(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】移動式作業台および作業台システム
(51)【国際特許分類】
E04G 1/34 20060101AFI20221005BHJP
E04G 1/24 20060101ALI20221005BHJP
E04G 5/14 20060101ALN20221005BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E04G1/24 301A
E04G5/14 302A
(21)【出願番号】P 2018117299
(22)【出願日】2018-06-20
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2017170531
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-068964(JP,A)
【文献】特開2010-036783(JP,A)
【文献】実開昭51-023229(JP,U)
【文献】特開2011-084943(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0899226(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/34
E04G 1/24
E04G 5/14
E04G 7/28
E04G 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、脚部と、を備えた移動式作業台であって、
前記脚部は、
互いに対向する一対の脚体を有し、
前記一対の脚体は、前記天板部の高さを調整するために伸縮可能であるとともに、上端から下端に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜し、
さらに、前記一対の脚体は、前記天板部の高さを高くするために伸ばすほど互いの下端同士が離れ、前記天板部の高さが調整されて互いの下端同士が最も離れた場合であっても、前記移動式作業台の上側から見て、
前記一対の脚体の上端から下端までが前記天板部に重なり合うように配置されていることを特徴とする移動式作業台。
【請求項2】
前記一対の脚体は、脚体同士が重なり合うように前記天板部に対して折り畳み可能であることを特徴とする請求項1に記載の移動式作業台。
【請求項3】
前記脚部に連結される走行部を更に有し、
前記脚部は、4つの脚部材を有し、
前記走行部は、前記4つの脚部材にそれぞれ連結される、鉛直方向の軸回りに旋回可能なキャスターを有し、
前記キャスターは、前記移動式作業台の上側から見て、旋回した何れの位置であっても前記天板部に重なり合うように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の移動式作業台。
【請求項4】
前記キャスターは、独立して回転する2つの車輪を有することを特徴とする請求項3に記載の移動式作業台。
【請求項5】
前記キャスターは、車輪部と、前記車輪部を回転できないように操作するペダル部とを有し、
前記ペダル部は、前記移動式作業台の上側から見て、前記キャスターが旋回した何れの位置であっても前記天板部に重なり合うように配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の移動式作業台。
【請求項6】
前記キャスターは、前記車輪部が回転できないことを識別可能に表示することを特徴とする請求項5に記載の移動式作業台。
【請求項7】
前記キャスターは、上側から見える位置に前記車輪部が回転できないことを識別可能に表示することを特徴とする請求項6に記載の移動式作業台。
【請求項8】
前記キャスターは、前記脚部材の下端にブラケットを介して連結され、
前記ブラケットは、前記キャスターのうち前記車輪部と相対的に旋回する部材との間で回動できないように前記キャスターを取り付けていることを特徴とする請求項5ないし7の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項9】
前記脚部は、4つの脚部材を有し、
前記脚部材は、下面が水平面に対して略平行であることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項10】
前記脚部は、水平面に対して鋭角側の傾斜角度が90度よりも小さく80度よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項11】
前記天板部は、他の移動式作業台と連結するため、あるいは、他の移動式作業台との間に架け渡されるブリッジと連結するための連結孔を有し、
前記連結孔は、前記連結孔の開口縁を少なくとも内側および上側から覆う筒部材により構成されていることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項12】
前記筒部材は、前記天板部の上面と異なる色が付されていることを特徴とする請求項11に記載の移動式作業台。
【請求項13】
前記天板部は、
他の移動式作業台との間に架け渡されるブリッジの連結部に連結される被連結部と、
前記ブリッジの浮上防止部材が下側から係合される凹部と、を有することを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項14】
前記脚部は、鉛直方向の軸回りに旋回可能なキャスターがそれぞれ連結された4つの脚部材を有し、
前記4つの脚部材は、前記天板部に対して折り畳み可能であって、
前記4つの脚部材のうち少なくとも一つの脚部材を前記天板部に対して折り畳むときに、前記キャスターの一部が接触することで前記キャスターを旋回させて姿勢を変換させる変換部を有することを特徴とする請求項1に記載の移動式作業台。
【請求項15】
請求項1ないし14の何れか1項に記載の移動式作業台と、
2つの前記移動式作業台の間に架け渡されるブリッジと、を備えることを特徴とする作業台システム。
【請求項16】
前記天板部は、上側から見て矩形状であり、
前記ブリッジは、前記天板部の4辺の全ての端部に連結可能であって、前記天板部の端部に連結されることで2つの前記移動式作業台の間に架け渡されることを特徴とする請求項15に記載の作業台システム。
【請求項17】
前記天板部は、上側から見て一方向に長い矩形状であって、
前記ブリッジは、前記天板部の長手側の端部および短手側の端部の何れにも連結可能であって、前記天板部の端部に連結されることで2つの前記移動式作業台の間に架け渡されることを特徴とする請求項15または16に記載の作業台システム。
【請求項18】
前記ブリッジは、上側から見て一方向に長い矩形状であり、かつ、短手側の端部の長さは、前記天板部の短手側の端部の長さよりも短く、
複数の略同一サイズの前記ブリッジの短手側の端部を、前記天板部の短手側の端部および長手側の端部にそれぞれ並列に連結可能であることを特徴とする請求項15ないし17の何れか1項に記載の作業台システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式作業台および作業台システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高所作業を行うための移動式作業台が知られている。移動式作業台は、任意の位置に移動させることができる。特許文献1には、天板と一対の脚体とを備えた可搬式作業台が開示されている。このような可搬式作業台では、作業者が梯子状の脚体を用いて天板と床面との間を昇降することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の可搬式作業台は、安定性を向上させるために、一対の脚体は天板からはみ出した位置に配置されていると共に、下側になるほど互いに広がるように傾斜して配置されている。しかしながら、壁に近接した高所作業を行うために壁に近接させようとした場合には、脚体と壁とが干渉してしまい、作業台を壁に近接して設置することができないという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、設置の自由度を向上させることができる移動式作業台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の移動式作業台は、天板部と、脚部と、を備えた移動式作業台であって、前記脚部は、互いに対向する一対の脚体を有し、前記一対の脚体は、前記天板部の高さを調整するために伸縮可能であるとともに、上端から下端に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜し、さらに、前記一対の脚体は、前記天板部の高さを高くするために伸ばすほど互いの下端同士が離れ、前記天板部の高さが調整されて互いの下端同士が最も離れた場合であっても、前記移動式作業台の上側から見て、前記一対の脚体の上端から下端までが前記天板部に重なり合うように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、設置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態の作業台システムの構成の一例を示す図である。
【
図5】作業台の構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図6】天板部の周辺の構成の一例を示す斜視図である。
【
図8A】開脚状態における回動部の構成の一例を示す図である。
【
図8B】閉脚状態における回動部の構成の一例を示す図である。
【
図9A】開脚状態における回動部の構成の一例を示す図である。
【
図9B】閉脚状態における回動部の構成の一例を示す図である。
【
図10】キャスターの構成の一例を示す斜視図である。
【
図11】キャスターの構成の一例を示す斜視図である。
【
図12】ステー部の構成の一例を示す斜視図である。
【
図13】脚部を折り畳んだ状態の一例を示す図である。
【
図14】脚部材およびキャスターが配置される位置の一例を示す図である。
【
図15】第2の実施形態のキャスターの構成の一例を示す斜視図である。
【
図16】第3の実施形態の変換部材の構成の一例を示す図である。
【
図17】変換部材の作用を説明するための図である。
【
図18】第4の実施形態のブリッジの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る移動式作業台について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
移動式作業台100は、作業者が高所作業を行うための作業台である。本実施形態の移動式作業台100(作業台100)は、床面から後述する天板部110までが例えば略1000mm~略1500mmの高さであるものを想定している。
作業台100は、作業者が単体で用いたり、複数の作業台100を連結させて作業台システム10として用いたりすることができる。ここでは、まず、作業台システム10の構成について説明する。
【0009】
図1は、作業台システム10の構成の一例を示す図である。
本実施形態の作業台システム10は、作業台100(100a,100b)、ブリッジ20(20a~20c)および補助手摺部30(30a、30b)等を備えている。
作業台100a、100bはそれぞれ同じ向きであって、離れた位置に並列して設置されている。ブリッジ20(20a~20c)は、作業台100aの長手側の端部と作業台100bの長手側の端部との間に架け渡して配置される。ブリッジ20はいわゆる足場として機能する。すなわち、ブリッジ20と床面との間にはブリッジ20を支持する部材は存在せず、作業台100a、100bがブリッジ20を支持する。ここでは、3つのブリッジ20a~20cが隙間なく並列に配置されている。補助手摺部30は必要に応じて作業台100またはブリッジ20に取り付けて作業領域を取り囲む。作業者が作業領域で作業しているときに作業者の身体の一部が補助手摺部30に接触することで、作業者は作業領域の端であることを認識できる。ここでは、作業台100の短手方向の長さと略一致する補助手摺部30aと、作業台100の長手方向の長さまたはブリッジ20の長手方向の長さと略一致する補助手摺部30bとが配置されている。
【0010】
作業台システム10では、複数の作業台100を連結させたり、ブリッジ20を架け渡したりすることで作業領域を広く確保することができる。したがって、作業者は異なる位置で作業をするときに作業台100を移動させる必要がない。更には、複数の作業者が同時に作業することができる。このように、作業台システム10を用いて作業することで作業効率の向上を図ることができる。
なお、作業台システム10を構成する場合には、
図1の作業台システム10の構成に限らず、作業現場に応じて、作業台100およびブリッジ20それぞれの数および位置を変更することができる。例えば、ブリッジ20は作業台100の短手側の端部と作業台100の短手側の端部との間、あるいは、作業台100の短手側の端部と作業台100の長手側の端部との間に架け渡して配置してもよい。また、例えば、ブリッジ20は、長手方向の長さが500mm、1000mm、1500mm、2000mm、2500mm等の種類があり、何れの長さのブリッジ20を用いてもよい。更に、例えば、ブリッジ20を用いずに、作業台100bに隣接して二点鎖線で示す異なる作業台100cを設置してもよい。
【0011】
次に、単体の作業台100について説明する。
図2は、作業台100の構成の一例を示す平面図である。
図3は、作業台100の構成の一例を示す正面図である。
図4は、作業台100の構成の一例を示す側面図である。
図5は、作業台100の構成の一例を示す分解斜視図である。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、前側をFr、後側をRr、右側をR、左側をLとして示している。
作業台100は、天板部110と、脚部130と、回動部150と、走行部180と、回動規制部220とを有する。
天板部110は、高所作業を行う作業者の足場として機能する。天板部110は、上側から見て前後方向に長い矩形状である。前後方向が例えば略1500mmの長さであり、左右方向が例えば略1000mmの長さである。
天板部110は、複数の長尺状の天板部材が連結して構成される。具体的に、天板部110は、前後方向に沿って長い複数(例えば4本)の長手部材111a~111dを左右に並べて連結し、前後から短手部材112aと短手部材112bとで挟み込みボルトやリベットを用いて固定される。なお、リベットにはブラインドリベットが含まれる。長手部材111a~111dおよび短手部材112a、112bは、例えば、アルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。また、長手部材111a~111dおよび短手部材112a、112bは例えばシルバー色等の金属色である。
【0012】
図6は、天板部110の一部の構成および天板部110の周辺の構成の一例を示す斜視図である。
図6に示すように、天板部110は、作業面となる上面に滑り止めとしての複数の突起113を有する。突起113は間隔を空けて天板部110の全面に亘って形成される。突起113は上側に向かって突出し、中央に孔を有する。
【0013】
また、天板部110は、4隅に近接した位置に複数の連結部材114を有する。連結部材114は、隣接する他の作業台100を連結する部材である。ここで、
図6の二点鎖線で示すように、連結部材114はバー状であって、コ字状に折曲げた形状である。連結部材114は、基軸115、把持部116、連結軸117を有する。基軸115は把持部116の一端から鉛直方向に沿った軸であり、天板部110内に収容される方向に付勢される。把持部116は水平方向に沿った軸であり、作業者が連結部材114を引き上げるときに把持する。連結軸117は把持部116の他端から鉛直方向に沿った軸であり、天板部110を他の作業台100に連結させる。
図6の実線で示すように、連結する作業台100がない場合には、連結部材114は基軸115および連結軸117が天板部110の内部に収容される。一方、連結部材114を他の作業台100に連結するには、作業者は把持部116を引き上げて連結軸117の下端を露出させる。次に、
図6の二点鎖線で示すように、作業者は、基軸115を中心にして軸回りに回動させることで、連結軸117を天板部110の外周縁よりも外側に位置させる。次に、作業者は連結軸117を、他の作業台100の後述する連結孔118に上側から挿入することで、他の作業台100を連結することができる。
【0014】
また、天板部110は、外周縁に近接した位置に複数の被連結部としての連結孔118を有する。連結孔118は、ブリッジ20あるいは隣接する他の作業台100と連結するための孔である。
ここで、
図6を参照してブリッジ20について説明する。ブリッジ20は、作業台100と連結する側の端部に連結部としての連結ピン22を有する。連結ピン22はブリッジ20の端部の両側に位置するブラケット21から下側に突出する。2つの連結ピン22を、それぞれ連結孔118に上側から挿入することにより、ブリッジ20が作業台100に連結される。
連結孔118は、長手部材111aおよび長手部材111dにそれぞれ例えば6つ、短手部材112aおよび短手部材112bにそれぞれ例えば4つ形成される(
図2を参照)。したがって、天板部110は長手側の端部に3つのブリッジ20を並列して連結でき、短手側の端部に2つのブリッジ20を並列して連結できる。
【0015】
本実施形態の連結孔118は、天板部110に形成した開口孔119内に筒部材120を配置することで構成される。
図7(a)は、
図6に示すI-I線を鉛直方向に切断して、矢印方向から見た断面図である。筒部材120は、天板部110に形成した開口孔119を補強する。筒部材120は、例えば鉄製であり、天板部110の天板部材(長手部材111a~111dおよび短手部材112a、112b)よりも硬い材質が用いられる。筒部材120は、いわゆるハトメ状であって、筒部121、上側フランジ部122、下側フランジ部123を有する。筒部121は、内部の空間が上述した連結孔118となる。筒部121は、開口孔119の開口縁を内側から覆う。また、上側フランジ部122は開口孔119の開口縁を上側から覆い、下側フランジ部123は開口孔119の開口縁を下側から覆う。連結孔118は、ブリッジ20の連結ピン22や連結部材114の連結軸117が連結される度に挿入され、連結した後では孔径が広がる方向に力が掛かる。本実施形態では、筒部材120によって連結孔118を構成することで、連結孔118の変形を抑制することができる。また、連結孔118が変形したときに筒部材120を取り替えることで容易に補修することができる。筒部材120は開口孔119の開口縁を内側および上側の少なくとも何れか一方から覆うことで、変形を抑制することができる。
なお、筒部材120を開口孔119に取り付ける場合には、下側フランジ部123を有しない筒部材120を、筒部121を先頭にして上側から開口孔119に挿入した後に、筒部121の下側を加締めて、下側フランジ部123を形成することで取り付けることができる。
【0016】
また、筒部材120は、天板部110の天板部材の上面とは異なる色が付されている。具体的には、筒部材120は、例えば赤色に着色されている。このように、筒部材120に色を付すことで、作業者は連結孔118を容易に認識することができる。また、筒部材120は天板部110の外周縁に近接して配置されることから、作業者は筒部材120を視認することで、天板部110の端部の位置を容易に認識することができる。なお、筒部材120自体を着色する場合に限られず、上側フランジ部122の表面や連結孔118の周囲に塗料を塗ることで着色してもよく、シールを貼付することで着色してもよい。
【0017】
また、天板部110は、外周縁に近接した位置に複数の手摺用孔125を有する。手摺用孔125は、補助手摺部30を取り付けるための孔である。
手摺用孔125は、長手部材111aおよび長手部材111dにそれぞれ例えば4つ、短手部材112aおよび短手部材112bにそれぞれ例えば2つ形成される(
図2を参照)。天板部110は短手側の端部に一つの補助手摺部30aを取り付けることができ、長手側の端部に一つの補助手摺部30bを取り付けることができる。なお、長手部材111aおよび長手部材111dに形成された4つの手摺用孔125のうち、取り付けたい位置に応じて2つの手摺用孔125を選択して補助手摺部30bを取り付けることができる。
ここで、
図6を参照して補助手摺部30について説明する。補助手摺部30は、手摺本体31と、支柱32と、巾木33と、引掛部材34と、支持部材35と、挿入ピン38とを有する。
【0018】
手摺本体31は、作業者の身体の一部が接触することで、作業者に天板部110の端部にいることを認識させる。手摺本体31は水平方向であって天板部110の外周縁と平行に延びる棒状である。手摺本体31は、例えば合成樹脂製であり、補助手摺部30の軽量化を図っている。
支柱32は、手摺本体31を支持する。支柱32は、鉛直方向に延びる棒状である。支柱32は、例えばアルミニウム合金製である。支柱32は間隔を空けて複数(例えば2本)配置され、上端に手摺本体31を架け渡した状態で固定する。2本の支柱32の間に手摺本体31を架け渡すことで、2本以上の支柱32を用いて手摺本体31を架け渡す場合に比べて、作業者の身体が手摺本体31に接触したときに手摺本体31が撓み易くなる。
巾木33は、物品が天板部110から落下するのを防止する。巾木33は、例えばアルミニウム合金製である。巾木33は、支柱32の下側であって、2本の支柱32の間に架け渡された状態で固定される。
【0019】
引掛部材34は、補助手摺部30を天板部110に取り付けるための部材である。引掛部材34は、支柱32の下端から手摺本体31の長手方向に対して直交する水平方向に延びた後に先端が斜め上側に延びるように折曲げられた板状である。引掛部材34は、例えば、鉄製またはチタン製である。引掛部材34は、支柱32の下端に固定される。補助手摺部30が天板部110に取り付けられたときに、引掛部材34の先端が天板部110の下面に当接する。
支持部材35は、天板部110の上面に載置される。支持部材35は、L字状に折曲げられた板状である。支持部材35は、例えば、鉄製またはチタン製である。支持部材35は、引掛部材34よりも上側の位置で支柱32に固定される。支持部材35は水平な支持部36を有し、支持部36に孔37が形成される。孔37は、手摺本体31の長手方向に沿って長い長孔である。
挿入ピン38は、支持部材35の孔37および手摺用孔125に挿入されるピンである。挿入ピン38は、離脱しないように例えば紐状部材によって支柱32に繋がれている。
【0020】
ここで、補助手摺部30を天板部110に取り付ける場合について説明する。
図7(b)は、
図6に示すII-II線を鉛直方向に切断して、矢印方向から見た断面図である。
補助手摺部30を天板部110に取り付けるには、作業者は、補助手摺部30の下側を天板部110に近づけるように斜めにした状態で、引掛部材34の先端を長手部材111aの下面に形成されたリブ126に挿入して引っ掛けた後に、引掛部材34の先端を中心にして補助手摺部30を起こすように回動させる。補助手摺部30の支柱32が鉛直方向になることで、支持部材35の支持部36が天板部110の上面に載置される。このとき、支持部36の孔37と手摺用孔125とが鉛直方向に連通する。その後、作業者は、孔37および手摺用孔125に挿入ピン38を挿入することで、補助手摺部30を天板部110に取り付けることができる。なお、支持部36の孔37は長孔であることから、補助手摺部30が天板部110の外周縁に沿って幾分ズレていても、支持部36の孔37と手摺用孔125とを連通させることができる。
本実施形態では、手摺用孔125は、天板部110に直接に形成してもよく、連結孔118と同様に筒部材を用いてもよい。なお、手摺用孔125と連結孔118とは取り付ける対象が異なるために、作業者が識別できるように手摺用孔125の周囲には筒部材120とは異なる色を付すことが好ましい。
【0021】
次に、作業台100の脚部130について説明する。
脚部130は、天板部110の荷重を支持したり、天板部110で作業する作業者の荷重を支持したりする機能を有する。また、脚部130は、天板部110の下側で連結され、天板部110に対して回動可能である。脚部130が回動することで、脚部130が天板部110と重なり合うようにして折り畳まれる。
具体的に、脚部130は4本の脚部材131a~131dを有する。脚部材131a、131bは、前後方向における後側に位置し、天板部110から床面に向かって延びる。また、脚部材131aと脚部材131bとは、互いに左右方向に離れて位置する。脚部材131c、131dは、前後方向における前側に位置し、天板部110から床面に向かって延びる。また、脚部材131cと脚部材131dとは、互いに左右方向に離れて位置する。したがって、脚部材131a~131dは、それぞれ天板部110の4隅に近接した位置から床面に向かって延びる。
脚部材131a~131dは、主脚132と、伸縮脚133とを有する。
主脚132は、脚部材131a~131dの主とする部材である。主脚132は、例えば、アルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。主脚132は例えばシルバー色等の金属色である。また、主脚132は、例えば、中空状または中実状の断面略矩形の部材である。主脚132は、上端に近接した位置に回動孔139を有する(
図5を参照)。回動孔139は、後述する回動軸157が挿通される。なお、脚部材131a、131bの主脚132の回動孔139は、脚部材131c、131dの主脚132の回動孔139よりも上側に位置する。
【0022】
伸縮脚133は、脚部材131a~131dを長手方向に沿って伸縮させる部材である(
図3を参照)。伸縮脚133は、主脚132の内部に嵌まり込み、主脚132の長手方向に沿って摺動可能である。伸縮脚133は例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。伸縮脚133は例えばシルバー色等の金属色である。また、伸縮脚133は、例えば、主脚132の断面形状を縮小させた中空状または中実状の断面略矩形の部材である。伸縮脚133は、主脚132の下端から突出させる長さを変更することにより脚部材131a~131dの長さを伸縮させる。また、伸縮脚133は、下端にストッパ部材134を有する。ストッパ部材134は、伸縮脚133の下端が主脚132に入り込まないようにする部材である。ストッパ部材134は例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。ストッパ部材134は例えばシルバー色等の金属色である。また、ストッパ部材134は、例えば、中空状または中実状の断面略矩形の部材であり、主脚132と同一の部材を用いることができる。ストッパ部材134は伸縮脚133の下端の外周に嵌め込んだ状態で、ボルトやリベット等を用いて固定される。
伸縮脚133により脚部材131a~131dを伸縮させることで、天板部110の高さを調整することができる。脚部130は高さ方向に例えば、0mmから400mmまでの間を例えば略50mmや略100mmの間隔で段階的に調整することができる。
【0023】
また、主脚132はロック機構135を有する(
図4を参照)。ロック機構135は、伸縮脚133が主脚132の下端から突出させる長さを段階的にロックする。ロック機構135は、主脚132のそれぞれ中央よりも下側の位置であって、脚部材131aと脚部材131bとが対向する側面および脚部材131cと脚部材131dとが対向する側面に取り付けられる。
【0024】
また、脚部材131aと脚部材131bとの間、および、脚部材131cと脚部材131dとの間には、水平方向に沿って横架部材137a、137bが架け渡される。横架部材137a、137bは、脚部材131a~131dの剛性を向上させる部材である。
図4に示すように、脚部材131aと脚部材131bとの間には、鉛直方向に間隔を空けて複数の横架部材137a、137bが架け渡される。具体的には、脚部材131aの主脚132と脚部材131bの主脚132との間には3本の横架部材137aが配置され、脚部材131aの伸縮脚133と脚部材131bの伸縮脚133との間には1本の横架部材137bが配置される。横架部材137aは主脚132にブラケットを介してボルトやリベット等を用いて固定される。一方、横架部材137bは伸縮脚133のストッパ部材134にブラケットを介してボルトやリベット等を用いて固定される。
【0025】
横架部材137a、137bは例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。また、横架部材137a、137bは、例えば中空状または中実状の断面略矩形または断面多角形の部材である。なお、横架部材137aと横架部材137bとは、異なる色が付されている。横架部材137aは例えばシルバー色等の金属色であり、横架部材137bは例えばゴールド色である。横架部材137bは、例えばアルマイト処理の工程において着色される。横架部材137bが横架部材137aと異なる色に付されているのは、横架部材137bが可動することを作業者に認識させるためである。すなわち、横架部材137bは、伸縮脚133に固定されているために、横架部材137bを鉛直方向に移動させることで伸縮脚133を主脚132から突出する長さを変更することができる。
【0026】
また、脚部材131aと脚部材131bとの間に架け渡された複数の横架部材137aのうち、最も上段の横架部材137aには当接部材138が固定される。当接部材138は脚部130を折り畳んだときに、床面に接したり、積み重ねた他の作業台100の天板部110に接したりすることで、積み重ねた作業台100の天板部110が水平になるように維持する。当接部材138は例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。当接部材138は例えばシルバー色等の金属色である。また、当接部材138は、例えば、中空状または中実状の断面略矩形の部材である。
ここでは、脚部材131aと脚部材131bとの間に架け渡される横架部材137a、137bについて説明したが、脚部材131cと脚部材131dとの間でも、同様の構成および同様の高さに横架部材137a、137bが架け渡される。ただし、脚部材131cと脚部材131dとの間に架け渡された横架部材137aには、上述した当接部材138を有していない。
【0027】
このように、横架部材137a、137bが脚部材131aと脚部材131bとの間、および、脚部材131cと脚部材131dとの間に架け渡されることで、脚部材131aと脚部材131bが一つのユニット、すなわち第1の脚体140Aとし、脚部材131cと脚部材131dとが一つのユニット、すなわち第2の脚体140Bとして構成される。脚部130は、一対の脚体140A、140Bが前後方向で対向するように配置される。
【0028】
次に、回動部150について説明する。
回動部150は、脚部130を天板部110に対して回動させる機能を有する。脚部130が回動部150を介して天板部110に対して回動することで、脚部130が下側に向かって延びる開脚姿勢と、脚部130が天板部110に重なり合って折り畳まれる閉脚姿勢とに変化する。
具体的には、回動部150は4つの回動体151a~151dを有する(
図5を参照)。回動体151a~151dは、それぞれ脚部材131a~131dと天板部110との間に配置される。すなわち、回動体151a~151dは、それぞれ天板部110の4隅に近接して位置する。
まず、回動体151aについて説明する。なお、回動体151aと回動体151bとは略左右対称の構成である。
【0029】
図8A(a)は、開脚状態における、左右方向から見た回動体151aの周辺の構成を示す断面図である。
図8A(b)は、開脚状態における、前後方向から見た回動体151aの周辺の構成を示す断面図である。
回動体151aは、回動支持部材152aと、回動軸157と、ストッパ機構160aとを有する。
回動支持部材152aは脚部材131aの回動を支持する部材である。回動支持部材152aは、例えば、鉄製あるいはチタン製であり、板を折曲げ成形することによって形成される。回動支持部材152aは、例えばシルバー色等の金属色である。
回動支持部材152aは、上板153および一対の支持板154aを有し、前後方向から見て略コ字状である。上板153は補強板158を介して天板部110の下面と重なり合った状態でボルトやリベット等を用いて固定される。一対の支持板154aは上板153の左右端部からそれぞれ垂下する。支持板154aは回動軸157が挿入される支持孔155aを有する。また、一対の支持板154aのうち、内側の支持板154aは、後述するストッパ部材165が挿入されるストッパ用孔156を有する。なお、回動支持部材152aは、剛性を向上させるために適宜、板厚方向に凹凸となるようなリブを形成してもよい。
回動軸157は、脚部材131aが回動するときに回動中心となる部材である。回動軸157は、支持板154aの支持孔155aおよび主脚132の回動孔139を挿通する。回動軸157は例えばボルトであって、ナットを螺合することで外れないように取り付けられる。このように、回動体151aは、回動支持部材152aによって支持された回動軸157により脚部材131aの回動を支持する。
【0030】
ストッパ機構160aは脚部材131aを開脚状態と閉脚状態との何れかに保持するための機構である。ストッパ機構160aは、天板部110の内部に設けられる。
ストッパ機構160aは、回動部材161aと、ストッパ部材165と、付勢部材168と、レバー部167とを有する。
回動部材161aは、ストッパ部材165と係合する部材である。回動部材161aは、例えば、鉄製あるいはチタン製であり、略板状である。回動部材161aは、例えばシルバー色等の金属色である。回動部材161aは主脚132の上端に近接した位置であって、脚部材131aの側面(脚部材131bと対向する側面)にボルトやリベット等を用いて固定される。また、回動部材161aには、回動孔139に連通する連通孔162aと、第1の係合孔163aと、第2の係合孔164aとを有する。第1の係合孔163aは回動部材161aの上部に位置し、第2の係合孔164aは回動部材161aの前部に位置する。連通孔162aから、第1の係合孔163aまでの距離および第2の係合孔164aまでは同一距離である。回動部材161aが脚部材131aの側面に固定された状態では、左右方向から見て第1の係合孔163aおよび第2の係合孔164aは、脚部材131aと重なり合わないように位置している。なお、第1の係合孔163aおよび第2の係合孔164aは貫通孔である場合に限られず、有底孔であってもよい。また、回動部材161aは、剛性を向上させるために適宜、板厚方向に凹凸となるようなリブを形成してもよい。
【0031】
ストッパ部材165は、回動部材161aの第1の係合孔163aまたは第2の係合孔164aに係合する部材である。ストッパ部材165は、例えば、鉄製であって、略バー状である。ストッパ部材165は、例えばシルバー色等の金属色である。ストッパ部材165は、天板部110の内部で左右方向に沿って配置される。このとき、ストッパ部材165は、長手部材111a、111bのリブ126を貫通し、リブ126を通して左右方向に沿って摺動可能である。具体的には、ストッパ部材165は、係合部166と、レバー部167とを有する。係合部166は、ストッパ部材165の先端に位置し、第1の係合孔163aまたは第2の係合孔164aの何れかに挿入されることで回動部材161aに係合する。レバー部167は、係合部166の反対側であって天板部110の左右方向の略中央に近接して位置する。レバー部167は、左右方向に対して略直交する方向に延びている。係合部166とレバー部167との間に配置された付勢部材168によって係合部166が回動部材161a側に常に付勢される。付勢部材168は例えばコイルスプリングであって、ストッパ部材165の中間位置と、長手部材111bのリブ126との間に配置される。レバー部167は、作業者が付勢部材168の付勢に抗して、ストッパ部材165を左右方向に摺動させ、係合部166による係合を解除する操作を行う部位である。ここで、レバー部167は、操作レバー170によって外周を覆うことでカバーされる。したがって、実際には、作業者は操作レバー170を操作することで係合部166による係合が解除される。
【0032】
操作レバー170は例えば合成樹脂製である。また、操作レバー170は、ストッパ部材165とは異なる色に付されている。また、操作レバー170は、天板部110の天板部材とは異なる色に付されている。具体的には、操作レバー170は例えば青色である。操作レバー170は、例えば樹脂材料に着色剤を混合させて射出成形することで着色される。また、操作レバー170は外周面から径方向に向かって円環状に突出する複数の滑り止めリブ171を有する。操作レバー170は、前後方向から見た場合に、天板部110の下側から露出するように位置する。
このように、レバー部167を操作レバー170で覆うことで把持する部位の径が大きくなることから、作業者は係合を解除する操作を容易に行うことができる。また、操作レバー170に色を付すことで、作業者は操作レバー170を容易に認識することができる。
【0033】
ここで、
図8Aおよび
図8Bを参照して、脚部材131aが開脚状態から閉脚状態に回動するときの動作について説明する。
図8B(a)は、閉脚状態における、左右方向から見た回動体151aの周辺の構成を示す断面図である。
図8B(b)は、閉脚状態における、前後方向から見た回動体151aの周辺の構成を示す断面図である。
まず、作業者は、
図8Aに示す状態から操作レバー170を付勢部材168の付勢に抗して操作して、ストッパ部材165を左右方向に摺動させる。ストッパ部材165が摺動すると、ストッパ部材165の係合部166が回動部材161aの第1の係合孔163aから外れ、ストッパ部材165と回動部材161aとの間の係合が解除される。この状態で、脚部材131aを天板部110に対して回動させることができる。作業者は、回動体151aの回動軸157を中心にして脚部材131aを天板部110と重なり合う方向に回動させる。脚部材131aを回動している間、脚部材131aの回動に伴って回動部材161aも回動する。脚部材131aが回動している間、作業者は操作レバー170から手を離すことにより、ストッパ部材165の係合部166は付勢部材168の付勢によって回動部材161aの表面に当接する。したがって、回動部材161aはストッパ部材165の係合部166と当接しながら回動する。
【0034】
図8Bに示すように、脚部材131aが天板部110と略平行になるまで回動することにより、回動部材161aの第2の係合孔164aがストッパ用孔156と連通する。したがって、ストッパ部材165の係合部166は付勢部材168の付勢によって第2の係合孔164aに挿入され、ストッパ部材165が回動部材161aに係合する。このようにして、脚部材131aは閉脚状態に保持される。なお、脚部材131aを閉脚状態から開脚状態に移行するには、ストッパ部材165と回動部材161aとの間の係合が解除することにより行う。
ここでは、脚部材131aについて説明したが、脚部材131aと脚部材131bとは一つのユニットであることから、脚部材131bも同様に回動する。なお、脚部材131aに固定された回動部材161aとストッパ部材165との係合を解除する操作レバー170、および、脚部材131bに固定された回動部材161aとストッパ部材165との係合を解除する操作レバー170は、天板部110の左右方向の中央で隣り合って位置している。したがって、作業者は2つの操作レバー170を片手で握るような操作をすることで、脚部材131a側および脚部材131b側の何れの係合も解除することができる。
【0035】
次に、回動体151cについて説明する。なお、回動体151cと回動体151dとは略左右対称の構成であることから、以下では回動体151cを中心に説明する。また、回動体151cは、回動体151aの構成と異なる点を中心に説明し、同様の構成は同一符号を付して適宜、説明を省略する。
図9A(a)は、開脚状態における、左右方向から見た回動体151cの周辺の構成を示す断面図である。
図9A(b)は、開脚状態における、前後方向から見た回動体151cの周辺の構成を示す断面図である。
回動体151cは、回動支持部材152cと、回動軸157と、ストッパ機構160cとを有する。
回動支持部材152cは脚部材131cの回動を支持する部材である。回動支持部材152cは、例えば、鉄製あるいはチタン製であり、板を折曲げ成形することによって形成される。回動支持部材152cは、例えばシルバー色等の金属色である。
回動支持部材152cは、上板153および一対の支持板154cを有し、前後方向から見て略コ字状である。一対の支持板154cは、上述した支持板154aよりも更に下側にそれぞれ垂下する。支持板154cは回動軸157が挿入される支持孔155cを有する。支持孔155cは、上述した支持板154aの支持孔155aよりも下側に位置する。ただし、ストッパ用孔156は、上述した支持板154aのストッパ用孔156と同じ高さに位置する。なお、回動支持部材152cは、剛性を向上させるために適宜、板厚方向に凹凸となるようなリブを形成してもよい。
【0036】
回動体151cは、回動支持部材152cによって支持された回動軸157により脚部材131cの回動を支持する。ただし、支持孔155cは、上述した支持孔155aよりも下側に位置することにより、回動体151cは、回動体151aよりも下側の位置で脚部材131cの回動を支持する。このように、脚部材131cを回動させる位置を下側にしているのは、脚部材131cが天板部110に対して直接、重なり合うのではなく、閉脚姿勢の脚部材131aを介して重なり合うためである。すなわち、閉脚姿勢では、天板部110、脚部材131a、脚部材131cの順に重なり合うようにして、閉脚姿勢の脚部材131cを水平な状態にするために、回動させる位置を脚部材131aの前後方向の略厚み分だけ下側にオフセットさせている。
【0037】
ストッパ機構160cは、回動部材161cと、ストッパ部材165と、付勢部材168と、レバー部167とを有する。
回動部材161cは、ストッパ部材165と係合する部材である。回動部材161cは、例えば、鉄製あるいはチタン製であり、略板状である。回動部材161cは、例えばシルバー色等の金属色である。回動部材161cは主脚132の上端に近接した位置であって、脚部材131cの側面(脚部材131dと対向する側面)にボルトやリベット等を用いて固定される。回動部材161cは、上述した回動部材161aよりも一回り大きい扇形状である。また、回動部材161cには、回動孔139に連通する連通孔162cと、第1の係合孔163cと、第2の係合孔164cとを有する。第1の係合孔163cは回動部材161cの上部に位置し、第2の係合孔164cは回動部材161bの後部に位置する。連通孔162cから、第1の係合孔163cまでの距離および第2の係合孔164cまでは同一距離であるが、上述した回動部材161aよりもそれぞれ長い距離である。回動部材161cが脚部材131cの側面に固定された状態では、左右方向から見て第1の係合孔163cおよび第2の係合孔164cは、脚部材131cと重なり合わないように位置している。なお、第1の係合孔163cおよび第2の係合孔164cは貫通孔である場合に限られず、有底孔であってもよい。また、回動部材161cは、剛性を向上させるために適宜、板厚方向に凹凸となるようなリブを形成してもよい。
ストッパ部材165は、回動部材161cの第1の係合孔163cまたは第2の係合孔164cに係合する部材である。
【0038】
ここで、
図9Aおよび
図9Bを参照して、脚部材131cが開脚状態から閉脚状態に回動するときの動作について説明する。なお、脚部材131aが開脚状態から閉脚状態に回動するときの動作と同様の動作は、適宜説明を省略する。
図9B(a)は、閉脚状態における、左右方向から見た回動体151cの周辺の構成を示す断面図である。
図9B(b)は、閉脚状態における、前後方向から見た回動体151cの周辺の構成を示す断面図である。
まず、作業者は、
図9Aに示す状態から操作レバー170を付勢部材168の付勢に抗して操作して、左右方向にストッパ部材165を摺動させる。ストッパ部材165が摺動すると、ストッパ部材165の係合部166が回動部材161cの第1の係合孔163cから外れ、ストッパ部材165と回動部材161cとの間の係合が解除される。作業者は、回動体151cの回動軸157を中心にして脚部材131cを脚部材131aと重なり合う方向に回動させる。
【0039】
図9Bに示すように、脚部材131cが脚部材131aおよび天板部110と略平行になるまで回動することにより、回動部材161cの第2の係合孔164cがストッパ用孔156と連通する。したがって、ストッパ部材165の係合部166は付勢部材168の付勢によって第2の係合孔164cに挿入され、ストッパ部材165が回動部材161cに係合する。このようにして、脚部材131cは閉脚状態に保持される。なお、脚部材131cを閉脚状態から開脚状態に移行するには、ストッパ部材165と回動部材161cとの間の係合が解除することにより行う。
ここでは、脚部材131cについて説明したが、脚部材131cと脚部材131dとは一つのユニットであることから、脚部材131dも同様に回動する。なお、脚部材131cに固定された回動部材161cとストッパ部材165との係合を解除する操作レバー170、および、脚部材131dに固定された回動部材161cとストッパ部材165との係合を解除する操作レバー170は、天板部110の左右方向の中央で隣り合って位置している。したがって、作業者は2つの操作レバー170を片手で握るような操作をすることで、脚部材131c側および脚部材131d側の何れの係合も解除することができる。
【0040】
次に、走行部180について説明する。
走行部180は、天板部110および脚部130を支持しながら作業台100を任意の位置に移動させる機能を有する。走行部180は、脚部130の下側に連結される。
具体的には、走行部180は4つのキャスター181a~181dを有する(
図5を参照)。キャスター181a~181dは、それぞれ脚部材131a~131dの下端に連結される。キャスター181a~181dは、同一の構成であることから、ここでは、キャスター181aについて説明する。
【0041】
図10は、キャスター181aの構成の一例を示す斜視図である。
キャスター181aは、車輪部182と、支持部185と、ペダル部195と、補強部材200とを有する。
車輪部182は、2つの車輪183を有し、それぞれ独立して回転する。車輪部182が2つの車輪183を有することで、一つの大きな車輪にするよりも転がり抵抗を削減でき、キャスター181aを円滑に走行させたり旋回させたりすることができる。車輪部182の幅W(2つの車輪183を合わせた幅)は、例えば主脚132の前後方向の長さL1よりも短い。一方、車輪183の直径は、例えば主脚132の前後方向の長さL1よりも長い。
支持部185は、2つの車輪183を回転可能に支持したり、ペダル部195を上下に揺動可能に支持したりする。支持部185は、フォーク部材186と、ベアリング部190と、操作部193と、取付軸191とを有する。
【0042】
フォーク部材186は、2つの車輪183の両側に位置する一対の側壁187と、一対の側壁187を車輪183の上側で連結させた天板188とを有する。フォーク部材186は、例えば鉄製であり、板を折曲げ成形することによって形成される。フォーク部材186は、例えばシルバー色等の金属色である。なお、一対の側壁187の外側の側面同士の距離のうち最も長い距離L2は、例えば主脚132の前後方向の長さL1よりも短いことが好ましい。一対の側壁187には車輪183を回転可能に支持する車軸184およびペダル部195を揺動可能に支持する支軸189が挿通される。なお、フォーク部材186をキャスター181aの走行方向に対して直交する方向から見たときに、車軸184の位置はフォーク部材186の天板188の円形部分の中心に対して走行方向にオフセットされている。したがって、車輪183が床面に接地する位置も天板188の円形部分の中心に対して走行方向にオフセットされる。
【0043】
ベアリング部190は、上皿と下皿との間に鋼球を挟み込むことで構成される。ベアリング部190は、例えば鉄製であり、例えばシルバー色等の金属色である。ベアリング部190は、上皿と下皿とが取付軸191の軸線回りに相対的に異なる方向に回動可能である。ベアリング部190のうち上皿が操作部193を介して取付軸191に結合され、下皿がフォーク部材186の天板188に結合される。したがって、フォーク部材186に支持された2つの車輪183は取付軸191に対して取付軸191の軸線回りに旋回することができる。
取付軸191は、鉛直方向に沿って延びる雄ネジ部192を有する。取付軸191は、例えば鉄製であり、例えばシルバー色等の金属色である。
【0044】
操作部193は、キャスター181aを脚部130に取り付けるために作業者が操作する部位である。操作部193は、例えば鉄製であり、略板状である。操作部193は例えばシルバー色等の金属色である。具体的に、操作部193は、外形が六角形状であり、六角の頂点を繋いだ円の直径は、ベアリング部190の外径よりも小さい。操作部193は取付軸191およびベアリング部190の上皿に結合される。すなわち、取付軸191と、操作部193と、ベアリング部190の上皿とは、一体で回転する。
【0045】
ペダル部195は、車輪183の回転を停止させたり、停止を解除させたりするときに作業者が操作する部位である。ペダル部195は、フォーク部材186の側壁187の外側に位置する一対の側壁196と、ペダル部195を上下に揺動させるための操作片197と、上側から見てフォーク部材186の天板188の一部と重なり合う重合部198とを有する。ペダル部195は、例えば鉄製であり、板を折曲げ成形することによって形成される。また、ペダル部195は、例えばシルバー色等の金属色である。
一対の側壁196には支軸189が挿通される。操作片197は、作業者の足等で上下の揺動が操作される。操作片197は斜め上側に向かって延びるように形成される。ここで、操作片197は水平面に対して例えば30度~50度の角度で斜めに延びている。重合部198は、ペダル部195(操作片197)を下側に向かって揺動させたときにはフォーク部材186の天板188の一部(後述する着色部199)と上下方向に重なり合わないように離れる。一方、重合部198は、ペダル部195(操作片197)を上側に向かって揺動させたときにはフォーク部材186の天板188の一部と上下方向に重なり合う。このとき、一対の側壁196が天板188に当接することで、ペダル部195の揺動範囲が規制される。
【0046】
補強部材200は、キャスター181aを脚部材131aに取り付けたときに、脚部材131aの荷重をキャスター181aのベアリング部190あるいはフォーク部材186に伝達する部材である。補強部材200は、例えば鉄製であり、略板状である。補強部材200は例えばシルバー色等の金属色である。具体的に、補強部材200は、外形が六角形状であり、中央に孔201を有する略環状である。補強部材200の孔201は、形状が操作部193の外形と略一致し、操作部193に嵌合する。また、補強部材200の厚みは、操作部193の厚みに略一致する。更に、補強部材200の外形の六角の頂点を繋いだ円の直径は、ベアリング部190の外径よりも小さい。
【0047】
キャスター181aは、脚部材131aの下端に連結される。具体的には、キャスター181aは脚部材131aの伸縮脚133の下端に結合されたブラケット205に取り付けられる。ブラケット205は、取付板206と、取付板206の左右方向の両端から突出する一対の取付片208とを有する。ブラケット205は、例えば鉄製あるいはチタン製であり、板を折曲げ成形することによって形成される。また、ブラケット205は、例えばシルバー色等の金属色である。取付板206は、中央には上側に向かって突出するように雌ネジ部207を有する。雌ネジ部207にはキャスター181aの取付軸191の雄ネジ部192が螺合する。また、一対の取付片208は、それぞれ取付孔209を有する。ブラケット205は脚部材131aの伸縮脚133の下端の開口を取付板206で下側から閉塞した状態にして、取付片208の取付孔209を介してボルトやリベット等を用いて固定される。
【0048】
ここで、キャスター181aをブラケット205に取り付ける場合には、作業者は補強部材200を操作部193に嵌合し、取付軸191の雄ネジ部192を回転させてブラケット205の雌ネジ部207に螺合する。ここで、補強部材200を有さない場合には、作業者は取付軸191の軸方向と直交する方向から操作部193の外形に合致する工具(例えば六角スパナ)を差し込み回転させることで、取付軸191を回転させる。一方、本実施形態では、操作部193に補強部材200が嵌合していることから、作業者は補強部材200の外形に合致する工具を差し込み回転させることで、取付軸191を回転させる。取付軸191の雄ネジ部192とブラケット205の雌ネジ部207とが完全に螺合されることで、キャスター181aがブラケット205を介して脚部材131aの下端に連結される。
【0049】
このとき、ブラケット205とキャスター181aのベアリング部190との間に補強部材200が位置する。すなわち、ブラケット205の取付板206の下面は、キャスター181aの操作部193の上面に加えて、補強部材200の上面にも接する。すなわち、補強部材200を追加することで、ブラケット205とキャスター181aとの間で接する接触面積を増やすことができる。したがって、脚部材131aからの荷重はブラケット205の取付板206を介して操作部193および補強部材200に分散して伝達される。このように、荷重が分散して伝達されることで、荷重が局所的に伝達される場合に比べて、ブラケット205やキャスター181aの意図しない変形を防止することができる。なお、補強部材200は、ブラケット205とキャスター181aのベアリング部190との間に位置する場合に限られず、脚部材131aとキャスター181aの一部(例えばベアリング部190あるいはフォーク部材186等)の間に位置していればよい。また、補強部材200は工具と係合させるために外形が六角形状である場合について説明したが、この場合に限られず、円形やその他の多角形であってもよい。
【0050】
次に、ペダル部195を操作してキャスター181aの車輪183が回転できないように回転を停止させる場合について説明する。
図11は、キャスター181aの車輪183の回転を停止させている場合を示す斜視図である。車輪183の回転を停止させたい場合、作業者はペダル部195の操作片197を下側に踏み込むように操作する。このとき、操作片197は斜め上側に向かって延びていることから、作業者はペダル部195を踏み外すことなく、容易に踏み込む操作を行うことができる。ペダル部195を踏み込む操作により、ペダル部195は支軸189を中心にして下側に揺動して、直接または間接的に2つの車輪183を押圧することで、2つの車輪183の回転を停止させることができる。また、ペダル部195は間接的にベアリング部190の上皿に当接されることで、車輪183が旋回できないように旋回を停止させることができる。このとき、ペダル部195の重合部198は、フォーク部材186の天板188の上面から離れることで、天板188の上面に着色部199が露出される。ここで、着色部199は、車輪183の回転が停止していることを作業者に識別可能に表示する部位である。着色部199は、フォーク部材186の色とは異なる色が付されている。着色部199は例えば緑色である。着色部199は、天板188の上面に塗料を塗ることで着色してもよく、天板188の上面に色がついたシールを接着することで着色してもよい。作業者は、上側から着色部199を視認することで、車輪183が回転できないことを認識することができる。
【0051】
車輪183の回転を停止させることで、作業者が作業台100を移動させようとして作業台100に対して水平方向に力を掛けたとしても、車輪183が回転しないために車輪183と床面との間に生じる摩擦によって、作業台100を移動させることができない。すなわち、作業者は高所作業を行う場合には、走行部180のキャスター181a~181dのペダル部195を操作して、車輪183の回転を停止させて、作業台100を移動できないようにする。このように、作業台100を移動できないようにすることで、作業者は安全に高所作業を行うことができる。
【0052】
次に、回動規制部220について説明する。
回動規制部220は、天板部110に対する脚部130の回動を規制する機能を有する。
具体的には、回動規制部220は、ステー部221a~ステー部221dを有する(
図5を参照)。ステー部221aとステー部221bは、回動体151aと回動体151bを介した脚部材131aと脚部材131bの回動を規制する。また、ステー部221cとステー部221dは、回動体151cと回動体151dを介した脚部材131cと脚部材131dの回動を規制する。
ここでは、ステー部221aについて説明する。なお、ステー部221aとステー部221bとは略左右対称の構成である。また、ステー部221aとステー部221cとは略前後対称の構成であり、ステー部221bとステー部221dとは略前後対称の構成である。
【0053】
図3および
図4に示すように、ステー部221aは、天板部110と上から2段目の横架部材137aとの間に亘って配置される。
図12は、ステー部221aを斜め下側から見た斜視図である。
ステー部221aは、第1のステー部材222と、第2のステー部材224と、スライド部材226とを有する。第1のステー部材222は、ブラケット223を介して天板部110の下面に回動可能に接続される。第2のステー部材224は、ブラケット225を介して横架部材137aの上面に回動可能に接続される。第1のステー部材222は、直線状の部材であって、例えば断面略コ字状である。第2のステー部材224は、直線状の部材であって、例えば、断面略コ字状あるいは断面略C字状である。第1のステー部材222および第2のステー部材224は、例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。また、第1のステー部材222および第2のステー部材224は例えばシルバー色等の金属色である。第1のステー部材222および第2のステー部材224が重なり合う位置に回動軸229が挿通される。第1のステー部材222と第2のステー部材224とは回動軸229を介して回動可能である。なお、第1のステー部材222と第2のステー部材224は、回動軸229が
図12に示す矢印方向に向かう方向の回動が許容される。一方、第1のステー部材222と第2のステー部材224は互いに当接することで、回動軸229が矢印方向とは反対方向に向かう方向の回動は規制される。
【0054】
スライド部材226は、第1のステー部材222に沿って摺動可能である。スライド部材226は、直線状であって、断面略ロ字状(閉断面形状)の部材である。スライド部材226は、例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。また、スライド部材226は、第1のステー部材222および第2のステー部材224とは異なる色が付されている。スライド部材226は例えば、オレンジ色や赤色である。スライド部材226は、例えばアルマイト処理の工程において着色される。スライド部材226は、上側に摺動可能な方向を示す矢印形状の孔227を有する。孔227は、スライド部材226のうち上側の板面を貫通する。
【0055】
また、スライド部材226は、第1のステー部材222の直線方向と第2のステー部材224の直線方向とが略一致するときに、第1のステー部材222と第2のステー部材224とに跨った位置まで摺動可能である。このとき、スライド部材226は、第2のステー部材224の上側に向かって突設したストッパによって更なる第2のステー部材224側への摺動が停止される。また、スライド部材226は、跨った位置まで摺動したときに第2のステー部材224に設けられた摩擦付与部材228が内周面に接することで、スライド部材226が意図せずに第1のステー部材222側に戻ることを防止する。スライド部材226が、第1のステー部材222と第2のステー部材224とに跨って位置することで、第1のステー部材222と第2のステー部材224との間の回動が規制される。したがって、スライド部材226により第1のステー部材222と第2のステー部材224との回動を防止することができる。第1のステー部材222と第2のステー部材224とが回動しなければ、脚部材131aおよび脚部材131bが天板部110側に向かって近づくことができないことから、天板部110に対する脚部材131aおよび脚部材131bの意図しない回動を防止することができる。
【0056】
一方、スライド部材226を第1のステー部材222側に戻るように摺動させることで、第1のステー部材222と第2のステー部材224とが回動でき、脚部材131aおよび脚部材131bが天板部110側に向かって近づくことができることから、天板部110に対する脚部材131aおよび脚部材131bを折り畳むように回動することができる。
図13は、天板部110に対して脚部130を折り畳んだ閉脚状態を示す図である。なお、折り畳む場合には天板部110を床面に接地するようにして折り畳むことから、下側から天板部110、脚部材131a、脚部材131cの順に重なり合う。また、閉脚状態では、ステー部221aのうち第1のステー部材222が天板部110の内部に位置し、第2のステー部材224が脚部材131aと脚部材131bとの間に位置する。なお、脚部材131aと脚部材131bとの間の横架部材137aには、当接部材138が配置されていることから、他の作業台100を積み重ねたときに当接部材138の上に、他の作業台100の天板部110を安定して積み重ねることができる。
【0057】
ここで、本実施形態の作業台100は、開脚状態で脚部130が完全に鉛直方向に延出しているのではなく、安定性を向上させるために鉛直方向に対して傾斜している。
すなわち、
図3に示すように作業台100を左右方向に沿って見たときに、一対の脚体140A、140Bは、上端から下端に向かうしたがって、互いに離れるように傾斜している。
図14は、伸縮脚133を主脚132から最も突出するように調整した脚部材131aの構成の一例を示す正面図である。
図14に示すように、脚部材131aは、水平面に対して鋭角側の傾斜角度が略88度で傾斜している。同様に、脚部材131b~131dについても、水平面に対して鋭角側の傾斜角度が略88度の角度で傾斜している。したがって、脚部材131aと脚部材131cとは下端に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜し、脚部材131bと脚部材131dとは下端に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜する。なお、脚部材131a~131dの傾斜角度は、それぞれ回動規制部220のステー部221a~221dの長さにより設定される。すなわち、ステー部221a~221dにおける第1のステー部材222と第2のステー部材224とが略直線状である場合に、第1のステー部材222と第2のステー部材224とを合わせた長さを長くすることで、傾斜角度を小さくしてより傾斜するように設定することができる。このように、脚部材131a~131dが下端に向かうほど天板部110の中央から離れる方向に傾斜していることで、作業台100の脚部130は天板部110を安定して支持することができる。一方、脚部材131a~131dは、前後方向から見た場合には、略鉛直方向に延出している。したがって、前後方向から見た場合には、脚部材131aと脚部材131bとは平行に略鉛直方向に延出し、脚部材131cと脚部材131dとは平行に略鉛直方向に延出する。
【0058】
ここで、脚部130を傾斜させすぎると、脚部材131a~131dの下端が、前後方向に突出してしまうことから、作業台100を壁や他の作業台100等に近接させようとした場合に脚部材131a~131dが干渉してしまい、壁や他の作業台100に近接することができない。そこで、本実施形態では、
図2に示すように、作業台100の上側から見て、脚部材131a~131dは、天板部110の外周縁からはみ出さないように配置している。換言すると、作業台100の上側から見て、脚部材131a~131dは、脚部材131a~131dの上端から下端までが天板部110に重なり合うように配置している。したがって、脚部材131a~131dが干渉することがないので、作業台100を壁や他の作業台100等に容易に近接させることができ、作業台100の設置の自由度を向上させることができる。
【0059】
また、脚部材131a~131dの下端には鉛直方向の軸回りに旋回可能なキャスター181a~181dが連結されている。
図14に示すように、キャスター181aが旋回して、最も外側に位置するような場合であっても、ペダル部195を含めたキャスター181aの何れの部材もが天板部110の外周縁を鉛直方向に伸ばした直線Eを外側にはみ出さないように配置している。換言すると、作業台100の上側から見て、キャスター181a~181dが天板部110に重なり合うように配置している。したがって、キャスター181a~181dが干渉することがないので、作業台100を壁や他の作業台100等に容易に近接させることができ、作業台100の設置の自由度を向上させることができる。なお、
図14では、ペダル部195を揺動するときに軌跡Cを示している。ここでは、軌跡Cの曲線も、直線Eを外側にはみ出していない。
【0060】
なお、脚部材131a~131dについて水平面に対して鋭角側の傾斜角度が略88度の角度で傾斜している場合、そのままでは脚部材131a~131dの下面が水平面に対して略2度、傾斜してしまう。したがって、本実施形態は、脚部材131a~131dの下面が水平面に対して略平行になるように加工している。具体的には、伸縮脚133の下端を長手方向に対して直交する方向に対して略2度、傾斜して切断している。したがって、脚部材131a~131dの下面が水平面に対して略平行になっている。このように、脚部材131a~131dの下面を水平面に対して略平行にすることで、キャスター181a~181dを略鉛直方向に沿って配置することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態の走行部180は脚部材131a~131dの下端に連結される4つのキャスター241a~241dを有する。キャスター241a~241dは、同一の構成であることから、ここでは、キャスター241aについて説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して適宜、説明を省略する。
図15は、キャスター241aの構成の一例を示す斜視図である。
キャスター241aは、車輪部182と、支持部185と、ペダル部195と、固定具としてのナット242と、ワッシャー243とを有する。なお、キャスター241aは、第1の実施形態の補強部材200を有していない。
【0062】
本実施形態では、予めキャスター241aをブラケット230に取り付け、キャスター241aを取り付けたブラケット230を伸縮脚133の下端に結合することで、キャスター241aを脚部材131aに連結する。
ブラケット230は、取付板206と、一対の取付片208とを有する。取付板206は、中央に孔状の回止め部231を有する。回止め部231は、支持部185の被回止め部としての操作部193の外形に略合致し、操作部193が嵌め込まれる。
ここで、キャスター241aを脚部材131aに連結させるには、まず、キャスター241aの操作部193をブラケット230の回止め部231に嵌め込む。次に、ブラケット230の上側からワッシャー243を取付軸191に挿入し、取付軸191の雄ネジ部192にナット242を螺合することで、キャスター241aをブラケット230に取り付ける。最後に、脚部材131aの伸縮脚133の下端の開口をブラケット230の取付板206で下側から閉塞した状態にして、取付片208の取付孔209を介してボルトやリベット等を用いて固定する。
【0063】
このようにキャスター241aを脚部材131aに連結することで、ブラケット230の回止め部231とキャスター241aの操作部193との間では、取付軸191の軸線回りに回動することが防止される。ここで、作業者がペダル部195の操作片197を下側に踏み込むように操作して、車輪183の回転を停止させると共に車輪183の旋回を停止させた場合を想定する。このとき、キャスター241aの車輪183、フォーク部材186あるいはペダル部195に障害物が衝突した場合には、キャスター241aを旋回させようとする力が生じる。しかしながら、車輪183の旋回を停止させていることから、キャスター241aを旋回させようとする力は、操作部193および取付軸191を軸線回りに回動させる力に変わる。ここで、ブラケット230に回止め部231がない場合には、取付軸191とナット242との間で相対的に両者の螺合が緩む方向に回動してしまうことがある。一方、本実施形態のようにブラケット230に回止め部231がある場合には、操作部193および取付軸191が回動しようとしても、回止め部231が操作部193を回動しないように規制することから、取付軸191とナット242との間で緩んでしまうことが防止される。なお、ここでは、キャスター241aの操作部193と、ブラケット230の回止め部231との間で回動しない場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、車輪183と相対的に旋回する部材(例えば、ベアリング部190の上皿等)と、ブラケット230との間で回動しないように構成してもよい。また、操作部193は外形が六角形状である場合に限られず、真円以外の形状であれば、その他の多角形や長円形等であってもよい。一方、回止め部231は操作部193が嵌め込まれ、相対的に回動しない形状であればよい。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態では、天板部110に対して脚部130を折り畳んだときにキャスター181c、181dの車輪部182が水平になるようにキャスター181c、181dの姿勢を変換させる変換部材251a、251bを有する。
図4の二点鎖線で示すように、変換部材251a、251bはそれぞれ脚部材131a、131bの後側の側面にボルトやリベット等を用いて固定される。変換部材251a、251bは例えば合成樹脂製である。
【0065】
図16は、変換部材251aの構成の一例を示す図である。
図17は、変換部材251aによりキャスター181cの姿勢が変換される作用を示す断面図であり、
図16に示すIII-III線に沿って切断して矢印方向から見た図である。なお、変換部材251bは変換部材251aと左右対称な形状であることから、説明を省略する。
図16に示すように、変換部材251aは、取付部252と、変換部253とを有する。取付部252は、変換部253を挟んで両側(上下)に位置する。ここでは、リベット254を用いて取付部252を脚部材131aの側面に取り付けることで、変換部材251aが脚部材131aに固定される。
図17に示すように、変換部253は、脚部材131aのうち変換部材251aが取り付けられる側面に対して傾斜している。具体的には、変換部253は、右から左に向かうにしたがって徐々に高さH(側面からの距離)が低くなるように傾斜する。
次に、作業者が脚部材131cを折り畳む場合について説明する。ここでは、
図13に示す脚部130のうち、既に脚部材131aが折り畳まれて、天板部110に重ね合わされており、次に脚部材131cを折り畳むために脚部材131cを脚部材131aに近づいているものとする。
【0066】
ここで、
図17(a)、(b)は、
図13に示すIV-IV線を切断して矢印方向から見た断面図として想定する。脚部材131cを折り畳むために脚部材131cを既に折り畳まれた脚部材131aに近接させる場合、キャスター181cは自重によって旋回して操作片197が下側になった状態となる。
図17(a)に示すように、脚部材131cを脚部材131aに積み重ねる方向に近接させると、操作片197の先端が変換部材251aの変換部253に接触する。変換部253は傾斜していることから、変換部253に接触した操作片197は変換部253の高さHが低い方に旋回するようにガイドされる。したがって、
図17(b)に示すように、キャスター181cは操作片197が脚部材131aの外側(左側)になるように旋回した状態になる。このように操作片197が旋回することで、
図13に示すように、キャスター181cの車輪部182は略水平方向、すなわち車軸184が略鉛直方向になる。車輪部182を略水平にすることで、折り畳んだときの作業台100の厚みをコンパクトにすることができる。
【0067】
なお、変換部材251aがない場合には、脚部材131cを脚部材131aに積み重ねる方向に近接させると、操作片197の先端が脚部材131aの側面に接触したときに、旋回せずに接触した状態のままになってしまうことがある。この場合には、キャスター181cの車輪部182は略鉛直方向になってしまい、折り畳んだときの作業台100の厚みが大きくなってしまう。
このように、本実施形態によれば、変換部材251aは脚部材131cに連結されたキャスター181cを旋回させて姿勢を変換させ、車輪部182を略水平方向にした状態に移行させることから、折り畳んだときの作業台100の厚みをコンパクトにすることができる。なお、変換部材251aについて説明したが、変換部材251bについても同様に作用する。すなわち、脚部材131cを折り畳むときに脚部材131cと連動して脚部材131dも折り畳まれ、このときキャスター181dは変換部材251bによって操作片197が脚部材131bの外側(右側)になるように旋回した状態になる。
【0068】
また、上述した実施形態では、キャスター181c、181dの操作片197が脚部材131a、131bの外側になるように旋回する場合について説明したが、変換部253の傾斜方向を反対にすることで、操作片197が脚部材131a、131bの内側になるように旋回させてもよい。
また、上述した実施形態では、キャスター181c、181dの操作片197が変換部253に接触する場合について説明したが、キャスター181c、181dの車輪部182、支持部185またはペダル部195の一部が接触することでキャスター181c、181dを旋回させてもよい。
また、上述した実施形態では、キャスター181c、181dを旋回させる場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、変換部材251a、251bを天板部110の下面に設けることで、脚部材131a、131bを天板部110に対して折り畳んだときに、変換部材251a、251bは脚部材131a、131bに連結されたキャスター181a、181bを旋回させて姿勢を変換させ、車輪部182を略水平方向にした状態に移行させてもよい。
【0069】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
本実施形態では、ブリッジ20を作業台100に連結させたときに、ブリッジ20が作業台100から浮上ることを防止する浮上防止部材24を有する。
図18は、本実施形態に係るブリッジ20の構成の一例を示す断面図である。ここでは、ブリッジ20のうち、浮上防止部材24が位置する部分を切断したものとする。なお、第1の実施形態と同様の構成は、同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
ブリッジ20は、作業台100と連結する側の端部であって、2つの連結ピン22の間にブラケット23を介して浮上防止部材24が設けられる。なお、浮上防止部材24は、連結ピン22よりも内側にオフセットして配置される。浮上防止部材24は、ガイド軸25、当接部材26、バネ部材27を有する。
ガイド軸25は、ブラケット23の下面から下側に突出し、当接部材26の上下方向の移動をガイドする。
当接部材26は上片26aと下片26bを有し、略コ字状に形成される。上片26aは略板状であり、ガイド軸25が挿通される。下片26bは略板状であり、ブリッジ20の下面および天板部110の下面に当接可能な当接部として機能する。
バネ部材27はガイド軸25の下端と当接部材26の上片26aとの間に配置され、当接部材26を上側、すなわちブラケット23側に付勢する。
【0071】
図18(a)、(b)は、当接部材26をガイド軸25の軸回りに90度回転させる前後の状態を示している。ここで、当接部材26の下片26bの幅をW(
図18(a)参照)として、幅Wに直交する長さをS(
図18(b)参照)とする。幅Wはブリッジ20の下面の外側端から天板部110の下面の外側端までの距離L3よりも短く、長さSは距離L3よりも長い。
一方、天板部110の外周端には板状の側部127を有し、側部127には板状の下部129が接続され、略L字状に形成される。本実施形態では、側部127および下部129の長手方向の一部であって、ブリッジ20が連結されたときに浮上防止部材24と近接する位置に、側部127および下部129を欠落させた切欠部(凹部)128を有する。切欠部128は凹状であり、当接部材26の下片26bが係合する。なお、切欠部128は、側部127または下部129の何れかに有していてもよい。
【0072】
次に、当接部材26によりブリッジ20の浮上りを防止する作用について説明する。
まず、
図18(a)の状態から、作業者は連結ピン22をそれぞれ連結孔118に上側から挿入することにより、ブリッジ20を作業台100に連結させる。
次に、
図18(b)に示すように、作業者は当接部材26をバネ部材27の付勢力に抗して引っ張ると共にガイド軸25の軸回りに90度回転させ、その後に当接部材26の引っ張りを解除する。したがって、当接部材26のうち下片26bが天板部110の下側とブリッジ20の下側とに跨った状態で当接される。このような状態でブリッジ20に対して上側に浮上るような力が掛かったとしても、下片26bが天板部110の下側に当接していることからブリッジ20の浮上りを防止することができる。
また、本実施形態の下片26bは、天板部110の下側に当接したときに、天板部110の切欠部128内に下側から入り込み係合する。したがって、例えば、高所作業によってブリッジ20に振動が生じ、振動が当接部材26に伝達されたとしても当接部材26が振動によって回転して切欠部128内から離脱することがなく、当接部材26と天板部110との当接が解除されることを防止することができる。
【0073】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、各実施形態に組み合せてもよい。
上述した実施形態では、脚部材131a~131dが水平面に対して鋭角側の傾斜角度が略88度で傾斜している場合について説明したが、この場合に限られず、例えば、90度よりも小さく、80度よりも大きい角度、好ましくは85度よりも大きい角度で傾斜していてもよい。
上述した実施形態では、車輪部182が2つの車輪183を有する場合について説明したが、この場合に限られず、1つの車輪183のみを有していてもよい。
【0074】
上述した実施形態では、脚部材131a~131dは伸縮脚133を有する場合について説明したが、この場合に限られず、伸縮脚133を有していなくてもよい。
上述した実施形態では、閉脚姿勢では、天板部110、脚部材131a、脚部材131cの順に重なり合うように折り畳まれる場合について説明したが、この場合に限られず、例えば、脚部材131a~131dの長さが短い場合や、天板部110が大きい場合には、脚部材131aおよび脚部材131cが互いに重なり合わずに、脚部材131aおよび脚部材131cが前後に隣接した状態で天板部110に直接、重なり合ってもよい。この場合、回動体151c、151dは、回動体151a、151bに対して略前後対称の構成となる。
【0075】
上述した実施形態では、前後方向から見た場合には、脚部材131aと脚部材131bとは平行に略鉛直方向に延出し、脚部材131cと脚部材131dとは平行に略鉛直方向に延出する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、脚部材131aと脚部材131bとは下側に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜し、脚部材131cと脚部材131dとは下側に向かうにしたがって互いに離れるように傾斜してもよい。この場合でも、作業台100の上側から見て、キャスター181a~181dが天板部110に重なり合うように配置する。
上述した実施形態では、脚部130は4つの脚部材131a~131dを有する場合について説明したが、この場合に限られず、5つ以上の脚部材を有していてもよい。
なお、本実施形態では、脚部130が鉛直方向に対して傾斜していると共に、作業台100の上側から見て、上端から下端までが天板部110に重なり合うように配置されている場合について説明したが、この場合に限られず、課題等に応じて適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
100:移動式作業台 110:天板部 118:連結孔 120:筒部材 130:脚部 131a~131d:脚部材 150:回動部 180:走行部 181a~181d:キャスター 182:車輪部 183:車輪 195:ペダル部 200:補強部材 205:ブラケット 241a~241d:キャスター