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特許7152522HPAの製造時におけるカオリンの乾式精製
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  • 特許-HPAの製造時におけるカオリンの乾式精製 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】HPAの製造時におけるカオリンの乾式精製
(51)【国際特許分類】
   C04B 33/04 20060101AFI20221004BHJP
   B02C 15/04 20060101ALI20221004BHJP
   B02C 23/22 20060101ALI20221004BHJP
   B02C 23/16 20060101ALI20221004BHJP
   B02C 25/00 20060101ALI20221004BHJP
   B07B 7/06 20060101ALI20221004BHJP
   B07B 7/01 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C04B33/04 A
B02C15/04
B02C23/22
B02C23/16
B02C25/00 B
B07B7/06
B07B7/01
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020568323
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019065154
(87)【国際公開番号】W WO2019234257
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102018209210.9
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019200191.2
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ムスタフィ・エミール
(72)【発明者】
【氏名】ギーア-ツッケット・ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュリーヴァー・トルステン
(72)【発明者】
【氏名】シュタストニィ・ラファエル
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513709(JP,A)
【文献】特開昭51-050059(JP,A)
【文献】特開昭58-006247(JP,A)
【文献】特開昭58-036652(JP,A)
【文献】米国特許第04889289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
C04B 33/00-33/36
B07B 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕域(13)と第1の分離域(16)とを有する粉砕分離装置(1)において生カオリン(R)を精製する方法であって、
生カオリン(R)は、少なくとも第1の分級物(F1)としてのカオリンと、少なくとも石英を含む第2の分級物(F2)との混合物であり、
生カオリン(R)を粉砕域(13)に供給し、粉砕域(13)において、粉砕によって第1の分級物(F1)を少なくとも部分的に生カオリン(R)から取り出し、その際、粉砕域(13)に、回転可能な粉砕プレート(14)と、回転可能な円筒状の少なくとも1つの粉砕ローラ(15)とが設けられていて、生カオリン(R)の選択的な破砕が得られるように、粉砕ローラ(15)の押圧力が可変であり、
続いて、第1の分離域(16)において、第1の分級物(F1)と第2の分級物(F2)とを分離する、生カオリンを精製する方法において、
精製を、生カオリン(R)の懸濁液を生成することなく行う
ことを特徴とする、生カオリンを精製する方法。
【請求項2】
第1の分離域(16)における分離を、ガス流を用いて行い、ガス流は、重力方向とは逆向きの成分を有するとともに、第1の分級物(F1)の粒子が少なくとも部分的にガス流により連行される一方、第2の分級物(F2)の粒子がガス流とは逆向きに又はガス流から下方へ落下するように調整されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粉砕プレート(14)は、プレート粉砕面(14a)を有し、粉砕ローラ(15)は、粉砕プレート(14)に面し、プレート粉砕面(14a)から間隙(D)の分だけ離れて位置するローラ粉砕面(15a)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
間隙(D)が、調整可能であり
砕プレート(14)に対して相対的な粉砕ローラ(15)の位置と、
粉砕プレート(14)に対して相対的な粉砕ローラ(15)の姿勢と、
粉砕プレート(14)にかかる粉砕ローラ(15)の押圧力と、
の少なくとも1つが調整可能であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
生カオリン(R)が、プレート粉砕面(14a)上に供給され、粉砕プレート(14)の回転に基づいて外方へ運ばれ、続いて、逆向きに回転するプレート粉砕面(14a)とローラ粉砕面(15a)との間の間隙(D)に至り、これにより、生カオリン(R)は、粉砕され、第1の分級物(F1)が、少なくとも部分的に生カオリン(R)から取り出されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
粉砕分離装置(1)は、粒子径に応じて第1の分級物(F1)の選別が行われる第2の分離域(17)を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第2の分離域(17)は、1つ又は複数のそらせ板(18)とふるい分け機(19)とを有し、ふるい分け機(19)は、捕集チャンバ(19a)と1つ又は複数のふるい状の外壁域(19b)とを有し、外壁域(19b)は、複数の開口を有し、開口を、第1の分級物(F1)の粒子の一部が通過し、捕集チャンバ(19a)内に至ることができる一方、第1の分級物(F1)の粒子の別の一部は、ふるい分け機(19)の外壁域(19b)及びそらせ板(18)によって変向され、粉砕域(13)に戻されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
粉砕分離装置(1)は、粒子径に応じて第1の分級物(F1)の選別が行われる第2の分離域(17)を有し、第2の分離域(17)は、1つ又は複数のそらせ板(18)とふるい分け機(19)とを有し、ガス流が、ふるい分け機(19)へ向けられていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ふるい分け機(19)が、調整可能な回転数で回転可能であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも第1の分級物としてのカオリンと好適には石英を含む第2の分級物との混合物である生カオリンを精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「陶土」又は「粘土」とも称されるカオリンは、天然由来の産業用鉱物であり、これは、セラミックス産業、プラスチック産業及び紙産業などにおいて、塗料、色料及びゴムの製造に際して、また化粧品産業及び製薬産業において、多様に利用されている。高い酸化アルミニウム含有量によって、カオリンは、その他に、高純度アルミナ(High Purity Alumina,HPA)の原料担体としての役割を有する。HPAは、例えばLED照明及びディスプレイの製造時に、エレクトロニクスでの利用によってますます重要性が高まっている。
【0003】
カオリンは、「生カオリン」と称される分解生成物から得られ、たいてい、その大部分は「カオリナイト」とも称される純粋なカオリンと石英と雲母とからなる。カオリンを得るための従来慣用のプロセスは、湿式精製に基づいている。そのために、生カオリンは、破砕機によって機械的に破砕された後で、洗浄トロンメル内でスラリ化され、これにより、原料の懸濁液が生成される。石英砂及び粗い雲母が沈殿する。マルチデッキスクリーンによって、カオリン分級物が、湿式ふるい分けされる。歩留まりを高めるために、生成物は、ハイドロサイクロンによって再度分離することができる。通常、さらなるふるい分けが行われ、これにより、精製されたカオリンが固体として水溶液から得られる前に、広く規定された粒径又は粒子径の粒サイズが得られる、かつ/又は不純物及び残留物が除去される。これは、フィルタプレスを用いて面倒な形で行われる。
【0004】
生カオリンを精製する既知の湿式方法は、例えば、西独国特許出願公開第1088404号明細書、DE69030020T2及び欧州特許第0193109号明細書に記載されている。
【0005】
生カオリン懸濁液の生成及び処理並びに固体としてのカオリンの回収は、多大な資源及びエネルギを要する。方法が、複雑である。所要時間、必要とされる資源及び費用は、容易に削減することはできない。
【0006】
国際公開第2015/051925号は、多物質系の複合材料を含む材料を前処理及び分離するための方法及び装置を記載している。中国特許出願公開第108046750号明細書は、超微細のか焼されたカオリン粉末の製造方法を記載している。欧州特許出願公開第0510890号明細書は、固形物を乾式粉砕する装置を記載している。ロシア国特許発明第2187387号明細書は、例えばカオリンなどの非金属鉱物を乾式濃縮する方法を記載している。チェコ国特許出願公開第2013446号明細書は、カオリン-雲母の製造方法及び使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】西独国特許出願公開第1088404号明細書
【文献】DE69030020T2
【文献】欧州特許第0193109号明細書
【文献】国際公開第2015/051925号
【文献】中国特許出願公開第108046750号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0510890号明細書
【文献】ロシア国特許発明第2187387号明細書
【文献】チェコ国特許出願公開第2013446号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の課題は、生カオリンの精製を改善することであり、特に所要時間を短縮するとともに、資源消費量及びエネルギ消費量を低減することである。
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を有する、生カオリンを精製する方法によって解決される。有利な発展形態は、従属請求項、以下の発明の説明及び好適な実施例の記載に従う。
【0010】
本発明に係る方法は、少なくとも第1の分級物としてのカオリン又はカオリナイトと少なくとも石英を含む第2の分級物との混合物である生カオリンの精製に用いられる。
【0011】
「カオリン」及び「カオリナイト」という用語は、本明細書では、同義的に用いられ、そこから知られた、結晶化学組成Al[(OH)|Si10]を有するカオリナイト-蛇紋石族のフィロシリケートを意味する。両方の分級物は、粒子からなり、粒子とは、本明細書では、相応の成分の粒状の集合体と解される。前述の記載において定義された、生カオリンの組成に基づいて、本明細書では、第1の分級物の粒子は、第2の分級物の粒子よりも軽い又は細かい傾向にある。本明細書では、精製とは、特に、生カオリンの他の成分、特に石英及び場合によっては雲母とカオリンとの分離と解される。さらに、精製は、カオリンの特定の粒子径又は粒径の生成を含むことができる。
【0012】
本発明によれば、生カオリンの精製は、少なくとも部分的に、粉砕域と第1の分離域とを有する粉砕分離装置において行われる。「第1」及び「第2」という用語は、次数、順序などを暗示するものではなく、言語表現上の区別に用いたにすぎないことに留意すべきである。
【0013】
生カオリンは、まずは粉砕域に供給され、粉砕域では、第1の分級物が、粉砕によって、少なくとも部分的に、しかし好適にはほぼ完全に、生カオリンから取り出される。このために、粉砕分離装置は、供給域を有することができ、供給域を介して、生カオリンが、ハウジングによって画定された装置の内部空間に供給される。粉砕分離装置は、略軸対称の構造を有することができ、その際、供給域は、この場合に好適には装置の上側の領域で中央に位置するので、生カオリンは、主に中央で重力方向に粉砕分離装置の内部空間内へ送られる。「上」、「下」などの用語は、重力方向に対して相対的にみなされ、粉砕分離装置の特定の用途において十分に定義されていることに留意すべきである。
【0014】
粉砕域で生カオリンが粉砕され、第1の分級物が生カオリンから取り出された後で、第1の分級物が、第1の分離域において第2の分級物から分離される。
【0015】
粉砕分離装置による精製方法は、完全に、面倒な湿式段階なしに済まされる。カオリンの精製時、場合によっては生じ得る高純度アルミナの生成に至るまで、生成物のろ過及びか焼/乾燥などの幾つかのプロセスステップを省略することができる。これにより、精製プロセスの大幅な簡略化を実現することができる。方法は、省エネルギ及び省資源で、かつ低コストで実施可能である。
【0016】
本明細書で説明された精製は、面倒な湿式段階なしに済まされるので、精製、特に粉砕及び第1の分級物と第2の分級物との分離、並びに粒子の粒度に応じた選別は、生カオリンの懸濁液の生成なしに行われる。
【0017】
好適には、第1の分離域における分離は、重力方向とは逆向きの(ベクトル)成分を有するガス流、例えば空気流によって行われる。したがって、ガス流は、少なくとも部分的に、しかし好適には実質的に完全に、重力方向とは逆向きに向けられている。ガス流は、この好適な実施形態によれば、さらに、第1の分級物のカオリン粒子が、少なくとも部分的にガス流に連行される一方、第2の分級物の粒子が、ガス流とは逆向きに又はガス流から下方へ落下するように調整されている。ガス流は、送風機によって発生させ、適切なガイド手段(装置のハウジング、ガイドプレートなど)によって導いて、第1の分級物と第2の分級物との分離が行われるようにすることができる。その際、例えば体積流量、流速などの流れパラメータを、カオリンと第2の分級物との分離にとって最適化することができる。ガス流による分離性は、両方の分級物の粒子の質量又は密度の違いによって与えられている。したがって、確実で省エネルギ及び省資源の分離を実現することができる。
【0018】
好適には、粉砕域は、プレート粉砕面を有する回転可能な粉砕プレートと、粉砕プレートに面し、プレート粉砕面から間隙の分だけ離れて位置するローラ粉砕面を有する、同様に回転可能な円筒状の少なくとも1つ、好適には複数の粉砕ローラとを備える。このようにして、生カオリンの単体分離に適しているとともに、構造的にコンパクトで確実に運転することができるミルが実現される。粉砕ローラは、好適には、粉砕プレートの外周の領域に位置する。さらに、ローラ粉砕面は、好適には傾斜付けられていて、つまりローラ粉砕面は、好適には付属の粉砕ローラの円筒軸線上で垂直に位置しない。
【0019】
好適には、間隙は、調整可能である。これは、粉砕ローラの適切な支持によって実現することができるので、粉砕プレートに対して相対的な粉砕ローラの位置及び/又は姿勢、及び/又は粉砕プレートにかかる粉砕ローラの押圧力が可変である又は調整可能である。このようにして、選択的な破砕が得られ、これにより、後続のふるい分けによって、効率的にカオリンと石英との分離を実施することが可能である。さらに、例えば粉砕ローラの押圧力、粉砕材料の質量流量、ふるい分け機への体積流量、乾燥温度などのプロセスパラメータの調整によって、カオリンの最適な分級又はふるい分けを達成することができる。
【0020】
粉砕プレートと粉砕ローラとは、最適な破砕及び分離のために、好適には以下のように協働する。まずは、生カオリンがプレート粉砕面上に供給される。粉砕プレートの回転に基づいて、生カオリンは、外方へ運ばれ、続いて、好適には逆向きに回転するプレート粉砕面とローラ粉砕面との間の間隙に至り、これにより、生カオリンが粉砕され、第1の分級物が、少なくとも部分的に生カオリンから取り出される。
【0021】
好適には、粉砕分離装置は、第2の分離域を有し、第2の分離域において、粒子径に応じた第1の分級物の選別が行われる。換言すると、第2の分離域によって、第1の分級物の粒子の粒度、つまりカオリン粒子の粒度を調整することができる。
【0022】
そのために、第2の分離域は、好適には、1つ又は複数のそらせ板とふるい分け機とを有し、ふるい分け機は、例えばロッドケージ型ふるい分け機である。ふるい分け機は、収集チャンバと、1つ又は複数のふるい状の外壁域とを有し、外壁域は、複数の開口を有し、開口を、第1の分級物の粒子の一部が通過して、捕集チャンバ内に至ることができる一方、第1の分級物の粒子の別の一部は、ふるい分け機の外壁域とそらせ板とによって変向され、粉砕域に戻される。したがって、ふるい分け機の性質、特にその開口によって、ふるい分けられるべき粒子径が決定される。所望の大きさのカオリン粒子は、捕集チャンバ内に至る一方、大きすぎる粒子径を有する粒子は、引き続き粉砕工程を通過する。
【0023】
好適には、第1の分級物の粒子を低い重量に基づいて上方へ連行するガス流が、ふるい分け機へ向けられ、これにより、粒子径に応じた選別が、特に効果的にかつ確実に実施可能である。
【0024】
好適には、ふるい分け機は、回転可能に設けられていて、この場合、回転数が調整可能であり、これにより、ふるい分けられるべき第1の分級物の粒子の所望の粒度を容易に調整することができる。
【0025】
本発明のさらなる利点及び特徴は、以下の好適な実施例の説明から看取される。そこに記載された特徴は、特徴に矛盾がない限り、単独で、又は前述の1つの又は複数の特徴と組み合わせて実現することができる。添付の図面を参照して、以下、好適な実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】カオリンを乾式精製するための粉砕分離装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて好適な実施例を説明する。
【0028】
図1は、カオリンを乾式精製するための粉砕分離装置1の概略図である。
【0029】
粉砕分離装置1は、ハウジング11によって画定された内部空間と供給域12とを有する。供給域12を介して、好適には、少なくともカオリンと石英との混合物である生カオリンRが内部空間に供給される。図1の例では、粉砕分離装置1は、略軸対称の構造を有し、この場合、供給域12は、装置の上側の領域で中央に位置するので、生カオリンRは、主に中央で重力方向に粉砕分離装置1の内部空間内へ送られる。ただし、供給域12は、生カオリンRが内部空間内に達し、後続処理に供給可能であれば、横向きに又は他の形で配置されてもよい。
【0030】
粉砕分離装置1は、さらに粉砕域13を有し、粉砕域13は、図1の実施例では、プレート粉砕面14aを有する回転可能な粉砕プレート14と、同様に回転可能な円筒状の複数の粉砕ローラ15とを備える。円筒状の粉砕ローラ15は、傾斜付けられたローラ粉砕面15aをそれぞれ有し、ローラ粉砕面15aは、粉砕プレート14に面し、プレート粉砕面14aから間隙Dの分だけ離れて位置する。粉砕ローラ15は、粉砕プレート14の外周の領域に位置し、以下のように粉砕プレート14と協働する。
【0031】
供給域12を介して供給された生カオリンRは、粉砕プレート14上に落下し、その粉砕プレート14の回転に基づいて外方へ運ばれる。生カオリンRは、好適には逆向きに回転する2つの粉砕面14a、15aの間の間隙Dに至る。このようにして、生カオリンRが粉砕され、これにより、細かい又は軽い分級物である第1の分級物F1と、第1の分級物F1に対して相対的に重い又は粗い分級物である第2の分級物F2との分離が行われる。第2の分級物F2は、少なくとも石英を含み、第1の分級物F1は、主に取り出されたカオリンからなる。
【0032】
粉砕ローラ15は、好適には個別に調整可能である。特に、間隙Dは、好適には可変であり、これにより、粉砕時の押圧力を変化させることができる。さらに、粉砕ローラ15の回転速度、位置及び/又は姿勢を個別に又はグループごとに調整可能に構成することができ、かつ/又は粉砕プレート14の回転速度、位置及び/又は姿勢を調整可能に構成することができる。
【0033】
第1及び第2の分級物F1、F2の粒子が、粉砕プレート14の半径方向に外方へ間隙Dを退出した後で、それらの粒子は、ガス流、好適には空気流に至る。ガス流の流れパラメータ、例えば体積流量、流速などは、第1の分級物F1と第2の分級物F2との分離が行われるように調整される。ガス流は、例えば、図示されていない送風機によって発生させることができる。第2の分級物F2の粒子は、粉砕プレート14の傍を通って下方へ落下し、排出され(図示されていない)、第1の分級物F1の粒子は、図1の矢印によって表されているように、ガス流によって上方へ連行される。第1の分級物F1と第2の分級物F2との分離は、ここでは第1の分離域16と称される域で行われる。
【0034】
粉砕分離装置1は、さらに第2の分離域17を有する。第2の分離域17によって、第1の分級物F1の粒子の粒度、つまりカオリン粒子の粒度を調整することができる。そのために、第2の分離域17は、そらせ板18と回転可能なふるい分け機19とを有し、ふるい分け機19は、好適にはロッドケージ型ふるい分け機である、。
【0035】
ロッドケージ型ふるい分け機19は、捕集チャンバ19aと1つ又は複数のふるい状の外壁域19bとを有する円筒状又は中空円筒状の要素である。外壁域19bは、少なくとも部分的にロッドケージ型ふるい分け機19の外周に位置し、特定の大きさの粒子が通過可能な複数の開口、スロットなどを有する。したがって、第1の分級物F1の粒子を小さな重量に基づいて上方へ連行するガス流は、好適には、ロッドケージ型ふるい分け機19へ向けられている。第1の分級物F1の粒子の一部は、ふるい状の外壁域19bを通って捕集チャンバ19a内に達し、そこから、取り出された、所望の破砕度に粉砕されたカオリンを導出することができる。粒子の別の部分、つまり実質的に大きすぎる粒子径を有する粒子は、外壁域19bによって「投げ返されて」、主ガス流から離れて下方へ落下する。そらせ板18は、ロッドケージ型ふるい分け機19からはじかれた粒子が戻されて粉砕プレート14上へ落下し、供給域12からの供給材料と混ざるように構成されている。ふるい分け機18の回転数によって、第1の分級物F1の、つまり精製されたカオリンの粒子の粒度を調整することができる。
【0036】
粉砕分離装置1による生カオリンの乾式の単体分離又は乾式精製は、完全に、面倒な湿式段階なしに済まされる。粉砕分離装置1では、粉砕ローラ15の押圧力を変化させることができ、選択的な破砕が得られる。そのような選択的な破砕によって、後続のふるい分けにより、カオリンと石英との分離を実施することが可能である。さらに、例えば粉砕ローラ15の押圧力、粉砕材料の質量流量、ふるい分け機19への体積流量、乾燥温度などのプロセスパラメータの調整によって、カオリンの最適な分級又はふるい分けを達成することができる。
【0037】
カオリンの精製に際して、高純度アルミナの生成に至るまで、生成物のろ過及びか焼/乾燥などの幾つかのプロセスステップを省略することができる。これにより、精製プロセスの大幅な簡略化を実現することができる。粉砕分離装置1を用いた方法は、省エネルギ及び省資源で、かつ低コストで実施可能である。
【0038】
適用可能な限り、実施例に述べられた全ての個々の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、相互に組み合わせるかつ/又は置き換えることができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.粉砕域(13)と第1の分離域(16)とを有する粉砕分離装置(1)において生カオリン(R)を精製する方法であって、
生カオリン(R)は、少なくとも第1の分級物(F1)としてのカオリンと、少なくとも石英を含む第2の分級物(F2)との混合物であり、
生カオリン(R)を粉砕域(13)に供給し、粉砕域(13)において、粉砕によって第1の分級物(F1)を少なくとも部分的に生カオリン(R)から取り出し、
続いて、第1の分離域(16)において、第1の分級物(F1)と第2の分級物(F2)とを分離する、生カオリンを精製する方法。
2.第1の分離域(16)における分離を、ガス流、好適には空気流を用いて行い、ガス流は、重力方向とは逆向きの成分を有するとともに、第1の分級物(F1)の粒子が少なくとも部分的にガス流により連行される一方、第2の分級物(F2)の粒子がガス流とは逆向きに又はガス流から下方へ落下するように調整されていることを特徴とする、上記1に記載の方法。
3.粉砕域(13)が、プレート粉砕面(14a)を有する回転可能な粉砕プレート(14)と、粉砕プレート(14)に面し、プレート粉砕面(14a)から間隙(D)の分だけ離れて位置するローラ粉砕面(15a)を有する、同様に回転可能な円筒状の少なくとも1つの粉砕ローラ(15)とを備えることを特徴とする上記1又は2に記載の方法。
4.間隙(D)が、調整可能であり、好適には、粉砕プレート(14)に対して相対的な粉砕ローラ(15)の位置及び/又は姿勢、及び/又は粉砕プレート(14)にかかる粉砕ローラ(15)の押圧力が調整可能であることを特徴とする、上記3に記載の方法。
5.生カオリン(R)が、プレート粉砕面(14a)上に供給され、粉砕プレート(14)の回転に基づいて外方へ運ばれ、続いて、好適には逆向きに回転するプレート粉砕面(14a)とローラ粉砕面(15a)との間の間隙(D)に至り、これにより、生カオリン(R)は、粉砕され、第1の分級物(F1)が、少なくとも部分的に生カオリン(R)から取り出されることを特徴とする、上記3又は4に記載の方法。
6.粉砕分離装置(1)は、粒子径に応じて第1の分級物(F1)の選別が行われる第2の分離域(17)を有することを特徴とする、上記1から5のいずれか1つに記載の方法。
7.第2の分離域(17)は、1つ又は複数のそらせ板(18)とふるい分け機(19)とを有し、ふるい分け機(19)は、好適にはロッドケージ型ふるい分け機であり、ふるい分け機は、捕集チャンバ(19a)と1つ又は複数のふるい状の外壁域(19b)とを有し、外壁域(19b)は、複数の開口を有し、開口を、第1の分級物(F1)の粒子の一部が通過し、捕集チャンバ(19a)内に至ることができる一方、第1の分級物(F1)の粒子の別の一部は、ふるい分け機(19)の外壁域(19b)及びそらせ板(18)によって変向され、粉砕域(13)に戻されることを特徴とする、上記6に記載の方法。
8.ガス流が、ふるい分け機(19)へ向けられていることを特徴とする、上記2及び上記7に記載の方法。
9.ふるい分け機(19)が、好適には調整可能な回転数で回転可能であることを特徴とする、上記7又は8に記載の方法。
10.精製を、生カオリン(R)の懸濁液を生成することなく行うことを特徴とする、上記1から9のいずれか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0039】
1 粉砕分離装置
11 ハウジング
12 供給域
13 粉砕域
14 粉砕プレート
14a プレート粉砕面
15 粉砕ローラ
15a ローラ粉砕面
16 第1の分離域
17 第2の分離域
18 そらせ板
19 ふるい分け機
19a 捕集チャンバ
19b 外壁域
R 生カオリン
D 間隙
F1 第1の分級物
F2 第2の分級物
図1