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特許7152536積層構造の製造方法、積層構造及びタッチセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】積層構造の製造方法、積層構造及びタッチセンサ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221004BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20221004BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G06F3/041 430
B32B15/08 J
G06F3/041 495
G06F3/041 660
G06F3/044 120
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021009841
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022035946
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】202010841879.8
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520384910
【氏名又は名称】カンブリオス フィルム ソリューションズ(シアメン) コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cambrios Film Solutions (Xiamen) Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ イーチェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ウェイチア
(72)【発明者】
【氏名】チュー チュンハング
(72)【発明者】
【氏名】シャオ チュンチン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ムンユン
(72)【発明者】
【氏名】ライ ツーシュアン
(72)【発明者】
【氏名】シュー ウェイチェン
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/090446(WO,A1)
【文献】特開2015-210706(JP,A)
【文献】特開2013-105275(JP,A)
【文献】特開2019-212299(JP,A)
【文献】特開2014-207283(JP,A)
【文献】特開2017-182214(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
B32B 15/08
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を準備し、
前記基板上に金属層及び銀ナノワイヤ層を配置し、
フレキソ印刷技術を適用して、前記金属層の表面又は前記銀ナノワイヤ層の表面にアンチエッチング層を印刷して、該アンチエッチング層が前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層を部分的に覆うようにし、前記アンチエッチング層が、
ワイヤパターン、
該ワイヤパターンに接続されたグリッドパターン、
前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層を被覆し、前記グリッドパターンに接続する被覆領域を含み、
エッチング技術を適用して、前記アンチエッチング層によって覆われていない前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層の部分と、その下に配置された前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層をエッチング液で除去して、前記金属層が、
前記アンチエッチング層の前記ワイヤパターンに対応する金属ワイヤ、
前記アンチエッチング層の前記グリッドパターンに対応し、前記金属ワイヤに接続する金属グリッド、
前記アンチエッチング層の前記被覆領域に対応し、前記金属グリッドに接続する金属板を含み、
前記アンチエッチング層を除去する、
積層構造の製造方法。
【請求項2】
前記銀ナノワイヤ層は、前記金属層上に配置され、前記アンチエッチング層は、前記銀ナノワイヤ層の表面に印刷される、
請求項1に記載の積層構造の製造方法。
【請求項3】
前記金属層は、前記銀ナノワイヤ層上に配置され、前記アンチエッチング層は、前記金属層の表面上に印刷される、
請求項1に記載の積層構造の製造方法。
【請求項4】
前記金属層は、化学メッキ技術を適用することによって配置される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の積層構造の製造方法。
【請求項5】
前記金属層の材料が、銅、銅-ニッケル合金、銅-鉛合金、銀、銀-ニッケル合金及び銀-鉛合金からなる群から選択される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の積層構造の製造方法。
【請求項6】
前記基板の材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COP)、無色ポリイミド(CPI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)及びポリエーテルスルホン(PES)からなる群より選択される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の積層構造の製造方法。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に配置される金属層であって、前記金属層は同一層中に
金属ワイヤ、
前記金属ワイヤに接続された金属グリッド、
前記金属グリッドに接続され金属板を含み、
前記基板上に配置される銀ナノワイヤ層であって、該銀ナノワイヤ層は、前記金属層と少なくとも部分的にオーバーラップし、
前記銀ナノワイヤ層は、前記金属グリッド及び前記金属ワイヤのパターンと同一のパターンを有する、
積層構造。
【請求項8】
前記銀ナノワイヤ層は、前記金属層上に配置される、
請求項7に記載の積層構造。
【請求項9】
前記金属層の下に配置された触媒層をさらに含む、
請求項8に記載の積層構造。
【請求項10】
前記金属層は、前記銀ナノワイヤ層上に配置される、
請求項7に記載の積層構造。
【請求項11】
前記金属層の材料が、銅、銅-ニッケル合金、銅-鉛合金、銀、銀-ニッケル合金及び銀-鉛合金からなる群から選択される、
請求項7~10のいずれか1項に記載の積層構造。
【請求項12】
前記基板の材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COP)、無色ポリイミド(CPI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)及びポリエーテルスルホン(PES) からなる群より選択される、
請求項7~11のいずれか1項に記載の積層構造。
【請求項13】
前記積層構造は、
前記金属ワイヤを含むトレース領域と、
前記金属グリッドを含む第1ラップオーバー領域と、
前記金属板を含む第2ラップオーバー領域と、
前記金属板の一方の側に隣接し、前記銀ナノワイヤ層で覆われ、前記金属板で覆われない領域を含む可視領域と、
を備え、
前記トレース領域、前記第1ラップオーバー領域及び前記第2ラップオーバー領域において、前記銀ナノワイヤ層は、前記金属層と同一のパターンを有する、
請求項7~12のいずれか1項に記載の積層構造。
【請求項14】
前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅が500μm未満であり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比が0.05以上20以下である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項15】
前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅が0.5mm以上1.0mm以下であり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比が0.03以上35以下である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項16】
前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅が1.0mm以上1.5mm以下であり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比が0.02以上50以下である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項17】
前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅が1.5mm以上2.5mm以下であり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比が0.01以上100以下である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項18】
前記トレース領域の幅に対する前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅の比が2:1であり、前記金属層が1~50本の金属ワイヤからなり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比が0.05~20である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項19】
前記トレース領域の幅に対する前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅の比が1:1であり、前記金属層が10~100本の金属ワイヤを含み、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比が0.03~35である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項20】
前記トレース領域の幅に対する前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅の比が3:1であり、前記金属層が1~50本の金属ワイヤからなり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比が0.02~50である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項21】
前記金属ワイヤのピッチに対する前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドのピッチは0.1~10倍であり、前記金属ワイヤの線幅に対する前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドの線幅は0.1~5倍である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項22】
前記金属ワイヤのピッチが20μm、線幅が10μm、線間隔が10μmであり、前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドのピッチが2μm~200μm、線幅が2μm~50μm程度である、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項23】
前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドの線幅/線間隔は、5μm/5μm、10μm/5μm、15μm/5μm、20μm/5μm、40μm/5μm、50μm/5μm、50μm/150μm、40μm/150μm、30μm/150μm又は20μm/150μmである、
請求項22に記載の積層構造。
【請求項24】
前記金属ワイヤは、40μmのピッチ、20μmの線幅及び20μmの線間隔を有し、前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドは、4μm~400μmのピッチ及び4μm~100μm程度の線幅を有する、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項25】
前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドの線幅/線間隔は、20μm/5μm、40μm/5μm、80μm/5μm、100μm/5μm、20μm/80μm、40μm/60μm、100μm/200μm又は100μm/300μmである、
請求項24に記載の積層構造。
【請求項26】
前記金属ワイヤは、3μmから30μmの線幅、及び3μmから30μmの線間隔を有する、
請求項13に記載の積層構造。
【請求項27】
前記基板上に配置されたボンディングパッドをさらに備え、
前記ボンディングパッドは、
前記基板上に配置されたボンディング金属層及びボンディングナノワイヤ層を含み、
前記ボンディング金属層は、
ボンディング金属グリッドと、
前記ボンディング金属グリッドに接続されたボンディング金属板と、
を含む、
請求項13~26のいずれか1項に記載の積層構造。
【請求項28】
積層構造であって、
基板と、
前記基板上に配置される金属層であって、
金属ワイヤ、
前記金属ワイヤに接続された金属グリッド、
前記金属グリッドに接続され金属板を同一層中に含む金属層と、
前記基板上に配置される銀ナノワイヤ層であって、前記金属層と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層と、を含む積層構造と、
前記積層構造の前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層上に配置される被覆層と、
を備え
前記銀ナノワイヤ層は、前記金属グリッド及び前記金属ワイヤのパターンと同一のパターンを有する、
タッチセンサ。

【請求項29】
前記積層構造において前記基板の下に配置される第2金属層であって、
第2金属ワイヤと、
前記第2金属ワイヤに接続された第2金属グリッドと、
前記第2金属グリッドに接続された第2金属板とを含む、前記第2金属層と、
前記基板の下に配置される第2銀ナノワイヤ層であって、前記第2金属層と少なくとも部分的にオーバーラップする、第2銀ナノワイヤ層と、
前記第2金属層及び前記第2銀ナノワイヤ層の下に配置される第2被覆層と、
をさらに備える、
請求項28に記載のタッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層構造の製造方法に関し、特に、フレキソ印刷技術を適用して積層構造を製造する方法に関する。本開示はまた、積層構造に関し、特に、金属グリッドと金属板とを有する金属層を含む積層構造に関する。本開示はまた、タッチセンサ、特に積層構造を含むタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
銀ナノワイヤ及び金属層を含む積層構造をタッチセンサに適用することができる。従来の積層構造の製造方法は、銅及びナノ銀の存在下でフォトリソグラフィにより1回のエッチング処理を行い、トレース領域(trace area)TA及び可視領域(visual area)VAを画定するものであったが、この積層構造の製造方法を適用して作製した従来の積層構造を図1図2及び図3に示す。図1及び図2を参照すると、従来の積層構造10は、基板11と、基板11上に配置された金属層13であって、金属シート131、金属ワイヤ132を含む金属層13と、金属層13上に配置された銀ナノワイヤ層14とを備える。さらに、図3に示す従来の積層構造の別の実施形態では、従来の積層構造10は、基板11と金属層13との間に配置された触媒層12をさらに備える。従来の積層構造は、金属ワイヤ132を含むトレース領域TAと、金属ワイヤ132に相対的に隣接する金属シート131内の領域を含む第1ラップオーバー領域15と、金属ワイヤ132から比較的離れた金属シート131内の領域を含む第2ラップオーバー領域16と、金属シート131の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層14で覆われ、金属シート131で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。
【0003】
従来の積層構造の製造方法を適用して形成された積層構造では、第1ラップオーバー領域15及び第2ラップオーバー領域16はいずれも表面全体の(すなわち、均一な又は連続的な)固体銅(solid copper)からなるため、工程が比較的煩雑で高価である。したがって、新たな、積層構造の製造方法、積層構造、及びタッチパネルを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の積層構造の製造方法に存在する比較的煩雑で高価である問題を改善するために、本開示の主な目的は、新たな、積層構造の製造方法、積層構造及びタッチセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的及び他の目的を達成するために、本開示は、基板を準備し、前記基板上に金属層及び銀ナノワイヤ層を配置し、フレキソ印刷技術を適用して、前記金属層の表面又は前記銀ナノワイヤ層の表面にアンチエッチング層を印刷して、該アンチエッチング層が前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層を部分的に覆うようにし、前記アンチエッチング層が、ワイヤパターン、該ワイヤパターンに接続されたグリッドパターン、前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層を被覆し、前記グリッドパターンに接続する被覆領域を含み、エッチング技術を適用して、前記アンチエッチング層によって覆われていない前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層の部分と、その下に配置された前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層をエッチング液で除去して、前記金属層が、前記アンチエッチング層の前記ワイヤパターンに対応する金属ワイヤ、前記アンチエッチング層の前記グリッドパターンに対応し、前記金属ワイヤに接続する金属グリッド、前記アンチエッチング層の前記被覆領域に対応し、前記金属グリッドに接続する金属板を含み、前記アンチエッチング層を除去する、積層構造の製造方法を提供する。
【0006】
前記製造方法において、前記銀ナノワイヤ層は、前記金属層上に配置されてもよく、前記アンチエッチング層は、前記銀ナノワイヤ層の表面に印刷されてもよい。
【0007】
前記製造方法において、前記金属層は、化学メッキ技術を適用して配置され得る。
【0008】
前記製造方法において、金属層は、銀ナノワイヤ層上に配置され得、アンチエッチング層は、金属層の表面上に印刷され得る。
【0009】
前記製造方法において、金属層の材料は、銅、銅-ニッケル合金、銅-鉛合金、銀、銀-ニッケル合金、銀-鉛合金からなる群から選択され得る。
【0010】
前記製造方法において、前記基材の材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COP)、無色ポリイミド(CPI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)からなる群から選択されていてもよい。
【0011】
上記の目的及び他の目的を達成するために、本開示は、基板と、前記基板上に配置される金属層であって、前記金属層は、金属ワイヤ、前記金属ワイヤに接続された金属グリッド、前記金属グリッドに接続され金属板を含み、前記基板上に配置される銀ナノワイヤ層であって、該銀ナノワイヤ層は、前記金属層と少なくとも部分的にオーバーラップする、積層構造を提供する。
【0012】
前記積層構造において、前記銀ナノワイヤ層は、前記金属層上に配置されてもよい。
【0013】
前記積層構造は、前記金属層の下に配置された触媒層をさらに含むことができる。
【0014】
前記積層構造において、前記金属層は、前記銀ナノワイヤ層上に配置されてもよい。
【0015】
前記積層構造において、金属層の材料は、銅、銅-ニッケル合金、銅-鉛合金、銀、銀-ニッケル合金、銀-鉛合金からなる群から選択することができる。
【0016】
前記積層構造において、前記基板の材料が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COP)、無色ポリイミド(CPI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)及びポリエーテルスルホン(PES)からなる群より選択され得る。
【0017】
前記積層構造において、前記積層構造は、前記金属ワイヤを含むトレース領域と、前記金属グリッドを含む第1ラップオーバー領域と、前記金属板を含む第2ラップオーバー領域と、前記金属板の一方の側に隣接し、前記銀ナノワイヤ層で覆われ、前記金属板で覆われない領域を含む可視領域と、を備えていてもよい。前記トレース領域、前記第1ラップオーバー領域及び前記第2ラップオーバー領域において、前記銀ナノワイヤ層は、前記金属層に対応するパターンを有していてもよい。
【0018】
前記積層構造において、前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅は500μm未満であってもよく、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比は、0.05以上20以下であってもよい。
【0019】
前記積層構造において、前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅は、0.5mm以上1.0mm以下であってもよい。前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比は、0.03以上35以下であってもよい。
【0020】
前記積層構造において、前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅は、1.0mm以上1.5mm以下であってもよい。前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比は、0.02以上50以下であってもよい。
【0021】
前記積層構造において、前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅は、1.5mm以上2.5mm以下であってもよい。前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比は、0.01以上100以下であってもよい。
【0022】
前記積層構造において、前記トレース領域の幅に対する前記第1ラップオーバー領域及び前記第2ラップオーバー領域の合計幅の比は2:1であり、前記金属層は1~50本の金属ワイヤからなり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅の比は0.05~20である。
【0023】
前記積層構造において、前記トレース領域の幅に対する前記第1ラップオーバー領域と前記第2ラップオーバー領域との合計幅の比は1:1であり、前記金属層は10~100本の金属ワイヤからなり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅との比は0.03~35である。
【0024】
前記積層構造において、前記トレース領域の幅に対する前記第1ラップオーバー領域及び前記第2ラップオーバー領域の合計幅の比は3:1であり、前記金属層は1~50本の金属ワイヤからなり、前記第1ラップオーバー領域の幅と前記第2ラップオーバー領域の幅の比は0.02~50である。
【0025】
前記積層構造において、前記金属ワイヤのピッチに対する前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドのピッチは0.1~10倍であり、前記金属ワイヤの線幅に対する前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドの線幅は0.1~5倍であり得る。
【0026】
前記積層構造において、前記金属ワイヤのピッチは20μm、線幅は10μm、線間隔は10μmであり、前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドのピッチは2μm~200μm、線幅は2μm~50μm程度である。
【0027】
前記積層構造において、前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドの線幅/線間隔は、5μm/5μm、10μm/5μm、15μm/5μm、20μm/5μm、40μm/5μm、50μm/5μm、50μm/150μm、40μm/150μm、30μm/150μm又は20μm/150μmであり得る。
【0028】
前記積層構造において、前記金属ワイヤは、40μmのピッチ、20μmの線幅及び20μmの線間隔を有し、前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドは、4μm~400μmのピッチ及び4μm~100μm程度の線幅を有する。
【0029】
前記積層構造において、前記第1ラップオーバー領域の前記金属グリッドの線幅/線間隔は、20μm/5μm、40μm/5μm、80μm/5μm、100μm/5μm、20μm/80μm、40μm/60μm、100μm/200μm又は100μm/300μmであり得る。
【0030】
前記積層構造において、前記金属ワイヤは、3μmから30μmの線幅、及び3μmから30μmの線間隔を有する。
【0031】
前記積層構造は、前記基板上に配置されたボンディングパッドをさらに備え、前記ボンディングパッドは、前記基板上に配置されたボンディング金属層を含み、前記ボンディング金属層は、ボンディング金属グリッドと、前記ボンディング金属グリッドに接続されたボンディング金属板と、前記基板上に配置されたボンディング銀ナノワイヤ層と、を含み得る。
【0032】
また、上記の目的及び他の目的を達成するために、本開示は、上記積層構造と、上記積層構造の前記金属層又は前記銀ナノワイヤ層上に配置される被覆層と、を備えたタッチセンサを提供する。
【0033】
前記タッチセンサは、上記積層構造において前記基板の下に配置される第2金属層であって、第2金属ワイヤと、前記第2金属ワイヤに接続された第2金属グリッドと、前記第2金属グリッドに接続された第2金属板とを含む、前記第2金属層と、前記基板の下に配置される第2銀ナノワイヤ層であって、前記第2金属層と少なくとも部分的にオーバーラップする、第2銀ナノワイヤ層と、前記第2金属層及び前記第2銀ナノワイヤ層の下に配置される第2被覆層と、をさらに備える。
【0034】
本開示の積層構造の製造方法は、異なるパターンデザインを有する第1ラップオーバー領域及び第2ラップオーバー領域を効果的に確定して、差別化された特別な積層デザインを形成することができ、露光及び現像プロセスを省き、両面露光の問題を解決し、廃水処理を低減し、性能を改善するためのコストを低減することができる。
【0035】
本開示の積層構造及び該積層構造を備えるタッチセンサは、金属原料の消費量を低減することができ、積層構造及び該積層構造を備えるタッチセンサの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来の積層構造の概略図である。
【0037】
図2】従来の積層構造の概略断面図である。
【0038】
図3】別の実施形態の従来の積層構造の概略断面図である。
【0039】
図4】本開示の積層構造を製造する方法のフローシートである。
【0040】
図5】例示的なフレキソ印刷技術の概略図である。
【0041】
図6】本開示の実施形態2に係る積層構造の概略図である。
【0042】
図7】本開示の実施形態2に係るA-A断面に沿った積層構造の概略断面図である。
【0043】
図8】本開示の実施形態2におけるB-B断面に沿った積層構造の概略断面図である。
【0044】
図9】本開示の実施形態3に係る積層構造の概略図である。
【0045】
図10】本開示の実施形態3に係るA-A断面に沿った積層構造の概略断面図である。
【0046】
図11】本開示の実施形態3に係るB-B断面に沿った積層構造の概略断面図である。
【0047】
図12】本開示の実施形態3に係るC-C断面に沿った積層構造の概略断面図である。
【0048】
図13】本開示の実施形態4に係るタッチセンサの概略図である。
【0049】
図14】本開示の実施形態4に係るA-A断面に沿った積層構造の概略断面図である。
【0050】
図15】本開示の実施形態4に係るB-B断面に沿った積層構造の概略断面図である。
【0051】
図16】本開示の実施形態5に係るタッチセンサ及びその製造方法の概略図である。
【0052】
図17】本開示の実施形態6に係るタッチセンサ及びその製造方法の概略図である。
【0053】
図18】本開示の実施形態7に係るタッチセンサ及びその製造方法の概略図である。
【0054】
図19】本開示の実施形態8に係るタッチセンサ及びその製造方法の概略図である。
【0055】
図20】本開示の実施形態9に係るタッチセンサ及びその製造方法の概略図である。
【0056】
図21】本開示の実施形態10に係るタッチセンサ及びその製造方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の実施は、以下の特定の実施形態によって例示され、当業者は、本明細書に開示された内容によって本発明の他の利点及び効果を理解することができる。本発明はまた、他の実施形態によって実施又は適用されてもよく、本明細書における詳細はまた、種々の修正及び変形のために本発明の精神から逸脱することなく、異なる見解及び適用に基づいてもよい。
【0058】
ここで別段の記載がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される「a」及び「the」の単数形は、複数の意味を含む。
【0059】
ここで別段の記載がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される「又は」の技術用語は、「又は/及び」の意味を含む。
【0060】
ここで、第1ラップオーバー領域及び第2ラップオーバー領域の「幅」とは、図7に示すように、A-A断面における第1ラップオーバー領域及び第2ラップオーバー領域の幅を示す。
【0061】
ここでいう「ピッチ」とは、金属ワイヤ(metallic wire)の中心軸と隣接する他の金属ワイヤの中心軸との最短距離、又は、金属線(metallic line)の中心軸と金属グリッド内の隣接する他の金属線の中心軸との最短距離を意味する。
【0062】
ここで、「線間隔(line space)」とは、金属ワイヤの端部と隣接する他の金属ワイヤの端部との間の最短距離、又は、金属線の端部と金属グリッド内の隣接する他の金属線の端部との間の最短距離を意味する。

実施形態1
【0063】
図4は、本開示の実施形態1に係る積層構造の製造方法1のフローシートである。図4に示すように、本開示の実施形態1に係る積層構造の製造方法1は、S1:基板を準備する、S2:基板上に金属層及び銀ナノワイヤ層を配置する、S3:フレキソ印刷技術を適用して、金属層又は銀ナノワイヤ層の表面にアンチエッチング層を印刷して、アンチエッチング層が金属層又は銀ナノワイヤ層を部分的に覆うようにし、アンチエッチング層が、ワイヤパターン、ワイヤパターンに接続されたグリッドパターン、金属層又は銀ナノワイヤ層を被覆し、グリッドパターンに接続する被覆領域を含み、S4:エッチング技術を適用して、アンチエッチング層によって覆われていない金属層又は銀ナノワイヤ層の部分と、その下に配置された金属層又は銀ナノワイヤ層をエッチング液で除去して、金属層が、アンチエッチング層のワイヤパターンに対応する金属ワイヤ、アンチエッチング層のグリッドパターンに対応し、金属ワイヤに接続する金属グリッド、アンチエッチング層の被覆領域に対応し、金属グリッドに接続する金属板を含み、S5:アンチエッチング層を除去する。
【0064】
本実施形態の製造方法1において、ステップS1で用いる基板の材料は特に限定されない。例えば、適切な材料は、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COP)、無色ポリイミド(CPI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び/又はポリエーテルスルホン(PES)を含む。
【0065】
本実施形態の製造方法1において、ステップS2は、基板上に金属層及び銀ナノワイヤ層を配置するための従来技術を適用する。例えば、化学メッキ技術、スパッタリング技術、又はフォトリソグラフィ技術を適用することによって、金属層を基板上に配置することができる。例えば、銀ナノワイヤ層は、コーティングによって基板上に配置することができ、金属層と銀ナノワイヤ層との相対位置は、特に限定されない。一実施形態では、銀ナノワイヤ層は、金属層上に配置される。また、別の実施形態では、金属層は、銀ナノワイヤ層上に配置される。金属層の組成は、適切な導電性を有するものであれば特に限定されない。例えば、金属層の材料は、銅、銅-ニッケル合金、銅-鉛合金、銀、銀-ニッケル合金、及び/又は銀-鉛合金であってもよいが、本開示はこれらに限定されない。
【0066】
本実施形態の製造方法1において、ステップS3は、従来のフレキソ印刷技術を適用して、金属層又は銀ナノワイヤ層上にアンチエッチング層を印刷する。ステップS3において、アンチエッチング層の材料は、後のステップS4において、アンチエッチング層に覆われた金属層又は銀ナノワイヤ層の一部がエッチング液によってエッチングされないことが保証される限り、特に限定されない。
【0067】
本実施形態の製造方法1において、ステップS4は、従来のエッチング技術を適用して、アンチエッチング層によって覆われていない金属層又は銀ナノワイヤ層の部分及びその下に配置された金属層又は銀ナノワイヤ層をエッチング液で除去する。なお、ステップS4で用いるエッチング液は、アンチエッチング層で覆われていない金属層又は銀ナノワイヤ層の部分と、その下に配置された金属層又は銀ナノワイヤ層を1回のエッチング又は2回のエッチングで除去できるものであれば、特に限定されない。
【0068】
本実施形態の製造方法1において、ステップS3で印刷されたアンチエッチング層は、ワイヤパターン、ワイヤパターンに接続されたグリッドパターン、金属層又は銀ナノワイヤ層を被覆し、グリッドパターンに接続する被覆領域を含み、次のステップS4のエッチング後の金属層が、アンチエッチング層のワイヤパターンに対応する金属ワイヤ、アンチエッチング層のグリッドパターンに対応し、金属ワイヤに接続する金属グリッド、アンチエッチング層の被覆領域に対応し、金属グリッドに接続する金属板を含む。以上の技術的手段により、本実施形態の製造方法1による積層構造は、以下の実施形態2、実施形態3又は実施形態4で説明するような構造とすることができ、タッチセンサに適用することができる。
【0069】
図5は、本実施形態の製造方法のステップS3で適用したフレキソ印刷技術を示しているが、これに限定されるものではない。図5に示すように、フレキソ印刷技術は、インク供給源2を用いてアニロックスローラ3にインク滴を追加した後、スクレーパ(ドクターブレード)4によりアニロックスローラ3から余剰インクを掻き取る。次に、アニロックスローラ3上のインクを版胴5上のフレキソ板6に転写する。最後に、フレキソ板6上のインクを被印刷体7に転写し、被印刷体7に所望のパターンを印刷する。

実施形態2
【0070】
図6図7及び図8は、本開示の実施形態2の積層構造20の概略図である。図6図7及び図8に示すように、本実施形態の積層構造20は、基板21(図6には示されていない)、基板21上に配置された金属層22と、基板21上に配置された銀ナノワイヤ層23であって、金属層22と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層23とを備えている。金属層22は、金属ワイヤ221と、金属ワイヤ221に接続された金属グリッド222と、金属グリッド222に接続された金属板223とを含む。
【0071】
本実施形態の積層構造20は、金属ワイヤ221を含むトレース領域TAと、金属グリッド222を含む第1ラップオーバー領域25と、金属板223を含む第2ラップオーバー領域26と、金属板223の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層23で覆われ、金属板223で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域25及び第2ラップオーバー領域26において、銀ナノワイヤ層23は、金属層22に対応するパターンを有する。
【0072】
本実施形態では、積層構造20の銀ナノワイヤ層23は、金属層22上に配置されるが、本開示はこれに限定されない。別の実施形態では、金属層22が、銀ナノワイヤ層23上に配置されてもよい。すなわち、本開示の積層構造20における金属層22と銀ナノワイヤ層23との相対位置を交換することができる。
【0073】
本実施形態では、積層構造20の基板21の材料は特に限定されない。例えば、適切な材料は、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、環状オレフィンコポリマー(COP)、無色ポリイミド(CPI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び/又はポリエーテルスルホン(PES)を含む。
【0074】
本実施形態では、積層構造20の金属層22の構成は、適切な導電性を有するものであれば特に限定されない。例えば、金属層22の材料は、銅、銅-ニッケル合金、銅-鉛合金、銀、銀-ニッケル合金、及び/又は銀-鉛合金とすることができるが、本開示はこれらに限定されない。
【0075】
一実施形態では、本実施形態の積層構造20の第1ラップオーバー領域25と第2ラップオーバー領域26との合計幅は500μm未満であり、第1ラップオーバー領域25の幅と第2ラップオーバー領域26の幅との比は0.05~20である。
【0076】
一実施形態では、本実施形態の積層構造20の第1ラップオーバー領域25と第2ラップオーバー領域26との合計幅は0.5mm~1.0mmであり、第1ラップオーバー領域25の幅と第2ラップオーバー領域26の幅との比は0.03~35である。
【0077】
一実施形態では、本実施形態の積層構造20の第1ラップオーバー領域25と第2ラップオーバー領域26との合計幅は1.0mm~1.5mmであり、第1ラップオーバー領域25の幅と第2ラップオーバー領域26の幅との比は0.02~50である。
【0078】
一実施形態では、本実施形態の積層構造20の第1ラップオーバー領域25と第2ラップオーバー領域26との合計幅は1.5mm~2.5mmであり、第1ラップオーバー領域25の幅と第2ラップオーバー領域26の幅との比は0.01~100である。
【0079】
一実施形態では、第1ラップオーバー領域25及び第2ラップオーバー領域26の合計幅と、実施形態の積層構造20のトレース領域TAの幅との比は、2:1であり、金属層22は、1~50本の金属ワイヤ221を含み、第1ラップオーバー領域25の幅と第2ラップオーバー領域26の幅との比は、0.05~20である。
【0080】
一実施形態では、第1ラップオーバー領域25及び第2ラップオーバー領域26の合計幅と、実施形態の積層構造20のトレース領域TAの幅との比は、1:1であり、金属層22は、10~100本の金属ワイヤ221を含み、第1ラップオーバー領域25の幅と、第2ラップオーバー領域26の幅との比は、0.03~35である。
【0081】
一実施形態では、第1ラップオーバー領域25及び第2ラップオーバー領域26の合計幅と、実施形態の積層構造20のトレース領域TAの幅との比は、3:1であり、金属層22は、1~50本の金属ワイヤ221を含み、第1ラップオーバー領域25の幅と第2ラップオーバー領域26の幅との比は、0.02~50である。
【0082】
一実施形態では、本実施形態の積層構造20の金属ワイヤ221のピッチに対する、第1ラップオーバー領域25の金属グリッド222のピッチは、0.1~10倍であり、金属ワイヤ221の線幅に対する、第1ラップオーバー領域25の金属グリッド222の線幅は、0.1~5倍である。
【0083】
一実施形態では、本実施形態の積層構造20の金属ワイヤ221は、20μmのピッチ、10μmの線幅及び10μmの線間隔を有し、第1ラップオーバー領域25の金属グリッド222は、2μm~200μmのピッチ及び約2μm~50μmの線幅を有する。
【0084】
一実施形態では、実施形態の積層構造20の第1ラップオーバー領域25の金属グリッド222の線幅/線間隔は、5μm/5μm、10μm/5μm、15μm/5μm、20μm/5μm、40μm/5μm、50μm/5μm、50μm/150μm、40μm/150μm、30μm/150μm、又は20μm/150μmである。
【0085】
一実施形態では、本実施形態の積層構造20の金属ワイヤ221は、40μmのピッチ、20μmの線幅及び20μmの線間隔を有し、第1ラップオーバー領域25の金属グリッド222は、4μm~400μmのピッチ及び約4μm~100μmの線幅を有する。
【0086】
一実施形態では、実施形態の積層構造20の第1ラップオーバー領域25の金属グリッド222の線幅/線間隔は、20μm/5μm、40μm/5μm、80μm/5μm、100μm/5μm、20μm/80μm、40μm/60μm、100μm/200μm又は100μm/300μmである。
【0087】
一実施形態によると、本実施形態の積層構造20の金属ワイヤ221は、線幅が3μm~30μmであり、線間隔が3μm~30μmである。
【0088】
一実施形態では、積層構造20を備えるタッチセンサの信頼性は、第1ラップオーバー領域25と第2ラップオーバー領域26の合計幅を特定の範囲に制御することによってさらに向上させることができるが、これに限定されるものではない。第1ラップオーバー領域25と第2ラップオーバー領域26との合計幅は、積層構造20のサイズに基づいて当業者が適宜調整することができる。
【0089】
一実施形態では、積層構造20を備えるタッチセンサの信頼性は、トレース領域TAの幅に対する第1ラップオーバー領域25及び第2ラップオーバー領域26の合計幅の比を特定の範囲に制御することにより、さらに向上させることができるが、これに限定されるものではない。なお、第1ラップオーバー領域25及び第2ラップオーバー領域26の合計幅とトレース領域TAの幅との比は、積層構造20のサイズに基づいて、当業者が適宜調整することができる。
【0090】
例えば、本実施形態の積層構造20は、実施形態1で説明した製造方法1によって製造することができるが、これに限定されるものではない。

実施形態3
【0091】
図9図10図11及び図12は、本開示の実施形態3の積層構造30の概略図である。図9図10図11及び図12に示すように、本実施形態の積層構造30は、基板31(図9には示されていない)と、基板31上に配置された金属層32と、基板31上に配置された銀ナノワイヤ層33であって、金属層32と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層33とを備えている。金属層32は、金属ワイヤ321と、金属ワイヤ321に接続された金属グリッド322と、金属グリッド322に接続された金属板323とを含む。
【0092】
本実施形態の積層構造30は、金属ワイヤ321を含むトレース領域TAと、金属グリッド322を含む第1ラップオーバー領域35と、金属板323を含む第2ラップオーバー領域36、金属板323の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層33で覆われ、金属板323で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域35及び第2ラップオーバー領域36において、銀ナノワイヤ層33は、金属層32に対応するパターンを有する。
【0093】
実施形態2と比較して、本実施形態の積層構造30は、触媒層333(図9には示されていない)をさらに備え、金属層32の下方に配置されている。
【0094】
本実施形態の触媒層333を組み込んだ状態で、化学メッキ技術を適用して金属層32を触媒層333上にメッキし、金属層32を触媒層333上に配置する。
【0095】
実施形態2と比較して、本実施形態の積層構造30は、基板31上に配置されたボンディングパッド39をさらに備える。ボンディングパッド39は、基板31上に配置されたボンディング金属層32’と、基板31上に配置されたボンディング銀ナノワイヤ層33’とを備える。ボンディング金属層32’は、ボンディング金属グリッド322’と、ボンディング金属グリッド322’に接続されたボンディング金属板323’とを含む。
【0096】
本実施形態のボンディングパッド39は、外部回路を接続するためのコンタクトであってもよい。

実施形態4
【0097】
図13図14及び図15は、本開示の実施形態4の積層構造40の概略図である。図13図14及び図15に示すように、本実施形態の積層構造40は、基板41(図13には示されていない)と、基板41上に配置された金属層42と、基板41上に配置された銀ナノワイヤ層43であって、金属層42と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層43とを備えている。金属層42は、金属ワイヤ421と、金属ワイヤ421に接続された金属グリッド422と、金属グリッド422に接続された金属板423とを含む。
【0098】
本実施形態の積層構造40は、金属ワイヤ421を含むトレース領域TAと、金属グリッド422を含む第1ラップオーバー領域45と、金属板423を含む第2ラップオーバー領域46と、金属板423の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層43で覆われ、金属板423で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域45及び第2ラップオーバー領域46において、銀ナノワイヤ層43は、金属層42に対応するパターンを有する。
【0099】
実施形態2と比較して、実施形態の積層構造40の金属層42は、銀ナノワイヤ層43上に配置される。

実施形態5
【0100】
図16は、本開示の実施形態5に係るタッチセンサ50’及びその製造方法の概略図である。図16のトップダウン順に、1.基板51上に銀ナノワイヤ層53及び金属層52を配置した後の概略図、2.銀ナノワイヤ層53の表面にアンチエッチング層54を印刷した後の概略図、3.アンチエッチング層54によっておおわれていない銀ナノワイヤ層53と、その下に配置された金属層52をエッチング液で除去した後の部分Dの概略図、4.銀ナノワイヤ層53上に被覆層57を配置した後の部分Dの概略図である。図16に示すように、本実施形態のタッチセンサ50’は、実施形態2で説明した積層構造50を有している。
【0101】
本実施形態のタッチセンサ50’の積層構造50は、基板51と、基板51上に配置された金属層52と、基板51上に配置された銀ナノワイヤ層53であって、金属層52と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層53とを備える。金属層52は、金属ワイヤ521と、金属ワイヤ521に接続された金属グリッド522と、金属グリッド522に接続された金属板523とを含む。この実施形態では、銀ナノワイヤ層53は、金属層52上に配置される。
【0102】
本実施形態の積層構造50は、金属ワイヤ521を含むトレース領域TAと、金属グリッド522を含む第1ラップオーバー領域55と、金属板523を含む第2ラップオーバー領域56と、金属板523の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層53で覆われ、金属板523で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。領域トレース領域TA、第1ラップオーバー領域55及び第2ラップオーバー領域56において、銀ナノワイヤ層53は、金属層52に対応するパターンを有する。
【0103】
実施形態2と比較して、本実施形態のタッチセンサ50’は、銀ナノワイヤ層53上に配置された被覆層57をさらに含む。
【0104】
図16に示されるように、本実施形態のタッチセンサ50’を製造するための例示的なプロセスは、
基板51を準備し、
基板51上に金属層52及び銀ナノワイヤ層53を配置し、銀ナノワイヤ層53は、金属層52上に配置され、
フレキソ印刷技術を適用して、銀ナノワイヤ層53の表面にアンチエッチング層54を印刷して、アンチエッチング層54が銀ナノワイヤ層53を部分的に覆うようにし、アンチエッチング層54が、ワイヤパターン541と、ワイヤパターン541に接続されたグリッドパターン542と、銀ナノワイヤ層53を被覆し、グリッドパターン542に接続する被覆領域543とを含み、
エッチング技術を適用して、アンチエッチング層54で覆われていない銀ナノワイヤ層53の部分と、その下に配置された金属層52をエッチング液で除去し、金属層52が、アンチエッチング層54のワイヤパターン541に対応する金属ワイヤ521と、アンチエッチング層54のグリッドパターン542に対応し、金属ワイヤ521に接続する金属グリッド522と、アンチエッチング層54の被覆領域543に対応し、金属グリッド522に接続する金属板523とを含み、
アンチエッチング層54を除去し、被覆層57を銀ナノワイヤ層53上に配置する、
ことを含む。

実施形態6
【0105】
図17は、本開示の実施形態6に係るタッチセンサ60’及びその製造方法の概略図である。図17のトップダウン順に、1.基板61上に銀ナノワイヤ層63及び金属層62を配置し、基板61の下に第2銀ナノワイヤ層63’及び第2金属層62’を配置した後の概略図、2.銀ナノワイヤ層63の表面にアンチエッチング層64を印刷し、第2銀ナノワイヤ層63’の表面に第2アンチエッチング層64’を印刷した後の概略図、3.エッチング液によって、アンチエッチング層64によって覆われていない銀ナノワイヤ層63の部分と、その下に配置された金属層62を除去するとともに、第2アンチエッチング層64’によって覆われていない第2銀ナノワイヤ層63’と、その上に配置された第2金属層62’を除去した後の部分Eの概略図、4.銀ナノワイヤ層63上に被覆層67を配置し、第2銀ナノワイヤ層63’の下に第2被覆層67’を配置した後の部分Eの概略図である。実施形態5と比較して、本実施形態のタッチセンサの基板61の両面は、実施形態2で説明した積層構造60を有している。
【0106】
本実施形態のタッチセンサ60’の積層構造60は、基板61、基板61上に配置された金属層62と、基板61上に配置された銀ナノワイヤ層63であって、金属層62と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層63とを備える。金属層62は、金属ワイヤ621と、金属ワイヤ621に接続された金属グリッド622と、金属グリッド622に接続された金属板623とを含む。この実施形態では、銀ナノワイヤ層63は、金属層62上に配置される。
【0107】
本実施形態の積層構造60は、金属ワイヤ621を含むトレース領域TAと、金属グリッド622を含む第1ラップオーバー領域65と、金属板623を含む第2ラップオーバー領域66と、金属板623の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層63で覆われ、金属板623で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域65及び第2ラップオーバー領域66において、銀ナノワイヤ層63は、金属層62に対応するパターンを有する。
【0108】
実施形態2と比較して、本実施形態のタッチセンサ60’は、銀ナノワイヤ層63上に配置された被覆層67をさらに含む。
【0109】
実施形態5と比較して、本実施形態のタッチセンサ60’は、基板61の下方に配置された第2金属層62’と、基板61の下に配置された第2銀ナノワイヤ層63’であって、第2金属層62’と少なくとも部分的に重なる第2銀ナノワイヤ層63’とをさらに備える。第2金属層62’は、第2金属ワイヤ621’と、第2金属ワイヤ621’に接続された第2金属グリッド622’と、第2金属グリッド622’に接続された第2金属板623’とを含む。この実施形態では、第2銀ナノワイヤ層63’は、第2金属層62'の下に配置される。第2被覆層67’は、第2銀ナノワイヤ層63’の下に配置される。
【0110】
図17に示されるように、本実施形態のタッチセンサ60’を製造するための例示的なプロセスは、
基板61を準備し、
基板61上に金属層62及び銀ナノワイヤ層63を配置し、銀ナノワイヤ層63が金属層62上に配置され、基板61の下に第2金属層62’及び第2銀ナノワイヤ層63’を配置し、第2銀ナノワイヤ層63’が第2金属層62’の下に配置され、
フレキソ印刷技術を適用して、銀ナノワイヤ層63の表面にアンチエッチング層64を印刷して、アンチエッチング層64が銀ナノワイヤ層63を部分的に覆うようにし、アンチエッチング層64が、ワイヤパターン641と、ワイヤパターン641に接続されたグリッドパターン642と、銀ナノワイヤ層63を被覆し、グリッドパターン642に接続する被覆領域643とを含み、かつ、第2銀ナノワイヤ層63’の表面に第2アンチエッチング層64’を印刷して、第2アンチエッチング層64’が第2銀ナノワイヤ層63’を部分的に覆うようにし、第2アンチエッチング層64’が、第2ワイヤパターン641’と、第2ワイヤパターン641’に接続された第2グリッドパターン642’と、第2銀ナノワイヤ層63’を被覆し、第2グリッドパターン642’に接続する第2被覆領域643’とを含み、
エッチング技術を適用して、アンチエッチング層64で覆われていない銀ナノワイヤ層63の部分と、その下に配置された金属層62をエッチング液で除去し、金属層62が、アンチエッチング層64のワイヤパターン641に対応する金属ワイヤ621と、アンチエッチング層64のグリッドパターン642に対応し、金属ワイヤ621に接続する金属グリッド622と、アンチエッチング層64の被覆領域643に対応し、金属グリッド622と接続する金属板623とを含み、かつ、第2アンチエッチング層64’で覆われていない第2銀ナノワイヤ層63’の部分と、その上に配置された第2金属層62’をエッチング液で除去し、第2金属層62’が、第2アンチエッチング層64’の第2ワイヤパターン641’に対応する第2金属ワイヤ621’と、第2アンチエッチング層64’の第2グリッドパターン642’に対応し、第2金属ワイヤ621’に接続する第2金属グリッド622’と、第2アンチエッチング層64’の第2被覆領域643’に対応し、第2金属グリッド622’と接続する第2金属板623’とを含み、
アンチエッチング層64及び第2アンチエッチング層64’を除去し、被覆層67を銀ナノワイヤ層63上に配置するとともに、第2被覆層67’を第2銀ナノワイヤ層63’の下に配置する、
ことを含む。

実施形態7
【0111】
図18は、本開示の実施形態7に係るタッチセンサ70’及びその製造方法の概略図である。図18のトップダウン順は、1.基板71上に銀ナノワイヤ層73、金属層72及び触媒層733を配置した後の概略図、2.銀ナノワイヤ層73の表面にアンチエッチング層74を印刷した後の概略図、3.アンチエッチング層74によって覆われていない銀ナノワイヤ層73の部分と、その下に配置された金属層72をエッチング液で除去した後の部分Fの概略図、4.銀ナノワイヤ層73上に被覆層77を配置した後の部分Fの概略図である。図18に示すように、本実施形態のタッチセンサ70’は、実施形態3で説明した積層構造70を有しているが、ボンディングパッド39は省略されている。
【0112】
本実施形態のタッチセンサ70’の積層構造70は、基板71と、基板71上に配置された金属層72と、基板71上に配置された銀ナノワイヤ層73であって、金属層72と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層73とを備える。金属層72は、金属ワイヤ721と、金属ワイヤ721に接続された金属グリッド722と、金属グリッド722に接続された金属板723と、金属層72の下方に配置された触媒層733とを含む。この実施形態では、銀ナノワイヤ層73は、金属層72上に配置される。
【0113】
本実施形態の積層構造70は、金属ワイヤ721を含むトレース領域TA、金属グリッド722を含む第1ラップオーバー領域75、金属板723を含む第2ラップオーバー領域76、金属板723の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層73で覆われ、金属板723で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域75及び第2ラップオーバー領域76において、銀ナノワイヤ層73は、金属層72に対応するパターンを有する。
【0114】
実施形態3と比較して、本実施形態のタッチセンサ70’は、銀ナノワイヤ層73上に配置された被覆層77をさらに含む。
【0115】
図18に示されるように、本実施形態のタッチセンサ70’を製造するための例示的なプロセスは、
基板71を準備し、
基板71上に金属層72及び銀ナノワイヤ層73を配置し、銀ナノワイヤ層73は金属層72上に配置され、触媒層733は基板71上に配置され、金属層72をメッキする化学メッキ技術を適用して、金属層72が触媒層733上に配置され、
フレキソ印刷技術を適用して、銀ナノワイヤ層73の表面にアンチエッチング層74を印刷して、アンチエッチング層74が銀ナノワイヤ層73を部分的に覆うようにし、アンチエッチング層74が、ワイヤパターン741と、ワイヤパターン741に接続されたグリッドパターン742と、銀ナノワイヤ層73を被覆し、グリッドパターン742に接続する被覆領域743とを含み、
エッチング技術を適用して、アンチエッチング層74で覆われていない銀ナノワイヤ層73の部分と、その下に配置された金属層72をエッチング液で除去し、金属層72が、アンチエッチング層74のワイヤパターン741に対応する金属ワイヤ721と、アンチエッチング層74のグリッドパターン742に対応し、金属ワイヤ721に接続された金属グリッド722と、アンチエッチング層74の被覆領域743に対応し、金属グリッド722に接続された金属板723とを含み、
アンチエッチング層74を除去し、被覆層77を銀ナノワイヤ層73上に配置する、
ことを含む。

実施形態8
【0116】
図19は、本開示の実施形態8に係るタッチセンサ80’及びその製造方法の概略図である。図19のトップダウン順に、1.基板81上に銀ナノワイヤ層83、金属層82、及び触媒層833を配置し、かつ基板81の下に第2銀ナノワイヤ層83’、第2金属層82’、及び第2触媒層833’を配置した後の概略図、2.銀ナノワイヤ層83の表面にアンチエッチング層84を印刷し、かつ第2銀ナノワイヤ層83’の表面に第2アンチエッチング層84’を印刷した後の概略図、3.エッチング液によって、アンチエッチング層84によって覆われていない銀ナノワイヤ層83の部分と、その下に配置された金属層82を除去するとともに、第2アンチエッチング層84’によって覆われていない第2銀ナノワイヤ層83’の部分と、その上に配置された第2金属層82’を除去した後の部分Gの概略図、4.銀ナノワイヤ層83上に被覆層87を配置し、第2銀ナノワイヤ層83’の下に第2被覆層87’を配置した後の部分Gの概略図である。実施形態7と比較して、実施形態のタッチセンサ80’の基板81の両面には、実施形態3で説明した積層構造80が形成されているが、ボンディングパッド39は省略されている。
【0117】
本実施形態のタッチセンサ80’の積層構造80は、基板81と、基板81上に配置された金属層82と、基板81上に配置された銀ナノワイヤ層83であって、金属層82と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層83とを備える。金属層82は、金属ワイヤ821と、金属ワイヤ821に接続された金属グリッド822と、金属グリッド822に接続された金属板823と、金属層82の下に配置された触媒層833とを含む。この実施形態では、銀ナノワイヤ層83は、金属層82上に配置される。
【0118】
本実施形態の積層構造80は、金属ワイヤ821を含むトレース領域TAと、金属グリッド822を含む第1ラップオーバー領域85と、金属板823を含む第2ラップオーバー領域86と、金属板823の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層83で覆われ、金属板823で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域85及び第2ラップオーバー領域86において、銀ナノワイヤ層83は、金属層82に対応するパターンを有する。
【0119】
実施形態3と比較して、本実施形態のタッチセンサ80’は、銀ナノワイヤ層83上に配置された被覆層87をさらに含む。
【0120】
実施形態7と比較して、本実施形態のタッチセンサ80’は、基板81の下方に配置された第2金属層82’と、第2金属層82’の下に配置された第2触媒層833’と、基板81の下に配置された第2銀ナノワイヤ層83’であって、第2金属層82’と少なくとも部分的に重なる第2銀ナノワイヤ層83’とをさらに備える。第2金属層82’は、第2金属ワイヤ821’と、第2金属ワイヤ821’に接続された第2金属グリッド822’と、第2金属グリッド822’に接続された第2金属板823’とを含む。この実施形態では、第2銀ナノワイヤ層83’は、第2金属層82’の下に配置される。第2被覆層87’は、第2銀ナノワイヤ層83’の下に配置される。
【0121】
図19に示されるように、本実施形態のタッチセンサ80’を製造するための例示的なプロセスは、
基板81を準備し、
基板81上に金属層82及び銀ナノワイヤ層83を配置し、銀ナノワイヤ層83が金属層82上に配置され、基板81の下に第2金属層82’及び第2銀ナノワイヤ層83’を配置し、第2銀ナノワイヤ層83’が第2金属層82’の下に配置され、触媒層833は基板81上に配置され、触媒層833上に金属層82を配置する化学メッキ技術を適用して、金属層82が触媒層833上にメッキされ、第2触媒層833’は基板81の下に配置され、第2触媒層833’上に第2金属層82’を配置する化学メッキ技術を適用して、第2金属層82’が第2触媒層833’上にメッキされ、
フレキソ印刷技術を適用して、銀ナノワイヤ層83の表面にアンチエッチング層84を印刷して、アンチエッチング層84が銀ナノワイヤ層83を部分的に覆うようにし、アンチエッチング層84が、ワイヤパターン841と、ワイヤパターン841に接続されたグリッドパターン842と、銀ナノワイヤ層83を被覆し、グリッドパターン842に接続する被覆領域843とを含み、かつ、第2銀ナノワイヤ層83’の表面に第2アンチエッチング層84’を印刷して、第2アンチエッチング層84’が第2銀ナノワイヤ層83’を部分的に覆うようにし、第2アンチエッチング層84’が第2ワイヤパターン841’と、第2ワイヤパターン841’に接続された第2グリッドパターン842’と、第2銀ナノワイヤ層83’を被覆し、第2グリッドパターン842’に接続する第2被覆領域843’とを含み、
エッチング技術を適用して、アンチエッチング層84で覆われていない銀ナノワイヤ層83の部分と、その下に配置された金属層82をエッチング液で除去し、金属層82が、アンチエッチング層84のワイヤパターン841に対応する金属ワイヤ821と、アンチエッチング層84のグリッドパターン842に対応し、金属ワイヤ821に接続する金属グリッド822と、アンチエッチング層84の被覆領域843に対応し、金属グリッド822と接続する金属板823とを含み、かつ、第2アンチエッチング層84’に覆われていない第2銀ナノワイヤ層83’の部分と、その上に配置された第2金属層82’をエッチング液で除去し、
第2金属層82’が、第2アンチエッチング層84’の第2ワイヤパターン841’に対応する第2金属ワイヤ821’と、第2アンチエッチング層84’の第2グリッドパターン842’に対応し、第2金属ワイヤ821’に接続する第2金属グリッド822’と、第2アンチエッチング層84’の第2被覆領域843’に対応し、第2金属グリッド822’に接続する第2金属板823’とを含み、
アンチエッチング層84及び第2アンチエッチング層84’を除去し、
被覆層87を銀ナノワイヤ層83上に配置するとともに、第2被覆層87’を第2銀ナノワイヤ層83’の下に配置する、
ことを含む。

実施形態9
【0122】
図20は、本開示の実施形態9に係るタッチセンサ90’及びその製造方法の概略図である。図20のトップダウン順に、1.基板91上に銀ナノワイヤ層93及び金属層92を配置した後の概略図、2.金属層92の表面にアンチエッチング層94を印刷した後の概略図、3.アンチエッチング層94に覆われていない金属層92の部分と、その下に配置された銀ナノワイヤ層93をエッチング液で除去した後のH部分の模式図、4.金属層92上に被覆層97を配置した後のH部分の概略図である。図20に示すように、本実施形態のタッチセンサ90’は、実施形態4で説明した積層構造90を有している。
【0123】
本実施形態のタッチセンサ90’の積層構造90は、基板91と、基板91上に配置された金属層92、基板91上に配置された銀ナノワイヤ層93であって、金属層92と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層93とを備える。金属層92は、金属ワイヤ921と、金属ワイヤ921に接続された金属グリッド922と、金属グリッド922に接続された金属板923とを含む。この実施形態では、金属層92は、銀ナノワイヤ層93上に配置される。
【0124】
本実施形態の積層構造90は、金属ワイヤ921を含むトレース領域TA、金属グリッド922を含む第1ラップオーバー領域95、金属板923を含む第2ラップオーバー領域96、金属板923の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層93で覆われ、金属板923で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域95及び第2ラップオーバー領域96において、銀ナノワイヤ層93は、金属層92に対応するパターンを有する。
【0125】
実施形態4と比較して、本実施形態のタッチセンサ90’は、銀ナノワイヤ層93上に配置された被覆層97をさらに含む。
【0126】
図20に示されるように、本実施形態のタッチセンサ90’を製造するための例示的なプロセスは、
基板91を準備し、
基板91上に金属層92及び銀ナノワイヤ層93を配置し、金属層92は銀ナノワイヤ層93上に配置され、
フレキソ印刷技術を適用して、金属層92の表面にアンチエッチング層94を印刷して、アンチエッチング層94が金属層92を部分的に覆うようにし、アンチエッチング層94がワイヤパターン941と、ワイヤパターン941に接続されたグリッドパターン942と、金属層92を被覆し、グリッドパターン942に接続する被覆領域943とを含み、
エッチング技術を適用して、アンチエッチング層94で覆われていない金属層92の部分と、その下に配置された銀ナノワイヤ層93をエッチング液で除去し、金属層92が、アンチエッチング層94のワイヤパターン941に対応する金属ワイヤ921と、アンチエッチング層94のグリッドパターン942に対応し、金属ワイヤ921に接続された金属グリッド922と、アンチエッチング層94の被覆領域943に対応し、金属グリッド922に接続された金属板923とを含み、
アンチエッチング層94を除去し、被覆層97を金属層92上に配置する、
ことを含む。

実施形態10
【0127】
図21は、本開示の実施形態10によるタッチセンサ100’及びその製造方法の概略図である。図21のトップダウン順に、1.基板101上に銀ナノワイヤ層103及び金属層102を配置し、かつ基板101の下に第2銀ナノワイヤ層103’及び第2金属層102’を配置した後の概略図、2.金属層102の表面にアンチエッチング層104を印刷し、かつ第2金属層102'の表面に第2アンチエッチング層104’を印刷した後の概略図、3.エッチング液によって、アンチエッチング層104によって覆われていない金属層102の部分と、その下に配置された銀ナノワイヤ層103を除去するとともに、第2アンチエッチング層104’によって覆われていない第2金属層102’の部分と、その上に配置された第2銀ナノワイヤ層103’を除去した後の部分Iの概略図、4.金属層102上に被覆層107を配置し、第2金属層102’の下に第2被覆層107’を配置した後の部分Iの概略図である。実施形態9と比較して、実施形態のタッチセンサ1010’の基板100の両面は、実施形態4で説明したような積層構造100を有している。
【0128】
本実施形態のタッチセンサ100’の積層構造100は、基板101と、基板101上に配置された金属層102と、基板101上に配置された、銀ナノワイヤ層103であって、金属層102と少なくとも部分的にオーバーラップする銀ナノワイヤ層103とを備える。金属層102は、金属ワイヤ1021と、金属ワイヤ1021に接続された金属グリッド1022と、金属グリッド1022に接続された金属板1023とを含む。この実施形態では、金属層102は、銀ナノワイヤ層103上に配置される。
【0129】
本実施形態の積層構造100は、金属ワイヤ1021を含むトレース領域TAと、金属グリッド1022を含む第1ラップオーバー領域105と、金属板1023を含む第2ラップオーバー領域106と、金属板1023の一辺に隣接し、銀ナノワイヤ層103で覆われ、金属板1023で覆われていない領域を含む可視領域VAと、を備える。トレース領域TA、第1ラップオーバー領域105及び第2ラップオーバー領域106において、銀ナノワイヤ層103は、金属層102に対応するパターンを有する。
【0130】
実施形態4と比較して、本実施形態のタッチセンサ100’は、銀ナノワイヤ層103上に配置された被覆層107をさらに含む。
【0131】
実施形態9と比較して、本実施形態のタッチセンサ100’は、基板101の下方に配置された第2金属層102’と、基板101の下に配置された第2銀ナノワイヤ層103’であって、第2金属層102’と少なくとも部分的に重なる第2銀ナノワイヤ層103’をさらに備える。第2金属層102’は、第2金属ワイヤ1021’と、第2金属ワイヤ1021’に接続された第2金属グリッド1022’と、第2金属グリッド1022’に接続された第2金属板1023’とを含む。この実施形態では、第2金属層102’は、第2銀ナノワイヤ層103’の下に配置される。第2被覆層107’は第2金属層102’の下に配置される。
【0132】
図21に示されるように、本実施形態のタッチセンサ100’を製造するための例示的なプロセスは、
基板101を準備し、
基板101上に金属層102及び銀ナノワイヤ層103を配置し、金属層102は、銀ナノワイヤ層103上に配置され、基板101の下に第2金属層102’及び第2銀ナノワイヤ層103’を配置し、第2金属層102’は、第2銀ナノワイヤ層103’の下に配置され、
フレキソ印刷技術を適用して、金属層102の表面にアンチエッチング層104を印刷して、アンチエッチング層104が金属層102の表面を部分的に覆うようにし、アンチエッチング層104が、ワイヤパターン1041と、ワイヤパターン1041に接続されたグリッドパターン1042と、金属層102を被覆し、グリッドパターン1042に接続する被覆領域1043とを含み、かつ第2金属層102’の表面に第2アンチエッチング層104’を印刷して、第2アンチエッチング層104’が第2金属層102’を部分的に覆うようにし、第2アンチエッチング層104’が第2ワイヤパターン1041’と、第2ワイヤパターン1041’に接続された第2グリッドパターン1042’と、第2金属層102’を覆い、第2グリッドパターン1042’に接続する第2被覆領域1043’とを含み、
エッチング技術を適用して、アンチエッチング層104で覆われていない金属層102の部分と、その下に配置された銀ナノワイヤ層103をエッチング液で除去し、金属層102が、アンチエッチング層104のワイヤパターン1041に対応する金属ワイヤ1021と、アンチエッチング層104のグリッドパターン1042に対応し、金属ワイヤ1021に接続する金属グリッド1022と、アンチエッチング層104の被覆領域1043に対応し、金属グリッド1022に接続する金属板1023とを含み、かつ、第2アンチエッチング層104’に覆われていない第2金属層102’の部分と、その上に配置された第2銀ナノワイヤ層103’とをエッチング液で除去し、第2金属層102’が、第2アンチエッチング層104’の第2ワイヤパターン1041’に対応する第2金属ワイヤ1021’と、第2アンチエッチング層104’の第2グリッドパターン1042’に対応し、第2金属ワイヤ1021’に接続する第2金属グリッド1022’と、第2アンチエッチング層104’の第2被覆領域1043’に対応し、第2金属グリッド1022’に接続する第2金属板1023’とを含み、
アンチエッチング層104及び第2アンチエッチング層104’を除去し、
被覆層107を銀ナノワイヤ層103上に配置するとともに、第2被覆層107’を第2銀ナノワイヤ層103’の下に配置する、
ことを含む。
【0133】
以上のように、本開示の積層構造の製造方法、積層構造及びタッチセンサは、少なくとも以下の優れた技術的効果を有する。1.本開示の積層構造の製造方法は、フレキソ印刷技術を適用することによってアンチエッチング層を印刷することで、異なるパターンデザインを有する第1ラップオーバー領域及び第2ラップオーバー領域を効果的に画定して、差別化された特別な積層デザインを形成することができる。2.本開示の積層構造の製造方法は、フレキソ印刷技術を適用することによってアンチエッチング層を印刷することで、露光及び現像プロセスを省き、両面露光の問題を解決し、廃水処理を低減し、性能を改善するためのコストを低減することができる。3.本開示の積層構造の金属層は、金属グリッドを含むため、積層構造及び積層構造を含むタッチセンサは、第1ラップオーバー領域においてユニークな積層デザインを有する。従来の金属板と比較して、金属グリッドは、金属原料の消費量を低減することができ、積層構造及び積層構造を備えるタッチセンサの製造コストを低減することができ、超狭幅ベゼル(正方形)を有するタッチセンサを可能にする。
【0134】
上記の実施形態は、本開示を例示するのみであり、本開示を制限するために使用されるものではない。本開示は、特定の実施形態によって説明されてきたが、当業者は、特許請求の範囲に記載された本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことができる。したがって、本発明の権利保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されなければならない。
図1
図2
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