(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20221005BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20221005BHJP
A61Q 7/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9728
A61Q7/02
(21)【出願番号】P 2018117540
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508001073
【氏名又は名称】株式会社シーエスラボ
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-182687(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0067698(KR,A)
【文献】特表2004-504336(JP,A)
【文献】特開2017-001985(JP,A)
【文献】特開2018-020990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 36/00-36/9068
A61P 17/00-17/18
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆の加水分解物とハイビスカス
(Hibisucas sabdariffa L.)の乳酸菌発酵物とを有効成分として含有する体毛成長抑制用皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体安全性にすぐれた体毛成長抑制用の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美観上の理由等により、体毛(手、足、腋、胴、顔等)を除去する方法(除毛クリーム、テープストリッピング)が提案されているが、皮膚刺激や体毛除去後の肌荒れや皮膚の不健全化等の問題が生じた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、生体安全性の観点から天然物由来の新たな有効成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、大豆の加水分解物とハイビスカスの乳酸菌発酵物とを組み合わせた組成物が、すぐれた体毛成長抑制効果を有することを新たに見出した。
【0004】
従来、大豆の加水分解物又はハイビスカスの乳酸菌発酵物を皮膚外用剤に使用する技術は、特許文献1、及び特許文献2により知られていたが、それら加水分解物及び発酵物の組み合わせが体毛成長抑制用の皮膚外用剤の有効成分として有用であることは知られていなかった。
【文献】特開2006-290742号
【文献】特開2006-347925号
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、大豆の加水分解物とハイビスカスの乳酸菌発酵物とを有効成分として含む体毛成長抑制用皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生体安全性にすぐれ、かつ、すぐれた体毛成長抑制効果を有する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
また、本発明において、「大豆」とは、マメ科(Fabaceae)ダイズ属(Glycine)の大豆(Glycine max)であって、特に黒大豆が好ましく、また、その使用部位としては種子が好ましい。
【0008】
本発明で用いるハイビスカスとは、アオイ科(Malvaceae)フヨウ属(Hibiscus)の植物であるローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)をいう。また、使用部位としては、萼又は萼を含む全草が好ましい。
【0009】
大豆の加水分解物は、大豆を溶媒で抽出して抽出物を調製する際もしくは抽出後に、酵素による加水分解処理を行うことによって調製することができる。
【0010】
抽出物の調製は、大豆の抽出対象部位を、必要ならば予め水洗して異物を除いた後、これをそのままもしくは乾燥し、さらに必要ならば細切或いは粉砕した上、浸漬法等の常法に従って抽出溶媒と接触させることによって行うことができる。
【0011】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独でもしくは二種以上混合して用いられる。本発明においては、幅広い製品への適用が可能であるという点からも、水、或いは低級アルコール類、多価アルコール類などの親水性の溶媒が好適に用いられる。抽出溶媒の好ましい例としては、例えば水もしくは低級アルコール類(特にエタノール)の単独使用、水と低級アルコール類(特にエタノール)との混合溶媒或いは水と多価アルコール類(特に1,3-ブチレングリコールもしくはプロピレングリコール)との混合溶媒の使用等が挙げられる。
【0012】
混合溶媒を用いる場合、各溶媒の混合比は、例えば水とエタノールとの混合溶媒であれば、重量比(以下同じ)で1:5~25:1、水と1,3-ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、1:5~15:1、又水とプロピレングリコールとの混合溶媒であれば、1:5~15:1の範囲とすることが好ましい。
【0013】
抽出物の調製に当たって、抽出液のpHに特に制限はないが、一般にはpH4~9の範囲とすることが好ましい。pHの調整は、前記した抽出溶媒中に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤や、クエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤等を配合することによって行うことができる。
【0014】
抽出温度、時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpH、或いは大豆の抽出部位・細切度等によっても異なるが、例えば水を抽出溶媒とする浸漬法の場合であれば、抽出温度は、一般に4~100℃、好ましくは4~80℃の範囲であり、又抽出時間は、4℃の冷温抽出の場合で1時間~50日間、特に24時間~20日間、40℃の中温抽出の場合で1時間~20日間、特に3時間~5日間、80℃の高温抽出の場合で10分~8時間、特に30分~3時間の範囲とするのがよい。浸漬法の場合、浴比は重量比で、大豆に対して溶媒が一般に1~200倍量、好ましくは1~100倍量の範囲となるようにするのがよい。
【0015】
本発明においては、大豆の抽出物の加水分解処理に使用する酵素としては、蛋白分解酵素又は蛋白分解酵素と脂肪分解酵素の組み合わせが好ましい。
【0016】
蛋白分解酵素は、動物由来酵素、植物由来酵素、及び微生物由来の酵素のいずれでも良い。例えば、アクチナーゼ類、ペプシンなどのペプシン類、トリプシンなどのトリプシン類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類、グリシルグリシンペプチターゼ、カルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼなどのペプチターゼ類、ブロメラインなどが挙げられる。また、脂肪分解酵素としてはリパーゼ等が挙げられる。使用する酵素としては、いずれかの酵素群から選ばれた1種又は2種以上を用いても、それらの酵素群からそれぞれ選ばれた1種又は2種以上の酵素を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
酵素による加水分解処理は、大豆抽出物液中の固形分に対して、一般に0.0001~3重量%の酵素を用い、好適には使用する酵素の至適pH及び至適温度付近で行われる。処理時間は、酵素加水分解処理を抽出と同時に行う場合は抽出時間と同一であって差し支えないが、該処理を抽出後に行う場合には、30分~10時間の範囲とするのがよい。
【0018】
ハイビスカス(Hibiscus sabdariffa L.)の乳酸菌による発酵処理は以下のようにして行うことが好ましい。すなわち、発酵の資化源としては植物それ自体(以下、植物体という)を用いてもよく、又は植物体から上述した溶媒抽出方法により得られる抽出物を用いてもよい。また、抽出物を用いる場合には、被抽出物の植物体を固液分離によって除去することなく、植物体を含んだままで発酵を行うことも可能である。ここで、植物は、生のままであっても、又予め乾燥若しくは半乾燥したものであってもよい。また、形状としては採取したものをそのまま用いることも可能である。
【0019】
本発明において、乳酸菌とは、例えばラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシルス ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)等のラクトバシルス(Lactobacillus)属の乳酸菌が挙げられる。
【0020】
上述の懸濁液又は抽出物を微生物により発酵させるときには、発酵工程前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去する。この雑菌の殺菌除去方法としては、発酵素材を予め殺菌用エタノール等で洗浄した後無菌水等の無菌溶媒に懸濁する方法を用いてもよく、又発酵素材を溶媒に懸濁した後、懸濁液を加熱殺菌等により殺菌するようにしてもよい。加熱殺菌処理としては、懸濁液を120~130℃で10~20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、80~90℃に60~120分間保持することを1日1回2~3日間繰り返す間断殺菌法といった加熱殺菌法が一般に用いられる。
【0021】
無菌化した懸濁液を発酵タンクに入れ、これに微生物を植菌して発酵させる。微生物の接種量は107~108個/mLが適量である。接種量が上記の範囲より多くなっても発酵の進行時間は殆ど変わらず、一方上記の範囲より少なくなると発酵完了までに長時間を要することとなって好ましくない。
【0022】
発酵温度は一般に5~50℃の範囲、好ましくは乳酸菌の生育至適温度である「30℃~40℃」の範囲である。発酵日数は、至適温度に於いて一般に1~10日、好ましくは2~5日の範囲である。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日を越えて長くしても有効性のそれ以上の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなっていずれも好ましくない。
【0023】
上述のように調製した加水分解物及び発酵物は、一般にはpHを3~9に調製した上で、これをそのままの状態で使用しても良く、又減圧濃縮等により所望の濃度として使用しても良い。また、スプレードライ法等の常法により乾燥物としても良い。
【0024】
本発明に係る加水分解物及び発酵物を配合可能な製剤(化粧料又は医薬部外品等)としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディクリーム、ボディシャンプー、石けん、浴用剤等も挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。本発明の加水分解物及び発酵物の量は、その固形分量として、0.0002~10.0%(固形分重量%、以下同じ)である。
【0025】
本発明を化粧料等に配合する場合は、その有効成分である加水分解物及び発酵物のほかに、通常、化粧料等に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明に係る抽出物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分と組み合わせて配合することも何ら差し支えない。
【0026】
油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、ゴマ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0027】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′,N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0028】
乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はその脂肪酸エステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)等を配合することもできる。
【0029】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0030】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0031】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、1,2-ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液等がある。
【0032】
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、小豆等)のパウダー等がある。
【0033】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0034】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
【0035】
キレート剤としては、例えばエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、エデト酸又はその塩類、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホ酸四ナトリウム等がある。
【0036】
美白剤としては、t-シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0037】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0038】
製造例1.大豆加水分解物の調製
黒大豆の種子の乾燥粉砕物10gに精製水200gを加え、80℃で1時間抽出した。得られた抽出液を粗ろ過したものをpH5に希塩酸を用いて調整した後、リパーゼ及びプロテアーゼ(パパイン)を0.01%の濃度となるように添加し、40℃で3時間作用させた。次に80℃で1時間処理して酵素を失活させた後ろ過し、淡褐色透明の黒大豆抽出物の加水分解物溶液(固形分濃度1.24%)165gを得た。
【0039】
製造例2.ハイビスカス乳酸菌発酵物の調製
ハイビスカス(Hibisucas sabdariffa L.)の花部50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り、80℃で1時間加温して殺菌を行った。殺菌した懸濁液に乳酸菌(ラクトバシルス プランタラム)を108個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。培養終了後培養液を加熱殺菌し、ろ過して乳酸菌発酵物溶液735g(固形分濃度3.23%)を得た。
【0040】
試験例1.体毛成長抑制効果試験
まず、表1に示すように製造例1の加水分解物を含む本発明のローションを調製した。一方、本発明に係る加水分解物に代えて精製水を含む比較ローションも調製した。被験者(27~43歳男性)の右半顔の口の周辺からアゴにかけて塗布し(1日1回ヒゲ剃り後、適量)、左半顔の口の周辺からアゴにかけては、比較ローションを同様に塗布した。塗布開始から8日目に、デジタルマイクロスコープを用いて、各被験者の左右の鼻の下及びアゴの下のヒゲの状態の写真撮影を行った。その後、ヒゲを剃らない状態で24時間経過後、同じ部位のヒゲの状態の写真撮影を再度行った。各被験者の各部位の前後の写真を比較して、同じヒゲを選抜し、それぞれの長さを画像解析により計測し、その差をヒゲの伸長速度(mm/24時間)とした。
【0041】
【0042】
左右の鼻の下部におけるヒゲの伸長速度の測定結果を表2に示す。
[表2]
【0043】
表2に示す通り、本発明に係る加水分解物を含むローションを塗布した部分では、それを含まない比較ローションを塗布した部分と比較して、ヒゲの伸長が格段に抑制されていることが明らかになった。
【0044】
次に、左右のアゴの下部におけるヒゲの伸長速度の測定結果を表3に示す。
[表3]
【0045】
表3に示す通り、本発明に係る加水分解物を含むローションを塗布した部分では、それを含まない比較ローションを塗布した部分と比較して、ヒゲの伸長が格段に抑制されていることが明らかになった。
【0046】
試験例2.外毛根鞘細胞増殖抑制効果
ヒト外毛根鞘細胞HHORSCを、MSCM培地(ScienCell Research Laboratories社製)を入れた96穴マイクロプレートに2×103個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、上記製造例2に基づき調製した溶液を試料溶液として含む培地を添加し、同条件でさらに2日間培養した。ここで、試料溶液の濃度は、培地全量に対して溶液としての終濃度が1.0%,2.0%になるように調製した。2日間培養後上清を捨て、PBS(-)で1回洗浄後、PBS(-)で100倍希釈したhoechst33342試薬を100μL/穴添加し、37℃で1時間インキュベートし、DNAを蛍光染色した。その後、蛍光強度(励起:355nm、放射:460nm:蛍光マイクロプレートリーダー[フルオロスキャンアセント(Thermo Fisher Scientific社製)]を測定し、DNA量を求めた。試料溶液の代わりに30%の1,3-ブチレングリコールを添加した区に対しても同様の操作を行った区をコントロールとし、ここに得られた蛍光強度(DNA量)に対する各試料添加区の蛍光強度の相対値を求め、細胞増殖率(%)とした。
【0047】
【0048】
表4に示すように、本発明に係る発酵物は、外毛根鞘細胞増殖抑制効果を有することが確認された。すなわち、本発明に係る発酵物は、外毛根鞘細胞増殖抑制効果を示すことから、同じ毛包上皮由来細胞である毛母細胞の増殖も抑制するものと考えられる。さらに、上述したように、製造例1の加水分解物と組み合わせることで、より効果的な体毛成長の抑制効果が得られる。
【0049】
試験例3.モニターテスト
表5に示すように製造例1の加水分解物及び製造例2の発酵物を含む本発明のローションを調製した。一方、本発明に係る加水分解物及び発酵物に代えて精製水(10%)を含む比較ローションも調製した。本発明のローション及び比較ローションの使用感を、モニターによる実使用テストで評価した。
【0050】
【0051】
[試験方法]
試験例1と同様の被験者(27~43歳男性)に対して、本発明のローションと比較ローションをそれぞれ左右の頬部に1日2回(朝、晩)、1ヵ月間塗布してもらった時の使用感及び肌の状態を、下記の4項目(イ~ニ)について評価した。各評価は、使用感については、A:非常に良い、B:良い、C:普通、D:やや悪い、E:悪い、という5段階評価によってそれぞれ行った。
(使用感)
イ.手に取った感触
ロ.塗布時の伸び
ハ.塗布時のなめらかさ
ニ.塗布後の感触
【0052】
【0053】
【0054】
表6,7に示すように、本発明に係る加水分解物及び発酵物を含むローションは、それらを含まない比較ローションと比較して、使用感が格段にすぐれていることが明らかとなった。
【0055】
処方例1.化粧水
[成分] 部
オリーブ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
ブチルパラベン 0.1
製造例1の加水分解物 10.0
製造例2の発酵物 5.0
エタノール 5.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0056】
処方例2.乳液
[成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
製造例1の加水分解物 3.0
製造例2の発酵物 5.0
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0057】
処方例3.ローション
[成分] 部
製造例1の加水分解物 5.0
製造例2の発酵物 3.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0058】
処方例4.エッセンス
[成分] 部
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
ヒアルロン酸 0.1
製造例1の加水分解物 5.0
製造例2の発酵物 5.0
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
精製水 全量が100部となる量
【0059】
処方例5.ボディシャンプー
[成分] 部
N-ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の加水分解物 5.0
製造例2の発酵物 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0060】
処方例6.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
スクワラン 5.0
ホホバ油 5.0
ホホバワックス 3.0
ベヘニールアルコール 1.0
ステアリルアルコール 1.5
キャンデリラワックス 0.5
乳酸菌発酵米 2.0
製造例1の加水分解物 5.0
製造例2の発酵物 5.0
水素添加レシチン 0.5
カルボキシビニルポリー 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.2
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
精製水 全量が100部となる量