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特許7152628表示画面からの出射光の検知方法、および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】表示画面からの出射光の検知方法、および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20221004BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G09F9/00 366Z
G02F1/133 535
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022501843
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2021005106
(87)【国際公開番号】W WO2021166780
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2020028753
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391010116
【氏名又は名称】EIZO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 昭憲
(72)【発明者】
【氏名】伴場 裕介
(72)【発明者】
【氏名】堂前 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-201962(JP,A)
【文献】特開2013-152432(JP,A)
【文献】特開2005-128089(JP,A)
【文献】特開2007-86277(JP,A)
【文献】特開2011-48100(JP,A)
【文献】特表2009-545056(JP,A)
【文献】特開2016-61876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0104954(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0192208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
G06F3/033-3/039
G09F9/00-9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面からの出射光を検知する方法であって、
光センサと導光部材を含む測光部を、前記表示画面の表面側に配置する配置ステップと、前記光センサの位置を変えることなく、前記表示画面の任意の領域を点灯させ、前記領域からの出射光を前記導光部材によって前記光センサへ導き、当該光センサで検知する検知ステップと、を含み、前記測光部は前記表示装置に対して取り外し可能である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記検知ステップで検知した前記出射光に対応する輝度を特定する輝度特定ステップをさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法であって、
前記検知ステップで検知した前記出射光に対応する色度を特定する色度特定ステップをさらに含む、方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法であって、
前記導光部材の表面および背面の少なくとも一方には、拡散反射構造が形成されている、方法。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法であって、
前記導光部材の表面には、反射構造が形成されている、方法
【請求項6】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載の方法であって、
前記表示画面に配置された表示デバイスが発光するステップをさらに含む、方法。
【請求項7】
表示画面からの出射光を検知する表示装置であって、
制御部を備え、
導光部材と光センサを含む測光部が、前記表示画面の表面側に配置され、
前記制御部は、前記光センサの位置を変えることなく、前記表示画面の任意の領域を点灯させ、
前記領域からの出射光は、前記導光部材によって前記光センサへ導かれ、当該光センサで検知可能に構成さ
前記測光部は前記表示装置に対して取り外し可能である、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面からの出射光の検知に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置における表示画面の一部の領域からの出射光を検知するために、様々な方法が開発されている。例えば、特許文献1には、バックライトの光源が点滅するように制御される表示装置において、画素点灯のタイミングに合わせて、ラインセンサを移動させながら各画素からの出射光を測定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-161754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の構成では、移動式のセンサを用いているため、センサの移動を制御する必要があり、回路構成が複雑になるとともに移動のための操作を行う必要がある。
【0005】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、センサの位置を変えることなく、簡易な構成および手順で表示画面からの出射光を検知する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、表示装置の表示画面からの出射光を検知する方法であって、光センサと導光部材を含む測光部を、前記表示画面の表面側に配置する配置ステップと、前記光センサの位置を変えることなく、前記表示画面の任意の領域を点灯させ、前記領域からの出射光を前記導光部材によって前記光センサへ導き、当該光センサで検知する検知ステップと、を含む方法が提供される。
【0007】
このような構成とすることにより、表示画面の任意の領域からの出射光は、表示画面の表面側に配置された導光部材によって、光センサに導かれて検知される。これにより、移動式のセンサを用いることなく、また、センサの位置を変えることなく、簡易な構成および手順で表示画面からの出射光を検知することが可能となる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴が独立に発明を構成する。
【0009】
好ましくは、前記検知ステップで検知した前記出射光に対応する輝度を特定する輝度特定ステップをさらに含む。
好ましくは、前記検知ステップで検知した前記出射光に対応する色度を特定する色度特定ステップをさらに含む。
好ましくは、前記導光部材の表面および背面の少なくとも一方には、拡散反射構造が形成されている。
好ましくは、前記導光部材の表面には、反射構造が形成されている。
好ましくは、前記測光部は前記表示装置に対して取り外し可能である。
好ましくは、前記表示画面に配置された表示デバイスが発光するステップをさらに含む。
本発明の別の態様によると、表示画面からの出射光を検知する表示装置であって、制御部を備え、導光部材と光センサを含む測光部が、前記表示画面の表面側に配置され、前記制御部は、前記光センサの位置を変えることなく、前記表示画面の任意の領域を点灯させ、前記領域からの出射光は、前記導光部材によって前記光センサへ導かれ、当該光センサで検知可能に構成される、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1Aは第1実施形態に係る表示装置10の前面斜視図である。図1Bは表示部1の正面図である。
図2】表示部1の断面図である。
図3】表示装置10の機能構成を示す図である。
図4】輝度ムラ補正処理の手順を示すフロー図である。
図5図5Aは表示画面4の点灯を説明する図である。図5Bは表示画面4からの出射光の検知を説明する図である。
図6】ムラ補正データの更新処理を説明する図である。
図7】変形例1における表示部1の断面図である。
図8図8Aは導光板7bに電場を印加した場合の変形例2における表示部1の断面図である。図8Bは導光板7bに電場を印加しない場合の変形例2における表示部1の断面図である。
図9図9Aは導光板7bが表示画面4の一部に設けられた場合の変形例3を示す断面図である。図9Bは、変形例3において、保護ガラス7と表示デバイス6の間に空気層7cが設けられた場合の断面図である。
図10図10Aは平面状のミラー7dを用いた変形例4における表示部1の断面図である。図10Bは曲面状のミラー7dを用いた変形例4における表示部1の断面図である。
図11】変形例5における表示部1の正面図である。
図12】第2実施形態における色ムラ補正の処理を説明する図である。
図13】色ムラ補正の処理の手順を示すフロー図である。
図14図14Aは第3実施形態に係る表示部1の断面図であり、図14Bは第3実施形態に係る表示部1の正面図である。
図15】第3実施形態に係る表示装置10および測光部20の機能構成を示す図である。
図16図16Aは第3実施形態の変形例1に係る表示部1の断面図であり、図16Bは第3実施形態の変形例1に係る表示部1の正面図である。
図17】第3実施形態の変形例2に係る表示部1の断面図である。
図18図18Aは第3実施形態の変形例3に係る表示部1の断面図であり、図18Bは第3実施形態の変形例3に係る表示部1の正面図である。
図19図19Aは第3実施形態の変形例4に係る表示部1の断面図であり、図19Bは第3実施形態の変形例4に係る表示部1の正面図である。
図20】変形例4における表示画面4からの出射光の検知を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.第1実施形態>
(1.1.表示装置10の構成)
図1および図2を参照し、表示装置10の構成を説明する。
【0012】
図1Aに示すように、表示装置10は、表示部1、ベゼル2、脚部3により構成される。表示部1は、画像(静止画および動画を含む)を表示画面4に表示する。ベゼル2は、表示部1の背面から側面にかけて取り付けられており、例えばエンジニアリングプラスチック等の絶縁体で形成される。詳細は図示しないが、ベゼル2には、電源インジケータやユーザーの操作に供される種々のキーパッド、そして、スピーカーなどが設けられている。脚部3は、ベゼル2の背面に取り付けられ、表示部1を支持する。
【0013】
図1Bに示すように、表示部1の正面におけるベゼル2の内部には、光センサ5が配置されている。本実施形態に係る表示装置10では、表示画面4の外周を取り囲むように、上下左右のベゼル2の内部に4つの光センサ5がそれぞれ配置されている。
【0014】
図2に示すように、表示画面4は、表示部1の背面側に配置された表示デバイス6と、保護ガラス7を備える。表示デバイス6は、例えば有機ELディスプレイパネルで構成され、表示画面4の画素に対応した発光素子が発光することにより、画像を表示する。保護ガラス7は、表示デバイス6を保護するために表示画面4の表面側に配置される。詳細は後述するが、保護ガラス7は、表示デバイス6からの出射光を透過するとともに、当該出射光を反射して光センサ5へ導く導光部材として機能する。なお、図2に示す例では、光センサ5は保護ガラス7の側方に配置されているが、この例に限定されることはなく、例えば表示デバイス6の側方に配置されていてもよい。また、表示デバイス6からの出射光を外部へ漏らすことなく全て光センサ5へ導くために、光センサ5が配置されている保護ガラス7または表示デバイス6の側方の表面を、光センサ5の配置位置を除いて全てミラー加工としてもよい。
【0015】
(1.2.表示装置10の機能構成)
図3を参照し、表示装置10の機能構成を説明する。図3に示すように、表示装置10は、上述した光センサ5および表示デバイス6に加えて、制御部8と記憶部15を備える。制御部8は、表示制御部11と、センサ制御部12と、輝度特定部13と、ムラ補正処理部14を含む。
【0016】
表示制御部11は、表示デバイス6からの出射光を制御する。センサ制御部12は、光センサ5が検知した出射光の強度を特定する。輝度特定部13は、光センサ5が検知した出射光の輝度を特定する。ムラ補正処理部14は、表示画面4の輝度ムラの補正処理を行う。各機能の詳細は後述する。
【0017】
上述した各構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、CPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。プログラムは、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等で実現される記憶部15に格納してもよく、コンピューターが読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。
【0018】
また、上述した各構成要素は、外部の記憶部に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。ハードウェアによって実現する場合、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはDRP(Dynamic Reconfigurable Processor)などの種々の回路によって実現することができる。
【0019】
(1.3.輝度ムラの補正データの更新処理)
図4図6を参照し、表示装置10における輝度ムラの補正データの更新処理を説明する。図4に示すように、まずステップS110において、表示制御部11は、表示画面4の一部の領域を点灯させて出射光を発光させる。具体的には、図5Aに示すように、表示制御部11は、表示デバイス6の一部を発光させることにより、表示画面4の左上の領域であるR1から右下の領域であるRnまで順次点灯させる。
【0020】
ここで、順次点灯される領域の形状、大きさ、および数は適宜設定することができるが、表示画面4を網羅するように設定されるのが好ましい。また、当該領域は互いに排他的に設定してもよいし、互いに重なるように設定してもよい。
【0021】
ステップS120において、発光された領域からの出射光は、光センサ5によって検知される。図5Bに示すように、表示画面4の一部の領域からの出射光は、導光部材として機能する保護ガラス7内で反射され、光センサ5で検知される。
【0022】
ステップS130において、センサ制御部12は、表示画面の全ての領域からの出射光を検知したか否かを判定する。全ての領域からの出射光を検知した場合(ステップS130においてYes)、ステップS140が行われる。全ての領域からの出射光を検知していない場合(ステップS130においてNo)、ステップS110およびステップS120が繰り返される。
【0023】
ステップS140において、輝度特定部13は光センサ5の検知結果(すなわち、検知した出射光の強度)に基づいて、点灯した領域ごとの輝度を特定する。図6に示すように、記憶部15にはセンサ校正係数マトリクスCが格納されている。センサ校正係数マトリクスCは、表示装置10の製造時に輝度計などで測定された表示画面4の領域ごとの輝度値と、当該領域の発光時における光センサ5の検知値の対応関係を有する。輝度特定部13は、光センサ5の検知結果データRとセンサ校正係数マトリクスCとに基づいて、表示画面4の点灯した領域ごとの輝度を特定する。
【0024】
ステップS150において、ムラ補正処理部14はムラ補正データMの更新処理を行う。図6に示すように、記憶部15は、ムラ補正データMとムラ補正目標マトリクスTを備える。ムラ補正データMは、表示装置10の製造時に測定された表示画面4の領域ごとの輝度ムラの補正量に関するデータであり、任意の画像データに対して輝度ムラ補正を行う際に参照されるデータである。ムラ補正目標マトリクスTは、表示画面4の領域ごとに目標とすべき輝度ムラの量(基準値に対する輝度の変化率)を規定したデータである。更新後のムラ補正データMrefは、以下の式(1)で表すことができる。このように更新されたムラ補正データMrefを用いて、以後の輝度ムラ補正が行われる。
【0025】
【数1】
【0026】
以上のようにして、本実施形態に係る表示装置10は、導光部材としての保護ガラス7と、光センサ5と、制御部8を備える。保護ガラス7は、表示画面4の表面側に設置され、光センサ5は、表示画面4の外周側に設置される。制御部8は、表示画面4の一部の領域を点灯させる。当該領域からの出射光は、導光部材としての保護ガラス7によって光センサ5へ導かれ、当該光センサ5で検知される。
【0027】
このような構成とすることにより、簡易な構成および手順で表示画面からの出射光を検知することができる。また、当該出射光の検知結果に基づいて、表示画面4の輝度ムラの補正データを更新することができ、適切な輝度ムラ補正処理を行うことができる。
【0028】
(1.4.変形例1)
図7を参照し、実施形態1の変形例1を説明する。図7に示すように、変形例1における保護ガラス7の表面には、表示デバイス6からの出射光を反射するためのパターン7aが形成されている。パターン7aは、保護ガラス7の表面にドット印刷で形成してもよいし、レンズ構造を保護ガラス7の表面に貼付して実現してもよい。このような構成とすることにより、表示デバイス6からの出射光を光センサ5へ導く導光部材を具体的に実現することが可能となる。
【0029】
(1.5.変形例2)
図8Aおよび図8Bを参照し、変形例2を説明する。図8Aおよび図8Bに示すように、変形例2における保護ガラス7の表面には、電場の印加に伴い出射光の透過と反射を切り替える導光板7bが取り付けられている。導光板7bは、例えばPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)ガラスで実現される。
【0030】
この場合、図8Aに示すように、導光板7bに電場を印加することにより、表示デバイス6からの出射光は保護ガラス7および導光板7bを透過する。それに対して、図8Bに示すように、導光板7bへの電場の印加を止めると、表示デバイス6からの出射光は導光板7bで反射され、光センサ5へ導かれる。
【0031】
このような構成とすることにより、通常の使用時には導光板7bへ電場を印加して表示画面4を視認可能としつつ、表示デバイスからの出射光を検知するような特定の作業時には、導光板7bへの電場の印加を止めて、表示デバイス6からの出射光を光センサ5へ導くことができ、使用の用途に切り分けた制御を行うことが可能となる。
【0032】
(1.6.変形例3)
図9Aおよび図9Bを参照し、変形例3を説明する。図9Aに示すように、変形例3では、導光板7bの一部にのみ電場を印加することにより、出射光を反射する領域を変更可能に構成されている。このような構成とすることで、点灯する領域に合わせて出射光を反射する領域を変更することが可能となる。また、図9Bに示す例では、保護ガラス7と表示デバイス6の間に空気層7cが設けられている。このように屈折率の異なる空気層7cを設けることにより、導光板7bで反射させた出射光を、保護ガラス7内で伝搬させることが容易となる。
【0033】
(1.7.変形例4)
図10Aおよび図10Bを参照し、変形例4を説明する。図10Aおよび図10Bに示すように、変形例4における保護ガラス7の表面には、導光部材として表示デバイス6からの出射光を反射するためのミラー7dが設置されている。ミラー7dは着脱可能に構成されており、通常の使用時には取り外すことにより表示画面が視認可能となっている。
【0034】
図10Aには、平面状のミラー7dが設置された態様が例示されている。一方、図10Bには、曲面状のミラー7dが設置された態様が例示されている。このような構成とすることにより、平面状または曲面状のミラーといった汎用品を用いて表示デバイス6からの出射光を光センサ5へ導く導光部材を実現することが可能となる。
【0035】
(1.8.変形例5)
図11を参照し、変形例5を説明する。図11に示すように、変形例5では、表示画面4の上下のベゼル2内部に、光センサ5としてのラインセンサが設置されている。この場合、制御部8が点灯させる表示画面4の一部の領域R1~Rnは、表示画面4の左右に亘る領域とすることができる。このような構成とすることにより、制御部8による表示部1の領域の点灯および出射光の検知処理(図4におけるステップS110~ステップS130)を迅速に行うことが可能となる。
【0036】
<2.第2実施形態>
(2.1.構成)
図12および図13を参照し、本願発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、光センサ5が検知した出射光に対応する色度を特定する色度特定ステップを含む点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。
【0037】
第2実施形態では、図12および図13に示すように、制御部8は、表示デバイス6の発光素子におけるR(Red),G(Green),B(Blue)の各色に対して領域ごとに発光させ、各色の光強度を光センサ5で検知する(図13のステップS110~ステップS240)。
【0038】
ステップS250において、制御部8は、あらかじめ測定しておいたR,G,Bの光の強度と、新たに取得したR,G,Bの検知結果を比較して、検知した領域ごとのR,G,Bの色度を特定する。ステップS260において、制御部8は、R,G,Bの比率が同一となるように色ムラ補正データの更新処理を行う。これにより、目標とする色に表示色を調整することができる。
【0039】
(2.2.変形例)
第2実施形態の変形例として、R,G,Bの各色に対応して3種類の光センサ5を配置してもよい。この場合、たとえば、光センサ5の感光部前面に、R,G,Bのいずれかのフィルターを配置することで、R,G,B各色用のセンサとすることができる。このように、色に対応した光センサ5を用いて各色における発光強度を測定することにより、経年変化により各R,G,Bの色度が変化した場合においても、正確に色度を測定することが可能となる。
【0040】
<3.第3実施形態>
(3.1.構成)
図14および図15を参照し、本願発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、表示画面4の表面側に取り外し可能に配置される測光部20を用いて、表示デバイス6からの出射光を検知する点で第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。
【0041】
図14および図15に示すように、第3実施形態では測光部20が用いられる。測光部20は、導光部材としての光伝搬部21と、光センサ22を備える。測光部20は一例として平板状の直方体形状に形成され、図14Bに示すように、正面から見て表示画面4よりも広い面積を備えるのが好ましく、より好ましくは、表示装置10よりも広い面積を備える。
【0042】
光伝搬部21はガラス等で構成され、光伝搬部21の前面21aにはミラー処理が施されている。これにより、光伝搬部21は表示デバイス6からの出射光を透過するとともに、当該出射光を反射して光センサ5へ導く導光部材として機能する。光センサ5は、一例として、測光部20の上面の所定の位置に複数(図14に示す例では3つ)設けられている。
【0043】
光伝搬部21は、さらに、出射光の反射方向を制御するための構造を備えていてもよい。また、表示デバイス6の表面に出射光を拡散させる構成を設けてもよい。
【0044】
このように、第3実施形態では、表示装置10とは独立した測光部20を用いて、表示画面4の任意の領域からの出射光を、光伝搬部21によって光センサ22へ導いて検知する。このように、測光部20が表示装置10と取り外し可能に構成されているため、既存の様々な大きさの表示装置に対して本願の技術的思想を適用することが可能となる。また、光センサ22が測光部20の所定の位置を変えずに設けられており、光センサ22を移動させる機構や光センサ22の移動を制御する処理が不要となる。
【0045】
(3.2.変形例1)
図16を参照し、第3実施形態の変形例1を説明する。変形例1における測光部20は、光伝搬部21の前面21aに拡散反射構造による表面処理が行われている。このような表面処理を行うことにより、光伝搬部21内での出射光の拡散を促進させることができ、光センサ22への導くことが容易となる。拡散反射構造としては、ドット印刷および(/または)レンズアレイ形状を付与するような表面処理を行うことができる。これらの場合において、ドット印刷のパターンやレンズアレイの形状、大きさ、密度は、光伝搬部21の形状や光センサ22との位置等を考慮して適宜設計すればよい。
【0046】
(3.3.変形例2)
図17を参照し、第3実施形態の変形例2を説明する。変形例2における測光部20は、光伝搬部21の背面21bに拡散反射構造による表面処理が行われている。具体的には、拡散シートを張り付けてもよいし、ドット印刷やレンズアレイ形状の付与などでもよい。このような表面処理を行うことにより、光伝搬部21内での出射光の拡散を一層促進させることができ、光センサ22への導くための設計が容易となる。
【0047】
(3.4.変形例3)
図18を参照し、第3実施形態の変形例3を説明する。変形例3では、測光部20の前面に光センサ22が配置されている。光センサ22は、図18に示すように測光部20の前面中央に1つ配置してもよいし、測光部20の前面の他の場所に配置してもよい。この場合、光伝搬部21の前面21aおよび背面21bには拡散反射構造による表面処理を施しているのが好ましい。一方、光伝搬部21の前面21aにおける光センサ22が配置される面には、表面処理は行わずに出射光を透過させる必要がある。このように、光伝搬部21内での出射光の拡散反射を適宜調整することにより、測光部20の前面に配置した光センサ22で位置を変えることなく検知することもできる。
【0048】
(3.5.変形例4)
図19および図20を参照し、第3実施形態の変形例4を説明する。変形例4における測光部20は、前面に凹凸状のフレネルミラー24が形成されている。フレネルミラー24は、頂部24aおよび溝部24bが交互に形成されており、図19Bに示すように、正面から見て光センサ22を中心として円弧上に形成されている。
【0049】
変形例4では、図20に示すように、表示デバイス6の任意の領域からの出射光は、光伝搬部21を透過してフレネルミラー24で反射し、軌跡Lrを通って光センサ22へ導かれる。ここで、フレネルミラー24が形成されているため、当該出射光は、仮想のパラボラ面Pにおいて反射し、仮想軌跡Lfを通るのと同様に光センサ22へ導くことが可能となる。このような構成とすることにより、測光部20の上面中央に1つの光センサ22を配置して、当該光センサ22に表示デバイス6からの出射光を導くように設計することが容易となる。
【0050】
<4.その他の実施形態>
本発明の適用は、上記実施形態に限定されない。例えば、光センサ5の数、形状および配置位置は、上記態様に限定されることはない。一例として光センサ5は1つであってもよいし、ベゼル内部ではなくベゼル上に配置されてもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、表示デバイス6の発光素子が発光することにより表示画面4が実現されていたが、この態様に限定されることはない。例えば、バックライトからの光を液晶部によって遮るようないわゆる液晶パネルにおいても、本開示の技術的思想を適用することができる。
【0052】
また、上記実施形態1の変形例4では、導光部材として着脱可能なミラー7dを用いているが、他の態様における導光部材についても、着脱可能な構成としてもよい。
【0053】
また、第3実施形態において、測光部20が制御部を備え、センサ制御部12または輝度特定部13などの制御部8の一部の機能、または全部の機能を実行する構成としてもよい。また、測光部20は取り外し不可の配置、つまり、固定の配置としてもよい。
【0054】
さらに、本発明は、制御部8に上述した各機能を発揮させるプログラムとして実現することもできる。
【0055】
さらに、本発明は、上述のプログラムを格納する、コンピューター読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【0056】
本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1:表示部、2:ベゼル、3:脚部、4:表示画面、5:光センサ、6:表示デバイス、7:保護ガラス、7a:パターン、7b:導光板、7c:空気層、7d:ミラー、8:制御部、10:表示装置、11:表示制御部、12:センサ制御部、13:輝度特定部、14:ムラ補正処理部、15:記憶部、20:測光部、21:光伝搬部、21a:前面、21b:背面、22:光センサ、24:フレネルミラー、24a:頂部、24b:溝部
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