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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】モバイルデバイスの目標位置決定
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20221004BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20221004BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221004BHJP
   H04W 28/18 20090101ALI20221004BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W64/00 150
H04W72/04 131
H04W28/18 110
【請求項の数】 32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021028104
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2021141579
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/055978
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ウパディヤ カルティク
(72)【発明者】
【氏名】モイシオ マルッティ
(72)【発明者】
【氏名】コルピ ダニ
(72)【発明者】
【氏名】イハライネン テロ
(72)【発明者】
【氏名】ウーシタロ ミッコ
【審査官】篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195928(JP,A)
【文献】特開2013-176043(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108616303(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1-4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
基地局に関連付けられた、複数のモバイルデバイスのそれぞれに対して未来の通信状態を推定又は判定する決定手段を備え
ここで前記未来の通信状態は、アイドルであること、又は、未来のタイムスロットにおいて基地局に対してアップリンクで通信していること若しくは前記基地局からダウンリンクで通信していることを示し、
前記装置は更に、推定した通信状態に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスのうちの少なくとも1つの目標位置を決定することで、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを前記未来のタイムスロットにおいて前記決定した目標位置に再配置可能にする手段を備える、装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記少なくとも1つのモバイルデバイスの前記目標位置を、当該未来のタイムスロットにおける複数の未来の候補位置のそれぞれについて、当該モバイルデバイスに関連付けられた、推定された経路損失にも基づいて決定するように構成され、
前記候補位置は、当該モバイルデバイスの現在位置に少なくとも部分的に基づく、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記複数のモバイルデバイスのそれぞれについて、
(i)当該未来のタイムスロットにおける複数の候補位置を決定し、
(ii)当該候補位置それぞれについて、前記推定された未来の通信状態及び推定された経路損失に基づいて、基準パラメータを決定し、
(iii)前記目標位置として、所定の最適化条件を前記パラメータが満たす前記候補位置を選択することで、
各モバイルデバイスの目標位置を決定するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記基準パラメータは、前記候補位置での前記モバイルデバイスと、前記基地局との間のデータの平均スループットを示し、
前記最適化条件は、最大平均スループットを特定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
各モバイルデバイスの前記未来の通信状態は、前記通信がアップリンク及びダウンリンクにある確率で表現され、
前記平均スループットは、平均アップリンクスループット及び平均ダウンリンクスループットの合計を使用して計算され、
各スループットは、それぞれの確率に基づいて重み付けされる、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記推定された経路損失は、前記モバイルデバイスと、当該未来のタイムスロットにおける1つ又は複数のその他モバイルデバイスそれぞれとの間の、各候補位置での前記推定された経路損失に基づくように構成される、請求項3から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記推定された経路損失は、当該未来のタイムスロットにおける前記モバイルデバイスと、前記基地局との、各候補位置での前記推定された経路損失に更に基づくように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
(iv)前記モバイルデバイスのそれぞれの現在位置データを、それぞれの前記目標位置で更新して、更に未来のタイムスロットの1つ又は複数のそれぞれについて、動作(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を前記モバイルデバイスのそれぞれに再度実行する手段を更に備える、請求項3から7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記複数の候補位置は、前記少なくとも1つのモバイルデバイスの前記現在位置及び軌跡に基づく、請求項2から8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記複数の候補位置は、3次元空間内の位置を含む、請求項2から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記複数の候補位置は、前記現在位置から特定の距離内に規制される、請求項2から10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのモバイル通信デバイスをそのそれぞれの目標位置に移動させる手段を更に備える、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記基地局は、帯域内全二重(In-Band Full-Duplex:IBFD)動作用に構成される、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記モバイルデバイスは半二重無線機を備える、請求項1から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記モバイルデバイスのうちの1つ又は複数は、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)、自律及び/又は遠隔制御車両、又はモバイルロボットである、請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
方法であって、
基地局に関連付けられた、複数のモバイルデバイスのそれぞれに対して未来の通信状態を推定又は判定することを含み
ここで前記未来の通信状態は、アイドルであること、又は、未来のタイムスロットにおいて基地局に対してアップリンクで通信していること若しくは前記基地局からダウンリンクで通信していることを示し、
前記方法は更に、推定した通信状態に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスのうちの少なくとも1つの目標位置を決定することで、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを前記未来のタイムスロットにおいて前記決定した目標位置に再配置可能にすることを含む方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのモバイルデバイスの前記目標位置の決定は、当該未来のタイムスロットにおける複数の未来の候補位置のそれぞれについて、当該モバイルデバイスに関連付けられた、推定された経路損失にも基づき、
前記候補位置は、当該モバイルデバイスの現在位置に少なくとも部分的に基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記決定は、前記複数のモバイルデバイスのそれぞれについて、
(i)当該未来のタイムスロットにおける複数の候補位置を決定し、
(ii)当該候補位置それぞれについて、前記推定された未来の通信状態及び推定された経路損失に基づいて、基準パラメータを決定し、
(iii)前記目標位置として、所定の最適化条件を前記パラメータが満たす前記候補位置を選択することで、
各モバイルデバイスの目標位置を決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基準パラメータは、前記候補位置での前記モバイルデバイスと、前記基地局との間のデータの平均スループットを示し、
前記最適化条件は、最大平均スループットを特定する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各モバイルデバイスの前記未来の通信状態は、前記通信がアップリンク及びダウンリンクにある確率で表現され、
前記平均スループットは、平均アップリンクスループット及び平均ダウンリンクスループットの合計を使用して計算され、
各スループットは、それぞれの確率に基づいて重み付けされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記推定された経路損失は、前記モバイルデバイスと、当該未来のタイムスロットにおける1つ又は複数のその他モバイルデバイスそれぞれとの間の、各候補位置での前記推定された経路損失に基づく、請求項18から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記推定された経路損失は、当該未来のタイムスロットにおける前記モバイルデバイスと、前記基地局との、各候補位置での前記推定された経路損失に更に基づく、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(iv)前記モバイルデバイスのそれぞれの現在位置データを、それぞれの前記目標位置で更新して、更に未来のタイムスロットの1つ又は複数のそれぞれについて、動作(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を前記モバイルデバイスのそれぞれに再度実行することを更に含む、請求項18から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記複数の候補位置は、前記少なくとも1つのモバイルデバイスの前記現在位置及び軌跡に基づく、請求項17から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記複数の候補位置は、3次元空間内の位置を含む、請求項17から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記複数の候補位置は、前記現在位置から特定の距離内に規制される、請求項17から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのモバイル通信デバイスをそのそれぞれの目標位置に移動させることを更に含む、請求項16から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記基地局は、帯域内全二重(In-Band Full-Duplex:IBFD)動作用に構成される、請求項16から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記モバイルデバイスは半二重無線機を備える、請求項16から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記モバイルデバイスのうちの1つ又は複数は、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)、自律及び/又は遠隔制御車両、又はモバイルロボットである、請求項16から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのプロセッサ及び前記プロセッサに組み合わせる少なくとも1つのメモリを備える装置であって、前記メモリはコンピュータプログラム命令を格納し、前記コンピュータブログラム命令は、前記プロセッサに実行されると、前記装置に、請求項16から30のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成される、装置。
【請求項32】
装置の処理手段に実行されると、前記装置に、請求項16から30のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成される命令セットを備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的実施形態は、例えば、干渉を低減するため、1つ又は複数のモバイルデバイスの目標位置を決定する、装置、方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景】
【0002】
現在、第4及び第5世代(4G、5G)基地局(Base Station:BS)及びユーザ機器(User Equipment:UE)は、所与の時間-周波数リソースにおいて、1方向にのみ、即ちアップリンク(UL)又はダウンリンク(DL)で通信する。帯域内全二重(In-Band Full-Duplex:IBFD)は、BS及びUEの両方が、同じ時間-周波数リソースを介して、同時に送信及び受信可能とすることで、総スループットを倍にし得る最近の技術である。しかし、IBFDにおける主要な課題は、自己干渉(Self-Interference:SI)である。これは、より強い送信信号が、より弱い受信信号と干渉した結果である。SIを抑制する方法はいくつか存在する。例えば、パッシブアイソレーション、ビームフォーミング、及び積極的にSIを打ち消すためのデジタル信号処理に基づく方法などである。これら方法のうちの1つ又は複数の組合せは、SI電力をノイズフロア近くまで低減することが確認されたが、サイズ、コスト、及び電力消費の増加により、UEに対する適用は限定され得る。IBFDの利点の一部は、別のアーキテクチャを利用して実現可能である。
【摘要】
【0003】
本発明の各種実施形態についての保護の範囲は、独立請求項に規定される。独立請求項の範囲に該当しない実施形態や特徴が本明細書に記載されている場合、これらは本発明の各種実施形態を理解するために有用な例であると解釈される。
【0004】
第1態様によると、例示的実施形態は装置を開示し、当該装置は、基地局に関連付けられた、複数のモバイルデバイスKそれぞれに対して未来の通信状態を推定又は判定する手段と、その推定された通信状態に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスのうちの少なくとも1つの目標位置を決定することで、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを略当該未来のタイムスロットtにおいて前記決定された目標位置に再配置可能にする手段と、を備える。ここで前記未来の通信状態は、アイドルであること、又は、未来のタイムスロットtにおいて基地局に対してアップリンクで通信していること若しくは前記基地局からダウンリンクで通信していることを示す。
【0005】
前記決定手段は、前記少なくとも1つのモバイルデバイスの前記目標位置を、当該未来のタイムスロットtにおける複数の未来の候補位置のそれぞれについて、当該モバイルデバイスに関連付けられた、推定された経路損失にも基づいて決定するように構成されてもよく、前記候補位置は、当該モバイルデバイスの現在位置に少なくとも部分的に基づく。
【0006】
前記決定手段は、前記複数のモバイルデバイスのそれぞれについて、(i)当該未来のタイムスロットtにおける複数の候補位置を決定し、(ii)当該候補位置それぞれについて、前記推定された未来の通信状態及び推定された経路損失に基づいて、基準パラメータを決定し、(iii)前記目標位置として、所定の最適化条件を前記パラメータが満たす前記候補位置を選択することで、各モバイルデバイスの目標位置を決定するように構成されてもよい。
【0007】
前記基準パラメータは、前記候補位置での前記モバイルデバイスと、前記基地局との間のデータの平均スループットを示してもよく、前記最適化条件は、最大平均スループットを特定する。
【0008】
各モバイルデバイスの前記未来の通信状態は、前記通信がアップリンク及びダウンリンクにある確率で表現されてもよく、前記平均スループットは、平均アップリンクスループット及び平均ダウンリンクスループットの合計を使用して計算され、各スループットは、それぞれの確率に基づいて重み付けされる。
【0009】
前記決定手段は、前記推定された経路損失は、前記モバイルデバイスと、当該未来のタイムスロットにおける1つ又は複数のその他モバイルデバイスそれぞれとの間の、各候補位置での前記推定された経路損失に基づくように構成されてもよい。
【0010】
前記決定手段は、前記推定された経路損失は、当該未来のタイムスロットにおける前記モバイルデバイスと、前記基地局との、各候補位置での前記推定された経路損失に更に基づくように構成されてもよい。
【0011】
前記装置は、(iv)前記モバイル通信デバイスのそれぞれの現在位置データを、それぞれの前記目標位置で更新して、更に未来のタイムスロットt=t+1,...Tの1つ又は複数のそれぞれについて、動作(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を前記モバイル通信デバイスのそれぞれに再度実行する手段を更に備えてもよい。
【0012】
前記複数の候補位置は、前記特定のモバイルデバイスの前記現在位置及び軌跡に基づいてもよい。
【0013】
前記複数の候補位置は、3次元空間内の位置を含んでもよい。
【0014】
前記複数の候補位置は、前記現在位置から特定の距離内に規制されてもよい。
【0015】
前記装置は、前記少なくとも1つのモバイル通信デバイスをそのそれぞれの目標位置に移動させる手段を更に備えてもよい。
【0016】
前記基地局は、帯域内全二重(In-Band Full-Duplex:IBFD)動作用に構成されてもよい。
【0017】
各モバイル通信デバイスは半二重無線機を備えてもよい。
【0018】
前記モバイル通信デバイスのうちの1つ又は複数は、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)、自律及び/又は遠隔制御車両、又はモバイルロボットであってもよい。
【0019】
第2態様によると、例示的実施形態は方法を開示し、当該方法は、基地局に関連付けられた、複数のモバイルデバイスKそれぞれに対して未来の通信状態を推定又は判定することと、その推定された通信状態に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスのうちの少なくとも1つの目標位置を決定することで、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを略当該未来のタイムスロットtにおいて前記決定された目標位置に再配置可能にすることと、を含む。ここで前記未来の通信状態は、アイドルであること、又は、未来のタイムスロットtにおいて基地局に対してアップリンクで通信していること若しくは前記基地局からダウンリンクで通信していることを示す。
【0020】
前記少なくとも1つのモバイルデバイスの前記目標位置の決定は、当該未来のタイムスロットtにおける複数の未来の候補位置のそれぞれについて、当該モバイルデバイスに関連付けられた、推定された経路損失にも基づいてもよく、前記候補位置は、当該モバイルデバイスの現在位置に少なくとも部分的に基づく。
【0021】
前記決定は、前記複数のモバイルデバイスのそれぞれについて、(i)当該未来のタイムスロットtにおける複数の候補位置を決定し、(ii)当該候補位置それぞれについて、前記推定された未来の通信状態及び推定された経路損失に基づいて、基準パラメータを決定し、(iii)前記目標位置として、所定の最適化条件を前記パラメータが満たす前記候補位置を選択することで、各モバイルデバイスの目標位置を決定することを含んでもよい。
【0022】
前記基準パラメータは、前記候補位置での前記モバイルデバイスと、前記基地局との間のデータの平均スループットを示してもよく、前記最適化条件は、最大平均スループットを特定してもよい。
【0023】
各モバイルデバイスの前記未来の通信状態は、前記通信がアップリンク及びダウンリンクにある確率で表現されてもよく、前記平均スループットは、平均アップリンクスループット及び平均ダウンリンクスループットの合計を使用して計算され、各スループットは、それぞれの確率に基づいて重み付けされる。
【0024】
前記推定された経路損失は、前記モバイルデバイスと、当該未来のタイムスロットにおける1つ又は複数のその他モバイルデバイスそれぞれとの間の、各候補位置での前記推定された経路損失に基づいてもよい。
【0025】
前記推定された経路損失は、当該未来のタイムスロットにおける前記モバイルデバイスと、前記基地局との、各候補位置での前記推定された経路損失に更に基づいてもよい。
【0026】
前記方法は、(iv)前記モバイル通信デバイスのそれぞれの現在位置データを、それぞれの前記目標位置で更新して、更に未来のタイムスロットt=t+1,...Tの1つ又は複数のそれぞれについて、動作(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を前記モバイル通信デバイスのそれぞれに再度実行することを更に含んでもよい。
【0027】
前記複数の候補位置は、前記特定のモバイルデバイスの前記現在位置及び軌跡に基づいてもよい。
【0028】
前記複数の候補位置は、3次元空間内の位置を含んでもよい。
【0029】
前記複数の候補位置は、前記現在位置から特定の距離内に規制されてもよい。
【0030】
前記方法は、前記少なくとも1つのモバイル通信デバイスをそのそれぞれの目標位置に移動させることを更に含んでもよい。
【0031】
前記基地局は、帯域内全二重(In-Band Full-Duplex:IBFD)動作用に構成されてもよい。
【0032】
各モバイル通信デバイスは半二重無線機を備えてもよい。
【0033】
前記モバイル通信デバイスのうちの1つ又は複数は、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)、自律及び/又は遠隔制御車両、又はモバイルロボットであってもよい。
【0034】
第3態様によると、例示的実施形態は装置を開示し、当該装置は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに直接接続された少なくとも1つのメモリと、を備え、前記少なくとも1つのメモリはコンピュータプログラムコードを含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードによって、第2態様のいずれかの定義の方法を実施するように構成されている。
【0035】
第4態様によると、例示的実施形態は命令のセットを含むコンピュータプログラム製品を開示し、前記命令のセットは、装置によって実行されると、前記装置に第2態様のいずれかの定義の方法を実施させるように構成されている。
【0036】
第5態様によると、例示的実施形態は非一時的コンピュータ可読媒体を開示し、当該非一時的コンピュータ可読媒体は、基地局に関連付けられた、複数のモバイルデバイスKそれぞれに対して未来の通信状態を推定又は判定することと、その推定された通信状態に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスのうちの少なくとも1つの目標位置を決定することで、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを略当該未来のタイムスロットtにおいて前記決定された目標位置に再配置可能にすることと、を含む方法を実施するためのプログラム命令を格納している。ここで前記未来の通信状態は、アイドルであること、又は、未来のタイムスロットtにおいて基地局に対してアップリンクで通信していること若しくは前記基地局からダウンリンクで通信していることを示す。
【0037】
第6態様によると、例示的実施形態は装置を開示し、当該装置は、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備え、前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記装置に、基地局に関連付けられた、複数のモバイルデバイスKそれぞれに対して未来の通信状態を推定又は判定することと、その推定された通信状態に少なくとも部分的に基づいて前記モバイルデバイスのうちの少なくとも1つの目標位置を決定することで、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを略当該未来のタイムスロットtにおいて前記決定された目標位置に再配置可能にすることと、を実施させる。ここで前記未来の通信状態は、アイドルであること、又は、未来のタイムスロットtにおいて基地局に対してアップリンクで通信していること若しくは前記基地局からダウンリンクで通信していることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
例示的実施形態を、添付の図面を参照に非限定的な例として以下に説明する。
図1】複数のモバイル通信デバイスと通信する基地局を含む、通信ネットワークの一部のブロック図である。
図2】例示的実施形態に係る、帯域内全二重(IBFD)対応基地局と、位置特定用の半二重無線機を備える複数のモバイル通信デバイスを含む、通信ネットワークの一部のブロック図である。
図3A-3B】例示的実施形態に係る、それぞれ位置特定前後の、ネットワークにおけるモバイル通信デバイスの位置の概略図である。
図4】一部の例示的実施形態に係る、実行され得る動作を示すフローチャートである。
図5】別の例示的実施形態に係る、実行され得る動作を示すフローチャートである。
図6】モバイル通信デバイスと、未来の時点tにおける当該デバイスの候補位置を含む境界を示す、概略的上平面図である。
図7】別の例示的実施形態に係る、実行され得る動作を示すフローチャートである。
図8】例示的実施形態に係る、本明細書に記載の動作のシミュレーションを使用して、ダウンリンク性能に関して生成される出力を示すグラフである。
図9】例示的実施形態に係る、本明細書に記載の動作のシミュレーションを使用して、アップリンク性能に関して生成される出力を示すグラフである。
図10】例示的実施形態に応じて動作するように構成又はプログラミングされ得る装置のブロック図である。
図11】例示的実施形態に応じて動作するための、コンピュータ可読コードを含み得る非一時的な記憶媒体を示す。
【詳細説明】
【0039】
例示的実施形態は、ユーザ機器(UE)であっても、そうでなくてもよい、1つ又は複数のモバイル通信デバイス(「モバイルデバイス」)の目標位置を決定することを含み得る。この文脈でのモバイルデバイスは、それぞれアップリンク及びダウンリンクにおいて、無線送信及び/又は受信可能で、位置を自律的に及び/又は遠隔操作下で変え得る任意のデバイスであり得る。本明細書では、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)がモバイルデバイスの例として記載される。別の例として、自律及び/又は遠隔制御される陸上車及び/又は無線設備を運ぶモバイルロボットが挙げられる。UAVは、監視、貨物輸送、科学技術研究など、未来の技術及び用途を可能にするのに最も重要なものとなりつつある。通信ネットワークを実現するための開発において、UAVのネットワークが有用になることが予測される。UAVは一般的に、基地局(BS)との通信リンクが、ペイロードデータを送受信することが必要である。同データの例としては、アップリンク(UAVからBS)におけるカメラ及び/又はGNSSレシーバからのセンサデータと、ダウンリンク(BSからUAV)における制御データが挙げられ、これにより、UAVの動作や航路などが判定される。一部の実施形態において、制御データは、BS以外のネットワークモジュールから到来し得る。
【0040】
帯域内全二重(IBFD)は、現在と未来の無線ネットワークにおけるデータスループットを改善する可能性がある。しかし、UAVなどのモバイルデバイスでの自己干渉(SI)を抑制すると、モバイルデバイスのサイズ、重量、コスト、及び電力消費を増大する可能性があり、これによってその現実的用途が限定される。IBFD対応BSが、2つの(又は2セットの)半二重モバイルデバイスとして機能するように、ネットワークを修正することで、IBFDの利点の一部が実現され得る。ここで、一方のセットはアップリンク(UL)で送信を行い、他方のセットは同じ時間-周波数リソースを使用してダウンリンク(DL)で受信を行う。この種のネットワークアーキテクチャでは、BSでSIは管理可能であるが、それでもULで送信するモバイルデバイスが、同じ時間-周波数リソースを使用してDLで受信を行うモバイルデバイスに対してチャネル間干渉(Cross-Channel Interference:CCI)を生じ得る。この干渉の大きさは、UL送信電力とモバイルデバイス間の経路損失に依存する。後者はセル内のモバイルデバイスの相対位置に依存する。SIが、IBFD対応BSで十分抑制されると仮定すると、CCIはこのネットワークアーキテクチャでの主要な干渉源となり得る。CCIの抑制は圧倒的により困難であり、その抑制のために、モバイルデバイス間の調整が必要となり得る。これは更に、オーバーヘッドを要し得、その結果、IBFD対応BSに移動する際に得られるスループットが減衰し得る。
【0041】
本明細書に記載の経路損失は、モバイルデバイスが多数のアンテナを有するビームゲインについての検討を含み得る。例えば、複数のアンテナを有するモバイルデバイスがあれば、CCIの大きさは、ビーム方向などの要因にも依存し得る。
【0042】
例示的実施形態は、IBFD対応BSと、例えば半二重無線であるRF無線機を搭載した複数の自律又は遠隔制御されたモバイルデバイスを含み得るネットワークにおけるCCIを低減することを目的とする。制御は、モバイルデバイスの位置の制御と、場合によっては速度の制御を含む。UAVの文脈において、位置は例えば、X、Y、Z軸におけるその三次元(3D)空間位置を意味する。
【0043】
例示的実施形態は、未来の1つ又は複数の特定のタイムスロットにおける複数のモバイルデバイスのそれぞれの未来の通信状態を推定又は判定することを伴い得る。これは例えば、現在及び/又は以前のタイムスロットでの通信状態に基づく。「推定する」という用語がこの文脈で以下に使用されるが、これはまた、未来の通信状態がある程度の確信性を持って把握される状況を網羅することも意図する。通信状態は、モバイルデバイスがBSに対してアップリンクで送信する、又はBSからダウンリンクで受信する、おそらく更なる状態として、BSが特定の時間でアイドルであることを示し得る。未来の通信状態は、確率又は尤度測定値として生成され得る。例えば、アップリンク送信の尤度が80%で、ダウンリンク受信の尤度が20%となる。「アイドル」が正当な状態であれば、これも確率測定値を有し得る。この場合、結果は「アップリンク」に設定され得、あるいは一部の実施形態において、推定確率パラメータは、未来の時点でのデータスループットの推定に使用され得る。一実施形態において、未来のタイムスロットにおけるモバイルデバイスの少なくとも1つの目標位置は、当該未来のタイムスロットにおける推定送信状態に基づいて決定され得る。これにより、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを、決定された目標位置に再配置し、したがって、モバイルデバイスは、略当該未来の時点において当該目標位置に存在する。例示的実施形態は、IBFDの効果が一部実現されながら、CCIの影響を低減できるように、1つ又は複数のモバイルデバイスをどのように再配置するかを決定する方法を伴う。
【0044】
例示的実施形態は、1つ又は複数のモバイルデバイスの位置を決定する、最適化アルゴリズムを提供し得る。このアルゴリズムは、無線通信ネットワークの任意の部位で実行可能である。例えば、BSにおいて、又はローカル又はコアネットワークの一部など、その他ノード内で実行可能である。決定された位置は、制御モジュールにより、どのように、いつ1つ又は複数のモバイルデバイスが再配置されるかを制御するように使用され得る。制御モジュールは同様に、無線通信ネットワークのどの部分にあってもよい。例えば、BSにおいて、又は別のノード内であり得る。したがって、例示的実施形態は更に、1つ又は複数のモバイルデバイスの位置を制御することで、適切なタイムスロットにおいて、又は当該タイムスロットの直前に目標位置に自動的に移動するように制御することを伴い得る。この処理は、複数のモバイルデバイスに対して平行に、又は順次実行可能である。モバイルデバイスは、これらモバイルデバイスについて目標位置が判定されるまで、再配置されなくてもよい。各タイムスロットにおいて、又はその直前に、モバイルデバイスはその目標位置に移動するように制御され得、各後続のタイムスロットにおいても同様に制御され得る。
【0045】
図1は、対応するアンテナマスト11及びこれに搭載された1つ又は複数のアンテナ要素12を有するBS10を含む電気通信ネットワークの一部を示す。BS10は、無線通信送受信機を備えてもよく、おそらく1つ又は複数の中間ノードを介した、コアネットワーク13へのバックホール接続があり得る。BS10及び/又はコアネットワーク13は、処理機能を有してもよい。データは、BS10及び/又はコアネットワーク13で格納、保持及び/又は操作され得る。BS10は、既知の固定位置を有する地上局であり得る。ただし、BS10という用語は、固定局又は移動局を示し得る。BS10は、任意の適切な種類であり得、3G、LTE、5G又は任意の未来の無線通信規格を利用し得る。例えば、BS10は、エンハンスドノードB(eNB)又は次世代ノードB(gNB)であり得る。BS10は、通信サービスプロバイダにより操作され得るコアネットワーク13に接続されてもよい。不図示のその他要素又はモジュールが提供されてもよい。
【0046】
動作時、BS10(そのアンテナ要素12を介して)と、この場合のモバイルデバイスの例である、複数のUAV16a、16bのそれぞれとの間で、無線信号が送信され得る。各UAV16a、16bは、半二重無線機を搭載していてもよく、これによって、共通の周波数を使用し、所与のタイムスロットで、ULで送信するかDLで受信するか、あるいはアイドルとなる。疑義を避けるため、本明細書に記載の「半二重」とは、システム帯域の所与の部分において、モバイルデバイス(例えばUAV16a、16b)は、任意の所与の時刻で送信又は受信のみを行い得、システム帯域の異なる部分で同時に送信及び受信を行うモバイルデバイスを除外するものではない。このため、本明細書に記載の「半二重」という用語は、「帯域内半二重」と同義と考えられる。無線信号は、UAV16a、16bによりULにおいてBS10に送信される、又はDLにおいて反対方向に受信される、例えばペイロードデータのような任意の形式のデータを示し得る。1つ又は複数のBS10は、UAV16a、16bの単一のグループに対応し得、又は1つのBSが1つ又は複数のUAVに対応し得る。UAV16a、16bには、センサが備わっていてもよく、特定のUAVのステータスに係る各種パラメータを測定するための複数センサ能力を有し得る。例えば、速度、加速度、高度、位置、温度、及びその他パラメータが測定され得る。カメラはセンサの別の例であり、UAV16a、16bの1つ又は複数により、BS10に対して、後処理又は以降の処理のために画像が送信され得る。
【0047】
BS10は、公知の技術を使用して、IBFD通信用に実施され得る。即ち、BS10は、スループット向上のため、所与の時間-周波数リソース上で、アップリンクとダウンリンク両方で同時通信可能であり得る。上述のように、IBFD動作の結果により生じ得るSIを抑制する技術をBS10に適用可能である。当該技術は、パッシブアイソレーションと、ビームフォーミングと、デジタル信号処理とを含み得る。
【0048】
図2は、上述のアーキテクチャを利用した電気通信ネットワークの一部を示す。複数のUAV20、21それぞれに半二重無線機が設けられる。第1UAV20は、例えば、UL22において、IBFD対応BS24のアンテナマスト25に搭載されたアンテナ26に送信し得る。第2UAV21は、例えば、DL23信号をBS24から受信し得る。UL22及びDL23信号は、同じ時間-周波数リソースを使用し得る。このネットワークアーキテクチャによると、BS24がSIを管理可能でありながら、UL22で送信する第1UAV20が、DL23で受信する第2UAV21に対してCCI干渉を生じ得る。CCI27の大きさは、送信電力と第1及び第2UAV20、21間の経路損失に依存し得る。経路損失は、第1及び第2UAV20、21の相対位置に依存し得る。上述のように、SIがBS24で十分に抑制されるとすると、図示のネットワークにおいてCCI27が主要な干渉源となり得る。
【0049】
例示的実施形態において、第1及び第2UAV20、21はそれぞれ、単一の全方向性アンテナが搭載されてもよい。BS24は、M×Nアンテナ要素(M列及びN行)を持つアンテナ26を備えてもよく、複数のストリームを介して送信及び受信を行い得る。ストリームの数は、空間多重化により同一時間-周波数リソースを介したネットワークにおけるUAVと同数であり得る。
【0050】
位置コーディネータ29は、BS24に接続されるように示されているが、あるいは、コアネットワーク28に接続されてもよい。一部の実施形態において、位置コーディネータ29は、BS24又はコアネットワーク28の一部を形成してもよいし、図2に示すネットワークの何らかのその他部位内に設けられてもよい。位置コーディネータ29は、UAV20、21の1つ又は複数の推定された又は既知の未来の通信状態に少なくとも基づいて、未来のタイムスロットにおけるUAV20、21の1つ又は複数のものの目標位置を決定するように構成された1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラを備えてもよい。決定された目標位置は、位置コーディネータ29又はその他モジュールから、関連する1つ又は複数のUAV20、21に対して送信され得、これにより、関連するタイムスロット又はその直前に自動的に位置の変化を生じさせる。当該再配置命令を発する制御モジュールは、位置コーディネータ29の一部として提供され得、あるいは図2に示すネットワークのその他モジュール内に設けられる。例示的実施形態において、UAV20、21のうちの1つ又は複数の目標位置は、図2のアーキテクチャにおけるCCIの最小化を目的として、複数の未来のタイムスロット間で決定される。
【0051】
実際、より多くの(即ち群)UAVが存在し得る。タイムスロットは、UAVがアイドルとなり得る時間か、又はUAVがULで送信する若しくはDLで受信する時間を意味するものと理解されたい。タイムスロットは、例えば14個のOFDMシンボルを含むNRスロットを意味し得るが、必ずしもそれに限られない。
【0052】
例示的実施形態において、UAV20、21のうちの1つ又は複数の目標位置は、モバイルデバイスのトラフィックパターンを利用して決定され得る。このパターンとは、特定のUAVが、未来のタイムスロットにて、アップリンクで送信する可能性が高いか、ダウンリンクで受信する可能性が高いかを意味する。
【0053】
図3A及び3Bは、トラフィックパターンを利用して、UAVの2つのグループ31、32のそれぞれの位置が最適化されたシナリオを示す。この場合の第1グループ31は、UAVを一つのみ含み、一方、第2グループ32は複数の又は群を成すUAVを含む。両グループ31、32のUAVにはそれぞれ、BS30との通信のための半二重無線機が設けられる。トラフィックパターン履歴を利用して、例えば、所与のタイムスロットにおいて、特定のUAVそれぞれがULで送信した、DLで受信した、又はアイドルとなった履歴があるかによって、未来のタイムスロットについての通信状態の確率判定を既知の技術を使用して実行できる。これは、機械学習(ML)を伴い得る。したがって、所与のUAVの以前の通信状態は、訓練データとして使用され、所与の特定の状況における未来の状態の予測に使用可能である。
【0054】
特に図3Aを参照すると、基本ケースにおいて、第2グループ32のUAVのそれぞれが、未来のタイムスロットにおいてDLで受信している確率が高いと判定され、第1グループ31は、この未来のタイムスロットにおいてULで送信している確率が高いと判定された場合、2つのグループ31、32内のUAVの少なくとも一部の位置を、CCI低減のために修正してもよい。図3Bは、位置コーディネータ29が決定した、再配置後の2つのグループ31、32のUAVの位置を示す。アップリンクで送信している確率の高い第1グループ31は、ダウンリンクで受信している確率の高い第2グループ32から離間するように動かされ得る。この再配置により、第1グループ31を、第2グループ32からより離れた位置に動かすのみで、CCIが低減され得る。
【0055】
UAVの2つのグループ31、32間の距離を広げることで、2つのグループ間の経路損失は増え、したがってアップリンク及びダウンリンク信号間のCCIは低減する。
【0056】
図4を参照すると、フローチャートの形式で、例示的実施形態に係る処理動作が示されている。例えば、この処理動作は図2に示す位置コーディネータ29において実行され得る。処理動作は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組合せで実施され得る。例えば、コンピュータプログラムが、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラ上で実行されると処理動作を実行し得る。
【0057】
第1動作4.1は、複数のモバイルデバイスそれぞれの未来の通信状態を推定することを含み得る。未来の通信状態は、未来の時点において、モバイルデバイスが基地局に対してアップリンクで通信する、基地局に対してダウンリンクで通信する、又は場合によってはアイドルとなることを示すことと定義され得る。未来の通信状態は、確率パラメータとして求められ得る。
【0058】
第2動作4.2は、推定された状態に基づいて、モバイル通信デバイスのうちの少なくとも1つの目標位置を決定することを含み得る。これにより、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを、略当該未来の時点において、決定された目標位置に再配置する。
【0059】
一部の実施形態において第3動作4.3は、略当該未来の時点において、それぞれ決定された目標位置(複数可)に、当該少なくとも1つのモバイルデバイスを再配置することを含み得る。
【0060】
図5を参照すると、フローチャートの形式で、別の例示的実施形態に係る処理動作が示されている。例えば、この処理動作は図2に示す位置コーディネータ29において実行され得る。処理動作は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組合せで実施され得る。例えば、コンピュータプログラムが、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラ上で実行されると処理動作を実行し得る。
【0061】
第1動作5.1は、未来のタイムスロットtにおける、複数のモバイルデバイスそれぞれの未来の通信状態を推定することを含み得る。未来の通信状態は、未来の時点において、モバイルデバイスが基地局に対してアップリンクで通信する、基地局に対してダウンリンクで通信する、又は場合によってはアイドルとなることを示すことと定義され得る。未来の通信状態は、確率パラメータとして求められ得る。
【0062】
第2動作5.2は、未来のタイムスロットtにおける複数のモバイルデバイスのそれぞれの複数の候補位置を決定することを含み得る。
【0063】
第3動作5.3は、各候補位置について、各モバイルデバイスの経路損失を推定することを含み得る。
【0064】
第4動作5.4は、各モバイルデバイスについて、推定された通信状態及び推定された経路損失に基づいて、各候補位置についての基準パラメータを決定することを含み得る
【0065】
第5動作5.5は、少なくとも1つのモバイルデバイスについての目標位置として、各基準パラメータが所定の最適化条件を満たす候補位置を選択することを含み得る。
【0066】
例示的実施形態において、未来のタイムスロットtでのモバイルデバイスについて決定された複数の候補位置は、特定のモバイルデバイスの現在位置及び軌跡に基づき得る。言い換えると、モバイルデバイスの現在位置及びその方向、更におそらくはその動きの速さについての情報を利用して、モバイルデバイスが関連タイムスロット内で移動可能となる空間領域又は3Dボリュームが定義され得る。モバイルデバイスの軌跡は、未来のタイムスロットtについてのモバイルデバイスの目標位置に基づいて決定され得る。軌跡はまた、例えばモバイルデバイスに関連付けられたセンサ又はデバイスからの情報より決定され得る。当該センサ又はデバイスの例としては、速度計、加速度計、高度計、RFタグ及び/又はカメラが挙げられる。
【0067】
図6は、現在位置及び軌跡61を有するモバイルデバイス60の上平面図を示す。未来のタイムスロットにおける当該モバイルデバイス60の位置に対する制約条件は、その現在位置及び軌跡61を示す情報を使用して定義され得る。未来のタイムスロットtにおけるデバイス位置の制約条件を定義することで、上限62に対応する軌道が定義され得る。これは、その外側では未来のタイムスロットtでデバイスが移動できない、又は移動する可能性の低い領域又はボリューム64を画定するものである。したがって、タイムスロットtにおける複数の候補位置は、この領域又はボリューム64内で定義され得る。候補位置63aの例が示される。後続処理を限定するため、当該領域又はボリューム64内には、限定数の候補位置63aから63nが割り当てられ得る。これにより、タイムスロットtでのモバイルデバイスの目標位置は、複数の候補位置63aから63nのうちの1つを選択することで決定できる。
【0068】
例示的実施形態において、モバイルデバイスの最高速度、最大加速度、現在位置、及び現在軌跡のうちの1つ又は複数、並びにタイムスロットtと、現在位置データに関連付けられたタイムスロットとの間の時間差に基づいて、上限62が決定し得る。一部の実施形態において、上限62は、所望位置vdesiredと、タイムスロットtでのモバイルデバイスの位置の上限に対応するベクトルとに基づいて決定し得る。
【0069】
例示的実施形態において、位置コーディネータ29は、任意の数の複数のモバイルデバイスからの、モバイル通信デバイスの位置及び/又は軌跡を示す情報を送信、受信、及び格納する手段を備えてもよい。位置及び/又は軌跡データは、例えばタイムスタンプなどの、関連付けられたメタデータを有し得る。
【0070】
未来のタイムスロットでモバイル通信デバイスが送信するか、受信するか、又はアイドルに留まるかを推定又は決定する際、これらの事象の確率、即ち、当該デバイスがそのタイムスロットにおいて送信する、受信する、又はアイドルに留まるか、を提供するためにトラフィック予測アルゴリズムが使用される。このトラフィック予測アルゴリズムは、データトラフィック履歴を利用して、関連付けられた確率により、任意の数の未来のタイムスロットにおけるモバイル通信デバイスの送信状態を予測し得る。予測は、ネットワークにおける任意の数の通信デバイスについて実行され得、通信ネットワークの任意のノードにおいて実行され得る。
【0071】
一部の実施形態において装置は、任意の数の複数のモバイル通信デバイスからの、データトラフィックデータを、送信、受信、及び格納する手段を備えてもよい。データトラフィックデータは、例えばタイムスタンプなどの、関連付けられたメタデータを有し得る。
【0072】
計算対象の、モバイル通信デバイス対間の経路損失について、各モバイル通信デバイスの位置は既知である必要がある。各モバイル通信デバイスの位置は、GPSトラッキング、RFタグ、又はその他任意の適切な位置特定技術により決定され得る。位置情報は、複数のモバイル通信デバイスのうちの任意のものから、基地局及び/又はその他任意のデバイスに送信され得る。
【0073】
図7を参照すると、フローチャートの形式で、別の例示的実施形態に係る処理動作が示されている。例えば、この処理動作は図2に示す位置コーディネータ29において実行され得る。処理動作は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組合せで実施され得る。例えば、コンピュータプログラムが、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラ上で実行されると処理動作を実行し得る。
【0074】
図7のフローチャートは、任意の適切なソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組合せで実施可能な、アルゴリズムの機能的概要を提供する。付録Aにおいて、一例においてアルゴリズムがどのように実施可能であるかについて、数学的導出と更なる実施詳細を提示する。
【0075】
第1動作7.1は、次の(未来の)タイムスロットについての後続動作を実行するための「for」ループの開始を含み得る。動作は、有限数のタイムスロットで、各後続タイムスロットについて繰り返され得る。
【0076】
次のタイムスロットについて、第2動作7.2は、各モバイルデバイスについて、順次又は並行して後続動作を実行するための別の「for」ループの開始を含み得る。
【0077】
第3動作7.3は、特定のモバイルデバイスについて現在位置及び軌跡情報を提供する(例えば、受信又は計算する)ことを含み得る。したがって、各モバイルデバイスは、任意の適切なデータ形式で、関連付けられた位置座標と、関連付けられた軌跡とを有し得る。
【0078】
第4動作7.4は、このタイムスロットにおいて、特定のモバイルデバイスについての現在位置及び軌跡情報に基づいて、複数の候補位置を決定することを含み得る。候補位置数は有限であり得る。
【0079】
第5動作7.5は、各候補位置について、候補位置での特定のモバイルデバイスと、それぞれの現在位置における、「群」内のその他各モバイルデバイスとの間の経路損失を推定することを含み得る。各候補位置での経路損失は、各モバイルデバイス対間のチャネル係数に期待値を計算することで推定され得る。これを付録Aに示す。
【0080】
第6動作7.6は、各候補位置について、特定のモバイルデバイスと、BSとの間の経路損失を推定することを含み得る。各候補位置での経路損失は、モバイルデバイスと、BSとの間のチャネル係数の期待値を計算することで推定され得る。これを付録Aに示す。
【0081】
第2動作7.2「forループ」内で生じる第7動作7.7は、第3動作7.3から第6動作7.6と並行して実行され得(ただし必ずしもそうではない)、未来のタイムスロットについて特定のモバイルデバイスについて通信状態を予測することを含み得る。上述のように確率データを含み得、過去の位置及び軌跡について取得され得、機械学習モデルを利用し得る。例示的実施形態において、例えば、特定のモバイルデバイスの通信状態は、UL及びDLで通信する(又はアイドルである)確率として表現され得る。したがって、各モバイル通信デバイスについて、アルゴリズムが、デバイスが現在タイムスロットにおいて特定の送信状態(UL及びDL)(又はアイドルである)確率を出力し得る。
【0082】
第8動作7.8は、第7動作7.7からの予測された未来の通信状態と、第5動作7.5及び第6動作7.6からの推定された経路損失のうちの1つ又は複数を使用して、基準パラメータを決定し得る。この基準パラメータは、データスループットパラメータを示し得る。付録Aから明らかになるように、基準パラメータは平均データスループットを示し得る。これは、平均ULスループット及び平均DLスループットの合計を使用して計算されるもので、各スループットは第7動作7.7から得られた各確率により重み付けされる。
【0083】
第9動作7.9は、所定の条件を満たす基準パラメータに基づいて、目標位置として候補位置を選択することを含み得る。この所定の条件は、現在タイムスロット内で各モバイルデバイスについて理想位置を決定するための、最適化問題として反映され得る。例えば、所定の条件は、付録Aで説明されるように最大平均スループットを特定するものであり得る。したがって、選択された目標位置は、平均スループットが最大化される候補位置となる。平均スループットの最大化は、CCI及び非コヒーレント干渉の影響を最小化することに対応し得る。即ちこれは、UL送信状態及びDL送信状態におけるモバイルデバイス間の経路損失を最大化することに等しい。
【0084】
第10動作7.10は、特定のモバイルデバイス、即ち現在のタイムスロットについて全てのモバイルデバイスについて現在位置情報を更新することを含み得る。
【0085】
その後処理は第1動作7.1に戻り、全タイムスロット(有限数)が完了するまで、あるいは所定数の反復が実行されるまで、次の未来のタイムスロットについて繰り返される。したがって、以前のタイムスロットについて決定された目標位置を新たな現在位置として考慮しながら、未来のタイムスロットについて処理が繰り返し進行し得る。
【0086】
実際に再配置を実行させる動作は、該当するタイムスロット又はその直前に生じ得る。したがって、特定のモバイルデバイスについて再配置が必要であるとして、略同一時間に全てのモバイルデバイスが再配置され得る。いくつかの場合において、モバイルデバイスの全てが再配置される必要はない。いくつかの場合において、モバイルデバイスの全てが再配置される必要がある。処理は次のタイムスロットとその後について繰り返す。この結果、T個のタイムスロット間で、平均スループットが最大化されるように、モバイルデバイスが継続的かつ自動的に移動し得る。再配置は、図2に示す位置コーディネータ29、又は位置コーディネータから目標位置を取得し得るその他任意の無線モジュールから発せられる制御信号により影響されるか、実行され得る。
【0087】
図4図5及び図7に概略を示す処理は、IBFD対応システムにおいて、モバイルデバイスの位置を自動的に最適化する方法を提供する。これは、例えば、反対方向に通信(UL及びDL)する可能性の高いモバイルデバイス間の経路損失を最大化することで実行され、したがって、CCIが最小化され、同一方向で通信する可能性の高いモバイルデバイス間の非コヒーレント干渉が最小化される。本明細書に開示の方法を、自律モバイルデバイス、例えばUAVを含むシステムに適用することによる更なる効果として、手動デバイスを含むシステムに比べて、より効率的かつ応答性高く自律モバイルデバイスの位置及び送信状態が制御され予測されることが挙げられる。
【0088】
〔シミュレーション例〕
本明細書に記載の方法の効果を示すため、8個のUAVが見通し線(Line-of-Sight:LoS)条件で、BSから均一に500メートルの位置に直線的に配置されているシナリオでシミュレーションを行った。実際の性能ゲインの大きさは異なり得る。UAV間の間隔は25メートルとした。BSは、64個のアンテナ要素が搭載され、完全デジタルビームフォーミング可能であると仮定した。
【0089】
UAVは、50タイムスロットの間隔でシミュレーションされた。各タイムスロットの長さは1秒とした。各タイムスロットにおいて、UAVは前のタイムスロットにおけるそれぞれの位置から、最大1メートルの距離を移動すると仮定する。これにより、UAVの最大速度が毎秒1mに限定される。これは、付録Aの式(4)におけるδの値である。
【0090】
更に、UAVは、それらの開始位置の各側に最大12.5メートル移動すると仮定される。この設定は、付録Aの式(4)におけるl[t]及びu[t]を定義する。
【0091】
全てのUAVは、任意のタイムスロットで送信/受信が可能であり、アイドルUAVはないものと仮定する。第1タイムスロットにおいて、最も左のUAVの1から、最も右のUAVの0まで、確率
が直線的に変化する。中間のUAVは、0から1の値を取る。時間の経過とともに、最も左のUAVは、ULからDLに変化し、最も右のUAVはDLからULに変化する。50番目のタイムスロットにおいて、確率は第1タイムスロットの値と反対となる。即ち、
は最も左のUAVで0、最も右のUAVで1となる。残りのUAVは、0から1までの値を取る。
【0092】
図8及び図9は、それぞれ最適化を行う場合、行わない場合の毎秒(ヘルツ)ビットに対する累積分布関数(Cumulative Distribution Function:CDF)を示す、シミュレーションされたUL及びDLスループットを示す。
【0093】
〔例示的装置〕
図10は、実施形態に係る装置を示す。この装置は、図2に示す位置コーディネータ29を備えてもよい。この装置は、本明細書に記載の動作、例えば、任意の上記処理を参照にして説明した動作を実行するように構成され得る。装置は更に、例えば、BS24の一部又はコアネットワーク28の一部を備えてもよい。装置は、少なくとも1つのプロセッサ100と、プロセッサに直接又は隣接して接続された少なくとも1つのメモリ101とを備えてもよい。メモリ101は、少なくとも1つのランダムアクセスメモリ(RAM)101aと、少なくとも1つのリードオンリーメモリ(ROM)101bとを備える。コンピュータプログラム(ソフトウェア)105がROM101bに格納される。この装置は、基地局又はモバイル通信デバイスそれぞれの信号を取得するため、これらのTX(送信)経路及びRX(受信)経路に接続され得る。ただし、一部の実施形態において、TX信号及びRX信号は、装置に対してデータストリームとして入力される。装置は任意で、装置に指示を出し、更に/あるいは結果を出力するため、ユーザインタフェース(UI)に接続され得る。しかし、UIを介する代わりに、指示は例えばバッチファイルから入力されてもよく、出力は不揮発性メモリに格納されてもよい。少なくとも1つのプロセッサ100は、少なくとも1つのメモリ101及びコンピュータプログラムコード105によって、装置に少なくとも上述のいずれかの処理に係る方法を少なくとも実行させるように構成される。
【0094】
図11は、一部の実施形態に係る非一時的媒体110を示す。非一時的媒体110は、コンピュータ可読記憶媒体である。これは、例えばCD、DVD、USBスティック、ブルーレイディスクなどであり得る。非一時的媒体90は、装置に上述のいずれかの処理の方法を実行させるように構成されたコンピュータプログラムコードを格納する。
【0095】
ネットワーク要素、プロトコル、及び方法の名称は、現行の規格に基づく。別のバージョン又は別の技術において、これらネットワーク要素、プロトコル、及び/又は方法の名称は、それらが対応する機能を提供するものであれば異なってもよい。例えば、実施形態は、2G/3G/4G/5Gネットワーク、3GPPの更なる世代で展開され得るが、WiFiなどの非3GPP無線ネットワーク内でも展開され得る。したがって、基地局はBTS、ノードB、eNB、gNB、WiFiアクセスポイントなどであり得る。
【0096】
メモリは、揮発性又は不揮発性であってもよく、例えばRAM、SRAM、フラッシュメモリ、FPGAブロックRAM、DCD、CD、USBスティック、及びブルーレイディスクであってもよい。
【0097】
別途記載された場合や文脈的に別途明らかである場合を除き、2つのエンティティが異なるという記載は、それらが異なる機能を実行することを意味するが、それらが異なるハードウェアに基づくということを必ずしも意味しない。即ち、本明細書に記載の各エンティティは、異なるハードウェアに基づき得、エンティティの一部又は全部は同じハードウェアに基づき得る。必ずしもそれらが異なるソフトウェアに基づくことを意味しない。即ち、本明細書に記載のエンティティのそれぞれは、異なるソフトウェアに基づき得、エンティティの一部又は全部は同じソフトウェアに基づき得る。本明細書に記載のエンティティのそれぞれは、クラウドで実施され得る。
【0098】
上述のブロック、装置、システム、技術、又は方法の任意の実施は、非限定的な例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路又はロジック、汎用ハードウェアもしくはコントローラなどのコンピューティングデバイス、又はこれらの組合せとしての実施であり得る。一部の実施形態は、クラウド内で実施され得る。
【0099】
上述のものは、現在好ましい実施形態として考えられているものである。ただし、好ましい実施形態の記載は、あくまで例示的に提示されたものであって、添付の実施形態に定義された範囲から逸脱することなく、各種変形がなされ得る。

【0100】
付録A-モバイルデバイスの位置特定のための最適化問題の定式化
〔表記〕
本明細書では以下の表記が使用される。
「モバイルデバイス」という用語は、本明細書においてUE又はUAVと置換可能に使用され得る。

【0101】

【0102】
UEが時刻tにおいて半二重であると仮定すると、UEは、アップリンク、ダウンリンク、及びアイドルの3つの状態のいずれかであり得る。そこで、タイムスロットtにおけるUEの状態を示すために3つの変数
を定義する。具体的には、以下のとおりである。

【0103】
未来のタイムスロットにおけるUEの厳密な送信状態は確実にはわからないため、変数
はランダムであってもよく、トラフィック予測アルゴリズムによって求められてもよい。トラフィック予測アルゴリズムにより、UAVがタイムスロットtにおいてULで送信する確率
、さらには、DLで受信する確率
及びアイドルである確率
も求められる。

【0104】
〔最適化問題の定式化〕
次に、UE位置をどのように最適化できるかを詳述する。最初に受信信号を定義する。タイムスロットtにおけるUEでのDL受信信号は、次のように記載できる。
ここで、上記式の第2項は空間多重化による非コヒーレント干渉であり、第3項はULで送信するUEからのCCIである。BSがチャネルの情報を有し(簡潔化のため)と、最大比プリコーディングを使用すると仮定すると、即ち
と仮定すると、式(1)は以下のようになる。
次に、スロットtにおけるUEについての平均DLスループットの下限を以下のとおり取得できる。
【0105】
式(2)中の分子は、所望の信号電力であり、経路損失とアンテナアレイのアレイゲインとの積、即ち、
に比例する。分母中の第1項は、CCI電力に対応し、最終項は、加算性白色ガウス雑音(Additive White Gaussian Noise:AWGN)及び空間多重化によるストリーム間干渉の組合せである非コヒーレント干渉である。非コヒーレント干渉電力は、ユーザチャネルの相関度合いに依存し、これらの内積
によって求められ、CCIの電力はUL送信UEとDL受信UEとの間の経路損失に依存し、
である。
【0106】
容易に理解できることであるが、スループットの最大化は、CCI及び非コヒーレント干渉の影響の最小化に対応するする。つまり、UL送信UEとDL受信UEとの間の経路損失を最大化するとともに、BSにおけるこれらのチャネルベクトルの相互相関を最小化することと同義である。
【0107】
同様に、自己干渉を無視した場合、スロットtにおけるUEの平均ULスループットの下限は、以下のように求められる。
式(2)及び(3)によって、最適化問題は以下のように定式化される。
式(4)において、最適化の目的関数は、全てのTタイムスロットにわたるK個のUE全てについての平均スループットの合計である。最適化は、全てのUE (k=1,...K)について、全てのタイムスロットt(t=1,...T)にわたり、
で示されるUE位置について実施される。
【0108】
UEの軌跡は、最適化アルゴリズムがUEを座標lk[t]及びuk[t]内に位置させる結果となるような制約条件の第1セットによって決定される。制約条件の第2セットは、現在及び以前のタイムスロットにおけるUEの位置の差を確実にδ未満とする。これは、各タイムスロットにわたるUEの動きが制限される実用的制約条件を実行するためのものである。
【0109】
実際、タイムスロットtにおけるUEの所望位置を、軌跡情報から
として求めることができる。次に、ある実施形態では、所望位置が与えられると、制約条件
を、
として求めることができ、ここで
は、所望UE位置の周囲においてUEが取り得る位置範囲に相当する3Dベクトルである。
【0110】
UE位置を最適化することによって、式(4)の最適化問題は、トラフィックパターン及び伝送チャネルについての情報を結合し、これによって、反対方向に通信する可能性の高い2つのUE間の経路損失
を最大化し、同一方向に通信するUE間の非コヒーレント干渉を最小化する。これは、以下のアルゴリズムに記述される。

【0111】
【0112】
〔最適化問題の解決〕
式(4)の最適化問題は非凸であり、最適に解決するのは難しい場合がある。次善の策として、貪欲な座標降下法(greedy coordinate descent)を採用することが可能であり、この場合、各反復において、いずれかのタイムスロットにおける1つのUEの位置を最適化しつつ、残りのタイムスロットにおける残りのUEの位置を変化させない。このようなアルゴリズムは実施しやすく、最適化された位置が初期値よりも良い結果を出すことを常に保証するものである。
図1
図2
図3A-3B】
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図5
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図11