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特許7152486水産養殖システムのための水中飼料分散機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】水産養殖システムのための水中飼料分散機
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/80 20170101AFI20221004BHJP
   A01K 61/60 20170101ALI20221004BHJP
【FI】
A01K61/80
A01K61/60 321
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020528139
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018060601
(87)【国際公開番号】W WO2019103867
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】62/590,082
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518299976
【氏名又は名称】イノヴェイシー・システムズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロドニー・ジェイ・ドワイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エル・ラフリン
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・ジェイ・パディラ・マガン
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・スクロドニック
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-158949(JP,A)
【文献】特表平11-503311(JP,A)
【文献】実開昭64-006867(JP,U)
【文献】特開2007-330198(JP,A)
【文献】特開昭56-011733(JP,A)
【文献】特開平06-327376(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1064806(KR,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0454434(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 - 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産養殖魚囲いのための魚飼料分散装置であって、
らせん状分散チューブであって、魚飼料の供給源から魚飼料を受け取るように構成された入口端と、前記らせん状分散チューブに沿って間隔を置いて配置された複数の開口と、を有する、らせん状分散チューブと、
前記水産養殖魚囲いに固定されるように構成された2つの離間した取り付け部材と、2つの前記取り付け部材に取り付けられて、2つの前記取り付け部材の間に延在する複数の細長部材と、複数のハンガーサブアセンブリと、を有する据え付けアセンブリであって、各ハンガーサブアセンブリは、前記複数の細長部材の対応する1つに取り付けられた近位端と、前記らせん状分散チューブに係合するように構成されたクランプを含む遠位端と、を有する、据え付けアセンブリと、
を備える、魚飼料分散装置。
【請求項2】
前記複数の開口は、らせん状飼料分散チューブ上に整列していない、請求項1に記載の魚飼料分散装置。
【請求項3】
前記複数の開口は、前記らせん状分散チューブから離れて外向きに開いている、請求項1に記載の魚飼料分散装置。
【請求項4】
2つの前記取り付け部材は、前記水産養殖魚囲いのスパーブイに固定されるように構成されている、請求項1に記載の魚飼料分散装置。
【請求項5】
前記魚飼料分散装置が前記スパーブイに固定されているとき、前記らせん状分散チューブは、前記複数の離間した開口が異なる深さにくるように高度が連続的に減少する、請求項4に記載の魚飼料分散装置。
【請求項6】
前記らせん状分散チューブの遠位端は、開いた出口である、請求項4に記載の魚飼料分散装置。
【請求項7】
前記らせん状分散チューブは、円形らせんを画定する、請求項4に記載の魚飼料分散装置。
【請求項8】
前記ハンガーサブアセンブリのそれぞれが、前記近位端および前記遠位端を画定する第1のアームを含み、前記対応する細長部材に接続された近位端、および前記第1のアーム上の選択可能な中間位置で前記第1のアームに係合する遠位端を有する第2のアームをさらに含む、請求項4に記載の魚飼料分散装置。
【請求項9】
前記複数の細長部材はそれぞれ、前記第1のアームおよび前記第2のアームの前記近位端を前記対応する細長部材上の選択可能な位置に取り付けるための複数の開口を含む、請求項8に記載の魚飼料分散装置。
【請求項10】
前記らせん状分散チューブは弾性であり、前記らせん状分散チューブのピッチが、前記対応する細長部材上のハンガーアセンブリの選択された位置によって決定される、請求項9に記載の魚飼料分散装置。
【請求項11】
前記複数のハンガーサブアセンブリは、少なくとも4つのハンガーサブアセンブリを含む、請求項1に記載の魚飼料分散装置。
【請求項12】
前記らせん状分散チューブに沿って間隔を置いて配置された前記複数の開口は、少なくとも7つの開口を含む、請求項1に記載の魚飼料分散装置。
【請求項13】
前記第1および第2のアームは、前記らせん状分散チューブが除去されるとき、前記対応する細長部材の方へ枢動して折り畳み位置になるように構成されている、請求項8に記載の魚飼料分散装置。
【請求項14】
魚飼料の供給源から魚飼料を受け取るように構成された中央スパー魚囲いであって、前記中央スパー魚囲いは、
ケーブルシステムでリムアセンブリに接続された中央スパーブイと、
包囲された容積を画定し、前記中央スパーブイおよび前記リムアセンブリに取り付けられた魚包囲体と、
前記魚包囲体の前記包囲された容積内に配置された魚飼料分散装置と、
を備え、前記魚飼料分散装置は、
らせん状分散チューブであって、魚飼料の供給源から魚飼料を受け取るように構成された入口端と、前記らせん状分散チューブに沿って間隔を置いて配置された複数の開口と、を有する、らせん状分散チューブと、
前記中央スパー魚囲いに固定されるように構成された2つの離間した取り付け部材と、2つの前記取り付け部材に取り付けられて、2つの前記取り付け部材の間に延在する複数の細長部材と、複数のハンガーサブアセンブリと、を有する据え付けアセンブリであって、各ハンガーサブアセンブリは、前記複数の細長部材の対応する1つに取り付けられた近位端と、前記らせん状分散チューブに係合するように構成されたクランプを含む遠位端と、を有する、据え付けアセンブリと、
を含む、中央スパー魚囲い。
【請求項15】
前記複数の開口は、らせん状飼料分散チューブ上に整列していない、請求項14に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項16】
前記複数の開口は、前記らせん状分散チューブから離れて外向きに開いている、請求項14に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項17】
前記魚飼料分散装置が前記中央スパーブイに固定されているとき、前記らせん状分散チューブは、前記複数の離間した開口が異なる深さにくるように高度が連続的に減少する、請求項14に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項18】
前記らせん状分散チューブの遠位端は、開いた出口である、請求項14に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項19】
前記ハンガーサブアセンブリのそれぞれが、前記近位端および前記遠位端を画定する第1のアームを含み、前記対応する細長部材に接続された近位端、および前記第1のアーム上の選択可能な中間位置で前記第1のアームに係合する遠位端を有する第2のアームをさらに含む、請求項14に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項20】
前記複数の細長部材はそれぞれ、前記第1のアームおよび前記第2のアームの前記近位端を前記対応する細長部材上の選択可能な位置に取り付けるための複数の開口を含む、請求項19に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項21】
前記らせん状分散チューブは弾性であり、前記らせん状分散チューブのピッチが、前記対応する細長部材上のハンガーアセンブリの選択された位置によって決定される、請求項20に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項22】
前記複数のハンガーサブアセンブリは、少なくとも4つのハンガーサブアセンブリを含む、請求項14に記載の中央スパー魚囲い。
【請求項23】
前記らせん状分散チューブに沿って間隔を置いて配置された前記複数の開口は、少なくとも7つの開口を含む、請求項14に記載の中央スパー魚囲い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年11月22日に出願された仮出願第62/590082号の利益を主張するものであり、この仮出願は、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
海および他の自然の貯水池は、数千年の間、豊かで安定した食糧の供給を提供してきた。しかしながら、近年、過度の漁業、非効率的な収穫習慣、および環境ストレッサの結果、多くの地域において特定の魚の個体数が枯渇または低下してきている。同時に、人口の増加、生活水準の向上、および魚介類の健康上の利点に対する認識の高まりにより、魚および魚製品の需要が高まってきている。
【0003】
水産養殖全般、特に魚の養殖における進歩、および技術の向上が、魚製品の世界的な需要に効率的かつ低コストで応えるために最近適用されてきている。また、魚の養殖の発展により、既存の魚の個体数を過剰に釣り上げることに関連するリスクが減少する。特に、魚の檻または魚囲いを使用した沖合養殖システムは、いくらかの成功を収めてきた。水産養殖用途に適した大きな、浸水可能な魚囲いは、効率的で生物学的責任のある食物源の養殖を助けることが当該技術において知られている。魚囲いは、湖、川、または海のような自然の水域に置かれ、幼魚または稚魚を貯蔵し、これらの魚は成長するまで給餌され、維持される。魚囲いは、魚の生息地および保護を提供する。魚囲いは淡水または海水養殖に用いることができる。
【0004】
いくつかの従来の養魚システムは、海底に係留された囲いを提供している。一実施形態において、魚囲いは、波の作用によって引き起こされるブイの動きを減衰させるダンパープレートが底部に結合された4つのスパーブイを含む。4つのスパーブイは通常、長方形の配列で配置され、ネットがスパーブイに固定されて箱状包囲体を画定している。係留索が各スパーブイから外向きかつ下向きに延びてネットを支持している。
【0005】
中心スパーブイまたはスパーブイの中心群を使用した魚囲いにおけるより最近の技術革新が、Loverichへの特許文献1に、およびLoverichらへの特許文献2に開示されており、これらの両方を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。Loverichらは、少なくとも1つのネット支持リムアセンブリによって囲まれた細長い中央垂直スパーブイとともに、スパーブイの上端からリムアセンブリまで、そしてそこからスパーブイの下方の水中端まで延在する連続網を有する魚または貝を飼育するための可動囲いを開示している。たとえば、細長いスパーブイ、およびスパーブイに取り付けられた1つまたは複数のリムアセンブリを有する新規な外洋中心スパー魚囲いが、Madsenらへの特許文献3に開示されており、これを、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0006】
浸水状態で魚囲いの内側に飼料が配送される有効量を増加させる、外洋魚囲いのための水中飼料分散機システムが本明細書に開示される。この飼料分散機は、飼料を求める競争を減らすことによってより多くの魚が満腹になるまで食べることを可能にする。飼料を求める競争が減少することにより、個体群内での一貫した魚の成長が促進される一方、給餌中の攻撃性が減少し、給餌中の飼料ペレットの損失または無駄が減少する。この飼料分散機は、攻撃性の低い魚がより容易に飼料を取得および消費することを可能にすることによって魚の大きさの変動係数を改善し、魚の死亡率を減らして飼料転換率を改善することも分かっている。この飼料分散機は、飼料の分散中にペレット化された魚飼料への損傷を減らすことが分かっている。
【0007】
現在用いられている魚囲い内で飼料を分配するための低効率の代替手段は、小さな濃縮飼料流出点を使用し、通常、4つの分配点が一列に配置され、比較的短い、たとえば1メートルの距離で広がっている構造を用いている。これらの先行技術のシステムにおいて、飼料が小さな領域上に配送される結果、飼料を求める激しい競争が生じ、より大きな、より攻撃的な魚の方へと飼料消費の分布が非常に歪む。
【0008】
他の魚飼料システムが当該技術において知られている。Harrisonらへの特許文献4は、参照によりその全体を本明細書に組み込むが、水面で円周方向に間隔を置いた多数の出口でディスペンサヘッドから上向きかつ外向きの流れで魚飼料を含むスラリーを吐出するように構成された魚給餌装置を含む沖合養殖システムを開示している。
【0009】
Troyらへの特許文献5は、参照によりその全体を本明細書に組み込むが、複数の個別の給餌ホースを通して魚飼料を分配する給餌システムを含む外洋養魚場構造を開示しており、各ホースは飼料貯蔵ビンから魚包囲体の表面の上面上の点まで延びている。
【0010】
Hanらへの特許文献6は、参照によりその全体を本明細書に組み込むが、魚飼料を含む混合タンクに接続され、水中養魚場まで延びる単一の給餌ホースを備えた水中養殖場のための自動給餌システムを開示している。
【0011】
これらの先行技術の魚給餌システムは、餌を求める競争を妨げ、より公平な餌の分配を促進して、より最適な一貫した給餌を提供する方法で魚包囲体全体に魚飼料を分散させていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第5,359,962号
【文献】米国特許第5,617,813号
【文献】米国特許第9,072,282号
【文献】米国特許第7,743,733号
【文献】米国特許第9,655,347号
【文献】米国特許第9,326,493号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
この概要は、以下の詳細な説明においてさらに説明する様々な概念を簡略化した形式で導入するために提供されている。この概要は、特許請求されている主題の主要な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求されている主題の範囲を決定する際の補助として用いられることも意図していない。
【0014】
水産養殖魚囲いのための魚飼料分散装置は、供給源から魚飼料を受け取る入口を有するらせん状分散チューブを含む。らせん状分散チューブにおける複数の離間した開口は、受け取った魚飼料を分散させる。2つの離間した取り付け部材を備えた据え付けアセンブリは、これら2つの離間した取り付け部材の間に延在する複数の細長部材で魚囲いに固定されている。複数のハンガーサブアセンブリは、複数の細長部材上に調整可能に支持されている。各ハンガーサブアセンブリは、細長部材の対応する1つに取り付けられた近位端、およびらせん状分散チューブに係合するように構成されたクランプを備えた遠位端を有する。
【0015】
一実施形態において、複数の開口は、らせん状飼料分散チューブ上に整列していない。
【0016】
一実施形態において、複数の開口は、らせん状分散チューブから離れて外向きに開いている。
【0017】
一実施形態において、2つの取り付け部材は、魚囲いのスパーブイに固定されるように構成されている。
【0018】
一実施形態において、らせん状分散チューブは、複数の離間した開口が異なる深さにくるように高度が連続的に減少する。
【0019】
一実施形態において、らせん状分散チューブの遠位端は、開いた出口である。
【0020】
一実施形態において、らせん状分散チューブは、円形らせんを画定する。
【0021】
一実施形態において、ハンガーサブアセンブリのそれぞれは、近位端および遠位端を画定する第1のアームを含み、対応する細長部材に接続された近位端、および第1のアーム上の選択可能な中間位置で第1のアームを係合する遠位端を有する第2のアームをさらに含む。たとえば、複数の細長部材は、第1のアームおよび第2のアームの近位端を対応する細長部材上の選択可能な位置に取り付けるための複数の開口を有することができる。
【0022】
一実施形態において、らせん状分散チューブは弾性であり、らせん状分散チューブのピッチは、対応する細長部材上のハンガーアセンブリの選択された位置によって決定される。
【0023】
一実施形態において、複数のハンガーサブアセンブリは、少なくとも4つのハンガーサブアセンブリを含む。
【0024】
一実施形態において、らせん状分散チューブに沿って間隔を置いて配置された複数の開口は、少なくとも7つの開口を含む。
【0025】
一実施形態において、第1および第2のアームは、らせん状分散チューブが除去されるとき、対応する細長部材の方へ枢動して折り畳み位置になるように構成されている。
【0026】
中央スパー魚囲いは、ケーブルシステムでリムアセンブリに接続された中央スパーブイと、包囲された容積を画定し、スパーブイおよびリムアセンブリに取り付けられた魚包囲体と、を含む。魚飼料分散装置は、魚包囲体の包囲された容積内に配置されている。分散装置は、らせん状分散チューブであって、魚飼料の供給源から魚飼料を受け取るように構成された入口端と、らせん状分散チューブに沿って間隔を置いて配置された複数の開口と、を有する、らせん状分散チューブと、魚囲いに固定されるように構成された2つの離間した取り付け部材と、これら2つの取り付け部材に取り付けられて、これら2つの取り付け部材の間に延在する複数の細長部材と、複数のハンガーサブアセンブリと、を有する据え付けアセンブリであって、各ハンガーサブアセンブリは、複数の細長部材の対応する1つに取り付けられた近位端と、らせん状分散チューブに係合するように構成されたクランプを含む遠位端と、を有する、据え付けアセンブリと、を含む。
【0027】
一実施形態において、複数の開口は、らせん状飼料分散チューブ上に整列していない。
【0028】
一実施形態において、複数の開口は、らせん状分散チューブから離れて外向きに開いている。
【0029】
一実施形態において、魚飼料分散装置は、スパーブイに固定されており、らせん状分散チューブは、複数の離間した開口が異なる深さにくるように高度が連続的に減少する。
【0030】
一実施形態において、らせん状分散チューブの遠位端は、開いた出口である。
【0031】
一実施形態において、ハンガーサブアセンブリのそれぞれは、近位端および遠位端を画定する第1のアームを含み、対応する細長部材に接続された近位端、および第1のアーム上の選択可能な中間位置で第1のアームに係合する遠位端を有する第2のアームをさらに含む。
【0032】
一実施形態において、複数の細長部材はそれぞれ、第1のアームおよび第2のアームの近位端を対応する細長部材上の選択可能な位置に取り付けるための複数の開口を含む。
【0033】
一実施形態において、らせん状分散チューブは弾性であり、らせん状分散チューブのピッチは、対応する細長部材上のハンガーアセンブリの選択された位置によって決定される。
【0034】
一実施形態において、複数のハンガーサブアセンブリは、少なくとも4つのハンガーサブアセンブリを含む。
【0035】
一実施形態において、らせん状分散チューブに沿って間隔を置いて配置された複数の開口は、少なくとも7つの開口を含む。
【0036】
本発明の前述の態様および付随する利点の多くは、添付の図面と併せたとき、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるようになるため、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による飼料分散アセンブリを有する垂直スパー魚囲いの正面図である。
図2A図1に示す魚囲い飼料分散アセンブリの斜視図である。
図2B図1に示す魚囲い飼料分散アセンブリの正面図である。
図2C図1に示す魚囲い飼料分散アセンブリの上面図である。
図3】ハンガーサブアセンブリが折り畳み位置で示されている、図2Aに示す魚飼料取り付けアセンブリの正面図である。
図4】飼料供給ラインをらせん状飼料分散チューブに接続するための低乱流接続部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明によるらせん状飼料分散アセンブリ200を備えた魚囲い100を図1に示す。魚囲い100は、水域において直立を保つように構成された細長い中央スパーブイ110を含む。下部リムアセンブリ130および上部リムアセンブリ140が、スパーブイ110の周りに水平に配置され、ケーブル150、152、154、156のシステムから形成されたケーブルアセンブリでスパーブイ110に取り付けられ、任意選択で、魚囲い100を係留する物体またはアンカー(図示せず)に固定された係留索または大綱133で係留されている。包囲体160、たとえば網アセンブリが、中央スパーブイ110およびリムアセンブリ130、140によって支持され、その中に魚を保持するように構成されている。魚囲い100は、包囲体160の実質的にすべてが喫水線の下にある水没位置と、包囲体160の少なくとも一部が喫水線の上にある浮上位置との間で移動可能であるように構成されている。他の実施形態において、当業者には明らかであろうように、中央スパー魚囲いは、より多い、またはより少ないリムアセンブリおよび異なる包囲体および/またはケーブル構成を有することができる。
【0039】
たとえば、魚囲い100は、魚を飼育するための所望の場所で組み立て、および/またはそこへ牽引して、定位置に係留することができる。魚囲い100により、魚を捕食者から保護しながら、自然の海環境において飼育し、その恩恵を受けることが可能になる。いくつかの用途において、魚囲い100は、完全に組み立てられた状態で牽引または他の方法で再配置され、生きている魚の個体群の有無にかかわらず、たとえば、最適な場所に魚囲いを移動して季節または天候に関する変化に対応することが可能になるように構成されている。
【0040】
スパーブイ110に取り付けられ、飼料供給ライン202に接続された例示的ならせん状飼料分散アセンブリ200を示すために包囲体160の一部を切り取って示している。らせん状飼料分散機200は、包囲体160内の選択可能な軸方向位置で、たとえば、スパーブイ110の上部で中央スパーブイ110に取り付けられる。飼料供給ライン202が、包囲体160の外側に配置することができる魚飼料の供給源(図示せず)から飼料分散アセンブリ200に魚飼料を提供する。たとえば、供給ライン202は、魚囲い100に固定して取り付けられてもよく、または、たとえば、供給船または艀からのホースを含んで展開可能であってもよい。
【0041】
飼料分散アセンブリ200は、包囲体160の内側に魚飼料が配送される有効量を増加させるように構成されたらせん状飼料分散チューブ210を含む。魚の個体群間で飼料をより効果的に分配することによって、より多くの割合の魚の個体数が最適な満腹まで食べることが可能になり、飼料を求める魚間の破壊的な競争が減少する可能性がある。飼料のより公平な分配により、魚の個体群がより均一で健康的になり、給餌中の攻撃性が低下し、魚囲いを通って落下する飼料ペレットからの飼料の損失が減少する。飼料の分配を改善すると、結果、魚の大きさの変動係数(CV)も改善(すなわち、減少)する。
【0042】
図2Aは、飼料分散アセンブリ200の斜視図であり、図2Bは、分散アセンブリ200の正面図であり、図2Cは、分散アセンブリ200の平面図である。飼料分散アセンブリ200は、らせん状分散チューブ210、およびらせん状分散チューブ210をスパーブイ110(図1)に取り付けて分散チューブ210を所望の構成に維持する取り付けまたはハンガーアセンブリ220を含む。現在の実施形態において、ハンガーアセンブリ220は調整可能である。好ましくは、分散チューブ210は可撓性であり、そのため、らせん状分散チューブ210のピッチ(および軸方向長さ)は、最適な飼料分散を提供するように設定することができる。調整可能なハンガーアセンブリ220は、異なる分散チューブ210に対応し、いずれの特定の分散チューブ210についての異なるピッチにも対応するように構成されている。この実施形態におけるらせん状分散チューブ210は、略一定の直径の直円形らせん形状で示しているが、他の実施形態において、らせん形状は非円形、たとえば楕円形もしくは曲がりくねった断面のものでもよく、および/または、らせん形状は、不均一な半径、たとえば、円錐形もしくは他の不規則ならせん形状を有してもよいということが予期される。
【0043】
分散チューブ210は、以下で議論して図4に示すように、低乱流接続部170で飼料供給ライン202に接続されるように構成された近位端208を有する。分散チューブ210は、使用中に複数の流出飼料流を提供するチューブ210の長さに沿って分布した複数の離間した開口212を有する。開口212の大きさ、位置、および向きは、所望の流出量および分散パターンを提供するように選択することができる。いくつかの実施形態において、複数の交換可能な分散チューブ210が提供され、特定の魚飼料特性、魚給餌要件などに対応するようにユーザが魚給餌装置を最適化することを可能にしている。現在の実施形態において、開口212は、直径が1インチと5インチとの間である。分散チューブ210の遠位端214は、好ましくは開いており、追加の飼料の流れを提供する。遠位端214は、使用中に、分散チューブ210において所望の圧力を達成するための流量制限器(図示せず)を含むことができる。
【0044】
特定の実施形態において、らせん状分散チューブ210は、HDPE(高密度ポリエチレン)ホースであり、20フィートと200フィートとの間の長さ、および1インチと6インチとの間の内径、たとえば、3インチの一定の内径を有する。いくつかの実施形態において、分散チューブ210の直径は、分散チューブ210の長さに沿って変化し得る。魚飼料ペレットが供給ライン202から飼料分散チューブ210内へ圧送されると、飼料の大部分が、分散チューブ210の長さに沿った開口212を通って排出される。
【0045】
例示的な実施形態において、飼料分散チューブ210は、50フィートの長さであり、3インチの内径を有する。開口212は、1.0インチと1.5インチとの間の直径を有し、分散チューブ210の長さに沿って約6フィート離間している。代表的な実施形態において、開口212の大きさおよび向きは以下の通りである。(i)第1の開口212は、近位端208から(チューブ210に沿って測定して)2分の1フィートの場所に配置され、1インチの直径を有し、(らせん状飼料分散チューブ210から)外向きかつ水平面からゼロ度の向きである。(ii)第2の開口212は、近位端208から7フィートの場所に配置され、1.5インチの直径を有し、外向きかつ水平面からゼロ度の向きである。(iii)第3の開口212は、近位端208から14フィートの場所に配置され、1.5インチの直径を有し、外向きかつ水平面から22.5度上向きである。(iv)第4の開口212は、近位端208から21フィートの場所に配置され、1.5インチの直径を有し、外向きかつ水平面から45度上向きである。(v)第5の開口212は、近位端208から27フィートの場所に配置され、1.5インチの直径を有し、外向きかつ水平面から45度上向きである。(vi)第6の開口212は、近位端208から34フィートの場所に配置され、1.5インチの直径を有し、外向きかつ水平面から22.5度上向きである。(vii)第7の開口212は、近位端208から44フィートの場所に配置され、1.5インチの直径を有し、外向きかつ水平面からゼロ度の向きである。この実施形態において、分散チューブ210の遠位端214は、魚飼料の一部が開放端から排出されるように開放されている。
【0046】
他の実施形態が考えられ、異なる数、大きさ、および分布の開口212を有する。
【0047】
さらに図2A図2B、および図2Cを参照すると、ハンガーアセンブリ220は、上部取り付け部材221および下部取り付け部材222を含む。取り付け部材221、222は、ハンガーアセンブリ220をスパーブイ110に取り付ける。たとえば、上部および下部取り付け部材221、222は、分割リングクランプであり得る。上部および下部取り付け部材221、222は、取り付け部材221、222間に延在する複数の細長い接合部材223(4つが示されている)によって接続されている。細長部材223は、細長部材223の長さに沿って間隔を置かれた複数の開口224を有し、これらのいくつかは、細長部材223を取り付け部材221、222に固定するためのボルトまたは他の接続金具(図示せず)を受ける。
【0048】
複数の調節可能なハンガーサブアセンブリ230が、細長部材223の対応する1つに取り付けられ、分散チューブ210を支持するように構成されている。ハンガーサブアセンブリ230は、第1のアーム232および第2のアーム236を含む。第1のアーム232は、開口224の選択可能な1つを通して対応する細長部材223に取り付けられた近位端、および分散チューブ210に係合するように構成されたチューブクランプ234を有する遠位端を有する。第1のアーム232の遠位部分に沿って複数のスロット233が提供されている。各ハンガーサブアセンブリ230の第2のアーム236は、開口224の選択可能な1つを通して細長部材223の対応する1つに取り付けられる近位端、および対応する第1のアーム232のスロット233の選択可能な1つを摺動可能に係合するように構成された接続プレート235を含む遠位端を有する。第1のアーム232の選択された場所に第2のアーム236をロックするため、取り付け部材、たとえばロッキングピン、ボルト、シャックル、ケーブルタイなど(図示せず)を、接続プレート235における開口を通って延在するように提供することができる。
【0049】
図2A図2Cおよび上の説明から、ハンガーサブアセンブリ230により、分散チューブ210に係合するクランプ234を配置する際の大きな柔軟性が可能になり、たとえば、らせん状分散チューブ210のピッチを最適な飼料分散のために選択または調整することが可能になるということが理解されるであろう。
【0050】
この実施形態において、分散チューブクランプ234は、当該技術においてよく知られているように、クイックリリースクランプ、たとえば、分離可能な左右の部分を含むクラムシェルクランプである。クイックリリースクランプ234により、たとえば洗浄またはメンテナンスのため、分散チューブ210を除去および交換することが容易になり、上で議論したようにユーザが異なる分散チューブ210を設置することが可能になり、またはたとえば、収穫または他の魚の飼育作業中、取り付けサブアセンブリ230を折り畳み位置に移動させることが可能になる。
【0051】
図3に示すように、ハンガーサブアセンブリ230は、ハンガーサブアセンブリ230のそれぞれについて対応する第1のアーム232から第2のアーム236を切り離し、アーム232、236をより低い位置へ枢動させることによって、分散チューブ210が除去されるときに折り畳み位置に構成することができる。折り畳み可能なハンガーサブアセンブリ230は、たとえば、収穫作業中などにハンガーアセンブリ220の大きさを減らすのに有利である。
【0052】
この開示された実施形態は、4つのハンガーサブアセンブリ230を備えた取り付けアセンブリを有するが、他の実施形態が、より多い、またはより少ないハンガーサブアセンブリ230を有することができるということが考えられる。いくつかの実施形態において、らせん状飼料分散チューブ210は、図に示しているよりも長く、たとえば、スパーブイ110の周りを360度、540度、720度、またはそれ以上に延びていてもよい。
【0053】
図4は、供給ライン202をらせん状飼料分散チューブ210に接続する低乱流接続部170の分解図である。水産養殖のための魚飼料は通常、流体に浮遊することができる小石状の飼料を含む。小石飼料は、たとえば、8分の1インチと1インチとの間の横断寸法を有することができる。飼料および輸送流体は、供給ライン202を通ってらせん状飼料分散チューブ210へ流れる。分散チューブ210への接合部または接続部における高い乱流または他の干渉により、魚飼料が分解または崩壊する可能性があり、その結果、給餌プロセス中に飼料が大きく失われる可能性がある。水産養殖において、および特に沖合養殖においては、魚囲いまでかなりの距離、飼料を輸送する必要があり、飼料はかなりのコストである。したがって、飼料の損失を最小限にすることが非常に望ましい。
【0054】
低乱流接合部170は、供給ライン202上の対応するフランジ付き出力端113に当接するような大きさの飼料分散チューブ上のフランジ付き入力端121とともに、その間のガスケット171を含む。ガスケット171は、接合部170で供給ライン202および分散チューブ210の内径に一致する開口172を有する。
【0055】
第1の環状ディスク173が、フランジ付き出力端113に当接するような大きさおよび位置にあり、第2の環状ディスク174が、フランジ付き入力端121に当接するような大きさおよび位置にある。第1および第2の環状ディスク173、174は、取り付け金具、たとえば、環状ディスク173、174を互いの方へ押し付けて、フランジ端113、121を互いの方へ正確に配置および圧縮するボルト176およびナット177を受けるような大きさおよび位置にある対応する開口175を有する。好ましくは、ガスケット171も対応する開口178を有して、ガスケット171も、接合部170を通る流れを妨害しないように正確に配置されるようにする。
【0056】
例示的な実施形態を図示および説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更をその中で行うことができるということが理解されるであろう。
【0057】
独占的権利または特権が特許請求される本発明の実施形態は、以下のように定義される。
【符号の説明】
【0058】
100 魚囲い
110 スパーブイ
130 下部リムアセンブリ
133 大綱
140 上部リムアセンブリ
150 ケーブル
152 ケーブル
154 ケーブル
156 ケーブル
160 包囲体
170 低乱流接続部
200 飼料分散アセンブリ
202 飼料供給ライン
208 近位端
210 飼料分散チューブ
212 開口
214 遠位端
220 ハンガーアセンブリ
221 上部取り付け部材
222 上部取り付け部材
223 細長部材
224 開口
230 ハンガーサブアセンブリ
232 第1のアーム
234 クランプ
235 接続プレート
236 第2のアーム
113 フランジ付き出力端
121 フランジ付き入力端
171 ガスケット
172 開口
173 第1の環状ディスク
174 第2の環状ディスク
175 開口
176 ボルト
177 ナット
178 開口
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4