(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】農薬電解質組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/00 20060101AFI20221004BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20221004BHJP
A01P 7/00 20060101ALI20221004BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20221004BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20221004BHJP
A01N 43/70 20060101ALI20221004BHJP
A01N 53/06 20060101ALI20221004BHJP
A01N 43/54 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A01N25/00 101
A01P3/00
A01P7/00
A01P13/00
A01N25/04 102
A01N43/70
A01N53/06 150
A01N43/54 A
(21)【出願番号】P 2019568300
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(86)【国際出願番号】 US2018035815
(87)【国際公開番号】W WO2018231567
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-03-16
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508276992
【氏名又は名称】クローダ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン スチュアート ウォール
【審査官】▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-516706(JP,A)
【文献】特表2010-518126(JP,A)
【文献】特表2015-519294(JP,A)
【文献】特表2014-520532(JP,A)
【文献】特開2002-201104(JP,A)
【文献】特開2001-354506(JP,A)
【文献】特開昭59-055804(JP,A)
【文献】特開昭59-055801(JP,A)
【文献】特表2001-500523(JP,A)
【文献】特表2019-513148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む農薬懸濁濃縮物:
i)脱油レシチン;
ii)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びリン酸エステルを含む群から選択される分散剤;
iii)殺真菌剤から選択される少なくとも1種の農薬活性成分、
ここで前記レシチンは3.0重量%~8重量%の量で存在し、前記分散剤は2.2重量%~7重量%の量で存在する。
【請求項2】
以下を含む水性配合物:
i)請求項1に記載の懸濁濃縮物;
ii)N、P、及びKの1つ以上の混合物を含む水溶性無機肥料から選択される電解質、
ここで前記濃縮物の量は0.2~2重量%の範囲であり、前記肥料の量は5~35重量%の範囲である。
【請求項3】
請求項2に記載の水性配合物の希釈により形成される最終用途農薬配合物。
【請求項4】
請求項1に記載の懸濁濃縮物での使用に適した、脱油レシチンと、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びリン酸エステルを含む群から選択される分散剤との予備ブレンドであって、
前記レシチンの量は40重量%~60重量%の範囲であり、前記分散剤の量は25重量%~45重量%の範囲である、予備ブレンド。
【請求項5】
請求項2に記載の配合物又は請求項
3に記載の希釈配合物を
、植物又
は植物の直近の環境のいずれかに適用することを含む、有害生物を防除するための植物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年6月13日に出願された「農薬電解質組成物」と題された米国仮特許出願第第62/518,866号に関し、その優先権の利益を主張し、その出願の内容は参照により全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、農薬濃縮物及び活性配合物用の化合物に関する。本発明はまた、そのような配合物を用いて作物を処理することも含む。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
農薬組成物は、栄養素、成長調整物質、及び/又は毒性農薬、例えば除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、又は殺ダニ剤を提供することができる。多くの農薬は、噴霧タンク中に希釈した後に噴霧して適用される。コストを削減するために、噴霧タンク内で複数の成分を組み合わせて複雑な混合物にする傾向が高まっている。毒性農薬濃縮物と液体肥料(LF(liquid fertiliser))を組み合わせることで、畑を通る回数を減らすことができ、燃料の使用量、土壌の圧縮、トラクターの摩耗、作物の損傷を減らすことができる。
【0004】
しかし、多くの農薬組成物は、電解質の含量が多いため、液体肥料を含むこれらの複雑な噴霧タンク混合物とは相溶性がない。多くの界面活性剤及び分散剤は、高電解質システムとは相溶性がなく、噴霧タンク内の分散した農薬相のフロキュレーション及び分離を引き起こす可能性がある。これは、農薬の不均一な適用と、噴霧ノズル及びフィルターの目詰まりを引き起こす可能性がある。
【0005】
LFを含めることは、毒性農薬単独の場合に又はCOC、NIS、及びLF製品と組み合わせた場合に得られる混合物の物理的不安定性又は非相溶性を引き起こす可能性があるため、高濃度の溶解電解質は、LFを高濃度の噴霧溶液中の他の補助成分(adjuvant component)と組み合わせることを困難にしている。このような非相溶性を引き起こすものには、合体、クリーミング、沈降、フロキュレーション、ヘテロフロキュレーションなどの、多くの複雑なプロセスがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
毒性農薬配合物と液体肥料の相溶性を改善するためには、相溶化剤と相溶性濃縮物の2つのアプローチがある。しかしながら、農薬組成物と高電解質系との相溶性のための一般的な解決策に対するニーズが依然として存在する。
【0007】
本発明は、農薬組成物に関し、特に水及び電解質農薬、例えば肥料電解質と安定した希釈物を形成する均一な濃縮物に関する。
【0008】
本発明は、農薬活性成分と組み合わせた農薬組成物における化合物の使用を提供するものであり、ここで、この化合物は、濃縮物として及び/又は肥料電解質と混合したときに、組成物に所望の安定性を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明の第1の態様において、以下を含む農薬濃縮物が提供される:
i)レシチン;
ii)任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩(dialkyl sulphosuccinate)を含む群から選択される分散剤;
iii)少なくとも1種の農薬活性成分。
【0010】
本発明の第2の態様において、第1の態様による濃縮物を調製する方法が提供され、前記方法は以下を混合することを含む:
i)レシチン;
ii)任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤;
iii)少なくとも1種の農薬活性成分。
【0011】
本発明の第3の態様において、第1の態様による濃縮物の調製方法が提供され、前記方法は、レシチンと、任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤との予備ブレンドと、少なくとも1種の農薬活性成分とを添加することを含む。
【0012】
本発明の第4の態様において、以下を含む水性配合物が提供される。
i)レシチン;
ii)任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤;
iii)少なくとも1種の農薬活性成分、及び
iv)電解質。
【0013】
本発明の第5の態様において、電解質中に第1の態様の濃縮物の希釈物を含む水性配合物が提供される。
【0014】
第6の態様において、第4の態様の水性配合物の希釈により形成される最終用途農薬配合物が提供される。
【0015】
本発明の第7の態様において、安定な懸濁濃縮物を形成するためのレシチンの使用が提供される。
【0016】
本発明の第8の態様において、第1の態様の濃縮物での使用に適した、レシチンと、任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤との予備ブレンドが提供される。
【0017】
本発明の第9の態様において、有害生物を防除するために植物を処理する方法が提供され、この方法は、第4の態様の配合物又は第6の態様の希釈配合物を、前記植物又は前記植物の直近の環境のいずれかに適用することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の実施態様の詳細な説明)
【0019】
レシチンと任意の分散剤を使用すると、特に配合物中の電解質成分と組み合わせると、特に安定した農薬濃縮物が得られることがわかった。
【0020】
本明細書で使用される用語「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など」、又は「含む」は、より一般的な主題をさらに明確にする例を紹介することを意図している。特に他に明記されない限り、これらの例は、本開示に例示されている出願内容を理解するための補助としてのみ提供されており、いかなる形であっても本発明を限定することを意図していない。
【0021】
レシチンは植物油の精製から得られる副産物である。レシチンは、主にリン脂質を含む極性脂質である。典型的な粗大豆レシチンは、約50%の混合リン脂質[すなわち、(ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、及びホスファチジルイノシトール(PI)]、約34%のトリグリセリド、糖脂質、炭水化物、及びその他の微量成分を含有する。
【0022】
レシチンは、液体及び脱油された形で入手できる。脱油レシチンは、リン脂質が多く、実質的に油を含まない。
レシチンには、再生可能な乳化剤であるという利点があり、レシチンを添加した配合物のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を改善するために使用できる。
本発明で使用されるレシチンは、溶媒抽出又は酵素加水分解されたレシチンであり得る。
好ましくは、本発明で使用されるレシチンは脱油レシチンである。
【0023】
使用されるレシチンは分画された脱油レシチンであってもよく、好ましくは、使用される画分はホスファチジルイノシトール及び酸が豊富な画分であってもよい。好ましくは、使用される画分はエタノール不溶性画分であろう。
【0024】
分散剤は、任意選択的に濃縮物中に存在してもよく、存在する場合、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される。
【0025】
好ましい分散剤は、アルキルポリグルコシド、リン酸エステル、及びスクロースエステルから選択され得る。特に好ましい分散剤は、アルキルポリグルコシドであり得る。
アルキルポリグルコシドが使用される場合、これらは様々なアルキル鎖長のものであり得る。好ましいアルキル鎖長は、C8~C10、又はC9~C11であり得る。
【0026】
レシチン及び分散剤は、濃縮配合物に形成する前に、ブレンド又は予備ブレンド形態に混合され形成されてもよい。次にブレンドは、濃縮物形成の前にしばらく保存されてもよい。
【0027】
ブレンド形態において、存在するレシチンの量は、35重量%~65重量%の範囲である。より好ましくは40重量%~60重量%の範囲である。さらに好ましくは45重量%~55重量%の範囲である。
【0028】
ブレンド形態において、存在する分散剤の量は、20重量%~50重量%の範囲である。より好ましくは25重量%~45重量%の範囲である。さらに好ましくは30重量%~40重量%の範囲である。
【0029】
ブレンドは溶媒を含んでもよい。存在する場合、溶媒は、単一の溶媒又は2つ以上の溶媒の混合物を含んでもよい。適切な溶媒は、水、一価アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、又は多価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはグリセロール、又はポリグリコール、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、又は混合ポリアルキレングリコール(PAG)から選択され得る。
【0030】
存在する場合、存在する溶媒の量は10重量%~60重量%の範囲である。より好ましくは、15重量%~50重量%の範囲である。さらに好ましくは、20重量%~40重量%の範囲である。さらにより好ましくは、25重量%~35重量%の範囲である。溶媒が存在する場合、予備ブレンド中で組み合わされた分散剤とレシチンの量が残りの量を形成するであろう。
【0031】
農薬濃縮物は農薬組成物であり、これは、水性又は非水性でもよく、水(又は他の液体)で希釈して、対応する最終用途の農薬配合物、典型的には噴霧配合物を形成するように設計される。前記濃縮物は、液体形態(例えば、溶液、エマルジョン、又は分散液)、及び固体形態(特に水分散性固体形態)、例えば顆粒又は粉末の形態を含む。
【0032】
従って、本発明の濃縮物は、エマルジョン濃縮物((emulsion concentrate)EW)、懸濁濃縮物((suspension concentrate)SC)、油ベースの懸濁濃縮物((oil-based suspension)OD)、及び/又はサスポエマルジョン((suspoemulsion)SE)として配合することができる。OD、SC、又はSE配合物では、活性化合物は固体又は乳化液として存在していてもよい。本発明は、特にSC配合物に使用されることが企図される。
【0033】
典型的には、SC配合物は水ベースであり、ここで、代わりに連続相が水によって形成されることが理解されるであろう。
本発明の利点は、安定な懸濁濃縮物を達成できることである。
濃縮物は水性連続相を有してもよく、少なくとも40重量%の水性であってもよい。より好ましくは、少なくとも48重量%。さらに好ましくは、少なくとも54重量%。さらにより好ましくは、少なくとも60重量%であってもよい。
【0034】
レシチンは、濃縮物中に1.0重量%~15重量%の量で存在してもよい。より好ましくは、2.0重量%~12重量%であってもよい。さらに好ましくは、3.0重量%~8重量%であってもよい。さらにより好ましくは、3.5重量%~7重量%であってもよい。
【0035】
分散剤は、濃縮物中に0.8重量%~14重量%の量で存在してもよい。より好ましくは、1.2重量%~11重量%であってもよい。さらに好ましくは、2.2重量%~7重量%であってもよい。さらにより好ましくは、3.0重量%~6重量%であってもよい。
【0036】
本発明の分散剤は、典型的には、濃縮物中のレシチンの量に比例した量で使用されるであろう。濃縮物中の分散剤とレシチンの比は、好ましくは約0.5~4:1の重量比である。より好ましくは、約0.5~1.5:1。最も好ましくは、約0.6~0.8:1。分散剤とレシチンのこの比率は予備ブレンドに適用され、一般に、濃縮物及び農薬噴霧配合物では維持されることが理解されるであろう。
【0037】
本発明のレシチンは、得られる濃縮物の所望の安定性を提供する。濃縮物は保管中に分離されない。さらに、濃縮物は、凍結後、室温で均一な液体に戻る。
【0038】
農薬活性成分は、好ましくは固相の農薬活性成分であってもよい。本組成物において、固体農薬活性化合物は、植物処理に一般的に使用されるすべての物質を意味すると理解されるべきであり、その融点は20℃(標準圧力)を超える。固体農薬活性成分はまた、不溶性活性成分、すなわち、水への溶解度が、添加後の濃縮物中に多量の固形分が存在するような活性成分も含むであろう。
【0039】
本発明の文脈において、農薬活性成分とは植物防御剤であり、より具体的には、医学、農業、林業、及び蚊駆除などの分野で使用されるさまざまな形態の生物を死滅させることができる化学物質である殺生物剤を指す。殺生物剤の群には、いわゆる植物成長調整物質も含まれる。
【0040】
本発明の農薬配合物で使用される殺生物剤は、典型的には2つの下位群に分けられる:
・毒性農薬、例えば、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、殺藻剤、軟体動物駆除剤、殺ダニ剤、及び殺鼠剤、及び
・抗微生物剤、例えば、殺菌剤、抗生物質、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗原虫剤、及び抗寄生虫剤。
特に、殺虫剤、殺真菌剤、又は除草剤から選択される殺生物剤が特に好ましい場合がある。
【0041】
「毒性農薬(pesticide)」という用語は、有害生物(pest)の予防、破壊、忌避、又は軽減を目的とする物質又は物質の混合物を指すと理解される。毒性農薬は、昆虫、植物病原体、雑草、軟体動物、鳥、哺乳類、魚、線虫(回虫)、及び食物に対してヒトと競合し、財産を破壊したり、病気を広めたり、迷惑をかけたりする微生物を含む有害生物に対して使用される化学物質又は生物学的因子(ウイルス又は細菌など)である。以下の実施例では、本発明による農薬組成物に適した毒性農薬が示される。
【0042】
殺真菌剤は、真菌の化学的防除物質である。殺真菌剤は、庭や作物における真菌の拡散を防ぐために使用される化合物である。殺真菌剤はまた、真菌感染症と戦うためにも使用される。殺真菌剤は接触性又は全身性のいずれかである。接触性殺真菌剤は、その表面に噴霧されたとき真菌を死滅させる。全身性殺真菌剤は、真菌を死滅させる前に、真菌に吸収されなければならない。
【0043】
本発明による適切な殺真菌剤の例は、以下の分子種を包含する:臭化(3-エトキシプロピル)水銀、塩化2-メトキシエチル水銀、2-フェニルフェノール、硫酸8-ヒドロキシキノリン、8-フェニル水銀オキシキノリン、アシベンゾラル、アシルアミノ酸殺真菌剤、アシペタックス、アルジモルフ、脂肪族窒素殺真菌剤、アリルアルコール、アミド殺真菌剤、アンプロピルフォス、アニラジン、アニリド殺真菌剤、抗生物質殺真菌剤、芳香族殺真菌剤、オーレオフンギン、アザコナゾール、アジチラム、アゾキシストロビン、バリウムポリスルフィド、ベナラキシル-M、ベノダニル、ベノミル、ベノキノックス、ベンタルロン、ベンチアバリカルブ、塩化ベンザルコニウム、ベンザマクリル、ベンズアミド殺真菌剤、ベンザモルフ、ベンズアニリド殺真菌剤、ベンズイミダゾール殺真菌剤、ベンズイミダゾール前駆殺真菌剤、カルバミン酸ベンズイミダゾリル殺真菌剤、ベンゾヒドロキサム酸、ベンゾチアゾール殺真菌剤、ベトキサジン、ビナパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ビチオノール、ブラスチシジン-S、ボルドー液、ボスカリド、架橋ジフェニル殺真菌剤、ブロムコナゾール、ブピリメート、バーガンディ混合物、ブチオベート、ブチルアミン、ポリ硫化カルシウム、カプタフォール、キャプタン、カルバメート殺真菌剤、カルバモルフ、カルバニレート殺真菌剤、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、チェシュント混合物、チノメチオナト、クロベンチアゾン、クロラニホルメタン、クロラニル、クロルフェナゾール、クロロジニトロナフタレン、クロロネブ、クロロピクリン、クロロタロニル、クロルキノックス、クロゾリネート、シクロピロックス、クリムバゾール、クロトリマゾール、コナゾール殺真菌剤、コナゾール殺真菌剤(イミダゾール)、コナゾール殺真菌剤(トリアゾール)、酢酸銅(II)、炭酸銅(II)、塩基性、銅殺真菌剤、水酸化銅、ナフテン酸銅、オレイン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅(II)、硫酸銅、塩基性、クロム酸銅亜鉛、クレゾール、クフラネブ、キュプロバム、酸化第一銅、シアゾファミド、シクラフラミド、環状ジチオカルバメート殺真菌剤、シクロヘキシミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シペンダゾール、シプロコナゾール、シプロジニル、ダゾメット、DBCP、デバカルブ、デカフェンチン、デヒドロ酢酸、ジカルボキシミド殺真菌剤、ジクロフルアニド、ジクロン、ジクロロフェン、ジクロロフェニル、ジカルボキシミド殺真菌剤、ジクロゾリン、ジクロブトラゾール、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ピロカルボン酸ジエチル、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジノコナゾール、ジニトロフェノール殺真菌剤、ジノブトン、ジノキャップ、ジノクトン、ジノペントン、ジノスルフォン、ジノテルボン、ジフェニルアミン、ジピリチオン、ジスルフィラム、ジタリムフォス、ジチアノン、ジチオカルバメート殺真菌剤、DNOC、ドデモルフ、ドジシン、ドジン、ドナトジン、ドラゾキソロン、エディフェンホス、エポキシコナゾール、エタコナゾール、エテム、エタボキサム、エチリモル、エトキシキン、エチル水銀2,3-ジヒドロキシプロピルメルカプチド、酢酸エチル水銀、臭化エチル水銀、塩化エチル水銀、リン酸エチル水銀、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナミノスルフ、フェナパニル、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェニトロパン、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル、フルオピコリド、フルオロイミド、フルオトリマゾール、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、ホルムアルデヒド、フォセチル、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フラミド殺真菌剤、フラニリド殺真菌剤、フルカルバニル、フルコナゾール、フルコナゾール-シス、フルフラール、フルメシクロックス、フロファネート、グリオジン、グリセオフルビン、グアザチン、ハラクリネート、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロブタジエン、ヘキサクロロフェン、ヘキサコナゾール、ヘキシルチオホス、ヒドラルガフェン、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミダゾール殺真菌剤、イミノクタジン、無機殺真菌剤、無機水銀殺真菌剤、ヨードメタン、イプコナゾール、イプロベンフォス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、イソバレジオン、カスガマイシン、クレソキシムメチル、石灰硫黄、マン銅、マンコゼブ、マネブ、メベニル、メカルビンジド、メパニピリム、メプロニル、塩化水銀、酸化水銀、塩化第一水銀、水銀殺真菌剤、メタラキシル、メタラキシル-M、メタム、メタゾキソロン、メトコナゾール、メタスルフォカルブ、メトフロキサム、臭化メチル、メチルイソチオシアネート、安息香酸メチル水銀、メチル水銀ジシアンジアミド、メチル水銀ペンタクロロフェノキシド、メチラム、メトミノストロビン、メトラフェノン、メツルフォバックス、ミルネブ、モルホリン殺真菌剤、ミクロブタニル、ミクロゾリン、N-(エチル水銀)-p-トルエンスルホンアニリド、ナバム、ナタマイシン、ニトロスチレン、ニトロタール-イソプロピル、ヌアリモール、OCH、オクチリノン、オフレース、有機水銀殺真菌剤、有機リン系殺真菌剤、有機スズ系殺真菌剤、オリサストロビン、オキサジキシル、オキサチイン殺真菌剤、オキサゾール系殺菌剤、オキシン銅、オキシポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンタクロロフェノール、ペンチオピラド、尿素フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、塩化フェニル水銀、ピロカテコールのフェニル水銀誘導体、硝酸フェニル水銀、サリチル酸フェニル水銀、フェニルスルファミド殺真菌剤、ホスジフェン、フタリド、フタルイミド殺真菌剤、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリカルバメート、高分子ジチオカルバメート殺真菌剤、ポリオキシン、ポリオキソリム、ポリスルフィド殺真菌剤、アジ化カリウム、ポリ硫化カリウム、チオシアン酸カリウム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピラカルボリド、ピラクロストロビン、ピラゾール殺真菌剤、ピラゾホス、ピリジン殺真菌剤、ピリジニトリル、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリミジン殺真菌剤、ピロキロン、ピロキシクロル、ピロキシフィア、ピロール殺真菌剤、キナセトール、キナザミド、キンコナゾール、キノリン殺真菌剤、キノン殺真菌剤、キノキサリン殺真菌剤、キノキシフェン、キントゼン、ラベンザゾール、サリチルアニリド、シルチオファム、シメコナゾール、アジ化ナトリウム、オルトフェニルフェノキシドナトリウム、ペンタクロロフェノキシドナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、スピロキサミン、ストレプトマイシン、ストロビルリン殺真菌剤、スルホンアニリド殺真菌剤、硫黄、スルトロペン、TCMTB、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テコラム、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チアジアフルオル、チアゾール殺真菌剤、チシオフェン、チフルザミド、チオカルバメート殺真菌剤、チオクロルフェンフィム、チオメルサール、チオファネート、チオファネートメチル、チオフェン殺真菌剤、チオキノックス、チラム、チアジニル、チオキシミド、チベド、トルクロホスメチル、トルナフテート、トリルフルアニド、酢酸トリル水銀、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアミフォス、トリアリモール、トリアズブチル、トリアジン殺真菌剤、トリアゾール殺真菌剤、トリアゾキシド、酸化トリブチルスズ、トリクラミド、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリフォリン、トリチコナゾール、未分類殺真菌剤、ウンデシレン酸、ユニコナゾール、尿素殺真菌剤、バリダマイシン、バリナミド殺真菌剤、ビンクロゾリン、ザリルアミド、ナフテン酸亜鉛、ジネブ、ジラム、ゾキサミド、及びこれらの混合物。
【0044】
除草剤は、不要な植物を死滅させるために使用される毒性農薬である。選択的除草剤は特定の標的を死滅させ、望ましい作物は比較的無害のまま残す。これらのいくつかは、雑草の成長を妨げることにより作用し、多くの場合植物ホルモンに基づいている。荒廃地を切り開くために使用される除草剤は非選択的であり、接触するすべての植物材料を死滅させる。除草剤は、農業及び景観管理に広く使用されている。これらは、高速道路や鉄道のメンテナンスのための総植物管理((total vegetation control)TVC)プログラムで適用される。森林、牧草地システム、及び野生生物の生息地として確保されている地域の管理には、より少ない量が使用される。
【0045】
適切な除草剤は、以下を含む群から選択されてもよい:アリールオキシカルボン酸、例えばMCPA、アリールオキシフェノキシプロピオネート、例えばクロジナホップ、シクロヘキサンジオンオキシム、例えばセトキシジム、ジニトロアニリン、例えばトリフルラリン、ジフェニルエーテル、例えばオキシフルオルフェン、ヒドロキシベンゾニトリル、例えばブロモキシニル、スルホニル尿素、例えばニコスルフロン、トリアゾロピリミジン、例えばペノックススラム、トリケチオン、例えばメソトリオン、又は尿素、例えばジウロン。
【0046】
殺虫剤は、あらゆる成長形態の昆虫に対して使用される毒性農薬であり、昆虫の卵及び幼虫に対して使用される殺卵剤及び殺幼虫剤が含まれる。殺虫剤は、農業、医療、産業、家庭で使用されている。
【0047】
適切な殺虫剤には、以下から選択されるものが含まれる:
・ 塩素系殺虫剤、例えば、カンフェクロル、DDT、ヘキサクロロシクロヘキサン、ガンマヘキサクロロシクロヘキサン、メトキシクロル、ペンタクロロフェノール、TDE、アルドリン、クロルダン、クロルデコン、ジエルドリン、エンドスルファン、エンドリン、ヘプタクロル、ミレックス、及びこれらの混合物;
【0048】
・ 有機リン化合物、例えば、アセフェート、アジンホスメチル、ベンスリド、クロルエトキシホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エトプロップ、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトンメチル、パラチオン、フォレート、フォサロン、フォスメット、フォステブピリム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、トリブホス、トリクロホン、及びこれらの混合物;
【0049】
・ カルバミン酸塩、例えば、アルジカルブ、カルボフラン、カルバリル、メトミル、2-(1-メチルプロピル)フェニルメチルカルバメート、及びこれらの混合物;
【0050】
・ ピレスロイド、例えば、アレスリン、ビフェントリン、デルタメトリン、ペルメトリン、レスメトリン、スミトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、及びこれらの混合物;
【0051】
・ 植物毒素由来の化合物、例えば、デリス(ロテノン)、除虫菊、センダン(アザジラクチン)、ニコチン、カフェイン、及びこれらの混合物;
・ ネオニコチノイド、例えばイミダクロプリド;
・ アバメクチン、例えばエママクチン;
・ オキサジアジン、例えばインドキサカルブ;
・ アントラニル酸ジアミド、例えばリナキシピル。
【0052】
殺鼠剤は、げっ歯類を死滅させることを目的とした有害生物駆除化学物質の範疇である。適切な殺鼠剤には、抗凝固剤、金属リン化物、リン化物、カルシフェロール(ビタミンD)、及びこれらの誘導体が含まれ得る。
【0053】
殺ダニ剤はダニを死滅させる毒性農薬である。抗生物質殺ダニ剤、カルバメート殺ダニ剤、ホルムアミジン殺ダニ剤、ダニ増殖調節剤、有機塩素、ペルメトリン、及び有機リン殺ダニ剤は、すべてこの範疇に属する。軟体動物駆除剤は、蛾、ナメクジ、カタツムリなどの軟体動物を防除するために使用される毒性農薬である。これらの物質には、メトアルデヒド、メチオカルブ、及び硫酸アルミニウムが含まれる。殺線虫剤は、寄生線虫(虫の門)を死滅させるために使用される化学的毒性農薬の一種である。
【0054】
殺細菌消毒剤(bactericidal disinfectant)には、活性塩素、活性酸素、ヨウ素、濃縮アルコール、フェノール物質、陽イオン性界面活性剤、強酸化剤、重金属とその塩、及びpHが1~13の間の濃強酸と濃アルカリから選択されるものが含まれる。適切な消毒薬(antiseptic)(すなわち、ヒト又は動物の体、皮膚、粘膜、創傷などに使用できる殺菌剤(germicide agent))には、希釈された塩素調製物、ヨウ素調製物、過酸化物、消毒添加剤を含むか又は含まないアルコール、弱有機酸、フェノール化合物、及び陽イオン活性化合物が含まれ得る。
【0055】
好ましい活性成分は、全身性又は部分的に全身性の作用形式を持つものである。
トリアゾール殺真菌剤(例えばプロチオコナゾール)、ストロビルリン殺真菌剤(例えばアゾキシストロビン)などの殺真菌剤、ピレスロイド殺虫剤(例えばビフェントリン)、及びネオニコチノイド(例えばイミダクロプリド)が特に好ましい。
【0056】
濃縮物中の農薬活性成分の濃度は本発明の目的にとって重要ではなく、必要に応じて他の要因によって決定されてもよい。農薬活性成分の濃度は、好ましくは10g/l~720g/lの範囲である。より好ましくは、60g/l~400g/lの範囲である。最も好ましくは、100g/l~300g/lの範囲である。
【0057】
電解質は、典型的には肥料、特に水溶性無機肥料から選択することができる。
電解質水溶液の水溶性肥料には、窒素、リン、カリウム、硫黄などの栄養素を提供する一般的な水溶性無機肥料がある。そのような肥料の例は以下とおりである:
【0058】
栄養素としての窒素:
硝酸塩及び/又はアンモニウム塩、例えば硝酸アンモニウム、硝酸カルシウムアンモニウム(固体形態:[Ca(NO3)2]5・NH4(NO3)2・10H2O)、硫酸アンモニウム硝酸塩、リン酸アンモニウム、特にリン酸一アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸二アンモニウム([NH4]2HPO4)、ポリリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、及びあまり一般的には使用されない硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム。
【0059】
栄養素としてのカリウム:
塩化カリウム、硫酸カリウム、例えばマグネシウムとの混合硫酸塩(K2SO4・MgSO4)、リン酸カリウム、特にリン酸二水素カリウム(KH2PO4)、及びポリリン酸カリウム(一般に式(KPO2)xが与えられる)、及びあまり一般的ではない硝酸カリウム;
【0060】
栄養素としてのリン:
リン酸、ピロリン酸、又はポリリン酸などの酸形態のリンを使用できるが、その酸性度と腐食性のために特に好ましくはなく、リン酸アンモニウム、特にリン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウム、リン酸カリウム、特にリン酸二水素カリウム及びポリリン酸カリウムなどの塩の形態が通常好ましい;
【0061】
栄養素としての硫黄:
硫酸アンモニウム及び硫酸カリウム、例えばマグネシウムとの混合硫酸塩。
【0062】
特に好ましい液体肥料は、N、P、及びKの1つ以上の混合物を含んでもよい。特に好ましい肥料は、10%のN、34%のP、及び残りが水の組み合わせを含んでもよい。
【0063】
一般に、水溶性電解質農薬の予備混合水溶液として肥料を、約20℃でのその飽和濃度に実際上可能な限り近づけることが特に有用である。
【0064】
そのような水性の予備混合形態では、水溶性電解質農薬の濃度は、典型的には、リン酸トリアンモニウムなどの水に溶けにくい材料では少なくとも5%で、より水溶性の高い材料、例えば尿素及び/又は硝酸アンモニウムでは最大50重量%になる。一般的に、この濃度は液体肥料中のこの物質の最高濃度を与えるため、濃度は飽和に近くなる。配合物中に含まれる水の量と組み合わせた飽和濃度(通常0~50℃)は、水溶性電解質農薬の量を決定する。
【0065】
典型的には、予備混合組成物中の電解質の濃度は、全組成物の30~75重量%、より一般的には40~70重量%、特に50~68重量%である。
【0066】
化合物(一般に「微量栄養素」(micronutrient)として特定される)を含む他の水溶性栄養素も組成物に含まれて、例えば、配合物に少量の又は微量の栄養素を与える。同様に、アンモニウム及びアルカリ金属のクエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、及びポリアクリル酸塩などの水溶性緩衝剤及びキレート剤が、配合物の電解質成分の一部又はすべてとして含まれてもよい。
【0067】
濃縮物が電解質に添加されることが企図され、これは濃縮物を液体肥料に添加することにより行われ得る。典型的には、肥料に添加される濃縮物の量は、0.1~5:8~20の比率(この比率は体積で表される)であろう。
配合物において、典型的に含まれる濃縮物の量は、濃縮物に基づいて0.1~10重量%、より一般的には0.15~5重量%、特に0.2~2重量%の範囲である。
【0068】
配合物において、典型的に含まれる肥料の量は、濃縮物に基づいて1~50重量%、より一般的には5~40重量%、特に5~35重量%の範囲である。
電解質肥料を含む配合物にレシチンを使用すると、さまざまな温度で長時間優れた安定性が得られることがわかっている。特に配合物は、配合物を形成してからそれを植物に適用するまでの一般的な時間である30分間、安定したままである。
【0069】
本発明の配合物の分離の変化は、25℃で30分間にわたって、20%以下、好ましくは15%以下であり得る。
【0070】
配合物を希釈して、最終用途配合物、典型的には噴霧配合物を形成することができる。しかし、配合物は希釈されていない形で使用できることを理解すべきである。
配合物が希釈される場合、これは、噴霧配合物を形成する配合物の総重量の1~10,000倍、特に10~1,000倍の水で希釈してすることができる。
【0071】
前記配合物は使用のために希釈されて、約0.5重量%~約1.5重量%の農薬活性濃度を有する希釈組成物をもたらし得る。前記希釈組成物(例えば、噴霧適用率が10~500l.ha-1であり得る噴霧配合物)において、農薬活性濃度は、噴霧される総配合物の約0.001重量%~約1重量%の範囲であり得る。
【0072】
噴霧配合物は、植物又はこれらの環境に適用することが望ましいすべての成分を含む水性農薬配合物である。噴霧配合物は、所望の成分(水以外)を含む未希釈配合物の単純な希釈により、又は個々の成分の混合により、又は配合物の希釈とさらなる個々の成分若しくは成分の混合物の追加の組み合わせにより、作成することができる。典型的には、そのような最終用途の混合は、そこから配合物が噴霧されるタンクで、又は代替的に噴霧タンクを満たすための保持タンクで実施される。このような混合及び混合物は、典型的には、タンク混合及びタンク混合物と呼ばれる。
【0073】
農薬活性成分が水性最終用途配合物中で固体粒子として存在する場合、最も一般的には、主に活性農薬の粒子として存在するであろう。しかし、必要に応じて活性農薬を、固体担体、例えばシリカ又は珪藻土上に支持させることができ、これらは固体支持体、充填剤、又は希釈剤材料でもよい。
【0074】
噴霧配合物は典型的には、中程度に酸性(例えば約3)から中程度にアルカリ性(例えば約10)の、特に中性に近い(例えば約5~8)範囲内のpHを有する。より濃縮された配合物は、同程度の酸性度/アルカリ度を有するが、これらはほとんど水性ではない可能性があるため、pHは必ずしもこの適切な尺度ではない。
【0075】
農薬配合物は、モノプロピレングリコールなどの溶媒(水以外)、植物油であり得る油、又は噴霧油などの鉱油を含み得る。そのような溶媒、例えば、特にプロピレングリコールは、界面活性剤補助剤の溶媒として及び/又は保湿剤として含まれていてもよい。そのような溶媒は使用される場合、典型的には界面活性剤補助剤の、5重量%~500重量%、望ましくは10重量%~100重量%の量で含まれる。そのような組み合わせはまた、特にゲル抑制助剤として、塩化アンモニウム及び/又は安息香酸ナトリウムなどの塩、及び/又は尿素を含むことができる。
【0076】
濃縮物及び/又は農薬配合物には、以下も含まれる。
・ 防腐剤及び/又は抗微生物剤、例えば有機酸、又はこれらのエステル若しくは塩、例えばアスコルビン酸についてパルミチン酸アスコルビル、ソルビン酸についてソルビン酸カリウム、安息香酸について、安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル、プロピオン酸についてプロピオン酸ナトリウム、フェノールについて2-フェニルフェン酸ナトリウム;1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン;又はホルムアルデヒド自体又はパラホルムアルデヒド;又は、無機材料、例えば亜硫酸及びその塩を、典型的には組成物の0.01重量%~1重量%の量で;及び/又は
【0077】
・ 消泡剤、例えばポリシロキサン消泡剤、典型的には組成物の0.005重量%~1重量%の量で。
【0078】
他の補助剤、特に界面活性剤補助剤が、本発明の及び本発明で使用される組成物及び配合物に含まれてもよい。例には、アルキル多糖類(より適切にはアルキルオリゴ糖類と呼ばれる);脂肪アミンエトキシレート、例えばココナッツアルキルアミン2EO;ソルビタン及びソルビトールエトキシレート誘導体、例えばCroda Europe LimitedからAtlox及びTweenという商品名で販売されているもの;アルキル(アルケニル)無水コハク酸の誘導体、特にPCT出願WO94/00508及びWO96/16930に記載されているものが含まれる(これらは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0079】
濃縮物及び/又は農薬配合物はまた、必要に応じて他の成分を含んでもよい。これらの他の成分は、以下から選択することができる。
【0080】
・ 結合剤、特に、容易に水に溶け、高結合剤濃度で低粘度の溶液を与える結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース;アラビアゴム;糖、例えばスクロース又はソルビトール;澱粉;エチレン-酢酸ビニル共重合体、スクロース、及びアルギン酸塩、
【0081】
・ 希釈剤、吸収剤、又は担体、例えばカーボンブラック;タルク;珪藻土;カオリン;ステアリン酸アルミニウム、カルシウム、又はマグネシウム;トリポリリン酸ナトリウム;四ホウ酸ナトリウム;硫酸ナトリウム;ケイ酸ナトリウム、アルミニウム、及びナトリウム-アルミニウム混合ケイ酸塩;安息香酸ナトリウム、
【0082】
・ 崩壊剤、例えば、界面活性剤、水で膨潤する材料、例えばカルボキシメチルセルロース、コロジオン、ポリビニルピロリドン、及び微結晶性セルロース膨潤剤;塩、例えば酢酸ナトリウム又はカリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、又はセスキ炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、リン酸水素二カリウム、
【0083】
・ 湿潤剤、例えば、アルコールエトキシレート、及びアルコールエトキシレート/プロポキシレート湿潤剤、
【0084】
・ 分散剤、例えばスルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合物、及びアクリル共重合体、例えばポリアクリル骨格にキャップポリエチレングリコール側鎖を有する櫛型共重合体、又は高分子分散剤、例えばスチレンアクリレート共重合体又はスチレンアクリレートAMPS共重合体(例えば、Croda Europe Ltdから入手できるMetasperse 100L/Metasperse 500L)、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、
【0085】
・ 粘度/レオロジー改質物質、例えば市販の水溶性又は混和性ガム、例えば、キサンタンガム、及び/又はセルロース、例えば、カルボキシ-、メチル-、エチル-、又はプロピル-セルロース;及び/又はアタパルジャイト粘土、ベントナイト粘土、ヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナ、又はヒュームド混合シリカ/アルミナ、
【0086】
・ 乳化剤、例えばアルコールエトキシレート、ABAブロック共重合体、ヒマシ油エトキシレート、
【0087】
・ 消泡剤、例えばポリシロキサン消泡剤、典型的には配合物の0.005重量%~10重量%の量で、
【0088】
・ 防腐剤及び/又は抗微生物剤、例えば有機酸又はそのエステル又は塩、例えばアスコルビン酸についてパルミチン酸アスコルビル、ソルビン酸についてソルビン酸カリウム、安息香酸について、安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピル、プロピオン酸についてプロピオン酸ナトリウム、フェノールについて2-フェニルフェン酸ナトリウム;1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン;又はホルムアルデヒド自体又はパラホルムアルデヒド;又は、無機材料、例えば亜硫酸及びその塩を、典型的には配合物の0.01重量%~1重量%の量で。
【0089】
本発明はさらに、本発明の農薬配合物又は希釈配合物を使用して植物を処理する方法を含む。
従って、本発明は、有害生物を防除するために植物を処理する方法をさらに含み、この方法は、本発明の配合物又は希釈配合物を、前記植物又は前記植物の直近の環境に適用することを含む。
【0090】
本発明のレシチンは、得られる農薬濃縮物及び配合物の所望の安定性を提供する。配合物は保存中に分離されない。
【0091】
本明細書で説明される特徴のすべては、上記の態様のいずれかと、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
本発明をより容易に理解できるようにするために、例として、以下の説明を参照されたい。
【0092】
列記されているすべての試験及び物理的特性は、本明細書で特に他に明記しない限り、又は言及した試験方法及び手順で特に他に明記されない限り、大気圧及び室温(すなわち20℃)で測定されていることを理解されたい。
【0093】
ここに示す例では、次の化合物を使用した:
AL-2559 - C9~11アルキルポリグルコシド、50%活性
脱油レシチン - 90%アセトン不溶性大豆レシチン、Alfa Aesar
Multitrope 1214 - ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸
AL-2575 - C8~10アルキルポリグルコシド、70%活性
Metasperse 500L - スチレンアクリル共重合体分散剤
Epikuron 200 - 92%大豆ホスファチジルコリン、Cargill
40%PC - ホスファチジルコリン強化脱油レシチン、Avanti Polar Lipids
20%PC - 脱油大豆レシチン、Avanti Polar Lipids
20%PCのエタノール不溶性画分
Lecigran 1000P - 脱油大豆レシチン、Cargill
Lecimulthin 150IP - 脱油、酵素加水分解大豆レシチン
Ultralec P - 脱油大豆レシチン、ADM
Attaflow FL - 水中のアタパルジャイト粘土懸濁物(固体21%)
【実施例】
【0094】
実施例1
アトラジン懸濁濃縮物
活性成分としてアトラジンを使用して、3つの懸濁濃縮物を形成した。相溶性試験用の懸濁液に含める前に、02-612 Micron-Master Jet粉砕機を使用して、アトラジンをエアミルで粉砕した。この技術は、Syntron(登録商標)Vibrating Feederを使用してミルに提供された。エアミルインジェクターのノズルの空気圧は約90psiであり、粉砕空気圧は約70~80psiであった。粉砕室に導入される際に、拒否される製品の量を減らすには、より低い粉砕圧力が必要であった。
【0095】
典型的な粒度分布値は、D10が1.0μm(標準偏差0.08)、D50が2.2μm(標準偏差0.02)、D90が4.8μm(標準偏差0.08)であった。
【0096】
空気粉砕されたアトラジンを含む濃縮物は、本発明に従って調製された。懸濁液濃縮液(SC)20mlを調製するために、必要量の水を2オンスの瓶に加えて、配合物ブランクを調製した。磁気攪拌棒で攪拌しながら、必要量の分散剤、0.02gのSAG1572、0.02gのProxel GXL、及び1.28gのプロピレングリコールを加えた。均質な混合物が得られるまで攪拌を続けた。次に、空気粉砕されたアトラジン4.79gを添加し、撹拌してブランクを湿らせた。アトラジンがブランクに取り込まれた後、配合物を、3/4インチの管状混合ヘッドを備えたSilverson LR4ホモジナイザーを用いて、10,000rpmで1分間混合した。
【0097】
表1に示すように、以下の3つの濃縮物(C1~C3)が形成された。
【0098】
【0099】
肥料相溶性試験
懸濁液と肥料の相溶性を試験するために、形成された濃縮液(C1、C2、及びC3)1mlを肥料10gに加えた。混合物を10回反転させて、懸濁液を肥料に混ぜた。分散液の品質は、混合直後と30分間そのまま放置した後に評価した。分散の品質を評価した後、試料を50メッシュのスクリーンに入れ、保持された残留物の量を評価した。
【0100】
使用した肥料を以下に示す(値はすべて重量パーセントで表される):
F1 - 10-34-0ポリリン酸アンモニウム
総窒素 - 10.0%(10.0%アンモニア性窒素)
利用可能なリン酸塩(P2O5として) - 34.0%
鉄(Fe) - 0.50%
12lbs/gal、pH - 5.5~6.5
F2 - 26-1-4、75%MSN
総窒素 - 26.0%(0.30%アンモニア性窒素、10.10%尿素、15.60%ゆっくり利用可能な水溶性窒素)
利用可能なリン酸塩(P2O5として)-1.0%
可溶性カリ(K2O) - 4.0%
10.6 lbs/gal、pH - 10.5
F3 - 12-0-12、50%SRN
総窒素 - 12.0%(6.0%尿素、6.0%ゆっくり利用可能な水溶性窒素)
可溶性カリ(K2O) - 12.0%
硫黄(S) - 1.5%
ホウ素(B) - 0.05%
銅(Cu) - 0.05%
鉄(Fe) - 0.10%
マンガン(Mn) - 0.05%
亜鉛(Zn) - 0.05%
10.7 lbs/gal、pH - 10.9
F4 - 8-16-8、2%硫黄スターター/移植液
総窒素 - 8.0%(5.50%アンモニア性窒素、0.80%硝酸、1.70%尿素)
利用可能なリン酸塩(P2O5として) - 16.0%
可溶性カリ(K2O) - 8.0%
硫黄(S) - 2.0%
10.8 lbs/gal、pH - 6.5~7.0
F5 - レッドライン6-12-2(West Central)
総窒素 - 6.0%
利用可能なリン酸塩(P2O5として) - 12.0%
可溶性カリ(K2O) - 2.0%
亜鉛(Zn) - 1.0%
鉄(Fe) - 0.3%
マンガン(Mn) - 0.04%
銅(Cu) - 0.05%
10 lbs/gal、pH - 6.0~6.8
F6 - 32-0-0 尿素アンモニウム硝酸塩(実験室で調製)
総窒素 - 32.0%(7.75%アンモニア性窒素、7.75%硝酸性窒素、16.50%尿素窒素)
【0101】
肥料中にSCの配合物が形成され、分散品質が評価され、結果が表3に示される。
【0102】
【表2】
初期分散について:1-良好な分散、2-わずかに凝集、3-凝集。
分散品質について:1-良好な分散、2-体積充填フロキュレーション、3-沈殿物又は浮遊フロキュレーション。
【0103】
【表3】
残留物について:1-残留物なし、2-最小残留物、3-多量の残留物、5-全て保持。
【0104】
結果からわかるように、脱油レシチンを使用すると、試験したすべての肥料との完全な相溶性が得られる。配合物は、最初及び後の時間に良好な分散性を有する。
【0105】
実施例2
その場で粉砕された活性成分
本発明によれば、水不溶性の活性成分をその場で粉砕することにより配合物を調製した。40mlのSCを調製するために、4オンスの瓶に必要量の水をに加えて、配合物ブランクを調製した。磁気攪拌棒で攪拌しながら、必要量の界面活性剤、0.04gのSAG1572、0.04gのProxel GXL、及び2.34gのプロピレングリコールを加えた。均質な混合物が得られるまで攪拌を続けた。
【0106】
9.59gの未粉砕の活性成分を添加し、撹拌してブランクを湿らせた。活性成分がブランクに取り込まれた後、配合物を、3/4インチの管状混合ヘッドを備えたSilverson LR4ホモジナイザーを用いて、10,000rpmで1分間混合した。均質化後、80gの粉砕媒体(Fox Industries、0.8~1.0mmガラスビーズ)を加えた。試料を氷浴で、4.5に設定したTalboy 134-1オーバーヘッドスターラーで30分間攪拌した。配合物は、150メッシュスクリーンを使用した真空ろ過により粉砕媒体から分離された。
【0107】
表5に示すように、以下の3つの濃縮物(C4~C6)が形成された。
【0108】
【0109】
次に、実施例1と同じ方法で、濃縮物を配合物に形成し、肥料に含めた。結果を表5及び6に示す。
【0110】
【表5】
初期分散について:1-良好な分散、2-わずかな凝集、3-凝集。
【0111】
【表6】
残留物について:1-残留物なし、2-最小残留物、3-多量の残留物、5-全て保持。
【0112】
AL-2575と脱油レシチンの組み合わせで調製された試料は、その場で粉砕された3つの異なる活性成分とともに、優れた肥料相溶性を示した。
【0113】
実施例3
代替レシチン
本発明によれば、脱油レシチンの代替供給源を用いて懸濁液が調製された。20mlの懸濁液を調製するために、2オンスの瓶に必要量の水を加えて、配合物ブランクを調製した。磁気攪拌棒で攪拌しながら、必要量の分散剤、0.02gのSAG1572、0.02gのProxel GXL、及び1.28gのプロピレングリコールを加えた。均質な混合物が得られるまで攪拌を続けた。次に、空気粉砕されたアトラジン4.79gを添加し、撹拌してブランクを湿らせた。
【0114】
アトラジンがブランクに取り込まれた後、配合物を、3/4インチの管状混合ヘッドを備えたSilverson LR4ホモジナイザーを用いて10,000rpmで1分間混合した。
【0115】
表8に示すように、以下の3つの濃縮物(C7~C13)が形成された。
【0116】
【0117】
次に、実施例1と同じ方法で、濃縮物を配合物に形成し、肥料に含めた。結果を表9及び10に示す。
【0118】
【表8】
初期分散について:1-良好な分散、2-わずかな凝集、3-凝集。
【0119】
【表9】
残留物について:1-残留物なし、2-最少量の残留物、3-多量の残留物、5-全て保持。
【0120】
ホスファチジルコリンレシチンはすべて、試験したすべての肥料との相溶性を示し、特に非濃縮ホスファチジルコリンレシチンは優れた相溶性を示した。
【0121】
実施例4
レオロジー改質物質を有する懸濁物
配合物は、本発明に従って調製し、増粘剤としてアタパルジャイト粘土を含む。40mlのSCを調製するために、4オンスの瓶に必要量の水を加えて、配合物ブランクを調製した。磁気攪拌棒で攪拌しながら、必要量の界面活性剤、0.04gのSAG1572、0.04gのProxel GXL、及び2.34gのプロピレングリコールを加えた。均質な混合物が得られるまで攪拌を続けた。
【0122】
9.59gの未粉砕の活性成分を添加し、撹拌してブランクを湿らせた。活性成分がブランクに取り込まれた後、配合物を、3/4インチの管状混合ヘッドを備えたSilverson LR4ホモジナイザーを用いて、10,000rpmで1分間混合した。均質化後、80gの粉砕媒体(Fox Industries、0.8~1.0mmガラスビーズ)を加えた。試料を氷浴で、4.5に設定したTalboy 134-1オーバーヘッドスターラーで30分間攪拌した。配合物は、150メッシュスクリーンを使用した真空ろ過により粉砕媒体から分離された。分離後、回収量に基づいて量を調整して、Attaflow FLを加えた。
【0123】
表11に示すように、以下の3つの濃縮物(C14~C15)が形成された。
【0124】
【0125】
次に、実施例1と同じ方法で、濃縮物を配合物に形成し、肥料に含めた。配合物をそのまま及び54℃で2週間加速エージング後、肥料との相溶性について試験した。
結果を表12及び13に示す。
【0126】
【表11】
初期分散について:1-良好な分散、2-わずかな凝集、3-凝集。
【0127】
【表12】
残留物について:1-残留物なし、2-最小残留物、3-多量の残留物、5-全て保持。
【0128】
レシチンは、レオロジー改質物質の存在下で、試験された肥料との優れた相溶性と安定性を示した。
本発明による配合物例は、肥料との優れた相溶性及び加速エージングに対する優れた安定性を示した。これは、一般的に肥料との相溶性が低い液体肥料配合物中の既存物の同様のSCと比較して有利である。
【0129】
本発明は、例としてのみ記載されており、上記の実施態様の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。多くの変更態様が可能である。
本開示は以下に例示する実施形態も開示する。
[実施形態1]
以下を含む農薬濃縮物:
i)レシチン;
ii)任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤;
iii)少なくとも1種の農薬活性成分。
[実施形態2]
以下を混合することを含む、実施形態1に記載の濃縮物を調製する方法:
i)レシチン;
ii)任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤;
iii)少なくとも1種の農薬活性成分。
[実施形態3]
第1の態様による濃縮物を調製する方法であって、前記方法は、
レシチンと、任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤とのブレンドと、
少なくとも1種の農薬活性成分と、を添加することを含む、上記方法。
[実施形態4]
以下を含む水性配合物:
i)レシチン;
ii)任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤;
iii)少なくとも1種の農薬活性成分;及び
iv)電解質。
[実施形態5]
電解質中に実施形態1に記載の濃縮物の希釈物を含む水性配合物。
[実施形態6]
実施形態4に記載の水性配合物の希釈により形成される最終用途農薬配合物。
[実施形態7]
安定した懸濁濃縮物を形成するためのレシチンの使用。
[実施形態8]
実施形態1に記載の濃縮物での使用に適した、レシチンと、任意選択的に、スクロースエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リン酸エステル、ソルビトールエステル、ポリグリセロールエステル、アルキル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルグルカミド、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含む群から選択される分散剤との予備ブレンド。
[実施形態9]
実施形態4に記載の配合物又は実施形態6に記載の希釈配合物を、前記植物又は前記植物の直近の環境のいずれかに適用することを含む、有害生物を防除するための植物の処理方法。