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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】端末及び送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/18 20090101AFI20221004BHJP
   H04W 52/14 20090101ALI20221004BHJP
【FI】
H04W52/18
H04W52/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021501367
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2019006908
(87)【国際公開番号】W WO2020170452
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小熊 優太
(72)【発明者】
【氏名】梅田 大將
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】Qualcomm Incorporated,Rel-16 RF Exposure compliance mitigation techniques[online],3GPP TSG RAN WG4 #90 R4-1900448,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_90/Docs/R4-1900448.zip>,2019年02月15日
【文献】LG Electronics,Required P-MPR/UL dutycycle restriction for MPE regulations at FR2[online],3GPP TSG RAN WG4 #90 R4-1900252,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_90/Docs/R4-1900252.zip>,2019年02月15日
【文献】Qualcomm Incorporated,P-MPR and maxULDutycycle limit parameters[online],3GPP TSG RAN WG4 #90 R4-1900440,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG4_Radio/TSGR4_90/Docs/R4-1900440.zip>,2019年02月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位期間内にスケジューリングされる上りシンボルの割合が、前記単位期間に上り送信に対してスケジューリング可能なシンボルの割合よりも大きい場合、前記上りシンボルの最大出力電力を低減する値の適用を制御する制御部と、
前記上りシンボルを送信する送信部と、
を備え
前記値に基づく出力電力の情報は、基地局によるスケジューリングの決定に用いられる、
端末。
【請求項2】
前記端末の送信動作帯域は、frequency range 2(FR2)である、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
端末は、
単位期間内にスケジューリングされる上りシンボルの割合が、前記単位期間に上り送信に対してスケジューリング可能なシンボルの割合よりも大きい場合、前記上りシンボルの最大出力電力を低減する値の適用を制御し、
前記上りシンボルを送信する、
前記値に基づく出力電力の情報は、基地局によるスケジューリングの決定に用いられる、
送信方法。
【請求項4】
前記端末の送信動作帯域は、frequency range 2(FR2)である、
請求項に記載の送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末及び送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Universal Mobile Telecommunication System(UMTS)ネットワークにおいて、更なる高速データレート、低遅延などを目的としてロングタームエボリューション(Long Term Evolution(LTE))が仕様化された。また、LTEからの更なる広帯域化および高速化を目的として、LTEの後継システムも検討されている。LTEの後継システムには、例えば、LTE-Advanced(LTE-A)、Future Radio Access(FRA)、5th generation mobile communication system(5G)、5G plus(5G+)、Radio Access Technology(New-RAT)、New Radio(NR)などと呼ばれるシステムがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP TS 38.101-2 v15.4.0, “NR; User Equipment (UE) radio transmission and reception; Part 2: Range 2 Standalone (Release 15),” December 2018
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信システムでは、無線通信装置(例えば、端末)が送信電力制御を行う。しかしながら、特定の周波数帯における無線通信装置向けの送信電力の設定については更なる検討の余地がある。
【0005】
本開示の目的の一つは、特定の周波数帯における無線通信装置に対する適切な送信電力の設定を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る端末は、所定期間における上り信号の送信割合を示す第1パラメータと上り送信電力に関する第2パラメータとの関連付けに基づいて、前記上り信号の送信電力を決定する制御部と、前記送信電力を用いて、前記上り信号を送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、特定の周波数帯における無線通信装置に対する適切な送信電力の設定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】Power Classおよび送信電力の一例を示す図である。
図2】基地局の構成の一例を示すブロック図である。
図3】端末の構成の一例を示すブロック図である。
図4】制御方法1に基づく動作例を示すシーケンス図である。
図5】制御方法1に係るUL duty cycleとPower Management UE Maximum Power Reduction(P-MPR)との関連付けの一例を示す図である。
図6】制御方法1に係る端末のスケジューリング処理の一例を示す図である。
図7】制御方法1に係る端末のスケジューリング処理に用いる情報の一例を示す図である。
図8】制御方法2に基づく動作例を示すシーケンス図である。
図9】制御方法2に係るPmaxとUL duty cycleとの関連付けの一例を示す図である。
図10】基地局及び端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一態様に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
NRでは、既存のLTEの周波数帯を含む、LTEの周波数帯(例えば、LTEバンドとも呼ぶ)よりも幅広い周波数が利用される。例えば、NRにおいて周波数帯は、Frequency Range 1(FR1)とFrequency Range 2(FR2)と称される2通りの周波数バンドに分類される。FR1は、6GHz以下の周波数帯を示す。FR1は、サブ6(Sub 6)とも称される。また、FR2は、FR1よりも高い周波数帯を示し、例えば、ミリ波帯を含む。
【0011】
FR1およびFR2を使用する無線通信では、送信電力制御が規定される。
【0012】
例えば、送信電力制御には、電波(例えば、FR2のミリ波等)の人体への影響を考慮した指針値等を定めた電波防護指針を満たすために、上りリンク(uplink(UL))の信号の送信電力(以下、「UL送信電力」と呼ぶ)を低下する制御が含まれる。
【0013】
端末がUL送信電力を低下する制御を行う場合に、端末に設定される送信電力に関する情報(または、UL送信電力に関するパラメータと呼ぶ)には、例えば、端末の最大送信電力に対するバックオフ値の一例であるP-MPRがある。例えば、P-MPRを用いてUL送信電力を低下する制御は、端末の総合放射電力(Total Radiated Power(TRP))または等価等方放射電力(Equivalent Isotropic Radiated Power(EIRP))を低下する制御であってよい。
【0014】
例えば、FR1およびFR2では、P-MPRの上限値は規定されておらず、端末は、P-MPRを任意の値に設定可能である。P-MPRの設定により、電波防護指針を満たしたUL送信が可能になる。
【0015】
また、端末がUL送信電力を低下する制御を行う場合に、端末に設定される送信電力に関する情報には、例えば、所定期間(例えば、10ms)におけるUL信号の送信割合(例えば、下りリンク(downlink(DL))とULとの比率)を示す情報(またはパラメータと呼ぶ)の一例であるUL duty cycleがある。例えば、UL duty cycle=100%の場合、規定された期間の全てがUL送信に割り当てられ、UL duty cycle=50%の場合、規定された期間の半分がUL送信に割り当てられる。なお、端末または基地局は、UL duty cycleに示される値以下の範囲において、UL信号の送信割合を決定してもよい。
【0016】
一例として、FR1を使用する無線通信において、Time Division Duplex(TDD)方式を採用する端末がUL duty cycleを用いて送信電力を制御する方法について説明する。この方法では、基準の送信電力(例えば、Power Class 3(PC3):23dBm)によって電波防護指針を満たせる。
【0017】
端末は、例えば、基準の送信電力よりも高い送信電力(例えば、Power Class 2(PC2):26dBm)を用いてUL信号を送信する場合、当該送信電力を用いて電波防護指針を満たせるUL duty cycleを基地局(換言すると、ネットワーク側)へ通知する。一方、端末には、例えば、基地局によるUL送信の割り当て(例えば、UL grant)が通知される。換言すると、基地局は、端末に対して、UL信号の送信割合(例えば、ULとDLとの比率)を設定(例えば、configure)する。端末は、基地局によって設定されたUL信号の送信割合が、基地局へ通知したUL duty cycleよりも高い場合、PC2からPC3へ変更(換言すると、フォールバック)してUL送信電力を低下する。
【0018】
FR2においても、FR1と同様にして端末が送信電力を制御することが考えられる。しかしながら、FR2を使用する無線通信(例えば、ミリ波通信)においてUL duty cycleを用いて送信電力を制御する方法に検討の余地がある。
【0019】
ここで、図1は、FR2を使用する無線通信において使用されるPower Class(例えば、PC1、PC2、PC3及びPC4の何れか)、および、各Power Classに規定される送信電力(例えば、TRP及びEIRP)の一例を示す。
【0020】
例えば、FR2では、電波伝搬特性の相違により、FR1のような基準の送信電力(例えば、FR1では、PC3の23dBm)を一律に規定しにくい。このため、FR2に、FR1のようなPower Classに基づく送信電力制御を導入しても、適切な制御が行われない可能性がある。例えば、図1に示すPC2とPC3とを比較すると、最大TRPおよびEIRPの最大ピークは同じ値である。換言すると、FR2の各Power Classは、FR1のPC2(例えば、26dBm)およびPC3(例えば、23dBm)のようなフォールバックの対象となる関係ではない。
【0021】
また、より高いUL送信電力が設定される端末に対しては、より大きい電力バックオフ値(例えば、P-MPR)が設定され得る。
【0022】
しかしながら、FR2では、各Power Classの送信電力(例えば、EIRP)の下限値と上限値との差(換言すると、送信電力の設定幅)は、FR1と比較して大きい。例えば、図1に示すPC3では、EIRPの下限値(Min peak)が22.4dBmに設定され、EIRPの上限値(Max peak)が43dBmに設定される。例えば、PC3が設定された端末は、EIRPが22.4dBmから43dBmまでの範囲においてUL送信電力を決定する。
【0023】
このような送信電力の設定幅がFR1と比較して大きいPower Classでは、当該Power Classに規定された範囲内の送信電力によって適切なP-MPRの値が異なり得る。このため、例えば、Power Classに基づいてP-MPRが規定される場合、同じPower Classが設定される端末であっても、端末毎に設定されるUL送信電力によっては、P-MPRが適切ではないことがある。
【0024】
例えば、図1に示すPC3に規定された送信電力の上限値である43dBmに対して適切なP-MPRの値は、同じPC3に規定された送信電力の下限値である22.4dBmに対しては過剰なバックオフ値であり得る。同様に、図1に示すPC3に規定された送信電力の下限値である22.4dBmに対して適切なP-MPRの値は、同じPC3に規定された送信電力の上限値である43dBmに対しては、十分ではないバックオフ値であり得る。
【0025】
このように、FR2において、FR1のようなPower Classに基づいて送信電力を制御する場合、UL送信電力の低下に過不足が発生し、電波防護指針を満たせない場合、または、UL送信電力が過剰に低下する場合があり得る。
【0026】
また、上述したように、FR1およびFR2では、端末において設定されるP-MPRの上限値が規定されていない。また、上述したように、FR2の各Power Classに規定される送信電力の設定幅はFR1と比較して大きい。よって、FR2を使用する無線通信では、P-MPRの設定によっては、急激な電力低下が瞬間的に発生する可能性がある。
【0027】
P-MPRは端末が任意に設定できるので、基地局は、端末が設定したP-MPRを把握できない。このため、基地局は、端末から送信された信号の受信電力の急激な低下が、P-MPRの設定に起因するのか、他の要因(例えば、人体による遮蔽など)に起因するのかを判別できない。よって、端末がP-MPRを用いてUL送信電力を制御する場合、基地局は、例えば、UL通信に関する処理(例えば、スケジューリングなど)を正常に制御できないことがある。
【0028】
本実施の形態では、無線通信装置(例えば、端末)が、FR2において適切なUL送信電力制御を行う技術について説明する。
【0029】
[基地局及び端末の構成]
図2は、本実施の形態に係る基地局10の構成の一例を示すブロック図である。基地局10は、例えば、送信部101と、受信部102と、制御部103と、を含む。
【0030】
送信部101は、端末20向けのDL信号を端末20へ送信する。例えば、送信部101は、制御部103の制御により、DL信号を送信する。
【0031】
基地局10が送信するDL信号には、例えば、ULの送信電力に関する情報(例えば、UL送信電力に関するパラメータ)が含まれてよい。また、基地局10が送信するDL信号には、例えば、UL信号の割り当てを指示する情報(例えば、UL grant)が含まれてよい。
【0032】
受信部102は、端末20から送信されたUL信号を受信する。例えば、受信部102は、制御部103の制御により、UL信号を受信する。
【0033】
端末20が送信するUL信号には、例えば、ULの送信電力に関する情報(例えば、送信電力パラメータ)が含まれてよい。ULの送信電力に関する情報には、例えば、所定期間におけるUL信号の送信割合を示す情報(例えば、UL duty cycle)が含まれてよい。また、端末20が送信するUL信号には、ULデータ(例えば、Physical Uplink Shared Channel(PDSCH)の信号)が含まれてよい。
【0034】
制御部103は、送信部101における送信処理、及び、受信部102における受信処理を制御する。例えば、制御部103は、図示しない上位レイヤから制御情報等を受信し、送信部101へ出力する。また、制御部103は、受信部102から受信したデータおよび制御情報等を上位レイヤへ出力する。
【0035】
例えば、制御部103は、端末20に対して、UL信号の割り当てを決定し、決定した割り当てを示す情報(例えば、UL grant)を送信部101へ出力してよい。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る端末20の構成の一例を示すブロック図である。端末20は、例えば、受信部201と、送信部202と、制御部203と、を含む。
【0037】
受信部201は、基地局10から送信されたDL信号を受信する。例えば、受信部201は、制御部203の制御により、DL信号を受信する。
【0038】
送信部202は、UL信号を基地局10へ送信する。例えば、送信部202は、制御部203の制御により、UL信号を送信する。
【0039】
制御部203は、受信部201における受信処理、及び、送信部202における送信処理を含む通信動作を制御する。
【0040】
例えば、制御部203は、UL信号の送信電力を決定する。例えば、制御部203は、UL信号の送信電力に関する情報(例えば、UL duty cycle、または、電力バックオフ値(例えば、P-MPR))を決定する。制御部203は、決定した情報に基づいて、UL信号の送信電力を決定する。
【0041】
[基地局および端末の動作例]
以下では、基地局10および端末20の動作の制御について、3つの制御方法を例示する。なお、本開示における制御方法は、これら3つの方法に限定されない。
【0042】
[制御方法1]
制御方法1では、端末20は、UL信号の送信割合(例えば、UL duty cycle)と、UL送信電力(例えば、最大送信電力)に対する電力バックオフ値(例えば、P-MPR)との関連付けに基づいて、UL送信電力を決定する。
【0043】
図4は、本実施の形態に係る制御方法1に基づく基地局10および端末20の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0044】
端末20は、UL duty cycleを決定する(S101)。例えば、端末20は、設定されたPower Classに規定された送信電力に対応するUL duty cycleを決定してよい。例えば、このUL duty cycleの決定により、端末20は、電波防護指針を満たし得る。
【0045】
端末20は、UL duty cycleとP-MPRとの関連付けに基づいて、決定したUL duty cycleに関連付けられたP-MPRを決定する(S102)。
【0046】
図5は、UL duty cycleとP-MPRとの関連付けの一例を示す。図5では、UL duty cycle(例えば、100%、75%、50%、および、25%)に対して、P-MPR(換言すると、P-MPRの上限値。例えば、7dBm、5dBm、3dBm、および、0dBm)が1対1で関連付けられている。
【0047】
図5に示す関連付けは、例えば、基地局10と端末20との間で共有されている。図5に示す関連付けは、例えば、基地局10から端末20へ通知(または設定)されてよく、規格において予め規定されてよい。
【0048】
また、UL duty cycleとP-MPRとの関連付けは、図5に示す例に限定されない。例えば、UL duty cycleおよびP-MPRの値は、図5に示す値に限定されない。また、UL duty cycleおよびP-MPRの候補数は、図5に示す例(例えば、4候補)に限定されない。
【0049】
ここで、上述したように、端末20のUL送信電力が大きいほど、P-MPRは大きくなる。また、UL duty cycleの値が大きいほど、UL信号の送信割合は高くなるので、UL送信電力は高くなる。よって、図5に示すUL duty cycleとP-MPRとの関連付けにおいて、UL duty cycleの値が大きいほど、P-MPRは大きくなる。
【0050】
例えば、図5において、端末20は、UL duty cycle=100%の場合、7dB以下の範囲のP-MPRを決定する。また、図5において、例えば、端末20は、UL duty cycle=25%の場合、0dB以下の範囲のP-MPRを決定する。
【0051】
図4において、端末20は、例えば、決定したP-MPRを用いて、UL信号(例えば、ULデータ)のUL送信電力を決定する(S103)。
【0052】
端末20は、決定したUL duty cycleを示す情報を基地局10へ通知する(S104)。UL duty cycleを示す情報の通知には、例えば、上り制御情報(Uplink Control Information(UCI))または上り制御チャネル(例えば、Physical Uplink Control Channel(PUCCH))の信号等が用いられてよい。また、UL duty cycleの通知のタイミングは、図4に示す例に限定されない。UL duty cycleの通知のタイミングは、例えば、図4に示すS101からS105までの間の何れかに設定されてよい。
【0053】
端末20は、例えば、決定したUL送信電力を用いて、ULデータを基地局10へ送信する(S105)。なお、端末20は、例えば、基地局10から通知されるUL割り当て情報(例えば、UL grant)に従ってULデータをULリソースに割り当ててよい(図示せず)。また、端末20は、例えば、UL duty cycleに基づいて、UL grantに示されるULリソースの中から、UL信号の送信に用いるリソースを選択してよい。換言すると、端末20は、UL duty cycleに基づいて、UL grantに示されるULリソースの一部を使用しなくてよい。
【0054】
基地局10は、端末20から送信されたUL信号(例えば、UL duty cycleを示す情報、または、ULデータ)を受信する。
【0055】
基地局10は、UL信号を受信した後、図5に示すUL duty cycleとP-MPRとの関連付けに基づいて、UL信号に含まれるUL duty cycleに対応するP-MPRを特定してよい。基地局10は、特定したP-MPRを用いて、例えば、端末20に対するスケジューリングを決定してよい。
【0056】
以下、基地局10におけるP-MPRを用いた端末20のスケジューリングの一例について説明する。
【0057】
一例として、端末20の周辺に、基地局A(例えば、基地局10)および基地局B(例えば、基地局10)が存在する場合に、端末20が接続する基地局(以下、接続先基地局と呼ぶ)を選択(換言すると、選定)する方法について説明する。
【0058】
端末20は基地局Aに接続している。また、端末20に対して、基地局Bは、基地局Aよりも遠方に位置すると仮定する。よって、端末20において、基地局Bと端末20との間の通信品質は、基地局Aと端末20との間の通信品質よりも低いと仮定する。
【0059】
以下では、端末20と基地局Aとの間の通信において人体(例えば、端末20のユーザ)による遮蔽の有無、および、P-MPRによるUL送信電力の低下の有無が異なる3つのケース1、2および3についてそれぞれ説明する。基地局Aは、例えば、端末20から送信されるUL信号に含まれるUL duty cycleに基づいて、端末20に設定されるP-MPR(上限値)を特定する。
【0060】
図6は、一例として、後述するケース3におけるDLおよびULのビーム(または送信電力の大きさ)の状態を示している。
【0061】
また、図7は、ケース1、2および3における、端末20のスケジューリング処理(例えば、接続基地局の選択)に用いる情報の一例を示す。
【0062】
例えば、図7では、基地局AのDL電力(例えば、基地局Aにおける送信電力)およびUL電力(例えば、基地局Aにおける受信電力)、および、基地局BのDL電力およびUL電力の一例を示す。また、図7は、ケース1、2および3において、DL信号に基づいて決定され得る端末20の接続先基地局(「DL信号に基づく接続先」と表す)、および、端末20に対する理想の接続先基地局(「理想の接続先」と表す)の一例を示す。
【0063】
また、ここでは、人体による遮蔽によって端末20と基地局Aとの間の通信が不可能になる状況は考慮しない。
【0064】
<ケース1>
ケース1は、端末20と基地局Aとの間の通信において人体による遮蔽が無く、P-MPRによるUL送信電力の低下が無い場合である。よって、ケース1では、基地局Aと端末20との間の通信品質は良好であるとする。ケース1では、基地局AのDL電力およびUL電力は、例えば、後述するケース2および3と比較して高い値になり得る(例えば、図7において「○」と表す)。
【0065】
また、ケース1では、端末20と基地局Aとの間の通信において人体による遮蔽が無く、P-MPRによるUL電力の低下も無いので、基地局AのUL電力とDL電力とは同程度の品質(例えば、図7では「○」)になり得る。
【0066】
また、基地局Bと端末20との間の通信品質は、端末20との位置関係に起因して、基地局Aと端末20との間の通信品質よりも低い。例えば、基地局BのDL電力およびUL電力は、基地局AのDL電力およびUL電力よりも低い値であり得る(例えば、図7において「△」と表す)。
【0067】
よって、ケース1では、基地局10(基地局Aまたは基地局B)は、例えば、端末20に対する基地局Aおよび基地局BのDL電力に基づいて、端末20の接続先(例えば、ULにおける接続先)の基地局を選択してよい。例えば、図7に示す例では、基地局10がDL電力に基づいて端末20の接続先基地局を選択する場合、DL電力がより高い基地局Aが選択される。
【0068】
なお、ケース1では、図7に示すように、端末20に対するULの通信品質は、基地局Bよりも基地局Aの方が良好である。換言すると、ケース1における端末20の理想の接続先基地局は基地局Aである。
【0069】
以上より、ケース1では、基地局10は、DL電力に基づいて、端末20の接続先基地局に、ULの通信品質が良好な基地局を選択できる。
【0070】
<ケース2>
ケース2は、端末20と基地局Aとの間の通信において人体による遮蔽が有り、P-MPRによるUL送信電力の低下が無い場合である。よって、ケース2では、人体による遮蔽の影響によって、基地局Aと端末20との間の通信品質はケース1と比較して低下し得る。例えば、ケース2では、基地局AのDL電力およびUL電力はケース1よりも低い(例えば、図7において「△」と表す)。
【0071】
また、ケース2では、端末20と基地局Aとの間の通信において、人体による遮蔽の影響はDLおよびULの双方に及ぶので、基地局AのUL電力とDL電力とは同程度の品質(例えば、図7では「△」)になり得る。
【0072】
また、例えば、基地局BのDL電力およびUL電力は、端末20との位置関係に起因して、ケース1の基地局AのDL電力およびUL電力(例えば、図7では「○」)よりも低い値になり得る(例えば、図7において「△」と表す)。
【0073】
よって、ケース2では、基地局10(基地局Aまたは基地局B)は、例えば、端末20に対する基地局Aおよび基地局BのDL電力に基づいて、端末20の接続先(例えば、ULにおける接続先)の基地局を選択してよい。
【0074】
なお、図7では、ケース2において、基地局Aおよび基地局Bの双方のDL電力およびUL電力を、ケース1の基地局AのDL電力およびUL電力と比較して「△」で表している。ただし、ケース2では、基地局Aに対する通信品質の低下は人体による遮蔽に起因し、基地局Bに対する通信品質の低下は、端末20との間の距離(換言すると、距離減衰)に起因している。このため、ケース2における基地局Aの通信品質と基地局Bの通信品質との間の関係(例えば、大小)は、人体による遮蔽および距離減衰の影響の大きさに応じて異なり得る。後述するケース3のDL電力についても同様である。
【0075】
そこで、図7に示す例では、基地局10がDL電力に基づいて端末20の接続先基地局を選択する場合、DL電力がより高い基地局Aまたは基地局Bが選択される。
【0076】
以上より、ケース2では、基地局10は、DL電力に基づいて、端末20の接続先基地局に、ULの通信品質がより良好な基地局を選択できる。
【0077】
なお、ケース2は、P-MPRによる送信電力の低下が無い場合としたが、これに限らない。例えば、ケース2は、ケース3と比較して、P-MPRによる送信電力の低下が小さく(換言すると、P-MPRの値が小さく)、ULおよびDLの通信品質を同程度と扱ってよい場合でもよい。
【0078】
<ケース3>
ケース3は、端末20と基地局Aとの間の通信において人体による遮蔽が有り、P-MPRによるUL送信電力の低下が有る場合である。よって、ケース3では、人体による遮蔽の影響によって、基地局Aと端末20との間の通信品質はケース1と比較して低下し得る。また、ケース3では、P-MPRによってUL電力が低下する。例えば、ケース3では、基地局AのDL電力はケース1よりも低く(例えば、図7において「△」と表す)、基地局AのUL電力はDL電力(図7では「△」)よりも低い(例えば、図7において「×」と表す)。
【0079】
換言すると、ケース3では、基地局AのUL電力(例えば、図7では「×」)の方が、DL電力(例えば、図7では「△」)よりも品質が悪い。
【0080】
また、基地局BのDL電力およびUL電力は、端末20との位置関係に起因して、ケース1の基地局AのDL電力およびUL電力(例えば、図7では「○」)よりも低い値になり得る(例えば、図7において「△」と表す)。
【0081】
よって、ケース3では、基地局10(基地局Aまたは基地局B)は、例えば、端末20に対する基地局Aおよび基地局BのDL電力およびUL電力に基づいて、端末20の接続先(例えば、ULにおける接続先)の基地局を選択してよい。
【0082】
ケース3では、図7に示すように、ULの通信品質は、基地局Aよりも基地局Bの方が良好である可能性が高い。換言すると、ケース3における端末20の理想の接続先基地局は基地局Bである。
【0083】
仮に、ケース3において、ケース2と同様、基地局10がDL電力に基づいて端末20の接続先基地局を選択する場合、ケース2と同様、人体による遮蔽および距離減衰の影響の大きさに応じて異なるDL電力に基づいて、DL電力がより高い基地局Aまたは基地局Bが選択される。このため、ケース3において、DL電力に基づく接続先基地局の選択方法では、理想の接続先基地局(ここでは、基地局B)が選択されない可能性がある。
【0084】
一方、基地局10がDL電力およびUL電力に基づいて接続先基地局を選択する場合、基地局Aと基地局BとのUL電力の差異によって、UL電力がより高い基地局Bが選択される可能性が高くなる。以上より、ケース3では、基地局10は、DL電力およびUL電力に基づいて、端末20の接続先基地局に、ULの通信品質がより良好な基地局を選択できる。
【0085】
以上、ケース1、2および3についてそれぞれ説明した。
【0086】
このように、制御方法1では、端末20は、UL duty cycleとP-MPRとの関連付けに基づいて、UL送信電力を決定する。
【0087】
FR2では、各Power Classに規定される最大送信電力の設定幅(換言すると、上限値と下限値との差)がFR1と比較して大きい(例えば、図1を参照)。制御方法1では、端末20は、例えば、UL duty cycleおよびP-MPRの双方を考慮してUL送信電力を決定できる。例えば、UL duty cycleの値が大きいほど、P-MPRは大きく設定される(例えば、図5を参照)。
【0088】
この設定により、例えば、端末20は、Power Classに規定される最大送信電力のうち端末20に設定される送信電力に応じて、UL duty cycleおよびP-MPRを決定できる。よって、制御方法1によれば、Power Classに規定された範囲内の何れの送信電力が設定される場合でも、端末20は、過不足無くUL送信電力を低下して、UL信号を送信できる。制御方法1によれば、例えば、端末20は、UL送信電力を適切に設定して、電波防護指針を満たせる。
【0089】
また、制御方法1では、基地局10は、端末20から通知されるUL duty cycleに基づいて、端末20が用いるP-MPR(例えば、上限値)を特定する。基地局10がP-MPRを特定することにより、基地局10は、例えば、UL信号の受信品質(例えば、受信電力)の低下が、端末20によるP-MPRの設定に起因するのか、他の要因(例えば、人体による遮蔽)に起因するのかを判別できる。よって、基地局10は、P-MPRの設定(例えば、送信電力の低下の有無)に応じて、例えば、端末20に対するULリソース(例えば、接続先基地局)をスケジューリングできる。
【0090】
[制御方法2]
FR1を使用する無線通信では、基地局によって端末に通知される送信電力に関する情報に、例えば、端末の送信電力(又は出力電力)の最大値を示す情報(例えば、Pmaxと記載されることがある)がある。
【0091】
例えば、FR1を使用する無線通信では、電波の影響を受ける精密機器が使用される場所(例えば、病院)、および、他システムへの干渉調整において、端末の送信電力を抑える場合に、基地局からPmaxが指定される。端末は、Pmaxに基づいて、例えば、Pmax以下の範囲において、UL送信電力を制御する。
【0092】
制御方法2では、FR2を使用する無線通信においてPmaxを利用する場合について説明する。
【0093】
制御方法2では、基地局10は、UL信号の最大送信電力値(例えば、Pmax)と、UL信号の送信割合(例えば、UL duty cycle)との関連付けに基づいて、端末20に設定されるPmaxに対応するUL duty cycleを決定する。また、基地局10は、決定したUL duty cycleに基づいて端末20に対するULリソースの割り当てを決定する。
【0094】
端末20は、例えば、PmaxとUL duty cycleとの関連付けおよび端末20に設定されるPmaxに基づいて決定されるUL信号の割り当てを示す情報を基地局10から受信し、受信した情報に基づいて、UL送信電力を決定する。
【0095】
図8は、本実施の形態に係る制御方法2に基づく基地局10および端末20の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0096】
基地局10は、端末20に対するPmaxを決定する(S201)。
【0097】
基地局10は、PmaxとUL duty cycleとの関連付けに基づいて、決定したPmaxに関連付けられたUL duty cycleを決定する(S202)。
【0098】
図9は、PmaxとUL duty cycleとの関連付けの一例を示す。図9では、Pmax(例えば、35dBm、25dBm、15dBm、および、5dBm)に対して、UL duty cycle(例えば、25%、50%、75%、および、100%)が1対1で関連付けられている。
【0099】
なお、PmaxとUL duty cycleとの関連付けは、図9に示す例に限定されない。例えば、PmaxおよびUL duty cycleの値は、図9に示す値に限定されない。また、PmaxおよびUL duty cycleの候補数は、図9に示す例(例えば、4候補)に限定されない。
【0100】
ここで、Pmaxが大きいほど、端末20では、UL送信電力が高く設定され得る。このため、Pmaxが大きく、UL送信電力が大きいほど、UL信号の送信電力が電波防護指針を満たすための送信電力の低下量は大きくなる可能性が高い。一方、UL duty cycleの値が小さいほど、所定期間におけるUL信号の送信割合が低くなり、UL信号の送信電力は低くなる。よって、図9に示すPmaxとUL duty cycleとの関連付けにおいて、Pmaxが大きいほど、UL duty cycleの値は小さくなる。
【0101】
例えば、図9において、基地局10は、Pmax=35dBmの場合、25%以下の範囲のUL duty cycleを決定する。また、図9において、例えば、基地局10は、Pmax=15dBmの場合、75%以下の範囲のUL duty cycleを決定する。
【0102】
図8において、基地局10は、端末20に対してULの割り当てを決定(換言すると、スケジューリング)する(S203)。例えば、基地局10は、決定したUL duty cycle(換言すると、ULとDLとの比率)に基づいて、ULの割り当てを決定してよい。
【0103】
基地局10は、UL送信に関する情報を端末20へ通知する(S204)。UL送信に関する情報には、例えば、UL送信電力に関する情報の一例であるPmax、および、ULの割り当てに関する情報の一例であるUL grantが含まれてよい。なお、PmaxおよびUL grantは、同時に通知されてもよく、個別に通知されてもよい。例えば、Pmaxは、上位レイヤシグナリング(例えば、Radio Resource Control (RRC)signaling、higher layer signalingまたはhigher layer parameterとも呼ぶ)、下り制御情報(例えば、downlink control information(DCI))または、下り制御チャネル(例えば、Physical Downlink Control Channel(PDCCH))の信号を用いて通知されてもよい。
【0104】
また、Pmaxの通知のタイミングは、図8に示す例に限定されない。例えば、Pmaxの通知のタイミングは、図8に示すS201からS205までの間の何れかに設定されてよい。
【0105】
端末20は、例えば、基地局10から通知されたPmaxを用いて、UL信号(例えば、ULデータ)のUL送信電力を決定する(S205)。
【0106】
端末20は、例えば、基地局10から通知されたUL grant、および、決定した送信電力に従って、ULデータを基地局10へ送信する(S206)。基地局10は、端末20から送信されたUL信号(例えば、ULデータ)を受信する。
【0107】
制御方法2によれば、基地局10は、端末20に設定されるPmaxとUL duty cycleとの関連付けに基づいて、所定期間におけるUL信号の送信割合(換言すると、UL信号の割り当て)を決定することにより、端末20のUL送信電力を設定できる。例えば、制御方法2では、Pmaxが大きいほど、UL duty cycleの値は小さくなる。
【0108】
例えば、UL信号の割り当てでは、Pmaxが大きいほど、所定期間におけるUL信号の送信割合が低くなる分、端末20のUL送信電力は低下する。よって、Pmaxが大きいほど、UL duty cycleの値を小さくすることにより、端末20においてUL送信電力を低下できるので、電波防護指針を満たしやすくなる。
【0109】
また、例えば、UL信号の割り当てでは、Pmaxが小さいほど、所定期間におけるUL信号の送信割合が高くなる分、端末20のUL送信電力の低下が抑えられる。よって、Pmaxが小さいほど、UL duty cycleの値を大きくすることにより、端末20においてUL送信電力が過剰に低下することを防止できる。換言すると、端末20は、UL送信電力を過剰に低下せずに、電波防護指針を満たせる。
【0110】
このように、制御方法2では、基地局10は、Power Classに規定される最大送信電力のうち端末20に設定される送信電力に応じて、PmaxおよびUL duty cycleの双方を考慮してUL送信電力を決定できる。よって、制御方法2によれば、Power Classに規定された範囲内の何れの送信電力が設定される場合でも、端末20は、電波防護指針を満たしつつ、過不足無くUL送信電力を低下して、UL信号を送信できる。
【0111】
また、例えば、ULのスループットの向上が期待されるエリア(またはセル)では、基地局10は、端末20に対してPmaxをより小さく設定する。Pmaxがより小さく設定されることにより、UL duty cycleの値はより大きく設定される(例えば、図9を参照)。この設定により、例えば、UL信号がより多くの時間リソースに分散して割り当てられるので、端末20は、ULの送信割合を増加でき、ULのスループットを向上できる。
【0112】
また、例えば、カバレッジの拡張が期待されるエリア(またはセル)では、基地局10は、端末20に対してPmaxをより大きく設定する。Pmaxがより大きく設定されることにより、UL duty cycleの値はより小さく設定される(例えば、図9を参照)。この設定により、例えば、UL信号がより少ない時間リソースに集中して割り当てられるものの、当該時間リソースにおいてより大きなUL送信電力を用いてUL信号を送信できるので、ULのカバレッジを拡張できる。
【0113】
このように、制御方法2によれば、基地局10は、Pmaxの設定に応じて、例えば、セル内のスループットおよびセルカバレッジを柔軟に制御できる。
【0114】
なお、制御方法2において、PmaxとUL duty cycleとの関連付け(例えば、図9を参照)は、基地局10と端末20との間で共有されてよい。この場合、端末20は、基地局10から通知されるPmaxに基づいて、基地局10が設定したUL duty cycle(例えば、上限値)を特定できる。この特定により、端末20は、電波防護指針を満たすために考慮すべきUL duty cycleの候補数(換言すると、UL信号の送信割合のパターン数)を削減できる。例えば、端末20は、PmaxとUL duty cycleとの関連付けに基づいて特定したUL duty cycleでは電波防護指針を満たさない場合、当該UL duty cycleの値よりも低いUL duty cycleの何れかを再設定する。この際、端末20は、PmaxとUL duty cycleとの関連付けに基づいて特定したUL duty cycleより高いUL duty cycleを再設定の対象から除外してよい。
【0115】
[制御方法3]
制御方法3は、上述した制御方法1および制御方法2を組み合わせた方法である。
【0116】
例えば、基地局10は、制御方法2のように、PmaxとUL duty cycleとの関連付けに基づいて、端末20に対して設定したPmaxに対応するUL duty cycleを決定し、Pmaxを示す情報およびUL grantを端末20へ通知する。
【0117】
端末20は、例えば、基地局10に設定された情報(例えば、UL grantおよびPmax)に基づいて、送信電力を制御する。このとき、例えば、電波防護指針を満たせるUL duty cycle(換言すると、UL信号の送信割合)が、基地局10が設定したUL grantにおけるUL信号の送信割合よりも低い場合があり得る。この場合、端末20は、例えば、制御方法1のように、電波防護指針を満たせるUL duty cycleに関連付けられたP-MPRを用いてUL送信電力を決定してよい。そして、端末20は、決定したUL送信電力を用いて、UL信号を基地局10へ送信する。
【0118】
また、端末20は、制御方法1と同様にして、設定したUL duty cycleを示す情報を基地局10へ通知してよい。基地局10は、制御方法1と同様にして、UL duty cycleに関連付けられたP-MPRに基づいて、端末20をスケジューリングしてもよい。
【0119】
このように、制御方法3により、端末20は、例えば、端末20に対するPmax、UL duty cycle、および、P-MPRに基づいて、UL送信電力を適切に設定できる。よって、制御方法3によれば、端末20は、UL送信電力を適切に設定し、電波防護指針を満たせる。
【0120】
以上、制御方法1~3についてそれぞれ説明した。
【0121】
以上より、本実施の形態では、端末20は、所定期間におけるUL信号の送信割合(例えば、UL duty cycle)と送信電力パラメータ(例えば、P-MPRまたはPmax)との関連付け(例えば、図5または図9を参照)に基づいて、UL送信電力を決定する。そして、端末200は、決定したUL送信電力を用いてUL信号を送信する。
【0122】
この送信電力制御により、端末20は、例えば、UL duty cycleおよび送信電力パラメータの双方の組み合わせに基づいて、電波防護指針を満たす範囲で適切な送信電力制御を実現できる。
【0123】
なお、図5に示すUL duty cycleとP-MPRとの関連付けにおいて、UL duty cycleの値が大きいほど、P-MPRが大きい場合について説明したが、これに限定されない。例えば、UL duty cycleの値が大きいほど、P-MPRが小さくてよい。また、図9に示すPmaxとUL duty cycleとの関連付けにおいて、Pmaxが大きいほど、UL duty cycleの値が小さい場合について説明したが、これに限定されない。例えば、Pmaxが大きいほど、UL duty cycleの値が大きくてよい。
【0124】
また、上述した実施の形態における「Pmax」、「P-MPR」および「UL duty cycle」は、送信電力に関する情報の一例であり、本開示はこれに限定されない。送信電力に関する情報は、他の用語に置き換えられてもよい。
【0125】
また、上述した実施の形態に係る基地局10(図2を参照)は、例えば、LTEバンド、FR1、および、FR2において、端末20(図3を参照)と通信してよい。なお、LTEバンドにおいて端末20と通信する基地局、FR1において端末20と通信する基地局、および、FR2において端末20と通信する基地局は、それぞれ、別の基地局であってもよい。あるいは、基地局は、LTEバンドの通信、FR1の通信、および、FR2の通信の一部又は全部をサポートしてもよい。また、上述した実施の形態に係る端末20は、例えば、LTE、FR1、および、FR2において、基地局10と通信してよい。
【0126】
また、端末20は、FR2のスタンドアローン(Standalone:SA)の動作であってよい。あるいは、端末20は、ノンスタンドアローン(Non Standalone:NSA)の動作であってもよい。例えば、端末20は、FR2と、LTEおよびFR1の少なくとも一つとの組み合わせで通信してよい。例えば、端末20は、Dual Connectivity(DC)により、LTEおよびFR1の少なくとも一つにて動作する基地局と、FR2にて動作する基地局とに接続してよい。
【0127】
また、上り信号の送信割合に関するパラメータとUL送信電力に関するパラメータとの間の「関連付け」という表現は、例えば、「対応付け」、「関係」、「読替」、「解釈」および「変換」等の他の表現に読み替えられてもよい。
【0128】
(ハードウェア構成)
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0129】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0130】
例えば、本開示の一実施の形態における基地局、端末などは、本開示の無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図10は、本開示の一実施の形態に係る基地局及び端末のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の基地局10及び端末20は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0131】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。基地局10及び端末20のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0132】
基地局10及び端末20における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0133】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。例えば、上述の制御部103および制御部203などは、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0134】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、基地局10の制御部103または端末20の制御部203は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0135】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0136】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0137】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の送信部101、受信部102、受信部201および送信部202などは、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0138】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0139】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0140】
また、基地局10及び端末20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0141】
(情報の通知、シグナリング)
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0142】
(適用システム)
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(New Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0143】
(処理手順等)
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0144】
(基地局の動作)
本開示において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MME又はS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
【0145】
(入出力の方向)
情報等(※「情報、信号」の項目参照)は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0146】
(入出力された情報等の扱い)
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0147】
(判定方法)
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0148】
(ソフトウェア)
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0149】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0150】
(情報、信号)
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0151】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0152】
(「システム」、「ネットワーク」)
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0153】
(パラメータ、チャネルの名称)
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0154】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0155】
(基地局(無線基地局))
本開示においては、「基地局(BS:Base Station)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)」、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0156】
基地局は、1つ又は複数(例えば、3つ)のセルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(RRH:Remote Radio Head))によって通信サービスを提供することもできる。「セル」又は「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部又は全体を指す。
【0157】
(端末)
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0158】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0159】
(基地局/移動局)
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。
【0160】
また、本開示における基地局は、ユーザ端末で読み替えてもよい。例えば、基地局及びユーザ端末間の通信を、複数のユーザ端末間の通信(例えば、D2D(Device-to-Device)、V2X(Vehicle-to-Everything)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、上述の基地局10が有する機能を端末20が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
【0161】
同様に、本開示における端末は、基地局で読み替えてもよい。この場合、上述の端末20が有する機能を基地局10が有する構成としてもよい。
【0162】
(用語の意味、解釈)
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0163】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0164】
参照信号は、RS(Reference Signal)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
【0165】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0166】
「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0167】
上記の各装置の構成における「部」を、「手段」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0168】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0169】
無線フレームは時間領域において1つ又は複数のフレームによって構成されてもよい。時間領域において1つ又は複数の各フレームはサブフレームと呼ばれてもよい。サブフレームは更に時間領域において1つ又は複数のスロットによって構成されてもよい。サブフレームは、ニューメロロジー(numerology)に依存しない固定の時間長(例えば、1ms)であってもよい。
【0170】
ニューメロロジーは、ある信号又はチャネルの送信及び受信の少なくとも一方に適用される通信パラメータであってもよい。ニューメロロジーは、例えば、サブキャリア間隔(SCS:SubCarrier Spacing)、帯域幅、シンボル長、サイクリックプレフィックス長、送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)、TTIあたりのシンボル数、無線フレーム構成、送受信機が周波数領域において行う特定のフィルタリング処理、送受信機が時間領域において行う特定のウィンドウイング処理などの少なくとも1つを示してもよい。
【0171】
スロットは、時間領域において1つ又は複数のシンボル(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、SC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)シンボル等)で構成されてもよい。スロットは、ニューメロロジーに基づく時間単位であってもよい。
【0172】
スロットは、複数のミニスロットを含んでもよい。各ミニスロットは、時間領域において1つ又は複数のシンボルによって構成されてもよい。また、ミニスロットは、サブスロットと呼ばれてもよい。ミニスロットは、スロットよりも少ない数のシンボルによって構成されてもよい。ミニスロットより大きい時間単位で送信されるPDSCH(又はPUSCH)は、PDSCH(又はPUSCH)マッピングタイプAと呼ばれてもよい。ミニスロットを用いて送信されるPDSCH(又はPUSCH)は、PDSCH(又はPUSCH)マッピングタイプBと呼ばれてもよい。
【0173】
無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、いずれも信号を伝送する際の時間単位を表す。無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、それぞれに対応する別の呼称が用いられてもよい。
【0174】
例えば、1サブフレームは送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)と呼ばれてもよいし、複数の連続したサブフレームがTTIと呼ばれてよいし、1スロット又は1ミニスロットがTTIと呼ばれてもよい。つまり、サブフレーム及びTTIの少なくとも一方は、既存のLTEにおけるサブフレーム(1ms)であってもよいし、1msより短い期間(例えば、1-13シンボル)であってもよいし、1msより長い期間であってもよい。なお、TTIを表す単位は、サブフレームではなくスロット、ミニスロットなどと呼ばれてもよい。
【0175】
ここで、TTIは、例えば、無線通信におけるスケジューリングの最小時間単位のことをいう。例えば、LTEシステムでは、基地局が各ユーザ端末に対して、無線リソース(各ユーザ端末において使用することが可能な周波数帯域幅、送信電力など)を、TTI単位で割り当てるスケジューリングを行う。なお、TTIの定義はこれに限られない。
【0176】
TTIは、チャネル符号化されたデータパケット(トランスポートブロック)、コードブロック、コードワードなどの送信時間単位であってもよいし、スケジューリング、リンクアダプテーションなどの処理単位となってもよい。なお、TTIが与えられたとき、実際にトランスポートブロック、コードブロック、コードワードなどがマッピングされる時間区間(例えば、シンボル数)は、当該TTIよりも短くてもよい。
【0177】
なお、1スロット又は1ミニスロットがTTIと呼ばれる場合、1以上のTTI(すなわち、1以上のスロット又は1以上のミニスロット)が、スケジューリングの最小時間単位となってもよい。また、当該スケジューリングの最小時間単位を構成するスロット数(ミニスロット数)は制御されてもよい。
【0178】
1msの時間長を有するTTIは、通常TTI(LTE Rel.8-12におけるTTI)、ノーマルTTI、ロングTTI、通常サブフレーム、ノーマルサブフレーム、ロングサブフレーム、スロットなどと呼ばれてもよい。通常TTIより短いTTIは、短縮TTI、ショートTTI、部分TTI(partial又はfractional TTI)、短縮サブフレーム、ショートサブフレーム、ミニスロット、サブスロット、スロットなどと呼ばれてもよい。
【0179】
なお、ロングTTI(例えば、通常TTI、サブフレームなど)は、1msを超える時間長を有するTTIで読み替えてもよいし、ショートTTI(例えば、短縮TTIなど)は、ロングTTIのTTI長未満かつ1ms以上のTTI長を有するTTIで読み替えてもよい。
【0180】
リソースブロック(RB)は、時間領域及び周波数領域のリソース割当単位であり、周波数領域において、1つ又は複数個の連続した副搬送波(subcarrier)を含んでもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに関わらず同じであってもよく、例えば12であってもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに基づいて決定されてもよい。
【0181】
また、RBの時間領域は、1つ又は複数個のシンボルを含んでもよく、1スロット、1ミニスロット、1サブフレーム、又は1TTIの長さであってもよい。1TTI、1サブフレームなどは、それぞれ1つ又は複数のリソースブロックで構成されてもよい。
【0182】
なお、1つ又は複数のRBは、物理リソースブロック(PRB:Physical RB)、サブキャリアグループ(SCG:Sub-Carrier Group)、リソースエレメントグループ(REG:Resource Element Group)、PRBペア、RBペアなどと呼ばれてもよい。
【0183】
また、リソースブロックは、1つ又は複数のリソースエレメント(RE:Resource Element)によって構成されてもよい。例えば、1REは、1サブキャリア及び1シンボルの無線リソース領域であってもよい。
【0184】
帯域幅部分(BWP:Bandwidth Part)(部分帯域幅などと呼ばれてもよい)は、あるキャリアにおいて、あるニューメロロジー用の連続する共通RB(common resource blocks)のサブセットのことを表してもよい。ここで、共通RBは、当該キャリアの共通参照ポイントを基準としたRBのインデックスによって特定されてもよい。PRBは、あるBWPで定義され、当該BWP内で番号付けされてもよい。
【0185】
BWPには、UL用のBWP(UL BWP)と、DL用のBWP(DL BWP)とが含まれてもよい。UEに対して、1キャリア内に1つ又は複数のBWPが設定されてもよい。
【0186】
設定されたBWPの少なくとも1つがアクティブであってもよく、UEは、アクティブなBWPの外で所定の信号/チャネルを送受信することを想定しなくてもよい。なお、本開示における「セル」、「キャリア」などは、「BWP」で読み替えられてもよい。
【0187】
上述した無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルなどの構造は例示に過ぎない。例えば、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレーム又は無線フレームあたりのスロットの数、スロット内に含まれるミニスロットの数、スロット又はミニスロットに含まれるシンボル及びRBの数、RBに含まれるサブキャリアの数、並びにTTI内のシンボル数、シンボル長、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)長などの構成は、様々に変更することができる。
【0188】
本開示に記載の「最大送信電力」は、送信電力の最大値を意味してもよいし、公称最大送信電力(the nominal UE maximum transmit power)を意味してもよいし、定格最大送信電力(the rated UE maximum transmit power)を意味してもよい。
【0189】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0190】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0191】
(態様のバリエーション等)
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0192】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0194】
10 基地局
20 端末
101,202 送信部
102,201 受信部
103,203 制御部
図1
図2
図3
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図10