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  • 特許-冷却構造、および、コンピュータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】冷却構造、および、コンピュータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20221004BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20221004BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/40 E
H05K7/20 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020208463
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095251
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】武田 和崇
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-163232(JP,A)
【文献】特開2016-178235(JP,A)
【文献】特開2012-227472(JP,A)
【文献】国際公開第2004/093187(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に搭載された電子部品の冷却構造であって、
放熱部材と、
前記電子部品と熱的に接続する熱伝導ブロックと、
前記熱伝導ブロックと前記放熱部材を熱的に接続する複数のサーマルパッドと、
前記熱伝導ブロックに固定された金具と、
前記放熱部材と前記基板とを固定するばね付きネジと、を備え、
前記放熱部材は、前記ばね付きネジの締付力によって、前記サーマルパッドを前記熱伝導ブロック側に押圧し、
前記サーマルパッドは、前記熱伝導ブロックの面上で前記押圧によって弾性変形した状態で互いに間隔をあけて配置され
前記ばね付きネジのばねは、前記金具と前記放熱部材の間に配置されて、前記金具を押すことにより、前記熱伝導ブロックを前記電子部品に圧着する、冷却構造。
【請求項2】
前記複数のサーマルパッドの合計面積は、前記電子部品と前記熱伝導ブロックとの熱接触面積よりも大きい、請求項1に記載の冷却構造。
【請求項3】
前記複数のサーマルパッドは、前記複数のサーマルパッドの合計面積と同じ面積のサーマルパッドから分割されている請求項1又は2に記載の冷却構造。
【請求項4】
前記複数のサーマルパッドの合計面積は、前記電子部品の冷却に必要な面積である請求項2又は3のいずれか1つに記載の冷却構造。
【請求項5】
前記放熱部材はフィンを含む筐体である、請求項1からのいずれか1つに記載の冷却構造。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1つに記載の冷却構造と、
前記電子部品と、を備えるコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品の冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等、フロント側で使用されるコンピュータは、IoTの普及により、情報処理量が増大し、高性能な処理能力を求められるようになってきている。それに伴い、高性能なCPU(Central Processing Unit)が必要となるが、高性能なCPUは、その分消費電力が高く、製品動作時は高温となる。
【0003】
更に、近年コンピューターは小型化の傾向にあり、発熱密度が高くなりやすく、温度上昇の一因となる。CPUが規定温度以上になると、故障してしまう恐れがあるため、CPUを冷却するための構造が必要となる。
【0004】
また、工場等で使用されるコンピュータは、粉塵やほこり、オイルミスト等が存在する環境で使用されることが想定される。このような環境でコンピュータを保護するために筐体の密閉性が求められる。密閉された筐体では、ファンを用いた冷却が難しく、ファンレスの冷却構造が求められる。
【0005】
ファンレスで密閉されたコンピュータに対するCPUの冷却構造として、CPUの熱を筐体天板へ熱伝導により放熱し、筐体天板から筐体外部へ放出する方式がある。このような方式において、CPUと筐体天板の間に距離があるこの場合、CPUと筐体天板の間に、熱伝導率の高い金属ブロックを挟むことで、熱的に接続する。
【0006】
この時、金属ブロックおよび筐体天板の表面には凸凹があり、接触面は、面全体で完全に接触することはなく部分的に接触する。このため、放熱経路の面積が小さくなることから、冷却効率が下がってしまう。これを接触熱抵抗と呼ぶ。
【0007】
接触熱抵抗を小さくするため、サーマルパッドを部品接触面の間に挟み込む方法がある。サーマルパッドは、比較的柔らかいため接触面の凹凸になじみ、実際の接触面積を増やすことで、接触熱抵抗を小さくすることができる。サーマルパッドを金属ブロックおよび筐体天板の表面になじませるために、サーマルパッドに圧力がかかるように挟む必要がある。この時、サーマルパッドは、圧縮応力により反発力を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-157763号公報
【文献】特開2007-188998号公報
【文献】特許第6073737号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
放熱経路の面積が大きいほど熱流量が大きくなることから、サーマルパッドも接触面の面積を大きくするほど熱流量が大きくなり、CPUの冷却効率が上がる。一方、サーマルパッドの面積を増やせば反発力が増大する。CPUには上部からの静止耐荷重の規定があり、サーマルパッドの反発力を含めて規定値未満にしなければならない。
【0010】
サーマルパッドの大きさをCPUの冷却に必要な所定面積にした時に、当該サーマルパッドからの反発力によってCPUの耐荷重を超えるケースがある。
【0011】
本開示の目的の1つは、上記の課題を解決するために、サーマルパッドの面積を冷却に必要な所定面積より小さくすることなく、サーマルパッドの反発力を低減することができる冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様は、基板上に搭載された電子部品の冷却構造であって、放熱部材と、前記電子部品と熱的に接続する熱伝導ブロックと、前記熱伝導ブロックと前記放熱部材を熱的に接続する複数のサーマルパッドを備え、前記サーマルパッドは、前記熱伝導ブロックの面上で押圧によって弾性変形した状態で互いに間隔をあけて配置される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、サーマルパッドの面積を冷却に必要な所定面積より小さくすることなく、サーマルパッドの反発力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る冷却構造を適用したコンピュータの外観を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る冷却構造の例を示す構造図である。
図3】金属ブロックの面上の複数のサーマルパッドの配置例を示す図である。
図4】金属ブロックに配置されたサーマルパッド1枚の例を示す図である。
図5】金属ブロックに配置されたサーマルパッド4枚の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る冷却構造の一態様について、図面を用いて説明する。以下、第1の実施形態に係る冷却構造をコンピュータ1に適用した例で説明する。図1は、第1の実施形態に係る冷却構造を適用したコンピュータの外観を示す図である。図1(a)、図1(b)は、それぞれコンピュータ1の上面図、側面図である。コンピュータ1の外装は、ファンレス密閉型の筐体16で構成される。筐体16の一部には、天板部に放熱用の複数のフィン16Aが形成される。
【0016】
図1において、冷却構造10は、コンピュータ1内で発熱源となるCPU(図示せず)に熱接触して設置される。CPU12は電子部品とも呼ばれる。CPUの動作によって発生した熱は、冷却構造10によって筐体16に熱伝導され、筐体16のフィン16Aにより外気放熱される。第1の実施形態において、筐体16は、冷却構造10における放熱部材として機能する。図1に示す筐体16は、コンピュータ1の天板であり、筐体16の内側はサーマルパッド14との熱的な接続のために平面になっている。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る冷却構造10の一例を示す断面図である。図2において、基板11上に冷却対象となるCPU12が搭載される。冷却構造10は、金属ブロック13、複数のサーマルパッド14、筐体16で構成される。金属ブロック13、筐体16は、それぞれ熱伝導ブロック、放熱部材とも呼ばれる。
【0018】
冷却構造10の金属ブロック13は、CPU12からの熱を金属ブロック内で層厚方向と横方向(平面方向)に拡散させる。図2に示す金属ブロック13は、銅ブロック13A、アルミブロック13Bで構成される。金属ブロック13の銅ブロック13Aとアルミブロック13Bはロウ付けにより接合される。CPU12と金属ブロック13の間には、接触熱抵抗を下げる役割を担うグリース(図示せず)が塗布される。
【0019】
グリースとサーマルパッド14は、共に表面の凹凸をなじませるためのものである。グリースは、ペースト状の素材のため、サーマルパッド14と比較して非常に薄くすることが可能であり、熱伝導的に有利である。一方、サーマルパッド14は厚みがあるため、寸法公差が大きい箇所で、ある程度の公差を吸収することができる。サーマルパッド14は、寸法精度が低い箇所で確実に熱的に接続することが可能である。
【0020】
図2に示す冷却構造10において、CPU12と金属ブロック13は、ばね付きネジ17、押しつけ金具18等を用いて固定される。ばね付きネジ17は、ネジ17Aとばねネジ17Bの2本の組合せで構成される。ばねネジ17Bのネジ頭にはネジ17Aのネジ受けが形成されている。
【0021】
押しつけ金具18は固定ネジ19によって銅ブロック13Aに固定される。ばねネジ17Bは、銅ブロック13Aに固定された押しつけ金具18の穴を介して、基板11に螺合される。金属ブロック13はばねネジ17BのばねでCPU12に圧着される。ネジ17Aは、筐体16の穴を介してばねネジ17Bに螺合される。筐体16は、ネジ17の締付力によって金属ブロック13側に動いてサーマルパッド14を押圧する。
【0022】
サーマルパッド14の大きさをCPU12の冷却に必要な所定面積とした時に、当該サーマルパッド14からの反発力によってCPUの耐荷重を超えるケースがある。
【0023】
図3は、金属ブロック13の面上の複数のサーマルパッド14の配置例を示す図である。冷却構造10がばね付きネジ17による締付力によってCPU12に圧着されると、筐体16と金属ブロック13に挟まれた各サーマルパッド14は、押圧によって弾性変形する。
サーマルパッド14は、金属ブロック13の面上で押圧によって弾性変形した状態で互いに間隔をあけて配置される。複数のサーマルパッド14の合計面積は、CPU12と金属ブロック13との熱接触面積よりも大きい。
【0024】
例えば、第1の実施形態に係る冷却構造10では、所定の面積のサーマルパッドを分割し、分割されたサーマルパッド14を隙間15をあけて配置する。このとき、分割された各サーマルパッド14の面積の合計は、所定のサーマルパッドの面積よりも小さくならないようにする。例えば、複数のサーマルパッド14は、複数のサーマルパッド14の合計面積と同じ面積のサーマルパッドから分割されて形成されてもよい。
【0025】
1枚のサーマルパッドと複数のサーマルパッド14とをそれぞれ用いたときのCPU12への荷重を比較する。例えば、感圧センサシートを備える面圧分布測定システムを用いて、感圧センサシートをCPU12と金属ブロック13の間に挟んで、CPU12と金属ブロック13(銅ブロック13A側)との接触圧力を分布測定する。
【0026】
図4は、金属ブロック13に配置された1枚のサーマルパッドの例を示す図である。図4において、金属ブロック13の面上に配置された1枚のサーマルパッド14Pの大きさは、縦、横それぞれ60(mm)の正方形である。また、サーマルパッド14Pの層厚は2.5(mm)で硬度は34とする。硬度は、ASTM(AMERICAN SOCIETY FOR TESTING AND MATERIALS)D 2240準拠の硬度計による値である。図4に示すサーマルパッド14Pの大きさは、CPU12の冷却に必要な面積3600(mm2)とする。
【0027】
図5は、金属ブロック13に配置されたサーマルパッド4枚の例を示す図である。図5において、サーマルパッド14の材料、層厚は図4のサーマルパッド14Pと同一とする。金属ブロック13の面上に配置された複数のサーマルパッド14の大きさは、縦、横それぞれ30(mm)の正方形となっている。ここで、図4に示す各サーマルパッド14の大きさの合計は、CPU12の冷却に必要な面積3600(mm2)とする。
【0028】
CPU12に負荷される荷重は、金属ブロック13をCPU12に圧着するためのばね付きネジ17による締付力と、サーマルパッド14の反発力の2種類の負荷の合計値であるとする。
【0029】
CPUの静止耐荷重の規定値が62.00 [lb](SI単位:約28.12 [kg])であるとき、図4のように1枚のサーマルパッドをそのまま配置してCPU12に冷却構造10をばね付きネジ17で取り付けると、CPU12への負荷荷重は71.32 [lb](SI単位:約32.35 [kg])と規定値を超過していた。
【0030】
一方、図5、サーマルパッド14を4等分割し、サーマルパッド14の隙間を5 (mm)と8 (mm)と開けて分割されたサーマルパッドを配置してCPU12に冷却構造10をばね付きネジ17で取り付けると、CPU12への負荷荷重は60.56 (lb)(SI単位:約27.47 (kg))となり、規定値以下に収まった。
【0031】
このように、所定の面積のサーマルパッドを分割して貼り付けることで、冷却性能を維持したまま、反発力の低減を実現することができる。
【0032】
サーマルパッド14の面積を確保しつつ、複数のサーマルパッド14を金属ブロック13の面上に配置することで、サーマルパッド14の側面の変形面積が増加する。サーマルパッド14の変形面積の増加によって、押圧による圧力を吸収する箇所が増加してサーマルパッドの反発力が低減される。
【0033】
上記の例では、正方形のサーマルパッドを4等分割したが、等分割である必要はなく、どのような分割でも構わない。サーマルパッドの形状は正方形でなくてもよい。
【0034】
また、4つ以上に分割することで、分割分に応じて反発力の低減効果は期待できる。分割する数は、サーマルパッド14の分割工数やサーマルパッド14の配置工数との兼ね合いとなる。
【0035】
金属ブロック13で熱を横方向に広げてからサーマルパッド14を介して筐体16に熱を伝えている。このため、金属ブロック13と筐体16の接触可能面積の限界までサーマルパッド14を大きくする必要がない。そのため、放熱に必要なサーマルパッド14の面積を小さくすることなく、サーマルパッド14を分割し、サーマルパッド14との間の隙間を広げて配置することができる。
【0036】
このように、サーマルパッド14は、所定の面積を保って、複数の分割されたサーマルパッド14が金属ブロック13の面上で押圧によって弾性変形した状態で互いに間隔をあけて配置される。これにより、冷却性能を維持したまま、サーマルパッド14の反発力の低減を実現することができる。
【0037】
以上、第1の実施形態の構成について説明したが、本実施形態は上記の例に限られるものではない。例えば、図2において、金属ブロック13は、銅とアルミニウムの2つの金属材料で構成されているが、これに限られない。金属ブロック13は1つの金属材料で構成されてもよい。なお、金属ブロック13が、熱伝導材料による熱伝導ブロックである場合、当該熱伝導材料は、例えば、炭素(ダイヤモンド、又は、炭素による平面、筒状あるいは球状等の構造体)、銀、銅、金、アルミニウム、シリコン、真鍮、ニッケル、鉄、白金、ステンレス鋼であってもよい。熱伝導ブロックは、これらの合金または複合材料により構成されてもよい。
【0038】
第1の実施形態では冷却対象をCPUとしたがこれに限られない。例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)など、動作により熱を発生する他のプロセッサであってもよい。また冷却対象は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路でよもよい。
【0039】
筐体16は、外気放熱用のフィン16Aが形成されているが、熱を筐体16の外に放熱できるのであれば他の構成を用いてもよい。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、情報処理装置120が、記憶部126と、照合部128とを備える点が第1の実施形態と異なる。なお、第1の実施形態と実質的に同様の構成部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0041】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された構成、動作、処理を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0042】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本開示を説明した。しかしながら、本開示は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本開示は、本開示のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0043】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
【符号の説明】
【0044】
1 コンピュータ
10 冷却構造
11 基板
12 CPU
13 金属ブロック
13A 銅ブロック
13B アルミブロック
14 サーマルパッド
15 隙間
16 筐体
17 ばね付きネジ
図1
図2
図3
図4
図5