(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ガラスシート(好ましくは積層ガラスシートまたは単板安全ガラスシート)を保管するための保管デバイス
(51)【国際特許分類】
B65G 49/06 20060101AFI20221004BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B65G49/06 Z
B65G1/00 521Z
(21)【出願番号】P 2020564612
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(86)【国際出願番号】 EP2019062854
(87)【国際公開番号】W WO2019219936
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】102018207812.2
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520428889
【氏名又は名称】ヘグラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】HEGLA GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 21, 37688 Beverungen, Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ホトガー, ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト, マルティン
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0368029(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0166268(US,A1)
【文献】特開2007-320563(JP,A)
【文献】特開2004-119571(JP,A)
【文献】特開平11-091944(JP,A)
【文献】特開平10-129766(JP,A)
【文献】登録実用新案第3113698(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00、49/06
B65D 85/48
B60P 3/00
B62B 3/10
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスシートを保管するための保管デバイス(1)であって、
前記保管デバイス(1)は、水平長手方向(2a)と、前記水平長手方向(2a)に垂直な水平幅方向(2b)と、前記水平長手方向(2a)および前記水平幅方向(2b)に垂直な高さ方向(2c)とを含むとともに、積載側(5a)と、前記水平長手方向(2a)において前記積載側(5a)の反対側に位置する後側(5b)とを含み、
前記ガラスシートは、前記積載側(5a)から、前記水平長手方向(2a)に前記保管デバイス(1)に挿入され、
前記保管デバイス(1)はさらに、
積載スペース(4)と、
前記ガラスシートの収容のために、前記保管デバイス(1)の前記水平長手方向(2a)に次々に配置され、前記保管デバイス(1)の前記水平幅方向(2b)において、互いに隣接し、互いに平行に配置された個別の区画(15)に前記積載スペース(4)を分割する複数の区画フレーム(8)と、を含み、
前記区画フレーム(8)はそれぞれ、前記区画(15)の分割のために、前記水平幅方向(2b)において、互いに隣接し、互いに離間する複数の第1の長尺区画分割エレメント(28)を含み、
前記保管デバイス(1)は、前記水平幅方向(2b)における前記区画(15)の境界を示す前記第1の
長尺区画分割エレメント(28)に加え、複数の第2の長尺区画分割エレメント(29)を含み、
前記複数の第2の長尺区画分割エレメント(29)は、次々に配置された2つの区画フレーム(8)の2つの第1の
長尺区画分割エレメント(28)の間に延び、
前記第1の
長尺区画分割エレメント(28)および前記第2の
長尺区画分割エレメント(29)は、円形の断面を有し、
前記第1の
長尺区画分割エレメント(28)は、垂線に対して傾斜し、前記後側(5b)に向かって傾斜角αで傾斜しまたは前記後側(5b)から離れて傾斜していることを特徴とする保管デバイス(1)。
【請求項2】
前記保管デバイス(1)は、ハープラック(2)である請求項1に記載の保管デバイス(1)。
【請求項3】
前記ガラスシートは、積層ガラスシートまたは単板安全ガラスシートである請求項1または2に記載の保管デバイス(1)。
【請求項4】
前記
第1の長尺区画分割エレメント(28)
および前記第2の長尺区画分割エレメント(29)は、区画分割ロッド(16、19)および/または区画分割ケーブルである請求項1ないし3のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項5】
前記傾斜角αは、45°以下、20°以下、または10°以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項6】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)はそれぞれ、1つの区画フレーム(8)の前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)から、前記1つの区画フレーム(8)に直接隣接して位置する前記区画フレーム(8)の前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)まで延びる請求項1ないし5のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項7】
前記区
画フレーム(8)は、前記水平長手方向(2a)において、互いに離間して、次々に配置されている請求項1ないし6のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項8】
前記水平幅方向(2b)に互いに隣接する前記区画(15)は、前記保管デバイス(1)の前記積載側(5a)に向かって、前記保管デバイス(1)の前記後側(5b)にも向かって開口している請求項1ないし7のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項9】
次々に配置された前記個別の区画フレーム(8)の前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)は、前記水平幅方向(2b)における前記個別の区画(15)の境界を示すように、前記水平長手方向(2a)に互いに位置合わせするように構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項10】
前記区画フレーム(8)の各前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)は、前記水平長手方向(2a)に位置合わせして構成された前記隣接する区
画フレーム(8)の前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)と共に、前記水平幅方向(2b)における前記区
画(15)の境界を示す請求項9に記載の保管デバイス(1)。
【請求項11】
前記区画フレーム(8)の各前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)は、前記水平長手方向(2a)において位置合わせして構成された前記隣接する区画フレーム(8)の前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)と共に、第1のエレメント列を形成し、
前記第1のエレメント列は、前記水平幅方向(2b)における前記区画(15)の境界を示す請求項9または10に記載の保管デバイス(1)。
【請求項12】
前記第1のエレメント列は、ロッド列(17)である請求項11に記載の保管デバイス(1)。
【請求項13】
前第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、一の第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)から、前記水平長手方向(2a)において、前記一の第1の
長尺区画分割エレメントに直接隣接し、整列している同じエレメント列の他の第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)まで延在する請求項11または12に記載の保管デバイス(1)。
【請求項14】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、水平に、または水平に対する傾斜角で傾斜して延在する請求項1ないし13のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項15】
前記水平に対する前記傾斜角は、5°以下、3°以下、または1°以下である請求項14に記載の保管デバイス(1)。
【請求項16】
同じ区画フレーム(8)の間に位置する前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、互いに隣接して構成され、前記水平幅方向(2b)において互いに整列している請求項1ないし15のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項17】
前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)は、前記保管デバイス(1)の前記水平長手方向(2a)に向かって第2の傾斜角で傾斜しており、
前記第2の傾斜角は、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)が前記水平長手方向(2a)に平行な回転軸の垂線に対して傾斜する角度である請求項1ないし16のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項18】
前記第2の傾斜角は、7°以下、5°以下、または2°以下である請求項17に記載の保管デバイス(1)。
【請求項19】
前記区画フレーム(8)は、2つの直立フレーム長尺ビーム(13)と、下部および上部フレームクロスビーム(14)とを含み、
前記下部および上部フレームクロスビーム(14)は、前記水平幅方向(2b)に平行であり、
前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)は、前記下部フレームクロスビーム(14)から前記上部フレームクロスビーム(14)まで延びる請求項1ないし18のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項20】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、前記下部フレームクロスビーム(14)と前記上部フレームクロスビーム(14)との間に位置され、前記下部フレームクロスビーム(14)および前記上部フレームクロスビーム(14)から離間している請求項1ないし19のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項21】
前記ガラスシートを搬送するための搬送手段をさらに含む請求項1ないし20のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項22】
前記搬送手段は、ローラーコンベヤーまたはコンベヤーベルトである請求項21に記載の保管デバイス(1)。
【請求項23】
前記区画フレーム(8)は、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)の周りに配置されたプラスチック製小チューブ(18)を含む請求項1ないし22のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項24】
前記プラスチック製小チューブ(18)は、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)の周りで自由に回転可能である請求項23に記載の保管デバイス(1)。
【請求項25】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、前記プラスチック製小チューブ(18)より小さな外径を有する請求項23または24に記載の保管デバイス(1)。
【請求項26】
前記区画(15)は、8~30mm、または13~24mmの幅を有する請求項1ないし25のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項27】
前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)および/または前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、金属でできている請求項1ないし26のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項28】
前記区画分割ロッド(16
、19)はチューブである請求項
4に記載の保管デバイス(1)。
【請求項29】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)に取り外し可能に接続されている請求項1ないし28のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項30】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、接続エレメントによって、取り外し可能に接続されている請求項29に記載の保管デバイス(1)。
【請求項31】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、後で設置することができる請求項1ないし30のいずいれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項32】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)に後で取り外し可能に接続することができる請求項31に記載の保管デバイス(1)。
【請求項33】
前記接続エレメントはそれぞれ、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)の1つに取り外し可能に接続され、
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)はそれぞれ、前記接続エレメントの1つに取り外し可能に接続される請求項
30に記載の保管デバイス(1)。
【請求項34】
前記接続エレメントは、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)の周囲に配置されている請求項
30または33に記載の保管デバイス(1)。
【請求項35】
前記接続エレメントは、クランプ方式で、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)の周囲に配置されている請求項34に記載の保管デバイス(1)。
【請求項36】
前記第2の
長尺区画分割エレメント(29、19)は、プラグ接続および/またはスナップ接続によって前記接続エレメントに接続される請求項34または35に記載の保管デバイス(1)。
【請求項37】
前記接続エレメントは、複数のピースまたは1つのピースで形成されている請求項
30、33ないし36のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項38】
前記接続エレメントは、クリップである請求項
30、33ないし37のいずれかに記載の保管デバイス(1)。
【請求項39】
前記接続エレメントは、プラスチッククリップ(20)または金属製のクリップである請求項38に記載の保管デバイス(1)。
【請求項40】
前記クリップは、2つの部分で構成され、それぞれ、第1ハーフクリップおよび第2のハーフクリップ(20a、b)を含み、
前記2つのハーフクリップ(20a、b)は、前記第1の
長尺区画分割エレメント(28、16)の周りに配置され、互いに接続される請求項38または39に記載の保管デバイス(1)。
【請求項41】
前記2つのハーフクリップ(20a、b)は、プラグ接続および/またはスナップオン接続によって、互いに接続される請求項40に記載の保管デバイス(1)。
【請求項42】
前記2つのハーフクリップ(20a、b)は、少なくとも一端で互いに接続されている請求項40または41に記載の保管デバイス(1)。
【請求項43】
ガラスシートを処理するためのガラス加工装置であって、
前記ガラス加工装置は、請求項1ないし42のいずれかに記載の少なくとも1つの保管デバイス(1)を含むことを特徴とするガラス加工装置。
【請求項44】
前記ガラス加工装置は、ガラスシートを個別のガラスシートカットに切断するための切断装置である請求項43に記載のガラス加工装置。
【請求項45】
前記ガラス加工装置は、積層ガラスシートおよび/または単板安全ガラスシートを処理するためのガラス加工装置である請求項43または44に記載のガラス加工装置。
【請求項46】
前記ガラスシートを保存するための請求項1ないし42のいずれかに記載の保管デバイス(1)の使用。
【請求項47】
前記保管デバイス(1)は、前記積層ガラスシートおよび/または前記単板安全ガラスシート)を保存するために使用される請求項46に記載の保管デバイス(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスシート(好ましくは積層ガラスシートまたは単板(single-pane)安全ガラスシート)を保管するための保管デバイス(特に、ハープラック)に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスシート状の全てのガラスは、使用される製造方法に関係なく、板ガラスと呼ばれる。
【0003】
積層ガラスシートは、接着能を有するプラスチック中間層(特に、高耐引裂性、粘塑性、熱可塑性フィルム)によって、互いに接着された少なくとも2枚の個別のガラスシートの積層体である。
【0004】
単板安全ガラスは、特別に熱処理された単一のガラスシートで構成されている。ガラスシートは、その変態温度を超える温度に加熱された後、衝撃冷却される。その結果、プレストレスがガラスプレートに生じる。好ましくは、熱処理は、DIN EN 12150-1:2015-12に従って実施される。プレストレスにより、単板安全ガラスは、通常の平らなガラスシートと比較して、優れた耐衝突性と耐衝撃性を有する。
【0005】
ガラスシートにフィルタリング機能、ミラーリング機能、または加熱機能、または他の機能を提供するために、多種多様な単層または多層機能コーティングをガラスシートに付与することができる。
【0006】
一般的に、ガラスシートは、後に使用するために適切にカットする必要がある。この目的のために、特に未加工のガラスシートは、個別のガラスシートカットに分割される。これは、既知の切断装置で行われる。切断後、ガラスシートカットまたは切断されたガラスシートは、好ましくは、さらなる処理装置(例えば、絶縁ガラス生産ラインまたは焼き戻しデバイス)でさらに処理される。
【0007】
全体の製造プロセス中、特に切断前および/または切断後で、ガラスシートはソートされ、既知の方法で中間的に保管される。中間保管は、対応する保管デバイスで行われる。一般に、垂直保管デバイスと水平保管デバイスとは区別される。水平保管デバイスでは、ガラスシートは横になっている、または水平の位置に保管されている。垂直保管デバイスでは、ガラスシートは直立位置で、すなわち垂直にまたは垂直に対していくらか傾斜して保管される。
【0008】
本発明による保管デバイスは、この意味で垂直保管デバイスである。
【0009】
保管デバイスは、例えば、固定式保管デバイスまたは可動式保管デバイス(特に、ハープラック)である。
【0010】
例えば、ドイツ特許出願公開第10 2004 053 600号は、ガラスシートが垂直に保管されているハープラック(harp rack)を示す。この目的のために、ハープラックは、垂直ワイヤーによって分割された複数の区画を有する。ここで、1つの区画は、各場合において、次々に構成された複数のワイヤーによって、隣接する区画から区切られている。
【0011】
積層ガラスシート、および単板安全ガラスシートをラックに挿入すると、製造の結果としてのこれらのシートは、必ずしも完全に平面であるとは限らず、わずかに湾曲している可能性があるという問題が生じる。その結果、保管デバイスの前側挿入端において、そのようなガラスシートが第1の区画に配置されているが、保管デバイスの後端で隣接する区画にはみ出ることが時々発生する。つまり、ガラスシートは、区画に挿入されたときに、そのトラックに留まらない。
ドイツ特許出願公開第102013104883号は、プレート状のオブジェクト(例えば、ガラスプレート)を保管するためのスタンドを開示する。これは、積載スペースと、いくつかの保持セクションと有する。保持セクションは、積載スペースを個別の区画に分割し、スタンドの幅方向に互いに隣接して平行な1つのプレート状エレメントを収容する。保持セクションは、長方形の断面を有する。それらはまた、垂直に整列している。スタンドは、支持ビームと、斜めの支持具とを有し、長方形の断面を有する。
欧州特許出願公開第2426072号は、フレーム付きのガラスシートを保管するための保管デバイスを開示する。各フレームは、垂直プロファイルと水平プロファイルとを有する。これらは、互いに接続され、堅固な構造を形成している。さらに、フレームを横に傾けることができる。水平プロファイルは遮断される。それらは、保管施設の全長に沿って、連続的に伸びていない。スライドイン側では、水平プロファイルは、垂直プロファイルよりも突き出ている。
米国特許出願公開第2012/0175323は、ソーラーミラー枠(panes)を輸送するための保管輸送デバイスを開示する。保管デバイスは、上から積載される。それは、保管デバイスの幅方向に互いに隣接する平行な区画に積載スペースを分割するいくつかの水平支柱を有する。水平支柱は、下部で長尺梁(beams)によって、および、上端で山形鋼およびストリップによって、互いに接続される。さらに、保管デバイスは、側面の区画をさらに制限するいくつかの垂直支柱を有する。ラックの水平支柱と、垂直梁とは、長方形の断面を有する。
欧州特許出願公開第1526098号は、ガラスシートを保管するための保管デバイスを開示する。これは、1枚のガラスシートを受け入れるため、保管デバイスの幅方向に互いに隣接し、互いに平行である、積載スペースおよびいくつかの区画を有する。保管デバイスは、いくつかの垂直バーといくつかの水平バーとを備えた区画フレームも有する。積載方向は、上部から下部に垂直または水平であり、バーに垂直である。したがって、ファンフレームは、積載方向に垂直な方向、すなわち、レールに平行な方向に、前後に配置される。ファンフレームのバーの断面も長方形である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、ガラスシート(好ましくは、積層ガラスシートおよび/または単板安全ガラスシート)を保管するための保管デバイスを提供することにある。その保管デバイスにおいて、わずかに湾曲したガラスシート(好ましくは、積層ガラスシートおよび/または単板安全ガラスシート)は、問題なく保管される。
【0013】
さらなる目的は、そのような保管デバイスを有する、ガラスシート(好ましくは、積層ガラスシートおよび/または単板安全ガラスシート)を処理するためのガラス処理装置を提供することである。好ましくは、ガラス処理装置は、ガラスシート(好ましくは、積層ガラスシート)を個別のガラスシートカットに切断するための切断装置であり、これらをさらなる処理に自動的に供給する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1に記載の保管デバイスおよび請求項14に記載のガラス処理装置によって達成される。また、請求項15は、本発明による保管デバイスの使用を示唆する。本発明の有利なさらなる利点は、それぞれ以下の従属請求項に特徴づけられる。
【発明の効果】
【0015】
以下に、本発明を図面に基づいてより詳細に例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明によるハープラックの斜視図を示す。
【0017】
【0018】
【
図3】
図3は、第1および第2の区画分割ロッドを備えた、ハープラックの積載(loading)側領域の拡大図を示す。
【0019】
【0020】
【
図5】
図5は、第1の区画分割ロッド、2つの第2の区画分割ロッド、およびプラスチッククリップの斜視分解図を示す。
【0021】
【
図6】
図6は、第1および第2の区画分割ロッドの分解側面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による保管デバイス1(
図1、2)は、好ましくはハープラック2である。
【0023】
ハープラック2は、保管または積載(loading)スペース4を取り囲むベースフレーム3を有する。
【0024】
また、ハープラック2は、水平長手方向または積載方向2aと、それに垂直な水平幅方向2bと、積載方向2aおよび幅方向2bに垂直な高さ方向2cとを有する。
【0025】
また、ハープラック2は、積載側5aと、積載方向2aで積載側の反対側に位置する後側5bとを有する。ガラスシートは、積載側5aから、積載方向2aにハープラック2に挿入される。
【0026】
さらに、ハープラック2は、地面に沿ってハープラック2を移動させるための車輪6を有する(好ましくは、4つ)。車輪6は、ベースフレーム3の下側に固定されている。
【0027】
さらに、ハープラック2は、好ましくは、ハープラック2の後側5bに位置する保護グリル27をさらに有する。保護グリル27は、しばしば鋭いエッジを有するガラスシートによって操作者が負傷するのを防ぐのに役立つ。
【0028】
ハープラック2のベースフレーム3は、フロアフレーム7と、複数の好ましくは長方形の区画フレーム8と、2つの上部支柱9と、好ましくは2つの横支柱10とを有する。
【0029】
フロアフレーム7は、好ましくは、既知の方法で、積載方向2aに次々に配置された複数のローラー12を有するローラーコンベヤー11を有する。ローラー12は、幅方向2bに平行な回転軸を中心に回転可能である。ローラーコンベヤー11の代わりに、コンベヤーベルトなどの他の運搬手段が存在する。
【0030】
区画フレーム8は、積載方向2aにおいて、互いに離間して、次々に配置されている。区画フレーム8は、好ましくは、2つの上部支柱9および2つの横支柱10によって互いに接続されている。さらに、区画フレーム8は、フロアフレーム7上に配置され、フロアフレーム7に固定的に接続されている。
【0031】
区画フレーム8は、好ましくは、それぞれ、2つのフレーム長尺ビーム(梁)13および2つのフレームクロスビーム(横梁)14を含む。フレームクロスビーム14は、それぞれ、特に、幅方向2bに平行に延びる。直立のフレーム長尺ビーム13は、垂直に、または実質的に垂直に延びる。フレーム長尺ビーム13は、フレームクロスビーム14によって互いに接続されている。「実質的に垂直」とは、フレーム長尺ビーム13が、垂線に対して、または高さ方向2cに対して傾斜していることを意味する。それらは、後側5bに向かって、またはそれから離れて傾斜していてもよく、および/または、ハープラック2の一方の側に向かって傾斜していてもよい。
【0032】
「後側5bに向かって、またはそれから離れて傾斜している」とは、積載方向2aに平行な方向の傾斜、または、幅方向2bに平行な軸の周りに傾斜または回転またはたわみを意味する。
【0033】
「一方の側に傾斜」とは、幅方向2bに平行な方向の傾斜、または、積載方向2aに平行な軸の周りに傾斜または回転またはたわみを意味する。
【0034】
ここで、後側5bに向かう、またはそれから離れる傾斜角は、好ましくは45°以下、より好ましくは20°以下、特に好ましくは10°以下である。
【0035】
ハープラック2の一方の側に向かう傾斜角は、好ましくは7°以下、より好ましくは5°以下、特に好ましくは2°以下である。
【0036】
区画フレーム8は、積載スペース4を、幅方向2bにおいて互いに隣接する個別の区画15に分割する。互いに隣接し、互いに平行である区画15は、積載側5aに向かって開口しており、好ましくは、後側5bに向かっても開口している。
【0037】
区画15の分割のために、区画フレーム8は、それぞれ、互いに平行な、複数の第1の区画境界ロッドまたはバー、または、区画分割ロッドまたはバー15を有する。これらは、互いに隣接し、幅方向2bにおいて互いに離間する。
【0038】
第1の区画分割ロッド16は、直立しており、実質的に垂直である。好ましくは、それらは、フレーム長尺ビーム13に対して平行に延びる。
【0039】
すでに上で述べたように、「実質的に垂直」とは、第1の区画分割ロッド16が垂線に対して、または高さ方向2cに対して、わずかに傾斜していることを意味する。本発明によれば、それらは、後側5bに向かって、またはそれから離れて傾斜している(第1の傾斜角α)。また、それらは、ハープラック2の一方の側に向かって傾斜していてもよい(第2の傾斜角)。したがって、第1の傾斜角αは、幅方向2bに垂直な面上に投影された垂線と、区画分割ロッド16との間の角度、または、区画分割ロッド16が幅方向2bに平行な回転軸の垂線に対して偏向または傾斜した角度である。第2の傾斜角は、積載方向2aに垂直な面上に投影された垂線と、区画分割ロッド16との間の角度、または、区画分割ロッド16が積載方向2aに平行な回転軸の垂線に対して偏向または傾斜する角度である。
【0040】
第1の傾斜角αは、好ましくは45°以下、より好ましくは20°以下、特に好ましくは10°以下である。
【0041】
第2の傾斜角は、好ましくは7°以下、より好ましくは5°以下、特に好ましくは2°以下である。
【0042】
さらに、第1の区画分割ロッド16は、下部フレームクロスビーム14から上部フレームクロスビーム14まで延びる。好ましくは、第1の区画分割ロッド16は、2つのフレームクロスビーム14に固定的に接続されている。さらに、第1の区画分割ロッド16は、2つのフレーム長尺ビーム13の間に配置されている。
【0043】
次々に配置された個別の区画フレーム8の第1の区画分割ロッド16は、それらが個別の区画15を横方向(すなわち、幅方向2b)に境界付けるように、積載方向2aに互いに整列されるように構成される。したがって、一の区画フレーム8の各第1の区画分割ロッド16は、積載方向2aに位置合わせされた他の区画フレーム8の第1の区画分割ロッド16と共に、一方の側で区画15の境界を示す。
【0044】
すなわち、一の区画フレーム8の各第1の区画分割ロッド16は、積載方向2aに整列させて構成された他の区画フレーム8の第1の区画分割ロッド16と、第1のロッド列17を形成する。各第1のロッド列17は、それぞれ、一方の側で区画15の境界を示す。
【0045】
第1の区画分割ロッド16は、好ましくは金属製であり、より好ましくはステンレススチール製である。また、第1の区画分割ロッド16は、チューブが好ましい。
【0046】
好ましくは、さらに、以下でより詳細に説明するように、ガラスシートが引っかかれることを防止するために、回転可能なプラスチック製小チューブ18が提供される。プラスチック製小チューブ18は、区画分割ロッド16の周りに配置され、それらの周りで自由に回転可能である。
【0047】
本発明によれば、さらに、ハープラック2は、複数の第2の区画境界ロッドまたはバー、または、区画分割ロッドまたはバー19を有する。第2の区画分割ロッド19は、それぞれ、第1のロッド列17の第1区画分割ロッド16の間に延びる。
【0048】
したがって、第2の区画分割ロッド19は、一の第1の区画分割ロッド16から、それに直接隣接し、同じロッド列17の積載方向2aに整列した他の第1の区画分割ロッド16まで延びる。
【0049】
さらに、第2の区画分割ロッド19は、特に、下部フレームクロスビーム14と上部フレームクロスビーム14との間に位置し、下部フレームクロスビーム14と上部フレームクロスビーム14とから離間している。
【0050】
好ましくは、さらに、第2の区画分割ロッド19は、水平に、または積載方向2aに平行に延びる。ただし、第2の区画分割ロッド19は、積載方向2aに対して、または水平に対してある角度で延びる。しかしながら、それらは、第1の区画分割ロッド16と平行ではない。
【0051】
第2の区画分割ロッド19が水平でない場合、それらは、積載方向2aに対して、または高さ方向2cの第3の傾斜角による水平に対して、偏向または傾斜している。したがって、第3の傾斜角は、幅方向2bに垂直な面に投影された、水平方向または積載方向2aと、第2の区画分割ロッド19との間の角度、または、水平方向または積載方向2aに対して、第2の区画分割ロッド19が幅方向2bに平行な回転軸を中心に偏向または傾斜する角度である。
【0052】
第3の傾斜角は、好ましくは5°以下、より好ましくは3°以下、特に好ましくは1°以下である。
【0053】
第1の区画分割ロッド16が一方の側に傾斜している場合、第2の区画分割ロッド19も必然的に幅方向2bの方向に傾斜するか、または、垂線に平行な回転軸の周りに対応して傾斜または偏向する。
【0054】
さらに、同じ2つの区画フレーム8の間に配置された第2の区画分割ロッド19は、好ましくは、互いに隣接し、幅方向2bに互いに整列している。それらは、第2(特に、水平)のロッド列19を形成する。しかしながら、第2の区画分割ロッド19はまた、それらの高さにおいて、互いに対してオフセットされる。
【0055】
第2の区画分割ロッド19もまた、好ましくは金属製であり、好ましくはステンレススチール製である。また、第2の区画分割ロッド19は、チューブが好ましい。
【0056】
本発明によれば、第2の区画分割ロッドは、区画15の追加的な横方向の境界に使用され、ガラスシートがそれぞれの区画15に挿入されるときにガラスシートを案内および中央に配置する。
【0057】
第2の区画分割ロッド19は、好ましくは、プラスチック製の小チューブ18よりも小さい外径を有する。これは、ガラスシートの表面への損傷を防止する。
【0058】
さらに、区画15の幅は、好ましくは8~30mm、より好ましくは13~24mmである。したがって、本発明によるハープラック2の区画15は、既知の保管デバイスの区画よりも幾分広い幅を有する。このように、区画15へのわずかに湾曲したガラスシートの問題のない挿入がさらに保証される。
【0059】
好ましくは、さらに、第2の区画分割ロッド19は、第1の区画分割ロッド16に取り外し可能に接続される。この目的のために、好ましくは、プラスチッククリップ20(
図3~7)が提供される。
【0060】
プラスチッククリップ20は、それぞれ2つの部分で構成され、第1のハーフクリップ20aと、第2のハーフクリップ20bとを有する。
【0061】
ハーフクリップ20a、20bは、それぞれ、中央部分21と、そこから両側に延びる2つのペグ22とを有する。
【0062】
各中央部分21は、第1の区画分割ロッド16を受け入れるための連続ロッドレセプタクル溝23を有する。その結果、ロッドレセプタクル溝23は、半円形の断面を有する。断面の直径は、好ましくは、第1の区画分割ロッド16の外径に対応する。
【0063】
2つのペグ22は、それぞれ、少なくとも端部で管状に形成されている第2の区画分割ロッド18の一方に挿入される。したがって、それらは、同様に半円形の断面を有し、断面の外径は、第2の区画分割ロッド18の内径に実質的に相当する。さらに、ペグ22は、好ましくは、ペグ22の自由端からペグに延びるスロット24を有する。
【0064】
ハープラック2の積載側5aおよび後側5bに配置されたプラスチッククリップ20のハーフクリップ20a、20bはそれぞれ、好ましくは、1つのペグ22のみを有する。
【0065】
さらに、2つのハーフクリップ20a、20bはそれぞれ、それぞれの他のハーフクリップ20a、20bに取り付けるための取付面25を有する。さらに、2つのハーフクリップ20a、20bのうちの一方は、取付面25から突出する2つのピン26を有する。2つのハーフクリップ20a、20bのうちの他方は、ピンに対応する2つの凹部(図示せず)を有する。
【0066】
第2の区画分割ロッド18を第1の区画分割ロッド16に接続するために、2つのハーフクリップ20a、20bは、第1の区画分割ロッド16の周りにロッドレセプタクル溝23が配置され、ピン26が凹部に挿入される。このようにして、ハーフクリップ20a、20bは互いに接続され、プラスチッククリップ20が第1の区画分割ロッド16にクランプされる。次に、第2の区画分割ロッド18の一方は、ペグ22の一方に差し込まれる。
【0067】
その結果、第1区画分割ロッド16および第2の区画分割ロッド18は、固定的ではあるが取り外し可能に互いに接続されている。
【0068】
本発明による追加の第2の区画分割ロッド19の利点は、これらが本発明による保管デバイス1に導入されるときに、ガラスシートの追加的な横方向のガイドを提供することである。区画15は、第2の区画分割ロッド19によって、さらに横方向に境界付けられる。それにより、区画15は、積載方向2aにおいて連続的に横方向に境界付けられる。結果として、ガラスシートは、隣接する区画15に入り込まない。
【0069】
さらに、第2の区画分割ロッドはまた、第1の区画分割ロッド上のプラスチック製小チューブが必要なオープンスペースを許容するように変位可能である限り、その後に容易に設置することができる。プラスチッククリップは、2つのプラスチック製の小チューブの間のオープンスペースに簡単にクリップされる。
【0070】
保管デバイス1が可動保管デバイス1ではなく、むしろ固定保管デバイス1であることも本発明の範囲内である。
【0071】
区画分割ロッド16、19の代わりに、区画分割ケーブル(好ましくは金属製、好ましくはスチール製)、または他の長尺状の第1または第2の区画境界エレメント、または区画分割エレメント28、29が使用されることも本発明の範囲内である。さらに、区画分割エレメント28、29は、丸い断面を有する。
【0072】
さらに、プラスチッククリップの代わりに、他の材料で作られたクリップが使用されることは、本発明の範囲内である。その場合、クリップは、金属製であることが好ましい。特に、それらは、好ましくは、プレス加工されたシート金属部品または鋳造部品、特にダイカスト部品である。
【0073】
さらに、2つのハーフクリップは、特に一端で、互いに取り外し不可能に接続されることもできる。その結果、クリップは、2つの部分を有するが、複数の部分ではなく、むしろ1つの部分として実現される。例えば、2つのハーフクリップは、ヒンジで相互に接続される。または、クリップは、一方の側で開口を形成し、スロット(細長い小さな孔)を形成する。
【0074】
次に、組み立て中に、それらは、第1の区画分割エレメントの周りに配置されるか、または第1の区画分割エレメントは、スロットを通してクリップに押し込まれる。ハーフクリップのそれぞれの自由端は、好ましくは、特に取り外し可能に、互いに接続される。次に、取り外し可能な接続は、好ましくは、プラグ接続および/またはスナップオン接続、特に、互いに取り外し可能に接続された2つのハーフクリップについての上記のような接続である。しかしながら、特に、スロット付きクリップの場合、第1の区画分割エレメント上にクリップを押し込むだけで十分な場合もある。これらはこの間に弾性変形するため、ハーフクリップを相互に追加接続することなく、第1の区画分割エレメントをクランプ方式で保持することができる。
【0075】
第1の区画分割エレメントへの2つの区画分割エレメントの間接的な取り外し可能な接続はまた、他の追加の接続エレメントを使用して実現される。
【0076】
上記で説明したように、接続エレメントに基づいて、第1の区画分割エレメントへの2つの区画分割エレメントのその後の接続が可能である。ここで、「その後(subsequent)」とは、第2の区画分割エレメントの組み立てとは別に、保管デバイスの組み立てが完了した後に、2つの区画分割エレメントを取り付けることができることを意味する。その結果、第1の区画分割エレメントのみを含む既存の保管デバイスを後付けすることができる。
【0077】
これは、接続エレメントにより、第1の区画分割エレメントを変更または処理する必要がなく、むしろ変更しないでおくことができるからである。したがって、特に、第1の区画分割エレメントは、第2の区画分割エレメントに接続するための接続手段を有していない。