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特許7152459アナログ表示デバイスのための移動表示器
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  • 特許-アナログ表示デバイスのための移動表示器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】アナログ表示デバイスのための移動表示器
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/30 20060101AFI20221004BHJP
   G01D 11/28 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G04B19/30 C
G01D11/28 P
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020192203
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2021110728
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】19220169.7
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエルパスクヮーレ・トルトラ
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-76639(JP,A)
【文献】特開2015-81873(JP,A)
【文献】特開2009-156775(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012004100(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第3300270(DE,A1)
【文献】特開2015-210091(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1319998(EP,A1)
【文献】特開昭57-40669(JP,A)
【文献】実開平6-10886(JP,U)
【文献】特開平5-232266(JP,A)
【文献】特開2007-278736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
G01D 11/00-13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ表示デバイスのための、特に計時器のための移動表示器であって、不透明な金属層および透明な光ガイド層を含み、前記移動表示器の本体およびヘッドを形成する、多層部品を備え、前記ヘッドは、前記移動表示器の回転軸に対して中心に配置され、底面において発光束を受け取るように配置され、前記移動表示器の前記ヘッドにおける前記透明な光ガイド層の上または中に、蛍光材料を配置して、前記発光束の少なくとも一部を吸収し、前記透明な光ガイド層に第2の発光束を再放射し、
前記多層部品は、前記不透明な金属層と、前記透明な光ガイド層との間に、光学的分離層を備える、移動表示器。
【請求項2】
前記透明な光ガイド層が、前記回転軸に実質的に垂直な前記第2の発光束の光線の全反射を生成する、請求項1に記載の移動表示器。
【請求項3】
前記光学的分離層の屈折率と、前記透明な光ガイド層の屈折率との間のΔnは、0.5から0.9の間隔にある、請求項1または請求項2に記載の移動表示器。
【請求項4】
前記光学的分離層の屈折率と、前記透明な光ガイド層の屈折率との間のΔnは、0.55から0.8の間隔にある、請求項1または請求項2に記載の移動表示器。
【請求項5】
前記光学的分離層の屈折率と、前記透明な光ガイド層の屈折率との間のΔnは、0.6から0.75の間隔にある、請求項1または請求項2に記載の移動表示器。
【請求項6】
前記光学的分離層は、2μmから15μmの間隔にある厚さを有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動表示器。
【請求項7】
前記光学的分離層は、3μmから12μmの間隔にある厚さを有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動表示器。
【請求項8】
前記光学的分離層は、5μmから10μmの間隔にある厚さを有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動表示器。
【請求項9】
複数の部品の層が最初に堆積され、次に刻印または切断されて形成される、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の移動表示器。
【請求項10】
前記多層部品が平坦であり、前記多層部品の上面および底面が平面である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移動表示器。
【請求項11】
前記ヘッドは、不透明な材料で作られたスリーブが配置された中央穴を含む、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の移動表示器。
【請求項12】
前記移動表示器は針である、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の移動表示器。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の少なくとも第1の移動表示器および第2の移動表示器を備える一組の移動表示器であって、前記第1の移動表示器は、前記発光束が前記第1の移動表示器を通過して二次穴を通過することを可能にするように、前記ヘッドの不透明な材料で作られたスリーブが配置された中央穴の周りに配置された1つまたは複数の二次穴を備え、その結果、前記第1の移動表示器および前記第2の移動表示器が、前記第1の移動表示器の回転軸および前記第2の移動表示器の回転軸が整列するように配置されるときに、前記発光束の少なくとも一部は、前記第2の移動表示器の蛍光材料によって吸収される、移動表示器。
【請求項14】
計時器のための表示デバイスであって、
文字盤と、
前記文字盤の上に配置された、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の移動表示器であって、共有された回転軸を中心に回転するために、それぞれのヘッドが重ね合わされ、それぞれのアーバに固定された、移動表示器と、
前記共有された回転軸に実質的に平行で、前記蛍光材料によって再放射される波長よりも短い波長を有する発光束によって、前記移動表示器のすべてのヘッドの下を照明するように配置された固定光源とを備える、表示デバイス。
【請求項15】
前記固定光源が、前記アーバの周りに分散され、前記文字盤の下に配置されたプリント回路構成要素に取り付けられた、エレクトロルミネッセントダイオードおよび/または有機エレクトロルミネッセントダイオードおよび/またはVCSELタイプのミニチュアレーザ光源を含む、請求項14に記載の表示デバイス。
【請求項16】
前記移動表示器は針である、請求項14または請求項15に記載の表示デバイスを備える、腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ表示デバイスのための、特に計時器における移動表示器(たとえば、針)に関する。本発明はさらに、複数の移動表示器を備える一組の表示器に関する。本発明の他の態様は、前記表示デバイスを備える腕時計に加えて、前記表示器を備える計時器のための表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許文書EP2950166号は、ポータブルオブジェクトのための一組の発光表示針に関するものであり、ポータブルオブジェクトは、第1の端子および第2の端子を備える電源を収容するフレームを備える。一組の発光表示針は、非導電性材料で作られ、駆動アーバの通過のための穴が配置された、少なくとも第1の発光表示針および第2の発光表示針を備える。第2の発光表示針の駆動アーバは、第1の発光表示針の駆動アーバの内側に同心円状に配置される。第1の発光表示針および第2の発光表示針のおのおのは、発光する第1の光源および第2の光源をそれぞれ支持する。第1の光源および第2の光源はおのおの、第1の極および第2の極を備える。光源が、並列に取り付けられているか、直列に取り付けられているかに応じて、第2の光源の第1の極または第2の極は、第1の発光針と第2の発光針との間の接触によって、第1の光源の第1の極に接続される。
【0003】
欧州特許文書EP2950168号は、電源を収容するポータブルオブジェクトのための一組の発光表示針に関する。一組の発光表示針は、少なくとも第1および第2の重ね合わされた発光表示針を備えられ、おのおのには、駆動アーバの通過のための穴が設けられている。第2の発光表示針の駆動アーバは、第1の針の駆動アーバの内側に同心円状に配置され、2つの駆動アーバの間に絶縁層が挿入されている。第1の発光表示針および第2の発光表示針のおのおのは、第1の光源および第2の光源をそれぞれ支持する。第1の光源および第2の光源はおのおの、第1の極および第2の極を備え、第1の光源の第1の極は、第1の発光表示針の駆動アーバを介して、電源の第1の端子に電気的に接続され、第1の光源の第2の極は、第1の発光表示針と、第2の発光表示針との間の電気的連続性を確保する接触ピースを介して、第2の光源の第1の極に接続される。第2の光源の第2の極は、第2の発光表示針の駆動アーバを介して、電源の第2の端子に接続される。
【0004】
これらの2つの例では、光源の電力供給は、針の駆動アーバ間、およびバッテリと、ムーブメントのギアとの間のスライド接点によって確保される。このソリューションの主な欠点は、特に腕時計の場合、電気接点の摩擦によって引き起こされる機械的過負荷であり、12%程度の恒久的なエネルギ損失をもたらす可能性がある。これらの摩擦はさらに腕時計の精度を低下させる可能性があり、また接点の制御不能な摩耗を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許文書EP2950166号
【文献】欧州特許文書EP2950168号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、アナログ表示デバイスのための、特に計時器のための移動表示器に関する。表示器は、不透明な金属層と透明な光ガイド層とを含む多層部品を備えている。部品は、表示器の本体およびヘッドを形成する。ヘッドは、表示器の回転軸に対して中心に配置され、その底面で発光束を受け取るように配置される。表示器のヘッドにおける透明な光ガイド層上に蛍光材料を配置して、前記発光束の少なくとも一部を吸収し、透明な光ガイド層に第2の発光蛍光束を再放射する。
【0007】
使用中、移動表示器は、多層部品の不透明な金属層が観察者に最も近い側にあるように配置される。不透明層、すなわち、たとえば金属は、金属シート(通常、0.12mmの厚さを有する)の形態で作製することができ、観察者が直接見ることができるか、またはその上に配置された装飾層(たとえば、印刷、ダイヤモンド研磨、PVD着色、電気めっき、または着色ラッカー)によって隠すことができる。逆に、透明な光ガイド層は、使用時に不透明な金属層の下に配置されるため、観察者には見えない。「底面」という用語は、移動表示器が使用されているときに観察者からこのように隠された反対側の面を意味すると理解される。
【0008】
「蛍光材料」という用語は、蛍光分子を備える、すなわち、入射発光束(励起光)を吸収し、それを発光蛍光束(放射光)の形態で伝達する能力を有する材料を意味すると理解される。したがって、光子のエネルギが吸収されると、分子は一般に電子的に励起された振動状態になる。励起された振動状態の緩和は、(励起光よりも長い波長を有する)蛍光が放射される前に発生する。発光蛍光束は、一般に等方的に放射される。
【0009】
本発明の第1の態様によって提案されるソリューションは、移動表示器と、発光束を放射するためのデバイスを備える静止した基礎構造との間の物理的接触、特に摩擦の必要性を克服するという点で認識される。より具体的には、蛍光材料は、物理的な接触なしに、入射発光束によって遠隔で励起される。
【0010】
さらに、マイクロプリズムまたは回折格子が、ガイドの表面において機械加工される垂直方向から、ガイド内の光を結合するための、複雑で、実施に費用がかかる既知の技法とは異なり、蛍光材料の層は、任意の方法(スプレー、ディスペンス、インクジェット印刷)で簡単に堆積でき、プリズムや回折格子に必要な、針の軸に沿って光を偏向させるための配向を必要としない。
【0011】
本発明によって提案されるソリューションの他の利点は、同じ一次光源から、決定された顔料タイプを選択することによって、プリズムおよび回折格子を使用する結合構造では生じ得ない、選択された色で蛍光を生成できることである。結合構造は、一次光源から発する光を偏向することに限定されるので、その色は光源の色となる。
【0012】
透明な光ガイド層は、第2の発光束の光線の全反射、したがって前記回転軸に実質的に垂直な伝搬を生成することができる。
【0013】
多層部品は、不透明な金属層と透明な光ガイド層との間に光学的分離層を備えることができる。「光学的分離層」という用語は、透明な光ガイド層が、不透明な金属層と直接接触している状況と比較して、透明な光ガイド層内を伝搬する光束の全反射を促進する層を意味すると理解される。光学的分離層の屈折率と、透明な光ガイド層の屈折率との差Δnは、0.5から0.9の間隔、好ましくは0.55から0.8の間隔、より好ましくは0.6から0.75の間隔にあることができる。
【0014】
光学的分離層は、2μmから15μmの間隔、好ましくは3μmから12μmの間隔、より好ましくは5μmから10μmの間隔にある厚さを有することができる。
【0015】
上記の表示器の構造は、当技術分野で知られている方法を使用して製造することが容易であるという点で認識される。たとえば、複数の部品の層が、最初に堆積され、次に刻印または切断されて表示器を形成することができる。一方、部品の層を配置するために、組み立て、接着、またはマイクロハンドリング操作は必要ない。
【0016】
部品は平坦であってよく、その上面および底面は平面であり得る。代替の実施形態によれば、上面は、非平面であり得る。
【0017】
ヘッドは、不透明な材料で作られたスリーブを、オプションで配置することができる中央穴を含むことができる。スリーブは、部品とは別に形成することも、部品と一体化することもできる。1つの実施形態によれば、スリーブは、不透明な金属層と一体化することができる。
【0018】
表示器は、針、たとえば腕時計のための針とすることができる。
【0019】
本発明の第2の態様は、少なくとも第1の表示器および第2の表示器(オプションで、針である)を備える一組の表示器に関し、おのおのが上記のようであり、ヘッドが中央穴を含み、不透明な材料で作られたスリーブが配置される。第1の表示器は、前記発光束が、第1の表示器を通過して二次穴を通過することを可能にするように、ヘッドの中央穴の周りに配置された1つまたは複数の二次穴を備え、その結果、前記発光束の少なくとも一部は、第1の表示器および第2の表示器が、その回転軸が整列するように配置されるときに、第2の表示器の蛍光材料によって吸収される。
【0020】
本発明の第3の態様は、計時器のための表示デバイスに関する。デバイスは、
・文字盤と、
・文字盤の上に配置された、上記のような表示器であって、共有された回転軸を中心に回転するために、それぞれのヘッドが重ね合わされ、それぞれのアーバに固定された、表示器と、
・共有された回転軸に実質的に平行で、蛍光材料によって再放射される波長よりも短い波長を有する発光束によって、表示器のすべてのヘッドの下を照明するように配置された固定光源とを備える。
【0021】
固定光源は、前記アーバの周りに分布し、文字盤の下に配置されたプリント回路構成要素に取り付けられたエレクトロルミネッセントダイオードおよび/または有機エレクトロルミネッセントダイオードを含むことができる。
【0022】
本発明の第4の態様は、表示器が針である、上記のような表示デバイスを備える腕時計に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の他の特徴および特性は、以下に示す添付の図面を参照して、説明の目的で以下に提示される特定の有利な実施形態の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の1つの実施形態により、発光針を腕時計に使用したアナログ時間表示デバイスの垂直断面図である。
図2】本発明の1つの実施形態による針の概略垂直断面図である。
図3】本発明の1つの実施形態による針の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、特に文字盤12、時針14、および分針16を備え、これらの針が、時計のムーブメント(図示せず)によって駆動されるそれぞれの同軸アーバ18、20に固定された時間表示デバイスを備えた腕時計10のケースの外側輪郭を図式的に示している。同軸アーバ18、20は、針14、16が、共有された回転軸22を中心に回転することを可能にする。文字盤12は、文字盤支持体24上に配置され、これらの2つの構成要素は、アーバ18、20の周りに延在する中央オリフィス26を含む。支持体24の下には、(本質的に)軸方向に、すなわち本質的に回転軸22に平行に向けられる光ビームを生成するための光源30を支持するプリント回路基板28が配置されている。光源30は、アーバ18、20の周りに分散され、プリント回路基板28に取り付けられた複数のエレクトロルミネッセントダイオード(LED)によって形成される。ダイオードは、好ましくは、軸の周りに均一に分布され、たとえば、3つのダイオードは、互いに120°離れている。代替的または追加的に、光源は、有機エレクトロルミネッセントダイオード(OLED)または小型レーザ光源、たとえば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)タイプのいずれかを含むことができる。他の実施形態では、細長形状または環状形状の光源を使用して、軸22の周りの光強度の最適な均一性を確保することができる。ダイオードはすべて同時に点灯することも、所望される美的効果に応じて点灯しないこともでき、腕時計の押しボタンなどの手動部材および/または光センサによって作動する。美的または遊びの理由から、たとえば、特定のダイオードのみを点灯すること、たとえば、分針のみを点灯すること、たとえば、時刻とは異なる情報(日付またはその他の情報)のみを示すことが考慮される。
【0026】
光源30は、腕時計のバッテリによって電力を供給され得る。ダイオードは、針の軸の周りに漏れが発生した場合の美的悪影響を制限するために、紫外線範囲などの直接の不可視光を放射することができる。次に、UVは、蛍光材料において可視光に再変換される。
【0027】
時計のムーブメントは、任意のタイプとすることができる。電子式の場合は、プリント回路基板28の底面、またはその下にある別の基板のいずれかに取り付けることができる。
【0028】
針14、16は、時間を読みやすくするために、そして特に暗闇で読むことを可能にするために、光源30によって内部的に照明されることを意図している。ユーザに最も近い側の表面が不透明であるという事実は、すべての通常の既知の仕上げを備えた針の標準的な外観を得る。したがって、本発明は美的制限をもたらさず、特に、日光下での外観は、本発明によって影響を受けない。
【0029】
図1図3を参照すると、時針14および分針16はおのおの、中央の金属スリーブ32、33(図2図3には示されていない)と、不透明な金属層36、透明な光ガイド層38、および、不透明な金属層36と透明な光ガイド層38との間の光学的分離層40を含む複数の層を有する部品34とを含む。部品34は、細長い本体42と、円形のヘッド44とを形成し、ヘッド44は、スリーブ32、33が配置された中央穴46を有する。スリーブ32、33は、部品と一体化することも、オプションで、不透明な金属層36と一体化することもできる。部品34は、従来の製造手段によって製造することができる(たとえば、部品の層を最初に堆積し、次に刻印または切断して針を形成することができる)。部品34は、従来の方式で、対応するアーバ18、20に固定される。針の本体42は、平面図では三角形または台形であることが好ましいが、必要に応じて他の形状も可能である。
【0030】
従来、腕時計では、時針14は、分針16の下に取り付けられる。光源30から発生する光が、分針16の方向に進むことを可能にするために、時針14の円形のヘッド44は、とりわけ、時針14の円形のヘッド44が、中央穴46の周りに配置された二次穴48を備えているという点で分針16のものとは異なる。これにより、発光束は、時針14を通過して二次穴48を通過することができ、したがって、発光束の少なくとも一部が、分針16の底面に到達することができる。分針16の細長い本体42は、従来、時針14の細長い本体42よりも長い。しかしながら、それぞれのヘッドは、一般に同じサイズを有する。分針16のヘッド44は、好ましくは不透明なカバー50で覆われている。異なる寸法のヘッドを使用することもでき、機械的な干渉なしに片方または他方の針の照明に有利になるように、LEDを(たとえば、同心円状に)配置することができる。
【0031】
透明な光ガイド層38の底面は、蛍光材料52の1つまたは複数の堆積物を備えており、中央オリフィス26を介して、およびオプションで二次穴48を介して光源30に面し、透明な光ガイド層38との光学的接触を確立する(たとえば、蛍光材料52は、接着剤に組み込まれた蛍光顔料によって形成することができる)。あるいは、蛍光材料を、光ガイド層に組み込むことができる。動作中、光源30は、蛍光材料52によって再放射される波長よりも短い波長を有する発光束54で蛍光材料52を照明する。蛍光材料52は、この入射光を吸収し、特に透明な光ガイド層38において、等方的に光56を再放射する。光学的分離層40の存在は、光ガイド層内を伝搬する蛍光の全反射を可能にし、したがって、金属層内での漸進的な吸収を阻止する。その屈折率と、透明な光ガイド層の屈折率との間のΔnは、0.5から0.9の間隔、好ましくは0.55から0.8の間隔、より好ましくは0.6から0.75の間隔にあり、蛍光の結合を最大化するために、臨界角の値を増加させ、したがって、光ガイド層の開口数を増加させることができる。光が結合され、分離層の屈折率が、結合された光の量に影響を与えると、分離層の存在により、ガイド層において、損失のない透過が可能となることに留意されたい。光学的分離層は、2μmから15μmの間隔、好ましくは3μmから12μmの間隔、より好ましくは5μmから10μmの間隔にある厚さを有することができる。透明な光ガイド層38内の多数の全反射が、その後、発光束が外向きに伝達される細長い本体42の端部に到達するまで続く。
【0032】
(たとえば、樹脂堆積物によって作られた)光拡散領域58を、針の頂点に追加して、不透明な金属層36を超えて(すなわち、そこから突出させ)延在させ、発光束の逃げを容易にし、上記頂点上に装飾的なパターンを得ることができる。光拡散領域58の表面は、マットまたは粗い仕上げをすることができる。他の実施形態では、針の頂点だけではなく、細長い本体42(および、オプションで、ヘッド)の縁も、光拡散領域58を備える。
【0033】
言うまでもなく、LED光源は、回転軸に近い位置とは異なる位置に配置することができ、光学カプラを追加して、発光束を適切な位置に届け、針の蛍光材料を励起することができる。
【0034】
本発明の原理にしたがって製造された針は、たとえば、自動車のダッシュボード上で、任意の表示器の1つの針としても使用できることが明らかである。
【0035】
特定の実施形態が詳細に説明されたが、当業者は、本発明の本開示の一般的な教示に照らして、上記の様々な修正および代替案を開発できることを知っている。結果として、本明細書に記載の特定の構成および/または方法は、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0036】
10 腕時計
12 文字盤
14 時針
16 分針
18 アーバ
20 アーバ
22 回転軸
24 支持体
26 中央オリフィス
28 プリント回路基板
30 光源
32 スリーブ
33 スリーブ
34 部品
36 金属層
38 光ガイド層
40 光学的分離層
42 本体
44 ヘッド
46 中央穴
48 二次穴
50 カバー
52 蛍光材料
54 発光束
56 光
58 光拡散領域
図1
図2
図3