域とは、水平方向に対して所定の角度領域を意味する。このように、所定の角度領域内ではLiDARユニット144aの傾斜角度は第1の角度間隔で徐々に変更されると共に、所定の角度領域外ではLiDARユニット144aの傾斜角度は第2の角度間隔で徐々に変更される。したがって、所定の角度領域内においてLiDARユニット144aの走査分解能を高めることができると共に、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域を拡大することができる。
【0152】
さらに、フレームF1とフレームF2との間においてLiDARユニット144aは1.5°移動する一方、フレームF2とフレームF3との間においてLiDARユニット144aは4.5°移動する。このため、
図15に示すように、フレームF1とフレームF2との間におけるアクチュエータ146aの駆動時間Ta1と、フレームF2とフレームF3との間におけるアクチュエータ146aの駆動時間Ta2は異なっている。しかしながら、アクチュエータ制御部1460aは、駆動期間Ta1と駆動時間Ta2が同じとなるようにアクチュエータ146aを駆動制御してもよい。この場合、駆動時間Ta2の間のシャフト463の移動速度は、駆動時間Ta1の間のシャフト463の移動速度よりも高い。
【0153】
次に、
図17を参照してLiDARユニット144aの傾斜制御の他の一例について説明する。
図17は、点群データのフレームF1~F6間における走査ラインL1~L3の角度変化を示す図である。前提条件として、フレームF1は、上下方向に対してLiDARユニット144aが傾斜していないときに取得される点群データのフレームである。フレームF1を取得する際には、走査ラインL2は、上下方向におけるゼロ度を示す基準ラインに一致するものとする。
【0154】
図17に示すように、フレームF2を取得する際には、走査ラインL1が基準ラインに一致した状態で、走査ラインL2は下方向に3°傾斜する。次に、フレームF3を取得する際には、走査ラインL2は基準ラインに一致する。次に、フレームF4を取得する際には、走査ラインL3が基準ラインに一致した情報で、走査ラインL2は上方向に3°傾斜する。フレームF5を取得する際には、走査ラインL2が基準ラインに一致する。
【0155】
このように、フレームF1からF4までの取得期間において実行されるアクチュエータ146aの駆動制御が繰り返し実行される。換言すれば、フレームF1からF4までの取得期間におけるLiDARユニット144aの傾斜制御が繰り返し実行される。フレームF5が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置は、フレームF1が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置に対応する。さらに、フレームF6が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置は、フレームF2が取得される際の上下方向における走査ラインL1~L3の角度位置に対応する。
【0156】
LiDAR制御部1430aは、点群データのフレームF1からF4に基づいて、周辺環境情報I2を生成する。詳細には、LiDAR制御部1430aは、フレームF1からF4を合成することで、周辺環境情報I2を生成する。このように、各フレームが取得される際の上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S
12(走査ライン)の角度位置が相違するため、各フレームを合成することで上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域を拡大することができる。特に、
図17に示す例では、検出領域S
12の角度範囲が6°である一方、検出領域S
120の角度範囲は12°(=2×6°)となる。
【0157】
さらに、本例では、各フレーム間において、3つの走査ラインL1~L3のうち一方が基準ラインに一致した状態で走査ラインL1~L3が上下方向に所定角度だけ移動する。このように、基準ラインが必ずレーザ光で走査されるため、基準ラインの付近に存在する対象物に関連する情報の精度を向上させることが可能となる。
【0158】
次に、
図18A,18Bを参照してLiDARユニット144aの傾斜制御の他の一例について説明する。
図18Aは、LiDARユニット144aの走査時間とアクチュエータ146aの駆動時間との間の関係を説明するための図である。
図18Bは、
図18Aで示すLiDARユニット144aの傾斜制御においてLiDARユニット144aの3本の走査ラインL1~L3を示す図である。
【0159】
図18に示すように、アクチュエータ制御部1460aは、LiDARユニット144aがレーザ光を走査している走査時間において、アクチュエータ146aを駆動させている。例えば、LiDARユニット144aが点群データのフレームF2を取得するためにレーザ光を走査させている間に、アクチュエータ146aは上下方向に対してLiDARユニット144aを傾斜させる。このように、
図15に示す例とは異なり、LiDARユニット144aの走査時間とアクチュエータ146aの駆動時間が互いに重複するように、アクチュエータ制御部1460aは、アクチュエータ146aを駆動制御している。
【0160】
一方、LiDARユニット144aがレーザ光を走査している間に、アクチュエータ146aは上下方向に対してLiDARユニット144aを傾斜させるので、
図18Bに示すように、走査ラインL1~L3が傾斜してしまう。例えば、アクチュエータ146aが後方向に向かってLiDARユニット144aを傾斜している間に、LiDARユニット144aがレーザ光を走査している場合には、
図18Bに示すように走査ラインL1~L3は傾斜する。特に、走査ラインの一端(始点)と他端(終点)との間において上下方向の角度差が生じる。また、LiDARユニット144aを後方向に向かって傾斜した状態で、LiDARユニット144aを後方向に向かって1.5°更に移動させた場合には、点線で示すように走査ラインL1~L3は傾斜する。
【0161】
このように、本例では、LiDARユニット144aの走査時間においてアクチュエータ146aが駆動するので、走査ラインL1~L3が傾斜するものの、点群データの複数フレームを合成することで得られる周辺環境情報I2の更新レート(Hz)が大きく低下することを回避することができる。このように、点群データに基づく周辺環境情報I2の更新レートが大きく低下することを回避しつつ、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域を広げることが可能となる。
【0162】
次に、
図19を参照して車両101の現在位置に応じてアクチュエータ146aを駆動させるかどうかを決定する処理の一例について説明する。
図19は、車両101の現在位置に応じてアクチュエータ146aを駆動させるかどうかを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0163】
図19に示すように、ステップS21において、車両制御部103(
図9参照)は、GPS9を用いて車両101の現在位置を示す情報(現在位置情報)を取得する。次に、車両制御部103は、ステップS22において、記憶装置11から地図情報を取得する。その後、車両制御部103は、制御部140aのアクチュエータ制御部1460aに現在位置情報と地図情報を送信する。次に、アクチュエータ制御部1460aは、受信した現在位置情報と地図情報に基づいて、アクチュエータ146aを駆動させるべきかどうかを判定する(ステップS23)。
【0164】
例えば、アクチュエータ制御部1460aは、現在位置情報と地図情報に基づいて、対象物(歩行者等)が多く存在する場所(例えば、交差点や繁華街)に車両101が位置しているかどうかを判定する。アクチュエータ制御部1460aは、対象物が多く存在する場所に車両101が位置していると判定した場合(ステップS23でYES)、アクチュエータ146aを駆動させることで、LiDARユニット144aを上下方向に対して傾斜させる(ステップS24)。一方、アクチュエータ制御部1460aは、対象物が多く存在する場所に車両101が位置していないと判定した場合(ステップS23でNO)、アクチュエータ146aを駆動させない(ステップS25)。ステップS25では、LiDARユニット144aは、上下方向に対して傾斜しない状態でレーザ光を走査する。
【0165】
このように、対象物が多く存在する場所に車両101が位置している場合に、アクチュエータ146aを用いたLiDARユニット144aの傾斜制御が実行されるため、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域を拡大させることが可能となる。従って、車両101の周辺に存在する対象物に関連する情報を高い精度で取得することができる。
【0166】
また、別の例としては、ステップS23において、アクチュエータ制御部1460aは、現在位置情報と地図情報に基づいて、車両101が自動車専用道路(高速道路等)に位置しているかどうかを判定してもよい。アクチュエータ制御部1460aは、車両101が自動車専用道路に位置していると判定した場合(ステップS23でNO)、アクチュエータ146aを駆動させない(ステップS25)。一方、アクチュエータ制御部1460aは、車両101が自動車専用道路に位置していないと判定した場合(ステップS23でYES)、アクチュエータ146aを駆動させることで、LiDARユニット144a上下方向に対して傾斜させる(ステップS24)。
【0167】
このように、車両101が自動車専用道路に位置している場合に、アクチュエータ146aを用いたLiDARユニット144aの傾斜制御が実行されないため、点群データに基づく周辺環境情報I2の更新レート(Hz)を維持することが可能となる。特に、車両101が自動車専用道路に位置している場合には、車両101は高速で走行中であることが想定されるため、上下方向における検出領域の拡大よりも周辺環境情報I2の更新レートを維持させることが優先される。
【0168】
本実施形態によれば、車両101の現在位置に応じてアクチュエータ146aを駆動させるかどうかが決定されるため、車両101の現在位置に応じた最適な周辺環境情報を取得することが可能となる。尚、
図19に示す一連の処理は所定の周期で繰り返し実行されてもよい。
【0169】
次に、
図20を参照することで車両101の周辺に存在する歩行者に応じてアクチュエータ146aを駆動させるかどうかを決定する処理の一例について説明する。
図20は、車両101の周辺に存在する歩行者に応じてアクチュエータ146aを駆動させるかどうかを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【0170】
図20に示すように、ステップS30において、LiDAR制御部1430aは、LiDARユニット144aから取得された点群データに基づいて、車両101の周辺(特に、LiDARユニット144aの検出領域S
12内)に歩行者が存在するかどうかを判定する。次に、LiDAR制御部1430aは、車両101の周辺に歩行者が存在すると判定した場合には(ステップS30でYES)、歩行者が存在することを示す情報をアクチュエータ制御部1460aに送信する。その後、アクチュエータ制御部1460aは、歩行者が存在することを示す情報に応じて、アクチュエータ146aを駆動させることで、LiDARユニット144aを上下方向に対して傾斜させる(ステップS31)。一方、LiDAR制御部1430aは、車両101の周辺に歩行者が存在しないと判定した場合には(ステップS30でNO)、歩行者が存在しないことを示す情報をアクチュエータ制御部1460aに送信する。その後、アクチュエータ制御部1460aは、歩行者が存在しないことを示す情報に応じて、アクチュエータを駆動させない(ステップS32)。つまり、LiDARユニット144aは、上下方向に対して傾斜しない状態でレーザ光を走査する。
【0171】
このように、本実施形態によれば、車両101の周辺に存在する歩行者の存在に応じてアクチュエータ146aが駆動される。換言すれば、車両101の周辺(詳細には、検出領域S12内)に歩行者が検出されたときに、LiDARユニット144aの傾斜制御が実行される。このように、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域を拡大させることで歩行者に関連した情報の精度を向上させることが可能となる。尚、本実施形態では、LiDAR制御部1430aが歩行者の存在を判定しているが、カメラ制御部1420aがカメラ143aから取得された画像データに基づいて歩行者の存在を判定してもよい。または、ミリ波レーダ制御部1440aがミリ波レーダ145aから取得された検出データに基づいて歩行者の存在を判定してもよい。
【0172】
次に、
図21及び
図22を参照して、車両101の速度に応じて上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度の最大値(最大傾斜角度)を決定する処理の一例について説明する。
図21は、車両101の現在速度Vに応じて上下方向に対するLiDARユニット144aの傾斜角度の最大値を決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図22Aは、車両101の現在速度Vが高速である場合の上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S
120を示す図である。
図22Bは、車両101の現在速度Vが低速である場合の上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S
120を示す図である。
【0173】
図21に示すように、ステップS40において、車両制御部103は、センサ5(車速センサ)から送信されたデータに基づいて車両101の現在速度Vを特定する。次に、車両制御部103は、現在速度Vは閾値速度Vth以下かどうかを判定する(ステップS41)。例えば、閾値速度Vthは、車両101の種類や車両101が走行している地域(国等)に応じて適宜設定可能である。閾値速度Vthは、例えば、60km/hである。
【0174】
車両制御部103は、現在速度Vが閾値速度Vth以下ではないと判定した場合(ステップS41でNO)、現在速度Vが高速であることを示す情報を制御部140aのアクチュエータ制御部1460aに送信する。次に、アクチュエータ制御部1460aは、現在速度Vが高速であることを示す情報に応じて、LiDARユニット144aの傾斜角度の最大値をθmax1に設定する(ステップS42)。現在速度Vが高速である場合、
図22Aに示すように、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S
120の角度範囲θt1は次式(2)のように規定される。ここで、前方向におけるLiDARユニット144aの傾斜角度の最大値はθmax1に設定されると共に、後方向におけるLiDARユニット144aの最傾斜角度の最大値もθmax1に設定されるものとする。また、検出領域S
12の角度範囲はθ1とする。
角度範囲θt1=θ1+2θmax1・・・(2)
次に、アクチュエータ制御部1460aは、上下方向における検出範囲S21の角度範囲がθt1となるようにアクチュエータ146aを駆動制御する(ステップS43)。
【0175】
一方、車両制御部103は、現在速度Vが閾値速度Vth以下であると判定した場合(ステップS41でYES)、現在速度Vは低速であることを示す情報をアクチュエータ制御部1460aに送信する。次に、アクチュエータ制御部1460aは、現在速度Vが低速であることを示す情報に応じて、LiDARユニット144aの傾斜角度の最大値をθmax2(>θmax1)に設定する(ステップS44)。現在速度Vが低速である場合、
図22Bに示すように、上下方向におけるLiDARユニット144aの検出領域S
120の角度範囲θt2は次式(3)のように規定される。ここで、前方向におけるLiDARユニット144aの傾斜角度の最大値はθmax2に設定されると共に、後方向におけるLiDARユニット144aの傾斜角度の最大値もθmax2に設定されるものとする。
角度範囲θt2=θ1+2θmax2・・・(3)
次に、アクチュエータ制御部1460aは、上下方向における検出範囲S21の角度範囲がθt2(>θt1)となるようにアクチュエータ146aを駆動制御する(ステップS45)。
【0176】
本実施形態によれば、車両101の現在速度Vが閾値速度Vth以下である場合(つまり、低速走行の場合)には、上下方向に対してLiDARユニット144aを大きく傾斜させることで(つまり、LiDARユニット144aの傾斜角度の最大値を大きくすることで)、上下方向におけるLiDARユニットの検出領域S120の角度範囲を大きくすることができる。一方、車両101の現在速度Vが閾値速度Vthより大きい場合(つまり、高速走行の場合)には、LiDARユニット144aの傾斜角度の最大値を小さくすることで、LiDARユニット144aの走査分解能を高くすることができる。または、点群データに基づく周辺環境情報の更新レートが大きく低下することを回避することができる。
【0177】
次に、第2実施形態の第1変形例に係る左前照明システム204a(以下、単に照明システム204aという。)について
図23及び
図24を参照して説明する。
図23Aは、上下方向に並んで配置された2つのLiDARユニット(第1LiDARユニット147aと第2LiDARユニット148a)の水平方向における検出領域S
22,S
23を示す図である。
図23Bは、2つのLiDARユニット147a,148aの上下方向における検出領域S
22,S
23を示す図である。
図24は、照明システム204aaの制御部240aの機能ブロックを示す図である。照明システム204aは、2つのLiDARユニットと2つのアクチュエータを設けた点で既に説明した照明システム104aとは相違する。
【0178】
図23に示すように、2つのLiDARユニット147a,148aは、上面視において互いに重なるように配置される。換言すれば、2つのLiDARユニット147a,148aは、上下方向において並んで配置されている。上面視において、第1LiDARユニット147aの全てが第2LiDARユニット148aに重複するように配置されてもよいし、第1LiDARユニット147aの一部が第2LiDARユニット148aに重複するように配置されてもよい。第1LiDARユニット147aの検出領域S
22は、アクチュエータ149aを用いた第1LiDARユニット147aの傾斜制御によって得られる上下方向において拡大された検出領域である。一方、第2LiDARユニット148aの検出領域S
23は、アクチュエータ150aを用いた第2LiDARユニット148aの傾斜制御によって得られる上下方向において拡大された検出領域である。水平方向における検出領域S
22,S
23の角度範囲は互いに一致する。一方、上下方向における検出領域S
22,S
23の角度範囲は、互いに一致してもよいし、異なっていてもよい。
【0179】
図24に示すように、制御部240aは、照明ユニット142aと、ミリ波レーダ145aと、カメラ143aと、第1LiDARユニット147aと、第2LiDARユニット148aと、第1アクチュエータ149aと、第2アクチュエータ150aとの動作をそれぞれ制御するように構成されている。特に、制御部240aは、照明制御部1410aと、ミリ波レーダ制御部1440aと、カメラ制御部1420aと、LiDAR制御部1435aと、アクチュエータ制御部1465aと、周辺環境情報融合部1450aとを備える。
【0180】
LiDAR制御部1435aは、第1LiDARユニット147aと第2LiDARユニット148aの動作を制御するように構成されている。LiDAR制御部1435aは、第1LiDARユニット147aから出力された点群データに基づいて、第1LiDARユニット147aの検出領域S22における周辺環境情報を生成するように構成されている。さらに、LiDAR制御部1435aは、第2LiDARユニット148aから出力された点群データに基づいて、第2LiDARユニット148aの検出領域S12における周辺環境情報を生成するように構成されている。
【0181】
第1アクチュエータ149aは、上下方向に対する第1LiDARユニット147aの傾斜角度を変更するように構成されている。第2アクチュエータ150aは、上下方向に対する第2LiDARユニット148aの傾斜角度を変更するように構成されている。例えば、2つのアクチュエータ149a,150aは、
図12に示すアクチュエータ146aと同様な構成を有してもよく、電磁ソレノイドと、電磁ソレノイドに接続されたシャフトを備えてもよい。2つのLiDARユニット147a,148aと2つのアクチュエータ149a,150aは、
図8に示すように、ハウジング124aと透光カバー122aによって形成される空間Sa内に配置される。
【0182】
アクチュエータ制御部1465aは、第1アクチュエータ149aと第2アクチュエータ150aの駆動を制御するように構成されている。特に、アクチュエータ制御部1465aは、第1アクチュエータ149aの駆動を制御することで、上下方向に対する第1LiDARユニット147aの傾斜角度を決定することが可能である。さらに、アクチュエータ制御部1465aは、第2アクチュエータ150aの駆動を制御することで、上下方向に対する第2LiDARユニット148aの傾斜角度を決定することが可能である。
【0183】
本変形例によれば、上面視において互いに重なるように配置された2つのLiDARユニット147a,148aを用いることで、上下方向における検出領域を広げることが可能となる。特に、単一のLiDARユニットを用いた場合には上下方向におけるLiDARユニットの検出領域は十分に広いものではない一方、2つの検出領域S22,S23を用いることで、上下方向においてLiDARユニットの十分な検出領域を確保することが可能となる。このように、車両101の周辺に存在する歩行者等の対象物に関連する情報(例えば、属性情報等)を高い精度で取得することが可能となる。尚、検出領域S22,S23は、上下方向において互いに部分的に重なっていてもよい。また、照明システム204aと同様に、右前照明システム、左後照明システム及び右後照明システムの各々は、2つのLiDARユニットと2つのアクチュエータを有してもよい。
【0184】
次に、
図25を参照して照明システム104aに搭載されたLiDARユニット152aの動作について説明する。
図25Aは、車両101が交差点に進入したときのLiDARユニット152aの検出領域S
25の一例を示す図である。
図25Bは、車両101が直進走行している間のLiDARユニット152aの検出領域S
25を示す図である。
【0185】
本例では、照明システム104aは、2つのLiDARユニットを備えているものとする。2つのLiDARユニットの一方は、車両101の前方領域における周辺環境を検出するように構成されたLiDARユニット144aである。2つのLiDARユニットの他方は、車両101の側方領域における周辺環境を検出するように構成されたLiDARユニット152aである。図示しないアクチュエータは、LiDARユニット152aを水平方向に回転するように構成されている。また、アクチュエータ制御部1460a(
図10参照)は、アクチュエータの駆動を制御することで、水平方向におけるLiDARユニット152aの出射面の方向を決定することが可能である。特に、アクチュエータ制御部1460aは、アクチュエータの駆動を制御することで、LiDARユニット152aの検出領域S
25を移動させることが可能となる。2つのLiDARユニット144a,152aは、
図8に示すように、ハウジング124aと透光カバー122aによって形成される空間Sa内に配置される。
【0186】
例えば、
図25Bに示すように、車両101が直進走行している間は、アクチュエータ制御部1460aは、LiDARユニット152aの出射面(又は検出領域S
25)が車両101の左後方側を向くように、アクチュエータを制御する。このように、車両101が直進走行している間は、LiDARユニット152aは、車両101の左後方領域における車両101の周辺環境を検出することが可能となる。一方、
図25Aに示すように、車両101が交差点に進入した場合には、アクチュエータ制御部1460aは、LiDARユニット152aの出射面(又は検出領域S
25)が車両101の左前方側を向くように、アクチュエータを制御する。このように、車両101が交差点に進入している場合には、LiDARユニット152aは、車両101の左前方領域における車両101の周辺環境を検出することが可能となる。この点において、車両101が左折する場合には、車両101の左前方領域における車両101の周辺環境情報がより重要になるため、LiDARユニット152aの出射面が車両101の左前方側を向くように、アクチュエータが制御されることが好ましい。したがって、車両101の状況に応じた最適な周辺環境情報を取得することができる。
【0187】
また、照明システム104aと同様に、照明システム104bは、車両101の前方領域における周辺環境を検出するように構成されたLiDARユニットと、車両101の側方領域における周辺環境を検出するように構成されたLiDARユニットを備えてもよい。さらに、照明システム104c,4dの各々は、車両101の後方領域における周辺環境を検出するように構成されたLiDARユニットと、車両101の側方領域における周辺環境を検出するように構成されたLiDARユニットを備えてもよい。
【0188】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0189】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードの区分は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0190】
本出願は、2017年10月26日に出願された日本国特許出願(特願2017-207499号)に開示された内容と、2017年10月26日に出願された日本国特許出願(特願2017-207500号)に開示された内容とを適宜援用する。