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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/82 20060101AFI20221005BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20221005BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
H01L21/82 P
H01L27/04 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020547784
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2018036192
(87)【国際公開番号】W WO2020065905
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 徹
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/065022(WO,A1)
【文献】特開平01-140641(JP,A)
【文献】特開2009-152456(JP,A)
【文献】特開平10-189743(JP,A)
【文献】特開2002-026130(JP,A)
【文献】特開2016-046358(JP,A)
【文献】特開平02-306650(JP,A)
【文献】特開2009-111119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/822
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップと、
前記チップ上に設けられたコア領域と、
前記チップ上の、前記コア領域の周囲に設けられたIO領域とを備え、
前記IO領域には、前記チップの外辺に沿う方向である第1方向に並ぶ複数のIOセルをそれぞれ備えた2×N(Nは2以上の整数)列のIOセル列が、前記第1方向と垂直をなす第2方向に並べて配置されており、
前記IOセルは、それぞれ、前記第2方向において分かれて設けられた、低電源電圧領域と高電源電圧領域とを有し、
前記IOセル列は、前記チップの端に最も近い位置に、前記低電源電圧領域が前記コア領域側を向くように配置された第1IOセル列を含む第1IOセル列群と、前記コア領域に最も近い位置に、前記低電源電圧領域が前記コア領域側を向くように配置された第2IOセル列を含む第2IOセル列群とを含み、
前記第1IOセル列群および前記第2IOセル列群の少なくとも一方は、2列以上の前記IOセル列で構成され、該2列以上のIOセル列は、前記低電源電圧領域同士または前記高電源電圧領域同士が対向するように前記第2方向に並べて配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列群は、1列で構成され、
前記第2IOセル列群は、3列以上のIOセル列で構成され、該3列以上のIOセル列は、前記低電源電圧領域同士または前記高電源電圧領域同士が対向するように前記第2方向に並べて配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第2IOセル列群は、1列で構成され、
前記第1IOセル列群は、3列以上の前記IOセル列で構成され、該3列以上のIOセル列は、前記低電源電圧領域同士または前記高電源電圧領域同士が対向するように前記第2方向に並べて配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列群及び前記第2IOセル列群は、それぞれ、2列以上の前記IOセル列で構成され、該2列以上のIOセル列は、それぞれ、前記低電源電圧領域同士または前記高電源電圧領域同士が隣接するように前記第2方向に並べて配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列群と前記第2IOセル列群との間のスペースは、前記第1IOセル列群および前記第2IOセル列群を構成する前記2列以上のIOセル列同士の間のスペースよりも広い
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記各IOセル列を構成する前記IOセル同士の、前記第2方向におけるサイズおよび位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第2方向に対向するように配置された前記IOセル同士の、前記第1方向におけるサイズと位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列群と前記第2IOセル列群との間のスペースに、前記第1方向に延びる第1ガードバンドが配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体集積回路装置において、
前記第1IOセル列群および/または前記第2IOセル列群を構成する前記2列以上のIOセル列同士の間のスペースに、前記第1方向に延びる第2ガードバンドが配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1ガードバンドの本数が、前記第2ガードバンドの本数より多い
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項11】
請求項9記載の半導体集積回路装置において、
前記第1ガードバンドの幅が、前記第2ガードバンドの幅より大きい
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記各IOセル列において、前記第1方向に隣接して配置された2つの前記IOセルの間に、フィラーセルが配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体集積回路装置において、
前記第2方向に並べて配置された前記IOセル列は、それぞれ、前記第1方向の位置が同一である第1フィラーセルを含む
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体集積回路装置において、
前記第1フィラーセルと、該第1フィラーセルの前記チップの端側に位置する前記IOセルの低電源電圧領域に設けられた端子との前記第1方向の位置が同一である
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チップ上にコア領域とIO領域とが配置された半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路は、大規模化が進み、入出力信号数が増大している。このため、コア領域の周囲に入出力セル(IOセル)を一重に並べて配置すると、IOセルによって半導体集積回路の面積が律束され、半導体集積回路が構成される装置、すなわち半導体集積回路装置の面積が増大する場合がある、という問題がある。
【0003】
特許文献1では、IOセルを二重に並べて配置した半導体集積回路装置の構成が開示されている。また、特許文献2では、IOセルを、1列、2列、および、3列に並べて配置した半導体装置の構成が開示されている。また、特許文献3では、内部信号端子同士が隣接するようにIOセルを並べて配置した半導体集積回路装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-100891号公報
【文献】米国特許出願公開第2005/0127405号明細書
【文献】米国特許第6919632号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IOセルは一般に、ESD回路や半導体集積回路装置外部へ信号を出力するための出力バッファ等を含む高電源電圧領域と、半導体集積回路装置内部へ信号を入出力するための回路部等を含む低電源電圧領域とを有している。低電源電圧領域では、チップのコア領域に形成された内部回路と同じ電源電圧を使用する。
【0006】
また、近年の微細化の進展により、チップ内部の電源電圧は低下している。ところが、チップ外部の電源電圧はチップ内部の電源電圧ほど低下しておらず、特に各種インターフェース規格などのために低電圧化が進んでいない場合がある。このため、IOセルにおいて、高電源電圧領域と低電源電圧領域との電源電位の差が大きくなっている。
【0007】
このため、高電源電圧領域と低電源電圧領域とで、トランジスタやウェルにかかる電圧の差が大きくなっており、いわゆるラッチアップエラーによる破壊が発生しやすくなっている。ラッチアップエラーを防ぐためには、高電源電圧領域と低電源電圧領域との間で、トランジスタ間やウェル間の距離を十分に大きくする必要がある。特に、高電源電圧領域において、チップ外部端子と直接接続されてチップ外部からのノイズが印加されやすい出力バッファやESD回路について、この対処が必要になる。
【0008】
さらに、IOセルが複数列の多重構造になった場合には、チップの端に最も近い列に配置されたIOセルからコア領域までの距離が遠くなるので、信号配線長が大きくなり、信号配線の遅延が大きくなる課題が発生する。
【0009】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様では、半導体集積回路装置は、チップと、前記チップ上に設けられたコア領域と、前記チップ上の、前記コア領域の周囲に設けられたIO領域とを備え、前記IO領域には、前記チップの外辺に沿う方向である第1方向に並ぶ複数のIOセルをそれぞれ備えた2×N(Nは2以上の整数)列のIOセル列が、前記第1方向と垂直をなす第2方向に並べて配置されており、前記IOセルは、それぞれ、前記第2方向において分かれて設けられた、高電源電圧領域と低電源電圧領域とを有し、前記IOセル列は、前記チップの端に最も近い位置に、前記低電源電圧領域が前記コア領域側を向くように配置された第1IOセル列を含む第1IOセル列群と、前記コア領域に最も近い位置に、前記低電源電圧領域が前記コア領域側を向くように配置された第2IOセル列を含む第2IOセル列群とを含み、前記第1IOセル列群および前記第2IOセル列群の少なくとも一方は、2列以上の前記IOセル列で構成され、該2列以上のIOセル列は、前記高電源電圧領域同士または前記低電源電圧領域同士が対向するように前記第2方向に並べて配置されている。
【0011】
本態様に係る半導体集積回路装置では、IO領域に配置された2N列のIOセル列のうち、チップの端に最も近い位置に、低電源電圧領域がコア領域側を向いている第1IOセル列が配置されている。これにより、第1IOセル列の低電源電圧領域をチップの端側に向けた場合と比較して、IOセル列の第1IOセルからコア領域への距離が短くなり、配線遅延を抑制することができる。また、2N列のIOセル列のうち、コア領域に最も近い位置に、低電源電圧領域がコア領域側を向いている第2IOセル列が配置されている。これにより、第1IOセル列とコア領域との間にラッチアップエラー対策のためのスペースを設ける必要がない。そして、第1IOセル列群および第2IOセル列群の少なくとも一方に含まれる2列以上のIOセル列を高電源電圧領域同士または低電源電圧領域同士が対向するように第2方向に並べて配置しているので、面積の増加を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る半導体集積回路装置によると、IOセルが複数列の多重構造になった場合においても、半導体集積回路の面積の増加を招くことなく、配線遅延を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る半導体集積回路装置の全体構成を模式的に示す平面図
図2】IOセルの構成例
図3】IOセルの配置例およびパッドとIOセルとの配線例
図4】IOセルの配置例およびIOセル配置の比較例
図5図4のIOセル配置の変形例
図6】IOセル配置の他の例およびIOセル配置の比較例
図7図6のIOセル配置の変形例
図8】IOセル配置の他の例
図9】IOセル配置の他の例
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は実施形態に係る半導体集積回路装置の全体構成を模式的に示す平面図である。図1に示す半導体集積回路装置は、チップ1上に、内部コア回路が形成されたコア領域2と、インターフェース回路(IO回路)が形成されたIO領域3とが設けられている。IO領域3は、コア領域2の周囲に設けられている。IO領域3には、チップ1の外辺に沿うように、1列のIOセル列10K、2列のIOセル列10L,10M、4列のIOセル列10A~10D、4列のIOセル列10P~10Sおよび6列のIOセル列10E~10Jが配置されている。なお、IO領域3のIOセル列の配置は、図1の配置に限定されるものではない。例えば、IO領域3のIOセル列が、全て「2×N」列(Nは、2以上の整数)で構成されていてもかまわない。また、IO領域3のIOセル列に8列以上のIOセル列が含まれていてもかまわないし、3,5列等の奇数列のIOセル列が含まれていてもかまわない。また図1では図示を省略しているが、半導体集積回路装置1には、複数の外部接続パッドが配置されている。
【0016】
図2はIOセル10の構成例である。なお、図2では、IOセル10の内部構成(トランジスタやダイオード等のデバイス)や信号配線、電源配線等については図示を省略している。以降の図でも同様である。一般に、IOセル10は、低電源電圧領域11と、高電源電圧領域12とを有している。図2のIOセル10では、Y方向(図面縦方向)において、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12とに分かれている。低電源電圧領域11は、半導体集積回路装置内部へ信号を入出力するための回路部および内部入出力端子11a等を含む。高電源電圧領域12は、ESD回路や半導体集積回路装置外部へ信号を出力するための出力バッファ及び外部入出力端子12a等を含む。なおここでは、X方向はチップ1の外辺に沿う方向であり、IOセル10が並ぶ第1方向に相当する。Y方向はチップ1の端からコア領域2に向かう方向であり、X方向と平面視で垂直をなす第2方向に相当する。なお、低電源電圧領域11の内部入出力端子11aは、入力端子、出力端子、電源端子であってもよい。また、高電源電圧領域12の外内部入出力端子12aは、入力端子、出力端子、電源端子であってもよい。
【0017】
(第1実施形態)
図3は第1実施形態に係る半導体集積回路装置におけるIOセル10の配置例を示す図であり、図1の領域R1の拡大図に相当する。図3において、4列のIOセル列10A~10Dは、それぞれ、X方向(図面横方向、チップ1の外辺に沿う方向)に並ぶ複数(図3では8つ)のIOセル10を備えており、Y方向(図面縦方向、チップ1の端からコア領域2に向かう方向)に並べて配置されている。図3では、チップ1の外部との接続のために設けられたパッド30が示されている。また、図面左側の8個のIOセル10について、パッド30との接続配線31を破線で示している。
【0018】
図3の配置例において、第1IOセル列群21は、第1IOセル列に相当するIOセル列10Aの1列で構成されている。
【0019】
IOセル列10Aは、Y方向に並べて配置された2×N(Nは2以上の整数であり、図3ではN=2)列のIOセル列(ここではIOセル列10A~10D)の中で、チップ1の端に最も近く配置されている。また、IOセル列10Aでは、低電源電圧領域11がコア領域2側に位置するように、各IOセル10が配置されている。
【0020】
第2IOセル列群22は、第2IOセル列に相当するIOセル列10Dと、IOセル列10C,10Bとの3列で構成されている。
【0021】
IOセル列10Dは、Y方向に並べて配置された2×N列(図3では4列)のIOセル列(ここではIOセル列10A~10D)の中で、コア領域2に最も近く配置されている。また、IOセル列10Dでは、低電源電圧領域11がコア領域2側に位置するように、各IOセル10が配置されている。これにより、IOセル列10Dとコア領域2との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない(図3の矢印M1)。
【0022】
IOセル列10Cは、IOセル列10Dのチップ1の端側に隣接して配置されている。IOセル列10CとIOセル列10Dとは、互いの高電源電圧領域12同士が対向している。これにより、IOセル列10CとIOセル列10Dの間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない。
【0023】
IOセル列10Bは、IOセル列10Cのチップ1の端側に隣接して配置されている。IOセル列10BとIOセル列10Cとは、互いの低電源電圧領域11同士が対向している。これにより、IOセル列10BとIOセル列10Cの間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない。
【0024】
なお、図3では、IOセル列10BとIOセル列10Cの間、および、IOセル列10CとIOセル列10Dの間に、それぞれ、距離bのスペースを設けている例を示している。ただし、前述のとおり、ラッチアップエラーを回避するためのスペースは不要なので、図3において、距離b=0としてもよい。また、IOセル列10BとIOセル列10Cの間の距離と、IOセル列10CとIOセル列10Dの間の距離とを互いに異ならせてもよい。
【0025】
第1IOセル列群21と第2IOセル列群22とは、Y方向に並べて配置されている。IOセル列10Aのコア領域2側には、低電源電圧領域11が位置し、IOセル列10Bのチップ1の端側には、高電源電圧領域12が位置しているので、IOセル列10Aの低電源電圧領域11と、IOセル列10Bの高電源電圧領域12とが対向している。したがって、IOセル列10AとIOセル列10Bとの間には、ラッチアップエラーを回避する観点から、距離a(a>b)のスペースが設けられている。
【0026】
なお、図3の配置例では、各IOセル列10A~10Dを構成するIOセル10は、それぞれの列においてY方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしている。また、IOセル列10A~10Dにおいて、それぞれ第2方向に対向するIOセル10は、X方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしている。
【0027】
図4は、A1として本実施形態に係るIOセル列10A~10D(4列)の配置例を示し、Bとして比較例に係るIOセル列10P~10S(4列)の配置例を示している。図4では、IOセル列10A~10D,10P~10Sがそれぞれ1つのIOセル10で構成されているものとして説明する。
【0028】
ここで、図示は省略しているが、コア領域2と、低電源電圧領域11の内部入出力端子11aとの間は接続配線によって接続される。以下の説明では、その接続配線の長さを配線距離と呼ぶものとする。
【0029】
配置例A1において、配線距離が一番長くなるのは、コア領域2と、チップ1の端に最も近いIOセル列10Aとの間を接続する接続配線(図示省略)となる。そこで、一番長い配線距離L1として、コア領域2とIO領域3との境界W1から、IOセル列10A(IOセル10)のコア側端までの距離を考えると、
L1=3×h+a+2×b ・・・(1)
となる。ここで、hはIOセル10のY方向の高さであり、a,bはそれぞれ前述の第2方向に隣接するIOセル10間のスペースの距離である。
【0030】
一方、図4の配置例B(比較例)では、4列のIOセル列10P~10Sが配置されており、IOセル列10Sがコア領域2に最も近く配置されている。IOセル列10Sでは、低電源電圧領域11がコア領域2側に位置するようにIOセル10が配置されている。そして、IOセル列10Sのチップ1の端側に、3列のIOセル列10R,10Q,10Pが、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との位置を反転させながら順番に配置されている。すなわち、IOセル列10Pがチップ1の端に最も近く配置されている。
【0031】
そこで、一番長い配線距離L2として、配線距離L1の場合と同様に、コア領域2とIO領域3との境界W2から、IOセル列10P(IOセル10)のチップ1側端までの距離を考えると、
L2=4×h+3×b ・・・(2)
となる。ここで、hはIOセル10のY方向の高さであり、bは前述の第2方向に隣接するIOセル10間のスペースの距離である。
【0032】
h+b>aであれば、式(1),(2)から、
L1<L2 ・・・(3)
との関係が成り立つ。
【0033】
すなわち、配置例A1の配置にすることで、配置例B(比較例)の配置と比較して、チップ1の端に最も近いIOセル列10A(IOセル10)の内部入出力端子11aからコア領域2までの距離が短くなる。これにより、接続配線を短くすることができるので、配線遅延を抑制することができる。また、本実施形態の構成は、IOセル列10AとIOセル列10Bとの間にのみラッチアップエラーを回避するための距離aを確保することにより実現できるので、面積の増大量も少なくてすむ。
【0034】
なお、チップ1のIO領域3の4列のIOセル列のすべてに、本実施形態に係る構成(IOセル列10A~10D)を適用するようにしてもよいし、図1に示すように、4列のIOセル列(10A~10Dおよび10P~10S)の一部に本実施形態に係る構成を適用するようにしてもよい。例えば、高速信号を伝達する必要がある部分にのみ本実施形態に係る構成(IOセル列10A~10D)を適用し、それ以外の部分には、配置例Bに示すような構成(IOセル列10P~10S)を適用するようにしてもよい。
【0035】
また、図3の配置例では、各IOセル列10A~10Dを構成するIOセル10は、それぞれの列においてY方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。例えば、IOセル列10Aを構成するIOセル10の高さを他のIOセル列10B~10Dを構成するIOセル10と異ならせて、例えば高さh1(ここで、h1+b>aとする)としてもよく、同様の効果が得られる。
【0036】
また、図3の配置例では、第1IOセル列群21が1列、第2IOセル列群22が3列で構成されるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。
【0037】
例えば、図5の配置例A2に示すように、第1IOセル列群21がIOセル列10A~10Cの3列で構成され、第2IOセル列群22がIOセル列10Dの1列で構成されるようにしてもよい。IOセル列10AおよびIOセル列10Dの配置は、上記実施形態と同じである。IOセル列10Bは、Y方向に隣接配置されるIOセル列10Aとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Cは、Y方向に隣接配置されるIOセル列10Bとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。そして、第1IOセル列群21(IOセル列10Cの低電源電圧領域11)と第2IOセル列群22(IOセル列10Dの高電源電圧領域12)との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)が設けられる。
【0038】
また、例えば、図5の配置例A3に示すように、第1IOセル列群21がIOセル列10A,10Bの2列で構成され、第2IOセル列群22がIOセル列10C,10Dの2列で構成されるようにしてもよい。IOセル列10AおよびIOセル列10Dの配置は、上記実施形態と同じである。IOセル列10Bは、Y方向に隣接配置されるIOセル列10Aとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Cは、Y方向に隣接配置されるIOセル列10Dとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。そして、第1IOセル列群21(IOセル列10Bの高電源電圧領域12)と第2IOセル列群22(IOセル列10Cの低電源電圧領域11)との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)が設けられる。
【0039】
配置例A2,A3においても、配置例A1と同様の効果が得られる。すわなち、配置例Bと比較して、IOセル列10A(IOセル10)の内部入出力端子11aからコア領域2までの距離が短くなるので、配線遅延を抑制することができる。ただし、配置例A1の方が、内部入出力端子11aからコア領域2までの距離が短いIOセル列10A~10Dの数が配置例A2,A3より多くなるのでより好ましい。
【0040】
また、配置例A2,A3においても、第1IOセル列群21と第2IOセル列群22との間にのみラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)を設けることにより実現できるので、面積の増大量も少なくてすむ。さらに、IOセル列群21,22内でY方向に隣接するIOセル10間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない。
【0041】
(第2実施形態)
図6は、C1として本実施形態に係るIOセル列10E~10J(6列)の配置例を示し、Dとして比較例に係るIOセル列10T~10Y(6列)の配置例を示している。図6では、IOセル列10E~10J,10T~10Yがそれぞれ1つのIOセル10で構成されているものとして説明する。なお、図1の領域R2に示すように、各IOセル列10E~10Jが、それぞれ、X方向(図面横方向、チップ1の外辺に沿う方向)に並ぶ複数(図1では8つ)のIOセル10を備えていてもよい。
【0042】
配置例C1において、配線距離が一番長くなるのは、コア領域2と、チップ1の端に最も近いIOセル列10Eとの間を接続する接続配線(図示省略)となる。そこで、一番長い配線距離L3として、配線距離L1の場合と同様に、コア領域2とIO領域3との境界W3から、IOセル列10E(IOセル10)のコア側端までの距離を考えると、
L3=5×h+a+4×b ・・・(4)
となる。ここで、hはIOセル10のY方向の高さであり、a,bは前述の第2方向に隣接するIOセル10間のスペースの距離である。
【0043】
一方、図6の配置例D(比較例)では、6列のIOセル列10T~10Yが配置されており、IOセル列10Yがコア領域2に最も近く配置されている。IOセル列10Yでは、低電源電圧領域11がコア領域2側に位置するようにIOセル10が配置されている。そして、IOセル列10Yのチップ1の端側に、5列のIOセル列10X,10W,10V,10U,10Tが、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との位置を反転させながら順番に配置されている。すなわち、IOセル列10Tがチップ1の端に最も近く配置されている。
【0044】
そこで、一番長い配線距離L4として、配線距離L3の場合と同様に、コア領域2とIO領域3との境界W4から、IOセル列10T(IOセル10)のチップ1側端までの距離を考えると、
L4=6×h+5×b ・・・(5)
となる。ここで、hはIOセル10のY方向の高さであり、bは前述の第2方向に隣接するIOセル10間のスペースの距離である。
【0045】
h+b>aであれば、式(4),(5)から、
L3<L4 ・・・(6)
との関係が成り立つ。
【0046】
すなわち、配置例C1の配置にすることで、配置例D(比較例)の配置と比較して、チップ1の端に最も近いIOセル列10E(IOセル10)の内部入出力端子11aからコア領域2までの距離が短くなる。これにより、配線遅延を抑制することができる。また、本実施形態の構成は、IOセル列10EとIOセル列10Fとの間にのみラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)を設けることにより実現できるので、面積の増大量も少なくてすむ。
【0047】
なお、第1の実施形態と同様に、チップ1のIO領域3の6列のIOセル列のすべてに、本実施形態に係る構成(IOセル列10E~10J)を適用するようにしてもよいし、6列のIOセル列の一部に本実施形態に係る構成を適用するようにしてもよい。
【0048】
また、図6の配置例では、各IOセル列10E~10Jを構成するIOセル10は、それぞれの列においてY方向におけるサイズが同一としている。しかしながら、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。例えば、IOセル列10Eを構成するIOセル10の高さを他のIOセル列10F~10Jを構成するIOセル10と異ならせて高さh1(ここで、h1+b>aとする)としてもよく、同様の効果が得られる。
【0049】
また、図6の配置例では、第1IOセル列群23が1列、第2IOセル列群24が5列で構成されるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。
【0050】
例えば、図7の配置例C2に示すように、第1IOセル列群23がIOセル列10E,10Fの2列で構成され、第2IOセル列群24がIOセル列10G~10Jの4列で構成されるようにしてもよい。IOセル列10EおよびIOセル列10Jの配置は、上記実施形態と同じである。IOセル列10Fは、Y方向に隣接配置されるIOセル列10Eとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。4列のIOセル列10J,10I,10H,10Gは、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との位置を反転させながら順番に配置されている。IOセル列10Iは、IOセル列10Jとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。IOセル列10Hは、IOセル列10Iとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Gは、IOセル列10Hとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。そして、第1IOセル列群23(IOセル列10Fの高電源電圧領域12)と第2IOセル列群24(IOセル列10Gの低電源電圧領域11)との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)が設けられる。
【0051】
また、例えば、図7の配置例C3に示すように、第1IOセル列群23がIOセル列10E~10Gの3列で構成され、第2IOセル列群24がIOセル列10H~10Jの3列で構成されるようにしてもよい。IOセル列10EおよびIOセル列10Jの配置は、上記実施形態と同じである。3列のIOセル列10E,10F,10Gは、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との位置を反転させながら順番に配置される。IOセル列10Fは、IOセル列10Eとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Gは、IOセル列10Fとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。3列のIOセル列10J,10I,10Hは、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との位置を反転させながら順番に配置されている。IOセル列10Iは、IOセル列10Jとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。IOセル列10Hは、IOセル列10Iとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。そして、第1IOセル列群23(IOセル列10Gの低電源電圧領域11)と第2IOセル列群24(IOセル列10Hの高電源電圧領域12)との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)が設けられる。
【0052】
また、例えば、図7の配置例C4に示すように、第1IOセル列群23がIOセル列10E~10Hの4列で構成され、第2IOセル列群24がIOセル列10I,10Jの2列で構成されるようにしてもよい。IOセル列10EおよびIOセル列10Jの配置は、上記実施形態と同じである。4列のIOセル列10E,10F,10G,10Hは、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との位置を反転させながら順番に配置される。IOセル列10Fは、IOセル列10Eとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Gは、IOセル列10Fとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。IOセル列10Hは、IOセル列10Gとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Iは、IOセル列10Jとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。そして、第1IOセル列群23(IOセル列10Hの高電源電圧領域12)と第2IOセル列群24(IOセル列10Iの低電源電圧領域11)との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)が設けられる。
【0053】
また、例えば、図7の配置例C5に示すように、第1IOセル列群23がIOセル列10E~10Iの5列で構成され、第2IOセル列群24がIOセル列10Jの1列で構成されるようにしてもよい。IOセル列10EおよびIOセル列10Jの配置は、上記実施形態と同じである。列のIOセル列10E,10F,10G,10H,10Iは、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12との位置を反転させながら順番に配置される。IOセル列10Fは、IOセル列10Eとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Gは、IOセル列10Fとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。IOセル列10Hは、IOセル列10Gとの間で、互いの低電源電圧領域11同士が対向するように配置される。IOセル列10Iは、IOセル列10Hとの間で、互いの高電源電圧領域12同士が対向するように配置される。そして、第1IOセル列群23(IOセル列10Iの低電源電圧領域11)と第2IOセル列群24(IOセル列10Jの高電源電圧領域12)との間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)が設けられる。
【0054】
配置例C2~C5においても、配置例C1と同様の効果が得られる。すなわち、配置例Dと比較して、IOセル列10E(IOセル10)の内部入出力端子11aからコア領域2までの距離が短くなるので、配線遅延を抑制することができる。また、第1IOセル列群23と第2IOセル列群24との間にのみラッチアップエラーを回避するためのスペース(距離a)を設けることにより実現できるので、面積の増大量も少なくてすむ。さらに、IOセル列群23,24内でY方向に隣接するIOセル10間に、ラッチアップエラーを回避するためのスペースをとる必要がない。
【0055】
(他の構成例)
図8はIOセル配置の他の例である。図8の配置例は、図3の配置例とほぼ同様である。ただし、第1IOセル列群21(IOセル列10Aの低電源電圧領域11)と第2IOセル列群22(IOセル列10Bの高電源電圧領域12)との間のスペース(距離a)に、X方向に延びる2本のガードバンド41,42(第1ガードバンドに相当)が配置されている点が、図3と異なっている。また、IOセル列10BとIOセル列10Cとの間のスペース(距離b)、および、IOセル列10CとIOセル列10Dの間のスペース(距離b)、それぞれ、X方向に延びる1本のガードバンド43,44(第2ガードバンドに相当)が配置されている点が、図3と異なっている。ガードバンド41~44は、電源またはグランドに電位固定された拡散領域であり、ガードバンド41~44を配置することでノイズの伝搬を低減することができる。ここで、低電源電圧領域11と高電源電圧領域12とが対向する場所、すなわち、第1IOセル列群21と第2IOセル列群22との間は、特にノイズ伝搬を抑制することが求められるので、複数のガードバンド(図8では2本)を配置するようにしている。なお、図8では第1ガードバンドとして複数本のガードバンドを配置している例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1ガードバンドを1本とし、その第1ガードバンドを第2ガードバンドより太い幅のものとしてもよく、同様のノイズ伝搬抑制効果が得られる。
【0056】
上記実施形態では、対向するIOセル10は、X方向におけるサイズおよび位置が同一であるものとしたが、本実施形態の構成はこれに限られるものではない。
【0057】
図9はIOセル配置の他の例である。図9の配置例は、図3の配置例とほぼ同様である。ただし、図9の配置例では、X方向における各IOセル列10A~10Dを構成するIOセル10のX方向の位置が互いに異なるものが含まれている。また、X方向に隣接配置されたIOセル10の間のスペースに、信号配線を通すためのフィラーセル50が配置されている。なお、図9に破線の矢印で示すように、IOセル10の入出力端子(例えば、内部入出力端子11a)とX方向の同じ位置にフィラーセル50が配置されていると、入出力端子(内部入出力端子11a)とコア領域2との接続配線長を短くすることができるようになる。ただし、IOセル10の入出力端子(例えば、内部入出力端子11a)とフィラーセル50のX方向の位置が互いに異なっていてもよい。
【0058】
また、図示しないが、フィラーセル50を設けずにIOセル10内に信号配線を通すための領域を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示によると、半導体集積回路装置について、面積の増加を招くことなく、配線遅延を抑制することができるので、例えば、LSIの高速化等の性能向上に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 チップ
2 コア領域
3 IO領域
10 IOセル
10A IOセル列(第1IOセル列)
10D IOセル列(第2IOセル列)
10E IOセル列(第1IOセル列)
10J IOセル列(第2IOセル列)
11 低電源電圧領域
12 高電源電圧領域
21 第1IOセル列群
22 第2IOセル列群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9