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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20221004BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20221004BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H01L23/28 C
H01L23/28 A
H01L23/28 B
H01L25/04 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020551667
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2018038821
(87)【国際公開番号】W WO2020079798
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500403365
【氏名又は名称】株式会社日産アーク
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】谷本 智
(72)【発明者】
【氏名】山下 真理
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-059812(JP,A)
【文献】特開2017-147295(JP,A)
【文献】特開2003-046058(JP,A)
【文献】特開2009-182012(JP,A)
【文献】特開2014-011339(JP,A)
【文献】特開平07-176664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を有する基体であって、前記回路基板が絶縁基板の上面に配置された上面導体片と前記絶縁基板の下面に配置された下面導体片を有する前記基体と、
前記基体の上面に配置された半導体チップと、
前記基体と前記半導体チップを覆う、前記絶縁基板、前記上面導体片および前記下面導体片に接する封止樹脂と、
前記封止樹脂の上部の一部に前記基体に整合されて埋設され、上面が前記封止樹脂の外部に露出する絶縁性の環状栓と、
前記環状栓を貫通して前記基体の上面と垂直な方向に延伸する垂直部分を有し、下端が前記封止樹脂の内部で前記半導体チップの電極と電気的に接続され、上端が前記封止樹脂の外側に露出する一以上の起立端子と
を備え、
前記起立端子の前記垂直部分の側面の周囲に前記環状栓が固着され、前記環状栓の下部が前記封止樹脂の上部の一部に埋設され、前記環状栓の上部が前記封止樹脂の外部に露出していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記環状栓が、前記起立端子の側面の周囲で硬化した接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記起立端子が平板状であり、
前記起立端子の前記垂直部分が主面に配置された絶縁板と前記起立端子とを組み合わせて端子アッシーが構成され、
前記端子アッシーの周囲に前記環状栓が固着されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップが、前記半導体チップの表面に配置された表面電極と、前記半導体チップの裏面に配置された裏面電極との間を主電流が流れる半導体素子を有し、
前記基体が、前記絶縁基板の主面に第1端子導体片と第2端子導体片を配置した前記回路基板を有し、
前記第1端子導体片と前記裏面電極が電気的に接続され、
前記第2端子導体片と前記表面電極が電気的に接続され、
前記第1端子導体片に下端が接続された第1の前記起立端子の前記垂直部分と、前記第2端子導体片に下端が接続された第2の前記起立端子の前記垂直部分とが、前記絶縁板を挟んで対向するように前記絶縁板に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップが、前記半導体チップの表面に配置された表面電極と裏面に配置された裏面電極、及び前記表面電極と前記裏面電極の間を流れる主電流のオンオフを制御する制御電極を有する半導体素子を有し、
前記基体が、前記絶縁基板の主面に第1端子導体片、第2端子導体片及び制御信号導体片を配置した前記回路基板を有し、
前記第1端子導体片と前記裏面電極が電気的に接続され、
前記第2端子導体片と前記表面電極が電気的に接続され、
前記制御信号導体片と前記制御電極が電気的に接続され、
前記第1端子導体片に下端が接続された第1の前記起立端子の前記垂直部分と、前記第2端子導体片に下端が接続された第2の前記起立端子の前記垂直部分とが、前記絶縁板を挟んで対向するように前記絶縁板に配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記制御信号導体片に下端が接続されて制御信号が伝搬される前記起立端子の前記垂直部分が、第1の前記起立端子及び第2の前記起立端子が配置された前記絶縁板に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子をそれぞれ有する2つの前記半導体チップを備え、
前記半導体チップの一方に形成された前記半導体素子と、前記半導体チップの他方に形成された前記半導体素子が、ハーフブリッジ回路を構成するように直列接続され、
前記ハーフブリッジ回路の出力端が、前記出力端に接続された前記起立端子によって前記封止樹脂の外部に引き出されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記起立端子の少なくとも一部が前記垂直部分を長手部分とするL字状であり、L字状の短手部分が前記半導体チップの電極に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記基体が、前記半導体チップの電極と電気的に接続された回路パターンが形成された前記回路基板を、前記回路基板よりも硬度の高いベースプレートの上面に配置した構造を有し、
前記ベースプレートの少なくとも側面及び上面が前記封止樹脂に覆われていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
回路基板を有する基体であって、前記回路基板が絶縁基板の上面に配置された上面導体片と前記絶縁基板の下面に配置された下面導体片を有する前記基体の上面に半導体チップを配置する工程と、
前記基体の上面と垂直な方向に延伸する垂直部分を有する一以上の起立端子を、前記起立端子の下端を前記半導体チップの電極と電気的に接続させて前記基体の上面に配置する工程と、
前記起立端子を前記基体の上面に配置した後、前記基体に対してアライメントされた位置において、前記起立端子の前記垂直部分の側面の周囲に絶縁性の環状栓を固着する工程と、
前記基体に対してアライメントされた金型を用いて、トランスファモールド成形によって前記基体と前記半導体チップを、前記絶縁基板、前記上面導体片および前記下面導体片に接する封止樹脂により樹脂封止する工程と
を含み、
前記トランスファモールド成形において、前記金型の封止樹脂を注入するモールド領域と封止樹脂を注入しない非モールド領域との境界が前記環状栓によって塞がれ
前記環状栓の下部が前記封止樹脂の上部の一部に埋設され、前記環状栓の上部が前記封止樹脂の外部に露出されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記環状栓を、前記起立端子の側面の周囲で接着剤を硬化させて形成することを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記環状栓を形成する工程が、
前記基体に対してアライメントされて装着されるように設計された栓形成治具であって、定盤と、前記定盤の上に配置され、前記定盤に前記基体を戴置したときに前記起立端子が位置する領域に隙間が設けられた上部治具とを有し、前記隙間の間隔が可変である栓形成治具を準備する段階と、
前記上部治具の前記隙間の周囲の外縁部に接着剤を充填する段階と、
前記起立端子が配置された前記基体を前記定盤に戴置する段階と、
前記隙間を所定の間隔に狭めた後、新たな接着剤により前記隙間の残りの空間を充填する段階と
を含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記上部治具が、主治具と前記主治具の上面に脱着可能に載置される副治具とを有し、
前記主治具の上面に前記副治具が戴置されていない状態で、前記基体を前記定盤に戴置し、
前記起立端子と前記主治具の前記隙間を塞ぐようにシーリング剤を塗布し、
前記シーリング剤が硬化した後に前記主治具の上面に前記副治具を戴置し、前記起立端子と前記主治具の前記隙間を塞ぐように、前記シーリング剤よりも粘度の低い接着剤を塗布する
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
絶縁板の少なくとも一方の主面に平板状の前記起立端子の前記垂直部分を配置して、前記絶縁板と前記起立端子を組み合わせた端子アッシーを構成し、
前記端子アッシーの周囲に前記環状栓を形成する
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止された半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置への機械的な衝撃に対する保護や表面の汚染の防止などのため、樹脂系の絶縁物によって半導体装置の表面を封止する樹脂封止が行われている。樹脂封止された半導体装置では、半導体装置に含まれる半導体チップの電極と電気的に接続する端子の端部が、半導体装置の表面を覆う封止樹脂の外部に露出している。例えば、半導体チップを搭載する基体の主面と略垂直に延伸する端子(以下において「起立端子」という。)が、封止樹脂を貫通して配置されている(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、半導体装置を収納した金型のキャビティに封止樹脂の材料を注入するトランスファモールド成形が開示されている。そして、直棒状の起立端子の、封止樹脂の外側に露出する外部表出側端部と封止樹脂に覆われる素子側接続端部との境界部に、水平方向に張り出す封止樹脂漏出阻止弁を設けている。封止樹脂漏出阻止弁によって、金型のキャビティに封止樹脂の材料を注入する際に、この材料が外部表出側端部の周囲に漏出することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5082687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、膨出加工により封止樹脂漏出阻止弁を水平に張り出させた起立端子を準備し、この起立端子をはんだ付けなどによって基体に取り付けている。このため、起立端子を近接して配置する場合に、隣接する起立端子の封止樹脂漏出阻止弁が互いに接触することによる電気的な短絡が生じる。また、トランスファモールド成形に使用する金型を半導体装置に装着する際に、封止樹脂漏出阻止弁が金型に当接して折れたり曲がったりして起立端子が破損する問題が生じる。このように、起立端子を有する半導体装置を歩留まりよく樹脂封止することが困難であった。
【0006】
本発明は、起立端子を有し、且つ樹脂封止に起因する歩留まりの低下を抑制できる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る半導体装置及びその製造方法は、基体に対してアライメントされた環状栓が起立端子の側面の周囲に固着され、環状栓の上面が封止樹脂の上部に露出するように封止樹脂が成形されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、起立端子を有し、且つ樹脂封止に起因する歩留まりの低下を抑制できる半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である。
図2図1のII-II方向に沿った断面図である。
図3図1のIII-III方向に沿った断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な平面図である(その1)。
図5】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な平面図である(その2)。
図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な平面図である(その3)。
図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な平面図である(その4)。
図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための模式的な平面図である(その5)。
図9】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その1)。
図10】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その2)。
図11】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その3)。
図12】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その4)。
図13】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置におけるトランスファモールド成形を説明するための模式的な断面図である(その1)。
図14】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置におけるトランスファモールド成形を説明するための模式的な断面図である(その2)。
図15】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置におけるトランスファモールド成形を説明するための模式的な断面図である(その3)。
図16】比較例の半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
図17】比較例の半導体装置におけるトランスファモールド成形を説明するための模式的な断面図である。
図18】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である。
図19図18のXIX-XIX方向に沿った断面図である。
図20図18のXX-XX方向に沿った断面図である。
図21】本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
図22】本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その1)。
図23】本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その2)。
図24】本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その3)。
図25】本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の環状栓の形成方法を説明するための模式的な断面図である(その4)。
図26】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である(その1)。
図27】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である(その2)。
図28】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である(その3)。
図29図27のXXIX-XXIX方向に沿った断面図である。
図30図27のXXX-XXX方向に沿った断面図である。
図31図27のXXXI-XXXI方向に沿った断面図である。
図32】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す回路図である。
図33】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である(その1)。
図34】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である(その2)。
図35】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式的な平面図である(その3)。
図36図34のXXXVI-XXXVI方向に沿った断面図である。
図37図34のXXXVII-XXXVII方向に沿った断面図である。
図38図34のXXXVIII-XXXVIII方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して実施形態及びその変形例を説明する。ただし、以下の図面では、理解を容易にするために、厚さと平面寸法との関係や各層の厚さの比率などは誇張して描いている。また原則として同一部材には同一符号を付して再度の説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る半導体装置は、トランスファモールド成形により樹脂封止された半導体装置(以下において「モールド半導体装置」という。)である。図1図3を参照して、第1の実施形態に係るモールド半導体装置1の構造を説明する。
【0012】
モールド半導体装置1は、基体10と、基体10の上面に配置された半導体チップ40と、基体10の上面及び側面と半導体チップ40の表面を覆う封止樹脂80と、封止樹脂80の上部の一部に埋設された環状栓70を備える。環状栓70の上面は、封止樹脂80の外部に露出している。なお、図1は、封止樹脂80と環状栓70を透過した平面図を示している。
【0013】
基体10は、絶縁基板20の主面に複数の導体片30を配置した回路基板12を有する。更に、モールド半導体装置1は、封止樹脂80の外側に上端が露出する第1起立端子61N及び第2起立端子61Pを備える。以下、モールド半導体装置1の有する起立端子を総称して「起立端子61」という。起立端子61は、環状栓70を貫通して基体10の上面と垂直な方向に延伸する垂直部分を有する。起立端子61の下端は、後述するように、封止樹脂80の内部で半導体チップ40の図示を省略した電極と電気的に接続されている。環状栓70は、起立端子61の垂直部分の側面の周囲に固着されている。
【0014】
半導体チップ40にはダイオード素子やトランジスタ素子などの半導体素子が形成されており、例えば、モールド半導体装置1はパワー半導体デバイスである。以下では、半導体チップ40の表面に配置された表面電極(図示略)と裏面に配置された裏面電極(図示略)との間を主電流が流れる半導体素子が、半導体チップ40に形成されている場合について例示的に説明する。
【0015】
図1図3に示すように、起立端子61は板状である。また、起立端子61は、下端が基体10の主面と平行に折り曲げられたL字状の部分を有する。起立端子61のL字状の短手部分(以下、「足部」という。)が、回路基板12の上面に配置されている。L字状の長手部分である起立端子61の垂直部分の一部は、封止樹脂80の外部に露出している。以下において、起立端子61の封止樹脂80の外部に露出している部分を「アウターリード」、封止樹脂80に覆われた部分を「インナーリード」という。
【0016】
基体10は、ベースプレート11の上面に回路基板12を配置した構成である。ベースプレート11の少なくとも上面及び側面は、封止樹脂80によって覆われている。パターニングされた複数の薄膜状の導体片30が絶縁基板20の上面に配置されて、回路基板12の主面に回路パターンが構成されている。導体片30を介して、起立端子61と半導体チップ40の電極とが電気的に接続される。
【0017】
具体的には、回路基板12の上面に配置された第1端子導体片32Nと半導体チップ40の裏面電極が電気的に接続するように、半導体チップ40が第1端子導体片32Nの上面に配置されている。第1端子導体片32Nの上面には、半導体チップ40と離間して第1起立端子61Nの足部が接続されている。これにより、半導体チップ40の裏面電極が、第1起立端子61Nと電気的に接続される。
【0018】
一方、半導体チップ40の表面電極に、インターコネクト50の一方の端部が接続されている。インターコネクト50の他方の端部は、回路基板12の上面に第1端子導体片32Nと離間して配置された第2端子導体片32Pに接続されている。第2端子導体片32Pには、第2起立端子61Pの足部が接続されている。このようにして、半導体チップ40の表面電極が第2起立端子61Pと電気的に接続されている。
【0019】
第1起立端子61N及び第2起立端子61Pの垂直部分は、絶縁板62の異なる主面にそれぞれ配置されている。このように、モールド半導体装置1は、起立端子61の垂直部分と絶縁板62を組み合わせた構成部品(以下、「端子アッシー60」という。)を有する。端子アッシー60の上端が封止樹脂80の外側に露出し、環状栓70は端子アッシー60の周囲に固着されている。
【0020】
つまり、モールド半導体装置1は、封止樹脂80の上部の一部に埋め込まれた環状栓70を端子アッシー60が貫通した構成である。これにより、起立端子61のアウターリードが封止樹脂80の外側に露出している。環状栓70は、端子アッシー60の所定の高さの側面に固着させて形成されている。詳細は後述するが、環状栓70の位置は、基体10に対して高精度に位置合わせ(アライメント)されている。
【0021】
上記のように、モールド半導体装置1は、ベースプレート11の底面と端子アッシー60の環状栓70より上方の部分を除いて、封止樹脂80によって覆われている。以下に、モールド半導体装置1の各要素の詳細について説明する。
【0022】
ベースプレート11は、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、クロム、鉄、チタン、あるいはこれらの材料をマトリクスとした合金の堅牢な平板または合板(積層板)、複合板である。ベースプレート11には、回路基板12よりも機械的強度の強い材料が使用される。ベースプレート11に対する封止樹脂80の接着性を高めるために、図2図3に示すように、下面に近いほど外周の各辺が短くなる逆段丘状にベースプレート11の側面を加工してもよい。なお、ベースプレート11を、半導体チップ40で発生する熱を放出させるヒートシンクとして機能させてもよい。この場合、ベースプレート11の厚さ方向の熱伝導性を高めるために、主面方向の熱膨張率が可能な限り回路基板12の熱膨張率に近くなるようにベースプレート11の材料設計や構造設計をすることが好ましい。
【0023】
回路基板12は、絶縁基板20の上面に、互いに電気的に絶縁して配置された複数の導体片30を配置した構成である。図2に示したモールド半導体装置1は、第1端子導体片32Nと第2端子導体片32Pを有する。なお、絶縁基板20の下面にも導体片を配置してもよい。このとき、絶縁基板20の上面に配置した導体片30と下面に配置した導体片とが、同一材料で厚さが等しく、形状が絶縁基板20を挟んで面対称であるように配置されることが好ましい。これにより、絶縁基板20の上面と下面での熱膨張を同程度にできるため、加熱工程による回路基板12の反りを抑制できる。
【0024】
以下において、第1端子導体片32Nや第2端子導体片32Pなどの絶縁基板20の上面に配置された導体片30を「上面導体片32」と総称し、絶縁基板20の下面に配置された導体片を「下面導体片33」と総称する。モールド半導体装置1では、第1端子導体片32Nに対向して下面導体片33Nが配置され、第2端子導体片32Pに対向して下面導体片33Pが配置されている。
【0025】
絶縁基板20には、窒化珪素やアルミナ、窒化アルミニウムなどの素材からなる薄いセラミックス板が好適である。更に、これらの素材と等価な絶縁性や熱伝導性、機械的強度を有する板であるなら、その他の無機材、有機材を素材とした板を絶縁基板20に用いてもよい。
【0026】
導体片30の素材として、銅板やアルミニウム板、あるいは、これらを基材として複合化した複合板を用いることができる。これらの導体板を直接接合法あるいは活性金属接合法などにより絶縁基板20の両面に貼付した後、フォトリソグラフィ技術を用いて導体板をパターニングして、導体片30が形成される。上面導体片32の表面は、半導体チップ40との接合を容易にしたり高信頼化したりするために、Ni/AuめっきあるいはNi/Agめっきで適宜被覆される。
【0027】
モールド半導体装置1は、半導体チップ40が2端子の半導体素子を有する場合を例示している。しかし、モールド半導体装置1では、半導体チップ40に形成された半導体素子の種類を問わない。2端子の半導体素子であれば、pn接合ダイオードやショットキー接合ダイオードであってもよい。3端子の半導体素子であれば、MOSFET(金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、BJT(バイポーラ接合トランジスタ)、JFET(接合ゲートトランジスタ)、HEMT(高電子移動度トランジスタ)などから、用途に合わせて自由に選択することができる。なお、半導体チップ40の裏面には、第1端子導体片32Nとの接合を容易にするために、Ti/Ni/Au多層膜またはTi/Ni/Ag多層膜などが形成されている。
【0028】
インターコネクト50は、半導体チップ40の表面電極と第2端子導体片32Pとを電気的に接続する。この接続は、インターコネクト50にアルミニウムや銅、金などの太線のワイヤを用いたワイヤボンド法により、容易に実現できる。あるいは、銅板などを切断折り曲げ加工して形成したクリップリードとはんだ付け(または導電ペースト接合)の組み合わせでインターコネクト50を形成してもよい。
【0029】
端子アッシー60は、第1起立端子61Nと第2起立端子61Pが薄い絶縁板62を挟んで対向する構成である。そして、第1端子導体片32Nと第2端子導体片32Pの境界の上方に端子アッシー60の下端が位置するように、端子アッシー60が垂直に立てた状態で配置されている。第1起立端子61Nのインナーリードの足部は、第1端子導体片32Nと電気的、機械的に接続している。第2起立端子61Pのインナーリードの足部は、第2端子導体片32Pと電気的、機械的に接続されている。
【0030】
環状栓70は、端子アッシー60の所定の位置の側面を周回するように固着された堅牢な絶縁性の材料からなる。環状栓70は、起立端子61のインナーリードとアウターリードの境界を含む、端子アッシー60の所定の位置を被覆する。環状栓70は、端子アッシー60の部分要素ではなく、独立した要素である。即ち、起立端子61の一部を膨出加工などにより変形させて環状栓70を形成するのではない。このため、膨出加工などにより水平方向に張り出した部分を形成することが困難な板状の起立端子61についても、環状栓70を水平方向に張り出した部分として有する形状にできる。
【0031】
上記の特徴に加えて、環状栓70は、トランスファモールド成形の成形温度と金型の型締め圧に耐えるだけの耐熱性と機械的強度を有していることが必要である。環状栓70の材料の例として、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤あるいはポリイミド系接着剤を選択することができるが、これらに限るものではない。上記の条件を満たすものであれば、無機物質を環状栓70に使用してもよい。
【0032】
図2図3に示したように、環状栓70は、下部が封止樹脂80の内部に埋没され、上部が封止樹脂80から露出するように設けられている。例えば、図示したように、環状栓70は、上辺が下辺よりも短い台形状の断面を有する接頭錐体である。
【0033】
環状栓70は、樹脂封止する前のモールド半導体装置1(以下、「前駆構造体1P」という。)について金型を使用してトランスファモールド成形する際に、金型内部の空洞(キャビティ)のうち端子アッシー60のアウターリードを収納する領域の開口部を確実に封印する目的で設けられている。つまり、モールド半導体装置1の封止樹脂80の外側に露出する部分が収納されるキャビティの非モールド領域と、キャビティの封止樹脂を注入するモールド領域との境界に位置するように、環状栓70が端子アッシー60に固着される。環状栓70によって、封止樹脂80が非モールド領域に注入されることが防止される。
【0034】
このため、端子アッシー60を回路基板12に取り付ける工程から、封止樹脂80により前駆構造体1Pをモールドする工程までの間で、環状栓70が端子アッシー60に固着される。このとき、基体10をアライメントの基準にした専用の治具を使って、アライメント精度よく精密に設定された位置に環状栓70が形成される。
【0035】
封止樹脂80には、パワー半導体デバイスのトランスファモールド成形に使用される汎用の封止剤を使用可能である。例えば、熱硬化性エポキシ樹脂や、熱硬化性イミド樹脂と無機フィラーの混合材などを封止樹脂80に使用することができる。
【0036】
第1の実施形態に係る半導体装置は、半導体チップ40にダイオード素子が形成されている場合などに好適に適用される。例えば、半導体チップ40の表面電極がアノード電極であり、裏面電極がカソード電極である場合に、ダイオード素子の主電流が第2起立端子61Pから流入し第1起立端子61Nから流出する。起立端子61を使用することにより、モールド半導体装置1の側面にリードを配置する場合と比較して、モールド半導体装置1の設置面積を小さくできる。また、平面視でモールド半導体装置1の周囲に近接して他の部品を配置することが可能である。更に、モールド半導体装置1と接続する部品をモールド半導体装置1の上方に配置することができる。
【0037】
以下に、図面を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。ただし、以下に述べる半導体装置の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。また、後述の他の実施形態に係る半導体装置の製造にも同様に適用することができる。
【0038】
はじめに、モールド半導体装置1の製造に必要な被加工部材を準備する。即ち、ベースプレート11、回路基板12、端子アッシー60などの被加工部材を購入あるいは周知の加工手段(切削、切断、折り曲げ、貼り付け)を用いて製造する。例えば、回路基板12は、セラミックスなどの絶縁基板20の両面の金属板をエッチングなどでパターニングして形成する。端子アッシー60は、セラミックスなどの絶縁板62の両面に平板状の第1起立端子61Nと第2起立端子61Pを貼付して形成する。
【0039】
その後、図4に示すように、ベースプレート11の上面の所定の位置に回路基板12を貼付する。この貼付は、銀蝋付けやはんだ付け、アルミニウム箔を介在した熱拡散接合などの方法により、下面導体片33をベースプレート11の上面に固着して行われる。この後、必要に応じて、上面導体片32の表面にNi/Auめっき又はNi/Agめっきを被覆してもよい。
【0040】
次いで、図5に示すように、はんだ付けや金属粒子焼結法、導電ペーストなどを用いて、第1端子導体片32Nの上面の所定の位置に半導体チップ40の裏面電極を接合する。
【0041】
次に、図6に示すように、半導体チップ40の表面電極と第2端子導体片32Pをインターコネクト50により電気的に接続する。例えば、インターコネクト50の材料にアルミニウムや銅、金などの太線のワイヤまたはリボンなどを使用し、周知のワイヤボンド法(ボールボンド、ウェッジボンド)を用いて半導体チップ40の表面電極と第2端子導体片32Pの間を結線する。あるいは、インターコネクト50をクリップリードとし、はんだ付けや金属粒子焼結接合法、導電ペースト接着法などを用いて、半導体チップ40の表面電極と第2端子導体片32Pを電気的に接続してもよい。
【0042】
その後、図7に示すように、第1端子導体片32Nと第2端子導体片32Pの境界付近の所定の位置に、端子アッシー60を起立させて配置する。このとき、第1起立端子61Nの足部の裏面を第1端子導体片32Nに接合し、第2起立端子61Pの足部の裏面を第2端子導体片32Pに接合する。この接合には、はんだ付けや金属粒子焼結接合法、導電ペースト接着法、超音波衝撃接合法、レーザー溶接法などの接合法を使用することができる。
【0043】
次いで、図8に示すように、基体10に対してアライメントされた専用の成形治具(開放型金型)を用いて、起立端子61のインナーリードとアウターリードの境界付近の所定の位置に、絶縁性の環状栓70を形成する。これにより、環状栓70は、基体10に対してアライメントされた位置に固着される。環状栓70の詳細な形成方法は後述する。
【0044】
その後、トランスファモールド成形を行う。即ち、基体10に対してアライメントされた専用の金型にモールド半導体装置1の前駆構造体1Pを収納し、金型を型締めして、融解樹脂を注入する。そして、融解樹脂を熱硬化させ、型割り(取り出し)、トリムを行うことにより、第1の実施形態に係るモールド半導体装置1が完成する。
【0045】
上記に説明した製造方法には、上記以外にも様々な変形が可能である。ただし、すべての変形に共通な必須要件は、回路基板12への端子アッシー60の取り付け工程よりも後、且つ、トランスファモールド成形の工程よりも前に、環状栓70の形成工程を実施することである。
【0046】
次に、環状栓70の形成方法について説明する。先ず、図9を参照して、環状栓70の形成に使用する栓形成治具100の構成を説明する。栓形成治具100は、環状栓70を形成する前の前駆構造体1Pに、基体10に対してアライメントされて装着されるように設計された樹脂成形治具である。栓形成治具100は、起立端子61が配置された基体10が搭載される定盤102と、定盤102の上に配置された上部治具101を備える。上部治具101は、主治具101Aと、主治具101Aの上面に脱着可能に載置される副治具101Bとを有する。上部治具101には、基体10に対してアライメントされた正規の位置に栓形成治具100を配置したときの起立端子61の位置に、起立端子61が通過する隙間としてキャビティ101Cが設けられている。後述するように、キャビティ101Cにおいて環状栓70が形成される。
【0047】
主治具101A及び副治具101Bのそれぞれは、起立端子61の配置される位置を中心に水平方向に2分割され、分割された部分のそれぞれは、相互の間隔を可変できるように、定盤102の主面に沿って水平方向にスライドする。つまり、キャビティ101Cの幅は可変である。なお、栓形成治具100の表面は環状栓70の材料に対して離型性を呈する表面処理(例えばテフロン(登録商標)膜コーティングや離型剤の塗布)が施されているものとする。
【0048】
以下に、栓形成治具100を用いて環状栓70を形成する方法を説明する。先ず、図9に示すように、キャビティ101Cの周囲の副治具101Bの外縁部に、硬化前のペースト状の接着剤71Aを部分充填する。例えば、シリンジなどの射出器を使って、接着剤71Aが充填される。上部が下部よりも狭いテーパ形状であるキャビティ101Cの側壁面は、接頭錐体の環状栓70の外縁の形状に対応している。
【0049】
接着剤71Aを充填した後、図10に示すように、環状栓70を形成する前の前駆構造体1Pに栓形成治具100を装着する。即ち、定盤102に前駆構造体1Pを戴置した後、主治具101A及び副治具101Bを水平方向にスライドさせてキャビティ101Cを所定の幅に狭める。例えば、接着剤71Aと端子アッシー60の側面が接触するまで、キャビティ101Cの幅を狭める。
【0050】
次いで、図11に示すように、栓形成治具100の上部よりシリンジなどから射出した硬化前のペースト状の新たな接着剤71Bにより、キャビティ101Cの周囲の外縁部と起立端子61との間を充填する。これにより、キャビティ101Cの残りの空間が接着剤によって補填される。副治具101Bの上面より上に溢れた接着剤71Bは、接着剤71Bが硬化する前にスクレーパーで除去する。
【0051】
この状態でしばらく放置することにより、接着剤71Bが硬化して、図12に示すように、環状栓70が形成される。接着剤71Bの硬化を早めるために、接着剤71Bに赤外線を照射して加熱してもよい。
【0052】
その後、前駆構造体1Pから栓形成治具100を取り外す(型割りする)。以上により、環状栓70が端子アッシー60の側面に固着された前駆構造体1Pが完成する。
【0053】
図13は、モールド半導体装置1の前駆構造体1Pをトランスファモールド成形に使用する金型の下金型91に戴置した状態を示す。図14は、下金型91に上金型92を取り付ける直前の状態を示し、矢印で示したように上方から上金型92下金型91に取り付ける。図15は、下金型91に上金型92を取り付けた金型90を型締めした状態を示す。モールド領域93は、金型90のキャビティの封止樹脂80が注入される領域であり、非モールド領域94は封止樹脂80が注入されない領域である。金型90は、基体10に対して精密にアライメントされて前駆構造体1Pに装着される。
【0054】
環状栓70は、端子アッシー60に対してではなく、基体10に対して精密にアライメントさせた位置において、端子アッシー60の側面の周囲に形成されている。同様に、金型90も、基体10に対して精密にアライメントさせて前駆構造体1Pに取り付けられるように設計されている。このため、上金型92に形成された非モールド領域94のデーパ状の開口部95に端子アッシー60が強く当接することなく、且つ余分な隙間を生じることもなく、図15に示すように、下金型91と上金型92が円滑に嵌合する。これにより、金型90の封止樹脂を注入するモールド領域93と封止樹脂を注入しない非モールド領域94との境界が環状栓70によって塞がれる。
【0055】
なお、環状栓70が下端から上端に向けて次第に窄む接頭錐体であることにより、環状栓70の中心位置と非モールド領域94の開口部95の中心位置が多少ずれても、非モールド領域94の開口部に環状栓70を嵌め合わせることができる。これにより、環状栓70によって非モールド領域94をモールド領域93から隔絶することができる。
【0056】
第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、起立端子61が設計位置から上下左右にずれた位置に設置されている場合でも傾斜して設置されている場合でも、トランスファモールド成形の型締めにおいて、起立端子61が金型90に強く当接しない。このため、起立端子61が折れたり脱落したりすることがない。
【0057】
これに対し、以下に説明する比較例では、起立端子がトランスファモールド成形に使用する金型に当接して破損するなどの問題が生じる。
【0058】
図16に示す比較例の半導体装置1rは、回路パターンをそれぞれ形成した金属板32Nrと金属板32Prを平板なセラミックス板20rの表面に付設するとともに、裏面に薄い金属板33rを付設した構造の基体10rを備える。金属板32Nrの上面に半導体チップ40rが接合され、半導体チップ40rの表面電極と金属板32Prが、インターコネクト50rによって結線されている。半導体チップ40rは、トランスファモールド成形された硬質の封止樹脂80rによって覆われている。封止樹脂80rは、例えば熱硬化性エポキシ樹脂とフィラーの複合体である。
【0059】
はんだなどにより金属板32Nrと金属板32Prにそれぞれの下端が接合された起立端子61Nrと起立端子61Pr(以下、「起立端子61r」と総称する。)は、円柱直棒状の金属端子である。起立端子61rのインナーリードとアウターリードの境界に、膨出加工により封止樹脂漏出阻止弁600が形成されている。
【0060】
封止樹脂漏出阻止弁600は、トランスファモールド成形の工程において以下のように機能する。図17は、図16に示した半導体装置1rの前駆構造体1Prをトランスファモールド成形に使用される金型90rに収容し、金型90rを型締めした状態を示している。金型90rは、上金型92rと下金型91rにより構成される。モールド領域93rは封止樹脂80rを注入する領域であり、非モールド領域94rは封止樹脂80rを注入しない領域である。起立端子61rのアウターリードは、非モールド領域94rに挿入されている。
【0061】
非モールド領域94rの内壁面と起立端子61rのアウターリードとの間には、非モールド領域94rの内直径D1とアウターリードの外直径D2との差として十分なクリアランスGが設けられている。ここで、G=D1-D2である。これにより、起立端子61rのアウターリードを非モールド領域94rに挿入するときの接触によって生じる起立端子61rの欠損や折れ曲がりなどの破損が防止される。封止樹脂漏出阻止弁600は、非モールド領域94rの開口部を塞ぐ「弁」として作用する。つまり、溶融した封止樹脂80rがモールド領域93rに注入されたときに、溶融した封止樹脂80rが非モールド領域94rに侵入することが、封止樹脂漏出阻止弁600によって阻止される。
【0062】
封止樹脂80rが熱硬化した後、金型90rを取り外すと、図16に示した比較例の半導体装置1rが完成する。なお、図16には、半導体装置1rが完成した後に、基体10rの裏面に敷設した金属板33rにベースプレート11rを接合させた例を示した。ベースプレート11rはヒートシンクとして機能する。
【0063】
以下に、上記の比較例の半導体装置1r及びその製造方法の問題点をあげる。
(1)封止樹脂漏出阻止弁600が設計よりも高い位置で起立端子61rに形成された場合や起立端子61rの延伸方向に対して傾いて形成された場合に、起立端子61rが破損するなどの問題が生じる。即ち、トランスファモールド成形において金型90rを型締めしたときに、金型90rの非モールド領域94rと強く当接して起立端子61rが折れたり外れたりする。
(2)膨出加工によって、起立端子61rに水平方向に張り出した封止樹脂漏出阻止弁600を形成するため、平板状の起立端子には封止樹脂漏出阻止弁600を形成することができない。
(3)互いの封止樹脂漏出阻止弁600同士が接触するため、複数の起立端子61rを近接させて配置させることができない。
(4)上記の(2)、(3)の構造的制約から、起立端子61rの低インダクタンス化が困難である。
(5)起立端子61rの数が増えるに従い、起立端子61rと金型90rとの接触が生じ易くなり、アウターリードと金型90rの非モールド領域94rの内壁面のクリアランスGを大きく取る冗長な金型設計を強いられる。
【0064】
また、基体10rが薄いため、基体10rの面積が大きくなると、トランスファモールド成形において以下の問題が生じる。
(6)金型90rの型締めなどで基体10rが破損し易く、歩留まりが低下する。
(7)反りやうねりなどの基体10rの変形がおきやすい。反りやうねりが生じた基体10rの裏面にベースプレート11rを取り付けると、放熱性が悪化する上に、放熱性に位置ばらつきが生じる。このため、半導体チップ40rの動作が不安定になる。
【0065】
これに対し、第1の実施形態に係るモールド半導体装置1及びその製造方法では、ベースプレート11を含む基体10を基準にアライメントして、環状栓70の形成と前駆構造体1Pへの金型90の装着がそれぞれ行われる。このため、起立端子61が金型90に強く当接することが抑制される。
【0066】
また、モールド半導体装置1の起立端子61は、足部の裏面を上面導体片32に固着する構成である。このため、図16に示した比較例の半導体装置1rの直棒状の起立端子61に比べると、上面導体片32に対する起立端子61の固着面積が非常に広く、固着強度は遙かに勝っている。よって、トランスファモールド成形の型締めにおいて、金型90に当接した起立端子61が折れたり脱落したりする問題が抑制される。
【0067】
また、モールド半導体装置1は、平板状の第1起立端子61Nと第2起立端子61Pを、薄い絶縁板62を介在させて回路基板12と垂直に配置した構成である。このため、第1起立端子61Nと第2起立端子61Pを互いに電気的に絶縁して近接させて配置することができる。したがって、問題点の(2)、(3)が解消される。
【0068】
更に、モールド半導体装置1では、平板状の第1起立端子61Nと第2起立端子61Pに主電流が分散して流れる。このため、自己インダクタンスを小さくすることができる。また、近接して配置された第1起立端子61Nと第2起立端子61Pに、主電流が逆向きに流れる。つまり、端子アッシー60に流入する電流と流出する電流の和がゼロである。このため、第1起立端子61Nと第2起立端子61Pの間の相互インダクタンスを大きな負値にすることができる。この結果、モールド半導体装置1の起立端子61の寄生インダクタンスは、比較例の半導体装置1rの起立端子61rの寄生インダクタンスと比較すると、圧倒的に小さくなる。よって、問題点の(4)を解消できる。
【0069】
また、モールド半導体装置1では、絶縁板62を介して複数の起立端子61を精度よく積層して、端子アッシー60を構成する。このように起立端子61を束ねて集約することにより、位置的に独立した起立端子61の数を削減する効果を得られる。このため、問題点の(5)について、クリアランスGを大きく取る冗長な金型設計の制約を大幅に緩和することができる。
【0070】
更に、モールド半導体装置1は、堅牢なベースプレート11を基体10に含む構成である。このため、トランスファモールド成形において基体10が破損したり変形したりする可能性が低いという優れた特徴を有する。したがって、上記の問題点の(6)、(7)を解消できる。
【0071】
なお、比較例の半導体装置1rでは、樹脂封止した後に基体10rの裏面にベースプレート11rを接着材により接合する。このため、樹脂封止における加熱工程などにより基体10rに反りやうねりが発生していると、基体10rの裏面とベースプレート11rとの隙間が均一でなくなり、接着材の厚い領域と薄い領域が混在する。その結果、接着材の薄い領域と比較して接着材の厚い領域では熱伝導性が低下し、熱抵抗が増大する。特に、基体10rの面積が大きい場合などに、熱抵抗のばらつきが増大する。
【0072】
これに対し、第1の実施形態に係る半導体装置では、ベースプレート11と回路基板12を積層した基体10を有する前駆構造体1Pを樹脂封止する。このため、ベースプレート11と回路基板12との隙間を均一に薄くできる。したがって、第1の実施形態に係る半導体装置によれば、熱抵抗を増大させることなく起立端子の数や基体10の面積を増大させることが可能である。
【0073】
<第1変形例>
モールド半導体装置1の平面視のサイズが小さい場合、例えば主面の縦横の辺が2cm以内の場合などには、回路基板12は比較的堅牢である。このため、トランスファモールド成形での型締めにおいて、絶縁基板20が破損したり変形したりするリスクが少ない。このような場合には、図18図20に示す第1変形例に係る半導体装置のように、回路基板12を基体10としてモールド半導体装置1を構成してもよい。
【0074】
第1変形例に係るモールド半導体装置1は、基体10にベースプレート11を含まないことが上記に説明したモールド半導体装置1と異なる点であり、他は図1図3に示したモールド半導体装置1と同様の構成である。このため、重複を避けるために、構造や製造方法の説明は省略する。
【0075】
第1変形例に係るモールド半導体装置1においても、環状栓70は、基体である回路基板12に対してアライメントされて精密に形成される。したがって、上記の問題点の(1)~(5)を解消できる。なお、第1変形例に係る構造は、後述の第2の実施形態や第3の実施形態においても適用可能である。
【0076】
<第2変形例>
図21に示す第1の実施形態の第2変形例に係るモールド半導体装置1は、図16に示した比較例の半導体装置1rの起立端子61rに封止樹脂漏出阻止弁600を形成しない構成と同様である。即ち、基体としての回路基板12の第1端子導体片32Nに半導体チップ40の裏面電極が接合され、半導体チップ40の表面電極と第2端子導体片32Pがインターコネクト50によって結線されている。第1端子導体片32Nに第1起立端子61Nの下端が接続され、第2端子導体片32Pに第2起立端子61Pの下端が接続されている。第1起立端子61N及び第2起立端子61Pは、直棒状であってもよいし平板状であってもよい。
【0077】
第1起立端子61Nのインナーリードとアウターリードとの境界付近には第1環状栓70Nが固着され、第2起立端子61Pのインナーリードとアウターリードとの境界付近には第2環状栓70Pが固着されている。第1環状栓70N及び第2環状栓70Pは、基体としての回路基板12に対して精密にアライメントされて形成されている。
【0078】
このため、回路基板12に対して精密にアライメントするよう設計された金型を使用した樹脂封止により、起立端子61が非モールド領域の開口部や内壁面に強く当接することが防止される。したがって、起立端子61により構成された端子アッシー60を使用しない場合にも、起立端子61が平板状ではなく直棒状である場合にも、起立端子61が破損することを抑制できる。
【0079】
<第3変形例>
モールド半導体装置1の環状栓70の形成について、上記に説明した形成方法では、硬化前にペースト状の接着剤(材料)を使用する場合を示した。しかし、耐熱性や耐圧性などについて様々な特性を有する接着剤を使用したいという要求がある。このため、以下に説明する変形例の形成方法のように、粘度の低い接着剤(材料)によって環状栓70を形成してもよい。
【0080】
第3変形例に係る環状栓70の形成方法でも、図9に示した栓形成治具100を使用する。したがって、第3変形例に係る形成方法を実行するための新たな治具の製作は不要である。
【0081】
図22図25を参照して、環状栓70の形成方法の変形例を説明する。なお、この形成方法は後述の第2の実施形態や第3の実施形態に係るモールド半導体装置1の環状栓70の形成にも適用できる。
【0082】
はじめに、図22に示すように、定盤102に載置したモールド半導体装置1の前駆構造体1Pに、栓形成治具100の主治具101Aを装着する。このとき、主治具101Aの上面に副治具101Bは戴置されていない。端子アッシー60と主治具101Aの間隙を塞ぐように、粘度の高いシーリング剤72Aを塗布する。例えば、シーリング剤72Aにシリコーンシーリング剤を用いることができるが、これに限定するものではない。
【0083】
シーリング剤72Aが硬化した後、主治具101Aの上に副治具101Bを戴置する。そして、図23に示すように、端子アッシー60と副治具101Bの隙間に低粘度の接着剤72Bを注入する。ここで、「低粘度」とは、例えば硬化前はペースト状でなく、且つ、栓形成治具100と端子アッシー60との隙間から滴下しない程度の粘度である。接着剤72Bの注入は、例えばシリンジを用いる。このとき、副治具101Bの上面に溢れた接着剤72Bは、接着剤72Bが完全に硬化する前に不織布やスクレーパーで除去する。そして、接着剤72Bを硬化させて、図24に示すように接着剤72Cを形成する。
【0084】
その後に、栓形成治具100を取り外すと、図25に示すように、硬化した接着剤72C及びシーリング剤72Aからなる環状栓70が、端子アッシー60の側面に形成された前駆構造体1Pが完成する。
【0085】
上記のように、第3変形例に係る環状栓70の形成方法では、粘度の高い接着剤を端子アッシー60と主治具101Aの間隙に塗布した後に、粘度の低い接着剤を塗布する。このため、低粘度の接着剤も環状栓70に使用することができる。つまり、環状栓70に使用する接着剤の選択肢を増やすことができる。
【0086】
(第2の実施形態)
上記に説明した第1の実施形態に係る半導体装置は、半導体チップ40がダイオード素子などの2端子の半導体素子を有する構成である。第2の実施形態に係る半導体装置は、半導体チップ40がトランジスタ素子などの3端子の半導体素子を有する構成である。ここで、3端子の半導体素子とは、オンオフ動作を制御する制御信号が入力される制御電極であるゲート電極やベース電極を備えたMOSFET、IGBT、BJT、JFET、HEMTなどである。以下に説明するように、第2の実施形態に係る半導体装置には、第1の実施形態に係る半導体装置に制御信号を入力する構成要素が追加される。
【0087】
図26図31を参照して、第2の実施形態に係るモールド半導体装置1aの構成を説明する。図26は平面図、図27は封止樹脂80を省略した平面図、図28は封止樹脂80と端子アッシー60及び環状栓70を省略した平面図である。図29図27のXXIX-XXIX方向に沿った断面図、図30図27のXXX-XXX方向に沿った断面図、図31図27のXXXI-XXXI方向に沿った断面図である。以下では、3端子の半導体素子がパワーMOSFETである場合を例示的に説明する。
【0088】
第2の実施形態に係るモールド半導体装置1aは、ベースプレート11と回路基板12を積層した基体10を備える。回路基板12を構成する絶縁基板20の上面には、ドレイン導体片32D、ソース導体片32S、制御信号導体片32GS、ソース信号導体片32SSを含む、少なくとも4つの導体片30が配置されている。ドレイン導体片32Dとソース導体片32Sの間を、パワーMOSFETの主電流が流れる。制御信号導体片32GSを介して、パワーMOSFETのオンオフ動作を制御する制御信号が半導体チップ40に伝搬される。
【0089】
また、ソース信号導体片32SSを介してソース信号が伝搬される。このソース信号は、例えば、ソース電極の電位を示す信号である。これは、ソース電極とドレイン電極の間を大電流が流れることによりソース電極の電位が変動する場合があるためである。ゲート電極の電位はソース電極の電位を基準にして設定されるため、ソース電極の電位を正確に検知する必要がある。
【0090】
半導体チップ40の裏面電極であるドレイン電極と接合させて、ドレイン導体片32Dの上面に半導体チップ40が配置されている。半導体チップ40の表面電極であるソース電極が、インターコネクト50Sによってソース導体片32Sと電気的に接続されている。ソース電極と離間して半導体チップ40の表面に配置されたゲート電極が、インターコネクト50GSによって制御信号導体片32GSと電気的に接続されている。更に、半導体チップ40のソース電極が、インターコネクト50SSによってソース信号導体片32SSと電気的に接続されている。
【0091】
ドレイン導体片32D、ソース導体片32S、制御信号導体片32GS、ソース信号導体片32SSのそれぞれは、ドレイン起立端子61D、ソース起立端子61S、制御信号起立端子61GS、ソース信号起立端子61SSの下端に電気的に接続されている。これらの起立端子61の垂直部分は、端子アッシー60を構成する絶縁板62の主面に配置されている。即ち、ドレイン起立端子61D、ソース起立端子61S、制御信号起立端子61GS、ソース信号起立端子61SSのそれぞれの垂直部分は、互いに近接して配置されている。端子アッシー60のインナーリードとアウターリードの境界には、基体10に対して精密にアライメントされた環状栓70が配置されている。なお、主電流が流れる起立端子61の相互インダクタンスを低減するために、ドレイン起立端子61Dとソース起立端子61Sが絶縁板62を挟んで対向して配置されることが好ましい。また、制御信号が伝搬される制御信号起立端子61GSとソース信号が伝搬されるソース信号起立端子61SSが絶縁板62を挟んで対向して配置されている。
【0092】
なお、回路基板12の絶縁基板20の裏面には、上面導体片32のそれぞれに対向する下面導体片を配置してもよい。これにより、加熱工程による回路基板12の反りが抑制される。例えば、ドレイン導体片32D、ソース導体片32S、制御信号導体片32GS、ソース信号導体片32SSと絶縁基板20を介してそれぞれ対向する下面導体片33D、33S、33GS(不図示)、33SSを配置する。
【0093】
モールド半導体装置1aでは、4本の起立端子61を、端子アッシー60としてあたかも1つの起立端子であるかのように集約している。これにより、起立端子61を集約することによる効果が更に向上している。なお、主電流の流れる端子アッシー60と信号が伝搬される端子アッシー60を別けてもよい。即ち、モールド半導体装置1aが、ドレイン起立端子61Dとソース起立端子61Sを集約した端子アッシー60と、制御信号起立端子61GSとソース信号起立端子61SSを集約した端子アッシー60とをそれぞれ備えるようにしてもよい。この場合は、独立した端子アッシー60のそれぞれについて個別に環状栓70を形成する。
【0094】
モールド半導体装置1aでは、半導体チップ40に形成される半導体素子の主電流が流れる回路の構成が、第1の実施形態に係るモールド半導体装置1と同様である。したがって、第2の実施形態に係るモールド半導体装置1aは第1の実施形態で述べたすべての効果を同様に奏することができる。
【0095】
上記の効果に加えて、第2の実施形態に係るモールド半導体装置1aによれば、更に特有の効果を奏する。即ち、モールド半導体装置1aでは、制御信号起立端子61GSとソース信号起立端子61SSを薄い絶縁板62を挟んで対向させて配置している。そして、制御信号起立端子61GSから半導体チップ40に流入するゲート信号電流と、半導体チップ40からソース信号起立端子61SSに流出するソース信号電流とは、電流方向が逆向きである。このため、制御信号起立端子61GSとソース信号起立端子61SSで発生する寄生インダクタンスを低減することができる。信号端子の寄生インダクタンスの低減は、トランジスタ素子のスイッチング速度の高速化とスイッチングロスの低減に寄与する。
【0096】
なお、ソース信号を必要としない場合には、ソース信号導体片32SSやソース信号起立端子61SSを配置する必要は必ずしもない。
【0097】
(第3の実施形態)
本発明の実施形態は、2つ以上の半導体チップを有する半導体装置においても、容易に適用可能である。
【0098】
例えば、図32に回路図を示すハーフブリッジパワーモジュールに、本発明の実施形態を適用する場合を以下に説明する。図32に示したハーフブリッジ回路は、ボディーダイオードを有するトランジスタ素子(例えば、パワーMOSFET)がそれぞれ形成された半導体チップ40Hと半導体チップ40Lが、ブリッジ接続(直列接続)されている。このハーフブリッジパワーモジュールでは、上アームを構成する半導体チップ40Hと下アームを構成する半導体チップ40Lの接続点が、ハーフブリッジ回路の独立した出力端子として設定されている。第3の実施形態に係る半導体装置は、図32に示すハーフブリッジパワーモジュールをトランスファモールド成形により樹脂封止し、且つ起立端子61を配置した半導体装置として構成したものである。なお、図32の回路図では、以下に説明する起立端子61の符号で各端子を示している。
【0099】
図33図38を参照して、第3の実施形態に係るモールド半導体装置1bの構成を説明する。図33は平面図、図34は封止樹脂80を省略した平面図、図35封止樹脂80と端子アッシー60及び環状栓70を省略した平面図である。図36図34のXXXVI-XXXVI方向に沿った断面図、図37図34のXXXVII-XXXVII方向に沿った断面図、図38図34のXXXVIII-XXXVIII方向に沿った断面図である。以下では、半導体チップ40H及び半導体チップ40LがパワーMOSFETである場合を例示的に説明する。
【0100】
第3の実施形態に係るモールド半導体装置1bは、ベースプレート11と回路基板12を積層した基体10を備える。回路基板12を構成する絶縁基板20の上面には、ドレイン導体片32D、ソース導体片32S、上側制御信号導体片32GH、上側ソース信号導体片32SH、ブリッジ導体片32B、下側制御信号導体片32GL及び下側ソース信号導体片32SLを含む、少なくとも7つの上面導体片32が配置されている。
【0101】
半導体チップ40Hの裏面電極であるドレイン電極と接合させて、ドレイン導体片32Dの上面に半導体チップ40Hが配置されている。半導体チップ40Hの表面電極であるソース電極とブリッジ導体片32Bがインターコネクト50Bによって電気的に接続されている。ソース電極と離間して半導体チップ40Hの表面に配置されたゲート電極と上側制御信号導体片32GHが、インターコネクト50GHによって電気的に接続されている。更に、半導体チップ40Hのソース電極と上側ソース信号導体片32SHがインターコネクト50SHによって電気的に接続されている。
【0102】
半導体チップ40Lの裏面電極であるドレイン電極と接合させて、ブリッジ導体片32Bの上面に半導体チップ40Lが配置されている。半導体チップ40Lの表面電極であるソース電極とソース導体片32Sが、インターコネクト50Sによって電気的に接続されている。ソース電極と離間して半導体チップ40Lの表面に配置されたゲート電極と下側制御信号導体片32GLが、インターコネクト50GLによって電気的に接続されている。更に、半導体チップ40Lのソース電極と下側ソース信号導体片32SLがインターコネクト50SLによって電気的に接続されている。
【0103】
ドレイン導体片32D、上側制御信号導体片32GH、上側ソース信号導体片32SH、ブリッジ導体片32Bのそれぞれは、ドレイン起立端子61D、上側制御信号起立端子61GH、上側ソース信号起立端子61SH、ブリッジ起立端子61Bの下端と電気的に接続されている。また、ソース導体片32S、下側制御信号導体片32GL、下側ソース信号導体片32SLのそれぞれは、ソース起立端子61S、下側制御信号起立端子61GL、下側ソース信号起立端子61SLの下端と電気的に接続されている。
【0104】
これらの起立端子61の垂直部分は、回路基板12の主面に対して垂直に配置された端子アッシー60を構成する絶縁板62A、62Bの主面に沿って配置されている。即ち、絶縁板62Aの一方の主面に、ドレイン起立端子61D、上側制御信号起立端子61GHの垂直部分が配置されている。絶縁板62Aの他方の主面と絶縁板62Bの一方の主面に挟持されて、上側ソース信号起立端子61SH、ブリッジ起立端子61B、下側ソース信号起立端子61SLの垂直部分が配置されている。絶縁板62Bの他方の主面に、ソース起立端子61S、下側制御信号起立端子61GLの垂直部分が配置されている。
【0105】
つまり、ドレイン起立端子61D、上側制御信号起立端子61GH、上側ソース信号起立端子61SH、ブリッジ起立端子61B、ソース起立端子61S、下側制御信号起立端子61GL、下側ソース信号起立端子61SLのそれぞれの垂直部分は、端子アッシー60によって互いに近接して配置されている。より詳細には、ドレイン起立端子61Dとブリッジ起立端子61Bが絶縁板62Aを挟んで対向して配置され、ブリッジ起立端子61Bとソース起立端子61Sが絶縁板62Bを挟んで対向して配置されている。また、上側制御信号起立端子61GHと上側ソース信号起立端子61SHが、絶縁板62Aを挟んで対向して配置されている。更に、下側制御信号起立端子61GLと下側ソース信号起立端子61SLが、絶縁板62Bを挟んで対向して配置されている。端子アッシー60のインナーリードとアウターリードの境界には、基体10に対して精密にアライメントされた環状栓70が配置されている。
【0106】
上記のように、ハーフブリッジパワーモジュールの出力端子であるブリッジ起立端子61Bは、環状栓70が側面の周囲に固着された端子アッシー60によって封止樹脂80の外部に引き出されている。
【0107】
なお、回路基板12の絶縁基板20の裏面には、上面導体片32のそれぞれと対向する位置に下面導体片33を配置することが好ましい。即ち、ドレイン導体片32D、上側制御信号導体片32GH、上側ソース信号導体片32SH、ブリッジ導体片32Bとそれぞれ対向させて、下面導体片33D、下面導体片33GH(不図示)、下面導体片33SH、下面導体片33Bを配置する。また、ソース導体片32S、下側制御信号導体片32GL、下側ソース信号導体片32SLとそれぞれ対向させて、下面導体片33S、下面導体片33GL(不図示)、下面導体片33SL(不図示)を配置する。
【0108】
第3の実施形態の半導体装置においては、7本の起立端子61を、端子アッシー60としてあたかも1つの端子であるかのように集約している。これにより、起立端子61を集約することによる効果が更に向上している。なお、主電流の流れる端子アッシー60と信号が伝搬される端子アッシー60を別けてもよい。更に、半導体チップ40Hに信号を伝搬する上側制御信号起立端子61GHと上側ソース信号起立端子61SHを1つの端子アッシー60に集約し、半導体チップ40Lに信号を伝搬する下側制御信号起立端子61GLと下側ソース信号起立端子61SLを他の1つの端子アッシー60に集約してもよい。このように、1つの端子アッシー60に集約する起立端子61の種類は任意である。複数の端子アッシー60を設ける場合には、端子アッシー60のそれぞれについて個別の環状栓70を固着する。
【0109】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0110】
例えば、上記では、半導体チップ40に形成された半導体素子が表面電極と裏面電極を有する場合を説明したが、半導体素子のすべての電極が半導体チップ40の表面に配置された構成であってもよい。例えば、プレーナ型トランジスタの電極のそれぞれと個々にインターコネクトにより電気的に接続された複数の上面導体片32のそれぞれに、起立端子61を接続する構成が可能である。
【0111】
また、端子アッシー60の絶縁板62の両面に起立端子61の垂直部分が配置された例を示したが、絶縁板62の片方の主面にのみ起立端子61の垂直部分を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法は、トランスファモールド成形により樹脂封止される半導体装置を製造する製造業を含む電子機器産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0113】
1…モールド半導体装置
10…基体
11…ベースプレート
12…回路基板
20…絶縁基板
30…導体片
32…上面導体片
33…下面導体片
40…半導体チップ
50…インターコネクト
60…端子アッシー
61…起立端子
62…絶縁板
70…環状栓
80…封止樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
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