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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】歯車加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 23/04 20060101AFI20221005BHJP
   B23F 23/06 20060101ALI20221005BHJP
   B23F 5/02 20060101ALI20221005BHJP
   B23F 23/12 20060101ALI20221005BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B23F23/04
B23F23/06
B23F5/02
B23F23/12
B23Q7/04 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018112788
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019214099
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000125853
【氏名又は名称】株式会社 神崎高級工機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】瀧 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】黒川 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】金野 誠司
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-226637(JP,A)
【文献】特開2013-202693(JP,A)
【文献】実開昭62-072040(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00-23/12
B23Q 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回中心軸線回りに回転駆動される旋回部材及び前記旋回部材に旋回中心軸線回り等間隔に支持された第1~第3グリッパを含み、前記各グリッパは加工対象物である歯車及び前記歯車を軸線回り相対回転不能且つ脱着可能に支持するアーバー含むワーク体を直接又は間接的に着脱自在に支持可能とされ、前記旋回部材は旋回中心軸線回り等間隔に配置された搬入位置、加工位置及び搬出位置に前記各グリッパを順に位置させ得るように構成されている搬送ユニットと、
前記第1~第3グリッパのうち加工位置に位置されているグリッパとの間で前記ワーク体の受け渡しを行前記ワーク体のアーバーを軸線回り相対回転不能且つ脱着可能に支持し、且つ、当該アーバーを軸線回りに回転駆動可能とされた加工ユニットと、
前記加工ユニットによって回転駆動される前記アーバーに装着された歯車と同期回転されつつ当該歯車に噛み合うことで当該歯車を加工する工具を含む工具ユニットと
搬入位置に配置され、前記アーバーを着脱可能に支持し且つ前記アーバーへの加工前歯車の連結が可能とされた搬入ユニットと、
搬出位置に配置され、前記アーバーを脱着可能に支持し且つ前記アーバーからの加工済歯車の取り外しが可能とされた搬出ユニットと、
前記搬入ユニットに支持されている前記ワーク体のアーバーの回転位置を検出するアーバー回転位置検出センサ及び当該アーバーに装着されている加工前歯車の回転位置を検出する歯車回転位置検出センサとを備え、
前記加工ユニット及び前記工具ユニットは、前記アーバー回転位置センサ及び前記歯車回転位置センサによって検出される、加工前歯車のアーバーに対する回転位置に基づき、前記アーバーに装着された歯車及び前記工具が同期回転するように作動制御され、
搬入位置に位置されているグリッパへの加工前歯車の装着及び搬出位置に位置されているグリッパからの加工済歯車の取り外しが可能とされていることを特徴とする歯車加工装置。
【請求項2】
前記第1~第3グリッパは互いに対して独立して開閉動作することを特徴とする請求項1に記載の歯車加工装置。
【請求項3】
加工位置において前記加工ユニットと共働して歯車を軸線回り回転可能に狭持するテールストックユニットを備え、
前記テールストックユニットは、前記搬送ユニットによって旋回中心軸線回りに搬送される歯車の旋回軌跡より径方向外方で、且つ、旋回中心軸線回りの周方向位置に関し、搬入位置及び加工位置の間、又は、加工位置及び搬出位置の間に配置されたサポートコラムに支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯車加工装置。
【請求項4】
前記工具をドレッシングするドレッシングユニットを備え、
前記ドレッシングユニットは、前記旋回部材を旋回中心軸線回り回転自在に支持するベース支持軸の上面に固着された固定テーブルに前記工具に対して接離可能に支持されていることを特徴とする請求項1からの何れかに記載の歯車加工装置。
【請求項5】
前記工具をドレッシングする複数のドレッシングユニットを備え、
前記複数のドレッシングユニットは、前記旋回部材を旋回中心軸線回り回転自在に支持するベース支持軸に旋回可能に支持された回転テーブルに支持されており、
前記回転テーブルは、前記複数のドレッシングユニットのそれぞれを前記工具と対向させる複数のドレッシング位置において固定可能とされており、
前記複数のドレッシングユニットは、前記回転テーブルが対応するドレッシング位置に固定された状態において前記工具に対して接離可能となるように前記回転テーブルに支持されていることを特徴とする請求項1からの何れかに記載の歯車加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車の加工を行う歯車加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工対象物となる歯車と歯車状の工具とを同期回転させつつ、前記工具を歯車に押し当てることによって歯車の加工を行う装置は従前から種々提案されている。
【0003】
例えば、本願出願人は、加工対象物となる歯車が脱着可能に連結される支持部材(アーバー)と、前記支持部材を着脱自在に支持し且つ前記支持部材を軸線回りに回転駆動可能な第1ワーク支持ユニットと、前記第1ワーク支持ユニットに支持された状態の歯車の回転位置を検出する歯車回転位置センサと、歯車の回転位置を変化させずに、前記第1ワーク支持ユニットに支持された前記支持部材に対し歯車を脱着させるワーク移動ユニットと、前記ワーク移動ユニットによって歯車が前記支持部材から取り外されている間に、前記歯車回転位置センサによって検出された歯車の回転位置に対し所定位相差となるように前記第1ワーク支持ユニットを作動させて前記支持部材を回転駆動させる制御部と、歯車が前記所定位相差で連結された状態の前記支持部材を前記第1ワーク支持ユニットから加工位置へ移動させるワーク搬送ユニットと、加工位置に配置され、前記支持部材を着脱自在に支持し且つ前記支持部材を軸線回りに回転駆動可能な第2ワーク支持ユニットと、前記第2ワーク支持ユニットに支持された歯車に噛み合いながら回転しつつ当該歯車を加工する工具を有する工具ユニットとを備え、前記支持部材及び前記工具が前記所定位相差に基づいて同期回転するように、前記制御部が作動制御を行う歯車加工装置を提案している(下記特許文献1参照)。
【0004】
前記歯車加工装置によれば、前記第2ワーク支持ユニットによって支持されている一の歯車に対して前記工具ユニットによって加工を行っている間に、前記第1ワーク支持ユニットによって支持されている他の歯車の回転位置(位相)の設定を行うことができ、回転位置の設定に係る時間を省略して効率的な加工を行うことができる。
【0005】
さらに、前記歯車加工装置によれば、前記第1ワーク支持ユニットから前記第2ワーク支持ユニットへ搬送される歯車及び支持部材は常に前記所定位相差を有することになる。従って、歯車及び支持部材の連結体を前記第1ワーク支持ユニットから前記第2ワーク支持ユニットへ搬送させる毎に、当該歯車及び支持部材の位相差に関する情報を前記第1ワーク支持ユニットから前記第2ワーク支持ユニットへ伝達する必要無く、前記第2ワーク支持ユニットに支持された歯車と前記工具との同期回転を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6210513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の通り、従来の前記歯車加工装置は多くの利点を有するものの、加工済歯車及び加工前歯車の交換作業性に関しては改善の余地があった。
【0008】
即ち、従来の前記歯車加工装置においては、作業者は、前記第2ワーク支持ユニット及び前記工具ユニットの共働下に加工された加工済歯車及び当該加工済歯車が連結された前記支持部材を含む連結体を前記ワーク搬送ユニットによって前記第2ワーク支持ユニットから前記第1ワーク支持ユニットへ搬送させ、前記連結体の支持部材を前記第1ワーク支持ユニットによって支持させた状態で当該支持部材から加工済歯車を取り外し、空き状態となった前記支持部材に次に加工すべき加工前歯車を装着させることになる。
【0009】
この際、作業者は、前記第1ワーク支持ユニットに支持されている支持部材から取り外した加工済歯車を一方の手で把持しつつ、他方の手に予め把持しておいた加工前歯車を前記支持部材に装着する必要があり、加工済歯車及び加工前歯車の交換作業が厄介であった。
【0010】
特に、加工対象物となる歯車が大径歯車やシャフトギヤ等の重量物である場合には、作業者は両手のそれぞれに重量物を持つことになり、大きな負担となる。
【0011】
また、従来の前記歯車加工装置においては、前記第1ワーク支持ユニットに支持された支持部材から加工済歯車を取り外してからでないと、加工前歯車の装着及び当該加工前歯車の回転位置設定を行うことができず、この点においても作業性を向上し難いという問題があった。
【0012】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、加工済歯車及び加工前歯車の交換作業の容易化を図り得る歯車加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成する為に、旋回中心軸線回りに回転駆動される旋回部材及び前記旋回部材に旋回中心軸線回り等間隔に支持された第1~第3グリッパを含み、前記各グリッパは加工対象物である歯車及び前記歯車を軸線回り相対回転不能且つ脱着可能に支持するアーバー含むワーク体を直接又は間接的に着脱自在に支持可能とされ、前記旋回部材は旋回中心軸線回り等間隔に配置された搬入位置、加工位置及び搬出位置に前記各グリッパを順に位置させ得るように構成されている搬送ユニットと、前記第1~第3グリッパのうち加工位置に位置されているグリッパとの間で前記ワーク体の受け渡しを行前記ワーク体のアーバーを軸線回り相対回転不能且つ脱着可能に支持し、且つ、当該アーバーを軸線回りに回転駆動可能とされた加工ユニットと、前記加工ユニットによって回転駆動される前記アーバーに装着された歯車と同期回転されつつ当該歯車に噛み合うことで当該歯車を加工する工具を含む工具ユニットと、搬入位置に配置され、前記アーバーを着脱可能に支持し且つ前記アーバーへの加工前歯車の連結が可能とされた搬入ユニットと、搬出位置に配置され、前記アーバーを脱着可能に支持し且つ前記アーバーからの加工済歯車の取り外しが可能とされた搬出ユニットと、前記搬入ユニットに支持されている前記ワーク体のアーバーの回転位置を検出するアーバー回転位置検出センサ及び当該アーバーに装着されている加工前歯車の回転位置を検出する歯車回転位置検出センサとを備え、前記加工ユニット及び前記工具ユニットは、前記アーバー回転位置センサ及び前記歯車回転位置センサによって検出される、加工前歯車のアーバーに対する回転位置に基づき、前記アーバーに装着された歯車及び前記工具が同期回転するように作動制御され、搬入位置に位置されているグリッパへの加工前歯車の装着及び搬出位置に位置されているグリッパからの加工済歯車の取り外しが可能とされている歯車加工装置を提供する。
【0014】
ましくは、前記第1~第3グリッパは互いに対して独立して開閉動作するように構成される。
【0015】
本発明に係る歯車加工装置は、さらに、加工位置において前記加工ユニットと共働して歯車を軸線回り回転可能に狭持するテールストックユニットを備え得る。
前記テールストックユニットは、前記搬送ユニットによって旋回中心軸線回りに搬送される歯車の旋回軌跡より径方向外方で、且つ、旋回中心軸線回りの周方向位置に関し、搬入位置及び加工位置の間、又は、加工位置及び搬出位置の間に位置するように前記歯車加工装置のテーブル(ベッド)上に配置されたサポートコラムに支持され得る。
【0016】
本発明の前記種々の構成に係る歯車加工装置は、さらに、前記工具をドレッシングするドレッシングユニットを備え得る。
前記ドレッシングユニットは、前記旋回部材を旋回中心軸線回り回転自在に支持するベース支持軸の上面に固着された固定テーブルに前記工具に対して接離可能に支持される。
【0017】
これに代えて、本発明の前記種々の構成に係る歯車加工装置は、さらに、前記工具をドレッシングする複数のドレッシングユニットを備え得る。
前記複数のドレッシングユニットは、前記旋回部材を旋回中心軸線回り回転自在に支持するベース支持軸に旋回可能に支持された回転テーブルに支持される。
【0018】
前記回転テーブルは、前記複数のドレッシングユニットのそれぞれを前記工具と対向させる複数のドレッシング位置において固定可能とされ、前記複数のドレッシングユニットは、前記回転テーブルが対応するドレッシング位置に固定された状態において前記工具に対して接離可能となるように前記回転テーブルに支持される。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る歯車加工装置によれば、旋回中心軸線回りに回転駆動される旋回部材に旋回中心軸線回り等間隔に支持された第1~第3グリッパが歯車及びアーバーを含むワーク体を着脱自在に支持可能とされ、前記旋回部材が旋回中心軸線回り等間隔に配置された搬入位置、加工位置及び搬出位置に前記各グリッパを順に位置させ得るように構成され、加工ユニットが加工位置に位置されているグリッパとの間でワーク体の受け渡しを行前記ワーク体のアーバーを軸線回り相対回転不能且つ脱着可能に支持し、且つ、当該アーバーを軸線回りに回転駆動可能とされ、工具ユニットの工具が前記加工ユニットによって回転駆動されるアーバーに装着された歯車と同期回転されつつ当該歯車に噛み合うことで当該歯車を加工するものとされており、搬入位置に配置された搬入ユニットは、前記アーバーを着脱可能に支持し且つ前記アーバーへの加工前歯車の連結が可能とされ、搬出位置に配置された搬出ユニットは、前記アーバーを脱着可能に支持し且つ前記アーバーからの加工済歯車の取り外しが可能とされ、前記搬入ユニットに支持されている前記ワーク体のアーバーの回転位置及び当該アーバーに装着されている加工前歯車の回転位置がアーバー回転位置検出センサ及び歯車回転位置検出センサによってそれぞれ検出可能とされており、前記加工ユニット及び前記工具ユニットは、前記アーバー回転位置センサ及び前記歯車回転位置センサによって検出される、加工前歯車のアーバーに対する回転位置に基づき、前記アーバーに装着された歯車及び前記工具が同期回転するように作動制御され、搬入位置に位置されているグリッパに加工前歯車を装着させることができ、且つ、搬出位置に位置されているグリッパから加工済歯車を取り外すことができるように構成されているので、加工済歯車及び加工前歯車の交換作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る歯車加工装置の斜視図である。
図2図2は、ドレッシングユニットを取り外した状態の前記歯車加工装置の平面図である。
図3図3は、前記歯車加工装置における搬送ユニットを含む部分斜視図である。
図4図4は、前記実施の形態1の変形例に係る歯車加工装置の搬送ユニットを含む部分斜視図である。
図5図5は、前記実施の形態1の他の変形例に係る歯車加工装置のドレッシングユニットを含む部分斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る歯車加工装置の斜視図である。
図7図7は、ドレッシングユニットを取り外した状態の前記実施の形態2に係る歯車加工装置の平面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態3に係る歯車加工装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1
以下、本発明に係る歯車加工装置の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係る歯車加工装置1Aの斜視図を示す。
また、図2に、下記ドレッシングユニット200を取り外した状態の前記歯車加工装置1Aの平面図を示す。
【0022】
図1及び図2に示すように、前記歯車加工装置1Aは、旋回中心軸線X回り等間隔に配置された搬入位置11、加工位置12及び搬出位置13の3つの作業位置を有しており、搬入位置11での加工前歯車100aの装着、加工位置12での歯車100への加工、及び、搬出位置13での加工済歯車100bの取り外しを、それぞれ、独立して行えるように構成されている。
【0023】
なお、本実施の形態においては、図2に示す平面視において、加工位置12を基準に紙面上側に搬入位置を、紙面下側に搬出位置をそれぞれ設定し、反時計回りに歯車100が移送されるように設定したが、搬入位置を下側、搬出位置を上側に設定し、時計回りに歯車100を移送させるようにしても構わない。
【0024】
具体的には、前記歯車加工装置1Aは、歯車100を旋回中心軸線X回りに搬送する搬送ユニット20と、加工位置12において歯車100を軸線回りに回転駆動可能な加工ユニット40と、前記加工ユニット40によって回転駆動されている歯車100に対して加工を行う、ネジ状砥石などで構成される工具51を含む工具ユニット50とを備えている。
【0025】
図3に、前記搬送ユニット20を含む一部のみを取り出した斜視図を示す。
図1図3に示すように、前記搬送ユニット20は、旋回中心軸線X回り回転可能とされた旋回部材21と、前記旋回部材21に支持された第1~第3グリッパ25a~25cと、前記旋回部材21を旋回中心軸線X回りに回転駆動する電動モータ等の旋回駆動部材(図略)とを有している。
【0026】
前記第1~第3グリッパ25a~25cは、旋回中心軸線X回り等間隔に配置されており、それぞれが歯車100を直接又は間接的に着脱自在に支持し得るように構成されている。
【0027】
本実施の形態においては、前記各グリッパ25a~25cは、開閉可能な一対のアーム26を有しており、前記一対のアーム26の自由端部同士が近接する閉動作を行うことで歯車100を直接又は間接的に把持し且つ前記一対のアーム26の自由端部同士が離間する開動作を行うことで歯車100を開放するようになっている。
【0028】
前記一対のアーム26の開閉動作は、種々の構成によって実現され得る。
本実施の形態においては、前記旋回部材21の上面に、油空圧あるいは電動によって伸縮作動するアクチュエータ22a~22cを設置し、その両側面から延伸された伸縮自在な作動ロッド220aに前記アーム26の基端部が連結されており、前記作動ロッド220aの伸張及び短縮に応じて前記アーム26が開動作及び閉動作する。
【0029】
これに代えて下記構成によって前記一対のアーム26の開閉動作を行うことも可能である。
即ち、前記グリッパ25に、前記一対のアーム26の自由端部同士を近接する方向に付勢する把持ばね(図略)及び前記把持ばねの付勢力に抗して前記一対のアーム26を開動作させるカム機構(図略)を設けると共に、前記一対のアーム26を旋回中心軸線Xに沿って上下方向移動可能とすることができる。
【0030】
前記カム機構は、前記一対のアーム26が下降位置に位置されると前記把持ばねの付勢力に抗して前記一対のアーム26を開動作させつつ、前記一対のアーム26が上昇位置に位置されると前記把持ばねの付勢力による前記一対のアーム26の閉動作を許容するように構成される。
【0031】
前記一対のアーム26の開閉動作は前記旋回部材21の昇降に応じて行うものとされる。
即ち、図3に示すように、前記旋回部材21はベース支持軸15に旋回中心軸線X回り回転自在で且つ上下方向移動可能に支持され、前記旋回部材21は、前記旋回駆動部材によって旋回中心軸線X回りに回転されることに加えて、前記搬送ユニット20に備えられる旋回昇降駆動部材(図略)によって上昇位置及び下降位置を取り得るものとされる。
【0032】
そして、前記第1~第3グリッパ25a~25cの一対のアーム26は、前記旋回部材21の上下動に応じて一体的に開閉動作を行うようになっている。
【0033】
即ち、歯車100の旋回中心軸線X回りの位置を変更させる際には前記旋回部材21は上昇位置に位置される。この際、前記アクチュエータ22a~22cの作動ロッド220aは短縮されて前記第1~第3グリッパ25a~25cの一対のアーム26は全て閉動作される。そして、歯車が旋回中心軸線X回りの目的位置に位置されると、前記旋回部材21が下降位置に位置される。この際、前記アクチュエータ22a~22cの作動ロッドは伸張されて前記第1~第3グリッパ25a~25cの一対のアーム26は全て開動作される。
【0034】
これに代えて、前記第1~第3グリッパ25a~25cの各々を前記旋回部材21に対して個別的に上下方向移動可能とされた搬送ユニット20Bを備えることも可能である。
【0035】
図4に、前記搬送ユニット20Bを備えた変形例に係る歯車加工装置1Bの部分斜視図を示す。
【0036】
図4に示すように、前記搬送ユニット20Bは、前記旋回部材21に旋回中心軸線Xに沿った上下方向に独立して移動可能に支持された第1~第3可動体27a~27cと、前記第1~第3可動体27a~27cをそれぞれ上下動させる第1~第3昇降駆動部材28a~28cとを有しており、前記第1~第3グリッパ25a~25cは、それぞれ、前記第1~第3可動体27a~27cに支持されている。
【0037】
前記第1~第3昇降駆動部材28a~28cは油空圧あるいは電動式のアクチュエータにて構成される。
前記第1~第3昇降駆動部材28a~28cは、前記旋回部材21に固定される第1~第3駆動本体と、前記第1~第3駆動本体から上方へ延びて前記第1~第3可動体27a~27cに連結され、前記駆動本体によって上下方向に伸縮される上下作動ロッド280a~280cとを有するものとされる。前記第1~第3駆動本体は、例えば、前記旋回部材21の下面に固定され、この場合、前記第1~第3上下作動ロッド280a~280cは前記旋回部材21を貫通して上方へ延在される。
なお、図4中の符号29a~29cは前記旋回部材21の上面に立設されて前記第1~第3可動体27a~27cを上下方向移動可能に案内支持するスライドレールである。
【0038】
このような前記搬送ユニット20Bにおいては、例えば、前記第1~第3グリッパ25a~25cを下降させた際、加工位置において、後述する加工スピンドルへの歯車100(本実施の形態においては歯車100及びアーバー110を含むワーク体W)のクランプが異物の存在で不十分だった場合、加工位置のグリッパのみを当該グリッパが支持するワーク体Wと共に上昇させて、(例えば、クーラント油の放出によって)着座箇所を清掃し、その後に、当該グリッパの再下降を行うという動作を、ワーク体Wが加工スピンドルに正常にクランプされるまで繰り返す。この間、他の作業位置、即ち、搬入位置および搬出位置に位置されているグリッパは下降位置のまま待機することができ、各作業位置での効率良く作業を行うことができる。
【0039】
前記旋回部材21は、旋回中心軸線X回り一方側へ回転されることによって、前記第1~第3グリッパ25a~25cを、旋回中心軸線X回り等間隔に配置された搬入位置11、加工位置12及び搬出位置13に順に位置させるようになっている。
【0040】
即ち、前記旋回部材21は、旋回中心軸線X回りに、前記第1~第3グリッパ25a~25cをそれぞれ搬入位置11、加工位置12及び搬出位置13に位置させる第1旋回位置(図1及び図2に示す位置)と、前記第1旋回位置から旋回中心軸線X回り一方側へ1/3回転されて、前記第1~第3グリッパ25a~25cをそれぞれ加工位置、搬出位置及び搬入位置に位置させる第2旋回位置と、前記第2旋回位置から旋回中心軸線X回り一方側へ1/3回転されて、前記第1~第3グリッパ25a~25cをそれぞれ搬出位置、搬入位置及び加工位置に位置させる第3旋回位置とを取り得る。
【0041】
図2等に示すように、本実施の形態においては、前記旋回部材21は、前記ベース支持軸15が挿通される中央孔を有するリング状とされており、前記第1~第3グリッパ25a~25cは、前記一対のアーム26の自由端部が径方向外方に位置する状態で前記リング状旋回部材21に旋回中心軸線X回り等間隔に支持されている。
【0042】
前記加工ユニット40は、加工位置12に位置された前記グリッパ25との間で歯車100の受け渡しを行うことができ、前記グリッパ25から受け取った歯車100を所定回転速度で軸線回りに回転させ得るように構成されている。
【0043】
詳しくは、図示は省略するが、前記加工ユニット40は、歯車100に直接又は間接的に軸線回り相対回転不能に連結される加工スピンドルと、前記加工スピンドルを軸線回りに回転駆動する歯車加工駆動部材と、歯車100の回転位置を直接又は間接的に検出する歯車側回転センサと、歯車100の加工スピンドルへの直接又は間接的な連結を保持・解除自在なクランプ機構と、歯車100が加工スピンドルに直接又は間接的に連結される際の密着状態を確認する着座センサーとを備えている。
【0044】
本実施の形態に係る前記歯車加工装置1Aにおいては、前述の通り、前記搬送ユニット20は、歯車100及び当該歯車100が着脱自在に連結されるアーバー110を含むワーク体Wを旋回中心軸線X回りに搬送するように構成されている。
【0045】
従って、前記加工ユニット40は、加工位置12に位置されたグリッパ25との間で歯車100及びアーバー110を含むワーク体Wの受け渡しを行い、且つ、前記グリッパ25から受け取ったワーク体Wのアーバー110と前記加工スピンドルとを軸線回り相対回転不能で且つ脱着可能に連結するように構成されている。
【0046】
詳しくは、アーバー110及び加工前歯車100aが連結されてなるワーク体Wを支持する一のグリッパ25が加工位置へ位置されると、当該一のグリッパ25が他のグリッパ25と共に又は当該一のグリッパ25だけが下降位置に位置され、ワーク体Wが前記加工スピンドルにクランプされる。ワーク体Wが前記加工スピンドルにクランプされた後に、当該一のグリッパ25における一対のアーム26が開動作されて、ワーク体Wが当該一のグリッパ25から切り離される。この状態で、前記工具ユニット50による加工前歯車100aへの加工が行われる。そして、加工完了後に、当該一のグリッパ25における一対のアーム26が閉動作されて加工済歯車100bを把持し、この状態で当該一のグリッパ25が他のグリッパ25と共に又は当該一のグリッパ25だけが上昇位置に位置されて、前記旋回部材21の旋回中心軸線X回りの旋回に応じて加工位置12ら搬出位置13へ移送される。
【0047】
前記工具ユニット50は、前記加工ユニット40によって支持された歯車100の回転軸線と当該歯車100の回転軸線及び前記搬送ユニット20の旋回中心軸線Xを結ぶ仮想軸線L(図2参照)との双方に直交する工具回転軸線Y回り回転可能に支持された前記工具51と、前記工具51を工具回転軸線Y回りに回転駆動する工具駆動部材(図略)と、前記工具51の回転位置を検出する工具側回転センサ(図略)とを備え、前記歯車側回転センサの検出結果に応じて歯部同士が衝突しないように歯の位置合わせを行なった後、前記工具51を、前記加工ユニット40によって回転駆動されている歯車100と同期回転させて加工を行えるように構成されている。
【0048】
前記工具ユニット50には、さらに、前記工具51を上下方向、工具回転軸線方向及び前記仮想軸線方向へ移動させる工具移動機構(図略)が備えられている。
【0049】
斯かる構成の前記歯車加工装置1Aによれば、搬入位置11に位置されているグリッパ25への加工前歯車100aの装着作業、及び、搬出位置13に位置されているグリッパ25からの加工済歯車100bの取出作業を、個別に行うことができ、作業者に対する作業負荷を有効に軽減させることができる。
【0050】
即ち、加工済歯車の取出作業及び加工前歯車の装着作業を一箇所で行うように構成されている従来の歯車加工装置においては、作業者は一方の手で対応するグリッパから加工済歯車を取り外して把持しつつ、他方の手に予め把持していた加工前歯車を当該グリッパに装着させる必要があり、作業性に関し問題があった。
特に、加工対象物である歯車が大径歯車やシャフト付きギヤ等の大型歯車である場合には、作業者の作業負荷が大きくなっていた。
【0051】
これに対し、本実施の形態に係る歯車加工装置1Aにおいては、作業者は、前記第1~第3グリッパ25a~25cのうち搬入位置11に位置されているグリッパへの加工前歯車100aの装着作業一の箇所で行い、搬出位置12に位置されているグリッパからの加工済歯車100bの搬出作業を他の箇所で行うことができる。
従って、加工済歯車100a及び加工前歯車100bの交換ををそれぞれ両手で行うことができ、作業性を向上することができる。
【0052】
前述の通り、本実施の形態に係る歯車加工装置1Aにおいては、前記搬送ユニット20は歯車100及びアーバー110が連結されてなるワーク体Wを搬送するように構成されている。
【0053】
この場合、前記歯車加工装置1Aには、さらに、搬入位置11に配置された搬入ユニット60及び搬出位置13に配置された搬出ユニット70が備えられる。
【0054】
前記搬出ユニット70は、アーバー110を脱着可能に支持する搬出側アーバー支持機構71と、前記搬出側アーバー支持機構71によって支持されているアーバー110に対する歯車100の脱着を行う搬出側歯車脱着機構(図略)とを有している。
【0055】
詳しくは、前記旋回部材21の旋回によって、アーバー110及び加工済歯車100bが連結されてなるワーク体Wを支持する一のグリッパ25が搬出位置13に移送されると、当該一のグリッパ25は下降位置へ下降されて、ワーク体Wのアーバー110を前記搬出側アーバー支持機構71に連結させ、その後に、当該一のグリッパ25の前記一対のアーム26が開動作される。これにより、前記一のグリッパ25とワーク体W(アーバー110及び加工済歯車100bの連結体)とが切り離される。
【0056】
アーバー110に連結されている加工済歯車100bは、前記搬出側歯車脱着機構によって当該アーバー110との連結が解除されるので、作業者は加工済歯車100bを速やかに搬送コンベアなどに移し変えることができる。
【0057】
加工済歯車100bがアーバー110から切り離された後、当該一のグリッパ25は、前記一対のアーム26が閉動作されて空のアーバー110を把持した状態で、上昇位置へ上昇される。そして、当該一のグリッパ25は、空のアーバー110を把持した状態で、前記旋回部材21の旋回中心軸線X回りの旋回に応じて、搬出位置13から搬入位置11へ移送される。
【0058】
前記搬入ユニット60は、アーバー110を脱着可能に支持する搬入側アーバー支持機構61と、前記搬入側アーバー支持機構61によって支持されているアーバー110に対する歯車100の脱着を行う搬入側歯車脱着機構(図略)とを有している。
【0059】
空のアーバー100を把持する一のグリッパ25が搬出位置13から搬入位置11へ移送されると、当該一のグリッパ25が上昇位置から下降位置へ下降されて、空のアーバー110が前記搬入側アーバー支持機構61に連結される。その状態で、当該一のグリッパ25の前記一対のアーム26は開動作される。
【0060】
作業者は、次に加工すべき加工前歯車100aを、開状態とされている前記一対のアーム26の間に差し入れるようにして、前記搬入側アーバー支持機構61によって支持されている空のアーバー110に差し込む。アーバー110に差し込まれた加工前歯車100aは、前記搬入側歯車脱着機構によって当該アーバー110に連結される。
【0061】
その後、前記一対のアーム26が閉動作されて加工前歯車100a及びアーバー110が連結されてなるワーク体Wを把持し、前記搬入側アーバー支持機構61による前記アーバー110の連結が解除された後に、前記一のグリッパ25が下降位置から上昇位置へ上昇される。
【0062】
そして、前記一のグリッパ25は、加工前歯車100a及びアーバー110が連結されてなるワーク体Wを把持した状態で、前記旋回部材21の旋回中心軸線X回りの旋回に応じて、搬入位置11から加工位置12へ移送される。
【0063】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る前記歯車加工装置1Aは、さらに、前記加工位置12において前記加工ユニット40と共働して歯車100を狭持するテールストックユニット80を有している。
【0064】
前記テールストックユニット80は、前記加工ユニット40によって支持されている歯車100を上方から支持し得るように構成されている。
【0065】
図2に示すように、前記テールストックユニット80は、前記搬送ユニット20によって旋回中心軸線X回りに搬送される歯車100の旋回軌跡Rより径方向外方で、且つ、旋回中心軸線X回りの周方向位置に関し搬入位置11及び加工位置12の間に位置するようにテーブル(ベッド)95上に立設されたサポートコラム90に片持ち状に支持されている。
【0066】
斯かる構成によれば、加工対象物である歯車100が大径である場合であっても、前記サポートコラム90が前記搬送ユニット20によって搬送される歯車100に接触することを防止することができる。
【0067】
なお、図2の二点鎖線で示すように、前記サポートコラム90を、歯車100の旋回軌跡Rより径方向外方で、且つ、旋回中心軸線X回りの周方向位置に関し加工位置12及び搬出位置13の間に位置するように前記テーブル(ベッド)95上に配置させることも可能である。
【0068】
図1に示すように、本実施の形態に係る歯車加工装置1Aは、さらに、前記工具51をドレッシングするドレッシングユニット200を備えている。
本実施の形態においては、前記ドレッシングユニット200は、前記ベース支持軸15の上面に固着された固定テーブル510に、ドレス歯(図示せず)を前記工具51に対して接離可能とするなスライド機構を介してに支持されている。
【0069】
なお、本実施の形態に係る歯車加工装置1Aは、単一の前記ドレッシングユニット200を備えているが、これに代えて、複数のドレッシングユニット205a、205bを備えることも可能である。
図5に、複数のドレッシングユニット205a、205bを備えた変形例に係る歯車加工装置1Cの部分斜視図を示す。
【0070】
図5に示すように、前記変形例1Cにおいては、前記複数のドレッシングユニット205a、205bは、前記ベース支持軸15に旋回可能に支持された回転テーブル215に支持されている。
【0071】
前記回転テーブル215は、前記複数のドレッシングユニット205a、205bのそれぞれを前記工具51と対向させる複数のドレッシング位置において固定可能とされている。
【0072】
前記複数のドレッシングユニット205a、205bは、前記回転テーブル215が対応するドレッシング位置に固定された状態においてドレス歯(図示せず)を前記工具51に対して接離可能とするスライド機構を介して前記回転テーブル215に支持されている。
【0073】
斯かる変形例においては、ドレッシングユニット205a、205bの取替作業を行うことなく、複数種類の工具51に対して適切なドレッシング処理を行うことができる。
なお、前記ドレッシングユニットが単一の場合又は複数の場合の何れの場合であっても、ドレス作業時には、前記ドレス歯(図示せず)を工具51に近接させると同時に、工具51をドレッシングユニット方向へ移動させる。これにより、前記スライド機構に要求されるスライド長を短縮することができる。
【0074】
なお、前述したように未加工歯車100aが加工位置12に到達した後に歯の割り出しを行って工具51との歯合わせを行なうのではなく、一の歯車100の加工中、搬入位置にある他の未加工歯車100aの歯の回転角度を検出しておくことにより、加工位置での、加工に入るまでの時間(加工準備時間)を短縮することができる。
【0075】
即ち、前記搬入ユニット60には、さらに、前記搬入側アーバー支持機構61によって支持されているアーバー110の回転位置を検出するアーバー回転位置センサ(図略)及び前記搬入側アーバー支持機構61によって支持されているアーバー110に装着された加工前歯車100aの回転位置を検出する歯車回転位置センサ(図略)を備えさせ、搬入位置11において、加工前歯車100aのアーバー110に対する位相(歯車100がアーバー110に固着されているワーク体Wの状態において前記歯車100の軸線回り基準位置が前記アーバー110の軸線回り基準位置に対してどれだけ回転されているかを示す角度)を検出するように構成するのがよい。
【0076】
当該アーバー110が加工位置12に移動されて前記加工ユニット40の加工スピンドルにセットされたとき、前記検出信号に基づいて当該加工スピンドルは、工具ユニット50に対して適切な相対回転位置に修正される。これにより、両者を同期駆動して噛み合わせる際に歯同士は衝突する恐れが無くなる。
【0077】
実施の形態2
以下、本発明に係る歯車加工装置の他の実施の形態ついて、添付図面を参照しつつ説明する。
図6に、本実施の形態に係る歯車加工装置2の斜視図を示す。
また、図7に、前記ドレッシングユニット200を取り外した状態の前記歯車加工装置2の平面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0078】
図6及び図7に示すように、本実施の形態に係る歯車加工装置2は、前記実施の形態1に係る歯車加工装置1Aに比して、さらに、移動ユニット250を有している。
【0079】
前記移動ユニット250は、前記搬入ユニット60によって支持された状態のワーク体Wのアーバー110に対して、回転位置を変化させずに加工前歯車100aを脱着させ得るように構成されている。
【0080】
本実施の形態においては、前記移動ユニット250は前記サポートコラム90に支持されている。
即ち、図7に示すように、前記サポートコラム90は、前記搬送ユニット20によって搬送される歯車100の搬送軌跡Rより径方向外方で、且つ、旋回中心軸線X回りに関し搬入位置11及び加工位置12の間に配置されている。
【0081】
前記移動ユニット250は、前記搬入ユニット60によって支持されたワーク体Wより上方に位置するように前記サポートコラム90に支持された上下方向に延びる上下移動レール252と、前記上下移動レール252に上下方向移動自在に支持された移動体254と、前記移動体254に支持され、前記搬入ユニット60によって支持されたワーク体Wの歯車100を脱着可能に把持する一対の把持アーム256と、前記移動体254を上下方向に移動させる移動体駆動部材(図略)と、前記一対の把持アーム256を開閉動作させる把持アーム駆動部材(図略)とを備えている。
【0082】
本実施の形態においては、前記搬入ユニット60の前記搬入側アーバー支持機構61には、前記アーバー110に脱着可能に連結される搬入スピンドル(図略)と、前記アーバー110上の加工前歯車110aに対する歯車回転位置センサとが備えられている。
【0083】
本実施の形態に係る歯車加工装置2は以下のように作動する。
作業者によって搬入位置11に位置する一のグリッパ25に装着された加工前歯車100aは、当該一のグリッパ25から前記搬入スピンドルに支持されているアーバー110に装着され、当該アーバー110に軸線回り相対回転不能に連結される。
【0084】
この状態で前記歯車回転位置センサによって加工前歯車100aの位相(回転位置)が検出され、この位相情報は前記歯車加工装置2の制御装置に送信される。
【0085】
次いで、前記移動ユニット250の前記移動体254を下降させて、前記一対の把持アーム256が、前記グリッパ25との干渉を避けつつ前記搬入スピンドルに支持されているワーク体Wの加工前歯車110aを把持し、前記一対の把持アーム256が加工前歯車100aを把持している状態で前記アーバー110と加工前歯車100aとの連結を解除させて前記移動体254を上昇させることにより、加工前歯車100aの位相(回転位置)を変化させずに、前記アーバー110から加工前歯車100aを取り外す。
【0086】
次いで、加工前歯車100aが前記移動ユニット250によって前記アーバー110から取り外されている際に、前記アーバー110が加工前歯車100aに対して予め設定されている所定位相差となるように前記アーバー110だけが前記搬入スピンドル(図略)によって回転される。
【0087】
そして、前記移動体254を下降させて、前記一対の把持アーム256によって把持されている加工前歯車100aを再び前記アーバー110に受け渡して、加工前歯車100aを前記アーバー110に相対回転不能に連結させる。
【0088】
このようにして形成されたワーク体Wにおいては、加工前歯車100a及び前記アーバー110は前記所定位相差を有する状態となっている。
【0089】
その後、前記搬送ユニット20によってワーク体Wが搬入位置11から加工位置12へ搬送されて、加工位置12において前記搬送ユニット20から前記加工ユニット40へ受け渡される。
【0090】
前記工具ユニット50及び前記加工ユニット40においては、前記所定位相差に基づいて前記工具51が加工前歯車100aに対して回転位置の位置合わせをされた状態で、前記工具51及び前記アーバー110が同期回転されつつ前記工具51による加工前歯車100aへの加工が行われる。
【0091】
斯かる構成を備えた前記歯車加工装置2によれば、前記実施の形態1におけると同様の効果、即ち、加工済歯車100bと加工前歯車100aとの交換作業性の向上という効果に加えて、前記工具51及び加工前歯車100aを同期噛合させる際の時間短縮と作動制御の簡略化を図ることができる。
【0092】
即ち、本実施の形態においては、加工位置12へ搬送された際には加工前歯車100a及びアーバー110は必ず前記所定位相差を有する状態となっている。
従って、搬入位置11で検出した回転位置情報を加工位置へ送信することなく、前記所定位相差に基づいて加工前歯車100a及び前記工具51の同期噛合を行うことができ、これにより、作動制御の簡略化を図ることができる。
【0093】
実施の形態3
以下、本発明に係る歯車加工装置の他の実施の形態ついて、添付図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施の形態に係る歯車加工装置3の斜視図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0094】
本実施の形態に係る歯車加工装置3は、前記搬送ユニット20によって搬送される搬送対象物が歯車100のみとされている点において、前記実施の形態1及び2に係る歯車加工装置1A、2と相違している。
【0095】
即ち、本実施の形態に係る歯車加工装置3においては、搬入位置11において一のグリッパ25に狭持された加工前歯車100aは歯車単体で加工位置12に搬送され、加工位置12において当該一のグリッパ25から加工ユニット340に加工前歯車100aが受け渡され、加工ユニット340及び工具ユニット50の共働下に加工が行われた加工済歯車100bが当該加工ユニット340から前記一のグリッパ25へ受け渡され、前記一のグリッパ25に狭持された加工済歯車100bが歯車単体で搬出位置13へ搬送され、搬出位置13において前記一のグリッパ25から搬出される。空になった当該グリッパ25は再び搬入位置11に戻る。
【0096】
具体的には、本実施の形態に係る歯車加工装置3は、前記実施の形態1に係る歯車加工装置1Aに比して、前記加工ユニット40に代えて加工ユニット340を有し、さらに、前記搬入ユニット60及び前記搬出ユニット70が削除されている。
【0097】
前記加工ユニット340は、前記加工スピンドル及び前記歯車加工駆動部材に加えて、前記加工スピンドルに軸線回り相対回転不能に連結された加工アーバー345と、前記加工アーバー345に対する歯車100の脱着を行う加工側歯車脱着機構(図略)とを備えている。
【0098】
前記加工アーバー345は、加工位置12に位置されたグリッパ25との間で歯車100の受け渡しを行えるように配置されている。
【0099】
本実施の形態に係る前記歯車加工装置3においては、加工前歯車100aの位相(回転位置)を検出する歯車回転センサ(図略)は、前記加工アーバー345に装着された状態の加工前歯車100aの位相を検出するように配置される。
【0100】
本実施の形態に係る前記歯車加工装置3は以下のように作動する。
作業者は搬入位置11において一のグリッパ25に加工前歯車100aを装着する。
前記一のグリッパ25によって把持された加工前歯車100aが搬入位置11から加工位置12へ搬送されるように、前記旋回部材21が旋回中心軸線X回りに回転駆動される。
【0101】
加工位置12において、一のグリッパ25から前記加工アーバー345へ加工前歯車100aが受け渡される。
【0102】
前記歯車回転位置センサ(図略)によって検出された加工前歯車100aの位相(回転位置)に基づき前記工具51との位相合わせを行なった後、加工前歯車100a及び前記工具51を噛み合わせ、前記加工アーバー345及び前記工具51が同期回転するように、前記加工ユニット340及び前記工具ユニット50が作動制御されて、歯車の加工が実行される。
【0103】
加工済歯車100bは前記加工アーバー345から対応するグリッパ25へ受け渡され、当該グリッパ25に把持された加工済歯車100bが加工位置12から搬出位置13へ搬送されるように、前記旋回部材21が旋回中心軸線X回りに回転駆動され、搬出位置13において加工済歯車100bが当該グリッパ25から搬出される。
【0104】
斯かる構成を備えた前記歯車加工装置3においても、前記各実施の形態1A、2におけると同様に、加工済歯車100bと加工前歯車100aとの交換作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0105】
1A~1C、2、3 歯車加工装置
11 搬入位置
12 加工位置
13 搬出位置
20 搬送ユニット
21 旋回部材
25a~25c 第1~第3グリッパ
40、340 加工ユニット
50 工具ユニット
51 工具
60 搬入ユニット
70 搬出ユニット
80 テールストックユニット
90 サポートコラム
100a 加工前歯車
100b 加工済歯車
110、345 アーバー
200、205a、205b ドレッシングユニット
210 固定テーブル
215 回転テーブル
250 移動ユニット
W ワーク体
X 旋回中心軸線
R 旋回軌跡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8