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特許7152580太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0236 20060101AFI20221004BHJP
   H01L 31/0216 20140101ALI20221004BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/04 240
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021169750
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】202111074502.5
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 暁▲うぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】李 文▲ぎ▼
(72)【発明者】
【氏名】余 丁
(72)【発明者】
【氏名】趙 世杰
(72)【発明者】
【氏名】柴 嘉磊
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲じえ▼
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲きん▼宇
(72)【発明者】
【氏名】金 浩
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-142271(JP,A)
【文献】特開2016-072522(JP,A)
【文献】特開2017-033970(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147566(WO,A1)
【文献】特開2015-230938(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163498(WO,A1)
【文献】特表2013-511839(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111403503(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112921302(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-18/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
表面に第1テクスチャ構造を有する半導体基板と、前記半導体基板の第1テクスチャ構造上に位置する第1パッシベーション層とを含み、
前記第1テクスチャ構造は、ピラミッド状微構造を含み、
前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦0.9であり、
前記第1パッシベーション層の不均一さをNとすると、Nが4%以下であり、N=(Dmax-Dmin)/Dmaxであり、ただし、Dmaxは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最大厚さであり、Dminは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最小厚さであり、
前記第1パッシベーション層における最大厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部又は底部に位置し、前記第1パッシベーション層における最小厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部と底部との間に位置し、
前記ピラミッド状微構造の底部の一次元サイズをAμmとすると、0.1≦A≦3であり、
前記ピラミッド状微構造の頂部から底部までの高さをBμmとすると、0.1≦B≦3であることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の最大厚さは、70nm≦Dmax≦180nmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の最小厚さは、50nm≦Dmin≦70nmであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1パッシベーション層は、1層の誘電体層及びK層の反射防止層を含み、Kは2以上7以下の整数であり、それぞれの反射防止層の屈折率は、前記半導体基板との距離の増大に伴って順次低くなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記誘電体層は、アルミニウム含有酸化物、ガリウム含有酸化物、シリコン含有酸化物、チタン含有酸化物、ハフニウム含有酸化物、ニッケル含有酸化物、白金含有酸化物、タンタル含有酸化物のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記誘電体層の厚さは、1nm~20nmであることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記反射防止層は、ケイ素、窒素、酸素のうちの少なくとも2種類の元素からなる化合物を含むことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記反射防止層の単層の厚さは、1nm~50nmであることを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1パッシベーション層の総厚さは、70nm~150nmであることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1パッシベーション層の全体反射率は、1.5~2.5であることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の太陽電池を備える太陽電池ストリングを複数含むことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項12】
太陽電池の製造方法であって、
半導体基板に対してテクスチャリング処理を行い、前記半導体基板の表面に第1テクスチャ構造を形成するステップであって、第1テクスチャ構造がピラミッド状微構造を含み、前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦0.9であるステップと、
半導体基板の表面の第1テクスチャ構造上に第1パッシベーション層を堆積形成し、前記第1パッシベーション層の不均一さNを4%以下とするステップとを含み、
前記不均一さN=(Dmax-Dmin)/Dmaxであり、ただし、Dmaxは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最大厚さであり、Dminは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最小厚さであり、
前記第1パッシベーション層における最大厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部又は底部に位置し、前記第1パッシベーション層における最小厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部と底部との間に位置し、
前記ピラミッド状微構造の底部の一次元サイズをAμmとすると、0.1≦A≦3であり、
前記ピラミッド状微構造の頂部から底部までの高さをBμmとすると、0.1≦B≦3であり、
前記半導体基板に対してテクスチャリング処理を行うことは、
濃度がX%の水酸化カリウム溶液と濃度がY%の過酸化水素溶液の混合溶液を用いて前記半導体基板の表面を洗浄することを含み、X%とY%の積が0.005~0.285であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項13】
前記水酸化カリウム溶液の濃度をX%とすると、5≦X≦25であることを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記過酸化水素溶液の濃度をY%とすると、7≦Y≦25であることを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は光起電力効果による電池の技術分野に関し、具体的に、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、シリコン基板のテクスチャー面構造における膜層の厚さ均一性が、電池のパッシベーション効果が安定し、外観色が均一となる前提条件である。従来、業界で製造された太陽電池は、一般的にシリコン基板の表面にパッシベーション膜を堆積形成することにより、パッシベーション及び反射防止を実現する。しかし、膜層の積層数が多すぎるため、膜層のテクスチャリング後のピラミッド表面における堆積の不均一性は、ますます悪化し、それによってセルに色差が発生し、また、このような不均一性はそのパッシベーション効果に影響し、開放電圧が低くなる。さらに、膜層の不均一性によっては、それと金属ペーストとのマッチングも悪くなり、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターが低下し、電池の変換効率が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑み、本願は、堆積した第1パッシベーション層の均一性を向上させ、第1パッシベーション層の反射防止効果を向上させることができる太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の第1態様において、太陽電池を提供する。前記太陽電池は、
表面に第1テクスチャ構造を有する半導体基板と、前記半導体基板の第1テクスチャ構造上に位置する第1パッシベーション層とを含み、
前記第1テクスチャ構造は、ピラミッド状微構造を含み、前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9であり、
前記第1パッシベーション層の不均一さをNとすると、Nが4%以下であり、N=(Dmax-Dmin)/Dmaxであり、ただし、Dmaxは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最大厚さであり、Dminは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最小厚さである。
【0005】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の最大厚さは、70nm≦Dmax≦180nmである。
【0006】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の最小厚さは、50nm≦Dmin≦70nmである。
【0007】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記ピラミッド状微構造の底部の一次元サイズをAμmとすると、0.1≦A≦3である。
【0008】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記ピラミッド状微構造の頂部から底部までの高さをBμmとすると、0.1≦B≦3である。
【0009】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記第1パッシベーション層における最大厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部又は底部に位置し、前記第1パッシベーション層における最小厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部と底部との間に位置する。
【0010】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記第1パッシベーション層は、1層の誘電体層及びK層の反射防止層を含み、Kは2以上7以下の整数であり、それぞれの反射防止層の屈折率は、前記半導体基板との距離の増大に伴って順次低くなる。
【0011】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記誘電体層は、アルミニウム含有酸化物、ガリウム含有酸化物、シリコン含有酸化物、チタン含有酸化物、ハフニウム含有酸化物、ニッケル含有酸化物、白金含有酸化物、タンタル含有酸化物のうちの少なくとも1種を含む。
【0012】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記誘電体層の厚さは、1nm~20nmである。
【0013】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記反射防止層は、ケイ素、窒素、酸素のうちの少なくとも2種類の元素からなる化合物を含む。
【0014】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記反射防止層の単層の厚さは、1nm~50nmである。
【0015】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記第1パッシベーション層の総厚さは、70nm~150nmである。
【0016】
第1態様によれば、実施可能な実施形態において、前記第1パッシベーション層の全体反射率は、1.5~2.5であり、好ましくは1.5~1.8である。
【0017】
第2態様において、本願は、上記した太陽電池を備える太陽電池ストリングを複数含む光起電力モジュールを提供する。
【0018】
第3態様において、本願は、
半導体基板に対してテクスチャリング処理を行い、前記半導体基板の表面に第1テクスチャ構造を形成するステップであって、第1テクスチャ構造がピラミッド状微構造を含み、前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9であるステップと、
半導体基板の表面の第1テクスチャ構造に第1パッシベーション層を堆積形成し、前記の第1パッシベーション層の不均一さNを4%以下とするステップと、を含む太陽電池の製造方法を提供する。
【0019】
第3態様によれば、実施可能な実施形態において、前記半導体基板に対してテクスチャリング処理を行うことは、
濃度がX%の水酸化カリウム溶液と濃度がY%の過酸化水素溶液の混合溶液を用いて、前記半導体基板の表面を洗浄することを含み、X%とY%の積が0.005~0.285である。
【0020】
第3態様によれば、実施可能な実施形態において、前記水酸化カリウム溶液の濃度をX%とすると、5≦X≦25である。
【0021】
第3態様によれば、実施可能な実施形態において、前記過酸化水素溶液の濃度をY%とすると、7≦Y≦25である。
【発明の効果】
【0022】
本願の技術案は、少なくとも以下の有益な効果を奏しうる。本願に係る太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールは、ピラミッド状微構造の斜辺の長さの寸法を0.4μm~1.9μmの範囲に制御することにより、第1パッシベーション層を形成するための原料ガスがピラミッド状微構造の頂部、底部及び頂部と底部との間の位置に拡散堆積する時の堆積確率が近く、ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の厚さの均一性が向上し、第1パッシベーション層のパッシベーション効果を向上させ、電池の開放電圧を高めることができ、さらに第1パッシベーション層の均一性が向上すると、第1パッシベーション層と金属ペーストとのマッチング程度が向上し、接触抵抗率を効果的に低下させ、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターを向上させ、太陽電池の変換効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、本願の実施例又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載する図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本願実施例に係る太陽電池の構成を示す模式図である。
図2a】本願実施例に係る太陽電池の半導体基板の前面の第1テクスチャ構造の電子顕微鏡写真である。
図2b】本願実施例に係る太陽電池の半導体基板の前面のピラミッド状微構造の構成を示す模式図である。
図2c】本願実施例に係る太陽電池の半導体基板の前面のピラミッド状微構造の底部の一次元サイズを示す模式図である。
図2d】本願実施例に係る太陽電池の半導体基板の前面のピラミッド状微構造上に形成された第1パッシベーション層の構成を示す模式図である。
図2e】従来技術に係る太陽電池の半導体基板の前面のピラミッド状微構造上に形成された第1パッシベーション層の構成を示す模式図である。
図3a】本願実施例に係る太陽電池の半導体基板の前面の第1パッシベーション層の形成状態を示す模式図である。
図3b】本願実施例に係る太陽電池の半導体基板の前面の第1パッシベーション層の他の形成状態を示す模式図である。
図3c】本願実施例に係る太陽電池の半導体基板の前面の第1パッシベーション層のさらに他の形成状態を示す模式図である。
図4】本願実施例に係る別の太陽電池の構成を示す模式図である。
図5】本願実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す模式図である。
図6】本願実施例に係る太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
図7】本願実施例に係る太陽電池の変換効率と不均一さ、斜辺の長さの変化を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の技術案をよりよく理解するために、図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0025】
説明される実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは明白である。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的労働をしない前提で得た他の全ての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0026】
本願の実施例において使用される用語は、特定の実施例を説明するためだけのものであり、本願を限定するものではない。本願の実施例及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形の「1種」、「前記」及び「該」は、文脈から意味が明らかにそうでない場合を除き、複数形が含まれることも意図される。
【0027】
なお、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連対象を説明する関連関係に過ぎず、例えば、A及び/又はBの場合、Aが単独で存在する、同時にA及びBが存在する、Bが単独で存在するという3種類の関係が存在してもよいことを示す。また、本明細書における文字「/」は、一般的に、前後関連対象が「又は」という関係を示す。
【0028】
太陽電池は、シリコン基板のテクスチャー面構造における膜層の厚さ均一性が、電池のパッシベーション効果が安定し、外観色が均一となる前提条件である。従来、業界で製造された太陽電池は、一般的にシリコン基板の表面にパッシベーション膜を堆積形成することにより、パッシベーション及び反射防止を実現する。しかし、膜層の積層数が多すぎるため、膜層のテクスチャリング後のピラミッド表面における堆積の不均一性は、ますます悪化し、それによってセルに色差が発生し、また、このような不均一性はそのパッシベーション効果に影響し、開放電圧が低くなる。さらに、膜層の不均一性によっては、それと金属ペーストとのマッチングも悪くなり、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターが低下し、電池の変換効率が低下してしまう。
【0029】
これに基づき、第1態様において、本願は太陽電池を提供する。該太陽電池は、
表面に第1テクスチャ構造を有する半導体基板と、前記半導体基板の第1テクスチャ構造上に位置する第1パッシベーション層とを含み、
前記第1パッシベーション層は、ピラミッド状微構造を含み、前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9であり、
前記第1パッシベーション層の不均一さをNとすると、Nが4%以下であり、N=(Dmax-Dmin)/Dmaxであり、ただし、Dmaxは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最大厚さであり、Dminは、前記ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最小厚さである。
【0030】
上記技術案において、ピラミッド状微構造の斜辺の長さの寸法を0.4μm~1.9μmの範囲に制御することにより、第1パッシベーション層を形成するための原料ガスがピラミッド状微構造の頂部、底部及び頂部と底部との間の位置に拡散堆積する時の堆積確率が近く、ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の厚さの均一性が向上し、第1パッシベーション層のパッシベーション効果を向上させ、電池の開放電圧を高めることができ、さらに第1パッシベーション層の均一性が向上すると、第1パッシベーション層と金属ペーストとのマッチング程度が向上し、接触抵抗率を効果的に低下させ、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターを向上させ、太陽電池の変換効率を向上させる。
【0031】
本願は、TOPCon電池を例とし、本願の技術案を詳細に説明する。
【0032】
図1は、本願に係る太陽電池の構成を示す模式図である。図1に示すように、太陽電池は、
前面に、ピラミッド状微構造を含む第1テクスチャ構造11を有し、前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9である半導体基板10と、
半導体基板10の第1テクスチャ構造11上に位置する第1パッシベーション層20であって、不均一さNが4%以下である第1パッシベーション層20と、
半導体基板10の後面に位置するトンネル層30と、
トンネル層30の表面に位置するドープ導電層40であって、前記半導体基板10と同じ導電型のドーピング元素を有するドープ導電層40と、
ドープ導電層40の表面に位置する第2パッシベーション層50と、を備える。
【0033】
なお、半導体基板10の前面とは、受光面、即ち太陽光線による照射を受ける表面(受光面)を指してもよく、半導体基板10の後面とは、前記前面と対向する表面を指す。いくつかの実施例において、前記形成された太陽電池は片面電池であり、前記前面は受光面を指してもよく、後面は非受光面を指してもよい。いくつかの実施例において、前記形成された太陽電池は両面電池であり、前記前面及び後面はいずれも受光面であってもよい。
【0034】
本願の選択可能な技術案として、半導体基板10は、N型結晶シリコン基板(又はシリコン片)であり、高温拡散、ペーストによるドーピング又はイオン注入のうちの何れか1種または複数種のプロセスを採用し、半導体基板の前面にP型ドープ層を形成することにより、前記半導体基板10にPN接合を形成することができる。いくつかの実施例において、前記半導体基板10は、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板又は炭化シリコン基板のうちの1種であってもよい。
【0035】
いくつかの実施例において、前記P型ドープ層は、ホウ素ドープ拡散層である。ホウ素ドープ拡散層は、ホウ素源を用いて拡散プロセスによりホウ素原子を前面に一定の深さまで拡散させたP型ドープ層(すなわち、P+層)である。例えば、ホウ素源は、液状の三臭化ホウ素であってもよい。
【0036】
いくつかの実施例において、図2aに示すように、半導体基板10の前面に、ピラミッド状微構造111を含む第1テクスチャ構造11を有する。ピラミッド状微構造111は、四面体、略四面体、五面体、略五面体等の構造であってもよい。ピラミッド状微構造111は、半導体基板に対してテクスチャリングプロセスを行うことにより形成することができる。テクスチャリングプロセスの方式は、化学エッチング、レーザエッチング、機械法、プラズマエッチングなどであってもよい。前記ピラミッド状微構造によって、金属ペーストをスクリーン印刷して電極を形成する時にピラミッド状微構造によりよく充填させることができ、より優れた電極接触を取得し、電池の直列電気抵抗を効果的に低下し、フィルファクターを向上させることができる。
【0037】
いくつかの実施例において、図2bに示すように、前記ピラミッド状微構造111の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9であり、ピラミッド状微構造111の斜辺の長さは、具体的に、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.8μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.8μm又は1.9μm等であってもよい。ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズをAμmとすると、0.1≦A≦3である。なお、図2cに示すように、前記底部の一次元サイズAは、具体的に、底部表面の長さ、幅、対角線の長さ、円形の直径等であってもよく、ここで限定されない。いくつかの実施例において、前記一次元サイズは、基板の前面の予め設定された範囲内に、複数のピラミッド状微構造の底部表面の一次元サイズの平均値を指してもよい。具体的には、ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズAは、0.1μm、0.5μm、0.8μm、1.0μm、1.5μm、1.8μm、2μm、2.5μm、2.8μm又は3μm等であってもよい。
【0038】
ピラミッド状微構造の頂部から底部までの高さをBμmとすると、0.1≦B≦3であり、ピラミッド状微構造の頂部から底部までの垂直距離は、0.1μm、0.5μm、0.8μm、1.0μm、1.5μm、1.8μm、2μm、2.5μm、2.8μm又は3μm等であってもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、前記太陽電池の第1テクスチャ構造又は第2テクスチャ構造を特徴付けるテクスチャサイズ特徴、例えばピラミッド状微構造の底部表面の一次元サイズ、ピラミッド状微構造の頂部と底部の高さを測定する場合、試験装置(光学顕微鏡、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡など)により直接測定することができる。例えば、ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズの測定方法は、第1テクスチャ構造において10個以上のピラミッド状微構造をランダムに選択し、試験装置でその底部の一次元サイズをそれぞれ測定し、そして複数の一次元サイズの平均値を算出し、ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズを取得する。第1パッシベーション層20の厚さとは、形成面に対する第1パッシベーション層20の厚さを指す。以上の測定手段は、単なる例示であり、本願において限定されない。
【0040】
図2d及び図2eに示すように、同一ピラミッド状微構造111上に形成された第1パッシベーション層20は、ピラミッド状微構造111の頂部a及び/又は底部cに位置する第1パッシベーション層20の厚さが大きく、ピラミッド状微構造111の頂部aと底部cとの間に位置する第1パッシベーション層20の厚さが小さい。
【0041】
本願において、透過型電子顕微鏡(TEM)等の高解像度機器を用いて、ピラミッド状微構造111における第1パッシベーション層20の厚さを測定することができる。測定により、前記ピラミッド状微構造111における第1パッシベーション層20の最大厚さをDmaxとし、前記ピラミッド状微構造111における第1パッシベーション層20の最小厚さをDminとし、前記第1パッシベーション層20の不均一さNをN=(Dmax-Dmin)/Dmaxと定義すると、第1パッシベーション層20の不均一さNが4%以下である。
【0042】
具体的は、第1パッシベーション層20の不均一さNは、4%、3.5%、3%、2.8%、2.5%、2%、1.8%、1.5%、1%等であり、ここで限定されない。第1パッシベーション層20の不均一さを上記範囲に制御すると、太陽電池の前面の外観色が最も均一であり、パッシベーション効果、反射防止効果が最も好適であり、太陽電池の変換効率を向上させることができる。
【0043】
図2dに示すように、前記ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層における最大厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部a又は底部bに位置する。いくつかの実施例において、測定する時、同一ピラミッド状微構造の頂部に位置する第1パッシベーション層の厚さをDmax1とし、同一ピラミッド状微構造の底部に位置する第1パッシベーション層の厚さをDmax2とすると、ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層20の最大厚さはDmax=(Dmax1+Dmax2)/2である。頂部から底部まで複数のパッシベーション層の厚さをそれぞれ測定し、サンプル数を≧10とし、第1パッシベーション層20の最小厚さDminを算出する。他の実施形態において、測定する時、同一ピラミッド状微構造を選択し、頂部から底部まで複数のパッシベーション層の厚さをそれぞれ測定し、サンプル数を≧10とし、サンプリングして測定された厚さを比較し、DmaxとDminを得ることができる。
【0044】
具体的に、70nm≦Dmax≦180nmであり、具体的に70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、150nm、160nm又は180nm等であってもよく、当然上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0045】
前記ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層における最小厚さの領域は、前記ピラミッド状微構造の頂部と底部との間に位置し、第1パッシベーション層20の最小厚さは50nm≦Dmin≦70nmであり、具体的に、50nm、56nm、58nm、60nm、62nm、65nm、68nm又は70nm等であってもよく、当然上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0046】
図3aに示すように、ピラミッド状微構造111の斜辺の長さが400nm(即ち0.4μm)より小さい場合、プラズマ気相堆積プロセスでピラミッド状微構造111に第1パッシベーション層20を堆積形成し、斜辺の長さが小さすぎるため、プラズマがピラミッド状微構造の底部、中部、頂部に到達する拡散経路が基本的に同じであり、重力作用によって、ピラミッド状微構造の底部の堆積確率が増大し、それによってピラミッド状微構造の底部にパッシベーション層をより堆積形成しやすく、底部に堆積されたパッシベーション層の厚さが頂部に堆積されたパッシベーション層より厚くなりやすく、パッシベーション層の均一性が低下する。
【0047】
図3cに示すように、ピラミッド状微構造111の斜辺の長さが1.9μmより大きい場合、プラズマ気相堆積プロセスでピラミッド状微構造111に第1パッシベーション層20を堆積形成し、斜辺の長さが大きすぎるため、プラズマがピラミッド状微構造の底部に到達する拡散経路が、プラズマがピラミッド状微構造の頂部に到達する拡散経路より遥かに大きく、ピラミッド状微構造の頂部の堆積確率が増大し、それによって少量のプラズマしか底部に到達することができず、ピラミッド状微構造の頂部の厚さが底部に堆積されたパッシベーション層の厚さより大きく、パッシベーション層の均一性が低下する。
【0048】
したがって、堆積プロセスパラメータを一定に保つ場合、ピラミッド状微構造111の溝の深さの増加に伴い、同じ位置における第1パラメーター層の厚さが安定になるまで徐々に小さくなり、曲率が大きい位置ほど同一時間内に堆積する第1パラメーター層の厚さが大きくなり、ピラミッド状微構造111の斜辺の長さを0.4μm~1.9μmの範囲に制御することにより、第1パッシベーション層を形成するための原料ガスがピラミッド状微構造の各箇所に拡散して堆積する時の堆積確率が近く、ピラミッド状微構造の各位置に堆積した第1パッシベーション層の厚さの均一性がより良い。いくつかの実施形態において、第1テクスチャ構造111における複数のピラミッド状微構造の斜辺の長さをランダムに収集し、平均値を算出し、平均値をピラミッド状微構造の斜辺の長さとして定義する。例えば、4つのピラミッド状微構造111をランダムに選択し、その斜辺の長さをそれぞれC1、C2、C3及びC4とすると、ピラミッド状微構造111の斜辺の長さは(C1+C2+C3+C4)/4である。
【0049】
本願の選択可能な技術案として、前記第1パッシベーション層20は、積層設置された1層の誘電体層21及びK層の反射防止層22を含み、Kは2以上7以下の整数であり、それぞれの反射防止層22の屈折率は前記半導体基板との距離の増大に伴って順次低くなる。
【0050】
前記誘電体層21は、アルミニウム含有酸化物、ガリウム含有酸化物、シリコン含有酸化物、チタン含有酸化物、ハフニウム含有酸化物、ニッケル含有酸化物、白金含有酸化物、タンタル含有酸化物のうちの少なくとも1種を含む。例えば、誘電体層21は、酸化アルミニウム層、酸化ガリウム層、酸化シリコン層、酸化チタン層、酸化ハフニウム層等であってもよく、ここで限定されない。
【0051】
いくつかの実施例において、前記誘電体層21の厚さの範囲は、1nm~20nmであり、具体的に、1nm、5nm、8nm、9nm、10nm、12nm、15nm、18nm又は20nm等であってもよく、当然、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0052】
反射防止層22は、ケイ素、窒素、酸素のうちの少なくとも2種類の元素からなる化合物を含む。具体的に、反射防止層は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層からなる群より選択される少なくとも1種又は複数種の積層構造である。
【0053】
前記反射防止層22の単層の厚さは、1nm~50nmであり、具体的に、1nm、5nm、10nm、20nm、30nm、35nm、40nm、45nm又は50nm等であってもよく、当然、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0054】
反射防止層22のそれぞれは、屈折率が前記半導体基板との距離の増大に伴って順次低くなることにより、第1パッシベーション層のパッシベーション効果を高めることができる。
【0055】
前記第1パッシベーション層20の全体反射率は、1.5~2.5であり、具体的に、1.5、1.6、1.8、1.9、2.0、2.2、2.4又は2.5等であってもよく、ここで限定されず、第1パッシベーション層20の全体反射率は1.5~1.8であることが好ましい。
【0056】
前記第1パッシベーション層20の総厚さは、70nm~150nmであり、具体的に、70nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、110nm、120nm、130nm又は150nm等であってもよく、ここで限定されない。
【0057】
さらに、図1に示すように、半導体基板10の後面に第2テクスチャ構造12を有する。具体的に、第2テクスチャ構造12は、アルカリ研磨処理により形成することができる。
【0058】
本願の選択可能な技術案として、半導体基板の後面の第2テクスチャ構造は、少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造を含む。前記第2テクスチャ構造は、非ピラミッド状微構造形態を呈する。
【0059】
前記少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造について、前記後面から離れ、かつ前記後面に垂直な方向(積み重ねられる方向と理解してもよい)に、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離Hは、2μm以下であり、具体的に、2μm、1.8μm、1.5μm、1.2μm、1.1μm、1.0μm、0.8μm、0.5μm、0.3μm、0.2μm又は0.1μm等であってもよい。なお、3層の第1サブ構造が積層設置された場合、いずれかの層の第1サブ構造の頂部表面と、隣接する層の第1サブ構造の頂部表面との距離Hは、2μm以下である。
【0060】
前記最外側の第1サブ構造の頂部表面の一次元サイズLは、45μm以下、すなわち0<L≦45μmであり、好ましくは、前記一次元サイズLは2μm~45μmである。ここで、前記頂部表面の一次元サイズLは、具体的に、表面の長さ、幅、対角線の長さ、円形の直径等であってもよく、ここで限定されない。いくつかの実施例において、前記一次元サイズは、基板の後面の予め設定された範囲内に、最外側の複数の第1サブ構造の頂部表面の一次元サイズの平均値を指してもよい。最外側の第1サブ構造の頂部表面の平均一次元サイズは、具体的に、2μm、5μm、8μm、12μm、15μm、18μm、20μm、25μm、28μm、30μm、35μm、40μm、42μm、43μm、45μm等であってもよい。
【0061】
いくつかの実施例において、後続の第1パッシベーション層、例えば第1パッシベーション層20、トンネル層30、ドープ導電層40等の製造により、第2テクスチャ構造と第1テクスチャ構造の初期構造に一定の破壊をもたらすおそれがあり、例えば、量産される太陽電池において、前記第1テクスチャ構造に、ピラミッド状微構造の尖塔が破壊されたことによって形成された少量の非ピラミッド状の微構造をさらに含む可能性がある。
【0062】
図1に示すように、半導体基板10の後面の第2テクスチャ構造12上に位置するトンネル層30は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層、酸化ハフニウム層のうちの1種又は複数種の積層構造であってもよい。他の実施例において、トンネル層30は、酸素含有窒化シリコン層、酸素含有炭化シリコン層等であってもよい。トンネル層30の厚さは、0.8nm~2nmである。具体的に、トンネル層30の厚さは、0.8nm、0.9nm、1.0nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm又は2nm等である。トンネル層30の厚さは、形成面に対するトンネル層の厚さを指す。第2テクスチャ構造に形成されたトンネル層30の厚さは、サブ構造の斜面の法線方向を厚さ方向として、断面観察を行って算出することができる。トンネル層30の厚さが大きすぎると、トンネル層の接触抵抗の低減に不利である。トンネル層の厚さを制御することにより、接触抵抗によるフィルファクターの低下を抑制することができる。
【0063】
具体的に、トンネル層30のバンドギャップ幅は、3.0eV超であり、キャリアが一般的に熱放射によりトンネル層30を通過することが困難であるものの、トンネル層30が非常に薄いため、キャリアがトンネル効果によってトンネル層30を通過することができる。そのため、厚さが0.8nm~2nmのトンネル層は、多数キャリアの輸送を阻害しない。トンネル層の厚さが徐々に増大することに伴い、多数キャリアのトンネル効果が影響を受け、キャリアがトンネル層30を通過しにくくなり、電池の光電変換効率が徐々に低下する。トンネル層の厚さが小さすぎると、パッシベーションの役割を果たすことができない。好ましくは、トンネル層30は酸化シリコン層であり、トンネル層30の厚さが0.8nm~1.5nmである。
【0064】
いくつかの実施例において、前面にピラミッド状テクスチャ構造を形成し、後面に非ピラミッドテクスチャ構造を形成するように、半導体基板の前後の面に異なる形態のテクスチャ構造を設置することにより、形成された電池は異なる階層の光閉じ込め構造を有し、光の有効接触面積を増加させ、接触抵抗率を低下させ、太陽電池の開放電圧を向上させ、フィルファクター及び光電変換効率を向上させることができる。
【0065】
いくつかの実施例において、ドープ導電層40は、ドープ多結晶シリコン層、ドープ微結晶シリコン層、ドープアモルファスシリコン層であってもよく、前記ドープ導電層40は、前記半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を含む。
【0066】
半導体基板10がN型単結晶シリコン基板である場合、ドープ導電層40は、N型ドープ多結晶シリコン層、N型ドープ微結晶シリコン層又はN型ドープアモルファスシリコン層であり、ドーピング元素はリン等のN型ドーピング元素であってもよい。
【0067】
いくつかの実施例において、前記ドープ導電層40は、厚さの範囲が60nm~200nmであり、例えば、N型ドープ多結晶シリコン層の場合、前記ドープ導電層40は屈折率の範囲が3.5~4.5である。
【0068】
本願の選択可能な技術案として、第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1種を含む。前記第2パッシベーション層50の厚さが70nm~120nmである。例えば、前記第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層であり、前記窒化シリコン層は、シリコン/窒素の比が低く、屈折率の範囲が1.7~2.1であり、屈折率が1.7、1.8、1.9、2.0又は2.1等であってもよく、当然、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。窒化シリコン層の屈折率を制御することにより、シリコン/窒素の比を低くすることによって、形成された第2パッシベーション層50は金属化処理時に接触抵抗率を低下させることができ、さらに太陽電池の接触抵抗率をさらに低下させることができる。
【0069】
いくつかの実施例において、第2パッシベーション層50が積層設置された窒化シリコン層と酸化シリコン層又は積層設置された窒化シリコン層と酸窒化シリコン層である場合、窒化シリコン層がドープ導電層の表面に位置し、酸化シリコン層又は酸窒化シリコン層が窒化シリコン層の表面に位置する。
【0070】
さらに、太陽電池は、第1電極60及び第2電極70をさらに備え、第1電極60は第1パッシベーション層20を貫通して半導体基板10の前面のP型ドープ層(例えば、ホウ素ドープ拡散層)とオーミック接触を形成し、第2電極70は第2パッシベーション層50を貫通してドープ導電層40とオーミック接触を形成し、ドープ導電層40とトンネル層30とはパッシベーション接触構造を構成する。前記第1電極60及び第2電極70は、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の表面に塗布された導電性金属ペーストを焼結することにより形成することができる。いくつかの実施例において、前記第1電極60又は第2電極70の材料として、銀、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料が挙げられる。
【0071】
図1に示すように形成された太陽電池はについて、即ち、半導体基板10の前面にピラミッド状微構造の第1テクスチャ構造が形成され、半導体基板の後面に非ピラミッド状微構造の第2テクスチャ構造が形成され、前記第1テクスチャ構造上に、マッチングした第1パッシベーション層20が形成され、第1パッシベーション層の不均一さNが4%以下であり、前記第2テクスチャ構造にマッチングしたトンネル層30、ドープ導電層40及び第2パッシベーション層50(例えば、窒化ケイ素層)が形成された太陽電池構造は、高い光電変換効率を有する。
【0072】
いくつかの実施例において、太陽電池はPERC太陽電池であってもよく、図4に示すように、その構造は、
対向して設けられた前面と後面を含む半導体基板10と、
半導体基板10の前面に位置するドープ層であって、第1ドーピング濃度を有する低濃度ドープ領域121と第2ドーピング濃度を有する高濃度ドープ領域122とを有し、高濃度ドープ領域122と低濃度ドープ領域121との間に選択的エミッタ構造が形成されるドープ層と、
ドープ層上に位置する第1パッシベーション層20と、
第1パッシベーション層20上に位置する第1電極60であって、第1パッシベーション層20とドープ層の高濃度ドープ領域122を貫通してオーミック接触を形成する第1電極60と、
半導体基板10の後面に位置する第2パッシベーション層50と、
第2パッシベーション層50の後面に位置する第2電極70とを備え、
ただし、第2パッシベーション層50に開口が設けられ、第2電極70の少なくとも一部が開口を貫通して半導体基板10とオーミック接触を形成する。
【0073】
なお、本実施例における半導体基板10は、P型結晶シリコン基板であってもよい。上記した第1パッシベーション層20、第2パッシベーション層50、第1電極60及び第2電極70の種類は、Topcon電池を参照することができ、ここで繰り返し述べない。
【0074】
いくつかの実施例において、該太陽電池は、さらにIBC電池、HJT電池であってもよく、ここで限定されない。
【0075】
第2態様において、本願の実施例は、複数の太陽電池ストリングを備える光起電力モジュールを提供する。
【0076】
図5に示すように、光起電力モジュールは、第1カバー1、第1封止接着層2、太陽電池ストリング3、第2封止接着層4と第2カバー5を備える。
【0077】
太陽電池ストリング3は、複数の太陽電池(図1に示す太陽電池)を含む、太陽電池同士が導電リボン(図示せず)により接続される。太陽電池同士の間の接続形態は、部分積層であってもスプライシングであってもよい。
【0078】
第1カバー1、第2カバー5は、透明又は不透明のカバー、例えばガラスカバー、プラスチックカバーであってもよい。
【0079】
第1封止接着層2の両側がそれぞれ第1カバー1、太陽電池ストリング3と接触して貼り合わせており、第2封止接着層4の両側がそれぞれ第2カバー1、太陽電池ストリング3と接触して貼り合わせている。上記した第1封止接着層2、第2封止接着層4はそれぞれ、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリエチレンオクテン共弾性体(POE)接着フィルム又はポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルムであってもよい。
【0080】
光起電力モジュールは、光起電力モジュールに積層過程で積層ずれの現象が発生することを防止するように、側辺全体を囲む形で封止され、すなわち、封止テープを用いて光起電力モジュールの側辺を完全に被覆して封止してもよい。
【0081】
さらに、光起電力モジュールは、光起電力モジュールの一部の縁部に固定されて封止するための辺縁封止部材をさらに備る。該辺縁封止部材は、光起電力モジュールにおける角部に近い縁部に固定されて封止作用を果たすことができる。該辺縁封止部材は、耐高温テープであってもよい。該耐高温テープは、優れた耐高温特性を有し、積層過程において分解したり脱落したりすることがなく、光起電力モジュールを確実に封止することを保証することができる。ここで、耐高温テープは、両端がそれぞれ第2カバー5と第1カバー1に固定されている。該耐高温テープは、両端がそれぞれ第2カバー5と第1カバー1に接着されてもよく、その中部が光起電力モジュールの側辺を位置規制して、光起電力モジュールに積層過程で積層ずれが発生することを防止することができる。
【0082】
第3態様において、本願は、上記TOPCon太陽電池を製造する太陽電池の製造方法をさらに提供し、図6に示すように、製造方法は、
半導体基板に対してテクスチャリング処理を行い、半導体基板の前面に第1テクスチャ構造を形成するステップS10であって、第1テクスチャ構造がピラミッド状微構造を含んでもよく、前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9であるステップS10と、
テクスチャリング後の半導体基板の前面に対してドーピング処理を行い、ドープ層を形成するステップS20と、
アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行うことにより、半導体基板の後面に第2テクスチャ構造を形成するステップS30と、
半導体基板の後面の第2テクスチャ構造上にトンネル層を形成するステップS40と、
トンネル層の表面に多結晶シリコン層を堆積形成し、多結晶シリコン層に対してドーピング処理を行い、半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を有するドープ導電層を形成するステップS50と、
半導体基板の前面の第1テクスチャ構造上に不均一さNが4%以下である第1パッシベーション層を堆積形成するステップS60と、
ドープ導電層の表面に第2パッシベーション層を形成するステップS70と、を含む。
【0083】
上記技術案において、ピラミッド状微構造の斜辺の長さの寸法を0.4μm~1.9μmの範囲に制御することにより、ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の厚さの均一性が向上し、第1パッシベーション層のパッシベーション効果を向上させ、電池の開放電圧を高めることができ、さらに、第1パッシベーション層の均一性が向上すると、第1パッシベーション層と金属ペーストとのマッチング程度が向上し、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターを向上させ、太陽電池の変換効率を向上させる。
【0084】
以下、本技術案を具体的に説明する。
【0085】
ステップS10において、半導体基板に対してテクスチャリング処理を行い、半導体基板の前面に第1テクスチャ構造を形成し、第1テクスチャ構造がピラミッド状微構造を含み、前記ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9である。
【0086】
半導体基板は、結晶シリコン基板(シリコン基板)、例えば多結晶シリコン基板、単結晶シリコン基板、微結晶シリコン基板、又は炭化シリコン基板のうちの1種であってもよく、本願の実施例において半導体基板の具体的な種類が限定されない。いくつかの実施例において、半導体基板は、N型結晶シリコン基板(又はシリコン片)であり、半導体基板の厚さが60μm~240μmであり、具体的に、60μm、80μm、90μm、100μm、120μm、150μm、200μm又は240μm等であってもよく、ここで限定されない。半導体基板のドーピング元素は、リン、窒素などであってもよい。
【0087】
図2aに示すように、半導体基板10の前面に、ピラミッド状微構造111を含む第1テクスチャ構造11を有する。ピラミッド状微構造111は、四面体、略四面体、五面体、略五面体等の構造であってもよい。ピラミッド状微構造111は、半導体基板に対してテクスチャリングプロセスを行うことにより形成することができる。テクスチャリングプロセスの方式は、化学エッチング、レーザエッチング、機械法、プラズマエッチングなどであってもよい。前記ピラミッド状微構造によって、金属ペーストを用いてスクリーン印刷により電極を形成する時に前記微構造によりよく充填することができ、より優れた電極接触が得られ、電池の直列電気抵抗を効果的に低減し、フィルファクターを向上させることができる。
【0088】
一実施形態において、前記半導体基板に対してテクスチャリング処理を行うことは、濃度がX%の水酸化カリウム溶液と濃度がY%の過酸化水素溶液の混合溶液を用いて前記半導体基板の表面を洗浄することを含み、ただし、X%とY%の積が0.005~0.285である。
【0089】
具体的に、前記水酸化カリウム溶液の濃度をX%とすると、5≦X≦25であり、例えば、水酸化カリウム溶液の濃度が5%である場合、100gの水酸化カリウム溶液に5gの水酸化カリウムが含まれる。水酸化カリウム溶液の濃度は、具体的に、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%又は25%等であってもよい。前記過酸化水素溶液の濃度をY%とすると、7≦Y≦25であり、具体的に、7%、8%、9%、10%、12%、15%、18%、20%、22%又は25%等であってもよい。試験によって、X%とY%の積を上記範囲に制御することにより、製造されたピラミッド状微構造の均一性の向上に有利であることが確認された。なお、テクスチャリング溶液の濃度、添加剤、反応時間及び反応温度はいずれも最終的に製造されたピラミッド状微構造のサイズに影響を与える。
【0090】
N型半導体基板がN型単結晶シリコン基板である場合、水酸化カリウムと過酸化水素の混合溶液を用いてテクスチャリング処理を行うことで、水酸化カリウム溶液による腐食が異方性を有するため、ピラミッド状微構造を製造して得ることができる。
【0091】
いくつかの実施例において、図2bに示すように、前記ピラミッド状微構造111の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9であり、ピラミッド状微構造111の斜辺の長さは、具体的に、0.4μm、0.5μm、0.6μm、0.8μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.8μm又は1.9μm等であってもよい。
【0092】
ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズをAμmとすると、0.1≦A≦3である。なお、図2cに示すように、前記底部の一次元サイズAは、具体的に、底部表面の長さ、幅、対角線の長さ、円形の直径等であってもよく、ここで限定されない。いくつかの実施例において、前記一次元サイズは、基板の前面の予め設定された範囲領域内に、複数のピラミッド状微構造の底部表面の一次元サイズの平均値を指してもよい。具体的には、ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズAは、0.1μm、0.5μm、0.8μm、1.0μm、1.5μm、1.8μm、2μm、2.5μm、2.8μm又は3μm等であってもよい。
【0093】
ピラミッド状微構造の頂部から底部までの高さをBμmとすると、0.1≦B≦3であり、ピラミッド状微構造の頂部から底部までの垂直距離は、0.1μm、0.5μm、0.8μm、1.0μm、1.5μm、1.8μm、2μm、2.5μm、2.8μm又は3μm等であってもよい。
【0094】
いくつかの実施例において、前記太陽電池の第1テクスチャ構造又は第2テクスチャ構造を特徴付けるテクスチャサイズ特徴、例えばピラミッド状微構造の底部表面の一次元サイズ、ピラミッド状微構造の頂部と底部の高さを測定する場合、測定装置(光学顕微鏡、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡など)により膜層表面を直接測定することができる。例えば、ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズの測定方法は、第1テクスチャ構造において10個以上のピラミッド状微構造をランダムに選択し、測定装置でその底部の一次元サイズをそれぞれ測定し、そして複数の一次元サイズの平均値を算出し、ピラミッド状微構造111の底部の一次元サイズを取得する。第1パッシベーション層20の厚さは、形成面に対する第1パッシベーション層20の厚さを指す。以上の測定手段は、単なる例示であり、本願において限定されない。
【0095】
ステップS20において、テクスチャリング後の半導体基板の前面に対してドーピング処理を行い、ドープ層を形成する。
【0096】
具体的な実施形態において、半導体基板10がN型基板である場合、高温拡散、ペーストによるドーピング又はイオン注入のうちの何れか1種または複数種のプロセスを採用し、半導体基板の前面にP型ドープ層を形成することにより、前記半導体基板10にPN接合を形成する。
【0097】
いくつかの実施例において、前記P型ドープ層は、ホウ素ドープ拡散層である。ホウ素ドープ拡散層は、ホウ素源を用いて拡散プロセスによりホウ素原子を前面に一定の深さまで拡散させたP型ドープ層(すなわち、P+層)である。例えば、ホウ素源は、液状の三臭化ホウ素であってもよい。ホウ素拡散処理された基板の微結晶シリコン相が、多結晶シリコン相に変換される。半導体基板の表面に高い濃度のホウ素を有するため、通常、ホウケイ酸ガラス層(BSG)が形成される。
【0098】
さらに、ステップS30において、アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行う前に、前記製造方法はさらに以下のステップを含む。
【0099】
調製された混酸で半導体基板の後面のホウケイ酸ガラス層を除去し、前記混酸は、濃度が0.1%~10%のフッ化水素酸溶液、濃度が10%~20%の硫酸溶液及び25%~50%の硝酸溶液を含む。
【0100】
酸洗後の半導体基板の後面を水洗、乾燥処理する。
【0101】
理解できるように、ホウ素拡散処理時に、半導体基板の後面にも回り込む効果により一部のホウケイ酸ガラスが形成されるため、この部分のホウケイ酸ガラスを除去する必要がある。なお、酸洗後の半導体基板の後面に多孔質構造が形成される。
【0102】
具体的に、酸洗時間を10s~180sとし、酸洗温度を7℃~20℃とし、すなわち常温状態で半導体基板の後面におけるホウケイ酸ガラスを酸洗して除去し、半導体基板本体を露出させる。
【0103】
ステップS30において、アルカリ溶液を用いて半導体基板の後面に対して研磨処理を行うことにより、半導体基板の後面に第2テクスチャ構造を形成する。
【0104】
具体的に、濃度が5%~15%のアルカリ溶液を用いて半導体基板の後面を洗浄し、多孔質シリコンを除去し、
そしてスプレー方式でアルカリ溶液の微小液滴を半導体基板の後面に滴下して粗化処理を行い、さらに濃度が5%~10%のフッ化水素酸で予備洗浄を行い、
研磨液を用いて半導体基板の後面を研磨し、研磨温度を70℃~80℃とし、研磨時間を260s未満とし、ただし、研磨液は、濃度が1%~15%のNaOH、濃度が1%~15%のKOH及び濃度が0.5%~2.5%の添加剤を含む。
【0105】
濃度が5%~15%の水酸化カリウムと濃度が15%~40%の過酸化水素水との混合液を用いて、エッチング液中の有機成分を除去し、
研磨後の半導体基板を水洗し、乾燥処理する。
【0106】
いくつかの実施例において、後面研磨処理を行う場合、半導体基板の前面におけるホウケイ酸ガラス層を保護し、例えばマスクによりホウケイ酸ガラス層を保護する必要がある。
【0107】
具体的な実施例において、半導体基板の後面におけるホウ素濃度が低いため、アルカリ溶液を用いてエッチングすることにより、エッチング効率を効果的に向上させることができる。アルカリ溶液に有機塩基及び/又は無機塩基が含まれ、無機塩基は、NaOH、KOH、Ga(OH)、NH・HOであってもよく、有機塩基は、トリエチルアミン、ニトロフェノール、ピリジン、キニーネ、コルヒチン等であってもよい。研磨液中の添加剤は、スルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、アルキルグリコシド等からなる緩衝液であってもよい。
【0108】
研磨温度は、具体的に70℃、72℃、74℃、75℃、78℃、79℃、80℃等であってもよく、研磨時間は、250s、240s、230s、220s、200s、180s、160s、140s、120s、100s、80s等であってもよく、当然、上記範囲内の他の値であってもよい。
【0109】
いくつかの実施例において、半導体基板の研磨減量は、0.3g未満である。
【0110】
研磨時間と研磨温度を制御することにより、研磨後の第2テクスチャ構造におけるサブ構造の形状を調整することができ、それにより少なくとも部分的に積み重ねられた2つ又は複数の第1サブ構造のうち、前記後面から離れかつ前記後面に垂直な方向において、最外側の第1サブ構造の頂部表面とそれに隣接する第1サブ構造の頂部表面との距離が2μm以下である。
【0111】
いくつかの実施例において、熱風で半導体基板の表面を乾燥させて非ピラミッド状微構造を含む第2テクスチャ構造を形成することができる。
【0112】
ステップS40において、半導体基板の後面の第2テクスチャ構造上にトンネル層を形成する。
【0113】
いくつかの実施可能な実施形態において、オゾン酸化法、高温熱酸化法、硝酸酸化法、化学気相堆積法、低圧化学気相堆積法を用いて、半導体基板の後面をエッチングした後に処理し、トンネル層30を形成することができる。
【0114】
いくつかの実施例において、変温式プロセス及び化学気相堆積法を用いて、半導体基板の後面にトンネル層30を堆積形成する。堆積過程において、昇温速度を0.5℃/min~3℃/min、堆積温度を560℃~620℃、堆積時間を3min~10minと制御する。
【0115】
具体的に、堆積過程において、堆積温度は560℃、570℃、580℃、590℃、600℃、610℃、615℃又は620℃等であってもよく、堆積時間は3min、4min、5min、6min、7min、8min、9min又は10min等であってもよく、昇温速度は0.5℃/min、0.8℃/min、1.0℃/min、1.2℃/min、1.5℃/min、2.0℃/min、2.5℃/min又は3℃/min等であってもよく、当然、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0116】
好ましくは、低圧化学気相堆積法を用いて、半導体基板の後面にトンネル層30を堆積形成することにより、後続の高温ドーピング処理時に薄いトンネル層30の局所ドーピング濃度が高すぎるによる影響を軽減でき、開放電圧の変動を低減することができ、変温式プロセス及び低圧化学気相堆積法で堆積形成したトンネル層30により、太陽電池の開放電圧を4mV~6mV高めることができる。
【0117】
トンネル30は、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸窒化シリコン層、酸化モリブデン層、酸化ハフニウム層のうちの1種又は複数種の積層構造であってもよい。他の実施例において、トンネル層30は、酸素含有窒化シリコン層、酸素含有炭化シリコン層等であってもよい。トンネル層30の厚さは、0.8nm~2nmである。具体的に、トンネル層30の厚さは、0.8nm、0.9nm、1.0nm、1.2nm、1.4nm、1.6nm、1.8nm又は2nm等である。トンネル層30の厚さは、形成面に対するトンネル層の厚さを指す。第2テクスチャ構造上に形成されたトンネル層30の厚さは、サブ構造の斜面の法線方向を厚さ方向として、断面観察を行って算出することができる。トンネル層30の厚さが大きすぎると、トンネル層の接触抵抗の低下に不利である。トンネル層の厚さを制御することにより、接触抵抗によるフィルファクターの低下を抑制することができる。
【0118】
具体的に、トンネル層30のバンドギャップ幅が、3.0eV超であり、キャリアが一般的に熱放射によりトンネル層30を通過することが困難であるが、トンネル層30が非常に薄いため、キャリアがトンネル効果によってトンネル層30を通過することができる。そのため、厚さが0.8nm~2nmのトンネル層は、多数キャリアの輸送を阻害しない。トンネル層の厚さが徐々に増大することに伴い、多数キャリアのトンネル効果が影響を受け、キャリアが輸送されてトンネル層30を通過しにくくなり、電池の光電変換効率が徐々に低下する。トンネル層の厚さが小さすぎると、パッシベーション作用を果たすことができない。好ましくは、トンネル層30は酸化シリコン層であり、トンネル層30の厚さが0.8nm~1.5nmである。
【0119】
ステップS50において、トンネル層の表面に多結晶シリコン層を堆積形成し、多結晶シリコン層に対してドーピング処理を行い、半導体基板と同じ導電型のドープ導電層を形成する。
【0120】
いくつかの実施可能な実施形態において、物理気相堆積法、化学気相堆積法、プラズマ支援化学気相堆積法、原子層堆積法のうちのいずれかの方法により、トンネル層の表面に多結晶シリコン層を堆積形成する。化学気相堆積法は、低圧化学気相堆積法、又は常圧化学気相堆積法であってもよい。
【0121】
具体的な実施形態において、トンネル層と多結晶シリコン層の堆積、及び多結晶シリコン層へのドーピングは、いずれも低圧化学気相堆積装置で形成される。
【0122】
具体的には、該ステップは、
まず、アルカリによる研磨後の半導体基板を堆積装置に置き、20L~60Lの酸素源(例えば酸素、亜酸化窒素、オゾンであってもよい)を流し、0.5℃/min~3℃/minの昇温速度で堆積装置内の温度を560℃~620℃に加熱し、堆積時間を3min~10minとし、トンネル層30を形成するステップと、
酸素を流した後、恒温段階に入り、そして適量のシランガスを導入し、多結晶シリコン層を形成するステップと、
最後に、多結晶シリコン層に対してin-situドーピングを行い、ドープ導電層40を形成するステップと、を含む。
【0123】
いくつかの実施例において、ドープ導電層40は、ドープ多結晶シリコン層であってもよく、前記ドープ導電層40は、前記半導体基板と同じ導電型のドーピング元素を有する。
【0124】
他の実施例において、トンネル層30の表面に微結晶シリコン層又はアモルファスシリコン層を堆積形成し、in-situドーピングを行い、ドープ微結晶シリコン層又はドープアモルファスシリコン層、即ちドープ導電層40を形成することもできる。
【0125】
半導体基板10がN型単結晶シリコン基板である場合、ドープ導電層40は、N型ドープ多結晶シリコン層、N型ドープ微結晶シリコン層又はN型ドープアモルファスシリコン層であり、ドーピング元素は、リン等のN型ドーピング元素であってもよい。
【0126】
いくつかの実施例において、前記ドープ導電層40は、厚さの範囲が60nm~200nmであり、例えば、N型ドープ多結晶シリコン層の場合、前記ドープ導電層40は屈折率の範囲が3.5~4.5である。
【0127】
ステップS50の後、且つステップS60の前に、上記製造方法は、
in-situドーピングされた多結晶シリコン層を堆積した後に高温アニール処理と洗浄処理を行うことをさらに含む。
【0128】
本願実施例において、この高温アニール処理と洗浄処理の具体的な処理方式が限定されない。例えば、この高温アニール処理によって処理されるのが、堆積された多結晶シリコン層であり、これにより、多結晶シリコン層をよりよく結晶化させることができ、アニールの温度範囲が、700℃~1000℃であってもよい。
【0129】
高温アニール処理により、5価のリン原子を拡散させてドープ多結晶シリコン層を形成し、アニール処理後、結晶シリコンにおける微結晶シリコン相が多結晶シリコン相に変換し、リンが半導体基板の表面に堆積されてリンシリコンガラス(PSG)を形成する。
【0130】
洗浄処理は、リンドーピング過程中に形成したリンシリコンガラス層(PSG)を除去するためである。理解できるように、リンが拡散する時、半導体基板の表面に高い濃度のリンを含むため、通常、リンシリコンガラス層(PSG)が形成され、このリンシリコンガラス層が、金属ゲッタリング作用を有し、太陽電池の正常動作に影響を与え、除去する必要がある。
【0131】
具体的な実施例において、半導体基板の後面を下に向けるように、半導体基板をチェーン式酸洗装置(チェーン式装置のベルトの速度が1.0m/min~2.0m/minである)内に置く。半導体基板が酸槽に入り、後面にリン拡散によって形成されたリンシリコンガラス層(PSG)がエッチングにより除去される。酸槽内に調製された混酸が注入されており、混酸が質量濃度が2%~10%のフッ化水素酸溶液、及び質量濃度が2%~10%の塩酸溶液を含み、酸洗温度が15℃~25℃であり、酸洗時間が約30s~60sであり、半導体基板の前面が水膜に被覆され、半導体基板の前面のホウケイ酸ガラス層(BSG)が保護層として、リンシリコンガラス層(PSG)を除去する過程において、半導体基板の前面と混酸との反応を回避することもできる。
【0132】
なお、酸洗後に水洗が必要であり、水洗時間が10~20sであり、水洗温度が15℃~25℃であってもよく、当然ながら、水洗後に半導体基板を乾燥処理してもよい。
【0133】
ステップS60において、半導体基板の前面の第1テクスチャ構造上に不均一さNが4%以下の第1パッシベーション層を堆積形成する。
【0134】
いくつかの実施例において、プラズマ支援化学気相堆積法を用いて第1パッシベーション層20を堆積してもよく、当然ながら他の方法、例えば有機化学気相堆積法などを用いてもよい。本願の実施例において、第1パッシベーション層20の具体的な実施形態が限定されない。
【0135】
理解できるように、ピラミッド状微構造の斜辺の長さの寸法を0.4μm~1.9μmの範囲に制御することにより、第1パッシベーション層を形成するための原料ガスがピラミッド状微構造の頂部、底部及び頂部と底部との間の位置に拡散堆積する時の堆積確率が近く、ピラミッド状微構造における第1パッシベーション層の厚さの均一性が向上し、第1パッシベーション層のパッシベーション効果を向上させ、電池の開放電圧を高めることができ、さらに第1パッシベーション層の均一性が向上すると、第1パッシベーション層と金属ペーストとのマッチング程度が向上し、接触抵抗率を効果的に低下させ、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターを向上させ、太陽電池の変換効率を向上させる。
【0136】
前記第1パッシベーション層20は、積層設置された1層の誘電体層21及びK層の反射防止層22を含み、Kは2以上7以下の整数であり、それぞれの反射防止層22の屈折率は前記半導体基板との距離の増大に伴って順次低くなる。
【0137】
前記誘電体層21は、アルミニウム含有酸化物、ガリウム含有酸化物、シリコン含有酸化物、チタン含有酸化物、ハフニウム含有酸化物、ニッケル含有酸化物、白金含有酸化物、タンタル含有酸化物のうちの少なくとも1種を含む。例えば、誘電体層は、酸化アルミニウム層、酸化ガリウム層、酸化シリコン層、酸化チタン層、酸化ハフニウム層等であってもよく、ここで限定されない。
【0138】
いくつかの実施例において、前記誘電体層21の厚さの範囲は、1nm~20nmであり、具体的に、1nm、5nm、8nm、9nm、10nm、12nm、15nm、18nm又は20nm等であってもよく、当然、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0139】
反射防止層22は、ケイ素、窒素、酸素のうちの少なくとも2種類の元素からなる化合物を含む。具体的に、反射防止層は、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸窒化シリコン層からなる群より選択される少なくとも1種又は複数種の積層構造である。
【0140】
前記反射防止層の単層の厚さは、1nm~50nmであり、具体的に、1nm、5nm、10nm、20nm、30nm、35nm、40nm、45nm又は50nm等であってもよく、当然上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0141】
反射防止層22のそれぞれは、屈折率が前記半導体基板との距離の増大に伴って順次低くなる。
【0142】
前記第1パッシベーション層20の全体反射率は、1.5~2.5であり、具体的に、1.5、1.6、1.8、1.9、2.0、2.2、2.4又は2.5等であってもよく、ここで限定されず、第1パッシベーション層20の全体反射率は1.5~1.8であることが好ましい。
【0143】
前記第1パッシベーション層20の総厚さは、70nm~150nmであり、具体的に、70nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、110nm、120nm、130nm又は150nm等であってもよく、ここで限定されない。
【0144】
ステップS70において、ドープ導電層の表面に第2パッシベーション層を形成する。
【0145】
プラズマ支援化学気相堆積法を用いて第2パッシベーション層50を堆積してもよく、当然ながら他の方法、例えば有機化学気相堆積法などを用いてもよい。本願の実施例において、第2パッシベーション層50の具体的な実施形態が限定されない。
【0146】
本願の選択可能な技術案として、第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸窒化シリコン層のうちの少なくとも1種を含む。前記第2パッシベーション層50の厚さが70nm~120nmである。例えば、前記第2パッシベーション層50は、窒化シリコン層であり、前記窒化シリコン層は、シリコン/窒素の比が低く、屈折率の範囲が1.7~2.1であり、屈折率が1.7、1.8、1.9、2.0又は2.1等であってもよく、当然上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。窒化シリコン層の屈折率を制御することにより、低いシリコン/窒素の比を有させることによって、形成された第2パッシベーション層50は金属化処理時に接触抵抗率を低下させることができ、太陽電池の接触抵抗率をさらに低下させる。
【0147】
いくつかの実施例において、第2パッシベーション層50は、積層設置された窒化シリコン層と酸化シリコン層、又は積層設置された窒化シリコン層と酸窒化シリコン層である場合、窒化シリコン層がドープ導電層の表面に位置し、酸化シリコン層又は酸窒化シリコン層が窒化シリコン層の表面に位置する。
【0148】
さらに、ステップS70の後、上記製造方法は、
半導体基板に対して、スクリーン印刷を行って焼結することで電極を形成することをさらに含む。
【0149】
いくつかの実施例において、太陽電池は、第1電極60及び第2電極70をさらに含み、第1電極60は第1パッシベーション層20を貫通して半導体基板10の前面のP型ドープ層(例えば、ホウ素ドープ拡散層)とオーミック接触を形成し、第2電極70は第2パッシベーション層50を貫通してドープ導電層40とオーミック接触を形成し、ドープ導電層40とトンネル層30とはパッシベーション接触構造を構成する。前記第1電極60及び第2電極70は、第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層の表面に塗布された導電性金属ペーストを焼結することにより形成することができる。いくつかの実施例において、前記第1電極60又は第2電極70の材料として、銀、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料が挙げられる。
【0150】
以下、上記方法により太陽電池を得る実施例1~8、及び比較例1~3の具体的なプロセスパラメータは表1に示され、製造された太陽電池の試験結果は表2に示される。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
実施例1~実施例8から分かるように、半導体基板の前面の第1テクスチャ構造における第1パッシベーション層の不均一さNを望ましい範囲に制御することにより、第1パッシベーション層のパッシベーション効果を向上させ、太陽電池の開放電圧を高めることができ、さらに、第1パッシベーション層の均一性が向上すると、第1パッシベーション層と金属ペーストとのマッチング程度が向上し、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターを向上させ、太陽電池の変換効率を向上させる。
【0154】
図7に示すように、半導体基板の前面の第1テクスチャ構造におけるピラミッド状微構造の斜辺の長さの増大に伴い、太陽電池の変換効率が上昇した後に低下する傾向にある。これは、斜辺の長さが大きすぎるか又は小さすぎると、ピラミッド状微構造に形成された第1パッシベーション層の不均一さが向上するからである。好ましくは、ピラミッド状微構造の斜辺の長さが0.6μm~1.6μmである場合、光電変換効率は24.14%以上に達することができる。
【0155】
比較例1の太陽電池における第1テクスチャ構造において、ピラミッド状微構造の斜辺の長さが小さすぎるため、堆積形成された第1パッシベーション層の不均一さが向上し、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターが低下し、太陽電池の変換効率も低下する。
【0156】
比較例2及び3の太陽電池における第1テクスチャ構造において、ピラミッド状微構造の斜辺の長さが大きすぎるため、堆積形成された第1パッシベーション層の不均一さが向上し、太陽電池の短絡電流及びフィルファクターが低下し、太陽電池の変換効率も低下する。
【0157】
以上、好適な実施例を参照しながら本発明を開示したが、これらの内容は、特許請求の範囲を限定するものではない。当業者が本発明の主旨を逸脱せずに種々の可能な変更や変形を行うことができる。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に定められた範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0158】
10 半導体基板
20 第1パッシベーション層
22 反射防止層
30 トンネル層
40 ドープ導電層
50 第2パッシベーション層
60 第1電極
70 第2電極
【要約】
【課題】本発明は、太陽電池及びその製造方法、光起電力モジュールを提供する。
【解決手段】前記太陽電池は、表面に第1テクスチャ構造を有する半導体基板と、半導体基板の第1テクスチャ構造上に位置する第1パッシベーション層とを含み、第1テクスチャ構造はピラミッド状微構造を含み、ピラミッド状微構造の斜辺の長さをCμmとすると、0.4≦C≦1.9であり、第1パッシベーション層の不均一さをNとすると、Nが4%以下であり、N=(Dmax-Dmin)/Dmaxであり、ただし、Dmaxは、ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最大厚さであり、Dminは、ピラミッド状微構造上に位置する第1パッシベーション層の最小厚さである。
【選択図】図1
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7