(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20221004BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20221004BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A61F13/56 110
A61F13/15 200
A61F13/534 110
(21)【出願番号】P 2021067028
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 慎吾
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/142824(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/117755(WO,A1)
【文献】特開2006-247088(JP,A)
【文献】特開2006-230596(JP,A)
【文献】国際公開第2017/061566(WO,A1)
【文献】特開2017-42471(JP,A)
【文献】特開2019-146916(JP,A)
【文献】特開2019-162526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
透液性のトップシートと、
撥液性または不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記バックシートの着用者側とは反対側の面に設けられる粘着部と、
を備え、
前記吸収体は、
長手方向の中央部に位置する第1部位と、
前記第1部位の長手方向の両側にて前記第1部位に連続するとともに前記第1部位よりも薄い第2部位と、
前記第1部位の長手方向の両側における前記第1部位と前記第2部位との境界部である一対の縦側境界部と、
を備え、
前記一対の縦側境界部はそれぞれ、幅方向に沿って延びており、
前記粘着部は、前記一対の縦側境界部を避けて前記バックシート上に配置される複数の粘着要素により構成されており、
前記複数の粘着要素は、
前記第1部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第1粘着要素と、
前記第2部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第2粘着要素と、
を含
み、
前記一対の縦側境界部の間における粘着要素の間隔は、前記一対の縦側境界部の長手方向の外側における粘着要素の間隔よりも大きいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
使用前において、幅方向に沿って延びる折り畳み線にて折り畳まれた状態であり、
前記複数の粘着要素は、前記バックシート上において前記折り畳み線を避けて配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品であって、
前記折り畳み線と前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離は、前記一対の縦側境界部のそれぞれと前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離よりも大きいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
透液性のトップシートと、
撥液性または不透液性のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記バックシートの着用者側とは反対側の面に設けられる粘着部と、
を備え、
前記吸収体は、
長手方向の中央部に位置する第1部位と、
前記第1部位の長手方向の両側にて前記第1部位に連続するとともに前記第1部位よりも薄い第2部位と、
前記第1部位の長手方向の両側における前記第1部位と前記第2部位との境界部である一対の縦側境界部と、
を備え、
前記一対の縦側境界部はそれぞれ、幅方向に沿って延びており、
前記粘着部は、前記一対の縦側境界部を避けて前記バックシート上に配置される複数の粘着要素により構成されており、
前記複数の粘着要素は、
前記第1部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第1粘着要素と、
前記第2部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第2粘着要素と、
を含み、
前記吸収性物品は、使用前において、幅方向に沿って延びる折り畳み線にて折り畳まれた状態であり、
前記複数の粘着要素は、前記バックシート上において前記折り畳み線を避けて配置され、
前記折り畳み線と前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離は、前記一対の縦側境界部のそれぞれと前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離よりも大きいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1
ないし4のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記吸収体は、
粒状または繊維状の高吸収性材料をシート状の支持部材の主面に接着剤によって固定した第1吸収シートと、
前記第1吸収シートと前記バックシートまたは前記トップシートとの間に配置され、前記第1吸収シートよりも長手方向に長いシート状の第2吸収シートと、
を備え、
前記吸収体の前記第1部位は、前記第1吸収シートと前記第2吸収シートとが厚さ方向に重なっている部位であり、
前記吸収体の前記第2部位は、前記第2吸収シートのうち前記第1吸収シートから延出している部位であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、
前記吸収体の前記第2部位は、前記第1部位の幅方向の両側においても前記第1部位に連続し、
前記吸収体は、前記第1部位の幅方向の両側における前記第1部位と前記第2部位との境界部である一対の横側境界部をさらに備え、
前記一対の横側境界部はそれぞれ、長手方向に沿って延びており、
前記複数の粘着要素は、前記バックシート上において前記一対の横側境界部も避けて配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項
6に記載の吸収性物品であって、
前記一対の横側境界部のそれぞれと、前記第1粘着要素との間の幅方向における最短距離は1mm以上かつ7.5mm以下であることを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつや下着等の内側に取り付けられる軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品が使用されている。当該吸収性物品のバックシートには、一般的に、使い捨ておむつや下着等の内側に吸収性物品を固定するための粘着部等が設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1のパンティーライナーでは、パルプ繊維等により形成される吸収体の略全体と重なる矩形状の粘着部が、ずれ止めとして裏面シートに設けられている。また、特許文献2の吸収性物品では、バックシート上において長手方向または幅方向に延びるストライプ状の粘着部が設けられている。特許文献3のパンティーライナーでは、バックシート上において長手方向または幅方向に延びるストライプ状の粘着部を、使用前の折り畳まれた包装状態における折り畳み線と重ならないように配置することにより、強固な折り癖が付くことが抑制される。このような粘着部は、吸収性物品の製造時に、バックシート上に接着剤等を塗布することにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-075315号公報
【文献】特開2018-15463号公報
【文献】特開2006-247088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、吸収体の略全体と重なる粘着部が設けられると、使い捨ておむつや下着等(以下、「外装物品」とも呼ぶ。)に対する吸収性物品の固定強度が過剰に大きくなり、吸収性物品を外装物品から取り外しにくくなる。また、特許文献2の吸収性物品では、比較的細長いストライプ状の粘着部が、吸収体の両端縁を跨いで配置されているため、バックシート上に接着剤等を塗布して粘着部を形成する際に、粘着部に縒れが生じるおそれがある。粘着部に縒れが生じると、吸収性物品を外装物品の内側に好適に固定することができないおそれがある。なお、特許文献3では、ストライプ状の粘着部と吸収体の端縁との関係は考慮されていない。
【0006】
また、上述のような吸収性物品では、2層構造の吸収体も用いられており、平面視において1層目と2層目との大きさが異なる場合、1層目と2層目との境界部にも段差が生じる。このような小さい段差の上記粘着部の縒れに対する影響については、引用文献1~3では考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、粘着要素が縒れることを抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、透液性のトップシートと、撥液性または不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの着用者側とは反対側の面に設けられる粘着部とを備え、前記吸収体は、長手方向の中央部に位置する第1部位と、前記第1部位の長手方向の両側にて前記第1部位に連続するとともに前記第1部位よりも薄い第2部位と、前記第1部位の長手方向の両側における前記第1部位と前記第2部位との境界部である一対の縦側境界部とを備え、前記一対の縦側境界部はそれぞれ、幅方向に沿って延びており、前記粘着部は、前記一対の縦側境界部を避けて前記バックシート上に配置される複数の粘着要素により構成されており、前記複数の粘着要素は、前記第1部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第1粘着要素と、前記第2部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第2粘着要素とを含み、前記一対の縦側境界部の間における粘着要素の間隔は、前記一対の縦側境界部の長手方向の外側における粘着要素の間隔よりも大きい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、使用前において、幅方向に沿って延びる折り畳み線にて折り畳まれた状態であり、前記複数の粘着要素は、前記バックシート上において前記折り畳み線を避けて配置される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品であって、前記折り畳み線と前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離は、前記一対の縦側境界部のそれぞれと前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離よりも大きい。
請求項4に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、透液性のトップシートと、撥液性または不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの着用者側とは反対側の面に設けられる粘着部とを備え、前記吸収体は、長手方向の中央部に位置する第1部位と、前記第1部位の長手方向の両側にて前記第1部位に連続するとともに前記第1部位よりも薄い第2部位と、前記第1部位の長手方向の両側における前記第1部位と前記第2部位との境界部である一対の縦側境界部とを備え、前記一対の縦側境界部はそれぞれ、幅方向に沿って延びており、前記粘着部は、前記一対の縦側境界部を避けて前記バックシート上に配置される複数の粘着要素により構成されており、前記複数の粘着要素は、前記第1部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第1粘着要素と、前記第2部位において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに他方に沿って配列される複数の第2粘着要素とを含み、前記吸収性物品は、使用前において、幅方向に沿って延びる折り畳み線にて折り畳まれた状態であり、前記複数の粘着要素は、前記バックシート上において前記折り畳み線を避けて配置され、前記折り畳み線と前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離は、前記一対の縦側境界部のそれぞれと前記第1粘着要素との間の長手方向における最短距離よりも大きい。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記吸収体は、粒状または繊維状の高吸収性材料をシート状の支持部材の主面に接着剤によって固定した第1吸収シートと、前記第1吸収シートと前記バックシートまたは前記トップシートとの間に配置され、前記第1吸収シートよりも長手方向に長いシート状の第2吸収シートとを備え、前記吸収体の前記第1部位は、前記第1吸収シートと前記第2吸収シートとが厚さ方向に重なっている部位であり、前記吸収体の前記第2部位は、前記第2吸収シートのうち前記第1吸収シートから延出している部位である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の吸収性物品であって、前記吸収体の前記第2部位は、前記第1部位の幅方向の両側においても前記第1部位に連続し、前記吸収体は、前記第1部位の幅方向の両側における前記第1部位と前記第2部位との境界部である一対の横側境界部をさらに備え、前記一対の横側境界部はそれぞれ、長手方向に沿って延びており、前記複数の粘着要素は、前記バックシート上において前記一対の横側境界部も避けて配置される。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の吸収性物品であって、前記一対の横側境界部のそれぞれと、前記第1粘着要素との間の幅方向における最短距離は1mm以上かつ7.5mm以下である。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、粘着要素が縒れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
【
図4】第2の実施の形態に係る吸収性物品の底面図である。
【
図5】第3の実施の形態に係る吸収性物品の底面図である。
【
図6】吸収性物品および包装シートの平面図である。
【
図8】吸収性物品包装体の一部を展開した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る吸収性物品1の平面図である。
図2は、吸収性物品1を
図1中のII-IIの位置にて長手方向(すなわち、
図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面を拡大して示す図である。
図2では、吸収性物品1の厚さ方向(すなわち、
図2中における上下方向)の厚さを実際よりも大きく描いている。また、
図2では、図の理解を容易にするために、実際には接触している吸収性物品1の構成の一部を、厚さ方向に離間させて描く。
【0018】
吸収性物品1は、着用者からの尿等の液状の排泄物を受ける。吸収性物品1は、例えば、着用者が着用する使い捨ておむつまたは下着等の外装物品の内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッドである。
図1では、着用者に接する面(以下、「上面」ともいう。)を手前側にして吸収性物品1を描いている。
図1に示す例では、吸収性物品1の平面視における形状は、長手方向の長さが幅方向(すなわち、
図1中における左右方向)の幅よりも大きい略矩形状である。
図1に示す例では、吸収性物品1の長手方向の両端縁は湾曲している。以下の説明では、吸収性物品1の各部位の長手方向の長さを単に「長さ」ともいい、幅方向の幅を単に「幅」ともいう。また、吸収性物品1の各部位の厚さ方向の厚さを単に「厚さ」ともいう。例えば、吸収性物品1の長さは190mm~300mmであり、幅は70mm~170mmであり、厚さは1mm~6mmである。
【0019】
図1および
図2に示すように、吸収性物品1は、透液性のトップシート21と、撥液性または不透液性のバックシート23と、吸収体20と、粘着部27とを備える。トップシート21は、バックシート23の上側(すなわち、着用者側)に配置される。吸収体20は、トップシート21とバックシート23との間に配置されるシート状の部材である。
図1では、図の理解を容易にするために、吸収体20の輪郭(すなわち、後述する第1吸収シート221および第2吸収シート222の輪郭)を太い破線にて描く。
【0020】
トップシート21の平面視における形状は、バックシート23の平面視における形状と略同じである。トップシート21の外縁部とバックシート23の外縁部とは、吸収体20の周囲において全周に亘って接合される。トップシート21の外縁部とバックシート23の外縁部との接合は、例えば、接着剤による接着またはヒートシールにより行われる。当該接合は、上記以外の様々な手段(例えば、超音波シール等)により行われてもよい。
【0021】
トップシート21は、透液性のシート部材であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収体20へと移動させる。トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0022】
バックシート23は、撥液性または不透液性のシート部材であり、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、吸収性物品1の外部にしみ出すことを防止する。バックシート23としては、例えば、撥液性または不透液性の不織布やプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。バックシート23に利用される不織布は、例えば、疎水性繊維にて形成されたスパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布であり、必要に応じて撥液処理が施される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0023】
吸収体20は、第1吸収シート221と、第2吸収シート222とを備える。第1吸収シート221および第2吸収シート222はそれぞれ、シート状の部材である。第1吸収シート221および第2吸収シート222は、厚さ方向に積層される。第2吸収シート222は、第1吸収シート221の下側または上側に配置される。換言すれば、第2吸収シート222は、厚さ方向において第1吸収シート221とバックシート23またはトップシート21との間に配置される。さらに換言すれば、第1吸収シート221は、厚さ方向においてトップシート21またはバックシート23と第2吸収シート222との間に配置される。本実施の形態では、第2吸収シート222は、第1吸収シート221の下側(すなわち、着用者とは反対側)に配置される。
【0024】
図1に示す例では、第1吸収シート221の平面視における形状は、長さが幅よりも大きい略矩形状である。また、第2吸収シート222は、第1吸収シート221よりも大きく、第2吸収シート222の平面視における形状は、長さが幅よりも大きい略矩形状である。
図1に示す例では、第2吸収シート222の長手方向の両端縁は湾曲している。また、第2吸収シート222の外縁は、トップシート21の外縁部とバックシート23の外縁部とが接合された接合部の内縁と、平面視においておよそ重なっている。
【0025】
図2に示す例では、第1吸収シート221は、第1上層シート223と、高吸収性材料224と、第1下層シート225とを備える。第1下層シート225は、第1上層シート223の下側(すなわち、着用者とは反対側)に配置され、第1上層シート223と厚さ方向に積層される。第1上層シート223および第1下層シート225は、透液性のシート部材である。第1上層シート223および第1下層シート225としては、例えば、透液性の不織布(スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。
【0026】
高吸収性材料224は、例えば、粒状の高吸収性材料(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性材料(SAF(Super Absorbent Fiber))である。
図2に示す例では、高吸収性材料224はSAPである。
図2では、高吸収性材料224の粒子を実際よりも大きく描いている。高吸収性材料224は、第1上層シート223と第1下層シート225との間に配置され、第1上層シート223の主面および第1下層シート225の主面の少なくとも一方にホットメルト接着剤等(図示省略)により固定される。すなわち、第1上層シート223および第1下層シート225はそれぞれ、高吸収性材料224を支持するシート状の支持部材である。
【0027】
第1吸収シート221では、高吸収性材料224は、長手方向に延びるストライプ状に配置される。具体的には、高吸収性材料224は、それぞれが長手方向に延びる略矩形帯状の複数の材料存在領域に配置される。複数の材料存在領域は、互いに離間しつつ幅方向に配列される。複数の材料存在領域の間の領域には、高吸収性材料224は実質的に存在せず、当該領域において、第1上層シート223と第1下層シート225とが接合される。第1上層シート223と第1下層シート225との接合は、例えば、加熱を伴うエンボス加工により行われる。
【0028】
第1吸収シート221は、トップシート21を透過した液体を吸収して保持する。具体的には、第1吸収シート221の高吸収性材料224が、当該液体を吸収して膨潤することにより、当該液体を第1吸収シート221内に固定する。
図2に示す例では、第1吸収シート221の第1上層シート223と第1下層シート225との間に、嵩高な吸収性材料(例えば、パルプ繊維)は実質的に存在しない。換言すれば、第1吸収シート221は、第1上層シート223、第1下層シート225、および、SAPである高吸収性材料224のみから実質的に形成されるいわゆる「SAPシート」である。
【0029】
図2に示す例では、第2吸収シート222は、吸液性を有する紙や親水性不織布等のシートである。第2吸収シート222は、例えば、ティッシュペーパー等の吸液台紙である。第2吸収シート222は、第1吸収シート221よりも薄い。具体的には、第2吸収シート222の平均厚さ(すなわち、全面に亘る厚さの平均値)は、第1吸収シート221の平均厚さよりも薄い。第2吸収シート222は、第1吸収シート221を透過した液体を保持するとともに、長手方向および幅方向に拡散させる。第2吸収シート222により拡散された液体は、第2吸収シート222と接触している第1吸収シート221により吸収されて固定される。第2吸収シート222は、第1吸収シート221の第1下層シート225と接着剤等により固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。
【0030】
第2吸収シート222は、平面視において、第1吸収シート221よりも長手方向に長い。また、第2吸収シート222は、平面視において、第1吸収シート221よりも幅方向に広い。換言すれば、第2吸収シート222の平面視における長さおよび幅はそれぞれ、第1吸収シート221の平面視における長さおよび幅よりも大きい。第2吸収シート222の長手方向の両端部は、第1吸収シート221の長手方向両端縁から長手方向に延出している。第2吸収シート222の幅方向の両端部は、第1吸収シート221の幅方向両端縁から幅方向に延出している。換言すれば、第2吸収シート222は、第1吸収シート221の周囲の全周に亘って第1吸収シート221の端縁から外側に延出している。
【0031】
以下の説明では、吸収体20の長手方向および幅方向の中央部において第1吸収シート221と第2吸収シート222とが厚さ方向に重なっている部位を、「第1部位201」とも呼ぶ。また、第2吸収シート222のうち第1吸収シート221から周囲に延出している部位を、「第2部位202」とも呼ぶ。第2部位202は、第1部位201よりも厚さ方向において薄い。第1部位201と第2部位202との厚さの差は、例えば、0.5mm~5mmである。
【0032】
第2部位202は、第1部位201の長手方向の両側にて第1部位201に連続し、第1部位201の長手方向端縁から、吸収性物品1の長手方向の端縁に向かって延びる。第2部位202は、また、第1部位201の幅方向の両側にて第1部位201に連続し、第1部位201の幅方向端縁(すなわち、側縁)から、吸収性物品1の幅方向の端縁に向かって延びる。
図1に示す例では、第2部位202は、第1部位201の周囲を全周に亘って囲む枠状の部位であり、第1部位201の周囲の全周に亘って第1部位201に連続する。
【0033】
以下の説明では、第1部位201の長手方向端部における第1部位201と第2部位202との境界部を「縦側境界部203」と呼ぶ。また、第1部位201の幅方向端部における第1部位201と第2部位202との境界部を「横側境界部204」と呼ぶ。吸収体20は、第1部位201の長手方向両側に一対の縦側境界部203を備え、第1部位201の幅方向両側に一対の横側境界部204を備える。一対の縦側境界部203はそれぞれ、幅方向に沿って延びる。一対の横側境界部204はそれぞれ、長手方向に沿って延びる。
【0034】
図1に示す例では、縦側境界部203は、幅方向に略平行に延びる略直線状の部位である。なお、縦側境界部203は、必ずしも幅方向に略平行である必要はなく、例えば、湾曲しつつ幅方向に沿って延びていてもよく、あるいは、幅方向に対して傾斜する方向に直線状に延びていてもよい。また、縦側境界部203は、必ずしも線状の部位である必要はなく、長手方向に多少の幅を有する(例えば、幅1mm~2mm程度の)帯状の部位であってもよい。
【0035】
図1に示す例では、横側境界部204は、長手方向に略平行に延びる略直線状の部位である。横側境界部204は、吸収性物品1の側縁(すなわち、バックシート23の側縁)と略平行であり、横側境界部204と、横側境界部204に近い方の吸収性物品1の側縁との間の幅方向の距離D0は、例えば、5mm~20mmである。当該距離D0が5mm以上とされることにより、吸収性物品1の側端部において、トップシート21とバックシート23との接合領域の幅を十分に確保することができる。また、当該距離D0が20mm以下とされることにより、第1吸収シート221の幅を大きくすることができる。
【0036】
なお、横側境界部204は、必ずしも長手方向に略平行である必要はなく、例えば、湾曲しつつ長手方向に沿って延びていてもよく、あるいは、長手方向に対して傾斜する方向に直線状に延びていてもよい。また、横側境界部204は、必ずしも線状の部位である必要はなく、幅方向に多少の幅を有する(例えば、幅1mm~2mm程度の)帯状の部位であってもよい。
【0037】
図3は、吸収性物品1の着用者とは反対側を示す底面図である。
図3では、図の理解を容易にするために、バックシート23の下面(すなわち、着用者とは反対側の面)に設けられる粘着部27に平行斜線を付す(
図4、
図5、
図9および
図10においても同様)。粘着部27は、吸収性物品1を外装物品に対するずれ止め用の部材である。粘着部27が外装物品の内面(すなわち、着用者側の面)に粘着することにより、吸収性物品1が外装物品の内側(すなわち、着用者側)に着脱自在に固定される。
図3では、また、吸収体20の第1吸収シート221および第2吸収シート222の輪郭を太い破線にて示す(
図4、
図5、
図9および
図10においても同様)。
【0038】
粘着部27は、幅方向に沿ってそれぞれ延びるとともに長手方向に沿って配列される複数の粘着要素271を備える。
図3に示す例では、各粘着要素271は、幅方向に略平行に略直線状に延びる略矩形帯状である。また、複数の粘着要素271の形状は略同じである。各粘着要素271の幅方向に関する大きさは、例えば、30mm~120mmであり、長手方向に関する大きさは、例えば、1mm~10mmである。また、各粘着要素271の厚さ方向の厚さは、例えば、0.03mm~0.05mmである。粘着要素271の大きさおよび厚さは、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。
【0039】
各粘着要素271は、例えば、感圧接着剤により形成された比較的薄い層である。当該感圧接着剤は、例えば、ゴム系のホットメルト接着剤である。粘着部27は、当該感圧接着剤が、コータ等により、幅方向に沿って延びるストライプ状にバックシート23上に塗工されることにより形成される。感圧接着剤の塗工量は、例えば、40g/m2~60g/m2である。なお、粘着要素271を形成する接着剤の種類および塗工量は様々に変更されてよい。また、粘着要素271は、接着剤以外の材料により形成されてもよい。
【0040】
複数の粘着要素271は、上述の一対の縦側境界部203を避けてバックシート23上に配置される。換言すれば、粘着部27は、一対の縦側境界部203を避けてバックシート23上に配置される複数の粘着要素271により構成される。また、複数の粘着要素271は、上述の一対の横側境界部204も避けてバックシート23上に配置される。換言すれば、粘着部27は、一対の横側境界部204も避けてバックシート23上に配置される複数の粘着要素271により構成される。すなわち、各粘着要素271は、平面視において(すなわち、厚さ方向に関して)縦側境界部203および横側境界部204と交差したり重なったりしないようにバックシート23上に配置される。
【0041】
以下の説明では、吸収性物品1のうち、長手方向に関して一対の縦側境界部203の間に位置する領域を「縦中央領域102」とも呼び、縦中央領域102に位置する粘着要素271を「中央粘着要素272」とも呼ぶ。また、吸収性物品1のうち、長手方向に関して一対の縦側境界部203の外側に位置する2つの領域(すなわち、縦中央領域102以外の領域)をそれぞれ「縦端部領域103」と呼び、縦端部領域103に位置する粘着要素271を「端部粘着要素273」とも呼ぶ。各縦端部領域103は、長手方向に関して、縦側境界部203よりも吸収性物品1の端部側に位置する領域である。また、端部粘着要素273は、複数の粘着要素271のうち中央粘着要素272以外の粘着要素271である。
図3に示すように、複数の粘着要素271は、一対の縦側境界部203を避けて、各縦側境界部203の長手方向の両側に配置される。
【0042】
上述のように、複数の粘着要素271は、吸収体20の横側境界部204を避けて配置される。
図3に示す例では、複数の中央粘着要素272は、一対の横側境界部204の間において、一対の横側境界部204から幅方向内側に離間して配置される。すなわち、複数の中央粘着要素272の全体が、平面視において第1吸収シート221と重なる。換言すれば、複数の中央粘着要素272の全体は、吸収性物品1の第1部位201上に位置する。複数の粘着要素271のうち、第1部位201上に位置する粘着要素271を「第1粘着要素」と呼ぶと、
図3に示す例では、複数の中央粘着要素272の全てが第1粘着要素である。また、複数の粘着要素271のうち、第2部位202上に位置する粘着要素271を「第2粘着要素」と呼ぶと、
図3に示す例では、複数の端部粘着要素273の全てが第2粘着要素である。
【0043】
図3に示す例では、幅方向に沿ってそれぞれ延びる複数の中央粘着要素272が、縦中央領域102において長手方向に互いに離間した状態で略等間隔に配列される。また、各縦端部領域103において、幅方向に沿ってそれぞれ延びる複数の端部粘着要素273は、長手方向に互いに離間した状態で略等間隔に配列される。複数の中央粘着要素272の間隔とは、長手方向において隣接する2つの中央粘着要素272の中心線(すなわち、中央粘着要素272の長手方向中央において幅方向に平行に延びる仮想的な直線)同士の間の長手方向における距離である。複数の端部粘着要素273の間隔についても同様に、長手方向において隣接する2つの端部粘着要素273の中心線同士の間の長手方向における距離である。後述する他の粘着要素の間隔についても略同様である。
【0044】
複数の中央粘着要素272の形状は略同じである。2つの縦端部領域103のうち一方に位置する複数の端部粘着要素273と、他方に位置する複数の端部粘着要素273とでは、端部粘着要素273の数、形状および間隔について略同じである。また、各縦端部領域103に位置する複数の端部粘着要素273と、縦中央領域102に位置する複数の中央粘着要素272とでは、粘着要素271の形状は略同じである。
【0045】
複数の中央粘着要素272の長手方向における間隔P1は、例えば、2つの縦端部領域103に位置する複数の端部粘着要素273の長手方向における間隔P2よりも大きい。これにより、吸収性物品1の長手方向中央部の外装物品に対する固定強度が過剰に大きくなることを抑制しつつ、吸収性物品1の長手方向端部を外装物品に強固に固定することができる。その結果、外装物品の内側に取り付けられた吸収性物品1の脱離や縒れを好適に抑制することができる。また、使用後の吸収性物品1を外装物品から容易に取り外すことができる。
【0046】
複数の中央粘着要素272の長手方向における間隔P1は、例えば、1mm~100mmである。間隔P1が1mm以上とされることにより、縦中央領域102における吸収性物品1と外装物品との固定強度が過剰に大きくなることを抑制することができる。また、間隔P1が100mm以下とされることにより、縦中央領域102における吸収性物品1と外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。換言すれば、間隔P1が1mm~100mmとされることにより、縦中央領域102における吸収性物品1と外装物品との固定強度を好適な範囲とすることができる。
【0047】
複数の端部粘着要素273の長手方向における間隔P2は、例えば、1mm~15mmである。これにより、各縦端部領域103における吸収性物品1と外装物品との固定強度を好適な範囲とすることができる。なお、間隔P1,P2は、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。
【0048】
吸収性物品1では、複数の中央粘着要素272および複数の端部粘着要素273は、必ずしも等間隔に配列される必要はない。複数の中央粘着要素272が不等間隔に配列される場合、複数の中央粘着要素272の長手方向における間隔P1とは、縦中央領域102において長手方向に隣接する各2つの中央粘着要素272間の長手方向における最短距離の算術平均(すなわち、平均間隔)を示す。また、複数の端部粘着要素273が不等間隔に配列される場合、複数の端部粘着要素273の長手方向における間隔P2とは、2つの縦端部領域103において長手方向に隣接する各2つの端部粘着要素273間の長手方向における最短距離の算術平均を示す。後述する他の粘着要素の間隔についても同様である。
【0049】
上述のように、複数の粘着要素271は、吸収体20の縦側境界部203を避けて配置される。換言すれば、複数の中央粘着要素272および複数の端部粘着要素273は、縦側境界部203から長手方向に離間して配置される。複数の中央粘着要素272のうち、長手方向に関して縦側境界部203と最も近い1つの中央粘着要素272と、当該縦側境界部203との間の長手方向の最短距離D1(以下、「離間距離D1」とも呼ぶ。)は、例えば、1mm~50mmである。中央粘着要素272の縦側境界部203に対する離間距離D1が1mm以上とされることにより、バックシート23上に粘着部27が形成される際等に、縦側境界部203における段差(すなわち、第1部位201と第2部位202との厚さの差による段差)の影響で中央粘着要素272が縒れることを抑制することができる。また、当該離間距離D1が50mm以下とされることにより、縦側境界部203近傍における吸収性物品1と外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。
【0050】
各縦端部領域103では、複数の端部粘着要素273のうち、長手方向に関して縦側境界部203と最も近い1つの端部粘着要素273と、縦側境界部203との間の長手方向の最短距離D2(以下、「離間距離D2」とも呼ぶ。)は、例えば、1mm~10mmである。端部粘着要素273の縦側境界部203に対する離間距離D2が1mm以上とされることにより、バックシート23上に粘着部27が形成される際等に、縦側境界部203における段差の影響で端部粘着要素273が縒れることを抑制することができる。また、当該離間距離D2が10mm以下とされることにより、縦側境界部203近傍における吸収性物品1と外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。
【0051】
離間距離D1と離間距離D2とは略同じであってもよく、どちらか一方が他方よりも大きくてもよい。また、端部粘着要素273の縦側境界部203に対する離間距離D2は、複数の端部粘着要素273の間隔P2よりも大きい。これにより、粘着部27の形成時等における端部粘着要素273の縒れを抑制しつつ、縦端部領域103における吸収性物品1と外装物品との固定強度を増大させることができる。その結果、吸収性物品1の長手方向端部を外装物品にさらに強固に固定することができ、外装物品の内側に取り付けられた吸収性物品1の脱離や縒れを抑制することができる。
【0052】
複数の中央粘着要素272の幅方向の端部と、当該端部に近い方の横側境界部204との間の幅方向の最短距離D3(以下、「離間距離D3」とも呼ぶ。)は、例えば、1mm~7.5mmである。中央粘着要素272の横側境界部204に対する離間距離D3が1mm以上とされることにより、バックシート23上に粘着部27が形成される際等に、横側境界部204における段差(すなわち、第1部位201と第2部位202との厚さの差による段差)の影響で中央粘着要素272の幅方向端部が縒れることを抑制することができる。また、当該離間距離D3が7.5mm以下とされることにより、横側境界部204近傍における吸収性物品1と外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。
【0053】
図3に示す例では、吸収性物品1の縦中央領域102において、一対の横側境界部204の幅方向外側には、中央粘着要素272は設けられない。換言すれば、縦中央領域102では、平面視において第1吸収シート221と重なる部位にのみ(すなわち、第1部位201にのみ)複数の中央粘着要素272が設けられ、平面視において第1吸収シート221と重ならない部位には、実質的に粘着要素271は設けられない。これにより、吸収性物品1の長手方向中央部の外装物品に対する固定強度が過剰に大きくなることを抑制することができる。
【0054】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る吸収性物品1aを示す底面図である。吸収性物品1aは、
図3に示す粘着部27とは形状が異なる粘着部27aがバックシート23上に設けられる点を除き、上述の吸収性物品1と略同様の構造を有する。以下の説明では、吸収性物品1aの他の構成について、
図1ないし
図3に示す吸収性物品1の対応する構成と同符号を付す。
【0055】
図4に示すように、吸収性物品1aの粘着部27aは、長手方向に沿ってそれぞれ延びるとともに幅方向に沿って配列される複数の粘着要素271aを備える。
図3に示す例では、各粘着要素271aは、長手方向に略平行に略直線状に延びる略矩形帯状である。複数の粘着要素271aは、一対の縦側境界部203を避けてバックシート23上に配置される。また、複数の粘着要素271aは、一対の横側境界部204も避けてバックシート23上に配置される。換言すれば、各粘着要素271aは、平面視において(すなわち、厚さ方向に関して)縦側境界部203および横側境界部204と交差したり重なったりしないようにバックシート23上に配置される。
【0056】
図4に示す例では、複数の粘着要素271aのうち、縦中央領域102に位置する複数の中央粘着要素272aは、長手方向において一対の縦側境界部203の間に位置し、幅方向において一対の横側境界部204の間に位置する。すなわち、複数の中央粘着要素272aの全体が、平面視において第1吸収シート221と重なる。換言すれば、複数の中央粘着要素272aの全体は、吸収性物品1aの第1部位201上に位置する。複数の粘着要素271aのうち、第1部位201上に位置する粘着要素271aを「第1粘着要素」と呼ぶと、
図4に示す例では、複数の中央粘着要素272aの全てが第1粘着要素である。また、複数の粘着要素271aのうち、第2部位202上に位置する粘着要素271aを「第2粘着要素」と呼ぶと、
図4に示す例では、複数の端部粘着要素273aの全てが第2粘着要素である。
【0057】
長手方向に沿ってそれぞれ延びる複数の中央粘着要素272aは、幅方向に互いに離間した状態で略等間隔に配列される。複数の中央粘着要素272aの形状は略同じである。各中央粘着要素272aの長手方向の長さは、例えば、110mm~230mmであり、幅方向の幅は、例えば、1mm~10mmである。また、各中央粘着要素272aの厚さ方向の厚さは、例えば、0.03mm~0.05mmである。中央粘着要素272aの大きさおよび厚さは、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。
【0058】
複数の粘着要素271aのうち、各縦端部領域103に位置する複数の端部粘着要素273aは、長手方向に沿ってそれぞれ延びるとともに、幅方向に互いに離間した状態で略等間隔に配列される。各縦端部領域103に位置する複数の端部粘着要素273の形状は略同じである。また、2つの縦端部領域103のうち一方に位置する複数の端部粘着要素273aと、他方に位置する複数の端部粘着要素273aとでは、端部粘着要素273aの数、形状および間隔について略同じである。各端部粘着要素273aの長手方向の長さは、例えば、5mm~25mmであり、幅方向の幅は、例えば、1mm~10mmである。また、各端部粘着要素273aの厚さ方向の厚さは、例えば、0.03mm~0.05mmである。端部粘着要素273aの大きさおよび厚さは、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。
【0059】
複数の中央粘着要素272aの幅方向における間隔P3は、例えば、2つの縦端部領域103に位置する複数の端部粘着要素273aの幅方向における間隔P4よりも大きい。これにより、吸収性物品1aの長手方向中央部の外装物品に対する固定強度が過剰に大きくなることを抑制しつつ、吸収性物品1aの長手方向端部を外装物品に強固に固定することができる。その結果、外装物品の内側に取り付けられた吸収性物品1aの脱離や縒れを好適に抑制することができる。また、使用後の吸収性物品1aを外装物品から容易に取り外すことができる。
【0060】
複数の中央粘着要素272aの幅方向における間隔P3は、例えば、1mm~100mmである。これにより、縦中央領域102における吸収性物品1aと外装物品との固定強度を好適な範囲とすることができる。また、複数の端部粘着要素273aの幅方向における間隔P4は、例えば、1mm~15mmである。これにより、各縦端部領域103における吸収性物品1aと外装物品との固定強度を好適な範囲とすることができる。なお、間隔P3,P4は、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。
【0061】
複数の中央粘着要素272aの長手方向の端部と、当該端部に近い方の縦側境界部203との間の長手方向の最短距離D4(以下、「離間距離D4」とも呼ぶ。)は、例えば、1mm~50mmである。これにより、バックシート23上に粘着部27aが形成される際等に、縦側境界部203における段差の影響で中央粘着要素272aの長手方向端部が縒れることを抑制することができるとともに、縦側境界部203近傍における吸収性物品1aと外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。
【0062】
各縦端部領域103では、複数の端部粘着要素273aの長手方向の端部と、当該端部に近い方の縦側境界部203との間の長手方向の最短距離D5(以下、「離間距離D5」とも呼ぶ。)は、例えば、1mm~10mmである。これにより、バックシート23上に粘着部27aが形成される際等に、縦側境界部203における段差の影響で端部粘着要素273aの長手方向端部が縒れることを抑制することができるとともに、縦側境界部203近傍における吸収性物品1aと外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。離間距離D4と離間距離D5とは略同じであってもよく、どちらか一方が他方よりも大きくてもよい。
【0063】
複数の中央粘着要素272aのうち、幅方向に関して横側境界部204と最も近い1つの中央粘着要素272aと、当該横側境界部204との間の幅方向の最短距離D6(以下、「離間距離D6」とも呼ぶ。)は、例えば、1mm~7.5mmである。中央粘着要素272aの横側境界部204に対する離間距離D6が1mm以上とされることにより、バックシート23上に粘着部27aが形成される際等に、横側境界部204における段差の影響で中央粘着要素272aが縒れることを抑制することができる。また、当該離間距離D6が7.5mm以下とされることにより、横側境界部204近傍における吸収性物品1aと外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。
【0064】
図4に示す例では、吸収性物品1aの縦中央領域102において、一対の横側境界部204の幅方向外側には、中央粘着要素272aは設けられない。換言すれば、縦中央領域102では、平面視において第1吸収シート221と重なる部位にのみ(すなわち、第1部位201にのみ)複数の中央粘着要素272aが設けられ、平面視において第1吸収シート221と重ならない部位には、実質的に粘着要素271aは設けられない。これにより、吸収性物品1aの長手方向中央部の外装物品に対する固定強度が過剰に大きくなることを抑制することができる。
【0065】
以上に説明したように、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品1,1aは、透液性のトップシート21と、撥液性または不透液性のバックシート23と、吸収体20と、粘着部27,27aとを備える。吸収体20は、トップシート21とバックシート23との間に配置される。粘着部27,27aは、バックシート23の着用者側とは反対側の面に設けられる。吸収体20は、第1部位201と、第2部位202と、一対の縦側境界部203とを備える。第1部位201は、吸収体20の長手方向の中央部に位置する。第2部位202は、第1部位201の長手方向の両側にて第1部位201に連続する。第2部位202は、第1部位201よりも薄い。一対の縦側境界部203は、第1部位201の長手方向の両側における第1部位201と第2部位202との境界部である。一対の縦側境界部203はそれぞれ、幅方向に沿って延びている。
【0066】
粘着部27,27aは、一対の縦側境界部203を避けてバックシート23上に配置される複数の粘着要素271,271aにより構成されている。複数の粘着要素271,271aは、複数の第1粘着要素(上記例では、中央粘着要素272,272a)と、複数の第2粘着要素(上記例では、端部粘着要素273,273a)とを含む。複数の第1粘着要素は、第1部位201において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに、他方に沿って配列される。複数の第2粘着要素は、第2部位202において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに、他方に沿って配列される。これにより、バックシート23上に粘着部27,27aが形成される際等に、縦側境界部203における段差の影響で粘着要素271,271aが縒れることを抑制することができる。その結果、吸収性物品1,1aを外装物品に好適に固定することができる。
【0067】
上述のように、吸収体20は、第1吸収シート221と、第2吸収シート222とを備えることが好ましい。第1吸収シート221は、好ましくは、粒状または繊維状の高吸収性材料224をシート状の支持部材(上記例では、第1上層シート223および/または第1下層シート225)の主面に接着剤によって固定した部材である。第2吸収シート222は、好ましくは、第1吸収シート221とバックシート23またはトップシート21との間に配置され、第1吸収シート221よりも長手方向に長いシート状の部材である。吸収体20の第1部位201は、第1吸収シート221と第2吸収シート222とが厚さ方向に重なっている部位である。吸収体20の第2部位202は、第2吸収シート222のうち第1吸収シート221から延出している部位である。これにより、薄型の吸収性物品1,1aにおいて、縦側境界部203における段差の影響で粘着要素271,271aが縒れることを抑制することができる。
【0068】
上述のように、一対の縦側境界部203の間における粘着要素(すなわち、中央粘着要素272,272a)の間隔P1,P3は、一対の縦側境界部203の長手方向の外側における粘着要素(すなわち、端部粘着要素273,273a)の間隔P2,P4よりも大きいことが好ましい。これにより、吸収性物品1,1aの長手方向中央部の外装物品に対する固定強度が過剰に大きくなることを抑制しつつ、吸収性物品1,1aの長手方向端部を外装物品に強固に固定することができる。その結果、外装物品の内側に取り付けられた吸収性物品1,1aの脱離や縒れを好適に抑制することができる。また、使用後の吸収性物品1,1aを外装物品から容易に取り外すことができる。
【0069】
上述のように、吸収体20の第2部位202は、第1部位201の幅方向の両側においても第1部位201に連続することが好ましい。吸収体20は第1部位201の幅方向の両側における第1部位201と第2部位202との境界部である一対の横側境界部204をさらに備える。一対の横側境界部204はそれぞれ、長手方向に沿って延びている。複数の粘着要素271,271aは、バックシート23上において一対の横側境界部204も避けて配置されることが好ましい。これにより、バックシート23上に粘着部27,27aが形成される際等に、横側境界部204における段差の影響で粘着要素271,271aが縒れることを抑制することができる。その結果、吸収性物品1,1aを外装物品にさらに好適に固定することができる。
【0070】
上述のように、一対の横側境界部204のそれぞれと、上述の第1粘着要素(上記例では、中央粘着要素272,272a)との間の幅方向における最短距離D3,D6は1mm以上かつ7.5mm以下であることが好ましい。これにより、横側境界部204における段差の影響で粘着要素271,271aが縒れることを好適に抑制することができる。また、横側境界部204近傍における吸収性物品1,1aと外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。
【0071】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る吸収性物品1bを示す底面図である。吸収性物品1bは、
図3に示す粘着部27とは形状が異なる粘着部27bがバックシート23上に設けられる点を除き、上述の吸収性物品1と略同様の構造を有する。以下の説明では、吸収性物品1bの他の構成について、
図1ないし
図3に示す吸収性物品1の対応する構成と同符号を付す。
【0072】
図6は、吸収性物品1bを包装シート51と共に示す平面図である。包装シート51は、吸収性物品1bの個別包装に使用されるシート部材である。包装シート51は、例えば、撥液性または不透液性のプラスチックフィルムである。包装シート51は、粘着部27b(
図5参照)により吸収性物品1bに着脱可能に取り付けられている。包装シート51の幅は、吸収性物品1bの幅よりも大きい。包装シート51の長さは、吸収性物品1bの長さと略等しい。以下の説明では、吸収性物品1bと包装シート51とを併せて「吸収性物品包装体50」と呼ぶ。
【0073】
図7は、使用前における吸収性物品包装体50を示す平面図である。
図8は、
図7に示す吸収性物品包装体50の一部を展開した状態を示す平面図である。
図7に示すように、使用前における吸収性物品包装体50では、包装シート51および吸収性物品1bが、幅方向に沿ってそれぞれ延びる2本の折り畳み線61にて、吸収性物品1bのトップシート21が対向する向きに折り畳まれている。
【0074】
図8は、吸収性物品包装体50のうち、図中の上側の折り畳み線61にて折り畳まれた部位を展開した(すなわち、長手方向に拡げた)状態を示す。
図8では、当該折り畳み線61を細線にて示す。なお、上述の
図5および
図6は、吸収性物品1bの折り畳みを解除し、2本の折り畳み線61にて折り畳まれた部位を展開した状態を示す図である。
図5および
図6では、2本の折り畳み線61を細線にて示す。
図5に示す例では、2本の折り畳み線61は、縦中央領域102に位置する。
【0075】
図6に示す例では、2本の折り畳み線61はそれぞれ、幅方向に略平行な直線である。一方の折り畳み線61は、吸収性物品1bの長手方向の中央よりも長手方向の一方側にずれた位置に設けられ、他方の折り畳み線61は、吸収性物品1bの当該中央よりも長手方向の他方側にずれた位置に設けられる。使用前の吸収性物品包装体50では、
図7中の下側の折り畳み線61にて折り畳まれた部位64上に、
図7中の上側の折り畳み線61にて折り畳まれた部位63が重ねられた状態で、両部位63,64が粘着テープ65により固定されている。また、吸収性物品包装体50の幅方向両側において、包装シート51の側縁部が、例えば熱圧着により封止されている。
【0076】
吸収性物品包装体50が使用される際には、粘着テープ65が剥がされ、2本の折り畳み線61における折り畳みが展開される。このとき、吸収性物品包装体50の両側縁部における包装シート51の封止も解除される。そして、包装シート51が吸収性物品1bから剥がされて除去され、吸収性物品1bが、バックシート23上の粘着部27bにより外装物品に固定される。
【0077】
図5に示す粘着部27bは、複数の粘着要素271bがバックシート23上において折り畳み線61を避けて配置される点を除き、
図3に示す粘着部27と略同じである。具体的には、縦中央領域102における複数の中央粘着要素272bの形状および配置は、2本の折り畳み線61上に位置する2つの中央粘着要素が省略された点を除き、
図3に示す複数の中央粘着要素272と略同じである。また、各縦端部領域103における複数の端部粘着要素273bの形状および配置は、
図3に示す複数の端部粘着要素273と略同じである。
【0078】
図5に示す例では、複数の中央粘着要素272bにおいて、間に折り畳み線61を挟んで長手方向に隣接する2つの中央粘着要素272b間の長手方向における最短の距離D7は、間に折り畳み線61を挟まずに長手方向に隣接する各2つの中央粘着要素272b間の長手方向における最短の距離D8よりも大きい。したがって、複数の中央粘着要素272bの長手方向における間隔(すなわち、平均間隔)は、当該距離D8よりも大きく、距離D7よりも小さい。当該距離D8は、例えば、上述の間隔P1と同じである。
【0079】
複数の中央粘着要素272bのうち、長手方向に関して折り畳み線61と最も近い1つの中央粘着要素272bと、当該折り畳み線61との間の長手方向の最短距離D9(以下、「離間距離D9」とも呼ぶ。)は、5mm~50mmである。中央粘着要素272bの折り畳み線61に対する離間距離D9が5mm以上とされることにより、吸収性物品包装体50が製造工程において折り畳まれる際等に、折り畳み線61の影響で中央粘着要素272bが縒れることを抑制することができる。また、当該離間距離D9が50mm以下とされることにより、折り畳み線61近傍における吸収性物品1bと外装物品との固定強度が不足することを抑制することができる。
【0080】
吸収性物品包装体50が製造工程において折り畳まれる際等には、折り畳み線61近傍の比較的広い範囲においてバックシート23が大きく変形し、バックシート23上に皺等が形成される。したがって、折り畳み線61の当該影響による中央粘着要素272bの縒れを抑制するために、中央粘着要素272bの折り畳み線61に対する離間距離D9を比較的大きくすることが好ましい。具体的には、当該離間距離D9は、例えば、中央粘着要素272bの縦側境界部203に対する離間距離D1よりも大きくされる。
【0081】
上述の例では、折り畳み線61は縦中央領域102に位置し、複数の中央粘着要素272bが折り畳み線61を避けて配置されているが、これには限定されない。例えば、少なくとも一方の折り畳み線61は縦端部領域103に位置し、当該縦端部領域103において、複数の端部粘着要素273bが折り畳み線61を避けて配置されてもよい。
【0082】
以上に説明したように、吸収性物品1bは、使用前において、幅方向に沿って延びる折り畳み線61にて折り畳まれた状態であり、複数の粘着要素271bは、バックシート23上において折り畳み線61を避けて配置される。これにより、吸収性物品包装体50が製造工程において折り畳まれる際等に、折り畳み線61の影響で粘着要素271bが縒れることを抑制することができる。
【0083】
また、折り畳み線61と、粘着部27bのうち第1部位201上に位置する粘着要素271b(すなわち上述の第1粘着要素であり、上記例では中央粘着要素272b)との間の長手方向における最短距離D9は、一対の縦側境界部203のそれぞれと、第1粘着要素(上記例では、中央粘着要素272b)との間の長手方向における最短距離D1よりも大きいことが好ましい。これにより、折り畳み線61の影響で粘着要素271bが縒れることをさらに抑制することができる。
【0084】
上述の吸収性物品1,1a,1bでは、様々な変更が可能である。
【0085】
例えば、吸収性物品1の離間距離D1~D3は、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。また、吸収性物品1aの離間距離D4~D6は、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。吸収性物品1bでも同様に、距離D7~D8および離間距離D9は、上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。
【0086】
吸収性物品1では、縦中央領域102において、一対の横側境界部204の幅方向外側(すなわち、吸収体20の第1部位201の幅方向外側)にも、第1部位201上と略同様に、中央粘着要素272が設けられてもよい。吸収性物品1a~1bについても同様である。
【0087】
吸収性物品1では、複数の中央粘着要素272の間隔P1は、複数の端部粘着要素273の間隔P2よりも小さくてもよい。あるいは、
図9に示すように、複数の中央粘着要素272の間隔P1と、複数の端部粘着要素273の間隔P2とは略同じであってもよい。吸収性物品1aにおいても同様に、複数の中央粘着要素272の間隔P3は、複数の端部粘着要素273の間隔P4よりも小さくてもよく、略同じであってもよい。
【0088】
図5に示す吸収性物品1bでは、複数の粘着要素271bが、折り畳み線61を避けつつ幅方向に沿ってそれぞれ延びるとともに長手方向に沿って配列されるが、これには限定されない。例えば、
図10に示す吸収性物品1cのように、粘着部27cの複数の粘着要素271cは、折り畳み線61を避けつつ長手方向に沿ってそれぞれ延びるとともに幅方向に沿って配列されてもよい。
図10に示す例では、縦中央領域102において、長手方向に略平行に延びる複数の中央粘着要素272cが、2本の折り畳み線61近傍にて長手方向に分割されている。このように、複数の粘着要素271cが、バックシート23上において折り畳み線61を避けて配置されることにより、
図5に示す吸収性物品1bと略同様に、折り畳み線61の影響で粘着要素271cが縒れることを抑制することができる。
【0089】
吸収性物品1b,1cでは、折り畳み線61の数は1本であってもよく、3本以上であってもよい。また、吸収性物品1b,1cでは、包装シート51が省略され、吸収性物品1b,1cが単独で折り畳み線61にて折り畳まれ、包装袋等に収容されてもよい。
【0090】
吸収性物品1では、中央粘着要素272は平面視において横側境界部204と重なっていてもよい。吸収性物品1a~1cにおいても同様である。また、吸収性物品1bでは、中央粘着要素272bは平面視において折り畳み線61と重なっていてもよい。吸収性物品1cにおいても同様である。
【0091】
吸収性物品1では、第1部位201上に配置される上記第1粘着要素と、第2部位202上に配置される上記第2粘着要素とは、互いに異なる方向に沿って延びていてもよい。吸収性物品1a~1cにおいても同様である。
【0092】
吸収性物品1,1a~1c、第1吸収シート221および第2吸収シート222の平面視における形状は、上記例には限定されず、様々に変更されてよい。例えば、吸収性物品1,1a~1c、第2吸収シート222および第1吸収シート221の平面視における形状は、長さが幅よりも大きい略長円状であってもよい。あるいは、吸収性物品1および第2吸収シート222の平面視における形状は、長手方向の中央部がくびれた(すなわち、幅が細い)砂時計型であってもよい。
【0093】
吸収体20は、必ずしも、SAPシートである第1吸収シート221と、吸液台紙である第2吸収シート222との積層構造を有する必要はなく、吸収体20の構造は様々に変更されてよい。例えば、第1吸収シート221は、粉砕されたパルプ繊維(いわゆる、綿状パルプ)、綿状パルプに上述の高吸収性材料を混合したもの、あるいは、吸液性を有する紙や親水性不織布等のシート等であってもよい。第2吸収シート222は、例えば、SAPシート、綿状パルプ、あるいは、綿状パルプに上述の高吸収性材料を混合したもの等であってもよい。
【0094】
吸収体20は、3層以上の吸収シートが積層された構造であってもよい。また、吸収体20は、複数の吸収シートを備えている必要はなく、例えば、綿状パルプにより形成された一繋がりの部材であり、第1部位201における綿状パルプの厚さが、第2部位202における綿状パルプの厚さよりも厚いものであってもよい。
【0095】
吸収性物品1の幅方向両側部には、長手方向に延びる一対のサイドシートが設けられてもよい。各サイドシートは、トップシート21上に接着剤等により固定されるサイドシート固定部と、サイドシート固定部から着用者側に起立するサイドシート起立部とを備える。これにより、吸収性物品1の側方からの尿等の漏出(すなわち、横漏れ)を好適に防止することができる。吸収性物品1a~1cにおいても同様である。
【0096】
吸収性物品1の上記構造は、軽失禁用の吸収パッド以外の補助吸収具に適用されてもよく、補助吸収具以外の様々な吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ)に適用されてもよい。
【0097】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0098】
1,1a~1c 吸収性物品
20 吸収体
21 トップシート
23 バックシート
27,27a~27c 粘着部
61 折り畳み線
201 第1部位
202 第2部位
203 縦側境界部
204 横側境界部
221 第1吸収シート
222 第2吸収シート
223 第1上層シート
224 高吸収性材料
225 第1下層シート
271,271a~271c 粘着要素
【要約】
【課題】粘着要素が縒れることを抑制する。
【解決手段】吸収性物品1の粘着部27は、バックシート23の着用者側とは反対側の面に設けられる。一対の縦側境界部203は、吸収体20の第1部位201と、第1部位201よりも薄い第2部位202との境界部である。粘着部27は、一対の縦側境界部203を避けてバックシート23上に配置される複数の粘着要素271により構成されている。複数の粘着要素271は、複数の第1粘着要素と、複数の第2粘着要素とを含む。複数の第1粘着要素は、第1部位201において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに、他方に沿って配列される。複数の第2粘着要素は、第2部位202において長手方向および幅方向の一方に沿ってそれぞれ延びるとともに、他方に沿って配列される。これにより、縦側境界部203における段差の影響で粘着要素271が縒れることを抑制することができる。
【選択図】
図3