(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-04
(45)【発行日】2022-10-13
(54)【発明の名称】吊下具ユニット
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20221005BHJP
D06F 57/12 20060101ALI20221005BHJP
D06F 57/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A47G29/00 B
D06F57/12 R
D06F57/00 390
D06F57/12 M
(21)【出願番号】P 2018216263
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504193653
【氏名又は名称】株式会社ジーコム
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内河 敬明
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-255114(JP,A)
【文献】特開2007-307083(JP,A)
【文献】特開平6-121725(JP,A)
【文献】特開昭51-105558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
D06F 57/12
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に固定される固定具と、
前記固定具に着脱可能であって、前記固定具に吊り下げられる吊下具と、を備え、
前記吊下具は、前記固定具に支持される被支持部を備え、
前記固定具は、前記被支持部を収容する収容部を備え、
前記収容部は、前記被支持部を側方から出し入れするための開放部を有する側壁部と、前記被支持部を下方から支持する支持部と、前記支持部よりも上方に配置される上壁部と、を備え、
前記上壁部の下面部及び前記被支持部の上面部のうち、一方は、上下方向に突出する突出部を備え、他方は、前記被支持部が前記開放部から出し入れされる際に、前記突出部を内部に位置して案内するために、側方に向けて延びる溝部を備え、
前記側壁部は、前記突出部が前記溝部の外部に位置する状態で、前記被支持部を側方から止められるように、形成される、吊下具ユニット。
【請求項2】
前記固定具は、対象物に固定される本体部を備え、
前記側壁部は、前記本体部に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記本体部に接続される、請求項1に記載の吊下具ユニット。
【請求項3】
前記上壁部は、前記側壁部に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記側壁部に接続される、請求項1又は2に記載の吊下具ユニット。
【請求項4】
前記上壁部は、前記側壁部に対して上方向に変位することによって、前記側壁部に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記側壁部に接続される、請求項3に記載の吊下具ユニット。
【請求項5】
前記被支持部の下面部は、下方に凸状となるような曲面に形成され、
前記支持部の上面部は、下方に凹状となるような曲面に形成される、請求項1~4の何れか1項に記載の吊下具ユニット。
【請求項6】
前記被支持部の前記下面部の曲率半径は、前記支持部の前記上面部の曲率半径よりも、小さい、請求項5に記載の吊下具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊下具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吊下具ユニットは、例えば、天井又は壁といった対象物に固定される固定具と、固定具に着脱され、固定具に吊り下げられる吊下具とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、吊下具は、固定具に支持される被支持部を備えており、固定具は、被支持部を側方から出し入れするための開放部と、被支持部を下方から支持する支持部とを備えている。
【0003】
ところで、特許文献1に係る吊下具ユニットにおいては、吊下具が固定具に吊り下げられている状態から、被支持部が開放部から退出することを抑制するために、固定具は、被支持部を引っ掛ける板バネを備えている。しかしながら、固定具に吊り下げられた吊下具に力が働いた際に、被支持部が板バネを弾性変形させて、被支持部が開放部から退出する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、固定具に吊り下げられた吊下具に力が働いた際に、被支持部が開放部から退出することを抑制することができる吊下具ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
吊下具ユニットは、対象物に固定される固定具と、前記固定具に着脱可能であって、前記固定具に吊り下げられる吊下具と、を備え、前記吊下具は、前記固定具に支持される被支持部を備え、前記固定具は、前記被支持部を収容する収容部を備え、前記収容部は、前記被支持部を側方から出し入れするための開放部を有する側壁部と、前記被支持部を下方から支持する支持部と、前記支持部よりも上方に配置される上壁部と、を備え、前記上壁部の下面部及び前記被支持部の上面部のうち、一方は、上下方向に突出する突出部を備え、他方は、前記被支持部が前記開放部から出し入れされる際に、前記突出部を内部に位置して案内するために、側方に向けて延びる溝部を備え、前記側壁部は、前記突出部が前記溝部の外部に位置する状態で、前記被支持部を側方から止められるように、形成される。
【0007】
また、吊下具ユニットにおいては、前記固定具は、対象物に固定される本体部を備え、前記側壁部は、前記本体部に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記本体部に接続される、という構成でもよい。
【0008】
また、吊下具ユニットにおいては、前記上壁部は、前記側壁部に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記側壁部に接続される、という構成でもよい。
【0009】
また、吊下具ユニットにおいては、前記上壁部は、前記側壁部に対して上方向に変位することによって、前記側壁部に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記側壁部に接続される、という構成でもよい。
【0010】
また、吊下具ユニットにおいては、前記被支持部の下面部は、下方に凸状となるような曲面に形成され、前記支持部の上面部は、下方に凹状となるような曲面に形成される、という構成でもよい。
【0011】
また、吊下具ユニットにおいては、前記被支持部の前記下面部の曲率半径は、前記支持部の前記上面部の曲率半径よりも、小さい、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る吊下具ユニットの使用状況を示す全体図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る吊下具ユニットの全体図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部側面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る固定具の部品の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る固定具の部品の斜視図であって、上壁部が基準位置よりも上方に位置する状態を示す図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る固定具の部品の斜視図であって、上壁部が基準位置に位置する状態を示す図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る上壁部材の全体底面図である。
【
図11】
図11は、同実施形態に係る吊下具の要部斜視図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具に吊り下げられた状態を示す図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具から退出することを阻止する状況を示す図である。
【
図14】
図14は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具から退出することを阻止する状況を示す図である。
【
図15】
図15は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具から退出する状況を示す図である。
【
図16】
図16は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部縦断面図であって、吊下具が固定具に進入する状況を説明する図である。
【
図17】
図17は、同実施形態に係る吊下具ユニットを下方から見た概要図であって、
図16の状態を示す図である。
【
図18】
図18は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部縦断面図であって、吊下具が固定具に進入する状況を説明する図である。
【
図19】
図19は、同実施形態に係る吊下具ユニットを下方から見た概要図であって、
図18の状態を示す図である。
【
図20】
図20は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、
図18の状態を示す図である。
【
図21】
図21は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部縦断面図であって、吊下具が固定具に進入する状況を説明する図である。
【
図22】
図22は、同実施形態に係る吊下具ユニットを下方から見た概要図であって、
図21の状態を示す図である。
【
図23】
図23は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、
図21の状態を示す図である。
【
図24】
図24は、他の実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具に吊り下げられた状態を示す図である。
【
図25】
図25は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具から出し入れされる状況を示す図である。
【
図26】
図26は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具に吊り下げられた状態を示す図である。
【
図27】
図27は、同実施形態に係る吊下具ユニットの要部正面図であって、吊下具が固定具から退出することを阻止する状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、吊下具ユニットにおける一実施形態について、
図1~
図23を参照しながら説明する。なお、各図(
図24~
図27も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る吊下具ユニット1は、対象物X1に固定される固定具2と、固定具2に着脱可能であって、固定具2に吊り下げられる吊下具10とを備えている。なお、対象物X1は、特に限定されない。例えば、対象物X1は、
図1に示すように、天井でもよく、また、例えば、壁でもよい。
【0015】
吊下具10は、固定具2に支持される被支持部11と、被支持部11に連結される伸縮可能な棒状部12と、棒状部12に連結されるフック13とを備えている。
図1においては、吊下具ユニット1は、一対備えられており、一対のフック13,13は、物干竿X2を引っ掛けている。なお、吊下具ユニット1は、一つで使用されてもよく、三つ以上で使用されてもよい。
【0016】
また、フック13に引っ掛けられる物は、特に限定されない。例えば、フック13は、各種のハンガーを引っ掛けてもよい。また、吊下具10は、フック13を備える、という構成に限られず、例えば、複数のピンチ(洗濯ばさみ)を有するピンチハンガーを備えている、という構成でもよく、また、複数のアームを有するアームハンガー(パラソルハンガー)を備えている、という構成でもよい。
【0017】
図3~
図6に示すように、固定具2は、対象物X1に固定される本体部2aと、被支持部11を収容するために、中空状である収容部2bとを備えている。なお、本体部2aを対象物X1に固定する構成は、特に限定されない。例えば、本体部2aは、
図5及び
図6に示すように、雄ねじ材X3によって、対象物X1に固定される、という構成でもよく、また、例えば、接着材によって、対象物X1に固定される、という構成でもよい。
【0018】
収容部2bは、吊下具10を側方から出し入れするための開放部31aを有する側壁部31と、被支持部11を下方から支持する支持部32と、支持部32よりも上方に配置される上壁部41とを備えている。本実施形態においては、収容部2bは、側壁部31及び支持部32を有する側壁部材3と、上壁部41を有する上壁部材4とによって、構成されている。
【0019】
開放部31aは、吊下具10の被支持部11を側方から出し入れするための第1開口31bと、第1開口31bと連通し、吊下具10の棒状部12を側方から出し入れするための第2開口31cとを備えている。そして、支持部32は、第1開口31bよりも下方に配置されており、上壁部41は、第2開口31cよりも上方に配置されている。
【0020】
なお、被支持部11の幅(直径、側方視の寸法)は、棒状部12の幅(直径、側方視の寸法)よりも、大きくなっている。そして、斯かる構成に対応して、第1開口31bの幅(周方向D1の寸法、側方視の寸法)は、第2開口31cの幅(周方向D1の寸法、側方視の寸法)よりも、大きくなっている。
【0021】
また、被支持部11の下面部11aは、下方に凸状となるような曲面に形成されており、支持部32の上面部32aは、下方に凹状となるような曲面に形成されている。そして、被支持部11の下面部11aの曲率半径は、支持部32の上面部32aの曲率半径よりも、小さくなっている。これにより、吊下具10に側方の力が働いた際に、吊下具10は、被支持部11を起点として揺動することができる。
【0022】
したがって、吊下具10に側方の力が働いた際に、例えば、支持部32及び被支持部11に無理な力が働くことを抑制することができるため、支持部32及び被支持部11が損傷することを抑制することができる。また、吊下具10に側方の力が働いた際に、例えば、被支持部11が上方向に変位することを抑制することができるため、被支持部11が開放部31aから退出することを抑制することができる。
【0023】
本体部2aは、対象物X1に固定されるベース材5と、ベース材5と協働することによって、収容部2bを保持する保持材6と、保持材6を覆うカバー材7とを備えている。そして、吊下具ユニット1は、収容部2bの上壁部41に下方の力を加える加力部2cを備えている。これにより、上壁部41に外力が働いていない際には、上壁部41は、側壁部31及び本体部2aに対して最下位置である基準位置に位置している。
【0024】
なお、加力部2cの構成は、特に限定されないが、例えば、加力部2cは、上壁部材4とベース材5との間に配置される弾性部材(例えば、バネ体、ゴム体)とすることができる。また、加力部2cが備えられておらず、上壁部41は、自重により、基準位置に位置する、という構成でもよい。
【0025】
図5~
図7に示すように、保持材6は、円環状に形成されており、側壁部材3は、保持材6の内部に配置されている。側壁部材3は、保持材6と接続される第1接続部33を外周部に備えており、保持材6は、側壁部材3と接続される接続部61を内周部に備えている。側壁部材3の第1接続部33は、外方に凸状となるように形成され、保持材6の接続部61は、側壁部材3の第1接続部33を下方から支持している。
【0026】
そして、側壁部材3は、保持材6に対して上下方向を中心に回転可能となるように、保持材6に接続されている。これにより、収容部2bの側壁部31は、本体部2aに対して上下方向を中心に回転可能となるように、本体部2aに接続されている。
【0027】
なお、側壁部材3と保持材6との接続機構は、特に限定されない。例えば、保持材6の接続部61は、内周部から内方に凸状となるように形成され、側壁部材3の第1接続部33は、保持材6の接続部61を下方から支持する、という構成でもよい。また、例えば、側壁部材3と保持材6との間に介在材が介在され、側壁部材3及び保持材6の少なくとも一方が介在材に回転可能となるように接続されている、という構成でもよい。
【0028】
また、側壁部31が本体部2aに対して所定角度を超えて回転することを規制する第1回転規制部が、設けられている。例えば、保持材6の接続部61は、周方向D1で側壁部材3を止める停止部61a,61aを備え、側壁部材3の第1接続部33は、保持材6の停止部61aに止められる被停止部33aを備えており、第1回転規制部は、保持材6の停止部61a,61aと側壁部材3の第1接続部33の被停止部33aとによって、構成されている。なお、第1回転規制部が設けられていない、という構成でもよい。
【0029】
上壁部材4は、側壁部材3の内部に配置されている。
図7~
図9に示すように、側壁部材3は、上壁部材4と接続される第2接続部34を内周部に備えており、上壁部材4は、側壁部材3と接続される接続部42を外周部に備えている。上壁部材4の接続部42は、外方に凸状となるように形成され、側壁部材3の第2接続部34は、凹状となるように形成され、上壁部材4の接続部42を下方から支持している。
【0030】
そして、上壁部材4は、側壁部材3に対して上下方向に変位可能となるように、側壁部材3に接続されている。これにより、上壁部41は、側壁部31に対して上下方向に変位可能となるように、側壁部31に接続されている。しかも、上壁部材4は、側壁部材3に対して上下方向を中心に回転可能となるように、側壁部材3に接続されている。これにより、上壁部41は、側壁部31に対して上下方向を中心に回転可能となるように、側壁部31に接続されている。
【0031】
また、上壁部41が側壁部31に対して所定角度を超えて回転することを規制する第2回転規制部が、設けられている。例えば、側壁部材3の第2接続部34は、周方向D1で上壁部材4を止める停止部34a,34aを備え、上壁部材4の接続部42は、上壁部材4の停止部34aに止められる被停止部42aを備えており、第2回転規制部は、側壁部材3の停止部34a,34aと上壁部材4の接続部42の被停止部42aとによって、構成されている。
【0032】
ところで、第2回転規制部が上壁部41の回転を規制する角度は、側壁部31に対する上壁部41の位置によって、異なっている。例えば、側壁部31に対する上壁部41の位置が上方になればなるほど、上壁部41が回転可能な角度は、大きくなっている。
【0033】
本実施形態においては、上壁部41が、最下位置である基準位置よりも上方に位置する際(
図8参照)には、上壁部41は、側壁部31に対して回転可能である一方で、上壁部41が基準位置に位置する際(
図9参照)には、上壁部41は、側壁部31に対して回転不能である。即ち、上壁部41は、側壁部31に対して基準位置から上方向に変位することによって、側壁部31に対して回転可能となるように、側壁部31に接続されている。
【0034】
また、反対の見方をすれば、上壁部41は、側壁部31に対して下方に変位して基準位置に位置することによって、周方向D1において側壁部31に対して位置決めされるように、側壁部31に接続されている。即ち、側壁部材3は、上壁部材4が側壁部材3に対して下方に変位することに伴って上壁部材4を回転させるために、上壁部材4を案内する案内部34bを備えている。そして、案内部34bは、側壁部材3の一方の停止部34aの一部で構成されている。
【0035】
なお、側壁部材3と上壁部材4との接続機構は、特に限定されない。例えば、側壁部材3の第2接続部34は、内周部から内方に凸状となるように形成され、上壁部材4の接続部42は、凹状に形成され、側壁部材3の第2接続部34を下方から支持する、という構成でもよい。また、例えば、側壁部材3と上壁部材4との間に介在材が介在され、側壁部材3及び上壁部材4の少なくとも一方が介在材に回転可能となるように接続されている、という構成でもよい。
【0036】
図10に示すように、上壁部材4(収容部2b)の上壁部41の下面部41aは、上方向に凹む溝部41bを備えている。溝部41bは、上壁部41の下面部41aの中央部から側方に向けて延びている。そして、溝部41bの幅は、側方にいくほど広くなっている。また、溝部41bの深さは、幅の中央ほど、深くなっている。
【0037】
図11に示すように、吊下具10の被支持部11の上面部11bは、上方に突出する突出部11cを備えている。突出部11cは、被支持部11の上面部11bの中央部から側方に向けて延びている。そして、突出部11cの幅は、側方にいくほど広くなっている。また、突出部11cの高さは、幅の中央ほど、高くなっている。
【0038】
ここで、被支持部11が開放部31aから退出することを抑制する方法について、説明する。
【0039】
まず、被支持部11の上面部11bが、上壁部41の下面部41aに対して、周方向D1において位置決めされた際に、突出部11cは、溝部41bの内部に位置することができる形状である。一方で、被支持部11の上面部11bが、上壁部41の下面部41aに対して、周方向D1において位置決めされていない際には、突出部11cは、上壁部41に当たり、溝部41bの内部に位置することができない形状である。
【0040】
したがって、
図12に示すように、被支持部11が上壁部41に対して周方向D1において位置決めされていない際に、被支持部11が押し上げられても、
図13に示すように、被支持部11の突出部11cは、上壁部41の溝部41bの内部に位置できない。即ち、突出部11cは、溝部41bの外部に位置する。
【0041】
そして、突出部11cが溝部41bの外部に位置する状態で、側壁部31は、被支持部11を側方から止められるように、形成されている。具体的には、突出部11cが溝部41bの外部に位置する状態で、被支持部11の一部は、側方視において、開放部31aから外れている(開放部31aと重なっていない)。
【0042】
これにより、側壁部31が被支持部11を側方から止めることになるため、被支持部11を開放部31aから退出することができない。したがって、吊下具10に力が働いた際に、被支持部11が開放部31aから退出することを抑制することができる。
【0043】
ところで、上壁部41に力が働いていない際には、加力部2c(
図5及び
図6参照)によって、上壁部41が基準位置に位置する。そして、上壁部41が基準位置する際には、案内部34b(
図7~
図9参照)によって、
図12に示すように、溝部41bの延びる向きは、開放部31aから外れる向きになっている。
【0044】
これにより、
図14に示すように、被支持部11が押し上げられ、突出部11cが溝部41bの内部に位置しただけでは、側壁部31が被支持部11を側方から止めてしまうため、被支持部11が開放部31aから退出できない。したがって、吊下具10が不用意に押し上げられた際に、被支持部11が開放部31aから退出することを抑制することができる。
【0045】
次に、被支持部11を開放部31aから退出させる方法について、説明する。
【0046】
まず、上壁部41が被支持部11によって押し上げられ、
図14に示すように、上壁部41が基準位置よりも上方に位置する際には、上壁部41が側壁部31に対して回転できる。そして、
図15に示すように、突出部11cが溝部41bに周方向D1で引っ掛かるため、被支持部11を周方向D1に回転させることにより、上壁部41を側壁部31に対して周方向D1に回転させることができる。
【0047】
これにより、溝部41bの延びる向きが、開放部31aに向かう向きとなるように、上壁部41が側壁部31に対して周方向D1において位置決めされる。その結果、被支持部11を開放部31aから退出することができる。このとき、溝部41bが突出部11cを案内することによって、被支持部11を開放部31aから退出させることができる。
【0048】
ところで、突出部11cを溝部41bの内部に位置させた状態で、被支持部11を回転させると、まず、上壁部41が側壁部31に対して回転する。そして、側壁部31に対する上壁部41の回転が規制された後においては、側壁部31及び上壁部41が一体となって、側壁部31が本体部2a対して回転する。これにより、開放部31aの周方向D1の位置を変えることができるため、被支持部11を開放部31aから出し入れする方向を変えることができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、側壁部材3の被停止部33aが保持材6の第1周方向D1a側の停止部61aに当たり(
図7参照)、上壁部材4の被停止部42aが側壁部材3の第1周方向D1a側の停止部34aに当たる(
図8参照)際に、溝部41bの延びる向きは、開放部31aに向かう向きとなる。即ち、第1回転規制部及び第2回転規制部によって、側壁部31及び上壁部41の回転が規制されることによって、溝部41bの延びる向きは、開放部31aに向かう向きとなる。
【0050】
これにより、側壁部31及び上壁部41の回転が規制されるまで、被支持部11を第1周方向D1aに回転することによって、溝部41bの延びる向きは、開放部31aに向かう向きとなる。したがって、被支持部11を開放部31aから退出させる際に、上壁部41を側壁部31に対して容易に位置決めすることができる。なお、側壁部31及び上壁部41の回転が規制されていない状態で、上壁部41を側壁部31に対して位置決めして、被支持部11を開放部31aから退出させてもよい。
【0051】
次に、被支持部11を開放部31aから進入させる方法について、説明する。
【0052】
上壁部41が基準位置に位置する際には、溝部41bの延びる向きが、開放部31aから外れる向きになっているが、
図16及び
図17に示すように、進入方向(側方)において、溝部41bの一部は、突出部11c及び開放部31aと重なっている。なお、
図17(
図19及び
図22も同様)において、開放部31aは、突出部11cが通過する高さの断面を図示している。
【0053】
そして、被支持部11を開放部31aから進入させると、
図18~
図20に示すように、上壁部41が突出部11cに乗り上げ、上壁部41が上方に変位する。このとき、上下方向において、溝部41bの一部は、突出部11cと重なっている。これにより、溝部41bが突出部11cに案内されるため、上壁部41は、側壁部31に対して周方向D1に回転する。なお、
図20(
図23も同様)において、被支持部11及び突出部11cは、二点鎖線で図示されている。
【0054】
さらに、被支持部11を開放部31aから進入させると、
図21~
図23に示すように、上壁部41が側壁部31に対して周方向D1に回転し、溝部41bの延びる向きは、開放部31aに向かう向きとなる。そして、被支持部11が開放部31aから収容部2bの内部に進入される。このとき、突出部11cが溝部41bの内部に位置しているため、突出部11cは、溝部41bに案内されている。
【0055】
以上より、本実施形態に係る吊下具ユニット1は、対象物X1に固定される固定具2と、前記固定具2に着脱可能であって、前記固定具2に吊り下げられる吊下具10と、を備え、前記吊下具10は、前記固定具2に支持される被支持部11を備え、前記固定具2は、前記被支持部11を収容する収容部2bを備え、前記収容部2bは、前記被支持部11を側方から出し入れするための開放部31aを有する側壁部31と、前記被支持部11を下方から支持する支持部32と、前記支持部32よりも上方に配置される上壁部41と、を備え、前記上壁部41の下面部41a及び前記被支持部11の上面部11bのうち、一方(本実施形態においては、被支持部11の上面部11b)は、上下方向に突出する突出部11cを備え、他方(本実施形態においては、上壁部41の下面部41a)は、前記被支持部11が前記開放部31aから出し入れされる際に、前記突出部11cを内部に位置して案内するために、側方に向けて延びる溝部41bを備え、前記側壁部31は、前記突出部11cが前記溝部41bの外部に位置する状態で、前記被支持部11を側方から止められるように、形成される。
【0056】
斯かる構成によれば、上壁部41の下面部41a及び被支持部11の上面部11bのうち、一方11bは、上下方向に突出する突出部11cを備え、他方41aは、側方に向けて延びる溝部41bを備えている。そして、突出部11cが溝部41bの内部に位置する状態において、溝部41bが突出部11cを案内することによって、被支持部11が開放部31aから出し入れされる。
【0057】
一方で、突出部11cが溝部41bの外部に位置する状態においては、側壁部31は、被支持部11を側方から止めることができる。これにより、周方向D1において吊下具10の被支持部11を固定具2の上壁部41に位置合わせして、突出部11cが溝部41bの内部に位置されない限り、被支持部11を開放部31aから退出させることができない。したがって、固定具2に吊り下げられた吊下具10に力が働いた際に、被支持部11が開放部31aから退出することを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る吊下具ユニット1においては、前記固定具2は、対象物X1に固定される本体部2aを備え、前記側壁部31は、前記本体部2aに対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記本体部2aに接続される、という構成である。
【0059】
斯かる構成によれば、側壁部31が本体部2aに対して回転することにより、周方向D1における開放部31aの位置を変えることができる。これにより、被支持部11を開放部31aから出し入れする方向を変えることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る吊下具ユニット1においては、前記上壁部41は、前記側壁部31に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記側壁部31に接続される、という構成である。
【0061】
斯かる構成によれば、上壁部41が側壁部31に対して回転することによって、突出部11cが溝部41bの内部に位置させた状態において、溝部41bの延びる向きを、開放部31aから外れる向きにすることもできる。これにより、突出部11cが溝部41bの内部に位置する状態でも、被支持部11が側壁部31に側方から止められる状態にすることもできる。斯かる状態によれば、固定具2に吊り下げられた吊下具10に力が働いた際に、被支持部11が開放部31aから退出することを確実に抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る吊下具ユニット1においては、前記上壁部41は、前記側壁部31に対して上方向に変位することによって、前記側壁部31に対して上下方向を中心に回転可能となるように、前記側壁部31に接続される、という構成である。
【0063】
斯かる構成によれば、上壁部41が側壁部31に対して上方に変位することによって、上壁部41が側壁部31に対して回転できる。これにより、突出部11cが溝部41bの内部に位置させた状態において、溝部41bの延びる向きが、開放部31aから外れる向きから、開放部31aへ向かう向きとなるように、周方向D1において、上壁部41を側壁部31に位置合わせすることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る吊下具ユニット1においては、前記被支持部11の下面部11aは、下方に凸状となるような曲面に形成され、前記支持部32の上面部32aは、下方に凹状となるような曲面に形成される、という構成である。
【0065】
斯かる構成によれば、被支持部11の下面部11aが、下方に凸状となるような曲面に形成されていることに対して、支持部32の上面部32aが、下方に凹状となるような曲面に形成されているため、固定具2に吊り下げられた吊下具10に力が働いた際に、吊下具10が被支持部11を起点として揺動する。
【0066】
また、本実施形態に係る吊下具ユニット1においては、前記被支持部11の前記下面部11aの曲率半径は、前記支持部32の前記上面部32aの曲率半径よりも、小さい、という構成である。
【0067】
斯かる構成によれば、被支持部11の下面部11aの曲率半径が、支持部32の上面部32aの曲率半径よりも、小さいため、固定具2に吊り下げられた吊下具10に力が働いた際に、吊下具10が被支持部11を起点として滑らかに揺動する。
【0068】
なお、吊下具ユニット1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、吊下具ユニット1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0069】
(1)上記実施形態に係る吊下具ユニット1においては、被支持部11の上面部11bは、上方に突出する突出部11cを備え、上壁部41の下面部41aは、上方に凹む溝部41bを備えている、という構成である。しかしながら、吊下具ユニット1は、斯かる構成に限られない。例えば、
図24~
図27に示すように、上壁部41の下面部41aは、下方に突出する突出部41cを備え、被支持部11の上面部11bは、下方に凹む溝部11dを備えている、という構成でもよい。
【0070】
(2)また、上記実施形態に係る吊下具ユニット1においては、上壁部41は、側壁部31に対して上下方向を中心に回転可能となるように、側壁部31に接続されている、という構成である。しかしながら、吊下具ユニット1は、斯かる構成に限られない。例えば、
図24~
図27に示すように、上壁部41は、側壁部31に対して上下方向を中心に回転不能となるように、側壁部31に接続されている、という構成でもよい。
【0071】
ここで、
図24~
図27に係る吊下具ユニット1の構成について、以下に説明する。
【0072】
図24~
図27に係る吊下具ユニット1においては、上壁部41は、側壁部31に対して不動となるように、側壁部31に固定されている。即ち、側壁部31は、上壁部41と一体となって、本体部2aに対して上下方向を中心に回転可能である。そして、上壁部41の突出部41cは、開放部31aに向かう向きに延びている。これにより、
図25に示すように、突出部41cが溝部11dの内部に位置する状態で、被支持部11が開放部31aから出し入れ可能となる。
【0073】
一方で、
図26に示すように、被支持部11が上壁部41に対して周方向D1において位置決めされていない際に、被支持部11が上方に変位して上壁部41に当たっても、
図27に示すように、上壁部41の突出部41cは、被支持部11の溝部11dの内部に位置できない。即ち、突出部41cは、溝部11dの外部に位置する。
【0074】
そして、突出部41cが溝部11dの外部に位置する状態で、側壁部31は、被支持部11を側方から止められるように、形成されている。これにより、側壁部31が被支持部11を側方から止めるため、被支持部11が開放部31aから退出できない。したがって、吊下具10に力が働いた際に、被支持部11が開放部31aから退出することを抑制することができる。
【0075】
なお、
図24~
図27に係る吊下具ユニット1において、上壁部41は、側壁部31に対して上下方向を中心に回転可能で且つ上下方向に変位不能となるように、側壁部31に接続されている、という構成でもよい。
【0076】
(3)また、上記実施形態に係る吊下具ユニット1においては、側壁部31は、本体部2aに対して上下方向を中心に回転可能となるように、本体部2aに接続される、という構成である。しかしながら、吊下具ユニット1は、斯かる構成に限られない。例えば、側壁部31は、本体部2aに対して上下方向を中心に回転不能となるように、本体部2aに接続される、という構成でもよい。
【0077】
(4)また、上記実施形態に係る吊下具ユニット1においては、上壁部41は、側壁部31に対して上方向に変位することによって、側壁部31に対して上下方向を中心に回転可能となるように、側壁部31に接続される、という構成である。しかしながら、吊下具ユニット1は、斯かる構成に限られない。例えば、上壁部41は、側壁部31に対して上方向に変位することなく、側壁部31に対して上下方向を中心に回転可能となるように、側壁部31に接続される、という構成でもよい。
【0078】
(5)また、上記実施形態に係る吊下具ユニット1においては、被支持部11の下面部11aは、下方に凸状となるような曲面に形成され、支持部32の上面部32aは、下方に凹状となるような曲面に形成される、という構成である。しかしながら、吊下具ユニット1は、斯かる構成に限られない。例えば、被支持部11の下面部11a及び支持部32の上面部32aの少なくとも一方は、平面に形成される、という構成でもよい。また、例えば、被支持部11の下面部11aは、上方に凹状となるような曲面に形成され、支持部32の上面部32aは、上方に凸状となるような曲面に形成される、という構成でもよい。
【0079】
(6)また、上記実施形態に係る吊下具ユニット1においては、被支持部11の下面部11aの曲率半径は、支持部32の上面部32aの曲率半径よりも、小さい、という構成である。しかしながら、吊下具ユニット1は、斯かる構成に限られない。例えば、被支持部11の下面部11aの曲率半径は、支持部32の上面部32aの曲率半径と同じである、という構成でもよい。また、例えば、被支持部11の下面部11aの曲率半径は、支持部32の上面部32aの曲率半径よりも、大きい、という構成でもよい。
【0080】
(7)また、上記実施形態に係る吊下具ユニット1においては、突出部11cは、側方に向けて延びるように、形成されている、という構成である。しかしながら、吊下具ユニット1は、斯かる構成に限られない。例えば、突出部11cは、スポット状(例えば、半球状)に形成され、被支持部11(又は上壁部41)の回転中心から外れて配置されている、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…吊下具ユニット、2…固定具、2a…本体部、2b…収容部、2c…加力部、3…側壁部材、4…上壁部材、5…ベース材、6…保持材、7…カバー材、10…吊下具、11…被支持部、11a…下面部、11b…上面部、11c…突出部、11d…溝部、12…棒状部、13…フック、31…側壁部、31a…開放部、31b…第1開口、31c…第2開口、32…支持部、32a…上面部、33…第1接続部、33a…被停止部、34…第2接続部、34a…停止部、34b…案内部、41…上壁部、41a…下面部、41b…溝部、41c…突出部、42…接続部、42a…被停止部、61…接続部、61a…停止部、D1…周方向、D1a…第1周方向、X1…対象物、X2…物干竿、X3…雄ねじ材