IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニンクリーケ・ケイピーエヌ・ナムローゼ・フェンノートシャップの特許一覧 ▶ ネダーランゼ・オルガニサティ・フォーア・トゥーゲパスト−ナトゥールヴェテンシャッペリーク・オンデルゾエク・ティーエヌオーの特許一覧

特許7152585モバイル通信ネットワークにおけるマルチホップ中継
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】モバイル通信ネットワークにおけるマルチホップ中継
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/34 20090101AFI20221004BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20221004BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20221004BHJP
【FI】
H04W40/34
H04W88/04
H04W92/18
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021500580
(86)(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019068646
(87)【国際公開番号】W WO2020011907
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】18183059.7
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512287702
【氏名又は名称】コニンクリーケ・ケイピーエヌ・ナムローゼ・フェンノートシャップ
(73)【特許権者】
【識別番号】508351406
【氏名又は名称】ネダーランゼ・オルガニサティ・フォーア・トゥーゲパスト-ナトゥールヴェテンシャッペリーク・オンデルゾエク・ティーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ノープ,アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】デ・キーヴィト,サンダー
(72)【発明者】
【氏名】イーイェーエヌテマ,ヴィーガー
(72)【発明者】
【氏名】ディミトロフスキー,トーニ
【審査官】篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046405(JP,A)
【文献】特開2005-064722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1-4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継要求を送信するためのクライアントデバイス(13)であって、
少なくとも1つの受信機(3)と、
少なくとも1つの送信機(5)と、
少なくとも1つのプロセッサ(1)とを含む、クライアントデバイス(13)であり、前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、
- 前記少なくとも1つの送信機(5)を使用して、中継デバイス(14)に中継要求を送信することであって、前記中継要求が、前記クライアントデバイス(13)を識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、前記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、前記クライアントデバイス(13)を介してさらなるデバイス(12)をネットワークノードとリンクする、送信することと、
- 前記少なくとも1つの受信機(3)を使用して、前記中継デバイス(14)から前記中継要求を受理する受理メッセージを受信することと、
- 前記受理メッセージの受信に応じて、前記少なくとも1つの送信機(5)を使用して、前記1つ又は複数のリンクと関連付けられたデータを前記中継デバイス(14)に送信することと
を行うように構成される、クライアントデバイス(13)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記中継デバイスの識別子をメモリに格納されたリンクエントリの前記1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けるように構成される、請求項1に記載のクライアントデバイス(13)。
【請求項3】
中継要求を受信するための中継デバイス(14)であって、
少なくとも1つの受信機(3)と、
少なくとも1つの送信機(5)と、
少なくとも1つのプロセッサ(1)とを含む、中継デバイス(14)であり、前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、
- 前記少なくとも1つの受信機(3)を使用して、クライアントデバイス(13)から中継要求を受信することであって、前記中継要求が、前記クライアントデバイス(13)を識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、前記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、前記クライアントデバイス(13)を介してさらなるデバイス(12)をネットワークノードとリンクする、受信することと、
- 前記中継要求を受理することができるかどうかを判断することと、
- 前記第1のデバイス識別子をメモリ(9)に格納されたリンクエントリの前記1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けることと、
- 前記中継要求を受理することができると判断次第、前記少なくとも1つの送信機(5)を使用して、前記中継要求を受理する受理メッセージを前記クライアントデバイス(13)に送信することと
を行うように構成される、中継デバイス(14)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、
- 前記少なくとも1つの受信機(3)を使用して、個々のリンク識別子を含むデータを受信することと、
- 前記メモリ(9)に格納された前記リンクエントリから前記個々のリンク識別子と関連付けられたデバイス識別子を決定することと、
- 前記少なくとも1つの送信機(5)を使用して、前記決定されたデバイス識別子で識別したデバイス(13)に前記データを送信することと
を行うように構成される、請求項3に記載の中継デバイス(14)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、前記中継要求が受理されることになった場合に中継ループが確立されることになるかどうかを判断するために、前記受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子及び前記メモリ(9)に格納された前記リンクエントリを使用することによって、前記中継要求を受理することができるかどうかを判断するように構成される、請求項3又は4に記載の中継デバイス(14)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、前記受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子の少なくとも1つが、前記リンク識別子によって識別されたリンクが前記中継デバイス(14)で終端することを示す情報と関連付けられた場合は、前記中継要求を受理することができないと判断するように構成される、請求項5に記載の中継デバイス(14)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、1つ又は複数の第2の中継要求を第2の中継デバイス(14)及び/又はモバイル通信ネットワーク(19)に送信するように構成され、前記1つ又は複数の第2の中継要求が、前記中継デバイス(14)を識別する第2のデバイス識別子、及び、1つ又は複数の第2のリンク識別子を含み、前記1つ又は複数の第2のリンク識別子が、前記受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子の少なくとも1つを含む、請求項6に記載の中継デバイス(14)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、前記リンクエントリのうちの1つ又は複数において、中継要求が保留中であることを示すように構成され、前記1つ又は複数のリンクエントリが、前記1つ又は複数の第2のリンク識別子と関連付けられる、請求項7に記載の中継デバイス(14)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、
- 前記少なくとも1つの受信機(3)を使用して、前記クライアントデバイス又はさらなるクライアントデバイスから第3の中継要求を受信することであって、前記第3の中継要求が、第3のデバイス識別子、及び、1つ又は複数の第3のリンク識別子を含む、受信することと、
- 前記第3のリンク識別子の少なくとも1つが保留中の中継要求を有するものとして示された場合は、前記中継要求を受理することができないと判断することと
を行うように構成される、請求項8に記載の中継デバイス(14)
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、
- 前記第1のリンク識別子の少なくとも1つが、前記メモリ(9)に格納された前記リンクエントリに含まれていないかどうかを判断することと、
- 前記第1のリンク識別子の少なくとも1つが前記リンクエントリに含まれていない場合は、1つ又は複数の第2の中継要求を第2の中継デバイス(14)及び/又はモバイル通信ネットワーク(19)に送信することであって、前記1つ又は複数の第2の中継要求が、前記中継デバイス(14)を識別する第2のデバイス識別子、及び、前記少なくとも1つの第1のリンク識別子を含む、送信することと
を行うように構成される、請求項3~9のいずれか一項に記載の中継デバイス(14)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサ(1)が、前記リンクエントリに含まれる前記1つ又は複数の第1のリンク識別子を含む中継要求を送信することなく、前記リンクエントリに含まれる前記第1のリンク識別子のうちの1つ又は複数を前記第1のデバイス識別子と関連付けるように構成される、請求項10に記載の中継デバイス(14)。
【請求項12】
中継要求を送信するための方法であって、
- 中継デバイスに中継要求を送信すること(41)であって、前記中継要求が、クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、前記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、前記クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする、送信すること(41)と、
- 前記中継デバイスから前記中継要求を受理する受理メッセージを受信すること(43)と、
- 前記受理メッセージの受信に応じて、前記1つ又は複数のリンクと関連付けられたデータを前記中継デバイスに送信すること(45)と
を含む、方法。
【請求項13】
中継要求を受信するための方法であって、
- クライアントデバイスから中継要求を受信すること(51)であって、前記中継要求が、前記クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、前記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、前記クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする、受信すること(51)と、
- 前記中継要求を受理することができるかどうかを判断すること(53)と、
- 前記第1のデバイス識別子をリンクエントリの前記1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けること(55)と、
- 前記中継要求を受理することができると判断次第、前記中継要求を受理する受理メッセージを前記クライアントデバイスに送信すること(57)と
を含む、方法。
【請求項14】
- 個々のリンク識別子を含むデータを受信することと、
- 前記リンクエントリから前記個々のリンク識別子と関連付けられたデバイス識別子を決定することと、
- 前記決定されたデバイス識別子で識別したデバイスに前記データを送信することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのソフトウェアコード部分を含むコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム一式あって、前記ソフトウェアコード部分が、コンピュータシステム上で起動されると、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム一
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継要求を送信するためのクライアントデバイスと、中継要求を受信するための中継デバイスとに関する。
【0002】
さらに、本発明は、中継要求を送信するための方法と、中継要求を受信するための方法とに関する。
【0003】
また、本発明は、コンピュータシステムによるそのような方法の実行を可能にするコンピュータプログラム製品にも関する。
【背景技術】
【0004】
インターネットに接続できるデバイスの数は、特に、日常品がネットワーク接続性を備えることを受けて、膨大に増えると予想される。ユーザがインターネット接続デバイスを介して通信するのみならず、デバイスもまた、インターネット上で他のデバイスにデータ(例えば、センサデータ又はマップ)を送信する(マシン同士の通信)。2020年までには、500億ものデバイスが接続されると推定される。従って、産業努力や投資がこの分野に向かうことは驚くには当たらない。モバイルデバイス(例えば、携帯電話、タブレット、着用可能デバイス、ワイヤレス接続センサ及びアクチュエータ、家庭用電子デバイス並びに車両に埋め込まれるデバイス)のカテゴリは、インターネットに接続できるデバイスの重要なカテゴリである。電力消費を低減するため、特定のデバイス(例えば、着用可能デバイス)のデータを他のデバイス(例えば、スマートフォン)を介して中継することが有利である。
【0005】
近接サービス(ProSe;3GPP TS 23.303)は、互いに近接するユーザ機器(UE)間での発見及び通信を行うためにLTEモバイルネットワークで使用されるサービスグループの名称である。近接サービスは、PC5と呼ばれるインタフェースを介して2つのUE間における直接接続の確立を可能にする3GPPによって開発されたメカニズムである。
【0006】
モバイル通信ネットワークでは、リンク/ベアラ(例えば、PDPコンテキスト、EPSベアラ、PDUセッション、無線アクセスベアラ(RAB、e-RAB)、IPフロー、信号伝達コンテキスト)がユーザデータの論理接続として使用される。暗号化やQoSのような態様は、これらのベアラと関連付けることができる。中継においては、終端間暗号化(UEからeNB又はS-GWまで)が維持されることが重要である。層2(データリンク層)中継が好ましいが、その理由は、これにより、中継UEによる中継中のユーザデータの傍受が回避されるためである。また、中継UEは、中継中の異なるベアラに対する必要なQoSを決定することができる必要があり得る。これは、中継UEがリンクの可視性を必要とすることを含意する。層2中継の追加の利点は、モバイルネットワーク(eNB、S-GW)における接続管理及び移動性がベアラのセットアップ及び引き渡しに基づいて機能することである。中継を介して接続される各UEがそれ自体のベアラを未だ有している場合は、これらのUEは、依然として、コアネットワークにおいて、eNBに直接接続されたUEと同様に対処することができる。層2のProSe中継については、TR 23.733(“Study on Architecture Enhancements to ProSe UE-to-Network Relay”)において説明されている。
【0007】
シングルホップ中継の典型的な事例では、パーソナルエリアネットワークを形成する複数のUEが存在し、中継として使用することができるスマートフォンはたった1つしか存在しない場合が多い。第1の中継シナリオでは、複数のUEを持つ人物が列車に飛び乗る。シングルホップの事例では、スマートフォンを介して中継するセンサの存在により、スマートフォンは、列車によって提供される中継を使用できないため、問題が生じる。従って、マルチホップ中継を実施することが有益である。マルチホップの事例では、スマートフォンは、単に、列車によって提供される中継を使用し始めるだけでよく、センサは、センサ自体の構成に応じて、スマートフォンを使用し続けることも、切り替えることもできる。
【0008】
別の中継シナリオでは、センサは、地下室(例えば、ネットワークサービス対象外に非常に限定される)に配置されている場合がある。条件に応じて、センサは、別のUEを通じて中継する場合があり、別のUEは、ネットワークに達するために、それ自体が、さらなる別のUE、またさらなる別のUEだが中継する場合がある。
【0009】
さらなる別の中継シナリオでは、工場の生産ラインにおいて、大多数のセンサ及びアクチュエータが配備される。大量の鋼材を有する工場の動的な無線環境により、基地局へのセンサ及びアクチュエータの直接接続が難しい。1つのアクチュエータは、ネットワークに達するように通信を中継するために、一連の他のセンサ及びアクチュエータを使用することができる。工場の無線環境が変わる(例えば、新しいマシンが配置される又は車両が工場の至る所を移動する)際、ネットワークに達するためにそのアクチュエータが使用する一連のアクチュエータ及びセンサを動的に再構成することができる。
【0010】
さらなる別の中継シナリオでは、例えば、家又はオフィスに配備されたUEは、ミリ波周波数帯域の無線通信を使用している。これらの周波数帯域は、例えば、57~71GHzの範囲の無認可周波数帯域又は24~28GHzの範囲の認可周波数帯域であり得る。これらのミリ波周波数帯域は、非常に高い容量を提供するという利点があるが、壁、人物、家具又は他の障害物によって容易に遮断されるという欠点を有する。家及びオフィスは一般に多くのデバイス(携帯電話、テレビ、コンピュータ、プリンタ、家庭用電子デバイス、センサ)を収容するため、これらのデバイスは共に、eNBとの直接的な無線リンクを確立できないデバイスに対するワイヤレス接続性を提供する一連の中継を動的に形成することができる。
【0011】
この時点では、ProSeは、マルチホップ中継を提供しておらず、マルチホップ中継のための既存の技法は、軽率に層2のProSe中継と共に使用することはできない。マルチホップ層2中継の複雑性に対処するための最も明らかな方法は、中継を利用する及び/又は中継として動作するUEのネットワークを決定及びセットアップするための中央エンティティの使用を伴う。しかし、一連の中継デバイスがかなり動的である場合(それは、実際にそうである可能性が高い)は、これは、スケーラブルなソリューションではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の目的は、分散型のマルチホップ層2中継をセットアップする上で役立つクライアントデバイスを提供することである。
【0013】
本発明の第2の目的は、分散型のマルチホップ層2中継をセットアップする上で役立つ中継デバイスを提供することである。
【0014】
本発明の第3の目的は、分散型のマルチホップ層2中継をセットアップする上で役立つ、中継要求を送信するための方法を提供することである。
【0015】
本発明の第4の目的は、分散型のマルチホップ層2中継をセットアップする上で役立つ、中継要求を受信するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、第1の目的は、クライアントデバイスが、少なくとも1つの受信機と、少なくとも1つの送信機と、少なくとも1つのプロセッサとを含み、少なくとも1つのプロセッサが、上記少なくとも1つの送信機を使用して、中継デバイスに中継要求を送信することであって、上記中継要求が、上記クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、上記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、上記クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする、送信することと、上記少なくとも1つの受信機を使用して、上記中継デバイスから上記中継要求を受理する受理メッセージを受信することと、上記受理メッセージの受信に応じて、上記少なくとも1つの送信機を使用して、上記1つ又は複数のリンクと関連付けられたデータを上記中継デバイスに送信することとを行うように構成されるという点で実現される。クライアントデバイスは、中継要求に対するクライアントであるが、さらなるデバイスをネットワークノードとリンクするリンクに対する中継(デバイス)として動作する。
【0017】
上記1つ又は複数のリンクの別のものは、上記クライアントデバイスをネットワークノード(同じネットワークノード又は異なるネットワークノード)とリンクすることができる。クライアントデバイスがすべてのそのリンクを中継する必要はなく、クライアントデバイスは、異なる中継デバイスを介して異なるリンクを中継することができる。前者の例として、クライアントデバイスは、広帯域幅リンク(例えば、WB-IoT)を基地局又はWi-Fi(IEEE802.11)ネットワークに直接送信することができる。例えば、クライアントデバイス自体のリンクが広帯域幅リンクであること及び/又はクライアントデバイスがさらなるデバイスのために中継するリンクが広帯域幅リンクであることが可能である。また、その逆も起こり得る。より低いデータレートを有するリンクは、直接接続が可能なさらに低い周波数帯域で送信することができる。リンクのデータレートが高いほど、必要な容量も大きくなり、大きな容量は、基地局への直接接続が常に実現可能であるとは限らないさらに高い周波数でしか利用可能ではない。その上、一部のリンクに対しては、モバイルネットワークに属する基地局の認可周波数を使用することが望ましい一方で、他のリンクに対しては、ローカルエリアネットワークに接続された住居用ゲートウェイの無認可周波数を使用することが可能であり得る。
【0018】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記中継デバイスの識別子をメモリに格納されたリンクエントリの上記1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けるように構成することができる。これにより、クライアントデバイスは、データに含まれる個々のリンク識別子に基づいて、さらなるデバイスから受信されたデータをどのアップリンクデバイス(中継デバイス又は基地局)に中継又は送信するかを決定することができる。
【0019】
本発明によれば、第2の目的は、中継デバイスが、少なくとも1つの受信機と、少なくとも1つの送信機と、少なくとも1つのプロセッサとを含み、少なくとも1つのプロセッサが、上記少なくとも1つの受信機を使用して、クライアントデバイスから中継要求を受信することであって、上記中継要求が、上記クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、上記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、上記クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする、受信することと、上記中継要求を受理することができるかどうかを判断することと、上記第1のデバイス識別子をメモリに格納されたリンクエントリの上記1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けることと、上記中継要求を受理することができると判断次第、上記少なくとも1つの送信機を使用して、上記中継要求を受理する受理メッセージを上記クライアントデバイスに送信することとを行うように構成されるという点で実現される。
【0020】
本発明人は、分散型のマルチホップ層2中継をセットアップするために、別のUE(中継デバイス)を介してデータを中継することを望むUE(クライアントデバイス)が、このUE自体が中継として動作している場合であっても、中継要求を送信すべきであることを認識している。中継要求を受理するか否かを各中継デバイスに個別に決定させることにより、リンクがループで中継される環状中継を分散して回避することができる。可能な限り、一連の中継UEの変化による影響を受けるそれらのUEにのみ更新の範囲を限定することにより、スケーラブルなソリューションが得られる。
【0021】
中継デバイスがこの決定を行えるようにするため、中継要求は、要求者が中継デバイスによる中継を望むリンクを識別すべきである。中継デバイスは、ダウンリンク及び/又はアップリンクルーティングを実行できるようにするために、ダウンリンクノード(UE)のアイデンティティ及び/又はアップリンクノード(UE若しくは基地局)のアイデンティティをリンク(識別子)別に維持する。この情報は、中継要求が中継デバイスによって受理された場合に更新され、中継要求が中継デバイスによって受信された場合にさらに更新することができる。後者は、図の説明において解説されるように、特定のタイプのループ検出に対して使用することができる。
【0022】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記少なくとも1つの受信機を使用して、モバイル通信ネットワークからデータを受信することであって、上記データが、個々のリンク識別子を含む、受信することと、上記メモリに格納された上記リンクエントリから上記個々のリンク識別子と関連付けられたデバイス識別子を決定することと、上記少なくとも1つの送信機を使用して、上記決定されたデバイス識別子で識別したデバイスに上記データを送信することとを行うように構成することができる。この方法では、リンクエントリは、モバイル通信ネットワークから次のホップダウンリンクノードにデータをルーティングするために使用される。データは、モバイル通信ネットワークから1つ又は複数の中継デバイスを介して受信することができる。
【0023】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記中継要求が受理されることになった場合に中継ループが確立されることになるかどうかを判断するために、上記受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子及び上記メモリに格納された上記リンクエントリを使用することによって、上記中継要求を受理することができるかどうかを判断するように構成することができる。これにより、中継ループ(すなわち、中継デバイスが中継サークルに捕らわれること)の検出及び防止が可能になる。この中継ループは、UE1の代わりにUE2が中継することをUE1が要求し、UE2の代わりにUE3が中継することをUE2が要求し、これを受けて、UE3の代わりにUE1が中継することが求められる際に起こり得る。
【0024】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子の少なくとも1つが、上記リンク識別子によって識別されたリンクが上記中継デバイスで終端することを示す情報と関連付けられた場合は、上記中継要求を受理することができないと判断するように構成することができる。この情報は、第1の様式でのループ検出を可能にする。この中継要求の受理は、中継ループをもたらすことになる。この第1の様式のループ検出は、その中継要求においてクライアントデバイスがクライアントデバイスで終端するリンクを常に含む場合は、すべての潜在的な中継ループに対して機能するはずである。
【0025】
上記少なくとも1つのプロセッサは、1つ又は複数の第2の中継要求を第2の中継デバイス及び/又はモバイル通信ネットワークに送信するように構成することができ、上記1つ又は複数の第2の中継要求は、上記中継デバイスを識別する第2のデバイス識別子、及び、1つ又は複数の第2のリンク識別子を含み、上記1つ又は複数の第2のリンク識別子は、上記受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子の少なくとも1つを含む。これにより、中継デバイスは、中継要求を受理することができるかどうかの決定に関する情報を得ることができる。第2の中継要求は、受信された1つ若しくは複数の第1のリンク識別子のすべて又はそのサブセット(例えば、格納されたリンクエントリに未だ存在しないもののみ)に対して送信することができる。少なくとも1つのプロセッサは、クライアントデバイスから中継要求を受信した後に、第2の中継デバイスへの第2の中継要求の送信を開始する。
【0026】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記リンクエントリのうちの1つ又は複数において、中継要求が保留中であることを示すように構成することができ、上記1つ又は複数のリンクエントリは、上記1つ又は複数の第2のリンク識別子と関連付けられる。この情報は、第2の様式でのループ検出を可能にする。例えば、表示は、第2の中継要求が送信される際に格納することができる。
【0027】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記少なくとも1つの受信機を使用して、上記クライアントデバイス又はさらなるクライアントデバイスから第3の中継要求を受信することであって、上記第3の中継要求が、第3のデバイス識別子、及び、1つ又は複数の第3のリンク識別子を含む、受信することと、上記第3のリンク識別子の少なくとも1つが保留中の中継要求を有するものとして示された場合は、上記中継要求を受理することができないと判断することとを行うように構成することができる。この第2の様式のループ検出は、受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子のすべてが第2の中継要求(例えば、同じ第2の中継要求又は異なる第2の中継要求)に含まれる場合は、すべての潜在的な中継ループに対して機能するはずである。第1の中継要求と同様に、第3の中継要求は、中継デバイスによって受信される中継要求である(第2の中継要求は、中継デバイスによって送信される)。中継デバイスが第2の要求を送信したことを受けて、第3の中継要求が中継デバイスによって受信された場合は、第3の中継要求の受理は、ループを招くことになる。これは、好ましくは、一般的な意味で、中継デバイスにおいて(すなわち、それら自体はデータを中継しないデバイスからデータを中継する中継デバイスにおいても)実施される。
【0028】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記第1のリンク識別子の少なくとも1つが、上記メモリに格納された上記リンクエントリに含まれていないかどうかを判断することと、上記第1のリンク識別子の少なくとも1つが上記リンクエントリに含まれていない場合は、1つ又は複数の第2の中継要求を第2の中継デバイス及び/又はモバイル通信ネットワークに送信することであって、上記1つ又は複数の第2の中継要求が、上記中継デバイスを識別する第2のデバイス識別子、及び、上記少なくとも1つの第1のリンク識別子を含む、送信することとを行うように構成することができる。リンク識別子がリンクエントリに含まれていない場合は、このリンク識別子に対するアップリンクを確立する必要がある。このアップリンクは、基地局(例えば、eNodeB)へのものである必要はなく、第2の中継デバイスへのものであってもよい。複数のリンクを中継するように第2の中継デバイスに要求すると決定された場合は、これは、好ましくは、単一の中継要求で実行されるが、複数の中継要求で実行することもできる。
【0029】
上記少なくとも1つのプロセッサは、上記リンクエントリに含まれる上記1つ又は複数の第1のリンク識別子を含む中継要求を送信することなく、上記リンクエントリに含まれる上記第1のリンク識別子のうちの1つ又は複数を上記第1のデバイス識別子と関連付けるように構成することができる。リンクエントリに含まれる第1のリンク識別子に対し、ダウンリンククライアントデバイス(UE)が変わった際、既存のアップリンク中継デバイス(UE)及び既存の層1ベアラを使用し続けることができる。ダウンリンククライアントデバイスは、典型的には、現在のダウンリンククライアントデバイスが別の中継デバイスにリンクを中継するように求めるが、この他の中継デバイスが中継デバイスにリンクを中継するように要求した際に変わるか、又は、現在のダウンリンククライアントデバイスがさらなるデバイスのためにリンクを中継しており、このさらなるデバイスが、中継デバイスを介してリンクを直接中継するように要求し、それにより、中継デバイスがこのリンクに対する新しいダウンリンククライアントデバイスになった際に変わる。この事例では、これらの第1のリンク識別子に対する第2の中継要求を既存のアップリンク中継デバイスに送信する必要はない可能性がある。
【0030】
本発明によれば、第3の目的は、中継要求を送信するための方法が、中継デバイスに中継要求を送信することであって、上記中継要求が、上記クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、上記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、上記クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする、送信することと、上記中継デバイスから上記中継要求を受理する受理メッセージを受信することと、上記受理メッセージの受信に応じて、上記1つ又は複数のリンクと関連付けられたデータを上記中継デバイスに送信することとを含むという点で実現される。上記方法は、プログラマブルデバイス上で起動しているソフトウェアによって実行することができる。このソフトウェアは、コンピュータプログラム製品として提供することができる。
【0031】
本発明によれば、第4の目的は、中継要求を受信するための方法が、クライアントデバイスから中継要求を受信することであって、上記中継要求が、上記クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、上記1つ又は複数のリンクの少なくとも1つが、上記クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする、受信することと、上記中継要求を受理することができるかどうかを判断することと、上記第1のデバイス識別子をリンクエントリの上記1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けることと、上記中継要求を受理することができると判断次第、上記中継要求を受理する受理メッセージを上記クライアントデバイスに送信することとを含むという点で実現される。上記方法は、プログラマブルデバイス上で起動しているソフトウェアによって実行することができる。このソフトウェアは、コンピュータプログラム製品として提供することができる。
【0032】
本発明の別の態様では、中継デバイスは、少なくとも1つの受信機と、少なくとも1つの送信機と、少なくとも1つのプロセッサとを含み、少なくとも1つのプロセッサは、上記少なくとも1つの受信機を使用して、個々のリンク識別子を含むデータを受信することと、メモリに格納されたリンクエントリから上記個々のリンク識別子と関連付けられたデバイス識別子を決定することであって、上記リンクエントリが、デバイス識別子をリンク識別子と関連付ける、決定することと、上記少なくとも1つの送信機を使用して、上記決定されたデバイス識別子で識別したデバイスに上記データを送信することとを行うように構成される。データは、1つ又は複数のさらなる中継デバイスを介して受信することができる。デバイス識別子は、次のホップダウンリンクノードを識別する。
【0033】
本発明の別の態様では、データをルーティングするための方法は、個々のリンク識別子を含むデータを受信することと、メモリに格納されたリンクエントリから上記個々のリンク識別子と関連付けられたデバイス識別子を決定することであって、上記リンクエントリが、デバイス識別子をリンク識別子と関連付ける、決定することと、上記決定されたデバイス識別子で識別したデバイスに上記データを送信することとを含む。上記方法は、プログラマブルデバイス上で起動しているソフトウェアによって実行することができる。このソフトウェアは、コンピュータプログラム製品として提供することができる。
【0034】
その上、本明細書で説明される方法を実行するためのコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータプログラムは、例えば、既存のデバイスによってダウンロードすること又は既存のデバイスにアップロードすることも、これらのシステムの製造時に格納することもできる。
【0035】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも第1のソフトウェアコード部分を格納し、第1のソフトウェアコード部分は、コンピュータによって実行されるか又は処理されると、クライアント情報を送信することであって、第1の通信ネットワークの第1のネットワークデバイスからサービス情報を受信することを含む、送信することと、上記サービス情報から期間を決定することであって、上記期間が、上記クライアントデバイスが第2の通信ネットワークの第2のネットワークデバイスからの送信の受信に対していつ利用不可能かを示す、決定することと、クライアント情報を上記第2のネットワークデバイスに送信することであって、上記クライアント情報が、上記期間を識別する、送信することとを含む実行可能な動作を実行するように構成される。
【0036】
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、少なくとも第2のソフトウェアコード部分を格納し、第2のソフトウェアコード部分は、コンピュータによって実行されるか又は処理されると、クライアントデバイスからクライアント情報を受信することであって、上記クライアント情報が、期間を識別する、受信することと、上記クライアント情報から除外期間を決定することと、上記クライアントデバイスへのデータ単位の送信を準備することと、上記除外期間外の時間における上記データ単位の送信をスケジューリングすることと、上記スケジューリングした時間に上記クライアントデバイスに上記データ単位を送信することとを含む実行可能な動作を実行するように構成される。
【0037】
当業者によって理解されるように、本発明の態様は、デバイス、方法又はコンピュータプログラム製品として具体化することができる。それに従って、本発明の態様は、完全なハードウェア実施形態、完全なソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)又はソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせた実施形態(それらはすべて、本明細書では一般に、「回路」、「モジュール」若しくは「システム」と呼ぶことができる)の形態を取ることができる。この開示で説明される機能は、コンピュータのプロセッサ/マイクロプロセッサによって実行されるアルゴリズムとして実装することができる。その上、本発明の態様は、コンピュータ可読プログラムコードが具体化された(例えば、格納された)1つ又は複数のコンピュータ可読媒体において具体化されるコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0038】
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体のいかなる組合せも利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線若しくは半導体システム、装置若しくはデバイス又は前述の任意の適切な組合せであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は、これらに限定されないが、1つ又は複数のワイヤを備える電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去型プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM若しくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置又は前述の任意の適切な組合せを含み得る。本発明の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって又は命令実行システム、装置若しくはデバイスと関連付けて使用するためのプログラムを含むか又は格納することができるいかなる有形媒体でもあり得る。
【0039】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ベースバンドにおける又は搬送波の一部としての、コンピュータ可読プログラムコードが具体化された伝播データ信号を含み得る。そのような伝播信号は、様々な形態のいずれかを取ることができ、これらに限定されないが、電磁、光学又はそれらの任意の適切な組合せを含む。コンピュータ可読信号媒体は、いかなるコンピュータ可読媒体でもあり得るが、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって又は命令実行システム、装置若しくはデバイスと関連付けて使用するためのプログラムを伝達、伝播又は輸送することができるものである。
【0040】
コンピュータ可読媒体上で具体化されたプログラムコードは、適切ないかなる媒体をも使用して送信することができ、これらに限定されないが、ワイヤレス、ワイヤライン、光ファイバ、ケーブル、RFなど又は前述の任意の適切な組合せを含む。本発明の態様に対する動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語(Java(商標)、Smalltalk、C++又は同様のものなど)及び従来の手続き型プログラミング言語(「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語など)を含む1つ又は複数のプログラミング言語のいかなる組合せでも記載することができる。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で完全に、ユーザのコンピュータ上で部分的に(スタンドアロンソフトウェアパッケージとして)、ユーザのコンピュータ上で部分的に且つリモートコンピュータ上で部分的に、又は、リモートコンピュータ若しくはサーバ上で完全に実行することができる。後者のシナリオでは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてリモートコンピュータをユーザのコンピュータに接続することも、外部のコンピュータとの接続を行うこともできる(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを通じて)。
【0041】
本発明の態様は、本発明の実施形態による、方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図解及び/又はブロック図を参照して以下で説明する。フローチャート図解及び/又はブロック図の各ブロック並びフローチャート図解及び/又はブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実装できることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ(具体的には、マイクロプロセッサ又は中央処理装置(CPU))に提供することができ、その結果、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置又は他のデバイスのプロセッサを介して実行する命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定される機能/行為を実装するための手段を生み出す。
【0042】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、特定の様式で機能するように、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置又は他のデバイスに指示することができるコンピュータ可読媒体に格納することもでき、その結果、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定される機能/行為を実装する命令を含む製造品を生成する。
【0043】
また、コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能な装置又は他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置又は他のデバイスにロードすることもでき、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で実行する命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで指定される機能/行為を実装するためのプロセスを提供する。
【0044】
図のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態による、デバイス、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能及び動作を示す。この点に関し、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント又はコードの一部分を表し得、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含む。また、いくつかの代替の実装形態では、ブロックに記述される機能は、図に記述される順番以外で起こり得ることにも留意すべきである。例えば、実際には、関与する機能に応じて、相次いで示される2つのブロックを実質的に同時に実行することも、場合によってはそれらのブロックを逆の順番で実行することもできる。また、ブロック図及び/又はフローチャート図解の各ブロック並びにブロック図及び/又はフローチャート図解のブロックの組合せは、指定された機能若しくは行為を実行する専用ハードウェアベースシステムによって又は専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実装できることにも留意されたい。
【0045】
本発明のこれらの及び他の態様は、から明らかであり、図面を参照すると、例として、さらに解明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明のクライアントデバイスの実施形態及び本発明の中継デバイスの実施形態を描写する。
図2】本発明の方法の第1の実施形態のフロー図である。
図3】第1の時点における図1のモバイルデバイスの状態を示す上で役立つ。
図4】本発明の方法の第2の実施形態における、図3の第1の時点と図5の第2の時点との間で実行されたステップを描写するフロー図である。
図5】第2の時点における図1のモバイルデバイスの状態を示す上で役立つ。
図6図5の第2の時点と図7の第3の時点との間で実行されたステップを描写するフロー図である。
図7】第3の時点における図1のモバイルデバイスの状態を示す上で役立つ。
図8図7の第3の時点と図9の第4の時点との間で実行されたステップを描写するフロー図である。
図9】第4の時点における図1のモバイルデバイスの状態を示す上で役立つ。
図10図9の第4の時点と図11の第5の時点との間で実行されたステップを描写するフロー図である。
図11】第5の時点における図1のモバイルデバイスの状態を示す上で役立つ。
図12図11の第5の時点と図13の第6の時点との間で実行されたステップを描写するフロー図である。
図13】第6の時点における図1のモバイルデバイスの状態を示す上で役立つ。
図14図13の第6の時点と図15の第7の時点との間で実行されたステップを描写するフロー図である。
図15】第7の時点における図1のモバイルデバイスの状態を示す上で役立つ。
図16】本発明の方法の第3の実施形態における、中継要求が拒否されているステップを描写するフロー図である。
図17図16の第1のステップを示す上で役立つ。
図18図16の第2のステップを示す上で役立つ。
図19図16の第3のステップを示す上で役立つ。
図20】本発明の方法の第4の実施形態において使用される制御プレーンプロトコルスタックを描写する。
図21】本発明の方法の第4の実施形態において使用されるユーザプレーンプロトコルスタックを描写する。
図22】本発明のデバイス及びシステムの実施形態において使用される例示的なセルラ通信システムのブロック図である。
図23】本発明の方法を実行するための例示的なデータ処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図面の対応する要素は、同じ参照番号によって示される。
【0048】
本発明のクライアント及び中継デバイスの第1の実施形態は、図1に示されている。図1には、4つのモバイルデバイス11~14(UE1~UE4)が表されている。図1の実施形態では、モバイルデバイス11~14の各々は、本発明のクライアントデバイスとして、本発明の中継デバイスとして又はその両方として動作することができる。図1で描写される例では、モバイルデバイス13(UE3)は、本発明のクライアントデバイスとして動作し、モバイルデバイス14(UE4)は、本発明の中継デバイスとして動作する。モバイルデバイス13と同様に、モバイルデバイス11及び12もまた、それらのデータを中継させており、一般的な意味で、クライアントデバイスと見なすことができる。モバイルデバイス14と同様に、モバイルデバイス13もまた、データを中継しており、一般的な意味で、それ自体を中継デバイスと見なすことができる。図1の実施形態では、モバイルデバイス11~14の各々は、プロセッサ1、受信機3、送信機5及びメモリ9を含む。
【0049】
モバイルデバイスが本発明のクライアントデバイスとして動作できるようにするため、プロセッサ1は、送信機5を使用して、中継デバイスに中継要求を送信することであって、中継要求が、クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、1つ又は複数のリンクが、少なくとも、クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする、送信することと、受信機3を使用して、中継デバイスから中継要求を受理する受理メッセージを受信することと、受理メッセージの受信に応じて、送信機5を使用して、1つ又は複数のリンクと関連付けられたデータを中継デバイスに送信することとを行うように構成される。図1の実施形態では、プロセッサ1は、中継デバイスの識別子をメモリ9に格納されたリンクエントリの1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けるようにさらに構成される。
【0050】
図1の例では、モバイルデバイス13は、モバイルデバイス14に中継要求を送信し、この中継要求は、少なくとも、モバイルデバイス12とネットワークノードとの間のリンクを識別する。このネットワークノードは、基地局19又はモバイル通信ネットワークの別のデバイスであり得る。例えば、基地局19は、LTE eNodeB又は5G gNodeBであり得、モバイルデバイス11~14は、LTE又は5G UEであり得る。
【0051】
モバイルデバイスが本発明の中継デバイスとして動作できるようにするため、プロセッサ1は、受信機3を使用して、クライアントデバイスから中継要求を受信することと、中継要求を受理することができるかどうかを判断することと、第1のデバイス識別子をメモリ9に格納されたリンクエントリの1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付けることと、中継要求を受理することができると判断次第、送信機5を使用して、中継要求を受理する受理メッセージ(例えば、「受理」というフラグが1に設定された中継応答メッセージ)をクライアントデバイスに送信することとを行うように構成される。
【0052】
図1の実施形態では、モバイルデバイスの各々のプロセッサ1は、受信機3を使用して、基地局19から個々のリンク識別子を含むデータを受信することと、メモリ9に格納されたリンクエントリから個々のリンク識別子と関連付けられたデバイス識別子を決定することと、送信機5を使用して、決定されたデバイス識別子で識別したデバイスにデータを送信することとを行うようにさらに構成される。言い換えれば、データを中継するモバイルデバイスは、モバイル通信ネットワークから受信されたデータのリンク識別子を使用して、受信データを中継すべきダウンリンクモバイルデバイスを識別する。図1の例では、モバイルデバイス14によって受信されたデータは、リンクエントリにおいて、モバイルデバイス11、モバイルデバイス13又はそれ自体と関連付けられた個々のリンク識別子を含み得る。
【0053】
図1の実施形態では、モバイルデバイスの各々のプロセッサ1は、中継要求が受理されることになった場合に中継ループが確立されることになるかどうかを判断するために、受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子及びメモリ9に格納されたリンクエントリを使用することによって、中継要求を受理することができるかどうかを判断するようにさらに構成される。これについては、後に説明において解説する。
【0054】
中継要求は、例えば、中継要求(<要求者のデバイス識別子>,<リンク1の識別子>,<リンク2の識別子>,…)の形態を有し得る。表は、例えば、各リンク識別子をダウンリンクデバイス識別子及びアップリンクデバイス識別子と関連付けることができ、例えば、以下の形態を有し得る。
【0055】
【表1】
【0056】
各モバイルデバイスは、典型的には、ネットワークのノード(例えば、NodeB、eNodeB、gNb、S-GW、P-GW、UPF、MME、AMF、SMF)との1つ又は複数の(論理)リンク(例えば、PDPコンテキスト、EPSベアラ、信号伝達コンテキスト、PDUセッション、IPフロー又は無線アクセスベアラ(RAB、e-RAB))を有する。例えば、これらのリンクの識別子は、リンク識別子(L-ID)としてリンクエントリの表に格納することができる。例えば、ダウンリンクデバイス識別子(DL)及びアップリンクデバイス識別子(UL)は、ダウンリンク又はアップリンクデバイスに達するために使用されるTMSI、GUTI、ProSe識別子又は(PC5)接続の識別であり得る。
【0057】
そのような表は、中継デバイスによって、マルチホップ中継ネットワークにおける転送を実施するために使用することができる。そのような中継デバイスのプロセッサは、その受信機を使用して、モバイル通信ネットワークからデータを受信するように構成される。データは、個々のリンク識別子を含む。プロセッサは、メモリに格納されたリンクエントリ(例えば、表1に示されるものなどの表)から個々のリンク識別子と関連付けられたデバイス識別子を決定するようにさらに構成することができる。リンクエントリは、デバイス識別子をリンク識別子と関連付ける。プロセッサは、送信機を使用して、決定されたデバイス識別子で識別したデバイスにデータを送信するようにさらに構成される。
【0058】
代替の実施形態では、すべてのモバイルデバイスが中継デバイスとして動作する能力を有するわけではない(例えば、すべてのモバイルデバイスがLTE若しくは5G UEであるわけではない、及び/又は、1つ若しくは複数のモバイルデバイスは中継デバイスとして動作しないように構成される)。
【0059】
図1に示される実施形態では、モバイルデバイス11~14は、1つのプロセッサ1を含む。代替の実施形態では、モバイルデバイスは、複数のプロセッサ1を含む。例えば、モバイルデバイス11~14の受信機3及び送信機5は、基地局19と通信するために、GPRS、CDMA、UMTS、LTE及び/又は5G NRなどの1つ又は複数のセルラ通信技術を使用することができる。受信機3及び送信機5は、トランシーバにおいて組み合わせることができる。プロセッサ1は、汎用プロセッサ(例えば、ARMプロセッサ)又は特定用途向けプロセッサであり得る。
【0060】
例えば、プロセッサ1は、オペレーティングシステムとして、Google Android又はApple iOSを起動することができる。メモリ9は、1つ又は複数のメモリユニットを含み得る。例えば、メモリ9は、ソリッドステートメモリを含み得る。モバイルデバイスは、モバイルデバイスの典型的な他のコンポーネント(例えば、ディスプレイ及びバッテリ)を含み得る。例えば、モバイルデバイスは、携帯電話であり得る。別の実施形態では、本発明のクライアントデバイス及び/又は本発明の中継デバイスは、モバイルデバイス以外のデバイスであり得、例えば、センサ、アクチュエータ、家庭用電子機器デバイス、メディアデバイス、コンピュータ、プリンタ、ゲームコンソール、ホーム制御コンソール又は住居用ゲートウェイであり得る。
【0061】
本発明の方法の第1の実施形態は、図2に示されている。ステップ41、43、45は、本発明のクライアントデバイスによって実行される。ステップ51、53、55、57は、本発明の中継デバイスによって実行される。ステップ41は、クライアントデバイスが中継デバイスに中継要求を送信することを含む。中継要求は、クライアントデバイスを識別する第1のデバイス識別子、及び、1つ又は複数のリンクを識別する1つ又は複数の第1のリンク識別子を含み、1つ又は複数のリンクの少なくとも1つは、クライアントデバイスを介してさらなるデバイスをネットワークノードとリンクする。ステップ51は、中継デバイスがクライアントデバイスから中継要求を受信することを含む。
【0062】
ステップ53は、中継デバイスが中継要求を受理することができるかどうかを判断することを含む。例えば、中継デバイスは、中継デバイスがループを検出した場合、中継デバイスのバッテリ残量が少ない場合、中継デバイスが中継として動作する能力を有さない場合、中継デバイスが所望のサービス品質を提供できない場合、又は、中継デバイスがいかなる中継要求も拒否するように構成されていることを理由に、中継要求を受理しないと決定することができる。ステップ55は、中継デバイスが、第1のデバイス識別子をリンクエントリの1つ又は複数の第1のリンク識別子の各々と関連付ける関連性を格納することを含む。以前にステップ55において格納された関連性は、ループを検出するために、ステップ53において参考にすることができる。ステップ57は、中継デバイスが、中継要求を受理することができると判断次第、中継要求を受理する受理メッセージをクライアントデバイスに送信することを含む。ステップ43は、クライアントデバイスが中継デバイスから受理メッセージを受信することを含む。ステップ45は、受理メッセージの受信に応じて、1つ又は複数のリンクと関連付けられたデータを中継デバイスに送信することを含む。
【0063】
図3は、図1で描写されるものとは異なる時点である第1の時点におけるモバイルデバイス11~14及び基地局19を示す。この第1の時点では、モバイルデバイス11~14はすべて、基地局19に直接接続され、中継は実行されない。図3~19の実施形態では、ダウンリンクデバイスの識別子とアップリンクデバイスの識別子の両方と関連付けられたリンク識別子を格納するために表が使用される。代替の実施形態では、アップリンクデバイスの識別子は、ダウンリンク識別子の識別子とは異なる表に格納される。
【0064】
代替の実施形態では、モバイルデバイスは、すべてのリンクに対して同じアップリンクデバイスを使用し、アップリンクデバイスの識別子を個々のリンク識別子の各々と関連付けることはしない。代替の実施形態では、中継は、モバイル通信ネットワークから受信されるデータに対してのみ使用されるか、又は、モバイル通信ネットワークに送信されるデータに対してのみ使用される。図3~19の実施形態では、表は、各モバイルデバイスによって、また、各モバイルデバイスがデータを中継しない際に格納される。代替の実施形態では、モバイルデバイスは、中継し始めるとすぐに、1つ又は複数の表を作成する。
【0065】
図3の例では、第1の時点において、モバイルデバイス11は、リンクL1を「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子及び基地局19/モバイル通信ネットワークのアップリンクデバイス識別子(「NW」)と関連付けた表を格納する。モバイルデバイス12は、リンクL2を「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子及び基地局19/モバイル通信ネットワークのアップリンクデバイス識別子と関連付けた表を格納する。モバイルデバイス13は、リンクL3を「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子及び基地局19/モバイル通信ネットワークのアップリンクデバイス識別子と関連付けた表を格納する。モバイルデバイス14は、リンクL4を「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子及び基地局19/モバイル通信ネットワークのアップリンクデバイス識別子と関連付けた表を格納する。
【0066】
図4は、本発明の方法の第2の実施形態における、リンクL3に対する中継として動作するようにモバイルデバイス13がモバイルデバイス14に要求する際に、図3の異なるデバイスによって実行されるステップを示す。ステップ101は、モバイルデバイス13がモバイルデバイス14に中継要求を送信することを含む。ステップ103は、モバイルデバイス14がこの中継要求を受信することを含む。
【0067】
図3~19の実施形態では、中継要求を受信したモバイルデバイスは、中継要求を受理することができるかどうかを判断し、この判断は、中継要求が受理されることになった場合に中継ループが確立されることになるかどうかを判断するために、受信された1つ又は複数のリンク識別子(第1のリンク識別子とも呼ばれる)及びメモリに格納されたリンクエントリを使用することによって行われる。図3~15の実施形態では、中継要求を受信したモバイルデバイスは、受信された1つ又は複数の第1のリンク識別子の少なくとも1つが、リンク識別子によって識別されたリンクが中継デバイスで終端することを示す情報と関連付けられた場合(すなわち、リンク識別子の少なくとも1つが「それ自体」というデバイス識別子と関連付けられた場合)は、中継要求を受理することができないと判断する。図3~19の例では、各モバイルデバイスは、多くても1つのリンクしか有さない。しかし、リンクを既に有し且つ同じモバイルデバイスを介してそのリンクの中継を希望するものの隣の追加のベアラ/リンクを確立するモバイルデバイスから中継要求を受信することも可能である。
【0068】
図3~15の実施形態では、モバイルデバイス14は、受信された中継要求に含まれるリンク識別子の少なくとも1つが、メモリに格納されたリンクエントリに含まれていないかどうかを判断し、第1のリンク識別子の少なくとも1つがリンクエントリに含まれていない場合は、第2の中継デバイス及び/又はモバイル通信ネットワークに1つ又は複数の第2の中継要求を送信する。1つ又は複数の第2の中継要求は、中継デバイスを識別する第2のデバイス識別子及び少なくとも1つの第1のリンク識別子を含む。モバイルデバイス14のメモリに格納されたリンクエントリに含まれる第1のリンク識別子の1つ又は複数は、これらの1つ又は複数の第1のリンク識別子を含む第2の中継要求を送信することなく、1つ又は複数の第1のリンク識別子と共に第1の中継要求に含まれる第1のデバイス識別子と関連付けられる。
【0069】
図4の実施形態では、第1のリンク識別子がモバイルデバイス14のメモリに格納されたリンクエントリに既に含まれている場合は、第2の中継要求は、ステップ105において送信されることも、ステップ107において受信されることもない。代替の実施形態では、(第1の)中継要求に含まれるリンク識別子がメモリに格納されたリンクエントリに既に含まれている場合であっても、第2の中継要求は、ステップ105において送信され、ステップ107において受信される。
【0070】
モバイルデバイス14によって格納される表はリンクL3を未だ含まないため、ステップ105及び107が次に実行される。ステップ105は、モバイルデバイス14がリンクL3に対する第2の中継要求を基地局19に送信することを含む。ステップ107は、基地局19がこの第2の中継要求を受信することを含む。ステップ107において基地局19が第2の中継要求を受信した後、基地局19は、中継要求を受理することができると判断し、ステップ109において、第2の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージ(例えば、「受理」というフラグが1に設定された中継応答メッセージ)をモバイルデバイス14に送信する。モバイルデバイス14は、ステップ111においてこの受理メッセージを受信する。例えば、基地局19は、リンクに対する所望のサービス品質がその無線能力と整合する場合及び/又はモバイル通信ネットワークに格納された加入情報によってモバイルデバイス14が中継として動作することが認められている場合にのみ、中継要求を受理するように構成することができる。
【0071】
モバイルデバイス14はリンクL3に対する中継要求を拒否するそれなりの理由を持たず、基地局19はリンクL3を中継する意思があるため、モバイルデバイス14は、モバイルデバイス13からの中継要求を受理することができる。従って、モバイルデバイス14は、ステップ113において、リンクL3に対するエントリをその表に追加する。このエントリでは、リンクL3は、モバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子及び基地局19/モバイル通信ネットワークに対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。
【0072】
次いで、モバイルデバイス14は、ステップ115において、(第1の)中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス13に送信する。モバイルデバイス13は、ステップ117において、この受理メッセージを受信する。次いで、モバイルデバイス13は、ステップ119において、リンクL3に対するエントリをその表に追加する。このエントリでは、リンクL3は、「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子及びモバイルデバイス14のアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。結果として得られる表は、図5に示されている。また、図5は、モバイルデバイス13が、ここでは、基地局19に直接接続する代わりに、モバイルデバイス14を介して基地局19にデータを中継することも示している。
【0073】
図6は、リンクL2に対する中継として動作するようにモバイルデバイス12がモバイルデバイス14に要求する際に、図5の異なるデバイスによって実行されるステップを示す。ステップ121は、モバイルデバイス12がモバイルデバイス14に中継要求を送信することを含む。ステップ123は、モバイルデバイス14がこの中継要求を受信することを含む。モバイルデバイス14によって格納される表はリンクL2を未だ含まないため、ステップ125及び127が次に実行される。
【0074】
ステップ125は、モバイルデバイス14がリンクL2に対する第2の中継要求を基地局19に送信することを含む。ステップ127は、基地局19がこの第2の中継要求を受信することを含む。ステップ127において基地局19が第2の中継要求を受信した後、基地局19は、中継要求を受理することができると判断し、ステップ129において、第2の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス14に送信する。モバイルデバイス14は、ステップ131においてこの受理メッセージを受信する。
【0075】
モバイルデバイス14はリンクL2に対する中継要求を拒否するそれなりの理由を持たず、基地局19はリンクL2を中継する意思があるため、モバイルデバイス14は、モバイルデバイス12からの中継要求を受理することができる。従って、モバイルデバイス14は、ステップ133において、リンクL2に対するエントリをその表に追加する。このエントリでは、リンクL2は、モバイルデバイス12に対するダウンリンクデバイス識別子及び基地局19/モバイル通信ネットワークに対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。
【0076】
次いで、モバイルデバイス14は、ステップ135において、第1の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス12に送信する。モバイルデバイス12は、ステップ137において、この受理メッセージを受信する。次いで、モバイルデバイス12は、ステップ139において、リンクL2に対するエントリをその表に追加する。このエントリでは、リンクL2は、「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子及びモバイルデバイス14のアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。結果として得られる表は、図7に示されている。また、図7は、モバイルデバイス12が、ここでは、基地局19に直接接続する代わりに、モバイルデバイス14を介して基地局19にデータを中継することも示している。
【0077】
図8は、リンクL2に対する中継として動作するようにモバイルデバイス12がモバイルデバイス13に要求する際に、図7の異なるデバイスによって実行されるステップを示す。ステップ141は、モバイルデバイス12がモバイルデバイス13に中継要求を送信することを含む。モバイルデバイス13によって格納される表はリンクL2を未だ含まないため、モバイルデバイス13は、中継要求を受信した後、ステップ143において、リンクL2に対する第2の中継要求をモバイルデバイス14に送信する。モバイルデバイス13は既にモバイルデバイス14を介してそれ自体のデータ(すなわち、リンクL3)の中継を行わせているため、モバイルデバイス13は、基地局19ではなく、モバイルデバイス14に、この第2の中継要求を送信する。ステップ145は、モバイルデバイス14がこの第2の中継要求を受信することを含む。
【0078】
モバイルデバイス14によって格納される表はリンクL2を既に含んでいるが、L2はモバイルデバイス12のダウンリンクデバイス識別子と関連付けられ、「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子とは関連付けられないため、モバイルデバイス14は、第2の中継要求を受理することができる。リンクL2は既に基地局19/モバイル通信ネットワークに対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられているため(基地局19/モバイル通信ネットワークに関して言えば変更はないことを意味する)、モバイルデバイス14は、第3の中継要求を基地局19に送信する必要はない。
【0079】
従って、ステップ147では、モバイルデバイス14は、リンクL2に対するエントリが、モバイルデバイス12に対するダウンリンクデバイス識別子の代わりに、モバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子と関連付けられるように、リンクL2に対するエントリを更新し、第2の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス13に送信する。
【0080】
モバイルデバイス13はリンクL2に対する中継要求を拒否するそれなりの理由を持たず、モバイルデバイス14はリンクL2を中継する意思があるため、モバイルデバイス13は、モバイルデバイス12からの中継要求を受理することができる。従って、モバイルデバイス13は、受理メッセージを受信した後、リンクL2に対するエントリをその表に追加し、ステップ149において、第1の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス12に送信する。このエントリでは、リンクL2は、モバイルデバイス12に対するダウンリンクデバイス識別子及びモバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。
【0081】
ステップ151では、モバイルデバイス12は、この受理メッセージを受信し、次いで、リンクL2に対するエントリが、モバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子の代わりに、モバイルデバイス13に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられるように、リンクL2に対するエントリを更新する。リンクL2と「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子との間の関連性は変更されない。モバイルデバイス14はモバイルデバイス12に対するダウンリンクデバイス識別子をリンクL2に対するそのエントリから除外したため、モバイルデバイス14は、ステップ153において、リンクL2に対する中継終了メッセージをモバイルデバイス12に送信する。
【0082】
モバイルデバイス12は、ステップ155において、この中継終了メッセージを受信するが、リンクL2に対するエントリは、モバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子とは関連付けられず、モバイルデバイス13に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられるため、このメッセージを無視する。モバイルデバイス12がステップ151において受理メッセージを受信する前にこの中継終了メッセージを受信した場合は、モバイルデバイス12は、リンクL2をモバイルデバイス14の代わりにモバイルデバイス13と関連付け、ステップ151においてリンクL2に対する受理メッセージが受信されるまで、モバイルデバイス13への中継を延期することになる。受理メッセージの代わりにリンクL2に対する拒否メッセージが受信される(中継終了メッセージを受信した後)という思いも寄らないシナリオでは、モバイルデバイス12は、リンクL2に対するエントリを除外することになる。
【0083】
結果として得られる表は、図9に示されている。また、図9は、モバイルデバイス12が、ここでは、モバイルデバイス14のみを介して基地局19にそのデータを中継させる代わりに、モバイルデバイス13及びモバイルデバイス14を介して基地局19にそのデータを中継させることも示している。
【0084】
図10は、リンクL1に対する中継として動作するようにモバイルデバイス11がモバイルデバイス12に要求する際に、図9の異なるデバイスによって実行されるステップを示す。ステップ161は、モバイルデバイス11がモバイルデバイス12に中継要求を送信することを含む。モバイルデバイス12によって格納される表はリンクL1を未だ含まないため、モバイルデバイス12は、中継要求を受信した後、ステップ162において、リンクL1に対する第2の中継要求をモバイルデバイス13に送信する。モバイルデバイス12は既にモバイルデバイス13を介してそのリンクL2の中継を行わせているため、モバイルデバイス12は、基地局19ではなく、モバイルデバイス13に、この第2の中継要求を送信する。
【0085】
モバイルデバイス13によって格納される表はリンクL1を未だ含まないため、モバイルデバイス13は、中継要求を受信した後、ステップ164において、リンクL1に対する第3の中継要求をモバイルデバイス14に送信する。モバイルデバイス13は既にモバイルデバイス14を介してそのリンクL2及びL3の中継を行わせているため、モバイルデバイス13は、基地局19ではなく、モバイルデバイス14に、この第2の中継要求を送信する。
【0086】
モバイルデバイス14によって格納される表はリンクL1を未だ含まないため、モバイルデバイス14は、中継要求を受信した後、ステップ166において、リンクL1に対する第4の中継要求を基地局19に送信する。ステップ168において基地局19が第4の中継要求を受信した後、基地局19は、第4の中継要求を受理することができると判断し、ステップ170において、第4の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス14に送信する。
【0087】
モバイルデバイス14はリンクL1に対する中継要求を拒否するそれなりの理由を持たず、基地局19はリンクL1を中継する意思があるため、モバイルデバイス14は、モバイルデバイス13からの中継要求を受理することができる。従って、モバイルデバイス14は、受理メッセージを受信した後、リンクL1に対するエントリをその表に追加し、ステップ172において、第3の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス13に送信する。このエントリでは、リンクL1は、モバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子及び基地局19/モバイル通信ネットワークに対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。
【0088】
モバイルデバイス13はリンクL1に対する中継要求を拒否するそれなりの理由を持たず、モバイルデバイス14はリンクL1を中継する意思があるため、モバイルデバイス13は、モバイルデバイス12からの第2の中継要求を受理することができる。従って、モバイルデバイス13は、受理メッセージを受信した後、リンクL1に対するエントリをその表に追加し、ステップ174において、第2の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス12に送信する。このエントリでは、リンクL1は、モバイルデバイス12に対するダウンリンクデバイス識別子及びモバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。
【0089】
モバイルデバイス12はリンクL1に対する中継要求を拒否するそれなりの理由を持たず、モバイルデバイス13はリンクL1を中継する意思があるため、モバイルデバイス12は、モバイルデバイス11からの第1の中継要求を受理することができる。従って、モバイルデバイス12は、受理メッセージを受信した後、リンクL1に対するエントリをその表に追加し、ステップ176において、第1の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス11に送信する。このエントリでは、リンクL1は、モバイルデバイス11に対するダウンリンクデバイス識別子及びモバイルデバイス13に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。
【0090】
ステップ178では、モバイルデバイス11は、この受理メッセージを受信し、次いで、リンクL1に対するエントリが、基地局19/モバイル通信ネットワークに対するアップリンクデバイス識別子の代わりに、モバイルデバイス12に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられるように、リンクL1に対するエントリを更新する。リンクL1と「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子との間の関連性は変更されない。結果として得られる表は、図11に示されている。また、図11は、モバイルデバイス11が、ここでは、基地局19に直接接続する代わりに、モバイルデバイス12、モバイルデバイス13及びモバイルデバイス14を介して基地局19にそのデータを中継させることも示している。
【0091】
図12は、リンクL1に対する中継として動作するようにモバイルデバイス11がモバイルデバイス14に要求する際に、図11の異なるデバイスによって実行されるステップを示す。ステップ181は、モバイルデバイス11がモバイルデバイス14に中継要求を送信することを含む。ステップ183は、モバイルデバイス14がこの中継要求を受信することを含む。モバイルデバイス14によって格納される表はリンクL1を既に含んでいるが、L1はモバイルデバイス13のダウンリンクデバイス識別子と関連付けられ、「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子とは関連付けられないため、モバイルデバイス14は、中継要求を受理することができる。
【0092】
リンクL1は既に基地局19/モバイル通信ネットワークに対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられているため(基地局19/モバイル通信ネットワークに関して言えば変更はないことを意味する)、モバイルデバイス14は、第2の中継要求を基地局19に送信する必要はない。従って、ステップ185では、モバイルデバイス14は、リンクL1に対するエントリが、モバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子の代わりに、モバイルデバイス11に対するダウンリンクデバイス識別子と関連付けられるように、リンクL1に対するエントリを更新し、中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス11に送信する。
【0093】
モバイルデバイス11は、ステップ187において、この受理メッセージを受信し、次いで、ステップ189において、リンクL1に対するエントリが、モバイルデバイス12に対するアップリンクデバイス識別子の代わりに、モバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられるように、リンクL1に対するエントリを更新する。リンクL1と「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子との間の関連性は変更されない。モバイルデバイス14はモバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子をリンクL1に対するそのエントリから除外したため、モバイルデバイス14は、ステップ191において、リンクL1に対する中継終了メッセージをモバイルデバイス13に送信する。
【0094】
ステップ193では、モバイルデバイス13は、この第1の中継終了メッセージを受信し、リンクL1がモバイルデバイス12に対するダウンリンクデバイス識別子と関連付けられていたと決定し、リンクL1に対する第2の中継終了メッセージをモバイルデバイス12に送信し、リンクL1に対するエントリを除外する。ステップ195では、モバイルデバイス12は、この第2の中継終了メッセージを受信し、リンクL1が現在モバイルデバイス11に対するダウンリンクデバイス識別子と関連付けられていると決定し、リンクL1に対する第3の中継終了メッセージをモバイルデバイス11に送信し、リンクL1に対するエントリを除外する。
【0095】
モバイルデバイス11は、ステップ197において、モバイルデバイス12からこの第3の中継終了メッセージを受信するが、リンクL1に対するエントリは、モバイルデバイス12に対するアップリンクデバイス識別子とは関連付けられず、モバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられるため、このメッセージを無視する。結果として得られる表は、図13に示されている。また、図13は、モバイルデバイス11が、ここでは、モバイルデバイス12、モバイルデバイス13及びモバイルデバイス14を介して基地局19にそのデータを中継させる代わりに、モバイルデバイス14のみを介して基地局19にそのデータを中継させることも示している。図13で描写される中継は、図1で描写される中継に相当する。
【0096】
図14は、リンクL2及びL3に対する中継として動作するようにモバイルデバイス13がモバイルデバイス11に要求する際に、図13の異なるデバイスによって実行されるステップを示す。ステップ201は、モバイルデバイス13がモバイルデバイス11に中継要求を送信することを含む。モバイルデバイス11によって格納される表はリンクL2及びL3を未だ含まないため、モバイルデバイス11は、中継要求を受信した後、ステップ205において、リンクL2及びL3に対する第2の中継要求をモバイルデバイス14に送信する。モバイルデバイス11は既にモバイルデバイス14を介してそれ自体のデータ(すなわち、リンクL1)の中継を行わせているため、モバイルデバイス11は、基地局19ではなく、モバイルデバイス14に、この第2の中継要求を送信する。ステップ207は、モバイルデバイス14がこの第2の中継要求を受信することを含む。
【0097】
モバイルデバイス14によって格納される表はリンクL2とL3の両方を既に含んでいるが、L2及びL3はモバイルデバイス13のダウンリンクデバイス識別子と関連付けられ、L2もL3も「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子とは関連付けられないため、モバイルデバイス14は、第2の中継要求を受理することができる。リンクL2及びL3は既に基地局19/モバイル通信ネットワークに対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられているため(基地局19/モバイル通信ネットワークに関して言えば変更はないことを意味する)、モバイルデバイス14は、第3の中継要求を基地局19に送信する必要はない。
【0098】
従って、ステップ209では、モバイルデバイス14は、リンクL2及びL3に対するエントリが、モバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子の代わりに、モバイルデバイス11に対するダウンリンクデバイス識別子と関連付けられるように、リンクL2及びL3に対するエントリを更新し、第2の中継要求が受理されたことを示す受理メッセージをモバイルデバイス11に送信する。
【0099】
モバイルデバイス11はリンクL2及びL3に対する中継要求を拒否するそれなりの理由を持たず、モバイルデバイス14はリンクL2及びL3を中継する意思があるため、モバイルデバイス11は、モバイルデバイス13からの中継要求を受理することができる。従って、モバイルデバイス11は、ステップ211において受理メッセージを受信した後、ステップ213において、リンクL2及びL3に対するエントリをその表に追加し、ステップ215において、第1の中継要求が受理されたことを示す第2の受理メッセージをモバイルデバイス13に送信する。このエントリでは、リンクL2及びL3は、モバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子及びモバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられる。
【0100】
ステップ217では、モバイルデバイス13は、この受理メッセージを受信し、次いで、ステップ219において、リンクL2及びL3に対するエントリが、モバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子の代わりに、モバイルデバイス11に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられるように、リンクL2及びL3に対するエントリを更新する。リンクL2とモバイルデバイス12に対するダウンリンクデバイス識別子との間の関連性及びリンクL3と「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子との間の関連性は変更されない。
【0101】
モバイルデバイス14はモバイルデバイス13に対するダウンリンクデバイス識別子をリンクL2及びL3に対するそのエントリから除外したため、モバイルデバイス14は、ステップ221において、リンクL2及びL2に対する中継終了メッセージをモバイルデバイス13に送信する。モバイルデバイス13は、ステップ223において、この中継終了メッセージを受信するが、リンクL2及びL3に対するエントリは、モバイルデバイス14に対するアップリンクデバイス識別子とは関連付けられず、モバイルデバイス13に対するアップリンクデバイス識別子と関連付けられるため、このメッセージを無視する。
【0102】
結果として得られる表は、図15に示されている。また、図15は、モバイルデバイス13がモバイルデバイス14を介して以前に中継したデータが、ここでは、モバイルデバイス11(第1)及びモバイルデバイス14(第2)の両方を介して中継されていることも示している。
【0103】
図4、6、8、10、12、14で描写されるステップでは、すべての中継要求が受理された。中継要求が拒否されるという状況は、図15で描写される時点及びシナリオにおいて、モバイルデバイス14が、そのリンクL1~L4に対する中継要求をモバイルデバイス11、12、13のいずれか1つに送信する際である。モバイルデバイス11は、リンクL1がモバイルデバイス11の「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子と関連付けられることを理由にリンクL1に対する中継要求は受理されないため、この中継要求を拒否することになる。モバイルデバイス12は、リンクL2がモバイルデバイス12の「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子と関連付けられることを理由にリンクL2に対する中継要求は受理されないため、この中継要求を拒否することになる。モバイルデバイス13は、リンクL3がモバイルデバイス13の「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子と関連付けられることを理由にリンクL3に対する中継要求は受理されないため、この中継要求を拒否することになる。
【0104】
さらなる措置が講じられない事例では、そのリンクのサブセットのみならず、そのリンクのすべて又は少なくともそれ自体のリンクを中継するように別のモバイルデバイスに要求することをモバイルデバイスに行わせることが推奨される。そうでなければ、ループが作成される可能性があり得る。例えば、図15で描写される時点及びシナリオにおいて、モバイルデバイス14がリンクL2のみに対する中継要求をモバイルデバイス13に送信した場合は、リンクL2は既にモバイルデバイス11のアップリンク識別子と関連付けられているため、モバイルデバイス13は、この中継要求を受理し、モバイルデバイス11に第2の中継要求を送信する必要すらない。次いで、モバイルデバイス12によってリンクL2上でモバイルデバイス13を介して送信されたデータは、モバイルデバイス11及び14を介してさらに中継され、次いで、モバイルデバイス13に戻る。
【0105】
モバイルデバイスが異なるデバイス(例えば、モバイルデバイス又は基地局)による異なるリンクの中継を行わせることが有益であると考えられる場合は、以前に説明した第2の実施形態を適応させることができる。この第3の実施形態では、中継要求が送信された際に、中継要求において識別された1つ又は複数のリンクに対して1つ又は複数のリンクエントリにおいて中継要求が保留中であることを示すことができる。モバイルデバイスが、中継要求を送信した後に、さらなる中継要求を受信し、このさらなる中継要求が、中継要求が保留中であることをモバイルデバイスに格納された表が示すリンク識別子を含む場合は、モバイルデバイスは、さらなる中継要求を受理することはできず、さらなる中継要求を拒否する。次いで、モバイルデバイスは、1つ又は複数のリンクが保留中の中継要求を有するという表示を除外し、データ転送のために、リンク識別子とオリジナルのデバイス識別子(すなわち、中継要求の受信元のデバイスのデバイス識別子ではない)との間の関連性を使用し続ける。モバイルデバイスが、中継要求の送信先のデバイスから受理メッセージを受信した場合は、1つ又は複数のリンクが保留中の中継要求を有するという表示は除外され、モバイルデバイスは、データ転送のために、リンク識別子と中継要求の受信元のデバイスのデバイス識別子との間の関連性を使用し始める。
【0106】
図16~19は、第3の実施形態を解説する上で役立つ。この実施形態では、中継要求において受信されたリンク識別子の1つ又は複数が「それ自体」というダウンリンクデバイス識別子と関連付けられるかどうかはチェックしないが、このメカニズムは、第3の実施形態に追加することが可能である。
【0107】
図16は、リンクL2に対する中継として動作するようにモバイルデバイス14がモバイルデバイス13に要求する際に、図15の異なるデバイスによって実行されるステップを示す。ステップ231では、モバイルデバイス14は、リンクL2に対する中継要求をモバイルデバイス13に送信し、リンクL2と関連付けられたリンクエントリ(モバイルデバイス14に格納される)において、中継要求が保留中であることを示す。このステップは、図17で描写されている。ステップ233では、モバイルデバイス13は、この中継要求を受信し、次いで、その表においてリンクL2に対して保留中の中継要求が示されているかどうかをチェックし、それが示されていないことを理由に、リンクL2に対する第2の中継要求をモバイルデバイス11に送信し、リンクL2と関連付けられたリンクエントリ(モバイルデバイス13に格納される)において、中継要求が保留中であることを示す。このステップは、図18で描写されている。
【0108】
ステップ235では、モバイルデバイス11は、この第2の中継要求を受信し、次いで、その表においてリンクL2に対して保留中の中継要求が示されているかどうかをチェックし、それが示されていないことを理由に、リンクL2に対する第3の中継要求をモバイルデバイス14に送信し、リンクL2と関連付けられたリンクエントリ(モバイルデバイス11に格納される)において、中継要求が保留中であることを示す。このステップは、図19で描写されている。
【0109】
ステップ237では、モバイルデバイス14は、この第3の中継要求を受信し、次いで、その表においてリンクL2に対して保留中の中継要求が示されているかどうかをチェックし、それが示されていることを理由に、モバイルデバイス14は、ステップ239において、リンクL2に対する拒否メッセージ(例えば、「受理」というフラグが0に設定された中継応答メッセージ)をモバイルデバイス11に送信することによって、第3の中継要求を拒否する。ステップ241では、モバイルデバイス11は、この拒否メッセージを受信し、どのダウンリンクデバイス識別子がリンクL2に対する保留中の中継要求と関連付けられているか(すなわち、モバイルデバイス13)をその表で調べ、第2の拒否メッセージをモバイルデバイス13に送信する。
【0110】
ステップ243では、モバイルデバイス13は、この第2の拒否メッセージを受信し、どのダウンリンクデバイス識別子がリンクL2に対する保留中の中継要求と関連付けられているか(すなわち、モバイルデバイス14)をその表で調べ、第3の拒否メッセージをモバイルデバイス14に送信する。ステップ245では、モバイルデバイス14は、この第3の拒否メッセージを受信し、どのダウンリンクデバイス識別子がリンクL2に対する保留中の中継要求と関連付けられているかをその表で調べる。第1の中継要求を送信したのがモバイルデバイス14自体であったことを理由に、L2に対する保留中の中継要求と関連付けられているダウンリンクデバイス識別子はないため、モバイルデバイス14は、第4の拒否メッセージを送信しない(送信する必要はない)。
【0111】
この第3の実施形態では、中継要求が拒否された後、中継要求を拒否したモバイルデバイスは、オリジナルのダウンリンク及びアップリンクデバイス識別子を使用し続ける。これらのオリジナルのダウンリンク及びアップリンクデバイス識別子は、同じ表に格納することができるが、図17~19には示さない。
【0112】
図3~19の例では、各モバイルデバイスは、多くても1つのリンクしか有さない。しかし、リンクを既に有し且つ同じモバイルデバイスを介してそのリンクの中継を希望するものの隣の追加のベアラ/リンクを確立するモバイルデバイスから中継要求を受信することも可能である。また、この事例では、新しいリンクを含むように表を更新する必要がある。考えられる例は、モバイルデバイスが異なるQoSベアラのセットアップを希望するものである。
【0113】
マルチホップ中継は、UEのLTEネットワークにおいて、TS 23.303で指定される近接サービスフレームワークへの更新として実施することができる。UE間の中継要求及び応答は、各UEのダウンリンク及びアップリンクデバイス表への更新をトリガするPC5信号伝達メッセージとして送信される。次いで、両方の経路に共通である転送木の上方の第1のUEは、ダウンリンク及びアップリンクデバイス表への特定の規則の挿入による未使用のリンクにおけるリソースリリース及び経路切替手順を取り扱う移動性のアンカーである。その未使用のリンクがダイレクトリンクであった場合は、これはeNBである。
【0114】
LTEのダイレクトリンクを使用する際、UEとeNBとの間にはPDCP接続が存在する。この層は、プロトコルデータ単位の順序付け(並べ替え)、完全性保護及び暗号化に対する責任を有する。中継の間、このPDCP接続のエンドポイントは、各UEとeNBとの間で変わらず、そのままである。従って、エンドポイントは、依然として、経路切替が原因で必要とされる並べ替えに対する責任を有する。
【0115】
TR 23.733で文書化されている3GPP SA2によるシングルホップ中継研究の間のアダプテーション層の導入により、このセットアップは可能である。それらのアダプテーション層は、単一のPC5又はUu接続における異なるUEに対するトラフィックを多重化する目的を有する。この制御プレーンプロトコルスタックは、図20で描写されている。この発明は、それをベースに構築され、各UEに存在し且つ各リンクの(PDCP関連性)転送挙動を格納するために使用される表を導入することによって実装される。
【0116】
各UEはMME(NAS層88)及びeNB(RRC層87)を有するそれ自体の信号伝達コンテキストを有するため、UE(中継するもの又は中継しないもの)の各々は、ベアラのセットアップ及び修正を行うことができる。このように、ネットワークは、各UEにおける追加のベアラ(無線又は中継)のセットアップを制御する。図20で描写されるデバイス/システムは、モバイルデバイス12~14、基地局19及び移動性管理エンティティ(MME)71である。図20で描写される他の層は、アクセスリンク層81、物理(PHY)層82、メディアアクセス制御(MAC)層83、無線リンク制御層84、アダプテーション層85及び(制御プレーン)PDCP層86である。
【0117】
この第4の実施形態では、その識別子が表に格納され且つ中継要求に含まれるリンクは、PDCPリンクである。ユーザデータは、これらのPDCPリンク上で送信される。ユーザプレーンプロトコルスタックは、図21で描写されている。(データプレーン)PDCP層91に加えて、インターネットプロトコル(IP)層93は、IPパケットでのデータの送信を可能にする。図21で描写されるデバイス/システムは、モバイルデバイス12~14、基地局19スイッチングゲートウェイ(SWG)73及びパケットゲートウェイ(PGW)74である。図21で描写される他の層は、アクセスリンク層81、物理(PHY)層82、メディアアクセス制御(MAC)層83、無線リンク制御層84及びアダプテーション層85である。
【0118】
また、リンクとはどういうものかについての他の概念も可能である。リンクの主要ポイントは、リンクがネットワークにおけるUEとノードとの間の論理接続であるということである。その意図は、中継構成が変化しても、この論理リンクを維持することである。リンクの他の概念は、以下の通りであり得る。
・ IPフロー(UEとP-GW/UPFとの間)
・ PDPコンテキスト(UEとGGSNとの間)
・ EPSベアラ(UEとP-GWとの間)
・ 無線アクセスベアラ(RAB/e-RAB)(UEとSGSN/S-GWとの間)
・ PDUセッション(UEとUPFとの間)
・ 信号伝達関連性(UEとSGSN/MME/AMFとの間)
【0119】
技術解説書における中心的な概念は、中継要求メッセージである。このメッセージは、2つの方法で実装することが可能である。一方法は、ProSeの発見方法(すなわち、モデルA及びモデルB)を使用することである。モデルは、クライアントデバイス又は中継デバイスのいずれかがそれらの存在を公表し、他方が対応するという点において異なる。この実装形態の中継要求メッセージは、以下のいずれかであり得る。
・ クライアントデバイスによるその存在の公表及び公表メッセージにベアラ情報を含めることによる中継の要求
・ 中継デバイスによって行われた公表に対するクライアントデバイスの応答。この応答メッセージには、クライアントデバイスは、中継を希望するベアラを含める。
【0120】
また、中継要求メッセージは、クライアントデバイスによって、新しい中継デバイスを発見した後に送信することもできる。その事例では、実装形態は、2つのUE間のPC-5接続が確立された後に交換されるPC-5信号伝達メッセージである。
【0121】
同様に、中継応答メッセージは、発見方法の一部として交換することができ(クライアントデバイスが公表している際にのみ)、中継デバイスを捜しているというクライアントデバイスによる公表に対する応答として実装することができる。或いは、中継応答メッセージは、PC-5接続が確立され且つ中継要求が受信された後に交換することができる。
【0122】
図22の通信システム400では、簡潔にするために、三世代のネットワークが共に概略的に描写されている。アーキテクチャ及び概要のより詳細な説明は、その全体が参照により本出願に含まれる3GPP技術仕様書TS 23.002‘Network Architecture’において見つけることができる。その代替として又はそれに加えて、他のタイプのセルラ通信システム(例えば、5Gセルラ通信システム)を使用することができる。
【0123】
図22の下方のブランチは、GSM/GPRS又はUMTSネットワークを表す。
【0124】
GSM/GPRSネットワークの場合、無線アクセスネットワーク(RAN)システム420は、図22では個別に示されてはいないが、基地局(BSCとBTSの組合せ)を含む多数のノードを含む。コアネットワークシステムは、ゲートウェイGPRSサポートノード422(GGSN)と、サービングGPRSサポートノード421(GPRSの場合、SGSN)又は移動通信交換局(GSMの場合、MSC、図22には図示せず)と、ホームロケーションレジスタ423(HLR)とを含む。HLR 423は、ユーザデバイス401の加入情報(例えば、モバイルステーションMS)を含む。
【0125】
UMTS無線アクセスネットワーク(UTRAN)の場合、無線アクセスネットワークシステム420は、これもまた図22では個別に示されてはいないが、多数の基地局(NodeB)に接続された無線ネットワークコントローラ(RNC)も含む。コアネットワークシステムでは、GGSN 422及びSGSN 421/MSCは、ユーザデバイス401の加入情報(例えば、ユーザ機器UE)を含むHLR 423に接続される。
【0126】
図22の通信システムの上方のブランチは、4Gネットワークを表し、ロングタームエボリューション(LTE)システム又は進化型パケットシステム(EPS)として一般的に示される。
【0127】
EPSの無線アクセスネットワークシステム410(E-UTRAN)は、図22では個別に示されてはいないが、基地局(進化型NodeB、eNodeB又はeNB)を含み、ユーザデバイス401(例えば、ユーザ機器UE)に対するセルラワイヤレスアクセスを提供する。コアネットワークシステムは、PDNゲートウェイ(P-GW)414と、サービングゲートウェイ412(S-GW)とを含む。EPSのE-UTRAN 410は、パケットネットワークを介してS-GW 412に接続される。S-GW 412は、信号伝達目的のために、ホーム加入者サーバHSS 413及び移動性管理エンティティMME411に接続される。HSS 413は、ユーザデバイス401用の加入プロファイルリポジトリSPRを含む。
【0128】
GPRS、UMTS及びLTEシステムの場合、コアネットワークシステムは、一般に、さらなるパケットネットワーク402(例えば、インターネット)に接続される。
【0129】
EPSネットワークの一般アーキテクチャのさらなる情報は、3GPP技術仕様書TS 23.401‘GPRS enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access’において見つけることができる。
【0130】
図23は、図2、4、6、8、10、12、14、16を参照して説明されるような方法を実行することができる例示的なデータ処理システムを示すブロック図を描写する。
【0131】
図23に示されるように、データ処理システム500は、システムバス506を通じてメモリ素子504に結合された少なくとも1つのプロセッサ502を含み得る。従って、データ処理システムは、メモリ素子504内にプログラムコードを格納することができる。さらに、プロセッサ502は、システムバス506を介してメモリ素子504からアクセスされたプログラムコードを実行することができる。一態様では、データ処理システムは、プログラムコードの格納及び/又は実行に適したコンピュータとして実装することができる。しかし、データ処理システム500は、この明細書内で説明される機能の実行が可能なプロセッサ及びメモリを含むいかなるシステムの形態でも実装できることを理解すべきである。
【0132】
メモリ素子504は、例えば、ローカルメモリ508及び1つ又は複数の大容量記憶装置510など、1つ又は複数の物理メモリデバイスを含み得る。ローカルメモリは、プログラムコードの実際の実行の間に一般的に使用されるランダムアクセスメモリ又は他の非永続メモリデバイスを指し得る。大容量記憶装置は、ハードドライブ又は他の永続データ記憶装置として実装することができる。また、処理システム500は、実行の間に大容量記憶装置510からプログラムコードを回収しなければならない回数を低減するために、少なくともいくつかのプログラムコードの一時的な格納を提供する1つ又は複数のキャッシュメモリ(図示せず)も含み得る。
【0133】
入力デバイス512及び出力デバイス514として描写される入力/出力(I/O)デバイスは、任意選択により、データ処理システムに結合することができる。入力デバイスの例は、これらに限定されないが、キーボード、マウスなどのポインティングデバイス又は同様のものを含み得る。出力デバイスの例は、これらに限定されないが、モニタ若しくはディスプレイ、スピーカ又は同様のものを含み得る。入力及び/又は出力デバイスは、直接又は介在I/Oコントローラを通じてデータ処理システムに結合することができる。
【0134】
実施形態では、入力及び出力デバイスは、入力/出力複合デバイス(図23では、入力デバイス512及び出力デバイス514を取り囲む破線で示される)として実装することができる。そのような複合デバイスの例は、タッチセンサ式ディスプレイであり、場合により、「タッチスクリーンディスプレイ」又は単に「タッチスクリーン」とも呼ばれる。そのような実施形態では、デバイスへの入力は、タッチスクリーンディスプレイ上又はその近くにおける物体(例えば、スタイラス若しくはユーザの指など)の動きによって提供することができる。
【0135】
また、介在プライベート又はパブリックネットワークを通じて他のシステム、コンピュータシステム、リモートネットワークデバイス及び/又はリモート記憶装置に結合できるように、ネットワークアダプタ516をデータ処理システムに結合することもできる。ネットワークアダプタは、上記システム、デバイス及び/又はネットワークによってデータ処理システム500に送信されたデータを受信するためのデータ受信機と、データ処理システム500から上記システム、デバイス及び/又はネットワークにデータを送信するためのデータ送信機とを含み得る。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは、データ処理システム500で使用することができる異なるタイプのネットワークアダプタの例である。
【0136】
図23で描かれるように、メモリ素子504は、アプリケーション518を格納することができる。様々な実施形態では、アプリケーション518は、ローカルメモリ508、彼1つ又は複数の大容量記憶装置510に格納することも、ローカルメモリ及び大容量記憶装置から分離して格納することもできる。データ処理システム500は、アプリケーション518の実行を容易にすることができるオペレーティングシステム(図23には図示せず)をさらに実行できることを理解すべきである。実行可能プログラムコードの形態で実装されているアプリケーション518は、データ処理システム500によって(例えば、プロセッサ502によって)実行することができる。アプリケーションの実行に応答して、データ処理システム500は、本明細書で説明される1つ又は複数の動作又は方法ステップを実行するように構成することができる。
【0137】
本発明の様々な実施形態は、コンピュータシステムで使用するためのプログラム製品として実装することができ、プログラム製品のプログラムは、実施形態の機能(本明細書で説明される方法を含む)を定義する。一実施形態では、プログラムは、様々な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上に含めることができ、本明細書で使用される場合、「非一時的なコンピュータ可読記憶媒体」という表現は、一時的な伝播信号を唯一の例外として、すべてのコンピュータ可読媒体を含む。別の実施形態では、プログラムは、様々な一時的なコンピュータ可読記憶媒体上に含めることができる。例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、これらに限定されないが、(i)情報が永久的に格納される書き込み不能記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読み取り可能なCD-ROMディスク、ROMチップ又は任意のタイプのソリッドステート不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内の読み取り専用メモリデバイス)及び(ii)変更可能な情報が格納される書き込み可能記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ、ディスケットドライブ内のフロッピーディスク、ハードディスクドライブ又は任意のタイプのソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)を含む。コンピュータプログラムは、本明細書で説明されるプロセッサ502上で起動することができる。
【0138】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。本明細書で使用される場合、「a」、「an」及び「the」という単数形は、文脈上で明示される場合を除き、複数形を含むことも意図される。この明細書で使用される際、「含む(comprises)」及び/又は「含むこと(comprising)」という用語は、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を除外しないことがさらに理解されよう。
【0139】
以下の特許請求の範囲における対応する構造、材料、行為及びすべての手段又はステップに機能を追加した要素の均等物は、具体的に特許請求される他の特許請求される要素との組合せにおいて、いかなる構造、材料又は機能を実行するための行為も含むことが意図される。本発明の実施形態の説明は、例示を目的として提示してきたが、網羅的であることも、開示される形態での実装に限定されることも意図しない。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの変更形態及び変形形態が当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の原理及び実際の適用を最適に解説するため、並びに、他の当業者が企図される特定の用途に適した様々な変更形態を備えた様々な実施形態に対して本発明を理解できるようにするために選ばれ、説明された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23