(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】移動式バッチ投入器
(51)【国際特許分類】
C03B 3/00 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
C03B3/00
(21)【出願番号】P 2020527910
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 FR2018053038
(87)【国際公開番号】W WO2019106301
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-25
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ギレ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク ローププ
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン シュネル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ランザーニ ダ コスタ
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-179126(JP,A)
【文献】特開2014-105122(JP,A)
【文献】特表2013-538776(JP,A)
【文献】国際公開第2010/146922(WO,A1)
【文献】特表2015-511927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0053891(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103420560(CN,A)
【文献】特開2011-080740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 3/00-3/02
F27D 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス形成バッチ(2)をガラス炉(3)に投入するためのバッチ投入器(1)であって、
前記バッチ(2)の前記炉(3)への投入方向(X)を規定するバレル(4)、
以下を備える機械的アセンブリ(5):
前記バッチ(2)を前記炉(3)に前記投入方向(X)で搬送するための部材(6)、ここで、この搬送部材(6)は、少なくとも部分的に前記バレル(4)内に配置されている、
前記搬送部材(6)を駆動するためのモーターユニット(7)
を含み、
前記機械的アセンブリ(5)が、前記投入方向(X)で、前記バレル(4)に対して平行移動可能であることを特徴とする、バッチ投入器。
【請求項2】
前記バレル(4)は、シャーシ(8)に堅固に接続されており、かつ前記シャーシ(8)に対して前記機械的アセンブリ(5)が平行移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載のバッチ投入器。
【請求項3】
前記機械的アセンブリ(5)は、手動で平行移動されるのに適していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッチ投入器。
【請求項4】
前記機械的アセンブリ(5)を平行移動させるモーターユニット(9)を備えていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッチ投入器。
【請求項5】
前記バッチ投入器(1)の動作により影響を受ける物理変数のうちの少なくとも1つの値を測定する装置を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のバッチ投入器であって、好ましくは、前記物理変数が以下から選択される、バッチ投入器:
前記搬送部材(6)の前記電動駆動ユニット(7)によって供給されるトルク、
前記電動駆動ユニット(7)のモーターの電流強度、
前記バレル(4)の最下流端における前記バレル(4)内部の温度、
前記バレル(4)内部の燃焼ガスの濃度、例えば二酸化炭素及び/又は一酸化炭素濃度。
【請求項6】
以下を含む、ガラス形成体溶融設備(10):
好ましくは液体ガラス吐出口の位置によって規定される液体ガラスの理論レベルよりも低い位置に、タンク壁面に位置する投入オリフィスを備えている、ガラス形成体溶融炉(3)、
請求項1~5のいずれか一項に記載のバッチ投入器(1)、ここで、前記バッチ投入器(1)の前記バレル(4)の一端が、前記投入オリフィス内に開口している。
【請求項7】
バレル(4)の下流に配置されており、かつ前記炉タンク(3)の外壁に固定されており、前記投入オリフィスと同じ高さにある管状投入ヘッド(11)を含み、前記投入ヘッド(11)が、前記炉(3)から離れた端部にスライド調整弁を備え、その調整弁プレートが、前記炉(3)の内側へのアクセスを閉鎖する閉鎖位置と、このアクセスが解放される開放位置との間で移動可能であることを特徴とする、請求項6に記載の設備(10)。
【請求項8】
ガラス形成体を溶融するための、請求項6又は7に記載の設備(10)の使用。
【請求項9】
前記バッチ投入器(1)の動作により影響を受ける物理変数のうちの少なくとも1つの値に基づいて、請求項1~5のいずれかに記載のバッチ投入器(1)を制御する方法であって、好ましくは、前記物理変数が以下から選択されることを特徴とする、方法:
前記搬送部材(6)の前記電動駆動ユニット(7)によって供給されるトルク、
前記電動駆動ユニット(7)のモーターの電流強度、
前記バレル(4)の最上流端における前記バレル(4)内部の温度、
ここで、前記制御方法は、少なくとも以下の工程を含む:
(S1)前記測定値を少なくとも1つの閾値と比較すること、
(S2)前記機械的アセンブリ(5)を平行移動させる指示を送信すること、
(S3)前記機械的アセンブリ(5)を平行移動させるための前記モーターユニット(9)を制御すること。
【請求項10】
測定される前記物理的変数が、前記バッチ(2)を前記炉(3)に搬送するためのウォームスクリュー(6)を回転させるための前記モーターユニット(7)のモーターの電流強度であること、及び
前記閾値が、前記モーターの最大許容電流強度の10~50%であり、好ましくは10~30%であり、好ましくは12~20%であり、より好ましくは14~16%であること
を特徴とする、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記調整弁プレートの理論的切断面の下流に前記機械的アセンブリ(5)を平行移動させるための前記命令は、開放位置にある調整弁プレートと紐づけられていることを特徴とする、請求項7に記載の設備(10)内で実施する、請求項9又は10に記載の制御方法。
【請求項12】
測定される前記物理変数が、その最も下流側のバレル(4)内部の温度であり、測定された温度が温度閾値と等しいかそれ以上であるときに、前記搬送部材(6)を後ろ向きに平行移動させるための制御命令を送信することを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項13】
以下に適した処理モジュール(21)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のバッチ投入器(1)を制御するシステム(20):
(S1)前記バッチ投入器(1)の動作の影響を受ける物理変数のうちの少なくとも1つの値を少なくとも1つの閾値と比較すること、
(S2)前記機械的アセンブリ(5)を平行移動させる指示を送信すること。
【請求項14】
請求項9~12のいずれか一項に記載の制御方法を実施するための指示コードを含み、通信ネットワークからダウンロード可能であり、かつ/又はコンピュータによって読み取られかつ/若しくはプロセッサによって実行されるのに適した記録媒体に記録されている、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムが記録されている、コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス炉のためのバッチ投入器、及びガラス形成バッチを溶融するための設備に関する。本発明は、より詳細にはフロート設備又はローリング設備等の平坦なガラスを形成するための設備、並びにボトル及びバイアル等の中空ガラスを形成するための設備に関し、より詳細には、断熱又は遮音のためのミネラルウールタイプのガラス繊維又はいわゆる強化織物ガラス糸を形成するための設備に関する。
【0002】
本発明はまた、関連する制御方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ可読記録媒体と共に、そのようなバッチ投入器を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
溶融設備には、ガラス形成バッチをガラス炉に投入するための装置が設けられている。これらのガラス形成体は、一般に酸化物型であり、一般に少なくとも30重量%のシリカを含み、例えばガラス、又はケイ酸塩、例えばアルカリケイ酸塩及び/若しくはアルカリ土類ケイ酸塩である。ガラスは特に、当業者によってしばしば「黒色ガラス」と呼ばれるソーダ石灰シリカガラス又は岩石ガラスであり得る。したがって、「ガラス形成体」及び「原材料」という用語は、シリカ砂、岩石、高炉スラグ等のガラス質(又はセラミック若しくはガラスセラミック)マトリックスを得るために必要な材料、並びに添加剤(精製添加剤)、分解廃棄物(鉱物繊維を含む)、液体又は固体燃料のすべて(適用可能であれば、複合材料又は他の材料、有機材料、石炭からのプラスチック)、及びすべてのタイプのカレットを包含することを意図している。説明において、「液体ガラス」及び「溶融物」という表現は、これらのガラス形成体を溶融した生成物を示す。
【0004】
「バッチ投入器」としても知られる投入装置は、従来、以下の2つのグループのうちの1つに属する:
溶融端部の外側のドッグハウス内に設置されたトレイ又はプッシャーを備えた、表面上のバッチ投入器、
溶融ガラス形成体の高さより低い高さで、溶融端部の内側にバッチを直接分配する、いわゆる「液中」バッチ投入器。
【0005】
より具体的には、以下を含むバッチ投入器の使用が知られている:
バッチの炉内への投入方向を規定するバレル、
バッチを投入方向に炉内へ搬送する部材、ここで、この搬送部材は、少なくとも部分的にバレル内部に配置されている、
搬送部材を駆動するモーターユニット。
【0006】
この搬送部材は、国際公開第2016/120351号パンフレットに記載されているように、ピストンであってもよく、又は国際公開第2013/132184号パンフレットに記載されているように、1つ又は複数のウォームスクリューであってもよく、この場合、バッチ投入器の本体は例えば、シングルスクリュー又はツインスクリュー押出機タイプである。バッチを炉に搬送するための部材は、1つ又は複数のモーターを備えることができる電動駆動ユニットによって、(ピストンの場合)平行移動させられるか、又は(スクリューの場合)回転させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この状況では、特に搬送されるバッチによって生じる抵抗が、搬送部材によって供給される仕事に対抗する。この抵抗は、バッチの硬度及び粒径、プラグの厚さ、すなわちバッチ投入器の炉に近い端部との接触領域の厚さ、溶融チャンバへの入口に付着するプラグ、並びにプラグに圧力を及ぼす溶融物の高さ及び粘度により増加する。公知の方法では、この抵抗の増加が駆動モーターからの電力の増加をもたらす。
【0008】
抵抗の増加に続いて、モーターによって供給される電力がモーター、バッチ投入器の異なる構成要素、特にその搬送部材及び/又は駆動モーターのサイズ決めによって予め定められた最大限界値に達すると、搬送部材及び/又は駆動モーターが詰まる傾向があり、これが損傷をもたらす可能性がある。更に、モーターからの電力の増加に続いて、搬送部材が最終的に解放されると仮定すると、比較的かなりの重量のバッチを溶融チャンバ内に送出することができ、次いで、温度の低下を引き起こし、その結果、溶融プロセスにおける不安定性を引き起こす。
【0009】
逆に、ガラス形成バッチによって加えられる抵抗の低下は、一般に、プラグが薄くなりすぎたことを示す。次いで、バッチ投入器は、炉からの燃焼ガスのバレル内部への侵入、換言すれば「ガスの逆流」に曝される。このようなガスの逆流は、バレル内部のガラス形成体を加熱する傾向があるので、何としてでも回避されなければならない。その結果、このような高温に曝すのに適していないバッチ投入器の構成要素に急速な損傷が生じる。また、この温度上昇は、ガラス形成体が引火する危険性、及び爆発の危険性さえも増大させる。大気中へのこのようなガスの放出はまた、問題のガスの毒性を考えると、オペレータにとって危険であり、またその汚染性質のために、環境にとって危険である。
【0010】
これらの困難に直面して、その瞬間的な電力がガラス形成バッチを炉内に搬送することを可能にするように駆動モーターを過剰に大きくすることが知られている。しかしながら、この技術的解決策は、バッチ投入器を装入動作の可変条件に調整することを可能にしないので、非常に不満足である。それによれば、投入のためのバッチによって形成された凝集体によって及ぼされる抵抗は、その硬度及び粒径に依存して著しく変化する。したがって、所与のバッチ用にサイズ決めされたバッチ投入器は、異なる種類のバッチを投入するのに適さないか、又は不適当である。また、このようなモーターのサイズ決めは、トルク増加時の搬送部材の破損の危険性を制限することができない。これは、この部材が非対称な応力を受ける場合に特に当てはまる。例えば、非常に不均一なバッチを搬送する場合や、可変厚さのプラグが形成されている場合などである。最後に、このような解決策は、溶融プロセスにおける不安定性の発生、又はガスの逆流を抑制することを決して可能にせず、実際、逆も真である。
【0011】
したがって、溶融プロセスにおける不安定性の発生及びガスの逆流を抑制しながら、駆動モーターの詰まりを改善し、モーター及び/又は搬送部材に対する損傷の危険性を制限することを可能にするバッチ投入器が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、この必要性を満足するものである。より具体的には、少なくとも1つの実施形態では、提案する技術は、ガラス形成バッチをガラス炉に投入するためのバッチ投入器であって、
バッチの炉への投入方向を規定するバレル、
以下を備えた機械的アセンブリ: 前記バッチを前記炉内に投入方向で搬送する部材、ここで、この搬送部材は、少なくとも部分的に前記バレル内部に配置されている、
前記搬送部材を駆動するモーターユニット
を含み、
前記機械的アセンブリが、前記投入方向で、前記バレルに対して平行移動可能であることを特徴とする、バッチ投入器に関する。
【0013】
以下の説明において、「機械的アセンブリ」とは、搬送部材及び電動駆動ユニットによって形成される群であり、このアセンブリは、モーターユニットの最大トルク値によって制限される。
【0014】
それによれば、この発明は、機械的アセンブリがバレルに対して投入方向に平行移動可能に移動するバッチ投入器を提供することから成る新規な革新的概念に基づく。このようなバッチ投入器は、人間のオペレータ及び/又は機械が投入条件に応じてバレル内部に搬送部材を配置することを可能にする。
【0015】
上述したように、搬送部材の位置は、ガラス形成バッチ及び/又はプラグによって及ぼされる抵抗の値に相関する。この部材がバレル内部で前方に移動すると、プラグの端部が液化のために炉内に導入されるにつれて、プラグの厚さが減少する。その結果、抵抗が減少し、搬送部材にかかる応力及び損傷の危険性を制限しつつ、駆動モーターの許容可能なトルク値を達成することが可能となる。逆に、搬送部材が後方に移動すると、プラグの厚さが増大し、溶融チャンバ内へ燃焼ガスの侵入及び/又はプラグのの突然の排出の危険性が減少する。
【0016】
本発明によるバッチ投入器は、バレルに対する機械的アセンブリの平行移動運動により、この抵抗値を維持することを可能とし、したがって電動駆動ユニットのトルクの対応する値を、中間の値の範囲内に維持することを可能にし、これにより、溶融プロセスにおける不安定性又はガスの逆流の発生を抑制しながら、駆動モーターの詰まりを改善し、駆動モーター及び/又は搬送部材への損傷の危険性を制限することを可能にする。
【0017】
実際には搬送:
予防的に、バッチ投入器に導入されるバッチの硬度及び粒径、及びバッチ投入器の技術仕様との関係で、及び/又は
バッチ投入器の動作中における、搬送部材の詰まり、電動駆動ユニットの過剰なトルク増加、又はバッチ投入器の任意の他の故障が見られたこと続いて、
搬送部材をバレル内部に配置することができる。
【0018】
特定の実施形態によれば、搬送部材は、投入方向の周りを回転可能に移動できるウォームスクリューである。代替の実施形態によれば、搬送部材は、投入方向に平行移動可能なピストンの形態、又は従来技術から知られている任意の他のタイプの搬送部材である。
【0019】
特定の実施形態によれば、バレルは、シャーシに堅固に接続されており、シャーシに対して機械的アセンブリが平行移動可能である。
【0020】
このようなシャーシの実施は、機械的アセンブリを平行移動させるための任意のモーターユニットの、シャーシの残りの部分に対する組立て及び配置と同様に、機械的アセンブリの平行移動方向の満足な制御を可能にする。
【0021】
特定の実施形態によれば、機械的アセンブリは、手動で平行移動させるのに適している。
【0022】
これによれば、バレル内部での搬送部材の配置は、専門のオペレータ、特にバッチ投入器の詰まりの場合に修正することができる。
【0023】
特定の実施形態によれば、バッチ投入器は、機械的アセンブリを平行移動させるためのモーターユニットを含む。
【0024】
それによれば、機械的アセンブリの配置のため、オペレータを完全に又は部分的に補助することができる。
【0025】
特定の実施形態によれば、機械的アセンブリは、手動、及び電動平行移動ユニットを介しての両方で平行移動させるのに適している。このような平行移動手段の組合せにより、オペレータは電動平行移動ユニットのあらゆる故障を改善し、例えば、機械的アセンブリの位置を正確に調整すること、故障した場合にモーターユニットから引き継ぐこと、又は電動平行移動ユニットの最大電力値よりも大きな電力を必要とする作業を実行することができる。
【0026】
特定の実施形態によれば、バッチ投入器は、バッチ投入器の動作によって影響を受ける物理変数の少なくとも1つの値を測定するための装置を含み、好ましくは、前記物理変数が以下から選択される:
前記搬送部材の電動駆動ユニットによって供給されるトルク、
その最下流端、すなわち炉に最も近いバレル内部の温度、
バレル内部の燃焼ガスの濃度、例えば二酸化炭素及び/又は一酸化炭素濃度。
【0027】
バレル内部の温度を測定することにより、液体ガラスの逆流及び/又は搬送部材内部の熱分解の開始を検出することができる。
【0028】
本発明のこの特定の態様による測定装置の実施は、必要に応じて、投入軸に沿った機械的アセンブリの位置を修正するために、バッチ投入器の満足な動作をリアルタイムで監視することを可能にする。
【0029】
特定の実施形態によれば、トルクは、トルクに比例する前記モーターの電流の強さを測定する手段によって測定される。
【0030】
特定の実施形態によれば、この測定装置は、前記物理変数の測定値をオペレータに通信するのに適したヒューマン・マシン・インターフェースに結合されている。次に、オペレータは、手動で、又は電動平行移動ユニットの助けを借りて、バレルに対する機械的アセンブリの位置を修正するかどうかを決定することができる。
【0031】
特定の実施形態によれば、機械的アセンブリの平行移動は自動化され、これは、搬送部材の位置をトルクに自動的に接続する可能性をもたらし、その結果、本明細書に記載される制御方法に従って、バッチ投入器を投入条件への連続的な調節をもたらす。
【0032】
また、本発明は、以下を含むガラス成形機の溶融設備にも関する:
好ましくは前記液体ガラス吐出口の位置によって規定される液体ガラスの理論高さよりも低い位置に、タンク壁面に位置する投入オリフィスを備える、ガラス形成体溶融炉、
上述したようなバッチ投入器、ここで、前記バッチ投入器のバレルの一端が、投入オリフィス内に開口している。
【0033】
本発明によるバッチ投入器によってもたらされる技術的利点は、本明細書に記載されるように、このようなバッチ投入器を組み込んだガラス形成体溶融設備に関するものでもある。
【0034】
バッチ投入器のバレルの一端は、直接接触により、又は中間接続部を介して、投入オリフィスへと開口している。この構成では、ガラス形成バッチの炉内への導入を可能にするために、少なくとも断続的に炉へのアクセスが自由にされている。
【0035】
より詳細には、液体ガラスがバレル内部に逆流する危険性と、液体ガラスによってプラグに及ぼされる圧力とを考慮すると、これらの2つの要因が、搬送部材の仕事に対して及ぼされる抵抗を著しく増大させ、その結果、詰まり及び/又は損傷の危険性を著しく増大させるので、本発明は、液中バッチ投入器に関する。
【0036】
特定の実施形態によれば、設備は、バレルの下流に配置されており、炉のタンクの外壁に固定されており、投入オリフィスと同じ高さにある管状の投入ヘッドを含み、前記投入ヘッドは、スライド調整弁で炉から遠ざかるようにその端部に設けられ、スライド調整弁の調整弁プレートは、炉の内部へのアクセスを閉鎖する閉鎖位置と、このアクセスが自由にされている開放位置との間で移動可能である。
【0037】
このようなスライド調整弁の実施により、閉鎖位置にあるとき、液体ガラスの逆流の危険なしに、例えばメンテナンスのために、バッチ投入器を炉から取り外すことが可能となる。平行移動搬送部材が閉鎖位置に移動されたときに調整弁プレートと整列することを避けるために、機械的アセンブリの平行移動機能は、炉を閉鎖することができることが必要であることに留意されたい。
【0038】
特定の実施形態によれば、このスライド調整弁は、垂直に配向されている。これによれば、この構成では、複数のバッチ投入器を炉の同一の壁に沿って配置することができる。
【0039】
特定の実施形態によれば、この投入ヘッドは、炉に離れた端部から近い端部に向かって広がる略円錐形の内面を有する。
【0040】
こうして、この先細の設計は、プラグが生じた場合に、プラグを炉内に押し込むことを容易にする。
【0041】
本発明はまた、ガラス形成体を溶融するためのこのような設備の使用に関する。
【0042】
本発明は更に、前記バッチ投入器の動作によって影響を受ける物理変数の少なくとも1つの値に基づいて、上述したようなバッチ投入器を制御する方法に関し、好ましくは、物理変数は、以下から選択される:
前記搬送部材の電動駆動ユニットによって供給されるトルク、
前記電動駆動ユニットのモーターの電流強度、
前記バレルの最上流端における前記バレル内部の温度、
ここで、前記制御方法は、少なくとも以下の工程を含む:
前記測定値と少なくとも1つの閾値とを比較すること、
機械的アセンブリを平行移動させる指示を送信すること、
機械的アセンブリを平行移動させるためのモーターユニットを制御すること。
【0043】
この閾値は、オペレータが回避したいバッチ投入器の動作故障(例えば、詰まり、破損、極端な温度)に関連するか、逆に、オペレータが近いままにしたい最適動作値に関連することができる。
【0044】
代替の実施形態によれば、機械的アセンブリを平行移動させる指示は、オペレータによって続ける実行のためにヒューマン・マシン・インターフェースに送られるか、又は自動実行のために電動平行移動ユニットに直接送られることに留意されたい。
【0045】
前記物理変数が前記搬送部材の電動駆動ユニットによって供給されるトルクである場合には、前記搬送部材が炉に向かってバレル内部を前方に移動するときに、このトルクの値が減少する傾向にあることが観察されており、逆も同様である。したがって、このトルクを低減するために送られる制御指示は、搬送部材を投入方向に平行移動させることである。逆に、このトルクを増加させるために送られる制御指示は、搬送部材を逆方向に平行移動させることである。
【0046】
特定の実施形態によれば、測定される物理的変数は、バッチを炉に搬送するためのウォームスクリューを回転させるためのモーターユニットのモーターのトルクに比例する電流強度であり、前記閾値は、前記モーターの最大許容電流強度の10~50%であり、好ましくは10~30%であり、好ましくは12~20%であり、より好ましくはモーター14~16%である。
【0047】
この値域では、絶対値として利用可能なトルクにより、バッチを炉内に搬送するための部材の詰まりのあらゆる問題を解決することができる。
【0048】
特定の実施形態によれば、モーターの電流強度の閾値は、モーター電動駆動ユニットの最大許容電流強度の15%である。モーターのサイズ決めに応じて、対応するトルク値は600~700N/mである。
【0049】
特定の実施形態によれば、調整弁プレートの理論的切断面の下流に機械的アセンブリを平行移動させる指示は、開放位置にある調整弁プレートの配置と紐づけられている。
【0050】
これにより、搬送部材と調整弁プレートとの接触による損傷を回避することができる。
【0051】
特定の実施形態によれば、測定される物理的変数は、バレルの最上流端におけるバレル内部の温度であり、制御指示は、測定される温度が温度閾値以上であるときに搬送部材を後方に平行移動させるように送られる。
【0052】
本発明はまた、以下に適した処理モジュールを含む、上記のようなバッチ投入器を制御するためのシステムに関する:
バッチ投入器の動作の影響を受ける物理変数のうちの少なくとも1つの値を少なくとも1つの閾値と比較すること、
機械的アセンブリを平行移動させる指示を送信すること。
【0053】
本発明はまた、通信ネットワークからダウンロード可能であり、かつ/又はコンピュータによって読み取られかつ/若しくはプロセッサによって実行されるのに適した記録媒体に記録されており、上述のような制御方法を実施するための指示コードを含む、コンピュータプログラムに関する。
【0054】
また、本発明は、このようなコンピュータプログラムが記録されている、コンピュータ可読記録媒体に関する。
【0055】
本発明の更なる特徴及び利点を、図面を参照して以下に記載する:
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、本発明の特定の実施形態によるガラス成形剤溶融設備の概略断面図である;
【
図2】
図2は、本発明の特定の実施形態によるバッチ投入器の運動図である;
【
図3】
図3は、本発明の特定の実施形態によるバッチ投入器を制御するためのシステムの概略図である;
【
図4】
図4は、本発明の特定の実施形態によるバッチ投入器を制御する方法の逐次的な工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
異なる図面における同一の参照符号は、類似又は同一の要素を示す。
【0058】
特定の実施形態によれば、
図1に示されるように、本発明は、以下を含むガラス成形機溶融設備10に関する:
タンク壁面に投入オリフィスを備えた、ガラス形成剤溶融炉3、
本発明に係るバッチ投入器1、ここで、バッチ投入器1のバレル4の一端が、ガラス形成体を投入オリフィスに導入できるように開口している。
【0059】
図1に示す実施形態によれば、投入オリフィスは、液体ガラス吐出口の位置によって規定される液体ガラスの理論高さよりも低い位置にある。これは、より詳細には、液体ガラスがバレル4内部に逆流する危険性と、液体ガラスによってプラグに及ぼされる圧力とを考慮すると、これら2つの要因が、搬送部材6の仕事に対して加えられる抵抗を著しくに増大させ、その結果、詰まり及び/又は損傷の危険性を著しく増大させるので、液中バッチ投入器として知られており、本発明はこれに関する。
【0060】
しかしながら、別の実施形態によれば、投入は、炉3の分割壁及び/又は切妻壁に沿って、液体ガラスの理論高さより上で行われてもよい。
【0061】
本発明はまた、以下を含む、バッチ投入器1にも関する:
ガラス形成バッチ2を炉3に投入する方向Xを規定するバレル4と、
以下を備える機械的アセンブリ5:
バッチ2を炉3に投入方向Xで搬送するための部材6、ここで、この搬送部材6は少なくとも部分的にバレル4内に配置されている、
前記搬送部材6を駆動するためのモーターユニット7。
【0062】
特に、機械的アセンブリ5は、投入方向Xで、バレル4に対して平行移動可能に移動する。
【0063】
本発明によるバッチ投入器1は、バレル4に対する機械的アセンブリ5の平行移動運動により、この抵抗値を維持することを可能とし、したがって電動駆動ユニット7のトルクの対応する値を、中間の値の範囲内に維持することを可能にし、これにより、モーターモーター溶融プロセスにおける不安定性及びガスの逆流の発生を抑制しながら、駆動モーターの詰まりを改善し、駆動モーター及び/又は搬送部材7への損傷の危険性を制限することを可能にする。
【0064】
図1及び
図2に示す特定の実施形態によれば、バッチ投入器1は内側にバレル4を備え、該バレル内部には投入軸Xの周りを回転可能に移動できるウォームスクリュー6が収容されている。したがって、このウォームスクリュー6は、バッチ2を炉3に搬送するための部材として作用する。代替の実施形態によれば、搬送部材6は、投入方向Xに平行移動移動可能なピストンの形態、又は従来技術から知られている任意の他のタイプの搬送部材の形態をとることができることに留意されたい。搬送部材6の種類にかかわらず、搬送部材6は、1つ又は複数のモーターを含むモーターユニット7によって回転/平行移動される。この搬送部材6と電動駆動ユニット7とによって構成される群は、機械的アセンブリ5を構成している。バレル4上のホッパーにより、原料バッチ2の導入が可能となる。
【0065】
特定の実施形態(図示せず)によれば、バッチ投入器のヘッドは、また、炉に接続するためのスライド調整弁及び管状部分を含む。スライド調整弁は、固定部分及び調整弁プレートと呼ばれる可動部分を含む。ダンパの固定部分には、管状の接続部が固定されており、固定部分の内面は炉に向かってわずかに広がっており、そのタンク壁のみが示されている。管状の接続部は、投入オリフィスに挿入されている。接続部と調整弁プレートは、それぞれ冷却液の循環を可能にする内部配管系によって横断されている。調整弁プレートが閉鎖位置になると、炉内へのアクセスを遮断する。
【0066】
図1に示すように、バッチ投入器1のバレル4は、機械的アセンブリ5がこれに対して平行移動可能であるシャーシ8に堅固に接続されており、シャーシ8に対して機械的アセンブリ5が平行移動可能である。より具体的には、
図2の運動図に示しているように、機械的アセンブリ5は、シャーシ8に堅固に接続されたサイドレール14に沿って、それ自体が投入方向Xにスライドする水平パネル(図示せず)に固定されている。機械的アセンブリ5は、マシンスクリュー15の手段によってシャーシに対して平行移動される。代替の実施形態によれば、バレル4に対する機械的アセンブリ5の平行移動性は、本発明の範囲を逸脱することなく、従来技術から知られている任意の構成及び/又はタイプの機械的接続を介して実施することができることが理解されよう。
【0067】
特定の実施形態(図示せず)によれば、機械的アセンブリ5の平行移動は、マシンスクリュー15の回動を可能にするハンドルの手段によって手動で制御される。代替的な実施形態によれば、このような平行移動は、クランク又は同様の機能を有する他の任意の公知の機械的装置の手段によって制御することができる。
【0068】
図1に示された代替的な実施形態によれば、平行移動は、電動平行移動ユニット9の手段によって制御される。これによれば、機械的アセンブリ5の位置決めのため、オペレータを完全に又は部分的に補助することができる。
【0069】
バレル4内部の機械的アセンブリ5の平行移動に関する意思決定を導くために、バッチ投入器1は、以下を含む複数のセンサを備える:
電動駆動ユニット7によって供給されるトルクを測定するためのセンサ、
炉の近くに位置することが意図されているバレル4の端部で、バレル4の内部に配置されており、ウォームスクリュー6内部の液体ガラスの逆流及び/又は熱分解の開始を検出することを可能にする、温度センサ、
バレル4の内部の、燃焼からの二酸化炭素及び/又は一酸化炭素の濃度を測定するための装置。
【0070】
特定の実施形態によれば、種々のセンサは、測定値をオペレータに通信するのに適したヒューマン・マシン・インターフェース(図示せず)に結合されている。次に、オペレータは、手動で、又は電動平行移動ユニット9の助けを借りて、バレル4に対する機械的アセンブリ5の位置を修正するかどうかを決定することができる。
【0071】
図1に示す代替の実施形態によれば、本明細書に記載される制御方法に従って、スクリュー6の位置を測定されるトルクに自動的に接続する可能性をもたらし、その結果、バッチ投入器1を投入条件に連続的に調節する可能性をもたらす、本明細書に記載される制御システム20を介して、機械的アセンブリ5の平行移動が自動化される。
【0072】
したがって、本発明は、本明細書に記載のバッチ投入器1を制御するためのシステム20にも関する。
図3に示すように、このような制御システム20は、処理モジュールとして機能するプロセッサ21、記憶ユニット22、インターフェースユニット23、測定センサ24を含み、これらの要素はバス25によって相互接続されている。
【0073】
プロセッサ21は、機械的アセンブリ5を平行移動させるためにモーターユニット9を制御する。記憶ユニット22は、プロセッサ21によって実行される少なくとも1つのプログラムと、測定センサ24によって収集されたデータ、プロセッサ21によって実行された計算によって使用されたパラメータ、及びプロセッサ21によって実行された計算の中間データを含む種々のデータとを記憶する。プロセッサ21は、任意の公知な若しくは適したハードウェア若しくはソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組合せで構成することができる。記憶ユニット22は、任意の適した記憶装置、又はコンピュータ読み取り可能な方法でプログラム及びデータを記憶するための適した手段で構成することができる。プログラムは、プロセッサ21が本明細書に記載の制御方法を実施することを確実にする。
【0074】
インターフェースユニット23は、制御システム20と外部装置との間のインターフェースを提供する。インターフェースユニット23は特に、ケーブル又は無線接続を介して外部装置に接続することができる。この実施形態では、外部装置は、機械的アセンブリ5及び/又はバッチ投入器1の別の構成要素を平行移動させるためのモーターユニット9であってよい。この場合、センサ24によって測定された値は、インターフェースユニット23によって装置20に入力され、次いで記憶ユニット22に記憶される。
【0075】
単一のプロセッサ21が
図3に示されているが、当業者は、このようなプロセッサが制御システム20によって実行される機能を実施する異なるモジュール及びユニットを含むことができることを理解する筈である。これらの機能は、複数の相互接続されたプロセッサ21によって実施することもできる。
【0076】
図4は、特定の実施形態によるバッチ投入器1を制御する方法の逐次的な工程を示すフロー図である。
【0077】
第1の工程(工程S1)の間に、以下の変数が比較される:
ウォームスクリュー6を回転させるためのモーターユニット7の電流強度の値は、このモーターのトルクに比例し、この場合、操作者が近いままにしたい最適動作値に対応するモーターの最大許容強度の15%に設定された閾値と、乖離幅5%で比較され、
バレル4の最上流端で測定されたバレル4の内部の温度は、この場合、操作者が回避したい過剰な温度に対応する50℃に設定された温度閾値と比較される。
【0078】
この制御方法では、この温度をバレル4の端部で50℃の閾値未満に維持することが優先される。
【0079】
実際には測定されたモーター電流強度値(工程S1)が最大許容電流強度の20%より大きい場合、50℃未満の温度ではプロセッサ21によって指示が与えられ(工程S2)、機械的アセンブリ5を炉3に向かって1cm前方に移動させる(工程S3)。次に、この指示に従って、機械的アセンブリ5を平行移動させるためのモーターユニット9が制御される(工程S3)。
【0080】
逆に、測定したモーター電流強度値(工程S1)が最大許容電流強度の10%未満の場合、50℃未満の温度で、指示が与えられて(工程S2)、機械的アセンブリ5を1cm後方に移動させる(工程S3)。
【0081】
しかし、測定された温度(工程S1)が50℃以上である場合には、測定されたモーター電流強度値にかかわらず(工程S1)、機械的アセンブリ5の前方への移動を禁止する(工程S3)指示が与えられる(工程S2)。この場合に許可される唯一のコマンドは、機械的アセンブリ5の位置を維持すること、及びその後方への移動である。
【0082】
同様に、ウォームスクリュー6と調整弁プレートとの間のいかなる接触を抑制し、その結果、これに起因するいかなる損傷も抑制するために、調整弁プレートの理論的切断面の下流に機械的アセンブリ5を平行移動させる指示は、開放位置にある調整弁プレートの配置と紐づけられている。
【0083】
この制御方法は、10分の頻度で繰り返される。
【0084】
代替の実施形態によれば、この制御方法は、異なるタイプの測定、異なる閾値に基づいて、及び/又は異なる反復頻度で実施することができることに留意されたい。