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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】カメラモジュール及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20221004BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20221004BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20221004BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G03B17/02
G02B7/02 E
G02B7/02 Z
G03B30/00
H04N5/225 100
H04N5/225 700
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021538889
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2019107929
(87)【国際公開番号】W WO2021017131
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】201910690860.5
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521107264
【氏名又は名称】江西聯益光学有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGXI LIANYI OPTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1699,Jingdong Road,Nanchang Hi-Tech Development Zone,Nanchang,Jiangxi 330096 CN
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼彬全
(72)【発明者】
【氏名】熊▲シン▼▲イウ▼
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047350(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/200126(WO,A1)
【文献】特開平11-084199(JP,A)
【文献】特開2014-186285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
G02B 7/02-7/16
G03B 30/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズベース、レンズ、センサアセンブリ及び緩み止めネジを含むカメラモジュールであって、
前記レンズベースは、互いに対向する第1表面と第2表面を含み、前記レンズベースは、レンズ取付孔を構成する内周壁をさらに含み、前記レンズ取付孔は、前記第1表面から前記第2表面まで貫通し、前記レンズ取付孔は、前記レンズを取り付けるために用いられ、前記レンズベースには、前記緩み止めネジを取り付けるためのネジ孔が形成され、前記レンズベースは、支持台、位置決め案内筒及び雌ネジをさらに含み、前記支持台、前記位置決め案内筒及び前記雌ネジは、前記内周壁に形成されるとともに、順に前記第1表面に沿って前記第2表面の方向に向かって設けられ、前記支持台は、前記第1表面から前記第2表面に向かって凹んで形成され、
前記レンズは、外周壁、雄ネジ、位置決め案内段差及び位置規制リングを含み、前記雄ネジ、前記位置決め案内段差及び前記位置規制リングは、いずれも前記外周壁に設けられ、前記雄ネジは前記雌ネジに螺合され、前記位置決め案内段差は、前記位置決め案内筒に取り付けられ、前記位置規制リングは、前記支持台に取り付けられ、
前記センサアセンブリは、前記第2表面に密接して取り付けられ、
前記緩み止めネジは、前記レンズを前記レンズベースに固定して取り付け、前記レンズベースと前記センサアセンブリを固定するためのものであり、
前記ネジ孔は、前記第1表面に形成されるとともに前記位置規制リングの外側に位置する第1ネジ孔と、前記第2表面に形成される第2ネジ孔とを含み、前記緩み止めネジは、前記第1ネジ孔に取り付けられる第1緩み止めネジと、前記第2ネジ孔に取り付けられる第2緩み止めネジとを含み、
前記位置規制リングは、互いに配向する第3表面と第4表面とを含み、前記第3表面は、前記支持台に当接し、前記第1緩み止めネジは、前記第1ネジ孔に螺合するとともに、前記第1緩み止めネジのナットが前記位置規制リングの前記第4表面を押圧して当接することにより前記レンズと前記レンズベースとを締め付けることを特徴とする、カメラモジュール。
【請求項2】
前記レンズベースは、環状ボスをさらに含み、前記環状ボスは、前記位置決め案内筒に接続され、前記レンズ取付孔の一部を構成し、前記雌ネジは、前記環状ボスに設けられることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記位置決め案内段差と前記位置決め案内筒とは過渡的に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記雄ネジと前記雌ネジとは隙間嵌めされることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記レンズベースは、完成品設備との組立に使用される位置決め柱をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
記第1緩み止めネジは、前記レンズと前記レンズベースを固定するために用いられ、前記第2緩み止めネジは、前記レンズベースと前記センサアセンブリを固定するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
記第1緩み止めネジは、少なくとも2つ設けられ、少なくとも2つの前記第1緩み止めネジは、前記レンズ取付孔の周りに設けられことを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記第2緩み止めネジは、少なくとも1つ設けられ、前記第2緩み止めネジは、前記センサアセンブリを通過して前記レンズベースの前記第2ネジ孔に螺合して固定されることを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記第2緩み止めネジと前記センサアセンブリとの間に接着媒体が充填されて弾性接続が形成されることを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記接着媒体は、AA接着剤、熱硬化性接着剤、エポキシ樹脂接着剤、感圧接着剤、光硬化性接着剤のうちの1種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項9に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
以下のステップ(1)-(8)を含むカメラモジュールの組立方法であって、
(1)レンズベースを提供し、前記レンズベースは、互いに背向する第1表面と第2表面を含み、前記レンズベースは、レンズ取付孔を構成する内周壁をさらに含み、前記レンズ取付孔は、前記第1表面から前記第2表面まで貫通し、前記第1表面に第1ネジ孔が形成され、前記第2表面に第2ネジ孔が形成され、前記レンズベースは、支持台、位置決め案内筒及び雌ネジをさらに含み、前記支持台、前記位置決め案内筒及び前記雌ネジは、前記内周壁に形成されるとともに、順に前記第1表面に沿って前記第2表面の方向に向かって設けられ、前記支持台は、前記第1表面から前記第2表面に向かって凹んで形成され、
(2)レンズを提供し、前記レンズは、外周壁、雄ネジ、位置決め案内段差及び位置規制リングを含み、前記雄ネジ、前記位置決め案内段差及び前記位置規制リングは、いずれも前記外周壁に設けられ、前記位置決め案内段差は、前記雄ネジと前記位置規制リングとの間に位置し、前記位置規制リングは、第3表面及び第4表面を含み、前記第3表面は、前記位置決め案内段差に向かい、前記第4表面と背向し、前記第1ネジ孔が前記位置規制リングの外側に位置し、
(3)前記レンズを前記位置決め案内筒を通して前記レンズ取付孔にねじ込み、前記雄ネジと前記雌ネジとを螺合して締め付け、前記位置規制リングの前記第3表面が前記支持台に当接すると、前記レンズと前記レンズベースは軸方向において締め付けられ、
(4)第1緩み止めネジを提供し、前記第1緩み止めネジを前記レンズベースの前記第1ネジ孔内にねじ込み、前記第1緩み止めネジのナットが前記位置規制リングの前記第4表面に押圧して当接すると、前記レンズと前記レンズベースとは固定して接続され、
(5)イメージセンサ及び回路基板を提供し、前記イメージセンサを前記回路基板の表面に密接して取り付け、センサアセンブリの組立を実現し、
(6)前記イメージセンサが前記レンズ取付孔に収容されるように、前記センサアセンブリを前記レンズベースの前記第2表面に設け、接着剤を充填し、前記センサアセンブリの位置を調整し、前記レンズの焦点と前記イメージセンサの中心とを一致させ、前記レンズの光軸と前記イメージセンサの中心法線とを一致させ、
(7)前記レンズベースと前記センサアセンブリとの間の前記接着剤をベークして硬化させ、
(8)第2緩み止めネジを提供し、前記第2緩み止めネジを前記センサアセンブリに通過させ、前記レンズベースの前記第2ネジ孔内にねじ込み、前記第2緩み止めネジと前記センサアセンブリとの間に接着媒体を充填して弾性接続を形成し、前記第2緩み止めネジにより前記センサアセンブリを前記レンズベースにロックし、前記カメラモジュールの組立を完成させる、ことを特徴とする組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
出願は、2019年7月29日に中国国家知識産権局に提出された特許出願201910690860.5(発明の名称:カメラモジュール及びその組立方法)の優先権を主張し、その内容は全て参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、カメラの技術分野に属し、特にカメラモジュール及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0003】
市販されているカメラモジュールは、一般的にレンズ、レンズベース及びセンサアセンブリを含む。カメラモジュールの組立過程において、如何にこれらの部材を良好に組み立てるかは当業者の来研究の方向となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の主な目的は、レンズとレンズベースの接続、及びレンズベースとセンサアセンブリの接続が緩くなる恐れがあるという問題を解決し、モジュールの組立を容易にするために、カメラモジュールを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、レンズベースを取付基準とする際に、レンズの光軸のレンズベースの位置決め基準に対する位置度に対して要求が高いという問題を解決するために、カメラモジュールの組立方法を提供することである。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術手段を採用する。
【0007】
第1態様では、本発明の実施例は、カメラモジュールを提供する。カメラモジュールは、レンズベース、レンズ、センサアセンブリ及び緩み止めネジを含み、レンズベースは、互いに対向する第1表面と第2表面を含み、レンズベースは、レンズ取付孔を構成する内周壁をさらに含み、レンズ取付孔は、第1表面から第2表面まで貫通し、レンズ取付孔は、レンズを取り付けるために用いられ、レンズベースには、緩み止めネジを取り付けるためのネジ孔が形成され、レンズベースは、支持台、位置決め案内筒及び雌ネジをさらに含み、支持台、位置決め案内筒及び雌ネジは、内周壁に形成されるとともに、順に第1表面に沿って第2表面の方向に向かって設けられ、支持台は、第1表面から第2表面に向かって凹んで形成され、レンズは、外周壁、雄ネジ、位置決め案内段差及び位置規制リングを含み、雄ネジ、位置決め案内段差及び位置規制リングは、いずれも外周壁に設けられ、雄ネジは雌ネジに螺合され、位置決め案内段差は、位置決め案内筒に取り付けられ、位置規制リングは、支持台に取り付けられ、センサアセンブリは、第2表面に密接して取り付けられ、緩み止めネジは、レンズをレンズベースに固定して取り付け、レンズベースとセンサアセンブリを固定するためのものである。
【0008】
第2態様では、本発明の実施例は、カメラモジュールの組立方法を提供する。この組立方法は、以下のステップを含む。
(1)レンズベースを提供し、レンズベースは、互いに背向する第1表面と第2表面を含み、レンズベースは、レンズ取付孔を構成する内周壁をさらに含み、レンズ取付孔は、第1表面から第2表面まで貫通し、レンズベースにはネジ孔が形成され、レンズベースは、支持台、位置決め案内筒及び雌ネジをさらに含み、支持台、位置決め案内筒及び雌ネジは、内周壁に形成されるとともに、順に第1表面に沿って第2表面の方向に向かって設けられ、支持台は、第1表面から第2表面に向かって凹んで形成され、
(2)レンズを提供し、レンズは、外周壁、雄ネジ、位置決め案内段差及び位置規制リングを含み、雄ネジ、位置決め案内段差及び位置規制リングは、いずれも外周壁に設けられ、位置決め案内段差は、雄ネジと位置規制リングとの間に位置し、位置規制リングは、第3表面及び第4表面を含み、第3表面は、位置決め案内段差に向かい、第4表面と背向し、
(3)レンズを位置決め案内筒を通してレンズ取付孔にねじ込み、雄ネジと雌ネジとを螺合して締め付け、位置規制リングの第3表面が支持台に当接すると、レンズとレンズベースは軸方向において締め付けられ、
(4)第1緩み止めネジを提供し、第1緩み止めネジをレンズベースのネジ孔内にねじ込み、第1緩み止めネジが位置規制リングの第4表面に押圧して当接すると、レンズとレンズベースとは固定して接続され、
(5)イメージセンサ及び回路基板を提供し、イメージセンサを回路基板の表面に密接して取り付け、センサアセンブリの組立を実現し、
(6)イメージセンサがレンズ取付孔に収容されるように、センサアセンブリをレンズベースの第2表面に設け、接着剤を充填し、センサアセンブリの位置を調整し、レンズの焦点とイメージセンサの中心とを一致させ、レンズの光軸とイメージセンサの中心法線とを一致させ、
(7)レンズベースとセンサアセンブリとの間の接着剤をベークして硬化させ、
(8)第2緩み止めネジを提供し、第2緩み止めネジをセンサアセンブリに通過させ、レンズベースのネジ孔内にねじ込み、第2緩み止めネジとセンサアセンブリとの間に接着媒体を充填して弾性接続を形成し、第2緩み止めネジによりセンサアセンブリをレンズベースにロックし、カメラモジュールの組立を完成させる。
【0009】
本発明に係るカメラモジュール及びその組立方法は、少なくとも以下の利点を有する。
(1)従来技術では、カメラモジュールの各部品間の組立は回路基板の表面を基準とするのに対し、本発明では、レンズベースを基準として組み立てる。これによって、イメージセンサを回路基板に取り付けるときの平坦度、中心度などに対する要求が低下し、組立が容易になり、生産加工に便利である。
(2)本発明では、緩み止めネジを使用することにより、振動や高温などの原因により接着剤の効力がなくなる問題が効果的に回避され、レンズとレンズベース、レンズベースとセンサアセンブリの接続堅固性が保証され、後日の手直し、メンテナンスなどに便利である。
(3)本発明に係るカメラモジュールの組立方法において、まずレンズとレンズベースを組み立てることにより、レンズの光軸がレンズベースの位置決め柱の基準位置に対して統一することが保証され、カメラモジュールと完成品設備を取り付けるときの統一性が保証される。
(4)本発明に係るカメラモジュールの組立方法によれば、イメージセンサの中心法線とレンズの光軸との同軸度が効果的に向上し、レンズの光軸とイメージセンサの中心法線とが一致し、カメラモジュールの良品率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るカメラモジュールの分解模式図である。
図2】本発明の実施例に係るカメラモジュールのレンズの構造模式図である。
図3】本発明の実施例に係るカメラモジュールのレンズベースの断面模式図である。
図4】本発明の実施例に係るカメラモジュールのセンサアセンブリの構造模式図である。
図5】本発明の実施例に係るカメラモジュールの断面模式図である。
図6】本発明の実施例に係るカメラモジュールの構造模式図である。
図7】本発明の実施例に係る完成品設備の構造模式図である。
【符号の説明】
【0011】
カメラモジュール10、レンズ100、位置規制リング101、位置決め案内段差102、雄ネジ103、第3表面104、第4表面105、外周壁106、レンズベース200、位置決め柱201、第1ネジ孔202、支持台203、位置決め案内筒204、雌ネジ205、第2ネジ孔206、第1表面207、第2表面208、環状ボス209、内周壁210、センサアセンブリ300、イメージセンサ301、貫通孔302、回路基板303、第1緩み止めネジ400、第2緩み止めネジ500、完成品設備600、ハウジング700。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をより分かりやすくするために、以下、添付する図面を参照しながら本発明をより全面的に説明する。図面には、本発明の複数の実施例が示される。ただし、本発明は、様々な態様で実現することができ、本願明細書に挙げられる実施例に限定されない。これらの実施例は、本発明の開示内容をより明確にするためのものに過ぎない。
【0013】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者に通常理解されている意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的に実施例を説明するためのものだけで、本発明を制限しない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、列挙される1つ又は複数の関連事項の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0014】
市販されているカメラモジュールは、一般的にレンズ、レンズベース及びセンサアセンブリを含む。如何に光学性能の要求及び機械的組立の位置関係を保証しながらこれらの部材を良好に組み立てるかは、当業者の研究方向となっている。従来技術の組立方式は、まずイメージセンサを表面実装技術(Surface Mounted Technology,SMT)により回路基板に貼り付け、そしてレンズベース及びセンサアセンブリを接着剤により接続し、レンズとレンズベースをネジにより接続し、さらに自動焦点調節技術によりレンズ位置を微調整してレンズの焦点とイメージセンサの中心とを一致させ、自動中心調節技術によりレンズ光軸とイメージセンサの中心法線とを一致させることである。
【0015】
しかしながら、本発明者は、研究したところ、上記組立方式には多くの不足が存在することを発見した。まず、レンズベースとセンサアセンブリ、レンズはいずれも接着剤により固定される方法では、接着剤の接着強度に完全に依存するので、センサアセンブリが脱落しやすい恐れがある。カメラモジュールを組み立てる過程において、塗布された接着剤は処理されないため、他の部材と摩擦して屑が落ちやすいことで、イメージセンサなどのデバイスを汚染し、結像品質に影響する場合がある。また、接着剤塗布は困難であり、接着剤は制御されにくい。
【0016】
さらに、回路基板は、温度変化により変形し反りやすいことで平坦度が低く、かつイメージセンサには本体公差及びSMTのパット公差が存在するため、回路基板に取り付けられるイメージセンサの位置の一致性が低い。レンズの焦点がイメージセンサの中心に落ちるとともに、レンズの光軸とイメージセンサの中心法線とが一致することを保証するために、自動焦点調節技術及び自動中心調節技術によりレンズを調整する必要がある。そうすると、レンズの光軸の、レンズベースの位置決め柱に対する基準が一致しないことを引き起こし、バッチで生産されるカメラモジュールが歪んで整合しないという問題が発生する。これによって、ユーザが取り付ける際にレンズベースの位置決め柱を基準とするため、モジュールを完成品設備に取り付けた後、光学性能が良くないという問題が発生する。
【0017】
そのため、レンズの光軸とレンズベース基準及びイメージセンサの中心法線との相対位置精度が高いカメラモジュール構造を設計し、レンズとレンズベース及びセンサアセンブリとの結合強度を向上させ、取付に便利で、脱落しにくく、イメージセンサなどのデバイスを汚染して結像品質を影響するカメラモジュールの組立方法を最適化する必要がある。
【0018】
図1は、本発明の実施例に係るカメラモジュール10の分解模式図である。特殊な位置決め要求を有するカメラモジュールは、レンズの光軸がイメージセンサの法線と一致し、位置決め基準に対するサイズ要求を満たす必要がある。
【0019】
具体的には、本実施例において、カメラモジュール10は、レンズ100、レンズベース200、センサアセンブリ300及び緩み止めネジを含む。レンズベース200にはレンズ100が取り付けられる。センサアセンブリ300は、レンズベース200に密接して取り付けられる。緩み止めネジは、レンズ100をレンズベース200に取り付け、レンズベース200とセンサアセンブリ300とを固定するものである。
【0020】
具体的には、本実施例において、図2は、本発明の実施例に係るレンズ100の構造模式図である。レンズ100は、外周壁106、雄ネジ103、位置決め案内段差102及び位置規制リング101を含む。雄ネジ103、位置決め案内段差102及び位置規制リング101は、いずれも外周壁106に設けられる。雄ネジ103、位置決め案内段差102及び位置規制リング101は、いずれもレンズ100の外側面に設けられる。位置決め案内段差102は、雄ネジ103と位置規制リング101との間に位置する。位置規制リング101は、レンズ100のほぼ中部に設けられる。位置規制リング101は、位置決め案内段差102から外へ突出する。位置規制リング101は、互いに背向する第3表面104と第4表面105を含む。雄ネジ103は、レンズ100の外側面の一端から位置決め案内段差102の方向に向かって延伸する。本明細書の実施例において、例えば、「中部」などの方位に関する用語は、図面中の構造間の相対位置を参考基準とするものである。
【0021】
本実施例では、位置決め案内段差102を設けることにより、レンズがレンズベース200のレンズ取付孔にスムーズにねじ込まれることが保証される。本実施例では、位置決め案内段差102から外へ突出する位置規制リング101を設けることにより、レンズ100がレンズベース200にねじ込まれた後に適切な位置に停止することが保証され、バッチ製品レンズのバックフォーカスのサイズが一致しないことが回避される。
【0022】
具体的には、本実施例において、図3は、本発明の実施例に係るレンズベース200の断面模式図である。レンズベース200は、互いに背向する第1表面207と第2表面208を含む。レンズベース200は、内周壁210をさらに含む。内周壁210はレンズ取付孔を構成する。レンズ取付孔は、第1表面207から第2表面208まで貫通する。レンズベース200にはネジ孔が形成され、ネジ孔に緩み止めネジが取り付けられる。ネジ孔は、第1ネジ孔202及び第2ネジ孔206を含む。第1ネジ孔202は、第1表面207に形成され、第1ネジ孔202とレンズ取付孔は重なり合う。第1ネジ孔202の数は、2以上であり、実施例において、第1ネジ孔202の数は2つである。2つの第1ネジ孔202は、レンズ取付孔の周りに設けられる。第2ネジ孔206は、第2表面208に形成される。第2ネジ孔206とレンズ取付孔の間に間隔が空けられる。第2ネジ孔206の数は1以上であるが、本実施例において、第2ネジ孔206の数は3つである。3つの第2ネジ孔206は、レンズ取付孔の周りに設けられる。
【0023】
レンズベース200は、支持台203、位置決め案内筒204及び雌ネジ205をさらに含む。支持台203、位置決め案内筒204及び雌ネジ205は、内周壁210に形成され、順に第1表面207に沿って第2表面208の方向に向かって設けられる。支持台203は、第1表面207から第2表面208へ凹んで形成される。支持台203が位置規制リング101(図2)の第3表面104に当接することにより、レンズ100がレンズベース200にねじ込まれた後に適切な位置に停止することが保証される。位置決め案内筒204とレンズ100の位置決め案内段差102は嵌合して取り付けられる。位置決め案内筒204と位置決め案内段差102の過渡的な嵌合により、レンズ100のねじ込みはスムーズに案内される。これによって、レンズ100とレンズベース200の取り付けはより容易になり、取り付け時の位置決めが正確であることが効果的に保証される。雌ネジ205は、レンズ100の雄ネジ103に螺合される。レンズ100の雄ネジ103がねじ込まれた後、雄ネジ103と雌ネジ205は隙間嵌めされることにより、緊密な接続が達成される。また、レンズベース200は、環状ボス209をさらに含む。環状ボス209は、位置決め案内筒204に接続され、レンズ取付孔の一部を構成する。雌ネジ205は、環状ボス209に設けられる。
【0024】
具体的には、本実施例において、図1に示すように、緩み止めネジは、第1緩み止めネジ400及び第2緩み止めネジ500を含む。第1緩み止めネジ400は、第1ネジ孔202に取り付けられる。第1緩み止めネジ400は、位置規制リング101の第4表面105を押圧して当接することによりレンズ100とレンズベース200とを締め付ける。第2緩み止めネジ500は、第2ネジ孔206に取り付けられる。第2緩み止めネジ500は、センサアセンブリ300とレンズベース200を締め付けるために用いられる。レンズ100とレンズベース200の接続をより堅固にするために、第1緩み止めネジ400(図1)は、対称的に2つ設けられる。他の実施形態において、第1緩み止めネジ400は複数設けられてもよいが、少なくとも2つである。第1緩み止めネジ400のネジ山には落下防止接着剤が設けられ、頂部のナットが比較的大きく、第1ネジ孔202との接合によりレンズ100をしっかりと押し付ける目的を達成する。第1緩み止めネジ400を設けることにより、レンズ100が軸方向に移動可能な空間がないことが保証され、レンズ100とレンズベース200の接続の安定性が向上し、後日の手直し、メンテナンスなどに便利である。
【0025】
具体的には、本実施例において、図1に示すように、レンズベース200には位置決め柱201がさらに設けられる。位置決め柱201は、円柱状であり、数が2つである。2つの位置決め柱201は、それぞれレンズ取付孔の両側に位置し、完成品設備との取り付けに使用される。この完成品設備は、携帯電話、タブレットなどの通信設備であってもよく、車載カメラ、監視カメラ、ドローンに搭載されたカメラモジュールであってもよい。カメラモジュール10は、位置決め柱201により完成品設備に取り付けられ、完成品設備の撮影機能を達成する。
【0026】
具体的には、本実施例において、レンズベース200は金属材料で作製される。理解され得るように、製造選択にあたっては、質量が角く、価格が適切で、弾性ひずみと塑性ひずみに優れた材料、例えば、アルミニウム合金などを選択することができる。
【0027】
具体的には、本実施例において、図4は、本発明の実施例に係るセンサアセンブリ300の構造模式図である。センサアセンブリ300は、イメージセンサ301と回路基板303とを密接して取り付けることにより形成され、第2ネジ孔206(図3)に対応して設けられる貫通孔302が形成される。レンズベース200とセンサアセンブリ300をより良好に固定するために、第2緩み止めネジ500(図1)は3つ設けられてもよい。他の実施形態において、第2緩み止めネジ500は、少なくとも1つ設けられてもよい。第2ネジ孔206、貫通孔302と第2緩み止めネジ500とを対応して設けることにより、第2緩み止めネジ500は、センサアセンブリ300の貫通孔302を通過してレンズベース200の第2ネジ孔206に螺合して固定される。さらに、第2緩み止めネジ500とセンサアセンブリ300との間に接着媒体を充填して弾性接続を形成することができる。接着媒体はAA接着剤(Aron Alpha)、熱硬化性接着剤(例えば、UV熱硬化性接着剤)、エポキシ樹脂接着剤、感圧接着剤、光硬化性接着剤(例えば、UV接着剤)のうちの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。第2緩み止めネジ500を設けることにより、レンズベース200とセンサアセンブリ300との密接は振動、浸水、高温などの原因により接着効果を失うという問題が効果的に回避され、レンズベース200とセンサアセンブリ300の接続の安定性が向上する。
【0028】
図7に示すように、本発明の実施例は、上記いずれかの実施例に係るカメラモジュール10を含む完成品設備600をさらに提供する。
【0029】
具体的には、完成品設備600は、携帯電話、タブレット、カメラ、ウェアラブルデバイスなどの電子機器であってもよく、車載カメラ、監視カメラ、ドローンなどの設備に搭載されたカメラモジュールであってもよい。本発明の実施例に係る完成品設備600は、レンズベース200を基準として取り付けることにより、イメージセンサ301を回路基板303に取り付けるときの平坦度、中心度などに対する要求が低下し、組立が容易になり、生産加工に便利である。緩み止めネジを使用することにより、振動や高温などの原因により接着剤の効力がなくなる問題が効果的に回避され、レンズ100とレンズベース200、レンズベース200とセンサアセンブリ300の接続堅固性が保証され、後続の手直し、メンテナンスなどに便利であるとともに、イメージセンサ301の中心法線とレンズ100の光軸との同軸度が向上し、レンズ100の光軸とイメージセンサ301の中心法線が一致し、カメラモジュール10の良品率が向上する。
【0030】
完成品設備600は、ハウジング700をさらに含んでもよい。カメラモジュール10は、ハウジング700に設けられる。これによって、カメラモジュール10がハウジング700に支持され得るため、ユーザの手持ち操作は容易になる。
【0031】
図5に示すように、本発明の実施例に係るカメラモジュール10の組立方法は以下の通りである。
(1)レンズベース200(図3)を提供する。レンズベース200は、互いに背向する第1表面207と第2表面208を含む。レンズベース200は、内周壁210をさらに含む。レンズ取付孔は内周壁210によって限定して形成される。レンズ取付孔は、第1表面207から第2表面208まで貫通する。レンズベース200にはネジ孔が形成される。レンズベース200は、支持台203、位置決め案内筒204及び雌ネジ205をさらに含む。支持台203、位置決め案内筒204及び雌ネジ205は、内周壁210に形成されるとともに、順に第1表面207に沿って第2表面208の方向に向かって配置される。支持台203は、第1表面207から第2表面208に向かって凹んで形成される。
(2)レンズ100(図2)を提供する。レンズ100は、外周壁106、雄ネジ103、位置決め案内段差102及び位置規制リング101を含む。雄ネジ103、位置決め案内段差102及び位置規制リング101は、いずれも外周壁106に設けられる。位置決め案内段差102は、雄ネジ103と位置規制リング101との間に位置する。位置規制リング101は、第3表面104及び第4表面105を含む。第3表面104は、位置決め案内段差102に向かい、第4表面105に背向する。
(3)レンズ100を位置決め案内筒204を通してレンズ取付孔にねじ込み、雄ネジ103と雌ネジ205を螺合して締め付ける。位置規制リング101の第3表面104が支持台203に当接すると、レンズ100とレンズベース200は軸方向において締め付けられる。
(4)第1緩み止めネジ400(図1)を提供する。第1緩み止めネジ400をレンズベース200のネジ孔内にねじ込む。第1緩み止めネジ400が位置規制リング101の第4表面105に押圧して当接すると、レンズ100とレンズベース200は固定して接続される。
(5)イメージセンサ301(図4)及び回路基板303を提供する。イメージセンサ301を回路基板303の表面に密接して取り付けることにより、センサアセンブリ300の組立を実現する。
(6)イメージセンサ301がレンズ取付孔に収容されるように、センサアセンブリ300をレンズベース200の第2表面208に設け、接着剤を充填する。自動焦点調節技術及び自動中心調節技術により、センサアセンブリ300の位置を調整し、レンズ100の焦点とイメージセンサ301の中心を一致させ、レンズ100の光軸とイメージセンサ301の中心法線を一致させる。
(7)レンズベース200とセンサアセンブリ300の間の接着剤をベークして硬化させる。
(8)第2緩み止めネジ500(図1)を提供する。第2緩み止めネジ500をセンサアセンブリ300に通過させ、レンズベース200のネジ孔内にねじ込む。第2緩み止めネジ500とセンサアセンブリ300との間に接着媒体を充填して弾性接続を形成する。第2緩み止めネジ500によりセンサアセンブリ300をレンズベース200にロックし、カメラモジュール10の組立を完成させる。
【0032】
具体的には、図5は、本発明の実施例に係るカメラモジュール10が組み立てられた後の断面模式図である。組立際に、まず、レンズベース200を位置決め治具に置き、レンズベース200を位置決めし、レンズ100をレンズベース200のレンズ取付孔にねじ込み、そして、ドライバーで第1緩み止めネジ400をレンズベース200のネジ孔にねじ込む。ネジ孔は、第1表面207に形成される第1ネジ孔202を含む。このように、第1緩み止めネジ400を第1ネジ孔202に取り付け、第1緩み止めネジ400の締付力によりレンズ100をレンズベース200内に固定し、レンズ100とレンズベース200の堅固な接続を達成する。
【0033】
レンズ100とレンズベース200が組み立てられた後、レンズ100の光軸中心は、両側の位置決め柱201に対して位置決め基準のサイズ要求を満たすことができる。センサアセンブリ300をレンズベース200の第2表面208に設け、接着剤を充填し、自動焦点調節技術及び自動中心調節技術によりセンサアセンブリ300を適切な位置に調整し、レンズ100の焦点とイメージセンサ301の中心とを一致させるとともに、レンズ100の光軸とイメージセンサ301の中心法線とを一致させる。そして、硬化接着剤を用いてセンサアセンブリ300をレンズベース200の第2表面208に密接して取り付ける。熱硬化接着剤が効力がなくなる恐れがあるため、第2緩み止めネジ500を増設し、第2緩み止めネジ500をレンズベース200のネジ孔にねじ込む。ネジ孔は、第2表面208に形成される第2ネジ孔206を含む。このように、第2緩み止めネジ500を第2ネジ孔206に取り付けることにより、センサアセンブリ300をレンズベース200の第2表面208に堅固にロックする。第2緩み止めネジ500とセンサアセンブリ300との間に接着媒体を充填して弾性接続を形成することにより、特殊な位置決め要求が満たされるカメラモジュール10が組み立てられる目的が達成される。接着媒体はAA接着剤(Aron Alpha)、熱硬化性接着剤(例えば、UV熱硬化性接着剤)、エポキシ樹脂接着剤、感圧接着剤、光硬化性接着剤(例えば、UV接着剤)のうちの1種又は複数種の組み合わせである。
【0034】
具体的には、図6は、本発明の実施例に係るカメラモジュール10が取り付けられた後の構造模式図である。上記方法によりカメラモジュール10を組み立てる際に、まず、レンズ100とレンズベース200を固定することにより、レンズ100の光軸をレンズベース200の位置決め柱201の基準位置と統一し、そして、レンズベース200を基準としてセンサアセンブリ300を適切な位置に調整し、レンズベース200の第2表面208に固定することにより、レンズ100の光軸とイメージセンサ301の中心法線とが一致することが保証され、位置決め基準に対するサイズ要求が満たされ、カメラモジュール10を完成品設備の取り付けに使用するときの統一性が保証される。
【0035】
本発明に係るカメラモジュール10、完成品設備600及びカメラモジュール10の組立方法は、少なくとも以下の利点を有する。
(1)従来技術では、カメラモジュールの各部品間の組立は回路基板の表面を基準とするのに対し、本発明では、レンズベース200を基準として組み立てる。これによって、イメージセンサ301を回路基板303に取り付けるときの平坦度、中心度などに対する要求が低下し、組立が容易になり、生産加工に便利である。
(2)本発明では、緩み止めネジを使用することにより、振動や高温などの原因により接着剤の効力がなくなる問題が効果的に回避され、レンズ100とレンズベース200、レンズベース200とセンサアセンブリ300の接続堅固性が保証され、後続の手直し、メンテナンスなどに便利である。
(3)本発明に係るカメラモジュール10の組立方法において、まずレンズ100とレンズベース200を組み立てることにより、レンズ100の光軸がレンズベース200の位置決め柱201の基準位置に対して統一することが保証され、カメラモジュール10と完成品設備を取り付けるときの統一性が保証される。
(4)本発明に係るカメラモジュール10の組立方法によれば、イメージセンサ301の中心法線とレンズ100の光軸との同軸度が効果的に向上し、レンズ100の光軸とイメージセンサ301の中心法線とが一致し、カメラモジュール10の良品率が向上する。
【0036】
以上の実施例により本発明の実施形態を具体的で詳しく説明したが、本発明の保護範囲はこれらの実施例に限定されない。本発明の思想から逸脱しない限り、当業者は様々な変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれる。従って、本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲に準ずるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7