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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】受信装置、受信方法および集積回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20221004BHJP
   H04L 1/06 20060101ALI20221004BHJP
   H04B 7/12 20060101ALI20221004BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20221004BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H04L27/26 110
H04L1/06 060
H04B7/12
H04B7/0413
H04B7/06 910
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021026528
(22)【出願日】2021-02-22
(62)【分割の表示】P 2018558252の分割
【原出願日】2017-03-13
(65)【公開番号】P2021083118
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】62/335,277
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2016147344
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-510536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0065467(US,A1)
【文献】Robert Stacey (Intel) et al.,Proposed TGax draft specification,IEEE 802.11-16/0024r1,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/16/11-16-0024-01-00ax-proposed-draft-specification.docx>,2016年03月02日
【文献】Bo Sun,November 2015 Bangkok PHY Ad Hoc Meeting Minutes,IEEE 802.11-15/0090r1r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/15/11-15-1442-00-00ax-nov-2015-phy-ad-hoc-meeting-minutes.docx>,2015年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04L 1/06
H04B 7/12
H04B 7/0413
H04B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非レガシープリアンブルと、データフィールドとを含む信号を受信する受信器であって、前記非レガシープリアンブルが、前記データフィールドにおける空間ストリームの数(Nss)を示す第1フィールドと、複数の変調・符号化方式の1つを示す第2フィールド、を備えており、2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式がサポートされ、前記2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式の1つが、Nssの値が偶数である場合に適用され、N ss の値が奇数である場合には適用されない、前記受信器と、
前記受信された信号を前記非レガシープリアンブルに基づいて復号する復号器と、
を備えている、受信装置。
【請求項2】
前記非レガシープリアンブルは、前記2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式の少なくとも1つが前記データフィールドに適用されているかを示す第3フィールドを備えている、請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式は、空間ダイバーシチのない周波数ダイバーシチ方式である第1方式を含む、請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記Nssの値が第1所定値に等しく、前記第1方式が前記データフィールドに適用されていることを前記非レガシープリアンブルが示す場合、前記第1方式は、前記空間ストリームの少なくとも1つに適用される、請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
前記第1所定値は奇数である、請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記Nssの値が偶数である場合、空間・周波数ダイバーシチ方式(SFDS)である第2方式が前記データフィールドに適用される、請求項3に記載の受信装置。
【請求項7】
前記Nssの値が奇数である場合、前記第1方式および空間・周波数ダイバーシチ方式(SFDS)である第2方式が前記データフィールドに適用される、請求項6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記Nssの値が3より大きい場合、2個以上の空間ストリームが、N=floor(Nss/2)個の空間ストリームペアに対にされ、空間ストリームの1つが対にされない、請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記第1方式は前記対にされない空間ストリームに適用され、前記第2方式は前記N個の空間ストリームペアのそれぞれに適用される、請求項8に記載の受信装置。
【請求項10】
前記空間ストリームは、物理的アンテナ構成および空間ストリームのアンテナへのマッピングに基づいてペアにされ得る、請求項8に記載の受信装置。
【請求項11】
前記Nssの値が奇数である場合、前記空間ストリームは、N=floor(Nss/2)個の空間ストリームグループにグループ化され、
前記N個の空間ストリームグループの1つは、3個の空間ストリームを備え、残りの(N-1)個の空間ストリームグループのそれぞれは、2個の空間ストリームを備える、請求項3に記載の受信装置。
【請求項12】
拡張空間・周波数ダイバーシチ方式(e-SFDS)が3個の空間ストリームグループに適用され、空間・周波数ダイバーシチ方式(SFDS)が前記残りの(N-1)個の空間ストリームグループのそれぞれに適用される、請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
前記空間ストリームは、物理的アンテナ構成および空間ストリームのアンテナへのマッピングに基づいてペアにされ得る、請求項11に記載の受信装置。
【請求項14】
非レガシープリアンブルと、データフィールドとを含む信号を受信するステップであって、前記非レガシープリアンブルが、前記データフィールドにおける空間ストリームの数(Nss)を示す第1フィールドと、複数の変調・符号化方式の1つを示す第2フィールド、を備えており、2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式がサポートされ、前記2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式の1つが、Nssの値が偶数である場合に適用され、N ss の値が奇数である場合には適用されない、ステップと、
前記受信された信号を前記非レガシープリアンブルに基づいて復号するステップと、
を含む、受信方法。
【請求項15】
非レガシープリアンブルと、データフィールドとを含む信号を受信する受信部であって、前記非レガシープリアンブルが、前記データフィールドにおける空間ストリームの数(Nss)を示す第1フィールドと、複数の変調・符号化方式の1つを示す第2フィールド、を備えており、2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式がサポートされ、前記2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式の1つが、Nssの値が偶数である場合に適用され、N ss の値が奇数である場合には適用されない、前記受信部と、
前記非レガシープリアンブルに基づいて、前記受信された信号の復号を制御する制御部と、
を有する、集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信に関し、より詳細には、無線通信システムにおけるダイバーシチ伝送のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(米国電気電子学会:Institute of Electrical and Electronics Enigneers)の802.11作業部会は、高密度のシナリオにおいてユーザによって達成される実際のスループットの極めて大幅な増大を達成する目的で、802.11ax HE(高効率:High Efficiency)WLAN(ワイヤレスローカルエリアネットワーク:Wireless Local Area Network)エアインタフェースを開発している。802.11axにおける最も重要な特徴の1つとして、OFDMA(直交周波数分割多元接続:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)マルチユーザ伝送が想定された。OFDMAは、複数のユーザへのデータストリームおよび複数のユーザからのデータストリームの複数の動作を、OFDM(直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)システムの時間・周波数リソースを通じて実行する多元接続方式である。
【0003】
802.11axにおけるOFDMAマルチユーザ伝送では、一般に周波数スケジューリングが実行される。周波数スケジューリングによると、無線通信アクセスポイント装置(以下では単純に「アクセスポイント」または「AP」)は、複数の無線通信端末装置(以下では単純に「端末局」または「STA」)に、STAの周波数帯域の受信品質に基づいて適応的にサブキャリアを割り当てる。これによって、最大のマルチユーザダイバーシチ効果を得て、通信を極めて効率的に実行することが可能になる。
【0004】
周波数スケジューリングは、一般には、リソースユニット(RU)に基づいて実行される。RUは、複数の連続するサブキャリアを含む。RUは、RUあたりの構成サブキャリアの数に応じて異なるタイプを有することができる。RUは、APが通信する複数のSTAのそれぞれに、APによって割り当てられる。APによって実行される周波数スケジューリングのRUの割当て結果は、RU割当て情報としてSTAに通知される。さらに、APは、共通制御情報およびユーザごとの割当て情報など他の制御シグナリングもSTAに通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9,160,492号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】IEEE 802.11-16/0024r1, Proposed TGax draft specification, March 2016
【文献】IEEE 802.11-16/0056r0, On QPSK DCM Modulation and LDPC Tone Mapper for DCM, January 2016
【文献】IEEE 802.11-15/1068r1, Reliable Dual Sub-Carrier Modulations (DCM) for HE-SIG-B and Data, September 2015
【文献】A Novel SFBC-OFDM Scheme for Doubly Selective Channels, IEEE TRANSACTIONS ON VEHICULAR TECHNOLOGY, VOL. 58, NO. 5, JUNE 2009, p2573-2578
【文献】IEEE Std 802.11adTM-2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
802.11axでは、STAは、アップリンクOFDMAにおいて約2MHzの帯域幅を有する1つのRUにおいて、HEパケットのデータフィールドを送信することができ、一方でHEパケットのプリアンブルは20MHzの帯域幅で送信される。したがって、HEパケットのデータフィールドのパワースペクトル密度は、プリアンブルのパワースペクトル密度より9dB高い。したがって1基のSTAが深刻な狭帯域干渉を受けることがある。これに加えて、屋外のシナリオにおける伝送距離を拡張する目的で、PER(パケット誤り率:Packet Error Rate)性能も高める必要がある。狭帯域干渉を軽減し、さらにPER性能を改善するため、802.11axにおいて効率的なダイバーシチ伝送を実行するための検討が進められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一般的な一態様においては、本明細書に開示されている技術は、非レガシープリアンブルと、データフィールドとを含む信号を受信する受信器であって、非レガシープリアンブルが、データフィールドにおける空間ストリームの数(Nss)を示す第1フィールドと、複数の変調・符号化方式の1つを示す第2フィールド、を備えており、2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式がサポートされ、2つ以上の周波数ダイバーシチ伝送方式の1つが、Nssの値に基づいて指定される、受信器と、受信された信号を非レガシープリアンブルに基づいて復号する復号器と、を備えている、受信装置を提供する。
【0009】
なお、一般的な開示または具体的な開示は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらから選択される任意の組合せ、として実施することができることに留意されたい。
【0010】
本開示のダイバーシチ伝送の場合、狭帯域干渉を軽減し、さらにPER性能を改善することが可能である。
【0011】
開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざまな実施形態および特徴によって、個別に得ることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得る目的で、実施形態および特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】提案されている802.11axの草案仕様書に準拠するHE(高効率)パケットのフォーマットを図解した図
図2】DCM(デュアルサブキャリア変調:Dual Subcarrier Modulation)およびBCC(2進畳み込み符号:Binary Convolutional Coding)を使用しての1つのRU(リソースユニット)におけるシングルユーザ伝送用HEパケットのHEデータフィールドを生成するために使用される、提案されている802.11axの草案仕様書による送信機の構造の例を示す図
図3】従来技術による、QPSK(四位相偏移変調:Quadrature Phase Shift Keying)の場合におけるDCMの動作の例を図解した図
図4】従来技術による、SFDS(空間・周波数ダイバーシチ方式:Space Frequency Diversity Scheme)の一種であるSFBC(空間・周波数ブロック符号化:Space Frequency Block Coding)の動作の例を図解した図
図5】ダイバーシチ伝送を実行する、本開示の第1の実施形態に係る方法の例を図解したフロー図
図6A】直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL(開ループ:Open Loop)MIMO(多入力多出力:Multiple Input Multiple Output)伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの例を図解した図
図6B】直接マッピングおよび6つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を図解した図
図6C】直接マッピングおよび8つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を図解した図
図6D】直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を図解した図
図7】ダイバーシチ伝送およびBCCを使用しての1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケットのHEデータフィールドを生成するために使用される、本開示の第1の実施形態に係る送信機の構造の例を示す図
図8】ダイバーシチ伝送を実行する、本開示の第2の実施形態に係る方法の例を図解したフロー図
図9A】直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の例を図解した図
図9B】直接マッピングおよび5つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を図解した図
図9C】直接マッピングおよび6つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を図解した図
図9D】直接マッピングおよび7つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を図解した図
図9E】直接マッピングおよび8つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を図解した図
図9F】直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を図解した図
図9G】直接マッピングおよび5つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を図解した図
図10】本開示の第2の実施形態に係る、QPSK変調の場合におけるe-SFDS(拡張SFDS)の動作の例を図解した図
図11】ダイバーシチ伝送およびBCCを使用しての1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケットのHEデータフィールドを生成するために使用される、本開示の第2の実施形態に係る送信機の構造の例を示す図
図12】本開示に係る無線通信装置の構造の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示のさまざまな実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。以下の説明では、明確さと簡潔さとを目的として、公知の機能および公知の構造の詳細な説明は省いた。
【0014】
図1は、提案されている802.11axの草案仕様書(非特許文献1を参照)に準拠するHE(高効率)パケット100のフォーマットを示している。HEパケット100は、レガシーショートトレーニングフィールド(L-STF:legacy short training field)102、レガシーロングトレーニングフィールド(L-LTF:legacy long training field)104、およびレガシー信号フィールド(L-SIG:legacy signal field)106を備えているレガシープリアンブルと、反復L-SIGフィールド(RL-SIG:repeated L-SIG field)108、第1のHE信号フィールド(HE-SIG-A)110、第2のHE信号フィールド(HE-SIG-B)112、HEショートトレーニングフィールド(HE-STF:HE short training field)114、およびHEロングトレーニングフィールド(HE-LTF:HE long training field)116を備えているHEプリアンブルと、HEデータフィールド120と、パケット拡張(PE:packet extension)フィールド122と、を含む。
【0015】
レガシープリアンブル(102,104,106)は、レガシー標準規格802.11a/g/n/acとの後方互換性を促進するために使用される。L-STF 102およびL-LTF 104は、主として、パケット検出、AGC(自動利得制御:Automatic Gain Control)の設定、周波数オフセット推定、時間同期、およびチャネル推定に使用される。L-SIG 106は、HEプリアンブルの中のRL-SIG 108(L-SIG 106から複製される)とともに、HEパケット100とレガシー802.11a/g/n/acパケットとの区別を支援するために使用される。さらにL-SIG 106は、HEパケット100の送信時間を示す長さ(Length)フィールドを備えている。
【0016】
HEプリアンブルの中のHE-SIG-A 110は、HEパケット100の残りのフィールドを解釈するために必要な共通制御情報を含む。シングルユーザ伝送用HEパケット100の場合、HE-SIG-A 110は、帯域幅フィールド、MCS(変調・符号化方式:Modulation and Coding Scheme)フィールド、Nssフィールド、符号フィールド、DCM(デュアルサブキャリア変調)フィールドなどのシグナリングフィールドを備えている。MCSフィールドは、HEデータフィールド120において使用される変調方式および符号化率を示す。変調方式は、BPSK(二位相偏移変調:Binary Phase Shift Keying)、QPSK(四位相偏移変調)、16-QAM(16直交振幅変調:16-Quadrature Amplitude Modulation)、および64-QAMなどとすることができる。Nssフィールドは、HEデータフィールド120における空間ストリームの数を示し、符号フィールドは、HEデータフィールド120においてLDPC(低密度パリティ検査符号:Low Density Parity Coding)またはBCC(2進畳み込み符号)のいずれが使用されているかを示し、DCMフィールドは、HEデータフィールド120においてDCMが使用されているかを示す。ダウンリンクマルチユーザ伝送用HEパケット100の場合、HE-SIG-A 110は、帯域幅フィールド、SIGB MCSフィールド、SIGB DCMフィールド、およびSIGBシンボル数(SIGB Number of Symbols)フィールドなどのシグナリングフィールドを備えている。
【0017】
HEプリアンブルの中のHE-SIG-B 112は、共通フィールド122と、それに続くユーザ固有フィールド124とを備えている。共通フィールド122は、RU割当て情報(例えば、周波数領域におけるRU配置と、各RUにおいて多重化されるユーザの数)を含む。シングルユーザ伝送においてRUが指定されている場合、RUにおいて多重化されるユーザの数は1である。MU-MIMO(マルチユーザ多入力多出力)伝送においてRUが指定されている場合、RUにおいて多重化されるユーザの数は2以上である。ユーザ固有フィールド124は、複数のユーザ固有サブフィールドを備えている。ユーザ固有サブフィールドそれぞれは、ユーザごとの割当て情報を含む。シングルユーザ伝送の場合に指定される各RUに対して、対応する1つのユーザ固有サブフィールドのみが存在し、このサブフィールドは、STA識別子、Nss、MCS、DCM、符号などのシグナリングフィールドを含む。K人のユーザが多重化されるMU-MIMO伝送の場合に指定される各RUに対しては、対応するK個のユーザ固有サブフィールドが存在し、各サブフィールドは、STA識別子、空間構成、MCS、DCM、符号などのシグナリングフィールドを備えている。ユーザ固有フィールド内のユーザ固有サブフィールドの順序は、共通フィールド122によってシグナリングされるRU配置に従う。HEパケット100がシングルユーザ伝送、またはアップリンクのトリガーベースのマルチユーザ伝送において使用されるように意図されている場合、HEパケット100にHE-SIG-B 112が存在しない。アップリンクのトリガーベースのマルチユーザ伝送の場合、指定された送信側STAのためのRU割当て情報およびユーザごとの割当て情報は、APにおいてあらかじめ設定され、指定された送信側STAにAPによってトリガーフレームにおいて送信される。
【0018】
HEプリアンブルの中のHE-STF 114は、AGCをリセットし、ADC(アナログ-デジタルコンバータ:Analog-to-Digital Converter)に対するダイナミックレンジ要件を低減するために使用される。HEプリアンブルの中のHE-LTF 116は、HEデータフィールド120を受信し等化する(equalizing)ためのMIMOチャネル推定用に提供されている。STAのHEデータフィールド120は、PSDU(物理層サービスデータユニット:Physical Layer Service Data Unit)を含み、PSDUは、指定されたRUにおいて送信され、HEデータフィールド120におけるすべてのOFDMシンボルにまたがる。PEフィールド122はヌルデータを含み、このヌルデータは、単に、受信機がHEデータフィールド120の最後のOFDMシンボルを処理するための十分な時間を有することができるようにする目的で使用される。
【0019】
L-STF 102、L-LTF 104、L-SIG 106、RL-SIG 108、HE-SIG-A 110、HE-SIG-B 112、HE-STF 114、HE-LTF 116、HEデータフィールド120、およびPEフィールド122の送信処理の詳細は、提案されている802.11axの草案仕様書(非特許文献1を参照)に記載されている。
【0020】
図2は、DCMおよびBCCを使用しての一つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEデータフィールド120(図1を参照)を生成するために使用される、提案されている802.11axの草案仕様書(非特許文献1を参照)による送信機200の構造の例を示している。送信機200は、FEC前PHYパディングブロック202と、スクランブラ204と、BCC符号化器206と、FEC後PHYパディングブロック208と、ストリームパーサ210と、Nss個のBCCインターリーバ212と、Nss個のコンステレーションマッパー214と、Nss個のDCMトーンマッパー216と、(Nss-1)個のCSD(循環シフトダイバーシチ:Cyclic Shift Diversity)ブロック218と、空間・周波数マッピングブロック220と、NTX個のIDFT(逆離散フーリエ変換:Inverse Discrete Fourier Transform)ブロック222と、NTX個のGI(ガードインターバル:Guard Interval)挿入および窓掛けブロック224と、NTX個のアナログおよびRF(無線周波数:Radio Frequency)ブロック226とを備えており、ここでNssは空間ストリームの数であり、NTXは送信チェーンの数である。
【0021】
FEC前PHYパディングブロック202と、スクランブラ204と、BCC符号化器206と、FEC後PHYパディングブロック208は、PSDUを、符号化されたデータビットのシーケンスに変換する。ストリームパーサ210は、符号化されたデータビットのシーケンスをNss個のデータブロックに再配置し、各データブロックが特定の空間ストリームに対応する。Nss個の空間ストリームそれぞれにおいて、対応するBCCインターリーバ212が、データブロック内の符号化されたビットをインターリーブする。対応するコンステレーションマッパー214は、データブロック内の符号化されてインターリーブされたビットを、変調コンステレーションポイントにマッピングする。対応するDCMトーンマッパー216は、変調コンステレーションポイントに対してDCMを動作させ、次いで、第1の空間ストリームを除き、対応するCSDブロック218によって循環シフトを挿入する。空間・周波数マッピングブロック220は、RUにおけるシングルユーザ伝送のNss個の空間ストリームの変調コンステレーションポイントを、NTX個の送信チェーンにマッピングする。NTX個の送信チェーンそれぞれにおいて、IDFTブロック222が、変調コンステレーションポイントを複数の時間領域OFDMシンボルに変換する。GI挿入および窓掛けブロック224は、各OFDMシンボルの先頭に、それ自体の循環拡張領域を付加し、オプションとして、スペクトル減衰を増大させるため各OFDMシンボルの縁部を平滑化する。アナログおよびRFブロック226は、複数の時間領域OFDMシンボルを、(1つまたは複数の)アンテナを通じて送信されるアナログ信号に変換する。
【0022】
図3は、従来技術による、QPSK変調の場合におけるDCM(デュアルサブキャリア変調)の動作の例を示している(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献5を参照)。DCMは、空間ストリームごとに実行される。第1の空間ストリームSS1に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分(図3の左側)にマッピングされ、すなわち、{d1,k,k=0,1,...,NSD/2-1}であり、式中、NSDはRUにおけるデータサブキャリアの数である。第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され(conjugated)、次いで、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分(図3の右側)にマッピングされる。すなわち、以下である。
【数1】
式中、P(k)は、サブキャリアインデックスkの関数であり、例えばP(k)=k+NSD/2である。同様に、第2の空間ストリームSS2に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d2,k,k=0,1,...,NSD/2-1}である。第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
【数2】
このようにして、周波数ダイバーシチ利得を得ることができる。結果として、狭帯域干渉を軽減することができ、さらに、PER性能を改善することができる。
【0023】
図4は、従来技術による、SFDS(空間・周波数ダイバーシチ方式)の一種であるSFBC(空間・周波数ブロック符号化)の動作の例を示している(特許文献1および非特許文献4を参照)。SFBCは、2つの空間ストリームにまたがって実行される。第1の空間ストリームSS1に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが変調され、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分(図4の左側)にマッピングされ、すなわち、{d1,k,k=0,1,...,NSD/2-1}である。第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分(図4の右側)にマッピングされる。すなわち、以下である。
【数3】
一方、第2の空間ストリームSS2に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが変調され、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d2,k,k=0,1,...,NSD/2-1}である。第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、反転され(inverted)、次いで、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
【数4】
このようにして、周波数ダイバーシチ利得に加えて空間ダイバーシチ利得を得ることができる。
【0024】
なお、高次変調(例えば64-QAM)の場合、良好なPER性能を達成する代償として、高次変調のデータレートが低下しうるため、図3に示したDCMと図4に示したSFDSの両方を使用しなくてもよいことに留意されたい。
【0025】
図3に示したDCMは、任意の数の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送に適用可能である。しかしながら、図3に示したDCMでは、空間ダイバーシチ利得は得られない。これに対して、図4に示したSFDSは、2つの空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送において空間ダイバーシチ利得および周波数ダイバーシチ利得の両方を有する。しかしながら、図4に示したSFDSを、3つ以上の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送にどのように拡張することができるかが不明確である。以下では、空間ダイバーシチ利得および周波数ダイバーシチ利得の両方を最大限に得ることができるように、本開示に係る、任意の数の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送を実行する装置および方法のさまざまな実施形態について、さらに詳しく説明する。
【0026】
<第1の実施形態>
図5は、任意の数の空間ストリームを使用するダイバーシチ伝送を実行する、本開示の第1の実施形態に係る方法の例500を示している。方法500はステップ502において開始される。ステップ504において、Nss個の空間ストリームをN個のペアに対にする(式(1))。
【0027】
【数5】
【0028】
なお、Nssが奇数である場合、空間ストリームの1つが対にされないことに留意されたい。
【0029】
本開示の第1の実施形態によれば、空間ストリームを対にする方法は、設定可能とする、またはあらかじめ決めておくことができる。空間ストリームを対にするいくつかの方法が設定可能である場合、使用される空間ストリームを対にするために実際に用いられる方法を示すため、HE-SIG-A 110、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームにおける追加のシグナリングが必要である。
【0030】
本開示の第1の実施形態によれば、開ループ(OL)MIMO伝送の場合、対にされた空間ストリーム間の相互関係ができる限り弱いように、物理的なアンテナの構成と、アンテナへの空間ストリームのマッピングとに基づいて、空間ストリームを対にすることができる。これを達成する目的で、隣り合うアンテナを通じて送信される空間ストリームが対にされることを回避し、対にされた空間ストリームが送信されるアンテナの間の最小物理距離を最大にすることが好ましい。空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している場合、空間ストリームをN個のペアに対にする方法の例は、最小のストリームインデックスを有する空間ストリームから開始して、ストリームインデックスの値がNだけ離れている2つの空間ストリームそれぞれを互いに対にするステップを含む。Nssが奇数である場合、最大のストリームインデックスを有する空間ストリームは対にされない。結果として、特に、直接マッピングを使用するOL MIMO伝送の場合に、対にされた空間ストリームそれぞれにおける空間ダイバーシチ利得を改善することができる。
【0031】
図6Aは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、4つの空間ストリームそれぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS3を対にし、SS2とSS4を対にすることがより良好である。
【0032】
図6Bは、直接マッピングおよび6つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、6つの空間ストリームそれぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS4を対にし、SS2とSS5を対にし、SS3とSS6を対にすることがより良好である。
【0033】
図6Cは、直接マッピングおよび8つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第7の空間ストリームSS7との間の相互関係、または第4の空間ストリームSS4と第8の空間ストリームSS8との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS8それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS5を対にし、SS2とSS6を対にし、SS3とSS7を対にし、SS4とSS8を対にすることがより良好である。
【0034】
図6Dは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第1の実施形態に係る空間ストリームのペアリングの別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスは、物理的なアンテナの構成の番号に対応していない。第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第3の空間ストリームSS3と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1、SS2、SS3、SS4がより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS2を対にし、SS3とSS4を対にすることがより良好である。
【0035】
図5におけるステップ506においては、空間ストリームのペアそれぞれに、図4に示したSFDSを適用する。Nssが奇数である場合、対にされない空間ストリームに、図3に示したDCMを適用する。方法500は、ステップ508において停止する。
【0036】
本開示の第1の実施形態によれば、RUにおけるシングルユーザ伝送においてダイバーシチ伝送が可能であり、DCMおよびSFDSを含む2つのダイバーシチ伝送方式が、RUにおいて使用される変調方式に適用可能である。RUにおいて使用されるダイバーシチ伝送方式は、次のように、RUにおいて送信される空間ストリームの数Nssのみに従って決定される。
- Nssが偶数である場合、N個の空間ストリームペアそれぞれにSFDSが適用される。例えば、Nss=2の場合、1つの空間ストリームペアにSFDSが適用される。
- Nssが奇数である場合、N個の空間ストリームペアそれぞれにSFDSが適用され、対にされない空間ストリームにDCMが適用される。例えば、Nss=1の場合、1つの空間ストリームにDCMが適用される。Nss=3の場合、1つの空間ストリームペアにSFDSが適用され、残りの対にされない空間ストリームにDCMが適用される。
【0037】
本開示の第1の実施形態によれば、図1のHEパケット100のHE-SIG-AにおけるDCMフィールド、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームが、本来の目的の代わりに、ダイバーシチ伝送が有効にされているかを示すことができる。ダイバーシチ伝送が有効にされている場合、受信機は、RUにおけるシングルユーザ伝送に(1つまたは複数の)どのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを、空間ストリームの数Nssに従って求めることができる。
【0038】
上述した設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、対にされた空間ストリームそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用することによって、対にされた空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらには、送信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式を使用するかを空間ストリームの数に基づいて決定するため、たとえRUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信されるときでも、受信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が実際に使用されているかを通知する追加のシグナリングビットを受信することなく、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを認識することができる。したがって、上述した設定をサポートするために余分なシグナリングビットが必要ない。これは極めて重要であり、なぜならHE-SIG-Aフィールド、またはHE-SIG-Bフィールドのユーザ固有サブフィールドが、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを示すための十分なシグナリングビットを有さないことがあるためである。
【0039】
本開示の第1の実施形態によれば、Nssが奇数である場合、DCMが適用される対にされない空間ストリームにおいては、空間ダイバーシチ利得が得られない。
【0040】
本開示の第1の実施形態によれば、受信機は、1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を復号する前に、空間ストリームがどのように対にされているかを、空間ストリームの数Nssに従って認識することができる。例えば、Nss=4の場合、最初の空間ストリームペアが、第1の空間ストリームSS1および第3の空間ストリームSS3を備えており、2番目の空間ストリームペアが、第2の空間ストリームSS2および第4の空間ストリームSS4を備えている。
【0041】
本開示の第1の実施形態によれば、Nssが偶数である場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、N個の空間ストリームペアそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして(deparse)、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
【0042】
本開示の第1の実施形態によれば、Nssが奇数である場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、N個の空間ストリームペアそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、対にされていない空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
【0043】
本開示の第1の実施形態によれば、受信機は、空間ストリームペアにおける第1の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、ペアにおける第1の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLR(尤度比:Likelihood Ratio)と、ペアにおける第2の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数6】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、空間ストリームペアにおける第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、ペアにおける第2の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLRと、ペアにおける第1の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数7】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
【0044】
本開示の第1の実施形態によれば、受信機は、対にされていない空間ストリームからの情報ビットを復号するため、対にされていない空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLR(尤度比)と、対にされていない空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数8】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
【0045】
図7は、ダイバーシチ伝送およびBCCを使用しての1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120(図1を参照)を生成するために使用される、本開示の第1の実施形態に係る送信機700の構造の例を示している。送信機700は、FEC前PHYパディングブロック702と、スクランブラ704と、BCC符号化器706と、FEC後PHYパディングブロック708と、ストリームパーサ710と、Nss個のBCCインターリーバ712と、Nss個のコンステレーションマッパー714と、DCM/SFDSトーンマッパー716と、(Nss-1)個のCSDブロック718と、空間・周波数マッピングブロック720と、NTX個のIDFTブロック722と、NTX個のGI挿入および窓掛けブロック724と、NTX個のアナログおよびRFブロック726と、を備えている。さらに、送信機700は、空間ストリームペアリングブロック732と、ダイバーシチ方式選択ブロック734と、を備えている。
【0046】
FEC前PHYパディングブロック702と、スクランブラ704と、BCC符号化器706と、FEC後パディングブロック708と、ストリームパーサ710と、BCCインターリーバ712と、コンステレーションマッパー714と、CSDブロック718と、空間・周波数マッピングブロック720と、IDFTブロック722と、GI挿入および窓掛けブロック724と、アナログおよびRFブロック726は、図2に示した送信機200における対応する各ブロックとまったく同じ機能を有する。
【0047】
空間ストリームペアリングブロック732は、Nss個の空間ストリームをN個のペアに対にする。Nssが奇数である場合、Nss個の空間ストリームのうちの1つが対にされない。ダイバーシチ方式選択ブロック734は、使用する(1つまたは複数の)ダイバーシチ方式をNssの値に従って決定する。DCM/SFDSトーンマッパー716は、Nssが奇数の場合に、対にされない空間ストリームに対して、図3に示したDCMを実行し、N個の空間ストリームペアそれぞれに対して、図4に示したSFDSを実行する。
【0048】
本開示の第1の実施形態の設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、対にされた空間ストリームそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用することによって、対にされた空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらには、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを受信機に通知する余分なシグナリングビットが必要ない。
【0049】
<第2の実施形態>
図8は、ダイバーシチ伝送を実行する、本開示の第2の実施形態に係る方法の例800を示している。方法800は、ステップ802において開始される。ステップ804において、空間ストリームの数Nssが1に等しい場合、方法800はステップ806に進む。そうでない場合、方法800はステップ808に進む。
【0050】
ステップ806においては、1つの空間ストリームに、図3に示したDCMを適用する。方法800はステップ818において停止する。ステップ808においては、空間ストリームの数Nssが偶数である場合、方法800はステップ810に進む。そうでない場合、方法800はステップ814に進む。
【0051】
ステップ810においては、Nss個の空間ストリームをN個(次式)のグループにグループ化する(式(2))。
【0052】
【数9】
【0053】
各グループは2つの空間ストリームを備えている。ステップ812において、2つの空間ストリームからなるN個のグループそれぞれに、図4に示したSFDSを適用する。方法800はステップ818において停止する。
【0054】
ステップ814においては、Nss個の空間ストリームをN個のグループにグループ化し、この場合、N個のグループのうちの1つが3つの空間ストリームを備えており、残りの(N-1)個のグループそれぞれが2つの空間ストリームを備えている。ステップ816において、2つの空間ストリームからなる(N-1)個のグループそれぞれに、図4に示した従来のSFDSを適用し、3つの空間ストリームからなるグループに、拡張SFDS(e-SFDS)を適用する。e-SFDSの動作については後から詳しく説明する。方法800はステップ818において停止する。
【0055】
本開示の第2の実施形態によれば、空間ストリームをグループ化する方法は、設定可能とする、またはあらかじめ決めておくことができる。空間ストリームをグループ化する複数の方法が設定可能である場合、空間ストリームをグループ化するために実際に使用されている方法を示すため、HE-SIG-A 110、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームにおける追加のシグナリングが必要である。
【0056】
本開示の第2の実施形態によれば、OL MIMOの場合、グループ化される空間ストリーム間の相互関係ができる限り弱いように、物理的なアンテナの構成と、アンテナへの空間ストリームのマッピングとに基づいて、空間ストリームをグループ化することができる。これを達成する目的で、隣り合うアンテナを通じて送信される空間ストリームを同じグループにグループ化することを回避し、同じグループの空間ストリームが送信されるアンテナ間の最小物理距離を最大にすることが好ましい。
【0057】
空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している場合、Nssが偶数ならば、空間ストリームをN個の空間ストリームグループにグループ化する方法の例は、最小のストリームインデックスを有する空間ストリームから開始して、ストリームインデックスの値がNだけ離れている2つの空間ストリームそれぞれを一緒にグループ化するステップを含む。Nssが奇数であり1より大きい場合には、空間ストリームをN個の空間ストリームグループにグループ化する方法の例は、2番目に小さいストリームインデックスを有する空間ストリームから開始して、2つの空間ストリームからなる(N-1)個のグループそれぞれにおいて、ストリームインデックスの値がNだけ離れている2つの空間ストリームそれぞれを一緒にグループ化するステップを含む。残りの3つの空間ストリームは、3つの空間ストリームからなるグループにグループ化される。結果として、特に、直接マッピングを使用するOL MIMO伝送の場合に、空間ストリームそれぞれにおいて空間ダイバーシチ利得を改善することができる。
【0058】
図9Aは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、4つの空間ストリームそれぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS3をグループ化し、SS2とSS4をグループ化することがより良好である。
【0059】
図9Bは、直接マッピングおよび5つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS5それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS3とSS5をグループ化し、SS2とSS4をグループ化することがより良好である。
【0060】
図9Cは、直接マッピングおよび6つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS6それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS4を対にし、SS2とSS5を対にし、SS3とSS6を対にすることがより良好である。
【0061】
図9Dは、直接マッピングおよび7つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係、または第4の空間ストリームSS4と第7の空間ストリームSS7との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS7それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS4とSS7をグループ化し、SS2とSS5をグループ化し、SS3とSS6をグループ化することがより良好である。
【0062】
図9Eは、直接マッピングおよび8つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応している。第1の空間ストリームSS1と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係、または第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係より一般に弱いが、第2の空間ストリームSS2と第6の空間ストリームSS6との間の相互関係、または第3の空間ストリームSS3と第7の空間ストリームSS7との間の相互関係、または第4の空間ストリームSS4と第8の空間ストリームSS8との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS8それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS5を対にし、SS2とSS6を対にし、SS3とSS7を対にし、SS4とSS8を対にすることがより良好である。
【0063】
図9Fは、直接マッピングおよび4つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応していない。第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係より一般に弱いが、第3の空間ストリームSS3と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1、SS2、SS3、SS4がより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS2をグループ化し、SS3とSS4をグループ化することがより良好である。
【0064】
図9Gは、直接マッピングおよび5つの空間ストリームを使用するOL MIMO伝送の場合における、本開示の第2の実施形態に係る空間ストリームのグループ化の別の例を示している。この場合、空間ストリームに割り当てられているストリームインデックスが、物理的なアンテナの構成の番号に対応していない。第1の空間ストリームSS1と第2の空間ストリームSS2との間の相互関係は、第1の空間ストリームSS1と第4の空間ストリームSS4との間の相互関係より一般に弱いが、第4の空間ストリームSS4と第5の空間ストリームSS5との間の相互関係、または第2の空間ストリームSS2と第3の空間ストリームSS3との間の相互関係と同程度であることに留意されたい。したがって、SS1~SS5それぞれがより良好な同程度の空間ダイバーシチ利得を達成することができるように、SS1とSS2とSS3をグループ化し、SS4とSS5をグループ化することがより良好である。
【0065】
図10は、本開示の第2の実施形態に係る、QPSK変調が使用される場合におけるe-SFDSの動作の例を示している。e-SFDSは、3つの空間ストリームにまたがって実行される。第1の空間ストリームSS1に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分(図10の左側)にマッピングされ、すなわち、{d1,k,k=0,1,...,NSD/2-1}である。第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分(図10の右側)にマッピングされる。すなわち、以下である。
【数10】
第2の空間ストリームSS2に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d2,k,k=0,1,...,NSD/2-1}である。第2の空間ストリームSS2に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第3の空間ストリームSS3に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
【数11】
第3の空間ストリームSS3に対応するデータブロック内の符号化されてインターリーブされたビットが、QPSKによって変調され、第3の空間ストリームSS3に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分にマッピングされ、すなわち、{d3,k,k=0,1,...,NSD/2-1}である。第3の空間ストリームSS3に対応するRUにおけるデータサブキャリアの下半分の変調されたシンボルが繰り返され、共役化され、次いで、第1の空間ストリームSS1に対応するRUにおけるデータサブキャリアの上半分にマッピングされる。すなわち、以下である。
【数12】
【0066】
本開示の第2の実施形態によれば、e-SFDSの利点は、3つの空間ストリームからなる1つのグループ内の3つの空間ストリームそれぞれにおいて、周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができることである。
【0067】
なお、高次変調(例えば64-QAM)の場合、高い誤り性能を達成する代償として、高次変調のデータレートが低下しうるため、図9に示したe-SFDSを使用しなくてもよいことに留意されたい。
【0068】
本開示の第2の実施形態によれば、RUにおけるシングルユーザ伝送においてダイバーシチ伝送が可能であり、DCM、従来のSFDS、およびe-SFDSを含む3つのダイバーシチ伝送方式が、RUにおいて使用される変調方式に適用可能である。RUにおいて使用されるダイバーシチ伝送方式は、次のように、RUにおいて送信される空間ストリームの数Nssのみに従って決定される。
- Nss=1の場合、1つの空間ストリームにDCMが適用される。
- Nssが偶数である場合、2つの空間ストリームからなるN個のグループそれぞれに従来のSFDSが適用される。例えば、Nss=2の場合、2つの空間ストリームからなる1つのグループに従来のSFDSが適用される。
- Nssが奇数であり1より大きい場合、N個のグループが存在する。2つの空間ストリームからなる(N-1)個のグループそれぞれに従来のSFDSが適用され、3つの空間ストリームからなるグループにe-SFDSが適用される。例えば、Nss=3の場合、3つの空間ストリームからなる1つのグループにe-SFDSが適用される。Nss=5の場合、2つの空間ストリームからなるグループに従来のSFDSが適用され、3つの空間ストリームからなるグループにe-SFDSが適用される。
【0069】
本開示の第2の実施形態によれば、図1のHEパケット100のHE-SIG-AにおけるDCMフィールド、HE-SIG-B 112のユーザ固有サブフィールド、またはトリガーフレームが、本来の目的の代わりに、ダイバーシチ伝送が有効にされているかを示すことができる。ダイバーシチ伝送が有効にされている場合、受信機は、(1つまたは複数の)どのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを、空間ストリームの数Nssに従って求めることができる。
【0070】
上述した設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、2つの空間ストリームからなるグループそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用し、3つの空間ストリームからなるグループに対するダイバーシチ伝送方式としてe-SFDSを使用することによって、Nss個の空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらには、送信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式を使用するかを空間ストリームの数に基づいて決定するため、たとえRUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信されるときでも、受信機は、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が実際に使用されているかを通知する追加のシグナリングビットを受信することなく、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを認識することができる。したがって、上述した設定をサポートするために余分なシグナリングビットが必要ない。これは極めて重要であり、なぜならHE-SIG-Aフィールド、またはHE-SIG-Bフィールドのユーザ固有サブフィールドが、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを示すための十分なシグナリングビットを有さないことがあるためである。
【0071】
本開示の第2の実施形態によれば、受信機は、1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用HEパケット100のHEデータフィールド120を復号する前に、空間ストリームがどのようにグループ化されているかを、空間ストリームの数Nssに従って認識することができる。例えば、Nss=4の場合、2つの空間ストリームからなる最初のグループがSS1およびSS3を備えており、2つの空間ストリームからなる2番目のグループがSS2およびSS4を備えている。
【0072】
本開示の第2の実施形態によれば、Nssが偶数である場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用の図1のHEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、2つの空間ストリームからなるNss/2個のグループそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
【0073】
本開示の第2の実施形態によれば、Nssが奇数であり1より大きい場合に1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用の図1のHEパケット100のHEデータフィールド120を受信機において復号する方法は、2つの空間ストリームからなる(N-1)個のグループそれぞれにおける第1の空間ストリームおよび第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、3つの空間ストリームからなるグループにおける第1の空間ストリーム、第2の空間ストリーム、および第3の空間ストリームからの情報ビットを復号するステップと、Nss個の空間ストリームを逆パースして、復号された情報ビットのシーケンスを得るステップと、を含む。
【0074】
本開示の第2の実施形態によれば、受信機は、2つの空間ストリームからなるグループにおける第1の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第1の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第2の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数13】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、2つの空間ストリームからなるグループにおける第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第2の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第1の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数14】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
【0075】
本開示の第2の実施形態によれば、受信機は、3つの空間ストリームからなるグループにおける第1の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第1の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第2の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数15】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、グループにおける第2の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第2の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第3の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数16】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。さらに受信機は、グループにおける第3の空間ストリームからの情報ビットを復号するため、グループにおける第3の空間ストリームに対応する最初のデータサブキャリアk(k=0,1,...,NSD/2-1)におけるLLRと、グループにおける第1の空間ストリームに対応する2番目のデータサブキャリアP(k)、すなわち、
【数17】
におけるLLRとを計算し、次いで両方のLLRを合成する。
【0076】
図11は、ダイバーシチ伝送およびBCCを使用しての1つのRUにおけるシングルユーザ伝送用の図1のHEパケット100のHEデータフィールド120を生成するために使用される、本開示の第2の実施形態に係る送信機1100の構造の例を示している。送信機1100は、FEC前PHYパディングブロック1102と、スクランブラ1104と、BCC符号化器1106と、FEC後PHYパディングブロック1108と、ストリームパーサ1110と、Nss個のBCCインターリーバ1112と、Nss個のコンステレーションマッパー1114と、DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116と、(Nss-1)個のCSDブロック1118と、空間・周波数マッピングブロック1120と、NTX個のIDFTブロック1122と、NTX個のGI挿入および窓掛けブロック1124と、NTX個のアナログおよびRFブロック1126とを備えており、ここでNssは空間ストリームの数であり、NTXは送信チェーンの数である。さらに、送信機1100は、空間ストリームグループ化ブロック1132と、ダイバーシチ方式選択ブロック1134とを備えている。
【0077】
FEC前PHYパディングブロック1102と、スクランブラ1104と、BCC符号化器1106と、FEC後PHYパディングブロック1108と、ストリームパーサ1110と、BCCインターリーバ1112と、コンステレーションマッパー1114と、CSDブロック1118と、空間・周波数マッピングブロック1120と、IDFTブロック1122と、GI挿入および窓掛けブロック1124と、アナログおよびRFブロック1126は、図2に示した送信機200における対応する各ブロックとまったく同じ機能を有する。
【0078】
空間ストリームグループ化ブロック1132は、Nssが1より大きい場合に、Nss個の空間ストリームをN個のグループにグループ化する。Nssが偶数である場合、N個のグループすべてが、2つの空間ストリームからなるグループである。Nssが奇数である場合、N個のグループの1つが、3つの空間ストリームからなるグループであり、残りの(N-1)個のグループそれぞれが、2つの空間ストリームからなるグループである。ダイバーシチ方式選択ブロック1134は、各グループに対して使用する(1つまたは複数の)ダイバーシチ方式を、Nssの値に従って決定する。DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116は、Nss=1の場合、1つの空間ストリームに対して、図3に示したDCMを実行する。Nssが偶数である場合、DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116は、2つの空間ストリームからなるN個のグループそれぞれに対して、図4に示した従来のSFDSを実行する。Nssが1より大きく、かつNssが奇数である場合、DCM/SFDS/e-SFDSトーンマッパー1116は、3つの空間ストリームからなるグループに対して、図10に示したe-SFDSを実行し、2つの空間ストリームからなる残りの(N-1)個のグループそれぞれに対して、図4に示した従来のSFDSを実行する。
【0079】
本開示の第2の実施形態の設定によれば、RUにおいて2つ以上の空間ストリームが送信される場合、2つの空間ストリームからなるグループそれぞれに対するダイバーシチ伝送方式としてSFDSを使用し、3つの空間ストリームからなるグループに対するダイバーシチ伝送方式としてe-SFDSを使用することによって、Nss個の空間ストリームそれぞれにおいて周波数ダイバーシチ利得および空間ダイバーシチ利得の両方を得ることができる。したがって、HEパケット100が受ける狭帯域干渉が軽減され、さらに、HEパケット100のPER性能が改善される。さらに、どの空間ストリームに対してどのダイバーシチ伝送方式が使用されているかを受信機に通知する余分なシグナリングビットが必要ない。
【0080】
<無線通信装置の構造>
図12は、本開示の第1の実施形態および第2の実施形態に係る無線通信装置1200の構造の例を示している。無線通信装置1200は、集中型無線ネットワークにおけるAP(アクセスポイント)、集中型無線ネットワークにおけるSTA(端末局)、またはピアツーピア無線ネットワークにおけるノードとすることができる。無線通信装置1200は、コントローラ1210と、送信機1220と、受信機1230と、複数のアンテナ1240とを備えている。コントローラ1210は、パケット生成器1212を備えている。パケット生成器1212は、図1に示したパケットを作成するように構成されている。作成されたパケットは、本開示のさまざまな実施形態の1つに従って送信機1220によって送信処理された後、アンテナ1240を通じて送信される。一方で、コントローラ1210は、アンテナ1240を通じて受信されたパケットを、受信機1230によって受信処理された後に解析および処理するように構成されている。
【0081】
上述した実施形態においては、本発明は、上に説明したように一例としてハードウェアによって構成されているが、ハードウェアと協働するソフトウェアによって本発明を提供することもできる。
【0082】
さらに、実施形態の説明において使用されている機能ブロックは、一般にはLSIデバイス(集積回路である)として実施される。これらの機能ブロックは、個々のチップとして形成することができ、あるいは、機能ブロックの一部またはすべてを1つのチップに集積化することができる。ここでは用語「LSI」が使用されているが、集積度に応じて、用語「IC」、「システムLSI」、「スーパーLSI」、または「ウルトラLSI」も使用することができる。
【0083】
さらに、回路集積化はLSIに限定されず、専用回路、またはLSI以外の汎用プロセッサによって達成することができる。LSIを作製した後、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(プログラム可能である)、またはLSIの中の回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブルプロセッサを使用することもできる。
【0084】
半導体技術、または半導体技術から派生する別の技術の進歩の結果として、LSIに代わる回路集積化技術が登場した場合、そのような技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。別の可能性として、バイオテクノロジーおよび/またはその他の技術を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は、無線通信システムにおけるダイバーシチ伝送の方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1210 コントローラ
1212 パケット生成器
1220 送信機
1230 受信機
1240 アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10
図11
図12